説明

ポリイミド樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物、ガスバリア材、プリント配線板用層間接着フィルム、及びポリイミド樹脂組成物の製造方法

【課題】 耐熱性と寸法安定性に優れる硬化物が得られるポリイミド樹脂組成物と、該熱硬化性樹脂組成物を用いて得られる層間接着フィルム及びガスバリア性に優れるガスバリア材を提供すること。
【解決手段】 ビフェニル骨格を有するポリイソシアネート化合物を含むポリイソシアネート化合物と酸無水物、またはビフェニル骨格を有する酸無水物を含む酸無水物とポリイソシアネート化合物とを重合させて得られるポリイミド樹脂と有機化層状珪酸塩とを含有するポリイミド樹脂組成物であり、該有機化層状珪酸塩が、短径1〜50nmの範囲でアスペクト比が10〜500の範囲の分散粒子であるポリイミド樹脂組成物、該組成物を含むガスバリア材及び該組成物を含む熱硬化性樹脂組成物及び該熱硬化性樹脂組成物により形成される層を、キャリアフィルム上に有するプリント配線板用層間接着フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は耐熱性、寸法安定性、耐湿性に優れる熱硬化組成物が得られ、半硬化の状態(Bステージ化)が可能でしかも塗工の際に樹脂溶液の溶融性が優れるため基板との密着性がよくBステージ状態の半硬化物が得られるポリイミド樹脂組成物と、当該ポリイミド樹脂組成物を含む熱硬化性樹脂組成物と、該熱硬化性樹脂組成物を用いて得られる層間接着フィルム及び、該ポリイミド樹脂組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の薄型化、軽量化に伴い、電子部品の小型化、高密度化が進んでおり、それに使用されている樹脂材料の設計は電子部品を構成する各種材料との整合をとるために耐熱性、寸法安定性、耐湿性等の更なる向上が求められている。具体的には、配線密度を向上させるために配線板の積層による回路の3次元化(積層化)が行われている。今後、積層数は10層以上に達すると考えられている。積層数の増加に伴い、絶縁層と銅箔との膨張率の差異による回路ひずみ応力の発生や樹脂材料に水分を含んでいると、銅や銀等の導電性材料がイオン化していわゆるマイグレーションを生じ、電極や回路間の短絡の原因となる問題があった。
【0003】
一般的に上記部品として使用される樹脂材料は、熱的特性、機械的特性、電気的特性に優れたエポキシ樹脂が使用されているが技術革新や環境対応が日進月歩している市場の要請により要求特性が厳しさを増している。そこで、エポキシ樹脂に代わる樹脂材料として、酸成分の全量と100モル%、アミン(イソシアネート)成分の全量を100モル%とし、酸成分とアミン(イソシアネート)成分の合計を200モルとしたときに、ビフェニル結合を有するモノマーが90モル%以上200モル%以下共重合されているポリイミド樹脂は耐熱性、寸法安定性に優れ、かつ、低吸湿性であるため絶縁層として用いることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、Bステージ状態での基板と該ポリイミド樹脂との密着性や線膨張率が未だ十分ではない。
【0004】
また、絶縁層の低熱膨張化と耐熱性の向上を目指して樹脂中に粒径が1μm以下の無機微粒子を分散させた複合材料(ナノコンポジット)を用いることが知られている。例えば、ポリイミド樹脂系ナノコンポジットの一例として、アミノドデカン酸のアンモニウムイオン等の有機オニウムイオンにより有機化されたモンモリロナイト(層状珪酸塩)をピロメリット酸無水物と4,4−ジアミノジフェニルエーテルとから誘導されるポリアミック酸溶液とを混合し、300℃で2時間加熱することによりポリアミック酸を閉環して得られるポリイミドフィルムが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、上記特許文献2に開示されたポリイミドフィルムにおいても、熱膨張率の値は未だ十分に低いものではない。加えて、特許文献2に開示されたポリイミドフィルムは完全硬化したものであり、Bステージ化が可能なポリイミド樹脂やその組成物を得ることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−068226号公報
【特許文献2】特開平4−033955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、耐熱性、寸法安定性、耐湿性に優れる硬化物が得られるポリイミド樹脂組成物と、前記ポリイミド樹脂組成物を含む熱硬化性樹脂組成物と、該熱硬化性樹脂組成物を用いて得られる層間接着フィルム、及び、該ポリイミド樹脂組成物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意検討した結果、一般的にイソシアネート法と呼ばれる製法によりポリイミド樹脂が製造されるビフェニル骨格を有するポリイミド樹脂と、有機化層状珪酸塩、例えば、層状珪酸塩の層間にある陽イオンが有機オニウムイオンとイオン交換されている有機化層状珪酸塩で特定の形状と大きさを有する有機化層状珪酸塩を含有する組成物を用いた硬化物は耐熱性、寸法安定性、耐湿性に優れること、該組成物はBステージ化できること、Bステージ化した硬化物は溶融性に優れるため基板密着性がよいこと、また、硬化物(塗膜)が酸素や水蒸気などの気体の遮断性(ガスバリア性)に優れること等を見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明はビフェニル骨格を有するポリイソシアネート化合物を含むポリイソシアネート化合物と酸無水物、またはビフェニル骨格を有する酸無水物を含む酸無水物とポリイソシアネート化合物とを重合させて得られるポリイミド樹脂と有機化層状珪酸塩とを含有するポリイミド樹脂組成物であり、該有機化層状珪酸塩が、短径1〜50nmの範囲でアスペクト比が10〜500の範囲の分散粒子であることを特徴とするポリイミド樹脂組成物を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、前記ポリイミド樹脂組成物とエポキシ樹脂とを含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物を提供するものである。
【0010】
更に、本発明は前記熱硬化性樹脂組成物を、キャリアフィルム上に塗布・乾燥させて得られることを特徴とするプリント配線板用層間接着フィルムを提供するものである。
【0011】
更に、本発明は、前記熱硬化性樹脂組成物を含有することを特徴とするガスバリア材を提供するものである。
【0012】
更に、本発明は、ビフェニル骨格を有するポリイソシアネート化合物を含むポリイソシアネート化合物と酸無水物とを、または、ビフェニル骨格を有する酸無水物を含む酸無水物とポリイソシアネート化合物とを、有機化層状珪酸塩ならびに有機溶剤の存在下で反応させて、ビフェニル骨格を有するポリイミド樹脂と有機化層状珪酸塩と有機溶剤とを含む組成物を得ることを特徴とするポリイミド樹脂組成物の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、耐熱性、寸法安定性、耐湿性に優れる硬化物が得られる熱硬化性樹脂組成物を提供することができる。また、該熱硬化性樹脂組成物はBステージ化することができ、Bステージ化した半硬化物は溶融性に優れるため基板との密着性がよい。加えて、本発明の熱硬化性樹脂組成物はガスバリア性に優れ、ガスバリア材としても好適に使用できる。これらの性能を利用して種々の分野に適用することができる。具体的には、エンジン周辺部、摺動部、HDD摺動部、ボイスコイル、電磁コイル、各種フィルムへのコート剤、電線の絶縁被覆剤、加熱調理器等の耐熱性、難燃性、絶縁性が要求されるコーティング剤用途;炭素繊維プリプレグのような繊維強化複合材料、プリント配線基板、半導体の絶縁材料、カバーレイ、ソルダーレジスト等の表面保護層、ビルドアップ材料、プリプレグ用樹脂、フレキシブルディスプレイの絶縁材料、有機TFT絶縁層、バッファーコート、Low−k等の半導体コート、ポリマー導波路、半導体封止剤、アンダーフィル等接着剤等の各種電子材料用途;太陽電池、リチウムイオン電池、コンデンサ、電気二重層キャパシタ等の絶縁層、電極バインダー、セパレーター等の各種エネルギー産業用材料用途;その他、レーザープリンタ、コピー機の転写ベルト、定着ベルト等のエンドレスベルトまたはそのコーティング剤、導電膜、放熱膜のバインダー、カラーフィルターの配向膜、オーバーコート膜等に使用でき、特に多層プリント配線板等の絶縁層やソルダーレジストに好適に使用できる。また、本発明のプリント配線板用層間接着フィルムを用いることにより銅箔との圧着時に低温で溶融しながら密着し、硬化物の線膨張率が低い絶縁層を得ることができ、多層プリント配線板の層間絶縁層を形成するために接着フィルムとして好適に用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明で用いるポリイミド樹脂はビフェニル骨格を有するポリイソシアネート化合物を含むポリイソシアネート化合物と酸無水物、またはビフェニル骨格を有する酸無水物を含む酸無水物とポリイソシアネート化合物とを重合させて得られる。
【0015】
前記ビフェニル構造を有するポリイソシアネート化合物としては、例えば、4,4´−ジイソシアネート−3,3´−ジメチル−1,1´−ビフェニル、4,4´−ジイソシアネート−3,3´−ジエチル−1,1´−ビフェニル、4,4´−ジイソシアネート−2,2´−ジメチル−1,1´−ビフェニル、4,4´−ジイソシアネート−2,2´−ジエチル−1,1´−ビフェニル、4,4´−ジイソシアネート−3,3´−ジトリフロロメチル−1,1´−ビフェニル、4,4´−ジイソシアネート−2,2´−ジトリフロロメチル−1,1´−ビフェニル等が挙げられる。
【0016】
ポリイソシアネート化合物にはビフェニル骨格を有するポリイソシアネート化合物以外のポリイソシアネートを含有させることができる。このような化合物としては、例えば、ビフェニル骨格を有するポリイソシアネート化合物以外の芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0017】
前記ビフェニル骨格を有するポリイソシアネート化合物以外の芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジエチルジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、1,3−ビス(α,α−ジメチルイソシアナートメチル)ベンゼン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニレンエーテル−4,4′−ジイソシアネートおよびナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0018】
前記脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネートおよびノルボルネンジイソシアネート等が挙げられる。
【0019】
ポリイソシアネート化合物としては、前記ポリイソシアネート化合物と各種ポリオール成分とをイソシアネート基過剰で予め反応させたイソシアネートプレポリマーを使用することも可能である。
【0020】
前記ビフェニル骨格を有するポリイソシアネート化合物を含むポリイソシアネート化合物とともに用いる酸無水物としては、例えば、ビフェニル構造を有する酸無水物やこの酸無水物以外の酸無水物を挙げることができる。
【0021】
前記ビフェニル構造を有する酸無水物としては、例えば、ビフェニル−3,3´ ,4,4´−テトラカルボン酸、ビフェニル−2,3,3´,4´−テトラカルボン酸、およびこれらの一無水物、二無水物等などが挙げられ、これらは単独、或いは2種以上の混合物として用いることができる。
【0022】
ビフェニル構造を有する酸無水物以外の酸無水物としては、例えば、ビフェニル構造を有する酸無水物以外の芳香族トリカルボン酸無水物、脂環式トリカルボン酸無水物、ビフェニル構造を有する酸無水物以外のテトラカルボン酸無水物等が挙げられる。ビフェニル構造を有する酸無水物以外の芳香族トリカルボン酸無水物としては、無水トリメリット酸、ナフタレン−1,2,4−トリカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0023】
脂環式トリカルボン酸無水物としては、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸無水物−3,4−無水物、シクロヘキサン−1,3,5−トリカルボン酸無水物−3,5−無水物、シクロヘキサン−1,2,3−トリカルボン酸無水物−2,3−無水物等が挙げられる。
【0024】
前記ビフェニル構造を有する酸無水物以外のテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテル−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、フェナントレン−1,3,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ベリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、
【0025】
エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、プロピレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、ブタンジオールビスアンヒドロトリメリテート、ヘキサメチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、ポリエチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、ポリプロピレングリコールビスアンヒドロトリメリテートやその他アルキレングリコールビスアンヒドロキシトリメリテート等が挙げられる。
【0026】
本発明において、前記ポリイミド樹脂組成物中のビフェニル骨格が20〜40質量%となるようにビフェニル骨格を有するポリイソシアネート化合物またはビフェニル骨格を有する酸無水物を用いることにより得られる硬化物の寸法安定性、耐熱性、耐湿性に加え、得られるポリイミド樹脂組成物の溶剤溶解性や前記イミド樹脂組成物をBステージの状態とした半硬化物の低温での溶融性にも優れるため、基板密着性がよい熱硬化性樹脂組成物が得られることから好ましく、前記ポリイミド樹脂中のビフェニル骨格が25〜40質量%となるようにビフェニル骨格を有するポリイソシアネート化合物、またはビフェニル骨格を有する酸無水物を用いることがより好ましく、前記ポリイミド樹脂中のビフェニル骨格が25〜35質量%となるようにビフェニル骨格を有するポリイソシアネート化合物またはビフェニル骨格を有する酸無水物を用いることがより好ましい。
【0027】
ビフェニル構造の含有量は本発明のポリイミド樹脂主鎖への結合箇所が2箇所のビフェニル構造の場合は分子量を152、結合箇所が4箇所のビフェニル構造の場合は分子量を150として、ポリイミド樹脂全体の重量に占めるビフェニル構造の割合から算出することができる。
【0028】
本発明で得られるポリイミド樹脂組成物は、ベンゾフェノン構造を有するポリイミド樹脂がより耐熱性、低線膨張性を発現することから好ましい。ベンゾフェノン構造を有するポリイミド樹脂は、例えば、ベンゾフェノン構造を有するポリイソシアネート化合物またはベンゾフェノン構造を有する酸無水物を必須として用いることにより得ることができ、中でも、ベンゾフェノン構造を有する酸無水物を用いることが好ましい。ベンゾフェノン構造を有する酸無水物としては、例えば、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物が挙げられる。
【0029】
ベンゾフェノン構造の含有率はポリイミド樹脂の質量を基準として1〜30質量%の範囲が耐熱性、低線膨張性に優れる硬化物が得られることから好ましく、5〜25質量%の範囲が合成安定性に優れることからより好ましい。
【0030】
ベンゾフェノン構造の含有量は、ポリイミド樹脂主鎖への結合箇所が4箇所のベンゾフェノン構造の分子量を178として、ポリイミド樹脂全体の重量に占めるベンゾフェノン構造の割合から算出することができる。
【0031】
本発明で得られるポリイミド樹脂組成物中のポリイミド樹脂は、更に2、4位で主鎖と結合したトリレン構造を有するポリイミド樹脂が溶融付着性と低線膨張性を発現しやすいことから好ましい。2、4位で主鎖と結合したトリレン構造を有するポリイミド樹脂組成物は、例えば、トルエンジイソシアネートを必須として用いることにより得ることができる。
【0032】
2、4位で主鎖と結合したトリレン構造の含有量は、ポリイミド樹脂主鎖に2、4−位で結合したトリレン構造の分子量を150として、ポリイミド樹脂全体の重量に占めるトリレン構造の割合から算出することができる。
【0033】
ポリイミド樹脂中の2、4位で主鎖と結合したトリレン構造の含有量は、1〜20質量%の範囲が耐熱性、低線膨張性に優れることから好ましく、2〜14重量%の範囲が合成安定性に優れることからより好ましい。
【0034】
また、本発明のポリイミド樹脂組成物は、溶剤溶解性や他の樹脂との相溶性を向上させるため分岐構造を有していてもよい。分岐の手法としては、ポリイソシアネート化合物として、例えば、前記ジイソシアネート化合物等のイソシアヌレート体であるイソシアヌレート環を有する3官能以上のポリイソシアネート化合物や前記ジイソシアネートのビュレット体、アダクト体、アロハネート体、あるいはポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI)等を使用すればよい。
【0035】
本発明のポリイミド樹脂組成物はポリイソシアネート化合物と酸無水物基を有する化合物とが重合してポリイミド樹脂が生成される。ポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基のモル数(ma)と酸無水物基を有する化合物中の無水酸基とカルボキシル基との合計のモル数(mb)の割合(ma)/(mb)は、分子量の大きいポリイミド樹脂が得やすく、機械物性に優れる硬化物が得られるポリイミド樹脂となることから0.7〜1.2の割合が好ましく、さらに0.8〜1.2の割合がより好ましい。また、保存安定性に優れるポリイミド樹脂が得やすいことから前記(ma)/(mb)は0.9〜1.1の範囲がより好ましい。尚、無水トリメリット酸などのカルボン酸無水物を併用する場合は、前記(mb)は全てのカルボン酸無水物の中の無水酸基とカルボキシル基との合計のモル数である。
【0036】
本発明で用いる有機化層状珪酸塩は、短径1〜50nmの範囲でアスペクト比が10〜500の範囲の分散粒子である。このような形状の有機化層状珪酸塩を用いることにより、優れた耐熱性、寸法安定性、耐湿性という効果を得ることができる。短径は1〜30nmの範囲、アスペクト比は10〜300の範囲がさらに優れた効果を発現することからより好ましい。
【0037】
尚、本発明で言う「粒子」とは、真球状、楕円状、板状、針状等を含む広い概念である。
【0038】
有機化層状珪酸塩のなかでもアスペクト比の高いものを使用することが、得られる硬化物に隔壁効果として耐湿性、ガスバリア性を付与する観点から好ましい。前記隔壁効果とは、剥離した有機化層状珪酸塩により、塗膜内に侵入した気体の拡散パスが邪魔され透過のパス長が大きくなることをいう。前記ガスバリア性は、酸素、窒素、空気、二酸化炭素、水蒸気といった気体のバリア性をいう。前記有機化層状珪酸塩のアスペクト比としては、アスペクト比が約50程度の値を有するスメクタイト系粘土鉱物、約100程度の値を有するモンモリロナイト、アスペクト比が約150程度を有する膨潤性雲母等を有機化したものを使用することがより好ましい。なお、アスペクト比とは、一般に板状または針状物質である有機化層状珪酸塩の分散粒子の長径と短径の比をいう。
【0039】
また、本発明で用いる有機化層状珪酸塩は、層状珪酸塩を有機化剤でイオン交換処理したものである。ここで本発明における「層状珪酸塩の有機化」とは、層状珪酸塩の層間に存在するアルカリ金属、および/またはアルカリ土類金属を有機化剤として有機オニウムイオンの塩化合物を用いてイオン交換処理させることによって層状珪酸塩の表面が有機化されていることを意味する。層状珪酸塩を有機化されていることによって、層状珪酸塩に比べ層間距離が大きくなり、重合により層状珪酸塩の層間の剥離が起こりやすくなり、耐熱性、寸法安定性、耐湿性に優れた熱硬化組成物が得られる。
【0040】
記層間距離としては1nm以上であることが、耐熱性、寸法安定性、耐湿性に優れる熱硬化性樹脂組成物を得ることができることから好ましい。層間距離の上限は前記有機化層状珪酸塩が層間剥離し熱硬化性樹脂組成物中に均一に分散が達成されれば特に限定されない。
【0041】
本発明でいう前記有機化層状珪酸塩の層間距離とは有機化層状珪酸塩の薄片状結晶の(001)面間の距離を意味するものである。前記層間距離は、X線回折によって測定することができる。前記層間距離が1nm未満である有機化層状珪酸塩を用いた場合には、その層間にビフェニル骨格を有するポリイソシアネート化合物を含むポリイソシアネート化合物と酸無水物とを、または、ビフェニル骨格を有する酸無水物を含む酸無水物とポリイソシアネート化合物が十分に有機化層状珪酸塩、有機溶剤が十分に挿入されがたいために熱硬化性樹脂組成物中における有機化層状珪酸塩の分散が不均一となり、その結果、得られる熱硬化性樹脂組成物の耐熱性、寸法安定性、耐湿性、ガスバリア性が得られないといった場合がある。
【0042】
本発明で用いる有機化層状珪酸塩の有機化剤の含有量、すなわち該有機オニウムイオン中の有機基の含有率が該有機化層状珪酸塩の質量を基準として10〜60質量%であることが好ましく、15〜55質量%の範囲であることがより好ましい。上記10〜60質量%であることにより有機化層状珪酸塩の層間距離が1nm以上となり、有機化層状珪酸塩の層間に溶剤やビフェニル骨格を有するポリイソシアネート化合物を含むポリイソシアネート化合物と酸無水物とを、または、ビフェニル骨格を有する酸無水物を含む酸無水物とポリイソシアネート化合物が挿入されやすく、これらを重合させることで有機化層状珪酸塩の層を剥離させやすく、所望の性能を得ることができる。また、上記範囲であれば有機化剤、またはビフェニル骨格を有するポリイソシアネート化合物を含むポリイソシアネート化合物と酸無水物とを、または、ビフェニル骨格を有する酸無水物を含む酸無水物とポリイソシアネート化合物との相溶性、溶解性が悪くなりにくく、外観不良(ムラ等)や性能が安定しにくい利点もある。
【0043】
前記有機化層状珪酸塩中の有機化剤の含有量の測定方法は以下の方法が好ましく挙げられる。すなわち、有機化層状珪酸塩を精密天秤で秤量して質量(A)gの試料を得る。秤量後、試料を約800℃の電気炉中に3時間静置し、その灰分の質量(B)gの試料を得る。得られた2つの質量と以下の式から有機化剤の含有率を求めることができる。
有機化剤の含有率(質量%)=[{(A)−(B)}/(A)]×100
【0044】
本発明の有機化層状珪酸塩を得るために用いる層状珪酸塩は、SiO2連鎖からなるSiO4四面体シート構造とAl、Mg、Li等を含む八面体シート構造との組み合わせからなる層からなり、その層間に交換性陽イオンの配位した珪酸塩(シリケート)または粘土鉱物(クレー)である。これらの珪酸塩(シリケート)または粘土鉱物(クレー)は、スメクタイト系鉱物、バーミキュライト、ハロイサイトおよび膨潤性雲母等に代表される。具体的には、スメクタイト系鉱物としては、モンモリロナイト、ヘクトライト、フッ素ヘクトライト、サポナイト、バイデライト、スチブンサイト等が挙げられ、膨潤性雲母としては、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素フッ素雲母等の膨潤性合成雲母等が挙げられる。これら層状珪酸塩は天然品および合成品のいずれも使用可能である。合成品は、例えば、水熱合成、溶融合成、固体反応によって製造することができる。
【0045】
膨潤性合成雲母は、タルクとケイフッ化アルカリの混合物を加熱処理して得られる膨潤性合成雲母が挙げられ、タルクとケイフッ化ナトリウム及び/又はケイフッ化リチウムとを混合した微粉末を600〜1200℃に加熱処理して得られるものが好ましい。このような膨潤性合成雲母としては、具体的には、一般式(I)で示される膨潤性合成雲母が挙げられる。
【0046】
【化1】

[式中、(Na,Li)は層間にある配位数12の陽イオン、Mg3.0−bは八面体シートを形成している配位数6の陽イオン、Siは四面体シートを形成している配位数4の陽イオンであり、(F2.0−c,OH,O)中のF、OH、Oは陰イオンとして八面体シートに存在する。なお、“,”は“及び/又は”を表す。また、a〜eの記号は下記の数値を表す。0.2≦a≦1.0;0≦b≦0.5;c=d+2e≦1.0;0≦d≦1.0;0≦e≦0.5]
【0047】
層状珪酸塩への有機オニウムイオンのイオン交換容量は極性溶媒中に分散させた層状珪酸塩に有機オニウムイオン塩化合物を添加し、析出してくるイオン交換化合物を収集することによって作製することができる。通常、このイオン交換反応は有機オニウムイオン塩を層状珪酸塩のイオン交換容量の1当量に対し1.0〜1.5当量の割合で加えてほぼ全量の層間の金属イオンを有機オニウムイオンで交換させるのが一般的である。しかし、膨潤性層状珪酸塩は、50wt%以下の非粘土鉱物を含有してもよいが、非粘土鉱物の量は10wt%以下が望ましい。
【0048】
前記有機オニウムイオンの塩化合物としては、例えば、有機アンモニウム塩、有機ホスホニウム塩、有機スルホニウム塩、有機イミダゾリウム塩等があげられる。中でも有機アンモニウム塩、有機ホスホニウム塩、有機イミダゾリウム塩が好ましく、有機アンモニウム塩、有機ホスホニウム塩がより好ましい。
【0049】
具体的には、有機オニウムイオンとしては下記一般式(II)で表される有機オニウムイオンが層状珪酸塩の層間距離を十分に広げ、耐熱性、寸法安定性、耐湿性に優れる熱硬化性樹脂組成物を得ることができることからより好ましい。
【0050】
【化2】

上記オニウムイオンは原子Mのまわりに4個の官能基(R基)がついたイオンであり、本発明で使用する有機オニウムイオンは、前記式(II)において、R、R、R及びRが、同一又は異なり、それぞれ炭化水素基、−A−OH又は−A−COOHを表すものである。Mは窒素原子またはリン原子を表す。
【0051】
前記式(I)において、R、R、R又はRで表される炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ポリアルキレンエーテル基が挙げられ、中でもアルキル基またはポリアルキレンエーテル基がより好ましい。
