説明

ポジ型感光性組成物及びパターン形成方法

【課題】高感度かつ高解像度であり、画像部の欠けが少なく、安価なポジ型感光性組成物及びパターン形成方法の提供。
【解決手段】(A)酸の作用により分解する基を有し、分解後、アルカリ水溶液に対する溶解性が増大するノボラック樹脂、及び(B)光の作用により酸を発生させる化合物を少なくとも含んでなり、前記(A)のノボラック樹脂が、フェノール類とアルデヒド化合物とを重縮合させなり、該フェノール類が、少なくとも3種のフェノール性モノマーからなるポジ型感光性組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ(LCD)の薄膜トランジスタアレイ基板、半導体装置等の微細加工に用いられるポジ型感光性組成物及びパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にポジ型フォトレジストには、ナフトキノンジアジド化合物等のキノンジアジド基を有する感光剤とアルカリ可溶性樹脂(例えば、ノボラック型フェノール樹脂)が用いられる。このようなポジ型フォトレジストは、アルカリ溶液による現像によって高い解像力を示し、IC、LSI等の半導体製造、LCDなどの回路基材、液晶ディスプレイの薄膜トランジスタ(TFT)や電極基板の製造に利用されている。これまでノボラック型フェノール樹脂とナフトキノンジアジド系感光剤とを含有する数多くのポジ型フォトレジストが開発、実用化され、0.3μm〜2μm程度までの線幅加工において大きな成果を挙げている。
【0003】
また、従来より、フォトリソグラフィー法に用いる露光装置としては、フォトマスクを用いた露光方式が一般的であるが、基板の大型化対応での均一露光、フォトマスクの位置ずれ、プロセス中の異物付着によるマスク汚れが問題になっている。
近年、露光装置とフォトマスクに基づく問題の解決策として、配線パターン等のデジタルデータから形成された露光パターンに基づいて、半導体レーザ、ガスレーザなどの紫外から可視領域のレーザ光を感光層上に直接スキャンしてパターニングを行う、レーザダイレクトイメージング(以下、「LDI」と称することがある)システムによる露光装置が研究されている。
例えば、約1m角以上の大画面LCDをフォトリソグラフィーで製造する場合、微細なTFTを多数欠陥無く大型基板上に形成する必要がある。例えば、HDTV規格の1024×1024画素を表示するパネルは画素数が197万個必要である。つまり、数万〜数百万個の画素に必要なTFTパネルには、同一基板上の1個たりとも欠陥が許されないという品質上の厳しさが要求される。この点において、CPUなど向けにはせいぜい直径30cmサイズのシリコン基板上に形成し、良品チップのみを選別して製造することのできる、半導体や超LSIチップなどのためのフォトリソグラフィーとは大きく事情が異なる。
このようないわゆるジャイアントマイクロリソグラフィーにおける露光装置としては、大画面のLCD用には、既に巨大なレンズなどの光学系を使用するタイプは対応が困難になってきており、分割露光システムが提案されている。しかし、この分割露光では分割部分のパターンのつなぎ部の精度などに問題があり、未だ決定的なものは現れていない。また大画面化に伴い、フォトマスクにかかるコストも大きくなってきている。
【0004】
そこで、フォトマスクを使用しないで直接パターン化が可能であり、高生産性、低コスト生産、及び高歩留まり生産が実現できるシステムが提案されている(特許文献1参照)。しかし、従来のアルカリ可溶性フェノールノボラック樹脂、1,2−キノンジアジド化合物を主成分とするポジ型感光性組成物の露光感度は高々50mJ/cmと低いためスループットに制約が生じる問題があり、更にポジ型エッチングレジストの高感度化が必須である。
また、ポジ型化学増幅型レジスト組成物は、放射線の照射により生成した酸の触媒作用を利用したレジストであって、露光量の少ない条件下にあっても、酸の発生効率が高く、高感度化に有利であるという利点を有している(特許文献2参照)。
しかし、化学増幅型ポジ型レジストに広く用いられるポリパラヒドロキシスチレンは非常に高価であり、安価代替品の開発が期待されていた。このような状況下から安価なフェノール樹脂を用いたポジ型化学増幅型レジストが開発されている(特許文献3参照)が、更なる高感度かつ高解像度であり、安価なポジ型感光性組成物の提供が望まれているのが現状である。
【0005】
【特許文献1】特許第3587413号公報
【特許文献2】特開2005−157400号公報
【特許文献3】特開2003−98669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、高感度かつ高解像度であり、画像部の欠けが少なく、安価なポジ型感光性組成物及びパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、(A)フェノール類とアルデヒド化合物とを重縮合させてなり、該フェノール類が、少なくとも3種のフェノール性モノマーからなる、酸分解性基を含有する混合ノボラック樹脂と、(B)光の作用により酸を発生させる化合物とを含むポジ型感光性組成物を用いることにより、高感度かつ高解像度であり、しかも画像部の欠けが減少するという予想外の効果が得られることを知見した。
【0008】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> (A)酸の作用により分解する基を有し、分解後、アルカリ水溶液に対する溶解性が増大するノボラック樹脂、及び(B)光の作用により酸を発生させる化合物を少なくとも含んでなり、
前記(A)のノボラック樹脂が、フェノール類とアルデヒド化合物とを重縮合させなり、該フェノール類が、少なくとも3種のフェノール性モノマーからなることを特徴とするポジ型感光性組成物である。
<2> 少なくとも3種のフェノール性モノマーが、フェノール、クレゾール化合物、キシレノール化合物、及びトリメチルフェノール化合物から選択される少なくとも3種である前記<1>に記載のポジ型感光性組成物である。
<3> 各フェノール性モノマーのフェノール類中における含有量が、それぞれ50質量%未満である前記<1>から<2>のいずれかに記載のポジ型感光性組成物である。
<4> (A)のノボラック樹脂中の少なくとも一部の水酸基が、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、及びシリル基の少なくともいずれかで置換されている前記<1>から<3>のいずれかに記載のポジ型感光性組成物である。
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載のポジ型感光性組成物を用いて基材の表面にポジ型感光層を形成するポジ型感光層形成工程と、フォトマスクを用いずに前記ポジ型感光層を露光する露光工程と、該露光工程により露光された前記ポジレジスト層を現像する現像工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法である。
<6> ポジ型感光層が、ポジ型感光性組成物を基材の表面に塗布し、乾燥することにより形成される前記<5>に記載のパターン形成方法である。
<7> 露光が、光照射手段及び光変調手段を少なくとも備えた露光ヘッドと、ポジ型感光層との少なくともいずれかを移動させつつ、前記ポジ型感光層に対して、前記光照射手段から出射された光を前記光変調手段によりパターン情報に応じて変調しながら前記露光ヘッドから照射して行われる前記<5>から<6>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<8> 光変調手段が、n個の描素部の中から連続的に配置された任意のn個未満の前記描素部をパターン情報に応じて制御可能である前記<7>に記載のパターン形成方法である。
<9> 光変調手段が、空間光変調素子である前記<7>から<8>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<10> 空間光変調素子が、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)である前記<9>に記載のパターン形成方法である。
<11> 露光が、アパーチャアレイを通して行われる前記<7>から<10>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<12> 露光が、露光光とポジ型感光層とを相対的に移動させながら行われる前記<7>から<11>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<13> 光照射手段が、2以上の光を合成して照射可能である前記<7>から<12>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<14> 光照射手段が、複数のレーザと、マルチモード光ファイバと、該複数のレーザからそれぞれ照射されたレーザビームを集光して前記マルチモード光ファイバに結合させる集合光学系とを備える前記<7>から<13>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<15> レーザ光の波長が365〜445nmである前記<14>に記載のパターン形成方法である。
<16> 前記<5>から<15>のいずれかに記載のパターン形成方法により形成されたことを特徴とする薄膜トランジスタアレイ基板である。
<17> 前記<16>に記載の薄膜トランジスタアレイを用いたことを特徴とする液晶表示素子。
【0009】
本発明のポジ型感光性組成物は、(A)フェノール類とアルデヒド化合物とを重縮合させてなり、該フェノール類が、少なくとも3種のフェノール性モノマーからなる、酸分解性基を含有する混合ノボラック樹脂と、(B)光の作用により酸を発生させる化合物とを少なくとも含んでなるので、マスクレス露光において、感度及び解像度に優れ、画像部の欠けが少なく、安価であり、特に大画面用の液晶ディスプレイ(LCD)の作製に好適である。
【0010】
本発明のパターン形成方法は、本発明のポジ型感光性組成物を用いてポジ型感光層を形成するポジ型感光層形成工程と、フォトマスクを用いずに前記ポジ型感光層を露光する露光工程と、該露光工程により露光された前記ポジレジスト層を現像する現像工程とを含んでなる。その結果、マスクレス露光による解像度のばらつきが抑えられ、解像性に優れたパターンを高スルートップで製造することができ、該パターンの高生産性、低コスト生産、及び高歩留まり生産が実現できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、高感度かつ高解像度であり、画像部の欠けが少なく、安価なポジ型感光性組成物及びパターン形成方法を提供することを目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(ポジ型感光性組成物)
本発明のポジ型感光性組成物は、(A)酸の作用により分解する基を有し、分解後、アルカリ水溶液に対する溶解性が増大する混合ノボラック樹脂、及び(B)光の作用により酸を発生させる化合物を少なくとも含んでなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
なお、本発明において、フェノール類として少なくとも3種のフェノール性モノマーを含むノボラック樹脂を「混合ノボラック樹脂」と称することがある。
【0013】
前記ポジ型の感光性組成物においては、(A)の酸分解性基を有する混合ノボラック樹脂、及び(B)の光の作用により酸を発生させる化合物を含むことにより、露光した部分で酸が発生し、これが樹脂成分の酸分解性基を解離するため、その部分がアルカリ可溶性になり、現像の際に露光部分だけが選択的に除去されてポジ型のパターンが得られる。
【0014】
<(A)酸の作用により分解する基を有し、分解後、アルカリ水溶液に対する溶解性が増大するノボラック樹脂(酸分解性基を含有する混合ノボラック樹脂)>
前記(A)の酸の作用により分解する基を有し、分解後、アルカリ水溶液に対する溶解性が増大するノボラック樹脂は、酸によって効率的に側鎖の酸分解性基が解離され、その最終生成物のアルカリ水溶液に対する溶解性が解離前の化合物のそれより著しく増加するものである。
