説明

マグネトロンスパッタ方法及びマグネトロンスパッタ装置

【課題】マグネトロンスパッタ法において短冊形ターゲットを使用して半導体ウエハにスパッタ成膜を効率的かつ均一に行えるようにする。
【解決手段】被成膜体の半導体ウエハをウエハ配置面P上の円形基準領域Aにぴったり重ねて配置する。そして、円形基準領域Aの中心AOを通る法線を回転中心軸として半導体ウエハを所定の回転数で同軸回転させる。そうすると、半導体ウエハ表面の各部は、一回転毎に、半径R/2よりも内側のウエハ中心部は短冊形堆積領域B1のみを通過する間に短冊形ターゲット10(1)からのスパッタ粒子を浴び、半径R/2よりも外側のウエハ周辺部では両短冊形堆積領域B1,B2を通過する間に両短冊形ターゲット10(1),10(2)からのスパッタ粒子を浴びるという形態のスパッタ成膜処理を受ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパッタプロセスにマグネトロン放電を利用するマグネトロンスパッタ法に係り、特に半導体ウエハを被処理体とするマグネトロンスパッタ方法およびマグネトロンスパッタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造では、半導体ウエハ上に所定の薄膜を形成する工程とその薄膜をリソグラフィでパターニングしてエッチング加工する工程とが数多く繰り返される。スパッタ法は、ターゲット(薄膜母材)をイオン衝撃でスパッタしてターゲット材料原子を半導体ウエハ上に堆積させる物理的気相成長法(PVD: Physical Vapor Deposition)の薄膜形成技術であり、半導体プロセスで広く用いられている。中でも、マグネトロンスパッタ法が最も実用的でスパッタ法の主流になっている。
【0003】
マグネトロンスパッタ法は、一般に平行平板型の2極スパッタ装置において、カソード側のターゲットの裏側に磁石を配置して、ターゲットの表側に漏れる磁界を形成する。ここで、漏れ磁界がターゲット表面と平行になる成分を有し、その平行磁界成分がターゲット表面と平行でかつ磁力線と直交する方向でループ状に分布するように、両極性(N極/S極)の磁石を配置する。そうすると、イオンの入射によってターゲット表面からたたき出された二次電子がローレンツ力を受けて上記ループに沿ってサイクロイドの閉じた軌跡を描いて運動しながらターゲット表面付近に束縛され、マグネトロン放電によりスパッタガスのプラズマ化ないしイオン化を促進する。この技法によれば、低い圧力でも大きな電流密度が得られ、低温・高速のスパッタ成膜が可能である。
【0004】
マグネトロンスパッタ法において、典型的な平行平板型2極スパッタの形態を採る場合は円板形または角板形のターゲットが用いられている。この場合、ターゲット表面に形成される漏れ磁界が静止していると、上記ループつまりプラズマリングと対向する部分でのみ局所的にターゲット表面が侵食されてしまい、ターゲットの有効利用率が低いばかりか、スパッタ成膜の均一性の面でも望ましくない。そこで、プラズマリングがターゲット表面を出来るだけ広い範囲に亘ってなぞるように、ターゲットの裏側で磁石を適宜移動(回転・直進・揺動等)させる機構を設けている。
【0005】
特許文献1には、比較的細長い角板形つまり短冊形のターゲットを使用し、ターゲット表面の侵食領域をターゲット長手方向で移動させて、ターゲット利用率およびスパッタ成膜の均一性を向上させたマグネトロンスパッタ装置が開示されている。このマグネトロンスパッタ装置においては、ターゲットの裏側で、ターゲット長手方向と平行に延びる柱状回転軸の外周にN極の板磁石およびS極の板磁石を軸方向に一定の間隔を空けてそれぞれ螺旋状に貼り付けてなる回転磁石群を構成するとともに、ターゲットと略同等の外郭寸法(幅寸法・長さ寸法)を有し、ターゲットの裏面に近接した位置でそれら回転磁石群の周囲を取り囲む矩形の枠状固定外周板磁石を設け、ターゲット表面上に螺旋のピッチに略等しい短軸とターゲットの幅寸法に略等しい長軸とを有する略楕円形のプラズマリングを軸方向に並べて多数形成し、回転磁石群を柱状回転軸と一体に回転させることにより、それら多数のプラズマリングをターゲット長手方向で移動させるようにしている。
【特許文献1】国際公開WO2007/043476
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような柱状回転軸に取り付けられる回転磁石群とその周囲に配置される固定外周板磁石との磁気的結合の構造上、原理的には、短冊形ターゲットのサイズは、軸方向では特に限界はないが、幅方向では120〜130mm位が限界であるとされている。したがって、単一の短冊形ターゲットを用いて、比較的大きな口径を有する円形の被処理体たとえば300mm口径の半導体ウエハにスパッタ成膜を均一に施すのは不可能である。なお、ターゲットはそれよりも一回り大きなバッキングプレートに支持され、このバッキングプレート周りに絶縁部材や給電系統が結合されるので、複数の短冊形ターゲットを幅方向で詰めて配置する、つまり見かけ上のターゲット幅サイズを増倍させることも不可能である。
【0007】
このような理由から、半導体ウエハを被処理体とするマグネトロンスパッタ法では、上記のような短冊形ターゲットの使用ないし実用化は非常に困難であるとされてきた。
【0008】
本発明は、上記のような従来技術の実状および問題点に鑑みてなされたものであって、短冊形ターゲットを使用して半導体ウエハにスパッタ成膜を効率的かつ均一に行えるようにしたマグネトロンスパッタ方法及びマグネトロンスパッタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の観点におけるマグネトロンスパッタ方法は、複数の短冊形堆積領域を、第1の方向では半導体ウエハと同一の口径を有する円形基準領域をそれぞれ横断し、前記第1の方向と直交する第2の方向では互いに所定の間隔を空けて並ぶように配置し、前記複数の短冊形堆積領域の中の一つを、前記第2の方向におけるその片側の側辺が前記円形基準領域の中心付近を通るように配置し、前記複数の短冊形堆積領域の中の他の一つを、前記第2の方向におけるその片側の側辺が前記円形基準領域のエッジまたはその近くを通るように配置し、前記第2の方向における前記複数の短冊形堆積領域のそれぞれの幅寸法を、それらの合計値が前記円形基準領域の半径に略等しくなるように選定し、各々のターゲット表面より放出されたスパッタ粒子が各対応する前記短冊形堆積領域に入射するように、複数の短冊形ターゲットを前記複数の短冊形堆積領域に対向させてそれぞれ配置し、前記円形基準領域と重なる位置に被成膜体としての半導体ウエハを配置し、各々の前記ターゲットの裏側で可動の磁石を駆動して、マグネトロン放電により生成したプラズマを前記ターゲットの近傍に閉じ込めながら、前記ターゲット表面よりスパッタ粒子を放出させ、前記円形基準領域の中心を通る法線を回転中心軸として前記半導体ウエハを所定の回転数で同軸回転させて、前記半導体ウエハ表面にスパッタ粒子の堆積膜を形成する。
【0010】
本発明の第1の観点におけるマグネトロンスパッタ装置は、減圧可能な処理容器と、前記処理容器内で半導体ウエハを支持する回転可能なステージと、 前記ステージを所望の回転数で回転させる回転駆動部と、前記ステージと対向して、第1の方向ではそれぞれ所定値以上の長さを有し、前記第1の方向と直交する第2の方向では所定の間隔を空けて並ぶように配置された複数のターゲットと、前記処理容器内にスパッタガスを供給するためのガス供給機構と、前記処理容器内で前記スパッタガスを放電させるための電力供給機構と、前記処理容器内で生成されたプラズマを各々の前記ターゲットの近傍に閉じ込めるために、各々の前記ターゲットの裏側に設けられる磁石を含む磁界発生機構とを有し、複数の短冊形堆積領域が、前記第1の方向では半導体ウエハと同一の口径を有する円形基準領域をそれぞれ横断し、前記第2の方向では互いに所定の間隔を空けて並ぶように配置され、前記第2の方向において、前記複数の短冊形堆積領域の中の一つは、その片側の側辺が前記円形基準領域の中心付近を通るように配置され、前記第2の方向において前記複数の短冊形堆積領域の中の他の一つは、その片側の側辺が前記円形基準領域のエッジまたはその近くを通るように配置され、前記第2の方向において、前記複数の短冊形堆積領域のそれぞれの幅寸法を足し合わせた全堆積領域幅寸法が前記円形基準領域の半径に略等しく、前記円形基準領域と重なる位置に前記半導体ウエハが配置され、前記回転駆動部により前記ステージと一体に前記半導体ウエハを同軸回転させるとともに、各々の前記ターゲット表面より放出されたスパッタ粒子を各対応する前記短冊形堆積領域に入射させ、前記半導体ウエハ表面にスパッタ粒子の堆積膜を形成する。
【0011】
本発明の上記第1の観点における方法または装置によれば、半導体ウエハを1回転させる間に、1つまたは複数の短冊形堆積領域を通過させ、そこでウエハ表面の各部に一様に180°に相当する区間にわたってスパッタ粒子を浴びせて、半導体ウエハの回転数に関係なく、半導体ウエハ上に均一性の高い成膜レートで薄膜を形成することができる。
【0012】
本発明の第2の観点におけるマグネトロンスパッタ方法は、複数の短冊形堆積領域を、第1の方向では半導体ウエハと同一の口径を有する円形基準領域をそれぞれ横断し、前記第1の方向と直交する第2の方向では互いに所定の間隔を空けて並ぶように配置し、前記複数の短冊形堆積領域の中の一つを、前記第2の方向におけるその片側の側辺が前記円形基準領域の中心付近を通るように配置し、前記複数の短冊形堆積領域の中の他の一つを、前記第2の方向におけるその片側の側辺が前記円形基準領域のエッジ付近を通るように配置し、前記第2の方向における前記複数の短冊形堆積領域のそれぞれの幅寸法を、それらの合計値が前記円形基準領域の半径に略等しくなるように選定し、各々のターゲット表面より放出されたスパッタ粒子が各対応する前記短冊形堆積領域に入射するように、複数の短冊形ターゲットを前記複数の短冊形堆積領域に対向させてそれぞれ配置し、前記円形基準領域を含む面内で前記円形基準領域から所定距離だけオフセットした位置に被成膜体としての半導体ウエハを配置し、各々の前記ターゲットの裏側で可動の磁石を駆動して、マグネトロン放電により生成したプラズマを前記ターゲットの近傍に閉じ込めながら、前記ターゲット表面よりスパッタ粒子を放出させ、前記円形基準領域の中心を通る法線を回転中心軸として前記半導体ウエハを所定の回転数で偏心回転させて、前記半導体ウエハ表面にスパッタ粒子の堆積膜を形成する。
【0013】
本発明の第2の観点におけるマグネトロンスパッタ装置は、減圧可能な処理容器と、前記処理容器内で半導体ウエハを支持する回転可能なステージと、前記ステージを所望の回転数で回転させる回転駆動部と、前記ステージと対向して、第1の方向ではそれぞれ所定値以上の長さを有し、前記第1の方向と直交する第2の方向では所定の間隔を空けて並ぶように配置された複数のターゲットと、前記処理容器内にスパッタガスを供給するためのガス供給機構と、前記処理容器内で前記スパッタガスを放電させるための電力供給機構と、前記処理容器内で生成されたプラズマを各々の前記ターゲットの近傍に閉じ込めるために、各々の前記ターゲットの裏側に設けられる磁石を含む磁界発生機構とを有し、複数の短冊形堆積領域が、前記第1の方向では半導体ウエハと同一の口径を有する円形基準領域をそれぞれ横断し、前記第2の方向では互いに所定の間隔を空けて並ぶように配置され、前記第2の方向において、前記複数の短冊形堆積領域の中の一つは、その片側の側辺が前記円形基準領域の中心付近を通るように配置され、前記第2の方向において、前記複数の短冊形堆積領域の中の他の一つは、その片側の側辺が前記円形基準領域のエッジ付近を通るように配置され、前記第2の方向において、前記複数の短冊形堆積領域のそれぞれの幅寸法を足し合わせた全堆積領域幅寸法が前記円形基準領域の半径に略等しく、前記円形基準領域を含む面内で前記円形基準領域から所定距離だけオフセットした位置に前記半導体ウエハが配置され、前記回転駆動部により前記ステージと一体に前記半導体ウエハを偏心回転させるとともに、各々の前記ターゲット表面より放出されたスパッタ粒子を各対応する前記短冊形堆積領域に入射させ、前記半導体ウエハ表面にスパッタ粒子の堆積膜を形成する。
【0014】
本発明の上記第2の観点における方法または装置によれば、上記第1の観点における効果に加えて、成膜レートの異常な特異点の発生を確実に防止して、成膜レートの均一性を一層向上させることができる。
【0015】
上記第1および第2の観点における方法または装置において、好ましい一態様によれば、半導体ウエハの半径をR、短冊形堆積領域の個数をN(Nは2以上の整数)とすると、第2の方向における各々の短冊形堆積領域の幅寸法はR/Nである。
【0016】
本発明の第3の観点におけるマグネトロンスパッタ方法は、複数の短冊形堆積領域を、第1の方向では半導体ウエハと同一の口径を有する円形基準領域をそれぞれ横断し、前記第1の方向と直交する第2の方向では互いに所定の間隔を空けて並ぶように配置し、前記複数の短冊形堆積領域の中の一つを、前記円形基準領域の中心がその領域の内側に入り、かつ前記第2の方向におけるその片側の側辺が前記円形基準領域の中心から第1の距離だけ離れた位置を通るように配置し、 前記複数の短冊形堆積領域の中の他の一つを、前記第2の方向においてその片側の側辺が前記円形基準領域のエッジからその外側に第2の距離だけ離れた位置を通るように配置し、前記第2の方向における前記複数の短冊形堆積領域のそれぞれの幅寸法を、それらの合計値が前記円形基準領域の半径よりも所定の超過寸法だけ大きくなるように選定し、各々のターゲット表面より放出されたスパッタ粒子が各対応する前記短冊形堆積領域に入射するように、複数の短冊形ターゲットを前記複数の短冊形堆積領域に対向させてそれぞれ配置し、前記円形基準領域を含む面内で前記円形基準領域から第3の距離だけオフセットした位置に被成膜体としての半導体ウエハを配置し、各々の前記ターゲットの裏側で可動の磁石を駆動して、マグネトロン放電により生成したプラズマを前記ターゲットの近傍に閉じ込めながら、前記ターゲット表面よりスパッタ粒子を放出させ、前記円形基準領域の中心を通る法線を回転中心軸にして前記半導体ウエハを所定の回転数で偏心回転させ、前記半導体ウエハ表面にスパッタ粒子の堆積膜を形成する。
