説明

プロスタグランジン受容体のモジュレータとしてのヒドラジド誘導体

本発明は、特に薬理学的に活性な化合物として利用される一般式(I)のヒドラジド誘導体と、そのようなヒドラジド誘導体を含む医薬組成物に関する。このヒドラジド誘導体は、早期分娩、月経困難症、受胎障害、喘息、高血圧、望まない血液凝固、子癇前症、子癇症、好酸球疾患、望まない骨の減少、腎不全、免疫不全疾患、魚鱗癬、眼内圧上昇、不妊症、性機能不全、胃潰瘍、炎症性疾患の治療に役立つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒドラジド誘導体(特に医薬としての利用法)と、そのようなヒドラジド誘導体を含む医薬組成物に関する。ヒドラジド誘導体は、喘息、高血圧、骨粗鬆症、性機能不全、腎不全(急性と慢性)、免疫不全疾患、(例えば緑内障に付随する)眼内圧上昇、潰瘍、炎症性疾患、受胎障害や、プロスタグランジンとその受容体に関係する他の疾患の治療および/または予防に役立つ。ヒドラジド誘導体は、プロスタグランジン受容体(特にプロスタグランジンE受容体)を変化させる活性、特にアゴニスト活性を示す。より詳細には、ヒドラジド誘導体は、プロスタグランジンのEP2受容体および/またはEP4受容体によって起こる疾患状態(例えば喘息、受胎障害、骨粗鬆症、炎症性疾患、性障害)の治療および/または予防に役立つ。
【背景技術】
【0002】
プロスタノイド・ファミリーに属するプロスタグランジン(PG)は、さまざまな生物活性を有することが知られており、例えば平滑筋の収縮と弛緩、神経伝達物質の放出抑制と放出促進、炎症(痛みを含む)、骨代謝に関係している(Coleman他、1989年;ヨーロッパ特許第1114816号)。
【0003】
特に、EP受容体の天然のアゴニストであるプロスタグランジンE2(PGE2)は、排卵と受精、血圧調節、発熱応答、骨吸収、平滑筋の収縮調節、TNFの下方調節、小膠細胞が分泌するIL-12の抑制においてさまざまな役割を果たしていることが見いだされた(Ushikubi他、2000年;Miyaura他、2001年;日本薬理学雑誌、第117巻(4)、293〜297ページ;Benoit他、2002年;Levi他、1998年、Biochimie、第80巻(11)、899〜904ページ)。
【0004】
EP受容体はさらに、EP1、EP2、EP3、EP4という4つの異なる受容体サブタイプに分類されている(Coleman他、1994年)。
【0005】
EP受容体の各サブタイプが欠けたノックアウトマウスにより、さまざまなメカニズムにおいてこれら受容体が異なる役割を果たしていることの証拠が得られた(Ushikubi他、2000年)。EP受容体は、例えば排卵(EP2)、血圧制御(EP2)、動脈管の閉塞(EP4)、骨吸収(EP4)(Miyaura他、2001年)、勃起不全(EP4)、抗炎症活性(EP4)(Takayama他、2002年)などのメカニズムに関与している。
【0006】
腎プロスタグランジンE2(PGE2)は、糸球体毛細血管と直細血管を膨張させ、腎髄質を働かせ、遠位尿細管内で塩と水の輸送を変化させることによって腎臓を正常に機能させる上で極めて重要である。
【0007】
PGE2を経口投与すると、慢性B型肝炎の患者の47%でウイルスの複製が継続的に阻止される(Hyman他、1999年)。
【0008】
プロスタグランジンE2(PGE2)は、EP受容体のあらゆるサブタイプにとっての天然のリガンドであるため、内在性プロスタグランジンを用いてEP受容体の1つのサブタイプに対して選択的な効果を及ぼすことは不可能である。
【0009】
いくつかのプロスタノイド受容体とこれら受容体のモジュレータは、異なる受容体サブタイプに対する選択性の範囲が異なっていることが報告されている(Coleman他、1994年;Abramowitz他、2000年;Benoit他、2002年)。
【0010】
最近、EP2アゴニストが開発された(アメリカ合衆国特許第6,235,780号とWO 99/33794)。EP2アゴニストとEP4アゴニストの組み合わせが、骨粗鬆症を複合的に治療するために開発されている(アメリカ合衆国出願第20010056060号)。EP4選択的アゴニストが、骨疾患の治療用(WO 02/42268とWO 01/46140)、勃起不全の治療用(WO 99/02164)、他のプロスタグランジン関連疾患の治療用(WO 02/24647、アメリカ合衆国出願第20020004495、WO 00/03980)に開発された。EP2アンタゴニストとEP4アンタゴニストも報告されている(Benoit他、2002年)。
【0011】
プロスタグランジン・ファミリー(特にEP2受容体サブタイプおよび/またはEP4受容体サブタイプ)に関係する疾患や障害を治療するための新しい化合物と方法を開発することが望ましかろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
プロスタグランジンに関係する障害を治療および/または予防するのに適した物質を提供することが、本発明の1つの目的である。
【0013】
呼吸器疾患(例えば喘息、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD))を治療および/または予防するのに適した物質を提供することも、本発明の1つの目的である。
【0014】
早期分娩や月経困難症を治療および/または予防するのに適した物質を提供することも、本発明の1つの目的である。
【0015】
骨粗鬆症を治療および/または予防するのに適した物質を提供することも、本発明の1つの目的である。
【0016】
性障害(例えば勃起不全)を治療および/または予防するのに適した物質を、提供することも、本発明の1つの目的である。
【0017】
不妊(例えば排卵障害)を治療および/または予防するのに適した物質を提供することも、本発明の1つの目的である。
【0018】
炎症性疾患(例えば炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、関節炎、肺炎)を治療および/または予防するのに適した物質を提供することも、本発明の1つの目的である。
【0019】
潰瘍(例えば胃潰瘍や潰瘍性大腸炎)を治療および/または予防するのに適した物質を提供することも、本発明の1つの目的である。
【0020】
哺乳動物(特にヒト)において疾患状態にあるEP受容体、特にEP2受容体および/またはEP4受容体を機能させることのできる化合物を提供することが、本発明の1つの大きな目的である。
【0021】
EP受容体、特にEP2受容体および/またはEP4受容体を変化させるための(好ましくはアゴニストとなる)小分子化合物を提供することも、本発明の1つの目的である。
【0022】
不妊症;排卵障害;呼吸器疾患(例えば喘息、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD));早期分娩;月経困難症;骨粗鬆症;性機能不全;炎症性疾患(例えば炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、関節炎、肺炎);潰瘍(例えば胃潰瘍、潰瘍性大腸炎);EP受容体(例えばEP2受容体および/またはEP4受容体)による疾患に対する新しいカテゴリーの医薬組成物を提供することも、本発明のさらに別の1つの目的である。
【0023】
最後に、不妊症;排卵障害;呼吸器疾患(例えば喘息、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD));早期分娩;月経困難症;骨粗鬆症;性機能不全;炎症性疾患(例えば炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、関節炎、肺炎);潰瘍(例えば胃潰瘍、潰瘍性大腸炎)の中から選択した疾患の治療法および/または予防法を提供することも、本発明の1つの目的である。
【0024】
最後に、プロスタグランジンに関係する疾患の治療および/または予防に適した化合物を調製する方法を提供することも、本発明の1つの目的である。
【0025】
本発明の第1の特徴によると、一般式(I)のヒドラジド誘導体:
【化1】

と、その幾何異性体、その光学活性な形態(例えばエナンチオマー、ジアステレオマー、これらの混合物)と、これらの塩が提供される。ただし一般式(I)において、
Aは、任意的に置換されているC3〜C8シクロアルキル、任意的に置換されているヘテロシクロアルキル、任意的に置換されているアリール、任意的に置換されているヘテロアリールの中から選択された二価の基であり;
Bは、任意的に置換されているC1〜C6アルキレン、任意的に置換されているC2〜C6アルケニレン、任意的に置換されているC2〜C6アルキニレンの中から選択された二価の基であり;
R1は、任意的に置換されているC1〜C6アルキル、任意的に置換されているC2〜C6アルケニル、任意的に置換されているC2〜C6アルキニル、任意的に置換されているC3〜C8シクロアルキル、任意的に置換されているヘテロシクロアルキル、任意的に置換されているC3〜C8シクロアルキルC1〜C6アルキル、任意的に置換されているアリールC1〜C6アルキル、任意的に置換されているヘテロアリールC1〜C6アルキル、任意的に置換されているアリール、任意的に置換されているヘテロアリールの中から選択され;
R2とR3は、独立に、H、任意的に置換されているC1〜C6アルキル、任意的に置換されているC2〜C6アルケニル、任意的に置換されているC2〜C6アルキニルの中から選択され;
R4は、水素と、任意的に置換されているC1〜C6アルキルの中から選択され;
R5は、水素、任意的に置換されているC1〜C6アルキル、任意的に置換されているC2〜C6アルケニル、任意的に置換されているC2〜C6アルキニル、任意的に置換されているC1〜C6ヘテロアルキル、任意的に置換されているC3〜C8シクロアルキル、任意的に置換されているC3〜C8シクロアルキルC1〜C6アルキル、任意的に置換されているアリールC1〜C6アルキル、任意的に置換されているヘテロアリールC1〜C6アルキル、任意的に置換されているアリール、任意的に置換されているヘテロアリールの中から選択され;
nは、1、2、3、4、5、6の中から選択された整数である。
【0026】
本発明の第2の特徴によると、医薬として使用するための一般式(I)のヒドラジド誘導体が提供される。
【0027】
本発明の第3の特徴によると、一般式(I)の化合物と、薬理学的に許容可能な賦形剤または基剤とを含む医薬組成物が提供される。
【0028】
本発明の第4の特徴によると、いろいろな疾患の治療に有効な医薬組成物の調製のための、一般式(I)の化合物の使用が提供される。この医薬組成物は、早期分娩;子宮頸管成熟;月経困難症;呼吸器疾患(例えば喘息、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD));高血圧;望まない血液凝固;子癇前症または子癇症;好酸球疾患;骨粗鬆症その他の破壊性の骨疾患または骨障害;腎不全(急性と慢性);免疫不全疾患;ドライアイ;皮膚疾患(例えば魚鱗癬);(例えば緑内障に付随する)眼内圧上昇;潰瘍;性機能不全(例えば勃起不全);受胎障害(例えば排卵障害);炎症性疾患;プロスタグランジン・ファミリーの化合物やその受容体に関係する他の疾患や障害を、緩和、および/または予防、および/または治療するのに有効である。
【0029】
本発明の第5の特徴によると、早期分娩;子宮頸部熟成;月経困難症;呼吸器疾患(例えば喘息、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD));高血圧;望まない血液凝固;子癇前症または子癇症;好酸球疾患;骨粗鬆症その他の破壊性の骨疾患または骨障害;腎不全(急性と慢性);免疫不全疾患;ドライアイ;皮膚疾患(例えば魚鱗癬);(例えば緑内障に付随する)眼内圧上昇;潰瘍;性機能不全(例えば勃起不全);受胎障害(例えば排卵障害);炎症性疾患を抱えている患者を治療する方法が提供される。この方法は、一般式(I)の化合物を投与する操作を含んでいる。
【0030】
本発明の第6の特徴によると、プロスタグランジンに関係する疾患を治療する方法が提供される。この方法は、一般式(I)の化合物を投与する操作を含んでいる。
【0031】
本発明の第7の特徴によると、一般式(I)においてR4がHであるヒドラジドを調製する方法であって、還元剤の存在下にて、一般式(II)のヒドラジド:
【化2】

(ただしA、R1、R2、R3、nは上に定義した通りである)を、一般式(III)の化合物:
【化3】

(ただしR5は、-CH2-R6(ここにR6は、任意的に置換されているC1〜C5アルキル、任意的に置換されているC2〜C5アルケニル、任意的に置換されているC2〜C5アルキニル、任意的に置換されているC1〜C5ヘテロアルキル、任意的に置換されているC1〜C5アルキルC1〜C5アルキル、任意的に置換されているアリールC1〜C5アルキル、任意的に置換されているヘテロアリールC1〜C5アルキルの中から選択する)である)を用いて還元的アミノ化するステップを含む方法が提供される。
【0032】
本発明の第8の特徴によると、一般式(I)においてR4がHであるヒドラジドを調製する方法であって、一般式(IV)の化合物:
【化4】

(ただしA、B、R1、R2、R3、R5、nは上に定義した通りである)を還元するステップを含む方法が提供される。
【0033】
本発明の第9の特徴によると、一般式(II)の化合物:
【化5】

(ただしA、R1、R2、R3、nは上に定義した通りである)と、その幾何異性体と、その光学活性な形態(例えばエナンチオマー、ジアステレオマー、これらの混合物)と、これらの塩が提供される。
【0034】
本発明の第10の特徴によると、一般式(IV)の化合物:
【化6】