前記(A)の酸分解性基含有ノボラック樹脂としては、該ノボラック樹脂のフェノール性水酸基の水素原子を、酸の存在下で解離することが可能な基(酸分解性基)で置換(保護)した化合物が挙げられる。
【0015】
前記ノボラック樹脂は、フェノール類とアルデヒド化合物とを酸触媒の存在下、脱水縮合(重縮合)させて得られる。
前記フェノール類は、少なくとも3種のフェノール性モノマーからなる。単一のフェノール性モノマーを用いたノボラック樹脂は、それぞれのモノマーに起因する性質が発現することが知られている。例えば、メタクレゾールではノボラック樹脂のアルカリ溶解性が高く、パラクレゾールでは軟化点(耐熱性)が高く、オルトクレゾールでは残存モノマーが残りにくいという特徴を有する。フォトレジスト用樹脂を設計する上では、アルカリ溶解性、軟化点(耐熱性)、残存モノマーを適当な範囲で調整しなければならず。単一や2種のフェノール性モノマーを用いたノボラック樹脂では対応できる範囲が狭いという問題がある。
【0016】
そこで、本発明では、少なくとも3種のフェノール性モノマーを適宜用いることにより、設計するレジストに適合した特徴を有する混合ノボラック樹脂を提供することができる。各フェノール性モノマーの前記フェノール類中における含有量は、それぞれ50%未満であることが好ましく、5%以上50%未満がより好ましく、10%以上50%未満が更に好ましい。前記各フェノール性モノマーの含有量が50%以上であると、第1のフェノール性モノマー以外の第2、第3のフェノール性モノマーの特徴を発現し難くなることがある。
【0017】
前記少なくとも3種のフェノール性モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェノール、クレゾール化合物、キシレノール化合物、及びトリメチルフェノール化合物、エチルフェノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール、2−ナフトール、などが挙げられる。
前記クレゾール化合物としては、例えばm−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾールなどが挙げられる。
前記キシレノール化合物としては、例えばオルトクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,6−キシレノールなどが挙げられる。
前記トリメチルフェノール化合物としては、例えば2,3,4−トリメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,4,5−トリメチルフェノールなどが挙げられる。
これらの中でも、フェノール、クレゾール化合物、キシレノール化合物、トリメチルフェノール化合物が、広い範囲で物性を調整することができる点から好ましく、フェノール、メタクレゾール、パラクレゾールが特に好ましい。
【0018】
前記アルデヒド化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、トリメチルアセトアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、シクロヘキサンアルデヒド、フルフラール、フリルアクロレイン、ベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α−フェニルプロピルアルデヒド、β−フェニルプロピルアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−メチルベンズアルデヒド、m−メチルベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、ケイ皮酸アルデヒド等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、が特に好ましい。
前記アルデヒド化合物の使用量は、フェノール類1モルに対して0.5モル〜1.5モルが好ましく、0.5〜1モルがより好ましい。
【0019】
前記酸触媒としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸;蟻酸、シュウ酸、酢酸等の有機酸などが挙げられる。前記酸触媒の使用量は、フェノール類1モルに対して、1×10−5〜1×10−1モルが好ましい。
前記重縮合の反応温度と反応時間は、合成原料の反応性に応じて適宜調整することができるが、通常、反応温度は、70℃〜130℃が好ましく、反応時間は、1時間〜12時間が好ましい。
前記重縮合の方法としては、(1)フェノール類と、アルデヒド化合物と、酸触媒とを一括で仕込む方法、(2)酸触媒下、フェノール類にアルデヒド化合物を反応の進行と共に加えていく方法などが挙げられる。重縮合終了後は、反応系内に存在する未反応原料、縮合水、触媒等を除去するために、減圧後、例えば、20mmHg〜50mmHgで、反応系内の温度を150℃〜200℃に上昇させて、反応系内に存在する未反応原料、縮合水、酸触媒を除去し、その後、樹脂を回収する。
【0020】
前記酸分解性基は、酸触媒反応により分解してアルカリ可溶性に変化する基である。該酸分解性基としては、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、及びシリル基から選択される少なくとも1種が好ましい。
【0021】
前記アルコキシアルキル基としては、例えばエトキシエチル基、プロピルオキシエチル基、シクロヘキシルオキシエチル基、n−ブトキシエチル基、イソブトキシエチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、シクロヘキシルエトキシエチル基、フェネチルオキシエチル基、ベンジルオキシエチル基、フェノキシエトキシエチル基などが挙げられる。
前記アルコキシアルキル基を有するノボラック樹脂の製造方法は適当な溶剤中、酸触媒存在下で対応するビニルエーテル化合物を反応させるか、特許第3616331号公報に記載の方法で製造することができる。
前記アルコキシカルボニル基としては、例えばt−ブトキシカルボニル基、t−アミルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基などが挙げられる。
前記シリル基としては、例えばトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基などが挙げられる。
前記酸分解性基による前記ノボラック樹脂のフェノール性水酸基の水素原子への置換率(即ち、(A)成分全体のフェノール性水酸基の水素原子と酸分解性基の総数に対する酸分解性基の割合)は、5%〜100%が好ましく、10%〜90%がより好ましく、15%〜60%が更に好ましい。
【0022】
前記(A)の酸分解性基含有ノボラック樹脂のGPC測定による重量平均分子量は、ポリスチレン換算で、3,000〜15,000が好ましく、3,000〜12,000がより好ましい。この範囲の重量平均分子量を有する化合物が感光層の照射部と未照射部との現像液に対する溶解速度差を大きくすることができ、また、相分離のような現象も防ぐことができる。
【0023】
前記(A)の酸分解性基含有ノボラック樹脂の含有量は、前記ポジ型感光性組成物の全固形分量に対して、70質量%〜99質量%が好ましく、80質量%〜95質量%がより好ましい。
【0024】
<(B)光の作用により酸を発生させる化合物>
前記(B)の光の作用により酸を発生させる化合物(以下、「光酸発生剤」と称することもある)としては、光の照射により酸を発生し、前記(A)成分のノボラック樹脂の酸分解性基を分解し、感光性組成物のアルカリ水溶液に対する溶解性を変化させることができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば特開2003-98669号公報、特許第3813721号公報、特許第3258341号公報、特開2005−308977号公報に記載の光酸発生剤などを用いることができる。
【0025】
前記光酸発生剤としては、具体的には、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩のCFSO、p−CHPhSO、p−NOPhSO(ただし、Phはフェニル基を表す)等の塩;有機ハロゲン化合物、オルトキノンジアジドスルホニルクロリド又はスルホン酸エステル、ビススルホニルジアゾメタン等のジアゾメタン化合物;ニトロベンジル化合物、ナフチルイミジルスルホネート、などが挙げられる。このような化合物を具体的に挙げると、例えばビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ベンゾイントシレート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリ(tert−ブチルフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ベンゼンジアゾニウムパラトルエンスルホネート、4−(ジ−n−プロピルアミノ)−ベンゾニウムテトラフルオロボレート、4−p−トリル−メルカプト−2,5−ジエトキシ−ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオコホスフェ−ト、ジフェニルアミン−4−ジアゾニウムサルフェ−ト、4−メチル−6−トリクロロメチル−2−ピロン、4−(3,4,5−トリメトキシ−スチリル)−6−トリクロロメチル−2−ピロン、4−(4−メトキシ−スチリル)−6−(3,3,3−トリクロロ−プロペニル)−2−ピロン、2−トリクロロメチル−ベンズイミダゾ−ル、2−トリブロモメチル−キノリン、2,4−ジメチル−1−トリブロモアセチル−ベンゼン、4−ジブロモアセチル−安息香酸、1,4−ビス−ジブロモメチル−ベンゼン、トリス−ジブロモメチル−S−トリアジン、2−(ナフチル−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシエチル−ナフチル−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(ベンゾピラニ−3−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−メトキシ−アントラシ−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(フェナンチ−9−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、o−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸クロリド、ビスシクロヘキシルスルホニルジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、メチルスルホニル−p−トルエンスルホニルジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1−メチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、p−トルエンスルホン酸−2−ニトロベンジルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0026】
前記(B)の光酸発生剤の含有量は、前記樹脂成分(A)100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましい。前記(B)の光酸発生剤の含有量が0.1質量部未満であると、像形成が不十分となり、前記(B)の光酸発生剤の含有量が30質量部を超えると、均一なレジスト被膜が形成されにくい上、現像性も低下し、良好なレジストパターンが得られにくい。
【0027】
−その他の成分−
前記その他の成分としては、例えば、密着促進剤、溶剤、界面活性剤、熱架橋剤、可塑剤、着色剤、溶解促進剤、などが挙げられる。
【0028】
‐‐密着促進剤‐‐
前記密着促進剤は、本発明のポジ型感光性組成物において、基体との密着性を向上させることができる。
前記密着促進剤としては、例えば、官能性シランカップリング剤が好ましい。
前記官能性シランカップリング剤とは、反応性置換基を有するシラン化合物のことを示す。前記反応性置換基としては、例えば、カルボキシル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基、などが挙げられる。
