説明

マルチキャストプロキシ装置

【課題】 複数の端末からのマルチキャスト通信の要求に基づき各端末のマルチキャスト通信の品質をバランスよく確保する技術を提供することである。
【解決手段】 各コンテンツに対応する通信帯域と、該通信帯域のコンテンツを提供するサーバのアドレスとを管理するサーバ管理部110、各端末の重み付け又は優先順位を管理する端末管理部140と、前記各端末からのコンテンツ送信要求を受信し、前記コンテンツの配信に関する少なくとも1つ帯域の情報を取得し、使用可能な残り帯域と前記端末の重み付け又は優先順位に基づきコンテンツサーバを選択するサーバ選択部210と、を有するマルチキャストプロキシ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP網でのマルチキャスト通信に関し、特に、家庭などに設置されるマルチキャスト端末を収容するプロキシ装置に係わる。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの普及とともに、ADSL,光ファイバ通信などのブロードバンド化が急速に普及し始めている。さらに、利用者が通信に使える帯域も大容量化し、映像や音楽などのコンテンツもユニキャスト通信によりリアルタイムに映像を見たり音楽を聴いたりできるようになってきた。
【0003】
ユニキャスト通信では、コンテンツプロバイダにとって同一コンテンツの送信であっても利用者数に乗じた通信帯域を消費するなどの問題がある。マルチキャスト通信では、コンテンツプロバイダにとって同一コンテンツを送信する場合、利用者数が増加しても使用する帯域が比例して増加しなという帯域消費を抑制できるメリットがある。このようなメリットを享受すべくサーバからマルチキャストプロトコルをサポートする端末(以降、「PC」と呼ぶことがある。)へインターネットを経由したコンテンツをマルチキャスト配信する運用が始まっている。
【0004】
ところで、IPネットワーク網でサーバから送信されるコンテンツは、このサーバから利用者の近くのエッジルータまでの帯域制御を行うことは技術的に可能である。例えば、サーバからエッジルータまでの帯域をMPLSやRSVPプロトコルなどを採用して保証することは可能である。また、エッジルータから家庭内のルータまではVLANの識別子ごとに最低帯域を保証することができる。
【0005】
家庭内のルータは、複数の端末を収容する。したがって、例えば、小規模なネットワーク(家庭、小規模のグループ、SOHO、共同住宅など、本明細書ではこれらをまとめて「家庭など」と呼ぶことがある。)の構築と同じであり、この小規模ネットワークとエッジルータ間のマルチキャストパケットに関する帯域制御や優先制御が必要となってくる。マルチキャストパケットはエッジルータで複製されて転送されるので、エッジルータから家庭などのルータまでが帯域のボトルネックとなりやすい。家庭などの中に使用されるルータは100Mbps以上をサポートする製品が廉価で販売されている。おりこれを使用すれば、家庭などの中のネットワークでの帯域に不足になりにくい。
【0006】
即ち、このような小規模ネットワークにおいて帯域制御を行わない場合には、その複数の利用者が使用する帯域の合計が使用可能帯域を超えた場合には、複数の利用者はコンテンツを支障なく視聴することができなくなることがありうる。マルチキャストによるコンテンツとしてテレビ放送などのような動画が想定できるが、動画や音楽はMPEGに代表されるようなデータ圧縮を行っており、パケットの欠落により圧縮データ単位あるいは1フレーム全体に影響し、画像の乱れや音質の劣化に至ってしてしまう。
【0007】
したがって、特に、画像データや映像の通信では、通信帯域の管理が重要な課題となる。
【0008】
このようなマルチキャスト通信における帯域制御に関する先行技術文献として、限られた通信帯域を持つ回線又はネットワークにおいて、複数の加入者に対して配信されるコンテンツが各加入者の嗜好や目的に合致している場合に優先的に帯域を割り当てる、通信サービス帯域制御方法及びシステムの提供する技術が開示されている。(特許文献1)
【特許文献1】特開2002-290452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、小規模ネットワーク内での各端末間のマルチキャスト通信の帯域は管理されていないのが現状である。このようなことから輻輳状態に陥るとほとんどの端末では、マルチキャストパケットの廃棄などにより、例えば、映像コンテンツがデスプレイ上に乱れて表示されることになる。
【0010】
本発明の目的は、複数の端末からのマルチキャスト通信の要求に基づき各端末のマルチキャスト通信の品質をバランスよく確保する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のマルチキャストプロキシ装置は、 各コンテンツの受信に対応する通信帯域と、該通信帯域のコンテンツをサーバから受信するために必要なアドレスとを管理するサーバ管理部と、
端末からコンテンツ要求を受信し、前記コンテンツの受信に関する少なくとも1帯域と1アドレスの情報をサーバ管理部から取得し、使用可能な残り帯域と前記端末の重み付け又は優先順位に基づきサーバを選択するサーバ選択部と、を有し、受信したマルチキャストパケットをコンテンツ要求のあった少なくとも1端末に送信する。
【0012】
マルチキャストプロキシ装置は、複数の端末からのコンテンツ要求に応じて、各端末の重み付けまたは優先度によって適切な帯域を有するコンテンツを提供するサーバを選択し、バランスのとれた帯域を使用してコンテンツを端末に配信することができる。
【0013】
また、前記端末からのコンテンツ要求に基づき前記端末の重み付け又は優先順位に基づき接続中のコンテンツサーバを他のコンテンツサーバに変更することにより各端末の帯域を調整することができる。
【0014】
また、前記端末からのコンテンツ要求は前記端末に設定された優先度又は重み付けに従い前記コンテンツ要求の帯域と異なるサーバに接続することにより、各端末の帯域を保障してもよい。
【0015】
また、前記端末と同一のコンテンツをコンテンツ要求する配下の端末は、設定された優先度従い接続先のマルチキャストサーバを変更してもよい。
【0016】
また、前記端末からのコンテンツ要求されるコンテンツが有料である場合に、所望の倍率の帯域を有するコンテンツサーバに接続してもよい。
【0017】
また、自装置配下の端末からのコンテンツ要求を自装置が持つサーバ管理部と照合し、予め登録された特定のマルチキャストであった場合、登録された優先度に従って接続先のマルチキャストサーバを変更する機能を持ってもよい。
【0018】
また、端末からのコンテンツ要求合計帯域を設定可能とし、設定帯域値以上になった場合に予め設定された端末からのコンテンツ受信セションを切断する機能を持ってもよい。
【0019】
また、マルチキャストサーバの選定基準として配信されるマルチキャストの優先度フィールドを選択基準とした優先制御を行ってもよい。
【0020】
また、接続されているIP網との間の帯域を設定もしくは自動で認識して、その帯域量により配下の端末と接続するマルチキャストサーバを変更する機能を持ってもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、各端末の優先順位又は重み付けに応じて、各端末の通信帯域をバランスよく確保するようにサーバを選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
1. マルチキャストプロキシ装置とネットワークシステム
図1は、本発明のマルチキャストプロキシ装置(MCProxy)10を用いたネットワークシステムの1例の構成を示す図である。
【0023】
このネットワークシステムでは、1つのコンテンツについて、例えば、同一コンテンツを高品質(Gr1H),中品質(Gr1M),低品質(Gr1L)というように3つのコンテンツサーバにて、異なる帯域(例えば、広帯域は高画像品質)により利用者(視聴者)に提供することができる。なお、高品質(広帯域)のコンテンツとしては、例えば映像については、画面のサイズが大きい、単位時間当たりのフレーム送信数が多い、画面の圧縮率が小さいなどをあげることができる。
これら3つのコンテンツサーバの形態は、独立した1つのコンピュータ上に複数のコンテンツサーバを動作させ、各コンテンツサーバに異なるIPアドレスを割り当ててもよい。また、1つのコンピュータ上に3つのコンテンツサーバを動作させてもよい。
【0024】
これらのコンテンツサーバ群から送出されるIPマルチキャストパケットのストリームは、図1のFHR(First HOP Router)、Core Router, Edge Routerを経由して家庭などに配信される。さらに、Edge Router(アクセスルータであってもよい)では、家庭などへの配信にはVLAN(Virtual LAN)を介して契約等により最低保証帯域をVLAN単位に保証することができる。即ち、本発明では、コンテンツサーバから家庭などのマルチキャストプロキシ装置(McProxy)10までの通信において何らかの手段により最低帯域が保証されているものとする。また、コンテンツ要求時にコンテンツサーバからエッジルータ(またはアクセスルータ)までのパスをMPLSやRSVPなど帯域保証技術を使って帯域保証してもよい。
【0025】
そして、マルチキャストプロキシ装置10には複数の端末(例えば、PC1,PC2,PC3)を接続することができる。
【0026】