(ただしA、B、R1、R2、R3、R5、nは上に定義した通りである)と、その幾何異性体と、その光学活性な形態(例えばエナンチオマー、ジアステレオマー、これらの混合物)と、これらの塩が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下の段落で、本発明の化合物を構成するさまざまな部分の定義を与える。この定義は、より広い定義が明示されない限り、この明細書と請求項の全体に等しく適用される。
【0036】
“C1〜C6-アルキル”は、炭素原子を1〜6個含む一価のアルキル基を意味する。この用語の具体例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、n-ヘキシルなどの基である。
【0037】
“C1〜C5-アルキル”は、炭素原子を1〜5個含む一価のアルキル基を意味する。この用語の具体例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチルなどの基である。
【0038】
“C2〜C6-アルケニル”は、炭素原子を2〜6個含んでいて、アルケニル不飽和部位が少なくとも1〜2個あることが好ましいアルケニル基を意味する。好ましいアルケニル基としては、エテニル(-CH=CH2)、n-2-プロペニル(アリル、-CH2CH=CH2)などがある。
【0039】
“C2〜C6-アルキニル”は、炭素原子を2〜6個含んでいて、アルキニル不飽和部位が少なくとも1〜2個あることが好ましいアルキニル基を意味する。好ましいアルキニル基としては、エチニル(-C≡CH)、プロパルギル(-CH2C≡CH)などがある。
【0040】
“C1〜C6-アルキレン”は、二価の“C1〜C6-アルキル”を意味する。アナロジーにより、“C2〜C6-アルケニレン”は二価の“C2〜C6-アルケニル”を意味し、“C2〜C6-アルキニレン”は二価の“C2〜C6-アルキニル”を意味する。
【0041】
“C1〜C6-ヘテロアルキル”は、炭素原子を1〜6個含んでいて、少なくとも1個の炭素原子がヘテロ原子(例えばO、S、N)で置換されているアルキル基を意味する。この用語の具体例は、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、アミノメチル、アミノエチル、アミノプロピル、メチルスルファニル、エチルスルファニルなどである。
【0042】
“アリール”は、6〜14個の炭素原子からなり、単一の環(例えばフェニル)または縮合した複数の環(例えばナフチル)を持つ不飽和芳香族炭素環基を意味する。好ましいアリールとしては、フェニル、ナフチル、フェナントレニルなどがある。
【0043】
“アリールC1〜C6-アルキル”は、アリール置換基を有するC1〜C6-アルキル基を意味する。具体的には、ベンジル、フェネチルなどである。
【0044】
“ヘテロアリール”は、単環式複素芳香族基、あるいは、2つまたは3つの環が縮合した環式複素芳香族基である。複素芳香族基の具体例としては、任意的に置換されているピリジル、ピロリル、フリル、チエニル、チオフェニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,3,4-トリアジニル、1,2,3-トリアジニル、ベンゾフリル、[2,3-ジヒドロ]ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、イソベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、3H-インドリル、ベンゾイミダゾリル、イミダゾ[1,2-α]ピリジル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノリジニル、キナゾリニル、フタラジニル、キノキサリニル、シンノリニル、ナフチリジニル、ピリド[3,4-β]ピリジル、ピリド[3,2-β]ピリジル、ピリド[4,3-β]ピリジル、キノリル、イソキノリル、テトラゾリル、5,6,7,8-テトラヒドロキノリル、5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、キサンテニル、ベンゾキノリルなどがある。
【0045】
“ヘテロアリールC1〜C6-アルキル”は、ヘテロアリール置換基を有するC1〜C6-アルキル基を意味し、例えば2-フリルメチル、2-チエニルメチル、2-(1H-インドル-3-イル)などがある。
【0046】
“C2〜C6-アルケニル”は、炭素原子を2〜6個含んでいて、アルケニル不飽和部位が少なくとも1〜2個あることが好ましいアルケニル基を意味する。好ましいアルケニル基としては、エテニル(-CH=CH2)、n-2-プロペニル(アリル、-CH2CH=CH2)などがある。
【0047】
“C2〜C6-アルキニル”は、炭素原子を2〜6個含んでいて、アルキニル不飽和部位が少なくとも1〜2個あることが好ましいアルキニル基を意味する。好ましいアルキニル基としては、エチニル(-C≡CH)、プロパルギル(-CH2C≡CH)などがある。
【0048】
“C3〜C8-シクロアルキル”は、3〜8個の炭素原子からなり、単一の環(例えばシクロヘキシル)または縮合した複数の環(例えばノルボルニル)を持つ飽和炭素環基を意味する。好ましいシクロアルキルとしては、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニルなどがある。
【0049】
“ヘテロシクロアルキル”は、すぐ上の定義において、3個までの炭素原子が、O、S、NR(ここにRは、水素またはメチルである)からなるグループの中から選択されたヘテロ原子で置換されているC3〜C8-シクロアルキル基を意味する。好ましいヘテロシクロアルキルとしては、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、1-メチルピペラジン、モルホリンなどがある。
【0050】
“シクロアルキルC1〜C6-アルキル”は、シクロアルキル置換基を含むC1〜C6-アルキル基を意味し、例えばシクロヘキシルメチル、シクロペンチルプロピルなどがある。
【0051】
“ヘテロシクロアルキルC1〜C6-アルキル”は、ヘテロシクロアルキル置換基を含むC1〜C6-アルキル基を意味し、例えば2-(1-ピロリジニル)エチル、4-モルホリニルメチル、(1-メチル-4-ピペリジニル)メチルなどがある。
【0052】
“アルコキシ”は、-O-R基を意味する。ただしRは、“C1〜C6-アルキル”、“アリール”、“ヘテロアリール”、“C1〜C6-アルキルアリール”、“C1〜C6-アルキルヘテロアリール”のいずれかである。好ましいアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、フェノキシなどがある。
【0053】
“ハロゲン”は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を意味する。
【0054】
“置換された、または置換されていない”:個々の置換基ごとに規定されている場合を除き、上記の基(例えば“アルキル”、“アルケニル”、“アルキニル”、“アリール”、“ヘテロアリール”、“シクロアルキル”、“ヘテロシクロアルキル”など)は、1〜5個の置換基で任意的に置換されていてもよく、その置換基の選択は、“C1〜C6-アルキル”、“C2〜C6-アルケニル”、“C2〜C6-アルキニル”、“シクロアルキル”、“ヘテロシクロアルキル”、“アリールC1〜C6-アルキル”、“ヘテロアリールC1〜C6-アルキル”、“シクロアルキルC1〜C6-アルキル”、“ヘテロシクロアルキルC1〜C6-アルキル”、“アミノ”、“アンモニウム”、“アシル”、“アシルオキシ”、“アシルアミノ”、“アミノカルボニル”、“アルコキシカルボニル”、“ウレイド”、“アリール”、“カルバメート”、“ヘテロアリール”、“スルフィニル”、“スルホニル”、“アルコキシ”、“スルファニル”、“ハロゲン”、“カルボキシ”、トリハロメチル、シアノ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロなどからなるグループの中からなされる。
【0055】
“薬理学的に許容可能な塩または複合体”は、以下に具体的に説明する一般式(I)の化合物の塩または複合体を意味する。そのような塩の具体例としては、一般式(I)の化合物を、有機塩基または無機塩基と反応させるか、有機の第一級、第二級、第三級アルキルアミンと反応させることによって形成される塩基添加塩がある。有機塩基または無機塩基としては、例えば、アルカリ金属(例えばナトリウム、カリウム、リチウム)とアルカリ土類金属(例えばカルシウム、マグネシウム)からなるグループの中から選択した金属カチオンの水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩がある。メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モルホリン、N-Me-D-グルタミン、N,N'-ビス(フェニルメチル)-1,2-エタンジアミン、トロメタミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N-メチルモルホリン、プロカイン、ピペリジン、ピペラジンなどに由来するアミン塩が、本発明の範囲に含まれると考えられる。
【0056】
無機酸(例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸など)を用いた酸添加塩から形成される塩や、有機酸(例えば酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、アスコルビン酸安息香酸、タンニン酸、パーム酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ポリ-ガラクツロン酸)用いて形成される塩も本発明に含まれる。
【0057】
“薬理学的に活性な誘導体”は、レシピエントに投与したとき、この明細書に開示した活性を直接または間接に示すことのできるあらゆる化合物を意味する。
【0058】
“エナンチオマー過剰”(ee)という用語は、以下の式で定義するように、純粋なエナンチオマー(RまたはS)とラセミ化合物(RS)の混合物においてエナンチオマーが過剰になっている割合を意味する。
ee = 100%×(|R - S|)/(R + S) = |%R - %S|
ただしRは、サンプル中のRエナンチオマーのモル数であり、Sは、サンプル中のSエナンチオマーのモル数であり、|R - S|は、RとSの差の絶対値である。本発明の化合物は、エナンチオマー選択ステップを含む合成によって“エナンチオマー過剰”の状態で得ること、または結晶化やキラルHPLCなどによる単離によって得ることができる。
【0059】
特に好ましい一実施態様として、Rエナンチオマーが少なくとも約50、70、80、90%エナンチオマー過剰になった本発明の化合物が挙げられる。Rエナンチオマーのeeが大きいほど好ましい。
【0060】
特に好ましい一実施態様として、Sエナンチオマーが少なくとも約50、70、80、90%エナンチオマー過剰になった本発明の化合物が挙げられる。Sエナンチオマーのeeが大きいほど好ましい。
【0061】
エナンチオマーが合成されない場合には、通常はラセミ生成物が得られるが、このラセミ生成物は、EP2アゴニストおよび/またはEP4アゴニストとして、本発明で示した活性も有する。
【0062】
“早期分娩”という用語、または“未熟分娩”という用語は、妊娠期間が正常に終了するよりも前に子宮から胎児が娩出されることを意味する。より詳細には、妊娠期間の37週よりも前に子宮頸管が成熟・拡張して分娩が始まることを意味する。膣の出血または膜の破裂と関係している場合も、していない場合もある。
【0063】
“月経困難症”という用語は、痛みを伴う月経を意味する。
【0064】
“帝王切開による分娩”という用語は、胎児を分娩するために腹壁と子宮壁を切開することを意味する。
【0065】
“受胎障害”という用語も、メスの哺乳動物、特に女性患者の疾患(特に不妊症)を意味する。この疾患には、排卵の開始を必要とする疾患が含まれる。このような疾患を抱える女性患者の具体例は、排卵を誘発する治療、または生殖補助技術(ART)療法を受けている女性である。
【0066】
“排卵誘発”(OI)という用語は、生体内で受精させるため、1個の卵母細胞(任意的に2個または3個の卵母細胞)を女性患者のファローピウス管の中に放出させる刺激を意味する。OIは、無排卵の患者(例えば、WHOのグループIの患者(低ゴナドトロピン性性腺機能低下症)と、WHOのグループIIの無排卵患者(視床下部-下垂体不全により性腺機能が停止または低下している)(多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)である患者も含まれる))で実施される。多胎妊娠を避けるため、通常は卵母細胞が1個だけ放出されるように刺激することが望ましい。典型的な排卵誘発法では、平均直径が約17mm以上の少なくとも1つの卵胞が(超音波によって)観察されるまで、FSH、またはFSHのアナログ、または内在性FSH産生刺激分子を患者に投与して卵胞の成長を数日間にわたって刺激する。この段階で排卵誘発剤(hCG)を与えて卵胞の破裂を促進し、1個の卵母細胞がファローピウス管の中に放出されるようにする(排卵の誘発)。
【0067】
“生殖補助技術”(ART)という用語には、例えば、体外受精(IVF)や細胞質内精子注入(ICSI)が含まれる。卵母細胞は、成熟した卵胞から破裂の直前に採取して品質を判断した後、精子と組み合わせることによって試験管内で受精させる。
【0068】
得られる胚は品質によって等級分けされ、通常は2個または3個を選択して子宮に着床させる(残った胚は将来に備えて低温で保管する)。妊娠の進行には多くの因子が関与しているため、成功するまでに何度も子宮に卵母細胞を入れねばならない患者が多い。そのためARTでは、OI法とは異なって複数の卵母細胞を採取し、妊娠が成功する確率をできるだけ大きくすることが望ましい。卵胞の成長を誘導できる薬剤(例えばFSH)を外から投与することによって排卵前の複数の卵胞の成長を制御することは、制御下の過卵巣誘起(COH)と呼ばれている。平均直径が16mmよりも大きい少なくとも3個の卵胞が存在している場合には、排卵が始まる(hCGボーラス)。卵母細胞は、通常、排卵前の卵胞から吸引によって採取する。
【0069】
本発明には、一般式(I)で表わされる化合物の幾何異性体、光学活性のある形態、エナンチオマー、ジアステレオマーのほか、これらの混合物、ラセミ化合物、薬理学的に許容可能な塩も含まれる。
【0070】
本発明の好ましい化合物は、一般式(I)の化合物において、B、R1、R2、R3、R4、R5、nが上に定義した通りであり;Aが、任意的に置換されているアリール(例えばフェニル)と、任意的に置換されているヘテロアリールからなるグループの中から選択された化合物である。
【0071】
一般式(I)の化合物におけるより好ましいAはフェニルである。
【0072】
一般式(I)の化合物における好ましいR1は、任意的に置換されているC1〜C6アルキル(例えばメチル、エチル、イソブチル)である。
【0073】
一般式(I)の化合物における好ましいR2はHである。
【0074】
一般式(I)の化合物における好ましいR3は、Hとメチルを含むグループ、またはHとメチルからなるグループの中から選択された基である。
【0075】
一般式(I)の化合物におけるより好ましいR3はHである。
【0076】
一般式(I)の化合物における好ましいnは2である。
【0077】
一般式(I)の化合物における好ましいBは、任意的に置換されているC1〜C6アルキレン(例えばエチレン)である。
【0078】
一般式(I)の化合物における好ましいR4はHである。
【0079】
一般式(I)の化合物における好ましいR5の選択は、H;任意的に置換されているC1〜C6アルキル(例えばメチル、ペンチル);任意的に置換されているアリールC1〜C6アルキル(例えば、任意的に置換されているフェニルメチルで、具体的には、フェニルメチル、3-シクロプロピルエチニルフェニルメチル、3-フルオロフェニルメチル、4-フルオロフェニルメチル、4-クロロフェニルメチル、3-クロロフェニルメチル、3-ヨードフェニルメチル、3-ブロモフェニルメチル、4-フェニルエチニルフェニルメチル、3-フェニルエチニルフェニルメチル、3-エチニルフェニルメチル、ビフェニル-3-イルメチル、3-トリフルオロメチルフェニルメチル);任意的に置換されているヘテロアリールC1〜C6アルキル(例えばチエニル-2-イル);任意的に置換されているC3〜C8シクロアルキル(例えばシクロヘキシル)からなるグループの中から行なう。
【0080】
本発明の特に好ましい一実施態様は、一般式(I)のヒドラジド誘導体において、Aがフェニルであり;Bがエチレンであり;R1が任意的に置換されているC1〜C6アルキル(例えばメチル、エチル、イソブチル)であり;R2とR4がHであり;R5が、Hと、任意的に置換されているC1〜C6アルキル(例えばメチル、ペンチル)を含むグループ、またはHと、任意的に置換されているC1〜C6アルキル(例えばメチル、ペンチル)からなるグループの中から選択されており;nが2であるヒドラジド誘導体である。
【0081】
本発明の別の好ましい一実施態様は、一般式(I)のヒドラジド誘導体において、Aがフェニルであり;Bがエチレンであり;R1が任意的に置換されているC1〜C6アルキル(例えばメチル、エチル、イソブチル)であり;R2とR4がHであり;R5が、任意的に置換されているアリールC1〜C6アルキル(例えば、任意的に置換されているフェニルメチルで、具体的には、フェニルメチル、3-シクロプロピルエチニルフェニルメチル、3-フルオロフェニルメチル、4-フルオロフェニルメチル、4-クロロフェニルメチル、3-クロロフェニルメチル、3-ヨードフェニルメチル、3-ブロモフェニルメチル、4-フェニルエチニルフェニルメチル、3-フェニルエチニルフェニルメチル、3-エチニルフェニルメチル、ビフェニル-3-イルメチル、3-トリフルオロメチルフェニルメチル)であるヒドラジド誘導体である。
【0082】
本発明の別の好ましい一実施態様は、Aがフェニルであり;Bがエチレンであり;R1が任意的に置換されているC1〜C6アルキル(例えばメチル、エチル、イソブチル)であり;R2とR4がHであり;R5が任意的に置換されているヘテロアリールC1〜C6アルキル(例えば任意的に置換されているチエニル-2-イル)であるヒドラジド誘導体である。
【0083】
本発明の別の好ましい一実施態様は、Aがフェニルであり;Bがエチレンであり;R1が任意的に置換されているC1〜C6アルキル(例えばメチル、エチル、イソブチル)であり;R2とR4がHであり;R5が任意的に置換されているC3〜C8シクロアルキル(例えばシクロヘキシル)であるヒドラジド誘導体である。
【0084】
本発明の好ましい一実施態様によると、本発明によるヒドラジド誘導体の選択は、
4-(2-{1-アセチル-2-[4-(3-クロロフェニル)-3-ヒドロキシブチル]ヒドラジノ}エチル)安息香酸;
4-(2-{1-アセチル-2-[3-ヒドロキシ-4-(3-ヨードフェニル)ブチル]ヒドラジノ}エチル)安息香酸;
4-(2-{1-アセチル-2-[4-(3-ブロモフェニル)-3-ヒドロキシブチル]ヒドラジノ}エチル)安息香酸;
4-(2-{1-アセチル-2-[4-(1,1'-ビフェニル-3-イル)-3-ヒドロキシブチル]ヒドラジノ}エチル)安息香酸;
4-[2-(1-アセチル-2-{3-ヒドロキシ-4-[3-(フェニルエチニル)フェニル]ブチル}ヒドラジノ)エチル]安息香酸;
4-{2-[1-アセチル-2-(3-ヒドロキシ-4-フェニルブチル)ヒドラジノ]エチル}安息香酸;
4-(2-{1-アセチル-2-[4-(4-クロロフェニル)-3-ヒドロキシブチル]ヒドラジノ}エチル)安息香酸;
4-(2-{1-アセチル-2-[4-(4-フルオロフェニル)-3-ヒドロキシブチル]ヒドラジノ}エチル)安息香酸;
4-(2-{1-アセチル-2-[4-(3-エチニルフェニル)-3-ヒドロキシブチル]ヒドラジノ}エチル)安息香酸;
4-(2-{1-アセチル-2-[4-(3-フルオロフェニル)-3-ヒドロキシブチル]ヒドラジノ}エチル)安息香酸;
4-[2-(1-アセチル-2-{3-ヒドロキシ-4-[4-(フェニルエチニル)フェニル]ブチル}ヒドラジノ)エチル]安息香酸;
4-{2-[1-アセチル-2-(3-ヒドロキシ-4-チエン-2-イルブチル)ヒドラジノ]エチル}安息香酸;
4-[2-(1-アセチル-2-{4-[3-(シクロプロピルエチニル)フェニル]-3-ヒドロキシブチルヒドラジノ)エチル]安息香酸;
4-[2-(2-{3-ヒドロキシ-4-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]ブチル}-1-イソブチリルヒドラジノ)エチル]安息香酸;
4-[2-(2-{3-ヒドロキシ-4-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]ブチル}-1-プロピオニルヒドラジノ)エチル]安息香酸;
4-[2-(1-アセチル-2-{3-ヒドロキシ-4-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]ブチル}ヒドラジノ)エチル]安息香酸;
4-{2-[1-アセチル-2-(3-シクロヘキシル-3-ヒドロキシプロピル)ヒドラジノ]エチル}安息香酸;ならびに
これら化合物のうちの任意のものの薬理学的に許容可能な塩からなるグループの中から行なう。
【0085】
本発明の別の好ましい一実施態様によると、本発明によるヒドラジド誘導体の選択は、
4-{2-[1-アセチル-2-(3-ヒドロキシオクチル)ヒドラジノ]エチル}安息香酸;
4-{2-[1-アセチル-2-(3-ヒドロキシオクチル)-2-メチルヒドラジノ]エチル}安息香酸;
4-{2-[1-アセチル-2-(3-ヒドロキシブチル)ヒドラジノ]エチル}安息香酸;ならびに
これら化合物のうちの任意のものの薬理学的に許容可能な塩からなるグループの中から行なう。
【0086】
一般式(I)の化合物は、医薬として使用することができる。
【0087】
さらに特定するならば、一般式(I)の化合物は、早期分娩;月経困難症の治療に用いるのに適しており;帝王切開前の分娩を停止させるのに適しており;呼吸器疾患(例えば喘息、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD));緑内障;高血圧;胃潰瘍;腎不全;骨粗鬆症その他の破壊性の骨疾患または骨障害;免疫不全疾患;性機能不全(例えば勃起不全);受胎障害(例えば排卵障害);炎症性疾患(例えば炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、関節炎、肺炎)などの治療に用いるのに適している。
【0088】
さらに別の側面として、本発明により、この明細書に記載した疾患または症状を治療または予防(予防的治療も含む)するための一般式(I)のヒドラジド誘導体を利用が提供される。例えば、早期分娩;月経困難症の治療または予防;帝王切開前の分娩;呼吸器疾患(例えば喘息、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD));緑内障;高血圧;胃潰瘍;腎不全;骨粗鬆症その他の破壊性の骨疾患または骨障害;免疫不全疾患;性機能不全(例えば勃起不全);受胎障害(例えば排卵障害);炎症性疾患(例えば炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、関節炎、肺炎)の治療または予防などに利用される。
【0089】
さらに別の側面として、本発明により、この明細書に記載した疾患または症状を治療または予防(予防的治療も含む)するための医薬の調製のための、一般式(I)のヒドラジド誘導体の使用が提供される。この医薬は、早期分娩;月経困難症の治療または予防;帝王切開前の分娩停止;呼吸器疾患(例えば喘息、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD));緑内障;高血圧;胃潰瘍;腎不全;骨粗鬆症その他の破壊性の骨疾患または骨障害;免疫不全疾患;性機能不全(例えば勃起不全);受胎障害(例えば排卵障害);炎症性疾患(例えば炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、関節炎、肺炎)の治療または予防などに利用される。
【0090】
さらに別の側面として、本発明により、早期分娩;月経困難症を予防および/または治療する方法;帝王切開になる前の分娩を停止する方法;呼吸器疾患(例えば喘息、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD));緑内障;高血圧;胃潰瘍;腎不全;骨粗鬆症その他の破壊性の骨疾患または骨障害;免疫不全疾患;性機能不全(例えば勃起不全);受胎障害(例えば排卵障害);炎症性疾患(例えば炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、関節炎、肺炎)を治療または予防する方法が提供される。本発明の治療法は、一般式(I)のヒドラジド誘導体を、それを必要としている患者に投与する操作を含んでいる。
【0091】
本発明の好ましい方法には、この明細書に記載した症状になりやすいか、そのような症状を抱えている対象(例えば哺乳動物、特にヒト)を特定および/または選択した後、その特定して選択した対象に、本発明による1種類以上の化合物を投与する方法が含まれる。その対象が特になりやすいか抱えている症状は、早期分娩;月経困難症;帝王切開前の分娩;呼吸器疾患(例えば喘息、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD));緑内障;高血圧;胃潰瘍;腎不全;骨粗鬆症その他の破壊性の骨疾患または骨障害;免疫不全疾患;性機能不全(例えば勃起不全);受胎障害(例えば排卵障害);炎症性疾患(例えば炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、関節炎、肺炎)である。
【0092】
本発明により、一般式(I)で表わされる1種類以上のヒドラジド誘導体化合物を、その化合物に適した基剤とともに含む医薬組成物も提供される。
【0093】
単独で使用する一般式(I)の化合物、または医薬組成物の形態になった一般式(I)の化合物は、EPの機能を変化させるのに適しているため、特にEP受容体による疾患の治療および/または予防が可能になる。変化には、特に哺乳動物(特にヒト)のEP2受容体および/またはEP4受容体を機能させることにより、EPを機能させることが含まれることが好ましい。
【0094】
プロスタグランジンのEP2受容体および/またはEP4受容体の好ましいアゴニストは、プロスタグランジンのEP2受容体および/またはEP4受容体の結合アッセイにおいて活性を示す。その具体例は、後出の実施例22と24に示したプロトコルに示してある。
【0095】
プロスタグランジンのEP2受容体および/またはEP4受容体の好ましい他のアゴニストは、EP4受容体を過剰発現する細胞系に関するcAMPアッセイにおいて活性を示す。その具体例は、後出の実施例23と25に示したプロトコルに示してある。
【0096】
本発明の好ましい他の方法は、一般式(I)の化合物を、不妊症、受胎障害(例えば女性の不妊症、排卵障害)、喘息、骨疾患、炎症性疾患、性機能不全(例えば勃起不全)の中から選択した疾患になりやすい対象、またはこのような疾患を抱えている対象に投与する操作を含む方法である。
【0097】
本発明の化合物は、単独で、またはさらに別の医薬品(例えば別のEPモジュレータや、排卵誘発またはART療法で用いられる他の任意の物質(例えば、FSH、LH、FSHとLHの混合物、hCG))と組み合わせて使用することができる。
【0098】
本発明のヒドラジド誘導体は、医薬として使用する場合には、一般に、医薬組成物の形態で投与される。したがって、一般式(I)の化合物と、薬理学的に許容可能な基剤、希釈剤、賦形剤のいずれかとを含む医薬組成物も、本発明の範囲に含まれる。当業者であれば、医薬組成物を調製するのに適したそのような多彩な基剤、希釈剤、賦形剤をすべて知っているであろう。
【0099】
本発明の化合物は、従来から用いられているアジュバント、基剤、希釈剤、賦形剤と組み合わせて医薬組成物やその単位用量形態にすることができる。このような形態にしたものはすべて、固体(例えば錠剤、充填したカプセル)として、または液体(例えば溶液、懸濁液、エマルジョン、エリキシル、これらを充填したカプセル)として経口で使用することができる。殺菌した注射溶液の形態にすると、非経口(その中には皮下投与が含まれる)で用いることができる。このような医薬組成物とその単位用量形態は、従来と同じ割合の諸成分を含むことができ、それに追加の活性化合物または活性成分が含まれている場合と含まれていない場合がある。このような単位用量形態は、予定している毎日の投与量の範囲に対応した適切な任意の活性成分を有効量含むことができる。
【0100】
本発明のアミノ誘導体は、医薬として使用する場合には、一般に、医薬組成物の形態で投与される。そのような組成物は、医薬技術でよく知られている方法で調製することができ、少なくとも1種類に活性化合物を含んでいる。一般に、本発明の化合物は、薬理学的に有効な量が投与される。化合物の実際の投与量は、一般に、医師が、関係する状況(例えば治療する疾患、選択した投与経路、実際に投与する化合物、年齢、体重、個々の患者の反応、患者の症状の程度など)を考慮して決定する。
【0101】
本発明の医薬組成物は、さまざまな経路で投与することができる。例えば、経口、直腸、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、鼻腔内などの経路がある。化合物は、予定している投与経路が何であるかに応じ、注射組成物または経口組成物にすることが好ましい。経口投与用の組成物は、溶液または懸濁液の形態、または粉末の形態にすることができる。しかしより一般的なのは、組成物を単位用量の形態にして正確な投与量が簡単にわかるようにすることである。“単位用量の形態”という表現は、ヒト患者や他の哺乳動物にとって単位用量として適した物理的に分かれた単位を意味する。それぞれの単位には、望む治療効果が生じるように計算した所定量の活性な材料と、適切な医薬用賦形剤とが含まれている。単位用量の代表的な形態は、液体組成物の場合には、その液体組成物をあらかじめ充填または計量したアンプルまたは注射器であり、固体組成物の場合には、ピル、錠剤、カプセルである。このような組成物では、アミノ化合物は一般に少ないほうの成分(約0.1〜約50重量%、好ましくは約1〜約40重量%)であり、残りは、望む投与形態にするのに役立つさまざまなビヒクル、基剤、処理用助剤である。
【0102】
経口投与に適した液体形態は、適切な水性ビヒクルまたは非水性ビヒクルとともに、緩衝液、懸濁剤、分散剤、着色剤、香味などを含むことができる。固体形態は、例えば、以下に示す成分、またはそれと性質が似た化合物のうちの任意のものを含むことができる。具体的には、結合剤(例えば微結晶セルロース、トラガカントゴム、ゼラチン);賦形剤(例えばデンプンやラクトース);分解剤(例えばアルギン酸、プリモゲル、トウモロコシのデンプン);潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム);流動促進剤(コロイド状二酸化ケイ素);甘味剤(例えばスクロース、サッカリン);着香剤(例えばペパーミント、サリチル酸メチル、オレンジ・フレーバー)などである。
【0103】
注射組成物は、一般に、殺菌した注射用生理食塩水、またはリン酸緩衝化生理食塩水、または従来技術で知られている注射可能な他の基剤をベースとしている。すでに説明したように、このような組成物中の一般式(I)のヒドラジド誘導体は、一般に少量の成分であって0.05〜10重量%の範囲であることがしばしばあり、残りは注射用の基剤などである。
【0104】
経口投与用の組成物または注射用組成物のための上記の成分は、単に代表的なものを示しただけである。さらに別の材料や処理法などは、『レミントンの薬理科学』、第20版、2000年、メルク出版社、イーストン、ペンシルヴェニア州の第8部に記載されている。
【0105】
本発明の化合物は、徐放形態として投与すること、または薬剤徐放送達系から投与することもできる。代表的な徐放材料についての説明も、『レミントンの薬理科学』、第20版、2000年、メルク出版社、イーストン、ペンシルヴェニア州に見いだすことができる。
【0106】
さらに別の一実施態様は、一般式(I)のヒドラジドを調製するため、還元剤(例えばNaCNBH3を溶かしたMeOHであることが好ましい)の存在下で、一般式(II)のヒドラジドを、一般式(III)の化合物を用いて還元的アミノ化するステップを含む方法である。
【0107】
本発明のさらに別の一実施態様は、一般式(I)のヒドラジドを調製するため、還元剤(例えばNaCNBH3を溶かしたMeOHであることが好ましい)の存在下で、一般式(II)のヒドラジドを、一般式(III)の化合物を用いて還元的アミノ化するステップを含む方法である。
【0108】
本発明の別の一実施態様は、一般式(I)のヒドラジドを調製するため、水素化物の存在下で(好ましくはホウ水素化ナトリウムとCeCl3の組み合わせを用いて)、一般式(IV)の化合物を還元するステップを含む方法である。
【0109】
本発明の別の一実施態様は、一般式(I)のヒドラジドを調製するため、水素化物の存在下で(好ましくはホウ水素化ナトリウムとCeCl3の組み合わせを用いて)、一般式(IV)の化合物を還元するステップと、例えばNEt3を含むMeOHの存在下で、マイケル付加を通じて一般式(V)の化合物を一般式(II)の化合物に付加するステップを含む方法である。
【0110】
本発明の別の好ましい一実施態様は、一般式(I)のヒドラジドを調製するため、R1がHではない状態で得られた一般式(I)の化合物を、例えばNaOHを含むMeOH/THF/水の存在下で鹸化し、R2がHである一般式(I)の化合物にするステップをさらに含む方法である。
【0111】
本発明のさらに好ましい一実施態様は、Aがフェニルである一般式(I)のヒドラジドを調製する方法である。
【0112】
本発明の別の好ましい一実施態様により、一般式(II)の化合物において、Aが、任意的に置換されているアリール(例えばフェニル)であり;R1、R2、R3が上に定義した通りである化合物が提供される。
【0113】
本発明の別の好ましい一実施態様により、一般式(IV)の化合物において、Aが、任意的に置換されているアリール(例えばフェニル)であり;B、R1、R2、R3、R5が上に定義した通りである化合物が提供される。
【0114】
本発明のさらに好ましい一実施態様により、一般式(IV)の化合物において、Aが、任意的に置換されているアリール(例えばフェニル)であり;Bがエチレンであり;R1、R2、R3、R5が上に定義した通りである化合物が提供される。
【0115】
本発明で例示したヒドラジド誘導体は、容易に入手できる出発材料から、またはすでに説明した出発材料から、以下の一般的な方法と手続きを利用して調製することができる。典型的な実験条件または好ましい実験条件(すなわち反応温度、時間、試薬のモル数、溶媒など)が与えられている場合、特に断わらない限り、他の実験条件も利用できることに注意されたい。最適な反応条件は、使用する具体的な反応物質または溶媒が何であるかによって異なる可能性があるが、当業者であれば、そのような条件は、定型的な最適化手続きによって決定することができる。
【0116】
本発明の化合物の合成
【0117】
新規なヒドラジド誘導体は、容易に入手できる出発材料から調製することができる。一般式(I)で表わされる化合物の合成経路の具体例を以下に示す。
【0118】
略号
【0119】
以下の略号は、それぞれ以下のように定義される。
g(グラム)、hr(時間)、i.p.(腹腔内)、i.v.(静脈内)、mg(ミリグラム)、μg(マイクログラム)、min(分)、mm(ミリメートル)、mmol(ミリモル)、mM(ミリモル)、p.o.(経口的に)、ml(ミリリットル)、μl(マイクロリットル)、MHz(メガヘルツ)、ACN(アセトニトリル)、BAIB([ビス(アセトキシ)ヨード]ベンゼン)、BSA(ウシ血清アルブミン)、cAMP(サイクリック・アデノシン一リン酸)、CMC(カルボキシメチルセルロース)、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、DIEA(ジイソプロピルエチルアミン)、DCM(ジクロロメタン)、DMAP(4-ジメチルアミノ-ピリジン)、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、DSS(デキストラン硫酸ナトリウム)、DXA(二重エネルギーX腺吸収測定)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、EP2(プロスタグランジンE2)、EP4(プロスタグランジンE4)、EtOAc(酢酸エチル)、FBS(ウシ胎仔血清)、hCG(ヒト絨毛性ゴナドロピン)、IT(気管内)、MEM(ダルベッコ改変イーグル培地)、N.A.(測定できず)、NMR(核磁気共鳴)、PBS(リン酸緩衝化生理食塩水)、NP3S(N-メチル-ピロリジノンを5%/PEG400を30%/PEG200を25%/プロピレングリコールを25%含む生理食塩水)、PGE1(プロスタグランジンE1)、PGE2(プロスタグランジンE2)、PEG(ポリエチレングリコール)、PMSG(妊婦の血清ゴナドロピン)、PSS(生理食塩水)、PVT(ポリビニルトルエン)、RP-HPLC(逆相高性能液体クロマトグラフィ)、RT(室温)、SC(皮下)、SPA(シンチレーション近接アッセイ)、TBAF(フッ化テトラブチルアンモニウム)、TBDMS(t-ブチルジメチルシロキシ)、TBTU(O-ベンゾトリアゾリル-N,N,N',N'-テトラメチル-ウロニウム-テトラフルオロ-ボレート)、TEMPO(2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ)、TFA(トリフルオロ酢酸)、THF(テトラヒドロフラン)。
【0120】
一般的なプロトコル
【0121】
一般式(xii)のヒドラジド誘導体(すなわち一般式(I)においてR2がHであるもの)を、以下のスキーム1に大まかに示したようにして合成した。
【0122】
スキーム1:
【化7】

