ベルト駆動装置及びそれを有する画像形成装置
【課題】従来のベルト駆動装置では、ローラ軸変位部材が変位する際に、ローラ外径表面とベルト表面の摺動摩擦による負荷が発生し、無端ベルトの周縁部に接触応力発生する。このため、無端ベルトの寿命が短くなる。
【解決手段】テンションローラ43を軸方向に複数の分割ローラ43−1〜43−5に分割し、各分割ローラ43−1〜43−5が独立して回転可能な構成にした。このため、テンションローラ43の表面と中間転写ベルト41の内周面との摩擦によるテンションローラ43の傾斜負荷が軽減されスムーズに動作することが可能となる。その結果、中間転写ベルト41の周縁部とプーリ56の側面とに発生する接触応力を減少させるという効果が得られ、延いては無端転写ベルトである転写ベルトユニット40の長寿命化が期待できる。
【解決手段】テンションローラ43を軸方向に複数の分割ローラ43−1〜43−5に分割し、各分割ローラ43−1〜43−5が独立して回転可能な構成にした。このため、テンションローラ43の表面と中間転写ベルト41の内周面との摩擦によるテンションローラ43の傾斜負荷が軽減されスムーズに動作することが可能となる。その結果、中間転写ベルト41の周縁部とプーリ56の側面とに発生する接触応力を減少させるという効果が得られ、延いては無端転写ベルトである転写ベルトユニット40の長寿命化が期待できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のローラに張架されて回転する無端ベルトを有するベルト駆動装置と、そのベルト駆動装置を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィス環境におけるカラー指向に対応して、カラー複写機等の画像形成装置が登場してきた。このカラー画像形成装置の印刷方式の1つに4連タンデム方式がある。この方式は、像担持体である感光体ドラムを4本並行に並べ、それぞれの感光体ドラム上に、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)のトナーを用いてトナー像を形成し、このトナー像を無端ベルトの走行により搬送されてくる用紙又は無端ベルト上に順次転写してカラー画像を得る方式である。
【0003】
このようなカラー画像形成装置では、各色の色ずれが画像品質に大きく影響を及ぼす。この色ずれを発生させる原因の1つに、無端ベルトの蛇行による影響がある。この無端ベルトの蛇行を防止するため、無端ベルトの駆動ローラ若しくはテンションローラの端面に、規制板を無端ベルトの走行方向と平行に配置し、その無端ベルトの周縁部を規制板の板面(即ち、摺動面)に摺動させてガイドするようにしている。
【0004】
規制板と摺動する無端ベルトの周縁部には、蛇行方向(=ローラ軸方向)に働く力(以下「スラスト力」という。)が発生する。このスラスト力が大きいと、規制板との摺動面で無端ベルトが一時的に捲り上がる。この状態が継続すると、無端ベルトの捲り上がり部分の根本近傍に屈曲疲労が発生する。
【0005】
更に、無端ベルトの周縁部に、スラスト力による段差、凹凸、うねり等がある場合、無端ベルトの周縁部に発生する接触応力が高くなってしまうため、段差部等が繰り返しフランジ部と当接することで、無端ベルトに亀裂が生じるような応力が生じてしまう場合があった。
【0006】
上記の問題が発生した場合、結果として無端ベルトのベルト寿命が短くなってしまう場合がある。
【0007】
上記問題を解決するために、例えば、以下の特許文献1において、ベルトのローラ軸方向への移動に応じてローラ軸に変位を与えるローラ軸変位部材をローラの端部に配設することによって、ベルトの蛇行を防止してベルト周縁部の摩耗を抑制する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−162659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のベルト駆動装置では、ローラ軸変位部材が変位する際に、ローラ外径表面とベルト表面の摺動摩擦により、ローラの変位に対する負荷になってしまい、無端ベルトの周縁部に接触応力が発生する。このため、無端ベルトの寿命が短くなるという課題があった。
【0010】
本発明は、この問題を解決するためになされたものであり、前述の無端ベルト周縁部に発生する応力を必要最小限にすることで、長寿命なベルト駆動装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のベルト駆動装置は、無端ベルトと、前記無端ベルトを張架して回転走行させるための第1の回転軸を有する第1の回転部材及び第2の回転軸を有する第2の回転部材とを備え、前記第1の回転部材は、前記第1の回転軸方向に分割されている。
【0012】
本発明の画像形成装置は、前記ベルト駆動装置と、前記無端ベルト上、又は前記無端ベルトによって搬送される記録媒体上に、画像を形成する画像形成部とを備えている。
【発明の効果】
【0013】
本発明のベルト駆動装置によれば、第1の回転部材を第1の回転軸方向に分割したので、第1の回転部材の表面と無端ベルト内周面との摩擦による第1の回転部材の傾斜負荷が軽減される。その結果、無端ベルトの周縁部に発生する接触応力を減少させるという効果が得られ、延いては、無端ベルトの長寿命化が期待できる。
【0014】
本発明の画像形成装置によれば、前記ベルト駆動装置を備えたので、画像形成装置の無端ベルトの信頼性が向上し、更に、保守コストが低減する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は本発明の実施例1における図2中の転写ベルトユニットの概略を示す斜視図である。
【図2】図2は本発明の実施例1における画像形成装置の概略を示す構成図である。
【図3】図3は図1の転写ベルトユニットのA−A断面図である。
【図4】図4は図1中の駆動ローラを示す構成図である。
【図5】図5は図1中の分割ローラ43−1を示す斜視図である。
【図6】図6は図3中のテンションローラのB−B断面図である。
【図7】図7は図6(c)中のテンションローラの端部を示す拡大図である。
【図8】図8は図1中のテンションローラの端部の動作を示す斜視図である。
【図9】図9は図1中のテンションローラの端部の構成を示す斜視図である。
【図10】図10は図3中の中間転写ベルトの蛇行状態を示す図である。
【図11】図11は図1中のテンションローラの傾斜動作1を示す図である。
【図12】図12は図1中のテンションローラの傾斜動作2を示す図である。
【図13】図13は図1中のテンションローラの傾斜動作3を示す図である。
【図14】図14は図1中のテンションローラの分割数と摩擦によるモーメントMsの減少率とを示すグラフである。
【図15】図15は本発明の実施例2における図1中のテンションローラを示す図である。
【図16】図16は、図15(b)中のテンションローラとテンションローラシャフトの部分図である。
【図17】図17は図15(b)のテンションローラの変形例を示す図である。
【図18】図18は図15(b)の構成を図1中の駆動ローラに適用した変形例を示す図である。
【図19】図19は図7中のテンションローラの端部の変形例を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0017】
(実施例1の構成)
図2は、本発明の実施例1における画像形成装置の概略を示す構成図である。
【0018】
この画像形成装置は、例えば、電子写真プリンタであり、例えば用紙である記録媒体Pが積層される媒体トレイ11を有している。媒体トレイ11の繰出し側には、記録媒体Pを1枚ずつ繰出す給紙部12が設けられている。給紙部12には、ある高さまで上昇した記録媒体Pに圧接するよう設けられたピックアップローラ12aと、このピックアップローラ12aにより繰出された記録媒体Pを1枚ずつに分離するためのフィードローラ12bと、リタードローラ12cとのローラ対が設けられている。給紙部12に対し、記録媒体Pの搬送方向下流には、媒体搬送部13が設けられている。媒体搬送部13は、供給された記録媒体Pを後述する転写ローラ15へ搬送するための複数の搬送ローラ対13a,13b,13cから構成されている。
【0019】
画像形成部20は、直列に並べられた4つのトナー像形成部30(=30C,30M,30Y,30K)と、複数のトナー像形成部30において形成されたトナー像を無端ベルト(例えば、中間転写ベルト)41にクーロン力により1次転写する複数の転写ローラ14(=14C,14M,14Y,14K)と、中間転写ベルト41上のトナー像を記録媒体Pに2次転写する転写ローラ15とから構成されている。
【0020】
複数のトナー像形成部30は、トナー像を担持するための像担持体である複数のOPC(Organic Photo-Conductor;有機感光体)ドラム31(=31C,31M,31Y,31K)と、このOPCドラム31の表面をマイナスに帯電させる複数の帯電ローラ32(=32C,32M,32Y,32K)と、帯電したOPCドラム31の表面に静電潜像を形成する発光ダイオード(以下「LED」という。)アレイから成る複数の印刷ヘッド33(33C,33M,33Y,33K)と、静電潜像にトナー像を形成する複数の現像ローラ34(=34C,34M,34Y,34K)と、現像ローラ34にトナーを供給する複数のトナー供給部35(=35C,35M,35Y,35K)とから構成されている。
【0021】
ベルト駆動装置(例えば、転写ベルトユニット)40は、本画像形成装置の現像剤像担持体としてのトナー像担持体であり、転写ローラ14で1次転写されたトナー像を搬送する中間転写ベルト41と、図示しない駆動部により駆動され、中間転写ベルト41を、図2において反時計回り方向である矢印のベルト搬送方向Xに駆動する第2の回転部材(例えば、駆動ローラ)42と、駆動ローラ42に対向する位置で中間転写ベルト41を張架する第1の回転部材としてのテンションローラ43と、このテンションローラ43におけるベルト搬送方向Xの上流側に配置された転写ローラ15に対して中間転写ベルト41を挟んで対向する位置に配置されたバックアップローラ44とを有している。
【0022】
2次転写を行う転写ローラ15の下流には、記録媒体P上に転写されたトナー像を、熱と圧力を加えて定着する定着部16が設けられている。定着部16は、表面が弾性体で形成されたアッパローラ16a及びロワローラ16bのローラ対を有している。このアッパローラ16a及びロアローラ16bの内部には、熱源となるハロゲンランプ16c,16dがそれぞれ設けられている。
【0023】
定着部16の下流には、定着された記録媒体Pを外部に排出する複数の排出ローラ対17a,17b,17cが設けられている。画像形成装置の上部には、印刷された記録媒体Pを堆積するスタッカ部18が設けられている。
【0024】
図1は、本発明の実施例1における図2中の転写ベルトユニット40の概略を示す斜視図である。更に、図3は、図1の転写ベルトユニット40のA−A断面図である。
【0025】
転写ベルトユニット40は、中間転写ベルト41を駆動して走行させる駆動ローラ42と、テンションローラシャフト43aを有するテンションローラ43と、バックアップローラ44との3本のローラにより、中間転写ベルト41を張架するように構成されている。
【0026】
図4は、図1中の駆動ローラ42を示す構成図である。
図4に示すように、駆動ローラ42は、駆動ローラシャフト42bに固定され、駆動ローラシャフト42bを保持する軸受け部42L,42Rによって、フレーム51L,51Rに対して、回転自在に配置されている。ここで、駆動ローラ42は、中間転写ベルト41を張架する。又、駆動ローラシャフト42bには、駆動ギア42aが固定されており、画像形成装置に配設されている図示しないモータから駆動力を伝達されて、駆動ローラ42、駆動ローラシャフト42b及び駆動ギア42aが一体となって、第2の回転軸としての回転軸O1を中心として回転駆動するように構成されている。
【0027】
又、駆動ローラ42は、アルミ製の金属ローラであり、表層にセラミックコーティングが施されている。駆動ローラ42と中間転写ベルト41との間に生じる摩擦力によって、中間転写ベルト41が回転するように構成されている。
【0028】
図3において、駆動ローラ42のベルト搬送方向Xの下流側には、アルミ製のローラであるバックアップローラ44が図示しない軸受を介して回転自在にフレーム51L,51Rに設置されている。バックアップローラ44におけるベルト搬送方向Xの下流側には、第1の回転軸としてのテンションローラシャフト43aを有するテンションローラ43が配置されている。テンションローラ43は、テンションローラシャフト43aの軸方向に連なるように配置された複数個(例えば、5個)の分割部分(例えば、分割ローラ)43−1,43−2,43−3,43−4,43−5を有している。
【0029】
図5は、図1中の分割ローラ43−1を示す斜視図である。
