説明

ポロゲン、ポロゲン化前駆体、及び低誘電定数を有する多孔性有機シリカガラスフィルムを得るためにそれらを用いる方法

【課題】特性の向上した多孔性シリカガラスフィルムを提供する化学気相蒸着方法を提供する。
【解決手段】真空チャンバーに、オルガノシラン及びオルガノシロキサンからなる群から選択される少なくとも1つの前駆体、及び前駆体とは区別されるポロゲンを含めたガス状試薬を導入すること(ここに、ポロゲンは、非分岐構造及び2又はそれ未満の不飽和の度合いを有するC〜C14環状炭化水素化合物である);エネルギーを真空チャンバー中のガス状試薬に適用してガス状試薬の反応を誘導し、基材上に予備的フィルムを蒸着させること(ここに、予備的フィルムはポロゲンを含有する);及び不安定有機物質の実質的に全てを予備的フィルムから除去して細孔及び2.6未満の誘電定数を有する多孔性フィルムを提供することを含む、多孔性有機シリカガラスフィルムを製造するための化学気相蒸着方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2002年4月17日に出願された米国仮特許出願第60/373,104号に対して合衆国第35法典第119条(e)に基づく優先権を主張し、この出願は2003年4月7日に出願された米国特許出願第10/409,468号の一部継続出願であり、この一部継続出願は、2002年5月17日に出願された米国特許出願第10/150,798号の一部継続出願である。これらの週岩の全開示をここに引用して援用する。
【0002】
本発明は、CVD方法によって製造される低誘電定数材料の分野に関する。特に、本発明は、そのような材料のフィルムを製造する方法、及び電子デバイスにおける絶縁層としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
エレクトロニクス産業は、回路及び集積回路(IC)の構成要素、及び関連する電子デバイスの間の絶縁層としての誘電性材料を利用している。マイクロ電子デバイス(例えばコンピュータチップ)のスピード及び記憶容量を増加させるために、ライン寸法は小さくなりつつある。ライン寸法が小さくなるにつれ、層間誘電体(ILD:InterLayer Dielectric)に対する絶縁の要件はかなり厳しいものとなる。間隔の縮小は、RC時定数を小さくするために比較的低い誘電定数を必要とする(Rは導電性ラインの抵抗であって、Cは絶縁性誘電層間のキャパシタンス)。キャパシタンス(C)の値は、間隔に反比例し、層間誘電体(ILD)の誘電定数(k)に比例する。SiH又はTEOS(Si(OCHCH、テトラエチルオルトシリケート)及びOから製造される慣用的なシリカ(SiO)CVD誘電フィルムは、4.0よりも大きな誘電定数kを有する。産業界が比較的小さい誘電定数を有するシリカ系CVDフィルムを製造しようと試みたいくつかの方法があり、最も成功したのは有機基での絶縁性酸化ケイ素フィルムのドーピングであり、これは2.7〜3.5の範囲の誘電定数を提供する。この有機シリカガラスは、典型的には、メチルシラン又はシロキサンのようなオルガノケイ素前駆体、及びO又はNOのようなオキシダントから密なフィルム(密度〜1.5g/cm)として蒸着される。有機シリカガラスは、本明細書中においては、OSG(OrganiSilica Glass)ともいう。比較的高いデバイス密度及び比較的小さな寸法で誘電定数又は「k」値が2.7未満に低下すると、産業界は密なフィルムについて適当に低いkを有する組成物のほとんどを使い尽くし、改良された絶縁特性のために種々の多孔性材料に転換した。
【0004】
CVD方法による多孔性層間誘電体の分野で公知の特許及び出願は下記のものを含む。
特許文献1及び2:
Oのようなオキシダント、及び所望により過酸化物の存在下で、不安定な基を有する有機ケイ素前駆体から有機シリカガラスフィルムを蒸着させ、そして熱的アニールで不安定な基を除去して、多孔性有機シリカガラスを提供するプロセスを記載;
特許文献3及び4:
蒸着された有機シリカガラスから酸化性アニールで実質的に全ての有機基を除去して、多孔性無機SiOを得ることを教示;
特許文献5:
水素化炭化ケイ素フィルムを蒸着させ、そしてこのフィルムを酸化性プラズマでの処理によって、多孔性無機SiOに変換することを記載;
特許文献6及び7、並びに非特許文献1:
これらは全て、有機ケイ素前駆体及び有機化合物からフィルムを共蒸着させ、そしてアニールを行って、重合された有機成分の一部が保持された多相有機シリカガラス/有機フィルムを提供することを教示。
【0005】
これらの後者の文献において、フィルムの最終的な組成物は、残存ポロゲン、及び高い炭化水素フィルム含有量(80〜90原子%)を示している。最終フィルムがSiO様ネットワークを保持しつつ、酸素原子の一部が有機基で置換されていることが好ましい。
【0006】
本明細書中に開示された全ての文献は、ここに引用してその全体を援用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】ヨーロッパ特許第1119035A2号
【特許文献2】米国特許第6,171,945号
【特許文献3】米国特許第6,054,206号
【特許文献4】米国特許第6,238,751号
【特許文献5】ヨーロッパ特許第1037275号
【特許文献6】米国特許第6,312,793号
【特許文献7】国際公開WO00/24050号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】文献の論文Grill:A.Patel.V.Appl.Phys.Lett.(2001),79(6)pp.803−805
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、誘電率が低く、改良された機械的性質、熱安定性及び化学的耐性を有する多孔性シリカガラスフィルムを提供する化学気相蒸着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、式Si(式中、v+w+x+y+z=100原子%、vは10〜35原子%、wは10〜65原子%、xは5〜30原子%、yは10〜50原子%であって、zは0〜15原子%)によって表される多孔性有機シリカガラスフィルムを製造するための化学気相蒸着方法であって、基材を真空チャンバー内に提供すること;この真空チャンバー内に、オルガノシラン及びオルガノシロキサンからなる群から選択される少なくとも1つの前駆体、及びこの前駆体から区別されるポロゲンを含めたガス状試薬を導入すること(ポロゲンは、非分岐構造及び2又はそれ未満の不飽和度を有するC〜C14環状炭化水素化合物);真空チャンバー中のガス状試薬にエネルギーを適用して、ガス状試薬の反応を誘導し、予備的フィルムを基材上に蒸着させること(予備的フィルムはホロゲンを含有する);及び不安定有機物質の実質的全てを予備的フィルムから除去して、細孔及び2.6未満の誘電定数を有する多孔性フィルムを提供することを含む。
【0011】
もう1つの態様において、本発明は:(a)(i)ジエトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシラン、ジ−イソプロポキシメチルシラン、ジ−t−ブトキシメチルシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリ−t−ブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジ−t−ブトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルジアセトキシシラン、メチルエトキシジシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ジメチルジアセトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(ジメトキシシリル)シラン、テトラエトキシシラン、トリエトキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの前駆体、及び(ii)少なくとも1つの前駆体から区別されるポロゲンを含む組成物を提供し、このポロゲンはシクロオクテン、シクロヘプタン、シクロオクテン、シクロヘプタン及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0012】
非分岐構造及び2又はそれ未満の不飽和度を有する本発明のC〜C14環状化合物は、驚くべきことに、ポロゲンとして使用した場合に、多孔性低誘電性フィルムにおいて優れた機械的特性を生じる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】熱的に不安定な基の除去を示すポストアニールの前及び後の、混合された熱的に不安定な基を用いる本発明のフィルムの赤外スペクトルを示す。
【図2】フィルムの成分のピークを同定する本発明のフィルムの赤外スペクトルである。
【図3】本発明における細孔形成添加剤として用いられるα−テルピネンの赤外スペクトルである。
【図4】フィルムからの熱的に不安定な基の除去に由来する重量損失を示す、アニールの間の本発明のフィルムの熱重量分析である。
【図5】ポロゲン除去前の、本発明による複合フィルムの赤外スペクトルである。
【図6】本発明による複合フィルム及びポリエチレンの比較赤外スペクトルを示す。
【図7】本発明による好ましいポロゲンを使用した場合の、便利なチャンバークリーニングを示す。
【図8】本発明による複合フィルムの比較赤外スペクトルを示す。
【図9】本発明によるフィルムのある種の機械的特性を示す。
【図10】本発明によるフィルムのある種の機械的特性を示す。
【図11】本発明の実施形態によるフィルムの赤外(FT−IR)スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
有機シリケートはkの低い材料の候補であるが、ポロゲンを加えてこれらの材料に多孔性を加えないと、それらの固有の誘電定数は、低くても2.7に制限される。ボイド空間が1.0の固有の誘電定数を有するので、多孔度の付加は、一般には機械的特性を犠牲にしてフィルムの全誘電定数を低下させる。材料の特性は、化学的組成及びフィルムの構造に依存する。有機ケイ素前駆体のタイプは、フィルム構造及び組成に対して強い効果を有する。したがって、所望の誘電定数に到達するのに必要な量の多孔度を加えることが機械的に健全でないフィルムを生じさせないことを確実とするのに必要なフィルム特性を提供する前駆体を用いるのが有益である。したがって、本発明は、電気及び機械的特性の望ましいバランスを有する多孔性有機シリカガラスフィルムを生じさせる手段を提供する。他のフィルム特性はしばしば、電気又は機械的特性に追随する。
【0015】
本発明の好ましい実施形態は、他の多孔性有機シリカガラス材料と比較して、低い誘電定数及び改良された機械的特性、熱的安定性、(酸素水性酸化性雰囲気等に対する)化学的抵抗性を有する薄いフィルム材料を提供する。これは、フィルムへの炭素(好ましくは、主に有機炭素−CHの形態(xは1〜3であり、より好ましくはCの大部分は−CHの形態))の導入の結果であり、それにより、特異的前駆体又はネットワーク形成性材料を用いて、(オキシダントとして機能するとみなされる程度まで、随意の添加剤/キャリアガスCO以外の)オキシダントを含まない雰囲気において、フィルムを蒸着させる。また、フィルム中の水素のほとんどは炭素に結合しているのが好ましい。
【0016】