【0017】
また、本発明の第3の観点におけるマグネトロンスパッタ装置は、減圧可能な処理容器と、前記処理容器内で半導体ウエハを支持する回転可能なステージと、前記ステージを所望の回転数で回転させる回転駆動部と、前記ステージと対向して、第1の方向ではそれぞれ所定値以上の長さを有し、前記第1の方向と直交する第2の方向では所定の間隔を空けて並ぶように配置された複数のターゲットと、前記処理容器内にスパッタガスを供給するためのガス供給機構と、前記処理容器内で前記スパッタガスを放電させるための電力供給機構と、前記処理容器内で生成されたプラズマを各々の前記ターゲットの近傍に閉じ込めるために、各々の前記ターゲットの裏側に設けられる磁石を含む磁界発生機構とを有し、複数の短冊形堆積領域が、前記第1の方向では円形基準領域をそれぞれ横断し、前記第2の方向では互いに所定の間隔を空けて並ぶように配置され、前記第2の方向において、前記複数の短冊形堆積領域の中の一つは、前記円形基準領域の中心がその領域の内側に入り、かつ前記第2の方向におけるその片側の側辺が前記円形基準領域の中心から第1の距離だけ離れた位置を通るように配置され、前記第2の方向において、前記複数の短冊形堆積領域の中の他の一つは、その片側の側辺が前記円形基準領域のエッジ付近を通るように配置され、 前記第2の方向において、前記複数の短冊形堆積領域のそれぞれの幅寸法を足し合わせた全堆積領域幅寸法が前記円形基準領域の半径よりも所定の超過寸法だけ大きく、前記円形基準領域を含む面内で前記円形基準領域から第3の距離だけオフセットした位置に前記半導体ウエハが配置され、前記回転駆動部により前記ステージと一体に前記半導体ウエハを偏心回転させるとともに、各々の前記ターゲット表面より放出されたスパッタ粒子を各対応する前記短冊形堆積領域に入射させ、前記半導体ウエハ表面にスパッタ粒子の堆積膜を形成する。
【0018】
本発明の上記第2の観点における方法または装置によれば、上記第1および第2の観点における効果に加えて、ウエハ中心部および周辺部の成膜レート特性を向上させ、面内成膜レートの均一性を一層向上させることができる。
【0019】
本発明の好適な一態様においては、上記超過寸法が、第1の距離と第2の距離とを足し合わせた値に等しい。また、上記第3の距離が第2の距離に等しい。
【0020】
また、好適な一態様においては、半導体ウエハの口径が300mmで、ターゲットの個数が2であり、第2の距離が約15mmに選定される。あるいは、半導体ウエハの口径が300mmで、ターゲットの個数が3であり、第2の距離が約10mmに選定される。
【0021】
好適な一態様においては、短冊形堆積領域は、第1の方向と平行な一対の長辺を有する。更には、短冊形堆積領域は、第1の方向に延びる一対の長辺の少なくとも一方に凹部または凸部を有する。また、好適には、第1の方向における複数の短冊形堆積領域の長さは、円形基準領域の中心に近いものほど長く、円形基準領域のエッジに近いものほど短い。
【0022】
好適な一態様においては、磁界発生機構が、第2の方向でターゲット表面の一端から他端まで延びる円形または楕円形のプラズマリングを形成し、プラズマリングを第1の方向で移動させる。
【0023】
好適な一態様においては、磁界発生機構が、複数のターゲットの裏側にそれぞれ配置する磁石を共通のハウジング内に収容する。このハウジングは、好適な一態様として、磁性体からなる。
【0024】
好適な一態様においては、ハウジングを前記チャンバに気密に取り付け、前記ハウジング内を減圧する。
【0025】
また、好適な一態様においては、ターゲット表面上の磁界の強度が一定に保たれるように、ターゲット表面の侵食度に応じてターゲットと磁界発生機構との距離間隔を可変する機構が備えられる。
【0026】
好適な一態様においては、各々のターゲットとステージとの間に配置され、各々の短冊形堆積領域を規定するスリットが設けられる。
【0027】
好適な一態様においては、各々のターゲットとステージとの間に配置され、各々のターゲットより放出されたスパッタ粒子の方向性を短冊形堆積領域に対して垂直な方向に制御するためのコリメータが設けられる。
【0028】
好適な一態様においては、各々ターゲットとステージとの間でスパッタ粒子をイオン化するためのプラズマを生成するイオン化プラズマ生成部が設けられる。
【0029】
好適な一態様においては、複数のターゲットを連続した一つの面に並べて保持する一つの共通バッキングプレートが設けられる。
【0030】
好適な一態様においては、電力供給機構が、複数のターゲットにバッキングプレートを介して電気的に共通接続された直流電源を有する。
電力供給機構が、複数のターゲットにバッキングプレートを介して電気的に共通接続された高周波電源を有する。
【0031】
好適な一態様においては、同一の処理容器内でステージを第1の方向に複数並べて配置し、各々の前記ターゲットを、第1の方向で複数の半導体ウエハに跨って短冊形堆積領域と対向するように配置し、複数のステージ上で複数の半導体ウエハを同時に回転させてそれらの半導体ウエハ上で同時にスパッタ成膜を行う、
【0032】
本発明の別の観点におけるスパッタ装置は、減圧可能な処理容器と、前記処理容器内に設けられ、半導体ウエハを配置するための、回転軸の周りを回転可能なステージと、前記ステージに対向して設けられ、第1の方向に延在するターゲットを支持することができ、前記ターゲット表面からスパッタ粒子を前記第1の方向に延在する短冊形堆積領域に放射させることのできるスパッタ機構と、を含むスパッタ装置において、前記スパッタ機構が前記第1の方向と直交する第2の方向に所定の間隔を空けて複数個配置され、 前記複数のスパッタ機構の一つは、その短冊形堆積領域の前記第2の方向における片側の側辺が前記回転軸の中心またはその近くを通るように配置され、前記複数のスパッタ機構の他の一つは、その短冊形堆積領域の前記第2の方向における片側の側辺が前記ステージの半導体ウエハ配置領域のエッジまたはその近くを通り他の片側の側辺は前記ステージの半導体ウエハ配置領域を通るように配置され、前記複数のスパッタ機構の各々の短冊形堆積領域の前記第2の方向における幅は、その合計値が前記半導体ウエハ配置領域の半径に略等しくなるようになされたことを特徴とする。
【0033】
本発明の別の観点におけるスパッタ装置は、減圧可能な処理容器と、前記処理容器内に設けられ、半導体ウエハを配置するための、回転軸の周りを回転可能なステージと、前記ステージに対向して設けられ、第1の方向に延在するターゲットを支持することができ、前記ターゲット表面からスパッタ粒子を前記第1の方向に延在する短冊形堆積領域に放射させることのできるスパッタ機構と、を含むスパッタ装置において、前記スパッタ機構が前記第1の方向と直交する第2の方向に所定の間隔を空けて複数個配置され、前記複数のスパッタ機構の一つは、その短冊形堆積領域の前記第2の方向における片側の側辺が前記回転軸の中心またはその近くを通るように配置され、前記複数のスパッタ機構の他の一つは、その短冊形堆積領域の前記第2の方向における片側の側辺が前記ステージの半導体ウエハ配置領域のエッジまたはその近くかまたはそこから最大で所定の距離だけ離れた場所を通り他の片側の側辺は前記ステージの半導体ウエハ配置領域内を通るように配置され、さらに、前記半導体ウエハ配置領域の中心が、前記回転軸の中心から前記所定の距離と等しい距離だけ離れるように半導体ウエハを保持する機構を設けた、ことを特徴とする。
【0034】
上記の装置構成において、好ましくは、スパッタ機構が第1の方向と直交する第2の方向に所定の間隔を空けて3個またはそれ以上配置され、複数のスパッタ機構の更に他の一つは、その短冊形堆積領域が、複数のスパッタ機構の一つの短冊形堆積領域に対して、複数のスパッタ機構の他の一つの短冊形堆積領域とは反対側に位置しかつ半導体ウエハ配置領域内を通るように配置されたことを特徴とする。
【0035】
さらには、複数のスパッタ機構の更に他の一つの短冊形堆積領域は、幅が、複数のスパッタ機構の一つの短冊形堆積領域と複数のスパッタ機構の他の一つの短冊形堆積領域との間隔と実質的に等しい。
【0036】
また、半導体ウエハ配置領域の半径をR、短冊形堆積領域の個数をN(Nは2以上の整数)とすると、第2の方向における各々の短冊形堆積領域の幅寸法はR/Nであることを特徴とする。
【0037】
本発明の別の観点におけるスパッタ装置は、減圧可能な処理容器と、前記処理容器内に設けられ、半導体ウエハを配置するための、回転軸の周りを回転可能なステージと、前記ステージに対向して設けられ、第1の方向に延在するターゲットを支持することができ、前記ターゲット表面からスパッタ粒子を前記第1の方向に延在する短冊形堆積領域に放射させることのできるスパッタ機構と、を含むスパッタ装置において、記スパッタ機構が前記第1の方向と直交する第2の方向に所定の間隔を空けて複数個配置され、前記複数のスパッタ機構の一つは、その短冊形堆積領域の前記第2の方向における片側の側辺が前記回転軸の中心またはその近くから第1の距離を隔てて通り他の片側の側辺は前記ステージの半導体ウエハ配置領域を通るように配置され、前記複数のスパッタ機構の他の一つは、その短冊形堆積領域の前記第2の方向における片側の側辺が前記ステージの前記半導体ウエハ配置領域のエッジまたはその近くから第2の距離を隔てて通り他の片側の側辺は前記半導体ウエハ配置領域を通るように配置され、前記複数のスパッタ機構の各々の短冊形堆積領域の前記第2の方向における幅は、その合計値が前記半導体ウエハ配置領域の半径に対して少なくとも前記第2の距離だけ大きくなるようになされたことを特徴とする。
【0038】
本発明の別の観点におけるスパッタ装置は、減圧可能な処理容器と、前記処理容器内に設けられ、半導体ウエハを配置するための、回転軸の周りを回転可能なステージと、前記ステージに対向して設けられ、第1の方向に延在するターゲットを支持することができ、前記ターゲット表面からスパッタ粒子を前記第1の方向に延在する短冊形堆積領域に放射させることのできるスパッタ機構と、を含むスパッタ装置において、記スパッタ機構が前記第1の方向と直交する第2の方向に所定の間隔を空けて複数個配置され、前記複数のスパッタ機構の一つは、その短冊形堆積領域の前記第2の方向における片側の側辺が前記回転軸の中心またはその近くから第1の距離を隔てて通り他の片側の側辺は前記ステージの半導体ウエハ配置領域を通るように配置され、前記複数のスパッタ機構の他の一つは、その短冊形堆積領域の前記第2の方向における片側の側辺が前記ステージの前記半導体ウエハ配置領域のエッジまたはその近くから第2の距離だけ隔たった場所または該第2の距離から最大で第3の距離だけ隔たった場所を通り他の片側の側辺は前記半導体ウエハ配置領域を通るように配置され、さらに、前記半導体ウエハ配置領域の中心が、前記回転軸の中心から前記第3の距離と等しい距離だけ離れるように半導体ウエハを保持する機構を設けた、ことを特徴とする。
【0039】
好ましい一態様においては、スパッタ機構が第1の方向と直交する第2の方向に所定の間隔を空けて3個またはそれ以上配置され、複数のスパッタ機構の更に他の一つは、その短冊形堆積領域が、複数のスパッタ機構の一つの短冊形堆積領域に対して、複数のスパッタ機構の他の一つの短冊形堆積領域とは反対側に位置しかつ半導体ウエハ配置領域内を通るように配置される。
【0040】
また、好ましい一態様においては、複数のスパッタ機構の更に他の一つの短冊形堆積領域は、幅が、複数のスパッタ機構の一つの短冊形堆積領域と複数のスパッタ機構の他の一つの短冊形堆積領域との間隔と実質的に等しい。
【0041】
また、好ましい一態様においては、短冊形堆積領域の少なくとも一つは、その片側または両側の側辺が凹状または凸状になされた部分を少なくとも一つ有する。
【0042】
また、好ましい一態様においては、半導体ウエハ配置領域の直径が300mm以上であることを特徴とする。
【0043】
本発明の別の観点におけるスパッタ方法は、減圧可能な処理容器内に設けられ、回転軸の周りを回転可能なステージの半導体ウエハ配置領域に半導体ウエハを保持させる工程と、前記ステージを回転させることによって前記半導体ウエハを回転させる工程と、前記ステージに対向して設けられ、第1の方向に延在するターゲットを保持し、前記ターゲット表面からスパッタ粒子を前記第1の方向に延在する短冊形堆積領域に放射させることのできるスパッタ機構を用いて、前記ターゲット表面からスパッタ粒子を前記短冊形堆積領域に放射させる工程とを含むスパッタ方法において、前記スパッタ機構が前記第1の方向と直交する第2の方向に所定の間隔を空けて複数個配置され、前記複数のスパッタ機構の一つは、その短冊形堆積領域の前記第2の方向における片側の側辺が前記回転軸の中心またはその近くを通るように配置され、前記複数のスパッタ機構の他の一つは、その短冊形堆積領域の前記第2の方向における片側の側辺が前記ステージの半導体ウエハ配置領域のエッジまたはその近くを通り他の片側の側辺は前記ステージの半導体ウエハ配置領域を通るように配置され、前記複数のスパッタ機構の各々の短冊形堆積領域の前記第2の方向における幅は、その合計値が前記半導体ウエハ配置領域の半径に略等しくなるようになされ、前記半導体ウエハの回転によって前記半導体ウエハが前記複数の短冊形堆積領域を通過し、前記半導体ウエハの表面に前記スパッタ粒子が堆積されることを特徴とする。
