説明

ポリアリーレンの精製方法、膜形成用組成物、膜の形成方法、ならびに有機膜

【課題】金属不純物の含有量が少なく、かつ、比誘電率特性及び低リーク電流特性に優れた層間絶縁膜の形成に使用することができるポリアリーレンの精製方法、膜形成用組成物、膜の形成方法、ならびに有機膜を提供する。
【解決手段】ポリアリーレンの精製方法は、ポリアリーレン及びオキソ酸塩を含有する溶液を加熱して金属不純物を除去する工程と、前記加熱工程を行った後、前記溶液から前記オキソ酸塩の金属イオンを除去する工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアリーレンの精製方法、ポリアリーレンを含有する膜形成用組成物、膜の形成方法、ならびに有機膜に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子などにおける層間絶縁膜として、CVD法などの真空プロセスで形成されたシリカ(SiO)膜が多用されている。そして、近年、より均一な層間絶縁膜を形成することを目的として、SOG(Spin on Glass)膜と呼ばれるテトラアルコキシランの加水分解生成物を主成分とする塗布型無機絶縁膜やポリアリーレンエーテルなどの塗布型有機絶縁膜も使用されるようになっている。
【0003】
特に、半導体素子などのさらなる高集積化や多層化に伴い、より優れた導体間の電気絶縁性が要求されており、したがって、より金属不純物の含有量が少なく、かつ、比誘電率特性及び低リーク電流特性に優れた層間絶縁膜を形成するための材料が求められるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、金属不純物の含有量が少なく、かつ、比誘電率特性及び低リーク電流特性に優れた層間絶縁膜の形成に使用することができるポリアリーレンの精製方法を提供する。
【0005】
また、本発明は、金属不純物の含有量が少なく、かつ、比誘電率特性及び低リーク電流特性に優れた層間絶縁膜を形成するための膜形成用組成物、該組成物を用いた膜の形成方法、ならびに該形成方法により得られる有機膜を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るポリアリーレンの精製方法は、
ポリアリーレン及びオキソ酸塩を含有する溶液を加熱して金属不純物を除去する工程と、前記加熱工程を行った後、前記溶液から前記オキソ酸塩の金属イオンを除去する工程と、を含む。
【0007】
上記ポリアリーレンの精製方法において、前記オキソ酸塩は、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩であることができる。
【0008】
上記ポリアリーレンの精製方法において、前記ポリアリーレン及び前記オキソ酸塩を含有する溶液は、前記ポリアリーレン100質量部に対して5〜300質量部の前記オキソ酸塩を含むことができる。
【0009】
上記ポリアリーレンの精製方法において、前記ポリアリーレンは下記一般式(1)〜(2)の群から選ばれる少なくとも1種であることができる。
【0010】
【化7】

・・・・・(1)
【化8】

・・・・・(2)
〔R〜R11はそれぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシル基、アリール基、又はハロゲン原子を表し、Xは−CQQ’−(ここで、Q、Q’は同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン化アルキル基、アルキル基、水素原子、ハロゲン原子、又はアリール基を示す。)で表される基、及びフルオレニレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、Yは−O−、−CO−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO−、及びフェニレン基の群から選ばれた少なくとも1種であり、aは0又は1を示し、b〜fは0〜4の整数を示し、gは5〜100モル%であり、hは0〜95モル%であり、iは0〜95モル%である(ただし、g+h+i=100モル%である。)。A及びBはそれぞれ独立に、下記一般式(3)〜(5)で表される2価の芳香族基からなる群から選ばれる少なくとも1種である。〕
【化9】

・・・・・(3)
【化10】

・・・・・(4)
【化11】

・・・・・(5)
(式中、R12、R13、R18及びR19は独立に、単結合、−O−、−CO−、−CH−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO−、フェニレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、ジフェニルメチリデン基、フルオレニレン基、又は下記式
【化12】

で表わされる基を表し、R14〜R16、R17及びR20〜R22は独立に、炭素原子数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜20のアルコキシル基、又はアリール基を表し、l及びqは独立に0〜3の整数を示し、m〜p及びr〜tは独立に0〜4の整数を示す。)
【0011】
上記ポリアリーレンの精製方法において、前記金属不純物が亜鉛、銅、及びパラジウムから選ばれる少なくとも1種であることができる。
【0012】
本発明の一態様に係る膜形成用組成物は、上記精製方法で得られたポリアリーレンを含有する。
【0013】
本発明の一態様に係る膜の形成方法は、上記膜形成用組成物を基板に塗布し、加熱する工程を含む。
【0014】
本発明の一態様に係る有機膜は、上記膜の形成方法によって得られる。
【発明の効果】
【0015】
上記ポリアリーレンの精製方法によれば、ポリアリーレン及びオキソ酸塩を含有する溶液を加熱して金属不純物を除去する工程と、前記加熱工程を行った後、前記溶液から前記オキソ酸塩の金属イオンを除去する工程と、を含むことにより、金属不純物の含有量が少なく、かつ、比誘電率特性及び低リーク電流特性に優れた有機膜が形成可能な膜形成用組成物(層間絶縁膜用材料)を提供することが可能である。上記ポリアリーレンの精製方法によれば、例えば、酸性化合物還元力がより強いオキソ酸塩を用いることにより、少量のオキソ酸塩の使用により短い加熱時間にて不純物を効果的に除去することができる。また、上記ポリアリーレンの精製方法は、工業的に安定性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係るポリアリーレンの精製方法、膜形成用組成物、膜の形成方法、ならびに有機膜について説明する。
【0017】
本実施形態に係るポリアリーレンの精製方法は、ポリアリーレン及びオキソ酸塩を含有する溶液を加熱して金属不純物を除去する工程と、前記加熱工程を行った後、前記溶液から前記オキソ酸塩の金属イオンを除去する工程と、を含む。
【0018】
ここで、ポリアリーレン及びオキソ酸塩を含有する溶液は、ポリアリーレン100質量部に対して5〜300質量部のオキソ酸塩を含むことが好ましい。
【0019】
本実施形態に係るポリアリーレンの精製方法は、例えば、下記一般式(1)〜(2)の群から選ばれる少なくとも1種のポリアリーレンと、ポリアリーレン100質量部に対して5〜300質量部のオキソ酸塩とを含有する溶液を、50〜150℃で0.5〜30時間加熱する工程を含むことが好ましい。
【0020】
1.ポリアリーレンの製造
本実施形態に係るポリアリーレンの精製の対象となるポリアリーレンは、以下の製造方法により得ることができる。
【0021】
1.1.ポリアリーレン
本実施形態に係るポリアリーレンの精製の対象となるポリアリーレンは、下記一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有する重合体(以下、「重合体(1)」ともいう。)及び下記一般式(2)で表される繰り返し構造単位を有する重合体(以下「重合体(2)」ともいう。)から選ばれる少なくとも1種であることができる。
【化13】

・・・・・(1)
【化14】

・・・・・(2)
〔R〜R11はそれぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシル基、アリール基、又はハロゲン原子を表し、Xは−CQQ’−(ここで、Q、Q’は同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン化アルキル基、アルキル基、水素原子、ハロゲン原子又はアリール基を示す。)で表される基、及びフルオレニレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、Yは−O−、−CO−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO−及びフェニレン基の群から選ばれた少なくとも1種であり、aは0又は1を示し、b〜fは0〜4の整数を示し、gは5〜100モル%であり、hは0〜95モル%であり、iは0〜95モル%である(ただし、g+h+i=100モル%である。)。A及びBはそれぞれ独立に、下記一般式(3)〜(5)で表される2価の芳香族基からなる群から選ばれる少なくとも1種である。〕
【化15】

・・・・・(3)
【化16】

・・・・・(4)
【化17】

・・・・・(5)
(式中、R12、R13、R18及びR19は独立に、単結合、−O−、−CO−、−CH−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO−、フェニレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、ジフェニルメチリデン基、フルオレニレン基、又は式
【化18】

で表される基を示し、R14〜R16、R17及びR20〜R22は独立に、炭素原子数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜20のアルコキシル基、又はアリール基を表し、l及びqは独立に0〜3の整数を示し、m〜p及びr〜tは独立に0〜4の整数を示す。)
【0022】
1.1.1.重合体(1)
重合体(1)は、例えば、下記一般式(6)に示す化合物を含むモノマーを、遷移金属化合物を含む触媒系の存在下に重合することによって製造することができる。
【化19】