【0052】
前記アルキル基の中でも炭素原子数1〜40の範囲の直鎖状又は分岐状のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜25の直鎖状又は分岐状のアルキル基がより好ましく、炭素原子数2〜20の直鎖状又は分岐状のアルキル基が更に好ましい。
【0053】
前記アルケニル基の中でも炭素原子数2〜40の直鎖状又は分岐状のアルケニル基が好ましく、炭素原子数2〜25の直鎖状又は分岐状のアルケニル基がより好ましい。
【0054】
前記アルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、2−メチルアリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基(クロチル基)、3−ブテニル基が挙げられる。
【0055】
前記アリール基の中でも炭素原子数6〜22の直鎖状又は分岐状のアリール基が好ましく、炭素原子数6〜10の直鎖状又は分岐状のアリール基がより好ましい。
【0056】
前記アリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、トリル基が挙げられる。前記アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基、ビニルベンジル基、ナフチルメチル基が挙げられる。
【0057】
前記アラルキル基の中でも炭素原子数7〜22の直鎖状又は分岐状のアラルキル基が好ましく、炭素原子数7〜12の直鎖状又は分岐状のアラルキル基がより好ましい。
【0058】
前記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基が挙げられる。
【0059】
前記ポリアルキレンエーテル基としては、例えば下記一般式(II)で示されるものを使用することができる。
【0060】
X−(RO)n−H ・・・・(II)
(式中、Rは炭素数2〜20の範囲のアルキレン基、nは1〜20の範囲の整数、Xはイオン性基を表す。)
【0061】
具体的に前記一般式(II)中のRとしては、エチレン基、プロピレン基、エチレン−プロピレン共重合体由来のアルキレン基等が挙げられる。また、前記イオン性基を有するポリアルキレンエーテルとしては、異なるポリアルキレンエーテル鎖を有するものを2種以上併用してもよい。
【0062】
前記式(I)において、R、R、R又はRで表される−A−OH又は−A−COOHにおけるAは結合基であり、特に制限はないが、例えば鎖員1〜35のもの、好ましくは鎖員2〜21のものが挙げられる。前記結合基としては、通常、芳香族基、脂肪族基及びエーテル結合のうち少なくとも一種の構造を有するものが挙げられ、直鎖状又は分岐状のアルキレン基が好ましく、特に炭素数2〜30の範囲の直鎖状又は分岐状のアルキレン基が好ましい。
【0063】
前記−A−OHとしては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシヘプチル基、ヒドロキシオクチル基、ヒドロキシノニル基、ヒドロキシデシル基が挙げられる。
【0064】
前記−A−COOHとしては、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、カルボキシブチル基、カルボキシペンチル基、カルボキシヘキシル基、カルボキシヘプチル基、カルボキシオクチル基、カルボキシノニル基、カルボキシデシル基が挙げられる。
【0065】
前記一般式(I)において、Mが窒素原子でR〜Rの少なくとも一つは炭素原子数2〜20の範囲のアルキル基である有機オニウムイオンの具体例としては、例えば、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等の同一のアルキル基を有する4級アンモニウム;トリメチルオクチルアンモニウム、トリメチルデシルアンモニウム、トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルテトラデシルアンモニウム、トリメチルヘキサデシルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウム、トリメチルイコサニルアンモニウム等のトリメチルアルキルアンモニウム;
【0066】
トリエチルドデシルアンモニウム、トリエチルテトラデシルアンモニウム、トリエチルヘキサデシルアンモニウム、トリエチルオクタデシルアンモニウム等のトリエチルアルキルアンモニウム;
【0067】
トリブチルドデシルアンモニウム、トリブチルテトラデシルアンモニウム、トリブチルヘキサデシルアンモニウム、トリブチルオクタデシルアンモニウム等のトリブチルアルキルアンモニウム;
【0068】
ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジデシルアンモニウム、ジメチルジテトラデシルアンモニウム、ジメチルジヘキサデシルアンモニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウム、ジメチルジドデシルアンモニウム等のジメチルジアルキルアンモニウム;
【0069】
ジメチルジオクタデセニルアンモニウム等のジメチルジアルケニルアンモニウム;
【0070】
ジエチルジドデシルアンモニウム、ジエチルジテトラデシルアンモニウム、ジエチルジヘキサデシルアンモニウム、ジエチルジオクタデシルアンモニウム等のジエチルジアルキルアンモニウム;
【0071】
ジブチルジオクチルアンモニウム、ジブチルジデシルアンモニウム、ジブチルジドデシルアンモニウム、ジブチルジテトラデシルアンモニウム、ジブチルジヘキサデシルアンモニウム、ジブチルジオクタデシルアンモニウム等のジブチルジアルキルアンモニウム;
【0072】
ジベンジルジヘキサデシルアンモニウム等のジベンジルジアルキルアンモニウム;
【0073】
トリオクチルメチルアンモニウム、トリドデシルメチルアンモニウム、トリテトラデシルメチルアンモニウム等のトリアルキルメチルアンモニウム;
【0074】
トリオクチルエチルアンモニウム、トリドデシルエチルアンモニウムなどのトリアルキルエチルアンモニウム;
【0075】
トリオクチルブチルアンモニウム、およびトリデシルブチルアンモニウム等のトリアルキルブチルアンモニウム等が挙げられる。
【0076】
また、前記一般式(I)において、Mがリン原子でR〜Rの少なくとも一つは炭素原子数2〜20のアルキル基である有機オニウムイオンとしては、上記アンモニウムイオンの窒素原子がリン原子に置き換わったホスホニウムイオン等が挙げられる。
【0077】
前記式(I)で示される有機オニウムイオンを層状珪酸塩の層間に導入するには、該イオンを含む有機オニウムイオンの塩が用いられるが、そのような塩としては、例えばCl、Br、I、NO、OH、CHCOO等の陰イオンとの塩を挙げることができる。
【0078】
前記一般式(I)において、Mがリン原子でR〜Rの少なくとも一つは炭素原子数2〜20の範囲のアルキル基である有機オニウムイオンの具体例としては、テトラエチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムアイオダイド、トリブチルオクチルホスホニウムブロマイド、トリブチルドデシルホスホニウムブロマイド、トリブチルヘキサデシルホスホニウムブロマイド、トリオクチルエチルホスホニウムブロマイド、トリエチルベンジルホスホニウムクロライド、トリブチルメチルホスホニウムアイオダイド、トリブチルアリルホスホニウムブロマイド、
【0079】
トリブチルベンジルホスホニウムクロライド、トリオクチルビニルベンジルホスホニウムクロライド、トリブチル2−メチルアリルホスホニウムクロライド、トリオクチル2−メチルアリルホスホニウムクロライド、ジメチルジオクタデシルホスホニウムクロライド、ジメチルジオクタデシルホスホニウムブロマイド、ジメチルオクタデシルベンジルホスホニウムクロライド、ジメチルオクタデシルベンジルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、トリフェニルベンジルホスホニウムクロライド、トリフェニルメチルホスホニウムブロマイド、トリフェニルブチルホスホニウムブロマイド、ビス(ヒドロキシプロピル)オクタデシルイソブチルホスホニウムクロライド、トリフェニルカルボキシエチルホスホニウムブロマイド、トリフェニルカルボキシペンチルホスホニウムブロマイド等を挙げることができる。
【0080】
前記有機化層状珪酸塩は市販品を用いることもできる。有機化層状珪酸塩の市販品の具体例としては、例えば、コープケミカル株式会社製のソマシフシリーズ、例えば、ソマシフMAE、ソマシフMTE、ソマシフMEE、ソマシフMPE等、ルーセンタイトシリーズ、例えば、ルーセンタイトSTN、ルーセンタイトSPN等、株式会社ホージュン社製のベンゲルシリーズ、エスベンシリーズ等が挙げられる。
【0081】
尚、前記有機化層状珪酸塩はポリイミド樹脂の合成触媒としての効果も期待できる。
【0082】
本発明のポリイミド樹脂組成物中の前記有機化層状珪酸塩の含有量は、ポリイミド樹脂100質量部に対して1〜30質量部の範囲であれば、ポリイミド樹脂組成物中に前記有機化層状珪酸塩を均一に分散することができ、かつ塗膜作製可能な強度を有し、耐熱性、低線膨張性、耐湿性である硬化塗膜が得られることから好ましく、3〜20質量部の範囲がより好ましい。
【0083】
本発明のポリイミド樹脂組成物を製造するには、例えば、前記ポリイミド樹脂と有機化層状珪酸塩と適当な量、種類の有機溶剤とを混合し、機械的分散手法によりせん断力を与えることによりポリイミド樹脂中に有機化層状珪酸塩を均一分散させることができ、有機化層状珪酸塩を層剥離させることができる。
【0084】
前記機械的分散手法に用いることができる分散機としては、せん断力がかけられる装置であればよく、例えば、攪拌機、乳化機、分散機、二軸押出機など広く一般に知られている装置を用いることができる。具体的には、ホモジナイザー(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、TKオートホモミキサー(特殊機化工業社製)等のバッチ式乳化機、エバラマイルダー(荏原製作所社製)、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサー(特殊機化工業社製)、アペックスミル(コトブキ技研工業株式会社製)、コロイドミル(神鋼パンテック社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機社製)、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザーとしてはナノマイザー(ナノマイザー株式会社製)、スタティックミキサーなどが挙げられる。
【0085】
本発明のポリイミド樹脂組成物は、上記の通り機械的分散手法によっても製造することができるが、本発明のポリイミド樹脂組成物の製造方法により好ましく製造することができる。
【0086】
すなわち、本発明のポリイミド樹脂組成物の製造方法はビフェニル骨格を有するポリイソシアネート化合物を含むポリイソシアネート化合物と酸無水物とを、または、ビフェニル骨格を有する酸無水物を含む酸無水物とポリイソシアネート化合物とを、有機化層状珪酸塩ならびに有機溶剤の存在下で反応させて、ビフェニル骨格を有するポリイミド樹脂と有機化層状珪酸塩と有機溶剤とを含む組成物を得ることを特徴とする。
【0087】
ポリイミド樹脂を合成する際に、ポリイミド樹脂の原料中に存在させる有機化層状珪酸塩の平均粒径は100μm以下が原料モノマー、有機溶媒による有機層状珪酸塩の層間の膨潤や分散しやすいため好ましく、50μm以下がより好ましく、20μm以下が好ましい。これら平均粒子径の有機化層状珪酸塩を用いた場合、ポリイミド樹脂の重合が進行するにつれて有機化層状珪酸塩が層剥離していき、有機化層状珪酸塩は短径1〜50nmの範囲でアスペクト比が10〜500の範囲の粒子となる。加えて、ビフェニル骨格を有するポリイソシアネート化合物を含むポリイソシアネート化合物と酸無水物、またはビフェニル骨格を有する酸無水物を含む酸無水物とポリイソシアネート化合物を原料として用いることにより、Bステージ化した半硬化物を得ることができる組成物を得ることができる。
【0088】
本発明のイミド樹脂組成物の製造方法は、例えば、反応容器に前記有機化層状珪酸塩とポリイソシアネート化合物と酸無水物基を有する化合物とを仕込み、攪拌を行いながら加熱させることで脱炭酸させながら重合を進行させるいわゆるイソシアネート法で得ることができる。
【0089】
反応温度としては、通常50℃〜250℃の範囲で行うことが好ましく、ビフェニル骨格を有するポリイソシアネート化合物を含むポリイソシアネート化合物と酸無水物とを、または、ビフェニル骨格を有する酸無水物を含む酸無水物とポリイソシアネート化合物の溶解、反応速度と副反応防止の観点から60℃〜180℃の範囲の温度で行うことが好ましい。
【0090】
重合はイソシアネート基がほぼ全て反応するまで行った方が得られるポリイミド樹脂組成物の保存安定性が良好となることから好ましい。また、若干残存するイソシアネート基に対して、アルコールやフェノール化合物を添加し反応させてもよい。
【0091】