かくして、本発明の好ましい実施形態は、(a)約10〜約35原子%、より好ましくは約20〜約30原子%のケイ素;(b)約10〜約65原子%、より好ましくは約20〜約45原子%の酸素;(c)約10〜約50原子%、より好ましくは約15〜約40原子%の水素;(d)約5〜約30原子%、より好ましくは約5〜約20原子%の炭素を含む。フィルムは、約0.1〜約15原子%、より好ましくは約0.5〜約7.0原子%のフッ素を含有して、機械的特性の1以上を改良してもよい。他の元素のより少ない部分もまた、本発明のある種のフィルムに存在させることもできる。有機シリカガラス材料はkの低い材料であると考えられる。というのは、それらの誘電定数は、産業で伝統的に用いる標準材料であるシリカガラスのそれよりも低いからである。本発明の材料は、細孔形成性種又はポロゲンを蒸着手法に加え、蒸着された(すなわち予備的)有機シリカガラスフィルムにポロゲンを導入し、予備的フィルムの末端Si−CH基を実質的に保持して、生成物フィルムを提供しつつ、予備的フィルムからポロゲンの実質的全てを除去することによって提供することができる。生成物フィルムは多孔性有機シリカガラスであって、予備的フィルム及びポロゲンなしで蒸着された類似のフィルムと比較して、低下された誘電定数を有する。有機シリカガラスにおいて有機基によって提供される疎水性を欠如する多孔性無機SiOではなく、多孔性有機シリカガラスとして、本発明のフィルムを区別するのが重要である。
【0017】
PE−CVD TEOSによって製造されたシリカは、球相当直径が約0.6nmであると陽電子対消滅寿命分光分析(PALS)分析によって決定される固有の自由容量細孔サイズを有する。小角中性子散乱(SANS)又はPALSによって決定される本発明のフィルムの細孔サイズは好ましくは、球相当直径が5nm未満で有り、より好ましくは球相当直径が2.5nm未満である。
【0018】
フィルムの全多孔度は、プロセス条件及び所望の最終フィルム特性に依存して5〜75%であってよい。本発明のフィルムは好ましくは、2.0g/cm未満、1.5g/cm未満、又は1.25g/cm未満の密度を有する。好ましくは、本発明のフィルムは、ポロゲンなしで製造された類似の有機シリカガラスフィルムと比較して、少なくとも10%低い密度、より好ましくは少なくとも20%低い密度を有する。
【0019】
フィルムの多孔度はフィルム全体が均質である必要はない。ある種の実施形態では、多孔度の勾配、及び/又は種々の多孔度の層がある。そのようなフィルムは例えば、蒸着の間の前駆体に対するポロゲンの比率を調製することによって製造することができる。
【0020】
本発明のフィルムは、共通の有機シリカガラス材料に対してより低い誘電定数を有する。好ましくは、本発明のフィルムは、ポロゲンなしで製造された類似の有機シリカガラスフィルムと比較して、少なくとも0.3低い誘電定数、より好ましくは少なくとも0.5低い誘電定数を有する。好ましくは、本発明の多孔性フィルムのフーリエ変換赤外(FT−IR)スペクトルは、ポロゲンの欠如以外はこの方法と実質的に同一のプロセスによって調製された対照フィルムの対照FT−IRと実質的に同一である。
【0021】
本発明のフィルムは、好ましくは、共通の有機シリカガラス材料に対して優れた機械的特性を有する。好ましくは、本発明のフィルムのベース有機シリカガラス構造(例えばいずれの添加されたポロゲンも有しないフィルム)は、同一誘電定数における類似の有機シリカガラスフィルムのそれよりも、少なくとも10%大きい、より好ましくは25%大きい、ナノ押し込みによって測定される硬度又は弾性率を有する。
【0022】
本発明のフィルムは、低kフィルムを蒸着させるためにオキシダントの使用を必要としない。有機基を酸化し得る部位(例えば、O、NO、オゾン、過酸化水素、NO、NO、N、又はそれらの混合物)と本目的で定義される気体相に加えられるオキシダントの不存在は、フィルム中の前駆体のメチル基の保持を容易とする。これは、低下した誘電定数及び疎水性のような、所望の特性を提供するのに必要な最小量の炭素の導入を可能とする。同様に、これはシリカネットワークの最大保持を提供し、優れた機械的特性、接着、及び普通のエッチング停止材料(例えば、炭化ケイ素、水素化炭化ケイ素、チッ化ケイ素、水素化チッ化ケイ素等)に対するエッチング選択性を有するフィルムを提供する傾向がある。これは、本発明のフィルムが、シリカである伝統的な誘電性絶縁体に比較的類似している特徴を保有することによる。
【0023】
本発明のフィルムは随意に、無機フッ素(例えば、Si−F)の形態のフッ素を含有してもよい。フッ素は、存在する場合、好ましくは0.5〜7原子%の範囲の量で含有される。
【0024】
本発明のフィルムは熱的に安定であり、良好な化学的抵抗性を有する。特に、アニール後の好ましいフィルムは、N中において425℃の等温下で、1.0wt%/hr未満の平均重量損失を有する。さらに、フィルムは、好ましくは空気中において425℃の等温下で、1.0wt%/hr未満の平均重量損失を有する。
【0025】
フィルムは種々の用途に適している。フィルムは、半導体基板上への蒸着に特に適しており、例えば、絶縁層、層間誘電層及び/又は中間誘電層として用いるのに特に適している。フィルムは、コンフォーマルなコーティングを形成することができる。これらのフィルムによって呈される機械的特性は、それらを、Alサブトラクティブ技術、及びCuダマシン又はデュアルダマシン技術で用いるのに特に適したものとする。
【0026】
本発明のフィルムは、化学機械的平面化(CMP)及び異方性エッチングに適合しており、ケイ素、SiO、Si、有機シリカガラス、FSG、炭化ケイ素、水素化炭化ケイ素、窒化ケイ素、水素化窒化ケイ素、炭化窒化ケイ素、水素化炭化窒化ケイ素、ホウ窒化物、抗反射コーティング、フォトレジスト、有機ポリマー、多孔性有機及び無機材料、銅及びアルミニウムのような金属、及び限定されるものではないが、TiN、Ti(C)N、TaN、Ta(C)N、Ta、W、WN、又はW(C)Nのような拡散バリア相のような種々の材料に付着させることができる。フィルムは好ましくは、ASTM D3359−95aテープ引張テストのような慣用的な引張テストを合格するのに十分に、上記の材料の少なくとも1つに接着することができる。試料は、フィルムの認識可能な除去がない場合に、そのテストに合格したと考えられる。
【0027】
かくして、ある具体例において、フィルムは、集積回路の、絶縁層、層間誘電層、中間誘電層、キャッピング層、化学的機械的平面化、又はエッチング停止層、バリア層、又は接着層である。
【0028】
本発明は、フィルムを提供するのに特に適しており、かつ本発明の生成物はフィルムとして本明細書中にかなり記載したが、本発明はそれに限定されるものではない。本発明の生成物は、コーティング、マルチラメラアセンブリー、及び必ずしも平面又は薄いものではない対象、及び集積回路で必ずしも用いられない多数の対象の他のタイプのような、CVDによって蒸着させることができるいずれかの形態で提供することができる。好ましくは、基板は半導体である。
【0029】
本発明の有機シリカガラス生成物に加えて、本発明は、それにより生成物が製造されるプロセス、生成物を用いる方法、及び生成物を調製するのに有用な化合物及び組成物を含む。
【0030】
蒸着されたフィルムにおけるポロゲンは、反応チャンバーに導入されたポロゲン前駆体と同一形態であってもなくてもよい。同様に、ポロゲン除去プロセスは、ポロゲン又はその断片をフィルムから遊離させることができる。本質的には、ポロゲン試薬、予備的フィルムにおけるポロゲン、及び除去すべきポロゲンは同一種であってもなくてもよいが、それらは全てポロゲン試薬に由来するのが好ましい。ポロゲンが本発明のプロセスを通じて変化しないか否かに拘わらず、本明細書中で用いる用語「ポロゲン」はそれらが本発明の全プロセスを通じて見出されるいかなる形態であっても、細孔形成性試薬及びその誘導体を含むことを意図する。
【0031】
フレーズ「ガス状試薬」は、本明細書中においては試薬を記載するのに時々用いられるが、このフレーズはガスとして直接的に反応器に送達される。気化した液体、昇華した固体として送達された及び/又は不活性なキャリアガスによって反応器に輸送された試薬を含むことを意図する。
【0032】
加えて、試薬は区別される源から別々に、又は混合物として反応器に運び込むことができる。試薬は、好ましくは、液体のプロセス反応器への送達を可能とする適切なバルブ及び継手を具備している圧縮可能なステンレス鋼を用い、いずれかの数の手段によって反応器系に送達することができる。
【0033】
ある具体例では、異なるオルガノシラン及び/又はオルガノシロキサンの混合物を組み合わせて用いる。また、多数の異なるポロゲン及びオルガノシランの組合せを用いるのも、本発明の範囲内のものである。そのような実施形態は、最終生成物におけるSiに対する細孔の比率を調製するのを容易とし、及び/又はベース有機シリカガラス構造の1以上の臨界的特性を高める。例えば、ジエトキシメシルシラン(8DEMS)及びポロゲンを利用する蒸着は、テトラエトキシシラン(TEOS)のようなさらなる有機ケイ素を用いてフィルムの機械的強度を改良できるであろう。
【0034】
構造形成性種及び細孔形成性種に加えて、さらなる材料を、蒸着反応に先立って、蒸着反応の間に、及び/又は蒸着反応の後に、真空チャンバーに充填することができる。そのような材料は、例えば、不活性ガス(例えば、揮発性が比較的低い前駆体のためのキャリアガスとして使用することができ、及び/又は蒸着材料の硬化をより促進し、及びより安定な最終フィルムを提供することができる、He、Ar、N、Kr、He等の不活性ガス)、及びガス状又は液状の有機物質、NH、H、CO、又はCOのような反応性物質を含む。COは好ましいキャリアガスである。例えば、O、NO、NO、NO及びOのような酸化性ガスを加えることもできる。
【0035】
エネルギーをガス状試薬に適用し、ガスを誘導して反応させ、基材上にフィルムを形成させる。そのようなエネルギーは例えば、熱的、プラズマ、パルスプラズマ、ヘリコンプラズマ、高密度プラズマ、誘導結合プラズマ、及び遠隔プラズマ方法によって提供することができる。第2の高周波数源を用いて、基材表面においてプラズマ特徴を修飾することができる。好ましくは、フィルムはプラズマ増強化学気相蒸着によって形成される。13.56MHzの周波数のキャパシティー結合プラズマを生じさせるのが特に好ましい。プラズマ出力は、基材の表面積に基づいて、好ましくは0.02〜7W/cm、より好ましくは0.3〜3W/cmである。低いイオン化エネルギーを有するキャリアガスを使用して、プラズマ中の電子温度を低下させ、それによって有機シリカガラス前駆体及びポロゲンにおいて比較的少ない断片化を引き起こすことが有利であろう。このタイプの低イオン化ガスの例はCO、NH、CO、CH、A、Xe、及びKrを含む。
【0036】
ガス状試薬の各々についての流量は、単一200mmウエハー当たり、好ましくしくは、10〜500sccm、より好ましくは30〜1000sccmの範囲である。個々の流量は、フィルムに所望の量の構造形成剤及び細孔形成剤を提供するように選択される。必要な現実の流量は、ウエハーサイズ及びチャンバー立体配置に依存し、断じて200mmウエハー又は単一ウエハーチャンバーに制限されない。
【0037】
少なくとも50nm/分の蒸着速度でフィルムを蒸着させるのが好ましい。
【0038】
蒸着の間の真空チャンバー中の圧力は、好ましくは、0.01〜600Torr、より好ましくは、1〜15Torrである。
【0039】
フィルムは好ましくは、0.002〜10μmの厚みまで蒸着するが、厚みは必要に応じて変化させることができる。非パターン化表面に蒸着されたブランケットフィルムは優れた均一性を有し、基材に渡って1標準偏差を超える2%未満の厚みの変動がある。ただし、ここでは、エッジを合理的に除外しており、例えば、基材の5nmの最も外側エッジは、均一性の統計学的計算に含まれない。
【0040】
嵩密度の低下に伴ってフィルムの多孔度を増加させて、材料の誘電定数のさらなる低下を引き起こし、この材料の適用性をさらなる世代(例えば、k<2.0)まで拡大させることができる。
