説明

ポリエチレンテレフタレートプリフォームの製造のための方法および装置

本発明は、ポリエチレンテレフタレートプリフォームの製造のための方法および装置に関する。本発明の装置は、乾燥機から出るポリマー顆粒のための供給ホッパー(3)、加熱されたスクリューコンベアのようなポリマーを加熱、運搬、および加圧するための手段(1、2)、およびポリマー成型手段を備える。本発明によれば、不活性ガスは、乾燥機、ホッパーまたはホッパーの下流に位置する場所(4、5など)に注入され、前記ガスは、少なくとも170℃の温度に、好ましくは、170℃ないし250℃の温度範囲に予備加熱される。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、ポリエチレンテレフタレート(PET)の物品、特にミネラルウォーター、炭酸飲料、非炭酸飲料、ノンアルコール飲料のような飲料、または油を詰めるためのボトルの製造の分野に関する。事実、PETは、その光学特性(きわめて良好な透明性および明るさ)および機械的特性(衝撃強度、内部圧力耐性)に加えて、環境の観点(生分解性材料でリサイクルが可能)からのおよび商業的なレベル(重量、製造コスト、製造の容易さ)での利点を有する。したがって、ボトルのためのPETの使用は、堅実に成長している(その使用は、1999年には5百万トンと概算され、2004年には7百万トン、2010年には1千万トンに上昇すると予測される)。
【0002】
プラスチックの押し出し成型または射出成型は、ポリマーを溶融させることおよびポリマーを成型するために溶融ポリマーをダイまたは射出ヘッドに連続的に供給することからなる公知の方法である。この方法は、一般的に、
−ポリマーが粉末または顆粒形態で導入される(乾燥機から)ポリマー供給ホッパー、
−ホッパーから出るポリマーを運搬し、加熱し、混合し、また加圧するための手段、通常は加熱されたスクリューコンベア、
−溶融ポリマーを成形するための手段(最も一般的には、形材またはシート状物を製造するためのダイヘッド、または3次元物品を製造するための型を備える)
を利用する。
【0003】
このタイプの方法中、特にスクリューコンベアの溶融工程中に、一部のポリマーは、酸素の存在に対して感受性が有るかも知れず、酸素は、成形されるプラスチックの最終特性を劣化させる(ポリマーの黄変、架橋、分子量と粘度の変化)ことが知られている。
【0004】
実際、PETは劣化を受けるポリマーであることはよく知られている。劣化反応は、温度、空気中の酸素、水分、または機械的応力の下で生じる。これらの反応は、そのようなボトルの製造の種々の工程(PET製造、PETの顆粒への加工、顆粒の貯蔵および乾燥、PETのプリフォームおよびボトルへの加工)の間、そして、飲料貯蔵容器としてのボトルの使用の間に起こり得る。
【0005】
文献で行われているPETの劣化についての様々な研究は、これらの反応がPETの粘度の減少、機械的特性の劣化、酸性度の増加(PET劣化の兆候)、材料の黄変、ならびに揮発性有機化合物の生成を引き起こすことを示している。PETの組成により、そして用いられる操作条件により、これらの揮発性有機化合物は、主に、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドおよび一酸化炭素である。これらの化合物、特にアセトアルデヒドは、PETが顆粒、プリフォームまたはボトルの形態にあるとき、PET中で生成し、ボトルに含まれる水または飲料へ移行するところまで該材料中で拡散する。PETからのアセトアルデヒドの生成は、文献中に記載されてきた。この化合物は、酸素の存在下で(熱酸化劣化)および酸素の不在下でも(熱的劣化)熱的な劣化中に生成する。水分の存在は、PET劣化プロセスを加速し、それゆえ、アセトアルデヒドの生成量を増加させる。実際、水は、2つの方式で作用し得る。それは、熱的または熱酸化劣化により生成する劣化副生成物の1つと直接反応してアセトアルデヒドを生成するか、または酸およびアルコールを生成することによりPETを劣化させ、アルコールはまた、前記劣化副生成物と反応してアセトアルデヒドを生成させる。やはり毒性化合物のホルムアルデヒドの生成は、アセトアルデヒドの場合より正確には文献中に記載されていないが、しかし、その生成は、同様の反応経路に従うものと推測され得る。
