説明

ホールドエレベータ装置

【課題】収納室に多数のワークを収納可能であって、収納室へ先に搬入されたワークから順に搬出する「先入先出」の機構の実現が可能であると共に、ワークが載置されるワークトレイの昇降をシリンダ機構により実現して、収納・搬送中のワークの汚損防止が可能なホールドエレベータ装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るホールドエレベータ装置は、ワークを一定姿勢で載置するワークトレイと、ワークトレイを収納室内で周回移動させるトレイ周回手段と、先にワークが保持されたワークトレイを支持し、後からワークが保持されたワークトレイが積層される際に該支持を開放するトレイ支持手段を備え、収納室へ先に搬入されたワークからワークトレイに載置してトレイ支持手段により一時的な支持を行いつつ、トレイ周回手段によりワークトレイを周回移動させて、先に搬入されたワークから順次、収納室から搬出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホールドエレベータ装置に関し、さらに詳細には、収納室内でワークを周回移動させて、ワークの収納および保持を行なうホールドエレベータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線基板の製造過程において、高温雰囲気にされた箱体の内部に処理すべき基板(ワーク)を搬入して、所定時間収納して乾燥を行う工程がある。ホールドエレベータ装置は、一例として上記工程で用いられる装置であって、収納室に多数のワークを収納することが可能で、かつ次工程に向けた搬送位置まで上昇あるいは下降させる手段を備えて構成される。
【0003】
ここで、板状のワーク用のホールドエレベータ装置の従来例として、図5に示すホールドエレベータ装置100がある。図5(a)は全体概要図、図5(b)は部分斜視図である。このホールドエレベータ装置100は、図に示すように、複数の基板Aを載置したカセット102を多数上下方向に棚状に多段収納できる基板保持ユニット113と、カセット102を次の工程に水平方向に搬送する水平搬送ローラ117を有している。基板保持ユニット113内部には、カセット端部を支持して一定ピッチでカセット102を棚状に収納可能とする支持棚128と、前記カセットの枚数に対応してカセットに近接してヒータ114が、上下方向にそれぞれ設けられており、基板を収納した状態で所定の温度に加熱することが可能である。さらに基板保持ユニット113は、その上部で吊り上げユニット118と係合して、吊り上げユニット118に懸下される状態になっている。吊り上げユニットは、基板保持ユニットとの係合部、荷重支持部、駆動部よりなり、本実施態様における吊り上げユニット118は、吊り上げ部材127、4本の吊りベルト119、吊り上げ部材127と吊りベルト119の一端を固定するベルト取付け金具121、プーリ120で構成されている。ここで吊りベルト119のもう一端はプーリ120と係合し、さらにこのプーリ120は駆動軸を介して、駆動モータ125に連結している。従って駆動モータ125を駆動してプーリ120を回転させれば、吊りベルト119の巻取り、巻き戻しが行え、これによって吊りベルト119に連結している基板保持ユニット113の昇降が可能となる。またモータの動作を制御して、基板保持ユニットに収納されているカセット102の上下方向ピッチに相当する長さ分だけ、基板保持ユニット113を間歇的に昇降させることもできる。この一定ピッチ分の上下方向移動と水平搬送ローラ117の動作を組み合わせることによって、カセット102の基板保持ユニットへの収納、取り出しが自在にできるというものである。
【0004】
【特許文献1】特開平10−250839号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、収納室内の昇降・搬送機構には、油、グリス等の潤滑剤を塗布する必要がある。しかしながら、高真空・高温の雰囲気下では潤滑剤が容易に蒸発するためにこれを防止する飛散防止手段やねじ部の冷却手段がさらに必要となり、装置が複雑化するとともに、清掃のための作業スペース等を圧迫しメインテナンス性を著しく悪化させる。また、このような複雑な潤滑剤蒸発防止対策を施したとしても、潤滑剤の蒸発速度が高いために潤滑剤が枯渇し易く、さらに高い荷重も作用するので回転、摺動部が摩耗して、装置の寿命を短くするばかりでなく、摩耗粉等の飛散防止手段の隙間から発塵物が飛散して基板に付着し、基板を汚すという問題があった。
【0006】
