説明

ペースト塗布装置

【課題】シリンジ交換時における塗布条件パラメータのフィードバック処理を簡便に行うことができるペースト塗布装置を提供することを目的とする。
【解決手段】シリンジに貯留されたペースト18を空圧によって塗布ノズル19から吐出して基板に設定された塗布対象部に塗布するペースト塗布装置において、ペーストを吐出するためにシリンジに供給される空圧を、塗布対象部の塗布パターンに適した標準的な空圧値に対応する標準圧力パラメータP0iおよび標準的な空圧値の補正値に対応するオフセット圧力パラメータP1iで構成し、シリンジの交換に際してオフセット圧力パラメータP1iをデフォルト値にリセットする。これにより、シリンジ交換時における圧力パラメータのフィードバック処理を簡便に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に半導体装置などの電子部品を接着するためのペーストを塗布するペースト塗布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置製造のダイボンディング工程では、樹脂製のパッケージ基板などの基板に半導体チップを接着するためのペーストが塗布される。このペーストの塗布は、ディスペンサから吐出されるペーストを塗布ノズルを介して基板の塗布対象部に対して吐出させることにより行われる(特許文献1参照)。電子部品の接着においては、ペーストを接着範囲内に極力均一に塗布する必要があるため、この塗布方法として、塗布ノズルを基板上で水平移動させながらペーストを吐出することにより塗布を行う描画塗布が多用される。
【0003】
この描画塗布においては、ペーストの粘度が経時変化することなどに起因する塗布状態の変動を防止するため、塗布されたペーストをカメラによって撮像して、塗布形状や塗布量が正常であるか否かを判定するための塗布状態検査が行われる(特許文献2参照)。この結果、塗布状態が不良と判定された場合には、ペーストを吐出させるためにシリンジに供給する空圧値などの塗布条件パラメータを補正する。これにより、塗布ノズルから吐出されるペーストの塗布形状や塗布量が常に良好に保たれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−218136号公報
【特許文献2】特開2003−4661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上述の従来技術のように、シリンジに貯留された状態で供給されるペーストを対象として、塗布状態検査の結果をフィードバックして塗布条件パラメータである空圧値を補正する従来技術においては、以下に説明するように、シリンジ交換時におけるフィードバック処理が煩雑となって余分な作業を余儀なくされるという難点がある。
【0006】
すなわちペースト供給用のシリンジは使用前には低温の保管庫に保存され、シリンジ交換のタイミングに合わせて常温の作業雰囲気内に取り出される。このため、保管庫から取り出された後は、シリンジ内のペーストは経時変化によって増粘するとともに、塗布作業の実行によってペーストが消費されて、シリンジ内における液面が次第に低下し、ペーストの水頭は次第に減少する。このようなペーストの粘度および水頭値の経時的な変動は、塗布ノズルからのペーストの吐出量を減少させるように作用することから、ペースト塗布を連続して実行する過程においては、ペーストの吐出量を一定に保つためにシリンジに供給される空圧値を上昇させる方向に補正することが行われる。
【0007】
このためシリンジに供給される空圧値は前述のフィードバック処理を反復することにより逐次上昇し、使用中のシリンジ内におけるペーストの貯留量が消費され尽くした状態で最高値となる。そしてこのように空圧値が最高となった状態で、ペーストが消費されたシリンジに換えて、新たなシリンジを装着するシリンジ交換が行われるが、このタイミングにおいては新たなシリンジ内のペーストは経時変化による増粘がなく、またシリンジ内における液面は最も高い状態にある。
【0008】
そしてこの状態のシリンジに対して上述の空圧値のまま空圧を供給すると、適正量を超えてペーストが吐出されることとなるため、上述のフィードバック処理を行って空圧値を適正値に戻すことが行われる。しかしながら、最高値まで上昇した空圧値を新しいシリンジに対応した適正値に戻す際のフィードバック処理は収斂性が低く、通常は試し塗布と塗布状態検査とを複数回反復する試行錯誤的な処理が必要となり、シリンジ交換時におけるフィードバック処理に手間と時間を要していた。
【0009】
またこのような課題は、1つの基板に複数のパッケージ基板が形成された多面取り基板を対象として、複数の半導体装置をそれぞれのパッケージ基板にペーストによって接着して実装する、いわゆるマルチタイプのボンディング形態において一層顕著であった。すなわちこの場合には、半導体装置の種類に応じて塗布対象部の種類が異なることから、複数種類のシリンジを装着してそれぞれの塗布対象部に使い分ける必要があり、シリンジ交換時におけるフィードバック処理をさらに煩雑なものとしていた。
【0010】
