ボタン型入力装置
【課題】センサ精度が高く、しかも信頼性にも優れたボタン型入力装置を提供すること。
【解決手段】ボタン型入力装置1を操作ボタンとして装着した被装着機器、例えば携帯電話において、ボタン型入力装置1のキー部材11を指などで押圧すると、機器側基板2及び受圧部である閉塞部材15に反力が生じ、この反力により液体14を介して圧力が静電容量型圧力センサ13のダイヤフラム134aに伝達される。静電容量型圧力センサ13では、ダイヤフラム134aと固定電極133との間に所定の静電容量を有するので、ダイヤフラム134aに圧力が伝達されると、ダイヤフラム134aと固定電極133との間の静電容量が変化する。この静電容量の変化は、配線12を介してリード4から出力される。この静電容量をパラメータとして、その変化を圧力変化とすることができる。
【解決手段】ボタン型入力装置1を操作ボタンとして装着した被装着機器、例えば携帯電話において、ボタン型入力装置1のキー部材11を指などで押圧すると、機器側基板2及び受圧部である閉塞部材15に反力が生じ、この反力により液体14を介して圧力が静電容量型圧力センサ13のダイヤフラム134aに伝達される。静電容量型圧力センサ13では、ダイヤフラム134aと固定電極133との間に所定の静電容量を有するので、ダイヤフラム134aに圧力が伝達されると、ダイヤフラム134aと固定電極133との間の静電容量が変化する。この静電容量の変化は、配線12を介してリード4から出力される。この静電容量をパラメータとして、その変化を圧力変化とすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量を用いて圧力を検知する静電容量型圧力センサを備えたボタン型入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、押圧力を測定する圧力センサとしては、感圧ゴムや感圧エラストマーなどの圧力により抵抗が変化する材料を用いた圧力センサがある。また、半導体型圧力センサをエラストマーで覆った圧力センサがある(特許文献1)。この圧力センサは、図7に示すように、リード103をインサートした成形体101に、センサ素子102を搭載し、ワイヤボンディングを行い、エラストマー104を充填して構成されている。また、このような圧力センサを、押圧力を信号として取り出す入力装置に適用した例も知られている。
【特許文献1】特公平6−7078号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、感圧ゴムや感圧エラストマーを用いた圧力センサは、圧力に対する出力(抵抗)の精度が悪い。また、半導体型圧力センサをエラストマーで覆った圧力センサでは、エラストマー104が均一にセンサ素子を押圧しないので、センサ精度が悪いという問題がある。すなわち、押圧力を正確に信号として取り出すのが難しい。
また、このような圧力センサでは、ワイヤ102aがエラストマー104に埋め込まれており、エラストマー104を押圧すると、ワイヤ102aにそのまま圧力が加わり、ワイヤ102aを劣化させる恐れがあり、信頼性に劣るという問題もある。一方、圧力を伝える媒体として封入した液体を用いることによりセンサの精度は向上するが、この場合は、液体を封入するためにシール機構が必要となり、このためにセンサ部が大きくなり、小型の入力装置には向かない。
【0004】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、センサ精度が高く、しかも信頼性にも優れた圧力センサを用いた、小型の入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のボタン型入力装置は、液体を収容する凹部を有するキー部材と、前記凹部内に形成された配線と、前記凹部内で前記配線と電気的に接続されるように搭載され、前記キー部材に加わった圧力により前記液体を介して押圧される静電容量型の圧力センサと、前記凹部を閉塞する閉塞部材と、を具備し、前記圧力センサからの信号を外部の接続機器に出力するボタン型入力装置であって、前記圧力センサは、一方の主面が前記凹部と当接し、他方の主面上に固定電極を有するガラス基板と、可動電極を有し、前記可動電極が前記固定電極と間隔をおいて対向するように前記ガラス基板に接合されたシリコン基板と、を含み、前記ガラス基板は、前記配線と電気的に接続するように両主面で露出した接続部材を埋設しており、前記固定電極及び前記可動電極が前記接続部材を介して、前記一方の主面で前記配線と電気的に接続されていることを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、受圧部に加わった圧力が液体を介して静電容量型圧力センサの可動電極に伝達され、加圧された液体は均一に可動電極を押圧するのでセンサ精度が高い。また、本発明のボタン型入力装置の圧力センサ部においては、配線上に静電容量型圧力センサを搭載するので、配線と静電容量型圧力センサとの間の電気的な接続の信頼性が高い。また、圧力センサ部と配線との接続はガラス基板の一面で行われるので、液体のシール機構が簡単となり、かつシールも確実である。すなわち、小型で信頼性の高い入力装置を得ることができる。
【0007】
本発明のボタン型入力装置においては、前記接続部材がシリコン製部材であり、前記ガラス基板と前記シリコン基板との間の界面及び/又は前記ガラス基板と前記シリコン製部材との間の界面は、Si−Si結合又はSi−O結合を有することが好ましい。この構成によれば、シリコンとガラスとが強固に接合して、両者間の界面で非常に高い密着性を発揮するので、シリコン基板とガラス基板との間で構成されるキャビティ内の気密性を向上させることができる。これにより、押圧力に対応する力で可動電極を可動させることができるので、よりセンサ精度を高くすることが可能となる。
【0008】
本発明のボタン型入力装置においては、前記閉塞部材にスイッチユニットが取り付けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、液体を収容する凹部を有するキー部材と、前記凹部内に形成された配線と、前記凹部内で前記配線と電気的に接続されるように搭載され、前記キー部材に加わった圧力により前記液体を介して押圧される静電容量型の圧力センサと、前記凹部を閉塞する閉塞部材と、を具備し、前記圧力センサからの信号を外部の接続機器に出力するボタン型入力装置であって、前記圧力センサは、一方の主面が前記凹部と当接し、他方の主面上に固定電極を有するガラス基板と、可動電極を有し、前記可動電極が前記固定電極と間隔をおいて対向するように前記ガラス基板に接合されたシリコン基板と、を含み、前記ガラス基板は、前記配線と電気的に接続するように両主面で露出した接続部材を埋設しており、前記固定電極及び前記可動電極が前記接続部材を介して、前記一方の主面で前記配線と電気的に接続されているので、小型で、センサ精度が高く、しかも信頼性にも優れたボタン型入力装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るボタン型入力装置を装着した被装着機器を示す図である。図1に示すボタン型入力装置1は、被装着機器の機器側基板2に取り付けられている。また、このボタン型入力装置1は、そのキー部材11が機器筐体3の開口部3aから突出して押圧可能に設置されている。この被装着機器においては、ボタン型入力装置1の配線12と被装着機器の配線とを電気的に接続するためのリード4が設けられている。なお、リード4としては、押圧力によりボタン型入力装置1が機器側基板2に対して相対的に上下動するので、フレキシブルな材料で構成されることが望ましい。
