説明

マイクロアレイ作製方法

第1のプロファイルを有する離散的な第1のマイクロフィーチャを備えた基板を提供するステップと、第1のマイクロフィーチャ上に蒸着コーティング材料を堆積することにより、第1のプロファイルとは実質的に異なる第2のプロファイルを有する第2のマイクロフィーチャを形成するステップと、を含む、マイクロアレイの作製方法を提供する。また、蒸着コーティングしたマイクロフィーチャに複製材料を付加して型を形成する方法も提供する。この方法により作製したマイクロアレイは、表面増強ラマン分光法(SERS)用の基材として用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2007年11月14日出願の米国特許仮出願第60/987,902号の優先権を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
【背景技術】
【0003】
物品及び装置の大きさを縮小するための商業的応用及び産業的応用に関心が寄せられている。このことは、デバイスがより一層小型に作製されてきた電子工学の分野において、特に当てはまる。マイクロ構造化及びナノ構造化デバイスは、例えばフラットパネルディスプレイ、化学センサ、及び生体吸収基材のような物品で使用することができる。マイクロ構造化物品(マイクロフィーチャを有する)は、例えばエレクトロルミネセンスデバイス、ディスプレイデバイス用の電界放出陰極、マイクロ流体フィルム、並びに、パターン化電子部品及び回路に商業用途を見出してきた。高い関心を呼んでいるマイクロ構造化物品としては、基材物質用のマイクロスフィア又はマイクロレンズのアレイが挙げられる。これらは、例えばレンズ、標識上のバーチャル画像、又は例えば表面増強ラマン分光法による検出のように表面プラズモン共鳴を用いる分析技術のための基材を形成するのに用いることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
低コストの加工技術を用いたマイクロフィーチャのアレイの作製が求められている。低コストの加工技術としては、マスター型の複製を可能にする技術が挙げられる。更なるコスト削減と速度向上のためには、複製をロールツーロール加工ライン上で行うことができる。提供する方法は、離散的なマイクロフィーチャのアレイ上にコーティングを施して元のマイクロフィーチャとは異なるマイクロフィーチャのアレイを形成するステップを含む。この異なるマイクロフィーチャとしては、例えば球状、回転楕円体状、及び円筒状のプロファイルを挙げることができる。
【0005】
一態様では、その第1のマイクロフィーチャのそれぞれが第1のプロファイルを有する、複数の離散的なマイクロフィーチャを基材上に提供するステップと、第1のマイクロフィーチャ上に材料を堆積することにより、その第2のマイクロフィーチャの少なくとも1つは実質的に平面的な表面を含まない、第1のプロファイルとは実質的に異なる第2のプロファイルを有する第2のマイクロフィーチャを形成するステップと、を含む、アレイを作製する方法を提供する。
【0006】
別の態様では、その第1のマイクロフィーチャのそれぞれが第1のプロファイルを有する、複数の離散的な第1のマイクロフィーチャを基材上に提供するステップと、第1のマイクロフィーチャ上に材料を堆積することにより、その第2のマイクロフィーチャの少なくとも1つは実質的に平面的な表面を含まない、第1のプロファイルとは実質的に異なる第2のプロファイルを有する第2のマイクロフィーチャを形成するステップと、第2のプロファイルを有する第2のマイクロフィーチャに第1の複製材料を付与するステップと、第2のマイクロフィーチャから第1の複製材料を分離して型を形成するステップと、を含む、アレイを作製する方法を提供する。
【0007】
更に別の態様では、その第1のマイクロフィーチャのそれぞれが第1のプロファイルを有する、基材上の複数の離散的な第1のマイクロフィーチャと、各第1のマイクロフィーチャの第1のプロファイル上にあって、その第2のマイクロフィーチャの少なくとも1つは実質的に平面的な表面を含まない、第1のプロファイルとは実質的に異なる第2のプロファイルを有する第2のマイクロフィーチャを形成する材料と、を含む型が提供される。
【0008】
本書では、冠詞「a」、「an」、及び「the」は、「at least one」と同じ意味で使用し、説明されている要素の1つ以上を意味する。
【0009】
「マイクロ構造」とは、最長寸法が約0.1マイクロメートル〜約1000マイクロメートルの範囲である構造を指す。本出願においては、ナノフィーチャ及びマイクロ構造の範囲は重複する。
【0010】
「ナノフィーチャ」とは、最長寸法が約1ナノメートル〜約1000ナノメートルの範囲であるフィーチャを指す。本出願のいずれの物品のナノフィーチャも、同物品上に作製されたマイクロ構造より小さい。
【0011】
「パターン」は、フィーチャ若しくは構造の規則的なアレイ若しくは無規則なアレイ又は両者の組み合わせを包含し得る構成を指す。
【0012】
「プロファイル」は、マイクロフィーチャなどの物体の輪郭を指し、主として物体を側方から見たときの描写である。
【0013】
「レジスト」は、基材上に定置され、パターン化方式でエッチング剤を選択的に通過させる材料の層を指す。
【0014】
「回転楕円体」又は「回転楕円体状」は、球体のようではあるが完全に丸くはなく、円又は楕円の弧状のプロファイルを有し得る形体を指す。
【0015】
ロールツーロール加工ラインのような低コストの加工技術を用いて達成可能な、マイクロフィーチャを有するアレイを作製する方法が提供される。同方法は、球体状、回転楕円体状、及び円筒状のフィーチャを有するマイクロフィーチャを含むアレイを提供することができる。提供される方法により作製したアレイは、例えば光学用途のマイクロレンズアレイとして、(表面増強ラマン分光法(SERS)、表面増強蛍光、その他の表面増強光学技術のような)分光表面プラズモン効果に依存する分析のための基材として、また生物学的用途のためのマイクロ流体アレイを製造するために使用可能である。本開示で提供する方法は、型を形成するステップと、型を使用して複数の複製を形成するステップと、を含む。提供される複製は、元のアレイと同様の用途に用いることができる。
【0016】
1つ以上の実施形態の詳細は、以下の添付図面及び明細書に記載される。他の特徴、目的及び利点は、明細書及び図面により、並びに請求の範囲により明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】複数の離散的なマイクロフィーチャを含む基材の実施形態の図。
【図1B】複数の離散的なマイクロフィーチャを含む基材の実施形態の図。
【図2A】マイクロポストのアレイを有する基材の図。
