説明

マイクロミラーアレイ

【課題】マイクロミラーアレイにおいて、マイクロミラー素子の配列に制限を伴うことなく、2軸を中心に回動するミラーのミラー占有率を高める。
【解決手段】2軸を中心に回動するミラー3と、外フレーム8に接続されミラー3を支持する支持部(7,9)とを備えるマイクロミラー素子2を複数個配列してなるマイクロミラーアレイ1において、支持部(7,9)の幅W2は、ミラー3の幅Wmと略同一又はそれ以下であり、支持部(7,9)は、ミラー3と反対側の端部が外フレーム8に接続され、
ミラー3側の端部はミラー3よりも外フレーム8との接続位置側に位置する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、光スイッチ、光アッテネータ等に用いられるマイクロミラーアレイに関し、更に詳しくは、2軸を中心に回動(揺動)するミラーのミラー占有率を高めることができる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光伝送路中で光路を切り替える光スイッチにおいて、光ファイバから出射される光を、回動(揺動)するミラーにより任意の光ファイバの光路に反射させるマイクロミラー素子(MEMSミラー素子)が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5は、従来のマイクロミラーアレイを示す概略平面図である。
同図において、マイクロミラーアレイ51は、複数のマイクロミラー素子52を1方向に配列してなる。マイクロミラー素子52のミラー53は、ミラーアーム54を介してミラー側可動電極(櫛歯電極)55に接続されている。ミラー53は、ミラーアーム54において一対のトーションバー56,56を介して内フレーム57に支持されており、トーションバー56,56を回動軸として回動(揺動)可能となっている。
【0004】
内フレーム57は、ミラー53及びミラー側可動電極55を覆うように配置され、ミラー側可動電極55に対向配置されたミラー側固定電極(櫛歯電極)57aを有している。そして、ミラー側可動電極55とミラー側固定電極57aとが協働して発生させる静電気力により、ミラーアーム54に接続されたミラー53は、ミラーアーム54及びミラー側可動電極55と共に、トーションバー56,56を回動軸として回動(揺動)可能となっている。
【0005】
内フレーム57のミラー53と反対側の端部には、内フレームアーム57bが設けられており、その側面には内フレーム側可動電極(櫛歯電極)57cが設けられている。外フレーム58に一端が固定された外フレームアーム58aには、外フレーム側固定電極(櫛歯電極)58bが設けられている。内フレーム側可動電極57cと外フレーム側固定電極58bとは、対向配置されている。内フレーム57は、一端側の内フレームアーム57bと他端側とにおいて、トーションバー59,59を介して外フレーム58に回動可能に支持されている。
【0006】
そして、内フレーム側可動電極57cと外フレーム側固定電極58bとが協働して発生させる静電気力により、内フレーム57は、トーションバー59,59を回動軸として回動(揺動)可能となっている。
【0007】
上述のマイクロミラー素子52は、内フレーム57がミラー53を覆うように配置されるため、隣接する2つのミラー53との間の両方に内フレーム57が位置することとなり、ミラー配列方向におけるミラー占有率(ミラーピッチWpに対するミラー幅Wm)を大きくすることができない。
【0008】
例えば、光波長選択スイッチでは入力ポートからの光多重信号を波長毎の単一信号に分光し、それらをマイクロミラーアレイで反射し、所望の出力ポートへ振り分けることになるが、ここで用いられるマイクロミラーアレイには光信号に対する広い反射(透過)帯域が要求される(狭い反射帯域では光信号の伝送品質の劣化を招く)。ミラーアレイは光多重信号の信号(波長)間隔に応じて配列されるが、光信号に対するミラーの反射(透過)帯域はミラー占有率により決定されるため、大きなミラー占有率が望まれる。
特許文献2記載のマイクロミラーアレイは、ミラーが突出するように配置されたマイクロミラー素子を、互いに対向するようにミラー配列方向に交互に配置してなり、ミラー配列方向においてミラーを近接させている。
【特許文献1】特開2005−305582号公報