【0041】
アニールされた多孔性有機シリカガラスと、ポロゲンが加えられていない同様の有機シリカガラスとの間で、原子組成の統計学的に有意な差が測定されなければ、実質的に全てのホロゲンが除去されたと推定される。組成(例えば、X線光電子分光測定(XPS)、ラザフォード後方散乱(水素前方散乱)(RBS/HFS))についての分析方法の固有の測定誤差、及びプロセス変動は、共にデータの範囲に寄与する。XPSについては、固有の測定誤差はほぼ+/−2原子%であり、RBS/HFSでは、これは比較的大きく、種に依存して+/−2〜5原子%の範囲であると予測される。プロセス変動は、データの最終範囲に更に+/−2原子%の範囲で寄与するであろう。
【0042】
以下に、本発明による区別されるポロゲンと用いるのに適したSiに基づく前駆体の非限定的例を示す。以下の化学式において、及び本明細書を通じて、全ての化学式の用語「独立に」は、対象R基が異なる添え字を有する他のR基に対して独立に選択されるのみならず、同一R基のいずれのさらなる種に対しても独立に選択されることを示すことが理解されるべきである。例えば、nは2〜3である式R(OR4−nSiにおいては、2〜3のR基は相互に対して、又はRに対して、同一である必要はない。
【0043】
(OR3−nSi
は独立に、H、C〜Cの直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり;Rは独立に、C〜Cの直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり;nは1〜3である。
−例:ジエトキシメチルシラン、ジメチルジメトキシシラン
【0044】
(OR3−nSi−O−SiR(OR3−m
及びRは独立に、H、C〜C,直鎖又は分岐鎖の飽和、一不飽和又は多不飽和の環状の、部分的に又は十分にフッ素化されており;R及びRは独立に、C及びCの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり;nは1〜3であり;mは1〜3である。
−例:1,3−ジメチル1,3−ジエトキシシロキサン
【0045】
(OR3−nSi−O−SiR(OR3−m
及びRは独立に、H、C〜Cの直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり;R及びRは独立に、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり;nは1〜3であり;mは1〜3である。
−例:1,2−ジメチル−1,2,2−テトラエトキシシラン
【0046】
(O(O)CR4−nSi
は独立に、H,C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり;Rは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり;nは1〜3である。
−例:ジメチルジアセトキシシラン。
【0047】
(O(O)CR3−nSi−O−SiR(O(O)CR3−m
及びRは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり;R及びRは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり;nは1〜3であり;mは1〜3である。
−例:1,3−ジメチル−1,3−ジアセトキシジシロキサン
【0048】
(O(O)CR3−nSi−SiR(O(O)CR3−m
及びRは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり;R及びRは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり;nは1〜3であり;mは1〜3である。
−例:1,2−ジメチル−1,2,2−テトラアセトキシシラン
【0049】
(O(O)CR3−nSi−O−SiR(OR3−m
及びRは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり;Rは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり;Rは独立に、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり;nは1〜3であり;mは1〜3である。
−例:1,3−ジメチル−1−アセトキシ−3−エトキシシラン
【0050】
(O(O)CR3−nSi−SiR(OR3−m
及びRは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり;Rは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり;及びRは独立に、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり;nは1〜3であり;mは1〜3である。
−例:1、2−ジメチル−1−アセトキシ−2−エトキシシラン
【0051】
(OR(O(O)CR4−(m+p)Si
は独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり;Rは独立に、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり;及びRは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり;及びnは1〜3であり;pは1〜3である。
−例:メチルアセトキシ−t−ブトキシシラン
【0052】
(OR(O(O)CR3−n−pSi−O−SiR(O(O)CR(OR3−m−q
及びRは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり;R及びRは独立に、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり;R及びRは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり;nは1〜3であり;mは1〜3であり;pは1〜3であり;qは1〜3である。
−例:1,3−ジメチル−1,3−ジアセトキシ−1,3−ジエトキシジシロキサン
【0053】
(OR(O(O)CR3−n−pSi−SiR(O(O)CR(OR3−m−q
及びRは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり;R、Rは独立に、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり;R、Rは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり;nは1〜3であり;mは1〜3であり;pは1〜3であり;qは1〜3である。
−例:1,2−ジメチル−1,2−ジアセトキシ−1,2−ジエトキシジシラン
【0054】
式(OSiRの環状シロキサン
及びRは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり、及びxは2〜8のいずれかの整数であってよい。
−例:1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン
【0055】
全ての前駆体群に対するただし書:
(1)ポロゲンを反応混合物に添加し、また(2)硬化(例えば、アニール)工程を用いて、蒸着されたフィルムから含まれるポロゲンの実質的に全てを除去することによって、2.6未満のkを得る。
【0056】
上記の前駆体はポロゲンと混合してもよく、又は付着されたポロゲンを有し、これらのクラスの他の分子と、及び/又はn及び/又はmは0〜3である以外は同一クラスの分子と混合してもよい。
−例:TEOS、トリエトキシシラン、ジ−ターシャリーブトキシシラン、シラン、ジシラン、ジ−t−ブトキシ−ジアセトキシシラン等
【0057】
以下に示すのは、本発明に従う区別されるポロゲンと共に用いるのに適したある種のSiに基づく前駆体を表すさらなる式である。
【0058】
(a)式R(OR(O(O)CR4−(n+p)Si
は独立に、H、又はC〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;Rは独立に、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;Rは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;nは1〜3であって、pは0〜3である;
【0059】
(b)式R(OR(O(O)CR3−n−pSi−O−SiR(O(O)CR(OR3−m−q
及びRは独立に、H、又はC〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;R及びRは独立に、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;R及びRは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;nは0〜3であり;mは0〜3であり;qは0〜3であり;pは0〜3であり;ただし、n+m≧1、n+p≦3、及びm+q≦3である;
【0060】
(c)式R(OR(O(O)CR3−n−pSi−SiR(O(O)CR(OR3−m−q
及びRは独立に、H、又はC〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;R及びRは独立に、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;R及びRは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;nは0〜3であり;mは0〜3であり;qは0〜3であり;pは0〜3であり;ただし、n+m≧1、n+p≦3、及びm+q≦3である;
【0061】
(d)式Rn(OR(O(O)CR3−n−pSi−R−SiR(O(O)CR(OR3−m−q
及びRは独立に、H、又はC〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;R、R及びRは独立に、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;R及びRは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;nは0〜3であり;mは0〜3であり;qは0〜3であり;pは0〜3であり;ただし、n+m≧1、n+p≦3、及びm+q≦3である;
【0062】
(e)式(R(OR(O(O)CR4−(n+p)Si)tCH4−t
は独立に、H、又はC〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;Rは独立に、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;Rは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;nは1〜3であり;pは0〜3であり:tは2〜4であり;ただし、n+p≦4である;
【0063】
(f)式(R(OR(O(O)CR4−(n+p)Si)NH3−t
は独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;Rは独立に、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;Rは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;nは1〜3であり;pは0〜3であり;tは1〜3であり;ただし、n+p≦4である;
