説明

マイクロ流体システムのためのバルブおよび貯蔵器

マイクロ流体のバルブアセンブリは、マイクロ流体の流体通路を画定する構造体と、チャネルを通る流れを制御し、異なる位置間で移動できるアクチュエータを含む。一実施形態では、アクチュエータは前記構造体の少なくとも一部分にねじ込むことができ、マイクロ流体の流体通路を比較的大きく狭める第一の位置と、流体通路を比較的小さく狭める第二の位置との間で回転するように移動可能である。回転などによりアクチュエータを作動させることにより、バルブと流体通路との間の材料を変形させることができ、それにより内在する流体通路の少なくとも一部分を狭め、また流体通路内の流体の流れを調整することができる。別の側面では、本発明は、流体を入れることができ、そこからマイクロ流体システムへ流体を導入することができる貯蔵器を提供する。一実施形態では、貯蔵器は膨張可能であり、そのためにマイクロ流体システムへ供給する圧力下で流体を保存できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(政府により援助された研究)
本発明は、National Institutes of Healthの助成金番号GM065364およびNational Science Foundationの助成金番号DMR−0213805によって援助されており、政府は、本発明に対して特定の権利を有する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、流体経路内の流体の流れを制御する方法と装置に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
マイクロ流体システムを含む流体システムは、様々な分野において応用されてきた。主として一つ以上のマイクロ流体チャネルを通る流体の流れを制御するこれらのシステムは、研究と生産の両方に役立つユニークな独自の基盤を提供することができる。例えば、一つのクラスのシステムは、非常に小さな流体チャネルおよび小さな反応/分析チャンバーを含んでいる、化学「チップ」上の非常に少量のサンプルおよび試薬の分析のために使用することができる。マイクロ流体システムは、遺伝子分析、臨床検査薬、薬物スクリーニングおよび環境モニタリングのために現在開発されている。これらのシステムは、小規模の液体またはガス状のサンプルを扱うことができ、チップを用いた基板と一般に互換性を有する。したがって、これら小規模システムでの流体の流れの作用は、それらの開発の中心となる。
【0004】
例えば、流体の流れを制御し、流体を供給して送り込み、また流体の流量を変える方法は、マイクロ流体工学の重要な側面である。しかしながら、これらの方法は、一般的に高価および/または大型になり得る相当額の資本設備を必要とし、従って、マイクロ流体装置の可搬性を制限する。例えば、費用の軽減および/または可搬性を高めることができる当該分野での進歩は、多くの異なる分野に応用されるであろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、流体経路内の流体の流れを制御する方法と装置に関する。
【0006】
一実施形態では、本発明は、マイクロ流体の流体通路を画定する構造体と、前記構造体の少なくとも一部分にねじ込むことができ、少なくとも前記流体通路を比較的大きく狭める第一の位置と前記流体通路を比較的小さく狭める第二の位置との間で回転するように移動可能であるアクチュエータとを備えるマイクロ流体のバルブアセンブリに関する。
【0007】
別の実施形態では、本発明は、マイクロ流体の流体通路を画定する構造体と、前記構造体の少なくとも一部分に一体的に連結されたアクチュエータであって、前記アクチュエータは少なくとも前記流体通路を比較的大きく狭める第一の位置と前記流体通路を比較的小さく狭める第二の位置との間で移動可能なアクチュエータとを備え、前記アクチュエータは、前記第二の位置に移動すると、前記アクチュエータへエネルギーを入力することなく、また前記アセンブリの操作可能な作業環境における変化の影響を受けることなく、前記第二の位置を保つことができるマイクロ流体のバルブアセンブリに関する。
【0008】
別の実施形態では、本発明は、マイクロ流体の流体通路を画定する構造体と、前記構造体の第一の部分および第二の部分であって、それぞれの部分は変形可能な材料を備える部分を備え、前記第一および前記第二の部分との間の距離は前記流体通路の断面寸法を定め、アクチュエータは前記構造体の少なくとも一部分に一体的に連結され、前記アクチュエータは第一および第二の部分を変形させることができ、また前記マイクロ流体の流体通路を狭めることができるマイクロ流体のバルブアセンブリに関する。
【0009】
別の実施形態では、本発明は、マイクロ流体の流体通路に対する第一の位置から前記流体通路に対する第二の位置にアクチュエータを移動させるステップであって、前記第二の位置は、前記第一の位置に比べ、前記マイクロ流体の流体通路を通る流れをより狭めるステップと、前記アクチュエータにエネルギーを入力することなく、前記アクチュエータを前記第二の位置に維持するステップであって、前記アクチュエータは前記アセンブリの操作可能な作業環境の変化に影響を受けないステップとを含むマイクロ流体の流体通路の流れを調整する方法に関する。
【0010】
別の実施形態では、本発明は、前記マイクロ流体の流体通路に対する第一の位置から第二の位置へアクチュエータを移動させるステップと、それにより前記流体通路を画定する構造体の少なくとも第一および第二の部分を変形させるステップとを含み、前記第一の部分と第二の部分との間の距離は前記マイクロ流体の流体通路の断面寸法を画定する、前記マイクロ流体の流体通路内の流れを調整する方法に関する。
【0011】
別の実施形態では、本発明は、第一のマイクロ流体の流体通路を経由して流体を貯蔵器へ押し流すステップであって、それにより前記貯蔵器とその中の流体の組み合わせに位置エネルギーを与えるステップと、前記貯蔵器と前記流体通路との間に配置された第一のバルブを閉状態にするステップであって、それにより前記位置エネルギーを蓄積するステップとを含むマイクロ流体システムに流体を保存する方法に関する。
【0012】
別の実施形態では、本発明は、第一の圧力下で第一の流体を含んでいる貯蔵器と、前記貯蔵器と流体連通しているマイクロ流体の流体通路であって、第二の圧力下で第二の流体を含み、前記第二の圧力は前記第一の圧力に満たないマイクロ流体の流体通路と、前記貯蔵器と前記流体通路との間に配置されたバルブであって、第一の位置から第二の位置に移動すると、前記第一の流体の少なくとも一部分を前記貯蔵器から前記マイクロ流体の流体通路へ流れさせることにより、前記貯蔵器の圧力が前記第1の圧力より低くなるバルブと、を備えるマイクロ流体の流体供給システムに関する。
【0013】
別の実施形態では、本発明は、貯蔵器とマイクロ流体の流体通路との間に配置されたバルブを開状態にするステップであって、前記貯蔵器は第一の容積によって画定され、また第一の圧力下で第一の流体を含み、前記流体通路は第二の圧力下で第二の流体を含み、前記第二の圧力は前記第一の圧力に満たないステップと、前記貯蔵器を前記第一の容積から前記第一の容積に満たない第二の容積まで狭めさせるステップであって、それによって前記第一の流体の少なくとも一部分を前記貯蔵器から前記流体通路に流れさせるステップを含むマイクロ流体システムに流体を供給する方法に関する。
【0014】
別の実施形態では、本発明は、第一の容積によって画定され、第一の圧力下で第一の流体を含んでいる貯蔵器と、前記貯蔵器と流体連通しているマイクロ流体の流体通路であって、第二の圧力下で第二の流体を含み、前記第二の圧力は前記第一の圧力に満たなくなった前記マイクロ流体の流体通路と、前記貯蔵器と前記流体通路との間に配置されたバルブであって、第一の位置から第二の位置に移動すると、前記第一の流体の少なくとも一部分を前記貯蔵器から前記マイクロ流体の流体通路へ流れさせることによって、前記貯蔵器が第二の容積を有し、前記第二の容積が前記第一の容積に満たないバルブと、を備えるマイクロ流体の流体供給システムに関する。
【0015】
別の実施形態では、本発明は、流体の流動ストリームを確立するステップであって、前記ストリームは互いに接触する第一および第二の構成要素を含むとともにそれらの間に境界線を画定するステップと、前記流動ストリームと流体連通しているバルブを制御することにより前記第一の構成要素の幅を変更するステップとを含む方法に関する。
【0016】
本発明の他の利点および新規な特徴は、添付する図と合わせて考慮され、本発明の限定されない様々な実施形態についての以下の詳細な説明から明白になるであろう。参照することにより組み込まれる本明細および文書が矛盾しているおよび/または一貫しない開示を含んでいるという場合には、本明細により制御されるものとする。参照することによって組み込まれる二つ以上の文書が互いに対して矛盾しているおよび/または一貫しない開示を含んでいる場合、発効日が後である文書により制御されるものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の限定されない実施形態は、概略図であり同一縮尺で描かれることを意図していない、添付する図に対する一例として説明される。図では、図解している同一またはほぼ同一の構成要素は、主として単一の数字によって表される。明確にするため、すべての構成要素が各図に表示されているわけではなく、通常の知識を有する当業者が本発明を理解するために図が必要とならない個所には、本発明の各実施例の要素全てを表示しているわけではない。
【0018】
(詳細な説明)
本発明は、マイクロ流体の流体通路内の流体の流れの制御のための方法および器具を含む。本発明の一つの側面では、流体の流れは、流体通路の少なくとも一部分を狭める位置にある一つ以上のバルブを使用して、マイクロ流体の流体通路内の流れを調整することおよび/または方向付けることにより制御することができる。本発明の別の側面は、マイクロ流体システムでの流体を保存し供給するシステムおよび方法を提供する。
【0019】
一つの側面では、本明細書に説明するマイクロ流体のバルブアセンブリは、マイクロ流体の流体通路およびアクチュエータを画定する構造体を含み、例えば、前記構造体の少なくとも一部分にねじ込んでもよい。アクチュエータは、マイクロ流体の流体通路を比較的大きく狭める第一の位置と流体通路を比較的小さく狭める第二の位置との間で回転するように移動可能である。アクチュエータは、例えば、一実施形態において、ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)に組み立てられるマイクロ流体の流体通路上のポリウレタンキャスト層に埋め込むことができる、小さな小ねじを含んでもよい。アクチュエータは、変形可能な材料、例えばPDMS層、によって流体通路の天井から分けられてもよい。アクチュエータを作動させること、例えば回転によって、バルブと流体通路との間のPDMS層を変形させることができ、それにより内在する流体通路の少なくとも一部分を狭め、また流体通路内の流体の流れを調整することができる。
【0020】
本明細書に開示するバルブは容易に組み立てて動作できる。さらに、バルブは、以下のような有用な他の特性を有する場合がある。それらは部分的に流体通路を狭めることができ、すなわち、それらの設定を「オン」および「オフ」の中間にしておくことができ;それらは「オン」、「オフ」またはその中間の設定などの位置を維持する際にエネルギーを必要としない場合があり;それらは携帯用および/または使い捨て用マイクロ流体装置へ容易に一体化することができ;それらは外部器具類に左右されない。これらの長所は、特定用途(例えば、供給源が乏しい設定の携帯用および/または使い捨て用装置ならびに診断用装置)において、これらのバルブが空気弁などの従来のある種のマイクロ流体のバルブよりもさらに長所を有する場合があることを示唆している。
【0021】
本発明を理解するために助力となるであろう様々な定義をこれから提供する。以下は、本発明についてさらに十分に説明する追加的な側面および実施形態を含むさらなる開示である。
【0022】
本明細書で使用する「マイクロ流体のチャネルシステム」は、少なくとも一つの流体通路を含み、前記流体通路の少なくとも一部分の断面の寸法が1ミリメートル(mm)未満である装置、器具あるいはシステムを指す。
【0023】
本明細書で使用する「流体通路」は、液体などの流体が通り抜けることができる構造に画定されるいかなるチャネル、毛細血管、チューブ、パイプまたは経路を指す。流体通路はマイクロ流体であってもよい。「流体通路」、「流路」および「チャネル」は、本明細書では置換可能として使用するものとする。
【0024】
本明細書で使用する「断面寸法」は、流体通路の表面および複数の表面の、二つの対向地点間で測定することができる最短距離を指す。