【0011】
図2は、本発明の実施の形態1に係るボタン型入力装置を示す図である。ボタン型入力装置1は、液体を収容する凹部11aを有するキー部材11を備える。キー部材11の凹部11a内、ここでは、凹部11aの側壁及び底面に配線12が形成されている。この配線12は、一方が後述する静電容量型圧力センサ13の固定電極と電気的に接続され、他方が静電容量型圧力センサ13の可動電極と電気的に接続される。凹部11a内には、配線12と電気的に接続するように静電容量型圧力センサ13が搭載されている。また、凹部11a内には、液体14が充填されている。キー部材11には、凹部11aを閉塞するように閉塞部材15が取り付けられている。したがって、キー部材11の凹部11aと閉塞部材15とで構成される空間内に液体14が封止されている。
【0012】
図3は、本発明の実施の形態1に係るボタン型入力装置の静電容量型圧力センサを示す図である。図中131はガラス基板を示す。ガラス基板131は、対向する一対の主面131a,131bを有する。ガラス基板131には、シリコンで構成された接続部材132が埋設されている。接続部材132は、それぞれ固定電極及び可動電極との間の接続部材である。接続部材132は、ガラス基板131の両主面131a,131bでそれぞれ露出している。接続部材132としては、シリコン製部材であることが好ましい。
【0013】
ガラス基板131の主面131b上には、接続部材132の一方の露出部分と電気的に接続するように固定電極133が形成されている。また、ガラス基板131の主面131aでも、接続部材132が露出されている。すなわち、ガラス基板131は、配線12と電気的に接続するように両主面131a,131bで露出した接続部材132を埋設し、固定電極133及びダイヤフラムが接続部材132を介して配線12と電気的に接続されている。このように接続部材132が同一の主面131a上で露出していることにより、外部機器への接続が容易となる。
【0014】
ガラス基板131の主面131b上には、可動電極であるダイヤフラム134aを有するシリコン基板134が接合されている。ダイヤフラム134aは、シリコン基板134の両面からエッチングなどによりそれぞれ凹部を形成することにより設けられている。シリコン基板134のガラス基板接合面側の凹部は、少なくとも固定電極133を収容できる大きさを有しており、シリコン基板134をガラス基板131に接合することにより、キャビティ135を構成する。これにより、ダイヤフラム134aと固定電極133との間に所定の間隔が設けられ、ダイヤフラム134aと固定電極133との間に静電容量が発生する。ボタン型入力装置1においては、ダイヤフラム134aは、キー部材11に加わった圧力により液体14を介して押圧される。
【0015】
このように、静電容量型圧力センサ13は、一方の主面131aが配線12と電気的に接続するように凹部11aの底面と当接し、他方の主面131b上に固定電極133を有するガラス基板131と、ダイヤフラム134aが固定電極133と間隔をおいて対向するようにガラス基板131に接合されたシリコン基板134とを含む。
【0016】
シリコン基板134とガラス基板131との間の界面は、高い密着性を有することが好ましい。ガラス基板131にシリコン基板134を接合する場合には、ガラス基板131の接合面上にシリコン基板134を搭載し、陽極接合処理を施すことにより、シリコン基板134とガラス基板131との間の密着性を高くすることができる。このようにガラス基板131とシリコン基板134との界面で高い密着性を発揮することにより、キャビティ135内の気密性を高く保つことができる。
【0017】
ここで、陽極接合処理とは、所定の温度(例えば400℃以下)で所定の電圧(例えば300V〜1kV)を印加することにより、シリコンとガラスとの間に大きな静電引力が発生して、接触したガラス−シリコン界面で酸素を介した化学結合を形成される、もしくは、酸素の放出による共有結合を形成させる処理をいう。この界面での共有結合は、シリコンのSi原子とガラスに含まれるSi原子との間のSi−Si結合又はSi−O結合である。したがって、このSi−Si結合又はSi−O結合により、シリコンとガラスとが強固に接合して、両者間の界面で非常に高い密着性を発揮する。このような陽極接合を効率良く行うために、ガラス基板131のガラス材料としては、ナトリウムなどのアルカリ金属を含むガラス材料(例えばパイレックス(登録商標)ガラス)であることが好ましい。
【0018】
これは、ガラス基板131と接続部材132との間の界面においても同様である。すなわち、ガラス基板131に接続部材132を埋め込んで、陽極接合処理を施すことにより、密着性を高くすることができる。このようにガラス基板131と接続部材132との界面と、ガラス基板131とシリコン基板134との界面とで高い密着性を発揮することにより、キャビティ135内の気密性を高く保つことができる。
【0019】
図2に示すボタン型入力装置1において、キー部材11を樹脂材料による成形で構成し、その後に配線12を設けても良く、インサートモールドなどの方法により配線12とキー部材11とを一体に成形しても良い。液体14としては、シリコーンオイルなどを用いることができる。また、閉塞部材15としては、静電容量型圧力センサ13に圧力を効率良く伝達するためにエラストマーなどの弾性材料で構成されることが好ましい。また、配線12上に静電容量型圧力センサ13を搭載する場合、フェースダウンにより実装しても良く、導電性接着剤を用いて接着しても良い。
【0020】
図2に示すボタン型入力装置1においては、受圧部である閉塞部材15に圧力が加わると、その圧力が液体14を介して静電容量型圧力センサ13のダイヤフラム134aに伝達される。静電容量型圧力センサ13では、ダイヤフラム134aと固定電極133との間に所定の静電容量を有するので、ダイヤフラム134aに圧力が伝達されると、ダイヤフラム134aと固定電極133との間の静電容量が変化する。したがって、この静電容量をパラメータとして、その変化を圧力変化とすることができる。