【0064】
(g)式(OSiRの環状シロキサン
及びRは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり;xは2〜8の整数であってよい;
【0065】
(h)式(NRSiR3)の環状シラザン
及びRは独立に、X、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり;xは2〜8の整数であってよい;
【0066】
(i)式(CRSiRの環状カルボシラン
及びRは独立に、X、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり;xは2〜8の整数であってよい。
【0067】
明細書を通じて前駆体及びポロゲン化前駆体としてのシロキサン及びジシロキサンに言及するが、本発明はそれに限定されず、トリシロキサン、及びそれよりも長い他の線状シロキサンのような他のシロキサンも、本発明の範囲内のものであることは理解されるべきである。
【0068】
上記のした前駆体は、これらの群の他の分子と混合すること、及び/又はn及び/又はmが0〜3である以外はこれらの群の他の分子と同じ分子と混合してもよい。
【0069】
以下に示すのは、本発明おいて、ポロゲンとして用いるのに適した物質の非限定的例である。
【0070】
(1)一般式C2nの環状炭化水素
n=4−14であり、環状構造中の炭素の数は4及び10の間であり、環状構造に置換された複数の単純な又は分岐した炭化水素を有することができる。
例はシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、1−メチル−4(1−メチルエチル)シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロオクタン等を含む。
【0071】
(2)一般式C(2n+2)−2yの直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の炭化水素
n=2−20であり、y=0−nである。
例はエチレン、プロピレン、アセチレン、ネオヘキサン等を含む。
【0072】
(3)一般式C2n−2xの一不飽和又は多不飽和の環状炭化水素
xは分子中の不飽和部位の数であり、n=4−14であり、環状構造中の炭素の数は4及び10の間であって、環状構造上に置換された複数の単純な又は分岐した炭化水素を有することができる。また、不飽和は、環内に、又は環状構造に対する炭化水素置換基の1つに位置することができる。
例はシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキセン、t−ブチルシクロヘキセン、α−テルピネン、ピネン、1,5−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン、ビニル−シクロヘキセン等を含む。
【0073】
(4)一般式C2n−2の二環炭化水素
n=4−14であり、二環構造中の炭素の数は4及び12の間であり、環状構造上に置換された複数の単純な又は分岐した炭化水素を有することができる。
例はノルボルナン、スピローノナン、デカヒドロナフタレン等を含む。
【0074】
(5)一般式C2n−(2+2x)の多重に不飽和の二環炭化水素
xは分子中の不飽和部位の数であり、n=4−14であり、二環構造中の炭素の数は4及び12の間であり、環状構造上に置換された複数の単純な又は分岐した炭化水素を有することができる。不飽和は、環内に、又は環状構造に対する炭化水素置換基の1つに位置することができる。
例はカンフェン、ノルボルネン、ノルボルナジエン等を含む。
【0075】
(6)一般式C2n−4の三環炭化水素
n=4−14であり、三環構造中の炭素の数は4及び12の間であり、環状構造上に置換された複数の単純な又は分岐した炭化水素を有することができる。
例はアダマンダンを含む。
【0076】
本発明による特に好ましいポロゲンは、C〜C14環状炭化水素化合物を含む。より好ましくは、C〜C14環状炭化水素化合物は、非分岐構造を有する。最も好ましくは、C〜C14環状炭化水素化合物は非分岐であって、2又はそれ未満の不飽和の程度を有する。不飽和の程度はn−n/2+1と定義され、n及びnはそれぞれ、分子中の炭素及び水素原子の数である。本明細書中で用いるように、用語「非分岐」とは、末端ペンダント基を含まない構造に言及しており、多環化合物を除外しない。
【0077】
本発明による特に好ましいポロゲンのうち、より好ましいポロゲンは、(1)例えば、シクロオクタジエン、ノルボルナジエン及びそれらの混合物のような非分岐のC〜C10環状炭化水素化合物;及び(2)例えば、シクロオクタン、シクロヘクタン、シクロオクテン、シクロヘクテン、及びそれらの混合物のような、非分岐であって、2又はそれ未満の不飽和の度合いを有するC〜C10環状炭化水素化合物を含む。出願人らは、驚くべきことに、本発明による特に好ましいポロゲンを使用する結果、少なくとも2つの利点がもたらされることを発見した。
【0078】
最初の利点は、誘電性フィルムの最適な機械的特性は、典型的には、低い度合いの不飽和を有する環状水素がポロゲン前駆体として使用される場合にもたらされるというものである。本発明による特に好ましいポロゲンは、多孔性フィルムにおける頑強な有機シリケートネットワークの形成を可能とする。この点に関し、ポロゲン前駆体として、例えば、分岐を持たず、2又はそれ未満の不飽和の度合いを有するC〜C10環状炭化水素化合物は、多孔性フィルムにおいてより低いケイ素−メチル導入を提供することができる。このSi―CH/Si−O種の比率は、フィルムのネットワーク結合性の尺度であり、フィルム弾性率に直接的に関連することが示されている。特別な理論に拘束されるつもりはないが、比較的多くの飽和を有する環状炭化水素ポロゲン前駆体は、典型的には、有機シリカガラス前駆体により均一にマッチしたプラズマ中のより高いイオン化エネルギーを有する。これはオルガノシラン前駆体のより大きな断片化を可能とし、これは、結局は、低級メチルの有機シリカガラスネットワークへの導入を導く。
【0079】
ポロゲン前駆体として本発明による特に好ましい環状炭化水素化合物を使用することによるもう1つの利点は、複合フィルムに蒸着された有機ポロゲン物質の性質である。特定の理論に拘束されるつもりはないが、例えば、シクロオクタンのような環状の、好ましくは非分岐ポロゲン前駆体から蒸着されたポリエチレン様有機物質は、フィルムから除去するのがより容易であり、硬化チャンバー内部での吸収残渣のより少ない形成に導くと考えられる。これは、チャンバーを洗浄し、全スループットを改良するのに必要な時間を低下させることができる。
【0080】
例えば、本発明による特に好ましいポロゲンは、最も普通には、透明な窓を通ってのUV曝露によって有機シリカガラス複合体から除去される。不安定なポロゲン材料はUV曝露によって除去されるので、そのいくらかの部分は透明窓に蒸着され、必要なUV波長をブロックする。したがって、硬化プロセスの効率、及びUVチャンバークリーニングのスループットは、窓に蒸着される吸収種の量及びタイプに依存する。特に好ましいポロゲンの除去の結果、典型的には、例えば、リモネンよりもUVシグナルのより少ない遮断をもたらし、それにより、典型的には、チャンバーを洗浄するのに必要な時間を低下させる。特定の理論によって拘束されるつもりはないが、環状の、好ましくは非分岐炭化水素化合物をポロゲンとして使用する結果、より高い濃度のポリマー鎖増殖種、及びより少ないポリマー鎖停止種の形成が、プラズマ重合の間における形成がもたらされ、したがって、効果的に複合フィルムに一体化されるよりポリエチレン様の有機物質がもたらされる。対照的に、α−テルピネンのような分岐したポロゲンはプラズマ重合の間に停止メチル及びプロピル基に断片化でき、蒸着フィルムにあまり効率的には一体化されず、フィルムから低い効率で除去され、蒸着及び効果チャンバーカラ効率低く洗浄される複合フィルム中のあまり望まれない有機物質が生産される。これらの利点は以下の実施例セクションで説明する。
【0081】
本発明は、さらに、本発明の特許請求される方法に従って使用されるべき組成物を提供する。本発明による組成物は、好ましくは、以下のものを含む。
【0082】
(A)(1)以下のものからなる群から選択される少なくとも1つの前駆体:
【0083】
(a)式R(OR(O(O)CR4−(n+p)Si
は独立に、H、又はC〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;Rは独立に、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;Rは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;nは1〜3であり;pは0〜3である;
【0084】
(b)式R(OR(O(O)CR3−n−pSi−O−SiR(O(O)CR(OR3−m−q
及びRは独立に、H、又はC〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;R及びRは独立に、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;R及びRは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;nは0〜3であり;mは0〜3であり;qは0〜3であり;pは0〜3であり;ただし、n+m≧1、n+p≦3、及びm+q≦3である;
【0085】
(c)式R(OR(O(O)CR3−n−pSi−SiR(O(O)CR(OR3−m−q
及びRは独立に、H、又はC〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;R及びRは独立に、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;R及びRは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;nは0〜3であり;mは0〜3であり;qは0〜3であり;pは0〜3であり;ただし、n+m≧1、n+p≦3、及びm+q≦3である;
【0086】
(d)式R(OR(O(O)CR3−n−pSi−R−SiR(O(O)CR(OR3−m−q
及びRは独立に、H、又はC〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;R、R及びRは独立に、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;R及びRは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;nは0〜3であり;mは0〜3であり;qは0〜3であり;pは0〜3であり;ただし、n+m≧1、n+p≦3、及びm+q≦3である;
【0087】
(e)式(R(OR(O(O)CR4−(n+p)Si)CH4−t
は独立に、H、又はC〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;Rは独立に、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の飽和、単一又は複数不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は十分にフッ素化された炭化水素であり;Rは独立に、H、C1〜の、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;nは1〜3であり;pは0〜3であり;tは2〜4であり;ただし、n+p≦4である;
