説明

ボタン形アルカリ電池の製造方法

【課題】無水銀の亜鉛または亜鉛合金を負極活物質として用いるボタン形アルカリ電池であって、簡易な工程で製造できるようにするとともに、電池内における水素ガスの発生を抑制して、貯蔵中の容量劣化が少ないボタン形アルカリ電池を製造する方法を提供する。
【解決手段】無水銀の亜鉛または亜鉛合金を活物質とする負極3が、負極封口体5の内面に接するボタン形アルカリ電池の製造方法であって、インジウム化合物、ビスマス化合物およびスズ化合物のうち少なくとも1種を溶解したアルカリ電解質を用い、前記封口体の内面に負極を配置する工程と、前記封口体の内面に、亜鉛層と、インジウム、ビスマスおよびスズのうち少なくとも1種を含む偏析相とを有する金属層7を形成させる工程とを経由して、前記金属層に、インジウム、ビスマスまたはスズを、亜鉛との総量中で0.01質量%以上含有させることを特徴とするボタン形アルカリ電池の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負極活物質として無水銀の亜鉛または亜鉛合金を用いるボタン形アルカリ電池の製造方法に関し、さらに詳しくは、簡易な工程で製造できるとともに、電池内における水素ガスの発生を抑制し、貯蔵中の容量劣化が少ないボタン形アルカリ電池の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボタン形アルカリ電池の貯蔵中におけるガス発生は2種類ある。そのうちの一つは、負極活物質である亜鉛の腐食による水素ガスの発生であり、他の一つは、負極が負極端子を兼ねる負極封口体の内面に接触する構造であるために、負極活物質の亜鉛と封口体の内面との間に形成される局部電池の反応に基づく水素ガスの発生である。そのため、従来のボタン形アルカリ電池では、負極活物質として水銀でアマルガム化した亜鉛を用いて、上記亜鉛の腐食による水素ガスの発生や局部電池の形成による水素ガスの発生を抑制していた。すなわち、水銀でアマルガム化した亜鉛を負極活物質として用いた場合には、水銀によって亜鉛の腐食が抑制される上に、上記局部電池の形成によって溶解した亜鉛が封口体の内面に析出して亜鉛メッキ層を形成し、次いで、亜鉛中の水銀が固相拡散により上記亜鉛メッキ層に移行して、封口体内面に高い水素過電圧と耐腐食性を有する亜鉛−水銀の合金メッキ層が形成されるので、それによって、前述した局部電池の形成が抑制され、また新たに形成された亜鉛メッキ層の再腐食も抑制されるようになるのである。
【0003】
ところで、最近は、環境汚染防止の観点から、亜鉛の無水銀化が強く要請され、無水銀であっても自己腐食の少ない亜鉛が製造されるようになり、筒形のアルカリ乾電池では、負極が封口体に接触しないので、前記ボタン形アルカリ電池におけるような負極と封口体との間の局部電池の形成がないため、既に無水銀化が達成されている。しかしながら、ボタン形アルカリ電池では、負極が封口体に接触する構造であるため、負極活物質として無水銀の亜鉛を用いると、特に前記の局部電池の形成により、高温貯蔵時に電池のふくれや容量劣化が引き起こされるという問題が発生する。
【0004】
すなわち、無水銀亜鉛の腐食反応は、亜鉛中にアルミニウム、ビスマス、インジウムなどの元素を添加し、亜鉛自体の耐腐食性を高めることによって抑制することができるものの、負極と負極封口体の内面との材質の相違により、前記と同様に、亜鉛の溶解およびその溶解した亜鉛の封口体内面への析出が生じ、負極封口体の内面に亜鉛層が形成され、この亜鉛が、アルカリ電解液に腐食されやすいため、無水銀の亜鉛を負極活物質として用いたボタン形アルカリ電池では、一旦、負極封口体の内面に析出した亜鉛が再び腐食されて水素ガスが発生し、貯蔵中の容量劣化などが生じるのである。
【0005】
上記問題を解決するため、電池組立前に、封口体内面の負極と接する部分に、あらかじめメッキや蒸着により、亜鉛、スズ、鉛、インジウムなどの水素過電圧の高い元素からなる金属層を形成する方法や、前記金属層を有するクラッド材を用いる方法などが提案されている(特許文献1〜4)。
【0006】
ところが、上記のように電池組立前に、負極封口体内面にあらかじめ金属層を形成しておく方法では、封口体へのメッキ工程など特別な工程が必要とされ、さらに、封口体内面を完全にメッキ膜で被覆していない場合には、貯蔵特性が悪くなるという問題があった(特許文献4:段落0018)。
【0007】
また、上記金属層を有するクラッド材を用いる場合は、金属層の厚さを10μm以上とすることが求められており(特許文献3:段落0009)、金属層が亜鉛層である場合の具体例として、15μmとかなり厚い亜鉛層を形成した電池が作製されている(特許文献1:実施例6)。
【0008】
このように、金属層の形成を、封口体内面に負極を配置する前に行う方法では、工程が複雑化するだけでなく、金属層の均一形成という品質管理面でも問題が生じ、また、工程の簡略化のためにクラッド材を用いる場合にも、金属層が厚くなることによって電池の内容積が減少するという問題があった。
