説明

マイクロミラー素子およびマイクロミラーアレイ

【課題】マイクロミラー装置およびマイクロミラーアレイのフィルファクタを向上させる

【解決手段】電極15−1〜15−4は、可動梁12−1〜12−4に対向して配置され
る。これにより、固定電極をミラーに対向して配置したするよりも、各ミラー14を高密
度に配置することができるので、結果として、フィルファクタを向上させることができる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロミラー素子およびマイクロミラーアレイに関し、特に、通信用の光スイッチング素子、計測機器、ディスプレイ、スキャナ、波長選択スイッチ等に使用されるマイクロミラー素子およびマイクロミラーアレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光通信の分野では、1つの波長に1つの光信号を対応させ、波長多重して伝送するWDM(Wavelength Division Multiplexing)技術により、大容量の光伝送を行うことが実現されている。このような光通信技術の発展に伴って、光信号を電気信号等に変換することなく経路を切り替える光スイッチングデバイスが脚光を浴びている。なかでも、小型、軽量、低コストを実現する技術として、光MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いた空間光学系光スイッチングデバイスが注目されている(特許文献1参照)。このMEMS技術を用いた空間光学系光スイッチングデバイスの構成部品として最
も特徴的なものが、複数のマイクロミラー素子を高密度に配列したマイクロミラーアレイである。
【0003】
マイクロミラーアレイは、ミラー素子(マイクロミラー素子)が、1次元的あるいは2次元的に配列されたものである。ミラー素子は、図14に示すように、ミラー230が形成されたミラー基板200と、電極340a〜340dが形成された電極基板300とが互いに平行に配設された構造を有する。
【0004】
ミラー基板200は、板状の基部210とリング状の可動枠220と円板状のミラー230とを備えたSOI基板である。基部210は、平面視略円形の開口を備える。この開口内には、可動枠220が配置され、一対の連結部211a,211bにより基部210に連結されている。これにより可動枠220は、連結部211a,211bを通る回動軸(可動枠回動軸)を中心に回動可能とされている。この可動枠220には、平面視略円形の開口が設けられている。この可動枠220の開口内にミラー230が配置され、一対のミラー連結部221a,221bにより可動枠220に連結されている。これにより、ミ
ラー230は、ミラー連結部221a,221bを通る回動軸(ミラー回動軸)を中心に回動可能とされている。
【0005】
一方、電極基板300は、板状の基部310と基部310の上面に突出する突出部320を備えている。この突出部320の外面を含む電極基板300の上面には、対向するミラー基板200のミラー230と同心の円内に、扇形の電極340a,電極340b,電極340c,電極340dが形成されている。
【0006】
このようなミラー素子においては、ミラー230を接地し、電極340a〜340d間に正または負の電圧を与えて、電極340a〜340d間に非対称な電位差を生じさせることで、ミラー230を静電引力で吸引し、ミラー230を任意の方向へ回動させることができる。
【0007】
上述したようなミラー素子から構成されるマイクロミラーアレイを用いた波長選択スイッチを図15に示す。なお、図15においては、m波長多重WDM用の1入力n出力(m,nは2以上の整数)の分波型波長選択スイッチの場合を例に説明する。
【0008】
図15に示す波長選択スイッチは、1本の入力側光ファイバ401と、n本の出力側光ファイバ402−1〜402−nと、入力側光ファイバ401の入力ポート401aからの入力光を回折してm本の特定波長の光信号に分波する回折格子403と、この回折格子403により回折された最大m本の光信号を波長毎に、対応する出力側光ファイバ402−1〜402−nの出力ポート402a−1〜402a−nに反射するm個のミラー素子404−1〜404−mを配列したマイクロミラーアレイ404とから構成される。
【0009】
このような波長選択スイッチでは、任意の波長の光信号に対応するミラー素子のミラーを図15のX軸回りに回動させ、回折された光信号を所定の出力ポートに結合させることにより、入力側光ファイバ401から入力された最大m波長の光信号の所定の波長の光信号のみを、任意の出力側光ファイバ402−1〜402−nから出力させる。また、ミラー素子のミラーをX軸と直交するY軸回りに回動させることにより、出力側光ファイバ402−1〜402−nの配列方向と直交する方向に回折した光信号を移動させ、いわゆる結合ずれが生じさせることにより、他の出力側光ファイバに光信号が漏れ込むことなくそ
のパワーを調節することができる。このように、波長選択スイッチは、単に特定の波長の光信号を任意の出力ポートから出力させるのみならず、その光信号のパワーも調節し、最大m波長の光信号全てのパワーを同等にするパワー等価機能も備えている。
【0010】
上述したような波長選択スイッチに用いられるマイクロミラーアレイにおいて、その小型化を実現するには、ミラー素子を高密度に配列する必要がある。このとき、光信号の等価帯域を十分確保するためには、ミラーピッチに対するミラー幅の割合、すなわちフィルファクタを、80%以上とすることが望ましい。これは、ミラーピッチを100μmと仮定すると、ミラーの間隔を20μm以下にしなければならないことを意味している。近年、光信号の信号速度が10Gbpsから40Gpsに上昇しており、将来的には信号速度のさらなる高速化が見込まれる現状では、ミラーの間隔は可能な限り小さいことが望ましい。
