説明

ホスホジエステラーゼ−5阻害剤を含む新規の組み合わせおよびそれらの使用

本発明は、様々な症状の処置のための新規な薬学的方法に関する。少なくとも1つのホスホジエステラーゼ−5−阻害剤を、以下の薬剤:選択的セロトニン再取り込み阻害剤;セロトニン−ノルアドレナリン再取り込み阻害剤;コリンエステラーゼ阻害剤;ドーパミンアゴニスト;または、アミノ酸、モノアミン、神経ペプチドおよびシナプス間隙における一次神経伝達が可能な他の薬剤から選ばれる神経伝達物質の化学的濃度を増大させるのに適した薬剤、のうちの1つ以上と組み合わせて含む組成物、ならびに対象における神経変性疾患の処置のためのそれらの使用。本発明はまた、少なくとも1つのホスホジエステラーゼ−5阻害剤を、以下の薬剤:選択的セロトニン再取り込み阻害剤;またはコリンエステラーゼ阻害剤、のうちの1つ以上と組み合わせて含む組成物、および対象における損傷皮膚を処置するためのそれらの使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2007年5月9日に出願された米国特許出願第60/916,883号の利益を主張し、この米国特許出願の全体の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、全般的には様々な症状、障害、および疾患の処置のための新規な薬学的組成物および方法に関し、より具体的には、ホスホジエステラーゼ−5阻害剤(PI−5)を1つ以上の薬剤と組み合わせて含有する治療薬剤を用いるそのような症状、障害、および疾患の処置に関する。特定の態様において、PI−5は、少なくとも1つ以上の選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、コリンエステラーゼ阻害剤(CI)、ドーパミンアゴニスト(DI)またはアミノ酸、モノアミン、神経ペプチドおよびシナプス間隙における一次神経伝達が可能な他の薬剤のような他の神経伝達物質の化学的濃度を増大させる任意の適切な薬剤(OI)と組み合わせて投与される。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
神経系は、脳および脊髄からなり神経インパルスの集合点として働く中枢神経系(CNS)と、脳または脊髄を除くすべての神経を含みかつ身体のすべての部分を中枢神経系に接続する末梢神経系(PNS)とからなる。末梢(感覚)神経系が最初に刺激を受け取り、次に、中枢神経系がそれらの刺激を解釈し、末梢(運動)神経系が応答を開始する。
【0004】
神経伝達物質は、1つのニューロンから、これと隣接するニューロンとの間の間隙を越えての情報の移動を可能にする化学物質である。ニューロンの1つの領域からの神経伝達物質の放出および隣接するニューロン上の受容体部位による化学物質の認識は、神経伝達物質の放出および間隙を越えての神経伝達物質の移動を促進する電気的反応を引き起こす。従って、神経伝達物質は、ニューロン間のシグナル伝達に不可欠であり、ニューロンを区別する際の適切な伝達物質の指定は、内因性のニューロン同一性および外因性のシグナル伝達タンパク質と関連してきた。従って、多くの病気および障害は、神経伝達物質の過剰産生または過少産生に起因または関連している。
【0005】
アセチルコリンは、筋肉組織の刺激作用において特に重要な神経伝達物質の1つの例である。刺激作用後、アセチルコリンは、酢酸塩およびコリンに分解し、これらは最初のニューロン中に吸収されて別のアセチルコリン分子を形成する。毒クラーレは、アセチルコリンの伝達を妨げる。いくつかの神経ガスは、アセチルコリンの分解を阻害して、受容体細胞の連続的な刺激作用、および心臓のような筋肉の痙攣を引き起こす。エピネフリン(アドレナリン)およびノルエピネフリンは、主に副腎から分泌される神経伝達物質である。分泌は、心拍数の増大および迅速なエネルギー源としてのグルコースの産生の増強を引き起こす(「闘争あるいは逃避」反応)。加えて、別の神経伝達物質であるドーパミンが、臨界脳機能を促進し、普通でない量が存在する場合には、異常なドーパミン神経伝達が、パーキンソン病、特定の嗜癖、および精神分裂症においてある役割を果たすことがある。セロトニンは、アミノ酸トリプトファンから合成され、気分ならびに不安、抑うつ、および双極性障害を含む気分障害における生化学的な役割を果たすと思われている別の代表的な神経伝達物質である。
【0006】
神経変性疾患は、認知症に至ることがよくある中枢神経系の慢性的な変性疾患である。この脳疾患の集合の原因および機序はよく分かっていないが、それらは先進世界ならびに低開発世界において増大しており、高齢化人口においてよく見られる。これらの疾患は、神経細胞変性ならびに最終的に神経機能障害および細胞死という結果になる神経細胞における分子変化を特徴とする。神経変性疾患の例としては、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン的特徴を伴う前頭側頭型認知症、進行性核上性麻痺、本態性ジスキネジア、および認知症が含まれるが、これらはほんの一例であり、さらに多種多様なそれほど一般的ではないが関連した症状がある。
【0007】
近年、神経変性疾患の理解に向けての多くの進展があったが、現在利用可能な有効な処置はほとんどなく、治療法は皆無である。
【0008】
加えて、神経免疫皮膚系(NS)は、神経系、内分泌系、および免疫系で構成されており、各構成要素は、別個ではなくむしろ単一の統合された単位として一緒に機能する。正常なヒトの皮膚は、神経メディエーターおよび神経ホルモンを含む各種の神経ペプチドを発現し、それらは、感覚ニューロンから、あるいはケラチノサイトのような皮膚細胞から直接誘導される。神経ペプチドは、末梢神経から皮膚中に逆行性的に放出されることができ、いわゆる神経原性炎症に関係する。それらの神経ペプチドはまた、免疫系内で様々な機能も発揮し、栄養物質ならびにサイトカインとして働くと考えられている。
【0009】
従って、中枢および末梢神経系は、NSが機能する際に大きな影響力を持つ役割を果たす。例えば、80%超の表皮ランゲルハンス細胞が、皮膚神経の軸索との接続を有することが注目される。腸管との自律神経接続も同様に広範囲にわたる。ニューロンは、血管作用性小腸ペプチド、ソマトスタチン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド、サブスタンスp、ニューロテンシン、カテコールアミン、エンドルフィンおよび環状ヌクレオチドを含む多数の神経メディエーターを分泌する。加えて、受容体は一般に、セロトニン、アセチルコリン、および他の神経伝達物質のための細胞表面膜上に見出される。これらの神経メディエーターのうちのいくつかは、ヒトの皮膚および粘膜における炎症ならびに他の特性および活性を調節することが明らかになっている(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4)
皮膚症状または皮膚科学的障害は、日々数百万人の人々を悩ませている。これらの皮膚症状は、(数分間ないし数時間持続するだけの)急性症状あるいは数日、数ヶ月、数年または生涯にわたって個人を苦しめる慢性症状であり得る。多数の異なる皮膚科学的症状が存在し、これらは、真菌性、細菌性、またはウイルス性であることがあり、あるいはアレルギー的要素を伴うまたは伴わない炎症反応のような非感染性の免疫反応であることがあり、あるいは特発性であることがある。従って、症状は、一様でないことがあり、軽度のかゆみ、発赤および腫脹から重篤な膿疱および開放性潰瘍におよぶことがあり、特定の例においては、廃疾性潰瘍形成のような衰弱性発現を引き起こすことさえある。原因または特定の症状にかかわらず、皮膚科学的障害は個人の生活の質に大きく影響を及ぼし得る。様々な疾患の例としては、アトピー、乾癬、接触皮膚炎、ざ瘡、癌、血管炎ならびに外科手術、裂傷、熱傷、および感染症のような外傷性プロセスが含まれ、それらの各々は、身体およびその外観に悪影響を及ぼし得る。
【0010】
ヒトの神経系と粘液皮膚系との間の既知かつ実証可能な接続および相互関係にもかかわらず、皮膚および粘膜の創傷、瘢痕ならびに他の疾患、障害、および外傷の処置においてほとんど進展がなかった。一般に、典型的処置は、主にdebridment、縫合ならびに経口および局所用抗生物質のような効用および効力が限定された古風な手法に依然として依存している。
【0011】
従って、皮膚および粘膜の疾患、障害および外傷の処置において神経系と粘液皮膚系との間の相互関係を利用および活用した新しい方法論が必要とされる。
【0012】
社会は医薬分野における極めて大きな進歩を見たが、任意の薬剤の投与に対する障害が当然ある。場合によっては、「副作用」として特徴付けられる欠点が、治療有効用量での特定の薬剤の投与ができないほど深刻なことがある。そのような場合、投薬は中断され、他の薬剤が試されることがある。しかしながら、同じ治療クラスの多くの薬剤は同様な副作用プロファイルを示し、患者が、療法を見合わせるか、特定の薬剤に関連した不快な副作用に苦しむかしなければならないことを意味する。
【0013】
神経変性疾患、皮膚損傷、瘢痕ならびに皮膚および粘膜の他の疾患、障害および外傷の拡がり、さらには患者、患者家族および社会一般に対するそれらの破壊的な影響ならびに効果的かつ入手可能な処置の不足により、それらの処置および緩解に対する新規かつ革新的なアプローチが強く要求される。従って、そのような疾患および症状を処置するための新規な方法および組成物の開発に対する関心がある。加えて、結果として生じる組み合わせ中の個々の成分の用量を減少させると同時に、個々の成分の望ましくないまたは有害な副作用を防ぐための組み合わせ処置を用いることができる。従って、毒性の低減、副作用の減少、および治療有効性の増大という結果になる、神経変性疾患、皮膚損傷、瘢痕ならびに皮膚および粘膜の他の疾患、障害および外傷の処置のための組み合わせ処置および投薬戦略を含む適切な方法を発見する必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】British Journal of Dermatology, 137(6), 845−850, Dec. 1997/L.Misery
【非特許文献2】Journal of Investigative Dermatology, 127: 4/2007, Yannick Chateau, 「In Vitro Reconstruction of Neuro−Epidermal Connections」
【非特許文献3】British Journal of Dermatology, 155(5), 876−882, 2006/Sancero, 「Role of Neuropeptides in Psoriasis」
【非特許文献4】Archives of Dermatological Research, 259:3/Jan.2007/Frosch,N.,「Synthesis of Prostaglandins in Psoriatic Skin」
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
発明の要旨
本発明は、様々な症状、障害、および疾患の処置のための新規な薬学的組成物および方法に関し、より具体的には、ホスホジエステラーゼ−5阻害剤(PI−5)を1つ以上の薬剤と組み合わせて含有する治療薬剤を用いるそのような症状、障害、および疾患の処置に関する。
【0016】
特定の態様において、本発明はまた、ホスホジエステラーゼ−5阻害剤を、1つ以上の付加的な薬剤、例えば、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、コリンエステラーゼ阻害剤(CI)、ドーパミンアゴニスト(DI)またはアミノ酸、モノアミン、神経ペプチドおよびシナプス間隙における一次神経伝達が可能な他の薬剤のような他の神経伝達物質の化学的濃度を増大させる任意の適切な薬剤(OI)と組み合わせて含有する薬学的組成物も特徴とする。
【0017】
特定の態様において、薬学的組成物は、1つ以上のPI−5を、1つ以上の付加的な薬剤、例えば、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニン−ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)、コリンエステラーゼ阻害剤(CI)、ドーパミンアゴニスト(DI)またはアミノ酸、モノアミン、神経ペプチドおよびシナプス間隙における一次神経伝達が可能な他の薬剤のような他の神経伝達物質の化学的濃度を増大させる任意の適切な薬剤(OI)と組み合わせて含有してもよい。
【0018】
特定の態様において、本発明は、ホスホジエステラーゼ−5阻害剤(PI−5)を、1つ以上の選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、コリンエステラーゼ阻害剤(CI)、ドーパミンアゴニスト(DI)またはアミノ酸、モノアミン、神経ペプチドおよびシナプス間隙における一次神経伝達が可能な他の薬剤のような他の神経伝達物質の化学的濃度を増大させる任意の適切な薬剤(OI)と組み合わせて含有する、対象における神経変性疾患を処置するための新規な組成物に関する。
【0019】
特定の態様において、神経変性疾患を処置するための組成物は、Cialis、LeVitraおよびViagraから選ばれるPI−5を含む。
【0020】
特定の態様において、神経変性疾患を処置するための組成物は、Luvox、Prozac、Celexa、ZoloftおよびPaxilから選ばれるSSRIを含む。
【0021】
特定の態様において、神経変性疾患を処置するための組成物は、EffexorおよびCymbaltaから選ばれるSNRIを含む。
【0022】
特定の態様において、神経変性疾患を処置するための組成物は、CognexおよびAriceptから選ばれるCI薬剤を含む。
【0023】
特定の態様において、神経変性疾患を処置するための組成物は、ブロモクリプチン、SinemetおよびMirapexから選ばれるDIを含む。
【0024】
特定の態様において、神経変性疾患を処置するための組成物は、アミノ酸、モノアミン、神経ペプチドおよびシナプス間隙における一次神経伝達が可能な他の薬剤のような他の神経伝達物質の化学的濃度を増大させる任意の適切な薬剤(OI)を含む。
【0025】
本発明の特定の態様において、OIは、エピネフリン、ノルエピネフリン、ドーパミン、セロトニン、メラトニン、グルタミン酸、γアミノ酪酸、アスパラギン酸、グリシン、アデノシン、ATP、GTP、バソプレシン、ソマトスタチン、ニューロテンシン、leuteinizingホルモン、インスリン、ヒスタミン、一酸化窒素、一酸化炭素、アセチルコリン、オクトパミン、チラミン、ガストリン、コレシストキニン、オキシトシン、ニューロフィジンI、ニューロフィジンII、神経ペプチドY、膵臓ポリペプチド、ペプチドYY、コルチコトロピン(corticotropin)、ダイノルフィン、エンドルフィン、エンケファリン、セクレチン、モチリン、グルカゴン、血管作用性腸管ペプチド、成長ホルモン放出因子、ニューロキニンA、ニューロキニンB、サブスタンスP、ボンベシン、ガストリン放出ペプチドまたはアナンドアミドであり得る。
【0026】
特定の態様において、神経変性疾患を処置するための組み合わせ薬剤は、個々に投与される。
【0027】
特定の態様において、神経変性疾患を処置するための組み合わせ薬剤は、週1回パッチ、月1回パッチ、長期注射、組み合わせピル、またはインプラントのような組み合わされた形態である。
【0028】
特定の実施形態において、本発明は、PI−5を、少なくとも1つ以上の選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、コリンエステラーゼ阻害剤(CI)、ドーパミンアゴニスト(DI)またはアミノ酸、モノアミン、神経ペプチドおよびシナプス間隙における一次神経伝達が可能な他の薬剤のような他の神経伝達物質の化学的濃度を増大させる任意の適切な薬剤(OI)と組み合わせて含有する組成物を対象に投与するステップを含む、対象における神経変性疾患を処置するための方法に関する。
【0029】
特定の態様において、神経変性疾患を処置するための方法は、薬剤を別個に投与するステップを含む。
【0030】
特定の態様において、神経変性疾患を処置するための方法は、組み合わされた形態で薬剤を投与するステップを含む。
【0031】
本発明の特定の態様において、神経変性疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン的特徴を伴う前頭側頭型認知症、進行性核上性麻痺、本態性ジスキネジアまたは認知症である。
【0032】
本発明の特定の態様において、神経変性疾患は、アルツハイマー病である。
【0033】
本発明の特定の態様において、神経変性疾患は、パーキンソン病である。
【0034】
本発明の特定の態様において、神経変性疾患は、多発性硬化症である。
【0035】
本発明の特定の態様において、神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症である。
【0036】
本発明の特定の態様において、神経変性疾患は、パーキンソン的特徴を伴う前頭側頭型認知症である。
【0037】
本発明の特定の態様において、神経変性疾患は、進行性核上性麻痺、本態性ジスキネジア、または認知症である。
【0038】
本発明の特定の態様において、神経変性疾患は、本態性ジスキネジアまたは認知症である。
【0039】
本発明の特定の態様において、神経変性疾患は、認知症である。
【0040】
特定の実施形態において、本発明は、神経変性疾患を処置するための薬剤の製造におけるPI−5の使用に関し、組成物は、少なくとも1つ以上の選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、コリンエステラーゼ阻害剤(CI)、ドーパミンアゴニスト(DI)またはアミノ酸、モノアミン、神経ペプチドおよびシナプス間隙における一次神経伝達が可能な他の薬剤のような他の神経伝達物質の化学的濃度を増大させる任意の適切な薬剤(OI)をさらに含む。
【0041】
特定の実施形態において、本発明はキットに関し、このキットは、分離された別個の剤形にしたPI−5と1つ以上のSSRI、SNRI、CI、DIまたはアミノ酸、モノアミン、神経ペプチドおよびシナプス間隙における一次神経伝達が可能な他の薬剤のような他の神経伝達物質の化学的濃度を増大させる任意の適切な薬剤(OI)との包装された組み合わせ、およびその使用指示を含む。
【0042】
特定の実施形態において、本発明は、対象における神経変性認知症(NDD)を処置するための方法に関し、この方法は、ホスホジエステラーゼ−5阻害剤(PI−5)を1つ以上の選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)またはコリンエステラーゼ阻害剤(CI)と組み合わせて含む組成物を対象に投与するステップを含む。
【0043】
この実施形態の特定の態様において、組み合わせは、PI−5、SSRI、およびCI、例えば、Cialis、LuvoxおよびCognexを含む。
【0044】
この実施形態の特定の態様において、Cialisは、20mg〜100mg/日の範囲の用量で投与される。
【0045】
この実施形態の特定の態様において、Luvoxは、25mg〜400mg/日の範囲の用量で投与される。
【0046】
この実施形態の特定の態様において、Cognexは、10mg〜160mg/日の範囲の用量で投与される。
【0047】
特定の実施形態において、本発明は、対象における神経変性認知症(NDD)を処置するための薬剤の製造におけるホスホジエステラーゼ−5阻害剤(PI−5)の使用に関し、組成物は、以下のうちの1つ以上を含む:選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)またはコリンエステラーゼ阻害剤(CI)。
