説明

ベルト位置姿勢検出装置、ベルト装置および画像形成装置

【課題】無端ベルトのベルト寄りと傾きを簡単な構成で検出でき、装置の小型化およびコスト低減に寄与できるベルト位置姿勢検出装置、ベルト位置姿勢検出装置を備えたベルト装置およびベルト装置を備えた画像形成装置を提供すること。
【解決手段】中間転写ベルト8の姿勢の傾きおよびベルト幅方向の位置を検出するベルト位置姿勢検出装置において、光源と受光素子32とを、中間転写ベルト8を挟んで搬送方向Bに斜交いに配置し、光ビームLの光路の一部が中間転写ベルト8のベルトエッジと重なるよう、光源が光ビームLを受光素子32に向けて照射し、算出手段が受光素子32の出力電圧に基づき、中間転写ベルト8のベルト幅方向の位置と傾きを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト位置姿勢検出装置、ベルト装置および画像形成装置に関し、例えばプリンタ、複写機およびファクシミリ装置などの画像形成装置に用いられる中間転写ベルトなどの無端ベルトの位置と姿勢を検出するベルト位置姿勢検出装置、このベルト位置姿勢検出装置を備えたベルト装置およびこのベルト装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンタなどの画像形成装置においては、転写媒体である中間転写体として、あるいは転写媒体である記録用紙の搬送手段として無端ベルトが多用されている。そして、無端ベルトは、複数のローラに張架されて循環駆動されるようになっている。
【0003】
一般に、このような無端ベルトは、張架されるローラの形状や、組み付けで生じる傾斜、ベルト幅方向の周長差などに起因して、無端ベルトの搬送方向と直交する方向(ベルト幅方向)に移動する、いわゆるベルト寄り(ベルトの蛇行ともいう)が発生することがある。このようなベルト寄りが生ずると、ベルト装置の構成部品にベルト端部が接触して破損するおそれがあり、また画像形成工程において画像形成位置のずれを引き起こすこともある。特に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色に対応した画像形成ユニットを個別に中間転写ベルトなどの無端ベルト上に配置し、各画像形成ユニットにより各色の単色画像を各々形成し、それら単色画像を転写媒体上で重ね合わせてカラー画像を得る、いわゆるタンデム型のカラー画像形成装置においては、画像形成位置のずれが各色トナー画像間の色ずれとなって現れる。このように、無端ベルトのベルト寄りは、画像品質の劣化の原因となる。
【0004】
そこで、近年、上述したベルト寄りを防止する技術が開発されている。ベルト寄りを防止、あるいは修正する方法としてはいくつかあるが、その一つに、無端ベルトを張架する複数のローラのうち、一のローラ(ステアリングローラ)の傾きを調整(これを、ステアリング動作という)して無端ベルトのベルト寄りを修正するステアリング方式がある。このステアリング方式では、ベルト寄りが生じた際、無端ベルトが寄っている方向と反対方向に無端ベルトが移動するようにステアリングローラを傾斜させ、元々生じていた無端ベルトの寄り量とステアリングローラの傾斜による寄り量とが釣り合うようにすることで、ベルト寄りを修正する。特に、ステアリング方式では、ベルト幅方向のベルト位置を一定とするため、例えば無端ベルトの搬送方向の所定箇所に一のセンサを設けて無端ベルトのエッジ位置を検出し、エッジ位置が所定範囲内に維持されるようにステアリングローラの傾きを調整、制御していることが多い。
【0005】
ところが、ステアリング方式により無端ベルトのエッジ位置を調整、制御可能であっても、張架されるローラ間の平行度やベルト幅方向の周長差により無端ベルトの姿勢が傾くことがある。
【0006】
具体的には、無端ベルトの中心線(ベルト幅方向の中央でベルト幅方向と直交し、ベルトの搬送方向に延在する線)の姿勢を考えた場合、無端ベルトを張架する全てのローラの軸線が互いに平行で、かつ各ローラが完全な円筒になっていれば、無端ベルトの中心線は、各ローラの軸に直交する平面と平行な面に含まれている状態にある。したがって、無端ベルトを展開すれば、無端ベルトの中心線は直線となっている。しかし、いずれかのローラの軸線が他のローラの軸線と平行でなく、微小にでも傾斜していれば、無端ベルトの中心線は直線にはならず、折れ曲がっている状態となる。元々、全てのローラの軸線を互いに平行で、かつ各ローラを完全な円筒に構成することは困難であるため、無端ベルトの中心線は折れ曲がっており、そのためにベルト寄りが生ずる。このとき、上記ステアリングローラによって、上記ベルト寄りによる寄り量とステアリングローラの傾斜による寄り量とが釣り合う状態とすることができるが、無端ベルトの中心線は折れ曲がった状態である。すなわち、無端ベルトは、その中心線が折れ曲がった状態で、上記ベルト寄りによる寄り量とステアリングローラの傾斜による寄り量とが釣り合っていることとなる。