そこで本発明は、シリンジ交換時における塗布条件パラメータのフィードバック処理を簡便に行うことができるペースト塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のペースト塗布装置は、シリンジに貯留されたペーストを空圧によって前記シリンジに接続された塗布ノズルから吐出することにより、このペーストを基板に設定された塗布対象部に塗布するペースト塗布装置であって、前記塗布対象部の塗布パターンに適した標準的な空圧値に対応する標準圧力パラメータおよび前記空圧値の補正値に対応するオフセット圧力パラメータを記憶する圧力パラメータ記憶部と、前記標準圧力パラメータおよび前記オフセット圧力パラメータに基づく空圧を前記シリンジに供給することにより、このシリンジ内のペーストを前記塗布ノズルから吐出して前記塗布対象部に塗布するペースト塗布機構と、前記ペースト塗布機構によって塗布されたペーストを撮像することにより、このペーストの塗布状態の良否を検査する検査手段と、前記ペースト塗布機構を制御するとともに、前記検査手段による検査結果に基づいて前記オフセット圧力パラメータを調整するフィードバック処理を行う塗布制御部と、前記シリンジを新たに交換した旨をマシンオペレータが表示画面上で入力することにより、シリンジ交換に伴う所定の処理を実行するシリンジ交換処理部とを備え、前記シリンジ交換処理部は、前記所定の処理において前記オフセット圧力パラメータをデフォルト値にリセットする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ペーストを吐出するためにシリンジに供給される空圧を、塗布対象部の塗布パターンに適した標準的な空圧値に対応する標準圧力パラメータおよびこの空圧値の補正値に対応するオフセット圧力パラメータで構成し、シリンジの交換に際してオフセット圧力パラメータをデフォルト値にリセットすることにより、シリンジ交換時における塗布条件パラメータのフィードバック処理を簡便に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態のダイボンディング装置の斜視図
【図2】本発明の一実施の形態のダイボンディング装置における作業対象となる基板の構成説明図
【図3】本発明の一実施の形態のダイボンディング装置における塗布ヘッドの構成説明図
【図4】本発明の一実施の形態のダイボンディング装置における試し塗布および塗布状態検査処理の動作説明図
【図5】本発明の一実施の形態のダイボンディング装置におけるノズル高さ検出部の機能説明図
【図6】本発明の一実施の形態のダイボンディング装置の制御系の構成を示すブロック図
【図7】本発明の一実施の形態のダイボンディング装置によるペースト塗布動作に用いられる塗布データおよび基板データの構成を示す図
【図8】本発明の一実施の形態のダイボンディング装置におけるペーストの塗布条件パラメータの説明図
【図9】本発明の一実施の形態のダイボンディング装置の表示画面を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず、図1,図2,図3を参照して、ダイボンディング装置1の構成および機能を説明する。図1において、ダイボンディング装置1は、基板位置決め機構2に位置決め保持された基板3に電子部品接合用のボンディングペースト(以下、単に「ペースト」と略記する。)を塗布する機能を有するペースト塗布機構部1Aと、ペーストが塗布された基板3に、部品供給部4から取り出した半導体装置などの電子部品をボンディングするボンディング機構部1Bより構成される。
【0015】
図2(a)に示すように、ダイボンディング装置1の作業対象となる基板3は、単位基板3aが規則配列で複数作り込まれた多面取り基板であり、これらの単位基板3aに対してペースト塗布および電子部品のボンディングが行われる。図2(b)に示すように、単位基板3aには複数の塗布対象部(ここでは種類が異なる3つの第1塗布対象部31、第2塗布対象部32、第3塗布対象部33)が設けられている。第1塗布対象部31、第2塗布対象部32、第3塗布対象部33には、それぞれ塗布形状および塗布量が異なる第1塗布パターン31a、第2塗布パターン32a、第3塗布パターン33aが設定されている。第1塗布パターン31a、第2塗布パターン32a、第3塗布パターン33aは、それぞれ大型、中型および小型の電子部品の接合に適した塗布形状・塗布量の塗布パターンであり、第1塗布パターン31aはスターマーク形状、第2塗布パターン32aはX字形状、第3塗布パターン33aはドット形状となっている。
【0016】
基板位置決め機構2は基板搬送装置(図示省略)によって搬入された基板3を保持する基板保持テーブル2bを移動テーブル2aの上面に結合した構成となっており、移動テーブル2aを駆動することにより、基板3は水平方向に移動して位置決めされる。基板位置決め機構2の上方には、第1シリンジ12A、第2シリンジ12Bが装着された塗布ヘッド10が塗布ヘッド駆動機構11によってX,Y,Z方向に移動自在に配設されている。
【0017】