【0021】
図1に示すボタン型入力装置1を操作ボタンとして装着した被装着機器、例えば携帯電話において、ボタン型入力装置1のキー部材11を指などで押圧すると(図1において上方から押圧すると)、機器側基板2及び受圧部である閉塞部材15に反力が生じ、この反力により液体14を介して圧力が静電容量型圧力センサ13のダイヤフラム134aに伝達される。静電容量型圧力センサ13では、ダイヤフラム134aと固定電極133との間に所定の静電容量を有するので、ダイヤフラム134aに圧力が伝達されると、ダイヤフラム134aと固定電極133との間の静電容量が変化する。この静電容量の変化は、配線12を介してリード4から出力される。この静電容量をパラメータとして、その変化を圧力変化とすることができる。したがって、ボタン型入力装置1により、静電容量型圧力センサ13からの信号を外部の接続機器に出力することができる。
【0022】
本発明のボタン型入力装置においては、受圧部に加わった圧力が液体14を介して静電容量型圧力センサのダイヤフラム134aに伝達される。このとき、加圧された液体14は均一にダイヤフラム134aを押圧するのでセンサ精度が高い。また、本発明のボタン型入力装置においては、配線12上に静電容量型圧力センサ13を直接搭載するので、配線12と静電容量型圧力センサ13との間の電気的な接続の信頼性が高い。さらに、本実施の形態に係るボタン型入力装置は、キー部材11内に静電容量型圧力センサ13を搭載して一体化させているので、静電容量型圧力センサを設置するスペースを別に設ける必要がなく、小型化を図ることができる。また、静電容量型圧力センサを交換する際に、キー部材11毎交換することができ、メンテナンスが容易である。
【0023】
次に、本実施の形態のボタン型入力装置の製造方法について説明する。図4(a)〜(d)は、本発明の実施の形態に係るボタン型入力装置の静電容量型圧力センサの製造方法を説明するための断面図である。
【0024】
まず、不純物をドーピングして低抵抗化したシリコン基板132を準備する。不純物としては、n型不純物でも良く、p型不純物でも良い。抵抗率としては、例えば0.01Ω・cm程度とする。そして、図4(a)に示すように、このシリコン基板132の一方の主面をエッチングして接続部材用の凸部132aを形成する。この場合、シリコン基板132上にレジスト膜を形成し、凸部形成領域にレジスト膜が残るように、そのレジスト膜をパターニング(フォトリソグラフィー)し、そのレジスト膜をマスクとしてシリコンをエッチングし、その後残存したレジスト膜を除去する。このようにして凸部132aを設ける。なお、エッチングとしては、ドライエッチングを用いる。
【0025】
次いで、図4(b)に示すように、凸部132aを形成したシリコン基板132上にガラス基板131を置き、真空下で、このシリコン基板132及びガラス基板131を加熱し、シリコン基板132をガラス基板131に押圧して凸部132aをガラス基板131に押し込んで、シリコン基板132とガラス基板131とを接合する。このときの温度は、シリコンの融点以下であって、ガラスが変形可能である温度(例えば、ガラスの軟化点温度以下)が好ましい。例えば加熱温度は約800℃である。
【0026】
さらに、シリコン基板132の凸部132aとガラス基板131との界面での密着性をより高めるために、陽極接合処理をすることが好ましい。この場合、シリコン基板132及びガラス基板131にそれぞれ電極をつけて、約400℃以下の加熱下で約300V〜1kVの電圧を印加することにより行う。これにより両者の界面での密着性がより高くなり、静電容量型加速度センサのキャビティ135の気密性を向上させることができる。次いで、ガラス基板131の両主面を研磨処理(ラップ加工)して、接続部材132を主面131a,131bで露出させる。
【0027】
次いで、図4(c)に示すように、ガラス基板131の主面131b上に固定電極133を形成する。この場合、ガラス基板131の主面131b上に電極材料を被着し、その上にレジスト膜を形成し、固定電極形成領域にレジスト膜が残るように、そのレジスト膜をパターニング(フォトリソグラフィー)し、そのレジスト膜をマスクとして電極材料をエッチングし、その後残存したレジスト膜を除去する。このようにして固定電極133を設ける。
【0028】
次いで、図4(d)に示すように、あらかじめキャビティ用の凹部を形成してダイヤフラム134aを形成したシリコン基板134を、その凹部がガラス基板131に対向するようにして、ガラス基板131に接合する。このとき、シリコン基板134及びガラス基板131に対して、約400℃以下の加熱下で約500V程度の電圧を印加することにより陽極接合処理を行う。これによりシリコン基板134とガラス基板131との間の界面での密着性がより高くなり、キャビティ135の気密性を向上させることができる。これにより、ガラス基板131の凹部とシリコン基板134との間にキャビティ135が形成される。そして、このキャビティ135内に固定電極133が位置する。
【0029】
次いで、凹部11a内に配線12を有するキー部材11をインサート成形により作製する。次いで、上記のようにして得られた静電容量型圧力センサ13を、接続部材132と配線12とが電気的に接続するように配線12上に搭載する。次いで、キー部材11の凹部11aを液体14で満たす。そして、閉塞部材15をキー部材11に取り付けて、静電容量型圧力センサ13を搭載した凹部11aを封止する。このようにしてボタン型入力装置1を製造する。最後に、得られたボタン型入力装置1を、図1に示すように、機器側基板2と機器筐体3との間に設置する。
【0030】
このようにして得られたボタン型入力装置は、可動電極であるダイヤフラム134a及び固定電極133が接続部材132を介して配線12とそれぞれ電気的に接続されている。したがって、ダイヤフラム134aと固定電極133との間で検知された静電容量の変化の信号は、接続部材132を介して配線12を経てリード4から取得することができる。この信号に基づいて測定圧力を算出することができる。
【0031】
このボタン型入力装置においては、受圧部に加わった圧力が液体14を介して静電容量型圧力センサ13のダイヤフラム134aに伝達され、加圧された液体14は均一にダイヤフラム134aを押圧するのでセンサ精度が高い。また、本発明のボタン型入力装置においては、配線12上に静電容量型圧力センサ13を直接搭載するので、配線12と静電容量型圧力センサ13との間の電気的な接続の信頼性が高い。さらに、本実施の形態に係るボタン型入力装置は、キー部材11内に静電容量型圧力センサ13を搭載して一体化させているので、静電容量型圧力センサを設置するスペースを別に設ける必要がなく、小型化を図ることができる。さらに、静電容量型圧力センサを交換する際に、キー部材11毎交換することができ、メンテナンスが容易である。
