説明

ホスホン酸エステルで変性したオルガノシロキサンの製造方法

本発明は、式[(RO)3−fSiCRP(O)(OR] (III)のシラン少なくとも1つと一般式(RSiO2/2(RSiO1/2[O1/2H] (IV)のケイ素化合物少なくとも1つとの反応[前記式中、Rは水素、又は場合により−CN又はハロゲン原子で置換したC〜C20−炭化水素残基を表し、かつmは1又は2の整数を表し、R、R、R、R、R、m、p、q、f及びsは、請求項1に挙げた意味を有する]によりホスホン酸エステルで変性した有機ケイ素化合物の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホスホン酸エステル基含有シランと反応性のケイ素化合物との反応による、ホスホン酸エステルで変性した有機ケイ素化合物の製造方法に関する。
【0002】
ホスホン酸エステルで変性したシリコーンは、多数の分野にとって大きな経済的興味をひく。例えばこれは、金属及びテキスタイルに対する滑剤、防炎添加剤、接着促進剤、化粧品又は洗剤のための添加剤、消泡剤、離型剤、ダンピング液、伝熱のための液体、帯電防止剤として、又は仕上げ及び被膜のために使用されてよい。
【0003】
リンで変性したシロキサンは一般的にトリアルキルホスフィットとクロロプロピル変性したシロキサンの反応により示され、例えばGallagher et al.,J.Polym.Sci.Part A,41巻,48−59(2003)に記載されている。不幸にも前記反応の際には長い反応時間及び高温が必要であり、これはこの生成物中で転位を引き起こし、これにより収率損失並びに不所望の副生成物が生じる。
【0004】
トリアルキルホスフィットとクロロメチルで変性したシロキサンの反応は、例えば特許公報US 2,768,193又は Gallagher et al.により記載されているように、明らかにより速く進むものの、製造されたシロキサンがその高い融点のために蒸留により精製されることが困難である欠点を有する。しかしこの反応もゆっくりと進行し、というのは前記反応基の濃度は、非反応性のジメチルシロキシ単位での希釈により強力に減少されるからであり、これにより反応時間は数時間の範囲となる。
【0005】
本発明に基づく課題は、市販で入手可能な化学薬品から出発して、ホスホン酸エステルで変性したオルガノシロキサンを、可能な限り単純に、短い反応時間で、かつ高収率で製造可能である、ホスホン酸エステルで変性したオルガノシロキサンの製造方法を提供することである。
【0006】
本発明の対象は、一般式
(RSiO2/2(RSiO1/2[O1/2H][(Of/23−fSiCRP(O)(OR (I)
[前記式中、
Rは水素原子、又は一価の、場合により−CN、−NCO、−NR、−COOH、−COOR、−ハロゲン、−アクリル、−エポキシ、−SH、−OH又は−CONRで置換したSi−C−結合したC〜C20−炭化水素残基又はC〜C15−炭化水素オキシ残基であり、前記残基中ではそのつど1つ又は複数の、相互に隣接しないメチレン単位が、基−O−、−CO−、−COO−、−OCO−又は−OCOO−、−S−又は−NR−により置き換えられていてよく、かつ前記残基中では1つ又は複数の、相互に隣接しないメチン単位が、基−N=、−N=N−又は−P=により置き換えられていてよく、
は水素原子、又は一価の、場合により−CN、−NCO、−COOH、−COOR、−ハロゲン、−アクリル、−SH、−OH又は−CONRで置換したSi−C−結合したC〜C20−炭化水素残基又はC〜C15−炭化水素オキシ残基であり、前記残基中ではそのつど1つ又は複数の、相互に隣接しないメチレン単位が、基−O−、−CO−、−COO−、−OCO−又は−OCOO−、−S−又は−NR−により置き換えられていてよく、かつ前記残基中では1つ又は複数の、相互に隣接しないメチン単位が、基−N=、−N=N−又は−P=により置き換えられていてよく、
は水素原子、又は場合により−CN又はハロゲンで置換したC〜C20−炭化水素残基、
は水素原子、又は場合により−CN又はハロゲンで置換したC〜C20−炭化水素残基、又はC原子1〜4000個を有する置換又は非置換のポリアルキレンオキシド、