【図2B】材料を堆積したマイクロポストのアレイの図。
【図2C】マイクロポスト上に第1の複製材料を有する、図2Bのアレイの図。
【図2D】型の図。
【図2E】図2Dの型に接触した第2の複製材料の図。
【図2F】図2Eからの複製の図。
【図3A】提供される方法で作製された異なる実施形態のアレイの顕微鏡写真。
【図3B】提供される方法で作製された異なる実施形態のアレイの顕微鏡写真。
【図4A】実施例1として作製されたマイクロアレイの顕微鏡写真。
【図4B】実施例1として作製されたマイクロアレイの顕微鏡写真。
【図5A】実施例4のポリジメチルシロキサン(PDMS)複製の顕微鏡写真。
【図5B】実施例4のポリジメチルシロキサン(PDMS)複製の顕微鏡写真。
【図6】実施例5の基材を用いた、ビピリジンのSERSスペクトル。
【発明を実施するための形態】
【0018】
数の範囲の記述には、その範囲内に包含されるすべての数が含まれる(例えば、1〜5には1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5が含まれる)。本明細書のすべての数値は、「約」という用語により修飾されるとみなされる。
【0019】
本開示は、その第1のマイクロフィーチャのそれぞれが第1のプロファイルを有する、複数の離散的な第1のマイクロフィーチャを含む基材を提供するステップを含む、アレイを作製する方法を提供する。基材は、種々の材料から選択し得る。これらの材料には、例えばポリイミド若しくはポリメチレンメタクリレートなどの高分子フィルム、又は、ガラス、シリコンウエハ、及びコーティングを施したシリコンウエハなどの無機材料が挙げられる。コーティングを施したシリコンウエハとしては、例えばポリイミド又はウレタンアクリレートなどの高分子フィルムコーティングを有するウェハを挙げることができ、また、例えばSiOコーティングなどの無機コーティングを挙げることができる。加えて、基材は、「Structure of Porous Vycor Glass」と題されたWiltzius et al.のPhys.Rev.A、36(6)、2991、(1987)に開示されている多孔質ガラス、「Anisotropic Spinodal Dewetting As a Route to Self−assembly of Patterned Surfaces」と題されたHiggens et al.のNature、404、476(2000)に記載されているような、薄い高分子フィルムでディウェッティングされた高分子表面、「Nanoscaled Surface Structures of Ionic Crystals by Spinodal Composition」と題されたRinge et al.によるSolid State Ionics、177、2473(2006)に記載されているようなイオン混晶、又は光電性の基材が挙げられる。光電性の基材には、感光性ポリマー、セラミックス、又はガラスを挙げることができる。
【0020】
基材は複数の離散的な第1のマイクロフィーチャを含み得る。離散的な第1のマイクロフィーチャは、パターン状であり得る。パターンはアレイを形成し得る。本開示において用語「マクロフィーチャ」は、マイクロメートルオーダー(約1μm〜約1000μm又は更に大きい)であり得るフィーチャ及び更にナノメートルオーダー(約1nm〜約1000nm)であり得るフィーチャを含むものと理解すべきである。この寸法はそのアレイ内のフィーチャの平均最小寸法であり、例えば円柱状のフィーチャであれば直径であり得る。本開示の第1のマイクロフィーチャは1000μm未満、500μm未満、100μm未満、10μm未満、1μm未満、0.1μm(100nm)未満、又は更に小さい最大幅(平均最小寸法)を有し得る。アレイはマイクロフィーチャの規則的な(繰り返し)配列、マイクロフィーチャの無規則な配列、マイクロフィーチャの異なる規則的又は無規則な配列の組み合わせ、又はマイクロフィーチャのいかなる配列をも含み得る。アレイは単一のマイクロフィーチャを含み得る。マイクロフィーチャは離散的、又は分離したフィーチャであり得る。マイクロフィーチャを含むパターンは基材中に直接、又は付加層中にに形成し得る。加えて、パターンは基材の一部として形成することもできる。
【0021】
離散的な第1のマイクロフィーチャはマイクロポスト及びマイクロリッジを含み得る。代表的マイクロポストは本開示で高さと称する、実質的に基材に垂直な1次元(z次元)と、これよりはるかに小さい2つの次元(x次元及びy次元)を有し得る。小さなほうのx次元及びy次元は、本開示ではマイクロフィーチャの幅と称する。例えば、x次元及びy次元が等しければ、マイクロポストの横断面(又は底面)は円形であり得る。横断面が円形でz次元に沿って変化しなければ、マイクロポストは円筒状である。また、x次元及びy次元が互いに等しいがz方向に沿って変化することもあり得る。この場合、マイクロポストは円錐状である。他の実施例では、マイクロポストの横断面は楕円であり得る。また、例えばマイクロポスが三角形、正方形、五角形などの多角形の横断面を有し得ることも考えられる。マイクロポストの横断面がz方向に沿って変化しなければ、マイクロポストはプリズムの形状を有し得る。要するに、マイクロポストが長い寸法を1つ有する限り、いずれの形状のマイクロポストも本開示の意図するところである。
【0022】
マイクロフィーチャのパターンは基材中に直接形成することもできる。パターンは、陽極酸化、光複製、レーザーアブレーション、電子ビームリソグラフィ、ナノインプリントリソグラフィ、光学接触リソグラフィ、投影リソグラフィ、光学干渉リソグラフィ、及び傾斜リソグラフィなどのパターニング技術を利用して形成し得る。次いで、パターンは、必要に応じて、ウェットエッチング又はドライエッチングなどのサブトラクティブ技術を利用して既存の基材材料を除去することによって、基材中に転写することができる。パターンは、レジストパターンのウェットエッチング又はドライエッチングによって、基材中に転写し得る。レジストパターンは、当業者に知られている方法を利用して、ポジ型フォトレジスト及びネガ型フォトレジストを含めた様々なレジスト材料から作製できる。ウェットエッチングには、例えば、酸浴槽を使用して酸感受性層をエッチングすること、又は現像液を使用して露光、若しくは未露光フォトレジストを除去することが挙げられる。ドライエッチングには、例えば、反応性イオンエッチング、又は、例えば高エネルギーレーザー若しくはイオンビームなどの高エネルギービームを使用したアブレーションを挙げることができる。
【0023】