・・・・・(6)
(式中、R,Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシル基、アリール基、又はハロゲン原子を表し、Xは−CQQ′−(ここで、Q,Q′は同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン化アルキル基、アルキル基、水素原子、ハロゲン原子又はアリール基を示す。)で表される基、及びフルオレニレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、b,cは0〜4の整数を示し、Zはアルキル基、ハロゲン化アルキル基、又はアリール基を表す。)
【0023】
上記一般式(6)中のXを構成するQ,Q′のうち、アルキル基としては、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基など;ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基など;アリールアルキル基としては、ベンジル基、ジフェニルメチル基など;アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、トリル基、ペンタフルオロフェニル基などを挙げることができる。
【0024】
また、上記式(6)中の、−OSO2Zを構成するZとしては、アルキル基として、メチル基、エチル基など;ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基など;アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、p−トリル基、p−ペンタフルオロフェニル基などを挙げることができる。
【0025】
上記一般式(6)中のXとしては、下記一般式(7)〜(12)に示す2価の基が好ましい。
【0026】
これらのうちでは、一般式(12)に示すフルオレニレン基がさらに好ましい。
【化20】

・・・・・(7)
【化21】

・・・・・(8)
【化22】

・・・・・(9)
【化23】

・・・・・(10)
【化24】

・・・・・(11)
【化25】

・・・・・(12)
【0027】
上記一般式(6)に示す化合物(モノマー)の具体例としては、例えば、
2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)メタン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルメタン、
2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)ジフェニルメタン、
2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)プロパン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)プロパン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)プロパン、
9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)ジフェニルメタン、
9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)フルオレン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)メタン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)メタン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)トリフルオロメチルフェニルメタン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)フェニルメタン、
2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)メタン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルメタン、
2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)ジフェニルメタン、
9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)フルオレン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)メタン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)メタン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)トリフルオロメチルフェニルメタン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)、
2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)メタン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルメタン、
2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)ジフェニルメタン、
9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)フルオレン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)メタン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)メタン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)トリフルオロメチルフェニルメタン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)フェニルメタン、
2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)メタン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルメタン、
2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)ジフェニルメタン、
9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)フルオレン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)メタン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)メタン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)メタン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)トリフルオロメチルフェニルメタン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)フェニルメタン
などを挙げることができる。
【0028】
本実施形態に係る方法においては、上記一般式(7)に示す化合物を2種以上共重合することもできる。
【0029】
上記一般式(6)に示す化合物は、例えば、下記の製法によって合成することができる。
【0030】
すなわち、ビスフェノール化合物〔例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン〕及びビスフェノール化合物の2当量以上の塩基を溶媒に溶かす。このとき、ピリジンなどを溶媒として用いて、溶媒と塩基との両方の役割を兼用させてもよい。また、必要に応じて、4−ジメチルアミノピリジンなどの触媒を加えてもよい。
【0031】
次いで、スルホン酸クロライド(無水物)(例えば、メタンスルフォン酸クロライド)を15℃以下に保持しながら、5〜60分かけて乾燥窒素気流下に滴下する。その後、その温度で0〜60分攪拌したのち、室温に戻し、0〜24時間攪拌し、懸濁液を作成する。得られた懸濁液を3〜20倍量の氷水に再沈殿させ、その沈殿を回収し、再結晶などの操作を繰り返して、結晶としてビススルフォネート化合物を得ることができる。
【0032】
あるいは、まず、ビスフェノール化合物〔例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン〕を水酸化ナトリウム水溶液などの2当量のアルカリ水溶液に溶かす。その一方、スルホン酸クロライド(無水物)(例えば、メタンスルフォン酸クロライド)をトルエン、クロロホルムなどの有機溶媒に溶かす。次いで、これらに必要に応じてアセチルトリメチルアンモニウムクロライドなどの相間移動触媒を加えたのち、激しく攪拌する。その後、反応して得られた有機層を精製することによっても、目的のビススルフォネート化合物を得ることができる。
【0033】
本実施形態に係るポリアリーレンの製造においては、上記一般式(6)に示す化合物の少なくとも1種と、下記一般式(13)〜(14)に示す化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種とを共重合させてもよい。
【0034】
【化26】

・・・・・(13)
〔一般式(13)中、R9〜R10はそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシル基、アリール基、又はハロゲン原子を表し、R12〜R13は、−OSO2Z(ここで、Zはアルキル基、ハロゲン化アルキル基、又はアリール基を示す。)、塩素原子、臭素原子又は沃素原子を表し、Yは−O−、−CO−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO−及びフェニレン基の群から選ばれた少なくとも1種であり、aは0又は1を示し、d,eは0〜4の整数を示す。]
【0035】
〜R10のうち、ハロゲン原子としては、フッ素原子など、1価の有機基としては、アルキル基として、メチル基、エチル基など、ハロゲン化アルキル基として、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基など、アリル基として、プロペニル基など、アリール基として、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などを挙げることができる。また、−OSO2Zを構成するZとしては、アルキル基として、メチル基、エチル基など、ハロゲン化アルキル基として、トリフルオロメチル基など、アリール基として、フェニル基、p−トリル基、p−フルオロフェニル基などを挙げることができる。
【0036】
上記一般式(13)に示す化合物としては、例えば、
4,4′−ジメチルスルフォニロキシビフェニル、
4,4′−ジメチルスルフォニロキシ−3,3′−ジプロペニルビフェニル、
4,4′−ジブロモビフェニル、4,4′−ジヨードビフェニル、
4,4′−ジメチルスルフォニロキシ−3,3′−ジメチルビフェニル、
4,4′−ジメチルスルフォニロキシ−3,3′−ジフルオロビフェニル、
4,4′−ジメチルスルフォニロキシ−3,3′,5,5′−テトラフルオロビフェニル、
4,4′−ジブロモオクタフルオロビフェニル、
4,4−メチルスルフォニロキシオクタフルオロビフェニル、
3,3′−ジアリル−4,4′−ビス(4−フルオロベンゼンスルフォニロキシ)ビフェニル、
4,4′−ジクロロ−2,2′−トリフルオロメチルビフェニル、
4,4′−ジブロモ−2,2′−トリフルオロメチルビフェニル、
4,4′−ジヨード−2,2′−トリフルオロメチルビフェニル、
ビス(4−クロロフェニル)スルホン、
4,4′−ジクロロベンゾフェノン、
2,4−ジクロロベンゾフェノン
などを挙げることができる。
【0037】
上記一般式(13)に示す化合物は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【化27】