また、その一方で、収納室内でワークを所定時間乾燥させる場合等においては、収納室内に搬入されたワークを所定時間経たところで搬出させる必要があるが、従来のホールドエレベータ装置では、複雑な移動および時間管理を伴う制御を行う必要があり、その解決が望まれていた。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、常温もしくは加熱雰囲気下の収納室に、多数のワークを収納することが可能であって、収納室へ先に搬入されたワークから順に、収納室から搬出する、いわゆる、「先入先出」の機構の実現が可能であると共に、収納室内においてワークが載置されるワークトレイの昇降をシリンダ機構により実現して、収納・搬送中のワークの汚損を防止することが可能であるホールドエレベータ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0009】
本発明に係るホールドエレベータ装置は、ワークを一定姿勢で載置するワークトレイと、該ワークトレイを収納室内で周回移動させるトレイ周回手段と、先にワークが保持された該ワークトレイを支持し、後からワークが保持された該ワークトレイが積層される際に該支持を開放するトレイ支持手段を備え、該収納室へ先に搬入されたワークから該ワークトレイに載置して該トレイ支持手段により一時的な支持を行いつつ、該トレイ周回手段により該ワークトレイを周回移動させて、先に搬入された該ワークから順次、該収納室から搬出されることを特徴とする。
【0010】
また、前記トレイ周回手段は、前記収納室内に搬入された前記ワークトレイを積層したまま昇降させる昇降手段と、該収納室内に積層された該ワークトレイを個別に移送する移送手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、前記昇降手段は、シリンダ機構を備えて構成され、該シリンダ機構は、積層された最下部の前記ワークトレイを支持して昇降可能に配設されることを特徴とする特徴とする。
【0012】
なお、前記収納室内を所定の温度に加熱する加熱手段が設けられることが好適である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1によれば、ワークトレイを収納室内で周回させることが可能となる。すなわち、収納室へ先に搬入されたワークから順に、収納室から搬出する、いわゆる、「先入先出」の機構を実現することが可能となる。その結果、複雑な移動制御、ワークトレイ毎の時間管理等を行うことなく、各ワークの収納時間を一定に保つことが可能となる。
【0014】
請求項2および請求項3によれば、シリンダ機構を動力源として、ワークトレイの昇降を行うことが可能となり、従来のチェーンやベルトを動力源として用いる機構を解消することが可能となる。それにより、チェーンやベルト等に付着しているグリス、オイル、塵埃等の不純物が、収納室内で蒸発、飛散して、ワークを汚損することを防止でき、クリーンな搬送が可能となる。
【0015】
請求項4によれば、加熱手段を備えることによって、ワークを積極的に加熱、乾燥させる作用・効果を生じさせることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳しく説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るホールドエレベータ装置1の一例を示す概略図である。図2は、そのホールドエレベータ装置1のワークトレイ14の構成を示す概略図である。図3は、ワーク3の搬送経路を説明するための概略図である。図4は、本発明に係るホールドエレベータ装置1の第二の実施例を説明するための概略図である。なお、図面の符号に関して、符号8は符号8a、8bの総称として用いる(他の符号について同じ)。
【0017】
図1に示すように、本発明に係るホールドエレベータ装置1は、ワーク3の収納を行うことが可能な収納室5と、ワーク3を一定姿勢で載置する複数のワークトレイ14と、収納室5内でワークトレイ14を周回移動させるトレイ周回手段6とを備えて構成される。なお、本実施例においては、ワーク3は板状の形状を備えるものであって、例えば、プリント基板等である。
【0018】
収納室5を備えることにより、ワーク3を収納して所定時間保持することが可能となる。それにより、例えば、ワーク3がプリント基板である場合等において、常温でのレベリング(表面のインク等をなじませること)を行うことが可能となる。
【0019】
さらに、収納室5には、収納室5内を所定の温度に加熱する加熱手段29を設けることが好適である。加熱手段29は、一例として、電熱線ヒータとブロワの組合せによる構成等が考えられる。加熱手段29を備えることによって、上記の常温でのレベリングに加えて、ワーク3を積極的に加熱、乾燥させる作用・効果を生じさせることが可能となる。