2. マルチキャストプロキシ装置の各部機能
図2は本発明のマルチキャストプロキシ装置10の基本構成例を示す図である。
【0027】
図3は図2に示した本発明のマルチキャストプロキシ装置10の各部動作概要を説明する図である。図3中1)乃至9)は図2中の1)乃至9)に対応する。
【0028】

2.1. 設定機能
まず、マルチキャストプロキシ装置10の管理者あるいは端末利用者は、本装置を導入して動作させる前に、ネットワーク、端末やコンテンツ等に関する全部または一部の設定を行う必要がある。図2および図10に沿って説明する。
【0029】
図2において、端末への複数接続ポート(port1乃至port4の例を示すがこれに限定されない)の1つに接続された端末(たとえばPC1)はWebブラウザを使って、URLの代わりに特定のIPアドレス(例えば、IPv4プライベートアドレスとして(192.168.0.1)またはIPv6のユニークローカルユニキャストアドレスであってもよい)を指定して手動設定部250に端末IF部240を介して接続する。
【0030】
手動設定部250は、各管理部(例えば、端末管理部140、プレミアム番組管理部130、サーバ管理部110、通信帯域管理部120)に設定する情報をWebブラウザから入力するためにHTML言語に基づく1つ以上のメニューを生成し、前記PC1のWebブラウザ画面に表示する。また、Webブラウザ画面から入力された情報を対応する各管理部に格納することによりマルチキャストプロキシ装置10を導入した後の環境設定を手動により行うことができる。
【0031】
なお、自動設定部270および手動設定部250の両方から書き込まれるサーバ管理部110と通信帯域管理部120の排他制御を行うためのセレクタ260が設けられている。
【0032】
マルチキャストプロキシ装置10の管理者は、以下に示す各管理部に必要な管理情報を入力し、設定する。
【0033】