【0048】
特定の実施形態において、本発明は、正常な皮膚および粘膜の外観および健康を改善するため、および/または損傷を受けた皮膚および粘膜の治癒を促進および加速するための新規な組成物および方法に関する。
【0049】
特定の実施形態において、本発明は、ホスホジエステラーゼ−5阻害剤(PI−5)を1つ以上の選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)またはコリンエステラーゼ阻害剤(CI)と組み合わせて含む対象における損傷を受けた皮膚を処置するための新規な組成物に関する。
【0050】
特定の態様において、皮膚損傷を処置するための新規な組成物は、Cialis、LeVitraおよびViagraから選ばれるPI−5を含む。
【0051】
特定の態様において、皮膚損傷を処置するための新規な組成物は、Luvox、Prozac、Celexa、ZoloftおよびPaxilから選ばれる少なくとも1つ以上のSSRIを含む。
【0052】
特定の態様において、皮膚損傷を処置するための新規な組成物は、CognexおよびAriceptから選ばれる少なくとも1つ以上のCIを含む。
【0053】
特定の態様において、皮膚損傷を処置するための薬剤は、個々に投与される。
【0054】
特定の態様において、皮膚損傷を処置するための薬剤は、週1回パッチ、月1回パッチ、長期注射、組み合わせピル、またはインプラントのような組み合わされた形態である。
【0055】
特定の態様において、本発明は、対象における皮膚損傷を処置するための方法に関し、この方法は、PI−5を少なくとも1つ以上の選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)またはコリンエステラーゼ阻害剤(CI)と組み合わせて含む組成物を対象に投与するステップを含む。
【0056】
特定の態様において、皮膚損傷を処置するための方法は、薬剤を別々に投与するステップを含む。
【0057】
本発明の特定の態様において、皮膚損傷は、アトピー、乾癬、接触皮膚炎、ざ瘡、癌、または血管炎である。
【0058】
本発明の特定の態様において、皮膚損傷は乾癬である。
【0059】
本発明の特定の態様において、皮膚損傷は接触皮膚炎である。
【0060】
本発明の特定の態様において、皮膚損傷はざ瘡である。
【0061】
本発明の特定の態様において、皮膚損傷は癌である。
【0062】
本発明の特定の態様において、皮膚損傷は血管炎である。
【0063】
本発明の特定の態様において、皮膚損傷は外傷性プロセスの結果である。
【0064】
本発明の特定の態様において、外傷性プロセスは、外科手術、裂傷、熱傷、または感染症である。
【0065】
本発明の特定の態様において、外傷性プロセスは外科手術である。
【0066】
本発明の特定の態様において、外傷性プロセスは裂傷である。
【0067】
本発明の特定の態様において、外傷性プロセスは熱傷である。
【0068】
本発明の特定の態様において、外傷性プロセスは感染症である。
【0069】
特定の実施形態において、本発明は、対象における皮膚損傷を処置するための薬剤の製造におけるPI−5の使用に関し、組成物は、少なくとも1つ以上の選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)をさらに含む。
【0070】
特定の実施形態において、本発明は、分離された別個の剤形のPI−5と、1つ以上のSSRIまたはCIとの包装された組み合わせ、およびその使用指示を含むキットに関する。
【0071】
特定の実施形態において、本発明は、対象における皮膚損傷を処置するための方法に関し、この方法は、ホスホジエステラーゼ−5阻害剤(PI−5)を、1つ以上の選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)またはコリンエステラーゼ阻害剤(CI)を組み合わせて含む組成物を対象に投与するステップを含む。
【0072】
この実施形態の特定の態様において、PI−5はCialisであり、SSRIはLuvoxであり、CIはCognexである。
【0073】
この実施形態の特定の態様において、Cialisは、5mg〜80mg/日の範囲の用量で投与される。
【0074】
この実施形態の特定の態様において、Luvoxは、12.5mg〜400mg/日の範囲の用量で投与される。
【0075】
この実施形態の特定の態様において、Cognexは、5mg〜60mg/日の範囲の用量で投与される。
【0076】
特定の実施形態において、本発明は、皮膚損傷を処置するための薬剤の製造におけるホスホジエステラーゼ−5阻害剤(PI−5)の使用に関し、組成物は、1つ以上の選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)またはコリンエステラーゼ阻害剤(CI)を含む。
【0077】
理論に拘束されることを望むものではないが、この実施形態の特定の態様において、PI−5はCialisであり、SSRIはLuvoxであり、CIはCognexである。
【0078】
理論に拘束されることを望むものではないが、特定の態様において、本発明は、一酸化窒素のシナプスレベルを増大させるように作用し、次いで可溶性のグアニル酸シクラーゼに直接的および間接的の両方で作用して環状GMPの形成を増大させるPI−5阻害剤の投与に関する。
【0079】
理論に拘束されることを望むものではないが、特定の態様において、本発明は、PI−5阻害剤のCIと組み合わせての投与に関し、CIは、シナプスアセチルコリンのレベルを増大させるように作用する。
【0080】
理論に拘束されることを望むものではないが、特定の態様において、本発明は、PI−5阻害剤のSSRIと組み合わせての投与に関し、SSRIは、シナプスセロトニンのレベルを増大させるように作用する。
【0081】
別の態様において、本発明は、PI−5阻害剤と、この第1の薬剤または他の付加的に投与される薬剤の投与に起因する望ましくない副作用を直接的または間接的に低減する1つ以上の薬剤と組み合わせて投与するステップを含む。
【0082】
別の態様において、本発明は、それぞれの神経伝達物質が機能する脳の領域において神経伝達を増大させるために、ホスホジエステラーゼ−5阻害剤(PI−5)を1つ以上の他の薬剤と組み合わせて投与することによる、神経変性疾患の処置のための薬学的組み合わせの新規な方法論およびシステムに関する。
【0083】
本発明は、1つの実施形態において、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン的特徴を伴う前頭側頭型認知症、進行性核上性麻痺、本態性ジスキネジア、および認知症のような神経変性疾患を処置するための新規な療法を特徴とする。
【0084】
別の態様において、本発明は、ホスホジエステラーゼ−5阻害剤(PI−5)を1つ以上のSSRIまたはCIと組み合わせて投与することによる、創傷、熱傷および瘢痕の治癒の促進および加速のためのまたは皮膚および粘膜の健康の維持および改善のための薬学的組み合わせの新規な方法論およびシステムに関する。
【0085】
本発明は、1つの実施形態において、アトピー、乾癬、接触皮膚炎、ざ瘡、癌、血管炎または外科手術、裂傷、瘢痕、熱傷、もしくは感染症のような身体外観に悪影響を及ぼし得る任意の外傷性プロセスを処置するための新規な療法を特徴とする。
【0086】
特定の態様において、本発明は、対象をホスホジエステラーゼ−5阻害剤により処置する方法を特徴とする。
【0087】
特定の態様において、処置計画は、例えば、肝機能、腎臓、および電解質についての血液検査を含む関連する生理学的機能の定期的監視、および/または、EKGおよびトレッドミル検査を含む理学的検査を含む。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の処置の使用を投与および監視するための代表的な時系列フローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0089】
(発明の詳細な説明)
本発明を詳細に説明する前に、他に示されない限り、本発明が、特定の製剤、活性および不活性薬剤、投与の様式、あるいは処置または使用の方法に限定されず、それらが変わり得るものであることが理解される必要がある。本明細書中で用いられる専門用語が、特定の実施形態のみを説明することを目的とするものであり、限定的であることを意図するものではないことも理解される必要がある。本文書の様々なセクションにおいて引用される科学刊行物、特許または特許出願は、すべての目的について参照により本明細書中に組み込まれる。
【0090】
定義および用語体系:
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形「1つの(a)、(an)」および「前記(the)」は、文脈が明確に示さない限り、複数の指示対象を含むことが留意されなければならない。従って、例えば、「活性薬剤(an active agent)」は、単一の活性薬剤だけでなく、2つ以上の異なる活性薬剤の組み合わせも意味し、「剤形(a dosage form)」は、単一の剤形だけでなく剤形の組み合わせも意味し、以下同様である。他に定義されない限り、本明細書中で用いられるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解される意味を有する。本明細書中で説明される方法および材料と同様または同等などのような方法および材料も本発明の実施および試験において有用であり得るが、好ましい方法および材料が以下で説明される。本発明の説明にとって特に重要な特定の専門用語が以下で定義される。
【0091】
活性薬剤に言及する場合、出願人らは、用語「活性薬剤」が、指定された分子の実体だけでなく、塩、エステル、アミド、プロドラッグ、接合体、活性代謝産物、ならびにその他のそのような誘導体、類似体、および関連化合物を含むがそれらに限定されない薬学的に許容され、薬理学的に活性な類似体も包含することを意図している。
【0092】
本明細書中で用いられる用語「処置すること」および「処置」は、症状の重症度および/または頻度の低減、症状および/または根本にある原因の除去、ならびに損傷の改善または修復を指す。特定の態様において、本明細書中で用いられる用語「処置すること」および「処置」は、症状および/またはそれらの症状の根本にある原因の発生の防止を指す。従って、本明細書中で用いられるように患者を「処置すること」は、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン的特徴を伴う前頭側頭型認知症、進行性核上性麻痺、本態性ジスキネジアまたは認知症のような神経変性疾患を処置することを包含する。他の実施形態において、本明細書中で用いられるように患者を「処置すること」は、例えば、アトピー、乾癬、接触皮膚炎、ざ瘡、癌、血管炎などの皮膚疾患または皮膚もしくは粘膜の皮膚科学的障害または外傷あるいは外科手術、裂傷、瘢痕、熱傷、感染症または皮膚損傷を引き起こす任意の疾患もしくは状態のような任意の外傷性プロセスなどの創傷、熱傷および瘢痕の治癒の促進および加速、あるいは皮膚および粘膜の健康の維持および改善を包含する。
【0093】
用語「有効量」および「治療有効量」の本発明の薬剤、化合物、薬物、組成物または組み合わは、対象または患者(例えば、ヒト対象または患者)に投与された時に非毒性でありかつ何らかの所望の治療効果をもたらすのに有効な量である。
【0094】
用語「剤形」は、単回の投与によって治療効果を達成するのに十分な量の活性薬剤を含有する薬学的組成物の任意の形態を意味する。製剤が錠剤またはカプセルである場合、剤形は通常、まさにそのような錠剤またはカプセルである。過量投与なしに効率的に最も有効な結果をもたらす投与頻度は、特定の活性薬剤の特性によって変わり、この特性としては、その活性薬剤の薬学的特性および、親水性のようなその物理的特性が含まれる。
【0095】
「放出制御」は、薬物の放出が即時ではない薬物含有製剤またはそのフラクションを意味し、すなわち、「放出制御」製剤を用いると、投与は、吸収プール中への薬物の即時放出という結果にならない。この用語は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Nineteenth Ed.(Easton,PA:Mack Publishing Company,1995)において定義されるような「非即時放出」と区別なく使用される。一般に、本明細書中で用いられる用語「放出制御」としては、徐放性製剤および遅延放出製剤が含まれる。
【0096】
用語「徐放」(「持続放出」と同義)は、その従来の意味で用いられ、長期間にわたる薬物の緩やかな放出に備え、好ましくは、必ずしもそうであるとは限らないが、長期間にわたる薬物の実質的に一定の血中レベルという結果になる薬物製剤を意味する。用語「遅延放出」も従来の意味で用いられ、患者への投与に続いて、薬物が製剤から患者体内へ放出される前に測定可能な時間遅延をもたらす薬物製剤を意味する。
【0097】
「薬学的に許容される」は、生物学的または他の点で有害ではない材料を意味し、すなわち、その材料は、患者に投与される薬学的組成物中に組み入れることができ、望ましくない生物学効果を引き起こしたり、その材料が含有される組成物の他の成分と有害な相互作用をしたりすることがない。薬学的担体または賦形剤を指すために用語「薬学的に許容される」が用いられる場合、その担体または賦形剤が、毒物学的および製造試験の要求基準を満たしているか、または、それが米国食品医薬品局により作成されたInactive Ingredient Guideに収録されていることを示している。「薬理学的に活性な」誘導体または類似体におけるような、「薬理学的に活性な」(または、単に「活性な」)は、親化合物と同タイプかつ同等程度の薬理学的活性を有する誘導体または類似体を指す。用語「薬学的に許容される塩」としては、例えば、塩酸またはリン酸のような無機酸、あるいは酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸等のような有機酸によって形成される酸付加塩が含まれる。遊離カルボキシル基によって形成された塩も、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、または水酸化第二鉄のような無機塩基物、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカイン等のような有機塩基から誘導され得る。
【0098】
活性薬剤組み合わせ:
本発明は、様々な症状、障害、または疾患の処置のための新規な薬学的組成物および方法に関し、より具体的には、ホスホジエステラーゼ−5阻害剤(PI−5)を、1つ以上の薬剤と組み合わせて含む治療薬剤を用いるそのような症状、障害、または疾患の処置に関する。特定の態様において、PI−5は、少なくとも1つ以上の選択的セロトニン再取り込みで阻害剤(SSRI)、セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)、コリンエステラーゼ阻害剤(CI)、ドーパミンアゴニスト(DI)またはアミノ酸、モノアミン、神経ペプチドおよびシナプス間隙における一次神経伝達が可能な他の薬剤のような他の神経伝達物質の化学的濃度を増大させる任意の適切な薬剤(OI)と組み合わせて投与される。
【0099】
本発明の組成物は、神経変性疾患の薬学的処置のための患者に投与され得る。例えば、本発明は、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン的特徴を伴う前頭側頭型認知症、進行性核上性麻痺、本態性ジスキネジアおよび認知症などの神経変性疾患に備える。本発明は、PI−5を、1つ以上のSSRI、SNRI、CI、DIまたはOIと組み合わせて対象を処置するステップを含む。
【0100】
従って、本発明は、PI−5と、標的となる神経伝達物質を増大させる、SSRI、SNRI、CI、NI、DIまたはOIを制限なく含む1つ以上の薬剤との組み合わせを投与することによる神経変性疾患の処置のための新規な方法および組成物に関する。本発明に従ってこれらの薬剤を組み合わせることにより、各々が他の薬剤の副作用を低減し、両方とも神経変性疾患を処置するための薬理学的効力に寄与する。従って、本発明は、PI−5と、標的神経伝達物質を増大させる、SSRI、SNRI、CI、NI、DIまたはOIを制限なく含む1つ以上の薬剤との組み合わせを投与することによる神経変性疾患の処置のための新規な方法および組成物に関する。
【0101】
さらに、本発明の組成物は、正常な皮膚および粘膜の外観および健康を改善し、損傷皮膚の治癒を促進または加速するために患者に投与されてもよい。例えば、本発明は、様々な疾患(アトピー、乾癬、接触皮膚炎、ざ瘡、癌、血管炎あるいは身体外観に悪影響を及ぼす外科手術、裂傷、熱傷また感染症のような外傷性プロセスを処置することに備える。本発明は、1つ以上のSSRIまたはCIと組み合わせたPI−5を用いて対象を処置するステップを含む。
【0102】
従って、本発明はさらに、PI−5と、1つ以上の薬剤との組み合わせを投与することによる、創傷、熱傷および瘢痕の治癒の促進および加速のためのならびに皮膚および粘膜の健康の維持および改善のための新規な方法および組成物に関し、薬剤の各々は、特に経皮神経のレベルにおいて、末梢および中枢神経系の活性を調整し、これが次に経皮および自律神経による様々な神経ペプチドおよび神経ホルモンの分泌および活性の調整という結果になり、これらの薬剤としては、SSRIまたはCIが制限なく含まれる。
【0103】
本質的に、中枢および末梢神経系両方における事実上すべての神経伝達は、2つの化学薬剤を必要とする。第1の薬剤は、従来のまたは主要な神経伝達物質実体であり、そのうちの50以上(セロトニン、アセチルコリン、ドーパミンおよびノルエピネフリンが含まれる)が同定および記載されている。これらの従来の神経伝達物質の各々は、ヒト神経系において機能および神経解剖学の比較的有限の局在性を有する。アセチルコリンは、例えば、新皮質および皮質における優勢な従来の神経伝達物質であることが知られている。基底核、黒質および黒質線条体経路におけるドーパミン/ドーパ;脳幹、網様体および縫線核におけるセロトニン;ならびに脳幹および青斑核におけるノルエピネフリンについても同じである。アセチルコリンおよびセロトニンは、末梢神経皮膚系において重要な機能的役割を果たすことが知られている。
【0104】
実効神経伝達のための第2の薬剤は、一酸化窒素/環状−GMP(c−GMP)であり、これは、ヒト神経系のすべての形成および面を通じて同じ方式で保存されると思われる。このコモジュレータまたは補助伝達物質は、おそらくグリコ−リポ−タンパク質細胞受容体を介して、遠心性ニューロン細胞膜のレベルにおいて従来の神経伝達物質と相互作用すると思われる。さらなる効果が、ことによるとゲートチャンネル、特異的酵素標的、ミクロフィラメント配列およびサイトカインを介して細胞内またはシナプスレベルにおいて生じることがある。
【0105】
神経変性疾患および障害の広大な配列の主として原因となる欠陥は常に明確であるわけではなく、実際、多様であり得る。しかしながら、機序がどのようなものであれ、累積効果は、ヒト神経系の本質的機能である実効神経伝達およびそれに続くカスケード系を阻害することである。
【0106】
理論に拘束されることを望むものではないが、本発明は、特定の実施形態において、標的とされる神経シナプスおよび回路網におけるc−GMPレベルを増大させる1つの化学物質と、同じ箇所における従来の神経伝達物質(単数または複数)のレベルを増大させる第2の化学物質との組み合わせである。質量作用または動的効果により、結果は、神経変性プロセスの本来の箇所または原因にかかわらず、鈍化されたおよび/または機能しない実効神経伝達およびそれに続くカスケードに打ち勝つことである。このようにして、機能しない神経伝達および2次カスケードは、本質的に無効にされ、より高くより正常な応答性のレベルで機能する。機能しない神経伝達系のこの再活性化は実際、ニューロン可塑性、再生およびアポトーシスに変化を引き起こす。