【0007】
このため、タンデム型のカラー画像形成装置では、ベルト寄りが修正されている場合であっても、無端ベルトの姿勢が傾いていると、ベルト幅方向(主走査方向)で異なる色同士の位置がずれ、色ずれが発生してしまう。そこで、このようなカラー画像形成装置では、無端ベルト上での色ずれ量を検出して各色のベルト幅方向(主走査方向)の画像形成位置を調整することにより色ずれを低減する、いわゆる主走査位置(色)合わせを実施している場合が多い。しかし、主走査位置(色)合わせを実施した後にステアリング動作を行い、ステアリングローラの傾きが変わると、無端ベルトの傾きも変わってしまう。これにより、色ずれの状態が悪化するおそれがある。
【0008】
従来、このような不具合を防止するため、無端ベルトのベルト幅方向の位置(エッジ位置)を検出するエッジセンサを、ベルトの搬送方向に沿って互いに離隔した位置に複数設け、これら複数のセンサの各検出信号の差分から無端ベルトの傾き量を算出し、この算出結果に基づき、無端ベルトの傾きを補正するようにしたベルト駆動装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、このベルト駆動装置は、無端ベルトの傾きを補正する補正手段とは別に、無端ベルトの蛇行量が予め設定された許容量以下となるよう制御する蛇行制御手段を有している。この特許文献1に記載のベルト駆動装置によれば、無端ベルトの蛇行(ベルト寄り)を許容量以下に抑えることができるとともに、無端ベルトの傾きを補正することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の特許文献1に記載のベルト駆動装置にあっては、無端ベルトの蛇行量に加えて無端ベルトの傾き量を算出するために、複数のエッジセンサを必要とする。このため、エッジセンサを複数設ける分だけ、無端ベルトを備える装置の大型化やコストアップに繋がるという問題があった。
【0010】
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、無端ベルトのベルト寄りと傾きを簡単な構成で検出でき、無端ベルトを備える装置の小型化およびコスト低減に寄与できるベルト位置姿勢検出装置、このベルト位置姿勢検出装置を備えたベルト装置およびこのベルト装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るベルト位置姿勢検出装置は、上記目的を達成するため、複数のローラに張架され、搬送される無端ベルトの姿勢の傾きおよび前記無端ベルトの搬送方向と直交するベルト幅方向の位置を検出するベルト位置姿勢検出装置であって、略平行光線を照射する光照射手段と、前記光照射手段から照射された前記略平行光線を受光して電気信号に変換する受光手段と、前記受光手段により変換された電気信号の出力値に基づき、前記無端ベルトのベルト幅方向の位置と傾きを算出する算出手段と、を備え、前記光照射手段と前記受光手段とが、前記無端ベルトを挟んで前記搬送方向に斜交いに配置され、前記光照射手段は、前記略平行光線の光路の一部が前記無端ベルトのベルト幅方向の一端と重なるよう、前記略平行光線を前記受光手段に向けて照射する構成を有する。
【0012】
また、本発明に係るベルト位置姿勢検出装置は、複数のローラに張架され、搬送される無端ベルトの姿勢の傾きおよび前記無端ベルトの搬送方向と直交するベルト幅方向の位置を検出するベルト位置姿勢検出装置であって、前記無端ベルトの搬送方向に沿って前記無端ベルトに形成された透過マークと、略平行光線を前記透過マークに向けて照射する光照射手段と、前記透過マークを透過した透過光を受光して電気信号に変換する受光手段と、を備え、前記光照射手段と前記受光手段とが、前記無端ベルトを挟んで前記搬送方向に斜交いに配置される構成を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、無端ベルトのベルト寄りと傾きを簡単な構成で検出でき、無端ベルトを備える装置の小型化およびコスト低減に寄与できるベルト位置姿勢検出装置、このベルト位置姿勢検出装置を備えたベルト装置およびこのベルト装置を備えた