説明

ポリアミドマトリックスを基材とする導電性組成物

本発明は、導電性充填剤を含む、ポリアミドマトリックスを基材とする組成物に関するものである。この組成物を成形すると、例えば、自動車分野における車体部品のようなプラスチック製品を得るのが可能になる。このプラスチック製品は、静電塗装付着方法による良好な塗装能力を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性フィルターを含むポリアミドマトリックスを基材とする組成物に関する。この組成物を成形することで、例えば、自動車産業の分野における車体部品のような、塗料の静電沈着方法による良好な塗装能力を有するプラスチック製品を得ることが可能になる。
【背景技術】
【0002】
多数の産業においては、ポリアミド系プラスチックから作られた部材に対して大きな需要がある;当該ポリアミド系プラスチックは、特に自動車産業の分野では、軽量であるという利点並びにスチールやアルミニウムから作られた部品よりも容易に開発及び設計できるという利点を有する。
【0003】
しかしながら、プラスチック部品は、これを塗装することが望まれる場合にはいくつかの問題が生じる。
【0004】
そのため、例えば自動車産業の分野では、静電方法により、すなわち電流を作用させた状態で粒子を移動させることにより塗装する特に3つの主要な方法が存在する。第1は、「インライン処理」と呼ばれ、車両について脱脂及び電気めっき工程、次いで乾燥工程に付した後に当該車両にプラスチック部品を取り付ける方法である。その後、当該プラスチック部品及び車両を塗装し、そして加熱により乾燥させる。第2は、「オンライン」処理として知られており、上記方法の開始と同時に車両にプラスチック部品を取り付ける方法である。そのため、当該プラスチック部品は、脱脂、電気めっき及び乾燥工程を受ける。したがって、この種の方法については、当該プラスチック部品はおよそ180℃の高温に耐えることができなければならない。「オフライン」方法として知られている第3の方法では、プラスチック部品をまず塗装して、その後車両に取り付ける。
【0005】
静電沈着塗装方法を使用する場合には、従来のプラスチック部品を塗装する能力が劣ることが分かっている。これは、塗膜が容易に持ち上がり、プラスチック部品には付着しない又はあまり付着しないためである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、塗料の静電沈着方法により良好に塗装される能力及び良好な機械的性質を有するポリアミド組成物を処方する要望がある。
【0007】
本出願人は、特にノボラック樹脂を含むポリアミドマトリックス及び当該ポリアミドと混和しない重合体マトリックスを主成分とする分散相とを基材とする組成物を示した。
【0008】
この組成物は、良好な導電性及びその結果として静電沈着による良好な塗料塗布能力だけでなく、良好な機械的性質をも有する物品の成形が可能である。また、得られる物品は、良好な寸法安定性、良好な外観及び良好な成形傾向も有する。また、塗装された物品は、良好な塗料付着及び良好な耐湿性も示す。
【0009】
そのため、これらのプラスチック部品は、自動車産業において使用されている塗装方法、特に「インライン」、「オンライン」及び「オフライン」静電方法に非常によく適している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の主題は、
・少なくとも1種のノボラック樹脂と導電性充填剤(B)とを含むポリアミドの連続相(1);及び
・当該ポリアミド(1)の連続相中における、当該ポリアミドとは混和しない重合体(A)の分散相であって、少なくとも導電性充填剤(C)を含むもの
を少なくとも含む組成物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
当該ポリアミド組成物は、特に1種以上のタイプの導電性充填剤(B)及び(C)と、ポリアミドとは混和しない1種以上のタイプの重合体(A)とを含むことができる。
【0012】
ポリアミドとしては、例えば、半晶質又は非晶質ポリアミド、例えば脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド及びより一般的には脂肪族若しくは芳香族飽和二酸と芳香族若しくは脂肪族飽和第一ジアミンとの重縮合によって得られるポリアミド、ラクタム若しくはアミノ酸の縮合によって得られるポリアミド又はこれら様々な単量体の混合物の縮合によって得られるポリアミドが挙げられる。これらのコポリアミドは、例えば、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸から得られるポリフタルアミド又はカプロラクタムとポリアミドの製造に一般的に使用されている1種以上の単量体、例えばアジピン酸、テレフタル酸及び/又はヘキサメチレンジアミンとから得られるコポリアミドであることができる。