図3に示すように、塗布ヘッド10にはそれぞれシリンジホルダ20を備えた第1シリンジ装着部21A、第2シリンジ装着部21Bが設けられており、第1シリンジ装着部21A、第2シリンジ装着部21Bには、ペースト18を貯留した第1シリンジ12A、第2シリンジ12Bが交換自在に装着される。ここで、第1シリンジ装着部21A、第2シリンジ装着部21Bは、装着されるシリンジを特定できるよう、番号(#1,#2)によって区分されている。また、塗布ヘッド10には第1シリンジ装着部21Aおよび第2シリンジ装着部21Bの高さを選択的に変更する機構を内蔵しており、ペーストを塗布する際にペーストを塗布するシリンジの塗布ノズル19の下端部の高さをそれ以外のシリンジの塗布ノズルの下端部の高さよりも低い位置に位置させる。
【0018】
第1シリンジ12A、第2シリンジ12Bは、エア配管(図示省略)を介してそれぞれ第1空圧ユニット13A、第2空圧ユニット13Bに接続されている。第1空圧ユニット13A、第2空圧ユニット13Bは、制御部30(図6参照)から指令される圧力パラメータ(塗布条件パラメータ)に基づいて、第1シリンジ12A、第2シリンジ12Bに空圧を供給する。これにより第1シリンジ12A、第2シリンジ12Bは、下端部に接続された塗布ノズル19から、指令された圧力パラメータに応じた吐出量のペースト18を吐出する。なお第1シリンジ12A、第2シリンジ12Bとしては、シリンジ自体の型式・ノズルサイズおよび貯留されるペーストの組成が同一のものを2つ用いる形態であっても、またはこれらの一方または双方ともが異なる2つのシリンジを組み合わせて用いる形態であってもよく、同一基板内における塗布対象部の塗布特性に応じてこれらの組み合わせが選定される。
【0019】
第1シリンジ12A、第2シリンジ12B、第1空圧ユニット13A、第2空圧ユニット13Bは、圧力パラメータに基づきペースト18を塗布ノズル19から吐出して、基板3に設定された塗布対象部に塗布するペースト塗布機構を構成する。ここで、第1シリンジ装着部21Aに装着された第1シリンジ12Aおよび第1空圧ユニット13Aはディスペンスユニット#1を構成し、第2シリンジ装着部21Bに装着された第2シリンジ12Bおよび第2空圧ユニット13Bはディスペンスユニット#2を構成する(図6参照)。そして塗布ヘッド10を移動させる塗布ヘッド駆動機構11は、塗布ノズル19を基板3に対して相対移動させるノズル移動機構となっている。
【0020】
塗布ヘッド駆動機構11によって塗布ヘッド10を所定の塗布パターンに応じた軌跡で移動させながら、第1シリンジ12Aまたは第2シリンジ12Bのいずれかの塗布ノズル19からペースト18を吐出させることにより、基板位置決め機構2に保持された基板3の単位基板3aにおいて、第1塗布対象部31、第2塗布対象部32、第3塗布対象部33には、それぞれ第1塗布パターン31a、第2塗布パターン32a、第3塗布パターン33aに従ってペースト18が描画塗布される。すなわち、ペースト塗布機構部1A(ペースト塗布装置)は、第1シリンジ12A、第2シリンジ12Bに貯留されたペースト18を空圧によって塗布ノズル19から吐出することにより、このペースト18を基板3に設定された塗布対象部に塗布する機能を有しており、塗布パターンが異なる複数種類(ここでは3種類)の塗布対象部(第1塗布対象部31、第2塗布対象部32、第3塗布対象部33)を有する単位基板3aが複数作り込まれた基板3を対象としてペースト18を塗布する例を示している。
【0021】
塗布ヘッド10には、塗布ヘッド駆動機構11によって塗布ヘッド10と一体的に移動する基板認識用のカメラ14が装着されている。カメラ14を基板位置決め機構2上に移動させて基板3を撮像することにより、基板3における単位基板3aの位置が認識される。またカメラ14を以下に説明する試し打ちステージ8の上方に移動させることにより、試し打ちされたペースト18の塗布状態を検査することができる。
【0022】
基板位置決め機構2には、捨て打ち捕集部7、試し打ちステージ8、ノズル高さ検出部9が付設されている。捨て打ち捕集部7は、第1シリンジ12A、第2シリンジ12Bによって実際のペースト塗布以外の目的によって吐出されるペースト18、例えば塗布ノズル19内の目詰まり状態を解消するために強制的に吐出されるペースト18などを捕集する。
【0023】
試し打ちステージ8は、前述のペースト塗布機構によって塗布ノズル19から吐出されたペースト18の、塗布状態の良否を検査するために使用される。すなわち基板3へのペースト18の塗布に先立って、塗布ヘッド10を試し打ちステージ8の上方に移動させ、図4(a)に示すように、塗布ノズル19を試し打ちステージ8に対して下降させて、所定の塗布条件でペースト18を塗布面8aに塗布する。
【0024】
次いで図4(b)に示すように、カメラ14を試し打ちステージ8の上方に位置させ、ペースト18を撮像することにより、図4(c)に示すように、塗布された状態のペースト18の平面画像が取得される。この画像を認識処理することにより、塗布されたペースト18の輪郭形状および平面投影面積Aが求められる。そしてこれらを予め記憶された判定基準データと比較することにより、ペースト18の塗布状態の良否が判定されるとともに、判定基準データとの偏差を検出してこの偏差を減少させるように圧力パラメータを補正するためのフィードバックデータが取得される。
【0025】