【0009】
【特許文献1】特開平5−266881号公報
【特許文献2】特許第3018771号公報
【特許文献3】特開平6−163026号公報
【特許文献4】特開2000−156207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決し、無水銀の亜鉛または亜鉛合金を負極活物質として用いるボタン形アルカリ電池であって、簡易な工程で製造できるようにするとともに、電池内における水素ガスの発生を抑制して、貯蔵中の容量劣化が少ないボタン形アルカリ電池を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、無水銀の亜鉛または亜鉛合金を活物質とする負極が、負極封口体の内面に接するボタン形アルカリ電池を、インジウム化合物、ビスマス化合物およびスズ化合物のうち少なくとも1種を溶解したアルカリ電解質を用い、前記封口体の内面に負極を配置する工程と、前記封口体の内面に、亜鉛層と、インジウム、ビスマスおよびスズのうち少なくとも1種を含む偏析相とを有する金属層を形成させる工程とを経由して、前記金属層に、インジウム、ビスマスまたはスズを、亜鉛との総量中で0.01質量%以上含有させて製造することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡易な工程で製造できるとともに、電池内における水素ガスの発生を抑制し、貯蔵中の容量劣化が少ないボタン形アルカリ電池を提供することができる。
【0013】
すなわち、本発明においては、負極封口体の内面に亜鉛層と、インジウム、ビスマスおよびスズのうち少なくとも1種を含む偏析相とを含む金属層を形成するが、その金属層における偏析相が負極封口体の内面に形成された亜鉛層の亜鉛の腐食を抑制して、電池内における水素ガスの発生を抑制し、電池の貯蔵中における容量劣化を抑制する。また、電池内における水素ガスの発生が抑制されることによって電池の耐漏液性も向上するので、本発明によれば、貯蔵中における容量劣化が抑制されることと相俟って、電池の信頼性が向上する。
【0014】
また、本発明によれば、上記電池を、アルカリ電解質として、インジウム化合物、ビスマス化合物およびスズ化合物のうち少なくとも1種を溶解したアルカリ電解質を用い、前記封口体の内面に負極を配置するのと、前記封口体の内面に、亜鉛層と、インジウム、ビスマスおよびスズのうち少なくとも1種を含む偏析相とを有する金属層を形成するという簡易な工程で製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係る電池は、無水銀の亜鉛または亜鉛合金を活物質とする負極が、負極封口体の内面に接するボタン形アルカリ電池において、前記封口体の内面に、亜鉛層と、インジウム、ビスマスおよびスズのうち少なくとも1種を含む偏析相とを有する金属層が形成されていることを特徴とするものであることから、まず、この負極封口体について説明する。
【0016】
ボタン形アルカリ電池において、負極を収容する部材は、金属製で、負極端子を兼ねるとともに、正極を収容した外装体を封口する役割も担っている。そのため、電池業界では、上記負極を収容する部材を、負極端子板とか、封口板とか、負極缶とか、負極封口体とか、種々の名称で呼ばれているが、本明細書では、この部材を負極封口体と表現する。また、本明細書では、前記負極封口体を簡略化して封口体のみで表す場合があるが、その場合ももちろん負極封口体を意味している。
【0017】
このボタン形アルカリ電池の負極封口体の多くは、三層構造をしていて、その本体部分はステンレス鋼で構成され、負極と接する内面側は銅または黄銅などの銅合金で構成され、外面側はニッケルで構成されていて、通常、銅または銅合金−ステンレス鋼−ニッケルの三層クラッド板が用いられ、その銅または銅合金層が負極と接する内面側に配置し、ニッケル層が外面側に配置するようにして用いられる。ただし、上記のような三層クラッド板を用いることは必ずしも必要とされるものではなく、例えば、ステンレス鋼の一方の面に銅または銅合金のメッキをし、他方の面にニッケルをメッキしたものでもよい。この負極封口体において、内面側を銅または銅合金で構成するのは、負極活物質の亜鉛との局部電池の形成を抑制するためであるが、本体部分をステンレス鋼で構成することや外面側をニッケルで構成することは必ずしも必要でなく、他の材料で構成してもよいし、また、内面側も必ずしも銅または銅合金でなくてもよい。
【0018】