本発明のポリイミド樹脂の製造方法において、用いる有機化層状珪酸塩は、層状珪酸塩の層間にある陽イオンが一般式(I)で表される有機オニウムイオンとイオン交換されているものを用いるのが好ましい。
【0092】
【化3】

式(1)中、R〜Rの少なくとも一つはアルキル基またはポリアルキレンエーテル基である。Mは窒素原子またはリン原子を表す。
【0093】
加えて、該有機オニウムイオン中の有機基の含有率が、該有機化層状珪酸塩の質量を基準として10〜60質量%が好ましく、15〜55質量%の範囲がより好ましい。
【0094】
前記アルキル基は炭素原子数2〜20の範囲のアルキル基が好ましい。また、ポリアルキレンエーテル基は下記一般式(III)で示される構造を有するポリアルキレンエーテル基が好ましい。
X−(RO)n−H ・・・・(III)
(式中、Rは炭素原子数が1〜20の範囲のアルキレン基を、nは5〜50の範囲の整数を、Xはイオン性基を表す。)
【0095】
本発明の製造方法では、前記有機化層状珪酸塩を前記ポリイミド樹脂の原料100質量部に対して1〜30質量部の範囲を用いることにより、ポリイミド樹脂組成物中に前記有機化層状珪酸塩を均一に分散することができ、かつ塗膜作製可能な強度を有し、耐熱性、低線膨張性、耐湿性である硬化塗膜が得られることから好ましく、3〜25質量部の範囲を用いるのがより好ましい。
【0096】
また、本発明のポリイミド樹脂組成物を製造する際、ポリイミド樹脂のビフェニル骨格が20〜40質量%の範囲となるようにビフェニル骨格を有するポリイソシアネート化合物またはビフェニル骨格を有する酸無水物を用いることにより得られる硬化塗膜の寸法安定性、耐熱性、耐湿性に加え、得られるポリイミド樹脂組成物の溶剤溶解性や前記ポリイミド樹脂組成物をBステージの状態とした半硬化物の低温での溶融性にも優れるため、基板密着性がよい熱硬化性樹脂組成物が得られることから好ましく、前記ポリイミド樹脂中のビフェニル骨格が25〜40質量%となるようにビフェニル骨格を有するポリイソシアネート化合物、またはビフェニル骨格を有する酸無水物を用いることがより好ましく、前記ポリイミド樹脂中のビフェニル骨格が25〜35質量%となるようにビフェニル骨格を有するポリイソシアネート化合物またはビフェニル骨格を有する酸無水物を用いることがより好ましい。
【0097】
本発明のポリイミド樹脂組成物の製造方法において、更に、ベンゾフェノン構造を有するポリイソシアネート化合物またはベンゾフェノン構造を有する酸無水物を用いることにより、得られる硬化物が耐熱性、低線膨張性を発現することから好ましい。ベンゾフェノン構造を有する酸無水物としては、例えば、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物が挙げられる。
【0098】
ベンゾフェノン構造の含有率はポリイミド樹脂の質量を基準として1〜30質量%の範囲が耐熱性、低線膨張性に優れる硬化物が得られることから好ましく、5〜25質量%の範囲が合成安定性に優れることからより好ましい。
【0099】
ベンゾフェノン構造の含有量は、ポリイミド樹脂主鎖への結合箇所が4箇所のベンゾフェノン構造の分子量を178として、ポリイミド樹脂全体の重量に占めるベンゾフェノン構造の割合から算出することができる。
【0100】
本発明のポリイミド樹脂組成物の製造方法において、更に、トリレン構造を有するポリイソシアネート化合物またはトリレン構造を有するジイソシアネートを用いることにより得られる硬化物が溶融付着性と低線膨張性を発現しやすいことから好ましい。2、4位で主鎖と結合したトリレン構造を有するポリイミド樹脂組成物は、例えば、トルエンジイソシアネートを必須として用いることにより得ることができる。
【0101】
有機化層状珪酸塩の使用量は、ビフェニル骨格を有するポリイソシアネート化合物を含むポリイソシアネート化合物と酸無水物との合計量から脱炭酸量を減じた質量、または、ビフェニル骨格を有する酸無水物を含む酸無水物とポリイソシアネート化合物との合計量から脱炭酸量を減じた質量に対して1〜30質量部の範囲を用いることにより、耐熱性、寸法安定性、耐湿性、ガスバリア性に優れた熱硬化性樹脂組成物が得られ、3〜20質量部の範囲を用いるのがより好ましい。ここで本発明でいう前記脱炭酸量とは、本発明のイミド樹脂組成物を後述するイソシアネート法によって合成した際に生成する理論脱炭酸の量のことをいう。
【0102】
本発明のポリイミド樹脂組成物の製造方法は有機溶剤を使用すると均一な重合を進行することができる。ここで有機溶剤は系中にあらかじめ存在させてから重合を行っても重合の途中で導入してもよい。また、適切な反応速度を維持するためには、系中の有機溶剤の割合は、ビフェニル骨格を有するポリイソシアネート化合物を含むポリイソシアネート化合物と酸無水物との合計量、または、ビフェニル骨格を有する酸無水物を含む酸無水物とポリイソシアネート化合物の合計量の98質量%以下であるが好ましく、10〜90質量%の範囲であることがより好ましく、20〜80質量%の範囲が更に好ましい。かかる有機溶剤としては、原料成分としてイソシアネート基を含有する化合物を使用するため、水酸基やアミノ基等の活性プロトンを有しないこと、前記有機化層状珪酸塩の分散性、膨潤性が優れるため非プロトン性極性有機溶剤が好ましい。
【0103】
前記非プロトン性極性有機溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルフォキシド、スルホラン、およびγ−ブチロラクトン等が挙げられるる。中でも、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドおよびN−メチル−2−ピロリドンからなる群から選ばれる1種以上の溶剤が好ましい。また、上記溶媒以外に、溶解可能であればエーテル系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、および石油系溶剤等を使用しても良い。また、各種溶剤を1種または2種以上混合して使用しても良い。
【0104】
本発明で使用することができる前記エーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等のエチレングリコールジアルキルエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル等のポリエチレングリコールジアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のポリエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
【0105】
プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル類;ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジブチルエーテル等のポリプロピレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;低分子のエチレン−プロピレン共重合体等の共重合ポリエーテルグリコールのジアルキルエーテル類;共重合ポリエーテルグリコールのモノアセテートモノアルキルエーテル類;共重合ポリエーテルグリコールのアルキルエステル類;および共重合ポリエーテルグリコールのモノアルキルエステルモノアルキルエーテル類等が挙げられる。
【0106】
前記エステル系溶剤としては、例えば、酢酸エチルおよび酢酸ブチル等が挙げられる。ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、およびシクロヘキサノン等が挙げられる。また、石油系溶剤としては、トルエン、キシレンやその他高沸点の芳香族溶剤等や、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族および脂環族溶剤を使用することも可能である。
【0107】
また、前記有機化層状珪酸塩の添加時期としては、有機溶剤による前記有機化層状珪酸塩の層間の膨潤を促進させる目的で予め有機溶剤と前記有機化層状珪酸塩とを適当に混合しておく方法、有機溶剤、又はビフェニル骨格を有するポリイソシアネート化合物を含むポリイソシアネート化合物と酸無水物、又はビフェニル骨格を有する酸無水物を含む酸無水物とポリイソシアネート化合物によって前記有機化層状珪酸塩の層間の膨潤を促進させる目的で有機溶剤と前記有機化層状珪酸塩とビフェニル骨格を有するポリイソシアネート化合物を含むポリイソシアネート化合物と酸無水物とを、または、ビフェニル骨格を有する酸無水物を含む酸無水物とポリイソシアネート化合物とを予め仕込んでおく方法、重合によるせん断による前記有機化層状珪酸塩の層剥離を促進させる目的で、有機溶剤とビフェニル骨格を有するポリイソシアネート化合物を含むポリイソシアネート化合物と酸無水物、またはビフェニル骨格を有する酸無水物を含む酸無水物とポリイソシアネート化合物攪拌を行いながら加熱させることで脱炭酸させながら重合を進行させ、その途中で前記有機化層状珪酸塩を添加させる方法等が挙げるが本発明を損なわない範囲内であればその方法は何ら制限されない。
【0108】
本発明で得られるポリイミド樹脂組成物中のポリイミド樹脂の樹脂構造は線状型構造、分岐状型構造を有するポリイミド樹脂、または線状型構造と分岐状型構造の両方を有していてもよい。また、共重合成分としてポリエステル変性したポリエステルイミドやウレタン変性したポリウレタンイミドであっても良い。
【0109】
本発明で得られるポリイミド樹脂組成物中のポリイミド樹脂の末端官能基、または末端の化学構造としては、例えば、カルボン酸、カルボン酸の無水物、イソシアネート基、アミン基、フェノール等が好ましく挙げられる。本発明のポリイミド樹脂自体の保存安定性や有機溶剤や他の樹脂との配合後の溶解性、保存安定性が良好なことから末端官能基としてはカルボン酸やその無水物の化学構造がより好ましい。末端官能基の化学構造がカルボン酸やその無水物のときは、酸価が固形分酸価で1〜200の範囲が取り扱いやすいポリイミド樹脂組成物となり、機械強度と寸法安定性に優れるフィルムや成型品が得られることから好ましい。
【0110】
本発明得られるポリイミド樹脂組成物中のポリイミド樹脂溶液の溶液酸価は3〜30mgKOH/gの範囲が好ましい。かかる範囲内であれば硬化させた際のフィルムの強度、寸法安定性を有した熱硬化組成物が得られることから好ましく、5〜25mgKOH/gの範囲内であれば硬化させた際の透明性が良くより好ましい。
【0111】
本発明の製造方法で得られるポリイミド樹脂組成物にエポキシ樹脂を含有させることにより、ポリイミド樹脂組成物とエポキシ樹脂とが反応し熱硬化性樹脂組成物とすることができる。該エポキシ樹脂は分子内に2個以上のエポキシ基を有していることが好ましい。前記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂;フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型ノボラック等のノボラック型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンと各種フェノール類と反応させて得られる各種ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のエポキシ化物;フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂;10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド等を用いて合成されるリン含有エポキシ樹脂;ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ樹脂;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキヒシクロヘキシル)アジペート等の脂環式エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等のごときヘテロ環含有エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上のエポキシ樹脂が、得られる熱硬化組成物が耐熱性、低線膨張性でありながら、低温での溶融性に優れることから好ましい。
【0112】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上のエポキシ樹脂を用いることで熱硬化組成物が耐熱性、低線膨張性を有する。さらに、低温での溶融性に優れる理由としては、本発明のポリイミド樹脂組成物が有するビフェニルの化学構造と、エポキシ樹脂が有するビスフェノールAの化学構造、ビスフェノールFの化学構造、ビフェニルの化学構造、ナフタレンの化学構造との相溶性がお互い優れ、溶融時にエポキシ樹脂がポリイミド樹脂組成物の樹脂同士の凝集を妨げると同時に、硬化後にはお互いが密接に相互作用し合い、密な硬化状態を形成するためであると推測される。
【0113】
前記エポキシ樹脂の使用量は、ポリイミド樹脂組成物とエポキシ樹脂との固形分の質量組成比が90/10〜30/70の範囲であることが低温での溶融性に優れた熱硬化性樹脂組成物が得られることから好ましく、80/20〜50/50の範囲であることが低線膨張性を有することからより好ましい。
【0114】
また、エポキシ樹脂の粘度は低温溶融性に優れる組成物となることから、150℃における粘度が15Pa・s以下のエポキシ樹脂が好ましく、10Pa・s以下のエポキシ樹脂がより好ましい。