【0107】
これらの従来の神経伝達物質およびc−GMPのシナプス濃度を増大させるのに適する、現在利用可能な薬剤を含む任意の薬剤を本発明においてPI−5と組み合わせて用いてもよい。
【0108】
例えば、認知症が進行した患者において見られる検死解剖の変化は、ヒト脳の認知領域である皮質および新皮質における当初可逆的な機能障害の最終的な共通経路を示し、さらに提案された医薬品の組み合わせがこれらの領域における(および、パーキンソン病に不随する神経変性認知症の場合には、網様体および縫線核においても)神経シナプス欠陥の『神経修復』を引き起こすことを示している。
【0109】
PI−5は、上記のシナプス中の一酸化窒素レベルを増大させるように作用し、シナプス中の可溶性グアニル酸シクラーゼの活性化、従って2次メッセンジャー環状−GMPの増加という結果になる。CIは、上記のシナプス中のモノアミン神経伝達物質であるアセチルコリンのレベルを増大させるように作用する。SSRIは、上記のシナプス中の別のモノアミン神経伝達物質であるセロトニンのレベルを増大させるように作用する。
【0110】
結果として生じる増加した環状−GMPは、アセチルコリンと共同して遠心性ニューロン受容体タンパク質に作用して受容体の活性を正確に調整する。この正確な調整は、主として皮質および新皮質において、欠陥のあるニューロンシナプス活性化を修正し、ニューロン再生および可塑性を引き起こすこともある。
【0111】
増加した環状−GMPはまた、セロトニンと共同して網様複合体および縫線核におけるセロトニン受容体活性を正確に調整する。この領域における修正されたニューロンシナプス活性化は、次に皮質および新皮質に渡される。
【0112】
理論に拘束されることを望むものではないが、別の実施形態において、本発明はそれ自体、薬学的組成物および/または3つの薬剤の投与からなる処置計画に関し、3つの薬剤は、セロトニンのシナプス濃度を増大する薬剤、アセチルコリンのシナプス濃度を増大させる薬剤、および環状−GMPのシナプス濃度を増大させる薬剤である。
【0113】
「ホスホジエステラーゼ−5阻害剤(PI−5)」は、ホスホジエステラーゼイソ酵素(P−5)の触媒活性を阻害する(例えば、妨げるまたは減少させる)物質または化合物を意味する。酵素P−5は、平滑筋弛緩薬剤である環状グアノシンモノホスフェート(cGMP)の分解を触媒する。典型的には、阻害剤は、酵素の活性部位または別の部位において酵素と結合して酵素の正常な活性を妨げる小さい分子(例えば、MW約1000未満)である。結合は、共有結合、イオン結合、または水素接合を介した結合、あるいはそれらの組み合わせであってもよく、可逆性または不可逆性であってもよい。
【0114】
当業者は、PI−5阻害剤である多くの化合物が存在することを理解するであろう。例としては、シルデナフィル(Viagra)、バルデナフィル(LeVitra)、タダラフィル(Cialis)、ザプリナスト等が含まれるが、それらに限定されない。本発明の1つの実施形態において、本発明の実施において用いられるPI−5は、シルデナフィルである。本発明の別の実施形態において、PI−5はバルデナフィル(vardanefil)である。さらに別の実施形態において、PI−5はタダラフィルである。
【0115】
本発明の特定の態様において、組成物は、1つ以上のPI−5、例えば、2つのPI−5、3つのPI−5、以下同様を含んでもよい。
【0116】
本発明の特定の態様において、PI−5は、少なくとも1つの選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)と組み合わせて投与される。SSRIは、脳において神経がメッセージを互いに送るために用いる化学物質に影響を及ぼす。神経伝達物質と呼ばれるこれらの化学的メッセンジャーは、1つの神経によって放出され、他の神経により取り込まれる。他の神経により取り込まれない神経伝達物質は、それらを放出した同じ神経により取り込まれる。このプロセスは「再取り込み」と呼ばれる。SSRIは、セロトニンの再取り込みを阻害することにより働き、これは多くのセロトニンが他の神経により取り込まれるために利用可能にする作用である。
【0117】
本発明に従い、PI−5と組み合わせて投与され得るSSRIとしては、以下のものが含まれるが、それらに限定されるものではない:パロキセチン(Paxil)、フルオキセチン(Prozac)、セルトラリン(Zoloft)、シタロプラム(Celexa)、クロボキサミン、エシタロプラム、フェモキセチン、フレシノキサン、フルボキサミン(Luvox)、トラゾドン、ジメルジン、エシタロプラム(Lexapro)、アラプロクラート、ネファゾドン(Serozone)、ダポキセチン、デュロキセチン、ミルナシプラン、クロムインプラミン(clominpramine)、インダプリン(indapline)、アラプロルクレート(alaprolclate)、セリクラミン、イフォキセチン、塩酸トラゾドン(Desyrel)、ベンラファキシン、イミプラミン、イミプラミンN−オキシド、デシプラミン、ピランダミン、ダゼピニル、ネホパム、ベフラリン、フェゾラミン、シアノイミプラミン、リトキセチン、セリクラミン、セプロキセチン、WY 27587、WY 27866、imeldine、チフルカルビン、ビカリン、バジナプリン、YM 922、S 33005、F 98214−TA、OPC 14523、アラプロクラート、シアノドテピン、トリミプラミン、キヌプラミン、ドチエピン、アモキサピン、ニトロキサゼピン、McN 5652、McN 5707、VN 2222、L 792339、ロキシンドール、YM 35992、0177、Org 6582、Org 6997、Org 6906、アミトリプチリン、アミトリプチリンN−オキシド、ノルトリプチリン、CL 255.663、ピルリンドール、インダトラリン、LY 113.821、LY 214.281、CGP 6085 A、RU 25.591、ナパメゾール、ジクロフェンシン、EMD 68.843、BMY 42.569、NS 2389、セルクロレミン、ニトロキパジン、アデメチオニン、シブトラミン、クロボキサミンならびに米国特許第6,365,633号;および国際公開第01/27060号に記載されるもの。
【0118】
特定の実施形態において、SSRIはLuvoxである。他の実施形態において、SSRIはProzacである。別の実施形態において、SSRIはCelexaである。別の実施形態において、SSRIはZoloftである。さらに別の実施形態において、SSRIはPaxilである。
【0119】
本発明の特定の態様において、組成物は、1つ以上のSSRI、例えば、2つのSSRI、3つのSSRI、以下同様を含み得る。
【0120】
本発明の特定の態様において、PI−5は、少なくともセロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI)と組み合わせて投与される。SNRIは、神経伝達物質であるノルエピネフリンおよびセロトニンの選択的な取り込みを妨げるが、神経伝達物質であるドーパミンには全く作用を及ぼさない。
【0121】
本発明において使用され得る適切なSNRIとしては、アトモキセチン、レボキセチン ベンラファキシン(Effexor XRまたはEffexor)、デュロキセチン(Cymbalta)、デスベンラファキシン(Pristiq)、シブトラミン(Meridia、Reductil)、ネファゾドン(Serzone)、ミルナシプラン(DalcipranまたはIxel)、およびデシプラミン(NorpramineまたはPertofraneis)が含まれるが、それらに限定されない。
【0122】
特定の実施形態において、SNRIはEffexorである。他の実施形態において、SSRIはCymbaltaである。
【0123】
本発明の特定の態様において、組成物は、1つ以上のSNRI、例えば、2つのSNRI、3つのSNRI、以下同様を含み得る。
【0124】
本発明の特定の態様において、PI−5は、少なくともコリンエステラーゼ阻害剤(CI)と組み合わせて投与される。「コリンエステラーゼ阻害剤」は、アセチルコリンエステラーゼまたはブチリルコリンエステラーゼの活性を阻害または低減する化合物である。本発明に従い、PI−5と組み合わせて投与され得るCIとしては、以下のものが含まれるが、それらに限定されない:タクリン(Cognex)、ドネペジル(Aricept)、リバスチグミン(Exelon)ガランタミン(Reminyl)、塩酸ドネペジル、メトリフォネート、フィソスチグミン、ヒューペルジンA、フィソスチグミン、ヘプチルフィゾスチグミン、フェンセリン、トルセリン、シムセリン、チアトルセリン、臭化ジスチグミン、チアシムセリン、ネオスチグミン、ジクロルボス、フェネチルノルシムセリン、ガンスチグミン、エパスチグミン、ピリドスチグミン、シチコリン、ベルナクリン、ヘプタスチグミン、エドロホニウム、TAK−147(すなわち、3−[1−(フェニルメチル)−4−ピペリジニル]−1−(2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンザゼピン−−8−イル)−1−プロパノンフマレートまたはその他の塩)、T−82、アプレアジン等。
【0125】
特定の実施形態において、CIはCognexである。他の実施形態において、CIはAriceptである。
【0126】
本発明の特定の態様において、組成物は、1つ以上のCI、例えば、2つのCI、3つのCI、以下同様を含み得る。
【0127】
本発明の特定の態様において、PI−5は少なくとも、しかるべき神経シナプスにおける実効ドーパミンのレベルを増大させる任意の適切な薬剤と組み合わせて投与される。本発明に従い、PI−5と組み合わせて投与され得るドーパミンアゴニストとしては、以下のものが含まれるが、それらに限定されない:ブロモクリプチン(Parlodel)、カルビドパ/レボドパ(Sinemet)、プラミペキソール(Mirapex)、カベルゴリン(Dostinex)、ペルゴリド(Permax)、ロチゴチン(Neupro)、アポモルフィン(Apokyn)、塩酸ロピニロール(Requip)、テストステロン、コカイン、ストリキニーネ、メマンチン、Aricept、アマンタジン、リスリド、ER−230、ドプレキシン、ドカルパミン、テルグリド、レボドパ、スフェラミン、ロメルゴリン、カルモキシロール、ゼランドパム、スマニロール、シベナデト、キンピロール、キネロラン、タリペキソール、ロキシンドール、4−アルキルアミノ−2(3H)−インドロン化合物、SKF38393、SKF83959、SKF81297、SKF77434、SKF75670、SKF82958、ジヒドレキシジン、ジナプソリン、A−77636、ABT−431、CY208−243、およびA−68930。
【0128】
特定の実施形態において、DIはブロモクリプチンである。他の実施形態において、DIはSinemetである。別の実施形態において、DIはMirapexである。
【0129】
本発明の特定の態様において、組成物は、1つ以上のDI、例えば、2つのDI、3つのDI、以下同様を含み得る。
【0130】
本発明の特定の態様において、PI−5は少なくとも、アミノ酸、モノアミン、神経ペプチドおよびシナプス間隙における一次神経伝達が可能な他の薬剤のような他の神経伝達物質の化学濃度を増大させる任意の適切な薬剤(OI)と組み合わせて投与される。本発明に従い、PI−5と組み合わせて投与され得る適切なOIとしては、以下のものが含まれるが、それらに限定されない:エピネフリン、ノルエピネフリン、ドーパミン、セロトニン、メラトニン、グルタミン酸、ガンマアミノ酪酸、アスパラギン酸、グリシン、アデノシン、ATP、GTP、バソプレシン、ソマトスタチン、ニューロテンシン、黄体化ホルモン、インスリン、ヒスタミン、一酸化窒素、一酸化炭素、アセチルコリン、オクトパミン、チラミン、ガストリン、コレシストキニン、オキシトシン、ニューロフィジンI、ニューロフィジンII、神経ペプチドY、膵臓ポリペプチド、ペプチドYY、コルチコトロピン、ダイノルフィン、エンドルフィン、エンケファリン、セクレチン、モチリン、グルカゴン,血管作用性腸管ペプチド、成長ホルモン放出因子、ニューロキニンA、ニューロキニンB、サブスタンスP、ボンベシン、ガストリン放出ペプチド、およびアナンダミド。
【0131】
本発明の特定の態様において、組成物は1つ以上のOI、例えば、2つのOI、3つのOI、以下同様を含み得る。
【0132】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、1つのPI−5、1つのSSRI、および1つのCIを含む。
【0133】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、1つのPI−5、1つのSSRI、1つのCI、および1つのDIを含む。
【0134】
加えて、本発明に従って薬剤を組み合わせることにより、各々が他の薬剤の副作用を低減し、かつ双方が神経変性疾患を処置するための薬理学的効力に寄与する。他の態様において、本発明に従って薬剤を組み合わせることにより、1つの薬剤が、1つの他の薬剤または2つの他の薬剤あるいは主題の組成物中に存在するだけの薬剤の副作用を低減し得る。別の態様において、ただ1つの薬剤の副作用が、薬剤の組み合わせの結果として低減され得る。
【0135】
従って、本発明は、PI−5と、標的神経伝達物質を増大させる、SSRI、SNRI、CI、NI、DIまたはOIを制限なく含む1つ以上の薬剤とを組み合わせて投与することによる、神経変性疾患および皮膚損傷の処置のための新規な方法および組成物に関する。
【0136】
用量、製剤および投与:
PI−5と、標的神経伝達物質を増大させる、SSRI、SNRI、CI、NI、DIまたはOIを制限なく含む1つ以上の薬剤との組み合わせの組み合わは、治療効果の増大および副作用の減少をもたらして、これらの薬学的組み合わせを、神経変性疾患の処置ならびに創傷、熱傷および瘢痕の治癒の促進および加速、さらには皮膚および粘膜の健康の維持および改善について極めて有効な治療にする。組み合わされた薬物の治療レベルは、個人ごとにおよび疾患ごとに異なる。任意の特定の神経変性疾患の治療に効果的な適切な量および間隔でのPI−5と従来の神経伝達物質増大薬剤との組み合わせは必然的に、家庭医、内科医または神経科医によって臨床的および化学的双方で監視される。関連した製剤は最終的に、毎日与えられる組み合わせピル、1日用または1週間用パッチ、長期注射、インプラント、あるいは薬剤の短時間作用型の形態をとり得る。
【0137】
本発明による組み合わせ治療において用いられる薬物についての適切な用量の選択は、例えば、患者の全体的な健康、組み合わせ療法に対する反応等を含む患者の観察により、当業者によって決定および最適化され得る。例えば、ある患者が所望の治療効果を示していないあるいは逆に、数があまりに多いまたは重症度が問題になる望ましくないまたは有害な副作用にその患者が遭遇していると決定されれば、最適化が必要であろう。
【0138】
1つの実施形態において、組み合わせ(例えば、PI−5と、1つ以上のSSRI、SNRI、CI、NI、DIまたはOI)の各々の構成要素は、単剤療法としての各構成要素についての一般に処方される用量未満の用量で処方される。構成要素は、別々に処方されてもよく、または組み合わせ用量として処方されてもよい。1つの実施形態において、組み合わせ(例えば、PI−5と、1つ以上のSSRI、SNRI、CI、NI、DIまたはOI)の各々の構成要素は、単剤療法としての各構成要素についての一般に処方される用量未満の用量で処方される。別の実施形態において、組み合わせ(例えば、PI−5と、1つ以上のSSRI、SNRI、CI、NI、DIまたはOI)の各々の構成要素は、単剤療法としての各構成要素についての一般に処方される用量を上回る用量で処方される。構成要素は、別々に処方されてもよく、または組み合わせ用量として処方されてもよい。
【0139】
別の実施形態において、PI−5の処方される用量は、単剤療法用に一般に処方される用量を上回り、SSRI、SNRI、CI、NI、DI、またはOIのうちの1つ以上は、単療法のための一般に処方される用量以下で処方される。別の実施形態において、PI−5の処方される用量は、単剤療法用に一般に処方される用量以下であり、1つ以上SSRI、SNRI、CI、NI、DIまたはOIは、単剤療法用に一般に処方される用量を上回る用量で処方される。特定の実施形態において、PI−5の処方される用量および1つ以上のSSRI、SNRI、CI、NI、DIまたはOIの処方される用量は各々、単剤療法として各構成要素について一般に処方される用量よりも高く、あるいは低く処方される。
【0140】
特定の実施形態において、PI−5は、例えば、1日あたり2〜400mg投与されることができ、1日あたり2〜200、および2〜100mgが含まれる。1つの態様において、PI−5は、1日あたり2〜85mg投与されることができ、1日あたり2〜80、5〜80、10〜80、および5〜70mgが含まれる。
【0141】
特定の実施形態において、CialisがPI−5である場合、Cialisは、例えば、1日あたり2〜120mg投与されることができ、1日あたり4〜70mgが含まれる。1つの態様において、Cialisは、1日あたり5〜60mg投与される。
【0142】
特定の実施形態において、LeVitraがPI−5である場合、LeVitraは、例えば、1日あたり2〜100mg投与されることができ、1日あたり4〜90mgが含まれる。1つの態様において、LeVitraは、1日あたり5〜80mg投与される。
【0143】
特定の実施形態において、ViagraがPI−5である場合、Viagraは、例えば、1日あたり5〜400mg投与されることができ、1日あたり7.5〜250mgが含まれる。1つの態様において、Viagraは、1日あたり10〜200mg投与される。
【0144】
特定の実施形態において、SSRIは、例えば、1日あたり5〜600mg投与されることができ、1日あたり5〜400、10〜400、25〜400mgが含まれる。1つの態様において、SSRIは、1日あたり5〜200mg投与され、1日あたり50〜200、10〜80、10〜50、10〜20mgが含まれる。
【0145】
特定の実施形態において、LuvoxがSSRIである場合、Luvoxは、例えば、1日あたり5〜600mg投与され得る。1つの態様において、Luvoxは、1日あたり10〜400mg投与される。
【0146】
特定の実施形態において、ProzacがSSRIである場合、Prozacは、例えば、1日あたり5〜200mg投与され得る。1つの態様において、Prozacは、1日あたり10〜80mg投与される。
【0147】
特定の実施形態において、CelexaがSSRIである場合、Celexaは、例えば、1日あたり5〜100mg投与され得る。1つの態様において、Celexaは、1日あたり10〜20mg投与される。
【0148】
特定の実施形態において、ZoloftがSSRIである場合、Zoloftは、例えば、1日あたり25〜400mg投与され得る。1つの態様において、Zoloftは、1日あたり50〜200mg投与される。
【0149】
特定の実施形態において、PaxilがSSRIである場合、Paxilは、例えば、1日あたり5〜200mg投与され得る。1つの態様において、Paxilは、1日あたり10〜80mg投与される。
【0150】
特定の実施形態において、SNRIは、例えば、1日あたり5〜500mg投与されることができ、1日あたり5〜300、および7〜250mgが含まれる。1つの態様において、SNRIは、1日あたり20〜200mg投与される。
【0151】