【0123】
カルバジン酸t-ブチル(i)を、適切な塩基(例えば炭酸水素ナトリウム)の存在下で、適切なハロゲン化アルキル(ii)を用いてアルキル化し、適切な塩化アシル(iv)で処理して中間体(v)にした。次に、適切な塩基(例えばNaH)の存在下で適切なハロゲン化物誘導体を用いると、このカルバジン酸塩中間体をアルキル化/アシル化することができた。カルバジン酸t-ブチル基の除去は、酸性処理によって実現できた。得られたヒドラジド中間体(vi)に適切なビニルケトン(vii)をマイケル添加すると、ケトン(viii)が得られた。ケトン基の還元を水素化物(例えばホウ水素化ナトリウムと塩化セシウム(iii)の組み合わせ)を用いて行なうと、かなり高収率でアルコール(xi)が得られた。ヒドラジド中間体(vi)のアルキル化は、一般的な臭化アルキル(ix)を用いて実施することができ、その結果として中間体(x)が得られた。次に、TBAFその他の適切な試薬を用いて処理することによって遊離したアルコールが得られ、その結果として望む中間体(xi)が得られた。NaOHを含むメタノール/THF/水を用いてエステル基を鹸化すると、最終生成物(xii)が高収率で得られた。
【0124】
これら誘導体のエナンチオ選択的合成を以下のスキーム2に示す。
【0125】
スキーム2:
【化8】