前記官能性シランカップリング剤の具体例としては、例えば、トリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、などが挙げられる。
前記密着促進剤の含有量としては、前記ポジ型感光性組成物の全固形分量に対して、0.1質量%〜10質量%が好ましく、0.2質量〜7質量%がより好ましい。
【0029】
‐‐可塑剤‐‐
前記可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン、などが挙げられる。
前記可塑剤の含有量としては、前記ポジ型感光性組成物の全固形分量に対して、0.1質量%〜20質量%が好ましく、0.2質量%〜10質量%がより好ましく、0.5質量%〜8質量%が更に好ましい。
【0030】
‐‐着色剤‐‐
前記着色剤は、ポジ型感光層の使用時に、塗布後のポジ型感光層表面の性状や、塗布欠陥の検査のために着色する際に好適に用いられる。なお、前記着色剤は、それ自身の光吸収によりポジ型感光層の感度が阻害されないように選択される。
前記着色剤としては、例えば、トリアリールメタン染料や有機顔料が好ましい。
前記有機顔料は、樹脂中に微粒子分散した状態で添加される。
前記染料としては、例えば、クリスタルバイオレット、メチルバイオレット、エチルバイオレット、オイルブルー#603、ビクトリアピュアーブルーBOH、マラカイトグリーン、ダイアモンドグリーンなどが挙げられる。
前記着色剤としては、前記染料以外に、その他の染料を用いることができる。前記その他の染料としては、例えば、特開平10−97061号公報、特開平10−104827号公報、特公平3−68375号公報、などが挙げられる。
前記有機顔料としては、例えば、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタン、ブリリアント・グリーン・ダイ(C.I.42040)、ビクトリア・ラインブラウFGA、ビクトリア・ラインブラウBO(C.I.42595)、ビクトリア・ブラウBO(C.I.44045)、ローダミン6G(C.I.45160)、などが挙げられる。前記有機顔料は、安定な分散物として添加される。
前記着色剤の含有量としては、前記ポジ型感光性組成物の全固形分量に対して、0.001質量%〜5.0質量%が好ましく、0.02質量%〜2.0質量%がより好ましく、0.05質量%〜1.0質量%が更に好ましい。
【0031】
‐‐溶剤‐‐
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばプロピレングリコ−ルモノメチルエーテルアセテ−ト(PGMEA)、プロピレングリコ−ルモノエチルエーテルアセテ−ト、エチルセロソルブアセテ−ト、メチルセロソルブアセテ−ト、ブチルセロソルブアセテ−ト、メトキシエチルプロピオネ−ト、エトキシエチルプロピオネート等のグリコ-ルエーテルエステル類;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン等のケトン類、などが挙げられる。これらの中でも、溶解性、塗膜安定性、安全性、環境への影響、人体への影響、経済性の観点から、PGMEA、エトキシエチルプロピオネ−ト、乳酸エチルが特に好ましい。
【0032】
‐‐界面活性剤‐‐
前記界面活性剤は、塗布性、得られる塗膜の平滑性を向上させるために用いることができる。
前記界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、などが挙げられる。
前記界面活性剤の含有量は、前記ポジ型感光性組成物の全固形分量に対して、0.02質量%〜5質量%が好ましく、0.05質量%〜3質量%がより好ましく、0.1質量%〜1質量%が特に好ましい。前記含有量が、0.02質量%未満であると、有効でなくなることがあり、5質量%を超えると、レジストパターンの密着性が劣化することがある。
【0033】
本発明のポジ型感光性組成物は、まず、前記(A)成分と、前記(B)成分とを溶解する。その際、はじきを防止するための界面活性剤、感度向上のための増感剤、エッジラフネス改良のための塩基性化合物などの添加剤、密着性向上のための低分子量化合物などフォトレジストの特性を微調整するための材料を適宜添加することができる。溶解終了後、フィルタ等を利用して異物を除去し、異物、金属不純物などが管理された容器に梱包して製品とする。梱包する際は、クラス100以下のクリーンルーム内で人が関与しない自動充填装置などの機械を使用することが好ましい。製造中の適切な段階で、必要により金属不純物を除くために、酸水溶液や純水などによる洗浄又はイオン交換樹脂による脱金属処理を行うことが可能である。
【0034】
(パターン形成方法)
本発明のパターン形成方法は、少なくとも、ポジ型感光層形成工程と、露光工程と、現像工程とを含んでなり、更に必要に応じて適宜選択されたその他の工程を含んでなる。
【0035】
[ポジ型感光層形成工程]
前記ポジ型感光層形成工程は、本発明のポジ型感光性組成物を用いて、基材の表面に、少なくともポジ型感光層を形成する工程であり、必要に応じてその他の層を形成する工程を含む。
【0036】
<ポジ型感光層>
前記ポジ型感光層は、本発明のポジ型感光性組成物により形成される。
前記ポジ型感光層は、本発明のポジ型感光性組成物からなり、所望のパターンで露光した際に該露光部をアルカリ水溶液等による現像によって除去する。即ち、露光により光酸発生剤より生成した酸が、(A)成分のノボラック樹脂の酸解離性基を触媒的に解裂し、アルカリ現像液に可溶化するものである。
前記ポジ型感光層を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポジ型感光性組成物溶液を前記基板に塗布し乾燥する方法が挙げられる。
【0037】
前記塗布及び乾燥の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記基体の表面に、前記ポジ型感光性組成溶液を直接塗布し、乾燥させることにより積層する方法が挙げられる。
【0038】
前記塗布の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、などが挙げられる。
前記乾燥の条件としては、各成分、溶媒の種類、使用割合等によっても異なるが、通常60〜140℃の温度で30秒間〜15分間程度である。
【0039】
前記ポジ型感光層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5μm〜10μmが好ましく、0.5μm〜5μmがより好ましく、0.7〜3μmが特に好ましい。前記厚みが0.5μm未満であると、耐エッチング性が劣ることがあり、10μmを超えると解像度が劣化することがある。
【0040】
<その他の層>
前記ポジ型感光層形成工程において形成されるその他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光吸収層、表面保護層、などが挙げられる。
前記その他の層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、各層の塗布液を前記ポジ型感光層上に塗布し、乾燥する方法などが挙げられる。
【0041】
<基材>
前記ポジ型感光層形成工程で用いられる前記基材としては、特に制限はなく、公知の材料の中から表面平滑性の高いものから凸凹のある表面を有するものまで、目的に応じて適宜選択することができるが、板状の基材(基板)が好ましく、具体的には、ガラス板(例えば、ソーダガラス板、酸化ケイ素をスパッタしたガラス板、石英ガラス板等)、合成樹脂性のフィルム、紙、金属板などが挙げられる。
パターンや薄膜を有する基体上を洗浄後に、例えばHMDS(ヘキサメチルホスホルアミド)のような溶剤で処理して基板表面の水分を除去する。ポジ型感光性組成物をスピンコーターを用いて、塗布し、乾燥させる。乾燥温度は100〜150℃が好ましい。
【0042】
[露光工程]
前記露光工程としては、前記ポジ型感光層形成工程により形成されたポジ型感光層を、フォトマスクを用いずに露光する工程を有する。
前記露光としては、フォトマスクを用いずに行うのであれば特に制限はないが、例えば、光照射手段及び光変調手段を少なくとも備えた露光ヘッドと、前記感光層の少なくともいずれかを移動させつつ、前記感光層に対して、前記光照射手段から出射した光を前記光変調手段によりパターン情報に応じて変調しながら前記露光ヘッドから照射して行うことが好ましい。
【0043】
前記露光工程において、光を変調する方法としては、前記光照射手段からの光を受光し出射する描素部をn個有する光変調手段により変調する方法であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、n個の描素部の中から連続的に配置された任意のn個未満の描素部をパターン情報に応じて制御する方法が好適に挙げられる。
前記描素部の数(n)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記光変調手段における描素部の配列としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、2次元的に配列されることが好ましく、格子状に配列されることがより好ましい。
【0044】
前記露光工程において、前記変調手段により変調された光は、アパーチャーアレイ、結合光学系、適宜選択されるその他の光学系などを通過させられることが好ましい。
【0045】
前記露光工程において、感光層を、露光する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、デジタル露光、アナログ露光などが挙げられるが、デジタル露光が好適である。
前記デジタル露光の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、所定のパターン情報に基づいて生成される制御信号に応じて変調されたレーザ光を用いて行われることが好適である。
【0046】
本発明のパターン形成方法について、画像データに基づいて光を変調しながら相対走査して露光することで2次元画像の形成を行う露光方式(マスクレスパターン露光)を利用した露光工程を中心に説明する。
【0047】
前記マスクレスパターン露光は、2次元状に並んだ空間光変調デバイスを用い、画像データに基づいて光を変調しながら相対走査することで2次元画像の形成を行う露光方法である。
【0048】
より具体的には、露光光を透過させない又は弱めて透過させる材質で画像(露光パターン;以下、パターンともいう)が形成された「マスク」と呼ばれる物体を露光光の光路に配置し、感光性の層を前記画像に対応したパターン状に露光する従来のマスク露光方式(マスク露光ともいう)に対して、前記「マスク」を用いずに感光性の層をパターン状に露光する露光方法のことである。
【0049】
マスクレスパターン露光では、光源として超高圧水銀灯や、レーザが用いられる。
前記超高圧水銀灯とは、石英ガラスチューブなどに水銀を封入した放電灯であり水銀の蒸気圧を高く設定して発光効率を高めたものである(点灯時の水銀の蒸気圧はおよそ5MPaになるものもある。W. Elenbaas:Light Sources、Philips Technical Library 148−150)である。輝線スペクトルのうち、405nm±40nmの単一露光波長が用いられ、h線(405nm)が主として用いることができる。
【0050】
前記レーザは、Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation(誘導放出による光の増幅)の頭字語である。反転分布を持った物質中で起きる誘導放出の現象を利用し、光波の増幅、発振によって干渉性と指向性が一層強い単色光を作り出す発振器及び増幅器。励起媒質として結晶、ガラス、液体、色素、気体などあり、これらの媒質から固体レーザ(YAGレーザ)、液体レーザ、気体レーザ(アルゴンレーザ、He−Neレーザ、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ)、半導体レーザなどの公知のレーザを前記波長領域において用いることができる。
【0051】
半導体レーザは、搬送子の注入、電子ビームによる励起、衝突によるイオン化、光励起などによって電子と正孔とが接合部に流出する時、pn接合で可干渉光を誘導放出するような発光ダイオードを用いるレーザである。この放出される可干渉光の波長は、半導体化合物によって決まる。レーザの波長は、405nm±40nmの単一露光波長である。