特定の実施形態において、EffexorがSNRIである場合、Effexorは、例えば、1日あたり5〜500mg投与され得る。1つの態様において、Effexorは、1日あたり10〜400mg投与され、1日あたり25〜300および50〜200mgが含まれる。
【0152】
特定の実施形態において、CymbaltaがSNRIである場合、Cymbaltaは、例えば、1日あたり10〜400mg投与され得る。1つの態様において、Cymbaltaは、1日あたり20〜200mg投与される。
【0153】
特定の実施形態において、CIは、例えば、1日あたり5〜200mg投与されることができ、10〜200、および10〜120が含まれる。1つの態様において、CIは、1日あたり5〜120投与され、10〜120、5〜100mgが含まれる。別の態様において、SSRIは、1日あたり10〜20mg投与される。
【0154】
特定の実施形態において、CognexがCIである場合、Cognexは、例えば、1日あたり5〜200mg投与され得る。1つの態様において、Cognexは、1日あたり10〜120mg投与される。
【0155】
特定の実施形態において、AriceptがCIである場合、Ariceptは、例えば、1日あたり5〜100mg投与され得る。1つの態様において、Ariceptは、1日あたり10〜20mg投与される。
【0156】
特定の実施形態において、DIは、例えば、1日あたり0.125〜80mg投与されることができ、0.125〜40が含まれる。別の態様において、DIは、1日あたり0.125〜9mg投与される。
【0157】
特定の実施形態において、ブロモクリプチンがDIである場合、ブロモクリプチンは、例えば、1日あたり2.5〜80mg投与され得る。1つの態様において、ブロモクリプチンは、1日あたり2.5〜20mg投与される。
【0158】
特定の実施形態において、Sinemet(25/100)がDIである場合、Sinemetは、例えば、1日あたり2錠〜40錠投与できる。1つの態様において、Sinemetは、1日あたり2錠〜40錠投与される。
【0159】
特定の実施形態において、MirapexがDIである場合、Mirapexは、例えば、1日あたり0.125〜40mg投与できる。1つの態様において、Mirapexは、1日あたり0.125〜9mg投与される。
【0160】
特定の実施形態において、アミノ酸、モノアミン、神経ペプチドおよびシナプス間隙における一次神経伝達が可能な他の薬剤のような他の神経伝達物質の化学的濃度を増大させる任意の適切な薬剤も、それに応じて投与される。
【0161】
さらに、患者は、数週間、数ヶ月、または数年の期間にわたり特定の用量を受けることができる。例えば、1週間、2週間、3週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間等である。
【0162】
いくつかの実施形態において、組み合わせ療法の「有効量」は、神経変性疾患または皮膚損傷に関連した少なくとも1つの病理学的パラメータの減少という結果になる量である。従って、例えば、いくつかの実施形態において、組み合わせ療法の有効量は、単剤治療方式を用いた場合または全く処置を用いない場合の予測されるパラメータの低減と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、または少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、もしくは約95%の低減を達成するの効果的な量である。
【0163】
別個の製剤で投与される場合、PI−5と、1つ以上のSSRI、SNRI、CI、NI、DIまたはOIとは、実質的に同時に(例えば、互いに約60分以内、約50分以内、約40分以内、約30分以内、約20分以内、約10分以内、約5分以内、約1分以内)あるいは約1時間、約2時間、約4時間、約6時間、約10時間、約12時間、約24時間、約36時間、または約72時間、もしくはそれ以上時間的に隔てられて投与されてもよい。
【0164】
投与の容易さおよび用量の均一性のために本発明の組成物を単位剤形で製剤化することは特に有利である。本発明の新規な単位剤形の仕様は、PI−5を1つ以上のSSRI、SNRI、CI、NI、DIまたはOIと共に含有する組成物の独特な特性および達成されるべき特定の治療効果に依存する。用量は、成分の通常用量および投与様式を参照することによりさらに決定できる。組み合わせ処置の活性成分の各々を有する単一の物理的に別個の剤形(例えば、PI−5を1つ以上のSSRI、SNRI、CI、NI、DIまたはOIと共に有する単一剤形)を製剤化することも、本発明の範囲内にある。
【0165】
本発明の組成物または組み合わせの投与方法は特に、用いられるPI−5のタイプおよび選ばれる1つ以上のSSRI、SNRI、CI、NI、DIまたはOIに依存する。PI−5および1つ以上のSSRI、SNRI、CI、NI、DIまたはOIは、同じ組成物中で一緒にまたは2つの別個の組成物中で同時もしくは逐次的に投与されてもよい。また、1つ以上のPI−5または1つ以上のSSRI、SNRI、CI、NI、DIもしくはOIは、治療組成物の形か、あるいは組み合わせて、例えば、同時または逐次的に投与される1つ以上の別個の組成物の形で、対象または患者に投与されてもよい。投与のスケジュールは、選ばれるPI−5およびSSRI、SNRI、CI、NI、DIまたはOIのタイプに依存する。例えば、1つ以上のPI−5および1つ以上のSSRI、SNRI、CI、NI、DIまたはOIは、刺激効果を有することがあり、そのような刺激効果の程度は、選ばれた特定の薬剤に依存して変わり得る。従って、PI−5、SSRI、SNRI、CI、NI、DIまたはOIのうちの1つ以上が著しい刺激効果を有することがあり、従って、より少ない刺激効果を有するPI−5、SSRI、SNRI、CI、NI、DIまたはOIのうちの1つ以上の投与の同じ日のそれより前に投与されるかもしれない。同様に、PI−5、SSRI、SNRI、CI、NI、DIまたはOIのうちの1つ以上が鎮静効果を有することがあり、そのような鎮静効果の程度は、選ばれる薬剤に応じて変わり得る。従って、著しい鎮静効果を有するPI−5、SSRI、SNRI、CI、NI、DIまたはOIのうちの1つ以上が、より少ない鎮静効果を有する薬剤の投与の同じ日のそれより後に投与されるかもしれない。さらに、より少ない刺激または鎮静効果をそれぞれ有するPI−5、SSRI、SNRI、CI、NI、DIまたはOIのうちの1つ以上が、同時に投与されてもよい。
【0166】
活性薬剤の投与は、任意の適切な投与モードを用いて実行され得る。従って、投与は、例えば、経口的、局所的、非経口的、経皮的、経粘膜的(直腸、経膣、および経尿道を含む)、舌下的、吸入による、または剤形中の埋め込みリザーバを介したものであり得る。本明細書中で用いられる用語「非経口的」は、皮下、静脈内、および筋肉内注射を含むことを意図している。
【0167】
意図される投与モードに応じて、薬学的製剤は、好ましくは、正確な用量の単回投与に適した単位剤形の、例えば、錠剤、カプセル、カプレット、液体、懸濁液、エマルション、座薬、顆粒、ペレット、ビーズ、粉末等の固体、半固体または液体であり得る。適切な薬学的組成物および剤形は、薬学的製剤化の分野の当業者に知られておりかつ関係するテキストおよび文献、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(Easton,PA:Mack Publishing Co.,1995)に記載される従来の方法を用いて調製され得る。経口的に活性な化合物については、経口剤形が一般に好ましく、錠剤、カプセル、カプレット、溶液、懸濁液およびシロップが含まれ、複数の顆粒、ビーズ、粉末、またはペレットも含むことができ、これらは、カプセル化されてもされなくてもよい。好ましい経口剤形は、錠剤およびカプセルである。
【0168】
上で述べたように、投与の容易さおよび用量の均一性のために本発明の組成物を単位剤形で製剤化することは特に有利である。本明細書中で用いられる用語「単位剤形」は、処置される個人のための単位用量として適した物理的に個別の単位を指す。すなわち、組成物は、必要とされる薬学的担体と共同して所望の治療効果をもたらすように計算されたあらかじめ決められた「単位用量」量の活性薬剤を各々が含有する個別の用量単位に処方される。本発明の単位剤形の仕様は、送達される活性薬剤の特有の特性に依存する。用量は、成分の通常の投与量および投与様式を参照してさらに決定することができる。いくつかの場合に、組み合わされた2つ以上の個々の用量単位が、治療有効量の活性薬剤を提供し、例えば、一緒に摂取された2つ以上の錠剤またはカプセルは、各錠剤またはカプセル中の単位用量が治療有効量の約50%であるように選ばれたPI−5およびSSRI、SNRI、CI、NI、DIまたはOIの治療有効量を提供し得ることが留意されるべきである。
【0169】
錠剤は、標準の錠剤処理手順および装置を用いて製造され得る。直接圧縮および造粒技術が好ましい。活性薬剤に加え、錠剤は、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、増量剤、安定剤、界面活性剤、着色剤等のような不活性な薬学的に許容される担体材料を一般に含有する。
【0170】
経口的に活性な薬学的活性薬剤にとってカプセルも好ましい経口剤形であり、その場合、活性薬剤含有組成物は、液体または固体の形(顆粒、ビーズ、粉末またはペレットのような粒子を含む)でカプセル化され得る。適切なカプセルは、硬質か軟質であってよく、ゼラチン、デンプン、またはセルロース材料で一般に作られ、ゼラチンカプセルが好ましい。ツーピース型硬ゼラチンカプセルは、好ましくは、例えばゼラチンバンド等を用いてシールされる。例えば、本明細書中で先に引用された、カプセル化薬を調製するための材料および方法を記載しているRemington:The Science and Practice of Pharmacyを参照されたい。
【0171】
錠剤、カプセル、カプレット、または粒子であるかどうかにかかわらず、経口剤形は、もし要望があれば、選ばれたPI−5およびSSRI、SNRI、CI、NI、DIまたはOIの放出制御に備えるように製剤化されることができ、好ましい実施形態において、本発明の製剤は、放出制御経口剤形である。一般に、これらの剤形は、徐放、すなわち、剤形から患者身体への長期間にわたるPI−5およびSSRI、SNRI、CI、NI、DIまたはOIの緩やかな放出に備え、典型的には、約4〜約12時間の範囲、一般に約6〜約10時間の範囲にわたり、薬剤の実質的に一定の血中濃度に備える。特に好ましい実施形態において、PI−5およびSSRI、SNRI、CI、NI、DIまたはOIを含有する剤形の経口投与後に、少なくとも4〜6時間経過するまでピーク血中レベルに到達せず、血中レベル薬物の増加速度がほぼ直線的となるような、薬物の血中レベルの非常に緩やかな増加がある。加えて、好ましい実施形態において、徐放期間の終了時に血中レベルの均等に緩やかな減少がある。
【0172】
一般的に、当業者により理解されるように、徐放性剤形は、親水性ポリマーのような徐々に加水分解可能な材料のマトリックス内に活性薬剤を分散させることにより、または個体の、薬物含有剤形をそのような材料でコーティングすることにより製剤化される。徐放性コーティングまたはマトリックスを提供するために有用な親水性ポリマーとしては、例えば以下のものが含まれる:ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、およびカルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロースポリマー;好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アクリルエステル等から形成されたアクリル酸ポリマーおよびコポリマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレートおよび/またはエチルメタクリレートのコポリマー;ならびに、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、およびエチレン−ビニルアセテートコポリマーのようなビニルポリマーおよびコポリマー。
【0173】
本明細書における好ましい徐放性剤形は、Rohm Pharma(ドイツ)から商標「Eudragit」の下で市販されているアクリレートおよびメタクリレートコポリマーで構成される。EudragitシリーズE、L、S、RL、RS、およびNEコポリマーは、有機溶媒に溶解されて、水性分散物で、または乾燥粉末として利用可能である。好ましいアクリレートポリマーは、Eudragit LおよびEudragit Sシリーズポリマーのような、メタクリル酸とメチルメタクリレートとのコポリマーである。特に好ましいそのようなコポリマーは、Eudragit L−30D−55およびEudragit L−100−55(後者のコポリマーは、Eudragit L−30D−55の噴霧乾燥形であり、水で戻すことができる)である。Eudragit L−30D−55およびEudragit L−100−55コポリマーの分子量は約135,000Daであり、遊離カルボキシル基とエステル基との比は、約1:1である。このコポリマーは一般に、5.5未満のpHを有する水性液体には不溶性である。別の特に適切なメタクリル酸−メチルメタクリレートコポリマーは、Eudragit S−100であり、これは、遊離カルボキシル基とエステル基との比が、約1:2であるという点でEudragit L−30D−55と異なる。Eudragit S−100は、pH5.5未満では不溶性であるが、Eudragit L−30D−55と異なり、5.5〜7.0の範囲のpHを有する水性液体中では溶解性が乏しい。このコポリマーは、pH7.0以上で可溶性である。Eudragit L−30D−55およびEudragit S−100の溶解性プロファイルの間のpH依存性の溶解性プロファイルを有するEudragit L−100も、それが6.0未満のpHで不溶性である限り、用いることができる。Eudragit L−30D−55、L−100−55、L−100、およびS−100を、同様のpH依存性の溶解特性を有する他の許容されるポリマーで置き換え得ることが当業者により理解されるであろう。他の好ましいEudragitポリマーは、Eudragit E、RS、およびRLシリーズポリマーのような陽イオン性である。Eudragit E100およびE POは、ジメチルアミノエチルメタクリレートと中性メタクリレート(例えば、メチルメタクリレート)との陽イオン性コポリマーであるのに対し、Eudragit RSおよびEudragit RLポリマーは、中性のメタクリル酸エステルと小さい比率のトリメチルアンモニオエチルメタクリレートとで構成される類似のポリマーである。
【0174】
本発明による非経口投与のための調製物としては、無菌の水溶液および非水溶液、懸濁液、ならびにエマルションが含まれる。注射用水溶液は、水溶性形態の活性薬剤を含有する。非水の溶媒またはビヒクルの例としては、オリーブ油およびトウモロコシ油のような脂肪油、オレイン酸エチルまたはトリグリセリドのような合成脂肪酸エステル、プロピレングリコールのような低分子量アルコール、ポリエチレングリコールのような合成親水性ポリマー、リポソーム等が含まれる。非経口製剤はまた、可溶化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、および安定剤のようなアジュバントを含んでもよく、水性懸濁液は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、およびデキストランのような懸濁液の粘度を増大させる物質を含有してもよい。注射用製剤は、滅菌剤の組み込み、細菌保持フィルタを介した濾過、照射、または熱により無菌にされる。注射用製剤はまた、無菌注射用媒体を用いて製造できる。活性薬剤はまた、注射による投与の直前に適切なビヒクルを用いてもとに戻すことができる乾燥された、例えば、凍結乾燥された形態であってもよい。
【0175】
活性薬剤はまた、従来の経皮薬物送達システムを用いて皮膚を通して投与されてもよく、活性薬剤は、皮膚に貼付される薬物送達デバイスとして働く積層構造内に含有される。このような構造において、薬物組成物は、上部裏当て層の下にある層、すなわち「リザーバ」中に含有される。積層構造体は、単一のリザーバを含でもよく、または複数のリザーバを含んでもよい。1つの実施形態において、リザーバは、薬物送達の間システムを皮膚に貼付するのに役立つ薬学的に許容される接触接着材料のポリマーマトリックスを含んでもよい。あるいは、薬物含有リザーバおよび皮膚接触接着剤は、独立した別個の層として存在してもよく、接着剤は、リザーバの下にあり、リザーバは、この場合、上記されたようなポリマーマトリックスであってもよく、または、液体もしくはヒドロゲルリザーバであってもよく、あるいは何か他の形態のリザーバであってもよい。経皮薬物送達システムは、皮膚透過促進剤をさらに含有してもよい。
【0176】
以前に記載された製剤に加え、活性薬剤は、活性薬剤の放出制御、好ましくは長期間にわたる徐放のためのデポ調製物として製剤化され得る。これらの徐放性剤形は一般に、埋め込みによって(例えば、皮下的または筋肉内的に、あるいは筋肉内注射により)投与される。
【0177】
別の態様において、本発明の組み合わせ療法は、局所用製剤であり得る。本発明に従って、局所用製剤としてPI−5とSSRI、SNRI、CI、NI、DIまたはOIとの組み合わせの有効または最適な量が皮膚表面に適用される。当業者には明らかなように、有効または最適な量は、用いられる薬剤の特定の組み合わせ、処置される特定の疾患状態または症状等に応じて変わる。局所用製剤は、任意の都合のよい局所的部位に適用され得る。関心対象の局所的部位としては、腕部、脚部、顔面、頚部、胴部等が含まれるが、それらに限定されない。適用は、任意の都合のよい方法で遂行されることができ、さらに局所用製剤の形態によって少なくとも部分的に指図される。すなわち、局所用製剤化が、クリーム、ローション、軟膏、ゲル、溶液、泡、粉末等として存在しているか否か、製剤を収容している容器等によってである。例えば、局所用製剤は、皮膚表面上に噴霧されてもよく、皮膚表面上にロールオンされてもよく、あるいは対象は、局所用製剤を綿棒、指等を用いて塗布されてもよい。局所用製剤を塗布するための他のプロトコルは、当業者に知られており、本発明の方法に従って使用され得る。
【0178】
本発明の組成物は一般的に、経口的に、非経口的に、経皮的に、局所的に、または埋め込まれたデポを介して投与されるが、他の投与様式も同様に適切である。例えば、投与は、好ましくは、活性薬剤に加え座薬ワックスのような賦形剤を含有する座薬を用いる、経粘膜、例えば、経直腸または経膣であり得る。経粘膜投与は、例えば、Placeらの米国特許第5,242,391号、同第5,474,535号、および同第5,773,020号に記載されるような経尿道投与も包含する。経鼻または舌下投与のための製剤も、当該技術分野においてよく知られた標準的賦形剤を用いて調製される。本発明の薬学的組成物はまた、吸入用に、例えば、食塩水中の溶液として、乾燥粉末として、またはエアゾールとして製剤され得る。
【0179】
適応症:
神経変性疾患
本発明は、多くの医薬品および療法レジメンと併用して有用である一方、特に関心のある症状としては、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン的特徴を伴う前頭側頭型認知症、進行性核上性麻痺、本態性ジスキネジア、および認知症が含まれる。
【0180】
