説明

マスクブランク及び転写用マスク並びにそれらの製造方法

【課題】波長200nm以下の露光光に対する遷移金属及びケイ素を含有する材料からなるパターン形成用薄膜(光半透過膜、遮光膜)の耐光性を向上させ、転写パターンの線幅の変化(線幅の太り)を防止し、転写用マスク寿命を改善でき、かつパターン形成用薄膜の面内均一性に優れるマスクブランク及び転写用マスクの製造方法を提供することである。
【解決手段】透光性基板上にパターン形成用薄膜を備えたマスクブランクの製造方法であって、前記透光性基板上に、遷移金属及びケイ素を含有する材料からなる前記パターン形成用薄膜を成膜する工程と、前記パターン形成用薄膜を火炎処理する工程と、を備えることを特徴とするマスクブランクの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐光性を向上させたマスクブランク及び転写用マスク並びにそれらの製造方法に関する。特に、波長200nm以下の短波長の露光光を露光光源とする露光装置に好適に用いられる転写用マスクを製造するためのマスクブランク及び転写用マスク並びにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体装置の製造工程では、フォトリソグラフィー法を用いて微細パターンの形成が行われている。また、この微細パターンの形成には通常何枚もの転写用マスクと呼ばれている基板が使用される。この転写用マスクは、一般に透光性のガラス基板上に、金属薄膜等からなる微細パターンを設けたものであり、この転写用マスクの製造においてもフォトリソグラフィー法が用いられている。
【0003】
フォトリソグラフィー法による転写用マスクの製造には、ガラス基板等の透光性基板上に転写パターン(マスクパターン)を形成するための薄膜(例えば遮光膜など)を有するマスクブランクが用いられる。このマスクブランクを用いた転写用マスクの製造は、マスクブランク上に形成されたレジスト膜に対し、所望のパターン描画を施す露光工程と、所望のパターン描画に従って前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する現像工程と、レジストパターンに従って前記薄膜をエッチングするエッチング工程と、残存したレジストパターンを剥離除去する工程とを有して行われている。上記現像工程では、マスクブランク上に形成されたレジスト膜に対し所望のパターン描画を施した後に現像液を供給して、現像液に可溶なレジスト膜の部位を溶解し、レジストパターンを形成する。また、上記エッチング工程では、このレジストパターンをマスクとして、ドライエッチング又はウエットエッチングによって、レジストパターンの形成されていない薄膜が露出した部位を溶解し、これにより所望のマスクパターンを透光性基板上に形成する。こうして、転写用マスクが出来上がる。
【0004】
半導体装置のパターンを微細化するに当たっては、転写用マスクに形成されるマスクパターンの微細化に加え、フォトリソグラフィーで使用される露光光源波長の短波長化が必要となる。半導体装置製造の際の露光光源としては、近年ではKrFエキシマレーザー(波長248nm)から、ArFエキシマレーザー(波長193nm)へと短波長化が進んでいる。
【0005】
また、転写用マスクの種類としては、従来の透光性基板上にクロム系材料からなる遮光膜パターンを有するバイナリマスクのほかに、ハーフトーン型位相シフトマスクが知られている。このハーフトーン型位相シフトマスクは、透光性基板上に位相シフト膜を有する構造のもので、この位相シフト膜は、実質的に露光に寄与しない強度の光(例えば、露光波長に対して1%〜20%)を透過させ、所定の位相差を有する光半透過膜であり、例えばモリブデンシリサイド化合物を含む材料等が用いられる。このハーフトーン型位相シフトマスクは、位相シフト膜をパターニングした位相シフト部と、位相シフト膜が形成されていない実質的に露光に寄与する強度の光を透過させる光透過部とによって、位相シフト部を透過した光の位相が光透過部を透過した光の位相に対して実質的に反転した関係になるようにすることによって、位相シフト部と光透過部との境界部近傍を通過し回折現象によって互いに相手の領域に回り込んだ光が互いに打ち消しあうようにし、境界部における光強度をほぼゼロとし境界部のコントラスト、すなわち解像度を向上させるものである。この位相シフト膜の材料としては、モリブデンとケイ素を含む材料であるモリブデンシリサイドの化合物が広く用いられている。
【0006】
また、主にエンハンサーマスクのパターン形成用の薄膜として用いられる特殊なタイプの光半透過膜がある。この光半透過膜で形成される光半透過部は、露光光を所定の透過率で透過させるが、ハーフトーン型位相シフト膜とは異なり、光半透過部を透過した露光光の位相が光透過部を透過する露光光との間でほぼ同じ位相となるものである。この光半透膜の材料としても、モリブデンとケイ素を含む材料であるモリブデンシリサイドの化合物が広く用いられている。
さらに、近年では、モリブデンシリサイドの化合物を遮光膜として用いたバイナリマスクなども出現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−156742号公報
【特許文献2】特開2002−258455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、近年の露光光源波長の短波長化に伴い、転写用マスクの繰返し使用によるマスク劣化が顕著になってきた。特に位相シフトマスクの場合、露光光源のArFエキシマレーザー(波長193nm)照射により、透過率や位相差の変化が起こり、さらに線幅が変化する(太る)という現象も発生している。位相シフトマスクの場合、このような透過率、位相差の変化はマスク性能に影響を与える重要な問題である。透過率の変化が大きくなると転写精度が悪化するとともに、位相差の変化が大きくなると、パターン境界部における位相シフト効果が得られにくくなり、パターン境界部のコントラストが低下し、解像度が大きく低下してしまう。また、線幅変化も転写用マスクのCD精度、最終的には転写されるウェハのCD精度を悪化させることになる。
【0009】
転写用マスクの繰返し使用によるマスク劣化の問題は、特に、遷移金属及びケイ素を含む材料(遷移金属シリサイド)の化合物がハーフトーン型位相シフト膜などの光半透過膜の材料として用いられる位相シフトマスクにおいて顕著であるが、遷移金属及びケイ素を含む材料の化合物が光半透過膜の材料として用いられるエンハンサーマスクにおいても、光半透過膜の透過率変化、位相差の変化、線幅変化(太り)に係るCD精度の悪化の問題が発生している。また、遷移金属及びケイ素を含む材料やその化合物からなる遮光膜を有するバイナリマスクにおいても、遮光膜の線幅変化(太り)に係るCD精度の悪化の問題が発生している。
【0010】
本発明者の検討によれば、このような転写用マスクの繰返し使用によるマスク劣化の問題の背景は次のように推察される。従来は、例えばヘイズが発生するとヘイズを除去するための洗浄を行っていたが、洗浄による膜減り(溶出)は避けられず、いわば洗浄回数がマスク寿命を決定していた。しかし、近年のヘイズの改善によって洗浄回数が低減したため、マスクの繰返し使用期間が延び、その分露光時間も延びたため、特にArFエキシマレーザーなどの短波長光に対する耐光性の問題が新たに顕在化してきた。
【0011】