【0088】
(f)式(R(OR(O(O)CR4−(n+p)Si)NH3−t
は独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;Rは独立に、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の飽和、単一又は複数不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は十分にフッ素化された炭化水素であり;Rは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;nは1〜3であり;pは0〜3であり;tは1〜3であり;ただし、n+p≦4である;
【0089】
(g)式(OSiRの環状シロキサン
及びRは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり;xは2〜8の整数であってよい;
【0090】
(h)式(NRSiRの環状シラザン
及びRは独立に、X、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり;xは2〜8の整数であってよい;
【0091】
(i)式(CRSiRの環状カルボシラン
及びRは独立に、X、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている基であり;xは2〜8の整数であってよい;
【0092】
(A)(2)少なくとも1つの前駆体から区別されるポロゲン、このポロゲンは、以下のものの少なくとも1つである:
【0093】
(a)環状構造及び式C2nを有する少なくとも1つの環状炭化水素化合物
nは4〜14であり、環状構造中の炭素の数が4及び10の間であり、少なくとも1つの環状炭化水素が随意に、環状構造上に置換された複数の単純な又は分岐した炭化水素を有する;
【0094】
(b)一般式C(2n+2)−2yの少なくとも1つの直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の炭化水素
n=2−20であり、y=0−nである;
【0095】
(c)環状構造及び式C2n−2xを有する少なくとも1つの一不飽和又は多不飽和の環状炭化水素
xは不飽和部位の数であって、nは4〜14であり、環状構造中の炭素の数は4及び10の間であり、少なくとも1つの一不飽和又は多不飽和の環状炭化水素は随意に、環状構造上に置換された複数の単純な又は分岐した炭化水素を有し、かつ環内不飽和又は炭化水素置換基の1つの上の不飽和を有する;
【0096】
(d)二環構造及び式C2n−2を有する少なくとも1つの二環炭化水素
nは4〜14であり、二環構造中の炭素の数は4〜12であり、この少なくとも1つの二環炭化水素は随意に、二環構造上に置換された複数の単純な又は分岐した炭化水素を有する;
【0097】
(e)二環構造及び式C2n−(2+2x)を有する少なくとも1つの多重に不飽和の二環炭化水素
xは不飽和部位の数であり、nは4〜14であり、二環構造中の炭素の数は4〜12であり、この少なくとも1つの多重に不飽和の二環炭化水素は随意に、二環構造上に置換された複数の単純な又は分岐した炭化水素を有し、かつ環内不飽和又は炭化水素置換基の1つ上の不飽和を有する;及び/又は
【0098】
(f)三環構造及び式C2n−4を有する少なくとも1つの三環炭化水素
nは4〜14であり、三環構造中の炭素の数が4〜12であり、この少なくとも1つの三環炭化水素は随意に、環状構造上に置換された複数の単純な又は分岐した炭化水素を含有する。
【0099】
前駆体を含む組成物のある実施形態において、組成物は好ましくは、下記の(a)及び/又は(b)を含有する:
【0100】
(a)(i)ジエトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシラン、ジ−イソプロポキシメチルシラン、ジ−t−ブトキシメチルシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリ−イソプロポキシシラン、メチル−t−ブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−イソプロポキシシラン、ジメチルジ−t−ブトキシシラン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチル−シクロテトラシロキサン、及びテトラエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つの前駆体、及び
(ii)この少なくとも1つの前駆体から区別され、かつα−テルピネン、リモネン、シクロヘキサン、1,2,4−テトラメチルシクロヘキサン、1,5−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン、カンフェン、アダマンタン、1,3−ブタジエン、置換されたジ塩及びデカヒドロナフタレンからなる群から選択されるポロゲン;
【0101】
(b)(i)トリメチルシラン、テトラメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシラン、ジターシャリーブトキシメチルシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルジアセトキシシラン、メチルエトキシジシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ジメチルジアセトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(ジメトキシシリル)メタン、テトラエトキシシラン、及びトリエトキシランからなる群から選択される少なくとも1つの前駆体、及び
(ii)α−テルピネン、ガンマ−テルピネン、リモネン、ジメチルヘキサジエン、エチルベンゼン、デカヒドロナフタレン、2−カレン、3−カレン、ビニルシクロヘキセン、及びジメチルシクロオクタジエン。
【0102】
ある実施形態において、この組成物は好ましくは、下記の成分を含有する:
(a)(i)ジエトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシラン、ジ−イソプロポキシメチルシラン、ジ−t−ブトキシメチルシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリ−イソプロポキシシラン、メチルトリ−t−ブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−イソプロポキシシラン、ジメチルジ−t−ブトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシラン、ジターシャリーブトキシメチルシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルジアセトキシシラン、メチルエトキシジシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ジメチルジアセトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(ジメトキシシリル)メタン、テトラエトキシシラン、トリエトキシシラン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3−テトラエトキシ−1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジメチル−1,3−ジエトキシ−1.3−ジシラシクロブタン、1,3−ジアセトキシ−1,3−メチルー1,3−ジシラシクロブタン、1,1,3,3−テトラアセトキシー1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジシラブタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサメトキシ−1,3−ジシラプロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサエトキシ−1,3−ジシラプロパン、1,3−ジシラプロパン、1,1,1−テトラメトキシ−1,3−ジシラプロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサアセトキシ−1,3−ジシラプロパン、1,1,1−テトラエトキシ−1,3−ジシラプロパン、1,3−ジシラシクロブタン、1,3−ジエトキシ−1,3−ジシラブタン、1,3−ジエトキシ−1−メチル−1,3−ジシラブタン、1,1,3,3−テトラエトキシ−1−メチル−1,3−ジシラブタン、1,1,3,3−テトラメトキシ−1−メチル−1,3−ジシラブタン、1,1,3,3−テトラアセトキシ−1−メチル−1,3−ジラブタン、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの前駆体;及び
(ii)少なくとも1つの前駆体から区別されるポロゲンであって、シクロオクテン、シクロヘプテン、シクロオクタン、シクロオクタジエン、シクロヘプタン、シクロヘプタジエン、シクロヘプタトリエン、及びそれらの混合物からなる群から選択されるポロゲン。
【0103】
本発明の組成物は、さらに、例えば、ポロゲン、非ポロゲン化前駆体、及び/又はポロゲン化前駆体のプロセス反応器への送達を可能とするための適切なバルブ及び継手を具備している少なくとも1つの圧縮可能な容器(好ましくはステンレス鋼)を含むことができる。容器の内容物は予め混合することができる。別法として、ポロゲン及び前駆体は、別々の容器中に、又はこのポロゲン及び前駆体を貯蔵の間に別々に維持するための分離手段を有する単一の容器中に維持することができる。そのような容器は、所望の場合、ポロゲン及び前駆体を混合するための手段を有することもできる。
【0104】
このポロゲンは、熱アニール、紫外線放射への曝露、化学的処理、in−situ又は遠隔プラズマ処理、光硬化及び/又はマイクロ波を含む硬化工程によって、予備的(又は蒸着された)フィルムから除去される。他のin−situ又は蒸着後処理を用いて、硬度、安定性(収縮に対する安定性、空気曝露に対する安定性、エッチングに対する安定性、湿式エッチングに対する安定性等)、一体性、均一性、及び接着性のような物質の特性を促進できる。そのような処理は、ポロゲン除去で用いるのと同一の又は異なる手段を用いて、ポロゲン除去に先立って、ポロゲン除去の間に、及び/又はポロゲン除去の後に、フィルムに適応することができる。本明細書中で用いる用語「後処理」は、フィルムをエネルギー(例えば、熱的、プラズマ、フォトン、電子、マイクロ波等)に適用して、又はフィルムを化学物質で処理して、ポロゲンを除去し、随意に物質の特性を促進することを示す。
【0105】
後処理を行う条件はかなり変化させることができる。例えば、後処理は高圧下又は真空雰囲気下で行うことができる。
【0106】
アニールは以下の条件下で行う。
【0107】
雰囲気は、不活性(例えば、窒素、CO、希ガス(He、Ar、Ne、Kr、Xe等)、酸化性(例えば、酸素、空気、希薄な酸素雰囲気、豊富化された酸素雰囲気、オゾン、亜酸化窒素等)、又は還元性(希薄な又は濃厚な水素、炭化水素(飽和、不飽和、直鎖又は分岐鎖、芳香族)等)であってよい。圧力は、好ましくは、約1Torr〜約1000Torr、より好ましくは大気圧である。しかしながら、真空雰囲気もまた、熱アニールならびにいずれかの他の後処理手段で可能である。温度は、好ましくは、200〜500℃であり、温度ランプ速度は0.1〜100℃/分である。合計アニール時間は、好ましくは、0.01分〜12時間である。
【0108】
有機シリカガラスフィルムの化学的処理は、以下の条件下で行う。