【0126】
一般式(I)(ただしR2とR4はHであり、BはCH2CH2である)で表わされる誘導体、すなわち一般式(xx)の誘導体のエナンチオ選択的合成を、上記のスキーム2に示してある。市販されている一酸化ブタジエンをグリニャール試薬(xiii)(市販されているものを入手するか、Meltzerら(1993年)が記載しているようにしてエーテル中で臭化物とMgから得る)と反応させることにより、アリルアルコール(xiv)に変換した。次に、D-酒石酸(-)-ジエチルを用いてそのアリルアルコール中間体をシャープレスのエポキシ化条件(Sharpless他、1987年)にすると、エポキシド(xv)が得られた。還元Al(Sharpless他、1982年)を用いてそのエポキシドを位置選択的に開環させると、ジオール誘導体(xvi)が高収率で得られた。この第一級アルコールをTEMPOとBAIBを用いて選択的に酸化すると(Piancatelli他、1997年)、アルデヒド中間体(xvii)が得られた。NaCNBH3を含むMeOHを用いてこのアルデヒドとヒドラジド中間体(vi)の間で還元的アミノ化反応をさせると、アルコール中間体(xix)が得られた。ヒドラジド中間体(vi)のアルキル化は、1,3-ジオール誘導体(xvi)と塩化パラ-トルエンスルホニルから得られるトシレート中間体(xviii)を用いて実現することもできよう。最後に、エステル中間体(xix)の保護基を外すことにより、望む化合物(xx)、すなわち一般式(I)においてR2とR4がHであり、BがCH2CH2である誘導体が、高収率かつ優れた光学純度で得られた。
【0127】
本発明を以下の実施例によって説明するが、本発明がこれら実施例に限定されることは想定していない。
【0128】
本発明の化合物は、上記のさまざまな合成経路に従って合成することができる。以下の実施例では、一般式(I)の化合物を合成する好ましい方法と、その生物活性を測定する方法を示す。
【実施例1】
【0129】
4-{2-[1-アセチル-2-(3-ヒドロキシブチル)ヒドラジノ]エチル}安息香酸
【0130】
【化9】

【0131】
中間体1.1:4-(2-ブロモエチル)安息香酸メチル
【0132】
プファルツ-バウアー社から市販されているp-ブロモエチル安息香酸(4.58g、0.02モル)をDCM(40ml)とMeOH(20ml)に溶かした溶液に、室温にてトリメチルシリルジアゾメタン(11ml、ヘキサン中に2.0M)を一滴ずつ添加した。この混合物を2時間にわたって撹拌し、溶媒を除去すると、中間体1.1(5.0g、収率100%)が無色の油として得られた。この油をさらに精製することなく次のステップで使用した。
【0133】
中間体1.2:2-{2-[4-(メトキシカルボニル)フェニル]エチル}ヒドラジンカルボン酸t-ブチル
【0134】
中間体1.1(3.5g、14.4ミリモル)とアクロス社から市販されているカルバジン酸t-ブチル(2.09g、17.3ミリモル)をアセトニトリル(75ml)に溶かした溶液に、炭酸水素ナトリウム(1.45g、17.3ミリモル)と触媒量のヨウ化ナトリウムを添加し、この反応混合物を18時間にわたって還流させた。次に塩を濾過し、溶媒を除去した。得られた溶液をEtOAcで希釈し、ブラインで洗浄した。その有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮し、溶離液としてEtOAc/DCMを用いたフラッシュ・クロマトグラフィによって精製すると、中間体1.2(2.34g、収率56%)が白色の固形物として得られた。Rf=0.5(EtOAc/DCM=1:2);1H NMR (CDCl3)δ1.45 (s, 9H)、2.82 (t, J=7.32Hz, 2H)、3.13 (t, J=7.32Hz, 2H)、3.90 (s, 3H)、7.27 (d, J=8.04Hz, 2H)、7.95 (d, J=8.04Hz, 2H)。
【0135】
中間体1.3:2-アセチル-2-{2-[4-(メトキシカルボニル)フェニル]エチル}ヒドラジンカルボン酸t-ブチル
【0136】
中間体1.2(200mg、0.68ミリモル)をピリジン(10ml)に溶かした溶液に無水酢酸(2.0ml)を添加し、この混合物を室温にて18時間にわたって撹拌した。ピリジンを真空中で除去し、粗生成物をEtOAc(50ml)で希釈し、2%HCl溶液(25ml)とブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。次に、得られた有機溶液を真空中で濃縮すると、中間体1.3(273mg、100%)が淡黄色の油として得られた。この油をさらに精製することなく次のステップで使用した。1H NMR (CDCl3)δ1.45 (s, 9H)、2.05 (s, 3H)、2.82 (m, 2H)、3.13 (m, 2H)、3.90 (s, 3H)、7.27 (d, J=8.04Hz, 2H)、7.95 (d, J=8.04Hz, 2H)。
【0137】
中間体1.4:4-[2-(1-アセチルヒドラジノ)エチル]安息香酸メチル
【0138】
粗中間体1.3(273mg、0.81ミリモル)をMeOH(2.0ml)に溶かした溶液にHCl(6.0ml、ジオキサン中に4MのHCl)を添加し、この混合物を室温にて1時間にわたって撹拌した。次に溶媒を真空中で除去すると、表題の化合物(248mg)が無色の油として得られた。この油をさらに精製することなく次のステップで使用した。M/S (m/z):237 (M+1)。
【0139】
中間体1.5:4-{2-[1-アセチル-2-(3-オキソブチル)ヒドラジノ]エチル}安息香酸メチル
【0140】
中間体1.4(248mg、1.06ミリモル)をMeOH(10ml)に溶かした溶液に、トリエチルアミン(557μl、4.2ミリモル)とメチルビニルケトン(332μl、4.2ミリモル)を添加し、この反応混合物を3時間にわたって還流させた。次に溶媒を真空中で除去し、粗生成物をEtOAcで希釈した。得られた有機溶液をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮すると、中間体1.5(300mg)が無色の油として得られた。この油をさらに精製することなく次のステップで使用した。M/S (m/z):307 (M+1)。
【0141】
中間体1.6:4-{2-[1-アセチル-2-(3-ヒドロキシブチル)ヒドラジノ]エチル}安息香酸メチル
【0142】
粗中間体1.5(300mg、1.06ミリモル)をMeOH(6ml)と水(10ml)に溶かした溶液に、-15℃で、CeCl3・7H2O(394mg、1.06ミリモル)を添加した後、NaBH4(60mg、1.59ミリモル)を添加した。15分後、溶媒を除去し、粗生成物をEtOAcで希釈した。得られた有機溶液をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮すると、中間体1.6が得られた。この中間体をさらに精製することなく次のステップで使用した。M/S (m/z):309 (M+1)。
【0143】
実施例1:4-{2-[1-アセチル-2-(3-ヒドロキシブチル)ヒドラジノ]エチル}安息香酸
【0144】
中間体1.6(300mg)をTHF(3ml)とMeOH(3ml)と水(1ml)に溶かした溶液にNaOH(200mg、5ミリモル)を添加し、得られた溶液をRTで5時間にわたって撹拌した。溶媒を真空中で除去し、粗混合物を、ACN/H2O(0.1%TFA)を用いたRP-HPLCによって精製すると、化合物(1)が得られた。1H NMR (CD3OD)δ1.16 (d, J=6.24Hz, 3H)、1.53 (m, 1H)、2.12 (s, 3H)、2.82 (m, 2H)、2.95 (m, 2H)、3.13 (m, 2H)、3.78 (m, 2H)、3.82 (m, 1H)、7.35 (d, J=8.04Hz, 2H)、7.95 (d, J=8.04Hz, 2H);M/S (m/z):395.2 (M+1)。
【実施例2】
【0145】
4-{2-[1-アセチル-2-(3-ヒドロキシオクチル)ヒドラジノ]エチル}安息香酸
【0146】
【化10】

【0147】
中間体2.1:4-{2-[1-アセチル-2-(3-オキソオクチル)ヒドラジノ]エチル}安息香酸メチル
【0148】
中間体1.4(208mg、0.88ミリモル)をMeOH(10ml)に溶かした溶液に、トリエチルアミン(488μl、3.52ミリモル)と1-オクテン-3-オン(111mg、0.88ミリモル)を添加し、得られた溶液を4時間にわたって還流させた。次に溶媒を真空中で除去し、粗生成物をEtOAcで希釈した。得られた有機溶液をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮すると、中間体2.1(200mg)が無色の油として得られた。この油をさらに精製することなく次のステップで使用した。M/S (m/z):363 (M+1)。
【0149】
中間体2.2:4-{2-[1-アセチル-2-(3-ヒドロキシオクチル)ヒドラジノ]エチル}安息香酸メチル
【0150】
粗中間体2.1(200mg、0.88ミリモル)をMeOH(6ml)と水(10ml)に溶かした溶液に、-15℃で、CeCl3・7H2O(328mg、0.88ミリモル)を添加した後、NaBH4(50mg、1.32ミリモル)を添加した。15分後、溶媒を除去し、粗生成物をEtOAcで希釈した。得られた有機溶液をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮すると、中間体2.2が得られた。この中間体をさらに精製することなく次のステップで使用した。M/S (m/z):364 (M+1)。
【0151】
実施例2:4-{2-[1-アセチル-2-(3-ヒドロキシオクチル)ヒドラジノ]エチル}安息香酸
【0152】
中間体2.2(200mg)をTHF(3ml)とMeOH(3ml)と水(1ml)に溶かした溶液にNaOH(200mg、5ミリモル)を添加し、得られた溶液をRTで5時間にわたって撹拌した。溶媒を真空中で除去し、粗混合物を、ACN/H2O(0.1%TFA)を用いたRP-HPLCによって精製すると、化合物(2)が得られた。1H NMR (CD3OD)δ0.90 (m, 3H)、1.32〜1.45 (m, 10H)、1.53 (m, 1H)、2.12 (s, 3H)、2.82 (m, 2H)、2.95 (m, 2H)、3.13 (m, 2H)、3.60 (m, 1H)、3.78 (m, 2H)、7.35 (d, J=8.04Hz, 2H)、7.95 (d, J=8.04Hz, 2H);M/S (m/z):351.3 (M+1)。
【実施例3】
【0153】
4-{2-[1-アセチル-2-(3-ヒドロキシオクチル)-2-メチルヒドラジノ]エチル}安息香酸
【0154】
【化11】

【0155】
中間体3.1:2-アセチル-2-{2-[4-(メトキシカルボニル)フェニル]エチル}-1-メチルヒドラジンカルボン酸t-ブチル
【0156】
中間体1.3(800mg、2.38ミリモル)をDMF(10ml)に溶かした溶液に、水素化ナトリウム(66mg、2.85ミリモル)とヨウ化メチル(177μl、2.85ミリモル)を添加し、得られた溶液を室温にて2時間にわたって撹拌した。次に、DMFを真空中で除去し、粗生成物をEtOAcで希釈し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮すると、表題の化合物3.1が油として得られた。この油をさらに精製することなく次のステップで使用した。1H NMR (CD3OD)δ1.45 (s, 9H)、2.05 (s, 3H)、2.82 (m, 2H)、2.90 (s, 3H)、3.80 (m, 2H)、3.90 (s, 3H)、7.27 (d, J=8.04Hz, 2H)、7.95 (d, J=8.04Hz, 2H);M/S (m/z):372 (M+Na)。
【0157】
中間体3.2:4-[2-(1-アセチル-2-メチルヒドラジノ)エチル]安息香酸メチル
【0158】
中間体3.1(560mg、1.6ミリモル)をMeOH(2.0ml)に溶かした溶液にHCl(6.0ml、ジオキサン中に4MのHCl)を添加し、この混合物を室温にて1時間にわたって撹拌した。次に溶媒を真空中で除去すると、中間体3.2(400mg)が無色の油として得られた。この油をさらに精製することなく次のステップで使用した。M/S (m/z):251 (M+1)。
【0159】
中間体3.3:4-{2-[1-アセチル-2-メチル-2-(3-オキソオクチル)ヒドラジノ]エチル}安息香酸メチル
【0160】
中間体3.2(400mg、1.6ミリモル)をイソプロピルアルコール(10ml)に溶かした溶液に、トリエチルアミン(2.2ml、16ミリモル)と1-オクテン-3-オン(1.0g、8ミリモル)を添加し、得られた溶液を1時間にわたって還流させた。次に溶媒を真空中で除去し、粗生成物をEtOAcで希釈した。得られた有機溶液をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮すると、中間体3.3が無色の油として得られた。この油をさらに精製することなく次のステップで使用した。M/S (m/z):377.1 (M+1)。
【0161】
中間体3.4:4-[2-(1-アセチル-2-(3-ヒドロキシオクチル)-2-メチルヒドラジノ]エチル}安息香酸メチル
【0162】
中間体3.3をMeOH(5ml)と水(5ml)に溶かした溶液に、-15℃で、CeCl3・7H2O(596mg、1.6ミリモル)を添加した後、NaBH4(93mg、2.45ミリモル)を添加した。15分後、溶媒を除去し、粗生成物をEtOAcで希釈した。得られた有機溶液をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮すると、表題の化合物3.4が得られた。この化合物をさらに精製することなく次のステップで使用した。M/S (m/z):379 (M+1)。
【0163】
実施例3:4-{2-[1-アセチル-2-(3-ヒドロキシオクチル)-2-メチルヒドラジノ]エチル}安息香酸
【0164】
中間体3.4(200mg)をTHF(3ml)とMeOH(3ml)と水(1ml)に溶かした溶液にNaOH(200mg、5ミリモル)を添加し、得られた溶液をRTで5時間にわたって撹拌した。溶媒を真空中で除去し、粗混合物を、ACN/H2O(0.1%TFA)を用いたRP-HPLCによって精製すると、化合物(3)が得られた。1H NMR (CD3OD)δ0.90 (m, 3H)、1.32〜1.45 (m, 10H)、2.15 (s, 3H)、2.48 (d, 3H)、2.82 (m, 2H)、2.95 (m, 2H)、3.13 (m, 2H)、3.64 (m, 1H)、7.35 (d, J=8.04Hz, 2H)、7.95 (d, J=8.04Hz, 2H);M/S (m/z):365.3 (M+1)。
【実施例4】
【0165】
4-[2-(1-アセチル-2-{3-ヒドロキシ-4-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]ブチル}ヒドラジノ)エチル]安息香酸
【0166】
【化12】