あるいは、基材の上部にコーティングされたナノ粒子の層が、ナノ粒子が存在するところでは基材が放射又はエッチングに暴露されるのを防止するが、ナノ粒子に直面していない領域内ではレジストが暴露されるようにすることによって、レジストパターンとして働くことができる。この方法は、例えば本出願人による同時継続出願、米国特許出願第11/766,561号及び同第11/766,412号(ともにZhang et al.)に開示されている。
【0024】
また、第1のマイクロフィーチャのパターンは、例えば金、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、チタン、又は銅などの金属で基材をコーティングし、この金属を焼きなまして金属の島を形成し、次いでこれらの金属の島を基材自体のエッチマスクとして使用することによって、基材上に形成し得ると考えられる。基材のエッチングは、本願で先に述べられたエッチング技術のいずれかを用いて達成し得る。また、例えば米国特許公開第2007/0172582 A1号に開示されるようにクロモニックスを用い、エッチマスクとして第1のマイクロフィーチャのパターンを形成することもまた、本開示の範囲内である。
【0025】
また、第1のマイクロフィーチャのパターンは、いかなる材料をも付加することなく、基材を直接修飾することによって形成し得る。例えば、レーザーアブレーションにより、基材の選択された領域を除去して第1のマイクロフィーチャを形成し得る。基材が感光性である場合、感光性基材を光学投影又は光学接触リソグラフィによって暴露し、次いで現像することによって、第1のマイクロフィーチャのパターンを形成することが可能である。あるいは、干渉フォトリソグラフィを用いて感光材料中に第1のマイクロフィーチャを形成することもできる。
【0026】
第1のマイクロフィーチャのパターンは、高エネルギービームを用いて基材を削磨することにより基材中に直接形成することもできる。パターンは、ビームをラスタ処理することによって、又はエッチマスクを使用して基材の各部を保護することによって画定し得る。エッチマスクは例えばエッチレジストで形成し得る。この手法は、例えばポリイミドなどのある種の高分子基材内に減法的に第1のマイクロフィーチャのパターンを形成するのに特に有用であり得る。
【0027】
第1のマイクロフィーチャのパターンはまた、基材に材料を付加することによっても形成し得る。この材料は基材に付加されたときに第1のマイクロフィーチャのパターンを含むこともできるし、あるいは、材料を基材に付加した後で、その材料中に第1のマイクロフィーチャのパターンを形成することもできる。第1のマイクロフィーチャのパターンは、材料を基材に付加する前に材料中に形成することもできる。第1のマイクロフィーチャのパターンは、本開示中の方法を用いて減法的に材料中に付加することもできる。第1のマイクロフィーチャのパターンはまた、付加材料中に成形することもできる。例えば、第1のマイクロフィーチャのパターンの雌型レリーフ物品を備えた複製を用い、第1のマイクロフィーチャのパターンを材料中に形成することができる。この場合、材料は、高温で流動し次いで室温で又は使用温度で固形状となる熱可塑性材料となり得る。あるいは、材料は熱硬化性になり得て、その化学的性質に応じて触媒、熱、又は露光を利用して硬化されることができる。材料を基材に追加する際、材料は固体として追加できる。材料は、積層によって又は薄い接着材料を加えることによって、基材に追加できる。この目的に使用され得る材料には、高温では流動するが室温などの低温では流動しない熱可塑性ポリマーが挙げられる。使用できる熱硬化性ポリマーの例には、アクリル類、ポリオレフィン類、ポリエチレンアクリル酸などのエチレンコポリマー類、ポリテトラフルオロエチレンとポリフッ化ビニリデンなどのフルオロポリマー類、ポリ塩化ビニル、アイオノマー類、ポリエーテルエーテルケトンなどのケトン類、ポリアミド類、ポリカーボネート類、ポリエステル類、スチレン−イソプレン−スチレンなどのスチレンブロックコポリマー類、スチレンブタジエン−スチレン、スチレンアクリロニトリル、及び当業者に既知の他のものが挙げられる。第1のマイクロフィーチャを備えた基材の形成において有用な他の材料には、例えば、ポリジメチルシロキサン類、ウレタンアクリレート類、及びエポキシ類などの熱硬化性樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂の一例は、硬化時にマイクロフィーチャを備えた高分子基材を形成する、光硬化性のウレタンアクリレートなどの光架橋可能な系であり得る。
【0028】
基材に材料を付加することによって第1のマイクロフィーチャのパターンを製作する場合、多くの材料が使用できる。例えば、フォトレジスト(ネガ型又はポジ型)が基材に追加できる。フォトレジストは、フォトマスクを通過した光又はレンズ系を通じて投射された光に暴露されることにより、第1のマイクロフィーチャを製作することができる。加えて、干渉リソグラフィを用いて第1のマイクロフィーチャのパターンを製作することもできる。干渉リソグラフィについては、例えば、S.R.J.Brueck「Optical and Interferometric Lithography−Nanotechnology Enablers」(Proceedings of the IEEE、Vol.93(10)、2005年10月)において議論されている。次いで、暴露された(ポジ型フォトレジスト)又は暴露されない(ネガ型フォトレジスト)領域は、現像液を使用して不要なフォトレジストを溶解することによって、除去することができる。次いで、レジストは、後の工程で使用するために物理的又は化学的な手段によって硬化され得る。フォトレジストは、当該技術分野において既知であるように、ラスタ処理又はデジタル的にパルス化したレーザービームを用いた直接描画によって露光できることもまた、考えられる。次いで、現像されたフォトレジストは、本明細書で説明されているように、硬化され使用され得る。有用なフォトレジストには、UVN 30(Marlborough,MAのRohm and Haas Electronic Materialsから入手可能)及びFUTURREXネガ型フォトレジスト(Franklin,NJのFuturrexから入手可能)などのネガ型フォトレジスト、並びに、UV5(Rohm and Haas Electronic Materialsから入手可能)及びShipley 1813フォトレジスト(Rohm and Haas Electronic Materialsから入手可能)などのポジ型フォトレジストが挙げられる。他のフォトポリマーを使用してマイクロフィーチャを形成することもできる。放射線(UV、IR、又は可視線)への暴露時にマイクロフィーチャを形成するのに使用し得る、当業者に既知であるいずれのフォトポリマー系をも使用できる。
【0029】
