説明

ポンプ機場の制御装置および該制御装置を備えたポンプ機場

【課題】吸込水槽の水位が大きく低下することを防止して、安定したポンプの運転を行うことができるポンプ機場の制御装置、および該制御装置を備えたポンプ機場を提供する。
【解決手段】管路5に連結される開水路型の吸込水槽3と、該吸込水槽3に連通するポンプ1とを有するポンプ機場の制御装置であって、管路5の水深を計測する少なくとも1つの水深計16と、ポンプ機場の動作を制御する制御部20とを備え、制御部20は、水深計16によって計測された水深から、管路5を流れる水の限界流量を導出し、ポンプ機場の排水流量が限界流量を超えないようにポンプ機場の運転を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開水路式の吸込水路及び吸込水槽を備えたポンプ機場の制御装置、および該制御装置を備えたポンプ機場に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地下排水機場などポンプ機場は、吸込水路より吸込水槽を通じて流入する水をポンプにより揚水する設備である。吸込水槽が開水路式の場合、吸込水路上流部に流入する水がポンプの排水運転に追いつかないという現象が生じることがある。このような現象が生じると、吸込水路上流部に排水すべき水が有る状態で吸込水槽に設けられている水位検知器により低水位であること検知し、ポンプの運転を停止させてしまう。上流部の水が吸込水槽に到達して水位が上昇すると、ポンプが再び始動し、吸込水槽の水位が低下すると、ポンプが再び停止する。
【0003】
このようにポンプの始動と停止が繰り返されると、以下のような問題が生じる。ポンプの駆動源が電動機である場合、焼損などの故障が発生してしまう。駆動源がガソリンエンジンやガスタービンである場合、ポンプの始動指令から排水開始まである程度の時間を要し、排水の遅れが生じるおそれがある。また、ポンプ機場の故障の大半は、始動時に起こるものであり、始動を繰り返すことはポンプ機場の信頼性を著しく低下させてしまう。
【0004】
そこで、このような問題を解消するために、ポンプの台数を多くしてポンプ1台当たりの排水量を小さくする、または吸込水槽の水位信号に基づいてポンプの排水流量を調整するフィードバック制御が行われることがある。また、吸込水槽の水位に関係なく運転可能な先行待機ポンプを設置することもある。
【0005】
しかしながら、このような対策を取った場合でも、次のような問題が生じている。
ポンプの台数を多くする場合、ポンプ機場の設置に必要なスペースが大きくなるとともに、設置費用も大きくなる。また、ポンプ機場の設置スペースに制約がある場合には、ポンプの台数も制約されてしまう。
【0006】
吸込水槽の水位信号に基づいてフィードバック制御を行う場合、水位の制御にある程度の不感帯(水位の幅)を設ける必要がある。この不感帯を設けなければ、排水流量がハンチングしていまい、最悪の場合、ポンプの起動と停止の繰り返しを起こしてしまうからである。しかしながら、吸込水槽が地下水路に接続される場合においては、建設上の制約から不感帯を大きくとることが出来ない場合がある。さらに、地下水路には通常円管が用いられていることから、低水位状態において、ポンプの運転による水位変動が大きくなってしまう。このため、必要な不感帯を、通常の河川よりも大きくとらなければポンプの運転が安定しないといった問題がある。
【0007】
先行待機ポンプを用いる場合、この種のポンプは通常のポンプに比べ、効率が数%低いため、運転コストが上昇してしまう。また、低水位時の気水混合運転時においては、先行待機ポンプは通常のポンプ以上の振動を伴うため、土木躯体の強度を高めるなどの設計上の工夫が必要になるとともに、住居等の近くのポンプ機場においては、居住環境等の配慮の観点から先行待機ポンプを採用出来ない場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたもので、吸込水槽の水位が大きく低下することを防止して、安定したポンプの運転を行うことができるポンプ機場の制御装置、および該制御装置を備えたポンプ機場を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、管路に連結される開水路型の吸込水槽と、該吸込水槽に連通するポンプとを有するポンプ機場の制御装置であって、前記管路の水深を計測する少なくとも1つの水深計と、前記ポンプ機場の動作を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記水深計によって計測された水深から、前記管路を流れる水の限界流量を導出し、前記ポンプ機場の排水流量が前記限界流量を超えないように前記ポンプ機場の運転を制御することを特徴とする。
【0010】