次に負極について説明するが、この負極は、無水銀の亜鉛または亜鉛合金を負極活物質とし、アルカリ電解質を含んで構成される。アルカリ電解質は、一般にアルカリ電解液と呼ばれている液状のものであってもよいし、また、必要に応じて、ポリアクリル酸ソーダ、カルボキシメチルセルロースなどのゲル化剤を用いてアルカリ電解液をゲル化したものであってもよい。そして、この負極には、負極活物質の亜鉛または亜鉛合金の腐食をできる限り抑制するために、あらかじめインジウム化合物、ビスマス化合物およびスズ化合物のうち少なくとも1種を含有させておくことが好ましい。
【0019】
上記インジウム化合物は、特に限定されるものではなく、例えば、水酸化インジウム、酸化インジウム、硫酸インジウム、硫化インジウム、硝酸インジウム、臭化インジウム、塩化インジウムなど種々のインジウム化合物を用いることができるが、それらのうち、特に水酸化インジウムや酸化インジウムが好適に用いられる。負極中のインジウム化合物の量は、負極活物質100質量部に対して0.1質量部以上とするのが好ましく、また、5質量部以下とするのが好ましく、3質量部以下とするのがより好ましい。
【0020】
また、ビスマス化合物やスズ化合物も、上記インジウム化合物の場合と同様に、それらの水酸化物、酸化物、硫酸化合物など種々の化合物を用いることができ、その負極中の量も、インジウム化合物の場合と同様にするのが好ましい。
【0021】
上記アルカリ電解質の基材となるアルカリ電解液は、基本的には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属の水酸化物を水に溶解し、さらに、必要に応じて酸化亜鉛を添加したものが用いられる。上記水酸化物は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。本発明においては、このアルカリ電解液に、インジウム、ビスマスおよびスズのうち少なくとも1種の元素を含有させておくことが好ましい。アルカリ電解液に上記元素があらかじめ含有されていると、負極封口体の内面にインジウム、ビスマスおよびスズのうち少なくとも1種の元素の微小な偏析相が分散して形成されやすくなるからである。
【0022】
アルカリ電解液にインジウムを含有させるには、例えば、水酸化インジウム、酸化インジウム、硫酸インジウム、硫化インジウム、硝酸インジウム、臭化インジウム、塩化インジウムなどのインジウム化合物を溶解させるのがよく、その種類は特に限定されるものではないが、上記化合物のうち、特に水酸化インジウムが好適に用いられる。また、インジウム化合物をより効果的に溶解させるためには、アルカリ電解液が水酸化ナトリウムを含むものであることが好ましい。
【0023】
また、ビスマス化合物やスズ化合物も、特に限定されることはなく、例えば、それらの水酸化物、酸化物、硫酸化合物など、インジウム化合物の場合と同様に種々の化合物を用いることができる。また、このビスマス化合物やスズ化合物を効果的に溶解させるためには、アルカリ電解液が水酸化ナトリウムを含むものであることが好ましい。
【0024】
さらに、アルカリ電解液には、上記の各成分の他に、負荷特性などの改善のため、必要に応じて、チタン酸化物などのチタン化合物、ジルコニウム酸化物などのジルコニウム化合物、ケイ酸化合物など各種添加剤を添加してもよい。
【0025】
アルカリ電解液中のアルカリ金属の水酸化物の濃度は、通常、20質量%以上40質量%以下(より好ましくは35質量%以下)が好ましい。これは、アルカリ金属の水酸化物の濃度を上記範囲内に調整することで、電解液のイオン伝導度が向上するからである。
【0026】
なお、アルカリ電解液中のインジウム、ビスマスまたはスズの濃度は、偏析相を充分に形成させるために、100ppm以上とすることが好ましく、400ppm以上とすることがより好ましく、700ppm以上とすることがさらに好ましい。ただし、インジウム化合物やビスマス化合物はアルカリ水溶液に溶解しにくく、上記濃度のアルカリ電解液とインジウム化合物やビスマス化合物を単に混合した場合は、せいぜい20ppm以下の濃度でしか溶解させることができない。そのため、本発明においては、インジウムまたはビスマスを高濃度に溶解したアルカリ電解液を調製するため、好適な実施態様として、以下に示す方法を採用する。
【0027】
まず、実際に用いるアルカリ電解液を調製するために必要とされる量のアルカリ金属の水酸化物を、同じくアルカリ電解液の調製に必要とされる量の水のうちの一部とともに混合して溶解し、必要とされる濃度よりも高濃度のアルカリ水溶液を調製する。このとき用いる水の量は、全体の15質量%以上、より好ましくは20質量%以上であって、75質量%以下、より好ましくは60質量%以下とすることが好ましく、調製される電解液のアルカリ濃度は、45質量%以上とすることが好ましい。要は、アルカリ金属の水酸化物を全て溶解することが可能な範囲内でできるだけ少ない量の水を用いることが好ましい。このようにして調製される高濃度のアルカリ水溶液は、インジウム化合物やビスマス化合物を溶解させやすく、高濃度にインジウムやビスマスを溶解したアルカリ電解液を容易に調製することができる。ただし、上記例示の方法に限られることはない。