2.1.1 端末管理部
ステップS51乃至ステップS54(図10)では、マルチキャストプロキシ装置および端末に関するの設定を行う。
【0034】
手動設定部250は、図5に記載の設定情報に対応するものとして「PC. No.」、「MACアドレス」、「Weight」および「輻輳時の切断」を入力するためのメニューをPC(例えばPC1)のWebブラウザ画面に表示する。管理者は各端末について、「Weight(パケット転送に関する重み付け)」,「輻輳時の切断」の値の設定を端末利用者(例えば、PC1乃至PC3)に対応させて入力し、設定する。
【0035】
重み付け(Weight)の値は、各PCに割り当てることができる。即ち、全重み付けの合計値に対して各PCの重み付けの値が、全帯域に対する各PCの重み付けに応じて割り当てられる帯域となる。
【0036】
たとえば、契約最低保証帯域が8Mbpsであり、PC1の「Weight(重み付け)」が5、全PCの合計の重み付け値が10の場合は、PC1に割り当て可能な帯域は8*4/10=4.0Mbpsとなる。Weight(ウエイト)値は、各端末において同じ値または異なる値であってもよい。
【0037】
マルチキャストプロキシ装置10は、例えば、PC1からのコンテンツコンテンツ要求(例えばMLD: Multicast Listener Discovery Protocolのreportに相当する)が4Mbpsを満足するようにPC1の帯域(PC1がコンテンツ要求するコンテンツの帯域)を選択・管理する。詳細は後述する。
【0038】
「輻輳時の切断」は、複数の端末からのコンテンツ帯域要求の合計が輻輳切断帯域を越えた場合で、「輻輳時の切断」が「Yes」と設定され、かつ、「Weight」の設定値が小さく設定されたPCから切断する。それでもコンテンツ要求帯域が足りない場合には、次に「輻輳時の切断」が可能であり、「Weight(ウエイト)」の設定値が小さいPCを切断する。そして、帯域要求が満足される、さもなければ、切断対象端末がなくなるまでこれを繰り返す。
【0039】

2.1.2 端末状態管理部
サーバ選択部210は、図6に記載の端末状態管理部の管理情報に対応するものとして、現在、コンテンツサーバとマルチキャスト通信を行っているPCについて、「PC No.」、「Port接続状態」、「番組」、「接続先サーバのアドレス」等を、端末状態管理部150に記録する。そして、サーバ選択部210は、端末状態管理部150に記録された各端末の現在の状態に基づき、端末からの新たなコンテンツ要求を制御する。
【0040】
また、サーバ選択部210はallow, blockなどのエッジルータへの要求に基づき端末状態管理部150に各端末の状態を更新してよい。
【0041】

2.1.3 サーバ管理部
手動設定部250および自動設定部270は、図4に記載の番組に対応する各情報として「ジャンル」、「Grアドレス(番組アドレス)」,「サーバアドレス」、「帯域」「DSCP(Differentiated Services Code Point)優先度」、および「有料」などを入力するためのメニューをPC(例えばPC1)のWebブラウザ画面に表示する。
【0042】
このサーバ管理部には、番組をキーとして、この番組に対応した少なくとも1つのサーバアドレス、ジャンル、グループアドレス(Grアドレス)、サーバアドレス、帯域、DSCP優先度、有料/無料、開始・終了日時についての情報が設定される。
【0043】

2.1.4 プレミアム番組管理部
ステップS52では、プレミアムコンテンツのコンテンツ要求に関する設定を行う。
【0044】
有料コンテンツあるいは特定ジャンルコンテンツのコンテンツ要求時の通信品質に関して優先度として加重すべき値を格納する。なお、例えば、×2はWeight(ウエイト)値を2倍として計算すること示す。
【0045】

2.1.5通信帯域管理部
ステップS53では、帯域(最低保証帯域,輻輳時の切断開始帯域など)関する設定を行う。
【0046】
通信帯域管理部120は、マルチキャストプロキシ装置10が外部のネットワークに接続される回線の帯域情報、輻輳時の切断等の関する値を保持する。
【0047】
手動設定部250および自動設定部270は、図7に記載の管理情報について値を設定するために、外部のネットワークに接続される回線の「最低保証帯域」、「輻輳
切断帯域」等を入力するためのメニューをPC(例えばPC1)のWebブラウザ画面に表示する。管理者はメニー画面に基づき値の設定を行う。
【0048】

3. マルチキャストプロキシ装置の自動設定及び自動更新
ステップS54では、番組、マルチキャストコンテンツを提供するサーバアドレス、通信帯域などに関する設定を行う。
【0049】
まず、マルチキャストプロキシ装置10を使ってコンテンツサーバなどと通信を行う前に、必要な制御情報を設定する必要がある。
【0050】
即ち、収容する複数端末の帯域制御を行うには、サーバなどから最低保証通信帯域や最大通信帯域などを自動的に取得し、通信帯域管理部120に設定することが望ましい。また、前述のように手動により設定することも可能であるが、自動設定よりも正確な設定が行われない可能性は高くなる。
【0051】
自動的に取得するかどうかは、通信帯域管理部120に自動取得およびサーバのアドレスがそれぞれ設定されていれば自動的にダウンロードすることができる。
【0052】
自動設定部270は配信されるコンテンツに関しても、特定のサーバにて公開されている番組(コンテンツ)情報をFTP(File Transfer Protocol)、telnet等より自動的に収得(ダウンロード)し、所定の管理部、例えばサーバ管理部110や通信帯域管理部120に設定してもよい。また、設定情報は自動設定部270により定期的にダウンロードされ、更新されてもよい。
【0053】

図9はPCからのマルチキャストコンテンツ要求時の動作例を各種管理部との連携に着目した処理フローを示す図である。
【0054】
あるユーザーがマルチキャストプロキシ装置10のport1に接続されている端末(例えばPC1)からマルチキャストコンテンツ要求を受信した場合における動作例を以下に示す。
【0055】
例えば、マルチキャストプロキシ装置は、PC1からのマルチキャストコンテンツ要求のパケットを端末IF部240で受信し、端末IF部240はマルチキャストプロトコルのパケットであることを認識するとそのパケット端末側(MLDv1)終端部230に送出する。また、ユニキャストであれば、IP網接続IF部280へ転送する。
【0056】
端末側(MLDv1)終端部230はマルチキャストプロトコルパケットの終端を行い、マルチキャストコンテンツ要求先のマルチキャストグループアドレスおよびPCアドレスなどを抽出し、サーバ選択部210に送出する。そして、サーバ選択部はそれらをフィルタ処理部220に送出する。
【0057】