・・・・・(14)
〔一般式(14)中、R11は、炭素数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシル基、アリール基、又はハロゲン原子を表し、R14〜R15は、−OSO2Z(ここで、Zはアルキル基、ハロゲン化アルキル基、又はアリール基を示す。)、塩素原子、臭素原子、又は沃素原子を表し、fは0〜4の整数を示す。〕
【0038】
11のうち、ハロゲン原子としては、フッ素原子など、1価の有機基としては、アルキル基として、メチル基、エチル基など、ハロゲン化アルキル基として、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基など、アリル基として、プロペニル基など、アリール基として、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などを挙げることができる。また、−OSO2Zを構成するZとしては、アルキル基として、メチル基、エチル基など、ハロゲン化アルキル基として、トリフルオロメチル基など、アリール基として、フェニル基、p−トリル基、p−フルオロフェニル基などを挙げることができる。
【0039】
上記一般式(14)に示す化合物としては、例えば、o−ジクロロベンゼン、o−ジブロモベンゼン、o−ジヨードベンゼン、o−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、2,3−ジクロロトルエン、2,3−ジブロモトルエン、2,3−ジヨードトルエン、3,4−ジクロロトルエン、3,4−ジブロモトルエン、3,4−ジヨードトルエン、2,3−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、3,4−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、m−ジクロロベンゼン、m−ジブロモベンゼン、m−ジヨードベンゼン、m−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、2,4−ジクロロトルエン、2,4−ジブロモトルエン、2,4−ジヨードトルエン、3,5−ジクロロトルエン、3,5−ジブロモトルエン、3,5−ジヨードトルエン、2,6−ジクロロトルエン、2,6−ジブロモトルエン、2,6−ジヨードトルエン、3,5−ジメチルスルフォニロキシトルエン、2,6−ジメチルスルフォニロキシトルエン、2,4−ジクロロベンゾトリフルオライド、2,4−ジブロモベンゾトリフルオライド、2,4−ジヨードベンゾトリフルオライド、3,5−ジクロロベンゾトリフルオライド、3,5−ジブロモトリフルオライド、3,5−ジヨードベンゾトリフルオライド、1,3−ジブロモ−2,4,5,6−テトラフルオロベンゼン、2,4−ジクロロベンジルアルコール、3,5−ジクロロベンジルアルコール、2,4−ジブロモベンジルアルコール、3,5−ジブロモベンジルアルコール、3,5−ジクロロフェノール、3,5−ジブロモフェノール、3,5−ジクロロ−t−ブトキシカルボニロキシフェニル、3,5−ジブロモ−t−ブトキシカルボニロキシフェニル、2,4−ジクロロ安息香酸、3,5−ジクロロ安息香酸、2,4−ジブロモ安息香酸、3,5−ジブロモ安息香酸、2,4−ジクロロ安息香酸メチル、3,5−ジクロロ安息香酸メチル、3,5−ジブロモ安息香酸メチル、2,4−ジブロモ安息香酸メチル、2,4−ジクロロ安息香酸−t−ブチル、3,5−ジクロロ安息香酸−t−ブチル、2,4−ジブロモ安息香酸−t−ブチル、3,5−ジブロモ安息香酸−t−ブチルなどを挙げることもでき、好ましくはm−ジクロロベンゼン、2,4−ジクロロトルエン、3,5−ジメチルスルフォニロキシトルエン、2,4−ジクロロベンゾトリフルオライド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、2,4−ジクロロフェノキシベンゼンなどである。
【0040】
上記一般式(14)に示す化合物は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0041】
重合体(1)中の繰り返し構造単位の割合は、上記一般式(1)において、gは5〜100モル%、好ましくは5〜95モル%、hは0〜95モル%、好ましくは0〜90モル%、iは0〜95モル%、好ましくは0〜90モル%(ただし、g+h+i=100モル%)である。
【0042】
gが5モル%未満(h又はiが95モル%を超える)では、重合体(1)の有機溶剤への溶解性が劣る場合がある。
【0043】
重合体(1)を製造する際に用いられる触媒は、遷移金属化合物を含む触媒系が好ましく、この触媒系としては、(1)遷移金属塩及び配位子、又は配位子が配位された遷移金属(塩)、ならびに(2)還元剤を必須成分とし、さらに、重合速度を上げるために、「塩」を添加してもよい。
【0044】
ここで、遷移金属塩としては、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、ニッケルアセチルアセトナートなどのニッケル化合物、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウムなどのパラジウム化合物、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄などの鉄化合物、塩化コバルト、臭化コバルト、ヨウ化コバルトなどのコバルト化合物などを挙げることができる。これらのうち、特に塩化ニッケル、臭化ニッケルなどが好ましい。
【0045】
また、配位子としては、トリフェニルホスフィン、2,2′−ビピリジン、1,5−シクロオクタジエン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンなどを挙げることができるが、トリフェニルホスフィン、2,2′−ビピリジンが好ましい。上記配位子は、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。
【0046】
さらに、あらかじめ配位子が配位された遷移金属(塩)としては、例えば、塩化ニッケル2トリフェニルホスフィン、臭化ニッケル2トリフェニルホスフィン、ヨウ化ニッケル2トリフェニルホスフィン、硝酸ニッケル2−トリフェニルホスフィン、塩化ニッケル2,2′ビピリジン、臭化ニッケル2,2′ビピリジン、ヨウ化ニッケル2,2′ビピリジン、硝酸ニッケル2,2′ビピリジン、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスファイト)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどを挙げることができるが、塩化ニッケル2トリフェニルホスフィン、塩化ニッケル2,2′ビピリジンが好ましい。
【0047】
このような触媒系において使用することができる上記還元剤としては、例えば、鉄、亜鉛、マンガン、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウムなどを挙げることできるが、亜鉛、マンガンが好ましい。これらの還元剤は、酸や有機酸に接触させることにより、より活性化して用いることができる。
【0048】
また、このような触媒系において使用することのできる「塩」としては、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどのナトリウム化合物、フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、硫酸カリウムなどのカリウム化合物、フッ化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、硫酸テトラエチルアンモニウムなどのアンモニウム化合物などを挙げることができるが、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウムが好ましい。
【0049】
このような触媒系における各成分の使用割合は、遷移金属塩又は配位子が配位された遷移金属(塩)が、上記一般式(6)、(13)〜(14)の化合物の総量1モルに対し、通常、0.0001〜10モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。0.0001モル未満であると、重合反応が充分に進行せず、一方、10モルを超えると、分子量が低下することがある。
【0050】
このような触媒系において、遷移金属塩及び配位子を用いる場合、この配位子の使用割合は、遷移金属塩1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、触媒活性が不充分となり、一方、100モルを超えると、分子量が低下するという問題がある。
【0051】
また、触媒系における還元剤の使用割合は、上記一般式(6)、(13)〜(14)の化合物の総量1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満であると、重合が充分進行せず、一方、100モルを超えると、得られる重合体(1)の精製が困難になることがある。
【0052】
さらに、触媒系に「塩」を使用する場合、その使用割合は、上記一般式(6)、(13)〜(14)の化合物の総量1モルに対し、通常、0.001〜100モル、好ましくは0.01〜1モルである。0.001モル未満であると、重合速度を上げる効果が不充分であり、一方、100モルを超えると、得られる重合体(1)の精製が困難となることがある。
【0053】
本実施形態に係るポリアリーレンの製造で使用することのできる重合溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタムなどを挙げることができ、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドンが好ましい。これらの重合溶媒は、充分に乾燥してから用いることが好ましい。
【0054】
重合溶媒中における上記一般式(6)、(13)〜(14)の化合物の総量の濃度は、通常、1〜100質量%、好ましくは5〜40質量%である。
【0055】
また、重合体(1)を重合する際の重合温度は、通常、0〜200℃、好ましくは50〜80℃である。また、重合時間は、通常、0.5〜100時間、好ましくは1〜40時間である。
【0056】
なお、重合体(1)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常、1,000〜1,000,000であることが好ましい。
【0057】
1.1.2.重合体(2)
重合体(2)は、例えば、下記一般式(15)及び一般式(16)で表わされる化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物と、下記一般式(17)及び一般式(18)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを触媒の存在下で重合することにより得ることができる。
【化28】