図5に分割された複数の分割ローラ43−1〜43−5の内の分割ローラ43−1を示す。分割された複数の分割ローラ43−1〜43−5にそれぞれ形成された嵌合穴43−1a〜43−5aにテンションローラ43aが連通している。
【0030】
そのため、これらの複数の分割ローラ43−1〜43−5は、互いに独立して回転可能であり、図6で後に説明するEリング58によって、テンションローラシャフト43a軸方向に対して固定されている。
【0031】
図6(a)、(b)、(c)は、図3中のテンションローラ43のB−B断面図である。
テンションローラシャフト43aの一端には、第3の回転部材(例えば、プーリ)56が取り付けられており、このプーリ56の後に図7で説明するフランジ部56bと中間転写ベルト41の側面とが接するように構成されている。図6(a)に示すように、プーリ56において、中間転写ベルト41と当接する面Aと反対側の面Bには、軸変位部材(例えば、レバー)55が接しており、このレバー55がフレーム51Lに対して第3の回転軸としての回転軸O3を中心に回動自在に取り付けられている。
【0032】
テンションローラシャフト43aにおいて、プーリ56が取り付けられた側の端部には、軸受54Lが取り付けられている。更に、端部は、図1に示すようにフレーム51Lに対して回動軸52aで回動可能に取り付けられたアーム52を備え、このアーム52に設けられたレール部52bに沿って、軸受54Lが移動可能に配置されている。
【0033】
軸受54Lとアーム52との間に、圧縮コイルばねであるテンションスプリング53Lが設置されており、中間転写ベルト41に張力を発生させている。
【0034】
テンションローラシャフト43aのプーリ56が取り付けられた方向とは反対側の端部には、軸受54Rが取り付けられている。軸受54Rは、フレーム51Rに設けられた図示しないレール部に沿って移動可能に配置されている。軸受54Rとフレーム51Rとの間には、圧縮コイルばねであるテンションスプリング53Rが設置されており、中間転写ベルト41に張力を発生させている。
【0035】
テンションローラ43におけるベルト搬送方向Xの下流側には、ベルト規制手段であるベルト規制ローラ対57が設けられている。ベルト規制ローラ対57は、ローラ57aとローラ57bとから構成されており、互いに中間転写ベルト41を挟んだ位置に配置されている。ローラ57a及びローラ57bは、両端をフレーム51L,51Rに図示しない軸受を介して回転自在に配置され、中間転写ベルト41の回転軌跡を規制している。
【0036】
ベルト規制ローラ対57におけるベルト搬送方向Xの下流側には、1次転写を行う複数の転写ローラ14(=14C,14M,14Y,14K)が、図示しない軸受を介してフレーム51L,51Rに回転自在に支持されている。複数の転写ローラ14は、中間転写ベルト41を挟み込んで、トナー像形成部30を構成するOPCドラム31C,31M,31Y,31K、に図示しない付勢手段により付勢されている
【0037】
テンションローラ43と軸受54Rとの間には、そのテンションローラ43の規制部材としてのEリング58及びスペーサ59が設けられている。テンションローラ43の軸受54L側の端部には、プーリ56が取り付けられており、このプーリ56と中間転写ベルト41の側面が接するように構成されている。プーリ56において、中間転写ベルト41と当接する面と反対側の面には、第3の回転軸O3を有するレバー55が接しており、このレバー55がフレーム51Lに取り付けられている。
【0038】
テンションローラ43の分割ローラ43−1,43−2,43−3,43−4,43−5は、テンションローラシャフト43aによって回動自在に軸支され、隣接する分割ローラ43−1〜43−5の間に間隙dが設けられており、摩擦負荷の発生を抑制するように構成されている。
【0039】
間隙dは、テンションローラ43のベルト張架部43cの径よりも小さい径を有するリング状のボス部43bをテンションローラシャフト43に設けることで形成されている。
【0040】
テンションローラ43は、軸受54L,54Rとテンションローラシャフト43aとの嵌合によって支持されている。軸受54R側におけるスラスト方向へのテンションローラ43の動作は、軸受54R側に設けられたスペーサ59とEリング58とによって規制されている。ここで、軸受54R,54Lは自動調心機能を有しており、テンションローラ43の傾斜に追従するように構成されている。
【0041】
図6(b)は、駆動ローラ42の第2の回転軸O1とテンションローラ43の第1の回転軸O2とが平行であり、中間転写ベルト41は、安定した走行を行っている状態を示している。
【0042】
図6(a)は、テンションローラ43の回転軸O2が駆動ローラ42の回転軸O1に対して図6で上方向に傾斜したときのテンションローラ43の状態を示している。この状態で、レバー55は、第3の回転軸O3で回転して軸受54L付近にある。
【0043】
図6(c)は、テンションローラ43の回転軸O2が、駆動ローラ42の回転軸O1に対して図6で下方向に傾斜したときのテンションローラ43の状態を示している。この状態で、レバー55は、回転軸O3で回転してプーリ56を押圧する方向に動作するので、中間転写ベルト41及びテンションローラ43が軸受54R側に寄っている。
【0044】
図7は、図6(c)中のテンションローラ43の端部を示す拡大図である。
図7は、テンションローラ43の回転軸O2が、駆動ローラ42の回転軸O1に対して図5における下方向に傾斜したときのテンションローラ43の端部の状態を示している。テンションローラ43の傾斜に伴って、レバー55が回転軸O3に矢印a方向に回転し、プーリ56をD2方向に押圧する状態を示している。
【0045】
プーリ56のベルト当接部(例えば、フランジ部)56bに形成されたテーパ部56aは、中間転写ベルト41がフランジ部56bを仮に乗り越えた場合に元の位置に誘導するための役割を有している。
【0046】
図8(a)、(b)、(c)は、図1中のテンションローラ43の端部の動作を示す斜視図である。
【0047】
図8(b)は、図6(b)の状態を示しており、中間転写ベルト41が安定した走行を行っている状態を示している。
【0048】
図8(a)は、図6(a)の状態を示しており、テンションローラ43の回転軸O2が、駆動ローラ42の回転軸O1に対して図6で上方向に傾斜したときのテンションローラ43の状態を示している。レバー55は、アーム52に接触している。
【0049】
図8(c)は、図6(c)の状態を示しており、テンションローラ43の回転軸O2が、駆動ローラ42の回転軸O1に対して図6で下方向に傾斜したときのテンションローラ43の状態を示している。この状態で、レバー55は、回転軸O3で回転してプーリ56を押圧する方向に動作するので、中間転写ベルト41及びテンションローラ43が軸受54R側に寄っている。
【0050】
図9は、図1中のテンションローラ43の端部の構成を示す斜視図である。
レバー55は、テンションローラ43の回転軸O2対して一定角度だけ傾斜した回転軸O3を有している。小判穴55aには、図示しないテンションローラシャフト43aが回転可能に、且つスライド可能に貫通されるように構成されている。レバー55のプーリ56に対向する面には、プーリ56と接触する凸部55bが設けられている。アーム52のレール部52bには、軸受54Lと、テンションスプリング53Lとが設けられている。
【0051】
レバー55は、図6(b)の状態におけるテンションローラ43の回転軸O2に対して傾斜した回転軸O3を有するので、図6(c)に示すように、テンションローラ43の軸受54L側の端部が、図6における下方向に傾斜したときには、レバー55も下方向で、且つテンションローラ43に近づく方向に回転してプーリ56を押圧するように動作する。
【0052】
図6(a)に示すように、テンションローラ43の軸受54L側の端部が、図6における上方向に傾斜したときには、レバー55も上方向で、且つテンションローラ43から遠ざかる方向に回転して移動する。
【0053】
図10(a1)、(a2)、(b1)、(b2)は、図3中の中間転写ベルト41の蛇行状態を示す図である。
【0054】
中間転写ベルト41は、駆動ローラ42によりベルト搬送方向Xへ循環回転する。中間転写ベルト41が回転するとき、駆動ローラ42、テンションローラ43及びバックアップローラ44の平行度が悪いと、中間転写ベルト41が走行方向と直行する方向に蛇行する。
【0055】
例えば、図10(a1)、(a2)において、テンションローラ43の右側の軸端部(図6における軸受54L側)が上方向にねじれた場合には、中間転写ベルト41は、巻きついたローラの軸に垂直に走行するので、中間転写ベルト41が、図10(a1)に示すようなベルトの走行軌跡Xtを示し、結果として、ベルト搬送方向Xに対し直行するベルト蛇行方向Y1へ蛇行する。テンションローラ43が1回転するときには、蛇行により、移動量mだけ中間転写ベルトがベルト蛇行方向Y1に移動する。なお、ベルト走行軌跡Xtにおいて、ベルトの表面の軌跡を実線で表し、ベルトの裏側の軌跡を破線で表している。
【0056】
図10(b1)、(b2)に示すように、逆に軸端部が下方向へ捩じれた場合には、中間転写ベルト41がベルト蛇行方向Y2へ蛇行する。
【0057】
中間転写ベルト41の蛇行の原因は、駆動ローラ42、テンションローラ43及びバックアップローラ44の捩じれによる他、中間転写ベルト41の張力の不均一(例えば、本実施例1では、テンションローラシャフト43a両端のスプリング53L,53Rの付勢力の不均一)、中間転写ベルト41の左右の周長差、中間転写ベルト41を張架するローラ(本実施例1では、駆動ローラ42、テンションローラ43、及びバックアップローラ44)の円筒度等がある。
【0058】
図11は、図1中のテンションローラ43の傾斜動作1を示す図である。
図11は、テンションローラ43が傾斜したときの中間転写ベルト41の内周面とテンションローラ43の表面との状態を模式的に示した図である。テンションローラ43が回転支点O1aを中心に傾斜すると、このテンションローラ43の表面と中間転写ベルト41の内周面とに滑りが発生し、テンションローラ43の幅方向中心R2Cが回転軌跡R2で回動したとき、滑り部60が形成されることを示している。
【0059】
図12は、図1中のテンションローラ43の傾斜動作2を示す図である。
図12は、テンションローラ43が分割されていない場合の傾斜動作を示す図である。テンションローラ43の幅方向中心R2Cを軸として、表面が中間転写ベルト41の内周面と相対的に回転するように滑りが発生しているときの状態を転写模式的に示した図である。
【0060】
図13は、図1中のテンションローラ43の傾斜動作3を示す図である。
図13は、均等幅に5分割された各分割ローラ43−1〜43−5の幅方向中心R3−1〜R3−5を軸として、各分割ローラ43−1〜43−5の表面と中間転写ベルト41の内周面との間に、相対的に回転するように滑りが発生している状態を模式的に示している。
【0061】
(実施例1における画像形成装置全体の動作)
図2を用いて画像形成装置全体の動作について説明する。
【0062】
図2において、画像形成装置は、図示しない上位装置から画像データを受信し、図示しない制御部により、画像形成動作が指示される。図示しない駆動モータにより給紙部12のピックアップローラ12aが駆動されて回転し、媒体トレイ11から記録媒体Pを繰り出す。ピックアップローラ12aにより繰出された記録媒体Pは、フィードローラ12bとリタードローラ12cのローラ対のニップ位置まで搬送され、1枚ずつに分離される。
【0063】
給紙部12により1枚に捌いて繰出された記録媒体Pは、媒体搬送部13へ送られ、搬送ローラ対13a,13b,13cにより2次転写部である転写ローラ15へと送られる。
【0064】
複数の帯電ローラ32は、複数のOPCドラム31の表面をマイナスに帯電する。上位装置から受信した画像データに基づいて、複数の印刷ヘッド33は、複数のOPCドラム31表面を照射し、マイナスに帯電したOPCドラム31の表面に静電潜像を形成する。
【0065】
複数の現像ローラ34は、複数のトナー供給部35から供給されるトナーにより可視画像(=トナー像)をOPCドラム31上に形成する。OPCドラム31に担持されたトナー像は、1次転写部である複数の転写ローラ14のニップ部で、中間転写ベルト41上に転写され、中間転写ベルト41上に帯電したトナー像を形成する。
【0066】
トナー像形成部30のOPCドラム31と中間転写ベルト41とは、同期して駆動され、中間転写ベルト41に色の異なるトナー像を順次重ね合せて転写する。中間転写ベルト41上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト41により、2次転写部である転写ローラ15まで搬送される。転写ローラ15において、図示しない電源装置により電圧を印加された転写ローラ15と、フレームグランドに接続されたバックアップローラ44との間で発生した電界により、トナー像が記録媒体P上に転写される。