【0167】
中間体4.1:N-メトキシ-N-メチル-2-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]アセトアミド
【0168】
3-(トリフルオロメチル)フェニル酢酸(2.04g、10ミリモル)とN,O-ジメチルヒドロキシルアミンヒドロクロリド(1.07g、11ミリモル)をDMFに溶かした溶液に、HATU(3.8g、10ミリモル)とDIEA(6.99ml、40ミリモル)を添加し、得られた黄色の溶液をRTで一晩にわたって撹拌した。次に、粗溶液をEtOAcで抽出し、NaHCO3溶液(5%)とHCl溶液(1:9v/v)とブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮すると、望む化合物4.1が無色の油として2.66g得られた。この油をさらに精製することなく次のステップで使用した。Rf=0.5(EtOAc/ヘキサン=1:1)。M/S (m/z):248.1 (M+H)。1H NMR (CDCl3)δ3.2 (s, 3H)、3.65 (s, 3H)、3.80 (s, 2H)、7.40〜7.55 (m, 4H)。
【0169】
中間体4.2:1-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]ブト-3-エン-2-オン
【0170】
中間体4.1(1.0g、4ミリモル)を0℃でTHFに溶かした溶液に臭化ビニルマグネシウム(THF中に1.0M、8ml、8.0ミリモル)を一滴ずつ添加し、得られた黄色の溶液を0℃にて20分間にわたって撹拌した。その後、飽和NH4Cl溶液を用いて反応を停止させた。次に、粗混合物をEtOAcで抽出し、ブラインで洗浄し、Na2SO4を用いて乾燥させ、濃縮すると、望む生成物4.2が黄色い油として2.0g得られた。この油をさらに精製することなく次のステップで使用した。Rf=0.7(EtOAc/ヘキサン=1:3)。
【0171】
実施例4の化合物:4-[2-(1-アセチル-2-{3-ヒドロキシ-4-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]ブチル}ヒドラジノ)エチル]安息香酸
【0172】
実施例1に記載した手続きを利用し、実施例4の表題の化合物(4)を中間体1.4と中間体4.2から調製した。M/S (m/z):439.4 (M+H)。1H NMR (MeOD)δ1.45〜1.60 (m, 2H)、2.20 (s, 3H)、2.80〜3.13 (m, 6H)、3.75 (m, 2H)、3.9〜4.0 (m, 1H)、7.30 (d, J=8.04Hz, 2H)、7.45〜7.55 (m, 4H)、7.95 (d, J=8.04Hz, 2H)。
【実施例5】
【0173】
4-[2-(2-{3-ヒドロキシ-4-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]ブチル}-1-プロピオニルヒドラジノ)エチル]安息香酸
【0174】
【化13】

【0175】
中間体5.1:2-{2-[4-(メトキシカルボニル)フェニル]エチル}-2-プロピオニルヒドラジンカルボン酸t-ブチル
【0176】
中間体1.2(564mg、1.92ミリモル)をピリジン(10ml)に溶かした溶液に塩化プロピオニル(168μl、1.92ミリモル)を添加し、この反応混合物を18時間にわたって撹拌した。ピリジンを真空中で除去し、EtOAcで希釈し、ブラインで洗浄した。得られた有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮し、ヘキサン/EtOAc(2:1)を用いたフラッシュ・クロマトグラフィで精製すると、表題の化合物(500mg、収率74%)がオレンジ色の油として得られた。Rf=0.85(EtOAc/ヘキサン=1:1);1H NMR (CDCl3)δ1.04 (t, J=7.32Hz, 3H)、1.41 (s, 9H)、2.29 (m, 2H)、2.90 (m, 4H)、3.85 (s, 3H)、6.97 (s, 1H)、7.23 (d, J=8.04Hz, 2H)、7.90 (d, J=8.04Hz, 2H);M/S (m/z):373.2 (M+Na)。
【0177】
中間体5.2:4-[2-(1-プロピオニルヒドラジノ)エチル]安息香酸メチル
【0178】
粗中間体5.1(500mg、1.42ミリモル)をMeOH(2ml)に溶かした溶液にHCl(6.0ml、ジオキサン中に4MのHCl)を添加し、この混合物を室温にて1時間にわたって撹拌した。次に溶媒を真空中で除去すると、表題の化合物5.2(450mg)が無色の油として得られた。この油をさらに精製することなく次のステップで使用した。M/S (m/z):251.4 (M+1)。
【0179】
中間体5.3:4-[2-(2-{3-オキソ-4-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]ブチル}-1-プロピオニルヒドラジノ)エチル]安息香酸メチル
【0180】
中間体5.2(440mg、1.42ミリモル)をEtOH(10ml)に溶かした溶液にトリエチルアミン(562μl、4ミリモル)と中間体4.2(1.0g、4ミリモル)を添加し、この反応混合物を3時間にわたって還流させた。次に溶媒を真空中で除去し、粗生成物をEtOAcで希釈した。得られた有機溶液をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮し、EtOAc/ヘキサン(1:1)を用いたフラッシュ・クロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物5.3(232mg、収率35%)が無色の油として得られた;Rf=0.2(EtOAc/ヘキサン=1:1);M/S (m/z):487.3 (M+Na)。
【0181】
中間体5.4:4-[2-(2-{3-ヒドロキシ-4-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]ブチル}-1-プロピオニルヒドラジノ)エチル]安息香酸メチル
【0182】
中間体5.3(232mg、0.5ミリモル)をMeOH(5ml)と水(2ml)に溶かした溶液に、0℃で、CeCl3・7H2O(186mg、0.5ミリモル)を添加した後、NaBH4(28mg、0.75ミリモル)を添加した。15分後、溶媒を除去し、粗生成物をEtOAcで希釈した。得られた有機溶液をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮すると、表題の化合物5.4(238mg)が得られた。この化合物をそれ以上は精製せずに次のステップで使用した。M/S (m/z):489 (M+Na)。
【0183】
中間体5.4(238mg、0.5ミリモル)をTHF(3ml)とMeOH(3ml)と水(1ml)に溶かした溶液にNaOH(200mg、5ミリモル)を添加し、得られた溶液をRTで18時間にわたって撹拌した。溶媒を真空中で除去し、粗混合物を水で希釈し、ACN/H2Oを用いたRP-HPLCで精製すると、表題の化合物(5)(170mg、収率75%)がナトリウム塩として得られた。M/S (m/z):453.3 (M+1);1H NMR (MeOD)δ1.05 (t, 3H)、1.45〜1.60 (m, 2H)、2.45 (q, 2H)、2.20 (s, 3H)、2.80〜3.13 (m, 6H)、3.75 (m, 2H)、3.9〜4.0 (m, 1H)、7.30 (d, J=8.04Hz, 2H)、7.45〜7.55 (m, 4H)、7.95 (d, J=8.04Hz, 2H)。
【実施例6】
【0184】
4-[2-(2-{3-ヒドロキシ-4-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]ブチル}-1-イソブチリルヒドラジノ)エチル]安息香酸
【0185】
【化14】

【0186】
中間体6.1:2-イソブチリル-2-{2-[4-(メトキシカルボニル)フェニル]エチル}ヒドラジンカルボン酸t-ブチル
【0187】
中間体5.1と同様の方法で、塩化イソブチリルと中間体2.1から中間体6.1を調製した。
【0188】
実施例6:実施例5と同様の方法で、適切な出発材料から表題の化合物を調製した。M/S (m/z):467 (M+1);1H NMR (MeOD)δ0.58 (d, 3H)、0.85 (m, 3H)、1.45〜1.60 (m, 2H)、2.20 (m, 2H)、2.80〜2.90 (m, 6H)、3.20 (m, 1H)、3.60 (m, 1H)、3.75 (m, 1H)、3.9〜4.0 (m, 1H)、7.30 (d, J=8.04Hz, 2H)、7.45〜7.55 (m, 4H)、7.95 (d, J=8.04Hz, 2H)。
【実施例7】
【0189】
4-[2-(1-アセチル-2-{3-ヒドロキシ-4-[3-(フェニルエチニル)フェニル]ブチル}ヒドラジノ)エチル]安息香酸
【0190】
【化15】

【0191】
中間体7.1:N-メトキシ-N-メチル-2-[3-(フェニルエチニル)フェニル]アセトアミド
【0192】
[3-(フェニルエチニル)フェニル]酢酸(ランカスター社から市販されている(3-ヨードフェニル)酢酸と、エチニルベンゼンとから、Tetrahedron、1995年、第51巻、12645〜12660ページに記載されているようにして得られる)(6g、0.0254モル)と、TBTU(16.5g、0.0508モル)と、DIEA(27ml、0.152モル)とを窒素雰囲気下で乾燥アセトニトリルの中で混合したものに、オールドリッチ社から市販されているN,O-ジメチルヒドロキシルアミンヒドロクロリド(5g、0.0508モル)を数回に分けて添加した。この反応混合物を室温にて24時間にわたって撹拌した後、蒸発させて残留物を得た。残留物を酢酸エチル(400ml)で希釈し、2NのHCl(250ml)と、10%炭酸水素ナトリウム溶液(250ml×2)と、水と、ブラインで洗浄した。次に溶媒を蒸発させて残留物を取得し、その残留物を、溶離液としてpet/クロロホルム(9:1)を用いたクロマトグラフィによって精製すると、表題の化合物7.1(6g、85%)が液体として得られた。Rf=0.5(100%クロロホルム)。
【0193】
中間体7.2:1-[3-(フェニルエチニル)フェニル]ブト-3-エン-2-オン
【0194】
中間体4.2と同様の方法で、中間体7.1と臭化ビニルマグネシウムから中間体7.2を調製した。Rf=0.75(ヘキサン/EtOAc=3:1)。この中間体7.2をそれ以上は精製せずに次のステップで使用した。
【0195】
実施例7:4-[2-(1-アセチル-2-{3-ヒドロキシ-4-[3-(フェニルエチニル)フェニル]ブチル}ヒドラジノ)エチル]安息香酸
【0196】
実施例4と同様の方法で、中間体7.2と中間体1.4を用いて表題の化合物を調製した。M/S (m/z):471.2 (M+H);1H NMR (D2O)δ1.15〜1.50 (m, 2H)、1.90 (s, 3H)、2.40〜2.75 (m, 6H)、3.20 (m, 1H)、3.50 (m, 1H)、3.68〜3.80 (m, 1H)、7.00〜7.40 (m, 9H)、7.45 (m, 2H)、7.70 (m, 2H)。
【実施例8】
【0197】
4-(2-{1-アセチル-2-[4-(1,1'-ビフェニル-3-イル)-3-ヒドロキシブチル]ヒドラジノ}エチル)安息香酸
【0198】
【化16】

【0199】
実施例7に記載したのと同じ方法で、1,1'-ビフェニル-3-イル酢酸(オールドリッチ社から市販されている)と中間体1.4を用いて表題の化合物を調製した。M/S (m/z):447.1 (M+H);1H NMR (D2O)δ1.15〜1.50 (m, 2H)、1.90 (s, 3H)、2.40〜2.75 (m, 6H)、3.20 (m, 1H)、3.50 (m, 1H)、3.68〜3.80 (m, 1H)、7.00〜7.40 (m, 9H)、7.45 (m, 2H)、7.70 (m, 2H)。
【実施例9】
【0200】
4-(2-{1-アセチル-2-[4-(3-ブロモフェニル)-3-ヒドロキシブチル]ヒドラジノ}エチル)安息香酸
【0201】
【化17】

【0202】
実施例4と同様の方法で、ランカスター社から市販されている3-ブロモフェニル酢酸から表題の化合物を調製した。M/S (m/z):449.1, 451.0;1H NMR (D2O)δ1.45〜1.60 (m, 2H)、2.04 (s, 3H)、2.70〜2.9 (m, 4H)、3.68 (m, 2H)、3.9〜4.0 (m, 1H)、7.30 (m, 4H)、7.4 (m, 2H)、7.80 (d, 2H)。
【実施例10】
【0203】
4-(2-{1-アセチル-2-[3-ヒドロキシ-4-(3-ヨードフェニル)ブチル]ヒドラジノ}エチル)安息香酸
【0204】
【化18】

【0205】
実施例4と同様の方法で、ランカスター社から市販されている3-ヨードフェニル酢酸から表題の化合物を調製した。M/S (m/z):497.0 (M+H);1H NMR (D2O)δ1.45〜1.60 (m, 2H)、2.02 (s, 3H)、2.64〜2.9 (m, 4H)、3.57〜3.62 (m, 2H)、3.57〜3.61 (m, 1H)、7.07 (m, 1H)、7.21〜7.24 (m, 3H)、7.60 (m, 2H)、7.76 (d, 2H)。
【実施例11】
【0206】
4-(2-{1-アセチル-2-[4-(3-クロロフェニル)-3-ヒドロキシブチル]ヒドラジノ}エチル)安息香酸
【0207】
【化19】

【0208】
実施例4と同様の方法で、アクロス社から市販されている3-クロロフェニル酢酸から表題の化合物を調製した。M/S (m/z):405.1 (M+H);1H NMR (D2O)δ1.45〜1.60 (m, 2H)、2.02 (s, 3H)、2.64〜2.9 (m, 4H)、3.57〜3.62 (m, 2H)、3.57〜3.61 (m, 1H)、7.10 (m, 1H)、7.21〜7.30 (m, 5H)、7.76 (d, 2H)。
【実施例12】
【0209】
4-(2-{1-アセチル-2-(3-シクロヘキシル-3-ヒドロキシプロピル)ヒドラジノ}エチル)安息香酸
【0210】
【化20】

【0211】
実施例4と同様の方法で、シクロヘキサンカルボン酸から表題の化合物を調製した。M/S (m/z):363.1 (M+H);1H NMR (MeOD)δ0.95〜1.28 (m, 7H)、1.45〜1.60 (m, 2H)、1.6〜1.85 (m, 4H)、2.02 (s, 3H)、2.80〜2.9 (m, 4H)、3.57〜3.75 (m, 2H)、7.30 (d, 2H)、7.90 (d, 2H)。
【実施例13】
【0212】
4-{2-[1-アセチル-2-(3-ヒドロキシ-4-フェニルブチル)ヒドラジノ]エチル}安息香酸
【0213】
【化21】

【0214】
実施例4と同様の方法で、フェニル酢酸から表題の化合物を調製した。M/S (m/z):371.1 (M+H);1H NMR (D2O)δ1.43〜1.60 (m, 2H)、1.55 (s, 1.5H)と2.0 (s, 1.5H)、2.66〜2.91 (m, 6H)、3.61〜3.62 (t, 1H)、3.66〜3.69 (t, 2H)、3.80〜3.92 (m, 1H)、7.21〜7.31 (m, 7H)、7.73〜7.76 (d, 2H, J=8.04Hz)。
【実施例14】
【0215】
4-(2-{1-アセチル-2-[4-(4-クロロフェニル)-3-ヒドロキシブチル]ヒドラジノ}エチル)安息香酸
【0216】
【化22】

【0217】
実施例4と同様の方法で、アクロス社から市販されている4-クロロフェニル酢酸から表題の化合物を調製した。M/S (m/z):405.1 (M+H);1H NMR (D2O)δ1.39〜1.60 (m, 2H)、1.55 (s, 1.5H)と2.0 (s, 1.5H)、2.60〜2.91 (m, 6H)、3.58〜3.67 (t, 2H)、3.72〜3.90 (t, 1H)、3.80〜3.92 (m, 1H)、7.10〜7.29 (m, 6H)、7.73〜7.76 (d, 2H, J=8.04Hz)。
【実施例15】
【0218】
4-(2-{1-アセチル-2-[4-(4-フルオロフェニル)-3-ヒドロキシブチル]ヒドラジノ}エチル)安息香酸
【0219】
【化23】

【0220】
実施例4と同様の方法で、アクロス社から市販されている4-フルオロフェニル酢酸から表題の化合物を調製した。M/S (m/z):389.1 (M+H);1H NMR (D2O)δ1.39〜1.60 (m, 2H)、1.55 (s, 1.5H)と2.0 (s, 1.5H)、2.60〜2.91 (m, 6H)、3.58〜3.67 (t, 2H)、3.72〜3.90 (t, 1H)、3.80〜3.92 (m, 1H)、7.10〜7.29 (m, 6H)、7.73〜7.76 (d, 2H, J=8.04Hz)。
【実施例16】
【0221】
4-(2-{1-アセチル-2-[4-(3-エチニルフェニル)-3-ヒドロキシブチル]ヒドラジノ}エチル)安息香酸
【0222】
【化24】

【0223】
実施例4と同様の方法で、N-メトキシ-N-メチル-2-{3-[(トリメチルシリル)エチニル]フェニル}アセトアミド(2-(3-ヨードフェニル)酢酸と(トリメチルシリル)アセチレンからTetrahedron、1995年、第51巻、12645〜12660ページに記載されているようにして得られる)から表題の化合物を調製した。トリメチルシリル基を除去した後、Bu4N+F-を含むTHFを用いて鹸化した。M/S (m/z):395.1 (M+H)。
【実施例17】
【0224】
4-(2-{1-アセチル-2-[4-(3-フルオロフェニル)-3-ヒドロキシブチル]ヒドラジノ}エチル)安息香酸
【0225】
【化25】

