説明

ベルト張力ユニット及びそれを備えた画像形成装置

【課題】構成の複雑化を招くことなく省スペースで交換作業が容易なベルト張力ユニットを提供する。
【解決手段】画像形成装置本体100内に設けられていて、複数のローラ14,15,16で張架されて回転駆動される中間転写ベルト10のベルト表面10aに当接する張力部材501と、張力部材501をベルト表面10aに向かって加圧する加圧手段502とを備えたベルト張力ユニット500であって、中間転写ベルト10に対する張力部材502による加圧状態を解除する脱圧手段を持たず、画像形成装置本体100あるいは中間転写ベルト10を有するベルトユニット12に対して、装置駆動停止時に着脱可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト張力ユニット及びそれを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複数の機能を備えた複合機などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用した画像形成装置には、ベルト状像担持体を用いるタイプのものがある。このようなベルト状像担持体を用いる画像形成装置では、複数のローラでベルト状像担持体を張架して回転駆動するが、ベルト状像担持体が波打ってしまうと良好な画像形成の妨げになることから、ベルト張力ユニットを用いてベルト状像担持体に適度な張力を付与している。
ベルト張力ユニットは、張力部材となるテンションローラ、このテンションローラをベルト状像担持体に押し付ける加圧手段とを備えており、画像形成動作時には張力が付与された状態で画像形成がなされる。しかし、常時張力がかかった状態であると、テンションローラやベルト状像担持体への負荷が大きいため、非画像形成時やベルト状像担持体の交換時等には張力を弱めている。特に消耗品となるベルト状像担持体を複数のローラから取り外す場合には、非画像形成時以上にベルトに対する張力を弱めてローラから離脱して交換するようになっている。
例えば特許文献1では、ベルト張力ユニットにベルト脱着用に張力を弱める脱圧手段が一体で設けられていて、ベルト状像担持体を中間転写体として用いる特許文献2では、ベルト状像担持体となる中間転写体と、これを支持する複数のローラを備えた中間転写ユニットを有し、この中間転写ユニットを持ち上げることで張力を弱める構成となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1のように、ベルト状像担持体に張力を付与するベルト張力ユニットにベルト脱着用の脱圧手段が設けられていると、ユニット構成が複雑となり部品点数が多く、占有スペースが広くなってしまう。特許文献2のように、中間転写ユニットを持ち上げる構成であると、ベルト状像担持体の交換作業が難しい。
また電子写真方式を利用した画像形成装置には、画像形成装置のサイズを小さくするコンパクト化が要求されていることから、画像形成装置に用いる機能部品や機能ユニットのサイズを小さくし、部品点数が少なくコストを抑えることが要望されている。
本発明は、構成の複雑化を招くことなく省スペースで交換作業が容易なベルト張力ユニット及び画像形成装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係るベルト張力ユニットは、画像形成装置本体内に設けられていて、複数のローラで張架されて回転駆動されるベルト状像担持体の画像担持面に当接する張力部材と、張力部材をベルト状像担持体の画像担持面に向かって加圧する加圧手段とを有し、ベルト状像担持体に対する張力部材による加圧状態を解除する脱圧手段を持たず、画像形成装置本体あるいはベルト状像担持体を有するベルトユニットに対して、装置駆動停止時に着脱可能としたことを特徴としている。
本発明に係るベルト張力ユニットにおいて、張力部材はベルト状像担持体の幅方向に延在し、加圧手段は、ベルト状像担持体の幅方向においてそれぞれ独立して配置されていることを特徴としている。
本発明に係るベルト張力ユニットは、張力部材の両端を、その一端側で支持する一対のアーム部材と、各アーム部材を回動自在に支持する張力ユニットフレームと、アーム部材の他端と張力ユニットフレームとに両端が装着され、張力部材をベルト状像担持体に向かって加圧する加圧部材を有し、一対のアーム部材と張力ユニットフレームとに囲まれる領域内に、ベルト状像担持体の幅方向に延在し、張力ユニットフレームを補強するとともに、ベルト状像担持体の幅方向に移動可能に可動体を支持するガイド部材を有することを特徴としている。
本発明に係るベルト張力ユニットは、ベルトユニットが備えている画像形成装置本体の手前側と奥側とのフレームに支持されるとともに、奥側のフレームに、一方の端部が揺動自在に支持されていることを特徴としている。
本発明に係る画像形成装置は、複数のローラで張架されて回転駆動されるベルト状像担持体を有するベルトユニットと、ベルト状像担持体の画像担持面に当接する張力部材と、張力部材をベルト状像担持体の画像担持面に向かって加圧する加圧手段とを備えたベルト張力ユニットを備えていて、ベルト張力ユニットとして本発明に係るベルト張力ユニットを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、ベルト状像担持体に対する張力部材による加圧状態を解除する脱圧手段を持たず、画像形成装置本体あるいはベルト状像担持体を有するベルトユニットに対して装置駆動停止時にベルト張力ユニットを着脱可能としたので、構成の複雑化を招くことなく省スペースで交換作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の一形態を示す概略構成図。
【図2】ベルトユニットと脱圧手段の一形態を模式的に示す図。
【図3】ベルトユニットの接触状態から第1離間状態への移動動作を模式的に示す説明図。
【図4】ベルトユニットの第1離間状態から第2離間状態への移動動作を模式的に示す説明図。
【図5】他の実施形態に係るベルトユニットの脱圧手段を模式的に示す図であり、(a)は接触状態、(b)は第1離間状態、(c)は第2離間状態をそれぞれ示す。
【図6】ベルトユニットが備えるフレームの構成を示す斜視図。
【図7】本発明に係るベルト張力ユニットとクリーニングユニットの概略構成を装置手前側から見た拡大図。
【図8】クリーニングユニットの構成を示す斜視図。
【図9】ベルト張力ユニットの構成を斜め上方から見た斜視図。
【図10】ベルト張力ユニットの構成を中間転写ベルト側から見た斜視図。
【図11】クリーニングユニットとベルト張力ユニットの支持状態を示す図であり、(a)は手前側のフレームによる支持状態、(b)は奥側のフレームによる支持状態を示す拡大図。
【図12】脱圧手段による接触状態と、張力部材による張力付与状態を模式的に示す図。
【図13】ベルトユニットの第2離間状態を模式的に示す図。
【図14】ベルトユニットに対するベルト張力ユニットの着脱操作を説明するための斜視図。
【図15】ベルト張力ユニットに対してベルトユニットを装着した状態を説明するための斜視図。
【図16】ベルト張力ユニットに対してベルトユニットを奥側に押し込んだ途中の状態を説明するための斜視図。
【図17】ベルト張力ユニットに対してベルトユニットを奥側まで押し込んで装着完了した状態を説明するための斜視図。
【図18】画像形成装置本体に設けたインナカバーと脱圧手段を手動する操作レバーとの干渉状態を説明する模式図。
【図19】第2離間状態のときのインナカバーと操作レバーとの非干渉状態を説明する模式図。
【図20】ベルト張力ユニット及びベルトユニットに対してインナカバーの一部が干渉している状態を説明する模式図。
【図21】干渉しているインナカバーを取り外してベルト張力ユニット及びベルトユニットの着脱可能状態を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に本発明の実施形態について図面を用いて説明する。最初に本発明に係る画像形成装置の全体構成と動作を説明し、その後にベルト張力ユニットの構成について説明する。
【0008】