【0011】
【特許文献1】特開2007−140168号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来のミラー素子では、リング状の可動枠の開口内にミラーが配設されてるため、ミラーの間隔は、少なくともミラーを支持する可動枠の幅の2倍を必要とするが、可動枠は、ミラーを支持する構造体でもあるので、強度を確保するためにある程度の幅が必要であり、際限なく細くすることができない。このため、可動枠内にミラーが配設された従来のミラー素子では、高いフィルファクタを実現することが難しく、光信号の等価帯域を十分に確保することが困難であった。たとえ上記可動枠の幅をゼロにできたとしても、従来のミラー素子では、ミラーの下部に電極を配置しているので、ミラーを近づけて配列すると隣接するミラーによる静電力干渉が発生してしまうため、その干渉を抑制するためにある程度離間させてミラーを配置せざるを得ず、高いフィルファクタを実現することが困難であった。
【0013】
そこで、本発明は、マイクロミラー装置およびマイクロミラーアレイのフィルファクタを向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述したような課題を解決するために、本発明に係るマイクロミラー素子は、支持部材と、この支持部材に一端が接続された複数の可動電極と、少なくとも3つの可動電極の他端部とバネ部材を介して接続されたミラーとを有する反射部と、この反射部と離間した面上に可動電極と対向して配置された複数の固定電極とを備え、ミラーは、平面視略矩形に形成され、複数の可動電極のうち2つはミラーの第1の辺に接続され、他の少なくとも1つは第1の辺と接していない第2の辺に接続され、ミラーの同一の辺に接続される隣接する可動電極にそれぞれ対向して配置された隣接する固定電極の間に配設され、平面視で隣接する可動電極の間に位置し、固定電位に接続された静電遮断壁を備えることを特徴とする。上記マイクロミラー素子において、可動電極は、それぞれ別個のバネ部材を介してミラーと接続され、バネ部材およびミラーとともに当該可動電極の延在方向に沿った同一直線上に位置するようにしてもよい。
【0015】
上記マイクロミラー素子において、ミラーは、第1の辺の長さが、この第1の辺に接続された可動電極の第1辺に沿った方向の長さの和以上で、かつ、第2の辺の長さが、この第2の辺に接続された可動電極の第2の辺に沿った方向の長さの和以上であるようにしてもよい。
【0016】
また、上記マイクロミラー素子において、可動電極は、支持部材に一端が接続された可動梁である。また、可動電極は、支持部材とバネ部材を介して接続された電極部材であるようにしてもよい。
【0017】
また、本発明に係るマイクロミラーアレイは、対向配置された2つの支持構造体と、これらの支持構造体に沿って複数配列された上記マイクロミラー素子とを備え、マイクロミラー素子の支持部材は、支持構造体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、固定電極を可動電極に対向して配置することにより、固定電極をミラーに対向して配置するよりも、各ミラーを高密度に配置することができるので、結果として、フィルファクタを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
[第1の実施の形態]
以下、図面を参照して、本発明に係る第1の実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
<マイクロミラー素子の構成>
図1,図2に示すように、本実施の形態に係るマイクロミラー素子(ミラー素子)1は、基板やケースなどの互いに平行に配設された一対の支持部11と、この支持部11に一端(以下、固定端という)が接続された可動梁12−1〜12−4と、この可動梁12−1〜12−4の他端(以下、可動端という)に接続されたバネ13−1〜13−4と、このバネ13−1〜13−4を介して可動梁12−1〜12−4の可動端に接続されたミラー14とを備えている。また、可動梁12−1〜12−4の下方に対向配置された電極15−1〜15−4と、隣接する電極15−1〜15−4の間に形成された静電遮断壁16とを備えている。なお、本実施の形態では、ミラー14に光信号が照射される面(ミラー面)の側を上方、ミラー14の裏面側を下方として説明を行う。
【0021】
可動梁12−1〜12−4は、平面視略矩形の板状の形状を有し、長手方向がミラー14の長手方向と平行になるように配設され、一方の短辺(可動端)が対応するバネ13−1〜13−4に、他方の短辺(固定端)が支持部11に接続されている。具体的には、可動梁12−1,12−2は、互いにその長手方と直交する方向(短手方向)に所定間隔離間して並設されており、可動端がミラー14の一方の短辺側のバネ13−1またはバネ13−2に、固定端が支持部11に接続されている。また、可動梁12−3,12−4も、互いにその長手方向と直交する方向に所定間隔離間して配設されており、可動端がミラー14の他方の短辺側のバネ13−3または12−4に、固定端が支持部11に接続されている。図1に示すように、可動梁12−1〜12−4の隣り合う可動梁と反対側の長辺は、ミラー14の何れかの長辺と略同一直線上に位置するように配設されている。また、可動端に接続されるバネ13−1〜13−4は、その可動端の短手方向に隣接する可動梁の側と反対側の端部に接続されている。
【0022】