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の要部を示す概略図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るベルト装置の概略を示す概略構成図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るベルト位置姿勢検出装置により照射される光ビームを示す図であって、(a)は、光ビームを上から見た図であり、(b)は、受光素子上の光ビームを示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る受光素子の出力電圧とベルトエッジ位置との関係を示す図であって、(a)は、線形に変化する場合を示し、(b)は、非線形に変化する場合を示す。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るベルト位置姿勢検出装置により照射される光ビームを示す図であって、(a)は、光ビームを上から見た図であり、(b)は、イメージセンサ上の光ビームを示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るイメージセンサで得られたビームパターン画像を示す図であって、(a)は、二値化後のビームパターン画像を示し、(b)は、(a)に示すビームパターン画像を直線近似した図である。
【図7】図6(b)のビームパターン画像を関数近似した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係るベルト位置姿勢検出装置を備えた画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、画像形成装置を電子写真方式の複写機1に適用した例を示している。複写機としては、例えば、一般的な静電作像方法を用いて画像を形成するフルカラーの複写機やモノクロ画像を形成する複写機などが挙げられる。また、複写機以外にもプリンタ、複合機およびファクシミリ装置にも適用可能である。
【0017】
図1に示すように、複写機1は、4つの感光体ユニット2Y、2C、2M、2K(以下、単に感光体ユニット2ともいう)を備え、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のトナーを重ね合わせることによりフルカラー画像を形成するようになっている。感光体ユニット2Y、2C、2M、2Kはそれぞれ、各色に対応した感光体3Y、3C、3M、3Kと、帯電装置4Y、4C、4M、4Kと、現像装置5Y、5C、5M、5Kとを有している。
【0018】
各感光体ユニット2の感光体3Y、3C、3M、3Kは、帯電装置4Y、4C、4M、4Kにより表面が一様な電位となるように帯電される。感光体3Y、3C、3M、3Kは、図中矢印の方向に回転し、帯電工程の後、図示しない露光部からの光6Y、6C、6M、6Kにより画像情報に基づき画像部/非画像部とを分けて書き込み露光が行われる。これにより、感光体3Y、3C、3M、3Kの表面に静電潜像が形成される。感光体3Y、3C、3M、3Kの表面上の静電潜像の画像部には、現像装置5Y、5C、5M、5Kによりトナーが付着され、トナー像(顕像)が形成される。トナー像は、その後、1次転写部において1次転写ローラ7Y、7C、7M、7Kに印加したバイアスの作用により、中間転写ベルト8の表面に転写される。1次転写ローラ7Y、7C、7M、7Kは、中間転写ベルト8を挟んで各感光体3Y、3C、3M、3Kに対向して配置されている。
【0019】
また、各感光体3Y、3C、3M、3Kは、中間転写ベルト8の搬送経路上に、中間転写ベルト8に接して並んでいる。そして、各感光体3Y、3C、3M、3Kに形成されたトナー像は、各1次転写部で、順番に位置を合わせるようにして、中間転写ベルト8の外側表面に転写される。
【0020】
中間転写ベルト8上に形成されたフルカラーのトナー像は、2次転写部において転写紙上に転写される。転写紙は、複写機1の図示しない給紙部より供給され、図中点線で示す転写紙搬送経路21をレジストローラ対10に向けて搬送される。そして、転写紙は、レジストローラ対10で先端位置を調整され、2次転写部に搬送される。
【0021】
2次転写部では、中間転写ベルト8の外側に配置された2次転写ローラ11と、中間転写ベルト8の内側に配置された2次転写対向ローラ12との間に電界を形成し、転写紙にトナー像を転写する。2次転写ローラ11は、中間転写ベルト8方向に加圧され、中間転写ベルト8に接しながら、また転写紙への転写時には転写紙に接触しながら連れ回っている。