【0025】
本明細書で使用する「流体」は、流動可能な特性によって画定され、液体状態またはガス状態である材料を含むことができる。流体は、結合パートナーなど検査する粒子の懸濁液および/または乳剤、および/または試薬を含んでもよい。
【0026】
本明細書で使用する「結合パートナー」は、特定の分子により結合できる分子を指す。生物学的な結合パートナーはその例であり、例えば、タンパク質Aは生体分子IgGの結合パートナーであり、逆もまた同様である。
【0027】
本明細書で使用する「アクチュエータ」は、移動できる機械装置を指す。例えば、アクチュエータは流体の流れに影響を与えるまたは制御するために移動してもよい。アクチュエータはマイクロ流体のバルブアセンブリの構成要素であってもよい。
【0028】
二つ以上の物体を指す場合、本明細書で使用する「一体的に連結されている」という用語は、例えば、手動で分離できない;分離するためには道具の使用および/または例えば、壊す、はがすなどにより少なくとも一つの構成要素に損傷を与えるなどが必要であるなど、通常の使用の過程ではお互いから分離されない物体を意味する(分離構成要素は接着剤、道具などにより互いに固定されている)。
【0029】
本明細書で使用する、「パラメトリック」形状を有するチャンバーは、外部境界線内に含まれ、外部境界線上の二つの地点を連結し、チャンバーの幾何学的な中心を通過する第一の直線分、および第一の直線分に垂直であり、外部境界線内に含まれ、−第一の直線分によって連結される同一の二つの地点以外の−外部境界線上の二つの地点を連結し、チャンバーの幾何学的な中心を通過する第二の直線分があることにより特徴づけられる外部境界線を指す。
【0030】
本発明の実施形態では、マイクロ流体のチャネルシステムは、適切ないかなる材料も含む可能性のある構造体において形成されてもよい。当業者は、例えば、通過する流体(による劣化からの免除)に対する不活性、特定の装置に使用されるべき温度でのロバスト性などに基づき適切な材料を容易に選択することができる。本発明の一実施形態では、構造体はポリマーから形成される。いくつかの事例では、ポリマーはエラストマーであってもよい。特定の一実施形態では、エラストマーはポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)を含む。ある場合には、構造体の一部分または全部が、ポリスチレン、ポリカーボネートもしくはポリウレタンなどの硬質ポリマー、またはシリコンまたはガラスなどの非ポリマー材料から形成されてもよい。構造体を形成するために複数の材料を使用することができる。例えば、材料のブロックはチャネルを画定する第二の材料がその中を通り並ぶ通路を含むことができる。
【0031】
マイクロ流体のチャネルシステムが形成される構造体は、適切ないかなる構造を有してもよい。例えば、必要ならば、構造体はブロック、薄膜、チューブまたは同等物の形状となり得る。
【0032】
一実施形態では、構造体内の第一の流体流路は、少なくともいくつが相互連結される可能性のある、一連のチャネルを任意に含むことができる。いくつかの実施形態では、第二の流体流路がマイクロ流体のチャネルシステム内に存在することができる。第二の流体流路は、ある場合には、第一の流体通路と流体的に相互連結することができ、第一の流体通路と同一または異なる面に位置していてもよい。
【0033】
チャネルは直線である必要がなく、曲線、蛇行曲線、ジグザグまたは他の通路状などの、非線形の通路をたどることができることは留意される。流体流路、または前記流路の一部分はマイクロ流体であってもよい。いくつかの実施形態では、流体流路の最大断面寸法は、約1ミリメートル(mm)未満であり、ある場合には、約500ミクロン未満、約300ミクロン未満、約100ミクロン未満、約50ミクロン未満、約30ミクロン未満、約10ミクロン未満、約3ミクロン未満または別の場合では約1ミクロン未満である。それぞれの流体通路の断面寸法は、流体およびその適用に応じて変化してもよいことを認識すべきである。例えば、ある場合には、流体通路の少なくとも一部分の高さが、約20ミクロン以上、約50ミクロン以上、または約100ミクロン以上であることが望ましい。
【0034】
流体通路は、例えば、正方形チャネル、円形チャネル、曲線的チャネル、放物線チャネル、(例えば、いかなる縦横比も有する)長方形チャネル、三角形チャネル、不均整チャネルなどで流体輸送を可能にする適切ないかなる断面形状を有することができる。もちろん、チャネルの数、チャネルの形状または幾何学的形状、およびシステム内のチャネルの配置は特定用途に基づいて決定することができる。以下に論じるように、マイクロ流体のチャネルシステムは、当業者に知られている方法によって組み立てられてもよい。
【0035】
本発明の一つの側面は、アセンブリ1−100などのマイクロ流体のバルブアセンブリ、すなわち、図1Fおよび図1Gで図解する実施形態に示すアセンブリを形成するシステムおよび方法を提供する。図1Fおよび図1Gでは、マイクロ流体のバルブアセンブリ1−100は、上記のいかなる配置または材料を含んでもよい構造体1−10で形成することができる。例えば、構造体1−10はPDMSを含んでもよく、また図示するように、材料1−60の追加の層をさらに含んでもよい。層1−60は、構造体1−10と同一または異なる材料から形成されてもよい。限定されることがない、層1−60を形成することができる材料の例は、エラストマーなどのポリマーまたは他の変形可能な材料、およびポリスチレン、ポリウレタンおよびポリカーボネートなどの硬質ポリマーを含む。層1−60はまた、シリコンおよびガラスなどの非ポリマーから形成されてもよい。
【0036】
一実施形態では、アクチュエータ1−50は、層1−60および構造体1−10の一部分に埋め込むことができ、流体通路1−30上に位置付けることができる。例えば、アクチュエータは、層1−65および構造体1−10の両方によって作られた孔1−45内に位置付けられてもよい(図1E)。図示するように、構造体1−10に永久的または非永久的に付けられてもよく、また層1−60または構造体1−10と同一または異なる材料から形成可能な、別の層1−20によって流体通路を囲むことができる。いくつかの事例では、流体通路は材料が単一の層によって囲まれてもよい。アセンブリ1−100を形成する方法は、以下にさらに詳細に説明する。図1Gは、本発明の一実施形態による、アセンブリ1−100の寸法を示す。
【0037】
一実施形態では、図2の実施形態2−50に示すように、アクチュエータは小さな小ねじなどのねじであってもよい。しかしながら、アクチュエータが柱、掛け金、薄膜、バルブ(例えば、プッシュバルブ、バイナリーバルブまたは電子バルブ)など他の構造物、または流体の流れを制御することができる他の構造体を有しいてもよいことを理解しておく必要がある。アクチュエータの型式、構成、形状および/または幾何学的形状は、構造体への一体化の方法に影響を与える。例えば、図2Dに示すように、ねじであるアクチュエータ2−50は、構造体2−10の層2−60にネジ山2−55を形成してもよく、構造体の一部分の孔2−45に詰めてもよい。しかしながら、他の実施形態では、異なる型式、構成、形状および/または幾何学的形状のアクチュエータは、構造体と相違的に関連してもよく、例えば、アクチュエータは、構造体に全体的または部分的に埋め込み、または構造体に一体的に連結してもよい。
【0038】
図2Dに図解するように、アクチュエータ2−50は、流体通路2−30の上部および/または前記通路と垂直などマイクロ流体の流体通路の近くに位置付けられてもよい。しかしながら他の場合では、一つ以上の流体通路に対して同一または異なる角度で一つ以上のアクチュエータを位置付けることが望ましい場合がある。例えば、アクチュエータは、一つ以上の流体通路に対して、約30度より大きいまたはそれ未満、約60度より大きいまたはそれ未満、約90度より大きいまたはそれ未満、約120度より大きいまたはそれ未満、約150度より大きいまたはそれ未満の角度で位置付けられてもよい。
【0039】
図2Bに示すように、アクチュエータ2−50の直径は、流体通路2−30の幅より大きくてもよい。いくつかの実施形態では、アクチュエータの直径は、約2mm以下、約1mm以下、または約0.5mm以下であってもよい。別の実施形態では、アクチュエータの直径は、流体通路の幅の約35倍以下、流体通路の幅の約15倍以下、通路の幅の約10倍以下、または流体通路の幅の約5倍以下であってもよい。したがって、アクチュエータおよび/または流体通路の寸法は用途に応じて変化することができる。
【0040】
一実施形態では、アクチュエータは、流体通路を比較的大きく狭める第一の位置と流体通路を比較的小さく狭める第二の位置との間で回転するように移動してもよい。例えば、アクチュエータが図2に示すねじなどのねじを含む場合、スクリュードライバーまたは同等の器具を使用して、ねじを回転させることによりアクチュエータを作動してもよい。一部において、アクチュエータの型式、構成、形状および/または幾何学的形状によって決まる、適切ないかなる手段によってアクチュエータを作動することができる。別の実施形態では、例えば、アクチュエータが流体通路の少なくとも一部分を狭めるための柱、掛け金または別の物体である場合、押すもしくは引くことにより、または垂直に移動させることなどにより、アクチュエータを作動してもよい。手動または電気的にアクチュエータを作動することができる。アクチュエータはさらに異なる角度に作動されてもよく、アクチュエータは、例えば、流体通路がアクチュエータによって全体的に狭める「オン」状態など、流体通路がアクチュエータによって狭められない「オフ」状態など、また流体がアクチュエータによって部分的に狭められる複数の中間的な状態を有してもよい。例えば、図2Eに示すように、アクチュエータ2−50は流体通路2−30のどの部分も狭めない。図2Fでは、アクチュエータ2−50は流体通路2−30を部分的に狭め、図2Gでは、アクチュエータ2−50は流体通路2−30の一部分を全体的に狭める。
【0041】
アクチュエータが流体通路の一部分を狭める場合、流体通路内を流れる流体の流量は影響を受けてもよい。例えば、図3は、流体通路をさらに狭めるために図2に図解するアクチュエータなどのアクチュエータを作動する場合(例えば、流体通路を比較的大きく狭める位置に付けることができるようにそれを回転させることによって)、流体通路内を流れる流体の流量が減少することを示す。
【0042】
いくつかの実施形態では、アクチュエータはマイクロ流体の流体通路に近い可能性があるが、どのマイクロ流体の流体通路とも流体により繋がっていなくてもよい。例えば、図2Dでは、層2−60にねじ込むことができるアクチュエータ(図示せず)は、流体通路2−30の上部に位置付けられることができるが、構造体2−10の一部分によって流体通路から分離されてもよい。したがって、アクチュエータ2−50は、流体通路2−30または他の流体通路と流体によって繋がっていない。アクチュエータは、流体通路の一部分を狭めることができる、あらゆる許容可能な距離によって流体通路から分離されてもよい。分離距離は、アクチュエータおよび/または流体通路の組み立て方法、幾何学的形状および/または寸法、および/または特定用途によって決定してもよい。ある場合には、例えば、アクチュエータのわずかな作動により流体通路の比較的高い狭窄をもたらすことができるように、流体通路の近く(例えば、300ミクロン以内)にアクチュエータを位置付けることが望ましいことがある。他の場合では、アクチュエータの作動により流体通路の比較的低い狭窄をもたらすことができるように、流体通路からさらに遠ざけてアクチュエータを位置付けることが望ましいことがある。以下にさらに論じるように、これは流体通路内の流体の流量、位置付け、および/または幅を制御(例えば微調整)するのに有用となる場合がある。例えば、アクチュエータは、150ミクロン以上、300ミクロン以上、または3mm以上流体通路から分離していてもよい。
【0043】
別の実施形態では、アクチュエータは、流体通路の断面寸法を画定することがある、マイクロ流体の流体通路の、第一の部分および第二の部分を狭めてもよい。例えば、流体通路が長方形の場合、第一の部分は流体通路の第一の壁に位置付けられてもよく、また第二の部分は流体通路の反対の壁に位置付けられてもよい。流体通路が半円の場合、第一の部分は(屋根が流体通路の床に接触する)流体通路の第一の角に位置付けられてもよく、また第二の部分は流体通路の第二の角に位置付けられてもよい。いくつかの実施形態では、流体通路の少なくとも第一の部分および/または第二の部分を変形させることがある、流体通路の狭窄は、流体通路に物理的接触力を加えることによりもたらされてもよい。
【0044】