【0067】
転写ローラ15でトナー像を転写された記録媒体Pは、定着部16へ送り出される。定着部16は、記録媒体Pに熱と圧力を加え、トナーを融解して記録媒体Pに定着させる。その後、記録媒体Pは、複数の排出ローラ対17a,17b,17cによりスタッカ部18へと排出される。
【0068】
(実施例1における転写ベルトユニットの動作)
図6、図7及び図8を用いて本実施例1の転写ベルトユニット40の動作について説明する。
【0069】
画像形成装置の設置面の平面度、フレームの撓み、組立寸法誤差等の影響により、図6(c)に示すように、テンションローラ43の端部が斜傾することがある。この場合、テンションローラ43を構成するテンシヨンローラシャフト43aも斜傾するため、テンションローラシャフト43aと小判穴55aにおいて遊嵌しているレバー55は、小判穴55aのE1においてテンションローラシャフト43aによってD1方向の力を受け、フレーム51Lに対して固定されている回転軸O3を中心に矢印aの方向に回動する。
【0070】
レバー55とテンションローラ43との間で、且つテンションローラシャフト43aの軸方向に摺動可能に嵌合されたプーリ56は、レバー55のa方向への回動に伴い、点E2おいてレバー55と当接する。この当接によって、プーリ56は、レバー55からD2方向への力を受ける。そのため、プーリ56は、テンションローラシャフト43aの軸方向におけるD2方向に摺動する。
【0071】
中間転写ベルト41は、プーリ56に形成されたフランジ部56bに当接しているので、プーリ56の軸方向への摺動に伴い、点E3においてD3方向の力を受ける。このため、軸受54R側に寄っている状態となる。
【0072】
ここで、図示しないモータによって駆動ローラ42の駆動が開始され、この駆動ローラ42の回転に伴って、中間転写ベルト41及びテンションローラ43が従動する。このとき、中間転写ベルト41は、図10で説明した通り、ベルト蛇行方向Y2へ蛇行し、それに伴い、中間転写ベルト41は、中間転写ベルト41の周面端部と当接する点E3,E4を含むフランジ56bを有するプーリ56を、D3方向と反対の方向へ力Fで押圧する。
【0073】
その結果、プーリ56は、テンションローラシャフト43aの軸方向であるベルト蛇行方向Y2に沿って摺動する。プーリ56のベルト蛇行方向Y2への摺動に伴って、D2方向の反対方向にレバー55が押され、レバー55がb方向へ回動する。レバー55の回動に伴って、テンションローラシャフト43aは、レバー55の小判穴55aに規制されて、D1方向と反対方向に移動しようとする。
【0074】
このとき、軸受54Lを支持しているアーム52は、回動軸52aにおいて、図1に示すf方向に回動し、この回動に伴って軸受54Lがf方向、即ち図6(b)に示す状態に近づくように動作する。理論的には図6(b)の状態で安定状態となるが、テンションローラ43の重量、アーム52の重量、及び各部品間の摩擦力等と、中間転写ベルト41が蛇行するベルト蛇行方向Y2への力Fとが、バランスする位置で安定して走行する。
【0075】
駆動ローラ42回転軸O1及びバックアップローラ44の回転軸が平行であった場合、図6(b)のような位置では、テンションローラ43の回転軸O2と、駆動ローラ42の回転軸O1とが略平行となるため、中間転写ベルト41の蛇行が減少し、この位置で蛇行は収まり安定して走行することとなる。
【0076】
図6(a)に示す位置にテンションローラ43が斜傾した場合には、図6(c)の状態から安定となる動作とは反対に、中間転写ベルト41が、ベルト蛇行方向Y1へ蛇行し、プーリ56は同じくベルト蛇行方向Y1へ移動する。レバー55は、テンションローラ43の自重により、回転軸O3を中心に下右方向へ回転し、凸部55bがプーリ56を下右方向へ移動し、図6(b)に示す状態と近い状態となり、中間転写ベルト41が、安定して走行する。
【0077】
以上、テンションローラ43の位置による動作として、図6(c)から図6(b)の状態への動作(ケース1の動作)と、図6(a)から図6(b)への動作(ケース2の動作)の2つのケースを説明したが、テンションローラ43がどの方向に傾斜しても、レバー55は、中間転写ベルト41の蛇行を常に低減し打ち消す方向へテンションローラ43を傾斜させる。
【0078】
例えば、転写ベルトユニット30の組み立て時に、中間転写ベルト41及びテンションローラ43の位置を予め決められた位置に組み立てる必要はなく、中間転写ベルト41を走行させればプーリ56と中間転写ベルト41の周縁部にベルト蛇行方向Y1又はベルト蛇行方向Y2に働くスラスト力が発生し、中間転写ベルト41は、蛇行もなく安定して走行することが可能となる。
【0079】
このように、テンションローラ43の回転軸O2と、駆動ローラ42の回転軸O1及びバックアップローラ44の回転軸とが略平行となり、中間転写ベルト41の蛇行は収まり安定して走行する。このとき、中間転写ベルト41の周縁部とプーリ56とは、常に弱い接触力で当接している状態に保つことができる。
図11、図12、及び図13を用いて、テンションローラ43が傾斜したときの中間転写ベルト41の内周面と、テンションローラ43表面の摩擦負荷の影響について説明する。
【0080】
図11は、テンションローラ43が傾斜したときの中間転写ベルト41内周面とテンションローラ43の表面の状態を模式的に示している。テンションローラ43が回転支点O1aを中心に傾斜すると、テンションローラ43は、中間転写ベルト41の内周面を中間転写ベルト41に連れまわされながら回転する。テンションローラ43は、中間転写ベルト41の略全幅を張架する長さで構成されているため、中間転写ベルト41の内周面とテンションローラ43の表面に滑りが発生する。
【0081】
このとき、テンションローラ43の回転支点O1aから近いところと遠いところでは、滑り量に差が生じる。ここで、テンションローラ43が回転支点O1aを中心に、テンションローラ43の幅方向中心R2Cが軌跡R2で回動したとき、テンションローラ43の幅方向中心R2Cにおいて、中間転写ベルト41の内周面との間に滑りが発生しないとした場合、テンションローラ43の表面と中間転写ベルト41の内周面とは、相対的に幅方向中心R2Cを軸として回転する滑りが発生し、滑り部60が形成される。
【0082】
即ち、中間転写ベルト41の内周面とテンションローラ43の表面との間に、摩擦負荷が発生することになる。中間転写ベルト41の内周面とテンションローラ43の表面との間に摩擦負荷が発生すると、テンシヨンローラ43の傾斜動作がスムーズに動作せずに図4、図5、及び図6で説明した蛇行調整が機能しなくなる。
【0083】
図12は、テンションローラ43の幅方向中心R2Cに、表面が中間転写ベルト41内周面と相対的に回転するように滑りが発生しているときの状態を模式的に示している。図12においては、テンションローラ43は、分割されていない。
【0084】
図12中のテンションローラ43のローラの幅をB、テンションローラ43の表面と中間転写ベルト41の内周面とで発生する単位幅当りの摩擦カをS(中間転写ベルト41の張力によるテンションローラ43の幅方向の張架力及び摩擦力は一定と仮定)、テンションローラ43の幅方向中心R2Cを軸としたときに発生するモーメントをMc、テンションローラ43の図中右側端部の中心O3aを軸としたときに発生するモーメントをMs(ローラ端部の中心をテンションローラ43の傾斜中心と仮定)、テンションローラ43の表面と中間転写ベルト41の内周面で発生する摩擦力をFとする。
【0085】
このときテンションローラ43の左右に均等に発生する摩擦力Fは
F=(B/2)×S ・・・・・ (1)
で表される。この摩擦力Fは、幅方向の摩擦力分布は一定としたとき、テンションローラ43の幅方向中心R2Cからの距離r=B/4だけ離れた左右に発生する。このときのモーメントをMcは、
Mc=2×F×r
Mc=(1/4)×B2×S ・・・・・(2)
となる。
【0086】
右側端部の中心O3aを軸としたときに発生するモーメントMsは、Mcの幅方向中心R2CからMsの中心O3aまでの距離をr=L/2とすると、
Ms=Mc/r
Ms=(2/B)×Mc
Ms=(1/2)×B×S ・・・・・・(3)
となる。
【0087】
次に、本実施例1の構成である均等幅に5分割されたテンションローラ43が傾斜したときの中間転写ベルト41の内周面とテンションローラ43の表面との摩擦負荷の影響について説明する。
【0088】
図13は、均等幅に5分割された各分割ローラ43−1〜43−5の表面において、各分割ローラ43−1〜43−5の幅方向中心R3−1〜R3−5に、中間転写ベルト41の内周面と相対的に回転するように滑りが発生しているときの状態を転写模式的に示している。
【0089】
前述した図12の場合と同様に、5分割された場合においても、テンションローラ43が回転中心O3aを軸にして傾斜する。各分割ローラ43−1〜43−5の幅方向中心R3−1〜R3−5が、中間転写ベルト41の内周面と滑り無く転動した場合、各分割ローラ43−1〜43−5の表面と中間転写ベルト41の内周面とは、相対的に幅方向中心R3−1〜R3−5を軸として回転するような滑りが発生することになる。
【0090】
図13中のテンションローラ43の幅Bを、テンションローラ43の分割数をt、テンションローラ43の表面と中間転写ベルト41の内周面とで発生する単位幅当りの摩擦力をS(中間転写ベルト41の張力によるテンションローラ43の幅方向の張架力及び摩擦力は一定と仮定)、各分割ローラ43−1〜43−5の幅方向中心R3−1〜R3−5を軸としたときに発生するモーメントをMc、前記5つ全てのモーメントMcをテンションローラ43の図中右側端部の中心O3aを軸としたときに発生するモーメントをMs(テンションローラ43の端部の中心をテンションローラ43の傾斜中心と仮定)、各分割ローラ43−1〜43−5の表面と中間転写ベルト41の内周面とで発生する摩擦力をFとする。
【0091】
このとき、各分割ローラ43−1〜43−5の左右に均等に発生する摩擦力Fは、
F=B×S/(2×t) ・・・・・(4)
で表される。
【0092】
摩擦力Fは、幅方向の摩擦力分布を一定としたとき、各分割ローラ43−1〜43−5の各幅方向中心R3−1〜R3−5からの距離rだけ離れた左右に発生する。このとき、距離rと距離rに発生するモーメントMcは、次の通りである。
r=B/4×t
Mc=2×F×r
Mc=B2×S/(4×t2) ・・・・(5)
【0093】
次に、テンションローラ43の図中右側端部の中心O3aを軸としたときに発生するモーメントMsを求める。なお、以下の式において、Nは分割数を意味している。
【0094】
モーメントMsの中心O3aから各Mcの中心である各幅方向中心R3−1〜R3−5までの距離を
rn=B{(k−1)/t+(1/2×t)}
とすると、
【0095】
【数1】
【0096】
ここで、式(5)を代入すると、
【0097】
【数2】
【0098】
【数3】
【0099】
となる。
【0100】
式(7)に分割数t=1を代入すると
Ms=(1/2)×B×S
となり、前述した式(3)と同一の式になる。
【0101】
式(7)に本実施例1の分割数t=5を代入すると、
【0102】
【数4】
【0103】
となり、分割数t=1に対して36%程度までMsを減少させることができる。
【0104】
式(7)によれば、分割数t=1のときのMsを100%としたときの分割数t=1〜10のMsの比率は次の表1のとおりである。
【0105】
【表1】
【0106】
図14は、図1中のテンションローラ43の分割数tと摩擦によるモーメントMsの減少率とを示すグラフである。
【0107】
図14において、横軸は、分割数t、縦軸は、分割数t=1におけるモーメントMsを100%としたときの分割数t=1〜10のモーメントMsの比率を示している。
【0108】
図14によれば、摩擦により発生するモーメントMsの比率の変曲点が、テンションローラ43の分割数t=3.3付近において存在している。これは、テンションローラ43の分割数をt=4以上にすることで、本実施例1による効果がより得られることを指し示している。
【0109】
理論上、分割数tを多くすれば多くするほど、本実施例1による効果がより得られることが考えられるが、実際はテンションローラ43を分割した分割ローラ43−1〜43−5のそれぞれの幅を30mm以上とするのが好ましい。30mm未満の場合には、テンションローラ43とテンションローラシャフト43aとの嵌合にがたが発生し易くなり、かえって負荷となるためである。
【0110】
分割数tの上限値は、画像形成装置が扱う記録媒体Pとしての最大用紙サイズで決まる。例えば、A3サイズの用紙を最大用紙として取り扱う画像形成装置においては、テンションローラ43の幅Lは、用紙幅297mm+40mm程度となり、A4サイズの用紙を最大用紙として取り扱う画像形成装置においては、テンションローラ43の幅Lは、用紙幅210mm+40mm程度となる。