【0052】
本発明における単一露光波長とは、レーザによる場合は主波長のことをさし、超高圧水銀灯による場合は405nm以外の輝線をNDフィルタなどで365nmや405nmより大きい波長をカットして主波長を1波長のみにしたものをいう。
【0053】
光を変調しながら相対走査する方法について説明する。
そのひとつの代表的な方法は、例えば、1987年に米国テキサス・インスツルメンツのラリー・ホーンベック博士他が開発した光半導体、即ちDMD(デジタル マイクロミラー デバイス)のような、微小なミラーが二次元に並んだ空間変調素子を用いる方法である。
この場合、光源からの光は、適切な光学系によってDMD上に照射され、DMDに二次元に並んだ各ミラーからの反射光が、別の光学系などを経て、感光層上に、二次元に並んだ光点の像を形成する。このままでは光点と光点の間は露光されないが、前記二次元に並んだ光点の像を、二次元の並び方向に対して、やや傾いた方向に移動させると、最初の列の光点と光点の間を、後方の列の光点が露光する、という形で、感光層の全面を露光することができる。DMDの各ミラーの角度を制御し、前記光点をON−OFFすることで、画像パターンを形成することができる。このようなDMDを有す露光ヘッドを並べて用いることで色々な幅の基板に対応することができる。
前記DMDでは、前記光点の輝度は、ONかOFFの2階調しかないが、ミラー階調型空間変調素子を用いると、256階調の露光を行うことができる。
【0054】
一方、光を変調しながら相対走査する方法の、別の代表的な方法は、ポリゴンミラーを用いる方法である。ポリゴンミラー(polygon mirror)とは、周囲に一連の平面反射面を持った回転部材のことである。感光層上に光源からの光を反射して照射するが、反射光の光点は、該平面鏡の回転によって走査される。この走査方向に対して直角に基板を移動させることで、基板上の感光層の全面を露光することができる。光源からの光の強度を適切な方法でON−OFF、又は中間調に制御することで、画像パターンを形成することができる。光源からの光を複数本とすることで、走査時間を短縮することができる。
【0055】
また、光を変調しながら相対走査する方法としては、例えば、以下の方法も適用することができる。
特開平5−150175号公報に記載のポリゴンミラーを用いて描画する例、特表2004−523101号公報に記載の下部レイヤの画像の一部を視覚的に取得し、ポリゴンミラーを用いた装置で上部レイヤの位置を下部レイヤ位置に揃えて露光する例、特開2004−56080号公報に記載のDMD有する露光する例、特表2002−523905号公報に記載のポリゴンミラー備えた露光装置、特開2001−255661号公報に記載のポリゴンミラー備えた露光装置、特開2003−50469号公報に記載のDMD、LD、多重露光の組み合わせ例、特開2003−156853号公報に記載の基板の部位により露光量を変える露光方法の例、特開2005−43576号公報に記載の位置ずれ調整を行う露光方法の例等である。
【0056】
以下、相対走査露光について詳細に説明する。
−相対走査露光−
本発明の露光方法としては、超高圧水銀灯を用いる方法とレーザを用いる方法があるが、好ましいのは後者である。本発明におけるレーザとしては、405nm±40nmの単一露光波長のレーザを用い、具体的には、半導体レーザ(GaN系など)などの公知のレーザを用いることができる。
【0057】
パターニング工程において、照射される光としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、光重合開始剤や増感剤を活性化する電磁波、紫外から可視光、電子線、X線、レーザ光などが挙げられる。これらの中でも、光のオンオフ制御が短時間で行え、光の干渉制御が容易なレーザ光が好適である。
前記紫外光から可視光の波長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、感光性組成物の露光時間の短縮を図る目的から、330nm〜650nmが好ましく、365nm〜445nmがより好ましく、405nmが特に好ましい。
【0058】
光の照射方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高圧水銀灯、キセノン灯、カーボンアーク灯、ハロゲンランプ、複写機用冷陰極管、LED、半導体レーザなどの公知の光源によって照射する方法が挙げられる。また、これらの光源からの光を2つ以上合成して照射することが好適であり、2つ以上の光を合成したレーザ光(以下、「合波レーザ光」と称することがある)を照射することが特に好適に挙げられる。
【0059】
前記合波レーザ光の照射方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、複数のレーザ光源と、マルチモード光ファイバと、該複数のレーザ光源から照射されるレーザ光を集光して前記マルチモード光ファイバに結合させる集合光学系とにより合波レーザ光を構成して照射する方法が挙げられる。
【0060】
レーザのビーム径は、特に制限はないが、濃色離隔壁の解像度の観点から、ガウシアンビームの1/e値で5μm〜30μmが好ましく、7μm〜20μmがより好ましい。
レーザビームのエネルギー量としては、特に制限はないが、露光時間及び解像度の観点から、1mJ/cm〜100mJ/cmが好ましく、5mJ/cm〜20mJ/cmがより好ましい。
本発明ではレーザ光を画像データに応じて空間光変調することが好ましい。この目的のため空間光変調素子であるデジタル マイクロ デバイスを用いることが好ましい。
【0061】
前記露光装置としては、例えば下記に記載の装置を用いることができる。以下、レーザ光を用いた3次元露光装置の一例を示すが、本発明における露光装置はこれに限定されるものではない。
【0062】
露光ユニットは、図1に示すように、ガラス基板150を表面に吸着して保持する平板状のステージ152を備えている。4本の脚部154に支持された厚い板状の設置台156の上面には、ステージ移動方向に沿って延びた2本のガイド158が設置されている。ステージ152は、その長手方向がステージ移動方向を向くように配置されると共に、ガイド158によって往復移動可能に支持されている。なお、この露光装置には、ステージ152をガイド158に沿って駆動するための図示しない駆動装置が設けられている。
【0063】
設置台156の中央部には、ステージ152の移動経路を跨ぐようにコ字状のゲート160が設けられている。コ字状のゲート160の端部の各々は、設置台156の両側面に固定されている。このゲート160を挟んで一方の側にはスキャナ162が設けられ、他方の側には感光材料150の先端及び後端を検知する複数(例えば、2個)の検知センサ164が設けられている。スキャナ162及び検知センサ164はゲート160に各々取り付けられて、ステージ152の移動経路の上方に固定配置されている。なお、スキャナ162及び検知センサ164は、これらを制御する図示しないコントローラに接続されている。
【0064】
スキャナ162は、図2及び図3Bに示すように、m行n列(例えば、3行5列)の略マトリックス状に配列された複数(例えば、14個)の露光ヘッド166を備えている。この例では、感光材料150の幅との関係で、3行目には4個の露光ヘッド166を配置した。なお、m行目のn列目に配列された個々の露光ヘッドを示す場合は、露光ヘッド166mnと表記する。
【0065】
露光ヘッド166による露光エリア168は、副走査方向を短辺とする矩形状である。従って、ステージ152の移動に伴い、感光材料150には露光ヘッド166毎に帯状の露光済み領域170が形成される。なお、m行目のn列目に配列された個々の露光ヘッドによる露光エリアを示す場合は、露光エリア168mnと表記する。
【0066】
また、図3A及び図3Bに示すように、帯状の露光済み領域170が副走査方向と直交する方向に隙間無く並ぶように、ライン状に配列された各行の露光ヘッドの各々は、配列方向に所定間隔(露光エリアの長辺の自然数倍、ここでは2倍)ずらして配置されている。このため、1行目の露光エリア16811と露光エリア16812との間の露光できない部分は、2行目の露光エリア16821と3行目の露光エリア16831とにより露光することができる。
【0067】
露光ヘッド16611〜166mn各々は、図4、図5A、及び図5Bに示すように、入射された光ビームを画像データに応じて各画素毎に変調する空間光変調素子として、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)50を備えている。このDMD50は、データ処理部とミラー駆動制御部とを備えた図示しないコントローラに接続されている。このコントローラのデータ処理部では、入力された画像データに基づいて、各露光ヘッド166毎にDMD50の制御すべき領域内の各マイクロミラーを駆動制御する制御信号を生成する。なお、制御すべき領域については後述する。また、前記ミラー駆動制御部では、画像データ処理部で生成した制御信号に基づいて、各露光ヘッド166毎にDMD50の各マイクロミラーの反射面の角度を制御する。なお、前記反射面の角度の制御に付いては後述する。
【0068】
DMD50の光入射側には、光ファイバの出射端部(発光点)が露光エリア168の長辺方向と対応する方向に沿って一列に配列されたレーザ出射部を備えたファイバアレイ光源66、ファイバアレイ光源66から出射されたレーザ光を補正してDMD上に集光させるレンズ系67、レンズ系67を透過したレーザ光をDMD50に向けて反射するミラー69がこの順に配置されている。
【0069】
レンズ系67は、ファイバアレイ光源66から出射されたレーザ光を平行光化する1対の組合せレンズ71、平行光化されたレーザ光の光量分布が均一になるように補正する1対の組合せレンズ73、及び光量分布が補正されたレーザ光をDMD上に集光する集光レンズ75で構成されている。組合せレンズ73は、レーザ出射端の配列方向に対しては、レンズの光軸に近い部分は光束を広げかつ光軸から離れた部分は光束を縮め、かつこの配列方向と直交する方向に対しては光をそのまま通過させる機能を備えており、光量分布が均一となるようにレーザ光を補正する。
【0070】
また、DMD50の光反射側には、DMD50で反射されたレーザ光を感光材料150の走査面(被露光面)56上に結像するレンズ系54、58が配置されている。前記レンズ系54及び58は、DMD50と被露光面56とが共役な関係となるように配置されている。
【0071】
DMD50は、図6に示すように、SRAMセル(メモリセル)60上に、微小ミラー(マイクロミラー)62が支柱により支持されて配置されたものであり、画素(ピクセル)を構成する多数の(例えば、600個×800個)の微小ミラーを格子状に配列して構成されたミラーデバイスである。各ピクセルには、最上部に支柱に支えられたマイクロミラー62が設けられており、マイクロミラー62の表面にはアルミニウム等の反射率の高い材料が蒸着されている。なお、マイクロミラー62の反射率は90%以上である。また、マイクロミラー62の直下には、ヒンジ及びヨークを含む支柱を介して通常の半導体メモリの製造ラインで製造されるシリコンゲートのCMOSのSRAMセル60が配置されており、全体はモノリシック(一体型)に構成されている。
【0072】
DMD50のSRAMセル60にデジタル信号が書き込まれると、支柱に支えられたマイクロミラー62が、対角線を中心としてDMD50が配置された基板側に対して±α度(例えば±10度)の範囲で傾けられる。図7Aは、マイクロミラー62がオン状態である+α度に傾いた状態を示し、図7Bは、マイクロミラー62がオフ状態である−α度に傾いた状態を示す。従って、画像信号に応じて、DMD50の各ピクセルにおけるマイクロミラー62の傾きを、図6に示すように制御することによって、DMD50に入射された光はそれぞれのマイクロミラー62の傾き方向へ反射される。
【0073】
なお、図6には、DMD50の一部を拡大し、マイクロミラー62が+α度又は−α度に制御されている状態の一例を示す。それぞれのマイクロミラー62のオンオフ制御は、DMD50に接続された図示しないコントローラによって行われる。なお、オフ状態のマイクロミラー62により光ビームが反射される方向には、光吸収体(図示せず)が配置されている。