【0022】
トナー像が転写された転写紙は、定着装置13を通過し、加熱、加圧により、トナー像が用紙上に定着される。
【0023】
ここで、複写機1は、中間転写ベルト8と、ステアリングローラ15を含む各種ローラと、後述するベルト位置姿勢検出装置30とを含んで構成されたベルト装置20を備えている。
【0024】
中間転写ベルト8は、1次転写ローラ7Y、7C、7M、7K、ベルト駆動ローラ9、テンションローラ14、ステアリングローラ15などの各種ローラに張架され、一定速度で図中点線矢印で示す方向に搬送されるようになっている。ベルト駆動ローラ9は、モータ等の図示しない駆動源により回転駆動されている。テンションローラ14は、ローラ軸の両端部が付勢手段14aにより付勢されることにより、中間転写ベルト8を加圧する。
【0025】
ステアリングローラ15は、ローラ軸の両端部のうち、いずれか一方の端部、あるいは両端部の位置を調整可能となっている。例えば、ステアリングローラ15は、ローラ軸の一端部を図中矢印Aで示す方向に変位させることにより、ベルト駆動ローラ9やテンションローラ14などの他のローラに対して傾斜するようになっている。このように、ステアリングローラ15の傾斜角を適宜変更することによって、中間転写ベルト8のベルト寄りを補正することができる。
【0026】
ステアリングローラ15の傾斜角を調整するための機構としては、公知の各種機構を用いることができる。例えば、一端がステアリングローラ15の一端部に連結され、回転軸に軸支された中間部位を中心に回動可能な揺動アームと、揺動アームの他端に接触して回転する偏心カムと、偏心カムを駆動するカム駆動モータとを備え、偏心カムを回転駆動することにより揺動アームを回動させ、ステアリングローラ15の一端部を図中矢印Aで示す方向に変位させる機構を採用することができる。
【0027】
次に、図2および図3(a)、(b)を参照して、ベルト位置姿勢検出装置30について説明する。
【0028】
図2および図3(a)、(b)に示すように、ベルト位置姿勢検出装置30は、複数のローラ(例えば、ベルト駆動ローラ9、2次転写対向ローラ12、ステアリングローラ15など)に張架され、図中矢印Bで示す方向(以下、単に搬送方向Bという)に搬送される無端ベルトとしての中間転写ベルト8の姿勢の傾き、および中間転写ベルト8の搬送方向Bと直交するベルト幅方向(紙面に直交する方向)の位置を検出するものである。具体的には、ベルト位置姿勢検出装置30は、上記搬送方向に対して中間転写ベルト8のベルト幅方向への傾き、および中間転写ベルト8のベルト幅方向の一端の位置、すなわちベルトエッジ位置を検出する。
【0029】
ベルト位置姿勢検出装置30は、略平行光線の光ビームLを照射する光照射手段としての光源31と、光源31から照射された光ビームLを受光して電気信号に変換する受光手段としての受光素子32と、受光素子32により変換された電気信号の出力値に基づき、中間転写ベルト8のベルトエッジ位置と傾きを算出する算出手段33と、記憶手段34とを備えている。
【0030】
光源31と受光素子32とは、中間転写ベルト8を挟んで搬送方向Bに斜交いに配置されている。具体的には、光源31が中間転写ベルト8に対して上方に配置され、受光素子32が中間転写ベルト8に対して下方に配置されている。そして、光源31の発光面と受光素子32の受光面とが互いに対向するように、光源31と受光素子32とが位置決めされている。なお、光源31と受光素子32の配置は、逆であってもよい。また、光源31を中間転写ベルト8に対して下方に配置し、受光素子32を中間転写ベルト8に対して上方に配置してもよい。
【0031】
本実施の形態では、上述のように光源31と受光素子32を斜交いに配置することで、中間転写ベルト8の搬送方向Bの広範囲に亘って光ビームLを照射することができる。これにより、中間転写ベルト8の微小な傾きやベルト寄りを検出し易くなる。なお、光源31と受光素子32を斜交いでなく、上下に配置しても構わない。
【0032】
また、光源31は、光ビームLの光路の一部が中間転写ベルト8のベルト幅方向の一端(ベルトエッジ)と重なるよう、光ビームLを受光素子32に向けて照射するようになっている(図3(a)参照)。したがって、受光素子32に受光される光ビームLのビームパターンは、図3(b)に示すように、中間転写ベルト8により遮られた部分を除く光ビームLのビームパターンとなる。
【0033】