バネ13−1〜13−4は、屈曲やねじり動作が可能な公知のバネの構成を有し、一端がミラー14に他端が対応する何れかの可動梁12−1〜12−4に接続されている。なお、バネ13−1〜13−4の形状は、ミラー素子1の形状や機能に応じて、棒やつづら折りの形状など適宜自由に設定することができる。
【0023】
ミラー14は、平面視略矩形の板状の形状を有する。本実施の形態では、平面視略長方形の形状を有し、一対の短辺の両端には、対応するバネ13−1〜13−4が接続されている。
【0024】
電極15−1〜15−4は、可動梁12−1〜12−4と同等の平面形状を有し、それぞれ対応する可動梁12−1〜12−4の下方に対向配置される。このような電極15−1〜15−4は、外部より配線(図示せず)を介してそれぞれ独立に制御された電圧(以下、駆動電圧という)が印加されることにより、対向配置された可動梁12−1〜12−4を静電引力により駆動させる。駆動電圧は、通常、正の直流電圧であるが負の直流電圧であってもよく、交流的な電圧であってもよい。
【0025】
静電遮断壁16は、上方に向かって立設された平面視略矩形の板の形状を有し、隣接する電極15−1〜15−4の間に配設される。具体的には、電極15−1と電極15−2の間、および、電極15−3と電極15−4の間に配設される。マイクロミラー素子は、数10μmのオーダのサイズであり、このサイズに2つの電極が近接して配置されている。また、後述するように、本実施の形態に係るマイクロミラー素子1は、ミラー14との長辺同士が隣接するように一列に配列され、1次元のマイクロミラーアレイとして用いられるが、この場合でも、隣接する電極15−1〜15−4は近接配置される。このため、例えば、電極15−1に駆動電圧を印加して可動梁12−1を駆動させると、電極15−1で発生した電界が可動梁12−2にも作用し、可動梁12−2も駆動する恐れがある。このように、電極15−1〜15−4が近接配置されている場合、ある電極が隣接する他の電極に対応する可動梁に電気的な干渉を与えてしまう場合がある。そこで、本実施の形態では、静電遮断壁16を設けることにより、そのような電気的な干渉を防ぐ。静電遮断壁16は、隣接する電極と可動梁との電界を遮断するためのものであるから、その高さは、対向する電極と可動梁との間隔程度であることが望ましいが、これよりも多少低くてもよい。また、全ての静電遮断壁16には、例えばグラウンド電圧を印加するようにしてもよい。なお、静電遮断壁16は、固定電極に与える電圧値が小さいなど、隣接する電極間での電気的な干渉が可動電極の動作にあまり影響を及ぼさない場合には、設けないようにしてもよい。
【0026】
上述した支持部11、可動梁12−1〜12−4、バネ13−1〜13−4およびミラー14、例えば、SOI(Silicon-On-Insulator)基板のSOI層を公知の半導体プロセス技術により加工して、一体形成するようにしてもよい。この場合、可動梁12−1〜12−4、バネ13−1〜13−4、ミラー14は、単結晶シリコンで形成されており、互いに導通されている。一体形成されたこれらは、例えばグラウンド電圧を印加するようにしてもよい。なお、便宜上、以下において、支持部11、可動梁12−1〜12−4、バネ13−1〜13−4およびミラー14が形成される基板をミラー基板と言う。
【0027】
一方、電極15−1〜15−4および静電遮断壁16は、金属などの導体または半導体からなり、それぞれ電気的に絶縁されて1つの基板上に形成されている。なお、便宜上、以下において、電極15−1〜15−4および静電遮断壁16が形成される基板を電極基板と言う。この電極基板は、シリコン基板上に絶縁膜を形成し、この絶縁膜状に固定電極15−1〜15−4および静電遮断壁16を形成するようにしてもよい。
【0028】
<マイクロミラー素子の製造方法>
次に、本実施の形態に係るマイクロミラー素子1の製造方法について説明する。
【0029】
まず、ミラー基板の製造方法について説明する。SOI基板の支持基板の裏面(絶縁層およびSOI層が形成された面と逆の面)を感光性レジストでパターニングした状態で、支持基板をKOHでエッチングし、絶縁層が露出した状態とする。次に、SOI層を感光性レジストでパターニングし、可動梁12−1〜12−4、バネ13−1〜13−4およびミラー14が残るように加工する。最後に、SOI基板の裏面から絶縁層を除去することにより、可動梁12−1〜12−4、バネ13−1〜13−4およびミラー14などの可動部分を形成する。
【0030】
次に、電極基板の製造方法について説明する。シリコン基板上に熱酸化反応などにより絶縁膜を形成し、この絶縁膜上にTi/Au薄膜をスパッタした後、Ti/Au薄膜上に感光性レジストをパターニングする。この感光性レジストをモールド(鋳型)として金メッキを形成させ、電極15−1〜15−4、静電遮断壁16の第1層および電極15−1〜15−4や静電遮断壁16に電圧を印加するための配線(図示せず)を形成する。この上に、さらに感光性レジストをパターニングし、静電遮断壁16の第1層上に静電遮断壁16の第2層を金メッキで形成する。最後に、感光性レジストを除去し、露出しているTi/Au薄膜を除去することにより、電極15−1〜15−4および静電遮断壁16を形成する。
【0031】
最後に、ミラー基板と電極基板とを、対応する可動梁12−1〜12−4と電極15−1〜15−4とが対向配置されるように貼り合わせることにより、図1,図2に示すマイクロミラー素子または複数のマイクロミラー素子を1次元に配列したマイクロミラーアレイが生成される。
【0032】
<マイクロミラー素子の動作>
次に、本実施の形態に係るマイクロミラー素子1の動作について説明する。