【特許文献2】米国特許第6984917号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献2記載のマイクロミラーアレイは、ミラー配列方向におけるミラー占有率を高めるために、互いに対向するマイクロミラー素子を交互に配置する必要があり、マイクロミラー素子の配列に制限を伴うためマイクロミラーアレイのサイズが大きくなるという問題がある。
【0010】
なお、上記特許文献2記載のマイクロミラー素子の向きを全て揃えると、ミラーを支持する部分の幅がミラーの幅よりも大きいため、ミラー占有率を高めることができない。
また内フレームの支持位置がミラー素子の方端(ミラーとは反対の端)に偏るっているため、ミラー素子の振動、衝撃に対する耐性の弱さが懸念される。
【0011】
本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、マイクロミラー素子の配列に制限を伴うことなく、2軸を中心に回動するミラーのミラー占有率を高めることができるマイクロミラーアレイを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明のマイクロミラー素子は、2軸を中心に回動(揺動)するミラーと、外フレームに接続され上記ミラーを支持する支持部とを備えるマイクロミラー素子を複数個配列してなるマイクロミラーアレイにおいて、上記支持部の幅は、上記ミラーの幅と略同一又はそれ以下であり、上記支持部は、上記ミラーと反対側の端部が上記外フレームに接続され、上記ミラー側の端部は上記ミラーよりも上記外フレームとの接続位置側に位置する構成とする。
【0013】
上記構成によれば、マイクロミラー素子を互いに近接させて配列することで、ミラー配列方向においてミラーを互いに近接させることができる。
好ましくは、上記ミラーは、第1の軸及び第2の軸の2軸を中心に回動し、上記支持部は、上記ミラーを上記第1の軸を中心に回動可能に支持する内フレームと、一端が外フレームに接続され上記内フレームを上記第2の軸を中心に回動可能に支持する片持ち梁部とを有する構成とする。
【0014】
上記構成によれば、ミラーを支持する構成を簡素にすることができると共に、外フレームに生じるひずみによりマイクロミラー素子にひずみが生じるのを回避することができる。
【0015】
また、実装工程ではマイクロミラーアレイは外フレームを介してパッケージ等に固定されるが、この際、実装による歪みが外フレームからマイクロミラー素子に加わることになり、ミラーの共振周波数特性の変動要因となる。本発明では外フレームから延びた片持ち梁によりマイクロミラー素子が支持されているため、外フレームの歪みが内フレームに伝わらない構成となる。
【0016】
好ましくは、上記内フレームは、上記片持ち梁部を上記第2の軸として回動し、少なくとも上記ミラー側の端部又はその近傍において上記片持ち梁部により支持される構成とする。
【0017】
上記構成によれば、内フレームの2つの支持点の一方を内フレーム(マイクロミラー素子)の重心近傍で支持するため、縦回転(図面の水平方向を軸とした回転)を抑制し、振動、衝撃に強い構造となる。
【0018】
好ましくは、上記内フレームは、この内フレームの一部を上記第2の軸として回動し、上記内フレームの第2の軸は、上記ミラー側の端部が上記片持ち梁部により支持され、反対側の端部が上記外フレームにより支持される構成とする。より好ましくは、上記内フレームの第2の軸は、上記片持ち梁部により上記ミラー側の端部に加え外周面をも支持される構成とする。
【0019】
上記構成によれば、内フレームの第2の軸の上下動、縦回転(図面の水平方向を軸とした回転)を片持ち梁部によって抑制するため、振動、衝撃に強い構造となる。
好ましくは、上記マイクロミラー素子は、上記内フレームと、この内フレームと共に上記第2の軸を中心に回動する部分との重心を、上記第2の軸に近づける錘部を更に備える構成とする。
【0020】
より好ましくは、上記錘部は、上記内フレームと、この内フレームと共に上記第2の軸を中心に回動する部分との重心を、上記第2の軸の長さ方向における中央に近づけるように配置される構成とする。
【0021】
上記構成によれば、内フレームの縦回転に加えて、横回転も抑制できるため、振動、衝撃に対してより強い構造となる。
好ましくは、上記片持ち梁部は、この片持ち梁部を備えるマイクロミラー素子に隣接するマイクロミラー素子の内フレームを駆動するための駆動部を有する構成とする。
【0022】