【0111】
つまり、A3サイズの用紙を最大用紙として取り扱う装置の場合は、分割数を10個以下、A4サイズの用紙を最大用紙として取り扱う装置の場合は、分割数を8個以下とすることが好ましい。以上のことより、A3サイズを最大サイズとして取り扱う場合には、テンションローラ43の分割数tは、4以上10以下が好ましく、A4サイズを最大サイズとして取り扱う場合は、テンションローラ43の分割数は4以上8以下とすることが好ましい。
【0112】
このように、テンションローラ43を軸方向に複数分割することで、テンションローラ43の表面と中間転写ベルト41の内周面との摩擦による、テンションローラ43の傾斜動作に与える負荷が軽減される。
【0113】
即ち、テンションローラ43に対して中間転写ベルト41を蛇行させながらプーリ56のフランジ部56bによって安定位置へ案内する機構において、常にテンションローラ43と中間転写ベルト41との間の摩擦力を分散させることで、フランジ部56bと中間転写ベルト41との当接負荷が一定となるため、過負荷が中間転写ベルト41に加わり、この中間転写ベルト41がフランジ部56bに乗り上げてしまうことを防止することができる。
【0114】
なお、本実施例1においては、説明を分かり易くするため、テンションローラ43の幅方向中心R2Cにおいて、テンションローラ43と中間転写ベルト41との間に滑りが発生しない場合を仮定して説明したが、滑りが発生しないポイントをテンションローラ43の回転軸O2上のどこにとっても同様のことがいえる。
【0115】
(実施例1の効果)
本実施例1の転写ベルトユニット40によれば、テンションローラ43を軸方向に複数の分割ローラ43−1〜43−5に分割し、各分割ローラ43−1〜43−5が独立して回転可能な構成にしている。このため、テンションローラ43の表面と中間転写ベルト41の内周面との摩擦によるテンションローラ43の傾斜負荷が軽減され、スムーズに動作することが可能となる。その結果、中間転写ベルト41の周縁部とプーリ56の側面とに発生する接触応力を減少させるという効果が得られ、延いては転写ベルトユニット40の長寿命化が期待できる。
【実施例2】
【0116】
(実施例2の構成)
図15(a)、(b)は、本発明の実施例2における図1中のテンションローラ43を示す図である。更に、図16は、図15(b)中のテンションローラ43とテンションローラシャフト43aの部分図である。
【0117】
本実施例2の構成は、実施例1の構成とほぼ同様である。本実施例2では、実施例1のテンションローラ43に代えて、これと構成の異なるテンションローラ43Aを有している。
【0118】
実施例1のテンションローラ43は、図15(a)に示すように、複数の分割された分割ローラ43−1〜43−5のローラ外径G1が、中央部と端部が同じローラ径である所謂ストレート形状である。これに対し、本実施例2では、図15(b)に示すように、複数の分割された分割ローラ43A−1〜43A−5の中央部の外径G3と端部の外径G2とが異なっている。
【0119】
即ち、本実施例2のテンションローラ43Aは、端部の外径G2が中央部の外径G3よりもわずかに小さい径である所謂クラウン形状を有している点で、実施例1のテンションローラ43と異なっている。
【0120】
テンションローラ43Aの端部の外径G2と中央部の外径G3との外形差は、テンションスプリング53L,53Rにより、中間転写ベルト41に張力を与えたときに発生するテンションローラシャフト43aの中央部の撓み量を考慮した外径差となっている。
【0121】
図16に示すように、テンションローラ43Aの部分ローラ43A−1〜43A−5は、テンションローラシャフト43aに連通して嵌合しており、隣接する部分ローラ43A−1〜43A−5との間に空隙を設けるため、各部分ローラ43A−1〜43A−5には、ボス部43Ab−1〜43Ab−5が設けられている。又、テンションローラ43Aは、クラウン形状となっており、中央部の外径G3に対して両端部の外径G2が小さくなっている。矢印方向Eに負荷が与えられて、テンションローラシャフト43aが撓んだとき、空隙によって各部分ローラ43A−1〜43A−5が互いに干渉することを防止し、各部分ローラ43A−1〜43A−5もテンションローラシャフト43aの撓みに追従することでテンションローラ43AのF側の周面が略直線状となるように構成されている。
【0122】
(実施例2の動作)
本実施例2における画像形成装置及び転写ベルトユニット40の動作は、実施例1とほぼ同様である。
【0123】
本実施例2におけるテンションローラ43Aの動作について説明する。
図15(a)に示すように、複数分割されたストレート形状のテンションローラ43において、テンションスプリング53L,53Rにより、中間転写ベルト41に張力を与えた場合、テンションローラシャフト43aに撓みが発生し、中間転写ベルト41に与えるローラ端部の単位幅当りの張架力T1とローラ中央部の単位幅当りの張架力T2とに差が発生してしまう。
【0124】
テンションローラ43を分割することで、テンションローラ43全体の曲げ強度が減少してしまうために、張架力の差が顕著になる傾向にある。テンションローラシャフト43の強度や、テンションローラ43に張架力を与えるテンションスプリング53L,53Rの設定によっては、テンションローラ43の両端部に大きな張架力が集中して発生してしまい、中間転写ベルト41の周方向の引張り応力が増加して寿命を早めてしまう結果となってしまう。
【0125】
この場合、テンションローラシャフト43の剛性を上げることも有効であるが、剛性を上げるために、シャフト外径の増加、中空シャフトの使用等を行うと、テンションローラシャフト43aの重量増加やコストアップが発生する。
【0126】
これに対し、図15(b)に示す本実施例2のように、テンションローラ43Aを軸方向に複数分割した場合においても、テンションローラ43Aをクラウン形状とすることにより、テンションローラシャフト43aの剛性を増加させることなく、ローラ端部の単位幅当りの張架力T3と、ローラ中央部の単位幅当りの張架力T4との差を小さくすることが可能になる。
【0127】
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、実施例1の効果に加え、次のような効果がある。
【0128】
即ち、本実施例2によれば、テンションローラ43Aを軸方向に複数分割した場合において、テンションローラ43Aをクラウン形状とすることで、ローラ端部の単位幅当りの張架力T3を小さくすることができ、テンションローラ43Aをスムーズに動作させることが可能となる。このため、中間転写ベルト41の周縁部に発生する引張り応力を減少させるという効果が得られ、転写ベルトユニット40の長寿命化が期待できる。
【0129】
(変形例)
本発明は、上記実施例に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)〜(f)のようなものがある。
【0130】
(a) 実施例1、2では、ベルト駆動装置を電子写真プリンタの転写ベルトユニット40に適用した例で説明したが、電子写真方式を利用して記録媒体P上に画像を形成する複写機、ファクシミリ等の他の画像形成装置にも適用可能である。
【0131】
(b) 実施例1、2では、中間転写ベルト41に直接画像を形成し、その後に、記録媒体Pに画像を転写させる中間転写方式に適用した例について説明したが、記録媒体Pに直接、画像が形成される直接転写方式の電子写真プリンタにも適用可能である。
【0132】
(c) 実施例1、2では、電子写真式プリンタの転写ベルトユニット40に適用した例について説明したが、無端状のベルトを用いる電子写真式プリンタの定着器、用紙搬送装置、更には電子写真式プリンタに限らず、無端状のベルトを用いるベルト駆動装置にも適用することができる。
【0133】
(d) 図17は、図15(b)のテンションローラ43の変形例を示す図である。
実施例2では、複数分割されたテンションローラ43Aをクラウン形状で構成した例について説明したが、図17に示すように、テンションローラ43Bの中央部に向かつてローラ径が徐々に大きくなるテーパ形状を有するローラで、隣接するローラの端部がローラ外径に段差無く構成することで、実施例2と同様の効果が得られる。
【0134】
(e) 図18は、図15(b)の構成を図1中の駆動ローラ42に適用した変形例を示す図である。
【0135】
実施例1、2では、中間転写ベルト41の蛇行調整を行う傾斜可能なアライメントローラの例について説明したが、中間転写ベルト41を張架するためのバックアップローラ44や、図18に示すように、中間転写ベルト41を張架し駆動力を与える駆動ローラ42Aに対しても適用可能である。駆動ローラ42Aに適用する場合には、複数分割された中央のローラ42cは、駆動ローラシャフト42bに回転固定され、且つローラ表面には高い摩擦力を有し、その両端部には端部に向かつてわずかにローラ外径が小さくなるテーパ形状を有するローラ42dが、駆動ローラシャフト42bに回転自在に具備されることで、実施例2と同様の効果が得られる。
【0136】
(f) 図19は、図7中のテンションローラ43の端部の変形例を示す拡大図である。
実施例1、2に用いられる中間転写ベルト41の周縁部には、図19に示すような補強部材41aやガイド部材41bを設けてもよい。このような構成においても、実施例1、2と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0137】
20 画像形成部
30 トナー像形成部
40 転写ベルトユニット
41 中間転写ベルト
42 駆動ローラ
43,43A,43B テンションローラ
43a テンションローラシャフト
51L,51R フレーム
52 アーム
53L,53R テンションスプリング
54L,54R 軸受
55 レバー
56 プーリ
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のローラに張架されて回転する無端ベルトを有するベルト駆動装置と、そのベルト駆動装置を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィス環境におけるカラー指向に対応して、カラー複写機等の画像形成装置が登場してきた。このカラー画像形成装置の印刷方式の1つに4連タンデム方式がある。この方式は、像担持体である感光体ドラムを4本並行に並べ、それぞれの感光体ドラム上に、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)のトナーを用いてトナー像を形成し、このトナー像を無端ベルトの走行により搬送されてくる用紙又は無端ベルト上に順次転写してカラー画像を得る方式である。
【0003】
このようなカラー画像形成装置では、各色の色ずれが画像品質に大きく影響を及ぼす。この色ずれを発生させる原因の1つに、無端ベルトの蛇行による影響がある。この無端ベルトの蛇行を防止するため、無端ベルトの駆動ローラ若しくはテンションローラの端面に、規制板を無端ベルトの走行方向と平行に配置し、その無端ベルトの周縁部を規制板の板面(即ち、摺動面)に摺動させてガイドするようにしている。
【0004】
規制板と摺動する無端ベルトの周縁部には、蛇行方向(=ローラ軸方向)に働く力(以下「スラスト力」という。)が発生する。このスラスト力が大きいと、規制板との摺動面で無端ベルトが一時的に捲り上がる。この状態が継続すると、無端ベルトの捲り上がり部分の根本近傍に屈曲疲労が発生する。
【0005】
更に、無端ベルトの周縁部に、スラスト力による段差、凹凸、うねり等がある場合、無端ベルトの周縁部に発生する接触応力が高くなってしまうため、段差部等が繰り返しフランジ部と当接することで、無端ベルトに亀裂が生じるような応力が生じてしまう場合があった。
【0006】
上記の問題が発生した場合、結果として無端ベルトのベルト寿命が短くなってしまう場合がある。
【0007】
上記問題を解決するために、例えば、以下の特許文献1において、ベルトのローラ軸方向への移動に応じてローラ軸に変位を与えるローラ軸変位部材をローラの端部に配設することによって、ベルトの蛇行を防止してベルト周縁部の摩耗を抑制する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−162659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のベルト駆動装置では、ローラ軸変位部材が変位する際に、ローラ外径表面とベルト表面の摺動摩擦により、ローラの変位に対する負荷になってしまい、無端ベルトの周縁部に接触応力が発生する。このため、無端ベルトの寿命が短くなるという課題があった。
【0010】