【0044】
本発明の別の観点におけるスパッタ方法は、減圧可能な処理容器内に設けられ、回転軸の周りを回転可能なステージの半導体ウエハ配置領域に半導体ウエハを保持させる工程と、前記ステージを回転させることによって前記半導体ウエハを回転させる工程と、前記ステージに対向して設けられ、第1の方向に延在するターゲットを保持し、前記ターゲット表面からスパッタ粒子を前記第1の方向に延在する短冊形堆積領域に放射させることのできるスパッタ機構を用いて、前記ターゲット表面からスパッタ粒子を前記短冊形堆積領域に放射させる工程とを含むスパッタ方法において、記スパッタ機構が前記第1の方向と直交する第2の方向に所定の間隔を空けて複数個配置され、前記複数のスパッタ機構の一つは、その短冊形堆積領域の前記第2の方向における片側の側辺が前記回転軸の中心またはその近くを通るように配置され、前記複数のスパッタ機構の他の一つは、その短冊形堆積領域の前記第2の方向における片側の側辺が前記ステージの半導体ウエハ配置領域のエッジまたはその近くかまたはそこから最大で所定の距離だけ離れた場所を通り他の片側の側辺は前記ステージの半導体ウエハ配置領域内を通るように配置され、前記半導体ウエハ配置領域の中心が、前記回転軸の中心から前記所定の距離と等しい距離だけ離れるように半導体ウエハが前記ステージに保持され、前記半導体ウエハの偏心回転によって前記半導体ウエハが前記複数の短冊形堆積領域を通過し、前記半導体ウエハの表面に前記スパッタ粒子が堆積されることを特徴とする。
【0045】
本発明の好適な一態様においては、スパッタ機構が第1の方向と直交する第2の方向に所定の間隔を空けて3個またはそれ以上配置され、複数のスパッタ機構の更に他の一つは、その短冊形堆積領域が、複数のスパッタ機構の一つの短冊形堆積領域に対して、複数のスパッタ機構の他の一つの短冊形堆積領域とは反対側に位置しかつ半導体ウエハ配置領域内を通るように配置されたことを特徴とする。
【0046】
また、本発明の別の観点におけるスパッタ方法は、減圧可能な処理容器内に設けられ、回転軸の周りを回転可能なステージの半導体ウエハ配置領域に半導体ウエハを保持させる工程と、前記ステージを回転させることによって前記半導体ウエハを回転させる工程と、前記ステージに対向して設けられ、第1の方向に延在するターゲットを保持し、前記ターゲット表面からスパッタ粒子を前記第1の方向に延在する短冊形堆積領域に放射させることのできるスパッタ機構を用いて、前記ターゲット表面からスパッタ粒子を前記短冊形堆積領域に放射させる工程とを含むスパッタ方法において、前記複数のスパッタ機構の一つは、その短冊形堆積領域の前記第2の方向における片側の側辺が前記回転軸の中心またはその近くから第1の距離を隔てて通り他の片側の側辺は前記ステージの半導体ウエハ配置領域を通るように配置され、前記複数のスパッタ機構の他の一つは、その短冊形堆積領域の前記第2の方向における片側の側辺が前記ステージの前記半導体ウエハ配置領域のエッジまたはその近くから第2の距離を隔てて通り他の片側の側辺は前記半導体ウエハ配置領域を通るように配置され、前記複数のスパッタ機構の各々の短冊形堆積領域の前記第2の方向における幅は、その合計値が前記半導体ウエハ配置領域の半径に対して少なくとも前記第2の距離だけ大きくなるようになされ、前記半導体ウエハの回転によって前記半導体ウエハが前記複数の短冊形堆積領域を通過し、前記半導体ウエハの表面に前記スパッタ粒子が堆積されることを特徴とする。
【0047】
また、本発明の別の観点におけるスパッタ方法は、減圧可能な処理容器内に設けられ、回転軸の周りを回転可能なステージの半導体ウエハ配置領域に半導体ウエハを保持させる工程と、前記ステージを回転させることによって前記半導体ウエハを回転させる工程と、前記ステージに対向して設けられ、第1の方向に延在するターゲットを保持し、前記ターゲット表面からスパッタ粒子を前記第1の方向に延在する短冊形堆積領域に放射させることのできるスパッタ機構を用いて、前記ターゲット表面からスパッタ粒子を前記短冊形堆積領域に放射させる工程とを含むスパッタ方法において、前記スパッタ機構が前記第1の方向と直交する第2の方向に所定の間隔を空けて複数個配置され、前記複数のスパッタ機構の一つは、その短冊形堆積領域の前記第2の方向における片側の側辺が前記回転軸の中心またはその近くから第1の距離を隔てて通り他の片側の側辺は前記ステージの半導体ウエハ配置領域を通るように配置され、前記複数のスパッタ機構の他の一つは、その短冊形堆積領域の前記第2の方向における片側の側辺が前記ステージの前記半導体ウエハ配置領域のエッジまたはその近くから第2の距離だけ隔たった場所または該第2の距離から最大で第3の距離だけ隔たった場所を通り他の片側の側辺は前記半導体ウエハ配置領域を通るように配置され、さらに、前記半導体ウエハ配置領域の中心が、前記回転軸の中心から前記第3の距離と等しい距離だけ離れるように前記半導体ウエハが前記ステージに保持され、前記半導体ウエハの偏心回転によって前記半導体ウエハが前記複数の短冊形堆積領域を通過し、前記半導体ウエハの表面に前記スパッタ粒子が堆積されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0048】
本発明のマグネトロンスパッタ方法及びマグネトロンスパッタ装置によれば、上記のような構成および作用により、短冊形ターゲットを使用して半導体ウエハにスパッタ成膜を効率的かつ均一に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下、添付図を参照して本発明の好適な実施の形態を説明する。
【0050】
図1に、本発明で用いる短冊形ターゲットの一構成例を示す。この短冊形ターゲット10は、薄膜原料となる任意の材質(金属、絶縁物等)からなる短冊形の細長い角板形ターゲットであり、例えば銅系の導電体からなるバッキングプレート12に貼り付けられた状態でスパッタガン・ユニット14の一面に取り付けられる。スパッタガン・ユニット14は、その筐体内にマグネトロン放電用の可動磁石を含む磁界発生機構や給電系等を備えており、マグネトロンスパッタ装置に装着されスパッタプロセスで稼動する時にはターゲット10表面の略全域よりスパッタ粒子を時間平均で略均一に放出するようになっている。
【0051】
図2につき、本発明におけるマグネトロンスパッタ法の基本思想を説明する。本発明では、図2に示すように、短冊形ターゲット10(1),10(2)と所定の間隔を隔てて対向する位置(通常は後述する回転ステージ22上の位置)に被処理体の半導体ウエハWよりも大きな面積を有する仮想のウエハ配置面Pが設定される。このウエハ配置面Pの形状は任意でよい。そして、このウエハ配置面Pに半導体ウエハWと同一の口径2R(Rはウエハ半径)を有する仮想の円形基準領域Aが設定されるとともに、ウエハ配置面P上の第1の方向(図のY方向)で円形基準領域Aをそれぞれ横断する仮想の複数たとえば2つの短冊形堆積領域B1,B2が第1の方向(Y方向)と直交する第2の方向(図のX方向)に所定の間隔を空けて設定される。
【0052】
ここで、ウエハ配置面P上で、一方の短冊形堆積領域B1は、X方向におけるその片側(図の右側)の側辺が円形基準領域Aの中心Aoを通るように円形基準領域Aの左半分内に配置される。また、他方の短冊形堆積領域B2は、X方向におけるその片側(右側)の側辺が円形基準領域Aのエッジを通るように円形基準領域Aの右半分内に配置される。X方向における両短冊形堆積領域B1,B2のそれぞれの幅寸法は、それらを足し合わせた値つまり合計値が円形基準領域Aの半径Rに等しくなるように選定される。典型的には、短冊形堆積領域B1,B2の幅寸法(X方向サイズ)は均等にR/2に選定されてよい。この場合、X方向における両領域B1,B2間の隙間またはギャップはR/2となる。
【0053】
なお、Y方向における各短冊形堆積領域B1,B2の長さ寸法は、円形基準領域Aまたは半導体ウエハWを横断する長さであればよい。もっとも、無駄を少なくする観点からすれば、Y方向で各短冊形堆積領域B1,B2が必要最小限で円形基準領域Aの外にはみ出ているのが好ましく、その場合は円形基準領域Aの中心AOに近い短冊形堆積領域B1は相対的に長く、円形基準領域Aのエッジに近い短冊形堆積領域B2は相対的に短い寸法に選ばれる。
【0054】
また、各短冊形堆積領域B1,B2においては、一対の長辺同士が第1の方向と平行に延びていればよく、短辺同士は第2の方向と平行でなくてもよく、あるいは湾曲していてもよい。また、後述するように、各短冊形堆積領域B1,B2の各長辺が一直線でなくてもよく、たとえば一箇所または複数個所に凹部または凸部を有していてもよい。
【0055】
また、ターゲット10から飛散してきたスパッタ粒子の中で短冊形堆積領域Bの外の領域に入射するものがあっても構わない。
【0056】
2つの短冊形ターゲット10(1),10(2)は、ウエハ配置面P上の短冊形堆積領域B1,B2にそれぞれ対応するものであり、それらのターゲット表面より放出されたスパッタ粒子が短冊形堆積領域B1,B2にそれぞれ入射するように、短冊形堆積領域B1,B2と対向してそれぞれ配置される。なお、短冊形ターゲット10(1)より放出されたスパッタ粒子を短冊形堆積領域B1に限定して入射させ、短冊形ターゲット10(2)より放出されたスパッタ粒子を短冊形堆積領域B1に限定して入射させるために、後述するように短冊形開口のスリットあるいはコリメータ等を好適に用いることができる。
【0057】
(第1の実施形態)
図3に、本発明の第1の実施形態におけるウエハ配置面P上の各部(A,B1,B2)と半導体ウエハWとの位置関係を示す。この実施形態では、被成膜体の半導体ウエハWをウエハ配置面P上の円形基準領域Aにぴったり重ねて配置する。そして、円形基準領域Aの中心AOを通る法線を回転中心軸として半導体ウエハWを所定の回転数で同軸回転させる。そうすると、半導体ウエハW表面の各部は、一回転毎に、半径R/2よりも内側のウエハ中心部は短冊形堆積領域B1のみを通過する間に短冊形ターゲット10(1)からのスパッタ粒子を浴び、半径R/2よりも外側のウエハ周辺部では両短冊形堆積領域B1,B2を通過する間に両短冊形ターゲット10(1),10(2)からのスパッタ粒子を浴び、短冊形堆積領域B1,B2以外の場所ではスパッタ粒子を浴びないという形態のスパッタ成膜処理を受ける。
【0058】
図3に示したようなウエハ配置面P上の各部(A,B1,B2,W)の配置関係(レイアウト)は、スパッタ成膜処理に関しては、図4に示すようなウエハ配置面P上の各部(A,B1,B2,W)の配置関係(レイアウト)と等価である。ここで、図4の配置関係は、図3の配置関係において半径方向外側の短冊形堆積領域B2を円形基準領域Aの中心AOを基準として点対称の反対位置に移したものである。この場合、短冊形堆積領域B2は、X方向におけるその片側(図の左側)の側辺が円形基準領域Aのエッジを通り、他方(右側)の側辺が短冊形堆積領域B1の他方(図の左側)の側辺とぴったり接するように配置される。
【0059】
図4において、半導体ウエハW表面の各部は、一回転中に、半径R/2よりも内側のウエハ中心部では短冊形堆積領域B1のみの連続的な左半分の180°区間を通過する間に短冊形ターゲット10(1)からのスパッタ粒子を浴び、半径R/2よりも外側のウエハ周辺部では両短冊形堆積領域B1,B2に亘って連続的な左半分の180°区間を通過する間に両短冊形ターゲット10(1),10(2)からのスパッタ粒子を浴び、短冊形堆積領域B1,B2以外の場所(右半分の180°区間)ではスパッタ粒子を浴びないという形態のスパッタ成膜処理を受ける。したがって、理論的には、短冊形堆積領域B1,B2上の薄膜堆積速度つまり成膜レートをJ(nm/min)とすると、半導体ウエハWの回転数に関係なく、半導体ウエハW上のどの位置でも成膜レートはJ/2(nm/min)となることが容易に理解される。
【0060】
図3の場合も、半導体ウエハW表面の各部が1回転中に両短冊形ターゲット10(1),10(2)からのスパッタ粒子を浴びる時間および量は図4の場合と同じであるから、理論的には半導体ウエハW上のどの位置でも成膜レートが同じくJ/2(nm/min)となることが理解される。
【0061】
また、図3および図4から理解されるように、X方向における各短冊形ターゲット10(1),10(2)の幅サイズは、それらの合計値が半導体ウエハWの半径Rに等しくなる条件を満たせばよく、均等サイズ(R/2)でなくてもよい。
【0062】
図3のレイアウトと図4のレイアウトとの相違点は、短冊形ターゲット10(1),10(2)側の機構上の理由に基づく実現性の有無にある。
【0063】
すなわち、両短冊形堆積領域B1,B2の配置関係について図4のレイアウトを実現するには、両短冊形ターゲット10(1),10(2)を詰めて(ぴったり並べて)配置しなくてはならない。しかし、図1にも示したように、各短冊形ターゲット10(1),10(2)はそれよりも一回り大きな面積のバッキングプレート12に支持され、さらにバッキングプレート12はそれよりも一回り大きな面積のスパッタガン・ユニット14に取付けられるのが通常の形態であるから、両短冊形ターゲット10(1),10(2)をぴったり並べて配置する構成は現実的には不可能である。したがって、図4のレイアウトは実施できない。
【0064】
その点、図3のレイアウトでは、両短冊形堆積領域B1,B2を十分大きな隙間(R/2)を空けて配置するので、それらの短冊形堆積領域B1,B2とそれぞれ対向する位置に両短冊形ターゲット10(1),10(2)を配置する構成、つまりX方向で2台のスパッタガン・ユニット14を並べて配置する構成は容易に実現できる。
【0065】