上記構成によれば、配置の自由度を高めることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、ミラーを支持する支持部の幅は、ミラーの幅と略同一又はそれ以下であり、支持部は、ミラーと反対側の端部が外フレームに接続され、ミラー側の端部はミラーよりも外フレームとの接続位置側に位置する。そのため、マイクロミラー素子を互いに近接させて配列することで、ミラー配列方向においてミラーを互いに近接させることができる。よって、本発明によれば、マイクロミラー素子の配列に制限を伴うことなく、2軸を中心に回動するミラーのミラー占有率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態に係るマイクロミラーアレイ(MEMSミラーアレイ)について、図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るマイクロミラーアレイを示す概略平面図である。なお、同図においては、マイクロミラー素子2を2つのみ図示しているが、マイクロミラーアレイ1には、3つ以上のマイクロミラー素子2を配列することも可能である。
【0025】
同図に示すマイクロミラーアレイ1は、マイクロミラー素子2を1方向(同図における左右方向)に配列してなる。詳しくは後述するが、各マイクロミラー素子2は、2軸を中心に回動するミラー3、並びに、外フレーム8に接続されミラー3を支持する支持部としての内フレーム7及び片持ち梁部9を備えている。
【0026】
ミラー3は、ミラーアーム4を介してミラー側可動電極(櫛歯電極)5に接続されてい
る。内フレーム7は、ミラー側可動電極5を囲むように形成され、ミラー3側の開口部において、一対のトーションバー6,6(第1の軸A1)によりミラーアーム4を支持している。
【0027】
内フレーム7には、ミラー側可動電極5に対向するミラー側固定電極(櫛歯電極)7aが設けられている。これらミラー側可動電極5とミラー側固定電極7aとが協働して発生させる静電気力により、ミラーアーム4に接続されたミラー3は、ミラーアーム4及びミラー側可動電極5と共に、トーションバー6,6を第1の軸A1として回動(揺動)可能となっている。
【0028】
内フレーム7は、片持ち梁部9(第2の軸A2)により回動可能に支持されている。この片持ち梁部9は、一端が外フレーム8に固定されている。内フレーム7は、ミラー3側の端部と、その反対側の端部とにおいて、トーションバー10,10を介して片持ち梁部9により支持されている。
【0029】
なお、上述のように片持ち梁部9が外フレーム8に固定されることで、支持部としての内フレーム7及び片持ち梁部9は、ミラー3と反対側の端部において外フレームに接続されていることになる。
【0030】
そして、支持部のミラー3側の端部、即ち、内フレーム7及び片持ち梁部9からなる部分のミラー3側の端部は、ミラー3よりも外フレーム8との接続位置(片持ち梁部9の支持端)側に位置する。そのため、マイクロミラー素子2を互いに近接させて配列することで、ミラー配列方向においてミラー3を互いに近接させて、ミラー3の幅WmをミラーピッチWpに近づけることが可能となっている。
【0031】
なお、内フレーム7のミラー3側の端部と片持ち梁部9のミラー3側の端部とは、互いにミラー3からの距離が同一となっている。
内フレーム7には、外フレーム側可動電極(櫛歯電極)7bが設けられている。また、外フレーム8からミラー3側に延びる外フレームアーム8aには、外フレーム側固定電極(櫛歯電極)8bが設けられている。そして、外フレーム側可動電極7bと外フレーム側固定電極8bとは、対向配置されている。これら外フレーム側可動電極7bと外フレーム側固定電極8bとが協働して発生させる静電気力により、内フレーム7は、片持ち梁9を第2の軸A2として回動(揺動)可能となっている。
【0032】
以上のように、ミラー3は、トーションバー6,6を第1の軸A1とする回動動作と、トーションバー6,6に直交する片持ち梁9を第2の軸A2とする回動動作との2軸を中心にした回動動作が可能となっている。
【0033】
ここで、内フレーム7の幅W1は、ミラー3の配列方向における幅Wmよりも小さい。そして、内フレーム7と片持ち梁部9とからなる部分、即ち支持部の幅W2は、ミラー3の幅Wmと略同一となっている。
【0034】
以上説明した本実施形態では、支持部(内フレーム7及び片持ち梁部9)の幅W2は、ミラー3の幅Wmと略同一であり、支持部は、ミラー3と反対側の端部が外フレーム8に接続され、ミラー3側の端部はミラー3よりも外フレーム8との接続位置(片持ち梁部9の支持端)側に位置する。そのため、マイクロミラー素子2を互いに近接させて配列することで、ミラー配列方向においてミラー3を互いに近接させることができる。よって、本実施形態によれば、マイクロミラー素子2の配列に制限を伴うことなく、2軸を中心に回動するミラー3のミラー占有率(ミラーピッチWpに対するミラー幅Wm)を高めることができる。