従来においても、位相シフト膜の露光光照射による透過率や位相差の変化を抑制するために、例えば、金属及びシリコンを主成分とする位相シフト膜を大気中又は酸素雰囲気中で250〜350℃、90〜150分加熱処理すること(例えば上記特許文献1)や、金属及びシリコンを主成分とする位相シフト膜上に金属及びシリコンを主成分とするキャップ層を形成すること(例えば上記特許文献2)は行われていた。しかしながら、特許文献1に記載のようにオーブン又はホットプレートによる加熱処理の場合には、パターン形成用薄膜のみならず透光性基板の温度も変動することとなる。つまり、加熱時には透光性基板の周縁部から温度が上昇し、冷却時には透光性基板の周縁部から冷却することとなる。これにより、パターン形成用薄膜の光学特性の面内均一性が低下してしまう。近年の露光光源の短波長化が進む中で、パターン形成用薄膜の面内均一性に優れ、かつ露光光に対する膜の耐光性の更なる向上が求められている。
【0012】
そこで本発明は、上述の問題を解決するべくなされたものであり、その目的とするところは、波長200nm以下の露光光に対する遷移金属及びケイ素を含有する材料からなるパターン形成用薄膜(光半透過膜、遮光膜)の耐光性を向上させ、転写パターンの線幅の変化(線幅の太り)を防止し、転写用マスク寿命を改善でき、かつパターン形成用薄膜の面内均一性に優れるマスクブランク及び転写用マスクの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、露光光源波長の短波長化に伴い、転写用マスクの繰返し使用による劣化が顕著になってきた要因を以下のように推測した。なお、本発明は、実施例で述べるように、本発明者らの鋭意努力による実験の結果から、本発明の所定の構成を有することにより本発明の効果を奏することが明らかとなったものなので、以下に述べる推測に拘束されるものではない。
【0014】
本発明者は、繰返し使用によって透過率や位相差変化が生じたMoSi系材料からなるハーフトーン型位相シフトマスクのハーフトーン型位相シフト膜パターンを調べた結果、MoSi系膜の表層側にSiとO、若干のMoを含む変質層ができており、これが透過率や位相差の変化、線幅の変化(太り)の主な原因の一つであることが判明した。そして、このような変質層が生じる理由(メカニズム)は次のように考えられる。すなわち、従来のスパッタ成膜されたMoSi系膜(位相シフト膜)は構造的には隙間があり、成膜後にアニールしたとしてもMoSi膜の構造の変化が小さいため、位相シフトマスクの使用過程においてこの隙間に、例えば大気中の酸素(O)や水(HO)、酸素(O)がArFエキシマレーザーと反応することによって発生するオゾン(O)等が入り込んで、位相シフト膜を構成するSiやMoと反応する。つまり、このような環境で位相シフト膜を構成するSi及びMoは露光光(特にArFなどの短波長光)の照射を受けると励起され遷移状態となり、Siが酸化及び膨張する(SiよりもSiOの体積が大きいため)とともに、Moも酸化して位相シフト膜の表層側に変質層が生成される。そして位相シフトマスクの繰返し使用により、露光光の照射を累積して受けると、Siの酸化及び膨張がさらに進行するとともに、酸化されたMoは変質層中を拡散し、表面に析出して、例えばMoOとなって昇華し、その結果、変質層の厚みが次第に大きくなる(MoSi膜中での変質層の占める割合が大きくなる)ものと考えられる。このような変質層が発生し、さらに拡大していく現象は、位相シフト膜を構成するSiやMoの酸化反応のきっかけとなるこれらの構成原子が励起され遷移状態となるのに必要なエネルギーを有するArFエキシマレーザー等の短波長の露光光の場合に顕著に確認される。このような現象は、MoSi系材料に限られたものではなく、他の遷移金属及びケイ素を含む材料からなる位相シフト膜でも同様のことがいえる。また、遷移金属及びケイ素を含む材料からなる光半透過膜を備えるエンハンサーマスク、遷移金属及びケイ素を含む材料からなる遮光膜を備えるバイナリマスクの場合も同様である。
【0015】
また、本発明者は、パターン形成用薄膜に対して火炎処理を行うことにより、パターン形成用薄膜自体は温度が上昇するが、透光性基板の温度上昇は抑制することができることを見出した。火炎処理によりパターン形成用薄膜だけを加熱することができるので、透光性基板の温度変化の影響を受けず、パターン形成用薄膜の面内均一性に優れた処理を行うことができる。
【0016】
本発明者は、以上の解明事実、考察に基づき、さらに鋭意研究を続けた結果、本発明を完成したものである。すなわち、上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
【0017】
本発明は、下記の構成1〜5であるマスクブランクの製造方法、下記の構成6であるマスクブランク、下記の構成7及び9である転写用マスク並びに下記の構成8である転写用マスクの製造方法である。
【0018】
(構成1)
透光性基板上にパターン形成用薄膜を備えたマスクブランクの製造方法であって、前記透光性基板上に、遷移金属及びケイ素を含有する材料からなる前記パターン形成用薄膜を成膜する工程と、前記パターン形成用薄膜を火炎処理する工程と、を備えることを特徴とするマスクブランクの製造方法である。
【0019】
(構成2)
前記火炎処理が、局所的に火炎を照射しながらパターン形成用薄膜全面を走査することを含む、構成1記載のマスクブランクの製造方法である。
【0020】
(構成3)
前記火炎処理が、前記パターン形成用薄膜の光学特性を測定しながら火炎を照射することを含む、構成1又は2記載のマスクブランクの製造方法である。
【0021】
(構成4)
前記光学特性が、透過率及び反射率から選択される少なくとも1つである、構成1〜3のいずれか1項記載のマスクブランクの製造方法である。
【0022】
(構成5)
前記パターン形成用薄膜が、遷移金属及びケイ素に、さらに酸素及び窒素から選ばれる1以上の元素を含有させた化合物を主成分とする材料からなる光半透過膜又は少なくとも遷移金属及びケイ素を含む材料からなるバイナリマスク用遮光膜である、構成1〜4のいずれか1項記載のマスクブランクの製造方法である。
【0023】
(構成6)
本発明は、構成1〜5のいずれか1項記載の製造方法によって製造されたマスクブランクである。
【0024】
(構成7)
本発明は、構成6記載のマスクブランクのパターン形成用薄膜に、転写パターンを形成した転写用マスクである。
【0025】
(構成8)
本発明は、透光性基板上に転写パターンを備える転写用マスクの製造方法であって、透光性基板上に、遷移金属及びケイ素を含有する材料からなるパターン形成用薄膜を有するマスクブランクを準備する工程と、前記マスクブランクのパターン形成用薄膜に転写パターンを形成する工程と、前記転写パターンが形成されたパターン形成用薄膜を火炎処理する工程と、を備えることを特徴とする転写用マスクの製造方法である。
【0026】
(構成9)
本発明は、構成8記載の製造方法によって製造された転写用マスクである。
【0027】
次に、本発明のマスクブランクの製造方法の構成1〜5について説明する。
【0028】
本発明は、構成1にあるように、透光性基板上にパターン形成用薄膜を備えたマスクブランクの製造方法であって、前記透光性基板上に、遷移金属及びケイ素を含有する材料からなる前記パターン形成用薄膜を成膜する工程と、前記パターン形成用薄膜を火炎処理する工程と、を備えることを特徴とするマスクブランクの製造方法である。