【0074】
また、DMD50は、その短辺が副走査方向と所定角度θ(例えば、1°〜5°)をなすように僅かに傾斜させて配置するのが好ましい。図8AはDMD50を傾斜させない場合の各マイクロミラーによる反射光像(露光ビーム)53の走査軌跡を示し、図8BはDMD50を傾斜させた場合の露光ビーム53の走査軌跡を示している。
【0075】
DMD50には、長手方向にマイクロミラーが多数個(例えば、800個)配列されたマイクロミラー列が、短手方向に多数組(例えば、600組)配列されているが、図8Bに示すように、DMD50を傾斜させることにより、各マイクロミラーによる露光ビーム53の走査軌跡(走査線)のピッチP1が、DMD50を傾斜させない場合の走査線のピッチP2より狭くなり、解像度を大幅に向上させることができる。一方、DMD50の傾斜角は微小であるので、DMD50を傾斜させた場合の走査幅W2と、DMD50を傾斜させない場合の走査幅Wとは略同一である。
【0076】
また、異なるマイクロミラー列により同じ走査線上が重ねて露光(多重露光)されることになる。このように、多重露光されることで、露光位置の微少量をコントロールすることができ、高精細な露光を実現することができる。また、主走査方向に配列された複数の光ヘッドの間のつなぎ目を微少量の露光位置制御により段差無くつなぐことができる。
【0077】
なお、DMD50を傾斜させる代わりに、各マイクロミラー列を副走査方向と直交する方向に所定間隔ずらして千鳥状に配置しても、同様の効果を得ることができる。
【0078】
ファイバアレイ光源66は、図9Aに示すように、複数(例えば、6個)のレーザモジュール64を備えており、各レーザモジュール64には、マルチモード光ファイバ30の一端が結合されている。マルチモード光ファイバ30の他端には、コア径がマルチモード光ファイバ30と同一でかつクラッド径がマルチモード光ファイバ30より小さい光ファイバ31が結合され、図9Cに示すように、光ファイバ31の出射端部(発光点)が副走査方向と直交する主走査方向に沿って1列に配列されてレーザ出射部68が構成されている。なお、図9Dに示すように、発光点を主走査方向に沿って2列に配列することもできる。
【0079】
光ファイバ31の出射端部は、図9Bに示すように、表面が平坦な2枚の支持板65に挟み込まれて固定されている。また、光ファイバ31の光出射側には、光ファイバ31の端面を保護するために、ガラス等の透明な保護板63が配置されている。保護板63は、光ファイバ31の端面と密着させて配置してもよく、光ファイバ31の端面が密封されるように配置してもよい。光ファイバ31の出射端部は、光密度が高く集塵し易く劣化し易いが、保護板63を配置することにより端面への塵埃の付着を防止することができると共に劣化を遅らせることができる。
【0080】
ここでは、クラッド径が小さい光ファイバ31の出射端を隙間無く1列に配列するために、クラッド径が大きい部分で隣接する2本のマルチモード光ファイバ30の間にマルチモード光ファイバ30を積み重ね、積み重ねられたマルチモード光ファイバ30に結合された光ファイバ31の出射端が、クラッド径が大きい部分で隣接する2本のマルチモード光ファイバ30に結合された光ファイバ31の2つの出射端の間に挟まれるように配列されている。
【0081】
このような光ファイバは、例えば、図10に示すように、クラッド径が大きいマルチモード光ファイバ30のレーザ光出射側の先端部分に、長さ1cm〜30cmのクラッド径が小さい光ファイバ31を同軸的に結合することにより得ることができる。2本の光ファイバは、光ファイバ31の入射端面が、マルチモード光ファイバ30の出射端面に、両光ファイバの中心軸が一致するように融着されて結合されている。上述した通り、光ファイバ31のコア31aの径は、マルチモード光ファイバ30のコア30aの径と同じ大きさである。
【0082】
また、長さが短くクラッド径が大きい光ファイバにクラッド径が小さい光ファイバを融着させた短尺光ファイバを、フェルールや光コネクタ等を介してマルチモード光ファイバ30の出射端に結合してもよい。コネクタ等を用いて着脱可能に結合することで、クラッド径が小さい光ファイバが破損した場合等に先端部分の交換が容易になり、露光ヘッドのメンテナンスに要するコストを低減できる。なお、以下では、光ファイバ31を、マルチモード光ファイバ30の出射端部と称する場合がある。
【0083】
マルチモード光ファイバ30及び光ファイバ31としては、ステップインデックス型光ファイバ、グレーテッドインデックス型光ファイバ、及び複合型光ファイバの何れでもよい。例えば、三菱電線工業株式会社製のステップインデックス型光ファイバを用いることができる。ここでは、マルチモード光ファイバ30及び光ファイバ31は、ステップインデックス型光ファイバであり、マルチモード光ファイバ30は、クラッド径=125μm、コア径=25μm、NA=0.2、入射端面コートの透過率=99.5%以上であり、光ファイバ31は、クラッド径=60μm、コア径=25μm、NA=0.2である。
【0084】
一般に、赤外領域のレーザ光では、光ファイバのクラッド径を小さくすると伝搬損失が増加する。このため、レーザ光の波長帯域に応じて好適なクラッド径が決定されている。しかしながら、波長が短いほど伝搬損失は少なくなり、GaN系半導体レーザから出射された波長405nmのレーザ光では、クラッドの厚み{(クラッド径−コア径)/2}を800nmの波長帯域の赤外光を伝搬させる場合の1/2程度、通信用の1.5μmの波長帯域の赤外光を伝搬させる場合の約1/4にしても、伝搬損失は殆ど増加しない。従って、クラッド径を60μmと小さくすることができる。
【0085】
ただし、光ファイバ31のクラッド径は60μmには限定されない。従来のファイバ光源に使用されている光ファイバのクラッド径は125μmであるが、クラッド径が小さくなるほど焦点深度がより深くなるので、マルチモード光ファイバのクラッド径は80μm以下が好ましく、60μm以下がより好ましく、40μm以下が特に好ましい。一方、コア径は少なくとも3μm〜4μm必要であることから、光ファイバ31のクラッド径は10μm以上が好ましい。
【0086】
レーザモジュール64は、図11に示す合波レーザ光源(ファイバ光源)によって構成されている。この合波レーザ光源は、ヒートブロック10上に配列固定された複数(例えば、7個)のチップ状の横マルチモード又はシングルモードのGaN系半導体レーザLD1,LD2,LD3,LD4,LD5,LD6,及びLD7と、GaN系半導体レーザLD1〜LD7の各々に対応して設けられたコリメータレンズ11,12,13,14,15,16,及び17と、1つの集光レンズ20と、1本のマルチモード光ファイバ30と、から構成されている。なお、半導体レーザの個数は7個には限定されない。例えば、クラッド径=60μm、コア径=50μm、開口数(NA)=0.2のマルチモード光ファイバには、20個もの半導体レーザ光を入射することが可能であり、露光ヘッドの必要光量を実現して、かつ光ファイバ本数をより減らすことができる。
【0087】
GaN系半導体レーザLD1〜LD7は、発振波長が総て共通(例えば、405nm)であり、最大出力も総て共通(例えば、マルチモードレーザでは100mW、シングルモードレーザーでは30mW)である。なお、GaN系半導体レーザLD1〜LD7としては、365nm〜445nmの波長範囲で、上記の405nm以外の発振波長を備えるレーザを用いてもよい。
【0088】
上記の合波レーザ光源は、図12及び図13に示すように、他の光学要素と共に、上方が開口した箱状のパッケージ40内に収納されている。パッケージ40は、その開口を閉じるように作製されたパッケージ蓋41を備えており、脱気処理後に封止ガスを導入し、パッケージ40の開口をパッケージ蓋41で閉じることにより、パッケージ40とパッケージ蓋41とにより形成される閉空間(封止空間)内に上記合波レーザ光源が気密封止されている。
【0089】
パッケージ40の底面にはベース板42が固定されており、このベース板42の上面には、前記ヒートブロック10と、集光レンズ20を保持する集光レンズホルダー45と、マルチモード光ファイバ30の入射端部を保持するファイバホルダー46とが取り付けられている。マルチモード光ファイバ30の出射端部は、パッケージ40の壁面に形成された開口からパッケージ外に引き出されている。
【0090】
また、ヒートブロック10の側面にはコリメータレンズホルダー44が取り付けられており、コリメータレンズ11〜17が保持されている。パッケージ40の横壁面には開口が形成され、この開口を通してGaN系半導体レーザLD1〜LD7に駆動電流を供給する配線47がパッケージ外に引き出されている。
【0091】
なお、図13においては、図の煩雑化を避けるために、複数のGaN系半導体レーザのうちGaN系半導体レーザLD7にのみ番号を付し、複数のコリメータレンズのうちコリメータレンズ17にのみ番号を付している。
【0092】
図14は、上記コリメータレンズ11〜17の取り付け部分の正面形状を示すものである。コリメータレンズ11〜17の各々は、非球面を備えた円形レンズの光軸を含む領域を平行平面で細長く切り取った形状に形成されている。この細長形状のコリメータレンズは、例えば、樹脂又は光学ガラスをモールド成形することによって形成することができる。コリメータレンズ11〜17は、長さ方向がGaN系半導体レーザLD1〜LD7の発光点の配列方向(図14の左右方向)と直交するように、上記発光点の配列方向に密接配置されている。
【0093】
一方、GaN系半導体レーザLD1〜LD7としては、発光幅が2μmの活性層を備え、活性層と平行方向、直角な方向の拡がり角が各々例えば10°、30°の状態で各々レーザビームB1〜B7を発するレーザが用いられている。これらGaN系半導体レーザLD1〜LD7は、活性層と平行方向に発光点が1列に並ぶように配設されている。
【0094】
したがって、各発光点から発せられたレーザビームB1〜B7は、上述のように細長形状の各コリメータレンズ11〜17に対して、拡がり角度が大きい方向が長さ方向と一致し、拡がり角度が小さい方向が幅方向(長さ方向と直交する方向)と一致する状態で入射することになる。つまり、各コリメータレンズ11〜17の幅が1.1mm、長さが4.6mmであり、それらに入射するレーザビームB1〜B7の水平方向、垂直方向のビーム径は各々0.9mm、2.6mmである。また、コリメータレンズ11〜17の各々は、焦点距離f1=3mm、NA=0.6、レンズ配置ピッチ=1.25mmである。
【0095】
集光レンズ20は、非球面を備えた円形レンズの光軸を含む領域を平行平面で細長く切り取って、コリメータレンズ11〜17の配列方向、つまり水平方向に長く、それと直角な方向に短い形状に形成されている。この集光レンズ20は、焦点距離f2=23mm、NA=0.2である。この集光レンズ20も、例えば、樹脂又は光学ガラスをモールド成形することにより形成される。
【0096】
次に、上記露光装置の動作について説明する。
スキャナ162の各露光ヘッド166において、ファイバアレイ光源66の合波レーザ光源を構成するGaN系半導体レーザLD1〜LD7の各々から発散光状態で出射したレーザビームB1,B2,B3,B4,B5,B6,及びB7の各々は、対応するコリメータレンズ11〜17によって平行光化される。平行光化されたレーザビームB1〜B7は、集光レンズ20によって集光され、マルチモード光ファイバ30のコア30aの入射端面に収束する。
【0097】
ここでは、コリメータレンズ11〜17及び集光レンズ20によって集光光学系が構成され、その集光光学系とマルチモード光ファイバ30とによって合波光学系が構成されている。即ち、集光レンズ20によって上述のように集光されたレーザビームB1〜B7が、このマルチモード光ファイバ30のコア30aに入射して光ファイバ内を伝搬し、1本のレーザビームBに合波されてマルチモード光ファイバ30の出射端部に結合された光ファイバ31から出射する。
【0098】
各レーザモジュールにおいて、レーザビームB1〜B7のマルチモード光ファイバ30への結合効率が0.85で、GaN系半導体レーザLD1〜LD7の各出力が30mWの場合には、アレイ状に配列された光ファイバ31の各々について、出力180mW(=30mW×0.85×7)の合波レーザビームBを得ることができる。したがって、6本の光ファイバ31がアレイ状に配列されたレーザ出射部68での出力は約1W(=180mW×6)である。