したがって、両短冊形堆積領域B1,B2における成膜レートが領域全体で均一にJ(nm/min)であると仮定すると、半導体ウエハW上の成膜レート分布は理想的には径方向で図5に示すようなJ/2(nm/min)の値でフラット(均一)なプロファイルを示す。
【0066】
もっとも、この実施形態(図3のレイアウト)においては、短冊形ターゲット10(1),10(2)および半導体ウエハWの実際の配置位置に非常に厳しい精度が要求される。
【0067】
たとえば、図6に示すように、半導体ウエハWが円形基準領域Aに正確に重なって配置されたとしても、中心部寄りの短冊形ターゲット10(1)の配置位置が図の左側に僅かでもずれると、この短冊形ターゲット10(1)に対応する実際の短冊形堆積領域B1'も図の左側にずれることで、X方向におけるその片側(図の右側)の側辺が円形基準領域Aの中心AOつまり半導体ウエハWの中心WOから左側にずれてしまう。その場合は、回転運動のどの角度位置でも半導体ウエハW表面の中心WO付近が短冊形ターゲット10(1)からのスパッタ粒子を浴びる実際の短冊形堆積領域B1'の外に常時置かれてしまい、図7に示すようにウエハ中心付近に成膜レートの異常に低い特異点が発生する。
【0068】
あるいは、図8に示すように、内側の短冊形ターゲット10(1)の配置位置が図の右側に僅かでもずれると、この短冊形ターゲット10(1)に対応する実際の短冊形堆積領域B1'も図の右側にずれることで、X方向におけるその片側(図の右側)の側辺が円形基準領域Aの中心AOつまり半導体ウエハWの中心WOから右側にずれてしまう。その場合は、回転運動のどの角度位置でも半導体ウエハW表面の中心WO付近が短冊形ターゲット10(1)からのスパッタ粒子を浴びる実際の短冊形堆積領域B1'の中に常時置かれてしまい、図9に示すようにウエハ中心付近に成膜レートの異常に高い特異点が発生する。
【0069】
また、両短冊形ターゲット10(1),10(2)が正確に設定位置に配置されても、半導体ウエハWの配置位置が設定位置から少しでもずれると、半導体ウエハW上の成膜レート分布に上記と同様な特異点が発生する。
【0070】
(第2の実施形態)
以下に、上記のような第1の実施形態における各部の配置位置精度の厳格性を回避する手法を、第2の実施形態として説明する。
【0071】
この第2の実施形態は、ウエハ配置面P上で半導体ウエハWを円形基準領域Aから適度に所定距離αだけオフセットさせて配置し、円形基準領域Aの中心AOを通る法線を回転中心軸として偏心回転させることを特徴とし、他は全て上記第1の実施形態と同じ条件とする。
【0072】
図10〜図13に、この第2の実施形態における1回転中の半導体ウエハWと他の各部(A,B1,B2)との位置関係を1/4周期(90°)間隔で示す。
【0073】
図10は、半導体ウエハWがX方向の+側(図の右側)に最大偏倚した時の位置関係を示す。この時は、半導体ウエハWの中心WOおよび右端が確実に短冊形堆積領域B1,B2の外に、つまりオフセット距離αに等しい距離だけ外にはみ出る。
【0074】
図11は、図10の時点から1/4周期経過し、半導体ウエハWがY方向の−側(図の下方)に最大偏倚した時の位置関係を示す。この時は、半導体ウエハWの下端がY方向で短冊形堆積領域B1,B2の外にはみ出ることはなく、半導体ウエハWと短冊形堆積領域B1,B2との間の相対的位置関係は図3の場合つまり半導体ウエハWを円形基準領域Pにぴったり重ねて配置した場合と同じである。
【0075】
図12は、図11の時点から1/4周期経過し、半導体ウエハWがX方向の−側(図の左側)に最大偏倚した時の位置関係を示す。この時は、半導体ウエハWの中心WOおよび右端が確実に短冊形堆積領域B1,B2の内側に、つまりオフセット距離αに等しい距離だけ内側に入る。
【0076】
図13は、図12の時点から1/4周期経過し、半導体ウエハWがY方向の+側(図の上方)に最大偏倚した時の位置関係を示す。この時も、図11の場面と同様に半導体ウエハWの下端がY方向で短冊形堆積領域B1,B2の外にはみ出ることはなく、半導体ウエハWと短冊形堆積領域B1,B2との間の相対的位置関係は図3の場合つまり半導体ウエハWを円形基準領域Aにぴったり重ねて配置した場合と同じである。
【0077】
上記のように、半導体ウエハWを偏心回転させると、半導体ウエハWの中心WOが円形基準領域Aの中心AOの周りにオフセット量の半径αで回転運動するので、各部の位置精度に多少の誤差があっても1回転のうち確実に略180°の区間で短冊形堆積領域B1を通過することになる。これによって、半導体ウエハWの中心WO付近にも他の部分と変わらないスパッタ成膜を施すことが可能であり、ウエハ上の成膜レート分布において上記のような特異点の発生を確実に防止することができる。
【0078】
図14および図15に、この第2の実施形態における具体的なシミュレーション(計算)結果を示す。このシミュレーションでは、口径300mmの半導体ウエハWを被処理体とし、短冊形堆積領域B1,B2の幅サイズをそれぞれ75mm(R/2)に選定した。この場合、図14に示すように、ウエハ回転中の一瞬間におけるウエハ上の堆積領域はX方向で2箇所(−75mm〜0mm、75mm〜150mm)に分布する。ここで、X方向において短冊形堆積領域B1,B2上の成膜レートはフラット(均一)ではなく二次関数的な山形であると仮定し、その場合の中心部の成膜レートと側辺(エッジ)部の成膜レートとの比(E/C)が0.8であると仮定した。また、オフセット(偏心)量αを15mmに設定した。
【0079】
かかる条件の下で、上記のような半導体ウエハWの偏心回転における成膜レート分布の平均値(近似値)を求めるために、上述した図10〜図13の配置パターンを代表点に選んで半導体ウエハWをそのパターン内の位置でスピン回転させると仮定した場合のウエハ上の規格化成膜レート分布を計算した結果、図15に示すようなプロファイルが得られ、面内均一性は±5.4%であった。
【0080】
(第3の実施形態)
次に、図16〜図18につき、本発明においてスパッタ成膜の均一性を一層向上させる手法を第3の実施形態として説明する。
【0081】
この第3の実施形態においては、図16に示すように、ウエハ配置面P上に3つの短冊形堆積領域B1,B2,B3が設定される。これらの短冊形堆積領域B1,B2,B3は、X方向に所定の間隔を空けて並置され、Y方向で円形基準領域Aをそれぞれ横断する。
【0082】
ここで、短冊形堆積領域B1は、X方向におけるその片側(図の右側)の側辺が円形基準領域Aの中心Aoを通るように、円形基準領域Aの左側領域内で中心寄りに配置される。また、短冊形堆積領域B3は、X方向におけるその片側(図の左側)の側辺が円形基準領域Aのエッジを通るように、円形基準領域Aの左半分内でエッジ寄りに配置される。短冊形堆積領域B2は、その配置位置から円形基準領域Aの中心AOを基準として点対称の反対側の位置に移したならば短冊形堆積領域B1,B3の間に隙間無くぴったり挟まって、円形基準領域Aの片側(左側)半分の全域が短冊形堆積領域B1,B2,B3で覆われた状態になるように、円形基準領域Aの右半分内で中間部に配置される。
【0083】
X方向における短冊形堆積領域B1,B2,B3の幅サイズは、それらの合計値が半導体ウエハWの半径R/2に等しくなるような任意の値に選定可能であり、典型的には均等にR/3の値に選定されてよい。
【0084】
図示省略するが、ウエハ配置面Pの上方(対向位置)には、3つの短冊形堆積領域B1,B2,B3にそれぞれ対向して3つの短冊形ターゲット10(1),10(2) ,10(3)が配置される。ここで、短冊形ターゲット10(1)より放出されたスパッタ粒子は短冊形堆積領域B1に限定して入射し、短冊形ターゲット10(2)より放出されたスパッタ粒子は短冊形堆積領域B2に限定して入射し、短冊形ターゲット10(3)より放出されたスパッタ粒子は短冊形堆積領域B3に限定して入射するようにしてよい。
【0085】
図16は、上述した第1の実施形態(図3)と同様に、半導体ウエハWを円形基準領域Aにぴったり重ねて配置し(オフセット量α=0)、円形基準領域Aの中心AOを通る法線を回転中心軸として同軸回転させる形態を示している。もちろん、半導体ウエハWを円形基準領域Aからオフセットさせて偏心回転させる形態も可能である。
【0086】
図17および図18に、この第3の実施形態における具体的なシミュレーション(計算)結果を示す。このシミュレーションでは、口径300mmの半導体ウエハWを被処理体とし、短冊形堆積領域B1,B2,B3の幅サイズをそれぞれ50mm(R/3)に選定した。この場合、図17に示すように、ウエハ回転中の一瞬間におけるウエハ上の堆積領域はX方向で3箇所(−100mm〜−50mm、0mm〜50mm、100mm〜150mm)に分布する。ここで、X方向において短冊形堆積領域B1,B2,B3上の成膜レートはフラット(均一)ではなく二次関数的な山形であると仮定し、その場合の中心部の成膜レートと側辺(エッジ)部の成膜レートとの比(E/C)が0.8であると仮定した。また、オフセット(偏心)量αを10mmに設定した。
【0087】
かかる条件の下で、上記のような半導体ウエハWの偏心回転における成膜レート分布の平均値(近似値)を計算で求めるために、上述した図10〜図13の配置パターンにそれぞれ対応する4つの配置パターン(図示省略)を代表点に選んで半導体ウエハWをそのパターン内の位置でスピン回転させると仮定した場合のウエハ上の規格化成膜レート分布を計算した結果、図18に示すようなプロファィルが得られ、面内均一性が±4.5%に向上した。
【0088】
図19に、上記した2ターゲット方式(第2の実施形態)および3ターゲット方式(第3の実施形態)において、各短冊形堆積領域B1,B2,B3上の中心/エッジ間の成膜レート比(E/C)を0.8,0.9,1.0の3通りに選び、ウエハ偏心回転のオフセット量αを0〜20mmの範囲内で5mmずつ変えたときに、各場合の総平均の規格化成膜レート分布特性(図15,図18)で得られた面内均一性の計算結果をプロットしたグラフを示す。
【0089】
図19から、E/C=0.8の場合、2ターゲット方式においては、面内均一性がα=0のときに最大(約±8.0%)で、αを大きくしていくと面内均一性は単調に減少し、α=15mm付近で極小(約±5.5%)になり、それから緩やかに増大することがわかる。3ターゲット方式においても、面内均一性がα=0のときに最大(約±7.8%)で、αを大きくするほど単調に減少し、α=10mm付近で極小(約±4.5%)になり、それから緩やかに増大することがわかる。
【0090】
E/C=0.9の場合、2ターゲット方式においては、α=を0のときの面内均一性は相当低い値(約±4.0%)になり、αを大きくしていくと、面内均一性はα=5mm付近で極小(約±3.5%)になり、それから緩やかに増大して、α=15mm付近で約±5.5%になる。3ターゲット方式においても、α=0のときの面内均一性は相当低い値(約±3.8%)になり、αを大きくしていくと、面内均一性はα=5mm付近で極小(約±3.0%)になり、それから緩やかに増大して、途中のα=10mm付近で約±3.8%になる。
【0091】
E/C=1.0の場合、2ターゲット方式においては、α=0のときの面内均一性は殆ど±0であり、αを大きくしていくと面内均一性は略リニアに増大し、途中のα=15mm付近で約±4.0%になる。3ターゲット方式においては、α=0のときの面内均一性は約±1.0%と極度に小さく、αを大きくしていくと面内均一性は略リニアに増大し、途中のα=10mm付近で約±3.5%になる。
【0092】
図19の特性から、E/Cの依存性が最も少なく安定した面内均一性が得られる観点からすれば、オフセット量αは、2ターゲット方式では約15mmに選定されてよく、3ターゲット方式では約10mmに選定されてよい。
【0093】
なお、3ターゲット方式の場合は、3つの短冊形ターゲット10(1),10(2) ,10(3)間のマージン(隙間)を出来るだけ大きくとる観点も重要である。この点、α=15mmでは非常に厳しいが、α=10mmはこの要件を十分クリアできる。
【0094】
もっとも、第2および第3の実施形態において上記のように半導体ウエハWを偏心回転させると、回転運動中に半導体ウエハWが短冊形堆積領域(B1,B2),(B1,B2,B3)との位置関係で図4と等価な理想状態からずれる場面が有ることから、図16の(d)および図18の(d)に示すようにウエハ中心部とウエハ周辺部において成膜レートの落ち込みが見られ、これが面内均一性を下げる大きな要因になっている。
【0095】
(第4の実施形態)
以下、上記のような成膜レート分布特性におけるウエハ中心部および周辺部の落ち込みを少なくして面内均一性を一層向上させるための手法を第4の実施形態として説明する。
【0096】
この第4の実施形態では、図20に示すように、2ターゲット方式の場合は、X方向で円形基準領域Aの中心寄りに配置される短冊形堆積領域B1は、円形基準領域Aの中心AOがその領域B1の内側に入り、かつX方向におけるその片側(中心寄り)の側辺が円形基準領域Aの中心AOから適当な距離γだけ離れた位置を通るように設定される。また、X方向で円形基準領域Aのエッジ寄りに配置される短冊形堆積領域B2は、X方向においてその片側(エッジ寄り)の側辺が円形基準領域Aのエッジからその外側に第2の距離βだけ離れた位置を通るように設定される。そして、X方向における短冊形堆積領域B1,B2のそれぞれの幅寸法は、それらの合計値が円形基準領域Aの半径R/2よりも所定の超過寸法λだけ大きくなるように選定される。ここで、λ=βとするのが最も好ましい。
【0097】
要するに、図3あるいは図10〜図13のレイアウトにおいて、X方向における短冊形堆積領域B1の幅サイズを右側にγだけ拡大し、短冊形堆積領域B2の幅サイズを右側にβだけ拡大すると、図20のレイアウトになる。
【0098】
