説明

マテチャ含有新規サポニン化合物とその用途

【課題】本発明は、マテチャの新規用途の開発を課題とする。
【解決手段】本発明によれば、安全に使用できるマテチャ抽出物、または該抽出物に含まれる本発明によるサポニン化合物の少なくとも一つを有効成分とする遊離脂肪酸産生阻害剤、抗肥満または抗高脂血症用組成物ならびにその組成物を含む健康食品を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マテチャ抽出物および該抽出物に含まれる新規サポニン化合物に関する。
より詳細には、本発明は、モチノキ科モチノキ属植物であるマテチャの乾燥葉部の水または含水低級アルコール抽出物および/またはこの抽出物に含まれる新規サポニン化合物およびその用途に関する。
【0002】
さらに詳細には、本発明は、上記の抽出物または該抽出物と、該抽出物に含まれる新規サポニン化合物の遊離脂肪酸産生抑制作用および該作用を有する医薬組成物ならびに該組成物が添加されてなる健康食品に関する。
【背景技術】
【0003】
モチノキ科 (Aquifoliaceae)植物モチノキ属 (Ilex)に属するマテチャ (Ilex paraguaiensis)は、ブラジル南部からアルゼンチン北東部までの山地に原産する常緑樹である。また、マテチャは、マテおよびパラグアイチャノキとも称されている。
古来、このマテチャは、南米ではその葉を熱気で乾燥し、破砕して飲用の茶(マテ茶)として用いられている(例えば、非特許文献1)。
【0004】
また、マテチャは、古来南米では、中枢神経刺激剤、利尿剤および抗リウマチ剤としての生薬製剤の製造に用いられており、該マテチャからは、サポニン化合物として、ウルソール酸−3−O−[β−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−L−アラビノピラノシル]−(28→1)−β−D−グルコピラノシル エステル骨格を有するマテサポニン1が見出されている(例えば、非特許文献2)。
【0005】
さらに、マテ茶には、カルシウム、鉄、無水カフェイン、タンニン、ビタミンA、ビタミンB1およびビタミンB2が含まれることが知られている(例えば特許文献1および2)。
また、マテ茶が、強壮、刺激、利尿作用;神経を落ち着かせ、気を亢進させる作用;栄養不良を補い、衰弱を止め回復を促す作用;腸の蠕動運動の促進により、消化を助ける作用;呼吸運動の促進作用;筋肉の労働量の増強作用;ビタミンCの補給効果;活性酸素消去作用およびアレルギー発症抑制作用などを有することが知られている(例えば特許文献1および2)。
【0006】
しかしながら、 マテチャが高脂血症、肥満、またはメタボリック症候群に有効なリパーゼ阻害活性作用を有することはなんら報告されていない。
【0007】
ちなみに、リパーゼは食餌に含まれる脂肪(トリグリセリド)を、体内に吸収できるフリーの脂肪酸やモノグリセリドに加水分解する酵素であることが知られている。
よって、このリパーゼ活性を阻害することにより、加水分解されなかったトリグリセリドは体内に吸収されずに排出され、したがって、結果として脂肪摂取を減少すること、すなわち摂取カロリーを減少することができ、糖尿病、高脂血症、メタボリックシンドロームに該当するヒトのカロリーまたは脂肪摂取の低減に効果が期待できる。
【0008】
【特許文献1】特開平6−135848号公報
【特許文献2】特開2004−248601号公報
【非特許文献1】堀田満ら編、世界有用植物辞典、第549頁(1989)
【非特許文献2】Grace Gosmannら、Journal of Natural Producets、52(6)、第1367〜1370頁。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、マテチャの新規用途の開発を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、マテチャの新規用途を明らかにすべく研究に着手し、マテチャの水または含水低級アルコール抽出物および各精製段階におけるマテチャ抽出物の薬理作用を指標としてその含有成分を鋭意研究し、新規サポニン化合物を見出した。
また、本発明者は、マテチャの抽出物および該抽出物に含まれる新規サポニンがリパーゼ阻害活性を有することを見出した。
したがって、本発明によれば、新規サポニン化合物の化学構造を決定すると共に、当該化合物の薬理作用についても知見を得、マテチャの新規用途を確立し、上記の課題を解決する。
【0011】
すなわち、本発明によれば、次の一般式(1):
【化1】