ここで、受光素子32は、受光した光ビームLのビームパターンが二分割されるように、第1の受光面32aと第2の受光面32bとを有する。すなわち、受光素子32の受光面は、第1の受光面32aと第2の受光面32bとに上下に二分割されている。これら第1の受光面32aおよび第2の受光面32bは、それぞれの受光領域に応じた電気信号を算出手段33に出力するようになっている。したがって、図3(a)に示すように、中間転写ベルト8の姿勢が傾いた状態では、受光素子32で受光される光ビームLの光強度は、第1の受光面32aと第2の受光面32bとで異なることとなる。つまり、図3(b)に示す例では、中間転写ベルト8の傾きに応じて、第1の受光面32aで受光される光ビームLの光強度よりも第2の受光面32bで受光される光ビームLの光強度が強いこととなる。この場合、第2の受光面32bの出力値(例えば、電圧)は、第1の受光面32aの出力値(例えば、電圧)よりも大きな値となる。
【0034】
図3(b)に示すビームパターンは、中間転写ベルト8に所定の傾きが生じた際のものを示すものであり、中間転写ベルト8の傾きの角度やベルトエッジ位置に応じて様々な形状となる。したがって、中間転写ベルト8に傾きやベルト寄りが生ずると、第1の受光面32aおよび第2の受光面32bで受光するビームパターンの面積もそれぞれ変化する。このとき、受光素子32は、第1の受光面32a上および第2の受光面32b上のビームパターンの面積に応じた出力値をそれぞれ出力する。
【0035】
記憶手段34には、中間転写ベルト8のベルトエッジ位置と受光素子32の出力値との相関情報が予め記憶されている。算出手段33は、受光素子32の出力値と記憶手段34に記憶された相関情報とに基づき、中間転写ベルト8のベルトエッジ位置および中間転写ベルト8の姿勢の傾きを算出する。
【0036】
具体的に、記憶手段34には、図4(a)、(b)に示すように、第1の受光面32aおよび第2の受光面32bのそれぞれから光強度に応じて出力される出力電圧と、出力電圧に応じたベルトエッジ位置とが関係付けられ記憶されている。
【0037】
図4(a)に示す例では、出力電圧とベルトエッジ位置とが線形の関係にあり、例えば第1の受光面32aの出力電圧V1から第1のベルトエッジ位置P1が得られ、かつ第2の受光面32bの出力電圧V2から第2のベルトエッジ位置P2が得られる。実際には、出力電圧とベルトエッジ位置との関係を線形とすることには困難があり、通常は図4(b)に示す通り、出力電圧とベルトエッジ位置との関係がテーブルあるいは関数として記憶手段34に記憶されている。したがって、算出手段33は、図4(b)に示す出力電圧とベルトエッジ位置との関係を示すテーブルを参照して、あるいは上記関係を示す関数を用いて演算を行うことにより、中間転写ベルト8の第1および第2のベルトエッジ位置P1、P2を算出することができる。
【0038】
より詳細には、算出手段33は、第1のベルトエッジ位置P1と第2のベルトエッジ位置P2との平均値あるいは加算値から、中間転写ベルト8の平均的なベルトエッジ位置を演算し、第1のベルトエッジ位置P1と第2のベルトエッジ位置P2との差分もしくは比から中間転写ベルト8の傾きを演算して出力する。このように、受光素子32の出力値とベルトエッジ位置を関係付けておくことにより、正確に中間転写ベルト8のベルトエッジ位置および傾きを算出することができる。
【0039】
ここで、一般に中間転写ベルト8などの無端ベルトは、ベルトエッジがベルト製造上の都合や材質等に起因して直線とはならず、凹凸形状となっている場合がある。このため、より正確な中間転写ベルト8のベルトエッジ位置および傾きを算出するには、以下に示す方法を用いるのが好ましい。
【0040】
すなわち、中間転写ベルト8が1回転する間に光源31から光ビームを所定時間間隔で複数回照射し、受光素子32がこれら複数回分(1回転分)の光強度に応じた出力電圧を算出手段33に出力する。算出手段33は、複数回に亘って受光素子32から得られる中間転写ベルト8の1回転分の出力電圧の平均値に基づき、中間転写ベルト8のベルトエッジ位置および傾きを算出する。これにより、ベルトエッジの凹凸形状による計測誤差を除去することができ、より正確な中間転写ベルト8のベルトエッジ位置および傾きを算出することができる。
【0041】
中間転写ベルト8のベルトエッジ位置および傾きの出力情報は、ステアリングローラ15(図2参照)の傾斜角を調整する機構のカム駆動モータを制御するステアリング制御部35に送信される。これにより、ステアリングローラ15は、算出手段33から出力されたベルトエッジ位置および傾きに応じて、傾斜角が変更される。すなわち、ステアリング制御部35は、ベルト位置姿勢検出装置30により検出された中間転写ベルト8のベルトエッジ位置および傾きに基づき、ステアリングローラ15の傾きを調整する調整手段を構成する。