【0006】
実際、ヒトにとってのきわめて低い嗅覚的そして官能的しきい値(典型的に、空気中で0.01ppb、水中で20μg/l)のアセトアルデヒドの存在は、消費者にとって不快である「糖状プラスチック的」な味を与える。この味は、フルーツジュース、ソーダなどのような飲料中に一般的に用いられるマスキング剤またはマスキング製品の不在のためにミネラルウォーターではさらに強まる。さらに、アセトアルデヒドは空気に暴露されると不安定であり、酸化または重合により酢酸のような副生成物をもたらす。したがって、感覚的な配慮とは別に、生成するアセトアルデヒドおよび副生成物の毒性、特に発癌性も、物質の濃度が低くても、公衆衛生上の問題点として浮上する。
【0007】
痕跡量のアセトアルデヒドが官能的な特性に影響を与えることが可能であるという事実のために、PETボトル中でのミネラルウォーターおよびいずれかのタイプの飲料の貯蔵は、重大である。それゆえ、劣化生成物と特にアセトアルデヒドの生成を減少させるためにPETの劣化を制限することは不可欠である。
【0008】
本発明が解決を提案する問題は、特にプリフォームへのPETの成形の間に、PETからのアセトアルデヒドの生成を減少させることである。PET顆粒は、射出成型により成形される。PET顆粒は、型への射出の前に、260℃ないし310℃に加熱されたスクリューエクストルーダー中で溶かされる。
【0009】
PETプリフォームからのアセトアルデヒドの生成を減少させるためのいくつかの解決策が文献中に記載されている。
【0010】
第1の解決策は、PETに安定化剤を添加することからなる。PET顆粒中に存在するこの安定化剤は、射出成型によりプリフォームに加工される間に作用する。この安定化剤は、温度と空気の作用の下で起こる劣化反応を最小化させることによるか、またはアセトアルデヒドを転換させるために、アセトアルデヒドと、それが生成するにつれ、直接反応することによるかのいずれかにより、生成するアセトアルデヒドの比率を減少させる働きをする。
【0011】
例えば、文献US−5922828は、ホスファイトタイプの新規な安定化剤の使用に関する。この安定化剤は、空気中の酸素から生成し、このタイプの劣化を加速する傾向がある劣化副生成物(ヒドロペルオキシドタイプの化合物)を破壊するという主たる機能を有する。したがって、PETの調製におけるホスファイトタイプの安定化剤の存在は、酸素による劣化を減少させる働きをし、そのようにして、成形工程により誘発されるアセトアルデヒド含有量も減少する。
【0012】
アセトアルデヒドの生成を減少させる安定化剤の使用に関するチバ・スペシャリティ・ケミストリー名義の文献US6191209およびEP1239006も参照することができる。これらの安定化剤は、ビニルアルコールとエチレンとのコポリマーであるか、またはアミンヒドロキシル、アミンオキシド、ニトロン等のような有機化合物かのいずれかである。
【0013】
安定化剤の使用からなるこの第1の解決策は、製品のコスト、毒性、PETと混和性であり得ず、水に感受性があり得るので困難であるかもしれないその適用、およびその存在がスクリューなどの操作のパラメータ上の変化を生じさせるためのその使用のような欠点を有する。
【0014】
第2の解決策は、二酸化炭素雰囲気にPETプリフォームを暴露することからなる。この解決策は、文献US−4764323に報告され、その文献は、ある圧力と温度の条件の下での二酸化炭素へのPETプリフォームの暴露は、生成するアセトアルデヒドの比率の減少をもたらすことを示す。製造されたPETプリフォームは、50〜100バールの圧力でオートクレーブに入れられ、25℃〜90℃に加熱されたCO2 蒸気の流れにさらされる。印加される圧力と温度に応じて処理時間は5分から10時間である。この解決策がアセトアルデヒド減少の点で満足の行く結果をもたらしても、それは、プリフォームの製造が連続的であり、1時間当り50000個のプリフォームに達する工業的な条件の下でこのバッチプロセスを実施することが困難であるのは明らかである。