・・・・・(15)
【化29】

・・・・・(16)
(式中、R12〜R17及びl〜pは上記一般式(2)に関して定義したとおりである。)
【化30】

・・・・・(17)
【化31】

・・・・・(18)
(式中、R17〜R22及びp〜tは上記一般式(2)に関して定義したとおりであり、Xはハロゲン原子を表わす。)
【0058】
上記一般式(15)で表わされる化合物としては、例えば、4,4’−ジエチニルビフェニル、3,3’−ジエチニルビフェニル、3,4’−ジエチニルビフェニル、4,4’−ジエチニルジフェニルエーテル、3,3’−ジエチニルジフェニルエーテル、3,4’−ジエチニルジフェニルエーテル、4,4’−ジエチニルベンゾフェノン、3,3’−ジエチニルベンゾフェノン、3,4’−ジエチニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチニルジフェニルメタン、3,3’−ジエチニルジフェニルメタン、3,4’−ジエチニルジフェニルメタン、4,4’−ジエチニルベンゾイックアシッドフェニルエステル、3,3’−ジエチニルベンゾイックアシッドフェニルエステル、3,4’−ジエチニルベンゾイックアシッドフェニルエステル、4,4’−ジエチニルベンズアニリド、3,3’−ジエチニルベンズアニリド、3,4’−ジエチニルベンズアニリド、4,4’−ジエチニルジフェニルスルフィド、3,3’−ジエチニルジフェニルスルフィド、3,4’−ジエチニルジフェニルスルフィド、4,4’−ジエチニルジフェニルスルホン、3,3’−ジエチニルジフェニルスルホン、3,4’−ジエチニルジフェニルスルホン、2,4,4’−トリエチニルジフェニルエーテル、9,9−ビス(4−エチニルフェニル)フルオレン、4,4”−ジエチニル−p−ターフェニル、4,4”−ジエチニル−m−ターフェニル、4,4”−ジエチニル−o−ターフェニルなどを挙げることができる。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0059】
上記一般式(16)で表わされる化合物としては、例えば、1,2−ジエチニルベンゼン、1,3−ジエチニルベンゼン、1,4−ジエチニルベンゼン、2,5−ジエチニルトルエン,3,4−ジエチニルトルエンなどを挙げることができる。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0060】
上記一般式(17)で表わされる化合物としては、例えば、1,2−ビス(2−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(3−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(3−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(4−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,2−ビス(4−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヨードフェノキシ)ベンゼン、
1−(2−ブロモベンゾイル)−3−(2−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1−(2−ヨードベンゾイル)−3−(2−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1−(3−ブロモベンゾイル)−3−(3−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1−(3−ヨードベンゾイル)−3−(3−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1−(4−ブロモベンゾイル)−3−(4−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1−(4−ヨードベンゾイル)−3−(4−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1−(3−ブロモベンゾイル)−4−(3−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1−(3−ヨードベンゾイル)−4−(3−ヨードフェノキシ)ベンゼン、1−(4−ブロモベンゾイル)−4−(4−ブロモフェノキシ)ベンゼン、1−(4−ヨードベンゾイル)−4−(4−ヨードフェノキシ)ベンゼン、
2,2’−ビス(2−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(2−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(2−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(2−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(2−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(2−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(3−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(3−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(3−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(3−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(4−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(4−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(4−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(4−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−ブロモフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン、
2,2’−ビス(2−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(2−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(2−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(2−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(2−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(2−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(3−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(3−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(3−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(3−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(4−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、2,2’−ビス(4−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(4−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、2,4’−ビス(4−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−ブロモベンゾイル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−ヨードベンゾイル)ベンゾフェノン、
3,4’−ビス(2−ブロモフェノキシ)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(2−ヨードフェノキシ)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(3−ブロモフェノキシ)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(3−ヨードフェノキシ)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(4−ブロモフェノキシ)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(4−ヨードフェノキシ)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(2−ブロモフェノキシ)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(2−ヨードフェノキシ)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(3−ブロモフェノキシ)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(3−ヨードフェノキシ)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(4−ブロモフェノキシ)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(4−ヨードフェノキシ)ジフェニルエーテル、
3,4’−ビス(2−ブロモベンゾイル)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(2−ヨードベンゾイル)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(3−ブロモベンゾイル)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(3−ヨードベンゾイル)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(4−ブロモベンゾイル)ジフェニルエーテル、3,4’−ビス(4−ヨードベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(2−ブロモベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(2−ヨードベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(3−ブロモベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(3−ヨードベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(4−ブロモベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(4−ヨードベンゾイル)ジフェニルエーテル、
2,2’−ビス(4−クロロフェニル)イソプロピリデン、2,2’−ビス(4−ヨードフェニル)イソプロピリデン、2,2’−ビス(4−ブロモフェニル)イソプロピリデン、2,2’−ビス(3−クロロフェニル)イソプロピリデン、2,2’−ビス(3−ヨードフェニル)イソプロピリデン、2,2’−ビス(3−ブロモフェニル)イソプロピリデン、2,2’−ビス(4−クロロフェニル)ヘキサフルオロイソプロピリデン、2,2’−ビス(4−ヨードフェニル)ヘキサフルオロイソプロピリデン、2,2’−ビス(4−ブロモフェニル)ヘキサフルオロイソプロピリデン、2,2’−ビス(3−クロロフェニル)ヘキサフルオロイソプロピリデン、2,2’−ビス(3−ヨードフェニル)ヘキサフルオロイソプロピリデン、2,2’−ビス(3−ブロモフェニル)ヘキサフルオロイソプロピリデン、2,2’−ビス(4−クロロフェニル)ジフェニルメチリデン、2,2’−ビス(4−ヨードフェニル)ジフェニルメチリデン、2,2’−ビス(4−ブロモフェニル)ジフェニルメチリデン、2,2’−ビス(3−クロロフェニル)ジフェニルメチリデン、2,2’−ビス(3−ヨードフェニル)ジフェニルメチリデン、2,2’−ビス(3−ブロモフェニル)ジフェニルメチリデン、9,9−ビス(4−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヨードフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−ヨードフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−ブロモフェニル)フルオレン、4,4’−ジクロロ−m−ターフェニル、4,4’−ジヨード−m−ターフェニル、4,4’−ジブロモ−m−ターフェニル、4,4’−ジクロロ−p−ターフェニル、4,4’−ジヨード−p−ターフェニル、4,4’−ジブロモ−p−ターフェニルなどを挙げることができる。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0061】
上記一般式(18)で表わされる化合物としては、例えば、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、1,2−ジヨードベンゼン、1,3−ジヨードベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1,2−ジブロモベンゼン、1,3−ジブロモベンゼン、1,4−ジブロモベンゼン、2,3−ジクロロトルエン、2,4−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロトルエン、2,6−ジクロロトルエン、3,4−ジクロロトルエン、2,3−ジヨードトルエン、2,4−ジヨードトルエン、2,5−ジヨードトルエン、2,6−ジヨードトルエン、3,4−ジヨードトルエン、2,3−ジブロモトルエン、2,4−ジブロモトルエン、2,5−ジブロモトルエン、2,6−ジブロモトルエン、3,4−ジブロモトルエンなどを挙げることができる。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0062】
上述したように、重合体(2)は、上記一般式(15)で表される化合物及び/又は上記一般式(16)で表される化合物と、上記一般式(17)で表される化合物及び/又は上記一般式(18)で表される化合物を触媒の存在下で重合させることにより製造されることができ、この場合、上記一般式(15)で表される化合物及び/又は上記一般式(16)で表される化合物と、上記一般式(17)で表される化合物及び/又は上記一般式(18)で表される化合物の使用割合は、前者の化合物の総量1モルに対して、後者の化合物の総量が0.8〜1.2モル、好ましくは0.9〜1.1モル、特に好ましくは0.95〜1.05である。後者の化合物の総量が0.8モル未満の場合や1.2モルを越える場合は、得られる重合体(2)の分子量が上昇しにくい。
【0063】
1.2.重合体(1)及び/又は重合体(2)の製造条件
1.2.1.触媒
重合体(1)及び/又は重合体(2)の製造においては、これらの化合物を、遷移金属化合物を含む触媒の存在下で重合させることが好ましい。この場合、遷移金属化合物及び塩基性化合物を含む触媒がより好ましく、特に下記の(a)、(b)及び(c)成分から構成されているものが特に好ましい。
【0064】
(a)パラジウム塩及びパラジウムに対し配位子として結合するか、配位子として結合する基(原子団)を供給して錯体(錯イオンを含む)を形成し得る物質(以下、配位子形成体という)、又はパラジウム錯体(必要に応じて配位子形成体をさらに加えてもよい)
(b)1価の銅化合物
(c)塩基性化合物
【0065】
パラジウム塩としては、例えば、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム等を挙げることができる。配位子形成体としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリシアノフェニルホスフィン、トリシアノメチルホスフィン等を挙げることができる。中でも、トリフェニルホスフィンが好ましい。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0066】
パラジウム錯体としては、例えば、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジヨードビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリシアノフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリシアノメチルホスフィン)パラジウム、ジブロモビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム、ジブロモビス(トリシアノフェニルホスフィン)パラジウム、ジブロモビス(トリシアノメチルホスフィン)パラジウム、ジヨードビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム、ジヨードビス(トリシアノフェニルホスフィン)パラジウム、ジヨードビス(トリシアノメチルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリシアノフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリシアノメチルホスフィン)パラジウム等を挙げることができる。中でも、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムが好ましい。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0067】
1価の銅化合物としては、例えば、塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)等を挙げることができる。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0068】
上記触媒の使用割合は、下記のとおりである。
【0069】
パラジウム塩の使用割合は、上記一般式(15)〜(18)で表される化合物の総量1モルに対し、好ましくは、0.0001〜10モル、さらに好ましくは、0.001〜1モルである。0.0001モル未満であると重合が十分に進行しないことがあり、一方、10モルを超えると精製が困難となることがある。
【0070】
また、配位子形成体の使用割合は、上記一般式(15)〜(18)で表される化合物の総量1モルに対し、好ましくは、0.0004〜50モル、さらに好ましくは0.004〜5モルである。0.0004モル未満であると重合が十分に進行しないことがあり、一方、50モルを超えると精製が困難となることがある。
【0071】
パラジウム錯体の使用割合は、上記一般式(15)〜(18)で表される化合物の総量1モルに対し、好ましくは、0.0001〜10モル、さらに好ましくは0.001〜1モルである。0.0001モル未満であると重合が十分に進行しないことがあり、一方、10モルを超えると精製が困難となることがある。
【0072】
1価の銅化合物の使用割合は、上記一般式(15)〜(18)で表される化合物の総量1モルに対し、好ましくは、0.0001〜10モル、さらに好ましくは0.001〜1モルである。0.0001モル未満であると重合が十分に進行しないことがあり、一方、10モルを超えると精製が困難となることがある。
【0073】
塩基性化合物としては、例えば、ピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ジエチルアミン、アンモニア、n−ブチルアミン、イミダゾール等を挙げることができる。中でも、ジエチルアミン、ピペリジン、n−ブチルアミンが好ましい。これらの化合物は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0074】
塩基性化合物の使用割合は、上記一般式(15)〜(18)で表される化合物の総量1モルに対し、好ましくは、1〜1000モル、さらに好ましくは1〜100モルである。1モル未満であると重合が十分に進行しないことがあり、一方、100モルを超えると経済的ではなくなる。
【0075】
1.2.2.溶媒
本実施形態に係るポリアリーレンの重合では、必要に応じて溶媒(以下、「重合溶媒」ともいう。)を用いることができる。重合溶媒としては特に制限はないが、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ジエチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム、アニソール、ジエチレンクリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル系溶媒;