【0029】
構成1にあるように、本発明のマスクブランクの製造方法では、パターン形成用薄膜を火炎処理する。火炎処理とは、火炎をパターン形成用薄膜に照射する処理である。MoSi膜等に代表される遷移金属及びケイ素を含有する材料からなるパターン形成用薄膜における変質層の発生メカニズムは前述したとおりであるが、遷移金属やケイ素の酸化を抑制するように、薄膜の結合状態や結晶性等の構造自体を変化させることに着目した。そこで、構成1のように、パターン形成用薄膜を火炎処理することにより、遷移金属及びケイ素を含む材料からなるパターン形成用薄膜全体が熱伝導によって加熱されて結合状態等の薄膜自体の構造に変化が生じるため、遷移金属やケイ素の酸化を抑制することができる。例えば、Mo及びSiを含むパターン形成用薄膜の場合には、火炎処理を行うことによって、薄膜中のMo−Mo結合及びSi−Si結合が減少し、Si−N結合やMo−Si結合が増加すると考えられる。この薄膜自体の構造変化により、たとえHO、OやOを含む環境で転写用マスクに対してArFエキシマレーザーなどの露光光照射が行われても、従来のようなSiの酸化及び膨張による変質層の発生、拡大を効果的に抑えることが可能である。そのため、本発明のマスクブランクを用いた転写用マスクの繰返し使用を行い、本発明の製造方法により製造したマスクブランクを用いた転写用マスクの転写パターンに対して波長200nm以下の露光光が累積して照射されても、転写パターンの転写特性、例えばハーフトーン型位相シフト膜などの光半透過膜の透過率や位相差の変化、線幅変化(線幅の太り)などを抑えることができ、遮光膜の遮光性能低下や線幅変化(線幅の太り)などを抑えることができる。また、耐薬性や耐湿水性も向上する。
【0030】
また、構成2にあるように、本発明のマスクブランクの製造方法は、前記火炎処理が、局所的に火炎を照射しながらパターン形成用薄膜全面を走査することを含むことが好ましい。
【0031】
構成2にあるように、局所的に火炎を照射しながらパターン形成用薄膜全面を走査することにより、火炎処理の効果をパターン形成用薄膜全面に対して均一に及ぼすことができる。なお、大きな火炎を発生することが可能な装置を用いて、パターン形成用薄膜全面に対して、一度に火炎処理(全面一括火炎処理)をすることが可能である。全面一括火炎処理を行うことによって、短時間で火炎処理をすることができる。しかしながら、大きな火炎をパターン形成用薄膜全面に対して均一に照射することは容易ではないので、火炎処理の均一性に問題が生じる場合がある。したがって、比較的小さな火炎を発生する装置を用い、局所的に火炎を照射しながらパターン形成用薄膜全面を走査することにより、パターン形成用薄膜全面の処理を均一に行うことができる。
【0032】
また、構成3にあるように、本発明のマスクブランクの製造方法は、前記火炎処理が、前記パターン形成用薄膜の光学特性を測定しながら火炎を照射することを含むことが好ましい。
【0033】
構成3にあるように、火炎処理が、前記パターン形成用薄膜の光学特性を測定しながら火炎を照射することにより、火炎処理直後に火炎処理の程度を評価することができる。そのため、もし火炎処理が不十分であるならば、再度の火炎処理を行う等、フィードバックを伴う処理が可能となる。したがって、前記パターン形成用薄膜の光学特性を測定しながら火炎を照射することにより、パターン形成用薄膜全面の処理をより均一に行うことができる。なお、光学特性の測定は、火炎処理を行った場所を火炎処理の直後に測定することも含む。また、光学特性の測定は、火炎処理を行っている場所を火炎処理と同時に行うことも含む。この場合には、測定のための入射光を火炎処理の火炎とは異なる角度となるように、例えば斜めから照射し、パターン形成用薄膜による反射光及び/又は透過光等を測定することができる。
【0034】
また、構成4にあるように、本発明のマスクブランクの製造方法は、前記光学特性が、透過率及び反射率から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
【0035】
構成4にあるように、前記光学特性が、透過率及び反射率から選択される少なくとも1つである場合には、公知の装置で簡単に測定を行うことができる。光半透過膜を火炎処理する場合には、透過率及び反射率のいずれの測定を行うことも可能である。バイナリマスク用遮光膜を火炎処理する場合には、遮光膜の透過率が極めて小さいため、反射率の測定を行うことが可能である。
【0036】
また、構成5にあるように、本発明のマスクブランクの製造方法は、前記パターン形成用薄膜が、遷移金属及びケイ素に、さらに酸素及び窒素から選ばれる1以上の元素を含有させた化合物を主成分とする材料からなる光半透過膜又は少なくとも遷移金属及びケイ素を含む材料からなるバイナリマスク用遮光膜であることが好ましい。パターン形成用薄膜として光半透過膜やバイナリマスク用遮光膜を用いる場合、転写用マスクを作製したときに転写特性に直接影響を及ぼす転写パターンとなるため、光半透過膜やバイナリマスク用遮光膜に対して火炎処理を行うことは特に好適である。
【0037】
本発明は、構成6にあるように、上記構成1〜5のいずれかの製造方法によって製造されたマスクブランクである。上記構成1〜5のいずれかの製造方法によって製造されたマスクブランクを用いるならば、ArFエキシマレーザーなどの短波長光を露光光源として転写用マスクの繰返し使用を行っても、例えばハーフトーン型位相シフト膜などの光半透過膜の透過率や位相差の変化、線幅変化などを抑えることができる転写用マスクを得ることができる。
【0038】
本発明は、構成7にあるように、上記構成6のマスクブランクのパターン形成用薄膜に、転写パターンを形成した転写用マスクである。上記構成6のマスクブランクのパターン形成用薄膜に、転写パターンを形成した転写用マスクは、ArFなどの短波長光を露光光源として転写用マスクの繰返し使用を行っても、例えばハーフトーン型位相シフト膜などの光半透過膜の透過率や位相差の変化、線幅変化などを抑えることができる。また、耐薬性や耐湿水性も向上したマスクブランクである。
【0039】
本発明は、構成8にあるように、透光性基板上に転写パターンを備える転写用マスクの製造方法であって、透光性基板上に、遷移金属及びケイ素を含有する材料からなるパターン形成用薄膜を有するマスクブランクを準備する工程と、前記マスクブランクのパターン形成用薄膜に転写パターンを形成する工程と、前記転写パターンが形成されたパターン形成用薄膜を火炎処理する工程と、を備えることを特徴とする転写用マスクの製造方法である。
【0040】
構成8にあるように、本発明の転写用マスクの製造方法では、所定のマスクブランクに所定の転写パターンを形成した後に、所定の火炎処理を行うことができる。
【0041】
構成8にあるように、本発明の転写用マスクの製造方法において、パターン形成用薄膜に対して所定の火炎処理を行うことにより、遷移金属及びケイ素を含む材料からなるパターン形成用薄膜全体が熱伝導によって加熱されて、薄膜自体の構造に変化が生じるため、遷移金属やケイ素の酸化を抑制することができる。例えば、Mo及びSiを含むパターン形成用薄膜の場合には、火炎処理を行うことによって、薄膜中のMo−Mo結合及びSi−Si結合が減少し、Si−N結合やMo−Si結合が増加すると考えられる。そのため、ArFエキシマレーザーなどの波長200nm以下の短波長光を露光光源としてパターン形成用薄膜の繰返し使用を行い、パターン形成用薄膜の転写パターンに対して波長200nm以下の露光光が累積して照射されても、転写パターンの転写特性、例えばハーフトーン型位相シフト膜などの光半透過膜の透過率や位相差の変化、線幅変化などを抑えることができる。また、耐薬性や耐湿水性も向上する。