は水素原子、又は場合により−CN又はハロゲンで置換したC〜C10−炭化水素残基、
pは0又は1〜100000の整数、
qは0又は1〜100000の整数、
fは1又は2又は3の数、
sは少なくとも1の整数、及び
tは0又は少なくとも1の整数を表し、その際、
p+qは少なくとも1の整数である]
のホスホン酸エステルで変性したオルガノシロキサンを製造するために、

[(RO)3−fSiCRP(O)(OR] (III)
のシラン少なくとも1つと、
一般式
(RSiO2/2(RSiO1/2[O1/2H] (IV)
のケイ素化合物少なくとも1つとを反応させる
[前記式中、
は水素、又は場合により−CN又はハロゲン原子で置換したC〜C20−炭化水素残基を表し、
かつ
mは1又は2の整数を表し、
R、R、R、R、p、q、f及びsは、前述の意味を有する]ことを特徴とする、ホスホン酸エステルで変性したオルガノシロキサンの製造方法である。
【0007】
一般式(I)のホスホン酸エステルで変性したオルガノシロキサンは、ホスホン酸エステル官能性を有し、これはC原子を介したSi−C−P結合により、前記シリコーン化合物のケイ素原子に結合している。
【0008】
前記残基Rは、同一又は異なっていて、置換又は非置換で、飽和又は不飽和の脂肪族、芳香族、環式、直鎖であるか又は分枝していてよい。Rは有利には炭素原子1〜12個、特に炭素原子1〜6個を有し、有利には非置換である。
【0009】
有利にはRは直鎖又は分枝のC〜C−アルキル残基であり、その際メチル残基、エチル残基、フェニル残基、ビニル残基及びトリフルオロプロピル残基が特に有利である。
【0010】
前記残基Rは、同一又は異なっていて、置換又は非置換で、飽和又は不飽和の脂肪族、芳香族、環式、直鎖であるか又は分枝していてよい。Rは有利にはC〜C10−アルキル残基又はフェニル残基であり、特に分枝又は非分枝のC〜C−アルキル残基であり、前記残基は置換されていてよい。特に有利にはRはメチル残基又はエチル残基である。
【0011】
前記残基Rは相互に独立して同様に、置換又は非置換で、飽和又は不飽和の脂肪族、芳香族、環式、直鎖であるか又は分枝していてよい。Rは有利にはC〜C−アルキル残基又は水素原子である。特に有利にはRは水素原子である。
【0012】
前記残基Rは相互に独立して同様に、置換又は非置換で、飽和又は不飽和の脂肪族、芳香族、環式、直鎖であるか又は分枝していてよい。Rは有利にはC〜C−アルキル残基又は水素原子、特にC〜C−アルキル残基又は水素原子である。特に有利にはRはメチル残基又はエチル残基である。
【0013】
前記残基Rは相互に独立して同様に、置換又は非置換で、飽和又は不飽和の脂肪族、芳香族、環式、直鎖であるか又は分枝していてよい。Rは有利にはC〜C12−アルキル残基又はC〜C12−アリール残基である。特に有利にはRは、メチル残基、エチル残基、ブチル残基、フェニル残基又はシクロヘキシル残基である。Rは場合により、更にヘテロ原子、例えば酸素原子又は窒素原子、又はその他の官能基を含有してよい。
【0014】
前記残基Rは有利には、水素原子、又は非置換又は置換のC〜C10−アルキル残基である。
【0015】
有利にはpは3〜1000、特に5〜500の整数である。
【0016】
有利にはmは1又は2、特に2である。
【0017】
有利にはqは0又は2である。
【0018】
有利にはsは1〜50、特に2〜10の整数である。
【0019】
有利にはtは0、1、2、又は3、特に0、1、又は2である。
【0020】
有利にはp+qの和が、少なくとも2、特に少なくとも3の整数である。
【0021】
前記式(III)の本発明により使用されるシランの例は、
【0022】
【表1】

である。
【0023】
有利には、前記式(III)の本発明により使用されるシランは、
【0024】
【表2】

であり、その際、
【0025】
【表3】

が特に有利である。
【0026】
前記式(III)の本発明により使用されるシランは市販の製品であるか、又はケイ素化学において公知の方法により製造されてよい。従って、前記一般式(III)の使用されるアルコキシシランは単純にかつ高収率で、相応するクロロアルキル(アルコキシ)シランとトリアルキルホスフィットとの反応により製造されてよく、例えばこれは特許公報US 2,7681,93に記載されている。