アセトン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、シクルペンタノン等のケトン系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒等を挙げることができる。重合溶媒は十分に乾燥、脱酸素して用いることが好ましい。また、重合溶媒は1種単独で使用しても2種以上を同時に使用してもよい。
【0076】
重合溶媒中におけるモノマー(重合成分)濃度は、好ましくは、1〜80質量%、さらに好ましくは5〜60質量%である。
【0077】
また、重合温度は、好ましくは、0〜150℃、さらに好ましくは5〜100℃である。また、重合時間は、好ましくは、0.5〜100時間、さらに好ましくは1〜40時間である。
【0078】
1.2.3.オキソ酸塩
本実施形態に係るポリアリーレンの精製方法においては、上記製造方法により得られたポリアリーレン及びオキソ酸塩を含有する溶液を加熱して金属不純物を除去する工程を含む。上記加熱工程によって、ポリアリーレンの精製を行うことができる。より具体的には、上記加熱工程によって、ポリアリーレンに含まれる金属不純物を除去することができる。すなわち、上記加熱工程によって、金属不純物の含有量が低減されたポリアリーレンを得ることができる。ここで、除去可能な金属不純物は例えば、亜鉛、銅、パラジウム、鉄、ニッケルが挙げられ、このうち、ポリアリーレンを生成するための合成において、亜鉛、銅、及びパラジウムなどの金属を含む触媒を使用する場合、上記金属がポリアリーレン中に残存することが多いため、上記加熱工程によって、少なくとも亜鉛、銅、及びパラジウムの含有量を低減することが好ましい。
【0079】
本実施形態に係る精製方法によれば、上記製造方法により得られたポリアリーレンと、ポリアリーレン100質量部に対して5〜300質量部のオキソ酸塩とを含有する溶液を50〜150℃で0.5〜30時間加熱することにより、少なくとも亜鉛、銅、及びパラジウムの含有量を低減することができる。ここで、溶液のpHが3.0〜9.0であることが好ましい。溶液のpHが3.0〜9.0であることにより、金属異物の除去が効率的に行われる。
【0080】
上記加熱工程は例えば、上記製造方法により得られたポリアリーレンを有機溶剤(以下、「特定有機溶剤」ともいう。)に溶解させ、オキソ酸塩を特定有機溶剤に添加した後、特定有機溶剤を加熱することにより行うことができる。
【0081】
オキソ酸塩としては、例えば、亜ジチオン酸、二亜硫酸、亜硫酸、チオ硫酸、ジチオン酸、ポリチオン酸、硫酸、二硫酸、ペルオキソ一硫酸、ペルオキソ二硫酸などの硫黄含有オキソ酸塩を挙げることができる。オキソ酸塩は、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩であることが好ましい。また、オキソ酸塩としては、好ましくは亜ジチオン酸塩であり、さらに好ましくは、ハイドロサルファイト(亜ジチオン酸ナトリウム)である。これら化合物は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。オキソ酸塩が硫黄含有オキソ酸塩であることにより、還元性がより高くなり、ポリマー中に配位している金属の除去効率が上昇する。特に、オキソ酸塩がハイドロサルファイトであることにより、加熱除去後のナトリウム除去が容易になる点で有利である。
【0082】
オキソ酸塩の添加量は、ポリアリーレン100質量部に対して、通常5〜300質量部、より好ましくは10〜200質量部である。オキソ酸塩の添加量が5質量部未満であると、低メタル化効果が十分ではなく、一方、300質量部を越えると溶液中でオキソ酸塩の析出が生じる場合がある。
【0083】
また、この際の加熱条件としては、加熱温度は通常50〜150℃、より好ましくは70〜140℃であり、加熱時間は通常0.5〜30時間、より好ましくは1〜20時間である。加熱温度が50℃未満である場合又は加熱時間が0.5時間未満である場合、低メタル化効果が十分ではなく、一方、加熱温度が150℃を超える場合又は加熱時間が30時間を超える場合、ポリアリーレン自体が変質してしまう場合がある。
【0084】
また、使用できる特定有機溶剤としては、例えば、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒及び非プロトン系溶媒の群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
【0085】
ここで、アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、ヘプタノール−3、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチルヘプタノール−4、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコールなどのモノアルコール系溶媒;
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンタンジオール−2,4、2−メチルペンタンジオール−2,4、ヘキサンジオール−2,5、ヘプタンジオール−2,4、2−エチルヘキサンジオール−1,3、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコールなどの多価アルコール系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルなどの多価アルコール部分エーテル系溶媒;
などを挙げることができる。これらのアルコール系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0086】
ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン、フェンチョンなどのほか、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、2,4−オクタンジオン、3,5−オクタンジオン、2,4−ノナンジオン、3,5−ノナンジオン、5−メチル−2,4−ヘキサンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ヘプタンジオンなどのβ−ジケトン類などが挙げられる。これらのケトン系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0087】
アミド系溶媒としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、N−ホルミルモルホリン、N−ホルミルピペリジン、N−ホルミルピロリジン、N−アセチルモルホリン、N−アセチルピペリジン、N−アセチルピロリジンなどが挙げられる。これらのアミド系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0088】
エステル系溶媒としては、ジエチルカーボネート、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルなどが挙げられる。これらエステル系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0089】
非プロトン系溶媒としては、例えば、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N,N´,N´−テトラエチルスルファミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N−メチルモルホロン、N−メチルピロール、N−エチルピロール、N−メチル−Δ3−ピロリン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、N,N−ジメチルピペラジン、N−メチルイミダゾール、N−メチル−4−ピペリドン、N−メチル−2−ピペリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチルテトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノンなどを挙げることができる。
【0090】
これらの特定有機溶剤は1種あるいは2種以上を同時に使用しても良い。上記特定有機溶剤は好ましくはケトン系溶媒である。
【0091】
1.2.4.濾材
本実施形態に係るポリアリーレンの精製方法は、上記加熱工程を行った後、ポリアリーレンを含有する溶液から前記オキソ酸塩の金属イオンを除去する工程をさらに含むことができる。ポリアリーレンを含有する溶液から前記オキソ酸塩の金属イオンを除去する工程としては、例えば、ポリアリーレンを含有する溶液を、イオン交換樹脂により処理する工程をさらに含むことができる。
【0092】
ここで、ポリアリーレンを含有する溶液に使用する有機溶剤は、特定有機溶剤として例示された上記有機溶剤を用いてもよい。なお、ポリアリーレンを含有する溶液に使用する有機溶剤は、上記加熱工程において使用した有機溶剤と同じものを使用しても良いし、あるいは、上記加熱工程において使用した有機溶剤と異なる有機溶剤を使用してもよい。
【0093】
イオン交換樹脂としては、例えば、ゼータ電位が作用する濾材が挙げられる。ゼータ電位が作用する濾材を用いて加圧下で反応液を通液させてろ過を行うことにより、金属イオンを除去することができる。
【0094】
ゼータ電位が作用する濾材としては、例えば、カチオン電荷調節剤中に、ジビニルベンゼンで架橋したポリスチレンのスルホン化物からなるカチオン交換樹脂をイオン交換体として含む機能性濾材(キュノ(株)製、商品名「ゼータプラスSHフィルター」が挙げられる。
【0095】
「ゼータプラスSHフィルター」(材質:セルロース、ケイソウ土及びパーライトを含む。カチオン電荷調節剤:ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン樹脂。直径47mm、厚さ3mmの円形状))に0.01〜10kg/(m・min)の流速で加圧ろ過を行い通液させることで、ナトリウム、カリウム、マグネシウム等の金属カチオンを除去できる。
【0096】
本実施形態に係るポリアリーレンの精製方法によれば、ポリアリーレンの製造の際に使用される金属触媒由来の副生成物を効果的に除去することができる。例えば、ポリアリーレンが上記一般式(2)で表される構造(三重結合の両末端に芳香族基が結合する構造)を有する場合であって、このポリアリーレンが金属触媒(例えば銅触媒及びパラジウム触媒)を使用する場合、金属触媒由来の副生成物が生成することがある(Tetrahedron Letter, 29, 3137, 1984)。このような副生成物は、上記一般式(1)で表される構造を有するポリアリーレンを製造する際に金属触媒を使用する場合でも同様に発生しうる。本実施形態に係るポリアリーレンの精製方法によれば、ポリアリーレン及びオキソ酸塩を含有する溶液を加熱して金属不純物を除去する工程と、前記加熱工程を行った後、前記溶液から前記オキソ酸塩の金属イオンを除去する工程とを含むことにより、このような副生成物を簡便にかつ効果的に除去することができる。
【0097】
2.膜形成用組成物
本実施形態に係る膜形成用組成物は、上記精製方法で得られたポリアリーレンを含有する。
【0098】
本実施形態に係る膜形成用組成物には、さらに、有機ポリマー、界面活性剤、シランカップリング剤、ラジカル発生剤、重合性の二重結合を含有する化合物、重合性の三重結合などの成分を添加してもよい。
【0099】
有機ポリマーとしては、例えば、糖鎖構造を有する化合物、ビニルアミド系重合体、(メタ)アクリル系重合体、芳香族ビニル化合物、デンドリマー、ポリイミド,ポリアミック酸、ポリアリーレン、ポリアミド、ポリキノキサリン、ポリオキサジアゾール、フッ素系重合体、ポリアルキレンオキサイド構造を有する化合物などを挙げることができる。
【0100】
ポリアルキレンオキサイド構造を有する化合物としては、ポリメチレンオキサイド構造、ポリエチレンオキサイド構造、ポリプロピレンオキサイド構造、ポリテトラメチレンオキサイド構造、ポリブチレンオキシド構造などが挙げられる。
【0101】
具体的には、ポリオキシメチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエテチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、アルキルフェノールホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルなどのエーテル型化合物、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩などのエーテルエステル型化合物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどのエーテルエステル型化合物などを挙げることができる。
【0102】
ポリオキシチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーとしては下記のようなブロック構造を有する化合物が挙げられる。
−(X)j−(Y)k−
−(X)j−(Y)k−(X)l-
(式中、Xは−CHCHO−で表される基を、Yは−CHCH(CH)O−で表される基を示し、jは1〜90、kは10〜99、lは0〜90の数を示す)
【0103】
これらの中で、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、などのエーテル型化合物をより好ましい例として挙げることができる。これらは1種あるいは2種以上を同時に使用しても良い。
【0104】
界面活性剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられ、さらには、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、ポリ(メタ)アクリレート系界面活性剤などを挙げることができ、好ましくはフッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤を挙げることができる。
【0105】
フッ素系界面活性剤としては、例えば1,1,2,2−テトラフロロオクチル(1,1,2,2−テトラフロロプロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフロロオクチルヘキシルエーテル、オクタエチレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフロロブチル)エーテル、ヘキサエチレングリコール(1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロペンチル)エーテル、オクタプロピレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフロロブチル)エーテル、ヘキサプロピレングリコールジ(1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロペンチル)エーテル、パーフロロドデシルスルホン酸ナトリウム、1,1,2,2,8,8,9,9,10,10−デカフロロドデカン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロデカン、N−[3−(パーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル]-N,N‘−ジメチル−N−カルボキシメチレンアンモニウムベタイン、パーフルオロアルキルスルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル−N−エチルスルホニルグリシン塩、リン酸ビス(N−パーフルオロオクチルスルホニル−N−エチルアミノエチル)、モノパーフルオロアルキルエチルリン酸エステル等の末端、主鎖及び側鎖の少なくとも何れかの部位にフルオロアルキル又はフルオロアルキレン基を有する化合物からなるフッ素系界面活性剤を挙げることができる。
【0106】
また、市販品としては、例えば、メガファックF142D、同F172、同F173、同F183(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、エフトップEF301、同303、同352(新秋田化成(株)製)、フロラードFC−430、同FC−431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭硝子(株)製)、BM−1000、BM−1100(裕商(株)製)、NBX−15((株)ネオス)などの名称で市販されているフッ素系界面活性剤を挙げることができる。これらの中でも、メガファックF172,BM−1000,BM−1100,NBX−15が特に好ましい。
【0107】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、SH7PA、SH21PA、SH30PA、ST94PA(いずれも東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製などを用いることが出来る。これらの中でも、SH21PA、SH30PAが特に好ましい。これらは1種あるいは2種以上を同時に使用しても良い。
【0108】
シランカップリング剤としては、例えば3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノグリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルメチルジメトキシシラン、1−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ポリビニルメトキシシロキサン、ポリビニルエトキシシロキサンなどが挙げられる。これらは1種あるいは2種以上を同時に使用しても良い。
【0109】
ラジカル発生剤としては、例えば、イソブチリルパーオキサイド、α、α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、ジ−nプロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、ジメトキブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、スクシニックパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、m−トルオイルアンドベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ジ−t−ブチルパーオキシ−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロデカン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、α、α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ヘキシルヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等を挙げることができる。
【0110】
ラジカル発生剤の配合量は、重合体100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましい。ラジカル発生剤は1種あるいは2種以上を同時に使用しても良い。
【0111】
重合性の二重結合を含有する化合物としては、例えば、アリルベンゼン、ジアリルベンゼン、トリアリルベンゼン、アリルオキシベンゼン、ジアリルオキシベンゼン、トリアリルオキシベンゼン、α,ω―ジアリルオキシアルカン類、α,ω―ジアリルアルケン類、α,ω―ジアリルアルケン類、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、N―アリルフタルイミド、N―アリルピロメリットイミド、N、N′―ジアリルウレア、トリアリルイソシアヌレート、2,2′−ジアリルビスフェノールAなどのアリル化合物;
スチレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、スチルベン、プロペニルベンゼン、ジプロペニルベンゼン、トリプロペニルベンゼン、フェニルビニルケトン、メチルスチリルケトン、α,α’―ジビニルアルカン類、α,α’―ジビニルアルケン類、α,α’―ジビニルアルキン類、α,α’―ジビニルオキシアルカン類、α,α’―ジビニルアルケン類、α,α’―ジビニルアルキン類、α,α’―ジアクリルオキシアルカン類、α,α’―ジアクリルアルケン類、α,α’―ジアクリルアルケン類、α,α’―ジメタクリルオキシアルカン類、α,α’―ジメタクリルアルケン類、α,α’―ジメタクリルアルケン類、ビスアクリルオキシベンゼン、トリスアクリルオキシベンゼン、ビスメタクリルオキシベンゼン、トリスメタクリルオキシベンゼン、N―ビニルフタルイミド、N―ビニルピロメリットイミドなどのビニル化合物;
2,2′−ジアリル−4,4′−ビフェノールを含むポリアリーレンエーテル、2,2′−ジアリル−4,4′−ビフェノールを含むポリアリーレンなどを挙げることができる。これらは、1種又は2種以上を同時に使用しても良い。
【0112】
重合性の三重結合を含有する化合物としては、例えば、下記一般式(19)及び一般式(20)で表される化合物もしくはいずれか一方が挙げられる。
【化32】