ノズル高さ検出部9は、塗布ヘッド10に第1シリンジ12A、第2シリンジ12Bが装着された状態における塗布ノズル19の下端部の高さ位置を検出する機能を有している。図5に示すように、ノズル高さ検出部9は凹字形状のブラケット9aに、投光部23a、受光部23bより成る光学センサを取り付けた構成となっており、投光部23aから受光部23bに至る光軸aの高さ位置hは、予め基板保持テーブル2bの高さ基準と関連づけられている。したがって、光軸aの高さ位置に塗布ノズル19の下端部が一致したタイミングにおける塗布ヘッド駆動機構11のZ軸駆動高さを求めることにより、基板保持テーブル2bに保持された基板3の上面の塗布対象面と塗布ノズル19の高さ位置との相対位置を検出することができる。
【0026】
ペースト塗布を正常に行うためには、ノズル高さ、すなわち塗布ノズル19の吐出口と塗布対象面との隙間を適正に設定する必要があるが、塗布動作の途中でペースト切れが発生してシリンジ交換を行った場合には、塗布ノズル19の装着高さが変化するため、この隙間は一定とはならず変動する。このため、シリンジ交換を実行する度に、塗布ヘッド10をノズル高さ検出部9に対してアクセスさせて、装着状態における塗布ノズル19の下端部の高さを検出する。すなわち図5に示すように、塗布ノズル19をノズル高さ検出部9に対して下降させる過程において、塗布ノズル19の下端部が光軸aに一致するタイミングを検出処理部24によって検出する。これにより、ノズル高さを調整するための基準高さ位置を求めることができる。
【0027】
次にボンディング機構部1Bの構成を説明する。基板位置決め機構2のY方向の側方には部品供給部4が配設されている。部品供給部4は、それぞれ個片に分割された複数の第1部品6A,第2部品6B,第3部品6Cを貼着保持した複数の保持テーブル5を、インデックス機構4aによって垂直軸廻りにインデックス回転させる構成となっている。第1部品6A,第2部品6B,第3部品6Cは、それぞれ単位基板3aの第1塗布対象部31、第2塗布対象部32、第3塗布対象部33に実装される電子部品に対応している。
【0028】
部品供給部4の上方には、下部に吸着ノズル15aを備えたボンディングヘッド15 が、ボンディングヘッド駆動機構16 によってX,Y,Z方向に移動自在に配設されている。複数の保持テーブル5のいずれかをボンディングヘッド15 による部品ピックアップ位置に移動させた状態で、ボンディングヘッド駆動機構16 によってボンディングヘッド15 に部品取り出し動作を行わせることにより、第1部品6A,第2部品6B,第3部品6Cは、部品供給部4から吸着ノズル15aによって吸着保持されて取り出される。次いで塗布ヘッド10を基板位置決め機構2上に移動させて、ボンディングヘッド15 にボンディング動作を行わせることにより、第1部品6A,第2部品6B,第3部品6Cは、ペースト塗布後の単位基板3aに順次ボンディングされる。
【0029】
次に図6を参照して、制御系の構成を説明する。制御部30は、第1シリンジ12A、第1空圧ユニット13Aより成るディスペンスユニット#1、第2シリンジ12B、第2空圧ユニット13Bより成るディスペンスユニット#2、塗布ヘッド駆動機構11、基板位置決め機構2、ボンディング機構部1Bを制御する。また制御部30には、カメラ14による撮像結果、ノズル高さ検出部9による検出結果、タッチパネル入力機能を備えた表示・入力部25からの操作指令が伝達される。
【0030】
制御部30は、内部制御機能としての塗布動作実行部30a、試し塗布実行部30b、塗布状態検査部30c、データ設定部30d、ボンディング動作実行部30e、シリンジ交換処理部30fを備えている。塗布動作実行部30a(塗布制御部)は、基板位置決め機構2、塗布ヘッド駆動機構11および第1シリンジ12A、第1空圧ユニット13Aより成るディスペンスユニット#1、第2シリンジ12B、第2空圧ユニット13Bより成るディスペンスユニット#2を制御することにより、基板位置決め機構2に保持された基板3の各単位基板3aの第1塗布対象部31、第2塗布対象部32、第3塗布対象部33に、所定の塗布パターンにしたがってペースト18を塗布する塗布動作を実行させる。この塗布動作においては、記憶部40に記憶された塗布データ41、基板データ42を参照するとともに、ノズル高さ検出部9による塗布ノズル19の高さ検出結果に基づいて塗布ヘッド10の下降高さを制御することにより、塗布ノズル19の高さ位置を適正なノズル高さ位置に調整する。
【0031】
試し塗布実行部30bは、試し打ちステージ8に塗布ヘッド10を移動させて行われるペースト18の試し塗布動作を、基板位置決め機構2、塗布ヘッド駆動機構11、ディスペンスユニット#1、#2に実行させるための処理を行う。塗布状態検査部30cは、試し打ちステージ8に試し塗布されたペースト18の塗布状態の良否を検査するための処理を実行する。すなわち試し塗布されたペースト18をカメラ14によって撮像し、この撮像データを認識処理した結果を判定基準データと比較することにより、塗布状態の良否を判定する。カメラ14および塗布状態検査部30cは、ペースト塗布機構によって基板3に塗布されたペースト18または試し打ちステージ8に試し塗布されたペースト18を撮像することにより、塗布されたペースト18の塗布状態の良否を検査する検査手段を構成する。
【0032】