[式中、
1は、α−L−アラビノピラノシル基、β−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−L−アラビノピラノシル基またはα−L−ラムノピラノシル−(1→2)−O−[β−D−グルコピラノシル−(1→3)]−α−L−アラビノピラノシル基であり、R2は、β−D−グルコピラノシル基またはβ−D−グルコピラノシル−(1→6)−β−D−グルコピラノシル基であり、R3およびR4は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基であり、R5はメチル基またはヒドロキシメチル基である]
で表されるサポニン化合物が提供される。
【0012】
また、マテチャの水または含水低級アルコール抽出物および各精製段階におけるマテチャ抽出物は、いずれもリパーゼ阻害活性作用を有する。
【発明の効果】
【0013】
したがって、本発明によるサポニン化合物を含むマテチャ抽出物または組成物は、そのリパーゼ阻害活性作用によりトリグリセリドの吸収を抑制でき、抗肥満、抗高脂血症および脂肪肝改善を意図する医薬用組成物または該組成物が添加されてなる健康食品に用いられる。
【0014】
また、本発明によるマテチャ抽出物および該抽出物に含まれる新規サポニン化合物は、古来、嗜好品として用いられてきているマテチャの乾燥葉部から得られるので、安全に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、上記の一般式(1)で表されるサポニン化合物を含むマテチャの水または含水低級アルコール抽出物および/または該抽出物を必要に応じてさらに精製したマテチャ抽出物の使用に関している。
【0016】
本発明において用いられるマテチャ(Ilex paraguaiensis)の産地は、マテチャが自生しているブラジル南東部、パラグアイ、ウルグアイおよびアルゼンチンのいずれの産地でもよく、またマテチャが栽培されている場合には、産地は特に限定されずに用いることができる。
本発明において、マテチャの葉部は、通常乾燥したものが用いられるが、採取したものをそのまま、あるいは当業者に公知の方法で製茶して用いることができる。
【0017】
本発明の抽出物の調製に用いられる溶媒に関して、水以外の低級アルコールとしては、炭素数1〜4のモノアルコールまたはジアルコール類が挙げられる。
具体的には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノールもしくはt-ブタノールまたはこれらの混液あるいはこれらの任意の割合における含水アルコール等が挙げられる。さらに、エタンジオール、プロパンジオールおよびブタンジオールおよびこれらの位置異性体またはこれらの混液あるいはこれらの任意の割合における含水ジアルコール等が挙げられる。
【0018】
しかしながら、抽出後の濃縮などの容易性の観点から、好ましくは、水またはメタノールもしくはエタノールが用いられる。さらに好ましくは、水または約80%エタノールが用いられるが、本発明においては、含水エタノールのエタノール量が特に80%に限定されるものではない。
これらの抽出用溶媒は、抽出材料に対して1〜50倍 (容量)程度、好ましくは2〜10倍 (容量)程度用いられる。
【0019】
なお、抽出は、室温または熱時で行うことができ、抽出温度は、室温と溶媒の沸点の間で任意に設定できる。熱時抽出の場合、例えば、50℃〜抽出溶媒の沸点の温度で、振盪 (または撹拌)下もしくは非振盪下または還流下に、マテチャの乾燥葉部を上記の抽出溶媒に浸漬することによって行うのが適当である。抽出材料を振盪下に浸漬する場合には、30分間〜5時間程度行うのが適当であり、非振盪下に浸漬する場合には、1時間〜20日間程度行うのが適当である。また、抽出溶媒の還流下に抽出するときは、30分〜数時間加熱還流するのが好ましい。
【0020】
また、50℃より低い温度で浸漬して抽出することも可能であるが、その場合には、上記の時間よりも長時間浸漬するのが好ましい。抽出操作は、同一材料について1回だけ行ってもよいが、複数回、例えば、2〜5回程度繰り返すのが抽出効率の点から好ましい。
【0021】
固形物を、抽出後にろ別して得られる抽出液は、常法により濃縮して抽出エキスとしてもよい。濃縮は、減圧下に行うのが好ましい。濃縮は抽出液が乾固するまで行ってもよい。
抽出物は、そのまま本発明の組成物を調製するのに用いてもよいが、粉末状または凍結乾燥品等として用いてもよい。これらの固形物とする方法は、当該分野で公知の方法を採用することができる。
【0022】
したがって、本発明における抽出物とは、抽出液、抽出エキス、濃縮乾固物または凍結乾燥物のいずれも意味するが、本発明による抽出物は、精製せずにそのまま用いることもでき、本発明の一部を構成している。
【0023】
しかしながら、本発明では、抽出液を濃縮した抽出物を、溶媒による分配抽出、すなわち、水と非水和性有機溶媒とを用いる分配抽出に単回または複数回付し、有機溶媒可溶画分と水溶性画分として分離することができる。
【0024】
非水和性有機溶媒としては、酢酸エチル、n-ブタノール、ヘキサン、クロロホルムなどが挙げられるが、中でも酢酸エチルが好ましい。
すなわち、マテチャの水または含水低級アルコール抽出物を濃縮して得られた抽出物を、必要に応じて酢酸エチルと水を用いて分配し、酢酸エチル可溶画分と水溶性画分として得ることができる。
【0025】
また、上記で得られる水溶性画分を、さらに水と非水和性有機溶媒を用いる分配抽出に付し、有機溶媒可溶画分と水溶性画分として分離することができる。
この場合の非水和性有機溶媒としては、n-ブタノール、ヘキサン、クロロホルムなどが挙げられるが、中でもn-ブタノールが好ましい。
すなわち、上記の酢酸エチルと水との分配後の水溶性画分をそのままn-ブタノールとの分配に付すか、または該水溶性画分を濃縮して得られる残渣をさらに水とn-ブタノールとの分配に付し、n-ブタノール画分と水溶性画分を得ることができる。
【0026】
分配抽出は、当該分野で通常行われる撹拌もしくは振盪分配法または液滴向流分配法などの常法に従って行うことができる。例えば、室温下、振盪下または非振盪下に、抽出エキスなどに対して、非水和性有機溶媒と水とを1〜10倍 (容量)程度 (1:10〜10:1)加えて行うのが適当である。
【0027】
したがって、本発明において用いられるマテチャ抽出物とは、前記のマテチャの水抽出物もしくはその濃縮物、前記の酢酸エチル可溶画分もしくはその濃縮物または前記のn-ブチル可溶画分もしくはその濃縮物のいずれをも含む。
【0028】
なお、上記の水または低級アルコール抽出物および各分配抽出物は、上記のいずれの段階においても、濃縮する前後に精製処理に付すことができる。
精製処理には、上記の水抽出物の水と非水和性有機溶媒による分配抽出以外に、当業者に公知のクロマトグラフ法、イオン交換クロマトグラフ法等を単独で、または組み合わせて採用することができる。例えば、クロマトグラフ法としては、順相もしくは逆相担体またはイオン交換樹脂を用いるカラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーまたは遠心液体クロマトグラフィー等のいずれか、またはそれらを組み合わせて行う方法が挙げられる。この際の担体、溶出溶媒等の精製条件は、各種クロマトグラフィーに対応して適宜選択することができる。
【0029】
本発明者は、マテチャ抽出物を、上記の精製方法を組み合わせて精製すると同時に精製物の作用について検討した。
【0030】
そこで、本発明者は、上記の酢酸エチル画分およびn-ブタノール画分について、逆相カラムを用いたクロマトグラフィーおよびHPLCによる精製を繰り返し、含有成分の単離を行った。
【0031】
その結果、本発明者は、酢酸エチル画分から、10種の既知トリテルペン配糖体マテサポニン1、マテサポニン2、マテサポニン3、マテサポニン4、マテサポニン5、マテサポニンJ3a、マテサポニンJ3b、3-O-β-D-グルコピラノシル (1→3)-α-L-2-O-アセチルアラビノピラノシル ウルソール酸 28-O-β-D-グルコピラノシド、3-O-α-L-ラムノピラノシル(1→2)-α-L-アラビノピラノシル オレアノール酸 28-O-β-D-グルコピラノシル(1→6)-β-D-グルコピラノシド、ヌディカウシンC、2種の既知フラボノイド配糖体ルチン、ケンフェロール-3-O-ルチノシド、4種の既知クロロゲン酸3-O-カフェオイルキニン酸、4-O-カフェオイルキニン酸、5-O-カフェオイルキニン酸、3,5-O-ジカフェオイルキニン酸およびカフェイン、テオブロミンならびに(R)-リナリル 6-O-α-L-アラビノピラノシル-β-D-グルコピラノシドを既知物質として得た。
また、本発明者は、n-ブタノール画分からは、1種の既知トリテルペン配糖体マテサポニン1、2種の既知トリテルペン、ウルソール酸、3-β-ヒドロキシウルス-11-エン-13β(28)-オリド、2種の既知フラボノイド配糖体ルチン、ケンフェロール-3-O-ルチノシドを既知物質をして得ると共に、さらに以下の新規化合物を見い出した。
【0032】
すなわち、本発明によれば、次の一般式(1):
【化2】

[式中、
1は、α−L−アラビノピラノシル基、β−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−L−アラビノピラノシル基またはα−L−ラムノピラノシル−(1→2)−O−[β−D−グルコピラノシル−(1→3)]−α−L−アラビノピラノシル基であり、
2は、β−D−グルコピラノシル基またはβ−D−グルコピラノシル−(1→6)−β−D−グルコピラノシル基であり、
3およびR4は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基であり、
5はメチル基またはヒドロキシメチル基である]
で表されるサポニン化合物が提供される。
【0033】
ことに、上記の式(1)の化合物において、前記式(1)の化合物において、R1がβ−D−グルコピラノシル−(1→3)−β−D−アラビノピラノシル基であり、R2がβ−D−グルコピラノシル基であり、R3がメチル基であり、R4が水素原子であり、R5がヒドロキシメチル基である、式(2):
【化3】

で表わされるマテノシドAが提供される。
【0034】
また、本発明によれば、式(1)の化合物において、R1がα−L−アラビノピラノシル基であり、R2がβ−D−グルコピラノシル基であり、R3がメチル基であり、R4が水素原子であり、R5がヒドロキシメチル基であり、式(3):
【化4】