【0013】
特に、(コ)ポリアミド6、6.6、4.6、6.10、6.12、11、12、6.18、6.36、6(T)、9(T)、6(I)、MXD6及び/又はブレンド、例えばポリアミド6/6.6、6/6.18及び6/6.36のようなものが挙げられる。
【0014】
ポリアミドマトリックスは、特に、星形又はH形高分子鎖及び適切な場合には線状高分子鎖を含む重合体であることができる。このような星形又はH形高分子鎖を含む重合体は、例えば、仏国特許第2743077号、仏国特許第2779730号、米国特許第5959069号、欧州特許第0632703号、欧州特許第0682057号及び欧州特許第0832149号に記載されている。
【0015】
本発明の別の具体的な変形例によれば、本発明のポリアミドマトリックスは、ランダム樹木型の重合体、好ましくはランダム樹木構造を有するコポリアミドであることができる。ランダム樹木構造を有するこれらのコポリアミド及びそれらの製造方法は、特に国際公開第WO99/03909号に記載されている。また、本発明のマトリックスは、直鎖状熱可塑性重合体並びに上記の星形、H形及び/又は樹木形熱可塑性重合体を含む組成物であることもできる。本発明のマトリックスは、国際公開第WO00/68298号に記載されたタイプの超分岐コポリアミドを含むこともできる。本発明の組成物は、上記のような直鎖状、星形、H形及び樹木形熱可塑性重合体と超分岐コポリアミドとの任意の組合せを含むこともできる。
【0016】
本発明に従う組成物は、当該組成物の総重量に対して20〜80重量%、好ましくは30〜60重量%のポリアミドを含むことができる。
【0017】
したがって、当該組成物は、ポリアミド(1)の連続相中に、当該ポリアミドとは混和しない重合体(A)の分散相(2)を含む。この重合体(A)は、好ましくは、ポリアミドと相溶性で、かつ、非混和性である。
【0018】
このタイプの重合体(A)は多数存在する。例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン/プロピレン(EP)、エチレン/プロピレン/ジエン(EPDM)三元共重合体、スチレン/マレイン酸無水物(SMA)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、スチレン/エチレン/ブタジエン/スチレン(SEBS)、アクリルエラストマー(例えばポリアクリルエラストマー)、イオノマーエラストマー、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)三元共重合体及びアクリル酸/スチレン/アクリロニトリル(ASA)三元共重合体、エチレン/アクリル酸エチル(EEA)、エチレン/酢酸ビニル(EVA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリカーボネート(PC)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン、ポリエーテルアミド、ポリエチレンスルホン及び/又はそれらのブレンドよりなる群から選択される重合体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
また、本発明に従う重合体(A)は、上記化合物の混合物、ブレンド、単独重合体又は共重合体又は三元共重合体であることもできる。
【0020】
これらの重合体(A)は、ポリアミドと相溶化させるためのグラフト基、例えばマレイン酸無水物基又はエポキシ基を有していてもよい。
【0021】
これらの重合体(A)は、好ましくは、例えばマレイン酸無水物がグラフトされたエチレン/プロピレン/ジエン三元共重合体及びエチレン/アクリル酸エチルのようなエラストマーである。
【0022】
本発明に従う組成物は、当該組成物の総重量に対して、ポリアミドの連続相(1)への分散相(2)を構成する重合体(A)を1〜40重量%、好ましくは5〜20重量%含むことができる。
【0023】
したがって、当該組成物は、ポリアミドの連続相(1)中に位置する導電性充填剤(B)と、ポリアミド相とは混和しない重合体(A)の分散相(2)中に位置する導電性充填剤(C)とを含む。これらの充填剤(B)及び(C)は、2つの相(1)及び(2)中では、同一でも異なってもよい。
【0024】