【0109】
最終物質の特性を高める、フッ素化(HF、SiF、NF、F、COF、CO等)、酸化(H、O等)、化学的乾燥、メチル化、又は他の化学的処理の使用。そのような処理で用いる化学物質は、固体、液体、気体及び/又は超臨界流体状態であってよい。
【0110】
有機シリケートフィルムからのポロゲンの選択的除去のための超臨界流体後処理は、以下の条件下で行う。
【0111】
流体は、二酸化炭素、水、亜酸化窒素、エチレン、SF、及び/又は他のタイプの化学物質であってよい。他の化学物質を超臨界流体に加えて、プロセスを促進することができる。化学物質は、不活性(例えば、窒素、CO、希ガス(He、Ar、Ne、Kr、Xe)等)、酸化性(例えば、酸素、オゾン、亜酸化窒素等)、又は還元性(例えば、希薄な又は濃厚な炭化水素、水素等)であってよい。温度は好ましくは、雰囲気温度〜500℃である。化学物質は、界面活性剤のようなより大きな化学種も含むことができる。合計曝露時間は、好ましくは、0.01分〜12時間である。
【0112】
不安定基の選択的除去、及び有機シリカガラスフィルムの可能な化学的修飾のためのプラズマ処理は、以下の条件下で行う。
【0113】
雰囲気は、不活性(窒素、CO、希ガス(He、Ar、Ne、Kr、Xe)等)、酸化性(例えば、酸素、空気、希薄な酸素の雰囲気、豊富化された酸素雰囲気、オゾン、亜酸化窒素等)、又は還元性(例えば、希薄な又は濃厚な水素、炭化水素(飽和、不飽和、直鎖又は分岐鎖、芳香族等)であってよい。プラズマ出力は好ましくは、0〜5000Wである。温度は好ましくは、雰囲気温度〜500℃である。圧力は、好ましくは、10mTorr〜大気圧である。合計硬化時間は好ましくは、0.01分〜12時間である。
【0114】
有機シリケートフィルムからのポロゲンの選択的除去のための光硬化は、以下の条件下で行う。
【0115】
雰囲気は、不活性(例えば、窒素、CO、希ガス(He、Ar、Ne、Kr、Xe)等)、酸化性(例えば、酸素、空気、希薄な酸素雰囲気、豊富化された酸素雰囲気、オゾン、亜酸化窒素等)、又は還元性(例えば、希薄な又は濃厚な炭化水素、水素等)であってよい。温度は好ましくは、雰囲気温度〜500℃である。出力は好ましくは、0〜5000Wである。波長は好ましくは、IR、可視光線、UV、又は深UV(波長<200nm)である。合計アニール時間は好ましくは0.01分〜12時間である。
【0116】
有機シリケートフィルムからのポロゲンの選択的除去のためのマイクロ波後処理は、以下の条件下で行う。
【0117】
雰囲気は、不活性(例えば、窒素、CO、希ガス(He、Ar、Ne、Kr、Xe)等)、酸化性(例えば、酸素、空気、希薄な酸素雰囲気、豊富化された酸素雰囲気、オゾン、亜酸化窒素等)、又は還元性(例えば、希薄な又は濃厚な炭化水素、水素等)であってよい。温度は、好ましくは、雰囲気温度〜500℃である。出力及び波長は様々であり、特定の結合に対して調節可能である。合計硬化時間は好ましくは、0.01分〜12時間である。
【0118】
有機シリケートフィルムからのポロゲン又は特異的化学種の選択的除去、及び/又はフィルム特性の改良のための電子線後処理は、以下の条件下で行う。
【0119】
雰囲気は、真空、不活性(例えば、窒素、CO、希ガス(He、Ar、Ne、Kr、Xe)等)、酸化性(例えば、酸素、空気、希薄な酸素雰囲気、豊富化された酸素雰囲気、オゾン、亜酸化窒素等)、又は還元性(例えば、希薄な又は濃厚な炭化水素、水素等)であってよい。温度は、好ましくは雰囲気温度〜500℃である。電子密度及びエネルギーは様々であり、特定の結合に対して調節可能である。合計硬化時間は、好ましくは、0.001分〜12時間であり、連続的又はパルス状であってもよい。電子線の一般的使用に関するさらなるガイドラインは、S.Chattopadhyay et al.,Journal of Materials Science,36(2001)4323−4330;G.Kloster et al.,Proceedings of IITC,June 3−5,2002,SF,CA;及び米国特許第6,207,555号、米国特許第6,204,201号、及び米国特許第6,132,814号のような刊行物で入手可能である。電子線処理の使用は、ポロゲン除去、マトリックス中の結合形成プロセスによるフィルム機械的特性の促進を提供することができる。
【0120】
以下の実施例を参照して本発明をより詳細に説明するが、本発明はそれに限定されるとみなされないことを理解すべきである。
【実施例】
【0121】
全ての実験は、ドープされていないTEOSプロセスキットを用い、Advance Energy 2000 高周波ジェナレータを備えた200mm DxZチャンバー中のApplied Materians Precision−5000システムで行った。レシピは、以下の基本的な工程に関連している:ガス流、蒸着、及びウエハー除去に先立つチャンバーのパージ/排気の最初の設定及び安定化。フィルムをN下で425℃にて管状炉中で4時間アニールした。
【0122】
厚み及び屈折率は、SCI Filmtek 2000レフレクトメーターで測定した。誘電定数は、低抵抗率p型ウエハー(<0.02オーム−cm)についてのHgプローブ技術を用いて決定した。機械的特性は、MTS Nano圧子を用いて決定した。熱的安定性及びオフ−ガス生成物は、Thermo TA Instruments 2050 TGAでの熱重量分析によって決定した。組成のデータは、Physical Elctronics 5000LSについてのx−線光電子分光分析(XPS)によって得られた。表中で報告された原子%値は水素を含まない。
【0123】
多孔度を有機シリカガラスフィルムに導入するために3つの経路を選択した。k<2.6の低kフィルムを生じさせるのに調べた最初の経路は、プラズマ促進化学気相蒸着(PE−CVD)によって、有機シリカガラスとポロゲンとしての熱的に不安定な有機オリゴマーを共蒸着させ、次いで蒸着したオリゴマーを、熱的アニール工程において除去した。
【0124】
《実施例1A》
オキシダントがない雰囲気において、PE−CVDで、α−テルピネン(ATP)を、シリコンウエハー上にジエトキシメチルシラン(DEMS)と共蒸着させた。プロセス条件はジエトキシメチルシラン中のα−テルピネンの39.4容量%混合物の700mg/分の流れであった。500sccmのCOのキャリアガス流を用いて、化学物質を蒸着チャンバーに導いた。
【0125】
さらなるプロセス条件は以下のとおりであった:5Torrのチャンバー圧力、150℃のウエハーチャック温度、0.26インチのウエハー−シャワーヘッド間隔、及び180秒間にわたる300Wのプラズマ出力。
【0126】
蒸着されたフィルムは、650nmの厚み及び2.8の誘電定数を有していた。フィルムを窒素下において425℃で4時間アニールして、XPSによって証明されるように、導入されたα−テルピネンの実質的に全てを除去した。
【0127】
図1は、アニールの前(より明るい線)及び後(より暗い線)の赤外スペクトルを示し、これは、ポロゲンの除去を示す。アニールされたフィルムは、492nmの厚み、及び2.4の誘電定数を有していた(後の表2参照)。図4は、フィルムの熱重量分析結果を示しており、これは熱的処理の間に起こる重量損失を示している。
【0128】
《実施例1B》
オキシダントがない雰囲気において、PE−CVDで、α−テルピネンを、シリコンウエハー上にジエトキシメチルシランと共に共蒸着した。プロセス条件は、ジエトキシメチルシラン中のα−テルピネンの70容量%混合物の1300mg/分の流れであった。500sccmのCOのキャリアガス流を用いて、化学物質のガス流へ、蒸着チャンバーへ捕獲した。
【0129】
さらなるプロセス条件は以下のとおりであった:8Torrのチャンバー圧力、200℃のウエハーチャック温度、0.30インチのウエハー−シャワーヘッド間隔、及び120秒間にわたる600Wのプラズマ出力。
【0130】
蒸着されたフィルムは、414nmの厚み、及び2.59の誘電定数を有していた。フィルムは窒素下において425℃にて4時間アニールして、導入されたα−テルピネンを実質的に全て除去した。アニールされたフィルムは、349nmの厚み、及び2.14の誘電定数を有していた(以下の表2参照)。
【0131】
《実施例1C》
アニールを400℃の低下した温度で行った以外は、実施例1Aに実質的に従い、フィルムを調製し、アニールした。波数を含めた得られたフィルムの赤外スペクトルを図2に示す。ポロゲンであるα−テルピネンの赤外スペクトルを、比較のために図3に示す。
【0132】
《実施例1D(比較)》
フィルムは、ポロゲンを用いない以外は、実施例1Aに実質的に従って調製し、アニールした。フィルムは2.8の誘電定数、及び実施例1Aのアニールされたフィルムと実質的に同一な組成を有していた(表1及び2参照)。
【0133】
《実施例1E(比較)》
プラズマ出力が400Wである以外は、実施例1Dに実質的に従って、フィルムを調製し、アニールした。フィルムは、2.8の誘電定数、及び実施例1Aのアニールされたフィルムと実質的に同一な組成を有していた(表1及び2参照)。
【0134】
《実施例1F》
プロセス条件は、ジ−t−ブトキシメチルシラン(DtBOMS)中のα−テルピネン(ATP)の75容量%混合物の1000mg/分の流れであった以外は、実施例1Aに実質的に従って、フィルムを調製し、アニールした。500sccmのCOのキャリアガス流を用いて、化学物質を蒸着チャンバーに導いた。
【0135】
さらなるプロセス条件は以下のとおりであった:7Torrのチャンバー圧力、215℃のウエハーチャック温度、0.30インチのウエハー−シャワーヘッド間隔、及び240秒間にわたる400Wのプラズマ出力。
【0136】
蒸着させたフィルムは、540nmの厚み、及び2.8の誘電定数を有していた。フィルムを窒素下において425℃にて4時間アニールして、導入されたα−テルピネンを実質的に除去した。アニールされたフィルムは、474nmの厚み、及び2.10の誘電定数を有していた。弾性率及び硬度はそれぞれ、2.23及び0.18GPaであった。
【0137】
《実施例1G》
オキシダントがない雰囲気において、PE−CVDで、α−テルピネンを、シリコンウエハー上にジ−t−ブトキシメチルシランと共蒸着させた。プロセス条件は、ジ−t−ブトキシメチルシラン中のα−テルピネンの75容量%混合物の700mg/分の流れであった。500sccmのCOのキャリアガス流を用いて、化学物質を蒸着チャンバーに導入した。
【0138】
さらなるプロセス条件は以下のとおりであった:9Torrのチャンバー圧力、275℃のウエハーチャック温度、0.30インチのウエハー−シャワーヘッド間隔、及び240秒間にわたる600Wのプラズマ出力。
【0139】
蒸着したフィルムは、670nmの厚み、及び2.64の誘電定数を有していた。フィルムを窒素下において425℃にて4時間アニールして、全ての導入されたα−テルピネンを実質的に全て除去した。アニールされたフィルムは、633nm、及び2.19の誘電定数を有していた。弾性率及び硬度はそれぞれ、3.40及び0.44GPであった。
【0140】
《実施例2》
k<2.6を有する低kフィルムを生じさせるのに調査した第3の経路は、有機ケイ素前駆体を、大きな熱的不安定基が付着しているシリカ前駆体と物理的に混合するものであった。
【0141】
この経路の効率を証明するために、フルフロキシジメチルシランを以下の条件でTMCTSと共蒸着させた:TMCTS中のフルフロキシジメチルシランの11%混合物の1000mgの流れ、及び500sccmのHeのキャリアガス流れ、6Torrのチャンバー圧力、150℃のウエハーチャック温度、0.26インチのウエハー−シャワーヘッド間隔、及び40秒間にわたる300Wのプラズマ出力。
【0142】