【0115】
このように微分散化、特に前記樹脂中にナノ分散した有機化層状珪酸塩は分散効果、量子サイズ効果、界面効果といったナノ効果により透明性、耐熱性と寸法安定性、耐湿性等に優れた熱硬化組成物が得られ、半硬化の状態(Bステージ化)が可能でしかもBステージ化した硬化物の溶融性にも優れた熱硬化樹脂組成物が得られる。
【0116】
前記熱硬化樹脂組成物の有機化層状珪酸塩の分散状態の確認方法としては、例えば、得られるポリイミド樹脂組成物から得られるフィルム、または前記熱硬化性樹脂組成物から得られるフィルムを可視光硬化樹脂にて包埋後、ウルトラミクロトームで約50nm厚の超薄切片を作製し、透過型顕微鏡(日本電子社製、JSM−1400、加速電圧120kV)を用いて観察される写真を用いて有機化層状珪酸塩由来の粒子の大きさを測定したり、有機化層状珪酸塩由来の粒子の分布状態を目視にて判断する。
【0117】
また、前記硬化フィルム中の有機化層状珪酸塩の層剥離の確認方法としては、得られるポリイミド樹脂組成物から得られるフィルム、及び熱硬化性樹脂組成物から得られるフィルムをX線回折装置(株式会社リガク社製、TTRII)を用いて、有機化層状珪酸塩由来の高次線の吸収ピークが観察されなくなったことで確認される。とりわけ、本発明では(001)面由来の吸収ピークの消失により本発明の効果を発現するレベルの層剥離が進行したものと判断した。
【0118】
本発明で得られるポリイミド樹脂組成物の熱硬化組成物、及び熱硬化性樹脂組成物の耐熱性の観点からガラス転移温度は260℃以上が好ましく、260℃〜380℃の範囲内がより好ましい。ここで本発明でいう前記ガラス転移温度はJISK−7198に準じて得られるポリイミド樹脂組成物の硬化物、及び/又は熱硬化性樹脂組成物から得られるフィルムを動的粘弾性測定装置(ティー・エイ・インスツルメント社製RSA−III)を用いて、測定周波数1Hzで20℃〜400℃の範囲で測定させる弾性に相当する貯蔵弾性率(E')と粘性に相当する損失弾性率(E”)との比である損失正接(tanδ)のピークトップ温度のことをいう。
【0119】
本発明の熱硬化性樹脂組成物にはホウ酸および/またはホウ酸エステルなどのホウ素化合物を併用することが可能である。このような化合物としては、例えば、ホウ酸;トリメチルボレート、トリエチルボレート、トリブチルボレート、トリn−オクチルボレート、トリ(トリエチレングリコールメチルエーテル)ホウ酸エステル、トリシクロヘキシルボレート、トリメンチルボレート等のトリアルキルホウ酸エステルに代表される直鎖脂肪族系ホウ酸エステル;トリo−クレジルボレート、トリm−クレジルボレート、トリp−クレジルボレート、トリフェニルボレート等の芳香族系ホウ酸エステル、トリ(1,3−ブタンジオール)ビボレート、トリ(2−メチル−2,4−ペンタンジオール)ビボレート、トリオクチレングリコールジボレートなどのホウ素原子を2個以上含み、かつ、環状構造を含むホウ酸エステル;ポリビニルアルコールホウ酸エステル、へキシレングリコール無水ホウ酸等が挙げられる。
【0120】
更に9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のリン化合物も熱硬化性樹脂組成物に加えることができる。
【0121】
本発明の熱硬化性樹脂組成物にエポキシ樹脂以外の化合物として、保存安定性が良好な熱硬化性樹脂組成物が得られ、且つ、寸法安定性に優れる硬化塗膜が得られることを目的として、ホウ酸、直鎖脂肪族系ホウ酸エステルが好ましく用いることができる。前記直鎖脂肪族系ホウ酸エステルの中でも炭素原子数が4〜20の範囲のトリアルキルホウ酸エステルが好ましく、中でも、トリブチルボレート(ホウ酸トリブチル)が好ましい。
【0122】
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、その他の熱硬化性樹脂成分を添加することができる。具体的には、例えば、フェノール化合物、イソシアネート化合物、シリケート、およびアルコキシシラン化合物、メラミン樹脂、等が挙げられる。
【0123】
フェノール化合物の好ましい例としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSのようなフェノール性水酸基を1分子中に2個以上有するビスフェノール化合物;ハイドロキノン、4,4’−ビフェノール、3,3’−ジメチル−4,4’ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチルビフェノール、2,4−ナフタレンジオール、2,5−ナフタレンジオール、 2,6−ナフタレンジオールのようなフェノール性水酸基を1分子中に2個以上有する化合物、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドのようなリン原子を含有するフェノール化合物; フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、t−ブチルフェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジェンクレゾールノボラック樹脂、ジシクロペンタジェンフェノールノボラック樹脂、キシリレン変性フェノールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、トリスフェノールノボラック樹脂、テトラキスフェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ポリ−p−ビニルフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂等のノボラック型フェノール樹脂が挙げられる。これらのフェノール樹脂は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。中でも、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドが、得られる硬化物が高耐熱、難燃、低線膨張でありながら、低温での溶融性に優れる熱硬化性組成物となることから好ましい。
【0124】
前記イソシアネート化合物としては、例えば、芳香族系のイソシアネート化合物、脂肪族系のイソシアネート化合物および脂環族系のイソシアネート化合物等が使用できる。好ましくは、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物が好ましい。また、ブロックイソシアネート化合物も使用可能である。
【0125】
上述のアルキルアルコキシシランとしては、例えば、アルキルトリアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン等が挙げられる。
【0126】
前記アルキルトリアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン等が挙げられる。
【0127】
前記ジアルキルジアルコキシシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジプロポキシシラン、ジフェニルジブトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルエチルジプロポキシシラン、メチルエチルジブトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジプロポキシシラン、メチルフェニルジブトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン等が挙げられる。
【0128】
また、アルキルアルコキシシランの縮合物も使用可能であり、例えば前記したアルキルトリアルコキシシランの縮合物やジアルキルジアルコキシシランの縮合物等が挙げられる。
【0129】
前記メラミン樹脂としては、例えば、メラミンやベンゾグアナミン等のトリアジン環含有のアミノ化合物とホルムアルデヒドとの反応により得られるメチロール化物の一部乃至全部をアルコール化合物との反応により得られるアルコキシ化メラミン樹脂を使用することができる。ここで用いるアルコール化合物としては、炭素原子数が1〜4程度の低級アルコールが使用することができ具体的には、メトキシメチロール化メラミン樹脂、ブチル化メチロール化メラミン樹脂等使用することができる。分子構造としては、完全にアルコキシ化されても良く、メチロール基が残存していても良く、さらにはイミノ基が残存していても良い。
【0130】
このアルコキシ化メラミン樹脂は、本発明の熱硬化性樹脂組成物において、架橋成分としての耐熱性や物性の改良以外にもホウ酸および/またはホウ酸エステル等の添加した場合の経時析出防止効果があり、熱硬化性樹脂組成物としての安定性を改良する。
【0131】
前記アルコキシ化メラミン樹脂の樹脂構造としては、メトキシメチロール化メラミン樹脂がポリイミド樹脂組成物との相溶性と硬化時の硬化性が良好となることから好ましく、さらに好ましくは、メトキシ化率80%以上のメトキシメチロール化メラミン樹脂がより好ましい。
【0132】
また、樹脂構造としては自己縮合して多核体であっても良い。この時の重合度は相溶性や安定性の面で1〜5程度の範囲が好ましく、さらに1.2〜3程度の範囲がより好ましい。
【0133】
前記アルコキシ化メラミン樹脂の数平均分子量として100〜10000の範囲のものが使用できる。好ましくは、数平均分子量として300〜2000の範囲がポリイミド樹脂組成物との相溶性と硬化時の硬化性の面で好ましく、さらに数平均分子量として400〜1000の範囲がより好ましい。
【0134】
前記アルコキシ化メラミン樹脂としては、メラミンやベンゾグアナミン、ホルマリン及びアルコールを同時に仕込んで反応させても、メラミンやベンゾグアナミンとホルマリンを予め反応させてメチロール化メラミン化合物を得てからアルコール化合物とのアルコキシ化を行っても良い。
【0135】
アルコキシ化メラミン樹脂の市販品としては、例えば、メトキシメチロール化メラミン樹脂としては、具体的には、例えば、日本サイテックインダストリーズ製の商品サイメル300、301、303、305等が挙げられる。また、メチロール基含有のメトキシメチロール化メラミン樹脂としては、例えば、日本サイテックインダストリーズ製の商品サイメル370、771等が挙げられる。イミノ基含有メトキシ化メラミン樹脂としては、例えば、三井サイテック(株)製の商品サイメル325、327、701、703、712等が挙げられる。メトキシ化ブトキシ化メラミン樹脂としては、例えば、日本サイテックインダストリーズ製の商品サイメル232、235、236、238、266、267、285等が挙げられる。ブトキシ化メラミン樹脂としては、例えば、日本サイテックインダストリーズ製の商品ユーバン20SE60等が挙げられる。
【0136】
前記アルコキシ化メラミン樹脂の使用量としては、機械物性と耐熱性が優れることから、前記ポリイミド樹脂(A)とホウ素化合物(B)の合計100質量に対して1〜80質量部の範囲、好ましくは1〜50質量部の範囲、1〜30質量部の範囲が好ましい。
【0137】
さらに本発明の熱硬化性樹脂組成物にはポリエステル、フェノキシ樹脂、PPS樹脂、PPE樹脂、ポリアリレーン樹脂等のバインダー樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アルコキシシラン系硬化剤、多塩基酸無水物、シアネート化合物等の硬化剤あるいは反応性化合物やメラミン、ジシアンジアミド、グアナミンやその誘導体、イミダゾール類、アミン類、水酸基を1個有するフェノール類、有機フォスフィン類、ホスホニュウム塩類、4級アンモニュウム塩類、光カチオン触媒等の硬化触媒や硬化促進剤、さらにフィラー、その他の添加剤として消泡材、レベリング剤、スリップ剤、ぬれ改良剤、沈降防止剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等添加することも可能である。
【0138】
本発明の熱硬化性樹脂組成物としては、該組成物を硬化させた際の硬化組成物の線膨張係数が50ppm/K以下が好ましく、40ppm/K以下となる熱硬化性組成物が寸法安定性がより好ましい。
【0139】
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物には、更に必要に応じて、種々の充填材、有機顔料、無機顔料、体質顔料、防錆剤等を適宜添加することができる。これらは単独でも2種以上を併用してもよい。
【0140】
前記充填材としては、例えば、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化珪素酸粉、微粒状酸化珪素、シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルムニウム、雲母、アルミナ等が挙げられる。
【0141】
充填材としては各種粒子径のものが使用可能であり、本発明の熱硬化性組成物の性能を阻害しない範囲内で添加することが可能である。かかる適正な添加量としては、質量で5〜80%程度の範囲であり、好ましくは均一に分散してから使用することが好ましい。分散方法としては、公知のロールによる分散やビーズミル、高速分散等により行うことが可能であり、粒子表面を予め分散処理剤で表面改質してもよい。
【0142】