【0042】
本発明は、構成9にあるように、上記構成8の製造方法によって製造された転写用マスクである。上記構成8の製造方法によって製造された転写用マスクは、ArFなどの短波長光を露光光源として転写用マスクの繰返し使用を行っても、例えばハーフトーン型位相シフト膜などの光半透過膜の透過率や位相差の変化、線幅変化などを抑えることができる。また、耐薬性や耐湿水性も向上したマスクブランクである。
【発明の効果】
【0043】
本発明の透光性基板上にパターン形成用薄膜を備えたマスクブランクの製造方法によれば、前記透光性基板上に、遷移金属及びケイ素を含有する材料からなる前記パターン形成用薄膜を成膜する工程と、前記パターン形成用薄膜を火炎処理する工程と、を備えることにより、パターン形成用薄膜の表面に変質層が形成されることを抑制することができる。これにより、波長200nm以下の露光光に対する遷移金属及びケイ素を含有する材料からなるパターン形成用薄膜(光半透過膜、遮光膜)の耐光性を向上させ、転写パターンの線幅の変化(線幅の太り)を防止し、転写用マスク寿命を改善でき、面内均一性に優れるマスクブランク及び転写用マスクの製造方法を提供することができる。
【0044】
また、火炎処理をするためには大規模な設備の必要はないため、簡易かつ低コストで転写用マスク寿命を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】マスクブランクを火炎処理している様子の一例を示す断面模式図である。
【図2】マスクブランクを用いて位相シフトマスクを製造する工程を示す断面模式図である。
【図3】反射率を測定しながら火炎処理を行うための火炎処理装置の一例の概略構成図である。
【図4】透過率を測定しながら火炎処理を行うための火炎処理装置の一例の概略構成図である。
【図5】火炎処理をしている場所の透過率及び/又は反射率を測定しながら火炎処理を行うための火炎処理装置の一例の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述する。
【0047】
本発明は、ArF露光光が適用され、透光性基板上にパターン形成用薄膜を備えたマスクブランクの製造方法及びその製造方法によって製造されたマスクブランクに関する。また、本発明は、前記マスクブランクのパターン形成用薄膜に、転写パターンを形成した転写用マスクに関する。また、本発明は、転写パターンが形成されたパターン形成用薄膜を有する転写用マスクの製造方法及びその製造方法によって製造された転写用マスクに関する。
【0048】
本発明の製造方法は、透光性基板上にパターン形成用薄膜を備えたマスクブランクの製造方法であって、所定のパターン形成用薄膜を成膜する工程と、パターン形成用薄膜を火炎処理する工程とを備えることを特徴とする。そのため、本発明の製造方法によると、薄膜自体の構造を変化させたパターン形成用薄膜を得ることができるので、転写用マスクを繰返し使用した場合でも、Siの酸化及び膨張による変質層の発生、拡大を効果的に抑えることによって、転写パターンの線幅の変化(線幅の太り)を防止することが可能である。
【0049】
以下、本発明のマスクブランク及び転写用マスクの製造方法の実施の形態を説明する。本発明の製造方法では、パターン形成用薄膜に対して火炎処理を行うことを特徴とする。
【0050】
本発明は、透光性基板上に、転写パターンを形成するためのパターン形成用薄膜を有するマスクブランクの製造方法である。本発明の製造方法では、遷移金属及びケイ素を含有する材料からなるパターン形成用薄膜を成膜し、次いで、パターン形成用薄膜を火炎処理する。火炎処理によって、パターン形成用薄膜をパターニングして作製される転写用マスクの転写パターンに対して波長200nm以下の露光光が累積して照射された場合に、転写パターンの転写特性が所定以上変化することを防止することができ、転写パターンの線幅の変化(線幅の太り)を防止することができる。
【0051】
透光性基板は、使用する露光波長に対して透明性を有するものであれば特に制限されない。本発明では、石英基板、その他各種のガラス基板(例えば、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス等)を用いることができるが、この中でも石英基板は、ArFエキシマレーザーの波長領域で透明性が高いので、本発明には特に好適である。
【0052】
転写パターンを形成するためのパターン形成用薄膜は、遷移金属及びケイ素を含む材料からなる薄膜であり、詳しくは後述するが、例えば遷移金属シリサイド(特にモリブデンシリサイド)の化合物を含む材料からなるハーフトーン型位相シフト膜などの光半透過膜又は遮光膜が挙げられる。
透光性基板上にパターン形成用薄膜を成膜する方法としては、例えばスパッタ成膜法が好ましく挙げられるが、本発明はスパッタ成膜法に限定する必要はない。
【0053】
火炎処理は、火炎をパターン形成用薄膜2に照射する処理である。図1に、透光性基板1上にパターン形成用薄膜2を有するマスクブランク10を火炎処理している様子の一例の断面模式図を示す。マスクブランク10のパターン形成用薄膜2は、火炎照射装置20から照射する火炎22によって加熱されることで火炎処理される。パターン形成用薄膜2を火炎処理することによって、遷移金属及びケイ素を含む材料からなるパターン形成用薄膜2全体が熱伝導によって加熱されて結合状態等の薄膜自体の構造に変化が生じるため、パターン形成用薄膜の表面に変質層が形成されるのを抑制することができ、転写パターンの線幅の変化(線幅の太り)を防止することができる。火炎処理によって、透光性基板1の加熱を抑えつつ、パターン形成用薄膜2だけを加熱することができるので、光学特性の面内均一性に優れたパターン形成用薄膜2を得ることができる。また、火炎処理をするためには大規模な設備の必要はないため、簡易かつ低コストでパターン形成用薄膜2の加熱による処理を行うことができる。
【0054】
火炎処理を行うための火炎照射装置20としては、引火性ガスを燃焼することによって火炎22を発生するバーナー等を用いることができる。火炎照射装置20に用いる引火性ガスとしては、メタン、プロパン、ブタン及びアセチレン等の炭化水素、水素並びに酸素及び水素の混合気体等から選択して用いることが好ましい。燃焼によってHOの発生が抑えられる酸素及び水素の混合気体等の引火性ガスを用いることは、パターン形成用薄膜2の欠陥を少なくすることができるので好ましい。
【0055】
火炎処理の際の火炎照射装置20とパターン形成用薄膜2との間の距離は、火炎22の発生が妨げられず、パターン形成用薄膜2に対する火炎22の照射が有効に行われる範囲で適宜選択することができる。火炎処理の際の火炎照射装置20とパターン形成用薄膜2との間の距離は、火炎22の照射を妨げられずに有効に行う点から、10mm〜40mmとすることが好ましい。
【0056】
火炎処理の際の、パターン形成用薄膜2への火炎22の照射径は、火炎照射装置20の火炎発生径により異なる。パターン形成用薄膜2全面に対して、一度に火炎処理(全面一括火炎処理)をする場合には、パターン形成用薄膜2の寸法に対応した火炎22の照射径が必要である。全面一括火炎処理を行うことによって、短時間で火炎処理をすることが可能である。