【0015】
最後に、第3の解決策は、PETの加工がなされる領域に存在する空気から酸素を除去し、この酸素を窒素のような不活性ガスにより置換することからなる。実際、酸素の除去は、酸素によるPETの劣化を減少させ、したがって、この劣化により引き起こされるアセトアルデヒドの生成を減少させる役割をする。刊行物US−4142040は、窒素のような不活性ガスを、スクリューエクストルーダーに顆粒を供給するホッパーの下流に導入する(ホッパーとスクリューとの間またはスクリューそれ自体の中での移動の際)PET加工方法を記載する。したがって、約300℃で溶融するPETと接触する雰囲気は酸素が欠乏され、それにより、酸素の存在に由来する劣化を最小化し、結果として、生成するアセトアルデヒドの量を最小化する。例えば、300℃(PETを溶融させるために用いられる温度)で、酸素を含まない雰囲気中で測定されるアセトアルデヒドの量は3.4ppmであり、一方、10%酸素を含む雰囲気中では、その量は、20ppmである。提案される他の解決策と異なり、この解決策は、実施するのが容易であり、経済的であり、環境にやさしい。
【0016】
窒素(M.ジエシオルら、ジャーナル・オブ・アプライド・ポリマー・サイエンス、77、1894(2000))および空気(M.ジエシオルら、ジャーナル・オブ・アプライド・ポリマー・サイエンス、69、2377(1998))の雰囲気中でのPET劣化の比較試験は、窒素の使用は、アセトアルデヒド含有量およびホルムアルデヒド含有量ならびに一酸化炭素含有量を減少させる働きをすることが例証された。
【0017】
それゆえ、窒素注入のこの解決策は、きわめて有益であるが、しかし、専門家により調製される現在の食品の標準により特定される2ppm未満、または将来の1.5ppm未満までプリフォーム中で測定されるアセトアルデヒド含有量を減少させるには不十分である。
【0018】
したがって、本発明が解決を提案する問題は、PETからのアセトアルデヒドの生成を減少させることであり、より具体的には、プリフォーム中のアセトアルデヒド含有量が1.5ppm未満となるような比率でプリフォームにPETを形成する間のアセトアルデヒドの生成を減少させることである。
【0019】
本発明によれば、少なくとも170℃の温度にあらかじめ加熱された窒素のような不活性ガスを、供給ホッパーの加硫で、好ましくは、スクリューエクストルーダーの顆粒供給ゾーン中で(すなわち、実質的にホッパーとスクリューとの間の移行ゾーンにおいて)、またはスクリューエクストルーダーそれ自体内に、注入する。
【0020】
170℃の限定は、ホッパーの上流の顆粒が180℃近い温度で乾燥機から取り出されるという事実を考慮して選択された。
【0021】
スクリューエクストルーダーの顆粒供給ゾーン中での注入の場合には、本発明は、酸素のみならず、水分も存在しないゾーンの創出を可能とする。したがって、スクリューエクストルーダーに導入される前そして溶融状態に加熱される前には、PETは、酸素とも、水分とも接触しない。周囲温度での窒素の注入は、酸素の存在による劣化反応を制限することによりアセトアルデヒドの生成を減少させる役割をすることが例証された。それゆえ、高温窒素の注入は、酸素の存在と関係し、そして、すでに言及したように水分の存在とも関係する劣化の問題を小さくする役割をする。
【0022】
さらに、高温窒素の使用は、また、PETがスクリューを損傷することなしにスクリューに入る前にPET顆粒の温度を増加させる働きもし、それにより、機械的応力により部分的に付与されるエネルギーである、可塑化の間に要求されるエネルギーの量を減少させる。
【0023】
同時に、酸素、水分、および機械的応力によるPETの劣化を抑制することにより、アセトアルデヒドの生成も相応して減少する。
【0024】
このことは、実験結果によりさらに詳細に以下で例証される。
【0025】
これまでの解決策と比較すると、高温不活性ガスの注入は、以下の利点を有する。