PI−5と、標的となる神経伝達物質を増大させる、SSRI、SNRI、CI、NI、DIまたはOIを制限なく含む1つ以上の薬剤との組み合わせは、治療効果の増大および悪影響の低減をもたらし、特に神経変性疾患の処置においてこれらの薬学的組み合わせを極めて効果的な治療にする。本発明の組み合わせ療法処置レジメンを用いた処置に適した対象としては、神経変性疾患と関連した以下の症状を患っている個人が含まれる。
【0181】
パーキンソン病
パーキンソン病は、症状が悪化し続けながら長期にわたり持続する慢性的かつ進行性の神経変性運動障害である。この疾患は、James Parkinson博士という名のロンドンの医師により初めて報告された。
【0182】
パーキンソン病は、脳における主要なドーパミンプロデューサーである黒質における緩やかな機能障害および細胞損失によって引き起こされる。この神経伝達物質は、運動制御および協調を担当する脳の異なる部分に情報を送ることを担っていると考えられている。ドーパミン産生の減少は、メッセージを脳から種々の器官に送るプロセスを遅らせ、任意の運動を制御および開始する個人の能力を混乱させる。
【0183】
パーキンソン病の3つの重要な徴候は、安静時の振戦(震え)、強剛、および運動開始の際の緩慢さ(運動緩慢と呼ばれる)である。診断を行うにためは、これらの特徴のうち2つが必要である。姿勢の不安定は第4の重要な徴候であるが、これは、疾患の晩期、通常PDを患ってから8年以上後に生じる。
【0184】
静止時の振戦は通常、一方の腕において始まり、開始および停止することがある。ほとんどの振戦と同様に、振戦は、ストレス下で悪化し、安静時または睡眠時に改善する。数ヶ月〜数年後、両腕が冒されることがあるが、初めの非対称性(不均衡)は、維持されることがよくある。PD振戦は、舌、唇、または顎も含むことがある。特徴的なPD振戦が存在し、安静時の四肢が最も顕著である。振戦は、手の丸薬丸め運動または手もしくは腕の単純な振動として現れることがある。
【0185】
強剛は、患者の関節を動かす誰か他の人に対する抵抗の増大を指す。抵抗は、円滑(鉛管様)か、または開始および停止(歯車様)のいずれかである。(歯車様は、強剛ではなく、振戦であると考えられる。)他の誰かに患者の弛緩した手首を屈伸してもらい、強剛について試験する。強剛は、反対の四肢の随意運動によってより明らかにされ得る。
【0186】
運動緩慢は、運動の緩慢さを指すが、予期せぬ運動の減少および運動サイズの減少も含む。運動緩慢は、小字症(小さい筆跡)、表情欠如(顔の表情の減少)、瞬目率の減少、および発声不全(ソフトスピーチ)としても表現される。
【0187】
姿勢の不安定は、患者を直立させておくために用いられる反射の不均衡および損失を指す。
【0188】
この症状は、処置が容易ではなくかつ疾患晩期における能力障害の共通原因なので、重要な節目である。
【0189】
他の症状としては、歩行開始時のすくみ(開始躊躇)、向きを変えるときのすくみ、玄関口を通る際のような敷居を越える際のすくみが含まれ、首、体幹、および四肢の曲がった姿勢が生じることがあり、精神状態の変化がPD晩期に一般的に生じ、PDのある人々の15〜30%がこれに冒され、短期記憶および視覚空間機能が損なわれることがある。
【0190】
PDの発病は一般に不均衡であり、最も一般的な初期知見は、一方の腕における非対称性の安静時振戦である。約20%の人が、一方の手において最初にぎこちなさを経験する。
【0191】
PD診断の最良の臨床的予測因子は、非対称性、安静時振戦の存在、およびドーパミン交換療法に対する良好な反応である。
【0192】
パーキンソン病は、人々の性別、経済状態、地理的状態、および社会的地位にかかわらず、すべての人々を冒す。しかしながら、男性は、この疾患を発症するリスクが若干大きい。加えて、いくつかの研究は、アフリカ系アメリカ人およびアジア人と比較して白色人種がこの疾患によりかかりやすいことも示している。年齢は、この疾患の究極の決定要因である。人は年を取るにつれて、この疾患を発症する可能性がより高まるのであるが、40歳未満の人におけるパーキンソン病の症例がいくつか報告されている。
【0193】
アルツハイマー病(AD)
認知症の最も一般的な原因であるアルツハイマー病(AD)は、通常、高齢者における脳疾患の集まりであり、脳機能の緩やかな進行性損失により特徴付けられ、特に記憶違い、失見当識、錯乱、気分変動、人格の変化、日常的な物についての正しい言葉を見つけ難いなどの言語問題、行動抑制の喪失、意欲の喪失、および妄想症が顕著である。ADの予後とおよび過程は広範囲に変わり、病気の期間は、数年から20年以上に達し得る。この期間、記憶および思考を制御する脳の部分が最初に冒され、他の脳変化が続き、これが最終的に脳細胞死という結果に至る。
【0194】
ADは、脳における明確な神経病理学的変化を特徴とする。最も顕著なものの中に、神経シナプスおよび神経−神経細胞通信を冒す脳神経内の神経原繊維のプラークおよびもつれの出現がある。
【0195】
ADは、主として60歳以上の人々を冒す。AD発症のリスクは、年齢と共に増大し続ける。例えば、80歳の人々は、65歳の人々よりも有意に大きいリスクを有する。米国では約500万人、世界的には3000万人以上の人々がADを患っている。その多くの人々が、軽度の、または最小限の認知障害を有し、これは認知症に先行することが頻繁にある。
【0196】
人口の加齢により、ADのある人々の数は、今後数十年間で大きく増大すると予測されている。この疾患はすべての人種および民族集団がかかり、男性よりも女性が多くかかると思われる。
【0197】
ADは進行性疾患であり、この疾患が時間の経過につれて悪化することを意味する。この疾患は、どのような既知の処置によっても治療または反転させることはできない。症状は、最初はとらえがたいことがよくある。
【0198】
時間の経過と共に、この疾患を有する人々は、明確な思考および推論、状況判断、問題解決、集中、有用情報の記憶、自身の世話、および発話さえ行う能力を失い、行動および人格の変化は一般的である。
【0199】
軽度のADがある人々は通常、身近な監視ならびに調理、買い物、および請求書支払いのような日々の作業による支援を必要とする。重いADのある人々は、自身ではほとんど何もできず、フルタイムの完全介護を必要とする。このため、ADは、大きな公衆衛生問題と考えられている。この疾患のある人々を介護する費用は、米国では1年あたり1,000億ドル以上と見積もられている。患者一人あたりの平均年間費用は、疾患の重症度によって、20,000ドル〜40,000ドルである。その費用は、患者にとっての生活の質の喪失も、家庭内介護者にかかる身体的および精神的犠牲も考慮に入れていない。
【0200】
筋萎縮性側索硬化症(ALS)
ルー・ゲーリッグ病としても知られるALSは、中脳、脳幹、および脊髄に位置する上位および下位運動ニューロンの進行性の神経変性疾患である。ALSにおいて、これらの領域における運動ニューロンは、機能障害になり、緩やかに死に至り、これが生じると、筋肉は脳からの神経インパルスをもはや受け取ることができない。次に筋肉が衰弱して萎縮し、最終的に筋肉麻痺という結果になる。ALSは、脳および脊髄における運動ニューロンの急速に進行する変性を特徴とし、これは、最終的に麻痺および早期の死に至る。全体として、ALSの有病率は低い(100,000人あたり約5人)が、発生率は、年齢と共に増大し、55歳〜75歳にピークを示し、ALS患者の進行はかなり迅速であり、診断の5年後に生存するのはALS患者の5%にすぎない。ALSの診断は、神経科医によって実行され、一連の徴候および症状を一般的にたどるが、通常の臨床的経過をたどらず、従来のALSの典型的な徴候および症状をまったく示さない非定型のALS症例がある。
【0201】
ALSは、1つ以上の四肢における衰弱、ぎこちなさ、または萎縮として発症することがある。これは、嚥下困難または発話困難として始まることがある。症状は、最初は非常にとらえがたく、看過されることがある。一般的な症状としては以下のものが含まれる:起立困難、歩行困難、または走行困難、ぎこちなさ−頻繁なつまずきまたは転倒、ボタン留め、筆書、錠の鍵開けのような細かい手の運動の困難、手筋肉萎縮、舌萎縮、食物咀嚼困難、嚥下困難(嚥下障害)、発話困難、過敏な喉頭反射、言語形成困難(構音障害)、特定の筋肉における衰弱および萎縮、緊張して硬直した筋肉(痙縮)、筋痙攣、および皮膚下に見られる筋肉単収縮(線維束性収縮)。
【0202】
ALSを患う患者において、前頭葉機能障害についての証拠があることがある。通常、この機能障害は、無症候性(容易に見えたり症状を引き起こしたりしない)であり、焦点を合てた試験により具体的に探した場合にのみ検出可能である。しかしながら、少数の患者においては、臨床的に重要な認知障害が明らかになり、前頭側頭性認知症にまで拡がる以上の連続を伴う。計画および順序づけの困難さ(前頭葉疾患による「実行機能障害」の最も普通の発現)に加え、患者によっては、他の方法では説明できない無頓着さまたは患者自身の状況に対する洞察の欠如ならびに患者自身と患者が愛する人々およびその他の人々に対するその影響力を表すことがあり、幸運にもめったにないことであるが、患者は、普段の患者自身ほど友好的ではなくなることがある。ALSのこれらの側面は、存在する場合、介護者および医療従事者にも対しても同様に大きな難題をもたらすことがあり、それらの側面は、より短い生存と関連していることがある。
【0203】
ALSのある患者において抑うつおよび不安が生じることがある。証明は困難であるが、そのような抑うつおよび不安は、患者の症状に対する患者の単なる反応というよりは、疾患プロセス自身の一部である可能性がある。抑うつおよび不安は、処置可能である。最終的に、ALSのある患者によっては、根底にある気分とは異なる笑いまたは泣きの不随意の制御されない噴出となって現れるいわゆる制御不能情動を示す。
【0204】
疾患が進行するにつれ、ALSがある人は、着付け、食事および仕事のような日々の活動を実行する能力を失う。最終的に、補助なしではベッドから出ることが不可能になる。その人は、車いすまたはベッドに制限されるようになる(褥瘡の発生が問題になることがある。)呼吸筋が弱まるにつれ、呼吸がますます困難になる。肺炎のリスクが増大する。
【0205】
毎年米国において約5,000人がALSと診断され、約20,000人がその症状を有すると考えられている。ALSは、すべての人種および民族集団がかかる。この疾患は、どの年齢でも起こり得るが、40〜60歳の人々において最も多い。男性は、女性よりもかかることがよくある。ALSについてはどの治療も利用できず、この疾患の影響は可逆的ではない。
【0206】
多発性硬化症(MS)
多発性硬化症は、中枢神経系の神経の疾患であり、高齢者だけでなく若年者においても生じ得る。脳の様々な部分における神経は、神経伝導を引き起こす電気インパルスが保護されるように脂質鞘中に埋め込まれたタンパク質ミエリンおよび他のタンパク質によって構成される保護絶縁体によって被覆されている。MSにおいて、炎症ならびにミエリンおよび他の抗原に対する自己免疫抗体の存在が、保護鞘の破壊を引き起こしてそれらの保護能力を失わせ(脱髄)、神経に沿った電気インパルスの減少または損失という結果になる。進行性MSにおいて、神経細胞は、神経細胞死が生じるまで脱鞘および神経細胞上でのプラークの堆積により損傷される。
【0207】
MSの徴候および症状としては、視覚障害、筋力低下、疲労、しびれ感、運動と平衡の連係困難、振戦、眩暈、聴覚損失、記憶喪失、判断障害、行動変化および痛みが含まれる。これらの症状は、当初は循環すなわち再発−寛解を繰り返し、後に進行性になり、退行は着実に低下して生じる。MSは、事実上どのような有髄神経、感覚または運動ニューロンも冒し、広範囲に及ぶ徴候および症状を引き起こし得る。
【0208】
多発性硬化症の症状は、人ごとに異なり得る。視覚面、感覚面、および運動面の徴候および症状はすべて、多発性硬化症に欠くことのできない要素である。臨床的発現は様々であり、従って、出現し得る広範囲の症状がある。人によっては、長年にわたって能力障害がほとんどないまたはまったくない多発性硬化症の軽度の症例がある。他の人々にはより重篤なタイプの多発性硬化症があり、車いすまたはベッドへの拘束を必要とする。さらに他の人々は、その全生涯を症状なしで過ごすことがある(多発性硬化症症状のない人の中には、多発性硬化症病変があることがMRIによって偶然わかる人があり、または死後の脳検査によって、この疾患により冒されていたことが明らかになる人もある)。この変動性は、時として多発性硬化症を診断することを困難にする。徴候および症状が、起源が精神医学的であると誤解されることがよくある。
【0209】
多発性硬化症は一般的に、平衡および微細運動協調を司る脳の部分である小脳を冒す。その結果、多発性硬化症がある人々は、歩行時および自らの手で繊細な作業を実行する時に、自らの平衡を維持するのが困難なことがよくある。カップもしくは他の物品の説明のつかない落下、または異常な脱力が起こり得る。
【0210】
患者は、顔面痛、眩暈と呼ばれる回転の感覚、および時には聴覚損失を経験することがある。事実上体のどの領域も関与することがあり、この疾患を神経系の他の障害の偉大な模倣者にしている。患者は、腕または足のうちの1つ以上において有痛性の筋肉痙攣または脱力を経験することがある。痛覚、触覚、および温度感覚を伝える神経繊維がしばしば冒され、胸部、腹部、腕部または脚部においてピリピリ感、しびれ感または電気タイプの痛覚を生じさせる。
【0211】
多発性硬化症は、膀胱および腸の不随意動作を司る神経を巻き込むことがある。患者は、便秘および尿閉になることがよくある。これらの症状は、膀胱、腎臓、または血液の感染症のような他の合併症につながる。
【0212】
多発性硬化症があるほとんどの人々は、恒常的な疲労状態を訴える。食料雑貨類を運び階段をのぼるのと同じくらい単純なことが、多発性硬化症がある人にとって不可能な作業になることがある。
【0213】
多発性硬化症は、北欧系の人においてより一般的である。女性は、男性よりも多発性硬化症を発症する可能性が2倍以上ある。多発性硬化症は通常、20〜50歳の年齢の人々を冒し、発症の平均年齢は、約34歳である。
【0214】
前頭側頭型認知症(FTD)
FTDは、行動および個人的行為における漸進的かつ進行性の変化および/または漸進的かつ進行性の言語機能障害により臨床的に定義される症状の異質性の群である。当初の症状は一般的に、記憶のような他の認知領域に影響を及ぼすことなく生じ、発症年齢が75歳以上ではめったに存在しない。いくつかの例において、行動および言語における欠損は、パーキンソン症候群または進行性の運動ニューロン疾患も伴う。神経病理学的に、FTDは、前頭葉および/または側頭葉における神経変性によって引き起こされる。
【0215】
最も一般的な表出は、状況の社会的な要求に対して行動を調整することが困難であることにより特徴付けられる、社会的および個人的な行為における早期の変化である。これは、抑制の欠如に関連していることがよくあり、不適切な時のののしり、フラストレーションの爆発または社会的感覚の欠如のような衝動的または不適切な行動という結果になる。
【0216】
この疾患が進行するにつれて、これは、あからさまな犯罪行動(例えば、万引き)、乏しい金銭的判断、または衝動的な買い物につながることがある。極端な場合、この衝動性は、患者が移動している車を降りようとする場合のように、自己破壊的になり得る。人によっては、不適切な性的行動が生じる。
【0217】
反復性または強制的な行動もあり得る。これには、特定の行為の繰り返し(例えば、同じ本を何度も読む)または特定の身体的動作の繰り返し(例えば、同じ場所まで何度も歩く)に夢中になることが含まれ得る。
【0218】
食習慣および個人的な清潔さも変わり得る。過食は、特定の食物のみが食べられる食べ物の一時的流行と同様に一般的である。人の容姿のついての関心の損失があり、患者は、疾患の過程の早くから、次第に身なりがだらしなくなることがある。
【0219】
すべてこれは、自分の行動に対する洞察または個人的関心をほとんど示さない患者の状況において生じる。たとえ記憶障害に対する愁訴があっても、これらの患者は、真の健忘症候群があるわけではない。それらの患者は、その日その日の出来事の経過を追うことができ、適応されられ得る。
【0220】
FTDは、推定約250,000人の米国人を冒しており、または年齢45〜64の人々の間のFTDの有病率は、100,000人あたり6.7と推定された。疾患は両方の性に等しく影響している。約40%の患者は明確な家族歴を有する。疾患の平均期間は約8年である。
【0221】
進行性核上性麻痺(PSP)
進行性核上麻痺は、脳のまれな変性疾患である。この疾患は、運動および平衡を障害する。PSPがある多くの人々は、気分、行動、および人格における変化も経験する。思考、記憶、注意、および発話のような認知精神的プロセスの低下は珍しくはない。毎日の活動を妨げるのに十分なほどこれらの精神的変化が重篤な場合に、それらは認知症と呼ばれる。
【0222】
PSPは、進行性であり、PSPが時間の経過につれて悪化することを意味する。この疾患は、核の上方(「核上」)の脳の部分を冒し、これらの核は、眼球運動を制御する神経系の部分の中の豆粒大の構造である。麻痺は、脱力を意味し、この疾患が命名されるのは、眼球運動におけるこの特徴的な脱力にちなんでである。
【0223】
PSPの症状は通常、非常にゆっくりと現れる。多くの人々は、疲労(疲れたと感じる)、頭痛、関節痛、眩暈、および抑うつのような長期の症状を経験する。徐々に、以下のより具体的な症状が現れる:原因不明の平衡問題、歩行時の堅いまたはおぼつかないステップ、非常に遅い動き、頻繁な転倒、ぎこちなさ、視覚的問題(ぼやけてまたは二重に見える、眼球運動の制御の問題およびアイコンタクトを維持できない)、光感受性、行動または人格の変化、刺激、不機嫌、記憶喪失、物忘れ、無気力(無関心)、鈍くなった思考、推論、立案、不適切な笑いまたは泣き叫び、怒りまたは攻撃的な爆発、不明瞭な発話、嚥下問題、仮面様顔面表情(無表情)、筋痙攣、ならびに排尿をこらえられないこと(失禁)。
【0224】
米国において約20,000人にPSPがある。この疾患は通常、60歳以上の人々において発症する。この疾患は時に、40代または50代の人々を冒すが、症状は一般的に60代の初めに顕著になる。PSPは、女性よりも男性において若干よく見られる。
【0225】
PSPが主に高齢者を冒し、ある程度類似した症状を有するので、PSPは、ずっと一般的な運動障害であるパーキンソン病と間違われることがよくある。区別は重要である。なぜならば、パーキンソン病のある多くの人々を助ける処置は、PSPのある人々を助けないからである。
【0226】
本態性ジスキネジア
ジスキネジアは、不随意の過剰な異常運動である。いくつか異なるタイプのジスキネジアがあり、各々は、異なる臨床的症状、原因、および処置を有する。特定の慢性的脳障害を持つ成人および小児は、ジスキネジアの症状を示すことがよくある。運動は、頭、腕、脚、手、足、唇、または舌において生じ得る。ジスキネジアは、舞踊病、ジストニア、ミオクローヌス、振戦、および後発性発作(遅発性タイプ)として分類できる。ジスキネジアの他の形態としては、アテトーシス、バリズム、アカシジア、チック、常同症、およびムズムズ脚が含まれる。ジスキネジアは、運動亢進症候群とも呼ばれ得る。
【0227】
舞踏病は、身体の1つ部分から別の部分に連続的に流れる、不規則で、不随意で、nonrhymicalで、突然で、急速で、非持続的な痙動である異常な運動である。運動は、切り離され、短時間で、めった起こらない。舞踊病は、持続的な収縮をできなくすることがあり、これにより罹患した人は物を落としてしまう。舞踊病がある人は、不規則なダンス様の足取りを有する。舞踊病の原因は、完全にはわかっていない。
【0228】