【0027】
前記式(IV)の本発明により使用されるケイ素化合物の例は
【0028】
【表4】

である。
【0029】
有利には、前記式(IV)の本発明により使用されるケイ素化合物は、
【0030】
【表5】

であり、その際、
【0031】
【表6】

が特に有利である。
【0032】
前記式(IV)の本発明により使用されるケイ素化合物は市販の製品であるか、又はケイ素化学において公知の方法により製造されてよい。
【0033】
本発明による方法の際には、前記式(III)のケイ素化合物が、有利には0.5〜80質量部、特に有利には2〜50質量部の量で、そのつど前記一般式(IV)の化合物の100質量部に対して使用される。
【0034】
本発明による方法の際には、前記一般式(III)のシランを、前記一般式(IV)のケイ素化合物と反応させる。この際、前記反応は穏やかな条件下で起こり、前記条件は、前記一般式(IV)のシロキサンのSi−OH−基と、前記一般式(III)のシランとの反応を、前記式(IV)のシロキサンのSi−O−Si結合が破壊され、かつ場合により新規に結びつけられることなしに行わせる。この際有利には一部は、特殊な触媒の使用を断念してよい。本発明による反応はしかしながら、触媒、特に公知技術によればアルコキシ末端シロキサンの製造のために又はアルコキシシランの反応の加速のために、例えばRTV−1材料中で使用される触媒の使用下で、より迅速にかつより完全に進行する。しかしながら、その他の触媒、例えばリン酸又は部分的にエステルされたリン酸、例えばイソプロピルホスファートも使用されてよい。
【0035】
本発明による方法の際に触媒が使用される場合には、これは有利には、そのつど前記一般式(IV)の化合物100質量部に対して0.0005〜10質量部、特に有利には0.005〜2質量部の量である。
【0036】
有利には本発明による方法は、0〜200℃、特に有利には30〜100℃の温度で実施される。
【0037】
有利には本発明による方法は、0.01〜2000hPaの圧力で、特に周囲雰囲気圧力、即ち約900〜1100hPaの圧力で実施される。場合により保護ガス、例えば窒素、希ガス又は二酸化炭素を使用してよい。前記周囲雰囲気の酸素含量は有利には、0〜30体積%の範囲に維持されたい。爆発性の混合物の生産は、技術的安全性の理由から回避されたい。
【0038】
本発明による反応の際に生じる分解生成物、例えばアルコールは、前記反応の間に又は後に、前記反応混合物から、公知の方法で、例えば減圧下で室温で又は高温で蒸留により除去されてよい。
【0039】
本発明による方法は、溶媒の包含下でも、又は、溶媒の使用なしでも実施されてよく、その際付加的な溶媒なしの反応が有利である。
【0040】
本発明による方法の際に溶媒を使用する場合には、前記溶媒は有利には、不活性の、特に非プロトン性の溶媒、例えば脂肪族炭化水素、例えばヘプタン又はデカン、及び芳香族炭化水素、例えばトルエン又はキシレンである。同様にエーテル、例えばテトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル(MTBE)又はケトン、例えばアセトン又は2−ブタノン(MEK)が使用されてよい。本発明による方法の際に溶媒が使用される場合には、前記溶媒は特に有利には、1000hPaで沸点又は沸騰範囲150℃までを有する、有機の溶媒又は溶媒混合物である。
【0041】
前記溶媒の量及び種類は有利には、前記反応混合物の十分な均質化が保証されるように選択される。
【0042】
本発明による方法は有利には、保護ガス雰囲気中、例えば窒素下で実施される。
【0043】
本発明による方法で使用される成分はそのつど、これらの成分の1種類でも、それぞれの成分の少なくとも2種類からなる混合物でもある。
【0044】
本発明による方法は非連続的に又は連続的に、そのつど前記方法のために適した反応器中で実施されてよい。
【0045】