【0026】
−この解決策は、安定化剤の使用または二酸化炭素への暴露よりもコストがかからず、さらに、ガスをあらかじめ加熱するのに要求されるエネルギーのコストも計算に入れている。
【0027】
−実施するのが容易である。
【0028】
−毒性副生成物の生成を引き起こさない。
【0029】
−アセトアルデヒドを減少させる観点でより有効である。というのは、この解決策は、酸素、水分の存在、または機械的応力によるアセトアルデヒド生成反応を減少させるように機能するからである。
【0030】
したがって、本発明は、 ポリエチレンテレフタレート(PET)の物品、特に飲料を詰めるためのプリフォームの製造方法であって、
−乾燥機から出るポリマー顆粒を供給するためのホッパー、
−加熱されたスクリューコンベアのような、ポリマーの加熱、運搬および加圧手段、
−溶融ポリマーを成型するための手段
を備え、
不活性ガスを以下の位置
−ドライヤー、
−ホッパー、
−ホッパーの下流
の1以上に位置する場所で注入し、
ガスを、前記位置での注入の前に、少なくとも170℃の温度に、好ましくは、170℃〜250℃の温度範囲に予備加熱する方法に関する。
【0031】
本発明による方法は、また、以下の特徴の1以上も採用し得る。
【0032】
−前記ガス注入が、前記加熱、運搬および加圧手段のポリマー供給ゾーンで、即ち、実質的には、ホッパーと前記加熱、運搬および加圧手段との間の移行ゾーンで実施される。
【0033】
−前記ガス注入が、可塑化/溶融ゾーンと呼ばれるところにおいて、前記加熱、運搬および加圧手段で実施される。
【0034】
−ガス注入が5ないし20Sm3 /hの流量で実施される。
【0035】
本発明はさらに、ポリエチレンテレフタレート(PET)の物品、特に飲料を詰めるためのボトルを製造するための装置であって、
−乾燥機から出るポリマー顆粒を供給するためのホッパー、
−加熱されたスクリューコンベアのような、ポリマーの加熱、運搬および加圧手段、
−溶融ポリマーを成形するための手段、および
−前記乾燥機に、前記ホッパーに、またはホッパーの下流に位置する場所で不活性ガスを注入するための少なくとも1つの手段
を備え、
前記ガスを、前記位置での注入の前に、少なくとも170℃の温度に、好ましくは170℃〜250℃の温度範囲に予備加熱するための手段(7)を備えることを特徴とする装置に関する。
【0036】
他の特徴および利点は、単に例として提供される以下の記載および本発明によるユニットの模式図である添付の図面を参照することにより明らかとなるであろう。
【0037】
図は、スクリュー2を備え、ホッパー3を介してポリマー顆粒を供給されるエクストルーダー1を示す。図は、円錐台形状(最も一般的な形状)の通常のホッパーを示し、ある種の工業的な設備においては、スクリューは、あきらかに、本発明の範囲外であるとはみなされてはならない、単純に管状または柱状の形態を取る「ホッパー」を介してポリマーが供給されることに注意すべきである。
【0038】
図は、予備加熱された不活性ガスが、単独または組み合わせて採用される2つの位置、
−ホッパーとエクストルーダーとの間の移行ゾーンのインジェクション4、
−スクリューの上流部分のインジェクション5、
で、ホッパーの下流に注入される本発明の態様を示す。
【0039】
当業者には明らかであるように、注入は、そのようなスクリューが典型的には3つのゾーン:
−スクリューに顆粒を供給する供給ゾーン(ここでは固体であるとは限らない)、
−固体顆粒と溶融した顆粒が共存する可塑化/溶融ゾーン、
−ポリマーに、ダイを通過させるために加圧するポンピングゾーン(ここでは顆粒は溶融している)
を備えることを考慮して、好ましくは、顆粒が固体のままである場所で起こらねばならない。
【0040】
ガスは、供給源6から出て、注入の前に、例えば抵抗ヒーターまたは加熱テープで包まれたパイプのような予備加熱手段7を通過する。
【0041】
理解し得るように、予備加熱手段は、注入点に可能な限り近接して配置されるべきである。
【0042】