ステップS101では、サーバ選択部210(図2)は、ある端末から新たなコンテンツ要求のあったマルチキャストグループの帯域について、サーバ管理部110にアクセスし、マルチキャストグループアドレスをキーとして通信に必要な帯域を求める。
【0058】
たとえば、図4において、Grアドレス(マルチキャストグループアドレス)がff3e:100::2:1の場合の帯域は4Mbps(コンテンツサーバアドレスは2004:9:2::1)または2Mbps(コンテンツサーバアドレスは2004:9:2::2)のいずれかを選択できることが分かる。
【0059】
そして、端末状態管理部150からの現在の各使用帯域量を読み出すとともに、通信帯域管理部120から最低保証帯域を読み出し、未使用帯域(現在の使用可能帯域)を求める。
【0060】

ステップS102では、前記コンテンツ要求のあったマルチキャストグループの中で最大帯域と未使用帯域とを比較して未使用帯域の方が大きい(合計使用帯域が最低保証帯域以下)であるかどうかを判定する。
この条件(未使用帯域の方が大きい)を満足していれば、このコンテンツ要求はそのまま受け入れられてステップS106に分岐する。
【0061】

ステップS103では、新たなコンテンツ要求を満足する帯域が足りないので、通信帯域管理部120を参照し、輻輳切断開始帯域と合計使用帯域とを比較し、合計使用帯域が輻輳切断帯域を越えていない場合には、ステップS105に分岐する。
【0062】
ステップS104では、接続中の端末について、端末管理部140に基づきの通信切断可能な端末を抽出し、サーバ選択部210は通信中のセッションを切断することにより必要な帯域確保を試みる。すなわち、輻輳時に切断可能な端末があるかどうかを通信状態管理部150および端末管理部140をアクセスして、通信中で、輻輳時に切断可能な端末を抽出する。通信セッションの切断候補端末がない場合には、ステップS105に分岐する。
【0063】
ステップS105では、端末管理部140から接続中の各端末のウエイト情報を取得し、端末状態管理部150から、現在、使用中の各端末の使用帯域を求める。そして、全体帯域×コンテンツ要求のあった各端末のウエイト値/前記ウエイト合計値について各端末の帯域として求める。なお、複数の端末が全く同一のマルチキャストを受信している場合の例外については後述する。
【0064】
ステップS106では、サーバ管理部110を参照して、各端末に割り当てられた帯域を満足するようにグループアドレス(Grアドレス)およびサーバアドレス等を選択する。
【0065】
ステップS107では、端末状態管理部150を参照し、選択したGrアドレス、サーバアドレス等にもとづきサーバに接続あるいは接続先の変更を行う。
【0066】
ステップS108では、コンテンツサーバから送られてくるマルチキャストパケットをフィルタ処理部220により、コンテンツ要求のあった端末のみにマルチキャストパケットを転送するようにフィルタリング処理を行う。
【0067】

以上が、マルチキャストプロキシ装置の処理概要を各管理部との連携を中心に説明である。
【0068】

図10はマルチキャストプロキシ装置の動作概略シーケンスを示す図である。
【0069】
ステップS51では、既に説明した各端末のウエイトの値を設定する。ステップS52では、既に説明した各端末共通のプレミアム情報の設定を行う。ステップS53では、最低保証帯域、輻輳切断開始帯域などの設定を行う。ステップS54では、マルチキャストコンンテンツに関する情報(サーバアドレス,帯域,グループアドレス等)を設定する。
【0070】
このような各管理部の設定を終えたならば、ステップS55乃至ステップS58により、各端末はコンテンツサーバに対してコンテンツ要求を行ってコンテンツをマルチキャスト通信により受信することができる。
【0071】

図11は本発明のマルチキャストプロキシ装置による優先制御のシーケンスを示す図である。
【0072】
まず、図11に記載のネットワーク機器の接続構成を説明する。
【0073】
各サーバとエッジルータとの間には図示していないがサーバ側に接続されるルータとしてマルチキャストプロトコルをサポートするFirst Hop Routerが存在し、First Hop Routerとエッジルータとの間ではPIM-SSM(Protocol Independent Multicast - Source Specific Multicast)によるマルチキャスト通信が行なわれる。本実施の態様では、複数のサーバを集合させることによりサーバ群として記載している。
【0074】
即ち、1つのコンテンツであっても、例えば、高品質(広帯域)のコンテンツあるいは低品質(狭帯域)コンテンツのサーバをそれぞれ用意することにより、利用者のネットワーク環境(最低保証帯域など)にあったコンテンツを提供することができる。サーバ群は1コンテンツの品質に応じて1つ以上の帯域の異なるコンテンツを提供する。
【0075】
マルチキャストプロキシ装置とエッジルータとの間にはMLDV2マルチキャストプロトコルによりマルチキャスト通信が行なわれる。即ち、マルチキャストプロキシ装置はグループアドレス(番組)を指定するとともに、コンテンツサーバのアドレスを指定することができる。
【0076】
つまり、同一番組を指定し、さらに、サーバのアドレスを可変にすることにより、異なるコンテンツの品質のサーバを選択することができる。
【0077】
PCとマルチキャストプロキシ装置との通信は、最低保証帯域、サーバ接続中PCが使用するマルチキャスト合計帯域、ウエイト等の情報に基づき、各PCからのコンテンツ要求受信時に各PC間での優先制御および特定帯域を有するコンテンツサーバの選択を適切に行うことができる。
【0078】