で表わされるマテノシドBが提供される。
【0035】
また、本発明によれば、式(1)の化合物において、R1がα−L−ラムノピラノシル−(1→2)−O−[β−D−グルコピラノシル−(1→3)]−α−L−アラビノピラノシル基であり、R2がβ−D−グルコピラノシル−(1→6)−β−D−グルコピラノシル基であり、R3が水素原子であり、R4がメチル基であり、R5がメチル基であり、式(4):
【化5】

で表わされるマテノシドCも提供される。
【0036】
マテ茶抽出物の調製および該抽出物含有成分の単離精製
例えば、ブラジル産マテチャ(Ilex paraguariensis) の乾燥葉部(3.0 kg)を、メタノール(MeOH)を用いてマテチャ抽出物を調製し、該抽出物を精製した例を表1および以下に示す。
【0037】
(1)マテチャ抽出物の調製
ブラジル産マテチャ(Ilex paraguariensis) の乾燥葉部(3.0 kg)をMeOH(30L)で熱時抽出後、ろ過し、残渣は同様操作を2回くり返した。溶媒を減圧留去し、MeOH抽出エキス (1.0 kg、収率 33.3%) を得た。 得られたMeOH抽出エキスのうち500.0 gをH2O(2L)に懸濁し、EtOAc(2L)で3回分配抽出した。次いでH2O可溶画分をn-BuOH(2L)で3回分液抽出し、各可溶画分を常法に従って処理してEtOAc可溶画分(168.3 g、11.2%)、n-BuOH可溶画分(251.1 g、16.7%)、H2O可溶画分(96.5 g、6.4%)を得た。
活性が認められたEtOAc可溶画分およびn-BuOH可溶画分について含有成分の探索を以下に示す手順に従って行った。
【0038】
【表1】

【0039】
(2)酢酸エチル(EtOAc)可溶画分の精製
EtOAc可溶画分を順相シリカゲル、逆相ODSカラムクロマトグラフィーおよびHPLCで繰り返し分離精製し、1種の新規トリテルペン配糖体マテノシドB(0.0013%)、1種の既知トリテルペン配糖体マテサポニン1(0.010%)、2種の既知トリテルペンウルソール酸 (1.02%)、3-β-ヒドロキシウルス-11-エン-13β(28)-オリド(0.039%)、2種の既知フラボノイド配糖体ルチン(0.012%%)、ケンフェロール-3-O-ルチノシド(0.0079%)を単離した。
【0040】
(3)n-BuOH可溶画分の精製
上記で得られたn-BuOH可溶画分を順相シリカゲル、逆相ODSカラムクロマトグラフィーおよびHPLCで繰り返し分離精製し、2種の新規サポニン化合物マテノシドA(0.020%)、マテノシドC(0.20%)、10種の既知トリテルペン配糖体マテサポニン1(0.080%)、マテサポニン2(0.029%)、マテサポニン3(0.0099%)、マテサポニン4(0.034%)、マテサポニン5(0.0094%)、マテサポニンJ3a(0.10%)、マテサポニンJ3b(0.060%)、3-O-β-D-グルコピラノシル(1→3)-α-L-2-O-アセチルアラビノピラノシル ウルソール酸 28-O-β-D-グルコピラノシド(0.047%)、3-O-α-L-ラムノピラノシル(1→2)-α-L-アラビノピラノシル オレアノール酸 28-O-β-D-グルコピラノシル(1→6)-β-D-グルコピラノシド(0.29%)、ヌディカウシンC(0.12%)、2種の既知フラボノイド配糖体ルチン(0.50%)、ケンフェロール-3-O-ルチノシド(0.17%)、4種の既知クロロゲン酸3-O-カフェオイルキニン酸(0.16%)、4-O-カフェオイルキニン酸 (0.15%)、5-O-カフェオイルキニン酸(0.046%)、3,5-O-ジカフェオイルキニン酸(0.32%)およびカフェイン(0.55%)、テオブロミン(0.15%)、(R)-リナリル 6-O-α-L-アラビノピラノシル-β-D-グルコピラノシド(0.090%)を単離した。
【0041】
上記の既知化合物については、いずれもこれら化合物の1H-NMRおよび13C-NMRスペクトルデータと文献値との比較により同定した。
但し、これらの単離成分の収率は、ブラジル産マテチャからの単離収率である。
【0042】
(4)マテノシドAおよびBの構造解析
マテノシドAは正の旋光性([α]D25+18.7°、MeOH) を示す白色粉末として得られた。IRスペクトルから水酸基(3600 cm-1)、カルボニル基(1716 cm-1)、オレフィン(1650 cm-1)、およびエーテル(1070 cm-1) の存在が示唆された。
さらに、陽イオンおよび 陰イオンFAB-MSにおいて擬似分子イオンピークが、m/z 951 (M+Na)+および927(M−H)-に観測され、高分解能FAB-MSから分子式C477618を有する化合物であることが判明した。
【0043】
マテノシドAを5%H2SO4水溶液-1,4-ジオキサン (1:1、v/v、1ml)で酸加水分解することにより、既知化合物23-ヒドロキシウルソール酸が得られると共に、構成糖として旋光度検出器においてL-アラビノース、D-グルコースが検出された。
また、マテノシドAのピリジン-d5を溶媒とする1H-NMRおよび13C-NMRスペクトルデータ(表2および3)、種々の二次元NMRデータを詳細に解析した。
【0044】
マテノシドBについても、上記と同様の方法により構造解析を行った。マテノシドBは5%H2SO4水溶液-1,4-ジオキサン (1:1、v/v、1ml)で酸加水分解することにより、上記のマテノシドAと同様に、既知化合物23-ヒドロキシウルソール酸が得られたと共に、構成糖として旋光度検出器においてL-アラビノース、D-グルコースが検出された。
また、マテノシドBのピリジン-d5を溶媒とする1H-NMRおよび13C-NMRスペクトルデータ(表1および2)、種々の二次元NMRデータを詳細に解析した。
以上の結果から、マテノシドAおよびBの化学構造を前記式(2)および(3)に示すように決定した。
【0045】
上記の構造決定の手法の略図を以下に示す。
【化6】

【0046】
(4)マテノシドCの構造解析
マテノシドCについても同様の方法により構造解析を行った。マテノシドC は5%H2SO4水溶液-1,4-ジオキサン (1:1、v/v、1 ml) で酸加水分解することにより既知化合物オレアノール酸が得られたと共に、構成糖として旋光度検出器においてL-アラビノース、D-グルコース、L-ラムノースが検出された。
【0047】
また、マテノシドCのピリジン-d5を溶媒とする1H-NMRおよび13C-NMRスペクトルデータ(表2および3)、種々の二次元NMRデータを詳細に解析した。
以上の結果から、マテノシドCの化学構造を前記式(4)に示すように決定した。
【0048】
上記の構造決定の手法の略図を以下に示す。
【化7】