また、フォトレジスト材料の暴露及び現像によって製作されたレジストパターンは、フォトレジストをレジストパターンとして使用してドライエッチングすることにより、不要な材料を直接除去することによって基材に転写できる。例えば、反応性イオンエッチング(RIE)を使用して、基材又は基材に付加された材料の各部を、マイクロフィーチャを形成するような方式で除去することができる。反応性イオンエッチングでは、CF又はSFなどの反応性の気体種が反応室に加えられる。プラズマが、印加された高周波(RF)のポテンシャルによって生成される。これによってガス分子の一部がイオン化される。これらのイオン化された粒子は、様々な電極物品に向かって加速されることができ、エッチングするか、又は、それらのイオン化された粒子が衝突する物品から分子を除去できる。典型的には、反応性イオンエッチングは、エッチマスクによって、又は、ラスタ処理された若しくはデジタル制御されたビームを直接使用して行われる。
【0030】
あるいは、基材の上に薄い金属層を堆積することができ、その金属上にフォトレジストを堆積することができ、このフォトレジストをパターニングすることができ、次いで、レジストパターンをウェットエッチングによって金属の中に転写することができる。このようにして、基材のドライエッチング用のレジストパターンとして働くことができる金属パターンを創成生成し得る。結果的に、(金属)レジストパターンと基材との間の高いエッチング速度が達成され得る。
【0031】
第1のマイクロフィーチャのそれぞれが第1のプロファイルを有する。実施形態によっては、プロファイルは実質的に線形であり得る。別の実施形態では、線形プロファイルは基材に実質的に平行であり、基材の表面上に平坦な輪郭を構成し得る。更に別の実施形態では、第1のプロファイルの側面もまた線形であり、場合によっては、平坦な輪郭に実質的に直角であり得る。あるいは、第1のプロファイルの側面は曲面状であり得る。多くの実施形態において、第1のプロファイルは鋭角を有する。
【0032】
第1のマイクロフィーチャは離散的である。例えば、第1のマイクロフィーチャは図1Aに描写したもののようなマイクロポストの形をとってもよく、図1Bに描写したもののようなマイクロリッジの形をとってもよく、又はパターンを形成する他のいずれの配列であってもよい。第1のマイクロフィーチャのそれぞれは、必ずではないが通常は実質的に平面的である基材から、離れる次元又は同基材に垂直な次元に突出する。実質的に平面的とは、基材がほぼ平坦であり、通常は平面を確定することを意味する。
【0033】
アレイを作製する方法はまた、第1のマイクロフィーチャ上に材料を堆積することにより、第1のプロファイルと実質的に異なる第2のプロファイルを有するマイクロフィーチャを形成するステップを含む。当業者に周知の方法によって、蒸着コーティング材料を第1のマイクロフィーチャ上に堆積することができる。このような方法としては、例えば蒸発、スパッタリング、化学気相成長(CVD)、プラズマ化学気相成長(PECVD)などが挙げられる。本開示によって代表的な蒸着コーティング材料として考えられるものには、金属、金属酸化物、及び有機導体などの導体、絶縁体(誘電体)、半導体、並びにポリマーが挙げられる。導電性の材料又は金属酸化物材料としては、銀、金、アルミニウム、銅、インジウムスズ酸化物、及び/又はその他の材料が挙げられる。有機導体としては、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)及びポリアニリンなどの材料が挙げられるが、これらに限定はされない絶縁体にはSiO、SiN、及びAlが挙げられる。半導体は、例えば電子機器の活性層の形成に使用される有機半導体のように、有機半導体であってもよい。例えば、ペンタセン含有化合物、テトラセン含有化合物、アントラセン含有化合物、ビス(アセニル)アセチレン化合物及びアセン−チオフェン化合物のような小分子により例示される縮合芳香族環化合物を含む、さまざまな有機半導体を用い得る。ポリ(3−アルキルチオフェン)により例示されるレジオレギュラーポリチオフェン及び縮合チオフェン単位又はビス−チオフェン単位を有するポリマーのような、いくつかの高分子材料も検討されてきた。この用途に有用であり得る有機半導体の追加的な開示としては、米国特許第7,109,510号及び同第6,998,068号(いずれもGerlach)、米国特許第7,211,679号及び同7,315,042号(Gerlachら)、並びに米国特許公開第2007/0232781号及び同2007/0249812(いずれもZhuら)に開示された材料が挙げられる。
【0034】
提供されるアレイは、コーティングされた、第1のプロファイルとは実質的に異なる第2のプロファイルを有する第2のマイクロフィーチャを含む。実質的に異なるとは、コーティングされた第2のマイクロ構造(第2のプロファイル)が、第1のプロファイルと一致しないことを意味する。加えて、第2のプロファイルは第1のプロファイルとは基本的に同じ形状を有しないか、又は基本的に同じ形状を有するものとはみなされない。実施形態によっては、第2のプロファイルは曲面状であるか、第1のプロファイルより大きい曲率半径を有する。例えば、第1のプロファイルは矩形のフィーチャを有し第2のプロファイルは曲面状(円形、楕円形、その他)のフィーチャを有し得る。別の実施形態では、曲面は円形又は楕円形であり、第1のプロファイル上に材料を堆積する前には第1のプロファイルの平坦部が位置していた場所に、配置される。曲線状のプロファイルは凸面、又は凹面であり得る。凸曲面プロファイルの例には球面及び回転楕円面(楕円体状)が挙げられる。第1のマイクロフィーチャの少なくとも1つは、同フィーチャの最小寸法の少なくとも5パーセント、少なくとも8パーセント、少なくとも10パーセント、少なくとも15パーセント、又は更に少なくとも20パーセントの長い寸法を有し得る。
【0035】
第2のマイクロフィーチャの少なくとも1つは実質的に平面的な表面を含まない。例えば、第2のマイクロフィーチャの少なくとも1つは球体状又は回転楕円体状の表面を有し得る。多くの実施形態では、第2のマイクロフィーチャの全てではないにしても、ほとんどは、実質的に平面的な表面を含まない。球面及び回転楕円面の表面は、化学線に対して透明であればレンズエレメントとして用い得る。すなわち、提供する方法はマイクロレンズアレイの作製に用い得る。提供する方法は第2のマイクロフィーチャが少なくとも1つの凸曲面を有することができ、同凸面が、少なくとも1つの横断方向に曲率を有し、基材側に局部的曲率中心(焦点)を有する構造として画される、第2のマイクロフィーチャのアレイの作製に用い得る。実施形態によっては、本発明のフィーチャのアレイはまた、凹面である曲面状の表面を少なくとも1つ含むことができる。例えば、同表面は、少なくとも1つの横断方向に曲率を有し、基材とは反対側に局部的曲率中心を有し得る。これらのアレイは、マイクロスフェロイド(例えばマイクロスフィアを含む)のアレイであり得る。別の実施形態では、アレイは、回転楕円体状の頭部を備えたマイクロリッジのアレイであり得る。マイクロスフィア上の曲面が凸面であって可視光に透明な材料からなる場合には、アレイはマイクロレンズのアレイとなり得る。曲面がコーティングされて放射線を反射する場合には、マイクロスフェロイドのアレイは、放射線を集束させ(凹面)又は散乱させ(凸面)るマイクロレンズのアレイとなり得る。マイクロフィーチャの第1のプロファイル及び/又は堆積プロセスの条件(時間、温度、方法)を変化させることにより、第2のプロファイルの寸法及び形状を制御できることが見出されている。