【0033】
ミラー14の短手方向に沿った軸をX軸、ミラー14の長手方向に沿った軸をY軸とし、それぞれの軸回りにミラー14を回動させる場合について説明する。なお、以下においては、図3に示すように、電極15−1〜15−4には、それぞれ電圧Va,Vb,Vc,Vdという正の電圧が印加され、各可動梁12−1〜12−4には、グラウンド電圧が印加された場合を例に説明する。
【0034】
≪X軸回りの回動≫
X軸回りミラー14を回動させるには、X軸方向に並設された可動梁の変位を同じに保ったまま、Y軸方向に並設された可動梁の変位を異ならせることにより、実現することができる。言い換えると、X軸方向に並設された電極に印加する電圧を同じに保ったまま、Y軸方向に並設された電極に印加する電圧を異ならせることにより、実現することができる。具体的には、図3に示すように、X軸方向に併設された電極15−1,15−2に印加する電圧VaとVb、および、電極15−3,15−4に印加する電圧VcとVdをそれぞれ等しくし、かつ、ミラー14に所望する回動が生じるように電圧Va(またはVb)と電圧Vc(またはVd)との間に電位差ΔVを与える。これにより、図4(a),(b)に示すように、ミラー14はX軸回りに回動する。
【0035】
このとき、例えば、全ての可動梁12−1〜12−4の変位が電圧Vの関数d(V)で表される場合、バネ13−1〜13−4のサイズを無視すると、図4(b)に示すX軸回りに生じる回転角θ1は下式(1)で表すことができる。
【0036】
θ1={d(Va)−d(Vd)}/Lm ・・・(1)
【0037】
ここで、Lmは、ミラー14のY軸方向の長さである。回転角θ1が微小で、関数d(V)がd(V)=AVと線形に近似できる場合、上式(1)は、下式(2)で表すように電位差ΔVで近似することができる。なお、Aは、任意の係数である。
【0038】
θ1=(AVa−AVd)/Lm=AΔV/Lm ・・・(2)
【0039】
この電位差ΔVをX軸を制御する電圧としてVxと定義すれば、Vxを指定することで、ミラー14のX軸回りの角度を任意に制御することができる。なお、VxはX軸を中心にミラー14を回動させるための制御電圧を意味する。
【0040】
≪Y軸回りの回動≫
Y軸回りミラー14を回動させるには、Y軸方向に並設された可動梁の変位を同じに保ったまま、X軸方向に並設された可動梁の変位を異ならせることにより、実現することができる。言い換えると、Y軸方向に並設された電極に印加する電圧を同じに保ったまま、X軸方向に並設された電極に印加する電圧を異ならせることにより、実現することができる。具体的には、図3に示すように、Y軸方向に併設された電極15−1,15−4に印加する電圧VaとVd、および、電極15−2,15−3に印加する電圧VbとVcをそれぞれ等しくし、かつ、ミラー14に所望する回動が生じるように電圧Va(またはVd
)と電圧Vb(またはVc)との間に電位差ΔVを与える。これにより、図5(a),(b)に示すように、ミラー14はY軸回りに回動する。
【0041】
このとき、例えば、全ての可動梁12−1〜12−4の変位が電圧Vの関数d(V)で表される場合、バネ13−1〜13−4のサイズを無視すると、図5(b)に示すようにY軸回りに生じる回転角θ2は下式(3)で表すことができる。
【0042】
θ2={d(Va)−d(Vb)}/Lw ・・・(3)
【0043】
ここで、Lwは、ミラー14のX軸方向の長さである。回転角θ2が微小で、関数d(V)がd(V)=AVと線形に近似できる場合、上式(1)は、下式(4)で表すように電位差ΔVで近似することができる。なお、Aは、任意の係数である。
【0044】
θ2=(AVa−AVb)/Lw=AΔV/Lw ・・・(4)
【0045】
この電位差ΔVをY軸を制御する電圧としてVyと定義すれば、Vyを指定することで、ミラー14のY軸回りの角度を任意に制御することができる。なお、VyはY軸を中心にミラーを回動させるための制御電圧を意味する。
【0046】
≪X軸およびY軸の回動≫
上述したように、X軸およびY軸の制御電圧をVx,Vyと定義した場合、下式(5−1)〜(5−4)に示すように各電極15−1〜15−4に印加する電圧を定義することにより、Vx,Vyの2変数を指定することで、ミラー14のX軸およびY軸を制御することができる。
【0047】
Va=Vbias+Vx/2−Vy/2 ・・・(5−1)
Vb=Vbias+Vx/2+Vy/2 ・・・(5−2)
Vc=Vbias−Vx/2+Vy/2 ・・・(5−3)
Vd=Vbias−Vx/2−Vy/2 ・・・(5−4)
【0048】
ここで、Vbiasは各電極15−1〜15−4に等しく印加するバイアス電圧である。このバイアス電圧には、例えば可動梁12−1〜12−4の最大変位を与える電圧値の半分の値を設定する。
【0049】
なお、各電極15−1〜15−4にバイアス電圧Vbiasを印加することにより、ミラー14を回動させる際のX軸およびY軸を固定させることができるようになる。これについて、以下に説明する。
【0050】
一般に、可動電極と固定電極からなる2つの電極間に電位差を与え、この電位差により発生する静電引力により可動電極を駆動させる静電駆動アクチュエータ(本実施の形態における可動梁12−1〜12−4と電極15−1〜15−4の関係に相当)は、電位差がない状態が2つの電極間が最も離れた状態であり、電位差を大きくするにしたがって可動電極は固定電極に引きつけられる、すなわち2つの電極間が近づくように動作する。したがって、図1,図2に示すマイクロミラー素子1において、各電極15−1〜15−4にバイアス電圧Vbiasを印加しない状態では、各可動梁12−1〜12−4は初期状態(Vx=Vy=0)の位置から電極15−1〜15−4に近づく方向のみしか変位することができない。このため、マイクロミラー素子1の電極15−1,15−2のみに正の電圧を印加してミラー14を回動させた場合、ミラー14の回動軸は、バネ13−3,13−4を通る直線となる。一方、マイクロミラー素子1の電極15−3,15−4のみに正の電圧を印加してミラー14を回動させた場合、ミラー14の回動軸は、バネ13−1,13−2を通る直線となり、上述した電極15−1,15−2に電圧を印加した場合と異なってしまう。