【0049】
本発明者は、マテチャ抽出物、すなわち、メタノール抽出物、酢酸エチル画分、n-ブタノール画分および水画分ならびにマテノシドCのいずれもが、リパーゼ阻害活性作用を有することを見出した。
さらに、本発明者は、マテチャ抽出物から単離された既知物質メタサポニン1およびヌディカウシンCがリパーゼ阻害活性作用を有することも見出した。
【0050】
また、本発明者は、上記のリパーゼ阻害活性作用に基づいて、本願発明によるマテチャ抽出物、すなわち、メタノール抽出物、酢酸エチル画分、n-ブタノール画分および水画分ならびにマテノシドCが、遊離脂肪酸産生抑制、抗肥満、抗高脂血症、または脂肪肝改善効果を意図する医薬組成物および該組成物を含む健康食品に用いられ得ることを見出し、本発明を完成した。
【0051】
したがって、本発明によれば、マテチャ抽出物、すなわち、メタノール抽出物、酢酸エチル画分、n-ブタノール画分、水画分および/またはマテノシドCを有効成分として含むリパーゼ阻害活性作用に基づく遊離脂肪酸産生抑制、ひいては抗肥満用組成物が提供される。
【0052】
また、本発明によれば、マテチャ抽出物、すなわち、メタノール抽出物、酢酸エチル画分、n-ブタノール画分および水画分ならびにマテノシドCを有効成分として含む抗高脂血症用組成物が提供される。
また、本発明によれば、マテチャ抽出物、すなわち、メタノール抽出物、酢酸エチル画分、n-ブタノール画分および水画分ならびにマテノシドCを有効成分として含む脂肪肝改善用組成物が提供される。
【0053】
したがって、本発明によれば、マテチャ抽出物、すなわち、メタノール抽出物、酢酸エチル画分、n-ブタノール画分および水画分ならびにマテノシドCを有効成分として含む、食生活の欧米化による高カロリー食の摂食に基づく現代病として代表的な肥満、高脂血症および脂肪肝などの生活習慣病の予防または治療を意図する医薬組成物、ならびに腸運動亢進作用による腸閉塞および便秘の予防または治療を意図する医薬組成物が提供される。
その上、本発明によれば、該組成物を含む健康食品が提供される。
【0054】
本発明のマテチャ抽出物、すなわち、メタノール抽出物、酢酸エチル画分、n-ブタノール画分および水画分またはこれらの濃縮乾固物あるいは該抽出物に含まれるマテノシドCは、そのままの状態、または適当な媒体で希釈して、あるいは医薬品の製造分野において公知の方法により、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤または液剤等、種々の医薬品の形態に製剤化して使用することができる。
【0055】
これらの医薬品形態においては、適当な媒体を添加してもよい。そのような媒体としては、医薬的に許容される賦形剤、例えば結合剤 (例えばシロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガントまたはポリビニルピロリドン)、充填剤 (例えば乳糖、砂糖、トウモロコシ澱粉、リン酸カルシウム、ソルビトールまたはグリシン)、滑沢剤 (例えばステアリン酸マグネシウム、タルクまたはポリエチレングリコール)、崩壊剤 (例えば馬鈴薯澱粉)または湿潤剤 (例えばラウリル硫酸ナトリウム)等が挙げられる。
【0056】
錠剤は、通常の方法でコーティングしてもよい。液体製剤は、例えば水性または油性の懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップまたはエリキシルの形態であってもよく、使用前に水または他の適切な賦形剤で再生する乾燥製品として提供してもよい。
【0057】
こうした液体製剤は、通常の添加剤、例えば懸濁化剤 (例えばソルビトール、シロップ、メチルセルロース、グルコースシロップ、ゼラチン水添加食用脂)、乳化剤 (例えばレシチン、ソルビタンモノオレエートまたはアラビアゴム)、(食用脂を含んでいてもよい)非水性賦形剤 (例えばアーモンド油、分画ココヤシ油またはグリセリン、プロピレングリコールまたはエチルアルコールのような油性エステル)、保存剤 (例えばp-ヒドロキシ安息香酸メチルまたはプロピル、またはソルビン酸)、および所望により着色剤または香料等を含んでいてもよい。
【0058】
また、本発明による組成物を有効成分として食品に添加したものを健康食品として利用することができる。
【0059】
健康食品とは、通常の食品よりも積極的な意味で保健、健康維持・増進等を目的とした食品を意味し、例えば、固形、半固形または液体の製品、具体的には、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤または液剤等のほか、クッキー、せんべい、ゼリー、ようかん、ヨーグルト、まんじゅう等の菓子類、清涼飲料、お茶類、栄養飲料、スープ、ドリンク剤等の形態が挙げられる。
これらの食品の製造工程において、あるいは最終製品に、上記の抽出物を添加して、健康食品とすることができる。
【0060】
マテチャ抽出物、すなわち、メタノール抽出物、酢酸エチル画分、n-ブタノール画分および水画分ならびに本発明による化合物の使用量は、年齢、症状等によって異なるが、例えば該抽出物の濃縮乾固物を予防・治療に用いる場合には、成人1回につき50mg〜10g程度、好ましくは100mg〜3g程度使用できる。また、健康食品として使用する場合には、食品の味や外観に悪影響を及ぼさない量、例えば、対象となる食品1kgに対し上記乾固物を、100mg〜10g程度の範囲で用いることができる。
【実施例】
【0061】
以下、本発明のマテチャ抽出物、式(2)〜(4)で表されるマテノシドA、BおよびCの精製法ならびにそれらの作用に関する実施例を具体的に説明するが、以下の実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明をなんら制限するものではない。
【0062】
なお、実施例では、特に記載がない限り、以下の各種溶媒、クロマトグラフィー用担体およびHPLC用カラムならびに各種分析器機を用いた:
メタノール(MeOH):ナカライテスク社製、特級
エタノール(EtOH):ナカライテスク社製、特級
クロロホルム:ナカライテスク社製、特級
酢酸エチル(AcOEt):ナカライテスク社製、特級
【0063】
n-ブタノール(BuOH):ナカライテスク社製、特級
アラビアゴム:和光純薬工業株式会社製
カルボキシメチルセルロース ナトリウム塩(CMC-Na):和光純薬工業株式会社製
炭素末(活性炭;粉末状):和光純薬工業株式会社製
豚膵リパーゼ:シグマ・アルドリッチ社製
【0064】
カラムクロマトグラフィー用シリカゲル (SiO2):富士シリシア化学社製、BW-200、150〜350メッシュ
カラムクロマトグラフィー用逆相シリカゲル:富士シリシア化学社製、Chromatorex ODS DM1020T、100〜200メッシュ
HPLC用ODSカラム:ジーエルサイエンス社製、Intertsil ODS-3 (250×20mm(内径))
【0065】
NMR:日本電子データム株式会社製(JEOL)、ECA-600K(600 MHz)
IR:島津製作所社製、FTIR-8100
HPLC:島津製作所社製、検出器;示差屈折率検出器RID-6A
UV検出器SPD-10A
送液ユニット;LC-6AD
GC:島津製作所GC-14A
MS:日本電子データム社製(JEOL)、FABMS、HRFABMAS;JMS-SX 102A
EIMS、HREIMS;JMS-GCMATE
【0066】
また、核磁気共鳴 (NMR)スペクトルにおいて、化学シフトδは百万分の一 (ppm)で表示し、略語はそれぞれ次の意味を有する:s:シングレット; d:ダブレット;dd:ダブルダブレット;t:トリプレット; q:クァルテット;dq:ダブルクァルテット;Ara;α−L−アラビノピラノシル基;Glc:β−D−グルコピラノシル基、Rha;α−L−ラムノピラノシル基。
【0067】
実施例1
(1) マテチャの抽出および酢酸エチル可溶画分ならびにn−ブタノール可溶画分の調整
マテチャ(Ilex paraguariensis) の乾燥葉部(3.0 kg)をMeOH(30L)で3回くり返し熱時抽出した。 抽出液を濾過し、残渣に新たにMeOHを加え、同様の抽出操作を計3回行った。MeOH抽出液を合わせて減圧下に溶媒留去し、MeOH抽出エキス (1.0 kg、収率 33.3%) を得た。
得られたMeOH抽出エキスのうち500.0 gをH2O(2L)に懸濁後EtOAc(2L)で3回で分配抽出し、H2O可溶画分をn-BuOH(2L)で3回分配抽出し、各可溶画分を減圧下溶媒留去して、EtOAc可溶画分エキス (168.3 g、11.2%)、n-BuOH可溶画分エキス (251.1 g、16.7%)、H2O可溶画分エキス (96.5 g、6.4%) を得た。
【0068】
(2) AcOEt可溶画分の精製
得られたEtOAc可溶画分エキス (150.0 g)を順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー[3.0 kg、ヘキサン:酢酸エチル = (5:1 → 1:1) → 酢酸エチル→CHCl3→ CHCl3:MeOH = (5:1 → 1:1) → MeOH]で分画し、Fr. 1 (295.7 mg)、Fr. 2 (15.5 g)、Fr. 3 (1.5 g)、Fr. 4 (2.7 g)、Fr. 5 (1.1 g)、Fr. 6 (13.3 g)、Fr. 7 (0.1 g)、Fr. 8 (6.8 g)、Fr. 9 (3.2 g)、Fr. 10 (16.2 g)、Fr. 11 (6.7 g)、Fr. 12 (3.1 g)、Fr. 13 (20.3 g)、Fr. 14 (0.1 g ) を得た。
【0069】