【0028】
なお、上記アルカリ金属の水酸化物を溶解させる過程において、水和による発熱のため水溶液の液温が数十℃に上昇する。このため、室温で飽和濃度となる約50重量%を超える濃度のアルカリ水溶液を容易に調製することができ、インジウム化合物やビスマス化合物をより一層容易に溶解させることができる。すなわち、アルカリ金属の水酸化物とともに、あるいは、アルカリ金属の水酸化物の溶解が完了した段階でインジウム化合物やビスマス化合物を投入して混合すれば、高温で高濃度のアルカリ水溶液により容易にインジウム化合物やビスマス化合物の溶解が進行して、高濃度にインジウムまたはビスマスを含有するアルカリ電解液を調製することができる。また、酸化亜鉛などの添加剤を加える場合も、この時点で添加すれば容易に溶解させることができる。
【0029】
なお、投入するインジウム化合物やビスマス化合物の種類や量あるいは電解液の攪拌の程度によっては、添加した化合物が完全に溶解せず溶け残る場合もあるが、その場合、残存物を含んだままの電解液を用いてもよいし、ろ過してこれを取り除いてから用いてもよい。
【0030】
上記のようにして調製された高濃度のアルカリ電解液は、さらに残りの水を加えることにより、目的とする濃度のアルカリ電解液に調整される。この希釈工程は、1回で行ってもよいし、数回に分けて行ってもよい。
【0031】
上記アルカリ電解液において、インジウム、ビスマスまたはスズの濃度の上限は、特に限定されるものではないが、飽和濃度に近くなると溶解させるのが難しくなるため、実用的には1000ppm程度までのものを調製するのが好ましい。
【0032】
負極活物質および必要に応じて添加されるインジウム化合物、ビスマス化合物またはスズ化合物に、上記アルカリ電解質が加えられて負極が構成される。
【0033】
負極活物質として亜鉛合金を用いる場合は、少なくともインジウムを含有するものが好ましく、耐腐食性や負荷特性の点から、その含有量が100〜800ppmであるものが好適に用いられる。また、耐腐食性の点では、さらに、ビスマス、アルミニウム、カルシウムなどから選ばれる元素を含有するものが好ましく、ビスマスの含有量は10〜700ppmであることが好ましく、アルミニウムの含有量は0.5〜50ppmであることが好ましい。
【0034】
また、本発明に用いる亜鉛または亜鉛合金は、その粒度がそろっていることが好ましく、25〜300メッシュの程度とすることが好ましい。上記25〜300メッシュの粒度とは、25メッシュの篩いを通過し、300メッシュの篩いを通過しない粒度であることを意味している。
【0035】
上記負極は負極封口体の内面に配置されるが、負極が封口体の内面に接触することにより、亜鉛の溶解およびその溶解した亜鉛の封口体内面への析出が生じ、封口体の内面に亜鉛層が形成される。すなわち、内面に銅層または銅合金層が形成された封口体を用いた場合は、その銅層または銅合金層の表面上に亜鉛層が形成される。
【0036】
また、アルカリ電解液に含まれるインジウム、ビスマスまたはスズも、封口体の内面に析出し、多数の微小な偏析相を形成する。すなわち、封口体の内面には、亜鉛層と、インジウム、ビスマスおよびスズのうち少なくとも1種を含む偏析相とを有する金属層が形成される。前記金属層の表面に存在する偏析相の大きさは、通常100μm以下で、平均すると0.1〜10μm程度と微小であり、多数の偏析相が分散して存在することにより、金属層中のインジウム、ビスマスまたはスズの存在量がわずかであっても、前記亜鉛層の腐食を抑制する効果が高く、水素ガスの発生を効果的に防止することができる。
【0037】
本発明において、上記金属層の厚さは、偏析相の存在割合によっても異なるが、およそ10μm以下の薄いものであり、通常は0.5〜8μm程度のものである。また、亜鉛層には、インジウム、ビスマスまたはスズを含有する亜鉛合金を含んでいてもよく、亜鉛層の上に亜鉛合金層が形成され、さらに、その上に偏析相が形成されたものであってもよい。インジウムイオン、ビスマスイオンおよびスズイオンからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属イオンを含む前記アルカリ電解質を用いることにより、上記亜鉛合金層が形成されやすくなると思われ、母材中にこの亜鉛合金層を含むことにより、水素ガスの発生がより一層抑制されるものと思われる。
【0038】
偏析相の割合は、アルカリ電解液に含まれるインジウム、ビスマスまたはスズの濃度により変化し、それらの濃度を高めることにより、偏析相の割合を増加させることができる。封口体の内面に存在するインジウム、ビスマスおよびスズより選ばれる元素は、前記偏析相の効果を高めるために、そのいずれかの量が単位面積あたり0.001mg/cm以上であることが好ましく、0.005mg/cm以上であることがより好ましく、0.01mg/cm以上であることがさらに好ましい。一方、高率放電特性の点からは、電池内に存在する前記元素の量は少ない方がよいので、0.125mg/cm以下であることが好ましく、0.08mg/cm以下であることがより好ましく、0.05mg/cm以下であることがさらに好ましい。