使用に当たって、一実施形態によると、マイクロ流体の流体通路内の流れを調整する方法は、マイクロ流体の流体通路に対して画定される第一の位置から、流体通路に対して画定される第二の位置へアクチュエータを移動させるステップを含んでもよく、ここでは第二の位置は、第一の位置よりも流体通路を通る流れを調整する。これらの方法のうちのいくつかでは、アクチュエータはアクチュエータにエネルギーを入力することなく、第二の位置に維持されてもよい。アクチュエータは、アクチュエータの操作可能な作業環境への変化にさらに反応しにくくてもよい。例えば、アクチュエータは、ガスタンクまたはシリンジなどから電気または圧力源を必要することなく、または一定の温度、pH、光条件もしくは周囲圧力など特定の任意の条件下にアクチュエータを置くことなく、第二(または第一)の位置に維持されてもよい。いくつかの実施形態では、アクチュエータは、アクチュエータへエネルギーを入力することなく高い背圧に耐えることができる場合がある。例えば、アクチュエータは、いくつかの事例では約40kPa以上、その他の事例では約90kPa以上、さらに他の事例では約140kPa以上の背圧に耐える場合がある。
【0045】
本発明の別の側面は、チャネル内の一つ以上の流体のストリームの幅を制御する、チャネル内の一つ以上の流体のストリームの流量を制御する、またチャネル内の一つ以上の流体のストリームを集中させるなどの、マイクロ流体チャネル内の流体の流れを制御する方法を提供する。一実施形態では、方法は、例えば、チャネルの真空ダウンストリームを適用することにより、チャネル内の流体の流動ストリームを確立するステップであって、前記ストリームは互いに接する第一の構成要素および第二の構成要素を含むとともにそれらの間に境界を画定するステップと、流動ストリームと流体連通しているバルブを制御することによって第一の構成要素の幅を変えるステップとを含む。第一の構成要素および第二の構成要素は、例えば、流体の層流ストリームであってもよい。一実施形態では、第一の構成要素は、第二の構成要素の結合パートナーと結合することができる、結合パートナーを含んでもよい(以下の実施例を参照)。別の実施形態では、第一の構成要素は、チャネルの表面に配置される、結合パートナーと結合することができる、結合パートナーを含んでもよい。チャネルの表面に配置される結合パートナーは、例えば、チャネル表面との共有結合により、または水素結合、ファンデルワールス相互作用、親水性および/または疎水的相互作用、磁気相互作用または同等物によって、表面と直接結合させてもよい。結合パートナーはさらに、例えば、チャネルの表面へ付けられるセルの表面、またはチャネルの表面と結合しているポリマー層によって、チャネル表面と間接的に結合してもよい。
【0046】
流体の流れを制御する一実施例を、一つのメインチャネル4−30へ合流する一連のチャネル4−31、4−33および4−35を含むマイクロ流体装置4−100を示す図4に例示する。これらのチャネルのそれぞれは、流体の流れを調整することができる一つまたは複数のバルブを備えてもよい。例えば、チャネル4−31は、バルブ4−50によって制御される流体4−32を含み、チャネル4−33は、バルブ4−51によって制御される流体4−34を含み、またチャネル4−35は、バルブ4−52によって制御される流体4−36を含む。メインチャネル4−30内のこれらの流体のそれぞれの幅は、これらそれぞれのバルブの開閉により制御することができる。例えば、図4Aでは、バルブはすべて開状態にあり、調整されることなく流体ストリームをすべてメインチャネル4−30に流れさせる。図4Bでは、バルブ4−51は部分的に閉状態にあり、チャネル4−33を部分的に狭め、チャネル4−33内の流体の一部分だけがメインチャネル4−30に流れ込むことができ、したがって、図4Aに対して図4Bでは、ストリーム4−34の幅は、チャネル4−30内で狭くなるまたは集中する。もちろん、流体4−34は、バルブ4−50、4−51および4−52を制御することにより、任意の程度にチャネル4−30内で狭められ、広げられ、または位置付けられることができる。例えば、図4Cでは、バルブ4−51を完全に開状態にし、バルブ4−50および4−52を部分的に閉状態にすることによって、ストリーム4−34の幅を広げることができ、またストリーム4−32および4−36の幅は狭めることができる。図4に示すように、装置4−100は、一つのメインチャネルへ合流する三つのチャネルを含む。しかしながら、他の実施形態では、それぞれのチャネルが流体の流れを調整することができる一つ以上のバルブを含む場合がある、四つ、五つまたは複数のチャネルは単一または複数のメインチャネルへ合流してもよい。
【0047】
混和性または非混和性のストリームによって囲まれると、流体は集中することができる。例えば図5Aおよび図5Bでは、チャネル5−30内の流体のストリームはすべて混和性であり、矢印5−90の方向に流れる。フルオレセイン5−34の水溶液は、流体5−34を制御するバルブを部分的に閉状態にし、また水5−32および5−36の水溶液を制御するバルブを開状態にすることにより、チャネル5−30内で集中することができる。この実施例において、流体ストリーム5−34は、48ミクロンの幅(図5A)から2.5ミクロンの幅(図5B)まで集中することができる。図5Cでは、ポリ(エチレングリコール)5−44のフルオレセインの溶液は、矢印5−91の方向に、シリコーン油5−42の非混和性溶液および水性ポリ(ビニルピロリドン)5−46との間を流れることができる。流体5−42および5−46を制御するバルブを開状態にする一方で、流体5−44を制御するバルブを部分的に閉状態にすると、蛍光性のストリームは集中し、ストリーム5−44の幅を37ミクロン幅(図5C)から1.8ミクロン幅(図5D)まで縮小することができる。ストリームが集中する範囲は、バルブが開状態の程度によって一部分において制御される場合がある。
【0048】
流体の流動を制御する別の実施例を図6に示し、この図では流体の流動ストリーム6−30が第二の構成要素、例えば、6−33と接触する第一の構成要素、例えば、6−32を備えている。もちろん、流体の流動ストリームは、構成要素6−31、6−32、6−33、6−34、6−35および6−36を含むストリーム6−30のように、互いに接触する複数の構成要素を含んでもよい。流体6−31、6−32、6−33、6−34、6−35および6−36の流れは、それぞれの流体を含んでいる流体通路の近くに位置付けられる一つ以上のバルブによって制御されてもよい。バルブは任意に上述のバルブのうちの一つであってもよい。一実施形態では、それぞれのバルブは互いに無関係に制御されてもよい。別の実施形態では、バルブは、例えば、電気的に相互連結されてもよく、また同一または異なる運転モードを有してもよい。相互連結したバルブは、例えば、平行および/または直列に連結されてもよく、必要であれば、同時に作動することができる。バルブは流体通路の一部分を狭めるために使用されてもよく、それによって、流体通路内の流体の流量および/または6−30に示すような合流するストリーム内の流体の幅を制御する。例えば、図6Aでは、流体ストリーム6−31から6−36を制御するそれぞれのバルブは開状態にあり、また流体ストリーム6−31から6−36を含むチャネルは狭められない。図6Bでは、ストリーム6−31を制御するバルブは完全に閉状態であり、それによって、流体ストリーム6−31を含むチャネルを完全に狭める。これによりストリーム6−31がストリーム6−30に流れ込むのを防ぐことができ、ストリーム6−30を合流させる際に他のストリームの一つ以上の幅に影響を及ぼす場合があり、例えば、ストリーム6−30内の構成要素6−33は、図6Aより図6Bにおいて比較的広い。図6Cでは、ストリーム6−32を制御するバルブは閉状態にあり、また他のすべてのバルブは開状態にあるため、図6Aと比較すると図6Cでは、流体6−33はストリーム6−30の幅に合わせて流れる。これは、バルブの閉状態が合流するストリーム内の流体の相対的地位に影響を及ぼす場合があることを示す。
【0049】
本発明の別の側面は、マイクロ流体システム内の流体を保存および供給するシステムおよび方法を提供する。一実施形態では、マイクロ流体システム内に流体を保存する方法は、第一のマイクロ流体の流体通路を経由して流体を貯蔵器へ押し流すステップと、貯蔵器と流体通路との間に配置される少なくとも第一のバルブを閉状態にするステップとを含む。貯蔵器に保存された流体は検体、すなわち、装置、緩衝液またはポンプ作動流体、すなわち、以下により詳細に説明するように、装置内の圧力差を生成するために使用される流体で化学反応または生体反応を分析するものを含んでもよい。
【0050】
貯蔵器は適切ないかなる形状、幾何学的形状または寸法であってもよく、流体を保存することができるならば、どのような材料から成ってもよい。例えば、一実施形態では、貯蔵器はチャネルであってもよい。別の実施形態では、それは注入口であってもよく、さらに別の実施形態では、それはパラメトリック形状を含むチャンバーであってもよく、例えば、チャンバーは正方形、長方形、円形、三角形、不均整な形状であってもよい。ある実施形態では、貯蔵器は円形または楕円形状の貯蔵器のように鋭角を含まない形状を有するか、または貯蔵器は角丸を有する。かかる幾何学的形状は有利に、貯蔵器の完全な充満および/または貯蔵器からの流体の放出を容易にすることができる。
【0051】
いくつかの実例では、貯蔵器は流体通路と同じ材料から成ってもよい。しかしながら、他の実例および適用によっては、貯蔵器は流体通路とは異なる材料から成ってもよい。貯蔵器は、柱、センサーおよび同等物などその中に配置される追加的構成要素を任意で備えてもよい。
【0052】
流体は様々な方法によって貯蔵器へ押し流してもよい。限定されない例は、シリンジポンプまたは真空源を使用する方法、シリンジまたはピペットを使用して貯蔵器を手動で充満させる方法を含む。一実施形態では、貯蔵器の少なくとも一部分は、貯蔵器へ流体を押し流すとすぐに膨張してもよい。貯蔵器は、貯蔵器の望ましい使用法、マイクロ流体システムにどれだけの流体を供給する必要があるか、および/または望ましい流量などによって程度を変えて膨張することができる。例えば、貯蔵器は、元の容積の2倍より大きく、元の容積の3倍より大きく、元の容積の4倍より大きく、元の容積の6倍より大きく、元の容積の10倍より大きく、元の容積の50倍より大きく、元の容積の100倍より大きく膨張してもよい。特定の一実施形態では、PDMSに組み立てて、またスライドガラスに接着した貯蔵器は、漏れることなく、元の容積の50倍充満された。マイクロ流体アセンブリを組み立てるのに使用する他の種類の材料により、充満最大容積は異なる。したがって、貯蔵器は、異なる幾何学的形状を有することができ、例えば、貯蔵器の望ましい最大容積によって、異なる材料で作ることができる。貯蔵器が膨張する場合には、貯蔵器は、適切に膨張することができる材料(例えば、エラストマー)から形成することができる。当業者は、本明細書に説明する記述と組み合わせて、例えば、弾性率、硬度、および/または材料の互換性(すなわち、装置の特定の構造物および/または装置内で使用する流体との)により適切な材料を選択することができる。
【0053】
一実施形態では、貯蔵器へ流体を押し流すことにより、貯蔵器、および貯蔵器に含まれる流体に位置エネルギーを与える場合がある。貯蔵器と流体通路との間に配置されたバルブが閉状態である場合、位置エネルギーは貯蔵器に保存される場合がある。位置エネルギーの集積は、一つ以上のソースによってもたらされる場合がある。例えば、一実施形態では、貯蔵器に流体を押し流すと、重力の形で貯蔵器に位置エネルギーを保存する、流体通路内の流体の高さと比較して、貯蔵器内の流体の高さに相違が生じる場合がある。別の実施形態では、流体通路経由で貯蔵器に流体を押し流し込むと、貯蔵器の少なくとも一部分が弾性的に変形する。バルブと流体通路との間に配置されたバルブを閉状態にすることにより、弾性力のある部分を変形した状態(例えば、伸張または膨張)に維持してもよく、したがって、位置エネルギーは、弾性的位置エネルギーの形で貯蔵器に保存されてもよい。もちろん、位置エネルギーの形の組み合わせは、同一および/または異なる貯蔵器に保存されてもよい。
【0054】
別の実施形態で、マイクロ流体の流体供給システムを説明する。マイクロ流体の流体供給システムは、第一の圧力下で第一の流体を含んでいる第一の容積によって画定された貯蔵器と、貯蔵器と流体連通しているマイクロ流体の流体通路とを含んでもよい。これらのシステムでは、マイクロ流体の流体通路はさらに、第二の圧力が第一の圧力に満たない、第二の圧力下で第二の流体を含んでもよい。第一の位置から第二の位置に移動すると、第一の流体の少なくとも一部分を貯蔵器からマイクロ流体の流体通路へ流れさせるバルブは、貯蔵器と流体通路との間に配置されてもよい。ある場合には、これにより、貯蔵器は第二の容積が第一の容積に満たない、第二の容積を有することになる場合がある。他の場合では、第一の位置から第二の位置にバルブを移動させると、貯蔵器は第一の圧力より低い圧力を有することになる場合がある。しばしば、貯蔵器の圧力および容積の両方が減少することがある。