・・・・・(19)
【化33】

・・・・・(20)
(式中、R24は2〜v価の芳香族基を表し、R25は2〜w価の芳香族基を表し、R23は炭素数1〜3のアルキル基を表し、uは0〜5の整数を示し、v及びwはそれぞれ独立に2〜6の整数である。)
【0113】
上記一般式(19)において、R23は炭素数1〜3のアルキル基であり、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基を挙げることができる。また、一般式(19)におけるR24及び一般式(20)におけるR25は、それぞれ2〜v価及び2〜w価の芳香族基であり、例えば、以下の一般式(21)に示す基を挙げることができる。
【化34】

・・・・・(21)
〔上記一般式中、Mは−O−、−S−、−CH2−、−C(CH3)2−、フルオレニル基から選ばれる少なくとも1種の基を示す。〕
【0114】
かかる一般式(19)で表される化合物の具体例としては、例えば、1,4−ビス(フェニルエチニルベンゼン)、1,3−ビス(フェニルエチニルベンゼン)、1,2−ビス(フェニルエチニル)ベンゼン、1,3,5−トリス(フェニルエチニル)ベンゼン、1,2,4−トリス(フェニルエチニル)ベンゼン、4,4’−ビス(フェニルエチニル)ジフェニルエーテル、2,4,4’−トリス(フェニルエチニル)ジフェニルエーテルなどを挙げることができる。
【0115】
また、上記一般式(20)で表される化合物の具体例としては、例えば、1,4−ジエチニルベンゼン、1,3−ジエチニルベンゼン、1,2−ジエチニルベンゼン、1,3,5−トリエチニルベンゼン、1,2,4−トリエチニルベンゼン、4,4’−ジエチニルジフェニルエーテル、2,4,4’−トリエチニルジフェニルエーテルなどを挙げることができる。
【0116】
本実施形態に係る膜形成用組成物の全固形分濃度は、好ましくは、0.1〜30質量%であり、使用目的に応じて適宜調整される。組成物の全固形分濃度が0.1〜30質量%であると、塗膜の膜厚が適当な範囲となり、保存安定性もより優れるものである。なお、この全固形分濃度の調整は、必要に応じて、濃縮及び上記有機溶剤による希釈によって行われる。
【0117】
3.膜の形成方法及び有機膜
本実施形態に係る膜の形成方法は、上記膜形成用組成物を基板に塗布し、加熱する工程を含む。また、本実施形態に係る有機膜は、上記膜の形成方法によって得られる。
【0118】
上記膜形成用組成物を、シリコンウエハ、SiOウエハ、SiNウエハなどの基材に塗布する際には、スピンコート、浸漬法、ロールコート法、スプレー法などの塗装手段が用いられる。
【0119】
この際の膜厚は、乾燥膜厚として、1回塗りで厚さ0.005〜2.5μm程度、2回塗りでは厚さ0.01〜5.0μm程度の塗膜を形成することができる。その後、常温で乾燥するか、あるいは80〜600℃程度の温度で、通常、5〜240分程度加熱して乾燥することにより、絶縁膜を形成することができる。
【0120】
この際の加熱方法としては、ホットプレート、オーブン、ファーネスなどを使用することが出来、加熱雰囲気としては、大気下、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気、真空下、酸素濃度をコントロールした減圧下などで行うことができる。
【0121】
また、電子線や紫外線を照射することによっても塗膜を形成させることができる。
【0122】
また、上記塗膜の硬化速度を制御するため、必要に応じて、段階的に加熱したり、あるいは、窒素、空気、酸素、減圧などの雰囲気を選択したりすることができる。
【0123】
本実施形態に係る有機膜は、金属不純物の含有量が少なく、かつ、比誘電率特性及び低リーク電流特性に優れることから、例えば、LSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAMなどの半導体素子用層間絶縁膜、エッチングストッパー、化学機械研磨ストッパー、半導体素子の表面コート膜などの保護膜、多層レジストを用いた半導体作製工程の中間層、多層配線基板の層間絶縁膜、液晶表示素子用の保護膜や絶縁膜、表示素子用カラーフィルターの保護膜などの用途に有用である。
【0124】
4.実施例
以下、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、以下の記載は、本発明の態様例を概括的に示すものであり、特に理由なく、かかる記載により本発明を限定するものではない。
【0125】
なお、実施例及び比較例中の部及び%は、特記しない限り、それぞれ質量部及び質量%であることを示している。また、各種の評価は、次のようにして行った。
【0126】
4.1.評価方法
4.1.1.重量平均分子量(Mw)
下記条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した。
【0127】
試料:テトラヒドロフランを溶媒として使用し、試料1gを、100ccのテトラヒドロフランに溶解して調製した。
【0128】
標準ポリスチレン:米国プレッシャーケミカル社製の標準ポリスチレンを使用した。
【0129】
装置:米国ウオーターズ社製の高温高速ゲル浸透クロマトグラム(モデル150−C ALC/GPC)
カラム:昭和電工(株)製のSHODEX A−80M(長さ50cm)
測定温度:40℃
流速:1cc/分
【0130】
4.1.2.金属含有量
下記条件によるフレームレス原子吸光法により測定した。
【0131】
試料:試料1gを、蒸留シクロヘキサノン100gに溶解して調製した。
【0132】
測定法:日立製作所社製フレームレス原子吸光光度計GC12Aを用いて、溶液中のNa、K、Fe、Ni、Zn、Cu、Pd量を測定した。
【0133】
4.1.3.塗膜の比誘電率
8インチシリコンウエハ上に、スピンコート法を用いて組成物試料を塗布し、ホットプレート上にて80℃で2分間、窒素雰囲気200℃で2分間基板を乾燥し、さらに410℃の窒素雰囲気のホットプレートで15分間基板を焼成した。得られた基板に蒸着法によりアルミニウム電極パターンを形成させ比誘電率測定用サンプルを作成した。該サンプルを周波数100kHzの周波数で、横河・ヒューレットパッカード(株)製、HP16451B電極及びHP4284AプレシジョンLCRメータを用いてCV法により当該塗膜の比誘電率を測定した。
【0134】
4.1.4.塗膜のリーク電流
8インチシリコンウエハ上に、スピンコート法を用いて組成物試料を塗布し、ホットプレート上にて80℃で2分間、窒素雰囲気200℃で2分間基板を乾燥し、さらに410℃の窒素雰囲気のホットプレートで15分間基板を焼成した。得られた基板に蒸着法によりアルミニウム電極パターンを形成させリーク電流測定用サンプルを作成した。リーク電流は、Keithley(株)製の6517Aを使用し、塗膜に0.2MV/cmの電圧を印加した際の電流値を測定した。下記基準で塗膜のリーク電流を評価した。
【0135】
A;リーク電流が5×10−10A未満
B;リーク電流が5×10−10A以上
【0136】
4.2.合成例1
三つ口フラスコに、ヨウ化ナトリウム7.5g、無水塩化ニッケル1.3g、トリフェニルホスフィン15.7g、酢酸により活性化させた亜鉛粉末19.6g、及び9,9−ビス(メチルスルフォニロキシ)フルオレン16.7gを加え、真空下で24時間乾燥したのち、三つ口フラスコ内をアルゴンガスで充填した。次いで、乾燥N,N−ジメチルアセトアミド50ml、乾燥テトラヒドロフラン50ml、及び2,4−ジクロロトルエン10.8gを添加し、70℃アルゴン気流下で攪拌したところ、反応液が褐色となった。そのまま、70℃で20時間反応させた。冷却後、反応液を36%塩酸400ml及びメタノール1,600ml混合液中に注ぎ、沈殿物を回収した。
【0137】
得られた沈殿物を、クロロホルムに溶解し、不溶物を除去した後、メタノールに注ぎ、沈殿物を回収した。この沈殿物をメタノールで十分洗浄し、乾燥して、重量平均分子量10,500の白色粉末状の重合体(i)を得た。
【0138】
この重合体(i)の金属含有量をフレームレス原子吸光法で測定したところ、Na(180ppb)、K(12ppb)、Fe(45ppb)、Ni(160ppb)、Zn(130ppb)、Cu(30ppb)、Pd(10ppb)であった。
【0139】
4.3.合成例2
温度計、アルゴンガス導入管、攪拌装置を備えた三口フラスコにテトラヒドロフラン120ml、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム3.46g、ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム2.1g、ヨウ化銅1.44g、ピペリジン20ml、4,4’−ビス(2−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン185.72gを加えた。次に、4,4’−ジエチニルジフェニルエーテル65.48gを加え25℃で20時間反応させた。反応液を10%HCl含有メタノール5Lに投じ再沈殿を行った。
【0140】
得られた沈殿物を、クロロホルムに溶解し、不溶物を除去した後、メタノールに注ぎ、沈殿物を回収した。この沈殿物をメタノールで十分洗浄し、乾燥して、重量平均分子量35,000の重合体(ii)を得た。
【0141】
この重合体(ii)溶液の金属含有量をフレームレス原子吸光法で測定したところ、Na(24ppb)、K(10ppb)、Fe(13ppb)、Ni(10ppb)、Zn(12ppb)、Cu(150ppb)、Pd(220ppb)であった。
【0142】
4.4.実施例1
石英製のフラスコに、重合体(i)10g、トリメチルベンゼン190g、及び亜ジチオン酸ナトリウム12gを添加し、十分攪拌を行った。この溶液を窒素雰囲気下において100℃で5時間攪拌しながら加熱した。冷却後、この溶液をメタノールに注ぎ、沈殿物を回収した。この沈殿物をメタノールで十分洗浄し、乾燥したところ、重量平均分子量10,800の白色粉末状の重合体A 10gを得た。この重合体A 1gをフレームレス原子吸光法で測定したところ、300ppbのナトリウムを含んでいた。
【0143】