【0039】
また、封口体の内面に存在するインジウム、ビスマスおよびスズより選ばれる元素は、前記偏析相の効果を高めるために、そのいずれかの量が、金属層の亜鉛との総量中0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることがさらに好ましい。一方、高率放電特性の点からは、30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。
【0040】
負極を封口体の内面に配置する方法として、例えば以下の方法を採用することができる。周縁部にガスケットが嵌合された封口体の内面に、負極活物質を装填し、さらにアルカリ電解質を注入して負極を形成させ、封口体の内面に負極が配置された状態とする。この状態になった段階で、前述した負極からの亜鉛の溶解およびその溶解した亜鉛の封口体内面への析出と、インジウム、ビスマスまたはスズより選ばれる少なくとも1種の元素を含む偏析相の析出が始まり、以下に述べる電池組立の間、あるいは、さらにその後のエージングの間に、亜鉛層と偏析相とを有する金属層が、封口体の内面の負極との間に形成される。すなわち、内面に銅層または銅合金層が有する封口体を用いた場合は、その銅層または銅合金層上に前記金属層が形成される。
【0041】
一方、外装体の内部に配置される正極は、酸化第一銀、二酸化マンガン、酸化第二銀、オキシ水酸化ニッケル、銀とニッケル、コバルトまたはビスマスとの複合酸化物などの正極活物質と、カーボンブラック、グラファイト、黒鉛のような導電助剤との混合粉末、要すれば、さらにポリテトラフルオロエチレンなどの結着剤を含んだ混合粉末にアルカリ電解液を含浸させてなる合剤である。通常、正極活物質や導電助剤などを含む混合粉末を円板状に加圧成形してなる成形体を外装体内部に配置し、その上にセパレータを重ねた後、アルカリ電解液をセパレータおよび成形体に含浸させ、外装体の内部に正極が配置された状態とする。セパレータとしては、例えば親水処理された微孔性ポリプロピレンフィルムとセロファンフィルムとビニロン−レーヨン混抄紙のような吸液層とを積み重ねたものが用いられる。
【0042】
また、負極の構成にあたって用いるアルカリ電解質と、正極あるいはセパレータに含浸させるアルカリ電解質とは、異なる組成であってもよく、例えば、負極の構成に用いるアルカリ電解質のアルカリ濃度をより高くし、インジウム、ビスマスまたはスズの溶解量をより高めたアルカリ電解質を負極側に用いてもよい。
【0043】
内面に負極が配置された前記封口体に、内部に正極が配置された前記外装体を嵌合し、封口することにより、ボタン形アルカリ電池が組み立てられる。
【0044】
図1は本発明に係るボタン形アルカリ電池の一例を概略的に示す部分断面図であり、図2は図1中の要部拡大図である。
【0045】
図中、1は酸化第一銀、二酸化マンガン、酸化第二銀、水酸化ニッケルなどの正極活物質や、カーボンブラック、グラファイト、黒鉛のような導電助剤などを含む混合粉末を円板状に加圧成形することによって作製され、これにアルカリ電解液の一部を含浸させてなる正極であり、2はこの正極1と負極3との間に介在するセパレータであって、このセパレータ2は、例えば親水処理された微孔性ポリプロピレンフィルムとセロファンフィルムとビニロン−レーヨン混抄紙のような吸液層とを積み重ねたものである。負極3は無水銀の亜鉛または無水銀の亜鉛合金からなる負極活物質(例えば、粉末状のもの)を含み、これにアルカリ電解液の大半量を注入して形成される。
【0046】
4は正極1およびセパレータ2を内填させた鉄製で表面にニッケルメッキを施した外装体(正極缶)で、その開口部に負極3が内填された負極封口体(負極端子板)5をポリエチレン、ポリプロピレンなどの各種樹脂またはゴムからなる断面L字状の環状ガスケット6を介装して嵌合させ、外装体4の開口端部を内方に締め付けて環状ガスケット6を封口体5に当接させることによって封口し、電池内部を密閉構造にしている。つまり、このボタン形アルカリ電池では、外装体4、封口体5および環状ガスケット6で形成される密閉空間内に、正極1、負極3、アルカリ電解液などを含む発電要素が収容されている。
【0047】
負極封口体5は、図2に示すように、ステンレス鋼板5aの外面側に美観ないし耐腐食性を満足させるニッケル層5bを設け、内面側、すなわち負極3と接する面に銅層5cを設けたものである。そして、この封口体5は、通常、ステンレス鋼板5a、ニッケル層5bおよび銅層5cからなるクラッド板を絞り加工することによって周辺折り返し部5Zを有する形状に作製されたものである。そして、上記封口体5の銅層5cの負極3と接する面に、亜鉛層とインジウム、ビスマスおよびスズのうち少なくとも1種を含む偏析相とを有する金属層7が形成されている。なお、この金属層7は、図面上での視認を容易にするために、厚く図示されているが、実際には、封口体5の厚みに比べてもっと薄いものである。