【0057】
大きな火炎22をパターン形成用薄膜2全面に対して均一に照射することは容易ではないので、全面一括火炎処理は、処理の均一性に問題が生じる場合がある。したがって、比較的小さな火炎22を発生する装置を用い、局所的に火炎22を照射しながらパターン形成用薄膜2全面を走査すること、すなわち走査火炎処理を行うことにより、パターン形成用薄膜2全面の処理を均一に行うことができる。
【0058】
走査火炎処理によって局所的に火炎22を照射する場合、局所的に均一な処理を行う点から、パターン形成用薄膜2上の火炎22の照射径は、10mm〜30mmとすることが好ましい。また、走査火炎処理を行う場合、火炎照射装置20を移動させてもよく、また被照射物であるパターン形成用薄膜2を有する透光性基板1を移動させることもできる。また、火炎22の照射の際の火炎照射装置20又は透光性基板1の移動は、連続的に移動させることもできるし、移動と停止とを繰り返すようにステップ的に移動させることもできる。
【0059】
本発明の製造方法に用いる火炎処理において、火炎22の部分の温度が好ましくは1000〜1500℃の範囲、より好ましくは1200〜1300℃の範囲の火炎処理であるであることが好ましい。このような温度範囲の火炎22を用いることにより、火炎22を照射しているときのパターン形成用薄膜2の温度を650℃以上とすることができる。パターン形成用薄膜2は、600℃前後でSi−Nの結合が増加すると考えられることにより、パターン形成用薄膜2の温度を650℃以上とすることが必要であると考えられる。そのため、火炎22の部分の温度が上記範囲であることが好ましい。
【0060】
本発明の製造方法に用いる火炎処理において、パターン形成用薄膜2の火炎処理を効果的に行うために、火炎照射装置20又は透光性基板1をステップ的に移動させる場合、所定の場所に対する火炎22の照射時間が、好ましくは5〜30分、より好ましくは10〜15分となるように、火炎照射装置20又は透光性基板1の停止時間を選択することが好ましい。火炎照射装置20又は透光性基板1を連続的に移動させる場合にも、所定の場所に対する火炎22の照射時間が、上記範囲となるような速度で連続的に移動させることが好ましい。
【0061】
本発明の製造方法において、火炎処理の際に、パターン形成用薄膜2の光学特性を測定しながら火炎22を照射することが好ましい。図3〜図5に、パターン形成用薄膜2の光学特性を測定しながら火炎処理を行うための火炎処理装置100の概略構成図を示す。火炎処理が、前記パターン形成用薄膜の光学特性を測定しながら火炎を照射することにより、火炎処理直後に火炎処理の程度を評価することができる。そのため、もし火炎処理が不十分であるならば、再度の火炎処理を行う等のフィードバックを伴う処理が可能となる。したがって、前記パターン形成用薄膜の光学特性を測定しながら火炎を照射することにより、パターン形成用薄膜全面の処理をより均一に行うことができる。火炎照射装置20又は透光性基板1をステップ的に移動させる場合には、火炎照射装置20又は透光性基板1が停止した際に光学特性を測定することができる。また、火炎照射装置20又は透光性基板1を連続的に移動させる場合には、連続的に光学特性を測定することができる。
【0062】
火炎処理の際に測定する光学特性としては、反射率、透過率、吸収率又は屈折率等を挙げることができる。装置の入手が用意であり、一回の測定により値を得ることができることから、火炎処理の際に測定する光学特性としては、透過率及び反射率から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
【0063】
パターン形成用薄膜2の光学特性の測定のために用いる光としては、紫外線光(UV光)を用いることができる。可視光及び赤外線光を光学特性の測定のための光として用いることも可能であるが、火炎処理の際の火炎22から発生する可視光及び赤外線光が測定の際のノイズになること及び半導体装置の製造工程における露光光が紫外線光であることから、紫外線光を用いることが好ましい。紫外線光を発生するための光源としては、公知の紫外線光発生用光源(UV光源)、具体的には、重水素ランプを用いることができる。また、半導体装置の製造工程において露光光として用いられているものを光学特性の測定のための光として用いることができる。具体的には、ArFエキシマレーザーをUV光源として用い、紫外線光としてArFエキシマレーザー光を用いることができる。
【0064】
パターン形成用薄膜2がハーフトーン型位相シフト膜などの光半透過膜である場合には、光学特性として透過率及び反射率を測定することができる。また、パターン形成用薄膜2が不透明なバイナリマスク用遮光膜である場合には、光学特性として反射率を測定することができる。
【0065】
図3は、パターン形成用薄膜2の火炎処理に用いる火炎処理装置100の構成の一例を示す。火炎処理装置100のステージ102上に配置されたマスクブランク10は、火炎照射装置20から照射する火炎22によって加熱されることで火炎処理されるとともに、パターン形成用薄膜2の光学特性(図3の例では反射率)を測定することができる。図3に示す火炎処理装置100では、入射光122(紫外線光)をパターン形成用薄膜2の表面に照射し、パターン形成用薄膜2から反射される反射光126の光量を測定することによって、パターン形成用薄膜2の反射率を測定する。
【0066】
図3に示す例において、火炎処理装置100は、ステージ102、UV光源部104、UV光照射部106、受光部108、分光器110、ステージコントローラ112、及び制御部114を備える。ステージ102は、マスクブランク10を上面に保持する台である。UV光源部104は、紫外線光を発生する光源である。UV光源部104は、深紫外線光を発生することが好ましい。本例において、UV光源部104は、重水素ランプであり、例えば制御部114の指示に応じて、190〜400nmの波長の紫外線光を発生する。
【0067】
UV光照射部106及び受光部108は、マスクブランク10におけるパターン形成用薄膜2の表面と対向する光学系である。UV光照射部106は、例えば光ファイバーによりUV光源部104と接続されており、UV光源部104が発生する紫外線光をパターン形成用薄膜2の表面へ照射する。受光部108は、パターン形成用薄膜2からの反射光126を受光する。
【0068】
分光器110は、例えばファイバー分光器であり、光ファイバー等を介して受光部108が受光した反射光126を受け取り、分光する。また、分光器110は、分光結果を、制御部114へ通知する。ステージコントローラ112は、UV光照射部106及び受光部108に対して相対的にステージ102を動かすコントローラであり、例えば制御部114の指示に応じて、ステージ102を移動させる。これにより、ステージコントローラ112は、パターン形成用薄膜2においてUV光照射部106から紫外線光が照射される位置を変更する。
【0069】
制御部114は、例えばPC等の制御装置であり、火炎処理装置100の各部の動作を制御する。例えば、本例において、制御部114は、分光器110から受け取る分光結果に基づき、例えば、特定の波長における反射率を測定することができる。反射率の測定値から、パターン形成用薄膜2の所定の場所における火炎処理の程度を評価することができる。