塗布動作実行部30aによる塗布動作の制御においては、検査手段による検査結果に基づいて前述のペースト塗布機構およびノズル移動機構を制御することにより、複数の単位基板3aの塗布対象部にペースト18を塗布するペースト塗布動作が実行される。さらに、塗布制御部としての塗布動作実行部30aは、ペースト塗布機構を制御するとともに、上述の検査手段による検査結果に基づいてオフセット圧力パラメータを調整するフィードバック処理を行う。
【0033】
データ設定部30dは、表示・入力部25によって入力され記憶部40に記憶された各種のデータの設定処理を行う。ボンディング動作実行部30eは、部品供給部4、ボンディングヘッド15 、ボンディングヘッド駆動機構16より成るボンディング機構部1Bを制御して、ペースト塗布後の複数の単位基板3aに対して第1部品6A,第2部品6B,第3部品6Cをボンディングするための作業動作を実行させる。シリンジ交換処理部30fは、塗布ヘッド10に装着された第1シリンジ12A、第2シリンジ12Bの交換に伴って必要となる処理を実行する。
【0034】
次に記憶部40に記憶されるデータの内容について、図7を参照して説明する。塗布データ41は、単位基板3aにおいて塗布パターンが異なる複数種類の塗布対象部にペースト18をそれぞれの描画パターンで描画塗布するためのデータであり、塗布対象部の種類毎(換言すればボンディングされる電子部品の種類毎)に設定される。すなわち、図7(a)に示すように、塗布データ41は、データ番号41aに、描画データ41b、標準圧力パラメータ41c、オフセット圧力パラメータ41d、ディスペンスユニット区分41eを対応させたデータ構成となっている。データ番号41aは、単位基板3aにおける塗布対象部の種類毎に付与され、図7(a)に示す例では、データ番号1,2,3が、それぞれ図2(b)に示す第1塗布対象部31、第2塗布対象部32、第3塗布対象部33に対応している。
【0035】
描画データ41bは、塗布対象部に描画塗布されるペースト18の形状をコード(W001,W002,・・・)によって示すものである。図7(a)において別枠*で示すように、描画データ41bは、コード41b1にその描画データによって実現される塗布形状41b2を対応させたものとなっている。すなわちここに示す例では、W001,W002には、それぞれサイズの異なるドット形状の塗布パターンが対応しており、W003,W004にはそれサイズの異なるX字形状の塗布パターンが、さらにW005には塗布量の多い塗布パターンであるスターマーク型の塗布パターンが対応している。
【0036】
標準圧力パラメータ41cおよびオフセット圧力パラメータ41dは、ペーストを吐出させるためにシリンジ内に供給される空圧の圧力を規定する圧力パラメータである。したがって記憶部40は、圧力パラメータを記憶する圧力パラメータ記憶部となっている。ここで標準圧力パラメータ41c(P0i)は、塗布対象部の塗布パターンに適した標準的な空圧値に対応して設定される固定パラメータである。ここでは、交換によって新たに装着されるシリンジに対して適正な塗布結果を与える空圧値を試行などによって求め、この空圧値を標準的な空圧値として採用する。なおP0iにおける(i)は、データ番号iに対応したパラメータであることを示す。
【0037】
オフセット圧力パラメータ41d(P1i)は、このようにして設定された標準的な空圧値の補正値、すなわち後述するフィードバック処理によって標準的な空圧値に対して自動的に逐次設定される補正値に対応しており、塗布動作実行の各タイミングに応じて変動する変動パラメータである。なおP1iにおける(i)は、データ番号iに対応したパラメータであることを示す。
【0038】
ディスペンスユニット区分41eは、ペースト塗布動作に際して用いられるディスペンスユニットを特定するデータであり、各データ番号41aに対応して、すなわちボンディング対象となる電子部品の部品種に適用される塗布パターンに対応して予め設定される。塗布動作実行に際しては、対象となるデータ番号に対応したディスペンスユニット区分41eを読み出すことにより、塗布ヘッド10において#1,#2のマークよって特定されるシリンジ装着部(図3参照)のいずれに装着されたシリンジを用いるかが特定される。
【0039】
すなわち、本実施の形態においては、ペースト塗布機構にシリンジを装着する複数(ここでは2つ)のシリンジ装着部21A,21Bを備え、圧力パラメータ記憶部である記憶部40には、標準圧力パラメータ41cおよびオフセット圧力パラメータ41dに加えて、当該塗布パターンの塗布に使用するシリンジが装着されるシリンジ装着部を特定するディスペンスユニット区分41e(装着部特定データ)が、複数の塗布パターン毎に設定されている。
【0040】
上述の圧力パラメータについて、図8を参照して説明する。シリンジを用いたペースト塗布において、シリンジの下端部に装着された塗布ノズル19からのペースト18の吐出量は、ペースト18の粘度が一定であると仮定した場合には、ノズル位置におけるペースト18の静圧によって規定される。そしてペースト18の粘度が増大するにつれて、同一静圧値における吐出量は減少方向に変動する。したがって、ペースト18の吐出量を常に一定に保つためには、ノズル位置におけるペースト18の静圧を粘度との関係で規定される適正値に設定する必要がある。