【0099】
ファイバアレイ光源66のレーザ出射部68には、この通り高輝度の発光点が主走査方向に沿って一列に配列されている。単一の半導体レーザからのレーザ光を1本の光ファイバに結合させる従来のファイバ光源は低出力であるため、多数列配列しなければ所望の出力を得ることができなかったが、合波レーザ光源は高出力であるため、少数列、例えば1列でも所望の出力を得ることができる。
【0100】
例えば、半導体レーザと光ファイバを1対1で結合させた従来のファイバ光源では、通常、半導体レーザとしては出力30mW(ミリワット)程度のレーザが使用され、光ファイバとしてはコア径50μm、クラッド径125μm、NA(開口数)0.2のマルチモード光ファイバが使用されているので、約1W(ワット)の出力を得ようとすれば、マルチモード光ファイバを48本(8×6)束ねなければならず、発光領域の面積は0.62mm(0.675mm×0.925mm)であるから、レーザ出射部68での輝度は1.6×10(W/m)、光ファイバ1本当りの輝度は3.2×10(W/m)である。
【0101】
これに対して上述した通り、マルチモード光ファイバ6本で約1Wの出力を得ることができ、レーザ出射部68での発光領域の面積は0.0081mm(0.325mm×0.025mm)であるから、レーザ出射部68での輝度は123×10(W/m)となり、従来に比べ約80倍の高輝度化を図ることができる。また、光ファイバ1本当りの輝度は90×10(W/m)であり、従来に比べ約28倍の高輝度化を図ることができる。
【0102】
ここで、図15A及び図15Bを参照して、露光ヘッドによる焦点深度の違いについて説明する。図15Aにおいて、露光ヘッドのバンドル状ファイバ光源の発光領域の副走査方向の径は0.675mmであり、図15Bにおいて、露光ヘッドのファイバアレイ光源の発光領域の副走査方向の径は0.025mmである。図15Aに示すように、この露光ヘッドでは、光源(バンドル状ファイバ光源)1の発光領域が大きいので、DMD3へ入射する光束の角度が大きくなり、結果として走査面5へ入射する光束の角度が大きくなる。このため、集光方向(ピント方向のずれ)に対してビーム径が太くなりやすい。
【0103】
一方、図15Bに示すように、この露光ヘッドでは、ファイバアレイ光源66の発光領域の副走査方向の径が小さいので、レンズ系67を通過してDMD50へ入射する光束の角度が小さくなり、結果として走査面56へ入射する光束の角度が小さくなる。即ち、焦点深度が深くなる。この例では、発光領域の副走査方向の径は従来の約30倍になっており、略回折限界に相当する焦点深度を得ることができる。したがって、微小スポットの露光に好適である。この焦点深度への効果は、露光ヘッドの必要光量が大きいほど顕著であり、有効である。この例では、露光面に投影された1画素サイズは10μm×10μmである。なお、DMDは反射型の空間変調素子であるが、図15A及び図15Bは、光学的な関係を説明するために展開図とした。
【0104】
露光パターンに応じた画像データが、DMD50に接続された図示しないコントローラに入力され、コントローラ内のフレームメモリに一旦記憶される。この画像データは、画
を構成する各画素の濃度を2値(ドットの記録の有無)で表したデータである。
【0105】
感光材料150を表面に吸着したステージ152は、図示しない駆動装置により、ガイド158に沿ってゲート160の上流側から下流側に一定速度で移動される。ステージ152がゲート160下を通過する際に、ゲート160に取り付けられた検知センサ164により感光材料150の先端が検出されると、フレームメモリに記憶された画像データが複数ライン分ずつ順次読み出され、データ処理部で読み出された画像データに基づいて各露光ヘッド166毎に制御信号が生成される。そして、ミラー駆動制御部により、生成された制御信号に基づいて各露光ヘッド166毎にDMD50のマイクロミラーの各々がオンオフ制御される。
【0106】
ファイバアレイ光源66からDMD50にレーザ光が照射されると、DMD50のマイクロミラーがオン状態のときに反射されたレーザ光は、レンズ系54、58により感光材料150の被露光面56上に結像される。このようにして、ファイバアレイ光源66から出射されたレーザ光が画素毎にオンオフされて、感光材料150がDMD50の使用画素数と略同数の画素単位(露光エリア168)で露光される。また、感光材料150がステージ152と共に一定速度で移動されることにより、感光材料150がスキャナ162によりステージ移動方向と反対の方向に副走査され、各露光ヘッド166毎に帯状の露光済み領域170が形成される。
【0107】
図16A及び図16Bに示すように、DMD50には、主走査方向にマイクロミラーが800個配列されたマイクロミラー列が、副走査方向に600組配列されているが、ここではコントローラにより一部のマイクロミラー列(例えば、800個×100列)だけが駆動されるように制御する。
【0108】
図16Aに示すように、DMD50の中央部に配置されたマイクロミラー列を使用してもよく、図16Bに示すように、DMD50の端部に配置されたマイクロミラー列を使用してもよい。また、一部のマイクロミラーに欠陥が発生した場合は、欠陥が発生していないマイクロミラー列を使用するなど、状況に応じて使用するマイクロミラー列を適宜変更してもよい。
【0109】
DMD50のデータ処理速度には限界があり、使用する画素数に比例して1ライン当りの変調速度が決定されるので、一部のマイクロミラー列だけを使用することで1ライン当りの変調速度が速くなる。一方、連続的に露光ヘッドを露光面に対して相対移動させる露光方式の場合には、副走査方向の画素を全部使用する必要はない。
【0110】
例えば、600組のマイクロミラー列の内、300組だけ使用する場合には、600組全部使用する場合と比較すると1ライン当り2倍速く変調することができる。また、600組のマイクロミラー列の内、200組だけ使用する場合には、600組全部使用する場合と比較すると1ライン当り3倍速く変調することができる。即ち、副走査方向に500mmの領域を17秒で露光できる。更に、100組だけ使用する場合には、1ライン当り6倍速く変調することができる。即ち、副走査方向に500mmの領域を9秒で露光できる。
【0111】
使用するマイクロミラー列の数、即ち、副走査方向に配列されたマイクロミラーの個数は、10以上でかつ200以下が好ましく、10以上でかつ100以下がより好ましい。1画素に相当するマイクロミラー1個当りの面積は15μm×15μmであるから、DMD50の使用領域に換算すると、12mm×150μm以上でかつ12mm×3mm以下の領域が好ましく、12mm×150μm以上でかつ12mm×1.5mm以下の領域がより好ましい。
【0112】
使用するマイクロミラー列の数が上記範囲にあれば、図17A及び図17Bに示すように、ファイバアレイ光源66から出射されたレーザ光をレンズ系67で略平行光化して、DMD50に照射することができる。DMD50によりレーザ光を照射する照射領域は、DMD50の使用領域と一致することが好ましい。照射領域が使用領域よりも広いとレーザ光の利用効率が低下する。
【0113】
一方、DMD50上に集光させる光ビームの副走査方向の径を、レンズ系67により副走査方向に配列されたマイクロミラーの個数に応じて小さくする必要があるが、使用するマイクロミラー列の数が10未満であると、DMD50に入射する光束の角度が大きくなり、走査面56における光ビームの焦点深度が浅くなるので好ましくない。また、使用するマイクロミラー列の数が200以下が変調速度の観点から好ましい。なお、DMDは反射型の空間変調素子であるが、図17A及び図17Bは、光学的な関係を説明するために展開図とした。
【0114】
スキャナ162による感光材料150の副走査が終了し、検知センサ164で感光材料150の後端が検出されると、ステージ152は、図示しない駆動装置により、ガイド158に沿ってゲート160の最上流側にある原点に復帰し、再度、ガイド158に沿ってゲート160の上流側から下流側に一定速度で移動される。
【0115】
以上説明した通り、露光ユニット(露光装置)は、主走査方向にマイクロミラーが800個配列されたマイクロミラー列が、副走査方向に600組配列されたDMDを備えているが、コントローラにより一部のマイクロミラー列だけが駆動されるように制御するので、全部のマイクロミラー列を駆動する場合に比べて、1ライン当りの変調速度が速くなる。これにより高速での露光が可能になる。
【0116】
[現像工程]
前記現像工程としては、前記露光工程により前記感光層を露光し、未露光部分を除去することにより現像する工程を有する。
前記未硬化領域の除去方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、現像液を用いて除去する方法などが挙げられる。
本発明では、現像工程において、2種以上の現像強度の異なる現像液を用いて現像を行うことにより、上記露光工程での強度変調露光と組み合わせて、TFTアレイ基板の製造工程での工程数の減少が可能となる。
【0117】
前記現像液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤などが挙げられ、これらの中でも、弱アルカリ性の水溶液が好ましい。
該アルカリ性の水溶液は、アルカリ性物質の希薄水溶液を使用するが、更に、水と混和性の有機溶剤を少量添加したものを用いてもよい。前記アルカリ性物質としては、例えば、アルカリ金属水酸化物類(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム);アルカリ金属炭酸塩類(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム);アルカリ金属重炭酸塩類(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム);アルカリ金属ケイ酸塩類(例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム);アルカリ金属メタケイ酸塩類(例えば、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム)、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、テトラアルキルアンモンニウムヒドロキシド類(例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド);ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ〔4,3,0〕−5−ノナン又は燐酸三ナトリウムなどが挙げられる。
前記アルカリ性物質の濃度は、0.01質量%〜30質量%であり、pHは8〜14が好ましい。
また、上記の水と混和性のある適当な有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドンを挙げることができる。水と混和性の有機溶剤の濃度は、0.1質量%〜30質量%が一般的である。
現像液には、更に公知のアニオン型、ノニオン型界面活性剤を添加することができる。前記界面活性剤の濃度は0.01質量%〜10質量%が好ましい。
前記現像液の温度としては、前記感光層の現像性に合わせて適宜選択することができるが、例えば、25℃〜40℃が好ましい。
【0118】
本発明のパターン形成方法において、LCD用の薄膜トランジスタアレイ基板を作製する場合、前記現像液としては、有機アルカリ剤が好ましい。
前記有機アルカリ剤としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。
【0119】
前記現像方式としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パドル現像、シャワー現像、シャワー&スピン現像、ディプ現像等が挙げられる。
前記シャワー現像について説明すると、露光後の感光層に現像液をシャワーにより吹き付けることにより、未硬化部分を除去することができる。なお、現像の前に感光層の溶解性が低いアルカリ性の液をシャワーなどにより吹き付け、熱可塑性樹脂層、中間層などを除去しておくことが好ましい。また、現像の後に、洗浄剤などをシャワーにより吹き付け、ブラシなどで擦りながら、現像残渣を除去することが好ましい。