図1に示す画像形成装置は、タンデムフルカラーの複写機を例示している。この複写機は、画像形成装置本体となるプリンタ部100と、プリンタ部100の下方に配置された給紙部200と、プリンタ部100の上方に配置されたスキャナ部300と、スキャナ部300の上方に配置された自動原稿送り装置(以下「ADF」と記す)400とを備えている。画像形成装置としては、複写機に限定されるものではなく、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれら複数の機能を備えた複合機であっても良い。
【0009】
プリンタ部100は、その中央に中間転写体としての無端ベルト状の中間転写ベルト10を備えている。本形態では、この中間転写ベルト10がベルト状像担持体となる。中間転写ベルト10は、その表面が弾性層で構成されていて、側方からの眺めが逆三角形状の形状になる姿勢で、駆動ローラ14、従動ローラ15及び2次転写対向ローラ16に掛け回されて張架されていて、駆動ローラ14の回転駆動によって図中時計回り方向に無端移動せしめられる。駆動ローラ14と従動ローラ15の間で張架している中間転写ベルト10の上方には、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(黒)のトナー像を形成するための4つの画像形成ユニット18Y,18M,18C,18Kが、ベルト移動方向に沿って並ぶように配設されている。
【0010】
画像形成ユニット18Y,18M,18C,18Kは、潜像担持体としてのドラム状の感光体20Y,20M,20C,20Kと、現像ユニット61Y,61M,61C,61Kと、感光体クリーニングユニット63Y,63M,63C,63Kを有している。感光体20Y,20M,20C,20Kは、それぞれ中間転写ベルト10の画像担持面となるベルト表面10aに当接してY,M,C,K用の1次転写ニップを形成しながら、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動せしめられる。現像ユニット61Y,61M,61C,61Kは、感光体20Y,20M,20C,20Kに形成された静電潜像をY,M,C,Kのトナーによって現像するものである。感光体クリーニングユニット63Y,63M,63C,63Kは、1次転写ニップを通過した後の感光体20Y,20M,20C,20Kに付着している転写残トナーをクリーニングするものである。本複写機では、ベルト移動方向に沿って並べられた4つの画像形成ユニット18Y,18M,18C,18Kにより、タンデム画像形成部11が構成されている。
【0011】
プリンタ部100内において、タンデム画像形成部11の上方には、光書込ユニット21が配設されている。この光書込ユニット21は、図中反時計回り方向に回転駆動される感光体20Y,20M,20C,20Kの表面に対し、光走査による光書込処理を施して静電潜像を形成するものである。感光体20Y,20M,20C,20Kの表面は、それぞれその光書込処理に先立って、画像形成ユニット18Y,18M,18C,18Kの帯電手段によって一様に帯電せしめられる。
【0012】
中間転写ベルト10等を具備する中間転写手段としてのベルトユニット12は、中間転写ベルト10のループ内側に、1次転写ローラ62Y,62M,62C,62Kを有している。これら1次転写ローラ62Y,62M,62C,62Kは、Y,M,C,K用の1次転写ニップの裏側で中間転写ベルト10を感光体20Y,20M,20C,20Kに向けて押圧している。
【0013】
中間転写ベルト10の下方には、2次転写部材となる2次転写ローラ23が配設されている。この2次転写ローラ23は、中間転写ベルト10における2次転写対向ローラ16に対する掛け回し箇所にベルト表面側から当接して2次転写ニップを形成している。2次転写対向ローラ16には、図示しない高圧電源で構成される電圧印加手段が接続されていて、2次転写対向ローラ16にトナー像を構成するトナーの帯電極性と同極性の転写バイアスが印加されることで、接地された2次転写ローラ23との間で転写電界が形成される。これにより、中間転写ベルト10に担持された未定着トナー像は、2次転写ニップにおいて、所定のタイミングで送り込まれるシート状の記録媒体P(以下、「記録シートP」と記す)に一括2次転写される。
【0014】
未定着トナー像が転写された記録シートPは、2次転写ローラ23から搬送ベルト29に移動し、搬送ベルト29に吸着した状態で定着装置25まで搬送され、定着装置25で熱と圧力が加えられてトナー像の定着処理が行われる。定着装置25を通過した記録紙は、排出ローラ56により排紙トレイ57に排出されスタックされる。
【0015】
スキャナ部300は、コンタクトガラス32上に載置された原稿の画像情報を読取センサ36で読み取り、読み取った画像情報をプリンタ部100の図示しない制御手段に送信する。制御手段は、スキャナ部300から受け取った画像情報に基づき、プリンタ部100の光書込ユニット21におけるレーザーダイオードやLED等の光源を制御して、Y,M,C,K用のレーザー書込光を出射して、感光体20Y,20M,20C,20Kを光走査する。この光走査により、感光体20Y,20M,20C,20Kの表面に静電潜像が形成され、この静電潜像は所定の現像プロセスを経てY,M,C,Kトナー像に現像される。
【0016】
給紙部200は、ペーパーバンク43内に多段に配設された給紙カセット44から記録シートPを送り出す給紙ローラ42、送り出された記録シートPを分離して給紙路46に導く分離ローラ45、プリンタ部100の給紙路48に記録シートPを搬送する搬送ローラ47等を備えている。給紙については、給紙部200以外に、手差し給紙も可能となっており、手差しのための手差しトレイ51、手差しトレイ51上の記録シートPを手差し給紙路53に向けて一枚ずつ分離する分離ローラ52も設けられている。プリンタ部100内において、手差し給紙路53は給紙路48に合流している。
【0017】
給紙路48の末端付近には、レジストローラ対49が配設されている。レジストローラ対49は、給紙路48内を搬送されてくる記録シートPをローラ間に挟み込んだ後、所定のタイミングで2次転写ニップに向けて送り込む。
【0018】
本実施形態に係る複写機において、カラー画像のコピーをとるときには、ADF400の原稿台30上に原稿をセットするか、ADF400を開いてスキャナ部300のコンタクトガラス32上に原稿をセットしてADF400を閉じることで原稿を押さえる。そして、不図示のスタートスイッチを押す。すると、原稿がADF400にセットされている場合には、原稿がコンタクトガラス32上に搬送される。その後、スキャナ部300が駆動を開始し、第1走行体33及び第2走行体34が原稿面に沿った走行を開始する。そして第1走行体33にて光源から発した光を原稿面で発射させるとともに、得られた反射光を折り返して第2走行体34に向ける。折り返し光は、第2走行体34のミラーで更に折り返された後、結像レンズ35を通して読取センサ36に入射される。これにより原稿内容が読み取られる。
【0019】
プリンタ部100は、スキャナ部300から画像情報を受け取ると、画像情報に応じたサイズの記録シートを給紙路48に給紙する。また、これに伴って、不図示の駆動モータで駆動ローラ14を回転駆動して中間転写ベルト10を図中時計回り方向に無端移動させる。同時に、画像形成ユニット18Y,18M,18C,18Kの感光体20Y,20M,20C,20Kの回転駆動を開始した後、感光体20Y,20M,20C,20Kに対する帯電処理、光書込処理、現像処理などを行う。これらの処理によって感光体20Y,20M,20C,20Kの表面上に形成されたY,M,C,Kのトナー像は、Y,M,C,K用の1次転写ニップで順次重ね合わせて中間転写ベルト10のベルト表面4a上に1次転写されて、4色重ね合わせトナー像になる。
【0020】