【0226】
実施例4と同様の方法で、3-フルオロフェニル酢酸から表題の化合物を調製した。M/S (m/z):389.2 (M+H)。
【実施例18】
【0227】
4-[2-(1-アセチル-2-{3-ヒドロキシ-4-[4-(フェニルエチニル)フェニル]ブチル}ヒドラジノ)エチル]安息香酸
【0228】
【化26】

【0229】
実施例4と同様の方法で、N-メトキシ-N-メチル-2-[4-(フェニルエチニル)フェニル]アセトアミド(2-(4-ヨードフェニル)酢酸と(トリメチルシリル)アセチレンからTetrahedron、1995年、第51巻、12645〜12660ページに記載されているようにして得られる)から表題の化合物を調製した。M/S (m/z):471.2 (M+H)。
【実施例19】
【0230】
4-{2-[1-アセチル-2-(3-ヒドロキシ-4-チエン-2-イルブチル)ヒドラジノ]エチル}安息香酸
【0231】
【化27】

【0232】
実施例4と同様の方法で、オールドリッチ社から市販されている2-チオフェン酢酸から表題の化合物を調製した。M/S (m/z):377.1 (M+H)。
【実施例20】
【0233】
4-[2-(1-アセチル-2-{4-[3-(シクロプロピルエチニル)フェニル]-3-ヒドロキシブチル}ヒドラジノ)エチル]安息香酸
【0234】
【化28】

【0235】
実施例4と同様の方法で、2-[3-(シクロプロピルエチニル)フェニル]-N-メトキシ-N-メチルアセトアミド(2-(3-ヨードフェニル)酢酸とシクロプロピルアセチレンからTetrahedron、1995年、第51巻、12645〜12660ページに記載されているようにして得られる)から表題の化合物を調製した。M/S (m/z):435.2 (M+H)。
【実施例21】
【0236】
医薬製剤の調製
【0237】
以下の製剤の実施例は、本発明による代表的な医薬組成物である。
【0238】
製剤1 - 錠剤
【0239】
一般式(I)のヒドラジド誘導体の乾燥粉末を、乾燥ゼラチン結合剤と、重量比を約1:2にして混合する。微量のステアリン酸マグネシウムを潤滑剤として添加した。この混合物を、錠剤プレスで240〜270mgの錠剤(1錠につき活性アミノ化合物が80〜90mg)にした。
【0240】
製剤2 - カプセル
【0241】
一般式(I)のヒドラジド誘導体の乾燥粉末を、デンプン希釈剤と、重量比を約1:1にして混合する。この混合物を、250mgのカプセル(カプセル1つにつき活性アミノ化合物が125mg)にした。
【0242】
製剤3 - 液体
【0243】
一般式(I)のヒドラジド誘導体(1250mg)と、スクロース(1.75g)と、キサンタンゴム(4mg)を混合し、U.S.篩第10番のメッシュを通過させた後、微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウム(11:89、50mg)を含むあらかじめ調製しておいた水溶液と混合する。安息香酸ナトリウム(10mg)と、香料と、着色剤を水で希釈し、撹拌しながら添加する。次に十分な量の水を添加し、合計体積を5mlにする。
【0244】
製剤4 - 錠剤
【0245】
一般式(I)のヒドラジド誘導体の乾燥粉末を、乾燥ゼラチン結合剤と、重量比を約1:2にして混合する。微量のステアリン酸マグネシウムを潤滑剤として添加した。この混合物を、錠剤プレスの中で450〜900mgの錠剤(1錠につき活性アミノ化合物が150〜300mg)にした。
【0246】
製剤5 - 注射液
【0247】
一般式(I)のヒドラジド誘導体を注射用の殺菌した緩衝化生理食塩水に溶かし、濃度を約5mg/mlにする。
【実施例22】
【0248】
プロスタグランジンEP2受容体結合アッセイ
【0249】
本発明の化合物を、EP2受容体結合アッセイにおいて以下のプロトコルに従ってテストした。この明細書では、“EP2受容体結合アッセイ”という用語は、以下のプロトコルを意味する。
【0250】
25mMのMESと、10mMのMgCl2と、1mMのEDTAとを含むアッセイ用緩衝液(pH6.0)の中に、20μgのEP2受容体膜と、コムギ麦芽アグルチニンでコーティングした0.5mgのPVT-SPAビーズの混合物が含まれていて、さらに、本発明の化合物(ウエル1つにつき25μl)、または10μMの冷たいPGE2(DMSO中に1%)と20nMの3H-PGE2が含まれているもの、または含まれていないものを、プレート・シェイカーの上に載せたコーニング3600プレートの中で室温にて2時間にわたってインキュベートする。カウントの最も多いプレートを3H SPA dpm2プログラムを用いてカウントすることにより、3H-PGE2の結合を評価する。一部位競合パラメータに基づき、阻害剤が結合した割合と阻害剤のKi値をグラフパッド(登録商標)を用いて計算する。後出の実施例25の表IにEP2のKi値を示してある。
【実施例23】
【0251】
EP2 cAMPアッセイ
【0252】
PGE2はcAMP(サイクリック・アデノシン一リン酸)のレベルに顕著な効果を及ぼすことが知られている(Coleman他、1989年)。この効果は、EP2受容体とEP4受容体を通じて実現されると考えられている(Choung他、1998年)。
【0253】
PGE2の骨吸収特性は、cAMPが関与するメカニズムの結果として生じると考えられている(Miyaura、2001年)。さらに、ゴナドトロピンが卵巣と卵巣周期に及ぼす作用(卵胞の増殖開始、排卵前の1個の卵胞の選択、黄体機能、黄体の退化、妊娠初期の黄体救助)は、cAMPによって制御されると考えられている。
【0254】
そこで、EP2受容体またはEP4受容体を過剰発現している細胞におけるcAMPのレベルを本発明の化合物が変化させる能力をテストする(後出の実施例25)。
【0255】
本発明の化合物を全cAMPアッセイにおいて以下のようにしてテストする。96ウエルの不透明なプレート(コスター#3917)に、pCEP4-hEP2受容体をトランスフェクトしたHEK293-EBNA細胞を、ウエル1つにつき100μlの培地(10%FBSと、2nMのL-グルタミンと、250μg/mlのハイグロマイシン(これらはすべてギブコBRL社から入手)を補足したD-MEM/F-12)の中に4×104個の割合となるように植え、37℃でインキュベートする。一晩インキュベートした後、培地を各ウエルから取り出し、フェノール・レッドを含まないD-MEM/F-12と、0.1%BSA(ギブコBRL社)と、0.1mMの3-イソブチル-1-メチル-キサンチン(シグマ社)とからなる45μlのアッセイ用培地と交換する。37℃で15分間にわたってインキュベートした後、望む濃度の16-16-ジメチルPGE-2または本発明の化合物を含む20μlのアッセイ用培地を細胞に添加し、37℃でさらに1時間にわたってインキュベートする。全cAMP(細胞内と細胞外)を、cAMPスクリーンELISAシステム(トロピックス社、#CS1000)を用いて測定する。後出の実施例25の表IIに、EC50の値を示してある。
【実施例24】
【0256】
EP4受容体結合アッセイ
【0257】
EP4受容体結合アッセイにおいて、以下のプロトコルに従って本発明の化合物をテストする。
【0258】
25mMのMESと、10mMのMgCl2と、1mMのEDTAとを含むアッセイ用緩衝液(pH6.0)の中に、20μgのEP4受容体膜と、コムギ麦芽アグルチニンでコーティングした0.5mgのPVT-SPAビーズの混合物が含まれていて、さらに、本発明の化合物(ウエル1つにつき25μl)、または10μMの冷たいPGE2(DMSO中に1%)と20nMの3H-PGE2が含まれているもの、または含まれていないものを、プレート・シェイカーの上に載せたコーニング3600プレートの中で室温にて2時間にわたってインキュベートする。カウントの最も多いプレートを3H SPA dpm2プログラムを用いてカウントすることにより、3H-PGE2の結合を評価する。一部位競合パラメータに基づき、阻害剤が結合した割合と阻害剤のKi値をグラフパッド(登録商標)を用いて計算する。後出の実施例25の表IにEP2のKi値を示してある。
【実施例25】
【0259】
EP4 cAMPアッセイ
【0260】
本発明の化合物を全cAMPアッセイにおいて以下のようにしてテストする。96ウエルの不透明なプレート(コスター#3917)に、pCEP4-hEP4受容体をトランスフェクトしたHEK293-EBNA細胞を、ウエル1つにつき100μlの培地(10%FBSと、2nMのL-グルタミンと、250μg/mlのハイグロマイシン(これらはすべてギブコBRL社から入手)を補足したD-MEM/F-12)の中に4×104個の割合となるように植え、37℃でインキュベートする。一晩インキュベートした後、培地を各ウエルから取り出し、フェノール・レッドを含まないD-MEM/F-12と、0.1%BSA(ギブコBRL社)と、0.1mMの3-イソブチル-1-メチル-キサンチン(シグマ社)とからなる45μlのアッセイ用培地と交換する。37℃で15分間にわたってインキュベートした後、望む濃度の16-16-ジメチルPGE-2または本発明の化合物を含む20μlのアッセイ用培地を細胞に添加し、37℃でさらに1時間にわたってインキュベートする。全cAMP(細胞内と細胞外)を、cAMPスクリーンELISAシステム(トロピックス社、#CS1000)を用いて測定する。後出の表IIIにEC50の値を示してある。
【0261】
実施例22と24のアッセイの結果を以下の表Iに、実施例23のアッセイの結果を以下の表IIに、実施例25のアッセイの結果を以下の表IIIにそれぞれ示してある。テストした化合物は、対応する合成の実施例の番号で特定される。
【0262】
【表1】