【0035】
また、本実施形態では、マイクロミラー素子2は、トーションバー6,6(第1の軸A1)を介してミラー3を回動可能に支持する内フレーム7と、一端が外フレーム8に接続され内フレーム7を回動可能に支持する片持ち梁部9(第2の軸A2)とを備えている。そのため、ミラー3を支持する構成を簡素にすることができ、したがって、マイクロミラー素子2の集積を容易にすることができる。また、外フレーム8に生じるひずみによりマイクロミラー素子2にひずみが生じるのを回避することもできる。
【0036】
また、本実施形態では、内フレーム7は、片持ち梁部9を第2の軸A2として回動し、少なくともミラー3側の端部においてトーションバー10により片持ち梁部9により支持されている。そのため、ミラー3を支持する内フレーム7の重心がミラー3側に寄っても、片持ち梁部9により内フレーム7を安定させて支持することができる。更には、マイクロミラー素子2の振動耐性を向上させることも可能となる。
【0037】
なお、本実施形態では、内フレーム7の幅W1がミラー3の幅Wmよりも小さいものとして説明したが、片持ち梁部9を配置しない構成や、片持ち梁9を配置しても支持部の幅W2がミラー3の幅Wmを大きく超えない構成などの場合には、内フレーム7の幅W1をミラー3の幅Wmと略同一とすることができる。
【0038】
また、本実施形態では、支持部の幅W2をミラー3の幅Wmと略同一とした例について説明したが、支持部の幅W2をミラー3の幅Wmより小さくしても、ミラー配列方向においてミラー3を互いに近接させることができるため、支持部の幅W2をミラー3の幅Wmより小さくしてもよい。
【0039】
また、本実施形態では、内フレーム7がミラー3側の端部とその反対側の端部とにおいて片持ち梁部9により支持される構成について説明したが、内フレーム7が少なくともミラー3側の端部又はその近傍において片持ち梁部9により支持される構成とすることで、片持ち梁部9により内フレーム7を安定させて支持することができると共に、マイクロミラー素子2の振動耐性を向上させることができる。
また、本実施形態では、ミラー3等を回動させるための駆動部を櫛歯電極として説明したが、回動のための駆動方法は、櫛歯電極に限定されない。
【0040】
<第2実施形態>
本実施形態では、内フレーム17がその一部17cを第2の軸A2として回動する点及びそれに伴う構成を除いて、上記第1実施形態と同様であるため、同一の部材には図2に同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0041】
図2は、本発明の第2実施形態に係るマイクロミラーアレイを示す概略平面図である。
同図に示すマイクロミラーアレイ11のマイクロミラー素子12では、ミラー3を支持する内フレーム17の回動軸部17c(第2の軸A2)は、ミラー3側の端部が片持ち梁部19に、反対側の端部が外フレーム8に、それぞれトーションバー20,20を介して接続されている。これらトーションバー20,20は、回動軸部17cから回動軸部17cの長手方向に延びている。
【0042】
片持ち梁部19は、外フレーム8(支持端)側から内フレーム17の回動軸部17cと平行に延び、先端(自由端)側で回動軸部17c側に屈曲している。そして、片持ち梁部19は、内フレーム17のミラー3側の端部のみの1点で内フレーム17を支持している。
【0043】
以上説明した本実施形態においても、支持部(内フレーム17及び片持ち梁部19)の
幅W2は、ミラー3の幅Wmと略同一であり、支持部は、ミラー3と反対側の端部が外フレーム8に接続され、ミラー3側の端部はミラー3よりも外フレーム8との接続位置側に位置する。そのため、マイクロミラー素子12を互いに近接させて配列することで、ミラー配列方向においてミラー3を互いに近接させることができる。よって、本実施形態によっても、マイクロミラー素子12の配列に制限を伴うことなく、2軸を中心に回動するミラー3のミラー占有率を高めることができる。
【0044】
また、本実施形態では、内フレーム17は、その一部17cを第2の軸として回動し、この回動軸部17cは、ミラー3側の端部が片持ち梁部19により支持され、反対側の端部が外フレーム8により支持されている。そのため、片持ち梁部19によって内フレーム17を安定させて支持することができる。更には、マイクロミラー素子12の振動耐性を向上させることも可能となる。