Fr. 6 (13.3 g) を逆相ODSカラムクロマトグラフィー[390.0 g、MeOH:H2O = (90:10) → MeOH] にて分画し、Fr.6-1 (599.2 mg)、Fr. 6-2 (10.2 g)、Fr. 6-3 [=ウルソール酸 (900.0 mg、0.10%)]、Fr. 6-4 (312.0 mg)、Fr. 6-5 (151.3 mg)、Fr. 6-6 (993.2 mg) を得た。
Fr. 6-2 (400.0 mg) を逆相HPLC [検出:RI、カラム:Inertsil ODS-3 (250×20 mm(内径))、溶出剤:MeOH:H2O = (90:10)、流速:9.0 mL/分]を用いて分離精製し、3-β-ヒドロキシウルス-11-エン-13β(28)-オリド(13.1 mg、0.039%)、ウルソール酸 (308.0 mg、0.92%)を単離した。
【0070】
Fr. 13 (20.3 g) を逆相ODS カラムクロマトグラフィー[600.0 g、MeOH:H2O = (90:10) → MeOH ] にて分画し、Fr.13-1 (994.1 mg)、Fr. 13-2 (197.7 mg)、Fr. 13-3 (506.8 mg)、Fr. 13-4 (10.6 g)、Fr. 13-5 (509.4 mg)、Fr. 13-6 (1.1 g)、Fr.13-7 (477.0 mg)、Fr. 13-8 (662.8 mg)、Fr. 13-9 (1.2 g)、Fr. 13-10 (3.5 g) を得た。
Fr. 13-6 (500.0 mg) を逆相HPLC [検出:RI、カラム:Inertsil ODS-3 (250×20 mm(内径))、溶出剤:MeOH:H2O = (45:55)、流速:9.0 mL/分]を用いて分離精製し、ルチン (48.7 mg、0.012%)、ケンフェロール-3-O-ルチノシド (32.8 mg、0.0079%) を単離した。
【0071】
Fr. 13-8 (662.8 mg) を逆相HPLC [検出:RI、カラム:Inertsil ODS-3 (250×20 mm(内径))、溶出剤:MeOH:H2O = (35:65)、流速:9.0 mL/分]を用いて分離精製し、マテノシドB(11.3 mg、0.0013%) を単離した。 Fr. 13-9 (250.0 mg) を逆相HPLC [検出:RI、カラム:Inertsil ODS-3 (250×20 mm(内径))、溶出剤:MeOH:H2O = (35:65)、流速:9.0 mL/分]を用いて分離精製し、マテサポニン1(21.6 mg、0.010%)を単離した。
上記の既知化合物については、いずれもこれら化合物の1H-NMRおよび13C-NMRスペクトルデータと文献値との比較により同定した。
【0072】
(3)n−BuOH可溶画分の精製
得られたn-BuOH可溶画分エキス(150.0 g) を順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー[3.0 kg、CHCl3 → CHCl3:MeOH:H2O = 10:3:1 (下層) → 7:3:1 (下層) → 6:4:1 → MeOH] で分画し、Fr. 1 (14.7 g)、Fr. 2 (26.9 g)、Fr.3 (30.8 g)、Fr. 4 (41.3 g)、Fr. 5 (34.5 g)、Fr. 6 (5.5 g) を得た。
【0073】
Fr. 1 (14.0 g)を逆相ODS カラムクロマトグラフィー[420.0 g、MeOH:H2O = (10:90) → (30:70) → (50:50) → (70:30) → MeOH] にて分画し、Fr. 1-1 (438.4 mg)、Fr. 1-2 [=テオブロミン(1.3 g、0.15%)]、Fr. 1-3 [=カフェインe (3.3 g、0.38%)]、Fr. 1-4 [=カフェイン(928.5 mg、0.38%)]、Fr. 1-5 (1.2 g)、Fr. 1-6 (755.7 mg)、Fr. 1-7 (1.0 g)、Fr. 1-8 (282.9 mg)、Fr. 1-9 (352.3 mg)、Fr. 1-10 (70.3 g)、Fr. 1-11 (1.5 g)、Fr. 1-12 (430.0 mg) を得た。
Fr. 1-5 (1.2 g)から再結晶(MeOH)によりカフェイン(567.6 mg、0.065%) を単離した。
【0074】
Fr. 2 (25.0 g) を逆相ODS カラムクロマトグラフィー[750.0 g、MeOH:H2O = (10:90) → (30:70) → (50:50) → (70:30) → (80:20) → MeOH] にて分画し、Fr. 2-1 (663.2 mg)、Fr. 2-2 (4.4 g)、Fr. 2-3 (829.0 mg)、Fr. 2-4 (1.7 g)、Fr. 2-5 (1.1 g)、Fr. 2-6 (748.4 mg)、Fr. 2-7 (157.0 mg)、Fr. 2-8 (446.2 mg)、Fr. 2-9 (442.0 mg)、Fr. 2-10 (260.2 mg)、Fr. 2-11 (9.0 g)、Fr. 2-12 (1.7 g)、Fr. 2-13 (1.5 g)、2-14 (237.5 mg) を得た。
【0075】
Fr. 2-7 (157.0 mg)をHPLC [検出:RI、カラム:Inertsil ODS-3 (250×20 mm(内径))、溶出剤:MeOH:H2O = (60:40)、流速:9.0 mL/分] を用いて分離精製し、(R)-リナリル 6-O-アラビノピラノシル グルコピラノシド(74.8 mg、0.090%)を単離した。 Fr. 2-11 (500.0 mg) をHPLC [検出:RI、カラム:Inertsil ODS-3 (250×20 mm(内径))、溶出剤:MeOH:H2O = (70:30)、流速:9.0 mL/分] を用いて分離精製し、マテサポニン1(31.4 mg、0.051%) を単離した。
【0076】
Fr. 2-14 (237.5 mg) をHPLC [検出:RI、カラム:Inertsil ODS-3 (250×20 mm(内径))、溶出剤:CH3CN:MeOH:[H2O:EtOAc = (99:1)] = (35:16:49)、流速:9.0 mL/分] を用いて分離精製し、マテサポニン1(27.7 mg、0.029%)、マテサポニンJ3b(17.4 mg、0.060%)、マテサポニンJ3a(30.3 mg、0.10%)、3-O-β-D-グルコピラノシル(1→3)-α-L-2-O-アセチルアラビノピラノシル ウルソール酸 28-O-β-D-グルコピラノシド(13.6 mg、0.047%) を単離した。
【0077】
Fr. 3 (30.0 g) を逆相ODS カラムクロマトグラフィー[900.0 g、MeOH:H2O = (10:90) → (30:70) → (50:50) → (70:30) → (80:20) → MeOH] にて分画し、Fr. 3-1 (404.4 mg)、Fr. 3-2 (1.8 g)、Fr. 3-3 (1.7 g)、Fr. 3-4 (426.1 mg)、Fr. 3-5 [=ルチン (2.2 g、0.25%)]、Fr. 3-6 [=ケンフェロール-3-O-ルチノシド (1.5 g、0.17%)]、Fr. 3-7 (2.4 g)、Fr. 3-8 (1.2 g)、Fr. 3-9 (5.1 g)、Fr. 3-10 (11.0 g)、Fr. 3-11 (1.7 g)、Fr. 3-12 (465.0 mg) を得た。
【0078】
Fr. 3-8 (1.2 g) をHPLC [検出:RI、カラム:Inertsil ODS-3 (250×20 mm(内径))、溶出剤:MeOH:H2O = (65:35)、流速:9.0 mL/分] を用いて分離精製し、マテノシドA(177.2 mg、0.020%) を単離した。 Fr. 3-9 (1.0 g) をHPLC [検出:RI、カラム:Inertsil ODS-3 (250×20 mm(内径))、溶出剤:MeOH:H2O = (70:30)、流速:9.0 mL/分]を用いて分離精製し、3-O-α-L-ラムノピラノシル(1→2)-α-L-アラビノピラノシル オレアノール酸 28-O-β-D-グルコピラノシル(1→6)-β-D-グルコピラノシド (363.1 mg、0.21%) を単離した。
【0079】
Fr. 3-10 (2.0 g) をHPLC [検出:RI、カラム:Inertsil ODS-3 (250×20 mm(内径))、溶出剤:MeOH:H2O = (70:30)、流速:9.0 mL/分] を用いて分離精製し、Fr. 3-10-1 (198.6 mg)、Fr. 3-10-2 (237.1 mg)、Fr. 3-10-3 [=ヌディカウシンC(215.9 mg、0.10%)]、Fr. 3-10-4 (560.4 mg) を得た。
【0080】
Fr. 3-10-1 (198.6 mg) をHPLC [検出:RI、カラム:Inertsil ODS-3 (250×20 mm(内径))、溶出剤:MeOH:H2O = (70:30)、流速:9.0 mL/分] を用いて分離精製し、3-O-α-L-ラムノピラノシル(1→2)-α-L-アラビノピラノシル オレアノール酸 28-O-β-D-グルコピラノシル(1→6)-β-D-グルコピラノシド(67.3 mg、0.007%)を単離した。
【0081】
Fr. 3-10-2 (237.1 mg) をHPLC [検出:RI、カラム:Inertsil ODS-3 (250×20 mm(内径))、溶出剤:MeOH:H2O = (70:30)、流速:9.0 mL/分] を用いて分離精製し、Fr. 3-10-2-1 (53.5 mg)、Fr. 3-10-2-2 [=ヌディカウシンC(36.4 mg、0.017%)] を単離した。Fr. 3-10-2-1 (53.5 mg) をHPLC [検出:RI、カラム:Inertsil ODS-3 (250×20 mm(内径))、溶出剤:MeOH:H2O = (69:31)、流速:9.0 mL/分] を用いて分離精製し、マテサポニン2(6.3 mg、0.0029%) を単離した。