本発明は、この問題を解決するためになされたものであり、前述の無端ベルト周縁部に発生する応力を必要最小限にすることで、長寿命なベルト駆動装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のベルト駆動装置は、無端ベルトと、前記無端ベルトを張架して回転走行させるための第1の回転軸を有する第1の回転部材及び第2の回転軸を有する第2の回転部材とを備え、前記第1の回転部材は、前記第1の回転軸方向に分割されている。
【0012】
本発明の画像形成装置は、前記ベルト駆動装置と、前記無端ベルト上、又は前記無端ベルトによって搬送される記録媒体上に、画像を形成する画像形成部とを備えている。
【発明の効果】
【0013】
本発明のベルト駆動装置によれば、第1の回転部材を第1の回転軸方向に分割したので、第1の回転部材の表面と無端ベルト内周面との摩擦による第1の回転部材の傾斜負荷が軽減される。その結果、無端ベルトの周縁部に発生する接触応力を減少させるという効果が得られ、延いては、無端ベルトの長寿命化が期待できる。
【0014】
本発明の画像形成装置によれば、前記ベルト駆動装置を備えたので、画像形成装置の無端ベルトの信頼性が向上し、更に、保守コストが低減する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は本発明の実施例1における図2中の転写ベルトユニットの概略を示す斜視図である。
【図2】図2は本発明の実施例1における画像形成装置の概略を示す構成図である。
【図3】図3は図1の転写ベルトユニットのA−A断面図である。
【図4】図4は図1中の駆動ローラを示す構成図である。
【図5】図5は図1中の分割ローラ43−1を示す斜視図である。
【図6】図6は図3中のテンションローラのB−B断面図である。
【図7】図7は図6(c)中のテンションローラの端部を示す拡大図である。
【図8】図8は図1中のテンションローラの端部の動作を示す斜視図である。
【図9】図9は図1中のテンションローラの端部の構成を示す斜視図である。
【図10】図10は図3中の中間転写ベルトの蛇行状態を示す図である。
【図11】図11は図1中のテンションローラの傾斜動作1を示す図である。
【図12】図12は図1中のテンションローラの傾斜動作2を示す図である。
【図13】図13は図1中のテンションローラの傾斜動作3を示す図である。
【図14】図14は図1中のテンションローラの分割数と摩擦によるモーメントMsの減少率とを示すグラフである。
【図15】図15は本発明の実施例2における図1中のテンションローラを示す図である。
【図16】図16は、図15(b)中のテンションローラとテンションローラシャフトの部分図である。
【図17】図17は図15(b)のテンションローラの変形例を示す図である。
【図18】図18は図15(b)の構成を図1中の駆動ローラに適用した変形例を示す図である。
【図19】図19は図7中のテンションローラの端部の変形例を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0017】
(実施例1の構成)
図2は、本発明の実施例1における画像形成装置の概略を示す構成図である。
【0018】
この画像形成装置は、例えば、電子写真プリンタであり、例えば用紙である記録媒体Pが積層される媒体トレイ11を有している。媒体トレイ11の繰出し側には、記録媒体Pを1枚ずつ繰出す給紙部12が設けられている。給紙部12には、ある高さまで上昇した記録媒体Pに圧接するよう設けられたピックアップローラ12aと、このピックアップローラ12aにより繰出された記録媒体Pを1枚ずつに分離するためのフィードローラ12bと、リタードローラ12cとのローラ対が設けられている。給紙部12に対し、記録媒体Pの搬送方向下流には、媒体搬送部13が設けられている。媒体搬送部13は、供給された記録媒体Pを後述する転写ローラ15へ搬送するための複数の搬送ローラ対13a,13b,13cから構成されている。
【0019】
画像形成部20は、直列に並べられた4つのトナー像形成部30(=30C,30M,30Y,30K)と、複数のトナー像形成部30において形成されたトナー像を無端ベルト(例えば、中間転写ベルト)41にクーロン力により1次転写する複数の転写ローラ14(=14C,14M,14Y,14K)と、中間転写ベルト41上のトナー像を記録媒体Pに2次転写する転写ローラ15とから構成されている。
【0020】
複数のトナー像形成部30は、トナー像を担持するための像担持体である複数のOPC(Organic Photo-Conductor;有機感光体)ドラム31(=31C,31M,31Y,31K)と、このOPCドラム31の表面をマイナスに帯電させる複数の帯電ローラ32(=32C,32M,32Y,32K)と、帯電したOPCドラム31の表面に静電潜像を形成する発光ダイオード(以下「LED」という。)アレイから成る複数の印刷ヘッド33(33C,33M,33Y,33K)と、静電潜像にトナー像を形成する複数の現像ローラ34(=34C,34M,34Y,34K)と、現像ローラ34にトナーを供給する複数のトナー供給部35(=35C,35M,35Y,35K)とから構成されている。
【0021】
ベルト駆動装置(例えば、転写ベルトユニット)40は、本画像形成装置の現像剤像担持体としてのトナー像担持体であり、転写ローラ14で1次転写されたトナー像を搬送する中間転写ベルト41と、図示しない駆動部により駆動され、中間転写ベルト41を、図2において反時計回り方向である矢印のベルト搬送方向Xに駆動する第2の回転部材(例えば、駆動ローラ)42と、駆動ローラ42に対向する位置で中間転写ベルト41を張架する第1の回転部材としてのテンションローラ43と、このテンションローラ43におけるベルト搬送方向Xの上流側に配置された転写ローラ15に対して中間転写ベルト41を挟んで対向する位置に配置されたバックアップローラ44とを有している。
【0022】
2次転写を行う転写ローラ15の下流には、記録媒体P上に転写されたトナー像を、熱と圧力を加えて定着する定着部16が設けられている。定着部16は、表面が弾性体で形成されたアッパローラ16a及びロワローラ16bのローラ対を有している。このアッパローラ16a及びロアローラ16bの内部には、熱源となるハロゲンランプ16c,16dがそれぞれ設けられている。
【0023】
定着部16の下流には、定着された記録媒体Pを外部に排出する複数の排出ローラ対17a,17b,17cが設けられている。画像形成装置の上部には、印刷された記録媒体Pを堆積するスタッカ部18が設けられている。
【0024】
図1は、本発明の実施例1における図2中の転写ベルトユニット40の概略を示す斜視図である。更に、図3は、図1の転写ベルトユニット40のA−A断面図である。
【0025】
転写ベルトユニット40は、中間転写ベルト41を駆動して走行させる駆動ローラ42と、テンションローラシャフト43aを有するテンションローラ43と、バックアップローラ44との3本のローラにより、中間転写ベルト41を張架するように構成されている。
【0026】
図4は、図1中の駆動ローラ42を示す構成図である。
図4に示すように、駆動ローラ42は、駆動ローラシャフト42bに固定され、駆動ローラシャフト42bを保持する軸受け部42L,42Rによって、フレーム51L,51Rに対して、回転自在に配置されている。ここで、駆動ローラ42は、中間転写ベルト41を張架する。又、駆動ローラシャフト42bには、駆動ギア42aが固定されており、画像形成装置に配設されている図示しないモータから駆動力を伝達されて、駆動ローラ42、駆動ローラシャフト42b及び駆動ギア42aが一体となって、第2の回転軸としての回転軸O1を中心として回転駆動するように構成されている。
【0027】
又、駆動ローラ42は、アルミ製の金属ローラであり、表層にセラミックコーティングが施されている。駆動ローラ42と中間転写ベルト41との間に生じる摩擦力によって、中間転写ベルト41が回転するように構成されている。
【0028】
図3において、駆動ローラ42のベルト搬送方向Xの下流側には、アルミ製のローラであるバックアップローラ44が図示しない軸受を介して回転自在にフレーム51L,51Rに設置されている。バックアップローラ44におけるベルト搬送方向Xの下流側には、第1の回転軸としてのテンションローラシャフト43aを有するテンションローラ43が配置されている。テンションローラ43は、テンションローラシャフト43aの軸方向に連なるように配置された複数個(例えば、5個)の分割部分(例えば、分割ローラ)43−1,43−2,43−3,43−4,43−5を有している。
【0029】
図5は、図1中の分割ローラ43−1を示す斜視図である。
図5に分割された複数の分割ローラ43−1〜43−5の内の分割ローラ43−1を示す。分割された複数の分割ローラ43−1〜43−5にそれぞれ形成された嵌合穴43−1a〜43−5aにテンションローラ43aが連通している。
【0030】
そのため、これらの複数の分割ローラ43−1〜43−5は、互いに独立して回転可能であり、図6で後に説明するEリング58によって、テンションローラシャフト43a軸方向に対して固定されている。
【0031】
図6(a)、(b)、(c)は、図3中のテンションローラ43のB−B断面図である。
テンションローラシャフト43aの一端には、第3の回転部材(例えば、プーリ)56が取り付けられており、このプーリ56の後に図7で説明するフランジ部56bと中間転写ベルト41の側面とが接するように構成されている。図6(a)に示すように、プーリ56において、中間転写ベルト41と当接する面Aと反対側の面Bには、軸変位部材(例えば、レバー)55が接しており、このレバー55がフレーム51Lに対して第3の回転軸としての回転軸O3を中心に回動自在に取り付けられている。
【0032】
テンションローラシャフト43aにおいて、プーリ56が取り付けられた側の端部には、軸受54Lが取り付けられている。更に、端部は、図1に示すようにフレーム51Lに対して回動軸52aで回動可能に取り付けられたアーム52を備え、このアーム52に設けられたレール部52bに沿って、軸受54Lが移動可能に配置されている。
【0033】
軸受54Lとアーム52との間に、圧縮コイルばねであるテンションスプリング53Lが設置されており、中間転写ベルト41に張力を発生させている。
【0034】
テンションローラシャフト43aのプーリ56が取り付けられた方向とは反対側の端部には、軸受54Rが取り付けられている。軸受54Rは、フレーム51Rに設けられた図示しないレール部に沿って移動可能に配置されている。軸受54Rとフレーム51Rとの間には、圧縮コイルばねであるテンションスプリング53Rが設置されており、中間転写ベルト41に張力を発生させている。
【0035】
テンションローラ43におけるベルト搬送方向Xの下流側には、ベルト規制手段であるベルト規制ローラ対57が設けられている。ベルト規制ローラ対57は、ローラ57aとローラ57bとから構成されており、互いに中間転写ベルト41を挟んだ位置に配置されている。ローラ57a及びローラ57bは、両端をフレーム51L,51Rに図示しない軸受を介して回転自在に配置され、中間転写ベルト41の回転軌跡を規制している。
【0036】
ベルト規制ローラ対57におけるベルト搬送方向Xの下流側には、1次転写を行う複数の転写ローラ14(=14C,14M,14Y,14K)が、図示しない軸受を介してフレーム51L,51Rに回転自在に支持されている。複数の転写ローラ14は、中間転写ベルト41を挟み込んで、トナー像形成部30を構成するOPCドラム31C,31M,31Y,31K、に図示しない付勢手段により付勢されている
【0037】
テンションローラ43と軸受54Rとの間には、そのテンションローラ43の規制部材としてのEリング58及びスペーサ59が設けられている。テンションローラ43の軸受54L側の端部には、プーリ56が取り付けられており、このプーリ56と中間転写ベルト41の側面が接するように構成されている。プーリ56において、中間転写ベルト41と当接する面と反対側の面には、第3の回転軸O3を有するレバー55が接しており、このレバー55がフレーム51Lに取り付けられている。
【0038】
テンションローラ43の分割ローラ43−1,43−2,43−3,43−4,43−5は、テンションローラシャフト43aによって回動自在に軸支され、隣接する分割ローラ43−1〜43−5の間に間隙dが設けられており、摩擦負荷の発生を抑制するように構成されている。
【0039】
間隙dは、テンションローラ43のベルト張架部43cの径よりも小さい径を有するリング状のボス部43bをテンションローラシャフト43に設けることで形成されている。
【0040】
テンションローラ43は、軸受54L,54Rとテンションローラシャフト43aとの嵌合によって支持されている。軸受54R側におけるスラスト方向へのテンションローラ43の動作は、軸受54R側に設けられたスペーサ59とEリング58とによって規制されている。ここで、軸受54R,54Lは自動調心機能を有しており、テンションローラ43の傾斜に追従するように構成されている。