【0048】
また、図示していないが、この封口体5の周辺折り返し部5Zにおいて、液状パッキング材(例えば、アスファルトピッチ、脂肪族ポリアミド、フッ素系オイルなど)を介して環状ガスケット6を圧接させることも好ましく、さらに封口体5の、環状ガスケット6を圧接させる面には、ベンゾトリアゾールなど、トリアゾール系化合物のN−アミノメチル誘導体からなる被膜を形成しておくことも好ましい。この被膜は、トリアゾール系化合物の銅に対する強い活性により銅層5cの表面に化学的に強固かつ緻密に結合し、銅層5cの表面の電気化学的なクリープ現象に基づくアルカリ電解液の漏出を強力に防止する。そして、図示していないが、上記被膜と環状ガスケット6との間には液状パッキング材が介在していて、該液状パッキング材が上記被膜と環状ガスケット6との間からアルカリ電解液の漏出が生じるのを防止している。
【実施例】
【0049】
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は実施例に例示のもののみに限定されることはない。
【0050】
実施例1
<電解液の調製>
340gの水に、水酸化ナトリウム〔純度96%(質量%、純度に関しては、以下同様)〕:550g、酸化亜鉛(純度99%):100g、および水酸化インジウム:10gを投入し、撹拌速度:1500rpmで20分撹拌した後、追加の水:1010gを加えてさらに20分撹拌した。この混合液を室温で3日間静置し、上澄み液を採取することにより溶け残った水酸化インジウムを除去し、採取した上澄み液をアルカリ電解液として用いた。
【0051】
日本ジャーレル・アッシュ株式会社製のICP(誘導結合プラズマ発光分析装置)「I
RIS 1000」を用いて、上記アルカリ電解液中のインジウムの濃度を分析した。上
記アルカリ電解液のインジウム濃度は789ppmであった。以下、他の実施例および比
較例の電解液についても、同様にして、上記装置によりインジウム、ビスマスおよびスズ
の濃度の分析を行った。
【0052】
<ボタン形アルカリ電池の作製>
ニッケル層−ステンレス鋼(SUS−304)板−銅層からなるクラッド板をプレス機で打ち抜き、図1に示すように、周辺折り返し部を有する形状に加工して、封口体を作製した。
【0053】
正極には、正極活物質として、110mgの酸化第一銀と20mgの二酸化マンガンとを混合して用い、さらに導電助剤である黒鉛を2mg混合した合剤を、円板状(外径6.3mm、厚み0.9mm)に加圧成形したものを用いた。
【0054】
負極には、負極活物質として、25〜300メッシュを通過し得る粒度を有し、インジウムを500ppm、ビスマスを400ppmおよびアルミニウムを15ppm含有する無水銀の亜鉛合金粉末37mgを用い、負極活物質100重量部に水酸化インジウムを0.1重量部の割合で混合し、さらにアルカリ電解液を加えたものを用いた。
【0055】
上記のアルカリ電解液、正極、負極および負極封口体を用い、図1に示す構造で、外径:6.8mm、厚さ:2.6mmのボタン形アルカリ電池を作製した。
【0056】
実施例2
水酸化カリウム(純度85%):850g、酸化亜鉛(純度99%):110g、および水酸化インジウム:10gを、525gの水に加え、20分間撹拌(撹拌速度:1500rpm)した後、追加の水:525gを加えてさらに20分間撹拌(撹拌速度:1500rpm)した。この混合液を室温で3日間静値し、上澄み液を採取することにより溶け残った水酸化インジウムを除去し、インジウムを284ppm含有するアルカリ電解液を調製した。以下、このアルカリ電解液を用いた以外は、実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
【0057】
実施例3
水酸化ナトリウム(純度96%):550g、酸化亜鉛(純度99%):100gを900gの水に加えて20分間撹拌(撹拌速度:1500rpm)した。次に、水酸化インジウム:10gを加えて、上記溶液を20分間撹拌(撹拌速度:1500rpm)した後、追加の水:450gを加えてさらに20分間撹拌(撹拌速度:1500rpm)した。この混合液を室温で3日間静値し、上澄み液を採取することにより溶け残った水酸化インジウムを除去し、インジウムを104ppm含有するアルカリ電解液を調製した。以下、このアルカリ電解液を用いた以外は、実施例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
【0058】
実施例4
負極活物質100質量部に対し、水酸化インジウムを1質量部混合した以外は、実施例3と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