本発明による方法により、条件次第で環式、線形の又は分枝した生成物が得られ、前記生成物はホスホン酸エステル基の含量次第で、様々な溶媒中で溶解性を示す。この際、シロキサン中のホスホン酸エステル基の含量増加と共に、極性溶媒中での前記溶解性は増加する。水中での乳化性は著しく高まる。エマルションの製造の際には、場合により付加的な乳化剤が公知技術に従って使用されてよく、その際前記乳化剤はイオン性又は非イオン性の乳化剤であってよい。本発明の方法により製造される一般式(I)の化合物はしかし、付加的な乳化剤の使用なしでも水中で安定なエマルションを形成する。これは特に、テキスタイル分野及び化粧品分野で興味をひく。
【0046】
本発明により製造された生成物は高収率で、有利には90%より高く得られる。
【0047】
本発明により製造された生成物は、これまでにもホスホン酸エステルで変性したシロキサンが使用されてきた全ての目的のために使用されてよく、例えばコーティング、例えばテキスタイル又はプラスチックのコーティング、又はプラスチック分野又は化粧品分野での添加剤として使用されてよい。
【0048】
本発明による方法は、この実施が単純でありかつ、前記反応生成物はコストのかかる更なる精製工程をもはや経る必要がないという利点を有する。
【0049】
本発明による方法は、コストをかけて留去する必要がある更なる低分子環式シロキサン化合物が生じない利点を有する。
【0050】
本発明による方法は更に、短い反応時間が達成可能であり、かつこの使用される抽出物は十分な純度で提供可能であり、かつ終生成物への反応が特に有利には>95%の収率で実施され、これにより更なる汚染が除去される必要がない利点を有する。
【0051】
以下の実施例では、部及びパーセンテージの記載全てが、その他に挙げられていない限りは、質量に関する。その他が挙げられていない限りは以下の実施例は、周囲雰囲気の圧力で、即ち約1000hPaで、かつ室温で、即ち約20℃で、又は室温で前記反応物を一緒にする際に付加的な加熱又は冷却なしに調整される温度で実施した。
【0052】
ジエトキシ−リンエステル−メチル−ジメトキシメチルシラン(シランA)の製造
滴下漏斗及び還流冷却器を有する250mlの三ツ口フラスコ中に、窒素雰囲気下で、トリエチルホスフィット(P(OEt)、Aldrich、GC98%)99.7g(0.6モル)を装入した。140℃に加熱後、強力な撹拌下で、3時間以内にクロロメチルジメトキシメチルシラン46.4g(0.3モル)(Wacker−Chemie GmbH、Muenchenで購入可能)をゆっくりと滴加した。引き続き、この反応混合物を更に30分間170℃に加熱した。この過剰トリエチルホスフィットの真空中での除去後、133℃の温度及び12mbarの真空で、ジエトキシ−リンエステル−メチル−ジメトキシメチルシラン58.6g(0.23モル、GC98%、収率:理論値の76%)を留去した。
【0053】
ジエトキシ−リンエステル−メチル−ジメチルメトキシシラン(シランB)の製造
滴下漏斗及び還流冷却器を有する250mlの三ツ口フラスコ中に、窒素雰囲気下で、トリエチルホスフィット(P(OEt)、Aldrich、GC98%)124.5g(0.75モル)を装入した。140℃に加熱後、強力な撹拌下で、2.5時間以内にクロロメチルジメチルメトキシシラン69.3g(0.5モル)(Wacker−Chemie GmbH、Muenchenで購入可能)をゆっくりと滴加した。引き続き、この反応混合物を更に30分間170℃に加熱した。この過剰トリエチルホスフィットの真空中での除去後、118〜122℃の温度及び11mbarの真空で、ジエトキシ−リンエステル−メチル−ジメチルメトキシシラン100.4g(0.42モル、GC98.2%、収率:理論値の83.6%)を留去した。
【0054】
ジエトキシ−リンエステル−メチル−トリメトキシシラン(シランC)の製造
滴下漏斗及び還流冷却器を有する250mlの三ツ口フラスコ中に、窒素雰囲気下で、トリエチルホスフィット(P(OEt)、Aldrich、GC98%)112.2g(0.675モル)を装入した。140℃に加熱後、強力な撹拌下で、2.5時間以内にクロロメチルトリメトキシシラン76.8g(0.45モル)(Wacker−Chemie GmbH、Muenchenで購入可能)をゆっくりと滴加した。引き続き、この反応混合物を更に30分間170℃に加熱した。この過剰トリエチルホスフィットの真空中での除去後、135〜138℃の温度及び12mbarの真空で、ジエトキシ−リンエステル−メチル−トリメトキシシラン105.6g(0.39モル、GC97.4%、収率:理論値の86.2%)を留去した。