【0041】
図6(b)は、駆動ローラ42の第2の回転軸O1とテンションローラ43の第1の回転軸O2とが平行であり、中間転写ベルト41は、安定した走行を行っている状態を示している。
【0042】
図6(a)は、テンションローラ43の回転軸O2が駆動ローラ42の回転軸O1に対して図6で上方向に傾斜したときのテンションローラ43の状態を示している。この状態で、レバー55は、第3の回転軸O3で回転して軸受54L付近にある。
【0043】
図6(c)は、テンションローラ43の回転軸O2が、駆動ローラ42の回転軸O1に対して図6で下方向に傾斜したときのテンションローラ43の状態を示している。この状態で、レバー55は、回転軸O3で回転してプーリ56を押圧する方向に動作するので、中間転写ベルト41及びテンションローラ43が軸受54R側に寄っている。
【0044】
図7は、図6(c)中のテンションローラ43の端部を示す拡大図である。
図7は、テンションローラ43の回転軸O2が、駆動ローラ42の回転軸O1に対して図5における下方向に傾斜したときのテンションローラ43の端部の状態を示している。テンションローラ43の傾斜に伴って、レバー55が回転軸O3に矢印a方向に回転し、プーリ56をD2方向に押圧する状態を示している。
【0045】
プーリ56のベルト当接部(例えば、フランジ部)56bに形成されたテーパ部56aは、中間転写ベルト41がフランジ部56bを仮に乗り越えた場合に元の位置に誘導するための役割を有している。
【0046】
図8(a)、(b)、(c)は、図1中のテンションローラ43の端部の動作を示す斜視図である。
【0047】
図8(b)は、図6(b)の状態を示しており、中間転写ベルト41が安定した走行を行っている状態を示している。
【0048】
図8(a)は、図6(a)の状態を示しており、テンションローラ43の回転軸O2が、駆動ローラ42の回転軸O1に対して図6で上方向に傾斜したときのテンションローラ43の状態を示している。レバー55は、アーム52に接触している。
【0049】
図8(c)は、図6(c)の状態を示しており、テンションローラ43の回転軸O2が、駆動ローラ42の回転軸O1に対して図6で下方向に傾斜したときのテンションローラ43の状態を示している。この状態で、レバー55は、回転軸O3で回転してプーリ56を押圧する方向に動作するので、中間転写ベルト41及びテンションローラ43が軸受54R側に寄っている。
【0050】
図9は、図1中のテンションローラ43の端部の構成を示す斜視図である。
レバー55は、テンションローラ43の回転軸O2対して一定角度だけ傾斜した回転軸O3を有している。小判穴55aには、図示しないテンションローラシャフト43aが回転可能に、且つスライド可能に貫通されるように構成されている。レバー55のプーリ56に対向する面には、プーリ56と接触する凸部55bが設けられている。アーム52のレール部52bには、軸受54Lと、テンションスプリング53Lとが設けられている。
【0051】
レバー55は、図6(b)の状態におけるテンションローラ43の回転軸O2に対して傾斜した回転軸O3を有するので、図6(c)に示すように、テンションローラ43の軸受54L側の端部が、図6における下方向に傾斜したときには、レバー55も下方向で、且つテンションローラ43に近づく方向に回転してプーリ56を押圧するように動作する。
【0052】
図6(a)に示すように、テンションローラ43の軸受54L側の端部が、図6における上方向に傾斜したときには、レバー55も上方向で、且つテンションローラ43から遠ざかる方向に回転して移動する。
【0053】
図10(a1)、(a2)、(b1)、(b2)は、図3中の中間転写ベルト41の蛇行状態を示す図である。
【0054】
中間転写ベルト41は、駆動ローラ42によりベルト搬送方向Xへ循環回転する。中間転写ベルト41が回転するとき、駆動ローラ42、テンションローラ43及びバックアップローラ44の平行度が悪いと、中間転写ベルト41が走行方向と直行する方向に蛇行する。
【0055】
例えば、図10(a1)、(a2)において、テンションローラ43の右側の軸端部(図6における軸受54L側)が上方向にねじれた場合には、中間転写ベルト41は、巻きついたローラの軸に垂直に走行するので、中間転写ベルト41が、図10(a1)に示すようなベルトの走行軌跡Xtを示し、結果として、ベルト搬送方向Xに対し直行するベルト蛇行方向Y1へ蛇行する。テンションローラ43が1回転するときには、蛇行により、移動量mだけ中間転写ベルトがベルト蛇行方向Y1に移動する。なお、ベルト走行軌跡Xtにおいて、ベルトの表面の軌跡を実線で表し、ベルトの裏側の軌跡を破線で表している。
【0056】
図10(b1)、(b2)に示すように、逆に軸端部が下方向へ捩じれた場合には、中間転写ベルト41がベルト蛇行方向Y2へ蛇行する。
【0057】
中間転写ベルト41の蛇行の原因は、駆動ローラ42、テンションローラ43及びバックアップローラ44の捩じれによる他、中間転写ベルト41の張力の不均一(例えば、本実施例1では、テンションローラシャフト43a両端のスプリング53L,53Rの付勢力の不均一)、中間転写ベルト41の左右の周長差、中間転写ベルト41を張架するローラ(本実施例1では、駆動ローラ42、テンションローラ43、及びバックアップローラ44)の円筒度等がある。
【0058】
図11は、図1中のテンションローラ43の傾斜動作1を示す図である。
図11は、テンションローラ43が傾斜したときの中間転写ベルト41の内周面とテンションローラ43の表面との状態を模式的に示した図である。テンションローラ43が回転支点O1aを中心に傾斜すると、このテンションローラ43の表面と中間転写ベルト41の内周面とに滑りが発生し、テンションローラ43の幅方向中心R2Cが回転軌跡R2で回動したとき、滑り部60が形成されることを示している。
【0059】
図12は、図1中のテンションローラ43の傾斜動作2を示す図である。
図12は、テンションローラ43が分割されていない場合の傾斜動作を示す図である。テンションローラ43の幅方向中心R2Cを軸として、表面が中間転写ベルト41の内周面と相対的に回転するように滑りが発生しているときの状態を転写模式的に示した図である。
【0060】
図13は、図1中のテンションローラ43の傾斜動作3を示す図である。
図13は、均等幅に5分割された各分割ローラ43−1〜43−5の幅方向中心R3−1〜R3−5を軸として、各分割ローラ43−1〜43−5の表面と中間転写ベルト41の内周面との間に、相対的に回転するように滑りが発生している状態を模式的に示している。
【0061】
(実施例1における画像形成装置全体の動作)
図2を用いて画像形成装置全体の動作について説明する。
【0062】
図2において、画像形成装置は、図示しない上位装置から画像データを受信し、図示しない制御部により、画像形成動作が指示される。図示しない駆動モータにより給紙部12のピックアップローラ12aが駆動されて回転し、媒体トレイ11から記録媒体Pを繰り出す。ピックアップローラ12aにより繰出された記録媒体Pは、フィードローラ12bとリタードローラ12cのローラ対のニップ位置まで搬送され、1枚ずつに分離される。
【0063】
給紙部12により1枚に捌いて繰出された記録媒体Pは、媒体搬送部13へ送られ、搬送ローラ対13a,13b,13cにより2次転写部である転写ローラ15へと送られる。
【0064】
複数の帯電ローラ32は、複数のOPCドラム31の表面をマイナスに帯電する。上位装置から受信した画像データに基づいて、複数の印刷ヘッド33は、複数のOPCドラム31表面を照射し、マイナスに帯電したOPCドラム31の表面に静電潜像を形成する。
【0065】
複数の現像ローラ34は、複数のトナー供給部35から供給されるトナーにより可視画像(=トナー像)をOPCドラム31上に形成する。OPCドラム31に担持されたトナー像は、1次転写部である複数の転写ローラ14のニップ部で、中間転写ベルト41上に転写され、中間転写ベルト41上に帯電したトナー像を形成する。
【0066】
トナー像形成部30のOPCドラム31と中間転写ベルト41とは、同期して駆動され、中間転写ベルト41に色の異なるトナー像を順次重ね合せて転写する。中間転写ベルト41上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト41により、2次転写部である転写ローラ15まで搬送される。転写ローラ15において、図示しない電源装置により電圧を印加された転写ローラ15と、フレームグランドに接続されたバックアップローラ44との間で発生した電界により、トナー像が記録媒体P上に転写される。
【0067】
転写ローラ15でトナー像を転写された記録媒体Pは、定着部16へ送り出される。定着部16は、記録媒体Pに熱と圧力を加え、トナーを融解して記録媒体Pに定着させる。その後、記録媒体Pは、複数の排出ローラ対17a,17b,17cによりスタッカ部18へと排出される。
【0068】
(実施例1における転写ベルトユニットの動作)
図6、図7及び図8を用いて本実施例1の転写ベルトユニット40の動作について説明する。
【0069】
画像形成装置の設置面の平面度、フレームの撓み、組立寸法誤差等の影響により、図6(c)に示すように、テンションローラ43の端部が斜傾することがある。この場合、テンションローラ43を構成するテンシヨンローラシャフト43aも斜傾するため、テンションローラシャフト43aと小判穴55aにおいて遊嵌しているレバー55は、小判穴55aのE1においてテンションローラシャフト43aによってD1方向の力を受け、フレーム51Lに対して固定されている回転軸O3を中心に矢印aの方向に回動する。
【0070】
レバー55とテンションローラ43との間で、且つテンションローラシャフト43aの軸方向に摺動可能に嵌合されたプーリ56は、レバー55のa方向への回動に伴い、点E2おいてレバー55と当接する。この当接によって、プーリ56は、レバー55からD2方向への力を受ける。そのため、プーリ56は、テンションローラシャフト43aの軸方向におけるD2方向に摺動する。
【0071】
中間転写ベルト41は、プーリ56に形成されたフランジ部56bに当接しているので、プーリ56の軸方向への摺動に伴い、点E3においてD3方向の力を受ける。このため、軸受54R側に寄っている状態となる。
【0072】
ここで、図示しないモータによって駆動ローラ42の駆動が開始され、この駆動ローラ42の回転に伴って、中間転写ベルト41及びテンションローラ43が従動する。このとき、中間転写ベルト41は、図10で説明した通り、ベルト蛇行方向Y2へ蛇行し、それに伴い、中間転写ベルト41は、中間転写ベルト41の周面端部と当接する点E3,E4を含むフランジ56bを有するプーリ56を、D3方向と反対の方向へ力Fで押圧する。
【0073】
その結果、プーリ56は、テンションローラシャフト43aの軸方向であるベルト蛇行方向Y2に沿って摺動する。プーリ56のベルト蛇行方向Y2への摺動に伴って、D2方向の反対方向にレバー55が押され、レバー55がb方向へ回動する。レバー55の回動に伴って、テンションローラシャフト43aは、レバー55の小判穴55aに規制されて、D1方向と反対方向に移動しようとする。
【0074】
このとき、軸受54Lを支持しているアーム52は、回動軸52aにおいて、図1に示すf方向に回動し、この回動に伴って軸受54Lがf方向、即ち図6(b)に示す状態に近づくように動作する。理論的には図6(b)の状態で安定状態となるが、テンションローラ43の重量、アーム52の重量、及び各部品間の摩擦力等と、中間転写ベルト41が蛇行するベルト蛇行方向Y2への力Fとが、バランスする位置で安定して走行する。
【0075】
駆動ローラ42回転軸O1及びバックアップローラ44の回転軸が平行であった場合、図6(b)のような位置では、テンションローラ43の回転軸O2と、駆動ローラ42の回転軸O1とが略平行となるため、中間転写ベルト41の蛇行が減少し、この位置で蛇行は収まり安定して走行することとなる。
【0076】
図6(a)に示す位置にテンションローラ43が斜傾した場合には、図6(c)の状態から安定となる動作とは反対に、中間転写ベルト41が、ベルト蛇行方向Y1へ蛇行し、プーリ56は同じくベルト蛇行方向Y1へ移動する。レバー55は、テンションローラ43の自重により、回転軸O3を中心に下右方向へ回転し、凸部55bがプーリ56を下右方向へ移動し、図6(b)に示す状態と近い状態となり、中間転写ベルト41が、安定して走行する。
【0077】
以上、テンションローラ43の位置による動作として、図6(c)から図6(b)の状態への動作(ケース1の動作)と、図6(a)から図6(b)への動作(ケース2の動作)の2つのケースを説明したが、テンションローラ43がどの方向に傾斜しても、レバー55は、中間転写ベルト41の蛇行を常に低減し打ち消す方向へテンションローラ43を傾斜させる。