【0036】
提供する方法及びそれによって作製されるアレイの重要な態様は、第1のマイクロフィーチャ上に材料を直接堆積させることで、第1のプロファイルとは実質的に異なる第2のプロファイルを有する第2のマイクロフィーチャを形成することにより、アレイを作製することである。第2のマイクロフィーチャのプロファイル内のいずれの曲率も、材料の堆積、例えば蒸着によって付与される。提供する方法では、第2のマイクロフィーチャのいかなるリフロー又は焼きなましも必要としない。このため、ガラスなどのリフロー材料で通常用いられる温度よりも低温で実施でき、例えばポリメチルメタクリレート、PET、フォトレジストなどのポリマーのような、温度に敏感な基材にも適応できる方法が可能になる。
【0037】
提供する方法の別の実施形態は、第2のプロファイルを有する第2のマイクロフィーチャへの、平滑化層の付加を含む。平滑化層は、マイクロフィーチャの表面の粗さの程度を軽減するために第2のマイクロフィーチャに付加し得る。平滑化層として好適な材料には金属が挙げられる。金属としては、例えばアルミニウム、スズ、ニッケル、金、又は銀から選択される金属が挙げられる。平滑化層の厚みは、第2のマイクロフィーチャの表面の粗さを平滑化するのに十分ではあるが、第2のプロファイルを実質的に変化させるほど厚くはない。平滑化層は通常500nm以下である。
【0038】
別の態様では、その第1のマイクロフィーチャのそれぞれが第1のプロファイルを有する、複数の離散的な第1のマイクロフィーチャを含む基材を提供するステップと、第1のマイクロフィーチャ上に材料を堆積することにより、第1のプロファイルとは実質的に異なる第2のプロファイルを有する第2のマイクロフィーチャを形成するステップと、第2のプロファイルを有する第2のマイクロフィーチャに第1の複製材料を付与するステップと、第2のマイクロフィーチャのアレイから第1の複製材料を分離して型を形成するステップと、を含む、アレイを作製する方法が提供される。第1の複製材料として有用なポリマーには、当業者に既知の熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマーが挙げられる。熱硬化性ポリマーは、室温を超える温度では軟化又は溶融するが、室温以下の温度では硬質であり構造を保持することができる材料を含むことができる。複製を製作するのに有用となり得るいくつかの熱可塑性ポリマーには、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド(PA)、ポリスルホン(PSU、非常にもろいポリマー)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及びポリオキシメチレン(POM、非常に柔軟で弾力性のあるポリマー)が挙げられる。
【0039】
熱硬化性ポリマーもまた、第1の複製材料として有用であり得る。有用な熱硬化性ポリマーには、ポリシロキサン類(ポリジメチルジシロキサン(PDMS)など)、ポリイミド類(ポリアミン酸の硬化により作製)、及びウレタンアクリレート類が挙げられる。ナノ機構及びマイクロ構造の複製に関し、複製の形成に使用されるポリマーは、低い粘度を有し得る。低粘度ポリマーはマイクロフィーチャの内部及び周囲に入り込むことができる。物品とポリマーとの間の空気の閉じ込めが最小となるように、ポリマーを減圧下で物品に加えることが、有用となり得る。
【0040】
型に第1の複製材料を付与する前に、アレイに剥離剤コーティングを施すことが有利であり得る。複数の離散的な第1のマイクロフィーチャがSiO、SiN、又は他の無機若しくはポリマー材料からなる場合は、型に、例えば、米国特許第5,851,674号(Pelleriteら)に開示されるもののような、トリメチルクロロシラン又はフッ素化シロキサンなどのフルオロシラン剥離剤をコーティングすることができる。この目的に有用なものとしてはまた、米国特許第7,173,778号(Jingら)に開示されたもののようなヘキサフルオロポリプロピレンオキシド(hexafluoropolyprolylene oxide)(HFPO)誘導体がある。
【0041】
あるいは、第2のマイクロフィーチャのアレイは、例えば蒸着又は無電解めっきにより堆積したニッケルの薄層で金属化することもできる。物品を金属化する場合、複製を形成するポリマーの離型を容易にするため、金属化した物品上に剥離剤を付与することがまた、有利であり得る。例えば、米国特許第6,824,882号(Boardmanら)に開示されたフッ素化ホスホン酸又は米国特許公開第2005/0048288号(Flynnら)に開示されたもののようなペルフルオロポリエーテルアミド結合ホスホン酸塩などの剥離剤を、マイクロポストのアレイにコーティングすることができる。例えば米国特許第6,696,157号(Davidら)に開示されるようなダイヤモンド様ガラスをコーティングすることで、マイクロポストのアレイを保護し得ることもまた、考えられる。剥離層として用い得るその他の材料は出願人の同時継続出願、米国特許出願第11/766,477号(Zhangら)に記述されている。
【0042】
第1の複製材料は型又は剥離層に接触するように配置し、熱、水分、又は放射線を含む多様な手段の任意のもので硬化させた後、物品から分離することによってアレイの雌型レリーフイメージ(複製)を作製することができる。この複製を用いて、元のマイクロポストのアレイの2次型又は娘型を作製することができる。
【0043】
それぞれ第1のプロファイルを有する、複数の離散的な第1のマイクロフィーチャと、第1のマイクロフィーチャ上に蒸着されて第1のプロファイルとは実質的に異なる第2のプロファイルを有する第2のマイクロフィーチャを形成する材料と、を含む基材を備えた型が供給される。この型は提供される方法により作製することができ、上述したような複製を作製するのに使用し得る。
【0044】