また、図示省略するが、短冊形ターゲット10(1), 10(2)より放出されたスパッタ粒子が上記のように幅サイズを拡張させた短冊形堆積領域B1,B2にそれぞれ限定して入射するように、短冊形堆積領域B1,B2をそれぞれ規定する部材(たとえば後述するスリット60(1),60(2))の形状・サイズを選定してよい。
【0099】
図20は、上述した第1の実施形態(図3)と同様に、半導体ウエハWを円形基準領域Aにぴったり重ねて配置し(オフセット量α=0)、円形基準領域Aの中心AOを通る法線を回転中心軸として同軸回転させる形態を示している。もちろん、半導体ウエハWを円形基準領域Aからオフセットさせて偏心回転させる形態も可能である。
【0100】
この第4の実施形態において、2ターゲット方式につき上記第2の実施形態と同一条件で上記のようなシミュレーション(計算)をしたところ、図21の(b)に示すように、成膜レート分布特性においてウエハ中心部および周辺部の落ち込みが殆どなくなり、面内均一性が±2.7%まで大きく向上することがわかった。なお、図21(a)の成膜レート分布特性は図15と同じものである。
【0101】
この第4の実施形態において、3ターゲット方式の場合は、図22に示すようなレイアウトになる。すなわち、短冊形堆積領域B1は、円形基準領域Aの中心AOがその領域B1の内側に入り、かつX方向におけるその片側(図の右側)の側辺が円形基準領域Aの中心AOから適当な距離γだけ離れた位置を通るように円形基準領域Aの左側領域および右側領域に跨って配置される。また、短冊形堆積領域B3は、X方向においてその片側(左側)の側辺が円形基準領域Aのエッジからその外側に第2の距離βだけ離れた位置を通るように、円形基準領域Aの左側領域およびその外側の外部領域に跨って配置される。短冊形堆積領域B2は、その配置位置から円形基準領域Aの中心AOを基準として点対称の反対側の位置に移したならば短冊形堆積領域B1,B3の間に隙間無くぴったり挟まって、円形基準領域Aの片側(左側)半分の全域が短冊形堆積領域B1,B2,B3で覆われた状態になるように、円形基準領域Aの右側領域内で中間部に配置される。
【0102】
要するに、図3あるいは図10〜図13のレイアウトにおいて、X方向における短冊形堆積領域B1の幅サイズを右側にγだけ拡大し、短冊形堆積領域B2の幅サイズを右側にβだけ拡大すると、図20のレイアウトになる。
【0103】
また、図示省略するが、短冊形ターゲット10(1),10(2),10(3)より放出されたスパッタ粒子が上記のように幅サイズの拡張した短冊形堆積領域B1,B2,B3にそれぞれ限定して入射するように、短冊形堆積領域B1,B2をそれぞれ規定する部材(たとえば後述するスリット60(1),60(2) ,60(3))の形状・サイズを選定してよい。
【0104】
図22は、上述した第1の実施形態(図3)と同様に、半導体ウエハWを円形基準領域Aにぴったり重ねて配置し(オフセット量α=0)、円形基準領域Aの中心AOを通る法線を回転中心軸として同軸回転させる形態を示している。もちろん、半導体ウエハWを円形基準領域Aからオフセットさせて偏心回転させる形態も可能である。
【0105】
この第4の実施形態において、3ターゲット方式につき上記第3の実施形態と同一条件で上記のようなシミュレーション(計算)をしたところ、図23の(b)に示すように、やはり成膜レート分布特性においてウエハ中心部および周辺部の落ち込みは殆どなく、面内均一性が±2.4%まで大きく向上することがわかった。なお、図23(a)の成膜レート分布特性は図18と同じものである。
【0106】
(第5の実施形態)
次に、図24〜図29につき、本発明の一実施形態におけるマグネトロンスパッタ装置を説明する。このマグネトロンスパッタ装置は、2ターゲット方式のものである。
【0107】
図24に示すように、このマグネトロンスパッタ装置は、減圧可能なチャンバ20の中央部に半導体ウエハWを載置する回転ステージ22を設けている。チャンバ20は、たとえばアルミニウム等の導電体からなり、保安接地されている。回転ステージ22は、チャンバ20の外(下)に配設されている回転駆動部24に回転駆動軸26を介して接続されており、回転駆動部24の回転駆動力によって所望の回転数でスピン回転するようになっている。チャンバ20の底壁には、回転駆動部24を回転可能かつ気密に貫通させる軸受28が取り付けられている。
【0108】
このマグネトロンスパッタ装置においては、回転ステージ22の上面に上述した本発明におけるウエハ載置面Pおよびこのウエハ載置面P上の円形基準領域A、短冊形堆積領域B1,B2を設定することができる。その場合、円形基準領域Aの中心AOを回転ステージ22の中心に一致させてよい。もっとも、回転ステージ22の上面は動く(回転する)物体であるのに対して、ウエハ載置面P、円形基準領域Aおよび短冊形堆積領域B1,B2は静止した仮想上のものである。
【0109】
チャンバ20の側壁あるいは底壁には、スパッタガス供給部30からのガス供給管32と接続するガス供給口34や、排気装置36に通じる排気管38と接続する排気口40等が設けられている。また、図示省略するが、チャンバ20の側壁には半導体ウエハWを出し入れするための開閉可能な搬入出口も設けられている。
【0110】
チャンバ20の天井には、2つのターゲット10(1),10(2)が1つ(共通)のバッキングプレート12のターゲット取付面(図の下面)に並べて配置される。ここで、両ターゲット10(1),10(2)のサイズ・配置位置は、上記第1〜第4実施形態にしたがいウエハ載置面P上に設定される短冊形堆積領域B1,B2のサイズ・配置位置にそれぞれ応じて決定されてよい。
【0111】
バッキングプレート12は、リング状の絶縁体42を介してチャンバ20の上面開口を閉塞するようにチャンバ20の天井に取り付けられる。このバッキングプレート12には、図示省略するが、チラー装置等より循環供給される冷却媒体を流すための通路が形成されている。
【0112】
バッキングプレート12の裏側(図の上方)には共通の内側ハウジング44および外側ハウジング46内に両ターゲット10(1),10(2)の表面(下面)にマグネトロン放電用の漏れ磁界を形成するための2つの磁石ユニット48(1),48(2)が収容されている。これら磁石ユニット48(1),48(2)のより詳細な構成および作用は後に詳述する。
【0113】
内側ハウジング44は磁性体たとえば鉄板からなり、磁石ユニット48(1),48(2)より発生される磁界をハウジング内に閉じ込めるとともに、周囲の外部磁界からの影響を防止(遮断)するための磁気シールドとして機能する。外側ハウジング46は、電気伝導度の高い金属たとえば銅板からなり、後述する高周波電源50からの高周波および/または直流電源52からのDC電圧をバッキングプレート12およびターゲット10(1),10(2)に印加するための伝送路または給電路を形成する。外側ハウジング46を覆う保護カバー47は、導電板からなり、チャンバ20を介して接地されている。
【0114】
内側ハウジング44または外側ハウジング46あるいは磁石ユニット48(1),48(2)を収容する他のハウジングをチャンバ10に真空封止して気密に取り付け、ハウジング内を真空ポンプ(図示せず)で減圧する構成も可能である。かかる構成によれば、バッキングプレート12に加わる圧力(背圧)が著しく低減するので、バッキングプレート12の板厚を小さくすることが可能であり、そのぶん磁石ユニット48(1),48(2)とターゲット10(1),10(2)との距離間隔を縮めてターゲット表面の磁界強度を大きくすることができる。
【0115】
また、各ターゲット10(1),10(2)表面上の磁界の強度が常時一定に保たれるように、ターゲット表面の侵食度または侵食状態に応じて各ターゲット10(1),10(2)と磁石ユニット48(1),48(2)との距離間隔を可変する機構(図示せず)を設けることもできる。
【0116】
高周波電源50は、整合器54、給電線(または給電棒)56および外側ハウジング46を介してバッキングプレート12に電気的に接続されている。直流電源52は、給電線56および外側ハウジング46を介してバッキングプレート12に電気的に接続されている。通常、ターゲット10(1),10(2)が誘電体であるときは、高周波電源50のみが使用される。ターゲット10(1),10(2)が金属であるときは、直流電源52のみが使用され、あるいは直流電源52と高周波電源50が併用される。
【0117】
チャンバ20内において、両ターゲット10(1),10(2)と回転ステージ22との間には、上述したウエハ載置面P上の短冊形堆積領域B1,B2を規定する形状・サイズ・配置位置の開口を有するスリット60(1),60(2)が設けられる。これらのスリット60(1),60(2)を回転ステージ22に近づけて配置することで、本発明において両ターゲット10(1),10(2)からのスパッタ粒子を短冊形堆積領域B1,B2にそれぞれ限定して入射させるスパッタ成膜の精度を十分高くすることができる。したがって、X方向における短冊形堆積領域B1,B2の幅寸法を均等にR/2に設定した場合は、同方向におけるスリット60(1),60(2)の幅サイズもそれぞれR/2に設定してよい。
【0118】
スリット60(1),60(2)を形成する板体62は、たとえばアルミニウム等の導体からなり、物理的かつ電気的にチャンバ20に結合されており、両ターゲット10(1),10(2)のスパッタ放出空間を隔離するための隔壁板64を有している。
【0119】
このマグネトロンスパッタ装置において、被成膜体の半導体ウエハWは、回転ステージ22上の所定位置に、つまり円形基準領域Aにぴったり重なる位置に、あるいは所定量オフセットした位置に位置決めして載置される。回転ステージ22には、半導体ウエハWを一緒(一体)に回転させるためのウエハ固定部が備わっている。
【0120】
この半導体ウエハWに対してスパッタ成膜処理を行うには、スパッタガス供給部30よりスパッタガス(たとえばArガス)を所定の流量で密閉状態のチャンバ20内に導入し、排気装置36によりチャンバ20内の圧力を設定値にする。さらに、高周波電源50および/または直流電源52をオンにして、高周波(たとえば13.56MHz)および/または直流電圧を所定のパワーでカソードの両ターゲット10(1),10(2)に印加する。
【0121】
また、磁石ユニット48(1),48(2)の磁界発生機構をオンにして、ターゲット10(1),10(2)の表面付近にマグネトロン放電によって生成されるプラズマをリング状に閉じ込め、かつリング状のプラズマ(プラズマリング)を所定方向(ターゲット長手方向つまりY方向)で移動させる。プラズマリングからのイオンの入射によって各ターゲット10(1),10(2)の表面から放出されたスパッタ粒子は、各スリット60(1),60(2)を通り、回転ステージ22上に設定された仮想の短冊形堆積領域B1,B2に向かって飛散する。
【0122】
一方で、回転駆動部24をオンにして回転ステージ22を所定の回転数(たとえば6〜60rpm)でスピン回転させる。半導体ウエハWは、回転ステージ22の中心を通る法線を回転中心軸として同軸回転または偏心回転することになる。
【0123】
上記のような動作により、チャンバ20内で本発明のマグネトロンスパッタ方法が実施され、回転ステージ22上の半導体ウエハWの表面にスパッタ粒子が堆積して所望の薄膜が形成される。
【0124】
なお、各短冊形堆積領域B1,B2に向かって飛散したスパッタ粒子のうち半導体ウエハWの外に達するものは、回転ステージ22の上面に入射する。したがって、回転ステージ22の上面には、半導体ウエハWを囲む周辺部分に着脱可能なカバーを被せてもよい。
【0125】
次に、図25〜図27につき、磁石ユニット48(1),48(2)の構成および作用を説明する。両者はサイズが異なるだけで、構成および作用は実質的に同じであるから、両者共通に磁石ユニット48として説明する。
【0126】
図25に、磁石ユニット48を構成する柱状回転軸70、複数の磁石群72、固定外周板磁石74、常磁性体76について、その鳥瞰図とバッキングプレート12側から除き見た状態の平面図を示す。
【0127】
柱状回転軸70は、たとえばNi-Fe系高透磁率合金からなり、図示しない伝動機構を介してモータに接続され、所望の回転数(たとえば600rpm)で回転駆動されるようになっている。
【0128】
柱状回転軸70の外周面は多角形たとえば正八角形となっており、八面体の各面に菱形の板磁石72が所定の配列で多数取り付けられている。これらの板磁石72には、残留磁束密度が1.1T程度のSm-Co系焼結磁石あるいは残留磁束密度が1.3T程度のNd-Fe-B系焼結磁石を好適に使用できる。板磁石72はその板面の垂直方向(板厚方向)に磁化されており、柱状回転軸70に螺旋状に貼り付けられて複数の螺旋を形成し、柱状回転軸70の軸方向に隣り合う螺旋同士が柱状回転軸70の径方向外側に互いに異なる磁極、すなわちN極とS極を形成している。いわば、帯状のN極と帯状のS極とが共通の柱状回転軸70の外周面に沿って並進しながら螺旋状に巻かれた構造になっている。
【0129】
固定外周板磁石74は、ターゲット10に近接した位置で回転磁石群72を取り囲むように矩形の枠状に形成されており、ターゲット10あるいはバッキングプレート12と対向する側の面がS極で反対側の面がN極になっている。この固定外周板磁石74も、たとえばNd-Fe-B系焼結磁石で構成されてよい。
【0130】
上記のように柱状回転軸70に多数の板磁石72を螺旋状に配置した場合、図26の(a)に示すように、近似的にはターゲット10側と対向する面で帯状に延びる板磁石72のN極の周りを付近の他の板磁石72および固定外周板磁石74のS極が囲んでいる。これにより、板磁石72のN極から出た磁力線の一部は、曲線を描いて、バッキングプレート12を貫通してターゲット10表面にいったん抜け出た後、そこから反対方向にバッキングプレート12を通り抜けて付近のS極で終端する。ここで、ターゲット10表面上の漏れ磁界の中の水平成分が二次電子をローレンツ力で補足するのに寄与する。