以下、図中のシーケンスにそって本発明の動作を説明する。以下の段落記号「(A1)〜(C13)」及び見出しは図中記載のそれぞれに対応する。
【0079】

(A1) PC3からGr2サーバへのコンテンツ要求
PC3(低優先度:ウエイト値は2)は、マルチキャストプロキシ装置(MCProxy)にGr2の番組に対するコンテンツ要求(Report (Gr2))を送信する。
【0080】
このとき、コンテンツ要求(Allow(Gr2高品質サーバアドレス、Gr2))はMLDV2形式であってもよい。しかしながら、このサーバのアドレス指定はマルチキャストプロキシ装置により無視される。つまりMLDV1形式と同様に取り扱われる。
無視する理由は、マルチキャストプロキシ装置はマルチキャスト通信帯域を監視しており、各端末が使用するマルチキャスト通信帯域の合計と最低保証帯域などとの関係に基づき、最適な帯域を各PCに割り当てるようコンテンツサーバを選択することによりバランスのよいマルチキャスト通信を提供する。
【0081】
例えば、コンテンツ要求が4Mbpsであっても、使用可能な残り帯域が4Mbps未満の場合などでは、指定されたサーバアドレスをマルチキャストプロキシ装置が適切な通信帯域(例えば2Mbpsなど)を使用するコンテンツサーバのアドレスに書き換えることがある。
【0082】
更に詳細に説明すると、例えば、マルチキャストプロキシ装置はPC3からGr2の番組のコンテンツ要求(この実施の態様では、MLDv1 report(Gr2))を端末側終端部230が受信し、このコンテンツ要求のメッセージをサーバ選択部210に転送する。
【0083】
サーバ選択部210はサーバ管理部110を参照し、Gr2の番組の最大帯域が4Mbps(最低帯域は2Mbps)であることの情報を取得する。
【0084】
次に、通信帯域管理部120から最低保証帯域を取得し、この帯域が6Mbpsであることが分かる。即ち、4Mbpsコンテンツを提供するサーバを選択できる(図9のステップ102では、ステップS106に分岐する)。
【0085】

(A2) Gr2高品質サーバへのコンテンツ要求
サーバ選択部210は、サーバ管理部110からGr2番組(高品質)の4Mbpsコンテンツのサーバアドレス2004:9:2::1を得る。そして、IP網側(MLDv2)終端部290を介してコンテンツサーバ(2004:9:2::1)に対するコンテンツ要求としてMLDv2 allow(2004:9:2::1,ff3e:100::2:1)をエッジルータ(マルチキャストルータ機能を有する)に送信する。このとき、DSCP優先度として「高」が指定されているので高パケット転送が行なわれるように処理する。また、「有料」コンテンツではないので通常の処理を行うが、指定された「有料」コンテンツ、ジャンル、登録番組と一致する場合には、指定された倍率(整数または固定小数点を有する整数)のウエイトを使用してサーバを選択してもよい。
【0086】

(A3) マルチキャストエッジルータの処理
マルチキャストプロキシ装置からのコンテンツ要求を受信したエッジルータは、例えば、PIM-SSMプロトコルのJoinを使用して指定されたGr2コンテンツサーバ(2004:9:2::1)を収容するFirst Hop Routerにマルチキャスト通信を行うための接続を行う。なお、既に、他の端末などによりコンテンツサーバ(2004:9:2::1)とのマルチキャスト通信がすでに行われている場合には、PIM-SSMプロトコルによるマルチキャスト通信を行うための新たな接続は行なわれない。
【0087】

(A4) First Hop Router (FHR)
FHRは、少なくともGr2コンテンツサーバからマルチキャスト通信用のデータを受信している。そして、PIM-SSMプロトコルを使用して指定されたGr2コンテンツサーバ(2004:9:2::1)へのJoinを受信すると、FHRは前記エッジルータにGr2コンテンツサーバ(2004:9:2::1)からのマルチキャストパケットの送信を開始する。
【0088】
そしてマルチキャストプロキシ装置はGr2コンテンツサーバ(2004:9:2::1)からコンテンツを受信することができる。この受信したマルチキャストパケットは、フィルタ処理部220によりコンテンツ要求のあったPC3に転送される。そして、PC3はGr2コンテンツサーバ(2004:9:2::1)から送信されるコンテンツを受信することができる。
【0089】

(B1) PC1からGr2サーバへのコンテンツ要求の受信
マルチキャストプロキシ装置(MCProxy)は、PC3に受信したコンテンツを配信中に、PC1(高優先度:ウエイト値は5)からGr1の番組に対するコンテンツ要求(Report (Gr1))を受信する。このときも、前述のようにコンテンツ要求(Allow(Gr1高品質サーバアドレス, Gr1))はMLDV2形式であってもよい。
【0090】
サーバ選択部210はサーバ管理部110を参照し、Gr1の番組の最大帯域が4Mbps(他の最低帯域は1Mbps)であることの情報を取得する。次に、通信帯域管理部120から外部回線の最低保証帯域を取得し、この帯域が6Mbpsであることが分かる。そして、既にPC3が4Mbpsの帯域を使用しており、残り使用最大帯域は2Mbpsであることが分かる。ここで、図9記載のステップS102からステップS105の処理が行なわれ、輻輳切断帯域(図7)は10Mbps以上であるため通信中セッションの切断処理は行なわれずに、Weight値計算および帯域割り当て処理が行なわれる。
【0091】
ウエイト値は端末管理部140を参照し、PC1が5、PC3が2であることが分かる。PC1とPC3のウエイト値を合計し、帯域の割り当て比率を求める式は、PC1ウエイト値=5/7*6Mbpsとなり、PC3ウエイト値=2/7*6Mbpsとなる。
よって、PC1の割当て可能帯域は4.3Mbps、PC3は1.7Mbpsとなる。
【0092】
この割り当て帯域に沿って、サーバ選択部210はサーバ管理部110を検索し、コンテンツ要求の番組および帯域条件を満たすコンテンツサーバを検索する。
そして、前記割り当て可能帯域に近いコンテンツ帯域の割り当てとして、PC1はGr1高品質サーバ(4Mbps)、PC3はGr2中品質サーバ(2Mbps)を選択することが可能であると判定する。
【0093】