【0051】
これに対して、図1,図2に示すマイクロミラー素子1において、各電極15−1〜15−4に適当なバイアス電圧Vbiasを印加することにより、各可動梁12−1〜12−4は、その初期状態(Vx=Vy=0)であっても、等しいバイアス電圧によって定まる位置まで電極15−1〜15−4側に押し下げられた状態となる。したがって、電極15−1〜15−4に負の電圧を印加することにより、可動梁12−1〜12−4を電極15−1〜15−4から離れる方向に駆動させることができるようになる。具体的には、マイクロミラー素子1において、可動梁12−1,12−2を電極側に引きつける方向に駆動させ、かつ、可動梁12−3,12−4を電極から離間する方向に駆動させることにより、または、可動梁12−3,12−4を電極側に引きつける方向に駆動させ、かつ、可動梁12−1,12−2を電極から離間する方向に駆動させることにより、X軸をミラー14の中心を通る位置に固定したまま、ミラー14を回動させることができる。なお、Y軸についても、同様の方法により固定することができることは言うまでもない。
【0052】
例えば、マイクロミラー素子1のミラー面に集光された信号光が照射される場合において、信号光の焦点は、通常、ミラー面の中心付近に位置するように光学系が設計される。このとき、上述したような方法により、ミラー14の回動軸をミラー14の中心を通る位置で固定することにより、ミラー14が回動しても信号光の焦点が常にミラー面上で結ばれるため、光学系の結合損失などが増加するのを防ぐことができる。
【0053】
なお、上式(5−1)〜(5−4)は、一例であって、符号や係数などは適宜自由に設定することができる。また、可動梁12−1〜12−4や電極15−1〜15−4の特性がそれぞれ異なる場合には、その特性に応じてバイアス電圧や係数を適宜自由に設定することができる。
【0054】
<マイクロミラーアレイ>
上述したマイクロミラー素子1をミラー14の短手方向に一列に配列することにより、図6に示すようなマイクロミラーアレイを生成することができる。図6に示すマイクロミラーアレイにおいて、マイクロミラー素子1は、支持部11から構成される互いに平行に配設された一対の支持枠19に沿って、一列に配列されている。隣り合うミラー素子1の間、すなわち、隣り合うミラー素子1の対向する電極15−1〜15−4の間には、静電遮断壁16と同等の構成を有し、グラウンド電圧が印加される静電遮断壁17が設けられている。これにより、隣接するミラー素子1の電極15−1〜15−4からの静電気的な干渉を防ぐことができる。
【0055】
図6に示すマイクロミラーアレイは、各可動梁12−1〜12−4および電極15−1〜15−4の寸法がそれぞれ等しいとした場合、2つの可動梁または電極の短手方向の幅は、静電遮断壁16の幅も含めてミラーピッチ以下となるように設計される。
【0056】
なお、静電気的な干渉を防ぐためには、静電遮断壁を設けるのみならず、電極15−1〜15−4を上方に突出させて対向する可動梁との間隔を短くするようにしてもよい。このようにしても、隣接する電極15−1〜15−4の影響を防ぐことができる。
【0057】
以上説明したように、本実施の形態によれば、電極15−1〜15−4を可動梁12−1〜12−4に対向して配置することにより、固定電極をミラーに対向して配置するよりも、各ミラー14を高密度に配置することができるので、結果として、フィルファクタを向上させることができる。
【0058】
また、ミラー14を支持する可動梁12−1〜12−4をY方向の両側に配設することにより、ミラー14をX方向に沿って配列した際に各ミラー14の間隔を狭くすることができるので、フィルファクタを向上させることができる。
【0059】
すなわち、従来技術と比較して、2軸回転を実現するための可動機構をミラー14が配列される側と直交する側に配設し、かつ、ミラー14の下方に静電電極を設けない構造とすることにより、隣接するミラーとの静電力の干渉がなくなり、ミラー14の製造限界を高密度に並べることが可能となったので、フィルファクタを向上させることができる。
【0060】
さらに、電極15−1〜15−4を可動梁12−1〜12−4に対向して配置することにより、ミラーが電極としての機能を有さなくてよいため、形状等を適宜自由に設定することができるので、例えば、ミラー14が高密度に配置できるような形状に設定すること
ができる。
【0061】
<ミラー素子の変形例>
なお、図7(a),(b)に示すように、上述したミラー素子1の可動梁12−1〜12−4と支持部11との間に、バネ部18−1〜18−4を設けるようにしてもよい。このバネ部18−1〜18−4は、それぞれ一対のつづら折り構造を有するバネからなり、一端が可動梁12−1〜12−4の固定端に、他端が支持部11にそれぞれ接続されている。このような構成としても、上述したのと同様の効果を得ることができる。
【0062】
[第2の実施の形態]
次に、本発明に係る第2の実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態に係るマイクロミラー素子(ミラー素子)2は、上述した第1の実施とミラーの形状が異なるものである。したがって、本実施の形態において、第1の実施の形態と同等の構成要素については同じ名称付し適宜説明を省略する。