複製には、第1の複製材料として用いられる任意の材料であり得る第2の複製材料を充填することができる。この第2の複製材料を硬化させ、複製を分離することで、2次型又は娘型を形成することができる。複製から娘型を分離する能力を高めるため、複製上に剥離層を付加することが、有利であり得る。この方法により、1つの種型から多数の娘型を作製することができる。複製がPDMSから作製される場合に複製からの娘型の分離を容易にする剥離層としては、成形型に用いる剥離材料及び米国特許出願第11/845,465号(Zhangら)に開示したペルフルオロエーテルシラン剥離剤などが挙げられる。
【0045】
ここに開示する実施形態のいくつかは、図を参照することによって、よりよく理解され得る。図1A及び1Bは複数の離散的なマイクロフィーチャを含む基材の2つの実施形態の図である。図1Aは基材上の微小なマイクロポストの矩形アレイを示す。図1Bはマイクロリッジのアレイを示す。図2A〜2Fは本開示の方法の一実施形態を例示する。図2Aは基材201上のマイクロポスト202のアレイである。先に述べたように、多くの材料が、基材201又はマイクロポスト202のいずれかに有用であり得る。マイクロポスト202のアレイのプロファイルは矩形である。図2Bは、図2Aに示したマイクロポスト202上に材料203を堆積し、第1のプロファイルとは異なる第2のプロファイルを有するマイクロポストのアレイマイクロポストのアレイを形成した図である。図2Bでは、表面のプロファイルは球面部を含む。図2Cはマイクロスフィアアレイ上に第1の複製材料204を備えた、図2Bの少なくとも1表面を含む、マイクロポストのアレイの図である。第1の複製材料は次いで硬化され、アレイから分離されて、図2Dに示すように型204を形成し得る。次いで図2Eに示すように型204に第2の複製材料206を充填することにより、第2の複製材料を硬化させた後、複製206が形成できる。この複製206を図2Fに示す。図3A及び3Bは、型の2つの実施形態の顕微鏡写真であり、提供される方法を用いて複合回転楕円体形状を作製し得ることを示している。
【0046】
提供される方法を用いることにより、多様なアレイが作製できる。例えば、本開示で示した方法により、多様なパターンのマイクロスフィアのアレイを構成、成形、及び複製することができる。光学的に透明な材料を用いることで、本開示の方法によりマイクロレンズアレイが得られる。光学的に透明な材料としては可視光透過性の熱硬化性ポリマー、例えばアクリルポリマー、ポリカーボネート、ウレタンアクリレート、エポキシなどを挙げることができる。光学的に透過性の熱可塑性性材料もまた、マイクロレンズアレイの形成に用い得る。これらの材料としては例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリオレフィン、ポリエチレン、アクリル酸ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルフルオライド、アイオノマー、ポリエーテルエーテルケトンたなどのケトン、ポリアミド、ポリエステル、スチレンブロックコポリマー、その他、当業者に周知のものを挙げることができる。アレイのマイクロレンズは、上述したように球状又は回転楕円体状であり得る。マイクロレンズのアレイは、例えばバーチャル画像、その他の光学用途に有用であり得る。反射性マイクロスフィアアレイは、例えば表面増強ラマン分光法(SERS)その他の、分光表面プラズモン効果を用いる分析技術に有用であり得る。このような分析技術には、提供される方法によって作製された、金属層を含む反射性アレイを提供するステップと、少なくとも上記金属層の一部分にごく近接させて被分析物を提供するステップと、この被分析物について表面増強ラマン分光法を適用するステップと、を含む方法が挙げられる。アレイは、元のアレイ又は複製をはじめ、提供される方法のいずれによって作製したアレイであってもよい。アレイが複製であって非金属からなる場合は、複製を金属層でコーティングしてから、少なくとも金属層の一部分にごく近接させて被分析物を提供することができる。被分析物は、SERSにより分析可能ないずれの材料又は材料の混合物であってもよい。これには、例えば有機化合物、有機化合物の混合物、無機化合物、ポリマー、ポリマー/モノマー混合物、金属、合金、有機金属、及び生体分子をはじめとする多様な材料が挙げられる。
【0047】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない本発明の様々な変更や改変は、当業者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書で述べる例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されるものではないこと、また、こうした実施例及び実施形態は、本明細書において以下に記述する特許請求の範囲によってのみ限定されると意図する本発明の範囲に関する例示のためにのみ提示されることを理解すべきである。
【実施例】
【0048】
実施例1−ナノポストのアレイをオーバーコーティングすることによるマイクロスフィアのアレイ
Siウェハ、ガラス、及びプラスチック基材上で、出力300mWの244nm周波数二倍化アルゴンレーザー(Santa Clara,CAのCoherent Inc.より入手可能なSabre FreDレーザー)を用いた干渉リソグラフィによって、ポジ型フォトレジスト(Marlborough,MAのRohm and Haas Electronic Materials Inc.から入手可能なShipley UV5 レジスト)中にフォトレジスト(PR)ポスト構造を作製した。直径240nm、ピッチ480nmのポスト構造を有するアレイが得られた。このポスト構造のアレイにスパッタリングにより堆積した110nmのインジウムスズ酸化物(ITO)、蒸着により堆積した390nmの有機発光ダイオード(OLED)、及び
同じく蒸着により堆積した250nmのAlを含む750nmの材料を被覆した。コーティング後、きわめて密集したマイクロスフィア構造が形成された。図4Aは実施例1のマイクロスフィアアレイの顕微鏡写真である。図4Bはこのマイクロスフィアアレイの一部を拡大した画像である。図示のように、きわめて密集したマイクロスフィア構造が形成された。マイクロスフィアの寸法と形状ははじめのポストの寸法、高さ、密度、又はオーバーコーティング工程におけるパラメータを変化させることにより制御することができる(実施例2及び3を参照)。
【0049】
実施例2−ナノポスト構造上にPECVD及びSiのオーバーコーティングにより形成したマイクロスフィアのアレイ
Siウェハ、ガラス、及びプラスチック基材上に、実施例1に述べたような干渉リソグラフィによってフォトレジスト(PR)ポスト構造を作製した。直径900nm、ピッチ1.6μmのPRポスト構造が得られた。プラズマ化学気相成長(PECVD)により、このPRポスト構造上に厚さ750nmの窒化ケイ素層をコーティングした。Yatton,UKのOxford Instrumentsより入手可能なModel PlasmaLab System 100により、表1に記述した以下のパラメータを用いた。