【0055】
実施例1
滴下漏斗及び還流冷却器を有する500mlの三ツ口フラスコ中に、窒素雰囲気下で、ジエトキシ−リンエステルメチル−ジメトキシメチルシラン26.1g(0.10モル、GC98%)(この製造は、「シランA」で上記に記載)を装入した。触媒としてイソプロピルホスファート0.5質量%の添加及び60℃に加熱後、強力な撹拌下で10分間以内に、両側OH−末端ポリジメチルシロキサン220g(M=1100g/モル;0.2モル)をゆっくりと滴加した。引き続き、この反応混合物を更に120分間80℃に加熱した。この生じたアルコールの真空中での除去後、平均分子量(数平均)2500g/モルを有する、ポリ−((ジエトキシ−リンエステルメチル)−メチルシロキサン−コ−ジメチルシロキサン)239gを得た。この際これは、線形ブロックコポリマーであり、前記ブロックコポリマーは2つのポリジメチルシロキサンの鎖が、1つのジエトキシ−リンエステルメチル)−メチルシロキサン単位を介して結合している。
【0056】
実施例2
滴下漏斗及び還流冷却器を有する250mlの三ツ口フラスコ中に、窒素雰囲気下で、ジエトキシ−リンエステルメチル−ジメチルメトキシシラン48.9g(0.20モル、GC98%)(この製造は、「シランB」で上記に記載)を装入した。触媒としてイソプロピルホスファート0.5質量%の添加及び60℃に加熱後、強力な撹拌下で10分間以内に、両側OH−末端ポリジメチルシロキサン110g(M=1100g/モル;0.1モル)をゆっくりと滴加した。引き続き、この反応混合物を更に120分間80℃に加熱した。この生じたアルコールの真空中での除去後、ジエトキシ−リンエステルメチル末端基及び平均分子量(数平均)1500g/モルを有する、ポリジメチルシロキサン153gを得た。この際これは、線形ブロックコポリマーであり、前記ブロックコポリマーはポリジメチルシロキサン鎖のこの両末端に、それぞれ1つのジエトキシ−リンエステルメチル)−メチルシロキサン単位が結合している。
【0057】
実施例3
滴下漏斗及び還流冷却器を有する500mlの三ツ口フラスコ中に、窒素雰囲気下で、ジエトキシ−リンエステルメチル−ジメチルメトキシシラン48.9g(0.20モル、GC98%)(この製造は、「シランB」で上記に記載)を装入した。触媒としてイソプロピルホスファート0.5質量%の添加及び60℃に加熱後、強力な撹拌下で10分間以内に、両側OH−末端ポリジメチルシロキサン300g(M=3000g/モル;0.1モル)をゆっくりと滴加した。引き続き、この反応混合物を更に240分間80℃に加熱した。この生じたアルコールの真空中での除去後、ジエトキシ−リンエステルメチル末端基及び平均分子量(GPC、数平均)3600g/モルを有する、ポリジメチルシロキサン343gを得た。この際これは、線形ブロックコポリマーであり、前記ブロックコポリマーはポリジメチルシロキサン鎖のこの両末端に、それぞれ1つのジエトキシ−リンエステルメチル)−メチルシロキサン単位が結合している。
【0058】
実施例4
滴下漏斗及び還流冷却器を有する250mlの三ツ口フラスコ中に、窒素雰囲気下で、ジエトキシ−リンエステルメチル−ジメチルメトキシシラン4.9g(0.02モル、GC98%)(この製造は、「シランB」で上記に記載)を装入した。触媒としてイソプロピルホスファート0.5質量%の添加及び60℃に加熱後、強力な撹拌下で10分間以内に、両側OH−末端ポリジメチルシロキサン108g(M=10800g/モル;0.01モル)をゆっくりと滴加した。引き続き、この反応混合物を更に300分間80℃に加熱した。この生じたアルコールの真空中での除去後、ジエトキシ−リンエステルメチル末端基及び平均分子量(GPC、数平均)12300g/モルを有する、ポリジメチルシロキサン110gを得た。この際これは、線形ブロックコポリマーであり、前記ブロックコポリマーはポリジメチルシロキサン鎖のこの両末端に、それぞれ1つのジエトキシ−リンエステルメチル)−メチルシロキサン単位が結合している。