【0131】
かかる構成の磁石ユニット48によれば、ターゲット10表面に、図26の(a),(b)に点線で示すような楕円ループ状のパターン78に二次電子ないしプラズマを閉じ込めて、同形状のプラズマリングを軸方向に並べて多数生成することができる。これらのプラズマリングは、固定外周板磁石74の幅寸法に応じた長軸と螺旋ピッチに応じた短軸とを有する。したがって、ターゲット10の幅寸法に応じて固定外周板磁石74の幅寸法を選定することで、プラズマリングの長軸がターゲットの一端から他端までカバーするサイズに調整できる。そして、柱状回転軸70を回転駆動することにより、その回転方向および回転速度に応じた進行方向および進行速度で各プラズマリングを軸方向つまりターゲット長手方向で移動させることができる。
【0132】
なお、ターゲット10側から見て固定外周板磁石74の裏面には同形の固定外周常磁性体76が取り付けられ、この固定外周常磁性体76は常磁性体からなる板状のジョイント78を介して内側ハウジング44に接続されている。固定外周板磁石74の裏面(N極)から出た磁力線は固定外周常磁性体76に入り、外部に拡散しないようになっている。
【0133】
このマグネトロンスパッタ装置は、上述したような構成により、スパッタ成膜中の半導体ウエハWの帯電を効果的に防止できるので、チャージアップダメージを効果的に回避し、歩留まりを向上できるという一面も有している。
【0134】
以上好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その技術思想の範囲内で種々の変形が可能である。
【0135】
たとえば、磁石ユニット48において固定外周板磁石74の主面の磁極(図示の例ではS極)およびそれと対応する板磁石72の磁極(S極)を強磁性体で置き換えることも可能である。
【0136】
本発明における短冊形堆積領域Bあるいはスリット60は、半導体ウエハW上の成膜レート分布を均一化するように様々な変形形状を有することができる。たとえば、各短冊形堆積領域B1,B2を矩形にした場合に半導体ウエハW上の成膜レート分布が図27に示すようにウエハ中間部(−R/2,R/2付近)で高く突出し中心部(0付近)で低く落ち込むようなプロファイルを示すときは、図28に示すように、たとえば円形基準領域Aの中心寄りの短冊形堆積領域B1の長辺において、中心(AO)付近の部位に凸部80を設け、半径R/2付近の部位に凹部82を設けるような変形を加えてよい。
【0137】
図29の(a)に示すように、各ターゲット10と半導体ウエハW(回転ステージ22)との間に、各ターゲットより放出されたスパッタ粒子の方向性を短冊形堆積領域Bに対して垂直な方向に制御するためのコリメータ84を配置する構成も可能である。コリメータ84は、たとえば図29の(b)に示すように板86にパンチングで多数の孔88を穿孔したものでよく、好ましくは、孔88の位置がずれるように複数枚たとえば2枚の板86を重ねたものでよい。
【0138】
図30に示すように、各ターゲット10と半導体ウエハW(回転ステージ22)との間でスパッタ粒子をイオン化するためのプラズマを生成するイオン化プラズマ生成部88を設けてもよい。スパッタ粒子のイオン化によって、半導体ウエハWに入射するスパッタ粒子の方向に異方性(垂直性)を持たせ、深い孔や深い溝での薄膜成膜を良好に行うことができる。
【0139】
また、図31の(a)に示すように、同一のチャンバ20内に複数の回転ステージ22をY方向に一列に並べて、各回転ステージ22上に半導体ウエハWを配置し、各々のターゲット10(1),10(2),10(3)をY方向で複数の半導体ウエハWに跨って短冊形堆積領域B1,2,B3(図示せず)と対向するように配置し、複数の半導体ウエハWを同時に回転させてそれらの半導体ウエハW上で同時にスパッタ成膜を行うことも可能である。
【0140】
この場合、図31の(b)に示すように、スリット60は各短冊形堆積領域Bと対向する必要な位置にだけ限定して設けてよい。
【0141】
この装置構成例において、90はウエハ搬入出口に取り付けられるゲートバルブである。このゲートバルブを開けて、チャンバ20に対する複数の半導体ウエハWの出し入れを、1台または複数台の搬送装置または搬送アームにより同時または順次に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】本発明で用いる短冊形ターゲットの一構成例を示す斜視図である。
【図2】本発明におけるマグネトロンスパッタ法の基本思想を説明するための斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態におけるウエハ配置面上の各部と半導体ウエハWとの位置関係を示す平面図である。
【図4】スパッタ成膜に関して図3のレイアウトと等価なレイアウトを示す平面図である。
【図5】第1の実施形態における理想的なウエハ上の成膜レート分布特性を示す図である。
【図6】第1の実施形態において問題が生じる一例を示す平面図である。
【図7】図6の場合にウエハ上の成膜レート分布特性に特異点が発生する様子を示す図である。
【図8】第1の実施形態において問題点が生じる別の例を示す平面図である。
【図9】図8の場合にウエハ上の成膜レート分布特性に特異点が発生する様子を示す図である。
【図10】第2の実施形態における各部の位置関係とウエハ回転位置の一場面を示す平面図である。
【図11】第2の実施形態における各部の位置関係とウエハ回転位置の一場面を示す平面図である。
【図12】第2の実施形態における各部の位置関係とウエハ回転位置の一場面を示す平面図である。
【図13】第2の実施形態における各部の位置関係とウエハ回転位置の一場面を示す平面図である。
【図14】第2の実施形態におけるシミュレーションで用いた条件設定を示す図である。
【図15】第2の実施形態におけるシミュレーションで得られた規格化成膜レート分布特性を示す図である。
【図16】第3の実施形態における各部の位置関係とウエハ配置位置の一例を示す平面図である。
【図17】第3の実施形態におけるシミュレーションで用いた条件設定を示す図である。
【図18】第3の実施形態におけるシミュレーションで得られた規格化成膜レート分布特性を示す図である。
【図19】第2および第3の実施形態において短冊形堆積領域上の中心/エッジ間の成膜レート比とウエハ偏心回転のオフセット量とをパラメータとした場合の面内均一性を示すグラフである。
【図20】第4の実施形態における2ターゲット方式の場合の各部の位置関係とウエハ配置位置の一例を示す平面図である。
【図21】第4の実施形態において2ターゲット方式の場合の規格化成膜レート分布特性を示す図である。
【図22】第4の実施形態における3ターゲット方式の場合の各部の位置関係とウエハ配置位置の一例を示す平面図である。
【図23】第4の実施形態において3ターゲット方式の場合の規格化成膜レート分布特性を示す図である。
【図24】本発明の一実施形態におけるマグネトロンスパッタ装置の構成を示す略断面図である。
【図25】実施形態のマグネトロンスパッタ装置において柱状回転軸、複数の磁石群、板磁石および常磁性体についてその鳥瞰図とターゲット側から矢視した図である。
【図26】実施形態のマグネトロンスパッタ装置におけるプラズマリング生成領域を示す斜視図である。
【図27】ウエハ上の成膜分布レート特性で問題となるプロファイルの一例を示す図である。
【図28】図27の成膜分布レート特性を改善するための短冊形堆積領域あるいはスリットの形状の一変形例を示す平面図である。
【図29】実施形態のマグネトロンスパッタ装置においてコリメータを設ける構成の一例を示す図である。
【図30】実施形態のマグネトロンスパッタ装置においてイオン化プラズマ生成部を設ける構成の一例を示す図である。
【図31】実施形態のマグネトロンスパッタ装置において同一のチャンバ20内に複数の回転ステージ22を設ける構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0143】
P ウエハ配置面
A 円形基準領域
1,B2,B3 短冊形堆積領域
10,10(1),10(2),10(3) ターゲット
12 バッキングプレート
14 スパッタガン・ユニット
20 チャンバ
22 回転ステージ
24 回転駆動部
30 スパッタガス供給部
36 排気装置
48,48(1),48(2) 磁石ユニット
60 スリット
44 内側ハウジング
46 外側ハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の短冊形堆積領域を、第1の方向では半導体ウエハと同一の口径を有する円形基準領域をそれぞれ横断し、前記第1の方向と直交する第2の方向では互いに所定の間隔を空けて並ぶように配置し、
前記複数の短冊形堆積領域の中の一つを、前記第2の方向におけるその片側の側辺が前記円形基準領域の中心付近を通るように配置し、
前記複数の短冊形堆積領域の中の他の一つを、前記第2の方向におけるその片側の側辺が前記円形基準領域のエッジまたはその近くを通るように配置し、
前記第2の方向における前記複数の短冊形堆積領域のそれぞれの幅寸法を、それらの合計値が前記円形基準領域の半径に略等しくなるように選定し、
各々のターゲット表面より放出されたスパッタ粒子が各対応する前記短冊形堆積領域に入射するように、複数の短冊形ターゲットを前記複数の短冊形堆積領域に対向させてそれぞれ配置し、
前記円形基準領域と重なる位置に被成膜体としての半導体ウエハを配置し、
各々の前記ターゲットの裏側で可動の磁石を駆動して、マグネトロン放電により生成したプラズマを前記ターゲットの近傍に閉じ込めながら、前記ターゲット表面よりスパッタ粒子を放出させ、
前記円形基準領域の中心を通る法線を回転中心軸として前記半導体ウエハを所定の回転数で同軸回転させて、前記半導体ウエハ表面にスパッタ粒子の堆積膜を形成する、
マグネトロンスパッタ方法。
【請求項2】
複数の短冊形堆積領域を、第1の方向では半導体ウエハと同一の口径を有する円形基準領域をそれぞれ横断し、前記第1の方向と直交する第2の方向では互いに所定の間隔を空けて並ぶように配置し、
前記複数の短冊形堆積領域の中の一つを、前記第2の方向におけるその片側の側辺が前記円形基準領域の中心付近を通るように配置し、
前記複数の短冊形堆積領域の中の他の一つを、前記第2の方向におけるその片側の側辺が前記円形基準領域のエッジ付近を通るように配置し、
前記第2の方向における前記複数の短冊形堆積領域のそれぞれの幅寸法を、それらの合計値が前記円形基準領域の半径に略等しくなるように選定し、
各々のターゲット表面より放出されたスパッタ粒子が各対応する前記短冊形堆積領域に入射するように、複数の短冊形ターゲットを前記複数の短冊形堆積領域に対向させてそれぞれ配置し、
前記円形基準領域を含む面内で前記円形基準領域から所定距離だけオフセットした位置に被成膜体としての半導体ウエハを配置し、
各々の前記ターゲットの裏側で可動の磁石を駆動して、マグネトロン放電により生成したプラズマを前記ターゲットの近傍に閉じ込めながら、前記ターゲット表面よりスパッタ粒子を放出させ、
前記円形基準領域の中心を通る法線を回転中心軸として前記半導体ウエハを所定の回転数で偏心回転させて、前記半導体ウエハ表面にスパッタ粒子の堆積膜を形成する、
マグネトロンスパッタ方法。
【請求項3】
前記半導体ウエハの半径をR、前記短冊形堆積領域の個数をN(Nは2以上の整数)とすると、前記第2の方向における各々の前記短冊形堆積領域の幅寸法はR/Nである請求項1または請求項2に記載のマグネトロンスパッタ方法。
【請求項4】
複数の短冊形堆積領域を、第1の方向では半導体ウエハと同一の口径を有する円形基準領域をそれぞれ横断し、前記第1の方向と直交する第2の方向では互いに所定の間隔を空けて並ぶように配置し、
前記複数の短冊形堆積領域の中の一つを、前記円形基準領域の中心がその領域の内側に入り、かつ前記第2の方向におけるその片側の側辺が前記円形基準領域の中心から第1の距離だけ離れた位置を通るように配置し、
前記複数の短冊形堆積領域の中の他の一つを、前記第2の方向においてその片側の側辺が前記円形基準領域のエッジからその外側に第2の距離だけ離れた位置を通るように配置し、
前記第2の方向における前記複数の短冊形堆積領域のそれぞれの幅寸法を、それらの合計値が前記円形基準領域の半径よりも所定の超過寸法だけ大きくなるように選定し、
各々のターゲット表面より放出されたスパッタ粒子が各対応する前記短冊形堆積領域に入射するように、複数の短冊形ターゲットを前記複数の短冊形堆積領域に対向させてそれぞれ配置し、
前記円形基準領域を含む面内で前記円形基準領域から第3の距離だけオフセットした位置に被成膜体としての半導体ウエハを配置し、
各々の前記ターゲットの裏側で可動の磁石を駆動して、マグネトロン放電により生成したプラズマを前記ターゲットの近傍に閉じ込めながら、前記ターゲット表面よりスパッタ粒子を放出させ、
前記円形基準領域の中心を通る法線を回転中心軸にして前記半導体ウエハを所定の回転数で偏心回転させ、前記半導体ウエハ表面にスパッタ粒子の堆積膜を形成する、
マグネトロンスパッタ方法。
【請求項5】
前記超過寸法が、第1の距離と前記第2の距離とを足し合わせた値に等しい請求項4に記載のマグネトロンスパッタ方法。
【請求項6】
前記第3の距離が前記第2の距離に等しい請求項4または請求項5に記載のマグネトロンスパッタ方法。
【請求項7】
前記半導体ウエハの口径が300mmで、前記短冊形堆積領域の個数が2であり、前記第2の距離が約15mmに選定される請求項4〜6のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ方法。