給紙部200では、給紙ローラ42の1つが記録シートサイズに応じて選択的に回転され、複数の給紙カセット44のうちの1つから記録シートPが送り出される。送り出された記録シートPは、分離ローラ45で1枚ずつ分離されてから給紙路46に導入された後、搬送ローラ47を経由してプリンタ部100内の給紙路48に送られる。手差しトレイ51を用いる場合には、トレイの給紙ローラが回転駆動して、トレイ上の記録シートPを分離ローラ52で分離しながら手差し給紙路53に送り込まれて給紙路48の末端付近に至る。給紙路48の末端付近では、記録シートPが先端をレジストローラ対49に突き当てて止まる。その後、中間転写ベルト10上の4色重ね合わせトナー像に同期し得るタイミングでレジストローラ対49が回転駆動すると、2次転写ニップ内に送り込まれてベルト上の4色重ね合わせトナー像に密着する。そして、ニップ圧や2次転写バイアスなどの影響によって記録シートP上に一括2次転写される。
【0021】
2次転写ニップで4色重ね合わせトナー像が2次転写された記録シートPは、搬送ベルト29によって定着装置25内に送り込まれる。そして定着装置25で加圧ローラ27と定着ベルト26との間の定着ニップに挟み込まれると、加圧や加熱処理によって4色重ね合わせトナー像が表面に定着せしめられる。このようにしてカラー画像が形成された記録シートPは、排出ローラ対56を経由して機外の排紙トレイ57上にスタックされる。
【0022】
なお、記録シートPのもう一方の面にも画像が形成される両面コピーする場合には、記録シートPは定着装置25から排出された後、切替爪55による進路切り換えによってシート反転装置57に送られる。そして、上下反転された後、再びレジストローラ対49に戻されてから、2次転写ニップ及び定着装置25を再経由する。
【0023】
次に、ベルトユニット12の構成について説明する。
図2は、ベルトユニット12の拡大図である。ベルトユニット12は、モノクロ画像を作像する感光体20K上のトナー像を中間転写ベルト10上へ転写する転写部材としての1次転写ローラ62Kと、カラー画像を作像する複数の感光体20Y、20M、20C上のトナー像を中間転写ベルト10上へ転写する複数の転写部材としての1次転写ローラ62Y、62M、62Cとを備えている。このベルトユニット12は、1次転写ローラ62Kと感光体20Kとの接触・離間状態を制御する位置調整手段70と、1次転写ローラ62Y、62M、62Cと感光体20Y、20M、20Cとの接触・離間状態を制御する位置調整手段71を備えている。本形態において、これら位置調整手段70,71は、中間転写ベルト10にかかる張力を脱圧する脱圧手段として機能する。
【0024】
1次転写ローラ62K、62Y、62M、62Cと図1に示す駆動ローラ14、従動ローラ15、2次転写対向ローラ16及び位置調整手段70、71は、図6に示す一対のフレーム120、121に支持されている。金属製のフレーム120、121は、記録シートPの幅方向で有り、記録プリンタ部100の手前側と奥側とに間隔をもって配置されていて、互いに複数の連結部材で一体化されている。これらフレーム120、121には、後述するクリーニングユニット17とベルト張力ユニット500とが着脱自在に支持される。フレーム120は、後述するプリンタ部100に装着されるインナカバー601、602、603の装着部としても機能する。
【0025】
ベルトユニット12は、位置調整手段70,71により各感光体20と各第1転写ローラが後述する第2離間位置に位置させる張力脱圧動作後に、プリンタ部100に対して着脱自在とされている。
【0026】
なお、本形態において、ベルトユニット12、クリーニングユニット17及びベルト張力ユニット500の着脱は、プリンタ部100の手前側、すなわちフレーム120側から行われる。本形態において、装着方向とは、特別な断りがない限りプリンタ部100の手前側から奥側に向かう方向であり、離脱方向とは、特別な断りがない限りプリンタ部100の奥側から手前側に向かう方向である。
【0027】
位置調整手段70は、支持部材81と、第1カム72と、第2カム74とを備えている。支持部材81は、平板状もしくは矩形のフレーム形状であって、1次転写ローラ62Kと下流側バックアップローラ75とを回転自在に支持している。支持部材81は、1次転写ローラ62Kよりベルト進行方向上流側の位置でベルト内側に在る回転支点82を中心に中間転写ベルト10の内側面に接触・離間する方向に回動自在とされている。
【0028】
位置調整手段70は、中間転写ベルト10に対して位置固定された駆動ローラ14と従動ローラ15の間に1次転写ローラ62Kと下流側バックアップローラ75を配置した構成のため、支持部材81によって1次転写ローラ62Kと下流側バックアップローラ75との位置調整を容易に行うことができる。本実施形態では、支持部材81が回転支点82を中心として回動することで1次転写ローラ62Kと下流側バックアップローラ75とが連動して移動し、感光体20Kに対する中間転写ベルト10の位置を調整可能である。下流側バックアップローラ75は、中間転写ベルト10の位置を1次転写ローラ62Kよりも中間転写ベルト10の進行方向に対して下流側に配置されていて、1次転写ニップのニップ量を各色で同一とするためのローラとして機能する。
【0029】
図2に示すように、第1カム72と第2カム74とは、支持部材K81よりも図中の下方に設けられている。図2に示す状態は、第1カムK72が上死点で支持部材81を支持しており、中間転写ベルト10を感光体20Kに接触させる接触状態を示している。第1カム72と第2カム74とを回転することによって、支持部材81が回転支点82を中心として回動し、これに連動して転写ローラ62Kと下流側バックアップローラ75とを移動させることができる。そして、第1カムK72と第2カムK74との回転停止位置をそれぞれ制御することによって、2段階の回動動作(接触状態から第1離間状態、第1離間状態から第2離間状態の2動作)を行うことができる。第1段階の回動動作によって、感光体20Kから中間転写ベルト10を離間させて第1離間状態とする動作を行い、さらに第2段階の回動動作によって第2離間状態として、下流側バックアップローラ75の巻きつき量を減少させてベルト張力を低下させる動作を、順次行うことが可能である。なお、第1カム72と第2カムK74とは、互いに横に並べて配設するが、上下方向において第2カム74を第1カム72よりも下側であって、第1カム72の下死点の位置よりも第2カム74の上死点の位置が上になるように配設する。
【0030】
このように配設することにより、支持部材81は、接触状態では第1カム72の上死点で、第1離間状態では第2カム74の上死点で、第2離間状態では第1カム72または第2カム74の下死点で、それぞれ支持される。
【0031】
なお、以下の説明において、上記接触状態、第1離間状態及び第2離間状態それぞれにおける中間転写ベルトや転写ローラ等の位置を、「接触位置」、「第1離間位置」及び「第2離間位置」という。また、中間転写ベルト10や1次転写ローラ等が第2離間位置を占める装置の状態は、装置駆動停止時である。
【0032】
図3は、各第1転写ローラ62(Y、M、C、K)を移動させることによって中間転写ベルト10が各感光体20(Y、M、C、K)から離間した第1離間状態を示すベルトユニット12の拡大図である。モノクロ画像を作像する感光体20Kに対向する位置に配設された転写ローラ62Kについて説明する。第1転写ローラ62Kを図2に示す接触位置から図3に示す第1離間位置に遷移させるためには、図示しないモータ又はソレノイド等の駆動手段の駆動力により上死点の位置にある第1カムK72を180度回転させて下死点の位置で停止させる。すると、第1カムK72の回転に伴って、ベルト張力及び自重により支持部材K81は回転支点82を中心として転写ローラ62K及び下流側バックアップローラ75とともに図中時計回り方向に回動する。そして、支持部材K81は、第1カムK72が下死点に到達する前に、第2カムK74の上死点に当接して位置決めされる。
【0033】
図4は、各第1転写ローラ62(Y、M、C、K)をさらに移動させて中間転写ベルト10を各感光体20(Y、M、C、K)から図3に示す第1離間状態よりも更に離すように離間させた第2離間状態を示すベルトユニット12の拡大図である。モノクロ画像を作像する感光体20Kに対向する位置に配設された転写ローラ62Kについて説明する。第一転写ローラ62Kを図3に示す第1離間位置から図4に示す第2離間位置に遷移させるためには、後述する操作レバー700を手動で操作することにより、第2カム74を180度回転させて下死点の位置で停止させる。第2カム74の回転に伴って、ベルト張力及び自重により支持部材81は回転支点82を中心として転写ローラ62K及び下流側バックアップローラ75とともに図中時計回り方向にさらに回動する。そして、支持部材K81は、第1カム72の下死点の位置で位置決めされる。この第2離間位置では、第1離間位置よりも中間転写ベルト10が感光体20Kから離間した位置となる。なお、支持部材81を第2離間位置で支持するのは、第1カム72の下死点に限らず、第2カム74の下死点であってもよい。