(B2)コンテンツサーバの切り替えによる帯域再割り当て
マルチキャストプロキシ装置は、上記端末の帯域再割り当てに伴い、PC3の帯域を現在の4Mbpsから2Mbpsに変更する必要が生じる。帯域の変更手順を次ぎに示す。
【0094】
マルチキャストプロキシ装置は、PC3が受信しているGr2高品質サーバ(2004:9:2::1)に対して受信停止(Block(2004:9:2::1,ff3e:100::2:1)をエッジルータに送信する。
【0095】

(B3) エッジルータでの受信停止処理
エッジルータは上記受信停止要求(block)を受信すると、受信停止要求を行なったマルチキャストプロキシ装置に対するマルチキャストの送信を停止するとともに、他のマルチキャストユーザの受信がなければ、FHRに対してPrune(Gr2((2004:9:2::1))を送信する。FHRはPruneを受信すると、マルチキャストデータパケットを前記エッジルータへの送信を止める。そして、マルチキャストプロキシ装置での帯域は4Mbpsが追加的に使用できる状態になる。
【0096】

(B4) エッジルータへのコンテンツ要求
次に、マルチキャストプロキシ装置はGr2コンテンツサーバ(帯域2Mbps)からの中品質のコンテンツを受信するためにコンテンツ要求(Allow (2004:9:2::2Gr2))をエッジルータへ送信する。このとき、DSCP優先度として「高」が指定されているので高パケット転送が行なわれるように処理する。また、「有料」コンテンツではないので通常の処理を行うが、指定された「有料」コンテンツ、ジャンル、登録番組と一致する場合には、指定された倍率(整数または固定小数点を有する整数)のウエイト値を使用してサーバを選択してもよい。
【0097】

(B5) エッジルータからFHRへのコンテンツ要求
マルチキャストプロキシ装置からのコンテンツ要求を受信したエッジルータは、受信したコンテンツ要求(Allow (2004:9:2::2, Gr2))に基づき、PIM-SSMプロトコルのJoinを使用して指定されたGr2コンテンツサーバ(2004:9:2::2)を収容するFirst Hop Router にマルチキャスト通信を行うための接続を行う。この例では、PIM-SSMプロトコルを使用しているが、他のマルチキャストプロトコルであってもかまわない。
【0098】

(B6) First Hop Router (FHR)
PIM-SSMプロトコルを使用して指定されたGr2コンテンツサーバ(2004:9:2::2)へのJoinを受信すると、FHRは前記エッジルータにGr2コンテンツサーバ(2004:9:2::2)からのマルチキャストパケットの送信を開始する。
【0099】
このマルチキャスト通信の開始により、マルチキャストプロキシ装置はGr2コンテンツサーバ(2004:9:2::2)からコンテンツを受信することができる。この受信したマルチキャストパケットは、フィルタ処理部220によりコンテンツ要求のあったPC3転送される。またPC3と同じようにGr2コンテンツサーバ(2004:9:2::2)にコンテンツ要求しているPCがあればそのPCにも受信したマルチキャストパケットは、フィルタ処理部220により転送される。
【0100】
フィルタ処理部220は、PC3に最初に接続したコンテンツサーバ(4Mbps)および切り替え後に接続したコンテンツサーバ(2Mbps)の両方のパケットが混在しないようにコンテンツサーバ(4Mbps)からのマルチキャストパケット(送信元アドレスが2004:9:2::1)を遮断(フィルタリング)する。そして、PC3はGr2コンテンツサーバ(2004:9:2::2)から送信されるコンテンツを受信することができる。
【0101】
サーバ選択部210は端末状態管理部150にPC3について使用帯域4Mbpsを設定する。また、サーバ設定部210はallow, blockなどのエッジルータへの要求に基づき端末状態管理部150に使用帯域を更新してもよい。
【0102】

(B7)PC1からGr1サーバへのコンテンツ要求の受信
マルチキャストプロキシ装置(MCProxy)は、PC3が2Mbpsのコンテンツを受信中あるいは受信処理手続き中に、PC1(高優先度:ウエイト5)からのGr1の番組に対するコンテンツ要求をエッジルータに送信する。より詳細には、サーバ選択部210は、サーバ管理部110からGr1番組(高品質)の4Mbpsコンテンツのサーバアドレス2004:9:1::1を得る。そして、IP網側(MLDv2)終端部290を介してコンテンツサーバ(2004:9:1::1)に対するコンテンツ要求としてMLDv2 allow(2004:9:1::1,ff3e:100::1:1)をエッジルータ(マルチキャストルータ機能を有する)に送信する。このとき、DSCP優先度として「高」が指定されているので高パケット転送が行なわれるように処理する。また、「有料」コンテンツではないので通常の処理を行うが、指定された「有料」コンテンツ、ジャンル、登録番組と一致する場合には、指定された倍率(整数または固定小数点を有する整数)のウエイト値を使用してサーバを選択してもよい。
【0103】

(B8) マルチキャストエッジルータの処理
マルチキャストプロキシ装置からのコンテンツ要求を受信したエッジルータは、例えば、PIM-SSMプロトコルのJoinを使用して指定されたGr1コンテンツサーバ(2004:9:1::1)を収容するFirst Hop Router(にマルチキャスト通信を行うための接続を行う。この場合、既に、他の端末などによりコンテンツサーバ(2004:9:1::1)とのマルチキャスト通信が既に行われている場合には、PIM-SSMプロトコルによるマルチキャスト通信を行うための新たな接続は行なわれない。
【0104】