前記有機顔料としては、アゾ顔料;フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーンの如き銅フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料等が挙げられる。
【0143】
前記無機顔料としては、例えば、黄鉛、ジンククロメート、モリブデート・オレンジの如きクロム酸塩;紺青の如きフェロシアン化物、酸化チタン、亜鉛華、ベンガラ、酸化鉄;炭化クロムグリーンの如き金属酸化物、カドミウムイエロー、カドミウムレッド;硫化水銀の如き金属硫化物、セレン化物;硫酸鉛の如き硫酸塩;群青の如き珪酸塩;炭酸塩、コバルト・バイオレッド;マンガン紫の如き燐酸塩;アルミニウム粉、亜鉛末、真鍮粉、マグネシウム粉、鉄粉、銅粉、ニッケル粉の如き金属粉;カーボンブラック等が挙げられる。
【0144】
また、その他の着色、防錆、体質顔料のいずれも使用することができる。これらは単独でも2種以上を併用してもよい。
【0145】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は塗工や成形物とした後、100〜300℃の範囲で加熱することで乾燥あるいは硬化させることができる。
【0146】
前記塗膜の形成方法で用いる基材は特に制限無く用いることができる。基材としては、例えば、プラスチック、金属、木材、ガラス、無機材、およびこれら複合材料等が挙げられる。
【0147】
本発明のプリント配線板用層間接着フィルムは、熱硬化性樹脂組成物により形成される層をキャリアフィルム上に有することを特徴とする。このような接着フィルムは、例えば、本発明の熱硬化性樹脂組成物の層(A層)及び支持体フィルム(B層)からなるフィルム(接着フィルム)の形態を例示することができる。
【0148】
接着フィルムは、種々の方法に従って、例えば、本発明の熱硬化性樹脂組成物を有機溶剤に溶解した樹脂ワニスを調製し、支持体フィルムにこの樹脂ワニスを塗布し、加熱又は熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
【0149】
支持体フィルム(B層)は、接着フィルムを製造する際の支持体となるものであり、プリント基板の製造において、最終的には剥離または除去されるものである。支持体フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、更には離型紙や銅箔等の金属箔などを挙げることができる。なお、銅箔を支持体フィルムとして使用する場合は、塩化第二鉄、塩化第二銅等のエッチング液でエッチングすることにより除去することができる。支持フィルムはマット(mat)処理、コロナ処理の他、離型処理を施してあってもよいが、剥離性を考慮すると離型処理が施されている方がより好ましい。支持フィルムの厚さは特に限定されないが、通常10〜150μmであり、好ましくは25〜50μmの範囲で用いられる。
【0150】
ワニスを調製するための有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ガンマブチロラクトン等を挙げることができる。有機溶剤は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0151】
乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物中への有機溶剤の含有割合が通常5質量%以下、好ましくは3質量%以下となるように乾燥させる。具体的な乾燥条件は、樹脂組成物の硬化性やワニス中の有機溶媒量によっても異なるが、例えば30〜60質量%の範囲の有機溶剤を含むワニスにおいては、通常80〜120℃で3〜13分程度乾燥させることができる。当業者は、簡単な実験により適宜、好適な乾燥条件を設定することができる。
【0152】
樹脂組成物層(A層)の厚さは通常5〜500μmの範囲とすることができる。A層の厚さの好ましい範囲は接着フィルムの用途により異なり、ビルドアップ工法により多層フレキシブル回路基板の製造に用いる場合は、回路を形成する導体層の厚みが通常5〜70μmであるので、層間絶縁層に相当するA層の厚さは10〜100μmの範囲であるのが好ましい。
【0153】
A層は保護フィルムで保護されていてもよい。保護フィルムで保護することにより、樹脂組成物層表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。保護フィルムはラミネートの際に剥離される。保護フィルムとしては支持フィルムと同様の材料を用いることができる。保護フィルムの厚さは特に限定されないが、好ましくは1〜40μmの範囲である。
【0154】
本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いて得られる接着フィルムは特に多層プリント基板の製造に好適に使用することができる。以下に、プリント基板を製造する方法について説明する。本発明の熱硬化性樹脂組成物を用いて得られる接着フィルムは真空ラミネーターにより好適にプリント基板にラミネートすることができる。ここで使用するプリント基板は、主として、エポキシ基板、ガラスエポキシ基板などの繊維強化型プリプレグ、ポリエステル基板、ポリイミド基板、ポリアミドイミド基板、液晶ポリマー基板等の基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)はもちろん、回路と絶縁層が交互に層形成され、片面又は両面が回路形成されている多層プリント基板を更に多層化するために使用することもできる。なお回路表面は過酸化水素/硫酸、メックエッチボンド(メック(株)社製)等の表面処理剤により予め粗化処理が施されていた方が絶縁層の回路基板への密着性の観点から好ましい。
【0155】
市販されている真空ラミネーターとしては、例えば、ニチゴー・モートン(株)製 バキュームアップリケーター、(株)名機製作所製 真空加圧式ラミネーター、日立テクノエンジニアリング(株)製 ロール式ドライコータ、日立エーアイーシー(株)製真空ラミネーター等を挙げることができる。
【0156】
ラミネートにおいて、接着フィルムが保護フィルムを有している場合には該保護フィルムを除去した後、接着フィルムを加圧及び加熱しながら回路基板に圧着する。ラミネートの条件は、接着フィルム及び回路基板を必要によりプレヒートし、圧着温度を好ましくは70〜140℃、圧着圧力を好ましくは1〜11kgf/cmとし、空気圧20mmHg以下の減圧下でラミネートするのが好ましい。また、ラミネートの方法はバッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。
【0157】
接着フィルムを回路基板にラミネートした後、室温付近に冷却し支持体フィルムを剥離する。次いで、回路基板にラミネートされた熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化させる。加熱硬化の条件は通常150℃〜220℃で20分〜180分の範囲で選択され、より好ましくは160℃〜200℃で30〜120分の範囲で選択される。なお支持体フィルムが離型処理やシリコン等の剥離層を有する場合は、熱硬化性樹脂組成物の加熱硬化後あるいは加熱硬化及び穴開け後に支持体フィルムを剥離することもできる。
【0158】
熱硬化性樹脂組成物の硬化物である絶縁層が形成された後、必要に応じて回路基板にドリル、レーザー、プラズマ、又はこれらの組み合わせ等の方法により穴開けを行いビアホールやスルーホールを形成してもよい。特に炭酸ガスレーザーやYAGレーザー等のレーザーによる穴開けが一般的に用いられる。
【0159】
次いで絶縁層(熱硬化性樹脂組成物の硬化物)の表面処理を行う。表面処理はデスミアプロセスで用いられる方法を採用することができ、デスミアプロセスを兼ねた形で行うことができる。デスミアプロセスに用いられる薬品としては酸化剤が一般的である。酸化剤としては、例えば、過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等)、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸等が挙げられる。好ましくはビルドアップ工法による多層プリント配線板の製造における絶縁層の粗化に汎用されている酸化剤である、アルカリ性過マンガン酸溶液(例えば過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウムの水酸化ナトリウム水溶液)を用いて処理を行うのが好ましい。酸化剤で処理する前に、膨潤剤による処理を行うこともできる。また酸化剤による処理の後は、通常、還元剤による中和処理が行われる。
【0160】
表面処理を行った後、絶縁層表面にメッキにより導体層を形成する。導体層形成は無電解メッキと電解メッキを組み合わせた方法で実施することができる。また導体層とは逆パターンのメッキレジストを形成し、無電解メッキのみで導体層を形成することもできる。導体層形成後、150〜200℃で20〜90分アニール(anneal)処理することにより、導体層のピール強度をさらに向上、安定化させることができる。
【0161】
導体層をパターン加工し回路形成する方法としては、例えば当業者に公知のサブトラクティブ法、セミアディディブ法などを用いることができる。サブトラクティブ法の場合、無電解銅メッキ層の厚みは0.1〜3μmの範囲、好ましくは0.3〜2μmの範囲である。その上に電気メッキ層(パネルメッキ層)を3〜35μmの範囲、好ましくは5〜20μmの範囲の厚みで形成した後、エッチングレジストを形成し、塩化第二鉄、塩化第二銅等のエッチング液でエッチングすることにより導体パターンを形成した後、エッチングレジストを剥離することにより、回路基板を得ることができる。また、セミアディティブ法の場合には、無電解銅メッキ層の厚みを0.1〜3μmの範囲、好ましくは0.3〜2μmの範囲で無電解銅メッキ層を形成後、パターンレジストを形成し、次いで電気銅メッキ後に剥離することにより、回路基板を得ることができる。
【0162】
支持体フィルムを耐熱樹脂層(耐熱樹脂フィルム)で置き換えた形態のフィルム、すなわち、本発明の熱硬化性組成物層(A層)及び耐熱樹脂層(C層)からなるフィルムは、フレキシブル回路基板用のベースフィルムとして使用できる。本発明の熱硬化性樹脂組成物層(A層)、耐熱樹脂層(C層)及び銅箔(D層)からなるフィルムも同様にフレキシブル回路基板のベースフィルムとして使用できる。この場合ベースフィルムはA層、C層、D層の順の層構成を有する。以上のようなベースフィルムでは、耐熱樹脂層は剥離されずにフレキシブル回路基板の一部を構成することとなる。
【0163】
本発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層(A´層)が耐熱樹脂層(C層)上に形成されたフィルムは片面フレキシブル回路基板用のベースフィルムとして使用できる。また、A´層、C層及びA´層の順の層構成を有するフィルム、及びA´層、C層及び銅箔(D層)からなり、A´層、C層及びD層の順の層構成を有するフィルムも同様に両面フレキシブル回路基板用のベースフィルムとして使用できる。
【0164】
耐熱樹脂層に用いられる耐熱樹脂は、ポリイミド樹脂、アラミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、液晶ポリマーなどを挙げることができる。特に、ポリイミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂が好ましい。またフレキシブル回路基板に用いる特性上、破断強度が100MPa以上、破断伸度が5%以上、20〜150℃間の熱膨張係数が40ppm以下、およびガラス転移温度が200℃以上又は分解温度が300℃以上である耐熱樹脂を用いるのが好ましい。
【0165】
このような特性を満たす耐熱樹脂としては、フィルム状で市販されている耐熱樹脂を好適に用いることができ、例えば、宇部興産(株)製ポリイミドフィルム「ユーピ レックス−S」、東レ・デュポン(株)製ポリイミドフィルム「カプトン」、鐘淵化学工業(株)製ポリイミドフィルム「アピカル」、帝人アドバンストフィルム(株)製「アラミカ」、(株)クラレ製液晶ポリマーフィルム「ベクスター」、住友ベークライト(株)製ポリエーテルエーテルケトンフィルム「スミライトFS−1100C」等が知られている。
【0166】
耐熱樹脂層の厚さは、通常2〜150μmの範囲であり、好ましくは10〜50μmの範囲とするのがよい。耐熱樹脂層(C層)は表面処理を施したものを用いてもよい。表面処理としては、マット(mat)処理、コロナ放電処理、プラズマ処理等の乾式処理、溶剤処理、酸処理、アルカリ処理等の化学処理、サンドブラスト処理、機械研磨処理などが挙げられる。特にA層との密着性の観点から、プラズマ処理が施されているのが好ましい。
【0167】
絶縁層(A´層)と耐熱樹脂層(C層)からなる片面フレキシブル回路基板用のベースフィルムは以下のようにして製造することができる。まず、前述した接着フィルムと同様に、本発明の熱硬化性樹脂組成物を有機溶剤に溶解した樹脂ワニスを調製し、耐熱樹脂フィルム上にこの樹脂ワニスを塗布し、加熱又は熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて熱硬化性樹脂組成物層を形成させる。有機溶剤、乾燥条件等の条件は前記接着フィルムの場合と同様である。樹脂組成物層の厚さは5〜15μmの範囲とするのが好ましい。
【0168】