【0034】
このように第1カム72を回動することで、支持部材81に支持された第1転写ローラ62Kが移動し、接触位置と第1離間位置との位置制御が可能であり、第2カム74を回動することで、第1離間位置と第2離間位置との位置制御が可能である。また、下流側バックアップローラ75も支持部材81に伴って移動し、接触位置、第1離間位置及び第2離間位置に位置制御される。このような位置制御の結果、中間転写ベルト10にかかる張力を、加圧したり脱圧することができる。
【0035】
カラー用の位置調整手段71は、図2に示すように、支持部材83と第1カム76と第2カム77とを備えている。支持部材83は、平板状もしくは矩形のフレーム形状であって、第1転写ローラ62Y、62M、62Cと上流側バックアップローラ78とを回転自在に支持している。支持部材83は、第1転写ローラ62Yよりベルト進行方向下流側の位置でベルト内側に在る回転支点84を中心に中間転写ベルト10の内側面に接触・離間する方向に回動自在とされている。
【0036】
位置調整手段71は、中間転写ベルト10に対して位置固定された駆動ローラ14と従動ローラ15の間に第1転写ローラ62Y、62M、62Cと上流側バックアップローラ78を配置した構成のため、支持部材83によって第1転写ローラ62Y、62M、62Cと上流側バックアップローラ78との位置調整を容易に行うことができる。本実施形態では、支持部材83が回転支点84を中心として回動することで第1転写口−ラ62Y、62M、62Cと上流側バックアップローラ78とが連動して移動し、感光体20Y、20M、20Cに対する中間転写ベルト10の位置を調整可能である。上流側バックアップローラ78は、第1転写ローラ62Cよりも中間転写ベルト10の進行方向に対して上流側に備えられており、1次転写ニップのニップ量を各色で同一とするためのローラとして機能する。
【0037】
第1カム76と第2カム77とは、支持部材83よりも図中の下方に設けられている。図2に示す状態は、第1カム76が上死点で支持部材83を支持しており、中間転写ベルト10を感光体20Y、20M、20Cに接触させる接触状態を示している。第1カム76と第2カム77とを回転することによって、支持部材83が回転支点84を中心として回動し、これに連動して1次転写ローラ62Y、62M、62Cと上流側バックアップローラ78とを移動させることができる。そして、第1カム76と第2カム77との回転停止位置をそれぞれ制御することによって、2段階の回動動作(接触状態から第1離間状態、第1離間状態から第2離間状態の2動作)を行うことができる。第1段階の回動動作によって、感光体20Y、20M、20Cから中間転写ベルト10を離間させる動作を行い、さらに第2段階の回動動作によって上流側バックアップローラ78の巻きつき量を減少させてベルト張力を低下させる動作を、順次行うことが可能である。
【0038】
第1カム76と第2カム77とは、互いに横に並べて配設するが、上下方向において第2カム77を第1カム76よりも下側であって、第1カム76の下死点の位置よりも第2カム77の上死点の位置が上になるように配設する。このように配設することにより、支持部材83は、接触状態では第1カム76の上死点で、第1離間状態では第2カム77の上死点で、第2離間状態では第1カム76または第2カム77の下死点で、それぞれ支持される。
【0039】
1次転写ローラ62Y、62M、62Cを図2に示す接触位置から図3に示す第1離間位置に遷移させるためには、図示しないモータ又はソレノイド等の駆動手段の駆動力により上死点の位置にある第1カム76を180度回転させて下死点の位置で停止させる。すると、第1カム76の回転に伴って、ベルト張力及び自重により支持部材83は回転支点84を中心として転写ローラ62Y、62M、62C及び上流側バックアップローラ78とともに図中反時計回り方向に回動する。そして、支持部材83は、第1カム76が下死点に到達する前に、第2カム77の上死点に当接して位置決めされる。
【0040】
1次転写ローラ62Y、62M、62Cを図3に示す第1離間位置から図4に示す第2離間位置に遷移させるためには、後述する操作レバー700を手動で操作することにより、第2カム77を180度回転させて下死点の位置で停止させる。第2カム77の回転に伴って、ベルト張力及び自重により支持部材83は回転支点84を中心として転写ローラ62Y、62M、62C及び上流側バックアップローラ78とともに図中反時計回り方向にさらに回動する。そして、支持部材83は、第1カム76の下死点の位置で位置決めされる。この第2離間位置では、第1離間位置よりも中間転写ベルト10が感光体20Y、20M、20Cから離間した位置となる。なお、支持部材83を第2離間位置で支持するのは、第1カム76の下死点に限らず、第2カム77の下死点であってもよい。
【0041】
このように第1カム76を回動することで、支持部材83に支持された第1転写ローラ62Y、62M、62Cが移動し、接触位置と第1離間位置との位置制御が可能であり、第2カム77を回動することで、第1離間位置と第2離間位置との位置制御が可能である。また、上流側バックアップローラ78も支持部材83に伴って移動し、接触位置、第1離間位置及び第2離間位置それぞれに位置制御される。このような位置制御の結果、中間転写ベルト10にかかる張力を、加圧したり脱圧することができる。
【0042】
本実施形態では、接触状態で、2つのバックアップローラ75、78と、ブラック用の第1転写ローラ62K及び複数のカラー用転写ローラ62C、62M、62Yとが略同一平面上で中間転写ベルト10に当接している。2つのバックアップローラ75、78があることで、全ての感光体20Y、20M、20C、20K及び第1転写ローラ62Y、62M、62C、62Kを使用して印刷を行うとき(フルカラー印刷時)の各転写ニップ量を同一にすることができる。特に、図2に示すように、上流側バックアップローラ78は、感光体20Cの上流側で中間転写ベルト10が従動ローラ15側に傾斜することを防ぎ、下流側バックアップローラ75は、感光体20Kの下流側で中間転写ベルト10が駆動ローラ14側に傾斜することを防いでいる。
【0043】
本実施形態では、位置調整手段70、71の回転支点82及び回転支点84が、ブラック用第1転写ローラ62Kとカラー用転写ローラ62Y、62M、62Cとの間にそれぞれ配置された構成なので、ブラックの画像形成部分(感光体20K、第1転写ローラ62K)またはカラー画像形成部分(感光体ドラム20Y、20M、20C、第1転写ローラ62Y、62M、62C)の何れか一方を離間状態とすることも容易である。
【0044】
また、位置調整手段70、71により、中間転写ベルト10や各第1転写ローラが第2離間位置を占めた状態では、ベルト張力は最も弱い状態とされるため、ベルト交換や後述するベルト張力ユニット500を着脱する際も容易に着脱作業を行えることになる。
【0045】
なお、接触状態及び第1離間状態となるのは印刷時及び印刷待機時なので、複写機の通常の使用形態(複写機の電源オンの状態で印刷と待機動作を何度も繰り返すケース)を考えれば、駆動手段により自動で位置調節するのが好ましい。これに対して、第2離間状態にするのはベルトユニット12や各感光体を備えた図1に示す画像形成ユニット18Y、18M、18C、18Kの着脱時であり、主に中間転写ベルト10や各感光体の交換などの装置のメンテナンス時などを想定している。第2離間状態の位置調節動作は、接触状態と第1離間状態との間の位置調整動作に比べてきわめて頻度が低いため、装置の製造コストなどを考慮して駆動手段は設けず、操作レバー700等で手動で調節するのが好ましい。
【0046】