(B9) First Hop Router (FHR)
FHRは、少なくともGr1高品質コンテンツサーバからマルチキャスト通信用のデータを受信している。そして、PIM-SSMプロトコルを使用して指定されたGr1コンテンツサーバ(2004:9:1::1)へのJoinを受信すると、FHRは前記エッジルータにGr2コンテンツサーバ(2004:9:1::1)からのマルチキャストパケットの送信を開始する。
【0105】
このマルチキャスト通信の開始により、マルチキャストプロキシ装置はGr1コンテンツサーバ(2004:9:2::1)からコンテンツを受信することができる。この受信したマルチキャストパケットは、フィルタ処理部220によりコンテンツ要求のあったPC1に転送される。そして、PC1はGr12コンテンツサーバ(2004:9:1::1)から送信されるコンテンツを受信することができる。
【0106】

なお、優先度の高いPC1などがマルチキャスト番組を切り替えながらチャネルサーフィンを行っている場合には、輻輳が発生して、他のPCの受信に悪影響(帯域の自動切換えに伴う画質の一時的な低下)を与える可能性がある。
【0107】
したがって、ある番組の受信の開始から一定時間を経過するまで低画質のコンテンツを選択するようにしてもよい。
【0108】

図12はPC2およびPC3が同一の帯域を有する同一コンテンツを同一サーバから受信した場合の処理フローを示す図である。
【0109】

(C1) PC2からGr2高優先サーバへのコンテンツ要求の受信
マルチキャストプロキシ装置(MCProxy)は、サーバから受信したコンテンツをPC1およびPC3に配信しているときに、PC2(中優先度:ウエイト値は4)からGr2の番組に対するコンテンツ要求(Report(Gr2))を受信する。
【0110】

マルチキャストプロキシ装置はコンテンツ要求(Report(Gr2))を一旦終端処理する。MLDv1では、他PC(端末)が同一マルチキャストのコンテンツ要求をしたい場合には、既にマルチキャストパケットを他の端末も受信できるので、新規にMLD reportを出す必要は無い。
しかしながらマルチキャストプロキシ装置にてPC3からのコンテンツ要求(MLD report)とマルチキャストパケットをフィルタ処理部220でPC2に流さないフィルタリング処理を行うので、PC2はマルチキャストパケットを受信していることを把握できない。よってPC2からGr2のコンテンツ要求であるMLD reportをマルチキャストプロキシ装置に出力させることが可能になる。
【0111】

サーバ選択部210は、端末状態管理部150の接続先サーバを確認すること、およびサーバ管理部の番組、サーバアドレスの一覧から同一番組Gr2をPC3が受信していることを判定する。
【0112】
そして、同一コンテンツ同一帯域であるため、PC2のウエイト値4とPC3のウエイト値2を合計してGr2のウエイト値を6を求めることができる。即ち、マルチキャストプロトコルの特徴を活かして帯域の割り当てを行う。
【0113】
以上の計算からPC1のウエイト値は5、PC2およびPC3のウエイト値はそれぞれ6と設定される。ただし、ウエイト値の合計値は11である。そして、このウエイト合計値と各ウエイト値に基づいて帯域の割り当てを求める。
計算結果を以下に示す。
【0114】
PC1=5/11*6=2.7
PC2=6/11*6=3.3
PC3=6/11*6=3.3
帯域の割り当ては、PC2およびPC3を優先し、3.3Mbpsに近いコンテンツであるGr2のサーバアドレスをサーバ管理部110から取得する。その結果、最も近い4Mbpsのコンテンツを選択する。別の選択基準として、3.3Mbpsより狭く、且つ、もっとも近い帯域のコンテンツを提供するサーバを選択してもよい。
以上から、PC2,PC3はGr2 4MbpsのGr2高品質サーバ, PC1は1MbpsのGr1の低品質サーバを選択する判断を行う。
【0115】

(C2)コンテンツサーバの切り替えによる帯域再割り当て
マルチキャストプロキシ装置は、上記PC1,PC3の帯域再割り当てに伴い、先ず、PC1の帯域を現在の4Mbpsから1Mbpsに変更する必要が生じる。帯域の変更手順を次ぎに示す。
【0116】
マルチキャストプロキシ装置は、PC1が受信しているGr1高品質サーバ(2004:9:1::1)に対して受信停止要求(Block(2004:9:1::1, ff3e:100::1:1)をエッジルータに送信する。
【0117】

(C3) エッジルータでの受信停止処理
エッジルータは上記受信停止要求(block)を受信すると、要求のあったマルチキャストプロキシ装置に対するマルチキャストの送信を停止するとともに、他のマルチキャストユーザの受信がなければ、FHRに対してPrune(2004:9:1::1, ff3e:100::1;1)を送信する。
【0118】

(C4) エッジルータへのマルチキャスト送信の停止
FHRはPruneを受信すると、マルチキャストデータパケットを前記エッジルータへの送信を止める。そして、マルチキャストプロキシ装置での帯域は4Mbpsが追加的に使用できる状態になる。
【0119】

(C5) エッジルータへのコンテンツ要求
次にマルチキャストプロキシ装置は、PC1を低品質Gr1コンテンツサーバ(帯域1Mbps)を受信するためにコンテンツ要求(Allow (2004:9:1::3,Gr1))をエッジルータへ送信する。このとき、DSCP優先度として「ベストエフォート」が指定されているのでベストエフォートでのパケット転送が行なわれるように処理する。
また、「有料」コンテンツではないので通常の処理を行うが、指定された「有料」コンテンツ、ジャンル、登録番組と一致する場合には、指定された倍率(整数または固定小数点を有する整数)のウエイトを使用してサーバを選択してもよい。
(C6) エッジルータからFHRへのコンテンツ要求
マルチキャストプロキシ装置からの前記コンテンツ要求を受信したエッジルータは、受信したコンテンツ要求(Allow (2004:9:1::3, Gr1))に基づき、Gr1コンテンツサーバ(帯域1Mbps)のFHRに対してPIM-SSMプロトコルのJoinを使用して指定されたGr1コンテンツサーバ(2004:9:1::3)を収容するFirst Hop Router にマルチキャスト通信を行うための接続を行う。
【0120】