【0070】
図4に、パターン形成用薄膜2の透過率を測定しながら火炎処理を行うための火炎処理装置100の概略構成図を示す。図4の例では、図3に示す例と異なり、受光部108を、パターン形成用薄膜2に対してUV光照射部106とは反対側に配置する。そのため、パターン形成用薄膜2を透過した透過光124を受光部108において受光することができる。その結果、特定の波長におけるパターン形成用薄膜2の透過率を測定することができる。透過率の測定値から、パターン形成用薄膜2の所定の場所における火炎処理の程度を評価することができる。なお、図3に示す例に、図4に示すような透過率の測定機構を組み込むことにより、反射率と透過率とを同時に測定することも可能である。
【0071】
図5に、パターン形成用薄膜2の、火炎処理をしている場所の透過率及び/又は反射率を測定しながら火炎処理を行うための火炎処理装置100の概略構成図を示す。図5に示す例では、入射光122をパターン形成用薄膜2の表面に対して斜めに照射するために、火炎処理をしている場所に入射光122を照射することができる。そのため、所定の位置に透過光124用の受光部108a及び反射光126用の受光部108bを配置することにより、パターン形成用薄膜による反射光126及び/又は透過光124を測定することができる。したがって、図5に示す例では、火炎処理を行っている場所の反射光126及び/又は透過光124の測定を、火炎処理と同時に行うことができる。
【0072】
上述の図3〜図5に示した例よれば、例えば、パターン形成用薄膜2の所定の場所における反射光126及び/又は透過光124を適切に定量化できる。また、これにより、パターン形成用薄膜2の所定の場所における火炎処理の程度を適切に評価できる。
【0073】
パターン形成用薄膜に対して本火炎処理をすることにより得られるマスクブランクによれば、得られた転写用マスクに対して、ArFエキシマレーザーを20mJ/(cm・pulse)、pulse周波数100Hzのエネルギー密度で約6600秒(110分)連続照射した場合(積算照射量12.2kJ/cm)、透過率の変化(レーザー照射前の値に正規化した透過率の変化)は10%程度とすることができる。また、パターン形成用薄膜で作製されたパターンの線幅の太り(CD変動量)を5nm以下に抑えることができる。さらに、パターン形成用薄膜がハーフトーン型位相シフト膜である場合は、ハーフトーン型位相シフト膜を透過する露光光に生じさせる位相シフト量の変化量は、3.0度以内とすることができる。
【0074】
なお、積算照射量12.2kJ/cm(エネルギー密度 約25mJ/cm)というのは、転写用マスクを略45,750回使用したことに相当し、通常の転写用マスクの使用頻度で略3カ月使用したことに相当する。したがって、本火炎処理のみのものであっても、波長200nm以下の露光光に対する光半透過膜などのパターン形成用薄膜の耐光性を従来よりもさらに向上させ、転写用マスク寿命を改善することが可能になるといえる。
【0075】
なお、以上、マスクブランクに対して火炎処理を行うことについて述べたが、転写用マスクに対しても同様な火炎処理を行うことにより、転写用マスク寿命を著しく改善させることが可能になる。
【0076】
本発明の製造方法は、特に波長200nm以下の短波長の露光光を露光光源とする露光装置に用いられる転写用マスクを製造するためのマスクブランクの製造に好適である。例えば、以下のようなマスクブランクの製造に好適である。
【0077】
(1)前記パターン形成用薄膜が遷移金属及びケイ素を含有する材料(遷移金属シリサイド、特にモリブデンシリサイド)の化合物からなる光半透過膜である位相シフトマスクブランク
本発明により製造される上記位相シフトマスクブランクは、これを用いて位相シフトマスクとしたときに、例えばArFエキシマレーザーなどの短波長光を露光光源として転写用マスクの繰返し使用を行っても、位相シフト膜の透過率や位相差の変化・線幅変化などを抑えられ、性能が劣化せず、転写用マスクの寿命を著しく改善できる。
【0078】
かかる位相シフトマスクブランクとしては、透光性基板上にハーフトーン型位相シフト膜を有する形態のものであって、該ハーフトーン型位相シフト膜をパターニングしてシフタ部を設けるタイプであるハーフトーン型位相シフトマスク用のマスクブランクがある。
上記ハーフトーン型位相シフト膜は、実質的に露光に寄与しない強度の光(例えば、露光波長に対して1%〜20%)を透過させるものであって、所定の位相差(例えば180度)を有するものであり、このハーフトーン型位相シフト膜をパターニングした位相シフト部と、位相シフト部が形成されていない実質的に露光に寄与する強度の光を透過させる光透過部とによって、位相シフト部を透過して光の位相が光透過部を透過した光の位相に対して実質的に反転した関係になるようにすることによって、位相シフト部と光透過部との境界部近傍を通過し回折現象によって互いに相手の領域に回り込んだ光が互いに打ち消しあうようにし、境界部における光強度をほぼゼロとし境界部のコントラスト、すなわち解像度を向上させるものである。
【0079】
また、位相シフトマスクブランクとしては、透光性基板上に遮光膜や光半透過膜を有する形態のものであって、透光性基板をエッチング等により掘り込んでシフタ部を設ける基板掘り込みタイプであるレベンソン型位相シフトマスク用やエンハンサー型位相シフトマスク用のマスクブランクが挙げられる。
さらに、位相シフトマスクブランクとして、光半透過膜を透過した光に基づき転写領域に形成される光半透過膜パターンによる被転写基板のパターン不良を防止するために、透光性基板上に光半透過膜とその上の遮光膜とを有する形態とするものなどが挙げられる。
【0080】
このハーフトーン型位相シフト膜などの光半透過膜は、遷移金属及びケイ素からなる材料(遷移金属シリサイド)の化合物からなり、これらの遷移金属シリサイドと、酸素及び/又は窒素とを主たる構成要素とする材料が挙げられる。遷移金属には、モリブデン、タンタル、タングステン、チタン、ハフニウム、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、パラジウム、ルテニウム、ロジウム等が適用可能である。
特に、位相シフト膜をモリブデンシリサイド窒化物(MoSiN)で形成し、火炎処理を行う場合、所望の位相差及び透過率を有しつつ、火炎処理による透過率変化を抑制するために、MoSiN膜におけるMoの含有量をMoとSiの合計含有量で除した比率は、Moが9at%以上14at%以下(好ましくは、11at%以上13at%以下)とすることが好ましい。
【0081】
また、光半透過膜の上に遮光膜を有する形態の場合には、上記の光半透過膜の材料が遷移金属シリサイドを含むので、遮光膜の材料は、これらの膜に対してエッチング選択性を有する(エッチング耐性を有する)クロムや、クロムに酸素、窒素、炭素などの元素を添加したクロム化合物で構成する。
さらに、光半透過膜の上に遮光膜を有する形態の場合には、遮光膜を成膜する前に、上記光半透過膜の主表面に火炎処理を施すとよい。
【0082】
(2)前記パターン形成用薄膜が遷移金属及びケイ素を含有する材料(遷移金属シリサイド、特にモリブデンシリサイド)の化合物からなる遮光膜であるバイナリマスクブランク