【0032】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2に係るボタン型入力装置を装着した被装着機器を示す図である。図5に示す被装着機器においては、コンタクトシート5上にボタン型入力装置1を装着している。すなわち、機器側基板上に、対向する一対の接触電極52を有するシート体51で構成されたコンタクトシート5を設け、その上にボタン型入力装置1を装着している。なお、ボタン型入力装置1の構成や製造方法については実施の形態1と同じである。また、コンタクトシート5の接触電極52は、機器側基板2の配線に電気的に接続されている。
【0033】
図5に示す構成を有する被装着機器は、通常のON/OFFスイッチとしての機能と、アナログ入力としての機能とを併せ持つ。このため、ON/OFFスイッチの信号検出と、アナログ入力の信号検出とを切り替えることにより、ON/OFFスイッチ及びアナログ入力素子として利用することが可能となる。すなわち、通常のON/OFFスイッチにおいては、例えば、通常の状態がスイッチOFF状態であり、ボタン型入力装置1のキー部材11が押圧され、その圧力によりコンタクトシート5の接触電極52が接触したときがスイッチON状態である。一方、アナログ入力素子においては、実施の形態1で説明したように、押圧力に応じてアナログ出力(圧力)を得ることができる。
【0034】
これにより、本実施の形態に係るボタン型入力装置を様々なアプリケーションにおける操作ボタンとして利用することができる。また、本実施の形態に係るボタン型入力装置も、キー部材11内に静電容量型圧力センサ13を搭載して一体化させているので、静電容量型圧力センサを設置するスペースを別に設ける必要がなく、小型化を図ることができる。
【0035】
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3に係るボタン型入力装置を装着した被装着機器を示す図である。図6に示す被装着機器においては、機器側基板上に入力装置ユニット13〜16を装着し、その上にコンタクトシート5を配置し、その上にキー部材11を配置している。すなわち、枠部材16内に機器側基板の配線と電気的に接続するように静電容量型圧力センサ13を搭載し、枠部材16内に液体14を充填して閉塞部材15で枠部材16を封止し、閉塞部材15上にコンタクトシート5を配置する。
【0036】
このような構成を有する被装着機器も、通常のON/OFFスイッチとしての機能と、アナログ入力としての機能とを併せ持つ。すなわち、通常のON/OFFスイッチにおいては、例えば、通常の状態がスイッチOFF状態であり、ボタン型入力装置1のキー部材11が押圧され、その圧力によりコンタクトシート5の接触電極52が接触したときがスイッチON状態である。一方、アナログ入力素子においては、実施の形態1で説明したように、押圧力に応じてアナログ出力(圧力)を得ることができる。これにより、本実施の形態に係るボタン型入力装置を様々なアプリケーションにおける操作ボタンとして利用することができる。
【0037】
本発明は上記実施の形態1〜3に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態1,2においては、ボタン型入力装置1から被装着機器に信号を引き出す部材としてリード4を用いた場合について説明しているが、本発明においては、ボタン型入力装置1のキー部材11を所定の位置まで押圧した際に、ボタン型入力装置1の配線12と機器側基板2の電極とが電気的に接触する機構を設けて、ボタン型入力装置1から被装着機器に信号を引き出すようにしても良い。
【0038】
また、上記実施の形態1〜3においては、ボタン型入力装置1におけるセンサとして静電容量型圧力センサを用いた場合について説明しているが、本発明においては、ピエゾ型圧力センサを用いても良い。
【0039】
また、本発明において、静電容量型圧力センサにおけるガラス基板、シリコン基板、可動電極、固定電極及び接続部材の構造、形状については、目的の範囲を逸脱しない限りにおいて特に限定されない。また、上記実施の形態で説明した材質などについては特に制限はない。また、上記実施の形態におけるエッチングや被着処理については通常用いられる条件で行う。また、上記実施の形態で説明したプロセスについてはこれに限定されず、工程間の適宜順序を変えて実施しても良い。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態1に係るボタン型入力装置を装着した被装着機器を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るボタン型入力装置を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るボタン型入力装置の静電容量型圧力センサを示す図である。
【図4】(a)〜(d)は、本発明の実施の形態1に係るボタン型入力装置の静電容量型圧力センサの製造方法を説明するための図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係るボタン型入力装置を装着した被装着機器を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係るボタン型入力装置を装着した被装着機器を示す図である。
【図7】従来のボタン型入力装置を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1 ボタン型入力装置
2 機器側基板
3 機器筐体
4 リード
11 キー部材
11a 凹部
12 配線
13 静電容量型圧力センサ
14 液体
15 閉塞部材
131 ガラス基板
132 接続部材
133 固定電極
134 シリコン基板
134a ダイヤフラム
135 キャビティ
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量を用いて圧力を検知する静電容量型圧力センサを備えたボタン型入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、押圧力を測定する圧力センサとしては、感圧ゴムや感圧エラストマーなどの圧力により抵抗が変化する材料を用いた圧力センサがある。また、半導体型圧力センサをエラストマーで覆った圧力センサがある(特許文献1)。この圧力センサは、図7に示すように、リード103をインサートした成形体101に、センサ素子102を搭載し、ワイヤボンディングを行い、エラストマー104を充填して構成されている。また、このような圧力センサを、押圧力を信号として取り出す入力装置に適用した例も知られている。