【0055】
第一の流体(貯蔵器内の流体)および第二の流体(流体通路内の流体)は、同一または異なる化学組成物を含んでもよい。第一の流体および第二の流体はさらに、同一または異なる流体状態であってもよい。例えば、一実施形態では、第一の流体は液体状態であってもよく、第二の流体は気相状態であってもよい。別の実施形態では、第一の流体および第二の流体の両方が液体状態であってもよい。第一の流体は構成要素、例えば、第二の流体の構成要素と結合または反応する結合パートナーを任意に含んでもよく、または、必要であれば、第一の流体は第二の流体の構成要素を希釈してもよい。マイクロ流体の流体供給システムは、一つ以上の上述のバルブと同様なバルブを任意に含むことができる。
【0056】
マイクロ流体の流体供給システムは、貯蔵器と複数の流体通路との間に配置される複数のバルブをさらに備えてもよい。例えば、システムは、貯蔵器と第二の流体通路との間に配置される第二のバルブ、貯蔵器と第三の流体通路との間に配置される第三のバルブ、貯蔵器と第十の流体通路との間に配置される第十のバルブ、または貯蔵器と第100の流体通路との間に配置される第100のバルブを含んでもよい。したがって、単一の貯蔵器は一つ以上の流体通路に、また任意に流体通路と流体連通している一つ以上の貯蔵器に流体を供給してもよい。例えば、図7では、装置7−100はいくつかの流体通路と流体連通している複数の貯蔵器を備える。流体通路7−30は貯蔵器7−200と流体連通していてもよく、またバルブ7−50および7−51は、貯蔵器7−200および流体通路7−30の中への流体の流れを制御してもよい。貯蔵器7−200に流体を保存するために、バルブ7−51は完全に閉状態であってもよく、またバルブ7−50が開状態の間は、流体は注入口7−5へ導入されてもよい。貯蔵器7−200を充満する前に、貯蔵器は、図7B(一番右側)に示すような断面を含んでもよい。例えば、図7Cの貯蔵器7−200の断面に示すように、貯蔵器に流れ込む流体は貯蔵器の少なくとも一部分を膨張させる場合がある。流体が貯蔵器を充満した後、貯蔵器7−200に流体を保持することができるように、バルブ7−50は閉状態であってもよい(図7D)。流体通路7−30へ流体を供給するために、バルブ7−51は開状態であってもよく、また流体は、例えば、流体通路7−30内流体と貯蔵器7−200内の流体との間の圧力に差があるために、または貯蔵器7−200を含んでいる構造体7−10が崩壊するために、貯蔵器7−200から強制的に外に出される場合がある。流体が貯蔵器から強制的に外に出された後、貯蔵器は図7Eに示すような断面を含んでもよい。
【0057】
ある場合には、一つ以上の流体通路に、また任意に流体通路と流体連通している一つ以上の貯蔵器に流体を供給することは望ましいことがある。さらに、それぞれの流体通路内の流体の流量を変えることによって、例えば、バルブがどれくらい流体通路を狭めるかを変えることによって、流体の供給のタイミングを制御することが可能となる場合がある。例えば、図8Aは、貯蔵器8−200内の流体の保存装置を示し、バルブ8−50および8−51は、貯蔵器内の流体が他の流体通路に流れ込むのを防ぐ。バルブ8−51および/または8−51は、流体が貯蔵器から流体通路へ流れることができるように、どんな時でも開くことができる。例えば、バルブ8−51を開状態にして2秒後に、流体は流体通路8−30(図8B)へ、その後、図8C、図8D、および図8Eに示すように、追加の流体通路へ流れる。10秒後に、バルブ8−53は開状態になってもよく、貯蔵器8−201の一部分は充満することができ、また流体の一部分は注入口8−7(図8F)に到着することができる。したがって、バルブ8−51は、例えば、流体通路内の望ましい流量、貯蔵器を充満する率、および/または流体を放出する率によって、部分的にまたは完全に開状態になってもよい。
【0058】
本発明の方法および器具は、例えば、チップまたは他の小型反応装置などの流体経路内の流体を移動させるのに有益ないかなる配置を本質的に含む、様々な設定において使用することができる。例えば、ラブオンチップ技術が知られており、本発明は本質的にそのようないかなる配置にも使用することができる。一つの設定は、実施例7および図9により詳細に説明するように、免疫学的検定を行うために本明細書に説明する装置の使用法である。有利に、かかる装置により、エンドユーザーは、装置の貯蔵器に最初から組み込まれている、または保存されている試薬の組み合わせから選ぶことによって、いくつかの異なるアッセイまたは反応のうちの一つ選択することができる。
【0059】
別の実施形態では、マイクロ流体チャネルを通る試薬を保存またはポンプで汲み上げるステップは、アクチュエータ、例えば、バルブを使用して行うことができ、マイクロ流体の圧力操作ポンプ(μPOP)を作成する。μPOPは、マイクロ流体の貯蔵器内の圧力下で保存される流体(例えば、後述のポンプ作動流体)を含むことができる。加圧型ポンプ作動流体は、他の流体(例えば、試薬)をマイクロ流体装置内に流れさせるために使用することができる。いくつかの実例では、μPOPは、流体のオンチップの保存、流体のポンプによる汲み上げ、および流体の流量の制御のための、携帯用マイクロ流体装置へ一体化することができる。特定の構成要素をうまく一体化させると、かさばる外部器具類−シリンジポンプ、電源または真空源−の必要性を除去することができ、利用可能な設備が限定されている場合の設定のために、携帯用の分析ツールおよび診断ツールを開発することを可能にする場合がある。
【0060】
圧力操作ポンプを作成するために、アクチュエータは、流体を保存することができる、μPOPに連結されているマイクロ流体チャネルへ一体化することができる。μPOPは初期容量Vを有しており、シリンジポンプを使用して流体で充満することができ、またμPOP貯蔵器に供給された液体の容積Vは、シリンジポンプを使用して、流体を計器で測ることによって決定することができる。μPOP貯蔵器が「いっぱいになる」と、−すなわち、V>>V−、液体の圧力は貯蔵器の容積を拡大させる。圧力は、アクチュエータまたはバルブを使用して注入口および放出口を閉鎖することによって、μPOPの壁、天井および/または床を形成するために使用される材料の弾性変形状に保存することができる。μPOPに連結されたチャネルのバルブが開状態になると、貯蔵器の壁、天井および/または床に保存される弾性応力は、放出口チャネルを通して流体を押し出すことができる。
【0061】
図10は、流体がどのようにμPOP内に保存され放出されることができるかを示す図である。図10A〜図10Pは、注入口チャネル10−30、放出口チャネル10−32、ならびにアクチュエータ10−50および10−51を備えた単一のμPOP貯蔵器10−70を示す。適切ないかなるアクチュエータも使用することができる。ある場合には、アクチュエータは、例えば、幅1.4mm、高さ7mm、傾斜角度300μmの寸法の小さな小ねじを備えてもよい。マイクロ流体のネットワークはPDMSに組み立て、チャネルの床を形成するスライドガラスに接着することができる。チャネルは幅約200μmの寸法であってもよく、貯蔵器は幅2mm(V≒90nL)であってもよく、また構成は高さ約28μmであってもよい。これらの構成要素を形成するために使用される寸法、構成、および材料は例となるものであり、他の寸法、構成および/またはチャネル、貯蔵器、アクチュエータおよび構成要素の材料組成物も、本明細書で説明する実施形態に使用することができることを理解すべきである。
【0062】
図10A〜10Dは、流体で充満される前のμPOP貯蔵器を示す。図10Aは、単一のμPOP貯蔵器を含むマイクロ流体システムの概略図である。図10Bは、図10Aで示す貯蔵器の断面を描く概略図である。図10Cは、単一のμPOP貯蔵器を含むマイクロ流体システムの画像を示す。図10Dは、図10Cに示す貯蔵器の断面を描く概略図である。図10A〜図10Dでは、注入口チャネルおよび放出口チャネルのバルブ10−50および10−51はそれぞれ開状態にあり、流体は注入口チャネルへポンプによって送り込むことができる。点線矢印10−54は、貯蔵器内の流体の流れの方向を示す。点線10−56は、断面を描き、貯蔵器の前記断面が長方形である位置を示す。
【0063】
図10E〜図10Hは、μPOP貯蔵器にどのように流体を充満することができるかを示す。貯蔵器は、液体の1容積(V=V)で充満することができ、その後、注入口チャネルのバルブが開状態を維持する一方で、放出口チャネルのバルブ10−51は閉状態となることができる。
【0064】
図10I〜図10Lは、μPOP貯蔵器にどのように流体を保存することができるかを示す。より多くの流体が貯蔵器にポンプによって送り込まれるにつれて(V>V)、注入口チャネルのバルブ10−50は閉状態になることができる。貯蔵器内の流体は、加圧下(V>V)で保存することができる。図10Jおよび10Lは、貯蔵器の壁および天井が半球状へ変形するのを示す断面である。この特定の実施形態では、V〜10μLである。
【0065】
図10M〜図10Pは、μPOP貯蔵器からどのように流体を放出することができるかを示す。放出口チャネルのバルブ10−51は開状態になることができ、μPOP内に保存された圧力は、放出口チャネルを通して流体を押し流してもよい。ある場合には、貯蔵器を10分間(V≒Vi)弛緩させた後は、液体の約1容積は貯蔵器内に残ることができる。図100は、放出口チャネルのバルブを開状態にした後2秒たったものである。点線10−54は、流れの方向を示す。
【0066】
いくつかの実施形態では、流体は、長期間(例えば、1日を越えて、7日を越えて、15日を越えて、30日を越えて、40日を越えて、2ヶ月を越えて、または1年を越えて)、μPOP内に加圧下で保存することができる。加圧下で流体を保存することは、様々な目的を果たす場合がある。例えば、流体を保存することは、装置内の一つ以上の反応物質を貯蔵する場合があり、すなわち、保存により反応物質、試薬または構成要素が変性または分解することを防ぐ場合がある。ある場合には、保存により装置から流体が蒸発するのを最小限にするおよび/または防ぐことができる。さらにまたはあるいは、保存により装置に保存された位置エネルギーを保持する場合がある。加圧下で流体を保存する様々な方法を使用することができ、また保存される特定の流体、装置を組み立てるために使用される材料、流体が保存されるべき圧力、望ましい保存の期間などによって決定してもよい。
【0067】
一実施形態では、加圧下の装置内の流体は、操作するために設計されている装置の温度よりも、流体をさらに粘性があるようにさせる温度で保存することができる。すなわち、水溶液を含んでいる装置については、0℃(または溶液の要素によって変わる場合は別の氷点)以下の温度で装置を保存することにより、溶液が氷結する。装置を氷結させることにより、溶液中の試薬の変性および/または分解を防ぐことができ、保存された流体の蒸発を最小限にする場合がある。ある場合には、加圧下の装置内の流体は、操作するために設計されている装置の温度よりも、流体がさらに低い蒸気圧を有するようにさせる温度で保存することができる。すなわち、0℃という温度が、装置内に保存されている特定の有機溶媒を氷結させないとしても、前記温度は、例えば、25℃という操作温度よりも、これらの溶媒がさらに粘性があるようにさせる、および/またはさらに低い蒸気圧を有するようにさせる場合があり、したがって、溶媒を長期間保存するのに役立つ場合がある。特定の溶媒を含んでいる装置については、適切な保存温度は、例えば、本明細書に説明する他の要因と組み合わせて、溶媒の融点、沸点、および/または蒸気圧などによって決定してもよい。この調整によって、加圧下で拡張した貯蔵器内に、一つ以上の試薬および一つ以上のポンプ作動流体(試薬流体と異なる場合)を指定した装置に取り込むことができる。装置は、一部または全部の流体が氷結する温度で保存することができる。一つの配置では、貯蔵器に入っているポンプ作動流体が、装置内の流体を後で操作するために、位置エネルギーを保存することができる時間を延長することができる、少なくとも一つのポンプ作動流体が氷結する(他の流体も同様に氷結することができる)。かかる技術の使用法の一実施例として、装置は、臨床用診断学的アッセイを行うための試薬、およびポンプ貯蔵器、試薬とアッセイ反応部位などとの間の流体連結を制御するバルブが適切に操作されるとアッセイを行うマイクロ流体チャネル内の試薬を操作するために、膨張した貯蔵器内のポンプ作動流体を装填することができる。装置は、使用するために準備することができ、また必要となるまで一時期冷凍しておくことができる。例えば、装置は、装填され、冷凍され、必要なときに解凍する診療所まで冷凍したまま輸送し、その後使用することができる。または、装置は、装填され、使用する場所に輸送し、その後必要になるまで保存のために冷凍できる。