本発明により製造される上記遮光膜が遷移金属シリサイド系のバイナリマスクブランクは、これを用いてバイナリマスクとしたときに、例えばArFエキシマレーザーなどの短波長光を露光光源として転写用マスクの繰返し使用を行っても、遮光膜の遮光性の低下、線幅変化などを抑えられ、性能が劣化せず、転写用マスクの寿命を著しく改善できる。
【0083】
かかるバイナリマスクブランクは、透光性基板上に遮光膜を有する形態のものであり、この遮光膜は、遷移金属シリサイド化合物を含む材料からなり、これらの遷移金属シリサイドと、酸素及び/又は窒素を主たる構成要素とする材料が挙げられる。遷移金属には、モリブデン、タンタル、タングステン、チタン、ハフニウム、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、パラジウム、ルテニウム、ロジウム等が適用可能である。
【0084】
特に、遮光膜をモリブデンシリサイドの化合物で形成する場合であって、遮光層(MoSi、MoSiN、MoSiC、MoSiCN等)と表面反射防止層(MoSiON、MoSiN、MoSiCN、MoSiCON等)の2層構造や、さらに遮光層と基板との間に裏面反射防止層(MoSiON、MoSiN、MoSiCN、MoSiCON等)を加えた3層構造とした場合、遮光層のモリブデンシリサイド化合物におけるMoの含有量をMoとSiの合計含有量で除した比率は、遮光性の観点からは、Moが9at%以上40at%以下(好ましくは、15at%以上40at%以下、より好ましくは20at%以上40at%以下)とすることが好ましい。
また、遮光膜の膜厚方向における組成が連続的又は段階的に異なる組成傾斜膜としてもよい。
【0085】
2層積層構造の遮光膜(パターン形成用薄膜)としては、例えば、透光性基板側から、MoSiN(Moの含有量をMoとSiの合計含有量で除した比率が9at%以上40at%以下)からなる遮光層と、MoSiON(膜中のMo含有量が10at%以下)からなる表面反射防止層が挙げられる。より具体的な例としては、透光性基板側から、MoSiN(Mo:14.7at%,Si:56.2at%,N:29.1at%)からなる膜厚50nmの遮光層と、MoSiON(Mo:2.6at%,Si:57.1at%,O:15.9at%,N:24.4at%)からなる膜厚10nmの表面反射防止層の2層積層構造で、ArF露光光に対する光学濃度3.0である遮光膜(パターン形成用薄膜)が挙げられる。
【0086】
さらに、レジスト膜の膜厚を薄膜化して微細パターンを形成するために、遮光膜上にエッチングマスク膜を有する構成としてもよい。このエッチングマスク膜は、遷移金属シリサイドを含む遮光膜のエッチングに対してエッチング選択性を有する(エッチング耐性を有する)クロムや、クロムに酸素、窒素、炭素などの元素を添加したクロム化合物からなる材料で構成する。
また、遮光膜上にエッチングマスク膜を有する形態の場合には、エッチングマスク膜を成膜する前に、上記遮光膜の主表面に火炎処理を施すとよい。
【0087】
また、本発明は、上述の本発明により得られるマスクブランクにおける前記パターン形成用薄膜を、エッチングによりパターニングする工程を有する転写用マスクの製造方法についても提供する。この場合のエッチングは、微細パターンの形成に有効なドライエッチングが好適に用いられる。
かかる転写用マスクの製造方法によれば、ArFエキシマレーザーなどの短波長の露光光源に対する耐光性を向上させ、転写用マスクを繰返し使用しても露光光照射による転写特性の劣化を抑えられ、転写用マスクの寿命を著しく改善した転写用マスクが得られる。
【0088】
本発明の製造方法における火炎処理により、パターン形成用薄膜の透過率及び位相差が変化する。火炎処理によりパターン形成用薄膜の透過率は上昇する傾向にあるため、成膜するパターン形成用薄膜の透過率を所望の値より低く設計しておく必要がある。したがって、パターン形成用薄膜を成膜する工程において、パターン形成用薄膜の火炎処理による変化を見込んだ膜質のものを成膜することが必要である。パターン形成用薄膜の透過率は、例えば、スパッタ成膜法による成膜の際に用いられる混合ガスの種類及び混合比により調整することができる。具体的には、混合ガスがアルゴンと窒素である場合には、窒素の比率を小さくすることでパターン形成用薄膜の透過率を低く調整することができる。また、遷移金属の含有量を増やすことで予め透過率を低く調整することもできる。
【0089】
なお、本発明のマスクブランクを用いて作製された転写用マスクに対して、さらに火炎処理を再度施してもよい。つまり、上述の火炎処理を施したマスクブランクを用いて作製された転写用マスクに対して、さらに火炎処理を再度行ってもよい。また、得られたマスクブランク又は転写用マスクに対して、火炎処理以外の加熱処理等を行うこともできる。また、パターン形成用薄膜の局所的な光学特性を測定し、光学特性の測定値又はその面内均一性に問題がある部分のみ、再度火炎処理を行うことも可能である。
【0090】
マスクブランク段階での本発明の火炎処理に加えて、形成された転写パターンに対しても本発明の火炎処理を行うことにより、線幅変化(線幅の太り)をより低減することが可能となる。
【実施例】
【0091】
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
図1は、実施例及び比較例により作製した位相シフトマスクブランク10の断面模式図である。
透光性基板1としてサイズ6インチ角、厚さ0.25インチ(6.35mm)の合成石英ガラス基板を用い、透光性基板1上に、窒化されたモリブデン及びシリコンからなるハーフトーン型位相シフト膜(パターン形成用薄膜)2を成膜した。
具体的には、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(Mo:Si=10at%:90at%)を用い、アルゴン(Ar)と窒素(N)とヘリウム(He)との混合ガス雰囲気(ガス流量比 Ar:N:He=8:72:100)で、ガス圧0.3Pa、DC電源の電力を3.0kWとして、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、モリブデン、シリコン及び窒素からなるMoSiN膜を69nmの膜厚で形成した。次いで、上記MoSiN膜が形成された基板に対して、アニール処理として加熱処理を施した。具体的には、加熱炉を用いて、大気中で加熱温度を280℃、加熱時間を2時間として、加熱処理を行った。なお、このMoSiN膜は、ArFエキシマレーザーにおいて、透過率は6.1%、位相差が179度となっていた。
【0092】
次いで、上記MoSiN膜が形成された基板に対して、以下の条件で火炎処理を施した。
・火炎温度: 1500℃
・火炎照射装置とマスクブランクとの距離: 10mm
・火炎径: 15mm
・火炎の走査: ステップ的に停止及び移動を繰返し、1箇所10分の火炎照射をするように走査した。
・引火性ガスの種類: ブタンガス
【0093】
この火炎処理後のMoSiN膜は、ArFエキシマレーザーにおいて、透過率は11.8%、位相差が175度となっていた。したがって、火炎処理前後の変化量は、透過率が+5.7%、位相差が-4度である。なお、この変化量を予め見込んで所望の光学特性が得られるように膜設計を行えばよい。
以上のようにして、本実施例のマスクブランク10を作製した。
【0094】