この重合体A 10gをシクロヘキサノン90gに溶解させ、カチオン電荷調節剤中に、ジビニルベンゼンで架橋したポリスチレンのスルホン化物からなるカチオン交換樹脂をイオン交換体として含む機能性濾材(キュノ(株)製、商品名「ゼータプラスSHフィルター」(材質:セルロース、ケイソウ土及びパーライトを含む。カチオン電荷調節剤:ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン樹脂。直径47mm、厚さ3mmの円形状))に25℃で、0.45kg/(m・min)の流速で通液させた後、溶媒を除去して重合体Bを得た。
【0144】
この重合体Bの金属含有量をフレームレス原子吸光法で測定したところ、Na(2ppb)、K(1ppb)、Fe(2ppb)、Ni(2ppb)、Zn(1ppb)、Cu(1ppb)、Pd(20ppb)であった。
【0145】
この重合体B 3gをトリメチルベンゼン57gに溶解し、0.2μm孔径のテフロン(登録商標)製フィルターでろ過を行い、実施例1に係る膜形成用組成物を得た。
【0146】
得られた組成物をスピンコート法でシリコンウエハ上に塗布した。
【0147】
得られた塗膜の比誘電率を評価したところ、2.90と低い比誘電率を示した。さらに、塗膜のリーク電流は7×10−11Aであり、低リーク電流を示した。
【0148】
4.5.実施例2
温度計、アルゴンガス導入管、攪拌装置を備えた三口フラスコにテトラヒドロフラン120ml、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム3.46g、ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム2.1g、ヨウ化銅1.44g、ピペリジン20ml、4,4’−ビス(2−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン185.72gを加えた。次に、4,4’−ジエチニルジフェニルエーテル65.48gを加え25℃で20時間反応させた。この後、反応液に亜ジチオン酸ナトリウム30gを添加し、110℃で5時間加熱を行った。冷却後、この溶液をメタノールに注ぎ、沈殿物を回収した。この沈殿物をメタノールで十分洗浄し、乾燥して、重量平均分子量41,000の白色粉末状の重合体C 144.7gを得た。この重合体C 1gをフレームレス原子吸光法で測定したところ、500ppbのナトリウムを含んでいた。
【0149】
この重合体C 10gをシクロヘキサノン90gに溶解させ、カチオン電荷調節剤中に、ジビニルベンゼンで架橋したポリスチレンのスルホン化物からなるカチオン交換樹脂をイオン交換体として含む機能性濾材(キュノ(株)製、商品名「ゼータプラスSHフィルター」(材質:セルロース、ケイソウ土及びパーライトを含む。カチオン電荷調節剤:ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン樹脂。直径47mm、厚さ3mmの円形状)に25℃で、0.45kg/(m・min)の流速で通液させた後、溶媒を除去して重合体Dを得た。
【0150】
この重合体Dの金属含有量をフレームレス原子吸光法で測定したところ、Na(2ppb)、K(3ppb)、Fe(2ppb)、Ni(1ppb)、Zn(1ppb)、Cu(2ppb)、Pd(15ppb)であった。
【0151】
この重合体D 3gをシクロヘキサノン57gに溶解し、0.2μm孔径のテフロン(登録商標)製フィルターでろ過を行い、実施例2に係る膜形成用組成物を得た。
【0152】
得られた組成物をスピンコート法でシリコンウエハ上に塗布した。
【0153】
得られた塗膜の比誘電率を評価したところ、2.97と低い比誘電率を示した。さらに、塗膜のリーク電流は1×10−10Aであり、低リーク電流を示した。
【0154】
4.6.実施例3
温度計、アルゴンガス導入管、攪拌装置を備えた三口フラスコにテトラヒドロフラン120ml、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム3.46g、ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム2.1g、ヨウ化銅1.44g、ピペリジン20ml、4,4’−ビス(2−ヨードフェノキシ)ベンゾフェノン185.72gを加えた。次に、4,4’−ジエチニルジフェニルエーテル65.48gを加え25℃で20時間反応させた。この後、トリエチルアミン100g、ハイドロサルファイト50gを添加し、100℃、5時間加熱させた。更に反応液にシュウ酸30gを添加し、110℃で2時間加熱を行った。冷却後、この溶液をメタノールに注ぎ、沈殿物を回収した。この沈殿物をメタノールで十分洗浄し、乾燥して、重量平均分子量41,000の白色粉末状の重合体E 144.7gを得た。この重合体E 1gをフレームレス原子吸光法で測定したところ、500ppbのナトリウムを含んでいた。
【0155】
この重合体E 10gをシクロヘキサノン90gに溶解させ、カチオン電荷調節剤中に、ジビニルベンゼンで架橋したポリスチレンのスルホン化物からなるカチオン交換樹脂を含む機能性濾材(キュノ(株)製、商品名「ゼータプラスSHフィルター」(材質:セルロース、ケイソウ土及びパーライトを含む。カチオン電荷調節剤:ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン樹脂。直径47mm、厚さ3mmの円形状)に25℃で、0.45kg/(m・min)の流速で通液させた後、溶媒を除去して重合体Fを得た。
【0156】
この重合体Fの金属含有量をフレームレス原子吸光法で測定したところ、Na(2ppb)、K(3ppb)、Fe(2ppb)、Ni(1ppb)、Zn(1ppb)、Cu(2ppb)、Pd(2ppb)であった。
【0157】
この重合体F 3gをシクロヘキサノン57gに溶解し、0.2μm孔径のテフロン(登録商標)製フィルターでろ過を行い、実施例3に係る膜形成用組成物を得た。
【0158】
得られた組成物をスピンコート法でシリコンウエハ上に塗布した。
【0159】
得られた塗膜の比誘電率を評価したところ、2.97と低い比誘電率を示した。さらに、塗膜のリーク電流は5×10−11Aであり、低リーク電流を示した。
【0160】
4.7.比較例1
合成例1で得られた重合体(1)3gをトリメチルベンゼン57gに溶解し、0.2μm孔径のテフロン(登録商標)製フィルターでろ過を行い、比較例1に係る膜形成用組成物を得た。
【0161】
得られた組成物をスピンコート法でシリコンウエハ上に塗布した。
【0162】
得られた塗膜の比誘電率を評価したところ、2.92と低い比誘電率を示したが、塗膜のリーク電流は7×10−10Aであり、リーク電流特性に劣るものであった。
【0163】
4.8.比較例2
合成例2で得られた重合体(2)3gをシクロヘキサノン57gに溶解し、0.2μm孔径のテフロン(登録商標)製フィルターでろ過を行い、比較例2に係る膜形成用組成物を得た。
【0164】
得られた組成物をスピンコート法でシリコンウエハ上に塗布した。
【0165】
得られた塗膜の比誘電率を評価したところ、2.98と低い比誘電率を示したが、塗膜のリーク電流は9×10−10Aであり、リーク電流特性に劣るものであった。
【0166】
4.9.比較例3
石英製のフラスコに、重合体(i)5g、トリメチルベンゼン95g、及びギ酸10gを添加し、十分攪拌を行った。この溶液を窒素雰囲気下において100℃で15時間攪拌しながら加熱した。冷却後、この溶液をメタノールに注ぎ、沈殿物を回収した。この沈殿物をメタノールで十分洗浄し、乾燥したところ、重量平均分子量11,500の白色粉末状の重合体Aを得た。
【0167】
この重合体A 10gをシクロヘキサノン90gに溶解させ、カチオン電荷調節剤中に、ジビニルベンゼンで架橋したポリスチレンのスルホン化物からなるカチオン交換樹脂をイオン交換体として含む機能性濾材(キュノ(株)製、商品名「ゼータプラスSHフィルター」(材質:セルロース、ケイソウ土及びパーライトを含む。カチオン電荷調節剤:ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン樹脂。直径47mm、厚さ3mmの円形状))に25℃で、0.45kg/(m・min)の流速で通液させ、重合体Bを得た。
【0168】
この重合体B 3gをトリメチルベンゼン57gに溶解し、0.2μm孔径のテフロン(登録商標)製フィルターでろ過を行い、比較例3に係る膜形成用組成物を得た。
【0169】
得られた組成物をスピンコート法でシリコンウエハ上に塗布して塗膜を形成した。
【0170】
得られた塗膜の比誘電率を評価したところ、比誘電率が2.90と低い比誘電率を示した。さらに、塗膜のリーク電流は5×10−11Aであり、実施例1〜3で得られた塗膜と比較してリーク電流が大きかった。
【0171】
これに対して、本比較例において、上記攪拌時間を15時間のかわりに5時間に短縮して同様の操作により得られた塗膜を製造した。この塗膜の比誘電率は3.05であり、塗膜のリーク電流は5×10−10Aであり、比誘電率およびリーク電流ともに増加した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアリーレン及びオキソ酸塩を含有する溶液を加熱して金属不純物を除去する工程と、前記加熱工程を行った後、前記溶液から前記オキソ酸塩の金属イオンを除去する工程と、を含むポリアリーレンの精製方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記オキソ酸塩が、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩である、ポリアリーレンの精製方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記ポリアリーレン及び前記オキソ酸塩を含有する溶液は、前記ポリアリーレン100質量部に対して5〜300質量部の前記オキソ酸塩を含む、ポリアリーレンの精製方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記ポリアリーレンは下記一般式(1)〜(2)の群から選ばれる少なくとも1種である、ポリアリーレンの精製方法。
【化1】