第1離間位置はベルトユニット12あるいは画像形成ユニット18Y、18M、18C、18Kの着脱性に関係なく、第1転写ローラ62Y、62M、62C、62Kと各感光体20Y、20M、20C、20Kとが接近する位置に設定しており、中間転写ベルト10と感光体20Y、20M、20C、20Kとの接触・離間動作中に発生する中間転写ベルト10の走行経路の変動が小さいため、ベルト張力の変動を抑制することが可能であり、中間転写ベルト10に所定のベルト張力が付与される。このため、中間転写ベルト10の幅方向位置制御に狂いが生じることや、中間転写ベルト10の駆動中のベルトの弛みやスリップを防止することが可能である。
【0047】
第2離間位置はベルト張力が変動することにより中間転写ベルト10の蛇行制御が不安定になることに関係なく、中間転写ベルト10と複数の感光体20Y、20M、20C、20Kとが大きく離間するように設定されているため、ベルトユニット12(特に、中間転写ベルト10、駆動ローラ14と従動ローラ15、2次転写対向ローラ16)と画像形成ユニット18Y、18M、18C、18Kの着脱性が非常に良好である。
【0048】
本実施形態に係る構成では、接触状態と第1離間状態とで、転写ローラ62Y、62M、62C、62K及び下流側バックアップローラ75、上流側バックアップローラ78の移動距離が小さく設定されている。下流側バックアップローラ75、上流側バックアップローラ78は、駆動ローラ14と従動ローラ15と比較して中間転写ベルト10への巻きつき量が小さく、ベルト張力を受ける力も小さい。そのため、接離を行う駆動部品(第1カム72、第1カム76)にかかる負荷が小さい。また、接触状態と第1離間状態とでベルト張力の変動を小さく設定することができる。
【0049】
第1離間状態と第2離間状態とで、転写ローラ62Y、62M、62C、62K及び下流側バックアップローラ75、上流側バックアップローラ78が移動する距離が大きく設定されている。第2離間状態は、ベルト張力を確保する必要は無く、各感光体と中間転写ベルト10との距離を大きく離間させる位置に設定されており、感光体20Y、20M、20C、20Kと中間転写ベルト10との着脱性に優れる。なお、図4に示すように、本実施形態に係る構成では第2離間状態で各バックアップローラ75、78へのベルト巻きつき量を減少させることにより、中間転写ベルト10の張力を大きく低下させている。したがって、中間転写ベルト10、各1次転写ローラ、駆動ローラ14、従動ローラ15、2次転写対向ローラ16、バックアップローラ75、78等を含む、ベルトユニット12を感光体20Y、20M、20C、20Kから離した後、さらに各ローラから中間転写ベルト10を取り外す動作も容易に行うことができる。
【0050】
図5は、脱圧手段として機能する位置調整手段の別な形態を示すとともに、ベルトユニット(中間転写ユニット)12の離間状態を模式的に示す図である。図5(a)は接触状態、(b)は第1離間状態、(c)は第2離間状態をそれぞれ示す。この実施形態にかかる離脱手段たる位置調整手段70Aは、第1転写ローラ62Kよりも中間転写ベルト10の進行方向上流側の位置に補助ローラ91を有する点が、先の位置調整手段70と異なる。補助ローラ91は回転支点82と1次転写ローラ62Kとの間で回転支点82寄りの位置に、支持部材81によって回動可能に支持されている。図5(a)に示す接触状態では、補助ローラ91と転写ローラ62Kとが、中間転写ベルト10に巻きつくことなく当接している。これに対して、図5(b)及び図5(c)に示す各離間状態では、補助ローラ91が中間転写ベルト10に巻きついている。
【0051】
これらの状態では補助ローラ91が回転支点82のすぐ上方で中間転写ベルト10を支持するので、回転支点82と中間転写体ベルト10とが接触することは無い。このように補助ローラ91を設けることによって、回転支点82と各ローラとの配置の自由度が増す。また、第1転写ローラ62Kが補助ローラ91と下流側バックアップローラ75との間に位置し、かつ、これらが図5(a)〜図5(c)に示すように、一直線上に並んだ位置関係を保持しつつ連動して移動するため、第1転写ローラ62Kが中間転写ベルト10に巻きつくことが無い。転写精度に影響する第1転写ローラ62Kに対して中間転写ベルト10の巻きつきによる負荷がかかることが無いため、第1転写ローラ62Kの支持軸の歪みや変形を防ぐことができる。
【0052】
ここで、図5(a)〜図5(c)を参照して感光体20Kと第1転写ローラ62Kとの離間距離の設定例を示す。回転支点82から下流側バックアップローラ75までの距離を例えば200mm、回転支点82から転写ローラ62Kまでの距離を例えば130mmとし、図5(a)に示すように接触状態を設定する。この接触状態から第1カムK72を180度回動させて支持部材81と第1カム72との接触位置を略鉛直下方に移動させ、支持部材81を第2カム74の上死点に当接させる。この状態が図5(b)に示すように、第1離間状態である。このときの感光体20Kと第1転写ローラ62Kとの離間距離Dlは、例えば4mmである。
【0053】
さらに第1離間状態から第2カム74を180度回動させて支持部材81と第2カム74との接触位置を略鉛直下方に移動させ、支持部材K81を第1カム72の下死点に当接させる。この状態が図5(c)に示すように、第1離間状態よりも離間量が大きな第2離間状態である。このときの感光体20Kと第1転写ローラ62Kとの離間距離D2は、例えば17mmである。
【0054】
中間転写ベルト10への下流側バックアップローラ75の巻きつき量及び中間転写ベルト10のベルト張力は、接触状態で最も大きく、次いで、第1離間状態、第2離間状態の順に大きい。第1離間状態では離間距離D1が例えば4mmと小さく設定されており、接触状態と比べたときの下流側バックアップローラ75の巻きつき量やベルト張力の差は小さい。これに対して第2離間状態では離間距離D2が例えば17mmと大きく設定されており、バックアップローラ75のベルトへの巻きつき量は小さくなり、ベルト張力も小さくなる。
【0055】
なお、本実施形態では、ブラック用の支持部材81に補助ローラ91を設けた構成について説明したが、さらにカラー側の支持部材83に同様の補助ローラを設けてもよい。
【0056】
次に、クリーニングユニット17とベルト張力ユニット500について説明する。プリンタ部100内には、クリーニングユニット17とベルト張力ユニット500が配置されている。クリーニングユニット17は、2次転写ニップを通過した後、4色のうちで1次転写工程が最も上流となるY用の1次転写ニップに進入する前の位置、すなわち、従動ローラ15と2次転写対向ローラ16の間に配置されている。このクリーニングユニット17は、2次転写を終えたベルト表面10aに付着している転写残トナーや紙粉をクリーニングするものである。
【0057】
クリーニングユニット17は、図7、図8に示すように、中間転写ベルト10のベルト表面10aの移動方向の上流側から下流側に、クリーニング部材としてのブラシローラ101、クリーニング部材としてのクリーニングブレード103、潤滑剤塗布部材としての塗布ブラシローラ105、潤滑剤均し部材としての均しブレード107の順番でユニットフレーム109に支持されて配設されている。これらブラシローラ101、クリーニングブレード103、塗布ブラシローラ105及び均しブレード107は、ベルト表面10aに当接するように配置されている。
【0058】
ブラシローラ101は、ユニットフレーム109に回転自在に支持されていて、ベルト表面10aに付着した紙粉や転写残トナーを回転することで欠き落とす機能を有している。ブラシローラ101は中間転写ベルト10との連れ回りにしても良いが、本形態ではベルト駆動によって回転駆動するようにしている。ブラシの毛の材質はここではPET樹脂を使用している。
【0059】
ブラシローラ101をクリーニングブレード103よりもベルト移動方向の上流側に配置することで、紙粉除去と同時に転写残トナーの除去も行なうことができ、クリーニングブレード103への負担を軽減し、同ブレード103の寿命を延ばすという効果も期待できる。
【0060】
ポリウレタンゴムに代表されるゴム製の板材で構成されたクリーニングブレード103は、ベルト表面10aに付着した紙粉や転写残トナーを中間転写ベルト10が移動することで、掻き落とす周知のものである。