【0059】
実施例5
滴下漏斗及び還流冷却器を有する250mlの三ツ口フラスコ中に、窒素雰囲気下で、ジエトキシ−リンエステルメチル−ジメトキシメチルシラン26.1g(0.10モル、GC98%)(この製造は、「シランB」で上記に記載)を装入した。触媒としてイソプロピルホスファート0.5質量%の添加及び60℃に加熱後、強力な撹拌下で10分間以内に、両側OH−末端ポリジメチルシロキサン110g(M=1100g/モル;0.1モル)をゆっくりと滴加した。引き続き、この反応混合物を更に120分間80℃に加熱した。この生じたアルコールの真空中での除去後、ジエトキシ−リンエステルメチル基及び平均分子量(数平均)10060g/モルを有する、ポリジメチルシロキサン121gを得た。この際これは、線形ブロックコポリマーであり、前記ブロックコポリマーは長いポリジメチルシロキサン鎖中に、周期的にジエトキシ−リンエステルメチル)−メチルシロキサン単位が組み込まれている。
【0060】
実施例6
滴下漏斗及び還流冷却器を有する250mlの三ツ口フラスコ中に、窒素雰囲気下で、ジエトキシ−リンエステルメチル−ジメチルメトキシシラン4.9g(0.02モル、GC98%)(この製造は、「シランB」で上記に記載)を装入した。触媒としてポリアルキレンオキシド単位を有する部分エステル化したリン酸エステル(Cognis社から商標ARLYPON(R)で購入可能)0.5質量%の添加及び60℃に加熱後、強力な撹拌下で、10分間以内に両側OH−末端のポリジメチルシロキサン108g(M=10800g/モル;0.01モル)をゆっくりと滴加した。引き続き、この反応混合物を更に300分間80℃に加熱した。この生じたアルコールの真空中での除去後、ジエトキシ−リンエステルメチル末端基及び平均分子量(GPC、数平均)10900g/モルを有する、ポリジメチルシロキサン110gを得た。この際これは、線形ブロックコポリマーであり、前記ブロックコポリマーはポリジメチルシロキサン鎖のこの両末端に、それぞれ1つのジエトキシ−リンエステルメチル)−メチルシロキサン単位が結合している。
【0061】
実施例7
滴下漏斗及び還流冷却器を有する500mlの三ツ口フラスコ中に、窒素雰囲気下で、ジエトキシ−リンエステルメチル−トリメトキシシラン27.6g(0.1モル、GC98%)(この製造は、「シランC」で上記に記載)を装入した。触媒としてイソプロピルホスファート0.5質量%の添加及び60℃に加熱後、強力な撹拌下で10分間以内に、片側OH−末端ポリジメチルシロキサン390g(D3環(D3−Cycle)のアニオン重合により製造される、M=1300g/モル;0.3モル)をゆっくりと滴加した。引き続きこの混合物を更に280分間80℃に加熱した。この生じたアルコールの真空中での除去後、ジエトキシ−リンエステルメチル基及び平均分子量(GPC、数平均)4200g/モルを有する、ポリジメチルシロキサン308gを得た。この際これは、星状ブロックコポリマーであり、前記ブロックコポリマーは1つのジエトキシ−リンエステルメチル)−シロキサン単位に、この中央で3つのポリジメチルシロキサン鎖が結合している。
【0062】
実施例8
シロキサン−水エマルションの製造のために、そのつど本発明による官能化又は非官能化シロキサン30gを、水70mlと混合し、高速攪拌機、いわゆるウルトラチュラックス(Ultra−Turrax)で30秒間均質化するか又は乳化した。これによりそれぞれ乳状の系を得、この際分離までの時間を測定した。この結果は表1に見出される:
表1
【0063】
【表7】

【0064】
本発明による方法により製造された化合物は水中エマルションとして、同じ分子量を有する相応する非官能性シリコーンオイルに対して、著しく高まった安定性を示すことが明らかになった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式
(RSiO2/2(RSiO1/2[O1/2H][(Of/23−fSiCRP(O)(OR (I)
[前記式中、