【0078】
例えば、転写ベルトユニット30の組み立て時に、中間転写ベルト41及びテンションローラ43の位置を予め決められた位置に組み立てる必要はなく、中間転写ベルト41を走行させればプーリ56と中間転写ベルト41の周縁部にベルト蛇行方向Y1又はベルト蛇行方向Y2に働くスラスト力が発生し、中間転写ベルト41は、蛇行もなく安定して走行することが可能となる。
【0079】
このように、テンションローラ43の回転軸O2と、駆動ローラ42の回転軸O1及びバックアップローラ44の回転軸とが略平行となり、中間転写ベルト41の蛇行は収まり安定して走行する。このとき、中間転写ベルト41の周縁部とプーリ56とは、常に弱い接触力で当接している状態に保つことができる。
図11、図12、及び図13を用いて、テンションローラ43が傾斜したときの中間転写ベルト41の内周面と、テンションローラ43表面の摩擦負荷の影響について説明する。
【0080】
図11は、テンションローラ43が傾斜したときの中間転写ベルト41内周面とテンションローラ43の表面の状態を模式的に示している。テンションローラ43が回転支点O1aを中心に傾斜すると、テンションローラ43は、中間転写ベルト41の内周面を中間転写ベルト41に連れまわされながら回転する。テンションローラ43は、中間転写ベルト41の略全幅を張架する長さで構成されているため、中間転写ベルト41の内周面とテンションローラ43の表面に滑りが発生する。
【0081】
このとき、テンションローラ43の回転支点O1aから近いところと遠いところでは、滑り量に差が生じる。ここで、テンションローラ43が回転支点O1aを中心に、テンションローラ43の幅方向中心R2Cが軌跡R2で回動したとき、テンションローラ43の幅方向中心R2Cにおいて、中間転写ベルト41の内周面との間に滑りが発生しないとした場合、テンションローラ43の表面と中間転写ベルト41の内周面とは、相対的に幅方向中心R2Cを軸として回転する滑りが発生し、滑り部60が形成される。
【0082】
即ち、中間転写ベルト41の内周面とテンションローラ43の表面との間に、摩擦負荷が発生することになる。中間転写ベルト41の内周面とテンションローラ43の表面との間に摩擦負荷が発生すると、テンシヨンローラ43の傾斜動作がスムーズに動作せずに図4、図5、及び図6で説明した蛇行調整が機能しなくなる。
【0083】
図12は、テンションローラ43の幅方向中心R2Cに、表面が中間転写ベルト41内周面と相対的に回転するように滑りが発生しているときの状態を模式的に示している。図12においては、テンションローラ43は、分割されていない。
【0084】
図12中のテンションローラ43のローラの幅をB、テンションローラ43の表面と中間転写ベルト41の内周面とで発生する単位幅当りの摩擦カをS(中間転写ベルト41の張力によるテンションローラ43の幅方向の張架力及び摩擦力は一定と仮定)、テンションローラ43の幅方向中心R2Cを軸としたときに発生するモーメントをMc、テンションローラ43の図中右側端部の中心O3aを軸としたときに発生するモーメントをMs(ローラ端部の中心をテンションローラ43の傾斜中心と仮定)、テンションローラ43の表面と中間転写ベルト41の内周面で発生する摩擦力をFとする。
【0085】
このときテンションローラ43の左右に均等に発生する摩擦力Fは
F=(B/2)×S ・・・・・ (1)
で表される。この摩擦力Fは、幅方向の摩擦力分布は一定としたとき、テンションローラ43の幅方向中心R2Cからの距離r=B/4だけ離れた左右に発生する。このときのモーメントをMcは、
Mc=2×F×r
Mc=(1/4)×B2×S ・・・・・(2)
となる。
【0086】
右側端部の中心O3aを軸としたときに発生するモーメントMsは、Mcの幅方向中心R2CからMsの中心O3aまでの距離をr=L/2とすると、
Ms=Mc/r
Ms=(2/B)×Mc
Ms=(1/2)×B×S ・・・・・・(3)
となる。
【0087】
次に、本実施例1の構成である均等幅に5分割されたテンションローラ43が傾斜したときの中間転写ベルト41の内周面とテンションローラ43の表面との摩擦負荷の影響について説明する。
【0088】
図13は、均等幅に5分割された各分割ローラ43−1〜43−5の表面において、各分割ローラ43−1〜43−5の幅方向中心R3−1〜R3−5に、中間転写ベルト41の内周面と相対的に回転するように滑りが発生しているときの状態を転写模式的に示している。
【0089】
前述した図12の場合と同様に、5分割された場合においても、テンションローラ43が回転中心O3aを軸にして傾斜する。各分割ローラ43−1〜43−5の幅方向中心R3−1〜R3−5が、中間転写ベルト41の内周面と滑り無く転動した場合、各分割ローラ43−1〜43−5の表面と中間転写ベルト41の内周面とは、相対的に幅方向中心R3−1〜R3−5を軸として回転するような滑りが発生することになる。
【0090】
図13中のテンションローラ43の幅Bを、テンションローラ43の分割数をt、テンションローラ43の表面と中間転写ベルト41の内周面とで発生する単位幅当りの摩擦力をS(中間転写ベルト41の張力によるテンションローラ43の幅方向の張架力及び摩擦力は一定と仮定)、各分割ローラ43−1〜43−5の幅方向中心R3−1〜R3−5を軸としたときに発生するモーメントをMc、前記5つ全てのモーメントMcをテンションローラ43の図中右側端部の中心O3aを軸としたときに発生するモーメントをMs(テンションローラ43の端部の中心をテンションローラ43の傾斜中心と仮定)、各分割ローラ43−1〜43−5の表面と中間転写ベルト41の内周面とで発生する摩擦力をFとする。
【0091】
このとき、各分割ローラ43−1〜43−5の左右に均等に発生する摩擦力Fは、
F=B×S/(2×t) ・・・・・(4)
で表される。
【0092】
摩擦力Fは、幅方向の摩擦力分布を一定としたとき、各分割ローラ43−1〜43−5の各幅方向中心R3−1〜R3−5からの距離rだけ離れた左右に発生する。このとき、距離rと距離rに発生するモーメントMcは、次の通りである。
r=B/4×t
Mc=2×F×r
Mc=B2×S/(4×t2) ・・・・(5)
【0093】
次に、テンションローラ43の図中右側端部の中心O3aを軸としたときに発生するモーメントMsを求める。なお、以下の式において、Nは分割数を意味している。
【0094】
モーメントMsの中心O3aから各Mcの中心である各幅方向中心R3−1〜R3−5までの距離を
rn=B{(k−1)/t+(1/2×t)}
とすると、
【0095】
【数1】
【0096】
ここで、式(5)を代入すると、
【0097】
【数2】
【0098】
【数3】
【0099】
となる。
【0100】
式(7)に分割数t=1を代入すると
Ms=(1/2)×B×S
となり、前述した式(3)と同一の式になる。
【0101】
式(7)に本実施例1の分割数t=5を代入すると、
【0102】
【数4】
【0103】
となり、分割数t=1に対して36%程度までMsを減少させることができる。
【0104】
式(7)によれば、分割数t=1のときのMsを100%としたときの分割数t=1〜10のMsの比率は次の表1のとおりである。
【0105】
【表1】
【0106】
図14は、図1中のテンションローラ43の分割数tと摩擦によるモーメントMsの減少率とを示すグラフである。
【0107】
図14において、横軸は、分割数t、縦軸は、分割数t=1におけるモーメントMsを100%としたときの分割数t=1〜10のモーメントMsの比率を示している。
【0108】
図14によれば、摩擦により発生するモーメントMsの比率の変曲点が、テンションローラ43の分割数t=3.3付近において存在している。これは、テンションローラ43の分割数をt=4以上にすることで、本実施例1による効果がより得られることを指し示している。
【0109】
理論上、分割数tを多くすれば多くするほど、本実施例1による効果がより得られることが考えられるが、実際はテンションローラ43を分割した分割ローラ43−1〜43−5のそれぞれの幅を30mm以上とするのが好ましい。30mm未満の場合には、テンションローラ43とテンションローラシャフト43aとの嵌合にがたが発生し易くなり、かえって負荷となるためである。
【0110】
分割数tの上限値は、画像形成装置が扱う記録媒体Pとしての最大用紙サイズで決まる。例えば、A3サイズの用紙を最大用紙として取り扱う画像形成装置においては、テンションローラ43の幅Lは、用紙幅297mm+40mm程度となり、A4サイズの用紙を最大用紙として取り扱う画像形成装置においては、テンションローラ43の幅Lは、用紙幅210mm+40mm程度となる。
【0111】
つまり、A3サイズの用紙を最大用紙として取り扱う装置の場合は、分割数を10個以下、A4サイズの用紙を最大用紙として取り扱う装置の場合は、分割数を8個以下とすることが好ましい。以上のことより、A3サイズを最大サイズとして取り扱う場合には、テンションローラ43の分割数tは、4以上10以下が好ましく、A4サイズを最大サイズとして取り扱う場合は、テンションローラ43の分割数は4以上8以下とすることが好ましい。
【0112】
このように、テンションローラ43を軸方向に複数分割することで、テンションローラ43の表面と中間転写ベルト41の内周面との摩擦による、テンションローラ43の傾斜動作に与える負荷が軽減される。
【0113】
即ち、テンションローラ43に対して中間転写ベルト41を蛇行させながらプーリ56のフランジ部56bによって安定位置へ案内する機構において、常にテンションローラ43と中間転写ベルト41との間の摩擦力を分散させることで、フランジ部56bと中間転写ベルト41との当接負荷が一定となるため、過負荷が中間転写ベルト41に加わり、この中間転写ベルト41がフランジ部56bに乗り上げてしまうことを防止することができる。
【0114】
なお、本実施例1においては、説明を分かり易くするため、テンションローラ43の幅方向中心R2Cにおいて、テンションローラ43と中間転写ベルト41との間に滑りが発生しない場合を仮定して説明したが、滑りが発生しないポイントをテンションローラ43の回転軸O2上のどこにとっても同様のことがいえる。
【0115】
(実施例1の効果)
本実施例1の転写ベルトユニット40によれば、テンションローラ43を軸方向に複数の分割ローラ43−1〜43−5に分割し、各分割ローラ43−1〜43−5が独立して回転可能な構成にしている。このため、テンションローラ43の表面と中間転写ベルト41の内周面との摩擦によるテンションローラ43の傾斜負荷が軽減され、スムーズに動作することが可能となる。その結果、中間転写ベルト41の周縁部とプーリ56の側面とに発生する接触応力を減少させるという効果が得られ、延いては転写ベルトユニット40の長寿命化が期待できる。
【実施例2】
【0116】
(実施例2の構成)
図15(a)、(b)は、本発明の実施例2における図1中のテンションローラ43を示す図である。更に、図16は、図15(b)中のテンションローラ43とテンションローラシャフト43aの部分図である。
【0117】
本実施例2の構成は、実施例1の構成とほぼ同様である。本実施例2では、実施例1のテンションローラ43に代えて、これと構成の異なるテンションローラ43Aを有している。
【0118】
実施例1のテンションローラ43は、図15(a)に示すように、複数の分割された分割ローラ43−1〜43−5のローラ外径G1が、中央部と端部が同じローラ径である所謂ストレート形状である。これに対し、本実施例2では、図15(b)に示すように、複数の分割された分割ローラ43A−1〜43A−5の中央部の外径G3と端部の外径G2とが異なっている。
【0119】
即ち、本実施例2のテンションローラ43Aは、端部の外径G2が中央部の外径G3よりもわずかに小さい径である所謂クラウン形状を有している点で、実施例1のテンションローラ43と異なっている。
【0120】
テンションローラ43Aの端部の外径G2と中央部の外径G3との外形差は、テンションスプリング53L,53Rにより、中間転写ベルト41に張力を与えたときに発生するテンションローラシャフト43aの中央部の撓み量を考慮した外径差となっている。
【0121】
図16に示すように、テンションローラ43Aの部分ローラ43A−1〜43A−5は、テンションローラシャフト43aに連通して嵌合しており、隣接する部分ローラ43A−1〜43A−5との間に空隙を設けるため、各部分ローラ43A−1〜43A−5には、ボス部43Ab−1〜43Ab−5が設けられている。又、テンションローラ43Aは、クラウン形状となっており、中央部の外径G3に対して両端部の外径G2が小さくなっている。矢印方向Eに負荷が与えられて、テンションローラシャフト43aが撓んだとき、空隙によって各部分ローラ43A−1〜43A−5が互いに干渉することを防止し、各部分ローラ43A−1〜43A−5もテンションローラシャフト43aの撓みに追従することでテンションローラ43AのF側の周面が略直線状となるように構成されている。