次に熱硬化性樹脂組成物層を加熱乾燥させ、熱硬化性樹脂組成物の絶縁層を形成させる。加熱硬化の条件は通常150℃〜220℃で20分〜180分の範囲で選択され、より好ましくは160℃〜200℃で30〜120分の範囲で選択される。
【0169】
絶縁層(A´層)、耐熱樹脂層(C)層及び銅箔(D層)の3層からなる両面フレキシブル回路基板用フィルムのベースフィルムの製造は、耐熱樹脂層(C層)と銅箔(D層)よりなる銅張積層フィルム上に樹脂組成物を層形成し、上記と同様にして製造すればよい。銅張積層フィルムとしては、キャスト法2層CCL(Copper−clad laminate)、スパッタ法2層CCL、ラミネート法2層CCL、3層CCLなどが挙げられる。銅箔の厚さは12μm、18μmのものが好適に使用される。
【0170】
市販されている2層CCLとしては、エスパネックスSC(新日鐵化学社製)、ネオフレックスI<CM>、ネオフレックスI<LM>(三井化学社製)、S´PERFLEX(住友金属鉱山社製)等が挙げられ、また市販されている3層CCLとしては、ニカフレックスF−50VC1(ニッカン工業社製)等が挙げられる。
【0171】
絶縁層(A´層)、耐熱樹脂層(C層)及び絶縁層(A´層)の3層からなる両面フレキシブル回路基板用フィルムのベースフィルムの製造は以下のようにして行うことができる。まず前述した接着フィルムと同様に、本発明の熱硬化性樹脂組成物を有機溶剤に溶解した樹脂ワニスを調製し、支持体フィルム上にこの樹脂ワニスを塗布し、加熱又は熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて樹脂組成物層を形成させる。有機溶剤、乾燥条件等の条件は前記接着フィルムの場合と同様である。樹脂組成物層の厚さは5〜15μmの範囲とするのが好ましい。
【0172】
次に、この接着フィルムを耐熱樹脂フィルムの両面にラミネートする。ラミネートの条件は前記と同様である。また耐熱フィルムの片面に予め樹脂組成物層が設けられていれば、ラミネートは片面のみでよい。次に樹脂組成物層を加熱硬化させ、樹脂組成物の層である絶縁層を形成させる。加熱硬化の条件は通常150℃〜220℃で20分〜180分の範囲で選択され、より好ましくは160℃〜200℃で30〜120分の範囲で選択される。
【0173】
フレキシブル回路基板用のベースフィルムからフレキシブル回路基板を製造する方法について説明する。A´層、C層及びA´層からなるベースフィルムの場合は、まず加熱硬化後、回路基板にドリル、レーザー、プラズマ等の方法により穴開けし、両面の導通のためのスルーホールを形成する。A´層、C層及びD層からなるベースフィルムの場合は、同様の方法により穴開けし、ビアホールを形成する。特に炭酸ガスレーザーやYAGレーザー等のレーザーによる穴開けが一般的に用いられる。
【0174】
次いで絶縁層(樹脂組成物の層)の表面処理を行う。表面処理については、前述した接着フィルムの場合と同様である。表面処理を行った後、絶縁層表面にメッキにより導体層を形成する。メッキによる導体層形成については、前述した接着フィルムの場合と同様である。導体層形成後、150〜200℃で20〜90分アニール処理することにより、導体層のピール強度をさらに向上、安定化させることができる。
【0175】
次に、導体層をパターン加工し回路形成しフレキシブル回路基板とする。A層、C層及びD層からなるベースフィルムを使用した場合は、D層である銅箔にも回路形成を行う。回路形成の方法としては、例えば当業者に公知のサブトラクティブ法、セミアディディブ法などを用いることができる。詳細は前述の接着フィルムの場合と同様である。
【0176】
このようにして得られた片面又は両面フレキシブル回路基板は、例えば、前述したように、本発明の接着フィルムを用いて多層化することで、多層フレキシブル回路基板を製造することができる。
【0177】
また、本発明の樹脂組成物は半導体とサブストレート基板間の応力緩和層を形成するための材料としても有用である。例えば、前記と同様にして、本発明の樹脂組成物を用いて得られた接着フィルムによりサブストレート基板の最も上部の絶縁層の全部または一部を形成し、半導体を接続することにより、該樹脂組成物の硬化物を介して半導体とサブストレート基板が接着された半導体装置を製造することができる。この場合、接着フィルムの樹脂組成物層の厚みは10〜1000μmの範囲で適宜選択される。本発明の樹脂組成物はメッキにより導体層の形成が可能であり、サブストレート基板上に設けた応力緩和用の絶縁層上にも簡便にメッキにより導体層を形成し回路パターンを作製することも可能である。
【0178】
本発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化物は、ガスバリア性にも優れる。その為、食品・医薬品等を内容物とする包装材料のコーティング材に使用できる。また、包装材料以外の分野、例えば、液晶表示素子、太陽電池、電磁波シールド、タッチパネル、EL用基板、カラーフィルター等のガスバリア性を要求される分野にも使用可能である。
【実施例】
【0179】
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明する。例中特に断りの無い限り「部」、「%」は重量基準である。
【0180】
合成例1 有機化層状珪酸塩(C−1)の調製
ボールミルにより平均粒径が2μmになるように微粉砕したタルク13.5gと、その平均粒径が2μmであるケイフッ化ナトリウム2.5gを2分間攪拌混合し磁性ルツボに入れて蓋をし、電気炉中800℃で2時間保持して、空気中での底面間隔が12.3Å、陽イオン交換容量が120ミリ当量/100gである合成フッ素雲母を得た。更に合成フッ素雲母20gを水道水1000mLに分散させ、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド9.7g(合成フッ素雲母の陽イオン交換容量の1.0倍量)を溶解させた水溶液300mLを添加し、攪拌しながら室温で2時間反応させた。次いで、反応生成物を固液分離させ水洗浄した後、乾燥、粉砕して280メッシュふるいにかけ、有機化層状珪酸塩Aを約22g得た。
【0181】
合成例2 有機化層状珪酸塩(C−2)の調製
合成例1で得た合成フッ素雲母20gを用いて、トリオクチルエチルホスホニウムブロマイド11.5g(合成フッ素雲母の陽イオン交換容量の1.0倍量)を溶解させた水溶液300mlを添加し、攪拌しながら室温で2時間反応させた。次いで、反応生成物を固液分離し、水洗浄した後、乾燥、粉砕して280メッシュふるいにかけ、有機化層状珪酸塩Bを約24g得た。
【0182】
合成例3 有機化層状珪酸塩(C−3)の調製
陽イオン交換容量が11.5 ミリ当量/100gであるモンモリロナイト10gを蒸留水1000mLに分散させ、室温で24時間撹拌した。得られた懸濁液を70℃に加温し、N−ラウリルジエタノールアミン(以下、LEA)4.7 g(モンモリロナイトの陽イオン交換容量の1.5倍量)に純水100mLと塩酸(濃度:36.0%)2.22mLを加えて70℃で溶解させた溶液を加えて1時間撹拌した。得られた懸濁液をろ過し,純水とエタノール(体積比1:1)で3回洗浄を繰返した後、得られた塊を乳鉢で粉砕後、280メッシュふるいにかけ、有機化層状珪酸塩Cを約12g得た。
【0183】
合成例1〜3で得られた有機化層状珪酸塩の層間距離、有機化物の含有率を第1表に記載した。尚、層間距離、及び有機化物の量は下記方法に従い測定した。
【0184】
【表1】

【0185】
[有機化層状珪酸塩の層間距離の測定]
X線回折装置(株式会社リガク社製、TTRII)を用いて、下記4種の有機化層状珪酸塩の積層面の回折により得られる(001)面の2θを測定し、ブラッグの式(λ=2d・sinθ)を用いて面間隔を算出した。ここで、λ=1.54であり、dは有機化層状珪酸塩の面間隔を示し、θは回折角を示す。得られるdを層間距離とした。
【0186】
[有機化層状珪酸塩の有機化剤の含有量の測定]
得られた有機化層状珪酸塩を精密天秤で秤量し(A)、約800℃の電気炉中に3時間静置させ取り出し静置させその灰分を秤量した(B)。得られた2つの質量と以下の式から有機化剤の含有率を求めた。
有機化剤の含有率(質量%)=[{(A)−(B)}/(A)]×100
【0187】
合成例4 有機化クレイ含有ポリイミド樹脂組成物(A−1)の合成
攪拌装置、温度計およびコンデンサーを付けた4口フラスコにジメチルアセトアミド(以下、DMAcと略記する)を297gとトリレンジイソシアネート(以下、TDIと略記する)を8g(0.046モル)、4,4´−ジイソシアネート−3,3´−ジメチル−1,1´−ビフェニル(以下、TODIと略記する)を48.6g(0.184モル)と無水トリメリット酸(以下、TMAnと略記する)を37.2g(0.194モル)、ベンゾフェノン−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物(以下、BTDAnと略記する)を15.6g(0.048モル)とを仕込み、攪拌を行いながら55℃にて原料を溶解させた。原料溶解後、有機化層状珪酸塩(C−1)を5g(TDIとTODIとTMAnとBTDAnとの合計量から脱炭酸量を減じた量に対して5phr)を添加した。0.5時間後、0.5時間かけて100℃まで昇温した後、この温度で3.5時間重合させ、赤外吸収スペクトル測定にてイソシアネート結合由来のピーク(約2365cm−1)が消失したことを確認した。この間、重合は炭酸ガスの発泡とともに進行した。その後、さらに1時間かけて150℃に昇温した後、5時間重合させた。得られたポリイミド樹脂溶液は、E型粘度(25℃)が4.1Pa・s、固形分含有量25.7質量%、溶液酸価が10.1(KOHmg/g)であった。これをポリイミド樹脂組成物(A−1)と略記する。ポリイミド樹脂組成物(A−1)中の電子顕微鏡による観察(5000倍)によると、有機化層状珪酸塩の短径は平均30nmでアスペクト比は50であった。
【0188】
合成例5 (同上)
有機化層状珪酸塩(C−1)のかわりに有機化層状珪酸塩(C−2)を9.9g(TDIとTODIとTMAnとBTDAnとの合計量から脱炭酸量を減じた量に対して10phr)を添加した以外は合成例4と同様にして、ポリイミド樹脂組成物を重合させた。得られたポリイミド樹脂組成物の溶液(ポリイミド樹脂がDMAcに溶解した樹脂組成物)は、E型粘度(25℃)が15.9Pa・s、樹脂固形分含有量27.0質量%、溶液酸価が8.9(KOHmg/g)であった。これをポリイミド樹脂組成物(A−2)と略記する。ポリイミド樹脂組成物(A−2)中の電子顕微鏡による観察(5000倍)によると、有機化層状珪酸塩の短径は平均20nmでアスペクト比は80であった。
【0189】
合成例6 (同上)
有機化層状珪酸塩(C−1)のかわりに有機化層状珪酸塩(C−3)を14.9g(TDIとTODIとTMAnとBTDAnとの合計量から脱炭酸量を減じた量に対して15phr)を添加した以外は合成例4と同様にして、ポリイミド樹脂組成物を重合させた。得られたポリイミド樹脂組成物の溶液(ポリイミド樹脂がDMAcに溶解した樹脂組成物)は、E型粘度(25℃)が21.2Pa・s、樹脂固形分含有量21.4質量%、溶液酸価が8.2(KOHmg/g)であった。これをポリイミド樹脂組成物(A−3)と略記する。ポリイミド樹脂組成物(A−3)中の電子顕微鏡による観察(5000倍)によると、有機化層状珪酸塩の短径は平均50nmでアスペクト比は30であった。
【0190】
合成例7 (同上)
攪拌装置、温度計およびコンデンサーを付けた4口フラスコにジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記する) 213.2gと、トリレンジイソシアネート(以下、TDIと略記する)6.3g(0.036モル)と、4,4´−ジイソシアネート−3,3´−ジメチル−1,1´−ビフェニル(以下、TODIと略記する)37.8g(0.143モル)と、無水トリメリット酸(以下、TMAnと略記する)29.0g(0.151モル)、ベンゾフェノン−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸二無水物(以下、BTDAnと略記する)12.2g(0.038モル)とを仕込み、攪拌を行いながら、1時間かけて100℃まで昇温して3時間重合させた。3時間後、赤外吸収スペクトル測定にてイソシアネート結合由来のピーク(約2365cm−1)が消失したことを確認し、1時間かけて150℃まで昇温させて5時間重合させた。得られたポリイミド樹脂溶液は、E型粘度(25℃)が1.3Pa・s、樹脂固形分27.5質量%、溶液酸価が13.0(KOHmg/g)であるポリイミド樹脂を得た。
【0191】
このポリイミド樹脂100gと、DMAcを11.5gと、有機化層状珪酸塩(C−1)を9.9g(TDIとTODIとTMAnとBTDAnとの合計量から脱炭酸量を減じた量に対して10phr)を添加して120℃で6時間溶融混合し、更に30分間超音波ホモジナイザーを用いて溶融混合を行った。得られたポリイミド樹脂組成物の溶液(ポリイミド樹脂がDMAcに溶解した樹脂組成物)は、E型粘度(25℃)が3.8Pa・s、樹脂固形分含有量26.5質量%、溶液酸価が10.6(KOHmg/g)であった。これをポリイミド樹脂組成物(A−4)と略記する。ポリイミド樹脂組成物(A−4)中の電子顕微鏡による観察(5000倍)によると、有機化層状珪酸塩の短径は平均50nmでアスペクト比は20であった。