【請求項8】
前記半導体ウエハの口径が300mmで、前記短冊形堆積領域の個数が3であり、前記第2の距離が約10mmに選定される請求項4〜6のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ方法。
【請求項9】
前記短冊形堆積領域は、前記第1の方向と平行な一対の長辺を有する請求項1〜8のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ方法。
【請求項10】
前記短冊形堆積領域は、前記第1の方向に延びる一対の長辺の少なくとも一方に凹部または凸部を有する請求項1〜8のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ方法。
【請求項11】
前記第1の方向における前記複数の短冊形堆積領域の長さは、前記円形基準領域の中心に近いものほど長く、前記円形基準領域のエッジに近いものほど短い請求項1〜10のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ方法。
【請求項12】
前記ターゲット表面の略全域または大部分の領域がスパッタで侵食されるように前記マグネトロン放電を制御する請求項1〜11のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ方法。
【請求項13】
各々の前記ターゲットと前記半導体ウエハとの間に、各々の前記短冊形堆積領域を規定するスリットを配置する請求項1〜12のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ方法。
【請求項14】
各々の前記ターゲットより放出されたスパッタ粒子の方向性をコリメータにより前記短冊形堆積領域に対して垂直な方向に制御する請求項1〜13のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ方法。
【請求項15】
各々の前記ターゲットと前記半導体ウエハとの間でスパッタ粒子をイオン化する請求項1〜14のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ方法。
【請求項16】
同一の処理容器内で前記半導体ウエハを前記第1の方向に複数並べて配置し、
各々の前記ターゲットを、前記第1の方向で前記複数の半導体に跨って前記短冊形堆積領域と対向するように配置し、
前記複数の半導体ウエハを同時に回転させてそれらの半導体ウエハ上で同時にスパッタ成膜を行う、
請求項1〜15のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ方法。
【請求項17】
減圧可能な処理容器と、
前記処理容器内で半導体ウエハを支持する回転可能なステージと、
前記ステージを所望の回転数で回転させる回転駆動部と、
前記ステージと対向して、第1の方向ではそれぞれ所定値以上の長さを有し、前記第1の方向と直交する第2の方向では所定の間隔を空けて並ぶように配置された複数のターゲットと、
前記処理容器内にスパッタガスを供給するためのガス供給機構と、
前記処理容器内で前記スパッタガスを放電させるための電力供給機構と、
前記処理容器内で生成されたプラズマを各々の前記ターゲットの近傍に閉じ込めるために、各々の前記ターゲットの裏側に設けられる磁石を含む磁界発生機構と
を有し、
複数の短冊形堆積領域が、前記第1の方向では半導体ウエハと同一の口径を有する円形基準領域をそれぞれ横断し、前記第2の方向では互いに所定の間隔を空けて並ぶように配置され、
前記第2の方向において、前記複数の短冊形堆積領域の中の一つは、その片側の側辺が前記円形基準領域の中心付近を通るように配置され、
前記第2の方向において前記複数の短冊形堆積領域の中の他の一つは、その片側の側辺が前記円形基準領域のエッジまたはその近くを通るように配置され、
前記第2の方向において、前記複数の短冊形堆積領域のそれぞれの幅寸法を足し合わせた全堆積領域幅寸法が前記円形基準領域の半径に略等しく、
前記円形基準領域と重なる位置に前記半導体ウエハが配置され、
前記回転駆動部により前記ステージと一体に前記半導体ウエハを同軸回転させるとともに、各々の前記ターゲット表面より放出されたスパッタ粒子を各対応する前記短冊形堆積領域に入射させ、前記半導体ウエハ表面にスパッタ粒子の堆積膜を形成する、
マグネトロンスパッタ装置。
【請求項18】
減圧可能な処理容器と、
前記処理容器内で半導体ウエハを支持する回転可能なステージと、
前記ステージを所望の回転数で回転させる回転駆動部と、
前記ステージと対向して、第1の方向ではそれぞれ所定値以上の長さを有し、前記第1の方向と直交する第2の方向では所定の間隔を空けて並ぶように配置された複数のターゲットと、
前記処理容器内にスパッタガスを供給するためのガス供給機構と、
前記処理容器内で前記スパッタガスを放電させるための電力供給機構と、
前記処理容器内で生成されたプラズマを各々の前記ターゲットの近傍に閉じ込めるために、各々の前記ターゲットの裏側に設けられる磁石を含む磁界発生機構と
を有し、
複数の短冊形堆積領域が、前記第1の方向では半導体ウエハと同一の口径を有する円形基準領域をそれぞれ横断し、前記第2の方向では互いに所定の間隔を空けて並ぶように配置され、
前記第2の方向において、前記複数の短冊形堆積領域の中の一つは、その片側の側辺が前記円形基準領域の中心付近を通るように配置され、
前記第2の方向において、前記複数の短冊形堆積領域の中の他の一つは、その片側の側辺が前記円形基準領域のエッジ付近を通るように配置され、
前記第2の方向において、前記複数の短冊形堆積領域のそれぞれの幅寸法を足し合わせた全堆積領域幅寸法が前記円形基準領域の半径に略等しく、
前記円形基準領域を含む面内で前記円形基準領域から所定距離だけオフセットした位置に前記半導体ウエハが配置され、
前記回転駆動部により前記ステージと一体に前記半導体ウエハを偏心回転させるとともに、各々の前記ターゲット表面より放出されたスパッタ粒子を各対応する前記短冊形堆積領域に入射させ、前記半導体ウエハ表面にスパッタ粒子の堆積膜を形成する、
マグネトロンスパッタ装置。
【請求項19】
前記半導体ウエハの半径をR、前記短冊形堆積領域の個数をN(Nは2以上の整数)とすると、前記第2の方向における各々の前記短冊形堆積領域の幅寸法はR/Nである請求項17または請求項18に記載のマグネトロンスパッタ装置。
【請求項20】
減圧可能な処理容器と、
前記処理容器内で半導体ウエハを支持する回転可能なステージと、
前記ステージを所望の回転数で回転させる回転駆動部と、
前記ステージと対向して、第1の方向ではそれぞれ所定値以上の長さを有し、前記第1の方向と直交する第2の方向では所定の間隔を空けて並ぶように配置された複数のターゲットと、
前記処理容器内にスパッタガスを供給するためのガス供給機構と、
前記処理容器内で前記スパッタガスを放電させるための電力供給機構と、
前記処理容器内で生成されたプラズマを各々の前記ターゲットの近傍に閉じ込めるために、各々の前記ターゲットの裏側に設けられる磁石を含む磁界発生機構と
を有し、
複数の短冊形堆積領域が、前記第1の方向では円形基準領域をそれぞれ横断し、前記第2の方向では互いに所定の間隔を空けて並ぶように配置され、
前記第2の方向において、前記複数の短冊形堆積領域の中の一つは、前記円形基準領域の中心がその領域の内側に入り、かつ前記第2の方向におけるその片側の側辺が前記円形基準領域の中心から第1の距離だけ離れた位置を通るように配置され、
前記第2の方向において、前記複数の短冊形堆積領域の中の他の一つは、その片側の側辺が前記円形基準領域のエッジ付近を通るように配置され、
前記第2の方向において、前記複数の短冊形堆積領域のそれぞれの幅寸法を足し合わせた全堆積領域幅寸法が前記円形基準領域の半径よりも所定の超過寸法だけ大きく、
前記円形基準領域を含む面内で前記円形基準領域から第3の距離だけオフセットした位置に前記半導体ウエハが配置され、
前記回転駆動部により前記ステージと一体に前記半導体ウエハを偏心回転させるとともに、各々の前記ターゲット表面より放出されたスパッタ粒子を各対応する前記短冊形堆積領域に入射させ、前記半導体ウエハ表面にスパッタ粒子の堆積膜を形成する、
マグネトロンスパッタ装置。
【請求項21】
前記超過寸法が、第1の距離と前記第2の距離とを足し合わせた値に等しい請求項20に記載のマグネトロンスパッタ装置。
【請求項22】
前記第3の距離が前記第2の距離に等しい請求項20または請求項21に記載のマグネトロンスパッタ装置。
【請求項23】
前記半導体ウエハの口径が300mmで、前記ターゲットの個数が2であり、前記第2の距離が約15mmに選定される請求項20〜22のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ装置。
【請求項24】
前記半導体ウエハの口径が300mmで、前記ターゲットの個数が3であり、前記第2の距離が約10mmに選定される請求項20〜22のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ装置。
【請求項25】
前記短冊形堆積領域は、前記第1の方向と平行な一対の長辺を有する請求項17〜24のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ装置。
【請求項26】
前記短冊形堆積領域は、前記第1の方向に延びる一対の長辺の少なくとも一方に凹部または凸部を有する請求項17〜24のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ装置。
【請求項27】
前記第1の方向における前記複数の短冊形堆積領域の長さは、前記円形基準領域の中心に近いものほど長く、前記円形基準領域のエッジに近いものほど短い請求項17〜26のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ装置。
【請求項28】
前記磁界発生機構が、前記第2の方向で前記ターゲット表面の一端から他端まで延びる円形または楕円形のプラズマリングを形成し、前記プラズマリングを前記第1の方向で移動させる請求項17〜27のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ装置。
【請求項29】
前記磁界発生機構が、前記複数のターゲットの裏側にそれぞれ配置する磁石を共通のハウジング内に収容する請求項17〜28のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ装置。
【請求項30】
前記ハウジングが磁性体からなる請求項29に記載のマグネトロンスパッタ装置。
【請求項31】
前記ハウジングを前記チャンバに気密に取り付け、前記ハウジング内を減圧する請求項29または請求項30に記載のマグネトロンスパッタ装置。
【請求項32】
前記ターゲット表面上の磁界の強度が一定に保たれるように、前記ターゲット表面の侵食度に応じて前記ターゲットと前記磁界発生機構との距離間隔を可変する機構を有する請求項17〜30のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ装置。
【請求項33】
各々の前記ターゲットと前記ステージとの間に配置され、各々の前記短冊形堆積領域を規定するスリットを有する請求項17〜32のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ装置。
【請求項34】
各々の前記ターゲットと前記ステージとの間に配置され、各々の前記ターゲットより放出されたスパッタ粒子の方向性を前記短冊形堆積領域に対して垂直な方向に制御するためのコリメータを有する請求項17〜33のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ装置。
【請求項35】
各々前記ターゲットと前記ステージとの間でスパッタ粒子をイオン化するためのプラズマを生成するイオン化プラズマ生成部を有する請求項17〜34のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ装置。
【請求項36】
前記複数のターゲットを連続した一つの面に並べて保持する一つの共通バッキングプレートを有する請求項17〜35のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ装置。
【請求項37】
前記電力供給機構が、前記複数のターゲットに前記バッキングプレートを介して電気的に共通接続された直流電源を有する請求項36に記載のマグネトロンスパッタ装置。
【請求項38】
前記電力供給機構が、前記複数のターゲットに前記バッキングプレートを介して電気的に共通接続された高周波電源を有する請求項36または請求項37に記載のマグネトロンスパッタ装置。
【請求項39】
同一の処理容器内で前記ステージを前記第1の方向に複数並べて配置し、
各々の前記ターゲットを、前記第1の方向で前記複数の半導体ウエハに跨って前記短冊形堆積領域と対向するように配置し、
前記複数のステージ上で前記複数の半導体ウエハを同時に回転させてそれらの半導体ウエハ上で同時にスパッタ成膜を行う、
請求項17〜38のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ装置。
【請求項40】