【0061】
塗布ブラシローラ105は、ユニットフレーム109に回転自在に支持されていて、固形潤滑剤111の端面とベルト表面10aに、そのブラシ部が接触していて、図示しない駆動手段によって回転駆動されることで、固形潤滑剤111を削り取ってベルト表面10aに塗布し、ベルト表面の平滑性を高めている。均しブレード107は、塗布ブラシローラ105でベルト表面10aに塗布された潤滑剤の厚さを均一にするためのものである。
【0062】
ユニットフレーム109の上部には、スライドレール113が設けられている。金属製のスライドレール113は断面C字形状であって、プリンタ部100の手前から奥側に向かって延在しており、その開口部113aが上方に向くようにビス等の締結部材によってユニットフレーム109に固定されている。
【0063】
スライドレール113は、図7,9に示すベルト張力ユニット500に設けられている断面ハット形状のガイド部材510を内部に収納し、ハット状のフランジ510a、510bに開口113aの両端が引っかけられ、プリンタ部100の手前と奥側とにスライド自在に支持される。つまり、ベルト張力ユニット500が固定状態の場合、クリーニングユニット17は狭義の意味ではベルト張力ユニット500に対して着脱自在に移動可能であり、広義の意味ではベルト張力ユニット500をフレーム120、121で支持するベルトユニット12に対して着脱自在に移動可能に構成されている。
【0064】
図8に示すように、ユニットフレーム109の手前側に位置する側面109aと奥側に位置する側面109bには、図6に示すフレーム120、121への装着部160、161が形成されている。装着部160は、クリーニングユニット17をフレーム120に装着する際の状態において上下方向に間隔をもって側板109aに形成された穴160a、160bで構成されている。穴160aは円形であり、穴160bは上下方向に長い長穴とされている。装着部161は、同じく上下方向に間隔をもって側板109bから奥側に向かって突出して形成された断面円形のピン161a、161bで形成されている。これらピン161a、161bは、ベルト張力ユニット500をフレーム120、121に装着する際の水平方向に互いにずらして配設されている。側面109aには、クリーニングユニット17を着脱する際に作業者に把持される掴み部114が形成されている。
【0065】
本形態に係るベルト張力ユニット500は、図7,図9,図10に示すように、ベルト表面10aに当接する張力部材としてのテンションローラ501と、テンションローラ501をベルト表面10aに向かって加圧する加圧手段502とを備えている。そして、本形態においては、位置調整手段70,71がベルトユニット12に装着されていて、その機能により中間転写ベルト10の張力が弱められて脱圧手段として機能する。そのため、ベルト張力ユニット500は、テンションローラ501による加圧状態を解除する脱圧手段を有していない構成とされている。ベルト張力ユニット500は、ベルトユニット12に対して装置駆動停止時に着脱可能とされている。
【0066】
テンションローラ501は、中間転写ベルト10のベルト移動方向と交差する幅方向に延在している。本形態において、中間転写ベルト10の幅方向はプリンタ部100の手前と奥側への方向に相当し、この方向が着脱方向となる。
【0067】
加圧手段502は、張力ユニットフレーム503に軸504で回動自在に支持されたアーム部材505と、テンションローラ501をベルト表面10aに向かって加圧する加圧部材としての引っ張りコイルバネ506を有している。アーム部材505は、テンションローラ501の中心軸501Aの片側端を、その一端側503aで回転自在に支持している。引っ張りコイルバネ506は、その一端506aがアーム部材505の他端505bに装着され、その他端506bが張力ユニットフレーム503に装着されていて、アーム部材505が軸504を中心にして上昇する方向に加圧している。つまり、加圧手段502は、常にテンションローラ501を中間転写ベルト10への加圧方向に付勢している。
【0068】
本形態において、このような構成の加圧手段502は、中間転写ベルト10の幅方向、すなわちテンションローラ501が延在する方向にそれぞれ独立して配置されている。
【0069】
金属製のガイド部材510は、一対のアーム部材505,505と張力ユニットフレーム506とに囲まれるフレーム領域内に、中間転写ベルト10の幅方向に延在し、張力ユニットフレーム503の側面503a、503bを繋ぐように張力ユニットフレーム503に固定されている。つまり、ガイド部材510は、強い負荷がかかるテンションローラ501を支持するアーム部材505を回転自在に支持する軸504が装着されたフレーム503の側面506a、506bを補強する機能とともに、着脱方向となる幅方向に移動可能に可動体となるクリーニングユニット17を支持する機能を兼ね備えている。
【0070】
図9、図10に示すように、張力ユニットフレーム503の手前側に位置する側面503aと奥側に位置する側面503bには、図6に示すフレーム120、121への装着部511、512が形成されている。装着部511は、側面503aの一部を手前側に折り曲げてフレーム120よりも外側に位置させた把持部514に、ベルト張力ユニット500をフレーム120に装着する際の水平方向に間隔をもって形成された穴511a、511bで構成している。穴511aは円形であり、穴511bは水平方向に長い長穴とされている。装着部512は、図9に示すように、ベルト張力ユニット500をフレーム120に装着する際の上下方向に間隔をもって側板503bに形成された断面円形のピン512a、512bで構成している。
【0071】
図6に示すフレーム120,121には、クリーニングユニット17を装着する位置決め部150、151と、ベルト張力ユニット500を装着する位置決め部152、153がそれぞれ形成されている。
【0072】
手前側のフレーム120に形成された位置決め部150は、フレーム手前側に突出していて、図8に示すクリーニングユニット17の装着部160の穴160a、160bに挿入されてクリーニングユニット17の片側を支持するピン150a、150bで構成されている。奥側のフレーム121に形成された位置決め部151は、クリーニングユニット17の装着部161のピン161a、161bを挿入してクリーニングユニット17の片側を支持する位置決め穴151a、151bで構成されている。位置決め穴151aは円形であって、穴151bは上下方向に延びる長穴である。
【0073】
手前側のフレーム120に形成された位置決め部152は、フレーム手前側に突出していて、図9に示すベルト張力ユニット500の装着部511の穴511a、511bに挿入されてベルト張力ユニット500の片側を支持するピン152a、152bで構成されている。フレーム121に形成された位置決め部153は、ベルト張力ユニット500の奥側に位置する装着部512のピン512a、512bを挿入してベルト張力ユニット500の片側を支持する位置決め穴153a、153bで構成されている。位置決め穴153aは円形であって、位置決め穴153bは上下方向に延びる長穴である。
【0074】
フレーム120に形成された位置決め部152は、手前側から見て、中間転写ベルト10の内側に位置し、フレーム121に形成された位置決め部153は、中間転写ベルト10の外側に位置し、かつ、ベルト張力ユニット500の着脱時の揺動支点となるように構成されている。
【0075】
位置決め部151において、一方の位置決め穴151aは、クリーニングユニット17のフレーム121への装着時の主基準をなし、他方の位置決め穴151bはクリーニングユニット17装着時の従基準を成している。
位置決め部153において、一方の位置決め穴153aは、ベルト張力ユニット500のフレーム121への装着時の主基準をなし、他方の位置決め穴153bはベルト張力ユニット装着時の従基準を成している。
【0076】