【0263】
【表2】

【0264】
【表3】

【実施例26】
【0265】
生体内排卵アッセイ
【0266】
本発明の化合物が排卵を誘発する活性は、成熟マウス排卵誘発モデルでテストすることができる。
【0267】
年齢が10週間の成熟したCDマウスを使用する。試薬を以下のようにして調製する。PMSG(妊娠したメスの血清ゴナドトロピン)(カルバイオケム社、カタログ番号#367222)とhCG(セロノ社)をPBSで希釈する。PGE2(ケイマン社、アン・アーバー、ミシガン州)をエタノールに溶かし、0.154MのNaHCO2緩衝液(pH8.0)で希釈し、エタノールの最終濃度を3%未満にする。本発明の化合物を(溶解度に基づいて)あらかじめエタノール、またはDMSO、または他の試薬に溶かす。次に、本発明の化合物を、生理食塩水または他の希釈剤(例えばPBS、NP3S(N-メチル-ピロリジノンを5%/PEG400を30%/PEG200を25%/ポリエチレングリコールを20%含む生理食塩水))で希釈する。PMSGは、卵胞の発達を促進する。PMSGで刺激すると、成熟した卵胞は破裂し、排卵誘発剤(例えばhCGや本発明の化合物)によって卵母細胞を放出する。
【0268】
テストするマウス(1つのテスト群には一般に5匹)に対して以下のテスト・プロトコルを用いる。
【0269】
1日目:5IUのPMSGを含む200μlのPBSを注入する(i.p.、15時)。
【0270】
2日目:投与なし
【0271】
3日目:排卵誘発剤であるhCG(i.p.)またはhCG代替物(PGE2または本発明の化合物、s.c.、またはi.v.、または経口投与)を注入する、15時
【0272】
4日目:排卵誘発剤を注入してから18時間後、マウスをCO2を用いた窒息により安楽死させ、小さなハサミと鉗子を用いて腹腔を開く。子宮、卵管、卵巣を回収し、あらかじめラベルを貼ってリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を入れた皿に入れる。回収した組織を実験室に運び、解剖顕微鏡で見ながら、子宮から完全な卵管と卵巣を注意深く切り出す。切り出した卵管を顕微鏡用のスライドガラスに載せ、別のスライドガラスをその上に載せる。2枚のスライドガラスの両端をテープで留める。対物レンズの倍率が4倍の正立型顕微鏡を用い、卵管内に排卵された卵子の数をカウントして記録する。
【0273】
この化合物の経口活性を評価するため、2つの実験を行なう。第1の実験は、絶食させていないマウスで行ない、第2の実験は、24時間絶食させたマウス(水は与える)で行なう。本発明の化合物を、その溶解度に基づき、あらかじめエタノール、またはDMSO、または他の試薬に溶かす。次に、本発明の化合物を、生理食塩水または他の希釈剤(例えばPBS、NP3S(N-メチル-ピロリジノンを5%/PEG400を30%/PEG200を25%/ポリエチレングリコールを20%含む生理食塩水))で希釈した後、経口投与する。
【0274】
本発明の化合物が皮下(s.c.)、経口(p.o.)、静脈内(i.v.)という投与経路を通じて排卵を誘発する能力を評価するため、上記の生体内排卵誘発モデルでテストする。
【実施例27】
【0275】
モルモットの気管支狭窄の生体内阻止
【0276】
本発明の化合物が気管支の筋肉を拡張させる活性は、さまざまなモデルでテストすることができる。モルモット肺コリン作動薬生体内モデルを一般に用い、ヒトの喘息を治療するための物質をテストする(Fleisch他、1985年)。本発明の化合物は、メタコリンによって誘発される気管支筋狭窄モデルにおいて以下に示すようにしてテストすることができる。
【0277】
ダンカン・ハートレーに由来する体重が250±50gのオスまたはメスのモルモット3匹からなるグループにペントバルビタールナトリウム(50mg/kg i.p.、必要に応じて15mg/kg i.p.を追加)を用いて麻酔した後、塩化スクシニルコリン(1匹につき2mgをi.p.)を投与して自発的な呼吸を阻止する。体温は37℃〜38℃に維持する。
【0278】
モルモットの気管にカニューレを挿入し、閉鎖系の中でハーバード囓歯類人工呼吸器を用いて換気する。P23IDスタサム変換器に接続したカニューレのサイドアームを通じ、気管圧を記録する。呼吸速度を50回/分に設定する。1回の呼吸量(約1ml/100g)は、気管圧のベースラインが6cm H2Oとなるのに十分な値にする。平均動脈圧(BP)は、カニューレを挿入した頸動脈からモニターし、心拍数(HR)は、胸部電極から取得する。頸静脈にカニューレを挿入し、ビヒクルまたは薬剤を1ml/kgの割合で静脈内投与する。
【0279】
コリン作動薬で誘発される気管支狭窄応答(気管圧(cm H2O)の上昇に反映される)は、メタコリンヒドロクロリド(基準体重1kgにつき10μgをi.p.)の投与によって促進される。ビヒクルで処理した対照では、メタコリンによって気管支狭窄が誘発される割合は、対照自体での最大応答の70〜90%の範囲である(気管支閉塞によって起こりうる気管支狭窄の最大値の約40〜65%)。
【0280】
本発明の化合物は、気管内(IT)投与経路でもテストする。この別の実験では、本発明の化合物、または参照化合物、またはビヒクルを、塩化メタコリン(10μg/kg i.v.)によって気管支狭窄を誘発する10分前(実験1と2では5分前)に気管内投与する。材料と方法のセクションに記載したようにして、気管圧(ITP)、血圧、心拍数を直ちに測定する。
【0281】
MED(中間有効投与量)が指標になる。誘発される気管支狭窄が阻止される割合がビヒクルで処理した対照よりも50%以上(≧50%)多ければ、有意であると考えられる。
【0282】
本発明の化合物を、メタコリンによるチャレンジの5分前に3匹のモルモットに静脈内投与する(10mg/kg)。誘発される気管支狭窄が阻止される割合がビヒクルで処理した対照よりも50%以上(≧50%)多ければ、有意であると考えられる。
【実施例28】
【0283】
マウスの生体内でLPSによって誘発されるTNF-αの放出阻止
【0284】
プロスタグランジンE2は、EP4受容体を通じた炎症の内在性阻害剤であることが示唆されている。したがってEP2アゴニストおよび/またはEP4アゴニストは、抗炎症活性を持つと考えられる。
【0285】
内毒素は、グラム陰性菌の外膜を構成するリポ多糖(LPS)である。LPSに対する応答は、いろいろな細胞集団の活性化と関係していることがわかっており、その応答によってさまざまな炎症性サイトカイン(例えば腫瘍壊死因子α(TNF-α)やインターフェロンγ(IFN-γ))が発現する。
【0286】
本発明による化合物の抗炎症活性は、以下のプロトコルに従ったLPSによるチャレンジの後に評価することができる。
【0287】
年齢が8週間のC3H/HENマウス(IFFA-クレド社、ラルブレル、フランス国)に、本発明の化合物を、異なる6通りの用量(0.001、0.01、0.1、1、3、10mg/kgを含む0.5%CMC/0.25%トゥイーン-20)で経口投与する。各グループごとに6匹のマウスを使用する。15分後、内毒素(O111:B4、シグマ社、0.3mg/kg)を腹腔内に注入する。ヘパリン処理した全血を断頭して回収する。血漿中のTNF-αのレベルをELISA(R&Dシステムズ社、アブディンドン、イギリス国)によって測定する。対照には、ビヒクルとして0.5%CMC/0.25%トゥイーン-20(10ml/kg)を投与する。これらの実験から得られたデータは、平均値±標準誤差で表現し、ダンネットのt検定に従う一元配置分散分析(ANOVA)を利用して分析する。
【0288】
本発明による化合物の活性は、TNFの放出が阻止された割合で表わし、最大効果の50%になる阻害投与量(ID50)をmg/kgを単位として計算する。
【実施例29】
【0289】
陰茎海綿体組織の弛緩に及ぼす生体内効果
【0290】
陰茎の勃起は、3つの主要な生理学的イベントに基づいている。すなわち、動脈血の血流増加と、陰茎海綿体および尿道海綿体の膨張組織の弛緩と、膨張組織によって静脈が物理的に圧迫されることによる静脈還流の阻止である。
【0291】
PGE1は勃起不全の治療に用いられており、平滑筋を弛緩させることによって勃起を促進する。PGE1の投与は、陰茎海綿体組織への局所的注入によって実現される。しかしPGE1はプロスタノイド受容体に対する選択性が低いため、刺激効果がある。勃起不全の治療には、EP2および/またはEP4の選択的アゴニストが開発されている(WO 99/02164)。
【0292】
陰茎体海綿状組織の細片の弛緩に対する本発明の化合物の効果は、例えばヒトまたはウサギの組織に対して以下に示すようなアッセイを行なうことによって調べられる。
【0293】
ヒト組織の調達
【0294】
勃起不全を治療するために陰茎プロテーゼ移植手術を受ける患者から海綿状組織を入手する。手術室で海綿体の生検サンプルを冷やした生理食塩水(4℃)に直ちに入れ、実験室に運ぶ。組織の細片(約3mm×3mm×10mm)を切り出し、組織浴実験に使えるようにする。
【0295】
ウサギ組織の調達
【0296】
成熟したオスのニュージーランド白ウサギ(4.5〜5.0kg)をケタミン(35mg/kg)とキシラジン(5mg/kg)で落ち着かせ、ペントバルビタール(体重1kgにつき60mg)で安楽死させる。血を放出させた後、陰茎を切除し、尿道海綿体と尿道を除去してきれいにする。陰茎海綿体組織の細片を、その周囲を取り囲んでいる白膜から切り離し、組織浴実験に使えるようにする。
【0297】
化合物貯蔵溶液の調製と用量反応
【0298】
PGE1(ケイマン・ケミカル社、アン・アーバー、ミシガン州)を、使用する日まで固体形態で-20℃にて保管する。貯蔵溶液は、1mgのPGE1を入れたバイアルに70%DMSOを1ml添加して作製する。本発明の化合物を70%DMSOに溶かし、100μlのアリコートに分割し、使用するまで-20℃で保管する。組織浴での用量反応を調べるため、PGE1の貯蔵溶液と本発明の化合物を70%DMSOで希釈して最大濃度にした後、2%DMSOで順番に希釈して他のすべての用量を作る。典型的な用量反応曲線においてDMSOの濃度をチェックすることにより、その濃度が25mlの浴で0.1%未満に留まっていて、しかも最大用量において0.5%を超えないようにする。
【0299】
組織浴の実験
【0300】
ヒトまたはウサギの海綿体組織の細片を、固定された支持体に絹の紐を用いて取り付け、張力変換器(モデルFT03;グラス-テレファクター、アストロ-メッド社、ウエスト・ウォーイック、ロードアイランド州)に硬い金属線を用いて取り付ける。取り付け終了後、組織細片を25mlの生理塩溶液(PSS;118.3mMのNaCl、4.7mMのKCl、0.6mMのMgSO4、1.2mMのKH2PO4、2.5mMのCaCl2、25mMのNaHCO3、0.026mMのCaNa2EDTA、11.1mMのグルコース)の浴に浸す。この溶液に95%空気/5%CO2を吹き込んでpHを7.4にし、温度は37℃に維持する。すべての組織細片を3μMのインドメタシンで処理することによって内在性プロスタノイドの産生を阻止し、自発的な収縮活性を最少にする。陰茎海綿体組織を段階的に引き伸ばし、収縮するのに最適な静止等長張力を決定する。3〜4回引っ張るごとに(引っ張りの張力は1g)、組織を1μMのフェニルエフリンで収縮させる。フェニルエフリンによって誘発する収縮の振幅が、直前の収縮での振幅と10%以内の差になったとき、その張力を等長収縮にとって最適であると見なす。すべての組織細片を新鮮なPSSで徹底的に洗浄する。組織細片を1μMのフェニルエフリンで収縮させる。安定になったとき、組織細片を、濃度を徐々に大きくしたいろいろな濃度のPGE1または本発明の化合物に曝露する。
【0301】
データ分析
【0302】
各実験を終えるとき、すべての組織細片を、10μMのパパベリンと10μMのニトロプルシドで処理して弛緩が最大(100%)になるようにする。プロットした曲線よりも下の面積から、テストした薬剤濃度の範囲全体での弛緩応答の合計量を決定する。EC50の値は、プリズム・ソフトウエア(グラフパッド社、サン・ディエゴ、カリフォルニア州)を用いて計算する。データを最終的に分析するため、弛緩パラメータをANOVAを用いて比較する。ANOVAのp値が0.05未満である場合には、チュキー-クレーマー検定を利用し、対応のあるテスト後比較を行なう。
【実施例30】
【0303】
骨の減少に対する生体内効果
【0304】
骨アナボリック剤としての本発明による化合物の活性は、例えば以下に示すラット卵巣摘出モデルでテストすることができる。
【0305】
メスの未交尾のスプレーグ・ドーリー・ラットを、投与前の体重測定の結果に基づいてランダムに複数の治療群に分ける。その目的は、どの治療群の平均体重もほぼ同じにするためである。
【0306】
外科手術
【0307】
ケタミンとキシラジン(SOP ST-AEP007)でラットを落ち着かせる。腹部の背中側の毛を剃り、無菌手術の準備をする。正中線に沿って脊柱の腰部領域の直前から始まる切れ目を1本入れる。腹部の側背領域の両側にあって下に隠れている筋系を露出させる。筋系を貫通する切れ目を入れ、腹腔にアクセスできるようにする。
【0308】
それぞれのラット群(“Ovx”)では、卵巣の位置を特定し、子宮角の接合部で切断して取り出す。子宮を元の位置に戻し、筋肉を縫合する。反対側も同様にする。
【0309】
ラットの対照群(“Sham”)では、卵巣の位置を特定して一時的に外気に曝すが、取り出しはしない。子宮と卵巣を腹腔の元の位置に戻し、筋肉を縫合する。
【0310】
筋肉層を閉じて縫合し、皮膚の切開部を縫合クリップを用いて閉じる。
【0311】
投与
【0312】
投与は、手術の1日後に開始する。ラットに、手術後6週間にわたって毎日皮下注射する。本発明の化合物を0.1、1.0、10.0mg/kgの用量で使用する。1つの対照群には、30μg/kgの17βエストラジオール(シグマ・ケミカル社)を手術後6週間にわたって皮下注射する。対照群のラット(“scham”群)にはビヒクル(生理食塩水)を皮下注射する。
【0313】
蛍光色素標識
【0314】
動的な組織形態測定ができるようにするため、剖検の6日前と2日前の2回、カルセイン(10mg/kg、i.p.)を注射する。
【0315】
体重と臨床的所見
【0316】
処理を開始する一週間前から処理期間の終了時まで、体重を毎週測定した。さらに、ラットの健康状態の悪化徴候と処理に対する反応を毎日観察する。
【0317】
血液と尿の生化学
【0318】
代謝ケージを用いて18時間後の尿サンプルを各ラットから回収した後、安楽死させる。安楽死させるとき、各ラットの眼窩後の副鼻腔から麻酔薬(エーテル)を吸入させた状態で血液サンプルを回収する。尿と血清で以下のパラメータを測定する。
【0319】
パラメータ法
【0320】
尿のデオキシピリジノリンをイムノアッセイ(ピリリンクス-D、キデル社、マウント・ヴュー、カリフォルニア州)によって測定する。クレアチニンをCOBAS化学装置(クレアチニン・ロッシュ・ディアグノスティックス社、インディアナポリス、インディアナ州)によって測定する。血清オステオカルシンをイムノアッセイ(ラットのOSU IRMA、イムノトピックス社、サン・クレメンテ、カリフォルニア州)によって測定する。
【0321】
剖検
【0322】
投与と尿/血液の回収が終了すると、二酸化炭素を用いた窒息によってラットを安楽死させる。
【0323】
すべてのラットに対して以下の手続きを実施する。最終的な体重を測定する。全体的な検査を行ない、異常がないかチェックする。以下に詳しく説明する検査を行なう。
【0324】
骨密度の走査
【0325】
PIXImus装置(ルナー社、マディソン、ウィスコンシン州)を用いてL2〜L4腰椎をDXA(二重エネルギーX線吸収測定)走査する。骨塩量、面積、密度をPIXI走査の結果から決定する。DXAによる骨密度の測定法は、Formica他、1998年に記載されている。
【0326】
ストラテックXCT RMと付随するソフトウエア(ストラテック・メディツィーンテヒニーク社、プフォルツハイム、ドイツ国、ソフトウエアのバージョン5.40C)を用い、右大腿骨のpQCT(末梢定量的コンピュータ・トモグラフィ)走査を行なう。その大腿骨の2つの部位を走査する。それは、遠位大腿骨の20%部位と、中位大腿骨の50%部位である。位置は探索画像を用いて確認し、大腿骨幹の長軸に垂直な0.5mmの1つの切片を走査した結果を記録する。遠位大腿骨の走査結果をもとにして、全骨塩量、全骨面積、全骨密度、海綿質塩量、海綿質面積、海綿質骨密度を分析する。中位大腿骨に関しては、全骨塩量、全骨面積、全骨密度、皮質骨塩量、皮質骨面積、皮質骨密度、骨膜周囲長、骨内膜周囲長を分析する。pQCTによる骨密度の測定法は、Formica他、1998年とTsugeno、2002年に記載されている。
【0327】
腰椎と大腿骨の生体力学的テスト
【0328】
L5腰椎をL5〜L6から分離し、低速ダイヤモンド鋸を用いて椎弓と椎弓根を取り出す。各椎体の頭側端部と尾側端部も取り出し、平行な2つの面を持っていて高さが約4mmの椎体サンプルを作る。椎体の中央-側部方向の幅と前方-後方方向の幅は、電子式ディジタル・ノギスを用いて測定する。これらの値を記録し、断面積を計算するのに使用する。椎体サンプルの高さを電子式ノギスでも測定して記録する。次にサンプルを2つの試験台の間に位置させ、インストロン力学的テスト装置(インストロン4465、改良型5500)の中で破断するまで変位速度6mm/分で荷重を加える。
【0329】
荷重と変位をインストロン装置のソフトウエア(マーリンII、インストロン社)によって記録し、最大荷重のときに破断する位置、剛性、吸収されたエネルギーを、荷重-変位曲線から手作業で選択する。次に、固有特性、応力、弾性係数、靭性を、最大荷重、剛性、吸収されたエネルギー、断面積、高さから、以下の数式群に従って計算する。
【0330】
pQCT走査の後、大腿骨幹の中点における前方から後方への直径を電子式ノギスで測定する。次に、インストロン力学的テスト装置(インストロン4465、改良型5500)の中で、3点曲げ固定装置の下側支持体に、大腿骨を、前側を下に向けて取り付ける。2つの下側支持体の距離は14mmに設定する。上側荷重装置は、大腿骨幹の中心に揃える。大腿骨が折れるまで、6mm/分という一定の変位速度で荷重を加える。最大荷重の位置、剛性、吸収されたエネルギーを、荷重-変位曲線から手作業で選択し、その値を装置のソフトウエア(マーリンII、インストロン社)で計算する。固有特性、応力、弾性係数、靭性を、最大荷重、剛性、吸収されたエネルギー、前方-後方の直径、慣性モーメントから計算する。
【0331】
3点曲げ試験の後、遠位大腿骨幹端の3mmの切片を、低速ダイヤモンド鋸を用いて大腿骨顆の近位部から直接切り出す。(直径(d)が1.6mmの平坦なテスト面を有する)円筒形の圧子を用い、切片の遠位面にある髄腔の中心に荷重を加える。圧子を6mm/分という一定の変位速度で髄腔の中に侵入させて深さが2mmになったとき、荷重を逆転させる。最大荷重の位置、剛性、吸収されたエネルギーを荷重-変位曲線から手作業で選択した後、その値を装置のソフトウエア(マーリンII、インストロン社)で計算する。応力は、最大荷重を圧子の面積で割ることによって計算される。
【0332】
骨の組織構造と動的な組織形態計測
【0333】
脱水、埋包、切片作製
【0334】
濃度を順番に大きくした一連のエタノールの中で、ホルマリンで固定した近位脛骨サンプルを脱水する。脱水後、骨サンプルをメタクリル酸メチルをベースとしたプラスチックに染み込ませて埋包する。タングステン-カーバイド・ミクロトーム・ナイフを備えたライツ動力式回転ミクロトームを用い、埋包された近位脛骨サンプルを縦方向に切断する。ブロックをトリミングした後、4μmの切片をゴールドナーの三色染色で染色し、顕微鏡で観察する。8μmの切片を染色せずに落射蛍光顕微鏡で観察する。
【0335】
組織形態計測
【0336】
近位脛骨の静的組織形態計測と動的組織形態計測を実施する。測定には、二次海綿質(骨端軟骨の最下点から1.05の領域)が含まれる。
【0337】
オステオメジャー・ソフトウエア・プログラム(オステオメトリックス社、アトランタ、ジョージア州)を用い、ニコンのエクリプスE400ライト/落射蛍光顕微鏡とビデオ・サブシステムをインターフェイスとして骨の組織形態計測を行なう。組織形態計測の数値を盲目的に読み取る。全組織の面積、海綿質の面積、海綿質の周囲長、破骨細胞の周囲長を、ゴールドナーの三色染料で染色した厚さが4μmの切片上で測定する。次に、海綿骨の面積の割合、小柱の数、小柱の厚さ、小柱の間隔、骨の表面積に対する破骨細胞の周囲長の割合を、標準的な公式に従って計算する。動的パラメータに関しては、一重標識したカルセインの周囲長、二重標識したカルセインの周囲長、標識間の幅(標識の厚さ)を、厚さが8μmの染色していない切片上で測定し、石灰化している表面、ミネラル堆積速度、骨形成速度-表面積の関係を計算する。
【0338】
統計
【0339】
SASソフトウエア(SASインスティチュート社、コリー、ノースカロライナ州)を用いた分散分析(グループ)によって結果を分析する。グループの比較は、“Ovx”+ビヒクル・グループを参照群として、ダンネットの手続きを利用して行なう。すべての結果を平均値±標準偏差で表わす。
【0340】
本発明を好ましい実施態様を参照して詳細に説明してきた。しかし当業者であれば、この明細書の開示内容から、本発明の精神と範囲を逸脱することなく変更や改良を行なうことができよう。
【実施例31】
【0341】
タバコの煙によって誘発されるCOPDの生体内阻止
【0342】
呼吸器疾患(例えば肺気腫や慢性閉塞性肺疾患(COPD)で観察される肺炎)に対する本発明の化合物の抗炎症活性は、以下のようにしてテストすることができる。
【0343】
メスのA/Jマウス(曝露チェンバー1つ当たり5匹)を、紙巻きタバコから発生するタバコの煙(TS)、または空気に、連続した11日間にわたって毎日曝露する。最初の曝露は1日目でタバコ2本であり、それから本数を増やしていき、6/7日目には最大の6本になる。増加速度は、マウスを毎日観察することでわかる耐性を考慮して調節する。
【0344】
タバコの煙に曝露したマウス(n=60、1つのグループに10匹)に、ビヒクル(メチルセルロース0.5%)または本発明の化合物を、約1、5、10、15、20mg/kgの投与量で1日に2回(-1時と+6時;5ml/kg)経口投与する。
【0345】
大気に曝露したマウス(n=10)をビヒクルで処理する。
【0346】
最終回である11回目のTSへの曝露が終わってから24時間後、麻酔薬(ペントバルビタールNa、100mg/kg、i.p.)を過剰にしてマウスを殺す。心臓を破裂させて血液を回収して血漿を調製し、凍結させて-20℃で保管する。
【0347】
リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を0.4ml用いて気管支-肺泡洗浄(BAL)を行なう。
【0348】
BALから回収した細胞を使用し、全細胞と特定の細胞のカウントを行なう(サイトスピン調製物)。BALの上清を凍結させ、タンパク質のレベルを分析する。残ったBAL流体に関し、KCまたはムチンのレベルを調べる。
【0349】
グループ
A.ビヒクル、p.o.、1日に2回(ビヒクルを5ml/kg;-1時と+6時)/空気に曝露
B.ビヒクル、p.o.、1日に2回(ビヒクルを5ml/kg;-1時と+6時)/TSに曝露
C.本発明の化合物、1日に2回(1〜20mg/kg;-1時と+6時)/TSに曝露
【0350】
本発明の化合物によって誘発される阻害の割合を計算する。
【0351】
対照shamでの平均値を全TSグループから差し引き、薬剤グループでの新しい値を、対照TSグループでの新しい値で割る。
【0352】
本発明を好ましい実施態様を参照して詳細に説明してきた。しかし当業者であれば、この明細書の開示内容から、本発明の精神と範囲を逸脱することなく変更や改良を行なうことができよう。
【実施例32】
【0353】
デキストラン硫酸ナトリウムによって誘発される大腸炎の生体内阻止
【0354】
大腸炎に対する本発明の化合物の抗炎症活性は、以下のようにして調べることができる。
【0355】
マウスは、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を摂取してから6〜10日以内に、下痢、直腸出血、体重減少の徴候を示す。大腸粘膜の病変には、多数の侵食、潰瘍化、顕著な炎症性細胞浸潤が含まれる。
【0356】
デキストラン硫酸ナトリウム(DSS 4%)を飲料水に投与することにより、メスのマウス(Balb/c、20〜22g、エルヴァージュ・ジャンヴィエ)に潰瘍性大腸炎(UC)を誘発する。そのマウスを5日間にわたってDSSに自由に近づけるようにする。
【0357】
本発明の化合物を0.25%CMC/0.5%トゥイーン20に溶かし、UCを誘発してから3日後、4日後、5日後、6日後に、強制補給によって投与する。
【0358】
マウスを3つのグループに分ける。
“処理群”では、マウスがDSSに自由に近づけるようにし、本発明の化合物で毎日処理する。
“デキストラン4%”群では、マウスがデキストラン4%と0.5%CMC/0.25%トゥイーン(ビヒクル)に自由に近づけるようにし、マウスを本発明の化合物で処理しない。
“対照”群または“sham”群にはDDS4%を与えない。
【0359】
以下のパラメータを記録した
- 体重を毎日測定する。
- UCの程度を、便の硬さを判定した臨床スコア(0=硬い、1=柔らかい、2=下痢)と、血液の存在(0=出血なし、1=潜血、2=大量の直腸出血)によって評価する。
- 疾患を誘発してから7日後、マウスを安楽死させる。大腸の長さと重さを測定し、長さ/重さ/体重100gという比の値を計算した。
【0360】
体重減少、臨床スコア、大腸の長さ/重さの比の増大が阻止された割合を以下のようにして計算する。
%阻止 = (1 - (“処理群での値”-“対照群での値”/“デキストラン4%群での値”-“対照群での値”))×100
【0361】
各パラメータについて、阻止の割合を5日目、6日目、7日目それぞれで計算する。
【実施例33】
【0362】
アスピリンによって誘発される胃潰瘍の生体内阻止
【0363】
胃潰瘍に対する保護剤としての本発明の化合物の活性は、Guthら(1979年)が記載しているように、以下のようにして調べることができる。
【0364】
一晩絶食させたウィスター由来のオスまたはメスの3匹のラット(体重は200±20g)からなるグループに、本発明の化合物をp.o.投与した後、アスピリン(150mg/kg)を経口で強制補給する。
【0365】
4時間後、ラットを安楽死させ、胃潰瘍を、出血と潰瘍性病変の程度をもとにして以下のように評価する。0=充血も出血もなし、1=、2=わずかな点状出血、3=充血+わずかな点状出血、4=胃全体に充血+わずかな点状出血。同時に評価する対照での点数よりも50%以上(≧50%)減少すると、有意であると考えられる。
【0366】
参考文献
【0367】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)のヒドラジド誘導体:
【化1】