安静時に生じるジストニアは、運動の(間代性)形態として長く残り得る。ジストニアは、限局性か、全身性かのいずれかである。限局性ジストニアは、単一の身体部分における不随意運動であり、これには、眼瞼痙攣(顔面上部)、痙性斜頚(頚部)、および書痙が一般的に含まれる。2つ以上の身体領域を冒すジストニアは、分節型ジストニアと呼ばれる。全身性ジストニアは、体幹、片脚または両脚、および別の身体部分を一般に冒す。ジストニアの他のタイプとしては、Merge症候群(口を開け閉じする時の顎筋の痙攣)が含まれる。痙性ジストニアは、喉頭(のど)筋の痙攣のために発話障害を引き起こすことがある。ジストニアがある患者における筋肉運動の強度は変動することがあり、症状は、疲労、ストレス、活動、および姿勢の変化の間に悪化する。症例によっては、ジストニアの奇妙な症状が心理学的病気と間違われることがある。ジストニアは、遺伝したり、別の一時的原因のために獲得されたりし得る。ジストニアを示す遺伝された疾患はまれであり、ドーパ−応答性ジストニア、特発性緊張ジストニア、およびx−連鎖型ジストニア−パーキンソニズム(アシュケナージユダヤ人の間で見出された)が含まれる。
【0229】
ミオクローヌスは、短時間で、突然で、激しい筋肉収縮(陽性ミオクローヌス)、およびショック様運動または抑制(陰性ミオクローヌス)を指す。ミオクローヌスは、全身性または隔離性であり得る。運動は、突然生じで次に消える律動的で不規則な痙動または振動性の痙動からなる。異常な痙動は、光、音、動き、および視覚的脅威のような環境の刺激に関連する。この症状は、てんかんとして誤診されることがある。ミオクローヌスは通常、安静時に生じるが、罹患している身体部分が随意活動に供される場合にも現れることがあり、これは活動時ミオクローヌスと呼ばれる。活動時ミオクローヌスは、安静時ミオクローヌスよりも無能にする。
【0230】
振戦は、規則的な律動的な振動性の運動であるが、速度、位置、振幅、および定常性が変化し、振戦のタイプおよび重篤度に依存することがある。振戦は、活動時、安静時、および体位または姿勢を維持している時に生じ得る。振戦は非常に速いので、「光の点滅」と記述されることがよくある。振戦のサブタイプとしては、安静時振戦、安静時か活動時の体位性振戦であり遺伝することがある本態性振戦、または運動を伴う振戦(意図「動的」振戦)が含まれる。安静時振戦は、通常は遅く、活動の間に生じて、行動が開始されると消える(例えば、パーキンソン病)。本態性振戦は、通常は良性であるが、筆記障害に起因する能力障害および日々の生活に関連した活動の制約を引き起こし得る。本態性振戦は、遺伝され得る。
【0231】
発作性ジスキネジアは、発作性運動誘発性ジスキネジア、偶発的運動失調、発作性催眠性ジスキネジア、発作性労作誘発性ジスキネジア、および発作性非運動誘発性ジスキネジアを含む一群の障害である。発作性ジスキネジアは、舞踊病、アテトーシス、ジストニア、およびバリズムのような他の運動障害からの症状からなる断続的な不随意運動を特徴とする多動障害である。発作性ジスキネジアのエピソードは、数秒から数日続くことがある。偶発的運動失調は、数秒から数時間続くことがある運動失調の断続的なエピソードを特徴とする。発作性ジスキネジアは、長期の労作、睡眠、ストレス、アルコール、コーヒー、茶、疲労、突然の随意運動、熱、または寒さにより起こされ得る。
【0232】
アテトーシスは、連続的でゆっくりした、身悶えする運動を特徴とする運動障害である。運動は一般的に四肢性であり、顔面、頚部、および舌の筋肉を頻繁に巻き込む。この状態は、安静時または随意運動を行う場合に生じることがある。罹患している人の運動のスピードは時として増大することがあり、症状は舞踊病の症状と同様である(舞踏病アテトーゼと呼ばれる)。筋肉収縮が持続されて異常な姿勢を引き起こせば、アテトーシス運動は、ジストニアの運動と混在し得る。
【0233】
バリズムは、速く、通常手足を冒す大きい舞踏病性運動である。罹患している人は、投げ出すような、竿で打つような運動を示す。一般的に、バリズムは、身体の一方の側(一側性)を冒し、片側バリズムと呼ばれる状態をもたらす。
【0234】
アカシジアは、常同性であり運動行為を行うと通常軽減されるチック、強迫行為、および衒奇のような複合運動を指す。一般的に、座る際に、アカシジアのある人は、脚を組んだり解いたり、もじもじしたり、そわそわしたり、頭皮をなでつけたり、または体を揺り動かすなどの症状を含む運動を示すことがある。患者は、特定の罹患身体部分に灼熱感を持つことがあり、患者は、連続したうめき声およびうなり声を出すことがある。
【0235】
チックは、2つの障害:運動性チック(異常運動)および/または音声チック(異常音)に分けることができる。子供は、運動性および音声チック両方の慢性的障害を示すことがある(ジル・ド・ラ・トゥレット(Gilles de la Tourette)症候群)。単純なチックの運動は舞踏病性またはミオクローノス性の痙攣(突然、単純、突発的、隔離的)と非常に類似していることがある。複合チックは、連続的運動の明確に調整されたパターンであるが、それらは、発生ごとに同一ではないことがあり、様々な身体領域に発生し得る。チックは急速な運動であり、もし罹患した身体部分において収縮が持続されれば、チックは、ジストニア性運動に似る。
【0236】
チックを他のジスキネジアと区別するのに役立つ大きな臨床的徴候の1つは、チックにかかっている人における不随意の眼球(目)運動の存在である。チックの眼症状としては、目の短時間の痙攣または持続的な目のそらしが含まれ得る。2つの他のジスキネジア、すなわちミオクローノスおよびジストニアは、不随意の眼症状を示すことがある。音声チックがあると、罹患した人は、ぶつぶつ言う声、咳払い、または卑猥な言葉(汚言症)すら出すことがある。音声チック(鼻筋および声帯筋を伴う)は、咳払いまたは鼻すすりのような単純音声チックあるいはうなり声様ノイズおよび言語化を含む複合音声チックに分けることができる。
【0237】
常同症は、頻繁かつ数分間続くことがある運動である。これらの運動は、反復性かつ同一である(連続的常同症)。精神的遅滞、自閉性、統合失調症に関連したこの奇妙な運動が常同症である。連続的常同症は、神経遮断薬および抗精神病薬による処置に起因する遅発性ジスキネジアと呼ばれる別のタイプのジスキネジアに特有である。
【0238】
遅発性(晩期発症性)ジスキネジアは、口腔顔面ジスキネジア、舞踊病、チック、および/またはアテトーシスの混合症状からなる多動不随意運動を特徴とする一群の運動障害を指す。異常運動は、唇、顔面、体幹、舌、および四肢末端の筋肉を冒すことがあり、これは、食事および器用さの障害となることがある。遅発性ジスキネジアの最も特徴的な症状は、口腔顔面ジスキネジアであり、これは通常、遅く穏やかな舌運動で始まり、唇および舌の誇張された運動が続く。罹患した人がは,咀嚼運動、まばたき、頬の膨らませ、しかめ面、アーチ形の眉、および眼瞼痙攣に進行することがある症状を有し得る。遅発性ジスキネジアは、統合失調症、統合失調感情障害、または双極性障害用に処方される精神遮断薬および抗精神病薬のような特定の薬剤を服用している患者において一般に見られる。遅発性ジスキネジアの他のタイプとしては、遅発性アカシジア、遅発性ジストニア、遅発性ミオクローノス、遅発性トゥレット症候群、遅発性振戦、および眼瞼痙攣が含まれる。ドーパミン受容体ブロッカー薬を服用している患者の約50%が、遅発性ジスキネジアの型を発症する。遅発性アカシジアは、反復性のタッピング運動、もじもじ運動、行進運動を指す。遅発性ジストニアと関連した運動は、顔面、頚部、体幹、および四肢末端の固定姿勢を含み得る。まれな障害である遅発性ミオクローノスに罹患している人は、顔面、頚部、体幹、腕、および脚の筋肉の短時間の痙攣運動を示す。遅発性トゥレット症候群の症状は通常、21歳以上の人において始まり、音声および運動両方の頻繁な複数のチックを含む。この障害は、一般に7歳までに現れるトゥレット症候群と混同されるべきではない。遅発性振戦は、頭部、頚部、四肢、または声の不随意で、律動的で、波状的で持続的な運動として現れることがよくある。遅発性振戦、安静時および随意運動時の両方において存在する。
【0239】
早期ミオクローノス脳症はまれな障害であり、発生率は小児40,000人あたり約1人である。早期ミオクローノス脳症は、短時間の突然のミオクローノス痙攣(90%の患者で一般に発生)および発作を特徴とする。症状の開始は通常、生まれた最初の3年以内に生じる。処置および管理は、発作の根底にある原因に依存する。一般的に、患者は抗てんかん薬を受け、症状の改善は通常、良好な予後に関連する。もし症状が抗てんかん薬(単数または複数)によって改善されなければ、予後は良好ではない。
【0240】
認知症
「認知症」は、行動および生活の質が著しく影響を受ける程度までのかなりの認知機能の喪失を指す。認知症は一般に、記憶喪失、数学的および分析的能力の減少、ならびに組織化および実効機能の障害として現れる。
【0241】
死体解剖結果に基づき、認知症は、世界人口の20〜30パーセントに生じると推定されている。米国における発生率は、我々の人口が加齢するにつれて顕著に増大すると予想される。認知症はしばしば進行性であり、認知症患者は、著しくより高い発生率の外傷、虐待、自殺および他の重い病気に見舞われる。認知症は、患者および患者家族双方にとって精神的苦悩および財政的困難という結果になる。
【0242】
認知症の最も一般的な原因は、脳卒中のような血管性障害(30〜40パーセント)、アルツハイマー病、多発性硬化症およびパーキンソン病のような神経変性障害(25〜40パーセント)、EtOH、肝不全および低血糖症のような医学的障害(20パーセント)、ならびに脳腫瘍および硬膜下血腫のような占拠性病変である。
【0243】
神経変性認知症のための効果的な処置は、本質的に存在しない。CognexおよびAriceptのような、アルツハイマー病の処置のためのいくつかの薬剤が市販されているが、それらの有効性は、最小限であり、非持続的であることが実証されている。
【0244】
認知症の症状は、人および認知症の根底にある原因によって大きく変わる。認知症に冒されたほとんどの人々は、これらの症状のうちのいくつか(ただし全部ではない)を有する。これらの症状は非常に明白であることがあり、あるいはそれらの症状は、非常にとらえにくく、しばらくの間、認識されないままでいくことがある。認知症の第1の徴候は通常、短期記憶の喪失である。そのような人は、言ったばかりのことを繰り返したり、わずか数分前に物を置いた場所を忘れたりする。
【0245】
初期認知症の他の症状および徴候は以下の通りである:喚語障害(同義語を用いたり単語を定義することにより補えることがある)、名前、面会予定、または当人が何かをしたかどうかの忘却、物を無くす、熟知している作業の実行が困難(運転、食事の調理、家事、個人的財務管理)、人格変化(例えば、社交的な人が引きこもったり、おとなしい人が粗野かつ愚かになる)、特徴のない行動、気分変動(しばしば短期間の怒りまたは激怒を伴う)、判断力低下、行動障害−妄想および疑い深さ、機能レベルの低下(ただし、家庭での決まった日常業務に従うことはできる)、混乱、不慣れな環境中で失見当識(慣れ親しんだ場所へ戻ろうとして彷徨することがある)。
【0246】
中期認知症についての他の症状および徴候は、以下の通りである:初期認知症で見られる症状の悪化、補う能力の減少、助けなしでは日常生活の活動(例えば、入浴、着付け、身づくろい、摂食、トイレの使用)ができない、睡眠混乱(日中にしばしば居眠りし、夜は起きている)、新しい情報を学習できない、慣れた環境においてさえ失見当識および混乱が増大、判断力欠如および混乱のため転倒および事故のリスクが増大、行動障害−偏執性妄想、攻撃性、激昂、不適切な性的行動、幻覚、作話(当人は、決して起きていないことをやったまたは経験した、と信じている)、不注意、集中力低下、外界に対する関心の喪失、ならびに異常な気分(不安、抑うつ)。
【0247】
重度認知症についての他の症状および徴候は以下の通りである:早期および中期認知症において見られる症状の悪化、日常生活の活動について他者に完全に依存、介助なしで場所から場所への歩行または移動が不能になり得る、嚥下のような他の運動の障害(栄養障害、窒息、および誤嚥(食物および飲料、唾液、または粘液の肺への吸引)のリスクを高める)、短期および長期記憶の完全な喪失(身近な親戚および友人さえ認識できなくなり得る)、合併症−脱水症、栄養障害、膀胱制御を伴う問題、感染症、誤嚥、発作、褥瘡、および事故または転倒による外傷
人は、これらの問題、特に行動問題に気がついていないことがある。これは、認知症のより後期において特にあてはまる。
【0248】
高齢者における抑うつは、認知症様症状を引き起こし得る。認知症のある人の40%もの人々が抑うつ状態でもある。抑うつの一般的な症状としては、抑うつ気分、かつては楽しんだ活動への興味の喪失、他者からの離脱、睡眠障害、体重増加または減少、自殺思考、無価値の感情、明確に思考または集中する能力の喪失が含まれる。
【0249】
不可逆性または未処置の認知症を持つ人々は、数年にわたって精神機能および運動の遅く緩やかな低下を示す。しばしば感染症に起因する、完全依存および死が最終段階である。
【0250】
認知症は、高齢者において最も一般的であり;かつては老化と呼ばれ、加齢の正常な部分と考えられた。認知症は、老化の正常な部分ではないが、高齢者およびより若い人々両方において生じ得る根底にある複数の医学的状態によって引き起こされる。場合によっては、認知症は適切な医学的処置によって逆転せることができる。他の場合には、認知症は永続的であり、通常、時間の経過と共に悪化する。
【0251】
米国において約4〜5百万人の人々がある程度の認知症を有しており、その数は、人口の加齢に伴い、今後数十年間にわたり増大するであろう。認知症は、60〜64歳の人々の約1%を冒し、85歳以上の人々の30〜50%も冒す。
【0252】
認知症は、高齢者を養護ホームにのような施設に入れる第1位の理由である。認知症は、大きな財政的および人的コストという結果になる非常に深刻な状態である。認知症を持つ多くの人々は、結局、自分たちの世話を完全に他者に依存するようになる。認知症を持つ人々は一般に完全に意識がある状態のままであるが、短期および長期記憶の喪失が共通している。
【0253】
認知症を持つ人々は、知的機能の領域、例えば、言語および数の使用;自分の周りで何が起きているかについての認識;判断;ならびに推論し、問題を解決し、および抽象的に思考する能力、のすべてまたはいずれかの低下も経験する。これらの喪失は、独立して機能する人の能力を損なうだけでなく、生活の質および人間関係に対して負の影響もある。
【0254】
上記で指摘されたように、本発明は、標的とされる神経シナプスおよび回路網におけるc−GMPレベルを増大させる化学物質と、同じ箇所において従来の神経伝達物質(単数または複数)のレベルを増大させる第2の化学薬品との組み合わせである。質量作用または動的効果により、結果は、神経変性プロセスの本来の箇所または原因にかかわらず、鈍化されたおよび/または機能しない実効神経伝達およびそれに続くカスケードに打ち勝つことである。このようにして、機能しない神経伝達および2次カスケードは、本質的に無効にされ、より高くより正常な応答性のレベルで機能する。機能しない神経伝達系のこの再活性化は実際、ニューロン可塑性、再生およびアポトーシスに変化を引き起こす。
【0255】
例えば、神経変性認知症(アルツハイマー病およびFTDP−12がその例である)は、PI−5とCIとの組み合わせを用いて治療され得る。なぜならば、これらの化学物質は、これらの疾患が発生すると考えられている皮質および新皮質を標的とするからである。
【0256】
同様に、ジスキネジア(パーキンソン病、ムズムズ脚症候群および進行性核上性麻痺がその例である)は、PI−5とDIとの組み合わせを用いて治療され得る。なぜならば、これらの化学物質は、これらの疾患が発生すると考えられている基底核、黒質および黒質線条体経路を標的とするからである。
【0257】
神経変性関連疲労およびbradydinesis/アネルギー/アンヘドニア(パーキンソン病および散在性神経線維症がその例である)は、PI−5、SSRI、およびNIの組み合わせを用いて治療され得る。なぜならば、これらの化学物質は、これらの疾患が発生すると考えられている脳幹、網様体およびlocus cerruleusを標的とするからである。
【0258】
中枢性睡眠時無呼吸(ナルコレプシーがその例である)は、PI−5、SSRIおよびNIの組み合わせを用いて治療され得る。なぜならば、これらの化学物質は、これらの疾患が発生すると考えられている脳幹、網様体、縫線核、locus cerruleusならびに網様体から黒質および黒質線条体への上昇経路を標的とするからである。
【0259】
筋萎縮性側索硬化症ならびに脳神経障害および延髄性機能障害は、PI−5、SSRI、およびNIの組み合わせを用いて治療され得る。なぜならば、これらの化学物質は、これらの疾患が発生すると考えられている脳幹、縫線核、locus cerruleusおよび脳神経核を標的とするからである。
【0260】
加えて、神経変性認知症(NDD)の処置は、SSRI、CIおよびPI−5の組み合わせを用いて治療され得る。例えば、最適用量範囲は、次の通りであり得る:
PI−5(例、Cialis)=20mg〜100mg/日
SSRI(例、Luvox)=25mg〜400mg/日
CI(例、Cognex)=10mg〜160mg/日
投与量は、低いレベルで開始し、治療医師による追跡調査時に3日ごとに個別に用量設定されるべきである。
【0261】
最後に、さらなる臨床的および研究室データが利用可能になるにつれて現在および将来記載されるべき他の神経変性疾患は、PI−5を、神経解剖学的および機能的に冒された領域を標的とするために局在化される従来の神経伝達物質(単数または複数)を増大させる薬剤(単数また複数)と組み合わせることによって治療され得る。
【0262】
創傷、熱傷および瘢痕の治癒の促進および加速ならびに皮膚および粘膜の健康の維持および改善
さらに、本発明の組成物は、創傷、熱傷および瘢痕の治癒を促進および加速させるため、ならびに皮膚および粘膜の健康の維持および改善のために患者に投与され得る。例えば、本発明は、身体外観に悪影響を与える様々な疾患(アトピー、乾癬、接触皮膚炎、ざ瘡、癌、血管炎)または外傷性プロセス(外科手術、裂傷、熱傷、感染症)の処置に備える。本発明は、1つ以上のSSRIまたはCIと組み合わせたPI−5で対象を処置するステップを含む。いくつかの代表的な状態が、以下でより詳細に説明される。
【0263】
アトピー:
アトピーまたはアトピー性皮膚炎は、世界人口の大きな割合を冒している非常に一般的で、しばしば慢性の(持続性の)皮膚疾患である。この皮膚疾患は、湿疹、皮膚炎、またはアトピーとも呼ばれる。最も一般的に、これは、皮膚アレルギーまたは感受性の1種と考えられ得る。アトピー性皮膚炎の三つ組としては、喘息、アレルギー(枯草熱)、および湿疹が含まれる。この疾患には既知の遺伝要素があり、いくつかの家系においてより多く見られる。この疾患の特徴としては、発疹および痒みが含まれる。
【0264】
用語「皮膚炎」は、皮膚の炎症を意味する。「アトピー性」は、遺伝性の、家系で伝わり、しばしば一緒に生じる疾患を指す。アトピー性皮膚炎において、皮膚は、極めて痒くなり、炎症を起こし、発赤、腫脹、ひび割れ、滲出、痂皮形成、および鱗屑を引き起こす。乾燥肌は、非常に一般的な愁訴であり、典型的な発疹症状のうちのいくつかの根本原因である。
【0265】
アトピー性皮膚炎は、どの年代においても発生し得るが、最も多いのは、乳児または幼児を冒す。いくつかの例において、アトピー性皮膚炎は、成人期まで持続したり、または人生のもっと後になって実際上初めて現れたりすることが。多くの患者は、様々な上下動を伴う長期の経過を有する傾向がある。ほとんどの場合、この疾患は、増悪または拡大と呼ばれる期間があり、これに続いて、皮膚が改善または完全に治る寛解と呼ばれる期間がある。アトピー性皮膚炎のある多くの子供は、大きくなるとこの疾患の永続的な寛解に入るが、子供たちの皮膚は、若干乾燥したままであり、容易に刺激される。
【0266】
乾燥肌、季節性アレルギー、きつい石けんまたは洗剤への暴露、新しい皮膚用製品またはクリーム、ならびに寒い気候を含む、複数の要因がアトピー性皮膚炎を誘発または悪化させ得る。環境要因は、アトピー性疾患の形質を受け継いだ人の人生のいつでも、アトピー性皮膚炎の症状を活性化し得る。