【0041】
ここでノズル位置における静圧は、図8(a)に示すように、第1空圧ユニット13A、第2空圧ユニット13Bから供給されてペースト18の液面に作用する空圧の圧力値Pに、シリンジ内におけるペースト18の液面高さHに相当する圧力水頭Phを加えたものと考えることができる。ここで、液面高さHは塗布動作を反復実行することによって、当該シリンジ内のペースト18が消費されるのに伴い次第に減少することから、ノズル位置における静圧を一定にするためには、この圧力水頭Phが逐次減少した分だけ圧力Pを増大させなければならない。さらに加えて、シリンジ内のペースト18は使用開始時に保管庫から取り出されて外部雰囲気に置かれる時間が経過するに伴って増粘することから、この粘度増大による吐出量の低下を補償するために圧力Pを増大させる必要がある。
【0042】
このようなペーストの吐出量の経時的な変動は、試し打ちステージ8を用いて行われる試し塗布の検査結果に基づくフィードバックによって、第1シリンジ12A、第2シリンジ12Bに供給される空圧の圧力値Pを変更することにより補正される。図8(b)は、このようにしてペーストの吐出量が一定となるように、ペースト吐出パラメータをフィードバック補正しながらペースト塗布作業を継続して実行する際の圧力値Piの時間的な変動を示している。すなわち、圧力値Piは、上述のように液面高さHの低下および粘度の増大に伴い、新たにシリンジ交換を行った状態における圧力値P0iから徐々に補正分だけ漸増してシリンジ交換の直前において最大圧力値PMiとなり、シリンジ交換によって圧力値Piは再び圧力値P0iにリセットされる。
【0043】
本実施の形態においては、この圧力値Piを、対象となる塗布パターンに適した標準的な空圧値に対応する標準圧力パラメータP0iおよびフィードバックに際して補正される空圧値の補正値に対応するオフセット圧力パラメータP1iの和、すなわちPi=P0i+P1iとして定義している。そして記憶部40に記憶される塗布データ41においては、P0i、P1iは、標準圧力パラメータ41c、オフセット圧力パラメータ41dの個別データの形で、各データ番号41aごとに、すなわち各塗布対象部の塗布パターン毎に格納されている。
【0044】
塗布動作実行に際しては、塗布動作実行部30aは記憶部40の塗布データ41から読み出した標準圧力パラメータ41c、オフセット圧力パラメータ41dに基づいて演算された圧力値Piにしたがって、第1空圧ユニット13A、第2空圧ユニット13Bを作動させる。すなわち、前述のペースト塗布機構は、標準圧力パラメータ41c(P0i)およびオフセット圧力パラメータ41d(P1i)に基づく空圧Piを第1シリンジ12A、第2シリンジ12Bに供給することにより、これらのシリンジ内のペースト18を塗布ノズル19から吐出して、第1塗布対象部31,第2塗布対象部32,第3塗布対象部33に塗布する。
【0045】
基板データ42は、基板3においてペースト塗布動作を実行すべき塗布作業の位置および適用される塗布パターンを規定する。すなわち、図7(b)に示すように、基板3における複数の塗布対象部のそれぞれに対応する塗布位置番号42a毎に、各塗布対象部の基準位置(例えば塗布パターンの中心位置)を示す位置座標42bおよび塗布データ番号42cを対応させた基板データ42が作成される。ここで塗布データ番号42cは、当該塗布対象部と塗布データ41のデータ番号41aとの対応関係を示すものである。ボンディングデータ43は、部品種データやボンディング位置座表データなど、ボンディング機構部1Bによる基板3へのダイボンディング動作の実行に用いられるデータである。
【0046】
次に、塗布ヘッド10に装着された第1シリンジ12A、第2シリンジ12Bの交換に伴って実行されるシリンジ交換処理について、図9を参照して説明する。この処理はシリンジ交換処理部30fによって実行されるものであり、図9に示す表示画面50上に表示される操作手順に従ってマシンオペレータが操作入力することにより、予め定められた処理が実行される。表示画面50には、交換対象となるディスペンスユニットを選択する操作を行うシリンジ選択部51が設定されており、選択操作枠51a、51bのいずれかにチェックマークを入れることにより、ディスペンスユニット#1,#2のうち交換の対象となったシリンジを特定することができる。
【0047】
また表示画面50には、操作内容を示す表示枠52、53、54、55およびこれらの各処理の実行有無を選択するチェック枠52a、53a、54a、55aが、操作手順に従った配列で設けられている。表示枠52(シリンジ交換)は、シリンジ交換が実行される際にその旨を入力するため操作入力手段であり、チェック枠52aにチェックマークを入れて実行操作ボタン57を操作することにより、シリンジを交換した旨の指示入力が制御部30に対してなされる。
【0048】
そしてこの指示入力により、シリンジ交換処理部30fによってシリンジ交換処理が実行され、記憶部40に記憶された塗布データ41の圧力パラメータのうち、オフセット圧力パラメータ41dのみがデフォルト値にリセットされる。すなわち、図8(b)に示すように、シリンジに供給される空圧値Piは、オフセット圧力パラメータ41dがデフォルト値(ここでは0)にリセットされることから、標準圧力パラメータ41cのみによって規定される空圧値P0iとなる。