【0082】
Fr. 4 (30.0 g) を逆相ODS カラムクロマトグラフィー[1.2 kg、MeOH:H2O = (10:90) → (30:70) → (50:50) → (70:30) → (80:20) → MeOH] にて分画し、Fr. 4-1 (2.5 g)、Fr. 4-2 (4.3 g)、Fr. 4-3 (13.2 g)、Fr. 4-4 (5.2 g)、Fr. 4-5 [=ルチン (2.2 g、0.25%)]、Fr. 4-6 (1.2 g)、Fr. 4-7 (956.8 mg)、Fr. 4-8 (2.7 g)、Fr. 4-9 (2.9 g)、Fr. 4-10 (1.7 g)、Fr. 4-11 (786.2 mg)、Fr. 4-12 (601.4 mg)、Fr. 4-13 (1.6 g) を得た。
【0083】
Fr. 4-3 (4.0 g) を逆相ODS カラムクロマトグラフィー[120.0 g、MeOH:H2O = (10:90) → (20:80) → (30:70) → (40:60) → (50:50) → MeOH]にて分画し、3,5-O-ジカフェオイルキニン酸 (2.6 g、0.32%)を単離した。
Fr. 4-7 (500.0 mg) をHPLC [検出:RI、カラム:Inertsil ODS-3 (250×20 mm(内径))、溶出剤:MeOH:H2O = (60:40)、流速:9.0 mL/分] を用いて分離精製し、マテサポニン3(44.8 mg、0.0099%) を単離した。
【0084】
Fr. 4-8 (2.4 g) をHPLC [検出:RI、カラム:Inertsil ODS-3 (250×20 mm(内径))、溶出剤:MeOH:H2O = (70:30)、流速:9.0 mL/分] を用いて分離精製し、Fr. 4-8-1 (53.8 mg)、Fr. 4-8-2 (489.8 mg)、Fr. 4-8-3 (1.2 g)、Fr. 4-8-4 (56.5 mg)、Fr. 4-8-5 (82.2 mg)、Fr. 4-8-6 (392.5 mg) を得た。
【0085】
Fr. 4-8-2 (489.8 mg) をHPLC [検出:RI、カラム:Inertsil ODS-3 (250×20 mm(内径))、溶出剤:CH3CN:H2O = (30:70)、流速:9.0 mL/分] を用いて分離精製し、マテサポニン5(72.4 mg、0.0094%) を単離した。Fr. 4-8-3 (500.0 mg) をHPLC [検出:RI、カラム:Inertsil ODS-3 (250×20 mm(内径))、溶出剤:MeOH:H2O = (65:35)、流速:9.0 mL/分] を用いて分離精製し、マテノシドC(55.6 mg、0.074%)を単離した。
【0086】
Fr. 4-9 (1.5 g) をHPLC [検出:RI、カラム:Inertsil ODS-3 (250×20 mm(内径))、溶出剤:CH3CN:H2O = (30:70)、流速:9.0 mL/分] を用いて分離精製し、マテサポニン5(97.0 mg、0.021%)、マテノシドC(457.1 mg、0.10%) を単離した。
Fr. 4-11 (786.2 mg) をHPLC [検出:RI、カラム:Inertsil ODS-3 (250×20 mm(内径))、溶出剤:MeOH:H2O = (30:70)、流速:9.0 mL/分] を用いて分離精製し、Fr. 4-11-1 (115.4 mg)、Fr. 4-11-2 (58.7 mg)、Fr. 4-11-3 (262.9 mg)、Fr. 4-11-4 (53.7 mg)、Fr. 4-11-5 (197.6 mg) を得た。
【0087】
Fr. 4-11-1 (115.4 mg)をHPLC [検出:RI、カラム:Inertsil ODS-3 (250×20 mm(内径))、溶出剤:MeOH:H2O = (68:32)、流速:9.0 mL/分]を用いて分離精製し、マテノシドC(20.8 mg、0.024%)を単離した。
Fr. 4-11-2 (58.7 mg) をHPLC [検出:RI、カラム:Inertsil ODS-3 (250×20 mm(内径))、溶出剤:MeOH:H2O = (70:30)、流速:9.0 mL/分] を用いて分離精製し、マテサポニン4 (29.7 mg、0.034%) を単離した。
Fr. 4-11-3 (262.9 mg) をHPLC [検出:RI、カラム:Inertsil ODS-3 (250×20 mm(内径))、溶出剤:MeOH:H2O = (65:35)、流速:9.0 mL/分] を用いて分離精製し、3-O-α-L-ラムノピラノシル(1→2)-α-L-アラビノピラノシル オレアノール酸 28-O-β-D-グルコピラノシル(1→6)-β-D-グルコピラノシド (65.7 mg、0.07%) を単離した。
【0088】
Fr. 5 (33.0 g) を逆相ODS カラムクロマトグラフィー[1.2 kg、MeOH:H2O = (10:90) → (30:70) → (50:50) → (70:30) → MeOH] にて分画し、Fr. 5-1 (6.8 g)、Fr. 5-2 (9.4 g)、Fr. 5-3 [=5-O-カフェオイルキニン酸 (3.5 g、0.40%)]、Fr. 5-4 (6.7 g)、Fr. 5-5 (3.1 g)、Fr. 5-6 (4.4 g)、Fr. 5-7 (287.9 mg)、Fr. 5-8 (1.2 g) を得た。
Fr. 5-4 (500.0 mg) をHPLC [検出:RI、カラム:Inertsil ODS-3 (250×20 mm(内径))、溶出剤:MeOH:H2O = (10:90)、流速:9.0 mL/min] を用いて分離精製し、5-O-カフェオイルキニン酸(20.8 mg、0.032%)、3-O-カフェオイルキニン酸(105.9 mg、0.16%)、4-O-カフェオイルキニン酸 (94.2 mg、0.15%)を単離した。
【0089】
上記の既知化合物については、いずれもこれら化合物の1H-NMRおよび13C-NMRスペクトルデータと文献値との比較により同定した。
上記のように本発明により酢酸エチル可溶画分から見出されたマテノシドB、n−ブタノール可溶画分から見出されたマテノシドAおよびCの物性値を以下に示す。
【0090】
(4) マテノシドA〜Cの諸物性値
マテノシドA:黄色粉末
旋光度:[α]D25 +18.7° (c = 0.13、MeOH)
高分解能 陽イオンFAB-MS
理論値:C47H76O18Na (M+Na)+:951.4933
実測値:951.4938
IR (KBr、cm-1): 3600、1716、1650、1070
陽イオンFAB-MS:m/z 951 (M+Na)+
陰イオンFAB-MS:m/z 927 (M-H)-
【0091】
マテノシドB:白色粉末
旋光度:[α]D29+47.3°(c = 0.63、MeOH)
高分解能陽イオンFAB-MS
理論値:C41H66O13Na (M+Na)+:789.4412
実測値:789.4407
IR (KBr、cm-1): 3507、1653、1072
陽イオンFAB-MS:m/z 789 (M+Na)+
【0092】
マテノシドC:白色粉末
旋光度:[α]D25 −5.56° (c = 0.64、MeOH)
高分解能陽イオンFAB-MS
理論値:C59H96O26Na (M+Na)+:1243.6089
実測値:1243.6094
IR (KBr、cm-1):3432、1080、1036
陽イオンFAB-MS:m/z 1243 (M+Na)+
陰イオンFAB-MS:m/z 1219 (M-H)-
【0093】
既知化合物については、文献値の1H-NMRおよび13C-NMRスペクトルデータの比較により同定した。
【0094】
(5) HPLCによる糖の同定
マテノシドA(17.0 mg) を5%H2SO4水溶液-1,4-ジオキサン(1:1、v/v、1 ml) に溶解させ、2時間加熱還流した。反応液を陰イオン交換樹脂アンバーライトIRA-400 (商品名)(OH-型)で中和し、樹脂を濾別後、溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。
得られた生成物を、EtOAcとH2Oで分配し、水相画分を以下に示す条件で旋光度検出器によるHPLC分析を行い、加水分解で得られた糖を、標品と比較して同定した。その結果、マテノシドAの構成糖はL-アラビノースおよびD-グルコースであることが判明した。
マテノシドB(3.5 mg)、マテノシドC(3.3 mg)についても同様の処理を行った。その結果、マテノシドBの構成糖はL-アラビノースおよびD-グルコースであることが判明した。
また、マテノシドCの構成糖はL-アラビノース、D-グルコース、L-ラムノースであることが判明した。
【0095】
HPLC条件
検出機:Shodex OR-2
カラム:Kaseisorb LC NH2-60-5 (4.6 x 250 mm(内径)、5μm)
溶媒:MeCN-H2O (80:20、v/v)
流速:0.8 ml/分
注入量:20 μL
カラム温度:室温
【0096】
保持時間
L-アラビノース:8.3 分
D-グルコース:9.5分
L-ラムノース:6.5分
【0097】
マテノシドA、BおよびC1H−NMR(600 MHz)データおよび13C−NMR(150 MHz)データを以下の表にまとめて示す。
【0098】
【表2】