Rは水素原子、又は一価の、場合により−CN、−NCO、−NR、−COOH、−COOR、−ハロゲン、−アクリル、−エポキシ、−SH、−OH又は−CONRで置換したSi−C−結合したC〜C20−炭化水素残基又はC〜C15−炭化水素オキシ残基であり、前記残基中ではそのつど1つ又は複数の、相互に隣接しないメチレン単位が、基−O−、−CO−、−COO−、−OCO−又は−OCOO−、−S−又は−NR−により置き換えられていてよく、かつ前記残基中では1つ又は複数の、相互に隣接しないメチン単位が、基−N=、−N=N−又は−P=により置き換えられていてよく、
は水素原子、又は一価の、場合により−CN、−NCO、−COOH、−COOR、−ハロゲン、−アクリル、−SH、−OH又は−CONRで置換したSi−C−結合したC〜C20−炭化水素残基又はC〜C15−炭化水素オキシ残基であり、前記残基中ではそのつど1つ又は複数の、相互に隣接しないメチレン単位が、基−O−、−CO−、−COO−、−OCO−又は−OCOO−、−S−又は−NR−により置き換えられていてよく、かつ前記残基中では1つ又は複数の、相互に隣接しないメチン単位が、基−N=、−N=N−又は−P=により置き換えられていてよく、
は水素原子、又は場合により−CN又はハロゲンで置換したC〜C20−炭化水素残基、
は水素原子、又は場合により−CN又はハロゲンで置換したC〜C20−炭化水素残基、又はC原子1〜4000個を有する置換又は非置換のポリアルキレンオキシド、
は水素原子、又は場合により−CN又はハロゲンで置換したC〜C10−炭化水素残基、
pは0又は1〜100000の整数、
qは0又は1〜100000の整数、
fは1又は2又は3の数、
sは少なくとも1の整数、及び
tは0又は少なくとも1の整数を表し、その際、
p+qは少なくとも1の整数である]
のホスホン酸エステルで変性したオルガノシロキサンを製造するために、

[(RO)3−fSiCRP(O)(OR] (III)
のシラン少なくとも1つと、
一般式
(RSiO2/2(RSiO1/2[O1/2H] (IV)
のケイ素化合物少なくとも1つとを反応させる
[前記式中、
は水素、又は場合により−CN又はハロゲン原子で置換したC〜C20−炭化水素残基を表し、
かつ
mは1又は2の整数を表し、
R、R、R、R、p、q、f及びsは、前述の意味を有する]ことを特徴とする、ホスホン酸エステルで変性したオルガノシロキサンの製造方法。
【請求項2】
p+qの和が、少なくとも2の整数であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
触媒の存在下で実施することを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
0〜200℃の温度で実施することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
保護ガス雰囲気中で実施することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。

【公表番号】特表2007−512395(P2007−512395A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538708(P2006−538708)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【国際出願番号】PCT/EP2004/012201
【国際公開番号】WO2005/047368
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(390009003)コンゾルテイウム フユール エレクトロケミツシエ インヅストリー ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (17)
【氏名又は名称原語表記】Consortium fuer elektrochemische Industrie GmbH
【住所又は居所原語表記】Zielstattstrasse 20,D−81379 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】