【0059】
実施例5
負極活物質100質量部に対し、水酸化インジウムおよび水酸化ビスマスをそれぞれ1質量部ずつ混合し、インジウム濃度が69ppmのアルカリ電解液を用いた以外は、実施例2と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
【0060】
実施例6
負極活物質100質量部に対し、水酸化インジウムおよび水酸化ビスマスをそれぞれ0.1質量部ずつ混合した以外は、実施例5と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
【0061】
実施例7
インジウムを35ppm、ビスマスを400ppm含有するアルカリ電解液を用いた以外は、実施例5と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
【0062】
実施例8
負極活物質100重量部に対し、酸化スズ(SnO)を1重量部混合し、スズを150ppm含有するアルカリ電解液を用いた以外は、実施例5と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
【0063】
比較例1
負極および電解液への添加剤の添加を行わなかった以外は、実施例2と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
【0064】
比較例2
負極活物質として、水銀を3重量%含有する亜鉛粉末を用いた以外は、比較例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
【0065】
比較例3
封口体の内面の銅層の上にインジウムメッキ層を形成した以外は、比較例1と同様にしてボタン形アルカリ電池を作製した。
【0066】
上記実施例1〜8および比較例1〜3の電池の、負極中での、負極活物質100質量部に対する負極添加剤〔水酸化インジウム:In(OH)、水酸化ビスマス:Bi(OH)、酸化スズ:SnO〕の含有量、およびアルカリ電解液中での添加元素(インジウム:In、ビスマス:Bi、スズ:Sn)の含有量をそれぞれ表1に示す。
【0067】
【表1】

【0068】
上記実施例1〜8および比較例1〜3の電池を60℃で2日間放置して、封口体の内面に偏析相を有する金属層を形成させ、形成された金属層の分析、初期放電容量の測定、および高温貯蔵後の放電容量の測定を行った。
【0069】
封口体の内面に形成された金属層の分析は、前記誘導結合プラズマ発光分析装置により行い、封口体の内面の金属層に存在する亜鉛、インジウム、ビスマスおよびスズの量を測定した。インジウム、ビスマスおよびスズの測定値を単位面積あたりに換算した値、および亜鉛との総量中における各元素の含有量を求めた結果を表2に示す。
【0070】
【表2】

【0071】
また、実施例4の電池について、株式会社島津製作所製のEPMA(電子線微小部分析装置)「EPMA−1600」を用いて、その封口体内面に形成された金属層表面の面分析を行った。インジウム偏析相の分布状態を示す面分析結果を、図3に示す。図3では、金属層のうち亜鉛層が黒色部で表され、インジウム偏析相が白色部として表されており、約1〜10μmの偏析相が金属層表面で分散している様子が確認された。また、封口体内面の金属層の厚みは、約3μmであり、金属層の一部には、亜鉛−インジウム合金層も認められた。
【0072】
他の実施例の電池についても同様に、ビスマス、およびスズについて、数百nm〜数十μmの大きさの偏析相が形成された様子を確認することができた。
【0073】
次に上記実施例1〜8および比較例1〜3について初期放電容量および高温貯蔵後の放電容量を測定し、それらの放電容量の測定結果から高温貯蔵後の容量維持率を求めた。
【0074】
まず、初期放電容量は、上記実施例1〜8および比較例1〜3の電池各10個について、15kΩの放電抵抗を接続し、20℃で終止電圧1.2Vまで放電させて放電容量を測定し、それぞれ10個の電池の平均を初期放電容量として求めた。また、高温貯蔵後の放電容量は、上記初期放電容量の測定に使用した電池とは別の電池各10個を、60℃で40日間貯蔵した後、上記と同様に放電容量を測定し、10個の電池の平均を高温貯蔵後の放電容量として求めた。そして、上記初期放電容量に対する高温貯蔵後の放電容量の割合を高温貯蔵後の容量維持率として表3に示した。
【0075】
【表3】

【0076】