【0050】
【表1】

【0051】
Siをコーティング後、PECVDによるSiのポスト構造上への堆積によりマイクロレンズ様の構造が形成されているのが観察された。堆積条件を変えることで異なった形状のマイクロスフェロイドが形成された。
【0052】
実施例3−PECVDを用いたポスト上へのSiOの急速成長
実施例3はマイクロスフィア表面に意図的に形成したナノ構造(又は粗さ)を示す。実施例1のような干渉リソグラフィにより、フォトレジスト(PR)ポストパターンをSiウェハ上に作製した。プラズマ化学気相成長(RPECVD)により、厚さ750nmの二酸化ケイ素層をPRポスト構造上にコーティングしたが、ここではマイクロスフィア表面を粗くするために堆積速度を速めた。堆積条件は表2に記載した通りである。
【0053】
【表2】

【0054】
PEDVDプロセスによるSiO堆積速度を高めたことにより、マイクロスフィア表面にナノスケールの粗さが形成されたことが観察された。マイクロスフィア上のナノフィーチャの寸法0〜100nmであった。
【0055】
実施例4−PDMS型から作製したマイクロスフィアPDMS複製
光リソグラフィにより、シリコンウエハ上にフォトレジスト(PR)パターンを作製した。実施例2におけると同様のプロセスパラメータを用いたPECVDにより、ポスト構造上に厚さ1500nmの二酸化ケイ素層を、マイクロスフィア上に粗さを形成するために堆積速度を速めてコーティングした。
【0056】
ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)(Midland,MIのDow CorningからSYLGARD 184シリコーンエラストマーキットとして入手可能)及びその硬化剤(Midland,MIのDow Corningから入手可能)を、10:1の重量比で十分混合した。混合物中に捕捉された気泡を、低真空で30分間脱気することにより取り除いた。脱気した混合物を、PRパターンをオーバーコーティングしたSiO上に注ぎ、更に30分間脱気した後、ホットプレート上において、80℃で1時間硬化させた。硬化後、SiOをオーバーコーティングしたPRマスターからPDMS複製を剥ぎ取ることにより、雌構造を備えた所望のPDMS型を得た。
【0057】
PDMS型のPEMS複製を作製するため、型を剥離剤で処理した。HRPO−シラン剥離剤をPDMS型にコーティングする前に、反応性イオンエッチング(RIE)システムを用いて、型に酸素プラズマ処理を施した。RIEは、Yatton,UKのOxford Instrumentsより入手可能なModel PLASMA LAB System 100を用いて行った。RIE処理により、HFPO剥離剤が型の表面に化学的に結合し、自己組織化単分子膜(SAM)が型上の抗接着層として働くようになる。型のOプラズマ処理に用いたパラメータを表3に示す。
【0058】
【表3】

【0059】
プラズマ処理に引き続き、型をメトキシノナフルオロイソブタン(methoxynonafluoroisobutane)とメトキシノナフルオロブタン(methoxynonafluorobutane)(St.Paul,MNの3M Companyから入手可能なHRE7100)との混合物中の0.1wt%HFPO溶液に浸漬し、かつ処理した型を炉内において120℃で1時間熱処理することにより、型にHFPO処理を施した。型を室温まで冷却した後、新たなHRD7100によって1分間洗浄した。
【0060】
脱気した、上述のSylgard 187 PDMS混合物をPDMS型上に注ぎ、更に30分間脱気してから、ホットプレート上において、80℃で1時間硬化させた。硬化後、PDMS複製はPDMS型から容易に剥離した。型の高品質マイクロスフィア複製が作製された。図5A及び5Bは、実施例4のPEMS複製の顕微鏡写真であり、そのうち図5Aは60度の視角での斜視図、図5Bは同じアレイの平面図である。
【0061】
実施例5−表面増強ラマン分光法(SERS)のためのナノスフィアアレイ
実施例1の型から複製プロセスにより作製し、金コーティングを施したナノスフィアのアレイ上でビピリジン(BPY)の表面増強ラマンスペクトルを得た。BPYはSigma−Aldrich(St.Louis,MO)から入手した。BPYをメタノール溶液中に0.13mMの濃度で溶解した。次いで、この溶液を1滴、アレイの表面に付与した。余分な溶液をスピンによって除去した後、BPYの薄いコーティングがアレイの表面上に残った。DeltaNu(Laramie,WY)によって作製された「Inspector Raman」を用いて、ラマン散乱を記録した。レーザー波長は785nmであった。捕捉時間は10秒間であった。レーザー出力は約2.3mWであった。収集したスペクトル(図6条の601)では、金コーティングを施した密集したナノフフィアからなる基板上のBPYのSERSピークが1001、1291、及び1604cm−1で観察された。比較のため、金コーティングを施した、BPYを含まない試料を対照として測定し、そのSERSスペクトルを同じく図6上に602として示す。この対照試料では、3つの主要なSERSピークは見られない。
【0062】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない本発明の様々な変更や改変は、当業者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書で述べる例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されるものではないこと、また、こうした実施例及び実施形態は、本明細書において以下に記述する特許請求の範囲によってのみ限定されると意図する本発明の範囲に関する例示のためにのみ提示されることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレイの作製方法であって、
複数の離散的な第1のマイクロフィーチャであってそれぞれが第1のプロファイルを有する第1のマイクロフィーチャを基材上に提供するステップと、
前記第1のマイクロフィーチャ上に材料を堆積することにより、前記第1のプロファイルとは実質的に異なる第2のプロファイルを有する第2のマイクロフィーチャであって該第2のマイクロフィーチャの少なくとも1つが実質的に平面的な表面を含まない、第2のマイクロフィーチャを形成するステップと、を含む、アレイの作製方法。
【請求項2】