【0063】
図8に示すように、本実施の形態に係るミラー素子2は、基板やケースなどの互いに平行に配設された一対の支持部21と、この支持部21に一端(以下、固定端という)が接続された可動梁22−1〜22−3と、この可動梁22−1〜22−3の他端(以下、可動端という)に接続されたバネ23−1〜23−3と、このバネ23−1〜23−3を介して可動梁22−1〜22−3の可動端に接続されたミラー24とを備えている。また、可動梁22−1〜22−3の下方においてそれぞれに対向配置された電極25−1〜25−3と、隣接する電極25−2と25−3の間に形成された静電遮断壁26とを備えている。なお、本実施の形態においても、ミラー24に光信号が照射される面(ミラー面)の側を上方、ミラー24の裏面側を下方として説明を行う。
【0064】
ミラー24は、平面視略台形の板状の形状を有し、上底に対応する短辺の中央部にはバネ23−1が、下底に対応する長辺の両端にはバネ23−2,23−3が接続されている。なお、短辺および長辺以外の辺には、何も接続されていない。
【0065】
このような構成を有するマイクロミラー素子2は、上述した第1の実施の形態と同等の方法により製造することができる。また、静電遮断壁26の構造および作用効果についても、上述した第1の実施における静電遮断壁16と同等である。なお、第1の実施の形態と同様、隣接する電極間での電気的な干渉が可動梁の動作に影響を及ぼさない場合には、静電遮断壁26は設けないようにしてもよい。
【0066】
<マイクロミラー素子の動作>
次に、本実施の形態に係るマイクロミラー素子2の動作について説明する。
【0067】
ミラー24の上底と下底を結ぶ方向の軸をY軸、このY軸に直交する軸をX軸とし、それぞれの軸回りにミラー24を回動させる場合について説明する。なお、以下においては、図9に示すように、電極25−1〜25−3には、それぞれ電圧Va,Vb,Vcという正の電圧が印加され、各可動梁22−1〜22−3には、グラウンド電圧が印加された場合を例に説明する。
【0068】
≪X軸回りの回動≫
X軸回りミラー24を回動させるには、ミラー24の長辺側に設けられた可動梁22−1,22−2の変位を同じに保ったまま、短辺側に設けられた可動梁22−1との変位を異ならせることにより、実現することができる。言い換えると、ミラー24の長辺側に設けられた電極25−2,25−3に印加する電圧を同じに保ったまま、これらとミラー24の短辺側に設けられた電極25−1に印加する電圧を異ならせることにより、実現することができる。具体的には、図9に示すように、電極25−2,25−3に印加する電圧VbとVcをそれぞれ等しくし、かつ、ミラー24に所望する回動が生じるように電圧V*aと電圧Vb(またはVc)との間に電位差ΔVを与える。これにより、図10(a),(b)に示すように、ミラー24はX軸回りに回動する。
【0069】
このとき、例えば、全ての可動梁22−1〜22−3の変位が電圧Vの関数d(V)で表される場合、バネ23−1〜23−3のサイズを無視すると、図10(b)に示すX軸回りに生じる回転角θ3は下式(6)で表すことができる。
【0070】
θ3={d(Va)−d(Vb)}/Lm ・・・(6)
【0071】
ここで、Lmは、ミラー24のY軸方向の長さ、すなわち短辺と長辺の距離である。回転角θ3が微小で、関数d(V)がd(V)=AVと線形に近似できる場合、上式(6)は、下式(7)で表すように電位差ΔVで近似することができる。なお、Aは、任意の係数である。
【0072】
θ3=(AVa−AVb)/Lm=AΔV/Lm ・・・(7)
【0073】
この電位差ΔVをX軸を制御する電圧としてVxと定義すれば、Vxを指定することで、ミラー24のX軸回りの角度を任意に制御することができる。なお、VxはX軸を中心にミラー24を回動させるための制御電圧を意味する。
【0074】
≪Y軸回りの回動≫
Y軸回りミラー24を回動させるには、ミラー24の長辺側に設けられた可動梁22−2,22−3の変位を異ならせることにより、実現することができる。言い換えると、ミラー24の長辺側に電極25−2,25−3に印加する電圧を異ならせることにより、実現することができる。具体的には、図9に示すように、ミラー24に所望する回動が生じるように電圧Vbと電圧Vcとの間に電位差ΔVを与える。これにより、図11(a),(b)に示すように、ミラー24はY軸回りに回動する。
【0075】
このとき、例えば、全ての可動梁22−1〜22−3の変位が電圧Vの関数d(V)で表される場合、バネ23−1〜23−3のサイズを無視すると、図11(b)に示すようにY軸回りに生じる回転角θ4は下式(8)で表すことができる。
【0076】
θ4={d(Vb)−d(Vc)}/Lw ・・・(8)
【0077】
ここで、Lwは、ミラー24の長辺の長さである。回転角θ4が微小で、関数d(V)がd(V)=AVと線形に近似できる場合、上式(8)は、下式(9)で表すように電位差ΔVで近似することができる。なお、Aは、任意の係数である。
【0078】
θ4=(AVb−AVc)/Lw=AΔV/Lw ・・・(9)
【0079】
この電位差ΔVをY軸を制御する電圧としてVyと定義すれば、Vyを指定することで、ミラー24のY軸回りの角度を任意に制御することができる。なお、VyはY軸を中心にミラーを回動させるための制御電圧を意味する。
【0080】
≪X軸およびY軸の回動≫