【0192】
[赤外吸収スペクトル測定]
上記ポリイミド樹脂組成物(A−1)〜(A−4)をKBr板に塗布し、溶剤を揮発させた試料の赤外線吸収スペクトル装置(日本分光製、FTIR−6100)を用いて測定した。その結果、イソシアネート基の特性吸収である2270cm−1が完全に消滅し、725cm−1と1780cm−1と1720cm−1とにイミド環由来の特性吸収が確認された。
【0193】
合成例4〜合成例7で得られたポリイミド樹脂組成物(A−1)〜(A−5)の原料及びその仕込み量、ビフェニル骨格の含有量、対数粘度、溶液酸価を第2表に示す。尚、粘度及び溶液酸価は下記方法に従い測定した。
【0194】
【表2】

【0195】
[粘度の測定]
ポリイミド樹脂組成物の25℃における粘度をE型粘度計(東機産業社製、型式:TV−22)を用いて測定した。
[溶液酸価の測定]
100ml三角フラスコにポリイミド樹脂組成物を約3〜5g秤量し、DMAc30mLを加えて溶解させた。これに指示薬としてフェノールフタレイン溶液を2,3滴加えて0.1mol/L水酸化カリウム・アセトン溶液にて滴定し、次式よりポリイミド樹脂組成物の溶液酸価を算出した。
酸価=V × F × 5.61/S
V:0.1mol/L水酸化カリウム・アルコール溶液の使用量(mL)
F:0.1mol/L水酸化カリウム・アルコール溶液の力価
S:試料の採取量(g)
【0196】
合成例8(比較対照用ポリイミド樹脂の合成)
攪拌装置、温度計およびコンデンサーを付けた4口フラスコに無水トリメリット酸76.8g、イソホロンジイソシアネート88.8g、ナトリウムメトキシド0.44g、γ−ブチロラクトン140gを仕込み、撹拌しながら約30分の間で190℃まで昇温した。その後、190℃で5時間撹拌した後、150℃まで冷却してN−メチル−2−ピロリドン724gを加え希釈した。得られたポリイミド樹脂の溶液(ポリイミド樹脂がDMAcに溶解した樹脂組成物)は、対数粘度が1.26dl/g、樹脂固形分含有量26.5質量%、溶液酸価が15(KOHmg/g)であった。これをポリイミド樹脂組成物(a−1)と略記する。
【0197】
実施例1〜実施例6及び比較例1
第3表、第4表に示す配合組成比にて本発明の熱硬化性樹脂組成物(P−1)〜(P−5)を得た。得られた熱硬化性樹脂組成物を用いて、Bステージ化した半硬化組成物の溶融性、及び熱硬化性樹脂組成物の硬化物の耐熱性、寸法安定性、耐湿性、及びガスバリア性を下記の測定方法に従って評価した。評価結果を第3表、第4表に示す。
【0198】
・溶融性の評価
1.接着フィルムの作製
熱硬化組成物をPETフィルム(厚さ125μm)上に乾燥後の樹脂組成物層の厚みが25μmとなるようにアプリケーターにて均一に塗工し、100℃で5分間乾燥させて接着フィルムを得た。
【0199】
2.接着フィルムの溶融接着試験
予め120℃に加熱した電解銅箔(厚さ18μm、表面粗さ:M面Rz7.4μm、S面Ra0.21μm)に上記の接着フィルムを樹脂面が銅と接するように重ね合わせ、1MPaの圧力をかけて1分間熱プレスした。その後、PETフィルムをはがし、さらに200℃にて60分加熱することで樹脂組成物を本硬化させた。この試験片に対し、JIS K 5400 8.5.2(付着性 碁盤目テープ法)に従いテープ剥離試験を行って以下の5段階の評価基準にて溶融接着性の評価を行った。
【0200】
5:特に圧力をかけずとも溶融した樹脂が電界銅箔面に十分に行渡り接着し、本硬化後、テープ剥離を実施して欠損部分の面積が試験実施面積に対して5%未満。
4:1MPaの圧力にて溶融接着が可能であり、本硬化後、テープ剥離を実施して欠損部分の面積が試験実施面積に対して5%未満。
3:1MPaの圧力にて溶融接着が可能であり、本硬化後、テープ剥離を実施して欠損部分の面積が試験実施面積に対して5%以上。
2:1MPaの圧力にて一部溶融接着するが、溶融接着した部分の面積が50%未満。
1:1MPaの圧力にて全く溶融接着しない。
【0201】
3.熱硬化組成物の耐熱性、耐湿性、寸法安定性の評価
熱硬化性樹脂組成物の硬化物の耐熱性評価はガラス転移温度の測定と耐ハンダリフロー試験を行うことにより行った。また、寸法安定性の評価は硬化物の線膨張係数を測定することにより行った。
【0202】
<測定試験片の作製方法>
熱硬化性樹脂組成物を硬化後に得られる塗膜の膜厚が30μmになるように鏡面アルミ基板上に塗工した。次いで熱風乾燥機を用いて、塗装板を50℃にて30分間、100℃にて30分間、200℃にて60分間にて熱硬化させて熱硬化性組成物のフィルムを作製した。
【0203】
<耐熱性の評価方法>
JIS K−7198に準じて、動的粘弾測定装置(以下、DMAと略記する。レオメトリックス株式会社製RSAII)を用いて、硬化フィルムを昇温速度2℃/min、測定周波数1Hz、測定温度範囲30℃〜400℃の範囲で測定した。得られるDMA曲線における損失正接のピーク極大値をガラス転移温度と定義した。
【0204】
また、耐ハンダリフロー試験を行うことにより耐熱性も評価した。前記フィルムを10mmx50mmに切りだした後、260℃に加熱したハンダ浴に180秒間浸漬させてその状態を目視により観察した。
判定基準:○ 変化なし
× ふくれ、又はひび割れ発生
【0205】
<寸法安定性の評価方法>
線膨張係数の測定を行うことにより評価した。島津製作所社製熱機械分析装置TMA−60/60Hを用いて、試料長10mm、昇温速度10℃/分、荷重30mNの条件でTMA(Thermal Mechanical Analysis)法により測定した。線膨張係数の値は20℃〜200℃の範囲の平均値を算出した。
【0206】
<耐湿性の評価方法>
耐ハンダリフロー試験と同様の試験片を121℃、100%RH、2気圧、2時間の条件でプレッシャークッカーテストを行った。プレッシャークッカーテスト後の熱硬化組成物にひび、割れ、変色、くもり等の不具合を目視で確認し、不具合が認められた場合は×、認められない場合は○と判定した。
【0207】
<ガスバリア性の評価方法>
1.硬化塗膜の作製方法
熱硬化性樹脂組成物を硬化後に得られる塗膜の膜厚が30μmになるように鏡面アルミ基板上に塗工した。次いで熱風乾燥機を用いて、塗装板を50℃にて30分間、100℃にて30分間、200℃にて60分間にて熱硬化させて熱硬化性組成物のフィルムを作製した。得られた熱硬化性組成物のフィルムを約直径8cmの円形に切り取った。
【0208】
2.酸素透過度の測定方法
酸素透過度の測定は、ガス透過率測定器(Technolox社製 Deltaperm)を用いて、30℃の条件でJIS K7126−1に準じて差圧法により行った。
【0209】
3.水蒸気透過度の測定方法
水蒸気透過度の測定は、ガス透過率測定器(Technolox社製 Deltaperm)を用いて、40℃ 90%RHの条件でJIS K7126−1に準じて差圧法により行った。
【0210】
【表3】

【0211】
【表4】

【0212】
第3表〜第4表の脚注
E−1:DIC(株)製 ナフタレン型エポキシ樹脂 エピクロンHP−4710(エポキシ当量173g/eq)
E−2:DIC(株)製 ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂 エピクロン850−S(エポキシ当量188g/eq)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビフェニル骨格を有するポリイソシアネート化合物を含むポリイソシアネート化合物と酸無水物、またはビフェニル骨格を有する酸無水物を含む酸無水物とポリイソシアネート化合物とを重合させて得られるポリイミド樹脂と有機化層状珪酸塩とを含有するポリイミド樹脂組成物であり、該有機化層状珪酸塩が、短径1〜50nmの範囲でアスペクト比が10〜500の範囲の分散粒子であることを特徴とするポリイミド樹脂組成物。
【請求項2】
前記有機化層状珪酸塩が、短径1〜30nmでアスペクト比が10〜300の粒子である請求項1記載のポリイミド樹脂組成物。
【請求項3】
前記ポリイミド樹脂が、ビフェニル骨格が20〜40質量%となるようにビフェニル骨格を有するポリイソシアネート化合物またはビフェニル骨格を有する酸無水物を用いて得られるポリイミ樹脂である請求項1記載のポリイミド樹脂組成物。
【請求項4】
前記ポリイミド樹脂が、ベンゾフェノン構造を有するポリイソシアネート化合物またはベンゾフェノン構造を有する酸無水物を用いて得られるポリイミド樹脂である請求項1記載のポリイミド樹脂組成物。
【請求項5】
前記ポリイミド樹脂が、トリレン構造を有するポリイソシアネート化合物またはトリレン構造を有するジイソシアネートを用いて得られるポリイミド樹脂である請求項4記載のポリイミド樹脂組成物。
【請求項6】
前記有機化層状珪酸塩が、層状珪酸塩の層間にある陽イオンが下記一般式(1)で表される有機オニウムイオンとイオン交換されており、該有機オニウムイオン中の有機基の含有率が、該有機化層状珪酸塩の質量を基準として10〜60質量%である請求項1記載のポリイミド樹脂組成物。
【化0】

式(1)中、R〜Rの少なくとも一つはアルキル基またはポリアルキレンエーテル基である。Mは窒素原子またはリン原子を表す。
【請求項7】
前記アルキル基が炭素原子数2〜20のアルキル基である請求項6記載のポリイミド樹脂組成物。
【請求項8】
前記ポリアルキレンエーテル基が、下記一般式(III)で示される構造を有するポリアルキレンエーテル基である請求項6記載のポリイミド樹脂組成物。
X−(RO)n−H ・・・・(III)
(式中、Rは炭素原子数が1〜20のアルキレン基を、nは5〜50の範囲の整数を、Xはイオン性基を表す。)
【請求項9】
前記有機化層状珪酸塩の含有量が、ポリイミド樹脂100質量部に対して1〜30質量部である請求項1記載のポリイミド樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項記載のポリイミド樹脂組成物とエポキシ樹脂とを含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
【請求項11】
前記有機化層状珪酸塩の含有量が熱硬化性樹脂組成物中の樹脂分100質量部に対して1〜30質量部である請求項10記載の熱硬化性樹脂組成物。
【請求項12】
請求項10または11記載の熱硬化性樹脂組成物により形成される層を、キャリアフィルム上に有することを特徴とするプリント配線板用層間接着フィルム。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリイミド樹脂組成物を含有することを特徴とするガスバリア材。
【請求項14】
ビフェニル骨格を有するポリイソシアネート化合物を含むポリイソシアネート化合物と酸無水物とを、または、ビフェニル骨格を有する酸無水物を含む酸無水物とポリイソシアネート化合物とを、有機化層状珪酸塩ならびに有機溶剤の存在下で反応させて、ビフェニル骨格を有するポリイミド樹脂と有機化層状珪酸塩と有機溶剤とを含む組成物を得ることを特徴とするポリイミド樹脂組成物の製造方法。
【請求項15】
前記有機化層状珪酸塩が、層状珪酸塩の層間にある陽イオンが下記一般式(1)で表される有機オニウムイオンとイオン交換されており、該有機オニウムイオン中の有機基の含有率が、該有機化層状珪酸塩の質量を基準として10〜60質量%である請求項14記載のポリイミド樹脂組成物の製造方法。
【化0】

式(1)中、R〜Rの少なくとも一つはアルキル基またはポリアルキレンエーテル基である。Mは窒素原子またはリン原子を表す。
【請求項16】
前記アルキル基が炭素原子数2〜20のアルキル基である請求項15記載のポリイミド樹脂組成物の製造方法
【請求項17】
前記ポリアルキレンエーテル基が、下記一般式(III)で示される構造を有するポリアルキレンエーテル基である請求項15記載のポリイミド樹脂組成物の製造方法。
X−(RO)n−H ・・・・(III)
(式中、Rは炭素原子数が1〜20のアルキレン基を、nは5〜50の範囲の整数を、Xはイオン性基を表す。)
【請求項18】
前記有機化層状珪酸塩をポリイミド樹脂の原料100質量部に対して1〜30質量部用いる請求項14記載のポリイミド樹脂組成物の製造方法。
【請求項19】
前記ポリイミド樹脂中のビフェニル骨格が20〜40質量%となるようにビフェニル骨格を有するポリイソシアネート化合物またはビフェニル骨格を有する酸無水物を用いる請求項14記載のポリイミド樹脂組成物の製造方法。
【請求項20】
更に、ベンゾフェノン構造を有するポリイソシアネート化合物またはベンゾフェノン構造を有する酸無水物を用いる請求項14記載のポリイミド樹脂組成物の製造方法。
【請求項21】
更に、トリレン構造を有するポリイソシアネート化合物またはトリレン構造を有するジイソシアネートを用いる請求項19記載のポリイミド樹脂組成物の製造方法。
【請求項22】
前記有機溶剤としてジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドおよびN−メチル−2−ピロリドンからなる群から選ばれる1種以上の溶剤を用いる請求項14〜21のいずれか1項記載のポリイミド樹脂組成物の製造方法。

【公開番号】特開2013−10917(P2013−10917A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200559(P2011−200559)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】