【0099】
【表3】

【0100】
本願発明により見出された新規サポニン化合物、マテノシドA、マテノシドBおよびマテノシドCに関して、それぞれの化学構造式に1H−NMRおよび13C−NMRのケミカルシフトの値を記入した構造式と、C−H相関を示した構造式をそれぞれの物理データと共に以下に示す。
【0101】
【化8】

【0102】
【化9】

【0103】
【化10】

【0104】
試験例1
マテチャ抽出物のリパーゼ阻害活性作用
評価方法
基質としてトリオレイン溶液[トリオレイン80 mg、ホスファチジルコリン 10 mg、タウロコール酸 5 mgに0.1 M トリス緩衝液 (0.1 M NaCl含有、pH 7.0) 9 mLを加え、10分間超音波処理を行った溶液]100 μL に被験サンプル溶液5 μL を加え、トリス緩衝液 (pH 7.0) を95 μL 加え、全量を200 μLとした。37℃で3 分間予備加温したのち、リパーゼ溶液(ブタ膵臓由来)50 μLを加えて30分間反応させ、その後2分間沸騰水浴 (90〜100℃) に入れて反応を停止させた。
別に、各サンプルにつきリパーゼ溶液に代えてトリス緩衝液を50 μL 加え、同様の操作を行ったものを盲検として調製した。
生成したオレイン酸の量をNEFA Cキット法 (NEFA C-テストワコー:和光純薬製)により測定した。
リパーゼはトリス緩衝液に溶解し、本実験条件下で約0.7 m当量/Lのオレイン酸が生成する濃度に調製した。被験サンプルはDMSOを用いて溶解し、希釈した。比較対照薬としてorlistat(ゼニカル:商標)を用いた。
【0105】
以下に、マテチャのメタノール抽出物、酢酸エチル可溶画分、n−ブタノール可溶画分、マテノシドC、マテノサポニン1、ヌディカウシンCおよび3-O-α-L-ラムノピラノシル(1→2)-α-L-アラビノピラノシル オレアノール酸 28-O-β-D-グルコピラノシル(1→6)-β-D-グルコピラノシドの各種濃度におけるリパーゼ阻害活性作用の結果を示す。
【0106】
【表4】