【0068】
別の実施形態では、加圧下の装置内の流体は、溶媒のガスを含む環境で長期間保存することができる。例えば、貯蔵器は水溶液で充満し、加圧下の湿潤(例えば、水飽和された)環境で保存することができる。湿潤環境により、流体(例えば、液体)が貯蔵器から蒸発することを防ぐことができる。有機溶媒が装置内に保存される場合は、装置は、溶媒のガスを含む環境で長期間保存することができる。装置を保存する他の方法もまた可能である。
【0069】
ある場合には、装置の貯蔵器内の加圧下の流体の保存は、貯蔵器および/または保存される流体の容積において0.1%未満の変化、容積において1%未満の変化、容積において5%未満の変化、容積において10%未満の変化が起こるまで、一部または全部の流体を任意に氷結させて、長期間行うことができる。
【0070】
保存の適切な方法は、装置の貯蔵器を組み立てるのに使用される材料を考慮に入れることができる。例えば、貯蔵器の位置エネルギーを使用して流体を保存する装置については、貯蔵器を形成するために使用される適切な材料(例えば、適切なエラストマーポリマー)は、材料が保存温度でその弾性力を維持する能力などによって選んでもよい(すなわち、ポリマーは保存温度で低いヒステリシスを有してもよい)。別の実施形態では、μPOPは、マイクロ流体システム内のいくつかの貯蔵器から、またはかかるシステム内の様々な任意の場所から、様々な任意の異なる場所へ流体(例えば、試薬)をポンプで送り出すために使用できる。μPOPは流体(例えば、装置がそのために設計されている、実際のアッセイ相互作用、反応または他の化学相互作用もしくは生物相互作用のどれも有する可能性のないポンプ作動流体)を含んでもよく、また上述のμPOP貯蔵器へポンプ作動流体を押し流すことなどによって、圧力下に置くことができる。ある場合には、μPOPは試薬を含んでいるいくつかの貯蔵器と連結することができ、μPOPとそれぞれの貯蔵器との間の流れは、μPOP貯蔵器および試薬貯蔵器との間に位置付けられる一つ以上のアクチュエータ(例えば、バルブ)によって制御することができる。ポンプ作動流体が目的とする反応に関与する必要がない(実際には、ポンプ作動流体は目的とする相互作用に関して不活性であってもよい)場合には、μPOPは、それぞれのチャネルを通して試薬を押し流すために、一つ以上の試薬に流体連結または連結可能なポンプとして役立つことができる。このシステムは、流体を含んでいる膨張した貯蔵器に保存された位置エネルギーによって、必要なときと場合に、個々の供給のために、加圧で、多くの異なる流体(例えば、試薬)を保存するものの代わりになることができる。いくつかの実施形態では、貯蔵器(例えば、試薬貯蔵器およびμPOP貯蔵器)の組み合わせは、流体の供給のために加圧下に置くことができる。
【0071】
ポンプ作動流体は、貯蔵器を加圧するために使用されるが、装置内の構成要素の反応または分析には関与しない流体であってもよい。ある場合には、ポンプ作動流体は、試薬と異なる相の流体であってもよい(例えば、試薬の流体または複数の試薬の流体と不混和性)。例えば、試薬が水性の場合、ポンプ作動流体は、水相(例えば、有機溶媒)と不混和性の流体を含んでもよい。別の実施形態では、ポンプ作動流体は試薬と同じ相であってもよい。例えば、試薬が水性であり、また水性の試薬の希釈が問題でない場合には、ポンプ作動流体もまた水性であってもよい。
【0072】
ポンプ作動流体として使用することができる適切な流体は、装置を形成するために使用される材料と互換性のある流体を含む。沸点、融点および蒸気圧などの流体の物理的性質もまた、流体が適切かどうか判断してもよい。例えば、PDMSに作られた装置については、適切なポンプ作動流体は、メチルペルフルオロメチルデカリン、PFD、シリコーン油、ニトロメタンおよび水を含んでもよい。ある場合には、ポリマーを膨張させない流体が好ましい。適切なポンプ作動流体はまた、流体の保存能力を考慮に入れてもよく、すなわち、長時間にわたり流体の蒸発を最小限にするために、低い沸点を有する流体が適切な場合がある。ある場合には、ポンプ作動流体は、空気、N、Ar、OおよびCOなどの気体を含んでもよい。
【0073】
図12は、システム内のいくつかの貯蔵器から流体をポンプで汲み上げるのに使用することができるμPOPを含むマイクロ流体システムを示す。図12で示す実施形態では、μPOP貯蔵器12−70は、チャネル12−30A経由で貯蔵器12−72Aに流体連結される。バルブ12−50Aは、μPOP貯蔵器と、装置で分析される流体(例えば、試薬)を含む場合がある、貯蔵器12−72Aとの間に位置付けられる。μPOP貯蔵器もまた、チャネル12−30B−D経由で貯蔵器12−72B−Dにそれぞれ連結することができる。バルブ12−50A−Dは、それぞれの貯蔵器およびチャネルのそれぞれの間の流体の流れを制御してもよい。
【0074】
有利に、貯蔵器12−72B−D内のそれぞれの流体は、μPOP貯蔵器12−70の加圧された流体と組み合わせたバルブによって単独に制御する(すなわち、装置の別の部分に供給される)ことができる。その結果、必要であれば、異なる試薬(すなわち、貯蔵器12−72B−D内に含まれていた)は異なる時点に装置の別の部分に供給されてもよい。異なる試薬が反応の異なるステップの間に反応部位で必要な場合に、これは、例えば、チップ上で複数のステップの反応を行うために、特に適する場合がある。
【0075】
図12B〜12Gは、μPOP貯蔵器を使用して、試薬貯蔵器から装置の別の部分まで試薬(ここでは浅黒い流体として示す)の供給を示す。図12Bで示す実施形態では、μPOP貯蔵器12−70は、試薬貯蔵器12−72A内の試薬液と不混和性のポンプ作動流体(例えば、ここでは透明な流体として示す、ペルフルオロデカリンまたはその誘導体)を含んでいる。図12Cでは、μPOP貯蔵器と試薬貯蔵器との間のバルブ12−50は開状態である。試薬貯蔵器および供給チャネル12−35との間のバルブ12−55Aもまた開状態である。これにより、ポンプ作動流体は矢印12−60の方向に試薬貯蔵器へ流れ込むことができる。その結果として、ポンプ作動流体は、試薬貯蔵器から試薬を放出することができ、矢印12−61の方向に供給チャネルへ試薬を流れさせることができる。図12Cは、バルブ12−50Aおよび12−55Aが開状態になり3秒後の流体の流れを示す。図12D〜12Gは、バルブが開状態になり、5秒、7秒、9秒および11秒後の流体の流れをそれぞれ示す。
【0076】
図13は、ガス状のポンプ作動流体(例えば、空気)を含んでいる貯蔵器を使用して、試薬貯蔵器から装置の別の部分まで試薬の供給を示す。図13Aは、染料で充満させたマイクロ流体システム全体の画像を示す。この実施形態で示すように、装置は5つのバルブ13−50(例えば、直径1mmのねじ、長さ5mm)、μPOP貯蔵器13−70(例えば、容積0.4μL)および試薬貯蔵器12−72(例えば、容積0.4μL)を含んでいる。図13Bは、5μLの染料で充満され、チャンバーに連結されたチャネルのバルブを使用して保存されたμPOPを示す。試薬貯蔵器は、〜0.4μLの染料で充満されている。二つのコンパートメント間にあるチャネル13−80は、染料で充満されておらず、空気栓が詰められている。図13Cは、μPOPの放出口チャネルのバルブの開状態を示し、図13D〜図13Fは、3秒間隔で撮影した。μPOP貯蔵器からの流体は、空気をふさぐことによって蛇行曲線の放出口チャネル内に押し出された。
【0077】
構造体内にマイクロ流体チャネルを組み立てる一つの手順を以下に説明する。これはほんの一例であり、当業者は、例えば、それぞれが参照することによって本明細書に組み込まれる、米国特許番号6,719,868、6,686,184および6,645,432で論じられている、マイクロ流体構造体を形成するために適切な追加の技術を知るであろうことを理解すべきである。
【0078】
一実施形態では、マイクロ流体チャネルは、適切な原型を元に標準の成形品を適用して作ってもよい。例えば、マイクロチャネルは、PDMSプレポリマー(シルガード184、ダウコーニング)を、フォトリソグラフィーによって生成される、パターン化されたフォトレジストの表面レリーフ(原型)に鋳造することによって、PDMSに作ることができる。フォトレジストのパターンは、望ましい寸法を有するチャネルを含んでもよい。65℃で〜3時間寝かした後に、原型からポリマーを取り出し、表面に打ち出されたマイクロチャネルの、支柱なしで立つPDMSモールドを得ることができる。
【0079】
注入口および/または放出口は、PDMSの厚板の厚さにそって切り取ることができる。実質的に閉鎖されたマイクロチャネルを形成するために、マイクロ流体チャネルは以下の方法で密閉してもよい。第一に、PDMSモールドおよびPDMS(または他の適切な任意の材料)の平たい厚板は、プラズマ酸化チャンバーに置き、1分間酸化させることができる。その後、PDMS構造体は、表面レリーフを厚板に接触させながら、PDMS厚板上に置くことができる。不可逆的密閉は、プラズマ酸化の後に両方の表面に露呈するシラノール(SiOH)群間の縮合反応に起因する、二つの基質間のシロキサン結合(Si−O−Si)の架橋の結果である。
【0080】
以下の実施例により、本発明の特定の実施形態を示すことを意図しているが、本発明の全範囲を例示することは意図していない。
【実施例】
【0081】
(実施例1)
(装置の組み立て)
以下の実施例は、マイクロ流体のバルブアセンブリを組み立てる方法を示す。この方法の簡単な説明は、以下のとおりである(図1)。マイクロ流体チャネルの設計を含むシリコンウエハーを、従来のフォトリソグラフィーを使用して、浅浮き彫り(SU8−100またはシップリー5740)のフォトレジストに組み立てた。チャネルは、典型的に幅100ミクロン、高さは15〜100ミクロンの間で様々であった。放物線の断面(高さ15ミクロン、幅100ミクロン)を有するチャネルを、シリコンウエハー上でフォトレジスト(シップリー5740)から組み立て、前述の手続きを利用してレジストをリフローで接合した。浅浮き彫りの構成を含むウエハーをトリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)−1−トリクロロシランの気体で3時間シラン処理をした。PDMSプレポリマー(厚さ300ミクロン〜4mm)をシリコンの原型に鋳造して、熱的(65℃)に寝かせた。マイクロ流体チャネルを含むPDMS層をシリコンウエハーからはがし、改良型シリンジ針を使用して、注入口の孔および放出口の孔を開けた。PDMS構造体1−10のチャネル1−30をプラズマ酸化して、スライドガラス1−20に不可逆的に密閉した(図1A)。
【0082】
PDMSの中へ、穿孔器を利用して、約2〜3mmの深さに、チャネル1−30上に一列に並ぶように孔1−40(直径4mm)を開けた。PDMSの栓を穿孔器を利用して取り除き、孔はポリウレタン層の貯蔵器として役立った。第二に、ポリウレタンを寝かしている間にねじを適所に保持するために、チャネルの真上に、またポリウレタンの貯蔵器内に、16.5Ga針を利用して、比較的小さな孔1−45を開け;第二の孔の深さは約1〜2mmであった。典型的に、針をねじることにより、それをPDMSから引き出すにつれて、PDMSの栓を取り除き;1対のピンセットを使用して栓もまた取り除くことができた。孔の直径はバルブとして使用したねじと同じであり、典型的に≧1000ミクロンであった。マイクロ流体装置を酸素プラズマで60秒間処理し、親水性のPDMSを得た。内在するPDMSの層と接触するまで、比較的小さな二つの孔1−45に、ねじ1−50を押し込んだ(図1C)。その後、比較的大きな孔1−40をウレタン(NOA81)1−60で充満させ(図1D);内在するPDMSの層は、粘性の低いウレタン(25℃で300cP)が、寝かされる前に、装置上に流れるのを防ぐことができる。ポリウレタンは、UVランプ(波長、365nm)に露出して寝かせることができ、60℃で6時間装置を培養するステップにより、ポリウレタンとPDMSとの間の粘着性を改良することができる。
【0083】
(実施例2)
(流量の測定対回転角)