【0045】
なお、本実施形態では、片持ち梁部19は、ミラー3側の端部のみにおいて回動軸部17cを支持する構成について説明したが、図3に示すように、回動軸部17cを、ミラー3側の端部に加え外周面においてもトーションバー20により支持するようにすることで、より一層、内フレーム17を安定させて支持することができると共に振動耐性を向上させることができる。また、回動軸部17cの外周面を、2以上のトーションバー20を介して片持ち梁部19により支持するようにしてもよい。
【0046】
<第3実施形態>
本実施形態では、内フレーム27に錘部27dを形成した点、及び、隣接するマイクロミラー素子22の内フレーム27を駆動するための駆動部としての外フレーム側固定電極(電極)29bを片持ち梁部29に形成した点を除いて、上記第2実施形態と同様であるため、上記第2実施形態と同一の部材には図4に同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0047】
図4は、本発明の第3実施形態に係るマイクロミラーアレイを示す概略平面図である。
同図に示すマイクロミラーアレイ21のマイクロミラー素子22では、ミラー3を支持する内フレーム27の回動軸部27c(第2の軸A2)は、上記第2実施形態と同様に、ミラー3側の端部が片持ち梁部29に、反対側の端部が外フレーム8に、それぞれトーションバー20,20を介して接続されている。但し、本実施形態の内フレーム27には、回動軸部27cの外フレーム8側の端部に錘部27dが設けられている。
【0048】
錘部27dは、内フレーム27と、この内フレーム27と共に回動する部分(本実施形態では、ミラー3、ミラーアーム4、ミラー側可動電極5、トーションバー6,6,20,20)との重心を、ミラー3の配列方向において内フレーム27の回動軸部27c(第2の軸A2)に近づけるように、且つ、回動軸部27c(第2の軸A2)の長さ方向における中央27eに近づけるように配置されている。
【0049】
なお、内フレーム27が片持ち梁部29を第2の軸として回動する場合(例えば、上記第1実施形態)には、片持ち梁部29の回動軸部に錘部を設け、上記重心を片持ち梁部29の回動軸部に近づけるようにするとよい。
【0050】
片持ち梁部29は、ミラー3側の端部(自由端)から回動軸部27cと平行に延び、内フレーム27の錘部27dとの干渉を避けるように回動軸部27cから遠ざかる方向(ミラー配列方向)に屈曲して延びた後、再び屈曲して回動軸部27cと平行に延びている。
【0051】
支持部の幅、即ち内フレーム27及び片持ち梁部29の幅は、ミラー側固定電極27aにおける幅W2のみならず、錘部27dにおける幅W3も、ミラー3の幅Wmと略同一と
なっている。
【0052】
片持ち梁部29の回動軸部27cから遠ざかるように延びる部分からは片持ち梁アーム29aがミラー3側に延びている。この片持ち梁アーム29aには、隣接するマイクロミラー素子22の内フレーム27を駆動するための外フレーム側固定電極(櫛歯電極)29bが、隣接する内フレーム27の外フレーム側可動電極27bと対向するように配置されている。
【0053】
以上説明した本実施形態においても、支持部(内フレーム27及び片持ち梁部29)の幅W2,W3は、ミラー3の幅Wmと略同一であり、支持部は、ミラー3と反対側の端部が外フレーム8に接続され、ミラー3側の端部はミラー3よりも外フレーム8との接続位置側に位置する。そのため、マイクロミラー素子22を互いに近接させて配列することで、ミラー配列方向においてミラー3を互いに近接させることができる。よって、本実施形態によっても、マイクロミラー素子22の配列に制限を伴うことなく、2軸を中心に回動するミラー3のミラー占有率を高めることができる。
【0054】
また、本実施形態では、錘部27dは、内フレーム27と、この内フレーム27と共に回動する部分(ミラー3、ミラーアーム4、ミラー側可動電極5、トーションバー6,6,20,20)との重心を、ミラー配列方向において内フレーム27の回動軸部27c(第2の軸A2)に近づけるように、且つ、回動軸部27c(第2の軸A2)の長さ方向における中央27eに近づけるように配置されている。そのため、内フレーム27を安定させて支持することができる。更には、マイクロミラー素子22の振動耐性を向上させることも可能となる。
【0055】