本発明の好ましい態様は、前記制御部は、Frをフルード数、Qを限界流量、Aを流水断面積、gを重力加速度、hを前記管路の水深としたときに、式Fr=Q/(A・(g×h)0.5)から、Frを1以下として前記限界流量を求めることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記制御部は、前記ポンプ機場の排水流量qと前記限界流量Qとの偏差を求め、前記制御部には、排水流量q>限界流量Q及び排水流量q<限界流量Qとなる場合のそれぞれの偏差の所定の閾値が設定されており、前記偏差が前記閾値よりも小さい場合には、前記ポンプ機場の排水流量を徐々に上昇または減少させ、前記偏差が前記閾値以上である場合には、前記ポンプ機場の排水流量が前記限界流量に等しくなるように前記ポンプ機場の運転を制御することを特徴とする。
【0011】
本発明の好ましい態様は、前記水深計は複数であり、前記複数の水深計は、前記管路の水の流れ方向に沿って配列されており、前記制御部は、前記複数の水深計によって計測された水深から、前記複数の水深計の設置位置での限界流量を算出し、算出された前記限界流量の水が前記吸込水槽に到達する時間を予想し、前記予想された時間に、前記ポンプ機場の排水流量が前記限界流量に等しくなるように前記ポンプ機場の運転を制御することを特徴とする。
【0012】
本発明の他の態様は、管路に連結される開水路型の吸込水槽と、該吸込水槽に連通するポンプとを有するポンプ機場の制御装置であって、前記管路の水深を計測する上流側水深計および下流側水深計と、前記ポンプ機場の動作を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記上流側水深計によって計測された水深から、上流側の水深の変化率を算出し、前記下流側水深計によって計測された水深から、下流側の水深の変化率を算出し、前記下流側の水深の変化率が0以下であって、かつ前記上流側の水深の変化率よりも小さい場合は、前記ポンプ機場の排水流量を減少させることを特徴とする。
【0013】
本発明の他の態様は、管路に連結される開水路型の吸込水槽と、前記吸込水槽に連通するポンプと、前記ポンプを駆動する駆動源と、上記制御装置とを備えたことを特徴とするポンプ機場である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ポンプへの流入流量がポンプの排水流量を下回って吸込水槽水位がポンプ停止水位まで低下することがないので、ポンプの安定した運転を継続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る制御装置を備えたポンプ機場を示す模式図である。図1に示すように、このポンプ機場は、水を移送するポンプ1と、ポンプ1を駆動する駆動源2と、ポンプ1に水を送る開水路型の吸込水槽3とを備えている。吸込水槽3は管路(吸込水路)5に連結されており、この管路5から吸込水槽3に水が流れ込むようになっている。管路5は、例えば地下水路であり、その断面形状は、円形状、矩形状などである。
【0016】
ポンプ1の吸込口は吸込導管10に連結され、この吸込導管10を介してポンプ1と吸込水槽3とが連通している。ポンプ1の吐出口は吐出導管11に連結されている。この吐出導管11には逆止弁12と電動吐出弁13とが設けられている。このような構成において、駆動源2によってポンプ1を運転すると、吸込水槽3から水が吸い込まれ、吐出導管11を通じて河川などに水が移送される。なお、ポンプ1の形式は特に限定されず、立軸型、横軸型、水中型などの種々のポンプが使用できる。
【0017】
ポンプ機場は、さらに、吸込水槽3の水位を検出する水位検出器15と、管路5の水深を計測する水深計16と、ポンプ1の排水流量を測定する流量計18と、水位検出器15、水深計16、および流量計18からの信号に基づいてポンプ1の運転を制御する制御部20とを備えている。本実施形態に係る制御装置は、水深計16と制御部20とから基本的に構成される。流量計18は、吐出導管11に設けられており、電動吐出弁13よりも下流に位置している。制御部20は、図示しない記憶装置を有しており、この記憶装置には、管路5の断面形状、断面寸法、および断面積などの断面情報が記憶されている。
【0018】
図2は、制御部20の制御シーケンスを示すフローダイヤグラムである。水位検出器15は制御部20に連結されており、水位検出器15の出力信号(吸込水槽3の水位を示す信号)は、制御部20に送信されるようになっている。制御部20は、水位検出器15の出力信号を監視し、吸込水槽3の水位が所定の値(低水位)に達したときは、ポンプ1の運転を停止させるように動作する。なお、水位検出器15として、所定の水位を検出するタイプの水位検出器を用いてもよい。この場合は、吸込水槽3の水位が低下して所定の値(低水位)に達したときに水位検出器がこれを検出し、水位検出器から検出信号が制御部20に送られ、制御部20は検出信号を受けてポンプ1の運転を停止させる。