以下の実験は、バルブを備えるチャネル内の流体の流量と、チャネルを狭めるバルブの回転との関係を示す。この実験で使用する装置は、PDMSに組み立て、スライドガラスに接着した、一連の並列のマイクロ流体チャネル(幅100ミクロン、高さ100ミクロン)を備える。マイクロ流体のバルブアセンブリをそれぞれのチャネル上にバルブ(直径1mm)を位置付けることによって組み立て;バルブの底部およびチャネルの頂部を厚さ約1mmのPDMSの層によって分離した。チャネル内の流体(食用着色料)を流すために、真空(35トル)をチャネルの放出口に適用し、チャネルへの注入口を食用着色料に浸した。流量が初期に毎分〜500マイクロリットルとなるように、真空を調節した。放出口から放出された流体の容積を5分の間にわたり測定した。その後、1400度(上から見て)まで様々な程度にバルブを回転し、チャネルを狭めて、チャネル内の流体の流れを調整し;一回転させるごとに5分間容積を測定した。実験結果を図3に示す。
【0084】
(実施例3)
(層流実験)
以下の実施例は、マイクロ流体のバルブアセンブリを備える、マイクロ流体装置内の層流の制御を示す。この実験で使用する装置を図6に示し;装置は、単一のチャネル6−30(幅600ミクロン、高さ15〜100ミクロン)へ合流する、六つのマイクロ流体チャネル6−30、6−31、6−32、6−33、6−34、6−35および6−36(それぞれ、幅100ミクロン、高さ15〜100ミクロン)を備えている。高さ15ミクロンのチャネルは放物線の断面を有し;高さ100ミクロンのチャネルは正方形の断面を有していた。それぞれのチャネル6−30〜6−36内の流体をバルブによって制御し:高さ15ミクロンのチャネルについては、直径500ミクロンのねじ(長さ4.7mm、傾斜角度150ミクロン)をアクチュエータとして使用し、また高さ100ミクロンのチャネルについては、直径3mmのねじ(長さ15mm、傾斜角度750ミクロン)をアクチュエータとして使用した。異なる有色色素の溶液を、シリンジポンプ(高さ15ミクロンのチャネルには1〜2mL/時間、高さ100ミクロンのチャネルには3〜10mL/時間の流量)を使用して、または単一のチャネル6−30の放出口を真空部(35トル)に接続することにより、チャネル6−30〜6−36の6つの注入口へ供給した。それぞれのチャネル内の流体の流量をバルブで制御した。図6Aでは、すべてのバルブは開状態であり、それぞれのチャネル内の流体を調整しなかった。図6Bでは、そのチャネル内の流体の流れを調整する、チャネル6−31内のバルブは閉状態であり、他のすべてのバルブは開状態であった。図6Cでは、チャネル6−32内のバルブは閉状態であり、他のすべてのバルブは開状態であった。図6Dでは、チャネル6−33内のバルブは閉状態であり、他のすべてのバルブは開状態であった。図6Eでは、チャネル6−34内のバルブは閉状態であり、他のすべてのバルブは開状態であった。図6Fでは、チャネル6−35内のバルブは閉状態であり、他のすべてのバルブは開状態であった。図6Gでは、チャネル6−36のバルブは閉状態であり、他のすべてのバルブは開状態であった。バルブの開閉は、チャネル6−30内に合流するストリームの幅を変更した。
【0085】
(実施例4)
(混和液体の集中ストリーム)
以下の実施例は、マイクロ流体のバルブアセンブリを使用して、マイクロ流体チャネル内の混和液体のストリームの幅を制御することができることを示す。図4の概略図に示すものと同様の装置をこれらの実験に使用した。チャネル4−30の区分を示す実験の写真を図5に示す。外側のチャネル4−31および4−35を通って水を吸い上げるために、また中央のチャネル4−33を通ってフルオレセインの水溶液を吸い上げるために、メインチャネル4−30の放出口(35トル)に真空部を連結した。流れのチャネル内のフルオレセイン5−34のストリームを、落射蛍光顕微鏡法を使用して画像化した。矢印5−90は、三つの溶液の流れの方向を示す。図5Aは、三つのバルブがすべて開状態のとき(すなわち、これらのチャネル内の流体はどれも狭められない)、ストリーム5−34の幅が48μmだったことを示す。フルオレセインのストリームの流量は、そのストリームに連結されたバルブを部分的に閉状態にすることによって減少し、幅2.5ミクロンのストリームを生成した(図5B)。
【0086】
マイクロ流体チャネル内の不混和流体のストリームの幅もまた、マイクロ流体のバルブアセンブリを使用して制御することができる。図4に示すように同様の装置を使用して、中央のチャネルを通してポリ(エチレングリコール)5−34のフルオレセインの溶液(Mw400)を、外側のチャネルのうちの一つを通してシリコーン油5−32を、他のチャネルを通してポリ(ビニルピロリドン)5−36の水溶液(1%w/w、Mw10,000)を吸い上げた。三つのバルブがすべて開状態のとき、内側のストリームは幅37ミクロンであった(図5C)。中央のストリームの流量は、ストリーム5−34に連結されたバルブを閉状態にすることによって減少し、幅1.8ミクロンのストリーム5−34を生成した。(図5D)。
【0087】
(実施例5)
(貯蔵器)
以下の実施例は、マイクロ流体の貯蔵器を組み立てる方法および貯蔵器を使用して実行する実験を示す。貯蔵器を備えるマイクロ流体装置を、ソフトリソグラフィーを使用して、PDMSに組み立て;チャネルをスライドガラスに接着した。装置(図7に図式的に示す)は、円形の柱7−300(高さ40、幅400ミクロン)で強化された四つの長方形の貯蔵器7−200、7−201、7−202および7−203(寸法、高さ55ミクロン、長さ12mm、幅4.8mm)を備え;それぞれの貯蔵器の全容積は3.09マイクロリットルであった。注入口チャネル7−5、7−7、7−15および7−16(幅200ミクロン)をそれぞれの貯蔵器に連結した。放出口チャネルの対を中心のチャネル7−350(幅500ミクロン、長さ16mm)で合流するT字路によって連結した。中心のチャネルの端部の注入口の孔および放出口の孔を16.5Ga針で穿孔した。ポリエチレンの管(PE60、I.D.0.76mm、O.D.1.22mm、Becton Dickinson)を注入口の孔に挿入した。ステンレス鋼の小ねじ(直径1mm、高さ5mm、傾斜角度0.3mm)をアクチュエータとして使用し、それぞれの注入口および放出口チャネルの上に組み立てた。
【0088】
実際の装置の写真を図8に示す。バルブ8−51は貯蔵器8−200の放出口に連結し、スクリュードライバーを使用して閉状態にした。注入口8−5(Harvard Apparatus、流量5mL/時間)に連結しているシリンジポンプを使用して、貯蔵器を赤い食用着色料の約1容積(3マイクロリットル)で充満させた。その後、他の貯蔵器のすべての放出口チャネルのバルブを閉状態にした。2容積から3容積の赤い食用着色料を貯蔵器8−200へさらに加え、貯蔵器の全容積を9〜12マイクロリットルにした。染料を加えるとともに、貯蔵器の高さは増し、壁は外側に押し出された。その後、バルブ8−50を閉状態にして、管を注入口から分離した。10分後、貯蔵器の漏れは検知されなかった(図8A)。バルブ8−51を部分的に開状態にして、流体を貯蔵器8−200からチャネル8−30に流れさせた(図8B)。バルブ8−51を開状態にしてから2秒、4秒、6秒および8秒後に、写真を撮影した(図8B〜図E)。図8Fは、放出口チャネルのすべてのバルブが開状態になった後に撮影した写真である。この実験は、流体の貯蔵器をマイクロ流体装置に組み立て、充満して、また流体を輸送するために使用することができることを示している。
【0089】
(実施例6)
(免疫測定装置の組み立て)
以下の実施例は、マイクロ流体の免疫測定装置を組み立てる方法を示す。この方法の簡単な説明は以下のとおりである。図9に示すものと類似している装置を、注入口ポ−ト9−5ならびに放出口ポート9−7および9−8に加えて、8つの試薬貯蔵器9−200、9−201、9−202、9−203、9−204、9−209、9−206、9−207(それぞれの容積、0.65マイクロリットル)および中心のチャネル9−30(直径500μm)へ連結している二つの緩衝液貯蔵器9−208(容積、0.65マイクロリットル)および9−209(容積、0.44マイクロリットル)を備えるよう設計した。直径200ミクロンのチャネルによって貯蔵器を中央のチャネルに連結した。フォトリソグラフィーを使用して、マイクロ流体チャネルおよび貯蔵器(高さ15ミクロン)を、シリコンウエハーの浅浮き彫りのフォトレジスト(シップリー5740)に組み立てた。放物線の断面を有するチャネルを得るために、レジストを200℃で30分間リフローで接合した。ウエハーをトリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)−1−トリクロロシランの気体で3時間シラン処理し、その後、PDMSプレポリマーの薄い層で被膜した。ポリマーを65℃で3時間寝かせて、外科用メスの刃で切り取り、シリコンの原型からはがし、注入口および放出口を開けた。
【0090】
チャネルを含んでいるスライドガラス(75×50mm)およびPDMSの層をプラズマチャンバー内でプラズマ酸化し、一緒に密閉した。上記の概略のように、バルブアセンブリを組み立てた。小ねじ(直径1mm、高さ5mm、傾斜角度0.3mm)をアクチュエータとして使用し;チャネルからの流体を導入し放出するために、ポリエチレンの管(PE60、I.D.0.76mm、O.D.1.22mm、Becton Dickinson)を注入口ポートおよび放出口のポートに挿入した。
【0091】
(実施例7)
(免疫測定)
以下の実施例は、免疫測定を行うために実施例4の装置の使用法を示す。この例において、貯蔵器9−200、9−201、9−202および9−203は使用しなかった。シリンジポンプ(10mL/時間)を使用して、ブロッキング用緩衝液内の、貯蔵器9−204をヤギ抗ヒトIgG(HRP−aIgG)と共役した西洋ワサビペルオキシダーゼで充満させ、貯蔵器9−205をヤギ抗ヒトIgA(AP−aIgA)と共役したアルカリホスファターゼで充満させた。貯蔵器を充満させる前にバルブ9−47および9−48を閉じて貯蔵器を閉状態にした。貯蔵器9−206をQuantaBlu(Pierce、15162)で充満させ、貯蔵器9−207をAttophos(2’−[2−ベンゾチアゾイル]−6’−ヒドロキシベンゾチアゾールリン酸塩、プロメガ)で充満させた。バルブ9−49および9−50は、望むまで、貯蔵器9−206および9−207内の溶液が中心のチャネル9−30に流れ込むことを防いだ。バルブ9−44は閉状態にして、その後、貯蔵器9−208をブロッキング用緩衝液で充満させた。貯蔵器と中心のチャネルとの間に配置されたバルブを開くことにより適当な時点になると、それぞれの貯蔵器の試薬は中心のチャネル9−30に直接供給された。例えば、貯蔵器9−204内の試薬を供給するために、小さなスクリュードライバーを使用してバルブ9−47を開状態にして、放出口9−7に真空を適用するか、または空気を充満させたシリンジを貯蔵器9−204の注入口9−16に連結した。
【0092】
ヤギ抗ヒト多価免疫グロブリン溶液(Sigma、I1761)(200マイクロリットル)は、注入口9−5を経由してアッセイ分岐9−80に導入した。装置は、4oCで10時間培養し、多価免疫グロブリンをガラス(チャンネルの床)に吸収させ、放出口9−8に真空を適用して不純物を取り除いた。装置は、ブロッキング用緩衝液を含む貯蔵器9−208の容積の半分を中心のチャネル9−30に通過させることによりブロックした。装置は4oCで14時間ブロックし、放出口9−8に真空を適用して不純物を取り除いた。IgA用のヒト血清を分析するために、血清(Golden West Biologicals、200マイクロリットル)は注入口9−5を経由してアッセイ分岐9−80を通過させた。残留血清は、貯蔵器9−208から少量のブロッキング用緩衝液を放出することにより分岐から洗い落とした。貯蔵器9−205中のAP−algAは、次にアッセイ分岐を通過させた。チャネル9−30およびアッセイ分岐9−80は、残留ブロッキング用緩衝液により洗浄し、Attophos溶液で充満させた。15分後、分岐9−80は落射蛍光顕微鏡法を使用して画像化した。Attophosとアルカリホスファターゼとの反応で、435/555nmの励起/発光極大を有する蛍光分子である2’−[2−ベンゾチアゾイル]−6’−ヒドロキシベンゾトリアゾールが生成された。図9Bは、ヒト血清におけるIgAの検出により生成される落射蛍光の画像である。二次抗体の壁へのマイクロチャネルの非特異的結合を確認するために、前述の手続きを繰り返したが、ヒト血清をアッセイ分岐に通して流す代わりに、ブロッキング用緩衝液を使用した。Attophosは貯蔵器9−207から放出されて分岐に導入され、分岐は落射蛍光顕微鏡法を使用して画像化された(図9C)。
【0093】