【0267】
乾癬:
乾癬は、世界人口の約2〜3%および米国の約7百万人がかかっている。乾癬は、境界がはっきりした、紅斑性の鱗状のプラークを特徴とする、皮膚の慢性の炎症性の過剰増殖性疾患である。乾癬は、1つまたは2つの病変からなることがあり、あるいは無能力化関節炎または落屑を有する広範囲の皮膚疾患であり得る。乾癬の正確な病原は依然として不確定であるが、いくつかの治療選択肢がある。例えば、乾癬と戦う試みにおいてモノクロナール抗体が使用されてきたが、この処置選択肢は主に、限局性感染症とは対照的に、全身性乾癬を処置するために使用される。乾癬患者の大半が限局性乾癬しか持たないので、処置の主力は、依然として局所用薬剤の使用である。
【0268】
トリアムシノロンのような局所用ステロイドは、乾癬の治療に長年使用されてきた。乾癬の処置において局所用ステロイドは効果的である一方、その使用は、もし広範囲に使用されると、上記で記載されたものならびに皮膚アトピーまたはHPA−軸抑制のような全身性効果のような有害な副作用に関連することがある。
【0269】
接触皮膚炎:
接触皮膚炎は、異物との接触により引き起こされる皮膚の限局性の発疹または刺激作用である。多くの人において接触皮膚炎を引き起こす物質としては、ツタウルシのような「有毒」植物、特定の食品、いくつかの金属、洗浄溶液、洗剤、化粧品、香水、工業薬品、およびラテックスラバーが含まれる。
【0270】
アレルギー性および刺激性の2種類の接触皮膚炎がある。アレルギー性接触皮膚炎は、免疫系の反応に起因する。従って、アレルギー性接触皮膚炎においては、その部位において皮膚に接触した何かに対する皮膚反応がある。大半のアレルギー反応と異なり、トリガーは、内部ではなく外部である。対照的に、刺激性接触皮膚炎は、人の皮膚を直接損傷する物質との接触に起因する。工業用洗浄製品、溶媒、洗剤を含む多くの化学薬品がこの症状を引き起こし得る。
【0271】
ざ瘡:
ざ瘡は、少年および少女両方の副腎からの男性ホルモンにより刺激された脂(皮脂)腺が思春期ごろに活動的になる時に現れる。脂は、皮膚に油分を与えて保護する天然の物質であり、特定の状況の下で、表面に近い細胞が、皮脂腺の開口部を塞いで、下方での脂の蓄積を引き起こす。この脂は、細菌(だれの皮膚にも生息しており、一般的に何の問題も引き起こさない)を刺激して増殖させ、周辺組織の炎症を引き起こす。
【0272】
炎症が表面のすぐ近くであれば、膿疱になり;より深ければ丘疹(にきび)になり;さらに深ければ嚢胞になる。もし脂が,表面に顔を出せば、その結果は「稗粒腫」である。もし脂が酸化されれば(すなわち、空気中の酸素によって作用を受ければ)、脂は、白色から黒色に変化し、その結果は「黒色面疱」である。
【0273】
皮膚癌:
皮膚癌は、すべてのヒト癌の中で最も一般的である。ある形態の皮膚癌は、米国において毎年100万人以上の人々において診断される。
【0274】
癌は、正常細胞が形質転換を経る場合に生じ、この形質転換の間、正常細胞は正常な制御なしで成長および増殖する。細胞が増殖するにつれ、それらの細胞は、腫瘍と呼ばれる塊を形成する。皮膚の腫瘍は、病変と呼ばれることがよくある。
【0275】
腫瘍が悪性である場合のみ、腫瘍の制御されない成長によって腫瘍が近隣組織を浸食および浸潤するような腫瘍は癌である。腫瘍はまた、血流またはリンパ系を介して遠隔器官に転移し得る。腫瘍は、周囲組織のスペースを浸食し、周囲組織が生存および機能するために必要とする酸素および栄養を奪うことによって、それらの周囲組織を圧倒する。
【0276】
皮膚癌には、以下の3つの主要なタイプがある:基底細胞癌(BCC)、扁平上皮細胞癌(SCC)、および黒色腫。
【0277】
皮膚癌の大部分は、BCCまたはSCCである。悪性である一方、これらは、身体の他の部分に拡がる可能性は少ない。それらは、もし早期に処置されなければ、局所的に外観を損なうことがある。
【0278】
少数ではあるがかなりの数の皮膚癌が、悪性黒色腫である。悪性黒色腫は、身体の他の部分に広がる傾向がある非常に攻撃的な癌である。これらの癌は、もし早期に処置されなければ、致命的になり得る。
【0279】
多くの癌と同様に、皮膚癌は、前癌性病変として始まる。これらの前癌性病変は、癌ではないが経時的に癌になり得る皮膚内の変化である。
【0280】
血管炎:
血管炎は、血管の炎症を特徴とする一群のまれな疾患についての一般用語である。身体の血管は血管系と呼ばれる。血管は、酸素を多く含む血液を身体の組織に運ぶ動脈と、酸素を使い果たした血液をその組織から酸素を求めて肺に運ぶ静脈とで構成される。血管炎は、様々な血管壁における炎症および血管壁への損傷を特徴とする。
【0281】
血管炎疾患の各々は、血管関与、特定器官関与、および実験室試験異常の分布の一定のパターンにより定義される。1つの群として、これらの疾患は、血管炎と呼ばれる。
【0282】
これらの血管炎疾患の実際の原因は通常知られていない。しかしながら、血管の免疫系異常および炎症が共通した特徴である。血管炎の各形態は、それ自体の症状の特徴的なパターンを有しており、その多くは、どの特定器官が冒されているかによる。
【0283】
血管炎の例としては、川崎病、ベーチェット病、結節性多発性動脈炎、ウェゲナー肉芽種症、クリオグロブリン血症、高安動脈炎、チャーグ−ストラウス症候群、巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)、およびヘノッホ−シェーンライン紫斑病が含まれる。
【0284】
外傷性プロセス(外科手術、裂傷、熱傷、感染症)
瘢痕形成は、外傷後の治癒プロセスの自然な部分である。創傷または切開の深さおよびサイズならびに外傷の位置のような様々な要因が、皮膚がどのように瘢痕を残して治るかについて影響する。加えて、年齢、遺伝、性別および民族性が、人の皮膚が創傷および瘢痕にどのように反応するかに影響する。
【0285】
これらは、瘢痕のいくつかの異なるタイプである。ケロイド瘢痕は、過度に攻撃的な治癒プロセスの結果である。これらの瘢痕は、元の外傷を越えて拡張する。時間が経つと、ケロイド瘢痕は可動性に影響することがある。考え得る処置としては、外科的除去、またはステロイド注射が含まれる。より小さいケロイドは、冷凍手術(液体窒素を使用する凍結療法)を用いて処置できる。ひとたび外傷を受けたら、加圧処置またはシリコーンを使用したゲルパッドを用いることにより、ケロイド形成は防止され得る。
【0286】
痙縮瘢痕は、皮膚が張りつめて、移動能力を損なう皮膚熱傷に起因する。特定の場合、このタイプの瘢痕は、より深くまで達して筋肉および神経を冒す。
【0287】
肥厚性瘢痕がつくられ、ケロイドに類似するが外傷部位の境界は破らない赤い瘢痕がつくられる。
【0288】
3つの組み合わせた薬物の治療レベルは、人ごとにおよび障害ことに変わる。粘液−皮膚系のいずれか特定の熱傷、瘢痕、創傷、疾患または障害をも処置するのに効果的な適切な量および間隔のSSRI、CIおよびPI薬剤の組み合わせは必然的に、家庭医、皮膚科医、内科医または神経科医によって臨床的および化学的双方で監視される。この製剤は最終的に、毎日与えられる組み合わせピル、1日用または1週間用パッチ、長期注射、あるいはインプラントの形態をとり得る。
【0289】
代表的な最適用量範囲は以下の通りである:
PI−5(例、Cialis)=5mg〜80mg/日
SSRI(例、Luvox)=12.5mg〜400mg/日
CI(例、Cognex)=5mg〜60mg/日
一般に、最適用量間隔(経口調剤)は、以下の通りである:
SSRI=1×〜4×/日
PI=1×〜4×/日
CI=1×〜4×/日
投与量は、低いレベルで開始し、治療医師による追跡調査時に3日ごとに個別に用量設定されるべきである。患者の安全を最大限保証するため、監視は、肝臓および腎臓機能についての血液検査、ならびに個別の薬物を投与する場合の現行の標準治療通りに電解質レベルも含むべきである。加えて、EKGおよびおそらくトレッドミル検査を含む徹底的な理学的検査が、処置開始前に実行されるべきである。図1は、提示された方法論のフローチャートを示す。神経再生、複製および可塑性が選択的に生じて寛解それどころか治癒の見込みがあれば、使用が延びるにつれて用量を低減させることが必要になることもある。
【0290】
上記の例の各々において、PI−5は、標的とされたシナプス中の一酸化窒素レベルを増大させ、2次メッセンジャーc−GMPを増大させるように作用する。結果として生じる増大させられたc−GMPは、関連する従来の神経伝達物質と協調して、遠心性ニューロン受容体タンパク質および他の構造に作用して受容体の活性を正しく調整する。この正しい調整は、欠陥ニューロンシナプス活性化を改善し、ニューロン再生および可塑性ももたらし得る。
【0291】
上記の議論は、本発明の組み合わせについてのごく潜在的な作用機序のごく一部に焦点を当てたものであり、本発明自体は、薬学的組成物ならびに、一方の薬剤がc−GMPのシナプス濃度を増大させ他方の薬剤(単数または複数)がヒト脳の標的領域(単数または複数)において作用することが知られている従来の神経伝達物質(単数または複数)のシナプス濃度(単数または複数)を増大させるこれら2つ以上の薬剤の投与からなる処置計画に関する。
【0292】
患者の安全を最大限保証するため、監視は、肝臓および腎臓機能についての血液検査、ならびに個別の薬物を投与する場合の現行の標準治療通りに電解質レベルも含むべきである。加えて、EKGおよびおそらくトレッドミル検査を含む徹底的な理学的検査が、処置開始前に実行されるべきである。神経再生、複製および可塑性が選択的に生じて寛解それどころか治癒の見込みがあれば、あるいは疾患が増悪しているのであれば、使用が延びるにつれて用量を修正することが必要になることもある。図1は、提示された方法論のフローチャートを示す。神経再生、複製および可塑性が選択的に生じて寛解それどころか治癒の見込みがあれば、使用が延びるにつれて用量を低減させることが必要になることもある。
【0293】
選ばれた実際の投与計画にかかわらず、治療有効レベルは、顕著な副作用は引き起こさないが、神経学的障害の症状は最小限に抑えるレベルであるべきである。現行の処置計画の状況からすると、このレベルは、改善が見られはじめるが、改善がピークに達して最大になる投与量レベルであるべきではない。この投与量は時間の経過につれて変わり得るが、例えば、分布容積、腎臓および肝臓機能、体重、および根底にある疾患の変化を含む患者の身体的状態の変化を主として反映すべきである。
【0294】
キット:
本発明の方法を実施するためのキットも提供される。本発明のキットは、含まれる構成要素に関して大きく変わり得る。本発明のキットは少なくとも、分離した別個の剤形のPI−5と1つ以上のSSRI、SNRI、CI、DI、またはOIとの組み合わせ、およびその使用指示を含む。
【0295】
特定の実施形態において、本発明のキットは、神経変性疾患を処置するために、あるいは創傷、熱傷および瘢痕の治癒を促進またはを容易にし、皮膚および粘膜の健康を維持および改善するために患者が薬物投与を実行するための指示を含む。指示は、適切な記録媒体上または基材上に記録されてもよい。例えば、指示は、紙またはプラスチック等の基材上に印刷されてもよい。従って、指示は、キット中でパッケージ挿入物として、キットの容器またはその構成要素(すなわち、包装またはサブ包装と関連したもの)のラベリング中等に存在してもよい。他の実施形態において、指示は、適切なコンピュータ可読記憶媒体、例えば、CD−ROM、ディスケット等の上に存在する電子ストレージデータファイルとして存在する。さらに他の実施形態において、実際の指示はキット中には存在しないが、指示を遠隔ソースから、例えば、インターネットを介して入手するための手段が提供される。この実施形態の例は、指示を閲覧できるおよび/または指示をダウンロードできるウェブアドレスを含むキットである。指示と同様、指示を得るためのこの手段は、適切な基材上に記録される
無菌状態を維持するため、本発明のキットのいくつかまたはすべての構成要素は、適切な包装中に包装されてもよい。本発明のキットの多くの実施形態において、キットの構成要素は、単一の取扱容易なユニットを作るためにキット収納部材中に包装され、キット収納部材、例えば、箱または同様の構造体は、キットの構成要素のいくつかまたはすべての無菌状態をさらに保存するために気密容器であってもよいし、そうでなくてもよい。特定の態様において、本発明のキットは、放出制御剤形の密封パッケージを含み、この剤形は、分離した別個の剤形のPI−5と1つ以上のSSRI、SNRI、CI、DI、またはOIとの組み合わせ、およびその使用指示を提供する。
【0296】
本発明は、限定的と解釈されるべきでない以下の実施例によりさらに説明される。本出願全体にわたって引用されたすべての参考文献、特許および特許出願公開の内容は、参照により本明細書中に組み込まれる。
【実施例】
【0297】
(実施例1)
パーキンソン病に続発した中等度のNDDがある58歳白人男性に、PI−5、SSRI、およびCIの組み合わせを投与した。患者は、パーキンソン病を約12年間患っており、顕著な合併症は皆無である。患者は、体重210ポンドで、ボディマスインデックス(bmi)は、0.20であった。患者には、最近7ヶ月間で、分析能力、数学的能力、創造性および組織的技能の低下と組み合わされた、失行症、運動緩慢ならびに短期および中期の視覚および音声記憶の喪失の中等度の進行を伴う身体症状の進行があった。最初の試験を腎機能および肝機能について実行した。腎機能試験は、1.0のクレアチニンレベルを示し、肝機能試験(LFT)、どちらも正常範囲内であった。認知症についての基準としての精密検査は、CBC、SMAC、UA、EKG、CXR、MRI脳(ガドリニウムなし)、梅毒検査、AIDS試験、パルスoximitry、沈降速度、甲状腺機能テストおよびB−12レベルを含む
L−ドーパ(Sinemet)の初期治験のみ、一過性の成功ならびに強剛および振戦の軽度の変化という結果になり、続いて穏やかに悪化した。Cognexとアスピリンの別の治験では、認知症における変化は皆無という結果になった。以下の表1に示してあるLuvoxおよびCialisの投与計画の4週間後、評価した認知症において20パーセントの改善が観察された。以下の表1に示されるLuvox、CialisおよびCognexの投与計画のさらに1週間後、評価した認知症において95パーセントの改善が観察された。このレベルの改善は、臨床的にも化学的にも顕著な副作用なしで10ヶ月間、顕著な『オン/オフ』なしで持続された。
【0298】
【表1】

上記は、選ばれた薬剤による効果的な用量を提供するが、半減期および他の特性の選択に応じて、同様の用量設定技術を用いて現行および将来のSSRI、CIおよびPI−5薬剤と他の組み合わせをする場合は同等の用量を当業者が確立できるはずであることが理解されなければならない。
【0299】
(実施例2)
第2の対象は、57歳のときに非特異性であるが急速に進行する多系統神経変性疾患と診断された。臨床的進行およびさらなる診断知見は、皮質延髄疾患を伴う前頭側頭型認知症を示唆している。初期症状は、突発性認知症を伴い、3〜4ヶ月にわたり急速に進行した。運動失調、dyspahagia、中枢および末梢呼吸困難(要CPAP)、眩暈、および運動不足強剛を伴う高振幅の重篤な全身性ミオクローノスが1ヶ月ほど続き、認知症と同様に進行し続けた。
【0300】
患者は、局所および経口抗生物質に対し反応があった軽度の顔面ざ瘡を約10年間患っており、指に白斑があり、30年前の化学熱傷に続発した左上腿部の萎縮性色素脱失の4×4cmの瘢痕が1つあった。歯列からの縮退による最小限の外科的介入を必要とする軽度の断続的歯肉感染症が10年以上ある。
【0301】
患者についての精密検査は、以下の知見を含んでいた:
・ 1/MRI脳×2(発症/20ヶ月後)造影なし−正常範囲内
・ 2/SPECT(疾患経過20ヶ月)薬剤使用−正常範囲内
・ 3/睡眠検査(疾患経過24ヶ月)薬剤使用なし−頻繁な中枢および末梢性呼吸低下エピソードを伴い著しく異常、酸素飽和度80〜90%に悪化
・ 4/アポリポタンパク質eについて陽性の対立遺伝子4,5
・ 5/KCNC3変異体(運動失調についての主要な優性遺伝子座決定因子)について陽性の血清アッセイ
・ 6/高ホモシステイン−25。
【0302】
患者は、非喫煙者であり、アルコールも他の薬物も全く摂取していなかった。患者は、以前からの病気である慢性心房細動を併発しており、これは現在、運動単独およびクマジンによる断続的な抗凝固によりレートコントロールされている。
【0303】
養護老人ホームでの転倒に起因する合併症により62歳で亡くなった父親についてポジティブな家族歴がある。主要皮膚障害の癌の家族歴は皆無である。父母は両方とも、歯肉感染症およびcarries両方に伴って複数回抜歯し、その後の入れ歯を必要とした。父親の当時の診断は末期パーキンソン病であった。ドーパミンアゴニストの複数の投薬計画、外側基底核の冷凍手術切除に対する反応は乏しかった。
【0304】
患者を初めに、Sinemet、Cognex(コリンエステラーゼ阻害剤、)Luvox(SSRI)、CialisおよびViagra(ホスホジエステラーゼ5阻害剤)により個別に処置したところ、神経学的疾患、皮膚および粘膜障害に対するどのような臨床反応もなかった。しかしながら、ホスホジエステラーゼ5阻害剤と、CognexまたはLuvoxのいずれか一方あるいはその両方との組み合わせは、すべての神経学的症状および皮膚障害における劇的な改善をもたらした。生来の歯から分離していた粘膜減退も改善された。本患者の瘢痕は引き起こされなかった。
【0305】
患者は、ホスホジエステラーゼ5阻害剤、SSRI、およびコリンエステラーゼ阻害剤の組み合わせを経口摂取した場合に、粘膜皮膚系においてさらにneurologicxallyに最大の改善が認められた。粘膜皮膚疾患において90%改善が認められ、処置過程の間維持された。すべてのパラメータにおいて各薬剤の効果が20分以内に認められ、最大反応は、各薬剤の3用量以内で見られた。Cialis−5mg経口TID、Cognex−10mg経口TID、Luvox−100mg経口TIDを用いた場合に、本質的に副作用のない最適組み合わせが認められ、20ヶ月間維持された。7.5ccの水溶液に入れた24時間用量も、前に言及した瘢痕に局所的に適用した。10パーセントの瘢痕退縮が1週間で認められ、95%の瘢痕消散および視覚的に正常な組織による入れ替えが2ヶ月で生じた。Ekg、CBC、UA、LFT、腎機能、カルシウム、TFTは、疾患発症時および経口薬剤を用いた4ヶ月の経過観察において正常なままであった。通常のグルコースによりまれに口渇が認められた。時々の前頭部痛は、低用量経口Tylenolにより速やかに軽減された。Viagraは、50mgTIDの用量で経口Cialisと等しく置き換えられる。Paxilは、20mgTIDの用量でLuvoxと等しく置き換えられる。患者は、1日あたり葉酸1mgおよびビタミンB6も摂取する。慢性的投薬を打ち切るための試みを繰り返したが、5日以内に神経学的および粘膜皮膚的な異常の再発という結果になった。
【0306】
(実施例3)
第3の対象は、非定型パーキンソン病と診断され、最初の発症は15年前であり、低振幅の歯車様散在性振戦、散在性筋強剛、軽度の運動緩慢、歩行異常があった。患者はまた、25年以上にわたって重い脂漏性皮膚炎および瘢痕が残る顔面酒さ性ざ瘡を患っており、局所および経口の抗生物質に対して最小限の反応しか認められなかった。すべての症状は、すべての症状および徴候において高重症度の現在の状態まで緩やかに進行した。重要な精密検査には、以下のものが含まれていた:
・ 1/MRI脳(造影なし)×2/発症後3年、15年後)−正常範囲内
・ 2/PET脳(同位元素不明/疾患から10年)−皮質に対称性異常(この時点でさらなる詳細は入手不可)
・ 3/血圧低下ならびにrigiidityおよび振戦の悪化を伴う逆説的反応。
【0307】