【0107】
上記の結果から、リパーゼ阻害活性試験において、マテチャのメタノール抽出物、酢酸エチル可溶画分、n−ブタノール可溶画分、マテノシドC、マテノサポニン1、ヌディカウシンCおよび3-O-α-L-ラムノピラノシル(1→2)-α-L-アラビノピラノシル オレアノール酸 28-O-β-D-グルコピラノシル(1→6)-β-D-グルコピラノシドはいずれも、リパーゼ阻害活性を有し、遊離脂肪酸産生抑制効果を有することが判明した。
【0108】
実施例2
当該分野で公知の方法に従って、マテチャ抽出物10重量部を乳糖25重量部と混合し、ゼラチンカプセルに充填し、1カプセル中に抽出物が500 mg含有されるゼラチンカプセル剤を得た。
【0109】
実施例3
実施例1で得られた酢酸エチル可溶画分を実施例2のマテチャ抽出物に替えて、実施例2と同様にして、ゼラチンカプセル剤を得た。
【0110】
実施例4
実施例1で得られたn−BuOH可溶画分の濃縮物を実施例2のマテチャ抽出物に替えて、実施例2と同様にして、ゼラチンカプセル剤を得た。
【0111】
実施例5
米粉50重量部、砂糖5重量部、全卵10重量部、実施例1で得られたマテチャ抽出物1重量部を秤量した。
全卵に砂糖を混合した後、予め篩に通した米粉を加え、軽く混ぜ合わせて生地を作り、これを適当な形に成形し、オーブンで焼き上げて、せんべいを作った。
【0112】
実施例6
実施例1で得られた酢酸エチル可溶画分を実施例5のマテチャ抽出物に替えて、実施例5と同様にしてせんべいを作った。
【0113】
実施例7
実施例1で得られたn−BuOH可溶画分の濃縮物を実施例5のマテチャ抽出物に替えて、実施例5と同様にして、せんべいを作った。
【0114】
実施例8
小麦粉100重量部、塩4重量部、実施例1で得られたマテチャ抽出物5重量部および水45重量部を秤量し、常法に従ってこれらをよく混合して、うどんを製造した。
【0115】
実施例9
実施例1で得られた酢酸エチル可溶画分を実施例8のマテチャ抽出物に替えて、実施例8と同様にしてうどんを製造した。
【0116】
実施例10
実施例1で得られたn−BuOH可溶画分の濃縮物を実施例8のマテチャ抽出物に替えて、実施例8と同様にして、うどんを製造した。
【0117】
実施例11
以下の処方に従って、清涼飲料水(ドリンク)100mLを調製した。
マテチャ抽出物 1 (重量/容量)%
食物繊維 5 (重量/容量)%
ビタミンB2 0.002 (重量/容量)%
ビタミンB6 0.005 (重量/容量)%
ビタミンC 0.1 (重量/容量)%
果糖ブドウ糖液糖 5 (重量/容量)%
水 適量
【0118】
実施例12
実施例1で得られた酢酸エチル可溶画分を実施例11のマテチャ抽出物に替えて、実施例11と同様にしてドリンクを製造した。
【0119】
実施例13
実施例1で得られたn−ブタノール可溶画分を実施例11のマテチャ抽出物に替えて、実施例11と同様にしてドリンクを製造した。
【0120】
実施例14
以下の処方に従って、健康食品(カプセル剤)100gを調製した。
マテチャ抽出物 30重量%
ギャバ 30重量%
テアニン 30重量%
ビタミンC 30重量%
乳糖 30重量%
【0121】
実施例15
実施例1で得られた酢酸エチル可溶画分を実施例14のマテチャ抽出物に替えて、実施例14と同様にしてカプセル剤を製造した。
【0122】
実施例16
実施例1で得られたn−ブタノール可溶画分を実施例14のマテチャ抽出物に替えて、実施例14と同様にしてカプセル剤を製造した。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明によるマテチャ抽出物、または該抽出物に含まれる本発明によるサポニン化合物の少なくとも一つを有効成分とする組成物は、リパーゼ阻害活性作用を有しており、遊離脂肪酸産生阻害剤、抗肥満、抗脂血症、抗メタボリックシンドローム用組成物として安全に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の一般式(1):
【化1】

[式中、
1は、α−L−アラビノピラノシル基、β−D−グルコピラノシル−(1→3)−α−L−アラビノピラノシル基またはα−L−ラムノピラノシル−(1→2)−O−[β−D−グルコピラノシル−(1→3)]−α−L−アラビノピラノシル基であり、
2は、β−D−グルコピラノシル基またはβ−D−グルコピラノシル−(1→6)−β−D−グルコピラノシル基であり、
3およびR4は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基であり、
5はメチル基またはヒドロキシメチル基である]
で表されるサポニン化合物。
【請求項2】
前記式(1)の化合物において、R1がβ−D−グルコピラノシル−(1→3)−β−D−アラビノピラノシル基であり、R2がβ−D−グルコピラノシル基であり、R3がメチル基であり、R4が水素原子であり、R5がヒドロキシメチル基である請求項1に記載のサポニン化合物。
【請求項3】
前記式(1)の化合物において、R1がα−L−アラビノピラノシル基であり、R2がβ−D−グルコピラノシル基であり、R3がメチル基であり、R4が水素原子であり、R5がヒドロキシメチル基である請求項1に記載のサポニン化合物。
【請求項4】
前記式(1)の化合物において、R1がα−L−ラムノピラノシル−(1→2)−O−[β−D−グルコピラノシル−(1→3)]−α−L−アラビノピラノシル基であり、R2がβ−D−グルコピラノシル−(1→6)−β−D−グルコピラノシル基であり、R3が水素原子であり、R4がメチル基であり、R5がメチル基である請求項1に記載のサポニン化合物。
【請求項5】
マテチャを水または含水低級アルコールで抽出して抽出液を得、さらに必要に応じてこの抽出液を酢酸エチル/水およびn-ブタノール/水で分配処理して得られる有機溶媒可溶画分を含み、請求項1〜4に記載の少なくとも1つの化合物を含むマテチャ抽出物。
【請求項6】
マテチャがモチノキ科モチノキ属植物であるマテチャの乾燥葉部である請求項5に記載の抽出物。
【請求項7】
請求項1〜4に記載の化合物の少なくとも1つまたは請求項5または6に記載の抽出物を有効成分として含む医薬用組成物。
【請求項8】
遊離脂肪酸産生抑制に使用される請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
抗肥満、抗高脂血症または脂肪肝改善に使用される請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1〜4に記載の化合物の少なくとも一つ、請求項5または6に記載の抽出物あるいは請求項7に記載の組成物を含む健康食品。

【公開番号】特開2009−196902(P2009−196902A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−37522(P2008−37522)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(391062137)田村薬品工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】