適用の例として以下に例証されるように、良好な結果が、610kg/hハスキー射出成型機(参照番号:P100/110E120)を用いてこの図に示されるもののような設備で獲得された。
【0043】
この成型機はPETボトルのプリフォームを製造するために用いられる。約170℃で6時間空気中ですでに乾燥されたPET顆粒は、シールされたラインを介してスクリューエクストルーダーに(すでに示されたように「まっすぐなホッパー」を介して)直接導入される。スクリューコンベアに導入される顆粒は、スクリューのゾーンに応じて、260℃〜310℃の温度に加熱される。次いで、溶融状態のPETが48個のプリフォームを製造するための射出成型機に注入される。
【0044】
単一の窒素注入(位置4での)がそれらの試験とこの目的のために用いられ、スクリューに顆粒を供給するためのラインは、本出願人の名義の文献WO02/22342で記載されるもののようなガスインジェクターを備えていた。このインジェクターは、窒素が供給ラインに層状で均一な条件の下で顆粒の流れに垂直に注入されることを可能とする。インジェクターもまた射出点でのガス温度を測定するための熱電対を備えていた。
【0045】
注入されたガスは、インジェクターに接続されたガスラインの周りに巻かれた加熱ストリップを用いてあらかじめ予備加熱された。
【0046】
少なくとも99.9%の純度の窒素の流量を流量計により制御した。
【0047】
型の中の所定の位置のプリフォームのアセトアルデヒド含有量は、この用途で通常用いられる技術であるガスクロマトグラフィーにより定量された。
【0048】
それらの操作条件で得られる結果は、以下の表に与えられており、その表は、それぞれの操作条件の関数として得られるアセトアルデヒド含有量を示す。ガス流量が表で一定していないことに注意すべきである。これは、170℃の範囲の温度に達するように減少させねばならなかったからである。
【0049】
ある種の試験については、安定化剤は、窒素注入の下流の位置で添加された。
【0050】
結果は以下の諸点を例証する。
【0051】
−窒素注入は、窒素注入なしに獲得されたアセトアルデヒド含有量未満のアセトアルデヒド含有量を獲得するように機能する。
【0052】
−表の列3の例は、予備加熱されていないガスにより得られる比較例の結果を示し(実際、問題となっているゾーンは自然には周囲温度より高い温度になっており、そこのガスは40℃で測定された)、それらは観察可能なくらい不十分であり、もしガスが予備加熱されるならば明らかにあまり好ましいものではない。
【0053】
−高温ガス注入は生成するアセトアルデヒドの量を減少させ、アセトアルデヒド含有量は、より高いガス温度ではより低くなる。
【0054】
− 170℃で、窒素の下で、アセトアルデヒドの減少は、空気と比較して46%である。
【0055】
− 0.06%の安定化剤の使用は、アセトアルデヒド含有量を非常に減少させるが(2.19から0.77ppm)、しかし、窒素の付加的な存在は、約半分まで安定化剤の量を減少させるように機能する(表の後ろから2番目の線)。表はまた、この添加された安定化剤は、含有量の限界設定を維持しながらも完全に廃棄され得ることも明確に示す。
【表1】

【0056】
生成するアセトアルデヒドの含有量を減少させる観点での本発明の利点が、先行する記載の中で明確に例証されてきたが、しかし、周囲空気の中でのポリエチレンテレフタレートの形成の間、ポリエチレンテレフタレートが熱酸化タイプの劣化を被るという事実を思い起こすことは重要である。実際、熱、機械的応力および空気中の酸素の存在にさらされると、PETは、アセトアルデヒドのような副生成物を生成するように劣化する。酸素の存在下でのアセトアルデヒド生成の機構は、PETのCH2 基に由来する水素原子の除去に由来する。
【0057】
もし水素原子が芳香族環から除去されるならば、芳香族環で生成するラジカルは、酸素と反応し、フリーラジカル機構を介して2−ヒドロキシフェニルエステルのような副生成物の生成およびセミキノンとキノン基の生成に導く。
【0058】