ベルト張力ユニット500をフレーム120,121に装着するには、奥側に位置する装着部512のピン512a、512bを、図11(b)に示すように、フレーム121の位置決め部153の位置決め穴153a、153bに挿入し、手前側のフレーム120の位置決め部152のピン152a、152bを、図11(a)に示すように手前側に位置する装着部511の穴511a、511bに手前側すら挿入することで、フレーム120,121に装着される。
【0077】
ベルト張力ユニット500が装着状態となると、テンションローラ501が中間転写ベルト10のベルト表面10側に押し当てられる。このとき脱圧手段となる図2〜図5に示した位置調整手段70,71によって、図12に示す接触位置から図13に示す第2離間位置を中間転写ベルト10が占めているので、ベルト張力は最も弱い状態のため、テンションローラ501にかかる負荷が小さく、ベルト張力ユニット500を装着する作業が手動でも容易に行える。
【0078】
ベルト張力ユニット500を装着状態から離脱するには、把持部514を作業が持って手前に引出し、ピン152a、152bと装着部511の穴511a、511bとの係合状態を解除し、ピン512a、512bを位置決め穴153a、153bから抜くことで行える。このようなベルト張力ユニット500を複写機から離脱する場合でも、位置調整手段70,71によって図13に示す第2離間位置に中間転写ベルト10を置くことで、ベルト張力ユニット500を離脱する作業が手動でも容易に行える。
【0079】
また、位置調整手段70,71により第2離間状態で中間転写ベルト10のベルト張力が大きく低下している状態で、ベルト張力ユニット500をベルトユニット12から離脱すると、ベルトユニット12の下方に開口空間が形成されるため、駆動ローラ14,支持ローラ15、2次転写対向ローラ16から中間転写ベルト10を容易に着脱して交換することができる。すなわち、図13に示すように、上述した位置調整手段70,71により第2離間状態で中間転写ベルト10のベルト張力は大きく低下して緩んだ状態となっているので、手動によりベルト張力ユニット500ベルトユニット12から離脱することは容易に行える。
【0080】
これらベルト張力ユニット500の着脱動作に際し、フレーム121に形成した下方の位置決め穴153bは、上下方向に延びる長穴とされているので、ベルト張力ユニット500の511bを位置決め穴153bに挿入した状態でベルト張力ユニット500を図14に示すように上下方向に揺動することができる。すなわち、ベルト張力ユニット500は一方の端部がフレーム121に揺動自在に支持されることになる。
【0081】
次にクリーニングユニット17を複写機に装着するには、すでにフレーム120,121に支持されて複写機に装着されているベルト張力ユニット500のガイド部材510にクリーニングユニット17のスライドレール113を、図15に示すように手前側から挿入する。そして図16に示すようにクリーニングユニット17を手前側から奥側に向かって押し込む。すると、クリーニングユニット17はベルト張力ユニット500に吊下げられた状態で移動し、図17に示す装着完了位置まで押し込む。
【0082】
クリーニングユニット17が図17に示す装着完了位置を占めると、クリーニングユニット17のピン161a、161bが図11(b)に示すようにフレーム121の位置決め穴151a、151bに挿入されるとともに、クリーニングユニット17の装着部160の穴160a、160bが、図11(a)に示すようにフレーム120の位置決めピン152a、152bに挿入される。このため、クリーニングユニット17はベルト張力ユニット500に吊下げられた状態からフレーム120,121で支持された状態となる。そして、ビス165を側板109a側からフレーム120にねじ込むことで、クリーニングユニット17がフレーム120に固定され、クリーニングユニット17が固定されることで、ベルト張力ユニット500もその移動が規制されて固定される。つまり、クリーニングユニット17がベルト張力ユニット500に支持された状態で、ベルト張力ユニット500をベルトユニット12から着脱されるのを規制する着脱規制部材としてビス165を有しているので、両ユニットの着脱手順を規制できる。これは、ビス165を外してクリーニングユニット17を離脱しなければベルト張力ユニット500を複写機から離脱することができないため、ベルト張力ユニット500の着脱時にクリーニングユニット17内の廃トナー等の飛散を防止でき、装置及び周辺環境の汚れを防止できる。
【0083】
このように、中間転写ベルト10に対するテンションローラ501による加圧状態を解除する脱圧手段となる位置調整手段70,71をベルト張力ユニット500が持たず、ベルトユニット12に対して装置駆動停止時に着脱可能としたので、ベルト張力ユニット500着脱時にテンション解除の操作が必要なく、構成の複雑化を招くことなく省スペースで交換作業が容易となる。
【0084】
テンションローラ501を中間転写ベルト10に向かって加圧する加圧手段502を、テンションローラ501の長手方向となる装置の手前側と奥側とで独立して配置したので、1つの加圧手段を用いた加圧の場合に比べて、装置の手前側と奥側での中間転写ベルト10へのテンションの偏差が少なくなり、ベルト張力が安定する。
【0085】
本発明に係るベルト張力ユニット500は、中間転写ベルトのクリーニング用のクリーニング手段17を着脱方向にスライド自在に支持するガイド部材510を、一対のアーム部材505、505と張力ユニットフレーム506とに囲まれるフレーム領域内に配置したので、クリーニングユニット17のスライド機能をベルト張力ユニット500の投影面積内に納めることができ、省スペース化に役立つ。
【0086】
本発明に係るベルト張力ユニット500は、テンションローラ501を中間転写ベルト10のループの外側に位置するベルト表面10a側からループ内に向かって当接するので、中間転写ベルト10のループ内から当接させる構成に比べて、中間転写ベルト10(ベルトユニット12)の占有スペースが小さくて済み、省スペース化を図ることができる。また、中間転写ベルト10のベルト表面10a側に当接させるテンションローラ501を支持するベルト張力ユニット500と、クリーニングユニット17とを近接して配置し、ベルト張力ユニット500にクリーニングユニット17を着脱可能としているので、クリーニングユニット17の着脱の作業性が向上し、着脱構及び両ユニットの省スペース化が図れる。
【0087】
本形態に係るベルト張力ユニット500は、張力ユニットフレーム503にクリーニングユニット17の着脱用のガイド部材510を備え、クリーニングユニット17にガイド部材510で案内されるスライドレール113を配置したので、これらスライド機構を各ユニットと個別に形成する場合に比べて省スペース化を図れる。
【0088】
本形態では、中間転写ベルト10が感光体20Y、20M、20C、20Kに対して接離自在であって、脱圧手段となる位置調整手段70,71による張力脱圧動作が、中間転写ベルト10を図13に示す各感光体20Y、20M、20C、20Kから離間させる動作であり、ベルトユニット12が、張力脱圧動作後にプリンタ部100に対して着脱自在としたので、ベルト張力解除と同時に中間転写ベルト10と各感光体を大きく離間することができ、一つの動作で、各感光体を備えた画像形成ユニット18Y、18M、18C、18Kの着脱性、ベルトユニット(中間転写ユニット)12の着脱性の向上及びベルト張力の解除が可能となり、部品点数を少なくし低コストが可能となる。
【0089】
本形態において、ベルト張力ユニット500は、ベルトユニット12の奥側のフレーム121に、一方の端部が揺動自在に支持されているので、フレーム120からベルト張力ユニット500の片側を外した場合でも、ユニットの端部がフレーム121で支持されることとなり、着脱時に作業者にかかるベルト張力ユニット500の重さを軽減することができ、操作性が向上する。また、ベルト張力ユニット500の着脱時の揺動支点がプリンタ部100の奥側となるため、手前側で操作する際に少ない力でベルト張力ユニット500の着脱が可能となり、作業性が向上する。
【0090】
本形態において、ベルト張力ユニット500の位置決め部153を構成する位置決め穴153a、153bのうち、長穴である穴153bを従基準、ピン512aを挿入する円形の位置決め穴153aを主基準としているので、ベルト張力ユニット500の着脱性が向上する。