蒸着したフィルムは、1220nmの厚み、及び3.0の誘電定数を有していた。フルフロキシを含有していることは、蒸着したフィルムのFT−IRによって示された。窒素中における400℃での1時間にわたる熱的後処理の後で、kは2.73に低下していた。この場合、熱的アニールの後においてさえ、導入されたフルフロキシ基の有意な部分が残っていたようである。
【0143】
これまでの実施例は、種々の官能基を蒸着フィルムに導入する能力、より重要には、k<2.6の材料を可能とするポロゲンの適切な選択の重要性を示す。種々の他のポロゲンが、これらの経路を用いて機能することもできる。最適な低誘電定数を提供するために、k<2.6を有する材料は、有機シリカガラスネットワークへの有機基導入の適切なタイプ及び量を提供することができる良好なネットワーク形成性オルガノシラン/オルガノシロキサン前駆体を必要とする。
【0144】
有機シリカガラスフィルムを生じさせるのにオキシダントの添加を必要としないネットワーク形成性前駆体を用いるのが好ましい。これは、酸化を受けやすい炭化水素に基づく細孔形成性前駆体を用いる場合に特に重要である。酸化は蒸着の間に細孔形成剤の有意な変化を引き起こし、これは、続くアニールプロセスの間に細孔形成剤が除去される能力を妨げ得る。
【0145】
【表1】

【0146】
【表2】

【0147】
蒸着されたままのジエトキシメチルシラン/α−テルピネンフィルムのIRスペクトルと、Nで熱的に後処理されたジエトキシメチルシラン/α−テルピネンフィルムのIRスペクトルとの比較は、不活性雰囲気における熱的後処理が、ポロゲンの選択的除去及び有機シリカガラス格子の保持に関して良好に機能していることを示す。熱的アニール後に、1275cm−1のSi−CH吸収に実質的に変化はない(Si−CHは有機シリカガラスネットワークに関連する)。しかしながら、3000cm−1近くのC−H吸収の劇的な低下がみられ、これは、α−テルピネンに関連する実質的に全ての炭素が除去されていることを示唆する。α−テルピネンについてのIRスペクトルは、図3を参照して示される。
【0148】
このアニールの追加の利点は、2240及び2170cm−1におけるSi−H吸収の有意な低下であるように見え、これはフィルムをより疎水性にする。したがって、本発明のある実施形態では、フィルムの各Si原子は、1以下のH原子に結合している。しかしながら、他の実施形態において、Si原子に結合しているH原子の数は、そのように制限されない。
【0149】
組成分析は、425℃における4時間のアニール後のジエトキシメチルシラン−α−テルピネンフィルム(実施例1A)が、同様にして蒸着され、かつアニールされたジエトキシメチルシランフィルムと実質的に同一な組成を有することを示す(実施例1D)。アニールされる前のジエトキシメチルシラン−α−テルピネンフィルムは、フィルム中に実質的に比較的多量の炭素に基づく物質が存在することを示す(IR分析は、この炭素に基づく物質が、α−テルピネンに非常に似ていることを裏付けている(図3参照))。これは、α−テルピネンと共蒸着された場合にジエトキシメチルシランフィルムへ導入されたポロゲン物質は、熱的後処理プロセスによって実質的に完全に除去されるという主張を裏付けている。
【0150】
熱重量分析(図4)は、さらに、蒸着物質の有意の重量損失が、350℃を超える温度まで加熱した場合に経験され、これは、アニールの間のポロゲン除去の更なる証拠であることを示す。観察されたフィルム収縮は、ポロゲンの除去の際に有機シリカガラスネットワークのいくつかの部分が崩壊することによって引き起こされるようである。しかしながら、有機シリカガラスネットワークからの有機基の損失はほとんどなく、すなわちジエトキシメチルシラン内の末端メチル基はほとんど保持されている(表1で示されるジエトキシメチルシランフィルムについての熱的処理の前及び後のXPSデータを参照)。これは、IRスペクトル中の波数約1275における比較的同等なSi−CHバンドによって裏付けられる。この物質の疎水性は、IRスペクトル中のSi−OH基の欠如によって実質化される。アニール後のフィルムの屈折率及び誘電定数の減少は、フィルム厚みの減少に拘わらず、それらが予めアニールしたフィルムよりも密でないことを示唆する。
【0151】
陽電子対消滅寿命分光分析(PALS)は、約1.5nmの相当球直径範囲における試料1A、1B、及び1Fについての細孔サイズを示す。また、上記のGrill et alの研究とは異なり、組成変化と組合せた厚み損失の分析(実施例1A)は、有機シリカガラスネットワークがアニールの間に保持され、有意に劣化しないことを示す。
【0152】
《実施例3》
改良された機械的特性/環状ポロゲン
いくつかのフィルムを、先に詳細に記載したようにApplied Materills Precision 5000 Platformで調製した。UV処理は融合ブロードバンドUVバルブで行った。多孔性フィルムの機械的特性は、MTS AS−1 ナノ圧子でのナノ押し込み硬度計によって測定した。
【0153】
表3を参照すると、2.5の誘電定数を有するジエトキシメチルシラン/シクロオクタンフィルムは、同一の誘電定数を有するジエトキシメチルシラン/α−テルピネンフィルムと比較して、35%大きい弾性率を有する。シクロオクタンは、炭素−炭素二重結合を有し、ペンダント又は分岐構造は有さず、他方でα−テルピネンは、2つの炭素−炭素二重結合を有し、炭素環上に置換されたメチル及びプロピル基を有する分岐構造である。α−テルピエンのイオン化エネルギーは、シクロオクタンのイオン化エネルギーよりも2eV近く小さいことが計算された。これは、オルガノシラン前駆体の更なる断片化をもたらし、結果として、有機シリカガラスネットワークへの比較的少ないメチルの導入をもたらすと考えられる。
【0154】
【表3】

【0155】
表4で参照されるように、ポロゲン前駆体と混合されたジエトキシメチルシランについての実験を行った。ここでは、分子当たりの炭素の数は一定に保持した。データは、低い度合いの不飽和を有する環状非分岐構造が、高い機械的強度のフィルムを生じるのに好ましいポロゲン前駆体であることを示す。非環状でかつ分岐しているイソオクタンによって生産されたフィルムでは、最低の硬度値がもたらされている。環状の非分岐で1つの飽和部分を有するシクロオクタンによって生産されたフィルムでは、最高の硬度値がもたらされている。
【0156】
【表4】

【0157】
表5で参照されるように、リストされたポロゲン前駆体を使用し、2.27及び2.46の間の誘電定数を有するフィルムを作成した。2.26及び2.27の間の対応する誘電定数において、前駆体として1,5−シクロオクタジエン(不飽和度3)を使用するジエトキシメチルシランフィルムは、前駆体としてメチルシクロペンタジエンダイマー(不飽和度5)を用いるフィルムよりも40%高い弾性率を有する。2.41及び2.46の間の対応する誘電定数においては、シクロヘプタンを使用するジエトキシメチルシランフィルム(不飽和度1)は、ビニルシクロヘキサン(不飽和度2)を用いるフィルムよりも9%高い弾性率を有する。
【0158】
【表5】

【0159】
《実施例4−フィルム特性》
図5で参照されるように、蒸着されたポロゲン構造は、FT−IRにおいて、3100〜2800cm−1波数範囲の吸着によって特徴付けられる。約2960cm−1を中心とするピークは、−CH伸縮モードに帰属され、他方で約2930cm−1を中心とするピークは、−CH伸縮モードに帰属される。図6で参照されるように、環状の分岐していないポロゲン前駆体は、複合体フィルムにおいて、比較的多くのポリエチレン(−CH)様ポロゲンをもたらす。図5は、この物質について、2930cm−1を中心とするピークが、2960cm−1を中心とするピークよりもかなり高いことを示す。特定の理論に拘束されるつもりはないが、シクロオクタン(及び他の好ましいポロゲン)から蒸着されたポリエチレン様有機物質は、フィルムから除去するのがより容易であり、硬化チャンバー内部に光吸収残基(例えば不飽和基、共役基、芳香族炭素基)を比較的蓄積させないと考えられる。出願人らは、驚くべきことに、この効果が、蒸着及びUV硬化チャンバーを洗浄するのに必要な時間を低下させ、全スループットを改良することを発見した。
【0160】
例えば、図7で参照されるように、環状の、非分岐の、不飽和のポロゲン前駆体が、他のポロゲンと比較して、ポロゲン除去後に269nmにおいてUVシグナルをあまりブロックしないことが明らかである。前者のフィルムで必要な硬化プロセス後の洗浄時間が短くなったことも観察された。図7において、シクロオクタン(飽和度1の環状の非分岐前駆体)からの流出残渣は、チャンバー窓でのUV強度のブロックが比較的小さく、リモネン(不飽和度1の環状分岐)と比較して、短いチャンバー洗浄時間をもたらす。
【0161】
図8、9及び10で参照されるように、本発明者らは、不飽和度が小さい環状非分岐ポロゲン前駆体を使用することによって、多孔性フィルムにおいて比較的少ないケイ素−メチル導入がもたらされることを観察した。このSi−CH/Si−O種の比率は、フィルムのネットワーク結合の尺度であり、フィルム弾性率及び隣接するバリア層への接着に直接的に関連することが示された。特定の理論に拘束されるつもりはないが、この分類のポロゲンは、得られるフィルムにおいて比較的頑強な有機シリケートネットワークの形成を可能とすると考えられる。
【0162】
《実施例5》
フィルム5−A及び5−Bについては、PE−CVDでシリコンウエハー上に、1,3−ジシラブタンをシクロオクタンと共蒸着させた。10sccmのOに加えて、200sccmのCOを用い、蒸着チャンバーに化学物質を誘導した。フィルムは1〜20Torrの流動するヘリウム下で広いバンドUV照射への暴露によって硬化させた。表6における相対的化学種濃度は、FT−IRピーク領域を用いて見積もられた。データは以下の波数範囲から積分した。SiCH(1250〜1300cm−1)、Si−CH−Si(1340〜1385cm−1)、Si−O(950〜1250cm−1)。
【0163】
図11に示すように、フィルム5−A及び5−Bは、1360cm−1範囲における増大したFT−IRシグナルを有し、これは、Si−CH−Siタイプの種の増加を示す。さらに、表6は、フィルム5−A及び5−Bが、ジエトキシメチルシラン(DEMS)及びα−テルピネン(ATP)を用いて蒸着されたフィルムと比較して、メチレンのSiOに対する比率が大きいことを示す。
【0164】
【表6】

【0165】
《実施例6》
フィルム6A〜6Dについては、PE−CVDでシリコンウエハーに、ビス−トリエトキシシリルメタンをシクロオクタンと共蒸着した。20sccmのOに加えて200sccmのCOを使用して、蒸着チャンバーへ化学物質を誘導した。フィルムは1〜200Torrの流動するヘリウム下において広いバンドUV照射への曝露によって、硬化させた。機械的特性及び誘電定数を表7に示す。ここで示されているように、この化学的組合せ及び好ましいポロゲンを用いて、1.92の誘電定数を有するフィルムで2.85GPaの弾性率を到達した。
【0166】
【表7】

【0167】
本発明を、いくつかの好ましい実施形態に関して、記載してきたが、本発明の範囲はそれらの実施形態よりも広いと考えられ、以下の請求の範囲から確認すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式によって表される多孔性有機シリカガラスフィルムを製造するための化学気相蒸着方法であって:
式Si
(式中、v+w+x+y+z=100原子%、vは10〜35原子%、wは10〜65原子%、xは5〜30原子%、yは10〜50原子%、かつzは0〜15原子%である)
下記の工程を含む、化学気相蒸着方法:
基材を真空チャンバー内に提供すること;