【特許文献1】特公平6−7078号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、感圧ゴムや感圧エラストマーを用いた圧力センサは、圧力に対する出力(抵抗)の精度が悪い。また、半導体型圧力センサをエラストマーで覆った圧力センサでは、エラストマー104が均一にセンサ素子を押圧しないので、センサ精度が悪いという問題がある。すなわち、押圧力を正確に信号として取り出すのが難しい。
また、このような圧力センサでは、ワイヤ102aがエラストマー104に埋め込まれており、エラストマー104を押圧すると、ワイヤ102aにそのまま圧力が加わり、ワイヤ102aを劣化させる恐れがあり、信頼性に劣るという問題もある。一方、圧力を伝える媒体として封入した液体を用いることによりセンサの精度は向上するが、この場合は、液体を封入するためにシール機構が必要となり、このためにセンサ部が大きくなり、小型の入力装置には向かない。
【0004】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、センサ精度が高く、しかも信頼性にも優れた圧力センサを用いた、小型の入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のボタン型入力装置は、液体を収容する凹部を有するキー部材と、前記凹部内に形成された配線と、前記凹部内で前記配線と電気的に接続されるように搭載され、前記キー部材に加わった圧力により前記液体を介して押圧される静電容量型の圧力センサと、前記凹部を閉塞する閉塞部材と、を具備し、前記圧力センサからの信号を外部の接続機器に出力するボタン型入力装置であって、前記圧力センサは、一方の主面が前記凹部と当接し、他方の主面上に固定電極を有するガラス基板と、可動電極を有し、前記可動電極が前記固定電極と間隔をおいて対向するように前記ガラス基板に接合されたシリコン基板と、を含み、前記ガラス基板は、前記配線と電気的に接続するように両主面で露出した接続部材を埋設しており、前記固定電極及び前記可動電極が前記接続部材を介して、前記一方の主面で前記配線と電気的に接続されていることを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、受圧部に加わった圧力が液体を介して静電容量型圧力センサの可動電極に伝達され、加圧された液体は均一に可動電極を押圧するのでセンサ精度が高い。また、本発明のボタン型入力装置の圧力センサ部においては、配線上に静電容量型圧力センサを搭載するので、配線と静電容量型圧力センサとの間の電気的な接続の信頼性が高い。また、圧力センサ部と配線との接続はガラス基板の一面で行われるので、液体のシール機構が簡単となり、かつシールも確実である。すなわち、小型で信頼性の高い入力装置を得ることができる。
【0007】
本発明のボタン型入力装置においては、前記接続部材がシリコン製部材であり、前記ガラス基板と前記シリコン基板との間の界面及び/又は前記ガラス基板と前記シリコン製部材との間の界面は、Si−Si結合又はSi−O結合を有することが好ましい。この構成によれば、シリコンとガラスとが強固に接合して、両者間の界面で非常に高い密着性を発揮するので、シリコン基板とガラス基板との間で構成されるキャビティ内の気密性を向上させることができる。これにより、押圧力に対応する力で可動電極を可動させることができるので、よりセンサ精度を高くすることが可能となる。
【0008】
本発明のボタン型入力装置においては、前記閉塞部材にスイッチユニットが取り付けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、液体を収容する凹部を有するキー部材と、前記凹部内に形成された配線と、前記凹部内で前記配線と電気的に接続されるように搭載され、前記キー部材に加わった圧力により前記液体を介して押圧される静電容量型の圧力センサと、前記凹部を閉塞する閉塞部材と、を具備し、前記圧力センサからの信号を外部の接続機器に出力するボタン型入力装置であって、前記圧力センサは、一方の主面が前記凹部と当接し、他方の主面上に固定電極を有するガラス基板と、可動電極を有し、前記可動電極が前記固定電極と間隔をおいて対向するように前記ガラス基板に接合されたシリコン基板と、を含み、前記ガラス基板は、前記配線と電気的に接続するように両主面で露出した接続部材を埋設しており、前記固定電極及び前記可動電極が前記接続部材を介して、前記一方の主面で前記配線と電気的に接続されているので、小型で、センサ精度が高く、しかも信頼性にも優れたボタン型入力装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るボタン型入力装置を装着した被装着機器を示す図である。図1に示すボタン型入力装置1は、被装着機器の機器側基板2に取り付けられている。また、このボタン型入力装置1は、そのキー部材11が機器筐体3の開口部3aから突出して押圧可能に設置されている。この被装着機器においては、ボタン型入力装置1の配線12と被装着機器の配線とを電気的に接続するためのリード4が設けられている。なお、リード4としては、押圧力によりボタン型入力装置1が機器側基板2に対して相対的に上下動するので、フレキシブルな材料で構成されることが望ましい。
【0011】
図2は、本発明の実施の形態1に係るボタン型入力装置を示す図である。ボタン型入力装置1は、液体を収容する凹部11aを有するキー部材11を備える。キー部材11の凹部11a内、ここでは、凹部11aの側壁及び底面に配線12が形成されている。この配線12は、一方が後述する静電容量型圧力センサ13の固定電極と電気的に接続され、他方が静電容量型圧力センサ13の可動電極と電気的に接続される。凹部11a内には、配線12と電気的に接続するように静電容量型圧力センサ13が搭載されている。また、凹部11a内には、液体14が充填されている。キー部材11には、凹部11aを閉塞するように閉塞部材15が取り付けられている。したがって、キー部材11の凹部11aと閉塞部材15とで構成される空間内に液体14が封止されている。
【0012】
図3は、本発明の実施の形態1に係るボタン型入力装置の静電容量型圧力センサを示す図である。図中131はガラス基板を示す。ガラス基板131は、対向する一対の主面131a,131bを有する。ガラス基板131には、シリコンで構成された接続部材132が埋設されている。接続部材132は、それぞれ固定電極及び可動電極との間の接続部材である。接続部材132は、ガラス基板131の両主面131a,131bでそれぞれ露出している。接続部材132としては、シリコン製部材であることが好ましい。
【0013】