(ただし、
Aは、C3〜C8シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールの中から選択され;
Bは、C1〜C6アルキレン、C2〜C6アルケニレン、C2〜C6アルキニレンの中から選択され;
R1は、H、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、C3〜C8シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールC1〜C6アルキル、ヘテロアリールC1〜C6アルキル、アリール、ヘテロアリールの中から選択され;
R2とR3は、独立に、H、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニルの中から選択され;
R4は、水素とC1〜C6アルキルの中から選択され;
R5は、水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、C1〜C6ヘテロアルキル、C3〜C8シクロアルキル、C3〜C8シクロアルキルC1〜C6アルキル、アリールC1〜C6アルキル、ヘテロアリールC1〜C6アルキル、アリール、ヘテロアリールの中から選択され;
nは、1、2、3、4、5、6の中から選択された整数である)、その幾何異性体、その光学活性な形態であるエナンチオマー、ジアステレオマー、これらの混合物、又はこれらの塩。
【請求項2】
Aがアリールとヘテロアリールの中から選択されている、請求項1に記載のヒドラジド誘導体。
【請求項3】
Aがフェニルである、請求項1または2に記載のヒドラジド誘導体。
【請求項4】
Bがエチレンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のヒドラジド誘導体。
【請求項5】
R1がC1〜C6アルキルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のヒドラジド誘導体。
【請求項6】
R2がHである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のヒドラジド誘導体。
【請求項7】
R3がHとメチルの中から選択されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載のヒドラジド誘導体。
【請求項8】
R3がHである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のヒドラジド誘導体。
【請求項9】
R4がHである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のヒドラジド誘導体。
【請求項10】
nが2である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のヒドラジド誘導体。
【請求項11】
Aがフェニルであり;Bがエチレニルであり;R1がC1〜C6アルキルであり;R2とR4がHであり;R3がHとメチルの中から選択されており;nが2である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のヒドラジド誘導体。
【請求項12】
R5が、H、C1〜C6アルキル、C3〜C6シクロアルキルの中から選択されている、請求項1〜11のいずれか1項に記載のヒドラジド誘導体。
【請求項13】
R5がアリールC1〜C6アルキルである、請求項1〜12のいずれか1項に記載のヒドラジド誘導体。
【請求項14】
R5がヘテロアリールC1〜C6アルキルである、請求項1〜13のいずれか1項に記載のヒドラジド誘導体。
【請求項15】
R5がC3〜C8シクロアルキルである、請求項1〜14のいずれか1項に記載のヒドラジド誘導体。
【請求項16】
4-(2-{1-アセチル-2-[4-(3-クロロフェニル)-3-ヒドロキシブチル]ヒドラジノ}エチル)安息香酸;
4-(2-{1-アセチル-2-[3-ヒドロキシ-4-(3-ヨードフェニル)ブチル]ヒドラジノ}エチル)安息香酸;
4-(2-{1-アセチル-2-[4-(3-ブロモフェニル)-3-ヒドロキシブチル]ヒドラジノ}エチル)安息香酸;
4-(2-{1-アセチル-2-[4-(1,1'-ビフェニル-3-イル)-3-ヒドロキシブチル]ヒドラジノ}エチル)安息香酸;
4-[2-(1-アセチル-2-{3-ヒドロキシ-4-[3-(フェニルエチニル)フェニル]ブチル}ヒドラジノ)エチル]安息香酸;
4-{2-[1-アセチル-2-(3-ヒドロキシ-4-フェニルブチル)ヒドラジノ]エチル}安息香酸;
4-(2-{1-アセチル-2-[4-(4-クロロフェニル)-3-ヒドロキシブチル]ヒドラジノ}エチル)安息香酸;
4-(2-{1-アセチル-2-[4-(4-フルオロフェニル)-3-ヒドロキシブチル]ヒドラジノ}エチル)安息香酸;
4-(2-{1-アセチル-2-[4-(3-エチニルフェニル)-3-ヒドロキシブチル]ヒドラジノ}エチル)安息香酸;
4-(2-{1-アセチル-2-[4-(3-フルオロフェニル)-3-ヒドロキシブチル]ヒドラジノ}エチル)安息香酸;
4-[2-(1-アセチル-2-{3-ヒドロキシ-4-[4-(フェニルエチニル)フェニル]ブチル}ヒドラジノ)エチル]安息香酸;
4-{2-[1-アセチル-2-(3-ヒドロキシ-4-チエン-2-イルブチル)ヒドラジノ]エチル}安息香酸;
4-[2-(1-アセチル-2-{4-[3-(シクロプロピルエチニル)フェニル]-3-ヒドロキシブチルヒドラジノ)エチル]安息香酸;
4-[2-(2-{3-ヒドロキシ-4-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]ブチル}-1-イソブチリルヒドラジノ)エチル]安息香酸;
4-[2-(2-{3-ヒドロキシ-4-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]ブチル}-1-プロピオニルヒドラジノ)エチル]安息香酸;
4-[2-(1-アセチル-2-{3-ヒドロキシ-4-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]ブチル}ヒドラジノ)エチル]安息香酸;
4-{2-[1-アセチル-2-(3-シクロヘキシル-3-ヒドロキシプロピル)ヒドラジノ]エチル}安息香酸;又は
これら化合物のうちの任意のものの薬理学的に許容可能な塩からなるグループの中から選択された、請求項1〜15のいずれか1項に記載のヒドラジド誘導体。
【請求項17】
4-{2-[1-アセチル-2-(3-ヒドロキシオクチル)ヒドラジノ]エチル}安息香酸;
4-{2-[1-アセチル-2-(3-ヒドロキシオクチル)-2-メチルヒドラジノ]エチル}安息香酸;
4-{2-[1-アセチル-2-(3-ヒドロキシブチル)ヒドラジノ]エチル}安息香酸;又は
これら化合物のうちの任意のものの薬理学的に許容可能な塩からなるグループの中から選択された、ヒドラジド誘導体。
【請求項18】
医薬として使用するための、請求項1〜17のいずれか1項に記載のヒドラジド誘導体。
【請求項19】
プロスタグランジンに関係する疾患または障害を治療する方法であって、そのような疾患または障害を抱えている哺乳動物、またはそのような疾患または障害になりやすい哺乳動物に、請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物の有効量を投与する操作を含む方法。
【請求項20】
早期分娩、月経困難症、喘息、高血圧、望まない血液凝固、子癇前症、子癇症、好酸球疾患、望まない骨の減少、腎不全、免疫不全疾患、ドライアイ、魚鱗癬、眼内圧上昇、胃潰瘍、受胎障害、性機能不全、炎症性疾患を抱えている哺乳動物、またはこれら疾患になりやすい哺乳動物を治療する方法であって、その哺乳動物に、請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物の有効量を投与する操作を含む方法。
【請求項21】
上記哺乳動物が、望まない筋収縮を起こしているか、望まない筋収縮を起こしやすい、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
上記哺乳動物が、早期分娩であるか、早期分娩になりやすい、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
上記哺乳動物が、喘息、慢性閉塞性呼吸疾患、肺気腫の中から選択した呼吸器疾患であるか、そのような呼吸器疾患になりやすい、請求項19または20に記載の方法。
【請求項24】
上記哺乳動物が、高血圧であるか、高血圧になりやすい、請求項19または20に記載の方法。
【請求項25】
上記哺乳動物が、骨が減少しているか、骨が減少しやすい、請求項19または20に記載の方法。
【請求項26】
上記哺乳動物が、排卵障害であるか、排卵障害になりやすい、請求項19または20に記載の方法。
【請求項27】
上記哺乳動物が、勃起不全であるか、勃起不全になりやすい、請求項19または20に記載の方法。
【請求項28】
プロスタグランジンに関係する疾患または障害を治療するための医薬の調製のための、請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項29】
早期分娩、月経困難症、喘息、高血圧、望まない血液凝固、子癇前症、子癇症、好酸球疾患、望まない骨の減少、腎不全、免疫不全疾患、ドライアイ、魚鱗癬、眼内圧上昇、胃潰瘍、受胎障害、性機能不全、炎症性疾患の中から選択した疾患または障害を治療するための医薬の調製のための、請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項30】
薬理学的に許容可能な基剤と、請求項1〜17のいずれか1項に記載の1種類以上の化合物とを含む医薬組成物。
【請求項31】
早期分娩、月経困難症、喘息、高血圧、望まない血液凝固、破壊性の骨疾患または骨障害、子癇前症または子癇症、好酸球疾患、腎不全、免疫不全疾患、ドライアイ、魚鱗癬、眼内圧上昇、胃潰瘍の中から選択した障害または疾患を治療するための上記化合物を、その化合物の使用上の注意とともに包装した、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項32】
請求項1〜17のいずれか1項に記載のヒドラジド誘導体を調製する方法であって、還元剤の存在下にて、一般式(II)のヒドラジド:
【化2】

(ただしA、R1、R2、R3、nは上に定義した通りである)を一般式(III)の化合物:
【化3】

(ただしR5は、-CH2-R6(ここにR6は、C1〜C5アルキル、C2〜C5アルケニル、C2〜C5アルキニル、C1〜C5ヘテロアルキル、C1〜C5アルキルC1〜C5アルキル、アリールC1〜C5アルキル、ヘテロアリールC1〜C5アルキルの中から選択する)である)を用いて還元的アミノ化するステップを含む方法。
【請求項33】
請求項1〜13のいずれか1項に記載のヒドラジド誘導体を調製する方法であって、一般式(IV)の化合物:
【化4】

(ただしA、B、R1、R2、R3、R5、nは上に定義した通りである)を還元するステップを含む方法。
【請求項34】
一般式(II)の化合物:
【化5】

(ただしA、B、R1、R2、R3、nは上に定義した通りであり、R4はHである)に一般式(V)の化合物:
【化6】

(ただしR5は上に定義した通りである)をマイケル付加を通じて付加するステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
R1がHではない状態で得られた一般式(I)の化合物を鹸化し、R2がHである一般式(I)の化合物にするステップをさらに含む、請求項32〜34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
Aがフェニルである、請求項32〜35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
一般式(II)の化合物:
【化7】

(ただしA、R1、R2、R3、nは上に定義した通りである)、その幾何異性体、その光学活性な形態であるエナンチオマー、ジアステレオマー、これらの混合物、又はこれらの塩。
【請求項38】
一般式(IV)の化合物:
【化8】

(ただしA、R1、R2、R3、R5、nは上に定義した通りである)、その幾何異性体、その光学活性な形態であるエナンチオマー、ジアステレオマー、これらの混合物、又はこれらの塩。

【公表番号】特表2006−528154(P2006−528154A)
【公表日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520831(P2006−520831)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【国際出願番号】PCT/EP2004/051531
【国際公開番号】WO2005/012232
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(599177396)アプライド リサーチ システムズ エーアールエス ホールディング ナームロゼ フェンノートシャップ (70)
【Fターム(参考)】