【0019】
水深計16は制御部20に連結されており、水深計16の出力信号(管路5の水深h)が制御部20に常時送られるようになっている。制御部20は、記憶装置に予め記憶されている管路5の断面形状および断面寸法と、水深計16により計測された水深hとから、管路5を流れる水の断面積を計算する。そして、制御部20は、次の式から限界流量Qを算出する。
Fr=v/(g×h)0.5=Q/(A・(g×h)0.5
ここで、Fr:フルード数、v:管路5内の水の平均流速、g:重力加速度、h:管路5の水深、Q:限界流量、A:流水断面積である。上記式において、フルード数Frは1に設定される。ただし、フルード数Frを1未満としてもよい。
なお、本実施形態においては、水深計16にて管路5の水深hを得ているが、吸込水槽3と管路5が近い場合などは、吸込水槽3内に設置されている水位検出器15を用いて、管路5の水深hを得ても構わない。
【0020】
なお、本実施形態においては、制御部20の記憶装置に管路5の断面形状および断面寸法を予め記憶させ、測定された水深hから上記式を用いて限界流量Qを算出しているが、管路5の断面形状および寸法と上記式とから導き出される水理特性グラフ(h−Q特性グラフ)を予め作成し、この特性グラフを制御部20の記憶装置に予め記憶させ、測定された水深hから限界流量Qを導いてもよい。
【0021】
流量計18は制御部20に連結されており、流量計18の出力信号(排水流量)qは、常時制御部20に送られるようになっている。制御部20は、排水流量qと限界流量Qとを比較し、排水流量qが限界流量Qよりも小さいときは、ポンプ機場の排水流量を増加させる制御を行う。一方、排水流量qが限界流量Qよりも大きいときは、ポンプ機場の排水流量を減少させる制御を行う。排水流量qが限界流量Qと等しい場合には、現状の排水流量が維持される。なお、本実施形態においては、流量計18にてポンプ1の排水流量qを得ているが、ポンプ1の内外水位、吐出圧力等のポンプ1の運転データより排水流量qを演算しても構わない。
【0022】
ここで、ポンプ機場の排水流量を増減させる制御とは、ポンプ1の回転速度、および/または電動吐出弁13の開度、および/またはポンプ1の翼の角度を変化させることにより、排水流量を増減させることをいう。なお、複数のポンプ1が設置されている場合には、稼動させるポンプ1の台数を変更することによっても、排水流量を増減させることができる。
【0023】
限界流量Q、つまり、管路5から吸込水槽3に跳水等を発生せず、とぎれずに安定して流れる水の最大流量は、前記フルード数Frに依存する為、管路5の水深hにより決まる。したがって、限界流量Qを超えないようにポンプ機場の排水流量qを調整することにより、吸込水槽3の水位が大きく低下してしまうことを防止することができる。その結果、ポンプ1の起動と停止の繰り返しが防止でき、ポンプ1の安定した運転を行うことができる。
【0024】
次に、本発明の第2の実施形態に係る制御装置について説明する。図3は、本発明の第2の実施形態に係る制御装置の制御シーケンスを示すフローダイヤグラムである。本実施形態の制御装置は、排水流量qと限界流量Qとの偏差が、大きいかまたは小さいかによってポンプ機場の排水流量の制御方法を切り替える点で、上述の第1の実施形態と異なる。なお、本実施形態のその他の構成および動作は、上述した第1の実施形態と同様である。
【0025】
本実施形態の制御部20の具体的な動作は次の通りである。制御部20は、排水流量qが限界流量Qよりも小さく、かつ排水流量qと限界流量Qとの偏差が所定の閾値よりも小さいときは、ポンプ機場の排水流量を徐々に増やす制御を行う。具体的には、制御部20は、ポンプ1の回転速度、および/またはポンプ1の翼の角度、および/または電動吐出弁13の開度を徐々に増加させる指令信号を、駆動源2、および/またはポンプ1、および/または電動吐出弁13に送信する。なお、ポンプ1が複数台設置されている場合は、稼動するポンプの台数を徐々に増やしていってもよい。
【0026】
一方、排水流量qが限界流量Qよりも小さく、かつ排水流量qと限界流量Qとの偏差が所定の閾値以上であるときは、制御部20は、排水流量qが限界流量Qに一致するように、ポンプ機場の排水流量を速やかに増加させる。
【0027】
同様に、排水流量qが限界流量Qよりも大きく、かつ排水流量qと限界流量Qとの偏差が所定の閾値よりも小さいときは、制御部20は、ポンプ機場の排水流量を徐々に減らす制御を行う。排水流量qが限界流量Qよりも大きく、かつ排水流量qと限界流量Qとの偏差が所定の閾値以上であるときは、制御部20は、排水流量qが限界流量Qに一致するように、ポンプ機場の排水流量を速やかに減少させる。
【0028】