ガラス基板131の主面131b上には、接続部材132の一方の露出部分と電気的に接続するように固定電極133が形成されている。また、ガラス基板131の主面131aでも、接続部材132が露出されている。すなわち、ガラス基板131は、配線12と電気的に接続するように両主面131a,131bで露出した接続部材132を埋設し、固定電極133及びダイヤフラムが接続部材132を介して配線12と電気的に接続されている。このように接続部材132が同一の主面131a上で露出していることにより、外部機器への接続が容易となる。
【0014】
ガラス基板131の主面131b上には、可動電極であるダイヤフラム134aを有するシリコン基板134が接合されている。ダイヤフラム134aは、シリコン基板134の両面からエッチングなどによりそれぞれ凹部を形成することにより設けられている。シリコン基板134のガラス基板接合面側の凹部は、少なくとも固定電極133を収容できる大きさを有しており、シリコン基板134をガラス基板131に接合することにより、キャビティ135を構成する。これにより、ダイヤフラム134aと固定電極133との間に所定の間隔が設けられ、ダイヤフラム134aと固定電極133との間に静電容量が発生する。ボタン型入力装置1においては、ダイヤフラム134aは、キー部材11に加わった圧力により液体14を介して押圧される。
【0015】
このように、静電容量型圧力センサ13は、一方の主面131aが配線12と電気的に接続するように凹部11aの底面と当接し、他方の主面131b上に固定電極133を有するガラス基板131と、ダイヤフラム134aが固定電極133と間隔をおいて対向するようにガラス基板131に接合されたシリコン基板134とを含む。
【0016】
シリコン基板134とガラス基板131との間の界面は、高い密着性を有することが好ましい。ガラス基板131にシリコン基板134を接合する場合には、ガラス基板131の接合面上にシリコン基板134を搭載し、陽極接合処理を施すことにより、シリコン基板134とガラス基板131との間の密着性を高くすることができる。このようにガラス基板131とシリコン基板134との界面で高い密着性を発揮することにより、キャビティ135内の気密性を高く保つことができる。
【0017】
ここで、陽極接合処理とは、所定の温度(例えば400℃以下)で所定の電圧(例えば300V〜1kV)を印加することにより、シリコンとガラスとの間に大きな静電引力が発生して、接触したガラス−シリコン界面で酸素を介した化学結合を形成される、もしくは、酸素の放出による共有結合を形成させる処理をいう。この界面での共有結合は、シリコンのSi原子とガラスに含まれるSi原子との間のSi−Si結合又はSi−O結合である。したがって、このSi−Si結合又はSi−O結合により、シリコンとガラスとが強固に接合して、両者間の界面で非常に高い密着性を発揮する。このような陽極接合を効率良く行うために、ガラス基板131のガラス材料としては、ナトリウムなどのアルカリ金属を含むガラス材料(例えばパイレックス(登録商標)ガラス)であることが好ましい。
【0018】
これは、ガラス基板131と接続部材132との間の界面においても同様である。すなわち、ガラス基板131に接続部材132を埋め込んで、陽極接合処理を施すことにより、密着性を高くすることができる。このようにガラス基板131と接続部材132との界面と、ガラス基板131とシリコン基板134との界面とで高い密着性を発揮することにより、キャビティ135内の気密性を高く保つことができる。
【0019】
図2に示すボタン型入力装置1において、キー部材11を樹脂材料による成形で構成し、その後に配線12を設けても良く、インサートモールドなどの方法により配線12とキー部材11とを一体に成形しても良い。液体14としては、シリコーンオイルなどを用いることができる。また、閉塞部材15としては、静電容量型圧力センサ13に圧力を効率良く伝達するためにエラストマーなどの弾性材料で構成されることが好ましい。また、配線12上に静電容量型圧力センサ13を搭載する場合、フェースダウンにより実装しても良く、導電性接着剤を用いて接着しても良い。
【0020】
図2に示すボタン型入力装置1においては、受圧部である閉塞部材15に圧力が加わると、その圧力が液体14を介して静電容量型圧力センサ13のダイヤフラム134aに伝達される。静電容量型圧力センサ13では、ダイヤフラム134aと固定電極133との間に所定の静電容量を有するので、ダイヤフラム134aに圧力が伝達されると、ダイヤフラム134aと固定電極133との間の静電容量が変化する。したがって、この静電容量をパラメータとして、その変化を圧力変化とすることができる。
【0021】
図1に示すボタン型入力装置1を操作ボタンとして装着した被装着機器、例えば携帯電話において、ボタン型入力装置1のキー部材11を指などで押圧すると(図1において上方から押圧すると)、機器側基板2及び受圧部である閉塞部材15に反力が生じ、この反力により液体14を介して圧力が静電容量型圧力センサ13のダイヤフラム134aに伝達される。静電容量型圧力センサ13では、ダイヤフラム134aと固定電極133との間に所定の静電容量を有するので、ダイヤフラム134aに圧力が伝達されると、ダイヤフラム134aと固定電極133との間の静電容量が変化する。この静電容量の変化は、配線12を介してリード4から出力される。この静電容量をパラメータとして、その変化を圧力変化とすることができる。したがって、ボタン型入力装置1により、静電容量型圧力センサ13からの信号を外部の接続機器に出力することができる。
【0022】
本発明のボタン型入力装置においては、受圧部に加わった圧力が液体14を介して静電容量型圧力センサのダイヤフラム134aに伝達される。このとき、加圧された液体14は均一にダイヤフラム134aを押圧するのでセンサ精度が高い。また、本発明のボタン型入力装置においては、配線12上に静電容量型圧力センサ13を直接搭載するので、配線12と静電容量型圧力センサ13との間の電気的な接続の信頼性が高い。さらに、本実施の形態に係るボタン型入力装置は、キー部材11内に静電容量型圧力センサ13を搭載して一体化させているので、静電容量型圧力センサを設置するスペースを別に設ける必要がなく、小型化を図ることができる。また、静電容量型圧力センサを交換する際に、キー部材11毎交換することができ、メンテナンスが容易である。
【0023】
次に、本実施の形態のボタン型入力装置の製造方法について説明する。図4(a)〜(d)は、本発明の実施の形態に係るボタン型入力装置の静電容量型圧力センサの製造方法を説明するための断面図である。
【0024】
まず、不純物をドーピングして低抵抗化したシリコン基板132を準備する。不純物としては、n型不純物でも良く、p型不純物でも良い。抵抗率としては、例えば0.01Ω・cm程度とする。そして、図4(a)に示すように、このシリコン基板132の一方の主面をエッチングして接続部材用の凸部132aを形成する。この場合、シリコン基板132上にレジスト膜を形成し、凸部形成領域にレジスト膜が残るように、そのレジスト膜をパターニング(フォトリソグラフィー)し、そのレジスト膜をマスクとしてシリコンをエッチングし、その後残存したレジスト膜を除去する。このようにして凸部132aを設ける。なお、エッチングとしては、ドライエッチングを用いる。