また、本実施形態では、片持ち梁部29は、隣接するマイクロミラー素子22の内フレーム27を駆動するための外フレーム側固定電極29bを有する。そのため、例えば、錘部27dを回動軸部27cの端部に配置することができるなど、配置の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1実施形態に係るマイクロミラーアレイを示す概略平面図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係るマイクロミラーアレイを示す概略平面図である。
【図3】本発明の第2実施形態の変形例に係るマイクロミラーアレイを示す概略平面図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係るマイクロミラーアレイを示す概略平面図である。
【図5】従来のマイクロミラーアレイを示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 マイクロミラーアレイ
2 マイクロミラー素子
3 ミラー
4 ミラーアーム
5 ミラー側可動電極
6 トーションバー
7 内フレーム
7a ミラー側固定電極
7b 外フレーム側可動電極
8 外フレーム
8a 外フレームアーム
8b 外フレーム側固定電極
9 片持ち梁部
10 トーションバー
11 マイクロミラーアレイ
12 マイクロミラー素子
17 内フレーム
17a ミラー側固定電極
17b 外フレーム側可動電極
17c 回動軸部
19 片持ち梁部
20 トーションバー
21 マイクロミラーアレイ
22 マイクロミラー素子
27 内フレーム
27a ミラー側固定電極
27b 外フレーム側可動電極
27c 回動軸部
27d 錘部
27e 長さ方向中央部分
29 片持ち梁部
29a 片持ち梁アーム
29b 外フレーム側固定電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2軸を中心に回動するミラーと、外フレームに接続され前記ミラーを支持する支持部とを備えるマイクロミラー素子を複数個配列してなるマイクロミラーアレイにおいて、
前記支持部の幅は、前記ミラーの幅と略同一又はそれ以下であり、
前記支持部は、前記ミラーと反対側の端部が前記外フレームに接続され、前記ミラー側の端部は前記ミラーよりも前記外フレームとの接続位置側に位置する、
ことを特徴とするマイクロミラーアレイ。
【請求項2】
前記ミラーは、第1の軸及び第2の軸の2軸を中心に回動し、
前記支持部は、前記ミラーを前記第1の軸を中心に回動可能に支持する内フレームと、一端が外フレームに接続され前記内フレームを前記第2の軸を中心に回動可能に支持する片持ち梁部とを有する、
ことを特徴とする請求項1記載のマイクロミラーアレイ。
【請求項3】
前記内フレームは、前記片持ち梁部を前記第2の軸として回動し、少なくとも前記ミラー側の端部又はその近傍において前記片持ち梁部により支持されることを特徴とする請求項2記載のマイクロミラーアレイ。
【請求項4】
前記内フレームは、該内フレームの一部を前記第2の軸として回動し、
前記内フレームの第2の軸は、前記ミラー側の端部が前記片持ち梁部により支持され、反対側の端部が前記外フレームにより支持される、
ことを特徴とする請求項2記載のマイクロミラーアレイ。
【請求項5】
前記内フレームの第2の軸は、前記片持ち梁部により前記ミラー側の端部に加え外周面をも支持されることを特徴とする請求項4記載のマイクロミラーアレイ。
【請求項6】
前記マイクロミラー素子は、前記内フレームと、該内フレームと共に前記第2の軸を中心に回動する部分との重心を、前記第2の軸に近づける錘部を更に備えることを特徴とする請求項2記載のマイクロミラーアレイ。
【請求項7】
前記錘部は、前記内フレームと、該内フレームと共に前記第2の軸を中心に回動する部分との重心を、前記第2の軸の長さ方向における中央に近づけるように配置されることを特徴とする請求項6記載のマイクロミラーアレイ。
【請求項8】
前記片持ち梁部は、該片持ち梁部を備えるマイクロミラー素子に隣接するマイクロミラー素子の内フレームを駆動するための駆動部を有することを特徴とする請求項2記載のマイクロミラーアレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−14902(P2010−14902A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−173817(P2008−173817)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】