減圧可能な処理容器と、前記処理容器内に設けられ、半導体ウエハを配置するための、回転軸の周りを回転可能なステージと、前記ステージに対向して設けられ、第1の方向に延在するターゲットを支持することができ、前記ターゲット表面からスパッタ粒子を前記第1の方向に延在する短冊形堆積領域に放射させることのできるスパッタ機構と、を含むスパッタ装置において、前記スパッタ機構が前記第1の方向と直交する第2の方向に所定の間隔を空けて複数個配置され、 前記複数のスパッタ機構の一つは、その短冊形堆積領域の前記第2の方向における片側の側辺が前記回転軸の中心またはその近くを通るように配置され、前記複数のスパッタ機構の他の一つは、その短冊形堆積領域の前記第2の方向における片側の側辺が前記ステージの半導体ウエハ配置領域のエッジまたはその近くを通り他の片側の側辺は前記ステージの半導体ウエハ配置領域を通るように配置され、前記複数のスパッタ機構の各々の短冊形堆積領域の前記第2の方向における幅は、その合計値が前記半導体ウエハ配置領域の半径に略等しくなるようになされたことを特徴とするスパッタ装置。
【請求項41】
減圧可能な処理容器と、
前記処理容器内に設けられ、半導体ウエハを配置するための、回転軸の周りを回転可能なステージと、
前記ステージに対向して設けられ、第1の方向に延在するターゲットを支持することができ、前記ターゲット表面からスパッタ粒子を前記第1の方向に延在する短冊形堆積領域に放射させることのできるスパッタ機構と、を含むスパッタ装置において、
前記スパッタ機構が前記第1の方向と直交する第2の方向に所定の間隔を空けて複数個配置され、
前記複数のスパッタ機構の一つは、その短冊形堆積領域の前記第2の方向における片側の側辺が前記回転軸の中心またはその近くを通るように配置され、
前記複数のスパッタ機構の他の一つは、その短冊形堆積領域の前記第2の方向における片側の側辺が前記ステージの半導体ウエハ配置領域のエッジまたはその近くかまたはそこから最大で所定の距離だけ離れた場所を通り他の片側の側辺は前記ステージの半導体ウエハ配置領域内を通るように配置され、
さらに、前記半導体ウエハ配置領域の中心が、前記回転軸の中心から前記所定の距離と等しい距離だけ離れるように半導体ウエハを保持する機構を設けた、
ことを特徴とするスパッタ装置。
【請求項42】
前記スパッタ機構が前記第1の方向と直交する第2の方向に所定の間隔を空けて3個またはそれ以上配置され、
前記複数のスパッタ機構の更に他の一つは、その短冊形堆積領域が、前記複数のスパッタ機構の前記一つの短冊形堆積領域に対して、前記複数のスパッタ機構の前記他の一つの短冊形堆積領域とは反対側に位置しかつ前記半導体ウエハ配置領域内を通るように配置された
ことを特徴とする請求項40又は41に記載のスパッタ装置。
【請求項43】
前記複数のスパッタ機構の前記更に他の一つの短冊形堆積領域は、幅が、前記複数のスパッタ機構の前記一つの短冊形堆積領域と前記複数のスパッタ機構の前記他の一つの短冊形堆積領域との間隔と実質的に等しい
ことを特徴とする請求項42に記載のスパッタ装置。
【請求項44】
前記半導体ウエハ配置領域の半径をR、前記短冊形堆積領域の個数をN(Nは2以上の整数)とすると、前記第2の方向における各々の前記短冊形堆積領域の幅寸法はR/Nであることを特徴とする請求項40乃至43のいずれか一つに記載のスパッタ装置。
【請求項45】
減圧可能な処理容器と、
前記処理容器内に設けられ、半導体ウエハを配置するための、回転軸の周りを回転可能なステージと、
前記ステージに対向して設けられ、第1の方向に延在するターゲットを支持することができ、前記ターゲット表面からスパッタ粒子を前記第1の方向に延在する短冊形堆積領域に放射させることのできるスパッタ機構と、を含むスパッタ装置において、
前記スパッタ機構が前記第1の方向と直交する第2の方向に所定の間隔を空けて複数個配置され、
前記複数のスパッタ機構の一つは、その短冊形堆積領域の前記第2の方向における片側の側辺が前記回転軸の中心またはその近くから第1の距離を隔てて通り他の片側の側辺は前記ステージの半導体ウエハ配置領域を通るように配置され、
前記複数のスパッタ機構の他の一つは、その短冊形堆積領域の前記第2の方向における片側の側辺が前記ステージの前記半導体ウエハ配置領域のエッジまたはその近くから第2の距離を隔てて通り他の片側の側辺は前記半導体ウエハ配置領域を通るように配置され、
前記複数のスパッタ機構の各々の短冊形堆積領域の前記第2の方向における幅は、その合計値が前記半導体ウエハ配置領域の半径に対して少なくとも前記第2の距離だけ大きくなるようになされた
ことを特徴とするスパッタ装置。
【請求項46】
減圧可能な処理容器と、
前記処理容器内に設けられ、半導体ウエハを配置するための、回転軸の周りを回転可能なステージと、
前記ステージに対向して設けられ、第1の方向に延在するターゲットを支持することができ、前記ターゲット表面からスパッタ粒子を前記第1の方向に延在する短冊形堆積領域に放射させることのできるスパッタ機構と、を含むスパッタ装置において、
前記スパッタ機構が前記第1の方向と直交する第2の方向に所定の間隔を空けて複数個配置され、
前記複数のスパッタ機構の一つは、その短冊形堆積領域の前記第2の方向における片側の側辺が前記回転軸の中心またはその近くから第1の距離を隔てて通り他の片側の側辺は前記ステージの半導体ウエハ配置領域を通るように配置され、
前記複数のスパッタ機構の他の一つは、その短冊形堆積領域の前記第2の方向における片側の側辺が前記ステージの前記半導体ウエハ配置領域のエッジまたはその近くから第2の距離だけ隔たった場所または該第2の距離から最大で第3の距離だけ隔たった場所を通り他の片側の側辺は前記半導体ウエハ配置領域を通るように配置され、
さらに、前記半導体ウエハ配置領域の中心が、前記回転軸の中心から前記第3の距離と等しい距離だけ離れるように半導体ウエハを保持する機構を設けた、
ことを特徴とするスパッタ装置。
【請求項47】
前記スパッタ機構が前記第1の方向と直交する第2の方向に所定の間隔を空けて3個またはそれ以上配置され、
前記複数のスパッタ機構の更に他の一つは、その短冊形堆積領域が、前記複数のスパッタ機構の前記一つの短冊形堆積領域に対して、前記複数のスパッタ機構の前記他の一つの短冊形堆積領域とは反対側に位置しかつ前記半導体ウエハ配置領域内を通るように配置された
ことを特徴とする請求項43又は44に記載のスパッタ装置。
【請求項48】
前記複数のスパッタ機構の前記更に他の一つの短冊形堆積領域は、幅が、前記複数のスパッタ機構の前記一つの短冊形堆積領域と前記複数のスパッタ機構の前記他の一つの短冊形堆積領域との間隔と実質的に等しい
ことを特徴とする請求項47に記載のスパッタ装置。
【請求項49】
前記短冊形堆積領域の少なくとも一つは、その片側または両側の側辺が凹状または凸状になされた部分を少なくとも一つ有することを特徴とする請求項40乃至48のいずれか一つに記載のスパッタ装置。
【請求項50】
前記半導体ウエハ配置領域の直径が300mm以上であることを特徴とする請求項40乃至49のいずれか一つに記載のスパッタ装置。
【請求項51】
減圧可能な処理容器内に設けられ、回転軸の周りを回転可能なステージの半導体ウエハ配置領域に半導体ウエハを保持させる工程と、
前記ステージを回転させることによって前記半導体ウエハを回転させる工程と、
前記ステージに対向して設けられ、第1の方向に延在するターゲットを保持し、前記ターゲット表面からスパッタ粒子を前記第1の方向に延在する短冊形堆積領域に放射させることのできるスパッタ機構を用いて、前記ターゲット表面からスパッタ粒子を前記短冊形堆積領域に放射させる工程とを含むスパッタ方法において、
前記スパッタ機構が前記第1の方向と直交する第2の方向に所定の間隔を空けて複数個配置され、
前記複数のスパッタ機構の一つは、その短冊形堆積領域の前記第2の方向における片側の側辺が前記回転軸の中心またはその近くを通るように配置され、
前記複数のスパッタ機構の他の一つは、その短冊形堆積領域の前記第2の方向における片側の側辺が前記ステージの半導体ウエハ配置領域のエッジまたはその近くを通り他の片側の側辺は前記ステージの半導体ウエハ配置領域を通るように配置され、
前記複数のスパッタ機構の各々の短冊形堆積領域の前記第2の方向における幅は、その合計値が前記半導体ウエハ配置領域の半径に略等しくなるようになされ、
前記半導体ウエハの回転によって前記半導体ウエハが前記複数の短冊形堆積領域を通過し、前記半導体ウエハの表面に前記スパッタ粒子が堆積される
ことを特徴とするスパッタ方法。
【請求項52】
減圧可能な処理容器内に設けられ、回転軸の周りを回転可能なステージの半導体ウエハ配置領域に半導体ウエハを保持させる工程と、
前記ステージを回転させることによって前記半導体ウエハを回転させる工程と、
前記ステージに対向して設けられ、第1の方向に延在するターゲットを保持し、前記ターゲット表面からスパッタ粒子を前記第1の方向に延在する短冊形堆積領域に放射させることのできるスパッタ機構を用いて、前記ターゲット表面からスパッタ粒子を前記短冊形堆積領域に放射させる工程とを含むスパッタ方法において、
前記スパッタ機構が前記第1の方向と直交する第2の方向に所定の間隔を空けて複数個配置され、
前記複数のスパッタ機構の一つは、その短冊形堆積領域の前記第2の方向における片側の側辺が前記回転軸の中心またはその近くを通るように配置され、
前記複数のスパッタ機構の他の一つは、その短冊形堆積領域の前記第2の方向における片側の側辺が前記ステージの半導体ウエハ配置領域のエッジまたはその近くかまたはそこから最大で所定の距離だけ離れた場所を通り他の片側の側辺は前記ステージの半導体ウエハ配置領域内を通るように配置され、
前記半導体ウエハ配置領域の中心が、前記回転軸の中心から前記所定の距離と等しい距離だけ離れるように半導体ウエハが前記ステージに保持され、
前記半導体ウエハの偏心回転によって前記半導体ウエハが前記複数の短冊形堆積領域を通過し、前記半導体ウエハの表面に前記スパッタ粒子が堆積される
ことを特徴とするスパッタ方法。
【請求項53】
前記スパッタ機構が前記第1の方向と直交する第2の方向に所定の間隔を空けて3個またはそれ以上配置され、
前記複数のスパッタ機構の更に他の一つは、その短冊形堆積領域が、前記複数のスパッタ機構の前記一つの短冊形堆積領域に対して、前記複数のスパッタ機構の前記他の一つの短冊形堆積領域とは反対側に位置しかつ前記半導体ウエハ配置領域内を通るように配置された
ことを特徴とする請求項51又は52に記載のスパッタ方法。
【請求項54】
減圧可能な処理容器内に設けられ、回転軸の周りを回転可能なステージの半導体ウエハ配置領域に半導体ウエハを保持させる工程と、
前記ステージを回転させることによって前記半導体ウエハを回転させる工程と、
前記ステージに対向して設けられ、第1の方向に延在するターゲットを保持し、前記ターゲット表面からスパッタ粒子を前記第1の方向に延在する短冊形堆積領域に放射させることのできるスパッタ機構を用いて、前記ターゲット表面からスパッタ粒子を前記短冊形堆積領域に放射させる工程とを含むスパッタ方法において、
前記複数のスパッタ機構の一つは、その短冊形堆積領域の前記第2の方向における片側の側辺が前記回転軸の中心またはその近くから第1の距離を隔てて通り他の片側の側辺は前記ステージの半導体ウエハ配置領域を通るように配置され、
前記複数のスパッタ機構の他の一つは、その短冊形堆積領域の前記第2の方向における片側の側辺が前記ステージの前記半導体ウエハ配置領域のエッジまたはその近くから第2の距離を隔てて通り他の片側の側辺は前記半導体ウエハ配置領域を通るように配置され、
前記複数のスパッタ機構の各々の短冊形堆積領域の前記第2の方向における幅は、その合計値が前記半導体ウエハ配置領域の半径に対して少なくとも前記第2の距離だけ大きくなるようになされ、
前記半導体ウエハの回転によって前記半導体ウエハが前記複数の短冊形堆積領域を通過し、前記半導体ウエハの表面に前記スパッタ粒子が堆積される
ことを特徴とするスパッタ方法。
【請求項55】
減圧可能な処理容器内に設けられ、回転軸の周りを回転可能なステージの半導体ウエハ配置領域に半導体ウエハを保持させる工程と、
前記ステージを回転させることによって前記半導体ウエハを回転させる工程と、
前記ステージに対向して設けられ、第1の方向に延在するターゲットを保持し、前記ターゲット表面からスパッタ粒子を前記第1の方向に延在する短冊形堆積領域に放射させることのできるスパッタ機構を用いて、前記ターゲット表面からスパッタ粒子を前記短冊形堆積領域に放射させる工程とを含むスパッタ方法において、
前記スパッタ機構が前記第1の方向と直交する第2の方向に所定の間隔を空けて複数個配置され、
前記複数のスパッタ機構の一つは、その短冊形堆積領域の前記第2の方向における片側の側辺が前記回転軸の中心またはその近くから第1の距離を隔てて通り他の片側の側辺は前記ステージの半導体ウエハ配置領域を通るように配置され、
前記複数のスパッタ機構の他の一つは、その短冊形堆積領域の前記第2の方向における片側の側辺が前記ステージの前記半導体ウエハ配置領域のエッジまたはその近くから第2の距離だけ隔たった場所または該第2の距離から最大で第3の距離だけ隔たった場所を通り他の片側の側辺は前記半導体ウエハ配置領域を通るように配置され、
さらに、前記半導体ウエハ配置領域の中心が、前記回転軸の中心から前記第3の距離と等しい距離だけ離れるように前記半導体ウエハが前記ステージに保持され、
前記半導体ウエハの偏心回転によって前記半導体ウエハが前記複数の短冊形堆積領域を通過し、前記半導体ウエハの表面に前記スパッタ粒子が堆積される
ことを特徴とするスパッタ方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate


【公開番号】特開2010−1526(P2010−1526A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160991(P2008−160991)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】