【0122】
(実施例2の動作)
本実施例2における画像形成装置及び転写ベルトユニット40の動作は、実施例1とほぼ同様である。
【0123】
本実施例2におけるテンションローラ43Aの動作について説明する。
図15(a)に示すように、複数分割されたストレート形状のテンションローラ43において、テンションスプリング53L,53Rにより、中間転写ベルト41に張力を与えた場合、テンションローラシャフト43aに撓みが発生し、中間転写ベルト41に与えるローラ端部の単位幅当りの張架力T1とローラ中央部の単位幅当りの張架力T2とに差が発生してしまう。
【0124】
テンションローラ43を分割することで、テンションローラ43全体の曲げ強度が減少してしまうために、張架力の差が顕著になる傾向にある。テンションローラシャフト43の強度や、テンションローラ43に張架力を与えるテンションスプリング53L,53Rの設定によっては、テンションローラ43の両端部に大きな張架力が集中して発生してしまい、中間転写ベルト41の周方向の引張り応力が増加して寿命を早めてしまう結果となってしまう。
【0125】
この場合、テンションローラシャフト43の剛性を上げることも有効であるが、剛性を上げるために、シャフト外径の増加、中空シャフトの使用等を行うと、テンションローラシャフト43aの重量増加やコストアップが発生する。
【0126】
これに対し、図15(b)に示す本実施例2のように、テンションローラ43Aを軸方向に複数分割した場合においても、テンションローラ43Aをクラウン形状とすることにより、テンションローラシャフト43aの剛性を増加させることなく、ローラ端部の単位幅当りの張架力T3と、ローラ中央部の単位幅当りの張架力T4との差を小さくすることが可能になる。
【0127】
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、実施例1の効果に加え、次のような効果がある。
【0128】
即ち、本実施例2によれば、テンションローラ43Aを軸方向に複数分割した場合において、テンションローラ43Aをクラウン形状とすることで、ローラ端部の単位幅当りの張架力T3を小さくすることができ、テンションローラ43Aをスムーズに動作させることが可能となる。このため、中間転写ベルト41の周縁部に発生する引張り応力を減少させるという効果が得られ、転写ベルトユニット40の長寿命化が期待できる。
【0129】
(変形例)
本発明は、上記実施例に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)〜(f)のようなものがある。
【0130】
(a) 実施例1、2では、ベルト駆動装置を電子写真プリンタの転写ベルトユニット40に適用した例で説明したが、電子写真方式を利用して記録媒体P上に画像を形成する複写機、ファクシミリ等の他の画像形成装置にも適用可能である。
【0131】
(b) 実施例1、2では、中間転写ベルト41に直接画像を形成し、その後に、記録媒体Pに画像を転写させる中間転写方式に適用した例について説明したが、記録媒体Pに直接、画像が形成される直接転写方式の電子写真プリンタにも適用可能である。
【0132】
(c) 実施例1、2では、電子写真式プリンタの転写ベルトユニット40に適用した例について説明したが、無端状のベルトを用いる電子写真式プリンタの定着器、用紙搬送装置、更には電子写真式プリンタに限らず、無端状のベルトを用いるベルト駆動装置にも適用することができる。
【0133】
(d) 図17は、図15(b)のテンションローラ43の変形例を示す図である。
実施例2では、複数分割されたテンションローラ43Aをクラウン形状で構成した例について説明したが、図17に示すように、テンションローラ43Bの中央部に向かつてローラ径が徐々に大きくなるテーパ形状を有するローラで、隣接するローラの端部がローラ外径に段差無く構成することで、実施例2と同様の効果が得られる。
【0134】
(e) 図18は、図15(b)の構成を図1中の駆動ローラ42に適用した変形例を示す図である。
【0135】
実施例1、2では、中間転写ベルト41の蛇行調整を行う傾斜可能なアライメントローラの例について説明したが、中間転写ベルト41を張架するためのバックアップローラ44や、図18に示すように、中間転写ベルト41を張架し駆動力を与える駆動ローラ42Aに対しても適用可能である。駆動ローラ42Aに適用する場合には、複数分割された中央のローラ42cは、駆動ローラシャフト42bに回転固定され、且つローラ表面には高い摩擦力を有し、その両端部には端部に向かつてわずかにローラ外径が小さくなるテーパ形状を有するローラ42dが、駆動ローラシャフト42bに回転自在に具備されることで、実施例2と同様の効果が得られる。
【0136】
(f) 図19は、図7中のテンションローラ43の端部の変形例を示す拡大図である。
実施例1、2に用いられる中間転写ベルト41の周縁部には、図19に示すような補強部材41aやガイド部材41bを設けてもよい。このような構成においても、実施例1、2と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0137】
20 画像形成部
30 トナー像形成部
40 転写ベルトユニット
41 中間転写ベルト
42 駆動ローラ
43,43A,43B テンションローラ
43a テンションローラシャフト
51L,51R フレーム
52 アーム
53L,53R テンションスプリング
54L,54R 軸受
55 レバー
56 プーリ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端ベルトと、
前記無端ベルトを張架して回転走行させるための第1の回転軸を有する第1の回転部材及び第2の回転軸を有する第2の回転部材とを備え、
前記第1の回転部材は、前記第1の回転軸方向に分割されていることを特徴とするベルト駆動装置。
【請求項2】
前記第1の回転部材は、
前記第1の回転軸方向に分割された分割部分の個数が4個以上10個以下であることを特徴とする請求項1記載のベルト駆動装置。
【請求項3】
前記分割部分は、
互いに独立して回転可能で、隣接する前記分割部分の間には間隙が設けられていることを特徴とする請求項2記載のベルト駆動装置。
【請求項4】
前記第1の回転部材は、
中央部の外形が両端部よりも大きくなるクラウン形状を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のベルト駆動装置。
【請求項5】
前記第1の回転部材は、
中央部から両端部にかけて外径が小さくなるテーパ形状を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のベルト駆動装置。
【請求項6】
前記第1の回転部材は、
少なくとも一方の端部において、前記第1の回転部材の前記第1の回転軸方向への前記無端ベルトの移動に応じて、前記第1の回転部材の前記第1の回転軸に変位を与えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のベルト駆動装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項のベルト駆動装置において、
前記第1の回転部材の少なくとも一方の端部に、前記第1の回転部材の前記第1の回転軸方向への前記無端ベルトの移動に応じて、前記第1の回転部材の前記第1の回転軸に変位を与える軸変位部材が配設されていることを特徴とするベルト駆動装置。
【請求項8】
前記軸変位部材は、
前記第1の回転部材の前記第1の回転軸方向に対して傾斜した第3の回転軸を備え、前記第3の回転軸の周りを回転して前記第1の回転部材の前記第1の回転軸に変位を与えることを特徴とする請求項7記載のベルト駆動装置。
【請求項9】
請求項7又は8記載のベルト駆動装置において、
前記軸変位部材と前記第1の回転部材との間に、ベルト当接部を有する第3の回転部材を設け、
前記第3の回転部材は、前記軸変位部材によって、前記第1の回転部材の前記第1の回転軸方向に対して摺動可能であって、前記ベルト当接部によって前記無端ベルトと当接することを特徴とするベルト駆動装置。
【請求項10】
前記第2の回転部材は、
前記無端ベルトに駆動力を与えるための駆動ローラであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のベルト駆動装置。
【請求項11】
前記第3の回転部材は、フランジを有するプーリであって、前記フランジ部には、テーパ部が形成されることを特徴とする請求項9又は10記載のベルト駆動装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のベルト駆動装置と、
前記無端ベルト上、又は前記無端ベルトによって搬送される記録媒体上に、画像を形成する画像形成部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
無端ベルトと、
前記無端ベルトを張架して回転走行させるための第1の回転軸を有する第1の回転部材及び第2の回転軸を有する第2の回転部材とを備え、
前記第1の回転部材は、前記第1の回転軸方向に分割されていることを特徴とするベルト駆動装置。
【請求項2】
前記第1の回転部材は、
前記第1の回転軸方向に分割された分割部分の個数が4個以上10個以下であることを特徴とする請求項1記載のベルト駆動装置。
【請求項3】
前記分割部分は、
互いに独立して回転可能で、隣接する前記分割部分の間には間隙が設けられていることを特徴とする請求項2記載のベルト駆動装置。
【請求項4】
前記第1の回転部材は、
中央部の外形が両端部よりも大きくなるクラウン形状を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のベルト駆動装置。
【請求項5】
前記第1の回転部材は、
中央部から両端部にかけて外径が小さくなるテーパ形状を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のベルト駆動装置。
【請求項6】
前記第1の回転部材は、
少なくとも一方の端部において、前記第1の回転部材の前記第1の回転軸方向への前記無端ベルトの移動に応じて、前記第1の回転部材の前記第1の回転軸に変位を与えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のベルト駆動装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項のベルト駆動装置において、
前記第1の回転部材の少なくとも一方の端部に、前記第1の回転部材の前記第1の回転軸方向への前記無端ベルトの移動に応じて、前記第1の回転部材の前記第1の回転軸に変位を与える軸変位部材が配設されていることを特徴とするベルト駆動装置。
【請求項8】
前記軸変位部材は、
前記第1の回転部材の前記第1の回転軸方向に対して傾斜した第3の回転軸を備え、前記第3の回転軸の周りを回転して前記第1の回転部材の前記第1の回転軸に変位を与えることを特徴とする請求項7記載のベルト駆動装置。
【請求項9】
請求項7又は8記載のベルト駆動装置において、
前記軸変位部材と前記第1の回転部材との間に、ベルト当接部を有する第3の回転部材を設け、
前記第3の回転部材は、前記軸変位部材によって、前記第1の回転部材の前記第1の回転軸方向に対して摺動可能であって、前記ベルト当接部によって前記無端ベルトと当接することを特徴とするベルト駆動装置。
【請求項10】
前記第2の回転部材は、
前記無端ベルトに駆動力を与えるための駆動ローラであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のベルト駆動装置。
【請求項11】
前記第3の回転部材は、フランジを有するプーリであって、前記フランジ部には、テーパ部が形成されることを特徴とする請求項9又は10記載のベルト駆動装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のベルト駆動装置と、
前記無端ベルト上、又は前記無端ベルトによって搬送される記録媒体上に、画像を形成する画像形成部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−63655(P2012−63655A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208806(P2010−208806)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
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