IgGを分析するために、IgAを分析するものと類似の装置を使用した。アッセイ分岐9−80は、注入口9−5を経由してヤギ抗ヒト多価IgG溶液で充満させ、次に放出口9−8を経由して空にした。次に、ヒトIgG溶液(100マイクロリットル、10mg/mL)を注入口9−5に導入し、アッセイ分岐9−80を通過させた。残留IgGは、貯蔵器9−208からの少量のブロッキング用緩衝液によって取り除いた。バルブ9−47を開状態にし、貯蔵器9−204中のHRP−algG溶液を放出し、貯蔵器の内容物を分岐9−80を通過させた。抗ヒトIgGは、続いて貯蔵器9−208からの残留ブロッキング用緩衝液によって洗い流し、分岐は貯蔵器9−206から放出したQuantaBlu溶液で充満させた。90分後、落射蛍光顕微鏡法を使用して分岐を画像化した。QuantaBluおよび西洋ワサビペルオキシダーゼの生成物は、325/420nmの励起/発光極大を有する蛍光生成物を生成した。図9Dは、ヒトIgGサンプルの検出により生成されたかすかな落射蛍光の画像である。二次抗体のマイクロ流体チャネルへの非特異性結合を確認するために、前述の条件を繰り返したが、ヒトIgG溶液をアッセイ分岐に通過させる代わりに、ブロッキング用緩衝液を使用した。QuantaBluが分岐に導入され、落射蛍光顕微鏡法を使用して画像化した。図9Eは、このバックグラウンド実験によって落射蛍光が生成されなかったことを示す。
【0094】
(実施例8)
(装置の保存)
以下の実施例は、流体は装置の貯蔵器中(μPOP貯蔵器など)で、加圧下で長期間保存することができることを示す。
【0095】
μPOP貯蔵器を4〜6容積の赤い食用着色料で充満させた。小ねじバルブを使用して、加圧下で貯蔵器中に流体を捕捉し、装置は、4oCの湿潤環境で40日間保存した。40日後、加圧下で貯蔵器を液体でさらに充満させたが、漏れは見られなかった。液体は、放出口チャネルのバルブを開状態にすることで、μPOPからマイクロ流体チャネル内へと放出することができた。室温(25oC)の湿潤環境で培養した装置、また0oCで保存した装置についても類似の結果が得られた。
【0096】
(実施例9)
(貯蔵器の形状)
以下の実施例は、貯蔵器から押し出される流体の流量に影響を与える貯蔵器(μPOP貯蔵器など)の形状を示す。PDMSに組み立てられた同容積(250nL)であるが、異なる垂直および水平寸法を有するいくつかの貯蔵器を加圧下に置いた。μPOP貯蔵器中に保存される圧力のほとんどは天井、すなわちPDMSに組み立てられ、スライドガラスに接着された貯蔵器の場合は天井にあってよい(完全にPDMSに組み立てられた貯蔵器、すなわち壁、天井、および床を有するPDMSで作られた貯蔵器の場合は、圧力は主に貯蔵器の天井と床に保存されてよい)。比較的大きな角度で偏向する狭い天井を有するμPOPは、比較的小さい角度での広い天井を有するμPOPよりもより大きな圧力を保存することができる。図11Aは、これらの実験で使用したμPOP貯蔵器の寸法を示す。μPOP1の寸法は、長さ5mm、幅1.25mm、高さ40μL、μPOP2の寸法は、長さ5mm、幅2.5mm、高さ20μL、μPOP3の寸法は、長さ5mm、幅5mm、高さ10μLである。
【0097】
図11Bは、図11Aに示す貯蔵器の寸法の関数として、PDMSに組み立てたμPOPに保存する流体の流量を示す。μPOP(容積、250nL)は、注入口および放出口チャネルに連結させた。放出口チャネルは、時間の関数としての容積の測定が可能なように、蛇行させた(長さ20cm)(すなわち、チャネルの幾何学的形状、チャネル中の流体の容積を知ることで測定が可能となる)。小ねじバルブは、注入口および放出口チャネルの双方に一体化させた。μPOPは5μLの染料で充満させ、流体は両チャネルのバルブを閉状態にして、加圧化で保存した。放出口チャネルのバルブは開状態にし、μPOPから押し出された流体の容積を経時的に測定した。図11Bは、経時的にμPOPから押し出された流体の容積を曲線で示す。μPOP1は(黒三角)、μPOP2は(黒四角)、μPOP3は(黒丸)である。寸法の異なるμPOP貯蔵器の経時的に放出される流体の容積のデータは、貯蔵器中の圧力の大部分は天井の偏向部に保存されることを示している。
【0098】
同容積であるが、直径および/または高さが異なる円形の幾何学的形状を有する貯蔵器で実施した実験は、長方形の貯蔵器での実験と類似の結果を示した。
【0099】
本実施例は、貯蔵器から放出する流体の流量は、流体を含む貯蔵器(μPOP貯蔵器など)の形状を変更することによって修正できることを示す。
【0100】
本発明のいくつかの実施例をここに記載および図解してきたが、当業者には、ここに記載する機能を実行し、結果および/または一つ以上の利益を獲得するためのその他さまざまな手段および/または構造が容易に想像される。また、かかる変更および/または修正は、本発明の要旨の範囲内であると見なされる。より一般的には、当業者には、ここに記載される全てのパラメータ、寸法、材料、および構成が例示を目的とし、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成が本発明の教示が利用される特定の適用により異なることは容易に理解される。当業者は、定期実験を利用するだけで、ここに記載される本発明の特定の実施例に相当するものを多数認識し、あるいは解明することが可能である。従って、前述の実施例は実施例の目的でのみ提示され、添付の請求項およびそれに相当するものの範囲内で、具体的に記載および請求されている以外の方法で本発明を実施してよい。本発明は、ここに記載するそれぞれの個別の特徴、システム、品目、材料、キット、および/または方法を対象とする。さらに、かかる特徴、システム、品目、材料、キット、および/または方法の二つ以上のいかなる組み合わせも互いに矛盾せず、また本発明の要旨の範囲に含まれる。
【0101】
ここで定義され、使用される全ての定義は、辞書の定義、参照することにより組み込まれる文書における定義、および/または定義される言葉の通常の意味を凌駕する。
【0102】
明細書および請求項に記載される単数は、反対の内容が明記されない限り、複数を含む。
【0103】
明細書および請求項に使用される「および/または」という表現は、接続される要素の「どちらかあるいは両方」、つまり接続的に存在することもあり、離接的に存在することもある要素を意味する。「および/または」を使って記載される複数の要素は同様に、すなわちそのように接続される要素のうち「一つ以上」と解釈する。「および/または」節により具体的に特定される要素以外の要素は、具体的に特定される要素に関連しても、関連しなくても、任意で存在してよい。従って、例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない。「備える」などのオープンエンド形式の言葉と併せて使用される場合、「Aおよび/またはB」への言及は、一実施例ではAのみ(任意にB以外の要素を含む)を意味し、別の実施例ではBのみ(任意にA以外の要素を含む)を意味し、さらに別に実施例ではAとB両方(任意に他の要素を含む)を意味することなどが可能である。
【0104】
明細書および請求項で使用される、「あるいは」は、すでに定義したように「および/または」と同様の意味を持つ。例えば、一覧にある項目を分離する場合、「あるいは」または「および/または」は包含的、すなわち要素の数あるいは一覧のうち少なくとも一つの含有、ただし一つ以上も含み、任意に一覧にない項目を追加で含むと解釈される。「〜のうち一つのみ」あるいは「〜のうちちょうど一つ」など反対の内容が明記される用語、あるいは請求項で使用される場合の「〜から構成される」は、要素の数あるいは一覧のうちちょうど一つの要素を含むことを意味する。一般的には、ここで使用する「あるいは」という用語は、「いずれか」、「〜のうち一つ」、「〜のうち一つのみ」、あるいは「〜のうちちょうど一つ」などの排他性の用語が先行する場合、排他的な選択肢を示すとのみ解釈される(すなわち、「一方あるいは他方であるが両方ではない」)。請求項で使用される場合の「本質的に〜から構成される」は、特許法の分野で使用される通常の意味を有する。
【0105】
明細書および請求項で使用される、一つ以上の要素の一覧に関する「少なくとも一つ」という表現は、その要素の一覧の中の要素のうち任意の一つ以上から選択される少なくとも一つの要素を意味するが、要素の一覧内に具体的に一覧にされるそれぞれ全ての要素の少なくとも一つを必ずしも含まず、またその要素の一覧中にある要素のいかなる組み合わせも除外しない。この定義により、「少なくとも一つ」という表現が言及する要素の一覧内に具体的に特定される要素以外の要素は、具体的に特定される要素に関連しても、あるいは関連しなくても、任意に存在することができる。従って、例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない。「AおよびBのうち少なくとも一つ」(あるいは同様に、「AあるいはBのうち少なくとも一つ」、または同様に「Aおよび/またはBのうち少なくとも一つ」)は、一実施例では、任意に一つ以上を含み、Aを含みBは含まない(また任意にB以外の要素を含む)少なくとも一つを意味することができ、また別の実施例では、任意に一つ以上を含み、Bを含みAは含まない(また任意にA以外の要素を含む)少なくとも一つを意味することができ、さらに別の実施例では、任意に一つ以上を含み、Aを含む少なくとも一つ、また任意に一つ以上を含み、Bを含む少なくとも一つ(また任意にその他の要素を含む)を意味することができる。
【0106】
反対の内容が明記されない限り、一つ以上のステップあるいは行動を含むここに請求されるあらゆる方法においても、その方法のステップあるいは行動の順序は、その方法のステップあるいは行動が挙げられる順序に必ずしも限定されない。
【0107】
請求項および上記の明細書においては、「〜を備える」、「〜を含む」、「〜を所持する」、「〜を有する」、「〜を含有する」、「〜を伴う」、「〜を所有する」、「〜から成る」など全ての移行句はオープンエンド、すなわちそれを含むがそれに限定されないことを意味する。米国特許審査便覧2111.03項に記載のとおり、移行句の中で「〜から構成される」および「本質的に〜から構成される」のみは、それぞれクローズド、セミクローズド移行句である。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1A】図1は、本発明の一実施形態による、マイクロ流体のバルブを組み立てるスキームを示す。
【図1B】図1は、本発明の一実施形態による、マイクロ流体のバルブを組み立てるスキームを示す。
【図1C】図1は、本発明の一実施形態による、マイクロ流体のバルブを組み立てるスキームを示す。
【図1D】図1は、本発明の一実施形態による、マイクロ流体のバルブを組み立てるスキームを示す。
【図1E】図1は、本発明の一実施形態による、マイクロ流体のバルブを組み立てるスキームを示す。
【図1F】図1は、本発明の一実施形態による、マイクロ流体のバルブを組み立てるスキームを示す。
【図1G】図1は、本発明の一実施形態による、マイクロ流体のバルブを組み立てるスキームを示す。
【図2A】図2Aは、光学写真の黒白の写真複写によって、本発明の一実施形態による、一連のバルブを備えるマイクロ流体装置を示す。
【図2B】図2Bは、光学写真の黒白の写真複写によって、本発明の一実施形態による、バルブの平面図を示す。
【図2C】図2Cは、光学写真の黒白の写真複写によって、本発明の一実施形態による、バルブの側面図を示す。
【図2D】図2Dは、光学写真の黒白の写真複写によって、本発明の一実施形態による、バルブのモールドの側面図を示す。
【図2E】図2Eは、光学写真の黒白の写真複写によって、本発明の一実施形態による、開位置にあるバルブの底面図を示す。
【図2F】図2Fは、光学写真の黒白の写真複写によって、本発明の一実施形態による、部分的に閉位置にあるバルブの底面図を示す。
【図2G】図2Gは、光学写真の黒白の写真複写によって、本発明の一実施形態による、全面的に閉位置にあるバルブの底面図を示す。
【図3】図3は、本発明の一実施形態による、流体通路内の流体の流量とアクチュエータの回転角との関係をグラフに示す。
【図4】図4は、本発明の一実施形態による、マイクロ流体チャネル内の流体のストリームを集中させるための装置を図式的に示す。
【図5】図5は、蛍光顕微鏡写真の黒白の写真複写によって、本発明の一実施形態による、マイクロ流体チャネル内の流体の集中的なストリームを示す。
【図6】図6A〜図6Gは、光学顕微鏡写真の黒白の写真複写によって、本発明の一実施形態による、流体通路と流体によって繋がっているバルブが開位置および/または閉位置にある場合の、流体通路の幅の変化を示す。
【図7A】図7Aは、本発明の一実施形態による、加圧下において試薬で充満された貯蔵器を使用して、マイクロ流体チャネル内の流体を移動させるための装置を図式的に示す。
【図7B】図7B〜図7Eは、本発明の一実施形態による、流体が充満されるか、または貯蔵器から放出されるときの貯蔵器の断面を図式的に示す。
【図7C】図7B〜図7Eは、本発明の一実施形態による、流体が充満されるか、または貯蔵器から放出されるときの貯蔵器の断面を図式的に示す。