【0049】
塗布条件パラメータとしての圧力パラメータをこのような構成とすることにより、シリンジ交換に際して必要とされる空圧値Piの更新処理を、正確且つ容易に行うことができる。すなわち、新たに保管庫から取り出された未使用のシリンジに貯留されたペースト18は経時劣化による増粘がなく、またペースト消費による液面高さ低下も生じていないことから、シリンジ交換の直前の空圧値Pi、すなわち試し塗布の結果による補正分が逐次フィードバックされて漸増した空圧値Pi(図8(b)に示す空圧値PMi)をそのまま用いると吐出量が過大となる。
【0050】
このためシリンジ交換後の最初の塗布動作に際しては、空圧値PMiをそのまま用いずに新たなシリンジの状態に適合した空圧値Piに再設定することが必要となる。このとき空圧値PMiをフィードバックの対象とすることなく、オフセット圧力パラメータ41dをデフォルト値にリセットした後の空圧値Pi、すなわち予め設定された標準的な空圧値P0iをフィードバック処理の対象とする。この標準的な空圧値P0iは、シリンジ交換直後の状態に対して適正値となるように設定されることから、フィードバック処理において適正値に収斂させるために必要とされる試行回数は少なく、適正な圧力値に速やかに再設定することができる。
【0051】
すなわち本実施の形態において、シリンジ交換処理部30fは、シリンジを新たに交換した旨をマシンオペレータが表示画面50上で入力することにより、シリンジ交換に伴う所定の処理を実行し、この所定の処理においてオフセット圧力パラメータ41dをデフォルト値にリセットする。そしてこのオフセット圧力パラメータ41dのデータリセット処理においては、交換に係るシリンジが装着された第1シリンジ装着部21A,第2シリンジ装着部21Bのディスペンスユニット区分41e(装着部特定データ)と同じディスペンスユニット区分41eに対応する塗布パターンに係る複数のオフセット圧力パラメータ41dを、一括してリセットするようにしている。これにより、シリンジ交換によってデータのリセットが必要とされる複数のオフセット圧力パラメータ41dを、単一の操作によって同時にリセットすることができ、操作を簡略化することが可能となっている。
【0052】
表示枠53、54、55には、シリンジ交換の後に必要とされるシリンジ交換後処理の処理内容が表示され、それぞれに対応するチェック枠53a、54a、55aにチェックマークを付する操作を行った後に、実行操作ボタン57を操作することにより以下の処理が実行され、また終了操作ボタン58を操作することによりシリンジ交換に伴う処理が終了する。まず表示枠53(ノズル高さティーチ)を選択することにより、新たに交換したシリンジの塗布ノズル19の高さ位置を教示する処理が自動的に実行される。この処理においては、塗布ヘッド10をノズル高さ検出部9にアクセスさせて、塗布ノズル19の下端部の高さ位置を図5に示す方法によって検出することにより、塗布ノズル19の高さ方向の基準位置が設定される。
【0053】
次に表示枠54(ノズルセンタティーチ)を選択することにより、水平面内における塗布ノズル19の基準位置を教示する処理が自動的に実行される。この処理においては、塗布ヘッド10を試し打ちステージ8にアクセスさせて塗布ノズル19からペースト18を点状に塗布し、この塗布点をカメラ14によって撮像して位置を認識することにより、塗布ノズル19の中心位置が検出される。さらに、表示枠55(試し塗布/検査)を選択することにより、試し塗布実行部30b、塗布状態検査部30cによる試し塗布動作および塗布状態検査処理が自動的に連続して実行される。
【0054】
すなわち、シリンジ交換処理部30fは、塗布ノズル19の高さ方向および水平面内における基準位置を教示するティーチング処理およびまたはペースト塗布機構によって試し塗布されたペースト18をカメラ14によって撮像することにより、ペースト18の塗布状態の良否を検査する試し塗布・検査処理を含むシリンジ交換後処理を実行する。さらに本実施の形態においては、シリンジ交換処理部30fによって上述のシリンジ交換後処理を実行するための操作手順を表示画面50に表示させるようにしており、この操作手順に従ってマシンオペレータが操作入力することによってシリンジ交換後処理が実行される。
【0055】
なお、上述例では、表示画面50上で表示枠53、54、55を選択することによって、これらのシリンジ交換後処理を個別に実行するようにしているが、表示枠52(シリンジ交換)が入力操作されることをトリガー信号として、表示枠53、54、55への入力操作を行うことなく、これらのシリンジ交換後処理を自動的に実行させるようにしてもよい。
【0056】
上記説明したように、本実施の形態に示すペースト塗布装置においては、ペースト18を吐出するためにシリンジに供給される空圧を、塗布対象部の塗布パターンに適した標準的な空圧値に対応する標準圧力パラメータP0iおよびこの標準的な空圧値の補正値に対応するオフセット圧力パラメータP1iの2つの個別パラメータで構成し、シリンジ交換に際して必要となる圧力パラメータの再設定において、オフセット圧力パラメータP1iをデフォルト値にリセットするようにしている。