【0020】
ワークトレイ14は、ワーク3を一定姿勢で載置する構造を備える。本実施例では、図1等に示すように、板状のワーク3を平面状態で保持する。また、図2に示すように、ワークトレイ14は、ワーク3の端面のみの接触により保持可能な載置部14aを備えることが好適である。それによって、板状であるワーク3の表面および裏面に非接触の状態での保持が可能となり、両面の破損・汚損の防止を図ることが可能となる。なお、図2(a)はワークトレイ14の上面図、図2(b)はワークトレイ14の正面図である。
【0021】
また、ワークトレイ14にはスペーサ部14bが設けられる。それにより、ワークトレイ14はワーク3を保持した状態で垂直方向に積層することが可能となる。このとき、ワーク3が押し潰されることがないように、スペーサ部14bの高さを適当に設定する必要がある。また、積層されたワークトレイ14の横方向への位置ずれを防止するための構成が必要となる。一例として、スペーサ部14b上部に嵌合凸部14cを設け、ワークトレイ14下部に設けられる嵌合凹部14dと嵌合させる構成が考えられる。なお、スペーサ部14bを交換式とすることで、異なる高さのワーク3に対しても、ワーク高さに応じたスペーサ部14bを用意すれば、ワークトレイ14全体を交換せずに積層が可能となるため、ワークの形状変更にも柔軟に対応することが可能となる。
【0022】
トレイ周回手段6は、ワークトレイ14を収納室5内で周回移動させる機構を備える。本実施例では、図1に示すように、収納室5内に搬入された前記ワークトレイ14を積層したまま垂直方向に昇降させる昇降手段7と、収納室5内に積層された該ワークトレイ14を個別に移送する移送手段9とを備えて構成する。
【0023】
より詳しくは、昇降手段7は、隣接させて二組設けられ、一方をワークトレイ14を上昇させる上昇部7aとし、他方をワークトレイ14を下降させる下降部7bとして構成する。
【0024】
また、移送手段9は、上昇部7aと下降部7bとの間で、ワークトレイ14を受け渡し可能な機構を備え、上昇部7aの最上部に到達したワークトレイ14を下降部7bの最上部に個別に移送する上部移送部9aと、下降部7bの最下部に到達したワークトレイ14を上昇部7aの最下部に個別に移送する下部移送部9bとを備えて構成した。ここで、一例として、上部移送部9aは、クランプ機構により構成し、下部移送部9bは、コンベア機構により構成する。
【0025】
なお、昇降手段7に関しては、上昇部と下降部とを一つずつ備える場合に限定されず、上昇部、下降部、上昇部、下降部、・・・という具合に複数組を併設させる構成としてもよい。また、その場合は、移送手段9も必要に応じて増設すればよい。それにより、例えば、高さ方向の空間が充分にとれない場合等においても、収納室5内に保持するワークトレイ14の数量を確保、あるいは増加させることができる。
【0026】
以上の構成を備えることによって、ホールドエレベータ装置1は、ワークトレイ14を収納室5内で周回させることが可能となる(周回動作を図1中の矢印で示す)。すなわち、収納室5へ先に搬入されたワーク3から順次、周回してくる機構が実現されるため、先に搬入された順序で収納室5からワーク3を搬出することが可能となる。その結果、複雑な移動制御、ワークトレイ毎の時間管理等を行うことなく、各ワークの収納時間を一定に保つことができる。このことにより、例えば、プリント基板のレベリングを行う場合には、ワークごとにばらつきのないレベリングの実現が可能となり、均一な製品を提供できるという顕著な効果を奏するものである。
【0027】
ここで、本発明に特徴的な構成として、昇降手段7は、シリンダ機構8を備えて構成される。本実施例では、上昇部7aの下方位置および下降部7bの下方位置のそれぞれにシリンダ機構8aおよび8bを配置する構成とした。なお、設置するシリンダの数は特に限定されない。
【0028】
その作用として、シリンダ機構8aにより、積層された状態のワークトレイ14を、その最下部を支持しながら上昇させる。一方、シリンダ機構8bにより、積層された状態のワークトレイ14を、その最下部を支持しながら下降させる。
【0029】
さらに、本発明に特徴的な構成として、ホールドエレベータ装置1は、トレイ支持手段21を備える。後述のように、トレイ支持手段21は、先にワーク3が保持された該ワークトレイ14を支持し、後からワーク3が保持された該ワークトレイ14が積層される際に該支持を開放する。
【0030】
ここで、トレイ支持手段21の作用について、シリンダ機構8等の作用と併せて詳細に説明をする。