当該導電性充填剤(B)及び(C)は、好ましくは導電性カーボンブラック、金属、帯電防止剤、グラファイト、ガラス及び/又は金属層で被覆された無機充填剤、及び/又はそれらの混合物、好ましくは導電性カーボンブラックよりなる群から選択される。
【0025】
導電性カーボンブラックについては、特に、Carbon Black,第2版,Revised and Expanded,Science and Technology,JB.Donnet,RC Bansal及びMJ Wang編,Marcel Dekker Inc.,271−275頁に記載されている。
【0026】
ガラス及び/又は無機充填剤は、例えばニッケル又はチタンのような金属の層で被覆されていてもよい。
【0027】
当該導電性充填剤は、球形、例えば、微小球及び/又はナノ微小球の形態;チューブ、例えば、マイクロチューブ及び/又はナノチューブの形態;及び/又は繊維、例えば、超極細繊維及び/又はナノ繊維の形態にあることができる。これらの繊維は、切り刻むこと及び/又はすりつぶすことができる。
【0028】
帯電防止剤は、例えば、ポリエーテルアミド、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホネート又はエトキシル化アミンから選択できる。
【0029】
本発明に従う組成物は、当該組成物の総重量に対して0.5〜50重量%、好ましくは2〜30重量%、より好ましくはさらに5〜20重量%の導電性充填剤(B)及び(C)を含むことができる。
【0030】
ポリアミドの連続相(1)は、その総重量に対して0.5〜50重量%、好ましくは1〜20重量%の導電性充填剤(B)を含むことができる。
【0031】
重合体(A)の分散相(2)は、重合体(A)の分散相(2)の総重量に対して、0.5〜50重量%、好ましくは1〜20重量%の導電性充填剤(C)を含むことができる。
【0032】
当該組成物の重合体(A)の分散相(2)に含まれる導電性充填剤(C)の存在は、様々な方法で露呈及び分析できる。特に、ポリアミドマトリックスを溶解させない、重合体(A)のために選択される溶媒を使用することによって分散相(2)を溶解させることが可能である。溶解した重合体(A)を回収するときに、例えば走査顕微鏡を使用することによって、当該重合体中における充填剤(C)の存在を検出することが可能であろう。
【0033】
また、本発明に従う組成物は、ノボラック樹脂も含む。ノボラック樹脂は、ポリヒドロキシ化合物、例えばフェノール化合物とアルデヒドとの縮合生成物である。これらの縮合反応は、一般に酸で触媒される。
【0034】
当該フェノール化合物は、フェノール、クレゾール、キシレノール、ナフトール、アルキルフェノール、例えば、ブチルフェノール、t−ブチルフェノール若しくはイソオクチルフェノール;又は任意の他の置換フェノールから、単独で又は混合物として選択できる。最も頻繁に使用されているアルデヒドはホルムアルデヒドである。しかしながら、アセトアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド及びグリオキサールのような他のものを使用することも可能である。
【0035】
使用される樹脂は、有利には、500〜3000g/mol、好ましくは800〜2000g/molの高い分子量を有する。
【0036】
市販のノボラック樹脂としては、Durex(商標)、Vulkadur(商標)又はRhenosin(商標)という商品が挙げられる。
【0037】
本発明に従う組成物は、当該組成物の総重量に対して、ノボラック樹脂を1〜20重量%、好ましくは2〜15重量%含むことができる。
【0038】
また、本発明の組成物は、耐衝撃改質剤、例えばエラストマーを含むこともできる。ポリアミド又はエラストマーのブレンドと相溶化させるための基を有するエラストマーを使用することができ、そのうちのいくつかは、ポリアミドと相溶化させるための基を有する。この目的のために、例えば、マレイン酸無水物がグラフトしたエチレン/プロピレン/ジエン(EPDM)三元共重合体、マレイン酸無水物がグラフトしたスチレン/エチレン/ブタジエン/スチレン(SEBS)、マレイン酸無水物がグラフトした超低密度ポリエチレン(ULDPE)、Lotader型の改質剤又はSurlyn(商標)型のイオノマーを使用することができる。
【0039】
これらの耐衝撃改質剤は、当該組成物の総重量に対して、好ましくは1〜30重量%、好ましくは5〜20重量%である。
【0040】