【0057】
これにより、圧力パラメータの再設定に際して実行されるフィードバック処理において対象となる空圧値は新たなシリンジの状態の適正値に近いものとなる。したがって、従来装置において必要とされたシリンジ交換に伴うフィードバック処理と比較して、必要とされる試行回数を大幅に削減することができ、シリンジ交換時における圧力パラメータのフィードバック処理を簡便に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明のペースト塗布装置は、シリンジ交換時における塗布条件パラメータのフィードバック処理を簡便に行うことができるという効果を有し、パッケージ基板に半導体装置をボンディングする分野において有用である。
【符号の説明】
【0059】
1 ダイボンディング装置
1A ペースト塗布機構部
1B ボンディング機構部
2 基板位置決め機構
3 基板
3a 単位基板
4 部品供給部
6A 第1部品
6B 第2部品
6C 第3部品
8 試し打ちステージ
9 ノズル高さ検出部
10 塗布ヘッド
12A 第1シリンジ
12B 第2シリンジ
13A 第1空圧ユニット
13B 第2空圧ユニット
14 カメラ
15 ボンディングヘッド
18 ペースト
19 塗布ノズル
21A 第1シリンジ装着部
21B 第2シリンジ装着部
31 第1塗布対象部
31a 第1塗布パターン
32 第2塗布対象部
32a 第2塗布パターン
33 第3塗布対象部
33a 第3塗布パターン
50 表示画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジに貯留されたペーストを空圧によって前記シリンジに接続された塗布ノズルから吐出することにより、このペーストを基板に設定された塗布対象部に塗布するペースト塗布装置であって、
前記塗布対象部の塗布パターンに適した標準的な空圧値に対応する標準圧力パラメータおよび前記空圧値の補正値に対応するオフセット圧力パラメータを記憶する圧力パラメータ記憶部と、
前記標準圧力パラメータおよび前記オフセット圧力パラメータに基づく空圧を前記シリンジに供給することにより、このシリンジ内のペーストを前記塗布ノズルから吐出して前記塗布対象部に塗布するペースト塗布機構と、
前記ペースト塗布機構によって塗布されたペーストを撮像することにより、このペーストの塗布状態の良否を検査する検査手段と、
前記ペースト塗布機構を制御するとともに、前記検査手段による検査結果に基づいて前記オフセット圧力パラメータを調整するフィードバック処理を行う塗布制御部と、
前記シリンジを新たに交換した旨をマシンオペレータが表示画面上で入力することにより、シリンジ交換に伴う所定の処理を実行するシリンジ交換処理部とを備え、
前記シリンジ交換処理部は、前記所定の処理において前記オフセット圧力パラメータをデフォルト値にリセットすることを特徴とするペースト塗布装置。
【請求項2】
前記シリンジ交換処理部は、前記塗布ノズルの基準位置を教示するティーチング処理およびまたは前記ペースト塗布機構によって試し塗布されたペーストを撮像することによりペーストの塗布状態の良否を検査する試し塗布・検査処理を含むシリンジ交換後処理をさらに実行することを特徴とする請求項1記載のペースト塗布装置。
【請求項3】
前記シリンジ交換処理部は、前記シリンジ交換後処理を実行するための操作手順を前記表示画面に表示させ、この操作手順に従ってマシンオペレータが操作入力することによって前記シリンジ交換後処理が実行されることを特徴とする請求項2に記載のペースト塗布装置。
【請求項4】
前記圧力パラメータ記憶部には、前記標準圧力パラメータおよびオフセット圧力パラメータが、複数の前記塗布パターン毎に設定され、
前記シリンジ交換処理部は、前記複数のオフセット圧力パラメータを一括してリセットすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のペースト塗布装置。
【請求項5】
前記ペースト塗布機構に前記シリンジを装着する複数のシリンジ装着部を備え、前記圧力パラメータ記憶部には、前記標準圧力パラメータおよびオフセット圧力パラメータに加えて、当該塗布パターンの塗布に使用するシリンジが装着されるシリンジ装着部を特定する装着部特定データが複数の前記塗布パターン毎に設定され、
前記データリセット処理において、交換に係るシリンジが装着されたシリンジ装着部の前記装着部特定データと同じ装着部特定データに対応する塗布パターンに係る前記複数のオフセット圧力パラメータを一括してリセットすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のペースト塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−204976(P2011−204976A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71958(P2010−71958)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】