このように、本実施形態によれば、排水流量qと限界流量Qとの偏差に応じて、ポンプ機場の排水流量を徐々にまたは速やかに変化させることによって、吸込水槽3に流入する水の流量に対するポンプ機場の排水能力の追従性を向上させることができる。したがって、より安定したポンプ機場の運転を行うことができる。
【0029】
次に、本発明の第3の実施形態に係る制御装置について説明する。図4は、本発明の第3の実施形態に係る制御装置を備えたポンプ機場を示す模式図である。本実施形態の制御装置は、管路5に沿って複数の水深計16A,16B,16Cが配置されている点で、上述の第1の実施形態と異なる。なお、本実施形態のその他の構成および動作は、上述した第1の実施形態と同様である。
【0030】
図4に示すように、管路5には、第1の水深計16A、第2の水深計16B、および第3の水深計16Cが、管路5内の水の流れ方向に沿って配列されている。第2の水深計16Bは第1の水深計16Aよりも上流側に配置され、第3の水深計16Cは第2の水深計16よりも上流側に配置されている。管路5の下流側開口から第1,第2,第3の水深計16A,16B,16Cまでの距離は、予め制御部20の記憶装置に記憶されている。第1,第2,第3の水深計16A,16B,16Cの出力信号(3箇所での水位データ)は制御部20に常時送られるようになっている。
【0031】
制御部20は、第1,第2,第3の水深計16A,16B,16Cから送られてくる水深h1,h2,h3と、予め制御部20に記憶されている管路5の断面データから、各水深計16A,16B,16Cの設置位置での限界流量Q1,Q2,Q3および流速v1,v2,v3を算出する。そして、制御部20は、管路5の下流側開口から第1,第2,第3の水深計16A,16B,16Cまでの距離と、流速v1,v2,v3とから、水が吸込水槽3に流入する時間を予想する。制御部20は、予想された時間に基づいて、ポンプ1の排水流量(増減率)に制限を加えるとともに、算出された限界流量を目標値としてポンプ機場の運転を制御する。
【0032】
本実施形態によれば、急な流量の増加に対して速やかに追従できるポンプ機場を構築することが可能であり、先行待機型ポンプを設けた構造と同じ信頼性を確保することができる。なお、水深計の数は、3つに限られず、2つ、または4つ以上であってもよい。
【0033】
次に、本発明の第4の実施形態に係る制御装置について説明する。図5は、本発明の第4の実施形態に係る制御装置を備えたポンプ機場を示す模式図である。本実施形態の制御装置は、管路5の出口付近に下流側水深計16Dが設けられ、下流側水深計16Dよりも上流側に上流側水深計16Eが設けられ、水深の変化率からポンプ1の運転を制御する点で、上述の第1の実施形態と異なる。なお、本実施形態のその他の構成および動作は、上述した第1の実施形態と同様である。
【0034】
図6は、本実施形態に係る制御装置の制御シーケンスを示すフローダイヤグラムである。下流側水深計16Dおよび上流側水深計16Eの出力信号は、制御部20に常時送られる。制御部20は、下流側水深計16Dおよび上流側水深計16Eの設置位置における水深h,Hの変化率(単位時間当たりの水深の変化量)Δh/ΔtおよびΔH/Δtを算出し、Δh/ΔtとΔH/Δtとを比較する。Δh/ΔtとΔH/Δtとが等しい場合、ポンプ機場の排水流量はそのままに維持される。
【0035】
水深h,Hが増加しているときは、Δh/Δt,ΔH/Δtの値はプラスの値をとり、水深h,Hが低下しているときは、Δh/Δt,ΔH/Δtの値はマイナスの値をとる。Δh/ΔtとΔH/Δtとが等しくない場合であって、水深hが増加している場合(すなわちΔh/Δt>0の場合)、制御部20は、ポンプ機場の排水流量を増加させる制御を行う。一方、水深hが一定または低下している場合(すなわちΔh/Δt≦0の場合)、制御部20は、Δh/ΔtがΔH/Δtよりも小さいか否かを判断する。
【0036】
Δh/Δtが0以下であって、かつΔH/Δtよりも小さいということは、単位時間当たりに水深hが低下する量は、単位時間当たりに水深Hが低下する量よりも大きいこと(すなわち|Δh|>|ΔH|)を意味する。この場合は、制御部20は、このままの運転状態で排水を続けると管路5内の水の流れが射流等の流水がとぎれる状態になると判断し、ポンプ機場の排水流量を減らす制御を行う。一方、Δh/Δtが0以下であって、かつΔH/Δt以上である場合には、ポンプ機場の排水流量は一定に維持される。
【0037】
なお、本実施形態においては、単位時間当たりの水深の変化率(≒水位変動速度)を用いて排水流量の制御を行っているが、時間による2回微分値である水位変動加速度を用いて排水流量の制御を行っても構わない。
【0038】
本実施形態においても、ポンプ機場の排水流量が、吸込水槽3に流れ込む水の流量を超えないようにポンプ機場の運転が制御されるので、吸込水槽3の水位が大きく低下することが防止され、安定したポンプ機場の運転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る制御装置を備えたポンプ機場を示す模式図である。