上述したように、X軸およびY軸の制御電圧をVx,Vyと定義した場合、下式(10−1)〜(10−3)に示すように各電極25−1〜25−3に印加する電圧を定義することにより、Vx,Vyの2変数を指定することで、ミラー24のX軸およびY軸を制御することができる。
【0081】
Va=Vbias+Vx/2 ・・・(5−1)
Vb=Vbias−Vx/2+Vy/2 ・・・(5−2)
Vc=Vbias−Vx/2−Vy/2 ・・・(5−3)
【0082】
ここで、Vbiasは各電極25−1〜25−3に等しく印加するバイアス電圧である。このバイアス電圧には、例えば可動梁22−1〜22−3の最大変位を与える電圧値の半分の値を設定する。
【0083】
なお、上式(10−1)〜(10−3)は、一例であって、符号や係数などは適宜自由に設定することができる。また、可動梁22−1〜22−3や電極25−1〜25−3の特性がそれぞれ異なる場合には、その特性に応じてバイアス電圧や係数を適宜自由に設定することができる。
【0084】
また、本実施の形態においても、図7(a),(b)を参照して説明したバネ部27−1〜27−3を、可動梁22−1〜22−3と支持部21との間に設けるようにしてもよい。このような構成としても、上述したのと同様の効果を得ることができる。
【0085】
<マイクロミラーアレイ>
上述したマイクロミラー素子2をX軸方向に一列に配列することにより、図12に示すようなマイクロミラーアレイを生成することができる。このマイクロミラーアレイは、マイクロミラー素子2を、支持部21から構成される支持枠29に沿って一列に配列されている。ここで、図6に示したマイクロミラーアレイと大きく異なるのは、ミラー24が台形の形状を有するので、その台形の上底と下底が交互に入れ替わるようにミラー素子2を配列していことである。これにより、ミラー素子2をより高密度に配設することができる。
【0086】
また、図12に示すマイクロミラーアレイにおいて、隣り合うミラー素子2の間、すなわち、隣り合うミラー素子2の対向する電極25−1〜25−3の間には、静電遮断壁26と同等の構成を有し、グラウンド電圧が印加される静電遮断壁27が設けられている。これにより、隣接するミラー素子2の電極25−1〜25−3からの静電気的な干渉を防ぐことができる。
【0087】
また、図12に示すマイクロミラーアレイは、各可動梁22−1〜22−3および電極25−1〜25−3の寸法がそれぞれ等しいとした場合、3つの可動梁または電極の短手方向の幅は、静電遮断壁16の幅も含めてミラーピッチの2倍以下となるように設計される。すなわち、4つの電極を有する上述した第1の実施の形態と比較して、電極の幅を1.3倍{≒(2/3)/(1/2)}大きくすることができる。これにより、電極の幅を大きくして静電力を大きくすることができるので、駆動電圧の低電圧化を実現することができる。
【0088】
以上説明したように、本実施の形態によれば、電極25−1〜25−3を可動梁22−1〜22−3に対向して配置することにより、固定電極をミラーに対向して配置するよりも、各ミラー24を高密度に配置することができるので、結果として、フィルファクタを向上させることができる。
【0089】
また、ミラー24を支持する可動梁22−1〜22−3をY方向の両側に配設することにより、ミラー24をX方向に沿って配列した際に各ミラー24の間隔を狭くすることができるので、フィルファクタを向上させることができる。
【0090】
さらに、電極25−1〜25−3を可動梁22−1〜22−3に対向して配置することにより、ミラーが電極としての機能を有さなくてよいため、形状等を適宜自由に設定することができるので、例えば、ミラー14が高密度に配置できるような形状に設定することができる。
【0091】
なお、上述した第1,第2の形態では、ミラーとバネとの接続点である支持点の全てがミラーの周辺に存在する場合を例に説明したが、ミラーの形状は矩形や台形に限定されず、アレイ化したときに隣りのミラーと接触しないのであれば、適宜自由に設定することができる。例えば図13に示すように、第2の実施の形態で示した台形上のミラー24を第1の実施の形態で示した矩形状のミラー14に近づけた、平面視略八角形の形状のミラー31とするようにしてもよい。なお、図13において、第2の実施の形態のミラー素子2と同等の構成要素については、同じ符号を付している。
【0092】
また、上述した第1,第2の実施の形態のミラー素子1,2では、電極の長さが可動梁とほぼ同じ場合を例に説明したが、電極の形状はそれに限定されない。例えば、対向する可動梁のミラーよりの一部の下部のみに形成するようにしてもよい。これは、片持ち梁の可動端を駆動させるために最も効果的な位置は、片持ち梁の可動端の下部であるからである。この場合、静電遮断壁の長さも電極の長さと同等にするようにしてもよい。
【0093】
また、上述した第1,第2の実施の形態では、支持枠19,29に沿ってマイクロミラー素子1,2を一列に配列させることによりマイクロミラーアレイを形成する場合を例に説明したが、可動梁の固定端を支持してマイクロミラー素子を一列に配列させることができるのであれば、マイクロミラー素子を支持させる構造体は支持枠19,29のような構成に限定されず、例えば、基板から延在した支柱など適宜自由に設定することができる。
【0094】
また、第1の実施のミラー素子1は、長方形のミラー14に対して可動梁および電極を4つ設けた場合を例に説明したが、第2の実施の形態と同様、長方形のミラー14に対してもその可動梁および電極を3つ設けるようにしてもよい。
【0095】