ワーク搬入手段35により、コンベア2上のワーク3が、空のワークトレイ14上に搬入される(図3参照)。このときのワーク3の搬送経路を図3中の矢印で示す。本実施例では、図1に示すように、最下部にあるワークトレイ14に搬入するが、最下部以外のワークトレイ14に搬入させる機構としてもよい。なお、ワーク搬入手段35は、一例として、コンベア機構を備えて構成される。
このとき、最下部のワークトレイ14よりも一つ上方に位置するワークトレイ14はトレイ支持手段21aにより支持されており、それによって、さらに上方に積層されているワークトレイ14全体が支持されている。
つづいて、最下部のワークトレイ14がシリンダ機構8aにより、押し上げられて上昇する。最下部のワークトレイ14が、その一つ上方に位置するワークトレイ14と密着したところで、トレイ支持手段21aが開放する。
さらに、ワークトレイ1個分の高さ、シリンダ機構8aによる上昇がおこなわれたところで、トレイ支持手段21aは開放状態から支持状態へと切り替わる。これにより、ワークトレイ14を上昇させる動作が完了する。その後、シリンダ機構8aは押し上げ開始前の状態に戻る。 なお、上昇部7aの最上部に到達したワークトレイ14は、前述のように、上部移送部9aによって、下降部7bの最上部に個別に移送される。
【0031】
上記のワークトレイ14の上昇動作と並行して、もしくは連続して、ワークトレイ14の下降動作が行われる。この下降動作は上昇の場合と逆の動作によって行われるものである。すなわち、下降部7bの下方位置のシリンダ機構8bの上端が上昇して、下降側(図1の左側)に積層されたワークトレイ14の最下部に密着したところで、トレイ支持手段21bが開放する。これにより、ワークトレイ14の支持がシリンダ機構8bによる支持に切り替わる。
つづいて、シリンダ機構8bが下降し、積層されたワークトレイ14が下降する。ワークトレイ1個分の高さ、下降がおこなわれたところで、トレイ支持手段21bは開放状態から支持状態へと変わる。これにより、最下部のワークトレイ14以外の支持が、トレイ支持手段21bにより行われ、且つ最下部のワークトレイ14のみの支持がシリンダ機構8bにより行われる状態となる。
シリンダ機構8bがさらに下降して、最下部のワークトレイ14が下降部7bの所定の位置まで下降する。これにより、ワークトレイ14を下降させる動作が完了し、シリンダ機構8bは下降開始前の状態に戻る。
ここで、ワーク搬出手段36によって、所定位置まで下降したワークトレイ14からワーク3が搬出されて、コンベア2上へ移動される。ワーク搬出手段36は、一例として、コンベア機構を備えて構成される。 なお、ワーク3が搬出されて、空になったワークトレイ14は、下部移送部9bによって、上昇部7aの最下部に個別に移送される。これにより、空のワークトレイ14は、再度ワーク3の搬入、保持が可能な状態となる。
【0032】
上記の構成によれば、本発明に係るホールドエレベータ装置1は、従来のように、チェーンやベルトを動力源として用いる機構によらずに、シリンダ機構を動力源として、ワークトレイ14の昇降を行うことが可能となる。その結果、チェーンやベルト等が収納室5内に露出すること等によって、それらに付着しているグリス、オイル、塵埃等の不純物が、収納室5内で蒸発、飛散して、ワーク3を汚損する原因となってしまう課題を解消することが可能となる。
【0033】
なお、トレイ支持手段21は、トレイ周回手段6の下部位置に設けられる主フック部22a、22bのみにより構成してもよいが、図1に示すように、中間位置に補助フック部23a、23bを設ける構成としてもよい。補助フック部23a、23bを設けることによって、例えば、ワーク3やワークトレイ14が重量物である場合、あるいは昇降距離が長い場合等において、積層された全ワークトレイ14を主フック部22a、22bのみで支持しようとすると過大な荷重が集中してしまう恐れがあるときに、支持荷重を分散させることが可能となり、各フックをコンパクトな構造とすることができる。なお、補助フック部23a、23bを設ける場合の位置・個数は適宜設定すればよい。
【0034】
また、上記の例では、ワーク3をホールドエレベータ装置1の下部位置で搬入し、下部位置で搬出する構成としているが、搬入位置および搬出位置は下部位置に限定されず、適宜設定すればよい。すなわち、上部搬入・上部搬出、中間部搬入・中間部搬出、下部搬入・上部搬出等のように、様々な構成が考えられる。
【0035】
さらに、本発明に係るホールドエレベータ装置1の他の実施例として、図4に示すように、収納室5には、前記ワークトレイ14に代えて、ワーク3が保持された状態で装置外部から搬入される外部トレイ42を保持可能な外部トレイ保持部(不図示)が設けられると共に、ワーク搬入手段35代えて、外部トレイ42ごと装置内部へ搬入する外部トレイ搬入手段45、およびワーク搬出手段36に代えて、外部トレイ42ごと装置外部へ搬出する外部トレイ搬出手段46が設けられる構成とすることが考えられる。このときの外部トレイ42の搬送経路を図4中の矢印で示す。