また、当該組成物は、補強充填剤又は増量剤、特に繊維状又は粒状の無機充填剤、例えば、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維、クレー、カオリン、ウォラストナイト、マイカ、タルク及びガラスビーズを含むこともできる。これらの充填剤を導入する割合は、複合材料の分野の基準に従う。これは、例えば、当該組成物の総重量に対して、1〜70重量%、好ましくは10〜40重量%の充填剤の割合であることができる。
【0041】
本発明の組成物は、当業者が熱可塑性組成物に通常使用する1種以上の添加剤、特に成形品の製造に使用されるものをさらに含むこともできる。添加剤の例としては、熱安定剤、難燃剤、成形剤、例えばステアリン酸カルシウム、UV安定剤、酸化防止剤、潤滑剤、摩耗低減剤、顔料、染料、可塑剤、レーザーマーキングプロモーター、ワックス又は衝撃強度を改変する試剤が挙げられる。例として、酸化防止剤及び熱安定剤は、例えば、ハロゲン化アルカリ、ハロゲン化銅、立体障害フェノール化合物、有機ホスフィット及び芳香族アミンである。UV安定剤は、一般に、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン又はHALSと酸化防止剤との組合せである。
【0042】
また、本発明は、本発明に従う組成物の製造方法に関するものでもある。
【0043】
一般に、ポリアミドの連続相(1)中に導電性充填剤(C)を含むポリアミドとは非混和性の重合体(A)の分散相(2)を製造することは、ポリアミド組成物と導電性充填剤(C)を含む重合体(A)を主体とする組成物とをブレンドすることによって達成できる。最終組成物の他の成分、例えばフェノール樹脂及び他の導電性充填剤(B)は、上記ブレンド前、ブレンド中又はブレンド後の任意の時点において様々な方法で添加できる。このブレンドは、溶融条件下或いは低温条件下で機械ミキサーを使用して実施し、その後溶融工程を実施することができる。
【0044】
この本発明に従う組成物を製造する方法は、特に、当該組成物に均質でかつ再現可能な導電性を与えるのを可能にする。
【0045】
特に、次の本発明に従う組成物の製造方法が挙げられる:
方法1:最終組成物を、導電性充填剤(B)及びノボラック樹脂を含むポリアミド組成物と導電性充填剤(C)を含む重合体(A)を主体とする組成物とをブレンドすることによって得る。このブレンドは、溶融条件下で実施したり、低温条件下で実施し、次いで溶融工程を実施したりすることができる。
【0046】
方法2:最終組成物を、ノボラック樹脂を含むポリアミド組成物と導電性充填剤(C)を含む重合体(A)を主体とする組成物とをブレンドすることによって得る。その後、得られた組成物と導電性充填剤(B)を含むポリアミド組成物とをブレンドする。これらのブレンド操作は、溶融条件下で実施したり、低温条件下で実施し、次いで溶融工程を実施したりすることができる。特に、ノボラック樹脂を含むポリアミド組成物と導電性充填剤(C)を含む重合体(A)を主体とする組成物とを溶融ブレンドし;その後、得られた組成物と導電性充填剤(B)を含むポリアミド組成物とをコールドブレンドすることによって最終組成物を製造することが好ましい。
【0047】
当該組成物の他の成分、例えば、耐衝撃改質剤、補強充填剤又は増量剤及び様々な添加剤は、様々な方法で任意の時点で添加できる。
【0048】
溶融ブレンドは、例えば、一軸若しくは二軸押出器で又はバス技術によって実施できる。様々な化合物を同時に又は連続的に製造できる。熱可塑性組成物の様々な化合物の導入に関して当業者に知られている任意の手段を使用することができる。一般に、材料を加熱し、剪断力を与え、そして長手方向に運ぶ押出装置を使用する。本発明に従う組成物は、押出装置を使用して製造する場合には、顆粒の形態で調節できる。次いで、上で製造された顆粒を溶融させ、そして溶融した組成物を適当な付形装置、例えば成形装置、射出成形装置又は押出装置のようなものに供給することによって部品を製造する。例えば、これらのものは、成形品である。
【0049】
最終組成物は、特に、導電性充填剤(B)を含むポリアミドを主体とするマスターバッチ;及び導電性充填剤(C)を含む重合体を主体とするマスターバッチを使用することによって得ることができる。これらのマスターバッチは、当業者に周知の方法に従って連続ブレンド又はバッチ式ブレンドで製造できる。これを行うために、例えば、機械ミキサー又は押出器を使用できる。
【0050】
また、本発明は、上で定義した組成物を、特に塗料の付着のための静電方法によって塗装されることを目的とする物品を製造する際に使用することに関するものでもある。これらの物品は、特に、成形、射出成形、押出又は押出/吹込成形によって製造できる。これらの物品は、自動車産業に使用される「インライン」及び「オンライン」静電塗装方法に特に好適である。
【0051】