【0042】
以上のように、本実施の形態に係るベルト位置姿勢検出装置30は、従来のようにベルトの位置を検出するためのセンサを複数設けることなく、中間転写ベルト8のベルトエッジ位置すなわちベルト寄りと、中間転写ベルト8の傾きを単一の光源31と受光素子32を用いた簡単な構成で同時に検出することができる。したがって、本実施の形態に係るベルト位置姿勢検出装置30は、中間転写ベルト8を備えるベルト装置20や、ベルト装置20を備える複写機1の小型化およびコスト低減に寄与することができる。
【0043】
(第2の実施の形態)
次に、図5〜図7を参照して、本発明の第2の実施の形態に係るベルト位置姿勢検出装置について説明する。
【0044】
なお、本実施の形態に係る給紙装置においては、本発明の第1の実施の形態に係るベルト位置姿勢検出装置とは、特に受光手段としてイメージセンサを用いるとともに中間転写ベルト8に透過マークを形成した点で異なるが、他の構成は、略同様に構成されている。したがって、図1から図4に示した第1の実施の形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
【0045】
図5(a)、(b)に示すように、本実施の形態に係るベルト位置姿勢検出装置50は、搬送方向Bに沿って中間転写ベルト8に形成された透過マーク8aと、略平行光線の光ビームLを透過マーク8aに向けて照射する第1の実施の形態と同一構成の光源31と、透過マーク8aを透過した透過光L´を受光して電気信号に変換する受光手段としてのイメージセンサ52と、イメージセンサ52の画像信号に基づき、中間転写ベルト8のベルトエッジ位置と傾きを算出する算出手段33と、記憶手段34とを備えている。
【0046】
光源31とイメージセンサ52とは、第1の実施の形態と同様、中間転写ベルト8を挟んで搬送方向Bに斜交いに配置されている。イメージセンサ52としては、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどを用いることができる。
【0047】
本実施の形態では、イメージセンサ52に受光されるビームパターンは、図5(b)に示すように透過マーク8aを透過した透過光L´のみにより形成される。したがって、イメージセンサ52は、入射した透過光L´のビームパターンを光電変換し、該光電変換によって得られた電気信号を画像信号として算出手段33に出力する。
【0048】
算出手段33は、イメージセンサ52から得られたビームパターンの画像信号に対して、一般的に用いられるアルゴリズムを用いて二値化あるいは輪郭抽出を行った後、関数近似する。例えば、算出手段33は、イメージセンサ52から得られたビームパターンの画像信号に対して、所定の閾値を用いて二値化処理を施し、図6(a)に示すビームパターン画像を取得し、これを最小二乗法などを用いて図6(b)に示すように直線近似する。
【0049】
このように直線近似を行った場合、図7に示すように、近似的に求められる関数y=ax+bの傾きaが中間転写ベルト8の傾き、定数bが中間転写ベルト8のベルトエッジ位置となる。なお、上述した二値化処理および直線近似の方法は、一例であり、これに限定されるものではなく、その他の二値化処理および直線近似の方法を用いてもよいことは言うまでもない。また、関数近似は、直線近似に限らない。
【0050】
記憶手段34には、上述した二値化あるいは輪郭抽出に用いられるアルゴリズムを指示するためのプログラムなどが記憶されている。
【0051】
以上のように、本実施の形態に係るベルト位置姿勢検出装置50は、従来のようにベルトの位置を検出するためのセンサを複数設けることなく、中間転写ベルト8のベルトエッジ位置すなわちベルト寄りと、中間転写ベルト8の傾きを単一の光源31とイメージセンサ52を用いた簡単な構成で同時に検出することができる。したがって、本実施の形態に係るベルト位置姿勢検出装置50は、中間転写ベルト8を備えるベルト装置や、ベルト装置を備える複写機1の小型化およびコスト低減に寄与することができる。
【0052】
また、本実施の形態に係るベルト位置姿勢検出装置50は、透過マーク8aの透過光L´をイメージセンサ52で受光して中間転写ベルト8のベルトエッジ位置および傾きを検出するので、第1の実施の形態のようにベルトエッジの凹凸形状の影響を受けることがない。このため、中間転写ベルト8の1回転分の検出結果の平均化を行う必要が無いので、検出結果の平均化による検出遅れを防止することができる。
【0053】
また、本実施の形態に係るベルト位置姿勢検出装置50は、イメージセンサ52を用いて中間転写ベルト8のベルトエッジ位置および傾きを検出するので、中間転写ベルト8の曲がった状態についても検出することが可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 複写機(画像形成装置)
7Y、7C、7M、7K 1次転写ローラ
8 中間転写ベルト(無端ベルト)
8a 透過マーク
9 ベルト駆動ローラ
12 2次転写対向ローラ
14 テンションローラ
15 ステアリングローラ
20 ベルト装置
30、50 ベルト位置姿勢検出装置
31 光源(光照射手段)
32 受光素子(受光手段)
32a 第1の受光面
32b 第2の受光面
33 算出手段
34 記憶手段
35 ステアリング制御部(調整手段)
52 イメージセンサ(受光手段)
L 光ビーム
L´ 透過光
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】特許第3976924号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のローラに張架され、搬送される無端ベルトの姿勢の傾きおよび前記無端ベルトの搬送方向と直交するベルト幅方向の位置を検出するベルト位置姿勢検出装置であって、
略平行光線を照射する光照射手段と、
前記光照射手段から照射された前記略平行光線を受光して電気信号に変換する受光手段と、
前記受光手段により変換された電気信号の出力値に基づき、前記無端ベルトのベルト幅方向の位置と傾きを算出する算出手段と、を備え、
前記光照射手段と前記受光手段とが、前記無端ベルトを挟んで前記搬送方向に斜交いに配置され、
前記光照射手段は、前記略平行光線の光路の一部が前記無端ベルトのベルト幅方向の一端と重なるよう、前記略平行光線を前記受光手段に向けて照射することを特徴とするベルト位置姿勢検出装置。
【請求項2】
前記無端ベルトのベルト幅方向の位置と前記電気信号の出力値との相関情報を予め記憶した記憶手段を備え、
前記算出手段は、前記記憶手段に記憶された前記相関情報に基づき、前記無端ベルトのベルト幅方向の位置および前記無端ベルトの姿勢の傾きを算出することを特徴とする請求項1に記載のベルト位置姿勢検出装置。
【請求項3】
前記算出手段は、前記受光手段から得られる前記無端ベルトの一回転分の前記電気信号の出力値の平均値に基づき、前記無端ベルトのベルト幅方向の位置および前記無端ベルトの姿勢の傾きを算出することを特徴とする請求項1または2に記載のベルト位置姿勢検出装置。
【請求項4】
複数のローラに張架され、搬送される無端ベルトの姿勢の傾きおよび前記無端ベルトの搬送方向と直交するベルト幅方向の位置を検出するベルト位置姿勢検出装置であって、
前記無端ベルトの搬送方向に沿って前記無端ベルトに形成された透過マークと、
略平行光線を前記透過マークに向けて照射する光照射手段と、
前記透過マークを透過した透過光を受光して電気信号に変換する受光手段と、を備え、
前記光照射手段と前記受光手段とが、前記無端ベルトを挟んで前記搬送方向に斜交いに配置されることを特徴とするベルト位置姿勢検出装置。
【請求項5】
前記受光手段は、イメージセンサであることを特徴とする請求項4に記載のベルト位置姿勢検出装置。
【請求項6】
前記無端ベルトが張架される前記複数のローラのうちの少なくとも1つが、ステアリングローラで構成されたベルト装置であって、
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のベルト位置姿勢検出装置と、
前記ベルト位置姿勢検出装置により検出された前記無端ベルトの姿勢の傾きおよび前記無端ベルトのベルト幅方向の位置に基づき、前記ステアリングローラの傾きを調整する調整手段と、を備えたことを特徴とするベルト装置。
【請求項7】
請求項6に記載のベルト装置を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−226207(P2012−226207A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95111(P2011−95111)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】