【図2】制御部の制御シーケンスを示すフローダイヤグラムである。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る制御装置の制御シーケンスを示すフローダイヤグラムである。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る制御装置を備えたポンプ機場を示す模式図である。
【図5】本発明の第4の実施形態に係る制御装置を備えたポンプ機場を示す模式図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係る制御装置の制御シーケンスを示すフローダイヤグラムである。
【符号の説明】
【0040】
1 ポンプ
2 駆動源
3 吸込水槽
5 管路
10 吸込導管
11 吐出導管
12 逆止弁
13 電動吐出弁
15 水位検出器
16 水深計
18 流量計
20 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管路に連結される開水路型の吸込水槽と、該吸込水槽に連通するポンプとを有するポンプ機場の制御装置であって、
前記管路の水深を計測する少なくとも1つの水深計と、
前記ポンプ機場の動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記水深計によって計測された水深から、前記管路を流れる水の限界流量を導出し、
前記ポンプ機場の排水流量が前記限界流量を超えないように前記ポンプ機場の運転を制御することを特徴とするポンプ機場の制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、Frをフルード数、Qを限界流量、Aを流水断面積、gを重力加速度、hを前記管路の水深としたときに、式Fr=Q/(A・(g×h)0.5)から、Frを1以下として前記限界流量を求めることを特徴とする請求項1に記載のポンプ機場の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記ポンプ機場の排水流量qと前記限界流量Qとの偏差を求め、前記制御部には、排水流量q>限界流量Q及び排水流量q<限界流量Qとなる場合のそれぞれの偏差の所定の閾値が設定されており、
前記偏差が前記閾値よりも小さい場合には、前記ポンプ機場の排水流量を徐々に上昇または減少させ、
前記偏差が前記閾値以上である場合には、前記ポンプ機場の排水流量が前記限界流量に等しくなるように前記ポンプ機場の運転を制御することを特徴とする請求項1または2に記載のポンプ機場の制御装置。
【請求項4】
前記水深計は複数であり、
前記複数の水深計は、前記管路の水の流れ方向に沿って配列されており、
前記制御部は、前記複数の水深計によって計測された水深から、前記複数の水深計の設置位置での限界流量を算出し、算出された前記限界流量の水が前記吸込水槽に到達する時間を予想し、前記予想された時間に、前記ポンプ機場の排水流量が前記限界流量に等しくなるように前記ポンプ機場の運転を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポンプ機場の制御装置。
【請求項5】
管路に連結される開水路型の吸込水槽と、該吸込水槽に連通するポンプとを有するポンプ機場の制御装置であって、
前記管路の水深を計測する上流側水深計および下流側水深計と、
前記ポンプ機場の動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記上流側水深計によって計測された水深から、上流側の水深の変化率を算出し、
前記下流側水深計によって計測された水深から、下流側の水深の変化率を算出し、
前記下流側の水深の変化率が0以下であって、かつ前記上流側の水深の変化率よりも小さい場合は、前記ポンプ機場の排水流量を減少させることを特徴とするポンプ機場の制御装置。
【請求項6】
管路に連結される開水路型の吸込水槽と、
前記吸込水槽に連通するポンプと、
前記ポンプを駆動する駆動源と、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の制御装置とを備えたことを特徴とするポンプ機場。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−150287(P2009−150287A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−328400(P2007−328400)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】