【0025】
次いで、図4(b)に示すように、凸部132aを形成したシリコン基板132上にガラス基板131を置き、真空下で、このシリコン基板132及びガラス基板131を加熱し、シリコン基板132をガラス基板131に押圧して凸部132aをガラス基板131に押し込んで、シリコン基板132とガラス基板131とを接合する。このときの温度は、シリコンの融点以下であって、ガラスが変形可能である温度(例えば、ガラスの軟化点温度以下)が好ましい。例えば加熱温度は約800℃である。
【0026】
さらに、シリコン基板132の凸部132aとガラス基板131との界面での密着性をより高めるために、陽極接合処理をすることが好ましい。この場合、シリコン基板132及びガラス基板131にそれぞれ電極をつけて、約400℃以下の加熱下で約300V〜1kVの電圧を印加することにより行う。これにより両者の界面での密着性がより高くなり、静電容量型加速度センサのキャビティ135の気密性を向上させることができる。次いで、ガラス基板131の両主面を研磨処理(ラップ加工)して、接続部材132を主面131a,131bで露出させる。
【0027】
次いで、図4(c)に示すように、ガラス基板131の主面131b上に固定電極133を形成する。この場合、ガラス基板131の主面131b上に電極材料を被着し、その上にレジスト膜を形成し、固定電極形成領域にレジスト膜が残るように、そのレジスト膜をパターニング(フォトリソグラフィー)し、そのレジスト膜をマスクとして電極材料をエッチングし、その後残存したレジスト膜を除去する。このようにして固定電極133を設ける。
【0028】
次いで、図4(d)に示すように、あらかじめキャビティ用の凹部を形成してダイヤフラム134aを形成したシリコン基板134を、その凹部がガラス基板131に対向するようにして、ガラス基板131に接合する。このとき、シリコン基板134及びガラス基板131に対して、約400℃以下の加熱下で約500V程度の電圧を印加することにより陽極接合処理を行う。これによりシリコン基板134とガラス基板131との間の界面での密着性がより高くなり、キャビティ135の気密性を向上させることができる。これにより、ガラス基板131の凹部とシリコン基板134との間にキャビティ135が形成される。そして、このキャビティ135内に固定電極133が位置する。
【0029】
次いで、凹部11a内に配線12を有するキー部材11をインサート成形により作製する。次いで、上記のようにして得られた静電容量型圧力センサ13を、接続部材132と配線12とが電気的に接続するように配線12上に搭載する。次いで、キー部材11の凹部11aを液体14で満たす。そして、閉塞部材15をキー部材11に取り付けて、静電容量型圧力センサ13を搭載した凹部11aを封止する。このようにしてボタン型入力装置1を製造する。最後に、得られたボタン型入力装置1を、図1に示すように、機器側基板2と機器筐体3との間に設置する。
【0030】
このようにして得られたボタン型入力装置は、可動電極であるダイヤフラム134a及び固定電極133が接続部材132を介して配線12とそれぞれ電気的に接続されている。したがって、ダイヤフラム134aと固定電極133との間で検知された静電容量の変化の信号は、接続部材132を介して配線12を経てリード4から取得することができる。この信号に基づいて測定圧力を算出することができる。
【0031】
このボタン型入力装置においては、受圧部に加わった圧力が液体14を介して静電容量型圧力センサ13のダイヤフラム134aに伝達され、加圧された液体14は均一にダイヤフラム134aを押圧するのでセンサ精度が高い。また、本発明のボタン型入力装置においては、配線12上に静電容量型圧力センサ13を直接搭載するので、配線12と静電容量型圧力センサ13との間の電気的な接続の信頼性が高い。さらに、本実施の形態に係るボタン型入力装置は、キー部材11内に静電容量型圧力センサ13を搭載して一体化させているので、静電容量型圧力センサを設置するスペースを別に設ける必要がなく、小型化を図ることができる。さらに、静電容量型圧力センサを交換する際に、キー部材11毎交換することができ、メンテナンスが容易である。
【0032】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2に係るボタン型入力装置を装着した被装着機器を示す図である。図5に示す被装着機器においては、コンタクトシート5上にボタン型入力装置1を装着している。すなわち、機器側基板上に、対向する一対の接触電極52を有するシート体51で構成されたコンタクトシート5を設け、その上にボタン型入力装置1を装着している。なお、ボタン型入力装置1の構成や製造方法については実施の形態1と同じである。また、コンタクトシート5の接触電極52は、機器側基板2の配線に電気的に接続されている。
【0033】
図5に示す構成を有する被装着機器は、通常のON/OFFスイッチとしての機能と、アナログ入力としての機能とを併せ持つ。このため、ON/OFFスイッチの信号検出と、アナログ入力の信号検出とを切り替えることにより、ON/OFFスイッチ及びアナログ入力素子として利用することが可能となる。すなわち、通常のON/OFFスイッチにおいては、例えば、通常の状態がスイッチOFF状態であり、ボタン型入力装置1のキー部材11が押圧され、その圧力によりコンタクトシート5の接触電極52が接触したときがスイッチON状態である。一方、アナログ入力素子においては、実施の形態1で説明したように、押圧力に応じてアナログ出力(圧力)を得ることができる。
【0034】
これにより、本実施の形態に係るボタン型入力装置を様々なアプリケーションにおける操作ボタンとして利用することができる。また、本実施の形態に係るボタン型入力装置も、キー部材11内に静電容量型圧力センサ13を搭載して一体化させているので、静電容量型圧力センサを設置するスペースを別に設ける必要がなく、小型化を図ることができる。
【0035】
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3に係るボタン型入力装置を装着した被装着機器を示す図である。図6に示す被装着機器においては、機器側基板上に入力装置ユニット13〜16を装着し、その上にコンタクトシート5を配置し、その上にキー部材11を配置している。すなわち、枠部材16内に機器側基板の配線と電気的に接続するように静電容量型圧力センサ13を搭載し、枠部材16内に液体14を充填して閉塞部材15で枠部材16を封止し、閉塞部材15上にコンタクトシート5を配置する。