【0120】
[その他の工程]
前記その他の工程としては、特に制限はなく、公知のパターン形成における工程の中から適宜選択することが挙げられるが、例えば、硬化処理工程、エッチング工程、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0121】
−硬化処理工程−
前記現像工程後に、ポジ型感光層に対して硬化処理を行う硬化処理工程を備えることが好ましい。
前記硬化処理工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、全面露光処理、全面加熱処理などが好適に挙げられる。
【0122】
前記全面露光処理の方法としては、例えば、前記現像工程の後に、前記パターンが形成された前記積層体上の全面を露光する方法が挙げられる。該全面露光により、前記感光層を形成する感光性組成物中の樹脂の硬化が促進され、前記パターンの表面が硬化される。
前記全面露光を行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、超高圧水銀灯などのUV露光機が好適に挙げられる。
【0123】
前記全面加熱処理の方法としては、前記現像工程の後に、前記パターンが形成された前記積層体上の全面を加熱する方法が挙げられる。該全面加熱により、前記パターンの表面の膜強度が高められる。
前記全面加熱における加熱温度としては、80℃〜200℃が好ましく、90℃〜180℃がより好ましい。前記加熱温度が80℃未満であると、加熱処理による膜強度の向上が得られないことがあり、前記加熱温度が200℃を超えると、前記ポジ型感光性組成物中の樹脂の分解が生じ、膜質が弱く脆くなることがある。
前記全面加熱における加熱時間としては、10分間〜120分間が好ましく、15分間〜60分間がより好ましい。
前記全面加熱を行う装置としては、特に制限はなく、公知の装置の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドライオーブン、ホットプレート、IRヒーターなどが挙げられる。また、ホットプレートを使用する場合には、加熱を均一に行うために、パターンを形成した基材をプレートから浮かせて行うことが好ましい。
【0124】
−エッチング工程−
前記エッチング工程としては、公知のエッチング処理方法の中から適宜選択した方法により行うことができ、レジストパターンで覆われていない下地部分を除去するために行い、薄膜のパターンを得る。
エッチング液による処理(ウエットエッチング)、及び減圧下でのガス放電により反応させてガス状にして処理(ドライエッチング)のいずれかを行う。
前記ウエットエッチングを行う場合は、エッチング液の浸透によるアンダーカットを防止するためにポストベークを行うことが望ましい。通常これらのポストベークは90℃〜140℃程度で行われるが、必ずしもこれに限られてはいない。使用されるエッチング液には、塩化第二鉄/塩酸系、塩酸/硝酸系、臭化水素酸系などを代表例として、多くのエッチング液が開発され使用されている。Cr用には硝酸セリウムアンモニウム溶液、Ti、Ta用には希釈フッ酸、Mo用には過酸化水素水、MoW、Alにはリン硝酸、ITO用には希釈王水、塩化第二鉄溶液、ヨウ化水素水、SiNxやSiOには緩衝フッ酸、a−Si、n+a−Siにはフッ硝酸がそれぞれ使用される。
【0125】
前記ドライエッチングにおいて用いられるエッチャントガスとしては、それぞれの膜種に適合するエッチャントガスが使用される。a−Si/nやs−Si用には四フッ化炭素(塩素)+酸素、四フッ化炭素(六フッ化硫黄)+塩化水素(塩素)、a−SiNx用には四フッ化炭素+酸素、a−SiOx用には四フッ化炭素+酸素、三フッ化炭素+酸素、Ta用には四フッ化炭素(六フッ化硫黄)+酸素、MoTa/MoW用には四フッ化炭素+酸素、Cr用には塩素+酸素、Al用には三塩化硼素+塩素、臭化水素、臭化水素+塩素、ヨウ化水素等が挙げられる。
【0126】
−レジスト剥離−
終わりに、パターン形成のために用いたレジストを剥離液にて取り除く(ウエット剥離)か、あるいは、減圧下での酸素ガスの放電により酸化させてガス状にして取り除く(ドライ剥離/アッシング)か、あるいはオゾンとUV光によって酸化させてガス状にして取り除く(ドライ剥離/UVアッシング)など、いくつかの剥離方法によってレジスト除去を行う。剥離液には、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液のような水溶液系とアミンとジメチルスルホキシドやN−メチルピロリドンの混合物のような有機溶剤系が一般的に知られている。後者の例としてはモノエタノールアミン/ジメチルスルホキシド混合物(質量混合比=7/3)がよく知られている。
【0127】
本発明のパターン形成方法は、パターン形成材料上に結像させる像の歪みを抑制することにより、パターンを高精細に、かつ、効率よく形成可能であるため、高精細な露光が必要とされる各種パターンの形成などに好適に使用することができ、特に大面積のTFTアレイ基板の形成に好適に使用することができる。
【実施例】
【0128】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0129】
(合成例1)
−ノボラック樹脂1の合成−
メタクレゾール450g、パラクレゾール200g、及びフェノール350g(メタクレゾール/パラクレゾール/フェノール(質量比)=45/20/35)、37質量%ホルムアルデヒド719g、並びにシュウ酸7gを仕込み、100℃で4時間反応を行った後、エチルセロソルブ450gを添加して内温180℃まで昇温し脱水した。次いで、減圧下で溶媒を留去し、ノボラック樹脂1を1,010g合成した。得られたノボラック樹脂1のGPC測定による重量平均分子量(Mw)は6,100であった(ポリスチレン換算)。
【0130】
(合成例2)
−ノボラック樹脂2の合成−
メタクレゾール450g、パラクレゾール200g、及びオルトクレゾール350g(メタクレゾール/パラクレゾール/オルトクレゾール(質量比)=45/20/35)、37質量%ホルムアルデヒド683gを用いた以外は、合成例1と同様にして、ノボラック樹脂2を合成した。得られたノボラック樹脂2のGPC測定による重量平均分子量(Mw)は5,200であった(ポリスチレン換算)。
【0131】
(合成例3)
−ノボラック樹脂3の合成−
メタクレゾール450g、パラクレゾール450g、及び3,5−キシレノール100g(メタクレゾール/パラクレゾール/3,5−キシレノール(質量比)=45/45/10)、37質量%ホルムアルデヒド675gを用いた以外は、合成例1と同様にして、ノボラック樹脂3を合成した。得られたノボラック樹脂3のGPC測定による重量平均分子量(Mw)は4,000であった(ポリスチレン換算)。
【0132】
(合成例4)
−ノボラック樹脂4の合成−
フェノール350g、メタクレゾール450g、及び2,3,5−トリメチルフェノール200g(フェノール/メタクレゾール/2,3,5−トリメチルフェノール(質量比)=35/45/20)、37質量%ホルムアルデヒド690gを用いた以外は、合成例1と同様にして、ノボラック樹脂4を合成した。得られたノボラック樹脂4のGPC測定による重量平均分子量(Mw)は4,500であった(ポリスチレン換算)。
【0133】
(合成例5)
−ノボラック樹脂5の合成−
フェノール400g、オルトクレゾール300g、3,5−キシレノール150g、及び2,3,5−トリメチルフェノール150g(フェノール/オルトクレゾール/3,5−キシレノール/2,3,5−トリメチルフェノール(質量比)=40/30/15/15)、37質量%ホルムアルデヒド691gを用いた以外は、合成例1と同様にして、ノボラック樹脂5を合成した。得られたノボラック樹脂5のGPC測定による重量平均分子量(Mw)は4,000であった(ポリスチレン換算)。
【0134】
(合成例6)
−ノボラック樹脂6の合成−
メタクレゾール700g、及びパラクレゾール300g(メタクレゾール/パラクレゾール(質量比)=70/30)、37質量%ホルムアルデヒド683gを用いた以外は、合成例1と同様にして、ノボラック樹脂6を合成した。得られたノボラック樹脂6のGPC測定による重量平均分子量(Mw)は6,500であった(ポリスチレン換算)。
【0135】
(合成例7)
−ノボラック樹脂7の合成−
メタクレゾール1,000g、及び37質量%ホルムアルデヒド683gを用いた以外は、合成例1と同様にして、ノボラック樹脂7を合成した。得られたノボラック樹脂7のGPC測定による重量平均分子量(Mw)は6,200であった(ポリスチレン換算)。
【0136】
(製造例1)
−アルコキシアルキル基による保護1−
ノボラック樹脂1のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液(固形分濃度30質量%)50g、及びピリジニウムパラトルエンスルホン酸20mgの混合物にエチルビニルエーテル3.0g(全水酸基の30%)添加し、室温で4時間反応させた。その後、触媒と等量のトリエチルアミンを添加し、所定量の酢酸エチル加え、更にイオン交換水を添加して、3回水洗し、加えた酢酸エチルとPGMEAの一部を加熱下で、減圧留去した。再度PGMEAを所定量加え、固形分濃度が30質量%になるように調製した。得られた樹脂のGPC測定による重量平均分子量(Mw)は6,300であった(ポリスチレン換算)。
【0137】
(製造例2)
−アルコキシアルキル基による保護2−
ノボラック樹脂1のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液(固形分濃度30質量%)50g、及びピリジニウムパラトルエンスルホン酸20mgの混合物を充分乾燥させた後、シクロヘキシルエタノール3.9g、及びt−ブチルビニルエーテル3.2g(全水酸基の25%)添加し、室温で6時間反応させた。その後、製造例1と同様の手法により、水洗し、留去して、固形分濃度30質量%溶液を調製した。得られた樹脂のGPC測定による重量平均分子量(Mw)は6,900であった(ポリスチレン換算)。
【0138】
(製造例3)
−アルコキシアルキル基による保護3−
ノボラック樹脂2のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液(固形分濃度30質量%)を用い、エチルビニルエーテルの代わりにブチルビニルエーテルを用いた以外は、製造例1と同様の手法により、全水酸基の30%がブトキシエチル基で保護された樹脂を調製した。得られた樹脂のGPC測定による重量平均分子量(Mw)は5,900であった(ポリスチレン換算)。
【0139】
(製造例4)
−アルコキシアルキル基による保護4−
ノボラック樹脂3のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液(固形分濃度30質量%)を用い、シクロヘキシルエタノールの代わりにフェネチルアルコール3.8gを用いた以外は、製造例2と同様の手法により、全水酸基の30%がフェネチルオキシエチル基で保護された樹脂を調製した。得られた樹脂のGPC測定による重量平均分子量(Mw)は6,000であった(ポリスチレン換算)。
【0140】
(製造例5)
−アルコキシカルボニル基による保護1−
ノボラック樹脂4のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液(固形分濃度30質量%)50g、及びトリエチルアミン4.2gの混合物にt−ブチルカーボネート6g(全水酸基の30%)を添加し、室温で4時間反応させた。その後、所定量の酢酸エチルを加え、製造例2と同様の手法により水洗し、留去して、固形分濃度30質量%溶液を調製した。得られた樹脂のGPC測定による重量平均分子量(Mw)は5,000であった(ポリスチレン換算)。
【0141】
(製造例6)
−アルコキシアルキル基及びアルコキシカルボニル基による保護1−
ノボラック樹脂5のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液(固形分濃度30質量%)50gを用いた以外は、製造例1と同様の手法により全水酸基の20%がエトキシエチル基で保護された樹脂を調製した。更に該樹脂を製造例5と同様の手法により、t−ブトキシカルボニル基で保護された樹脂を調製した(エトキシエチル基及びt−ブトキシカルボニル基による保護率は合計で40%になるように調整した)。得られた樹脂のGPC測定による重量平均分子量(Mw)は5,500であった(ポリスチレン換算)。