前記第2のマイクロフィーチャの少なくとも1つが、少なくともその幅の10パーセントである高さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のマイクロフィーチャが、マイクロポスト、マイクロリッジ、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の第1のマイクロフィーチャがフォトレジスト、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のマイクロフィーチャがフォトレジストを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のプロファイルが、球面、回転楕円面、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のマイクロフィーチャが約500μm未満の最大幅を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のマイクロフィーチャが約1μm未満の最大幅を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記堆積するステップが真空蒸着を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記真空蒸着が化学気相成長及びプラズマ化学気相成長から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記材料が、導電体、絶縁体、半導体、ポリマー、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記導電体が、金属、金属酸化物、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記金属が、銀、金、アルミニウム、銅、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記金属酸化物がインジウムスズ酸化物を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記絶縁体が、SiO、SiN、及びAlから選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記半導体が有機導体を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記材料を堆積するステップの後に、平滑化層を付加するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記平滑化層が金属を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記金属が、アルミニウム、スズ、ニッケル、金、銀、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
アレイの作製方法であって、
複数の離散的な第1のナノフィーチャであってそれぞれが第1のプロファイルを有する第1のナノフィーチャを基材上に提供するステップと、
前記第1のナノフィーチャ上に材料を堆積することにより、前記第1のプロファイルとは実質的に異なる第2のプロファイルを有する第2のナノフィーチャであって該第2のナノフィーチャの少なくとも1つが実質的に平面的な表面を含まない、第2のナノフィーチャを形成するステップと、を含む、アレイの作製方法。
【請求項21】
前記第1のナノフィーチャが100nm未満の最大幅を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
アレイの作製方法であって、
複数の離散的な第1のマイクロフィーチャであってそれぞれが第1のプロファイルを有する第1のマイクロフィーチャを基材上に提供するステップと、
前記第1のマイクロフィーチャ上に材料を堆積することにより、前記第1のプロファイルとは実質的に異なる第2のプロファイルを有する第2のマイクロフィーチャであって該第2のマイクロフィーチャの少なくとも1つが実質的に平面的な表面を含まない、第2のマイクロフィーチャを形成するステップと、
前記第2のプロファイルを有する前記第2のマイクロフィーチャに第1の複製材料を付加するステップと、
前記第1の複製材料を前記第2のマイクロフィーチャから分離して型を形成するステップと、を含む、アレイの作製方法。
【請求項23】
前記第1の複製材料を付加する前に、前記第2のプロファイルを含む前記マイクロフィーチャに平滑化層を付加するステップを更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
請求項22に記載の方法に従って作製した型。
【請求項25】
前記型に第2の複製材料を付加するステップと、
前記型から前記第2の複製材料を分離して複製を形成するステップと、を更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法に従って作製した複製。
【請求項27】
前記複製がマイクロレンズアレイを含む、請求項26に記載の複製。
【請求項28】
複数の離散的な第1のマイクロフィーチャであってそれぞれが第1のプロファイルを有する、基材上の第1のマイクロフィーチャと、
前記第1のプロファイルとは実質的に異なる第2のプロファイルを有しかつ第2のマイクロフィーチャの少なくとも1つが実質的に平面的な表面を含まない第2のマイクロフィーチャを形成する、前記各第1のマイクロフィーチャ上の材料と、を含む型。
【請求項29】
請求項1又は20に記載の方法に従って、前記材料が金属を含む、アレイを提供するステップと、
前記アレイの少なくとも一部分にごく近接させて被分析物を提供するステップと、
前記被分析物について表面増強ラマン分光法を適用するステップと、を含む分析方法。
【請求項30】
請求項25に記載の方法に従って複製を提供するステップと、
前記複製に金属の層をコーティングして金属化したアレイを形成するステップと、
前記金属化したアレイの少なくとも一部分にごく近接させて被分析物を提供するステップと、
前記被分析物について表面増強ラマン分光法を適用するステップと、を含む分析方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−506916(P2011−506916A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534076(P2010−534076)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/079786
【国際公開番号】WO2009/064565
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】