次に、上記の位相シフトマスクブランクを用いてハーフトーン型位相シフトマスクを作製した。図2は、位相シフトマスクブランクを用いて位相シフトマスクを製造する工程を示す断面模式図である。まず、マスクブランク10上に、レジスト膜3として、電子線描画用化学増幅型ポジレジスト膜(富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ社製 PRL009)を形成した(同図(a)参照)。レジスト膜3の形成は、スピンナー(回転塗布装置)を用いて、回転塗布した。
【0095】
次に上記マスクブランク10上に形成されたレジスト膜3に対し、電子線描画装置を用いて所望のパターン描画を行った後、所定の現像液で現像してレジストパターン3aを形成した(同図(b)、(c)参照)。
次に、上記レジストパターン3aをマスクとして、ハーフトーン型位相シフト膜2(MoSiN膜)のエッチングを行って位相シフト膜パターン2aを形成した(同図(d)参照)。ドライエッチングガスとして、SFとHeの混合ガスを用いた。
次に、残存するレジストパターンを剥離して、位相シフトマスク20を得た(同図(e)参照)。なお、位相シフト膜の透過率、位相差はマスクブランク製造時と殆ど変化はなかった。
【0096】
実施例1で得られた位相シフトマスクに対して、ArFエキシマレーザーを20mJ/(cm・pulse)、pulse周波数100Hzのエネルギー密度で約6600秒(110分)連続照射した。上記ArFエキシマレーザーの110分の照射後の透過率は10.7%であり、正規化透過率の変化は約-9%だった。
また、位相シフトパターンの断面を、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて詳しく観察したところ、特に従来発生していたような厚い変質層は確認されず、線幅の太り(CD変動量)に関しても5nm未満に抑えられていた。したがって、実施例1の位相シフトマスクブランク及び位相シフトマスクは、200nm以下の短波長の露光光源による累積照射に対して、極めて高い耐光性を備えていることがわかる。
【0097】
(実施例2)
実施例2では、MoSiN膜が形成された基板に対して、火炎処理と同時に光学的測定(具体的には透過率の測定)を行った以外は、実施例1と同様に、位相シフトマスクを製造した。火炎処理の際の透過率の測定は、図4に示すような装置を用いて行った。
【0098】
実施例2で得られた位相シフトマスクに対して、実施例1と同様に、ArFエキシマレーザーを20mJ/(cm・pulse)、pulse周波数100Hzのエネルギー密度で約6600秒(110分)連続照射した。実施例2の位相シフトマスクでは、上記ArFエキシマレーザーの110分の照射後でも、正規化透過率の変化は約−9%だった。
また、位相シフトパターンの断面を、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて詳しく観察したところ、特に従来発生していたような厚い変質層は確認されず、線幅の太り(CD変動量)に関しても5nm未満に抑えられていた。したがって、実施例2の位相シフトマスクブランク及び位相シフトマスクは、200nm以下の短波長の露光光源による累積照射に対して、極めて高い耐光性を備えていることがわかる。
【0099】
(比較例1)
比較例1では、火炎処理を行わずに電気炉による加熱処理のみを行った以外は、実施例1と同様に、位相シフトマスクを製造した。
【0100】
比較例1に対する電気炉による加熱処理の条件は、以下のとおりである。
・加熱温度: 280℃
・加熱時間: 2時間
・加熱雰囲気: 大気中
【0101】
比較例1で得られた位相シフトマスクに対して、実施例1と同様に、ArFエキシマレーザーを20mJ/(cm・pulse)、pulse周波数100Hzのエネルギー密度で約6600秒(110分)連続照射した。比較例1の位相シフトマスクでは、上記ArFエキシマレーザーの約6600秒(110分)の照射後、正規化透過率の変化は約15%程度だった。
また、位相シフトパターンの断面を、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて詳しく観察したところ、特に従来発生していたような厚い変質層が確認された。また、線幅の太り(CD変動量)に関しても10nmよりも大きくなっていた。したがって、比較例1の位相シフトマスクブランク及び位相シフトマスクは、200nm以下の短波長の露光光源による累積照射に対して、高い耐光性を備えていないことがわかる。
【符号の説明】
【0102】
1 透光性基板
2 ハーフトーン型位相シフト膜(パターン形成用薄膜)
3 レジスト膜
10 マスクブランク(位相シフトマスクブランク)
20 火炎照射装置
22 火炎
100 火炎処理装置
102 ステージ
104 UV光源部
106 UV照射部
108 受光部
108a 受光部(透過光用)
108b 受光部(反射光用)
110 分光器
112 ステージコントローラ
114 制御部
122 入射光
124 透過光
126 反射光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性基板上にパターン形成用薄膜を備えたマスクブランクの製造方法であって、
前記透光性基板上に、遷移金属及びケイ素を含有する材料からなる前記パターン形成用薄膜を成膜する工程と、
前記パターン形成用薄膜を火炎処理する工程と、を備えることを特徴とするマスクブランクの製造方法。
【請求項2】
前記火炎処理が、局所的に火炎を照射しながらパターン形成用薄膜全面を走査することを含む、請求項1記載のマスクブランクの製造方法。
【請求項3】
前記火炎処理が、前記パターン形成用薄膜の光学特性を測定しながら火炎を照射することを含む、請求項1又は2記載のマスクブランクの製造方法。
【請求項4】
前記光学特性が、透過率及び反射率から選択される少なくとも1つである、請求項1〜3のいずれか1項記載のマスクブランクの製造方法。
【請求項5】
前記パターン形成用薄膜が、遷移金属及びケイ素に、さらに酸素及び窒素から選ばれる1以上の元素を含有させた化合物を主成分とする材料からなる光半透過膜又は少なくとも遷移金属及びケイ素を含む材料からなるバイナリマスク用遮光膜である、請求項1〜4のいずれか1項記載のマスクブランクの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載の製造方法によって製造されたマスクブランク。
【請求項7】
請求項6記載のマスクブランクのパターン形成用薄膜に、転写パターンを形成した転写用マスク。
【請求項8】
透光性基板上に転写パターンを備える転写用マスクの製造方法であって、
透光性基板上に、遷移金属及びケイ素を含有する材料からなるパターン形成用薄膜を有するマスクブランクを準備する工程と、
前記マスクブランクのパターン形成用薄膜に転写パターンを形成する工程と、
前記転写パターンが形成されたパターン形成用薄膜を火炎処理する工程と、を備えることを特徴とする転写用マスクの製造方法。
【請求項9】
請求項8記載の製造方法によって製造された転写用マスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−203551(P2011−203551A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71549(P2010−71549)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】