【0036】
このような構成を有する被装着機器も、通常のON/OFFスイッチとしての機能と、アナログ入力としての機能とを併せ持つ。すなわち、通常のON/OFFスイッチにおいては、例えば、通常の状態がスイッチOFF状態であり、ボタン型入力装置1のキー部材11が押圧され、その圧力によりコンタクトシート5の接触電極52が接触したときがスイッチON状態である。一方、アナログ入力素子においては、実施の形態1で説明したように、押圧力に応じてアナログ出力(圧力)を得ることができる。これにより、本実施の形態に係るボタン型入力装置を様々なアプリケーションにおける操作ボタンとして利用することができる。
【0037】
本発明は上記実施の形態1〜3に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態1,2においては、ボタン型入力装置1から被装着機器に信号を引き出す部材としてリード4を用いた場合について説明しているが、本発明においては、ボタン型入力装置1のキー部材11を所定の位置まで押圧した際に、ボタン型入力装置1の配線12と機器側基板2の電極とが電気的に接触する機構を設けて、ボタン型入力装置1から被装着機器に信号を引き出すようにしても良い。
【0038】
また、上記実施の形態1〜3においては、ボタン型入力装置1におけるセンサとして静電容量型圧力センサを用いた場合について説明しているが、本発明においては、ピエゾ型圧力センサを用いても良い。
【0039】
また、本発明において、静電容量型圧力センサにおけるガラス基板、シリコン基板、可動電極、固定電極及び接続部材の構造、形状については、目的の範囲を逸脱しない限りにおいて特に限定されない。また、上記実施の形態で説明した材質などについては特に制限はない。また、上記実施の形態におけるエッチングや被着処理については通常用いられる条件で行う。また、上記実施の形態で説明したプロセスについてはこれに限定されず、工程間の適宜順序を変えて実施しても良い。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態1に係るボタン型入力装置を装着した被装着機器を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るボタン型入力装置を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るボタン型入力装置の静電容量型圧力センサを示す図である。
【図4】(a)〜(d)は、本発明の実施の形態1に係るボタン型入力装置の静電容量型圧力センサの製造方法を説明するための図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係るボタン型入力装置を装着した被装着機器を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係るボタン型入力装置を装着した被装着機器を示す図である。
【図7】従来のボタン型入力装置を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1 ボタン型入力装置
2 機器側基板
3 機器筐体
4 リード
11 キー部材
11a 凹部
12 配線
13 静電容量型圧力センサ
14 液体
15 閉塞部材
131 ガラス基板
132 接続部材
133 固定電極
134 シリコン基板
134a ダイヤフラム
135 キャビティ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する凹部を有するキー部材と、前記凹部内に形成された配線と、前記凹部内で前記配線と電気的に接続されるように搭載され、前記キー部材に加わった圧力により前記液体を介して押圧される静電容量型の圧力センサと、前記凹部を閉塞する閉塞部材と、を具備し、前記圧力センサからの信号を外部の接続機器に出力するボタン型入力装置であって、前記圧力センサは、一方の主面が前記凹部と当接し、他方の主面上に固定電極を有するガラス基板と、可動電極を有し、前記可動電極が前記固定電極と間隔をおいて対向するように前記ガラス基板に接合されたシリコン基板と、を含み、前記ガラス基板は、前記配線と電気的に接続するように両主面で露出した接続部材を埋設しており、前記固定電極及び前記可動電極が前記接続部材を介して、前記一方の主面で前記配線と電気的に接続されていることを特徴とするボタン型入力装置。
【請求項2】
前記接続部材がシリコン製部材であり、前記ガラス基板と前記シリコン基板との間の界面及び/又は前記ガラス基板と前記シリコン製部材との間の界面は、Si−Si結合又はSi−O結合を有することを特徴とする請求項1記載のボタン型入力装置。
【請求項3】
前記閉塞部材にスイッチユニットが取り付けられていることを特徴とする請求項1から請求項2のいずれかに記載のボタン型入力装置。
【請求項1】
液体を収容する凹部を有するキー部材と、前記凹部内に形成された配線と、前記凹部内で前記配線と電気的に接続されるように搭載され、前記キー部材に加わった圧力により前記液体を介して押圧される静電容量型の圧力センサと、前記凹部を閉塞する閉塞部材と、を具備し、前記圧力センサからの信号を外部の接続機器に出力するボタン型入力装置であって、前記圧力センサは、一方の主面が前記凹部と当接し、他方の主面上に固定電極を有するガラス基板と、可動電極を有し、前記可動電極が前記固定電極と間隔をおいて対向するように前記ガラス基板に接合されたシリコン基板と、を含み、前記ガラス基板は、前記配線と電気的に接続するように両主面で露出した接続部材を埋設しており、前記固定電極及び前記可動電極が前記接続部材を介して、前記一方の主面で前記配線と電気的に接続されていることを特徴とするボタン型入力装置。
【請求項2】
前記接続部材がシリコン製部材であり、前記ガラス基板と前記シリコン基板との間の界面及び/又は前記ガラス基板と前記シリコン製部材との間の界面は、Si−Si結合又はSi−O結合を有することを特徴とする請求項1記載のボタン型入力装置。
【請求項3】
前記閉塞部材にスイッチユニットが取り付けられていることを特徴とする請求項1から請求項2のいずれかに記載のボタン型入力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2008−53022(P2008−53022A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−227353(P2006−227353)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
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