表3に示すように、実施例1〜8のボタン形アルカリ電池は、封口体の内面に、インジウム、ビスマスまたはスズの偏析相を形成したことにより、実質的に偏析相のない比較例1のボタン形アルカリ電池に比べて、高温貯蔵での容量維持率を大幅に向上させることができ、アマルガム化亜鉛粉末を用いた比較例2のボタン形アルカリ電池と同程度の貯蔵特性を有する電池を構成することができた。また、インジウムのメッキ層を形成した比較例3のボタン形アルカリ電池と比べ、封口体内面での添加元素の量を大幅に低減することができた。また、実施例1〜8のボタン形アルカリ電池では、水素ガスの発生が抑制されたことにより、電池の膨れや漏液などの異常は認められなかったが、比較例1のボタン形アルカリ電池では、水素ガスの発生が抑制されず、高温貯蔵後に漏液が認められた。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係るボタン形アルカリ電池の一例を概略的に示す部分断面図である。
【図2】図1中の要部拡大断面図である。
【図3】実施例4の電池の封口体内面に形成された金属層の面分析結果を示すイメージである。
【符号の説明】
【0078】
1 正極合剤
2 セパレータ
3 負極
4 外装体(正極缶)
5 負極封口体(負極端子板)
5a ステンレス鋼板
5b ニッケル層
5c 銅層
5Z 周辺折り返し部
6 環状ガスケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無水銀の亜鉛または亜鉛合金を活物質とする負極が、負極封口体の内面に接するボタン形アルカリ電池の製造方法であって、
インジウム化合物、ビスマス化合物およびスズ化合物のうち少なくとも1種を溶解したアルカリ電解質を用い、
前記封口体の内面に負極を配置する工程と、前記封口体の内面に、亜鉛層と、インジウム、ビスマスおよびスズのうち少なくとも1種を含む偏析相とを有する金属層を形成させる工程とを経由して、
前記金属層に、インジウム、ビスマスまたはスズを、亜鉛との総量中で0.01質量%以上含有させることを特徴とするボタン形アルカリ電池の製造方法。
【請求項2】
上記アルカリ電解質に溶解したインジウム、ビスマスまたはスズの濃度が100ppm以上である請求項1に記載のアルカリ電池の製造方法。
【請求項3】
45質量%以上の濃度を有するアルカリ水溶液にインジウム化合物を溶解させる工程と、前記アルカリ水溶液を希釈して、100ppm以上の濃度でインジウムを溶解したアルカリ電解質とする工程とを有する請求項1に記載のボタン形アルカリ電池の製造方法。
【請求項4】
インジウム化合物を溶解させるアルカリ水溶液の濃度が50質量%より高濃度である請求項3に記載のアルカリ電池の製造方法。
【請求項5】
上記インジウム化合物が、酸化インジウムまたは水酸化インジウムである請求項3または4に記載のアルカリ電池の製造方法。
【請求項6】
上記アルカリ電解質中でのインジウムの濃度が1000ppm以下である請求項3〜5のいずれかに記載のアルカリ電池の製造方法。
【請求項7】
上記負極に、インジウム化合物、ビスマス化合物およびスズ化合物のうち少なくとも1種が添加されている請求項1〜6のいずれかに記載のボタン形アルカリ電池の製造方法。
【請求項8】
内面に銅層または銅合金層を有する負極封口体を用いる請求項1〜7のいずれかに記載のボタン形アルカリ電池の製造方法。
【請求項9】
上記金属層表面での偏析相の大きさが、100μm以下である請求項1〜8のいずれかに記載のボタン形アルカリ電池の製造方法。
【請求項10】
上記金属層の厚さが、10μm以下である請求項1〜9のいずれかに記載のボタン形アルカリ電池の製造方法。
【請求項11】
上記金属層に存在するインジウム、ビスマスまたはスズの量が、亜鉛との総量中で0.1質量%以上である請求項1〜10のいずれかに記載のボタン形アルカリ電池の製造方法。
【請求項12】
上記金属層に存在するインジウム、ビスマスまたはスズの量が、亜鉛との総量中で30質量%以下である請求項1〜11のいずれかに記載のボタン形アルカリ電池の製造方法。
【請求項13】
上記金属層に存在するインジウム、ビスマスまたはスズの量が、亜鉛との総量中で10質量%以下である請求項12に記載のボタン形アルカリ電池の製造方法。
【請求項14】
上記負極の活物質が、少なくともインジウムを含有する亜鉛合金であり、その粒度が25〜300メッシュである請求項1〜13のいずれかに記載のボタン形アルカリ電池の製造方法。
【請求項15】
上記金属層の形成のため、電池の組み立て後にエージングを行う請求項1〜14のいずれかに記載のボタン形アルカリ電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−202758(P2006−202758A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−12412(P2006−12412)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【分割の表示】特願2004−350639(P2004−350639)の分割
【原出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】