真空チャンバー内に、オルガノシラン及びオルガノシロキサンからなる群から選択される少なくとも1種の前駆体、及び前駆体から区別しうるポロゲンを含むガス状試薬を導入すること、ここで、ポロゲンは非分岐構造を有しかつ2以下の不飽和度を有するC〜C14環状炭化水素化合物である;
エネルギーを真空チャンバー中のガス状試薬に適用してガス状試薬の反応を誘導し、予備的フィルムを基材上に蒸着させること、ここで、予備的フィルムはホロゲンを含有する;及び
不安定有機物質の実質的全てを予備的フィルムから除去して細孔を有しかつ誘電定数が2.6未満である多孔性フィルムを提供すること。
【請求項2】
前記誘電定数が2.2未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
vが20〜30原子%であり、wが20〜45原子%であり、xが5〜20原子%であり、yが15〜40原子%であって、zが0である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記エネルギーがプラズマエネルギーであって、前記ポロゲンが紫外線照射への曝露によって除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記多孔性フィルム中の水素のほとんどが炭素に結合している、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記多孔性フィルムが1.5g/ml未満の密度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記細孔が5nm以下の球体相当直径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記多孔性フィルムのフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルが、ポロゲン前駆体がないことを除いて前記方法と実質的に同一の方法によって調製された対照フィルムの対照FTIRと実質的に同一である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記多孔性フィルムがN中で425℃の等温下で1.0wt%/時間未満の平均重量損失を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記多孔性フィルムが空気中で425℃の等温下で1.0wt%/時間未満の平均重量損失を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ポロゲンがC〜C10環状炭化水素化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ポロゲンがシクロオクタン、シクロヘプタン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロヘプテン、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ポロゲンがC環状炭化水素化合物である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記ポロゲンがシクロオクタン、シクロオクテン、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ポロゲンがシクロオクタンである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記オルガノシロキサンがジエトキシメチルシラン(DEMS)である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1種の前駆体が下記の式によって表される、請求項13に記載の方法:
(a)式R(OR(O(O)CR4−(n+p)Si
(式中、Rは独立に、H、又はC〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;Rは独立に、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;Rは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;nは1〜3であり;pは0〜3である);
(b)式R(OR(O(O)CR3−n−pSi−O−SiR(O(O)CR(OR3−m−q
(式中、R及びRは独立に、H、又はC〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;R及びRは独立に、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;R及びRは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;nは0〜3であり;mは0〜3であり;qは0〜3であり;pは0〜3であり;ただし、n+m≧1、n+p≦3、及びm+q≦3である);
(c)式R(OR(O(O)CR3−n−pSi−SiR(O(O)CR(OR3−m−q
(式中、R及びRは独立に、H、又はC〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;R及びRは独立に、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;R及びRは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;nは0〜3であり;mは0〜3であり;qは0〜3であり;pは0〜3であり;ただし、n+m≧1、n+p≦3、及びm+q≦3である);
(d)式Rn(OR(O(O)CR3−n−pSi−R−SiR(O(O)CR)q(OR3−m−q
(式中、R及びRは独立に、H、又はC〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;R、R及びRは独立に、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;R及びRは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;nは0〜3であり;mは0〜3であり;qは0〜3であり;pは0〜3であり;ただし、n+m≧1、n+p≦3、及びm+q≦3である);
(e)式(R(OR(O(O)CR4−(n+p)Si)CH4−t
(式中、Rは独立に、H、又はC〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;Rは独立に、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;Rは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;nは1〜3であり;pは0〜3であり;tは2〜4であり;ただし、n+p≦4である);
(f)式(R(OR(O(O)CR4−(n+p)Si)NH3−t
(式中、Rは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;Rは独立に、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;Rは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、芳香族の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;nは1〜3であり;pは0〜3であり、tは1〜3であり;ただし、n+p≦4である);又は
(g)式(OSiRの環状シロキサン
(式中、R及びRは独立に、H、C〜Cの、直鎖又は分岐鎖の、飽和、一不飽和又は多不飽和の、環状の、部分的に又は完全にフッ素化されている炭化水素であり;xは2〜8の整数である)。
【請求項18】
前記少なくとも1種の前駆体が、ジエトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシラン、ジイソプロポキシメチルシラン、ジ−t−ブトキシメチルシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリ−t−ブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジ−t−ブトキシシラン、及びテトラエトキシシランからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1種の前駆体が、2以下のSi−O結合を有する第1の有機ケイ素前駆体、及び3以上のSi−O結合を有する第2の有機ケイ素前駆体の混合物であって、前記混合物が、多孔性フィルムの化学組成を調整するように提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記ガス状試薬が、ジエトキシメチルシラン及びテトラエトキシシランの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
下記の成分を含有する、組成物:
(a)(i)ジエトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシラン、ジ−イソプロポキシメチルシラン、ジ−t−ブトキシメチルシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリ−イソプロポキシシラン、メチルトリ−t−ブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−イソプロポキシシラン、ジメチルジ−t−ブトキシシラン、及びテトラエトキシシラン、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシラン、ジターシャリーブトキシメチルシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルジアセトキシシラン、メチルエトキシジシロキサン、ジメチルジアセトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(ジメトキシシリル)メタン、テトラエトキシシラン、トリエトキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の前駆体;及び
(ii)前記少なくとも1種の前駆体から区別されうるポロゲンであって、シクロオクテン、シクロヘプテン、シクロオクタン、シクロオクタジエン、シクロヘプタン、シクロヘプタジエン、シクロヘプタトリエン、及びそれらの混合物から選択されるポロゲン。
【請求項22】
前記ポロゲン及び前記前駆体が、別々の容器に維持されるキットで提供される、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記容器の少なくとも1つが、圧縮可能なステンレス鋼容器である、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記ポロゲン及び前記前駆体が、前記ポロゲン及び前記前駆体を別々に維持するための分離手段を有する単一の容器中に維持さている、請求項21に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−84912(P2012−84912A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−278688(P2011−278688)
【出願日】平成23年12月20日(2011.12.20)
【分割の表示】特願2009−112216(P2009−112216)の分割
【原出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】