【図7D】図7B〜図7Eは、本発明の一実施形態による、流体が充満されるか、または貯蔵器から放出されるときの貯蔵器の断面を図式的に示す。
【図7E】図7B〜図7Eは、本発明の一実施形態による、流体が充満されるか、または貯蔵器から放出されるときの貯蔵器の断面を図式的に示す。
【図8】図8は、光学写真の黒白の写真複写によって、本発明の一実施形態による、貯蔵器から一つ以上の流体通路への、時間に応じた試薬の供給を示す。
【図9】図9Aは、光学写真の黒白の写真複写によって、本発明の一実施形態による、サンドイッチ免疫測定法に使用される装置を示す。図9B〜図9Eは、蛍光顕微鏡写真の黒白の写真複写によって、本発明の一実施形態による、サンドイッチ免疫測定法を使用して検体を検出することによって発出する落射蛍光を示す。
【図10】図10は、本発明の一実施形態による、マイクロ流体圧作動ポンプの概略図を示す。
【図11A】図11Aは、本発明の一実施形態による、貯蔵器の寸法を示す。
【図11B】図11Bは、本発明の一実施形態による、図11Aの貯蔵器から時間に応じて放出される流体の容積間の関係を示す。
【図12】図12は、本発明の一実施形態による、マイクロ流体圧作動ポンプに連結されている貯蔵器から流体のポンプでの汲み上げを示す。
【図13】図13は、本発明の一実施形態による、ガス状ポンプ作動流体を使用してマイクロ流体圧作動ポンプに連結されている貯蔵器から流体のポンプでの汲み上げを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ流体のバルブアセンブリであって、
マイクロ流体の流体通路を画定する構造体と、
前記構造体の少なくとも一部分に一体的に接続されたアクチュエータであって、前記アクチュエータは、少なくとも前記流体通路を比較的大きく狭める第一の位置と、前記流体通路を比較的小さく狭める第二の位置との間で移動可能であり、前記アクチュエータは、前記第二の位置に移動する場合、前記アクチュエータへエネルギーを入力することなく、また前記アセンブリの操作可能な作業環境における変化の影響を受けることなく、前記第二の位置のままにしておくことができる、アクチュエータと、
を備える、マイクロ流体のバルブアセンブリ。
【請求項2】
前記アクチュエータは、前記構造体の少なくとも一部分にねじ込まれ、少なくとも前記第一の位置と前記第二の位置との間で回転するように移動可能である、請求項1に記載のマイクロ流体のバルブアセンブリ。
【請求項3】
前記流体通路は長方形の断面を有する、請求項1に記載のマイクロ流体のバルブアセンブリ。
【請求項4】
前記流体通路は正方形の断面を有する、請求項1に記載のマイクロ流体のバルブアセンブリ。
【請求項5】
前記流体通路は円形の断面を有する、請求項1に記載のマイクロ流体のバルブアセンブリ。
【請求項6】
前記流体通路は高さが約20ミクロン以上である、請求項1に記載のマイクロ流体のバルブアセンブリ。
【請求項7】
前記流体通路は高さが約50ミクロン以上である、請求項1に記載のマイクロ流体のバルブアセンブリ。
【請求項8】
前記流体通路は高さが約100ミクロン以上である、請求項1に記載のマイクロ流体のバルブアセンブリ。
【請求項9】
前記構造体は変形可能な材料を備える、請求項1に記載のマイクロ流体のバルブアセンブリ。
【請求項10】
前記変形可能な材料はポリマーである、請求項9に記載のマイクロ流体のバルブアセンブリ。
【請求項11】
前記変形可能な材料はエラストマーである、請求項9に記載のマイクロ流体のバルブアセンブリ。
【請求項12】
前記変形可能な材料はPDMSを含む、請求項9に記載のマイクロ流体のバルブアセンブリ。
【請求項13】
前記アクチュエータはねじである、請求項1に記載のマイクロ流体のバルブアセンブリ。
【請求項14】
前記アクチュエータの直径は約2mm以下である、請求項1に記載のマイクロ流体のバルブアセンブリ。
【請求項15】
前記アクチュエータの直径は約1mm以下である、請求項1に記載のマイクロ流体のバルブアセンブリ。
【請求項16】
前記アクチュエータの直径は約0.5mm以下である、請求項1に記載のマイクロ流体のバルブアセンブリ。
【請求項17】
前記アクチュエータの直径は前記流体通路の幅の約35倍以下である、請求項1に記載のマイクロ流体のバルブアセンブリ。
【請求項18】
前記アクチュエータの直径は前記流体通路の幅の約15倍以下である、請求項1に記載のマイクロ流体のバルブアセンブリ。
【請求項19】
前記アクチュエータの直径は前記流体通路の幅の約10倍以下である、請求項1に記載のマイクロ流体のバルブアセンブリ。
【請求項20】
前記アクチュエータの直径は前記流体通路の幅の約5倍以下である、請求項1に記載のマイクロ流体のバルブアセンブリ。
【請求項21】
前記アクチュエータの少なくとも一部分はポリマーに埋め込まれている、請求項1に記載のマイクロ流体のバルブアセンブリ。
【請求項22】
前記ポリマーはポリウレタンである、請求項21に記載のマイクロ流体のバルブアセンブリ。
【請求項23】
前記構造体の少なくとも一部分に物理的接触力を加えることにより、前記アクチュエータは前記流体通路を変形させる、請求項1に記載のマイクロ流体のバルブアセンブリ。
【請求項24】
前記アクチュエータは前記流体通路を部分的に狭めることができる、請求項1に記載のマイクロ流体のバルブアセンブリ。
【請求項25】
前記アクチュエータは前記流体通路を全面的に狭めることができる、請求項1に記載のマイクロ流体のバルブアセンブリ。
【請求項26】
前記アクチュエータは電気的に作動する、請求項1に記載のマイクロ流体のバルブアセンブリ。
【請求項27】
約140kPa以上の背圧に耐えることができる、請求項1に記載のマイクロ流体のバルブアセンブリを備える装置。
【請求項28】
マイクロ流体の流体通路の流れを制限する方法であって、
マイクロ流体の流体通路に対する第一の位置から前記流体通路に対する第二の位置にアクチュエータを移動させるステップであって、前記第二の位置は、前記第一の位置に比べ、前記マイクロ流体の流体通路を通る流れをより狭めるステップと、
前記アクチュエータにエネルギーを入力することなく、前記アクチュエータを前記第二の位置に維持するステップであって、前記アクチュエータは前記アセンブリの操作可能な作業環境の変化に影響を受けないステップと
を含む、方法。
【請求項29】
マイクロ流体システムに流体を保存する方法であって、
第一のマイクロ流体の流体通路を経由して流体を貯蔵器へ押し流すステップであって、それにより前記貯蔵器とその中の流体の組み合わせに位置エネルギーを与えるステップと、
前記貯蔵器と前記流体通路との間に配置された第一のバルブを閉じるステップであって、それにより前記位置エネルギーを蓄積するステップと
を含む、方法。
【請求項30】
前記流体はシリンジポンプを使用して前記貯蔵器へ押し流される、請求項29に記載のマイクロ流体システムに流体を保存する方法。
【請求項31】
前記流体は貯蔵器へ手動で押し流される、請求項29に記載のマイクロ流体システムに流体を保存する方法。
【請求項32】
前記流体を前記貯蔵器の中へ押し流すと前記貯蔵器の容積は増加する、請求項29に記載のマイクロ流体システムに流体を保存する方法。
【請求項33】
前記流体を前記貯蔵器の中へ押し流すと前記貯蔵器は弾性的に膨張する、請求項32に記載のマイクロ流体システムに流体を保存する方法。
【請求項34】
前記流体を前記貯蔵器の中へ押し流すと、前記貯蔵器の容積は前記貯蔵器の中へ前記流体を押し流す前の容積の少なくとも2倍に増加する、請求項29に記載のマイクロ流体システムに流体を保存する方法。
【請求項35】
前記流体を前記貯蔵器の中へ押し流すと、前記貯蔵器の容積は前記貯蔵器の中へ前記流体を押し流す前の容積の少なくとも3倍に増加する、請求項29に記載のマイクロ流体システムに流体を保存する方法。
【請求項36】
前記流体を前記貯蔵器の中へ押し流すと、前記貯蔵器の容積は前記貯蔵器の中へ前記流体を押し流す前の容積の少なくとも4倍に増加する、請求項29に記載のマイクロ流体システムに流体を保存する方法。
【請求項37】
前記流体を前記貯蔵器の中へ押し流すと、前記貯蔵器の容積は前記貯蔵器の中へ前記流体を押し流す前の容積の少なくとも6倍に増加する、請求項29に記載のマイクロ流体システムに流体を保存する方法。
【請求項38】
前記バルブは1のうちの一つである、請求項29に記載のマイクロ流体システムに流体を保存する方法。
【請求項39】
前記位置エネルギーは重力によるものである、請求項29に記載のマイクロ流体システムに流体を保存する方法。
【請求項40】
前記位置エネルギーは弾性力によるものである、請求項29に記載のマイクロ流体システムに流体を保存する方法。
【請求項41】
前記位置エネルギーは重力と弾性力の両方によるものである、請求項29に記載のマイクロ流体システムに流体を保存する方法。
【請求項42】
マイクロ流体の流体供給システムであって、
第一の圧力で第一の流体を含んでいる貯蔵器と、
前記貯蔵器と流体連通しているマイクロ流体の流体通路であって、第二の圧力で第二の流体を含み、前記第二の圧力は前記第一の圧力より低いマイクロ流体の流体通路と、
前記貯蔵器と前記流体通路との間に配置されたバルブであって、第一の位置から第二の位置に移動すると、前記第一の流体の少なくとも一部分を前記貯蔵器から前記マイクロ流体の流体通路へ流れさせ、それにより前記貯蔵器の圧力が前記第一の圧力より低くなるバルブと
を備える、マイクロ流体の流体供給システム。
【請求項43】
流体の流動ストリームを確立するステップであって、前記ストリームは互いに接触する第一の構成要素および第二の構成要素を含むとともにそれらの間に境界線を画定するステップと、
前記流動ストリームと流体連通しているバルブを制御することにより前記第一の構成要素の幅を変更するステップと、
を含む方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図9A】
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【図9b】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【図10G】
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【図10H】
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【図10I】
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【図10J】
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【図10K】
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【図10L】
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【図10M】
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【図10N】
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【図10O】
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【図10P】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【図12F】
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【図12G】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図13E】
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【図13F】
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【公表番号】特表2008−537063(P2008−537063A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553351(P2007−553351)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/003354
【国際公開番号】WO2006/083833
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(502333862)プレジデント・アンド・フエローズ・オブ・ハーバード・カレツジ (18)
【Fターム(参考)】