・・・・・(1)
【化2】

・・・・・(2)
〔R〜R11はそれぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシル基、アリール基、又はハロゲン原子を表し、Xは−CQQ’−(ここで、Q、Q’は同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン化アルキル基、アルキル基、水素原子、ハロゲン原子、又はアリール基を示す。)で表される基、及びフルオレニレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、Yは−O−、−CO−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO−、及びフェニレン基の群から選ばれた少なくとも1種であり、aは0又は1を示し、b〜fは0〜4の整数を示し、gは5〜100モル%であり、hは0〜95モル%であり、iは0〜95モル%である(ただし、g+h+i=100モル%である。)。A及びBはそれぞれ独立に、下記一般式(3)〜(5)で表される2価の芳香族基からなる群から選ばれる少なくとも1種である。〕
【化3】

・・・・・(3)
【化4】

・・・・・(4)
【化5】

・・・・・(5)
(式中、R12、R13、R18及びR19は独立に、単結合、−O−、−CO−、−CH−、−COO−、−CONH−、−S−、−SO−、フェニレン基、イソプロピリデン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、ジフェニルメチリデン基、フルオレニレン基、又は下記式
【化6】

で表わされる基を表し、R14〜R16、R17及びR20〜R22は独立に、炭素原子数1〜20の炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜20のアルコキシル基、又はアリール基を表し、l及びqは独立に0〜3の整数を示し、m〜p及びr〜tは独立に0〜4の整数を示す。)
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかにおいて、
前記金属不純物が亜鉛、銅、及びパラジウムから選ばれる少なくとも1種である、ポリアリーレンの精製方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の精製方法で得られたポリアリーレンを含有する膜形成用組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の膜形成用組成物を基板に塗布し、加熱する工程を含む、膜の形成方法。
【請求項8】
請求項7に記載の膜の形成方法によって得られる有機膜。

【公開番号】特開2008−163235(P2008−163235A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−355630(P2006−355630)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】