塗料は、例えば、吹付又は浸漬によって物品に塗布できる。一般に、静電沈着によって物品に塗料を塗布する方法は、少なくとも次の工程:特に150℃〜220℃の温度で物品の電気永動処理工程、随意に静電吹付によるプライマーの塗布工程及び最後に静電吹付による塗料の塗布工程を含む。それぞれの吹付工程の後に、100℃〜200℃の温度で加熱する工程(複数の工程)及び冷却工程(複数の工程)を行うことができる。
【0052】
また、本発明は、静電沈着によって塗料を塗布する方法によって塗装された物品に関するものでもある。
【0053】
本発明に従うこれらの物品は、例えば、自動車の部品、特に車体部品、流体又はガスの輸送用のパイプ、タンク、フィルター、皮膜、フィルム及び/又はタンクのプラスチック蓋であることができる。
【0054】
本発明の他の詳細又は利点は、純粋に例示である以下の実施例を考慮すればさらに明らかになるであろう。
【実施例】
【0055】
例1:組成物の製造
使用した化合物:
・ポリアミド66(Technyl(商標)27A00)
・マスターバッチ1:EEA+23重量%の導電性カーボンブラック
・マスターバッチ2:ポリアミド66+22重量%の導電性カーボンブラック
・ウォラストナイトM3 Wollastocoat(商標)10012(Nyco)
・ノボラック樹脂(Rhenosin(商標)PR95)
・EPDM−MA(デュポン社製Fusabond(商標)MF416D)
・配合添加剤:熱安定剤及び光安定剤。
【0056】
当該組成物を製造するために、ポリアミド、ノボラック樹脂、ウォラストナイト、EPDM−MA及びマスターバッチ1を、二軸押出器(バレル温度:250−290℃,処理量:30kg/時間,回転数:250rpm)により押出することによってブレンドする。その後、得られた組成物をマスターバッチ2と機械的にブレンドする。次いで、最終組成物を押出し、顆粒化させ、次いで射出成形する。
したがって、当該組成物は、27.8重量%のポリアミド66、6.5重量%のマスターバッチ1、35重量%のマスターバッチ2、17.5重量%のウォラストナイト、5重量%のノボラック、6.5重量%のEPDM−MA及び1.7重量%の配合添加剤を含む。
【0057】
例2:特性の測定
これらの組成物を成形する。それらの機械的性質、収縮特性、水分取込み特性、寸法安定性及び固有抵抗特性を表1に挙げる:
【0058】
【表1】

【0059】
分散エラストマー相又はノボラック樹脂中に導電性充填剤を含まない従来の同様のポリアミド組成物と比較すると、その機械的性質を維持、さらには改善することが分かる;さらに、水分取込み、収縮及び寸法の偏差の大きな減少が観察された。得られた導電性は、組成物が静電沈着方法によって塗装されるのに完全に好適であることを示す。
【0060】
例3:塗料
上記組成物を基材とするプラスチック部品を射出成形によって得る。
このようにして得られる物品を、それらの静電方法により塗装される能力について、様々な試験方法にしたがって特にPSA(プジョー・シトロエン)のNormes Vehicules[車両標準]B15 5050と組み合わせて試験した。
【0061】
非常に良好な静電沈着方法によるプラスチック部品塗装能力、良好な塗料付着、良好なクロスハッチング後塗料抵抗性及びこの塗料の良好な耐湿性が観察された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
・少なくとも1種のノボラック樹脂と導電性充填剤(B)とを含むポリアミドの連続相(1);及び
・当該ポリアミド(1)の連続相中における、当該ポリアミドとは混和しない重合体(A)の分散相であって、少なくとも導電性充填剤(C)を含むもの
を少なくとも含む組成物。
【請求項2】
前記ポリアミドが(コ)ポリアミド6、6.6、4.6、6.10、6.12、11、12、6.18、6.36、6(T)、9(T)、6(I)、MXD6及び/又はそれらのブレンドよりなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が当該組成物の総重量に対して20〜80重量%のポリアミドを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記重合体(A)が、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン/プロピレン(EP)、エチレン/プロピレン/ジエン(EPDM)三元共重合体、スチレン/マレイン酸無水物(SMA)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、スチレン/エチレン/ブタジエン/スチレン(SEBS)、アクリルエラストマー(ポリアクリルエラストマーのような)、イオノマーエラストマー、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)三元共重合体及びアクリル酸/スチレン/アクリロニトリル(ASA)三元共重合体、エチレン/アクリル酸エチル(EEA)、エチレン/酢酸ビニル(EVA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリカーボネート(PC)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン、ポリエーテルアミド、ポリエチレンスルホン及び/又はそれらのブレンドよりなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、当該組成物の総重量に対して、ポリアミドの連続相(1)への分散相(2)を構成する重合体(A)を1〜40重量%含む、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記導電性充填剤(B)及び(C)が、好ましくは導電性のカーボンブラック、金属、帯電防止剤、グラファイト、ガラス及び/又は金属層で被覆された無機充填剤、及び/又はそれらの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が当該組成物の総重量に対して0.5〜50重量%の導電性充填剤(B)及び(C)を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記ポリアミドの連続相(1)が、その総重量に対して0.5〜50重量%の伝導性充填剤(B)を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
前記重合体(A)の分散相(2)が当該重合体(A)の分散相(2)の総重量に対して0.5〜50重量%の導電性充填剤(C)を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が当該組成物の総重量に対して1〜20重量%のノボラック樹脂を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が耐衝撃改質剤を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が補強充填剤又は増量剤を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも1種のポリアミド組成物と導電性充填剤(C)を含む重合体(A)を主体とする組成物とをブレンドし;当該組成物の他の成分を該ブレンド前、ブレンド中又はブレンド後の任意の時点で添加する、請求項1〜12のいずれかに記載の組成物の製造方法。
【請求項14】
導電性充填剤(B)及びノボラック樹脂を含むポリアミド組成物と導電性充填剤(C)を含む重合体(A)を主体とする組成物とをブレンドし;このブレンドを溶融条件下で実施し又は低温条件下で実施し、次いで溶融工程を実施する、請求項1〜12のいずれかに記載の組成物の製造方法。
【請求項15】
ノボラック樹脂を含むポリアミド組成物と導電性充填剤(C)を含む重合体(A)を主体とする組成物とをブレンドし;その後、得られた組成物と導電性充填剤(B)を含むポリアミド組成物とをブレンドし;これらのブレンドを溶融条件下で実施し又は低温条件下で実施し、その後溶融工程を実施する、請求項1〜12のいずれかに記載の組成物の製造方法。
【請求項16】
請求項1〜12のいずれかに記載の組成物の、塗料を付着させるための静電方法によって塗装されることを目的とした物品の製造における使用。
【請求項17】
請求項1〜12のいずれかに記載の組成物を基材とする、静電沈着によって塗料を塗布する方法によって塗装された物品。

【公表番号】特表2009−532547(P2009−532547A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503575(P2009−503575)
【出願日】平成19年4月3日(2007.4.3)
【国際出願番号】PCT/EP2007/053247
【国際公開番号】WO2007/113302
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(508076598)ロディア オペレーションズ (98)
【氏名又は名称原語表記】RHODIA OPERATIONS
【住所又は居所原語表記】40 rue de la Haie Coq F−93306 Aubervilliers FRANCE
【Fターム(参考)】