それらの種は、2−ヒドロキシフェニルエステルについては、340nmの紫外線光およびセミキノンおよびキノン基については400ないし450nmの紫外線光を強く吸収することが知られている。それは、PETの黄色化を引き起こす上記定義のゾーンのUV光の吸収である。
【0059】
それゆえ、本発明による実質的に酸素の無い雰囲気の中でのPETの形成は、黄色化の原因となるそれらの副生成物の生成を制限するように機能する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の1態様を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
1…エクストルーダー、2…スクリュー、3…ホッパー、6…供給源、7…予備加熱手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレンテレフタレート(PET)の物品、特に飲料を詰めるためのプリフォームの製造方法であって、
−乾燥機から出るポリマー顆粒を供給するためのホッパー、
−加熱されたスクリューコンベアのような、ポリマーの加熱、運搬および加圧手段、
−溶融ポリマーを成型するための手段
を備え、
不活性ガスを以下の位置
−ドライヤー、
−ホッパー、
−ホッパーの下流
の1以上に位置する場所で注入し、
ガスを、前記位置での注入の前に、少なくとも170℃の温度に、好ましくは、170℃〜250℃の温度範囲に予備加熱する方法。
【請求項2】
前記ガス注入を、前記加熱、運搬および加圧手段のポリマー供給ゾーン中で、すなわち、実質的に、前記ホッパーと前記加熱、運搬および加圧手段との間の遷移ゾーン中で行うことを特徴とする請求項1記載の物品を製造するための方法。
【請求項3】
前記ガス注入を、可塑化/溶融ゾーンと呼ばれるところにおいて、前記加熱、運搬および加圧手段中で行うことを特徴とする請求項1記載の物品を製造するための方法。
【請求項4】
前記ガス注入を、5〜20Nm3 /hの流量で行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の物品を製造するための方法。
【請求項5】
製造されるプリフォームのアセトアルデヒド含有量が、同等の操作条件であるが注入する不活性ガスを予備加熱しない場合に得られるプリフォームのアセトアルデヒド含有量より少ないことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の物品を製造するための方法。
【請求項6】
ポリエチレンテレフタレート(PET)の物品、特に飲料を詰めるためのボトルを製造するための装置であって、
−乾燥機から出るポリマー顆粒を供給するためのホッパー(3)、
−加熱されたスクリューコンベアのような、ポリマーの加熱、運搬および加圧手段(1、2)、
−溶融ポリマーを成形するための手段、および
−前記乾燥機に、前記ホッパーに、またはホッパーの下流に位置する場所で不活性ガスを注入するための少なくとも1つの手段(4、5)
を備え、
前記ガスを、前記位置での注入の前に、少なくとも170℃の温度に、好ましくは170℃〜250℃の温度範囲に予備加熱するための手段(7)を備えることを特徴とする装置。

【図1】
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【公表番号】特表2007−503341(P2007−503341A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530339(P2006−530339)
【出願日】平成16年5月7日(2004.5.7)
【国際出願番号】PCT/FR2004/001123
【国際公開番号】WO2004/103681
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(591036572)レール・リキード−ソシエテ・アノニム・ア・ディレクトワール・エ・コンセイユ・ドゥ・スールベイランス・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード (438)
【Fターム(参考)】