患者は、非喫煙者、社交的飲酒者で、アルコール摂取は最小限であり、薬物乱用歴は皆無である。慢性的な境界域高血圧の問題(食事制限およびHytrinにて処置)、良性前立腺異常肥大(Hytrinおよびvodingトレーニングにて処置)、GERDについては必要に応じてPrilosecに加えPepcidにより短期間処置、頸椎および腰椎のDJDについては、理学物理療法、Tylenol、必要に応じて補助的にVicodenを用いて処置。
【0308】
患者は、低用量アマンタジンで慢性的に処置されたが、すべての症状の改善はほとんどないか皆無であった。脂漏性皮膚炎または酒さ性ざ瘡の変化は皆無であった。
【0309】
当初2つの別個の機会にSinametおよびMirapexで処置したところ、患者は、すべての神経学的症状について軽度の悪化を示した。9ヶ月前、患者は、Cialis(ホスホジエステラーゼ5阻害剤)とLuvox(SSRI)との組み合わせおよびCognex(コリンエステラーゼ阻害剤)とアマンタジンとの組み合わせを用いた処置を開始した。20分で神経学的症状における改善が患者により主観的に認められ、3服用後に最大の改善が認められた。ホスホジエステラーゼ5阻害剤なしでは、いずれの薬物を個別に用いても、または上記の薬物のいずれの組み合わせを用いても、改善はまったく生じなかった。
【0310】
3日目に脂漏性皮膚炎の軽度の改善が認められ、10日目に酒さ性ざ瘡の軽度の改善が認められた。以下の連続的用量で、すべての神経学的および粘膜皮膚的問題が最大限に改善:Cognex−10mg経口TID/Luvox−100mg経口TID/Cialis−30mg経口TID/その他は処置前と同様。
【0311】
患者は、9ヶ月間の処置の間、すべての症状において80%改善を維持した。抗生物質による処置なしで脂漏性皮膚炎は95%消散し、酒さ性ざ瘡は80%消散した。ベースラインおよび4ヶ月ごとのekg、CBC、LFT、カルシウム、BUN、CXRは正常なままであった。時折吐き気が生じたが、PrilosecおよびPepcidの短期処置により、数時間以内で消散した。
【0312】
(実施例4)
第4の対象は、パーキンソン病と診断され、PI−5、SSRI、およびDIの組み合わせを投与された。初期症状は、右手の非対称性の振戦および全身性の硬直であった。20年にわたる遅い進行には、重篤な散在性歯車様強剛、散在性丸薬丸め振戦、小声症を伴う重篤な運動緩慢、重篤な歩行異常による本質的な運動不能、仮面様顔貌が含まれる
精密検査には以下のものが含まれていた:
・ 1/CT脳(造影なし/疾患の発症)−正常範囲内 4/頚動脈二重(4年前)−−正常範囲内 2/MRI脳(造影なし/疾患から10年)−正常範囲内 3/TSH 6.5に最小限に上昇したが、正常T3/T4 4/コレステロール 210に緩やかに上昇、LDL160。断続的にスタチンにて処置、それぞれ160、120に減少。
【0313】
患者は、年にタバコ15箱を喫煙するが、20年には到らない。アルコールはまったく嗜まず、違法な薬物乱用もない。医学的問題としては、喘息が含まれ、軽症につき吸入Bアゴニストのみで処置。右手背の基底細胞癌は局所的に首尾よく切除され、再発はなかった。
【0314】
患者は、慢性的なSinametの投与を続け、当初は強剛に軽度の反応があった。
【0315】
患者は後に、短期間、Mirapex、Bromocriptineを疾患に試みたが、顕著な変化はなかった。6ヶ月前、患者は、Sinametに加えて、Luvox(SSRI)、Cialis(ホスホジエステラーゼ5阻害剤)による処置を開始した。すべての薬剤の摂取1時間以内に最初の改善が認められ、4服用時に最大の改善があった。Cialisが含まれない限り、上記の薬物のどの組み合わせによっても変化はまったく認められなかった。
【0316】
最大限の改善、すなわちすべての症状における約80パーセントの改善)は、その後の投薬計画において生じ、6ヶ月間持続された。Luvox−1日400mg経口、3分割投与/Cialis−1日20mg経口、3分割投与/その他は、以前の通り。Cognex(コリンエステラーゼ阻害剤)は、上記の投薬計画に加えられた場合に、すべての症状において軽度の改善を引き起こしたが、胃腸の不調に伴い中断されたことに留意されたい。
【0317】
上記と同じく顕著な副作用は皆無であり、ベースライン、処置1ヶ月、および処置5ヶ月において、BC、クレアチニン/LFT/TSH/ekg/cxr/カルシウムは正常であった。なお、慢性の酒さ性ざ瘡の80%消散が認められた。
【0318】
(実施例5)
第5の対照は、アルツハイマー病および認知症と診断され、PI−5、SSRIおよびCIの組み合わせを投与された。短期健忘症を伴う初期表出。15年にわたる進行の結果、短期および中期記憶、実行機能、意思決定等の喪失を伴う重篤な認知症に至った。患者は、アルツハイマー病養護老人ホームに入院措置され、断続的な下尿道閉塞および慢性的な抑制性抗生物質を必要とする断続的で再発性の下部尿路感染症のための失禁に伴い、留置フォーリーカテーテルを用いた。4年前、栄養障害、嚥下障害に伴いPEG栄養チューブを設置。
【0319】
重要な過去の精密検査は以下のものを含む:
・ 1/CT頭部(IV造影なし/12年前)−正常範囲内 2/頚動脈二重(6年前)−軽度、非閉塞性プラークR内部頚動脈
・ 3/腰椎穿刺(4年前、熱性混乱時)−正常範囲内。
【0320】
患者は、喫煙または違法薬物の乱用もしなかった。患者は、中程度に多量のアルコールを摂取したが、約34年間には到らない(合併症の記録なし)。
【0321】
患者は、当初はCognex(コリンエステラーゼ阻害剤)、後にAriceptが投与されたが、顕著な臨床状態変化はなかった。7ヶ月前、患者は、Luvox(SSRI)およびCialis(ホスホジエステラーゼ5阻害剤)に加えてCognexの摂取を再開した。最大治療が始まって2週間に到るまで、顕著な変化はまったく認められなかった。すべての症状において緩やかな改善が6週間にわたり生じ、ベースラインの約45パーセントに達した。患者は現在、経管栄養を続けているが、経口で液体および固体を摂取している。加えて、フォーリーカテーテルは中断されている。
【0322】
患者には中等度の認知症がまだ有るが、短期記憶が改善された。患者は、短い単音節文を話し、言葉による刺激に適切に反応する。家族は患者を実家に連れ帰り、家庭看護師の訪問および理学療法サービスを受けている。
【0323】
どの単独薬剤も、ホスホジエステラーゼ5阻害剤を含まないどの薬剤の組み合わせを用いても、改善はまったく認められなかった。最大の改善は、以下の投薬により6ヶ月間維持されている。
【0324】
Cognex−1日90mg、3分割投与/Luvox−1日400mg、3分割投与/Cialis−1日20mg、2分割投与)。
【0325】
顕著な副作用はまったく生じておらず、ekg、CBC、BUN、Cr、TSH、カルシウム、LFTは、正常範囲内に留まっている。2週間の間、Ariceptは、顕著な変化なしでCognexとうまく置き換えられた。
【0326】
均等物:
当業者は、定常的な実験のみを用いることにより、本明細書中に記載される特定の手順の多くの均等物を認識するか、または確かめることができるであろう。そのような均等物は、本発明の範囲内にありかつ特許請求の範囲によりカバーされると見なされる。特許請求の範囲によって定義されるような本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、様々な代用、調整、および変更を本発明に対して行い得る。他の態様、利点、および変更は、本発明の範囲内にある。本出願全体を通して引用されたすべての参考文献、発行された特許、公開された特許出願の内容は、参照により本明細書中に完全に組み込まれる。それらの特許、特許出願、および他の文献の適切な構成要素、プロセス、および方法は、本発明および本発明の実施形態のために選ばれ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における神経変性疾患を処置するための組成物であって:少なくとも1つのホスホジエステラーゼ−5阻害剤を、以下の薬剤のうちの1つ以上と組み合わせて含む組成物:
選択的セロトニン再取り込み阻害剤;
セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤;
コリンエステラーゼ阻害剤;
ドーパミンアゴニスト;または
アミノ酸、モノアミン、神経ペプチドおよびシナプス間隙における一次神経伝達が可能な他の薬剤から選ばれる他の神経伝達物質の化学濃度を増大させるのに適切な薬剤。
【請求項2】
タダラフィル、バルデナフィルおよびシルデナフィルからなる群から選ばれる少なくとも1つのホスホジエステラーゼ−5阻害剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
フルボキサミン、パロキセチン、シタロプラム、セルトラリンおよびパロキセチンからなる群から選ばれる少なくとも1つの選択的セロトニン再取り込み阻害剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
レボキセチン(reboxatine)、ベンラファキシンおよびデュロキセチンからなる群から選ばれる少なくとも1つのセロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
タクリンおよびドネペジルからなる群から選ばれる少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
ブロモクリプチン、カルビドパ/レボドパおよびプラミペキソールからなる群から選ばれる少なくとも1つのドーパミンアゴニストを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
他の神経伝達物質の前記化学濃度を増大させるために適切な前記薬剤が、エピネフリン、ノルエピネフリン、ドーパミン、セロトニン、メラトニン、グルタミン酸、ガンマアミノ酪酸、アスパラギン酸、グリシン、アデノシン、ATP、GTP、バソプレシン、ソマトスタチン、ニューロテンシン、黄体化ホルモン、インスリン、ヒスタミン、一酸化窒素、一酸化炭素、アセチルコリン、オクトパミン、チラミン、ガストリン、コレシストキニン、オキシトシン、ニューロフィジンI、ニューロフィジンII、神経ペプチドY、膵臓ポリペプチド、ペプチドYY、コルチコトロピン、ダイノルフィン、エンドルフィン、エンケファリン、セクレチン、モチリン、グルカゴン、血管作用性腸管ペプチド、成長ホルモン放出因子、ニューロキニンA、ニューロキニンB、サブスタンスP、ボンベシン、ガストリン放出ペプチド、およびアナンダミドからなる群から選ばれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記薬剤が個々に投与される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記薬剤が以下のものから選ばれる組み合わせ形態である、請求項1に記載の組成物:
週1回パッチ;
月1回パッチ;
長期注射;
組み合わせピル;および
インプラント。
【請求項10】
対象における神経変性疾患を処置するための組成物の製造におけるホスホジエステラーゼ−5阻害剤(PI−5)の使用であって、該組成物が、以下の薬剤のうちの1つ以上をさらに含む、使用:
選択的セロトニン再取り込み阻害剤;
セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤;
コリンエステラーゼ阻害剤;
ドーパミンアゴニスト;または
アミノ酸、モノアミン、神経ペプチドおよびシナプス間隙における一次神経伝達が可能な他の薬剤から選ばれる他の神経伝達物質の化学濃度を増大させる任意の適切な薬剤。
【請求項11】
前記薬剤が、別々に投与されるように製剤化される、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
前記薬剤が、同じ組成物中で投与されるように製剤化される、請求項10に記載の使用。
【請求項13】
前記神経変性疾患が、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン的特徴を伴う前頭側頭型認知症、進行性核上性麻痺、本態性ジスキネジア、または認知症である、請求項10に記載の使用。
【請求項14】
前記疾患がアルツハイマー病である、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記疾患がパーキンソン病である、請求項13に記載の使用。
【請求項16】
前記疾患が多発性硬化症である、請求項13に記載の使用。
【請求項17】
前記疾患が筋萎縮性側索硬化症である、請求項13に記載の使用。
【請求項18】
前記疾患がパーキンソン的特徴を伴う前頭側頭型認知症である、請求項13に記載の使用。
【請求項19】
前記疾患が進行性核上性麻痺、本態性ジスキネジアまたは認知症である、請求項13に記載の使用。
【請求項20】
前記疾患が本態性ジスキネジアまたは認知症である、請求項13に記載の使用。
【請求項21】
前記疾患が認知症である、請求項13に記載の使用。
【請求項22】
ホスホジエステラーゼ−5阻害剤と、以下の薬剤:
選択的セロトニン再取り込み阻害剤;
セロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤;
コリンエステラーゼ阻害剤;
ドーパミンアゴニスト;または
アミノ酸、モノアミン、神経ペプチドおよびシナプス間隙における一次神経伝達が可能な他の薬剤から選ばれる他の神経伝達物質の化学濃度を増大させるのに適切な薬剤
のうちの1つ以上との包装された組み合わせを含むキットであって、各薬剤が別々の個別の剤形で製剤化され、該キットがその使用のための指示をさらに含む、キット。
【請求項23】
対象における神経変性認知症を処置するための製剤の製造におけるホスホジエステラーゼ−5阻害剤の使用であって、該組成物が以下の薬剤のうちの少なくとも1つをさらに含む、使用:
選択的セロトニン再取り込み阻害剤;または
コリンエステラーゼ阻害剤。
【請求項24】
前記ホスホジエステラーゼ−5阻害剤がタダラフィルである、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
前記組成物がフルボキサミンを含む、請求項23に記載の使用。
【請求項26】
前記組成物がタクリンを含む、請求項23に記載の使用。
【請求項27】
前記タダラフィルが20mg〜100mg/日の範囲の用量である、請求項24に記載の使用。
【請求項28】
前記フルボキサミンが25mg〜400mg/日の範囲の用量である、請求項25に記載の使用。
【請求項29】
前記タクリンが10mg〜160mg/日の範囲の用量である、請求項26に記載の使用。
【請求項30】
対象における損傷を受けた皮膚を処置するための組成物であって、少なくとも1つのホスホジエステラーゼ−5阻害剤を、以下の薬剤のうちの1つ以上と組み合わせて含む、組成物:
選択的セロトニン再取り込み阻害剤;または
コリンエステラーゼ阻害剤。
【請求項31】
タダラフィル、バルデナフィルおよびシルデナフィルからなる群から選ばれる少なくとも1つのホスホジエステラーゼ−5阻害剤を含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
フルボキサミン、フルオキセチン、シタロプラム、セルトラリンおよびパロキセチンからなる群から選ばれる少なくとも1つの選択的セロトニン再取り込み阻害剤を含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項33】
タクリンおよびドネペジルからなる群から選ばれる少なくとも1つのコリンエステラーゼ阻害剤を含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項34】
前記薬剤が個々に投与される、請求項30に記載の組成物。
【請求項35】
前記薬剤が以下のものから選ばれる組み合わせ形態である、請求項30に記載の組成物:
週1回パッチ;
月1回パッチ;
長期注射;
組み合わせピル;または
インプラント。
【請求項36】
対象における皮膚損傷処置を促進または加速させるための薬剤の製造におけるホスホジエステラーゼ−5阻害剤の使用であって、組成物が、以下の薬剤のうちの少なくとも1つ以上をさらに含む、使用:
選択的セロトニン再取り込み阻害剤;または
コリンエステラーゼ阻害剤。
【請求項37】
前記薬剤が、別々に投与されるように製剤化される、請求項36に記載の使用。
【請求項38】
前記薬剤が、同じ組成物中で投与されるように製剤化される、請求項36に記載の使用。
【請求項39】
前記皮膚損傷が、アトピー、乾癬、接触皮膚炎、ざ瘡、癌、または血管炎である、請求項36に記載の使用。
【請求項40】
前記皮膚損傷がアトピーである、請求項36に記載の使用。
【請求項41】
前記皮膚損傷が乾癬である、請求項36に記載の使用。
【請求項42】
前記皮膚損傷が接触皮膚炎である、請求項36に記載の使用。
【請求項43】
前記皮膚損傷がざ瘡である、請求項36に記載の使用。
【請求項44】
前記皮膚損傷が癌である、請求項36に記載の使用。
【請求項45】
前記皮膚損傷が血管炎である、請求項36に記載の使用。
【請求項46】
前記皮膚損傷が外傷性プロセスの結果である、請求項36に記載の使用。
【請求項47】
前記外傷性プロセスが、外科手術、裂傷、熱傷または感染症から選ばれる、請求項46に記載の使用。
【請求項48】
前記外傷性プロセスが外科手術である、請求項47に記載の使用。
【請求項49】
前記外傷性プロセスが裂傷である、請求項47に記載の使用。
【請求項50】
前記外傷性プロセスが熱傷である、請求項47に記載の使用。
【請求項51】
前記外傷性プロセスが感染症である、請求項47に記載の使用。
【請求項52】
ホスホジエステラーゼ−5阻害剤と、以下の薬剤:
選択的セロトニン再取り込み阻害剤;または
コリンエステラーゼ阻害剤と、
のうちの1つ以上との包装された組み合わせを含むキットであって、各薬剤が別々の個別の剤形で製剤化され、該キットがその使用のための指示をさらに含む、キット。
【請求項53】
対象における皮膚損傷を処置するための組成物の製造におけるホスホジエステラーゼ−5阻害剤の使用であって、該組成物が以下の薬剤のうちの1つ以上をさらに含む、使用:
選択的セロトニン再取り込み阻害剤;または
コリンエステラーゼ阻害剤。
【請求項54】
前記ホスホジエステラーゼ−5阻害剤がタダラフィルである、請求項53に記載の使用。
【請求項55】
前記選択的セロトニン再取り込み阻害剤がフルボキサミンである、請求項53に記載の使用。
【請求項56】
前記コリンエステラーゼ阻害剤がタクリンである、請求項53に記載の使用。
【請求項57】
前記タダラフィルが5mg〜80mg/日の範囲の用量である、請求項54に記載の使用。
【請求項58】
前記フルボキサミンが12.5mg〜400mg/日の範囲の用量である、請求項55に記載の使用。
【請求項59】
前記タクリンが5mg〜60mg/日の範囲の用量である、請求項56に記載の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2010−527928(P2010−527928A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508459(P2010−508459)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/006467
【国際公開番号】WO2008/144061
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(500197741)ヴィヴァス・インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】