【0142】
(製造例7)
−比較例1のアルコキシアルキル基による保護−
ノボラック樹脂6のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液(固形分濃度30質量%)を用いて、製造例1と同様の手法により、全水酸基の40%がエトキシエチル基で保護された樹脂を調製した。得られた樹脂のGPC測定による重量平均分子量(Mw)は6,800であった(ポリスチレン換算)。
【0143】
(製造例8)
−比較例2のアルコキシアルキル基による保護−
ノボラック樹脂7のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液(固形分濃度30質量%)を用いて、製造例1と同様の手法により、全水酸基の40%がエトキシエチル基で保護された樹脂を調製した。得られた樹脂のGPC測定による重量平均分子量(Mw)は6,400であった(ポリスチレン換算)。
【0144】
(実施例1)
<ポジ型感光性組成物の調製>
1,160mm×980mmガラス基板の前面にマグネトロンDCスパッタリングにてアルミニウム(Al)膜を成膜した。該アルミニウム(Al)膜上に、下記の組成のポジ型感光性組成物を、スピンコーターを用いて450rpmで30秒間塗布し、120℃のオーブン中で2分間乾燥することにより、厚み1.4μmのポジ型感光層(フォトレジスト膜)を形成した。
【0145】
−ポジ型感光性組成物(溶液)の組成−
・(A)酸の作用により分解する基を有し、分解後、アルカリ水溶液に対する溶解性が増大するノボラック樹脂(酸分解性基含有ノボラック樹脂)・・・730質量部
製造例1の樹脂(固形分濃度30質量%)
・(B)光酸発生剤(CGI.1397、チバスペシャルティケミカルズ社製)・・・2.25質量部
・界面活性剤(ポリエチレングリコールジステアレート)・・・0.1質量部
・含窒素塩基性化合物(トリエタノールアミン)・・・0.1質量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA))・・・800質量部
【0146】
−パターン形成装置−
光照射手段として、図9〜図14に示す合波レーザ光源と、光変調手段として、図16に示す主走査方向にマイクロミラーが800個配列されたマイクロミラー列が、副走査方向に600組配列された光変調手段のうち、800個×使用領域の列数のみを駆動するように制御されたDMD50と、図20に示したマイクロレンズをアレイ状に配列したマイクロレンズアレイ472及び該マイクロレンズアレイを通した光を前記感光性樹脂層に結像する光学系480、482と、を有するパターン形成装置を用いた。また、マイクロレンズアレイ55の集光位置近傍に配置されるアパーチャアレイ59は、その各アパーチャ59aに、それと対応するマイクロレンズ55aを経た光のみが入射するように配置されている。
【0147】
<露光工程>
次に、基材上のポジ型感光層に対し、以下に説明するパターン形成装置を用いて、ポジ型感光層と露光ヘッドとを相対移動させながら、波長405nm、1〜100mJ/cmの範囲で露光量を変化させ、ライン/スペース=1/1(以降L/S=1/1と略す)になる種々のライン(スペース)幅でレジストパターンを露光した。
【0148】
<ポストベーク工程>
次に、オーブン中で110℃にて90秒間加熱することにより、化学増幅反応を進行させた。
【0149】
<現像工程>
2.38質量%のテトラメチルアンモニウムハイドロキサイド(TMAH)水溶液からなる現像液で、23℃にて60秒間現像した後、超純水で1分間シャワー水洗した。
【0150】
<評価>
この時点でライン幅15μm、L/S=1/1のパターンが適正に得られる露光量をこの感材と感度とし、その露光量で得られる最小のライン(スペース)幅を、解像度とした。結果を表1及び表2に示す。
感度に関しては、15mJ/cm未満・・・A、15〜25mJ/cm未満・・・B、25mJ/cm以上・・・Cと表記した。なお、感材の感度としてはA乃至Bが好ましい。
解像度に関しては、その値が小さい方がより高精細(高解像度)な描画が可能であることを意味する。
【0151】
<画像部の欠け>
処理済み基板上に形成したライン幅15μm、長さ100μmの画像部を光学顕微鏡で観察し、直径0.05μm以上の欠けの数を測定し、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
○:10個以下
△:11個〜30個
×:31個以上
【0152】
(実施例2〜6及び比較例1〜2)
酸分解性基含有樹脂((A)成分)を、表1及び表2に示す材料に換えた以外は、実施例1と同様にして、感光層を作製し、同様に評価した。結果を表1及び表2に示す。
【0153】
【表1】

【0154】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物及びパターン形成方法は、マスクレス露光により、高感度かつ高解像度であり、画像部の欠けが少ないので、テレビモニター等の大型の液晶表示装置(LCD)用TFTアレイ基板の電極板の製造に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】図1は、本発明に係る露光ユニットの外観を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明に係る露光ユニットのスキャナの構成を示す斜視図である。
【図3A】図3Aは、感光材料に形成される露光済み領域を示す平面図である。
【図3B】図3Bは、各露光ヘッドによる露光エリアの配列を示す図である。
【図4】図4は、本発明に係る露光ヘッドの概略構成を示す斜視図である。
【図5A】図5Aは、図4に示す露光ヘッドの構成を示す光軸に沿った副走査方向の断面図である。
【図5B】図5Bは、図5Aの側面図である。
【図6】図6は、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)の構成を示す部分拡大図である。
【図7A】図7Aは、DMDの動作を説明するための説明図である。
【図7B】図7Bは、DMDの動作を説明するための説明図である。
【図8A】図8Aは、DMDを傾斜配置しない場合と傾斜配置する場合とで、露光ビームの配置及び走査線を比較して示す平面図である。
【図8B】図8Bは、DMDを傾斜配置しない場合と傾斜配置する場合とで、露光ビームの配置及び走査線を比較して示す平面図である。
【図9A】図9Aは、ファイバアレイ光源の構成を示す斜視図である。
【図9B】図9Bは、図9Aの部分拡大図である。
【図9C】図9Cは、レーザ出射部における発光点の配列を示す平面図である。
【図9D】図9Dは、レーザ出射部における発光点の配列を示す平面図である。
【図10】図10は、マルチモード光ファイバの構成を示す図である。
【図11】図11は、合波レーザ光源の構成を示す平面図である。
【図12】図12は、レーザモジュールの構成を示す平面図である。
【図13】図13は、図12のレーザモジュールの構成を示す側面図である。
【図14】図14は、図12のレーザモジュールの構成を示す部分側面図である。
【図15A】図15Aは、露光装置における焦点深度を示す断面図である。
【図15B】図15Bは、露光装置における焦点深度を示す断面図である。
【図16A】図16Aは、DMDの使用領域の例を示す図である。
【図16B】図16Bは、DMDの使用領域の例を示す図である。
【図17A】図17Aは、DMDの使用領域が適正である場合の側面図である。
【図17B】図17Bは、図17Aの光軸に沿った副走査方向の断面図である。
【図18】図18は、LCD用TFT基板の代表的な断面構造を示す図である。
【図19A】図19Aは、結合光学系の異なる他の露光ヘッドの構成を示す光軸に沿った断面図の一例である。
【図19B】図19Bは、マイクロレンズアレイ等を使用しない場合に被露光面に投影される光像を示す平面図の一例である。
【図19C】図19Cは、マイクロレンズアレイ等を使用した場合に被露光面に投影される光像を示す平面図の一例である。
【符号の説明】
【0157】
LD1〜LD7 GaN系半導体レーザ
10 ヒートブロック
11〜17 コリメータレンズ
20 集光レンズ
21 絶縁性基板
22a 金属パターン
23 ゲート酸化膜
24 半導体膜
25 N不純物を混合したa−Si層
26 ITO膜
27a ドレイン電極
27b ソース電極
30〜31 マルチモード光ファイバ
44 コリメータレンズホルダー
45 集光レンズホルダー
46 ファイバホルダー
50 デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)
53 反射光像(露光ビーム)
54 第2結像光学系のレンズ
55 マイクロレンズアレイ
56 被露光面(走査面)
58 第2結像光学系のレンズ
64 レーザモジュール
66 ファイバアレイ光源
67 レンズ系
68 レーザ出射部
69 ミラー
70 プリズム
73 組合せレンズ
110 マルチキャピティレーザ
144 光照射手段
150 感光層
152 ステージ
155a マイクロレンズ
156 設置台
158 ガイド
160 ゲート
162 スキャナ
164 センサ
166 露光ヘッド
168 露光エリア
170 露光済み領域
454 レンズ系
468 露光エリア
472 マイクロレンズアレイ
476 アパーチャアレイ
478 アパーチャ
480 レンズ系
501 ガラス基板
502a ゲート電極
502b Cs電極
503 シリコン酸化膜
504 シリコン窒化膜
505 非晶質シリコン層(a−Si)
506 N不純物を混合したa−Si層
507a ドレイン電極
507b ソース電極
508 保護層
509 画像電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)酸の作用により分解する基を有し、分解後、アルカリ水溶液に対する溶解性が増大するノボラック樹脂、及び(B)光の作用により酸を発生させる化合物を少なくとも含んでなり、
前記(A)のノボラック樹脂が、フェノール類とアルデヒド化合物とを重縮合させなり、該フェノール類が、少なくとも3種のフェノール性モノマーからなることを特徴とするポジ型感光性組成物。
【請求項2】
少なくとも3種のフェノール性モノマーが、フェノール、クレゾール化合物、キシレノール化合物、及びトリメチルフェノール化合物から選択される少なくとも3種である請求項1に記載のポジ型感光性組成物。
【請求項3】
各フェノール性モノマーのフェノール類中における含有量が、それぞれ50質量%未満である請求項1から2のいずれかに記載のポジ型感光性組成物。
【請求項4】
(A)のノボラック樹脂中の少なくとも一部の水酸基が、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、及びシリル基の少なくともいずれかで置換されている請求項1から3のいずれかに記載のポジ型感光性組成物。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のポジ型感光性組成物を用いて基材の表面にポジ型感光層を形成するポジ型感光層形成工程と、フォトマスクを用いずに前記ポジ型感光層を露光する露光工程と、該露光工程により露光された前記ポジレジスト層を現像する現像工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図18】
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【図3A】
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【図3B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【公開番号】特開2008−197226(P2008−197226A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−30316(P2007−30316)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】