また、上述した第1,第2の実施の形態に係るミラー素子1,2は、図15を参照して説明したような波長選択スイッチに適用できることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、ミラーなどの構造体を回動可能とするに支持する各種装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の第1の実施の形態のミラー素子の構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態のミラー素子の構成を模式的に示す平面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態のミラー素子の電極の構成を模式的に示す図である。
【図4】(a)は本発明の第1の実施の形態のミラー素子のミラーをX軸回りに回動させたときの状態を模式的に示す斜視図、(b)は(a)のX方向からの図である。
【図5】(a)は本発明の第1の実施の形態のミラー素子のミラーをY軸回りに回動させたときの状態を模式的に示す斜視図、(b)は(a)のY方向からの図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態のミラー素子から構成されるミラーアレイを示す平面図である。
【図7】(a)は本発明の第1の実施の形態のミラー素子の変形例の構成を模式的に示す斜視図、(b)は(a)の要部拡大図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態のミラー素子の構成を模式的に示す斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態のミラー素子の電極の構成を模式的に示す図である。
【図10】(a)は本発明の第2の実施の形態のミラー素子のミラーをX軸回りに回動させたときの状態を模式的に示す斜視図、(b)は(a)のX方向からの図である。
【図11】(a)は本発明の第2の実施の形態のミラー素子のミラーをY軸回りに回動させたときの状態を模式的に示す斜視図、(b)は(a)のY方向からの図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態のミラー素子から構成されるミラーアレイを示す平面図である。
【図13】図12の変形例である。
【図14】従来のミラー素子の構成を模式的に示す斜視図である。
【図15】波長選択スイッチの構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0098】
1,2…マイクロミラー素子、11,21…支持部、12−1〜12−4,22−1〜22−3…可動梁、13−1〜13−4,23−1〜23−3…バネ、14,24…ミラー、15−1〜15−4,25−1〜25−3…電極、16,26…静電遮断壁、17,27…静電遮断壁、18−1〜18−4,28−1〜28−3…バネ部、19,29…支持枠。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材と、この支持部材に一端が接続された複数の可動電極と、少なくとも3つの前記可動電極の他端部とバネ部材を介して接続されたミラーとを有する反射部と、
この反射部と離間した面上に前記可動電極と対向して配置された複数の固定電極とを備え、
前記ミラーは、平面視略矩形に形成され、
前記複数の可動電極のうち2つは前記ミラーの第1の辺に接続され、他の少なくとも1つは前記第1の辺と接していない第2の辺に接続され、
前記ミラーの同一の辺に接続される隣接する可動電極にそれぞれ対向して配置された隣接する固定電極の間に配設され、平面視で前記隣接する可動電極の間に位置し、固定電位に接続された静電遮断壁を備える
ことを特徴とするマイクロミラー素子。
【請求項2】
前記可動電極は、それぞれ別個のバネ部材を介して前記ミラーと接続され、前記バネ部材および前記ミラーとともに当該可動電極の延在方向に沿った同一直線上に位置する
ことを特徴とする請求項1記載のマイクロミラー素子。
【請求項3】
前記ミラーは、前記第1の辺の長さが、この第1の辺に接続された前記可動電極の前記第1辺に沿った方向の長さの和以上で、かつ、前記第2の辺の長さが、この第2の辺に接続された前記可動電極の前記第2の辺に沿った方向の長さの和以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のマイクロミラー素子。
【請求項4】
前記可動電極は、前記支持部材に一端が接続された可動梁であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のマイクロミラー素子。
【請求項5】
前記可動電極は、前記支持部材とバネ部材を介して接続された電極部材であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のマイクロミラー素子。
【請求項6】
対向配置された2つの支持構造体と、
これらの支持構造体に沿って複数配列された請求項1乃至5の何れか1項に記載のマイクロミラー素子と
を備え、
前記マイクロミラー素子の支持部材は、前記支持構造体であることを特徴とするマイクロミラーアレイ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−101377(P2013−101377A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−1174(P2013−1174)
【出願日】平成25年1月8日(2013.1.8)
【分割の表示】特願2008−76546(P2008−76546)の分割
【原出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】