【0091】
本形態では、中間転写ベルト10がベルトユニット12に装着されている時に、ベルト張力ユニット500を着脱するため、図14に示すように、装着時は中間転写ベルト10の下方から見ながら操作することになる。このため、位置決め部153の位置決め穴153a、153bを奥側で上下方向に配置することにより、ベルト張力ユニット500のピン512a、512bを位置決め穴153a、153bに挿入する際に、ターゲットとなる位置決め穴153a、153bが視界に入りやすく組立時の作業性が向上する。
【0092】
本形態に係る複写機のプリンタ部100は、図18に示すように、ベルトユニット12、ベルト張力ユニット500及びクリーニングユニット17をプリンタ部の手前側から覆うとともに、プリンタ部100に対して着脱自在な第1から第3のインナカバー601〜603を有している。これらインナカバー601〜603は、プリンタ部100に備えられる図示しない外装カバーを開くと露呈する。図18から図21において、フレーム120、121の表記は省略している。
【0093】
上述したように、脱圧手段となる位置調整手段70,71は、中間転写ベルト10や1次転写ローラ等を第1離間位置から第2離間位置へ移動させる際のカム操作用の操作レバー700を備えている。この操作レバー700は、図18に示すように、インナカバー601の外側に臨んでいて、インナカバー601を着脱しなくても操作可能とされている。操作レバー700は、中間転写ベルト10や1次転写ローラ等が各感光体との接触位置を占めた張力非脱圧時の場合には、インナカバー601と係合して、インナカバー601がプリンタ部100から離脱できないように干渉する。図19に示すように、操作レバー700を図中反時計回りに回動操作すると、中間転写ベルト10や1次転写ローラ等は第2離間位置を占める。操作レバー700は、図19に示す離間完了位置へと操作されて中間転写ベルト10や1次転写ローラ等が張力脱圧時となると、インナカバー601との干渉が回避され、インナカバー601を着脱可能としている。つまり、インナカバー601は、操作レバー700と係合/離脱可能に配置されている
本形態において、第1のインナカバー601は、ベルトユニット12の略半分と、クリーニングユニット17とベルト張力ユニット500の一部を装置手前側から覆い、第2のインナカバー602はベルト張力ユニット500、クリーニングユニット17とベルトユニット12の中央部を装置手前側から覆っている。第3のインナカバー603は、主にベルトユニット12の支持ローラ15側を装置手前側から覆っている。
【0094】
これら複数のインナカバーのうち、インナカバー602は装着状態において、図20に示すように、その一部がベルト張力ユニット500と干渉しており、ベルト張力ユニット500の複写機に対する着脱を規制している。ベルト張力ユニット500を着脱するには、図21に示すように、インナカバー601、602の双方を取り外して行うように構成されている。
【0095】
このように、インナカバー601は、操作レバー700が操作されて離間完了位置を占めていないと、プリンタ部100(複写機)から取り外すことができないので、複写機が作動していて、中間転写ベルト10や1次転写ローラなどが接触位置を占めている場合には、取り外すことができないため、不用意に稼働中の装置内への操作を防止することができる。また、インナカバー602の一部は、クリーニングユニット17とベルト張力ユニット500の一部と干渉しているので、これらカバー602を外さなければ、ベルト張力ユニット500やクリーニングユニット17に対する着脱作業が行えないため、中間転写ベルト10や1次転写ローラなどが接触位置を占めてベルト張力が高い状態での、ベルト張力ユニット500やクリーニングユニット17の着脱操作を禁止でき、中間転写ベルト10やテンションローラ501の耐久性を向上することができる。
【0096】
上記形態では、ベルト状像担持体として中間転写ベルト10を用いて説明し、ベルト張力ユニット500は、この中間転写ベルト10に用いる形態として説明したが、ベルト状像担持体としてはベルト状の感光体でもよく、無論ベルト張力ユニット500はベルト状の感光体に用いる形態としても、本形態と同様の効果を得ることができる。また、本発明に係るクリーニングユニット17も中間転写ベルト10のクリーニングでなく、ベルト状の感光体のクリーニングユニットとして用いても、本形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0097】
10 ベルト状像担持体
10a 画像担持面
12 ベルトユニット
14、15、16 複数のローラ
70、70A、71 脱圧手段
100 画像形成装置本体
120 手前側のフレーム
121 奥側のフレーム
500 ベルト張力ユニット
501 張力部材
502 加圧手段
503 張力ユニットフレーム
505 アーム部材
505a アーム部材の一端
505b アーム部材の他端
506 加圧部材
506a 加圧部材の一端
506b 加圧部材の他端
510 ガイド部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0098】
【特許文献1】特開2000−276007号公報
【特許文献2】特開2003−216001号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体内に設けられていて、複数のローラで張架されて回転駆動されるベルト状像担持体の画像担持面に当接する張力部材と、前記張力部材を前記ベルト状像担持体の画像担持面に向かって加圧する加圧手段とを備えたベルト張力ユニットにおいて、
前記ベルト状像担持体に対する前記張力部材による加圧状態を解除する脱圧手段を持たず、前記画像形成装置本体あるいは、前記ベルト状像担持体を有するベルトユニットに対して、装置駆動停止時に着脱可能であることを特徴とするベルト張力ユニット。
【請求項2】
請求項1記載のベルト張力ユニットにおいて、
前記張力部材は前記ベルト状像担持体の幅方向に延在し、
前記加圧手段は、前記ベルト状像担持体の幅方向においてそれぞれ独立して配置されていることを特徴とするベルト張力ユニット。
【請求項3】
請求項1または2記載のベルト張力ユニットにおいて、
前記張力部材の両端を、その一端側で支持する一対のアーム部材と、各アーム部材を回動自在に支持する張力ユニットフレームと、前記アーム部材の他端と前記張力ユニットフレームとに両端が装着され、前記張力部材を前記ベルト状像担持体に向かって加圧する加圧部材を有し、
前記一対のアーム部材と前記張力ユニットフレームとに囲まれる領域内に、前記ベルト状像担持体の幅方向に延在し、前記張力ユニットフレームを補強するとともに、前記ベルト状像担持体の幅方向に移動可能に可動体を支持するガイド部材を有することを特徴とするベルト張力ユニット。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか1つに記載のベルト張力ユニットにおいて、
前記ベルトユニットが備えている画像形成装置本体の手前側と奥側とのフレームに支持されるとともに、前記奥側のフレームに、一方の端部が揺動自在に支持されていることを特徴とするベルト張力ユニット。
【請求項5】
複数のローラで張架されて回転駆動されるベルト状像担持体を有するベルトユニットと、
前記ベルト状像担持体の画像担持面に当接する張力部材と、前記張力部材を前記ベルト状像担持体の画像担持面に向かって加圧する加圧手段とを備えたベルト張力ユニットを備えた画像形成装置において、
前記ベルト張力ユニットとして請求項1ないし4の何れか1つに記載のベルト張力ユニットを有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−194472(P2012−194472A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59634(P2011−59634)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】