【0036】
すなわち、ワークトレイを収納室5内のみで周回させるのではなく、他の工程で用いる装置と共用させて、それらの装置を含めたシステム全体で周回移動させるという構成である。これによれば、装置毎にワークトレイにワークを搬入、搬出している機構・工程を省略もしくは削減することができるため、機構の簡素化および工程の効率化を図ることができる。また、ワーク3への接触回数が減少するため、ワークの破損・汚損等のリスクを低減させることができる。
【0037】
以上の説明のように、本発明に係るホールドエレベータ装置によれば、常温もしくは加熱雰囲気下の収納室に、多数のワークを収納することが可能であって、収納室へ先に搬入されたワークから順に、収納室から搬出する、いわゆる、「先入先出」の機構の実現が可能となる。その結果、複雑な制御・移動を伴わずに、各ワークの収納時間を一定に保つことが容易に実現でき、ばらつきのない均一な製品の提供が可能となる。また併せて、収納室内においてワークが載置されるワークトレイの昇降をシリンダ機構により実現することでき、その結果、従来のチェーンやベルト等による機構と比較して、グリス、オイル、塵埃等の不純物が、収納室内で蒸発、飛散することに起因するワークの汚損防止を図ることが可能となる。
【0038】
なお、本発明はホールドエレベータ装置に関するものであるが、当該技術的思想を他の収納装置、搬送装置、乾燥装置等に適用することももちろん可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態に係るホールドエレベータ装置の一例を示す概略図である。
【図2】図1のホールドエレベータ装置のワークトレイの構成を示す概略図である。
【図3】図1のホールドエレベータ装置および該装置に連続するコンベアにおけるワークの搬送経路を説明するための概略図である。
【図4】本発明に係るホールドエレベータ装置の第二の実施例を説明するための概略図である。
【図5】従来の実施の形態に係るホールドエレベータ装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0040】
1 ホールドエレベータ装置
2 コンベア
3 ワーク
5 収納室
6 トレイ周回手段
7 昇降手段
7a 上昇部
7b 下降部
8、8a、8b シリンダ機構
9 移送手段
9a 上部移送部
9b 下部移送部
14 ワークトレイ
21、21a、21b トレイ保持手段
22、22a、22b 主フック部
23、23a、23b 補助フック部
29 加熱手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを一定姿勢で載置するワークトレイと、
該ワークトレイを収納室内で周回移動させるトレイ周回手段と、
先にワークが保持された該ワークトレイを支持し、後からワークが保持された該ワークトレイが積層される際に該支持を開放するトレイ支持手段を備え、
該収納室へ先に搬入されたワークから該ワークトレイに載置して該トレイ支持手段により一時的な支持を行いつつ、該トレイ周回手段により該ワークトレイを周回移動させて、先に搬入された該ワークから順次、該収納室から搬出されること
を特徴とするホールドエレベータ装置。
【請求項2】
前記トレイ周回手段は、前記収納室内に搬入された前記ワークトレイを積層したまま昇降させる昇降手段と、
該収納室内に積層された該ワークトレイを個別に移送する移送手段とを備えること
を特徴とする請求項1記載のホールドエレベータ装置。
【請求項3】
前記昇降手段は、シリンダ機構を備えて構成され、
該シリンダ機構は、積層された最下部の前記ワークトレイを支持して昇降可能に配設されること
を特徴とする請求項1または請求項2記載のホールドエレベータ装置。
【請求項4】
前記収納室内を所定の温度に加熱する加熱手段が設けられること
を特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のホールドエレベータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−21382(P2009−21382A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−182719(P2007−182719)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(394025371)株式会社マックステック (6)
【Fターム(参考)】