(C7) サーバからのコンテンツ配信
マルチキャストプロキシ装置はGr2低品質サーバからマルチキャストパケットを受信し、フィルタ処理部220を介してPC1に配信する。
【0121】

(C8)受信停止要求
マルチキャストプロキシ装置は、PC3が受信しているGr2中品質サーバ(2004:9:2::2)に対して受信停止要求(Block(2004:9:2::2, ff3e:100::2:1))をエッジルータに送信する。
【0122】

(C9) エッジルータでの受信停止処理
エッジルータは上記視聴停止要求(block)を受信すると要求のあったマルチキャストプロキシ装置に対するマルチキャスト送信を停止するとともに、他のマルチキャストユーザの受信がなければ、FHRに対してPrune(2004:9::2,ff3e:100:2:1)を送信する。
【0123】

(C10) エッジルータへのマルチキャスト送信の停止
FHRはPruneを受信すると、マルチキャストデータパケットを前記エッジルータへの送信を止める。そして、マルチキャストプロキシ装置での帯域は2Mbpsが追加的に使用できる状態になる。
【0124】

(C11) エッジルータへのコンテンツ要求
次にマルチキャストプロキシ装置は、PC2からの高品質Gr2コンテンツサーバ(帯域4Mbps)を受信するためにコンテンツ要求(Allow (2004:9:2::1, Gr2))をエッジルータへ送信する。このとき、DSCP優先度として「高」が指定されているので高パケット転送が行なわれるように処理する。また、「有料」コンテンツではないので通常の処理を行うが、指定された「有料」コンテンツ、ジャンル、登録番組と一致する場合には、指定された倍率(整数または固定小数点を有する整数)のウエイト値を使用してサーバを選択してもよい。
【0125】

(C12) エッジルータからFHRへのコンテンツ要求
マルチキャストプロキシ装置からのコンテンツ要求を受信したエッジルータは、受信したコンテンツ要求(Allow (2004:9:2::2 Gr2))に基づき、PIM-SSMプロトコルのJoinを使用して指定されたGr2コンテンツサーバ(2004:9:2::2)を収容するFirst Hop Router にマルチキャスト通信を行うための接続を行う。この例では、PIM-SSMプロトコルを使用しているが、他のマルチキャストプロトコルであってもかまわない。
【0126】

(C13) First Hop Router (FHR)
PIM-SSMプロトコルを使用して指定されたGr2コンテンツサーバ(2004:9:2::1)へのJoinを受信すると、FHRは前記エッジルータにGr2コンテンツサーバ(2004:9:2::1)からのマルチキャストパケットの送信を開始する。
【0127】
このマルチキャスト通信の開始により、マルチキャストプロキシ装置はGr2コンテンツサーバ(2004:9:2::1)からコンテンツを受信することができる。この受信したマルチキャストパケットは、フィルタ処理部220によりコンテンツ要求のあったPC2転送される。またPC2と同じようにGr2コンテンツサーバ(2004:9:2::1)にコンテンツ要求しているPCがあればそのPCにも受信したマルチキャストパケットは、フィルタ処理部220により転送される。
【0128】
フィルタ処理部220は、PC3に最初に接続したコンテンツサーバ(2Mbps)および切り替え後に接続したコンテンツサーバ(4Mbps)の両方のパケットが混在しないようにコンテンツサーバ(4Mbps)からのマルチキャストパケット(送信元アドレスが2004:9:2::2)を遮断(フィルタリング)する。そして、PC2およびPC3はGr2コンテンツサーバ(2004:9:2::1)から送信されるコンテンツを受信することができる。
【0129】
サーバ選択部210は端末状態管理部150にPC2およびPC3について使用帯域4Mbpsを設定する。
なお、本発明においては以下に示す構成を有する発明もある。
【0130】
(付記1)
各コンテンツの受信に対応する通信帯域と、該通信帯域のコンテンツをサーバから受信するために必要なアドレスとを管理するサーバ管理部と、
各端末の重み付け又は優先順位を管理する端末管理部と、
前記端末からコンテンツ要求を受信し、前記コンテンツの受信に関する少なくとも1帯域と1アドレスの情報をサーバ管理部から取得し、使用可能な残り帯域と前記端末の重み付け又は優先順位に基づきサーバを選択するサーバ選択部と、を有し、受信したマルチキャストパケットをコンテンツ要求のあった少なくとも1端末に送信するマルチキャストプロキシ装置。
【0131】
(付記2)
端末からのコンテンツ要求に基づき前記端末の重み付け又は優先順位に基づき接続中のコンテンツサーバを他のコンテンツサーバに変更することにより各端末の帯域を調整する付記1記載のマルチキャストプロキシ装置。
【0132】
(付記3)
前記端末からのコンテンツ要求は前記端末に設定された優先度又は重み付けに従い前記コンテンツ要求の帯域と異なるサーバに接続することにより、各端末の帯域を保障する付記1記載のマルチキャストプロキシ装置。
【0133】
(付記4)
前記端末と同一のコンテンツをコンテンツ要求する配下の端末は、設定された優先度従い接続先のマルチキャストサーバを変更する付記1記載のマルチキャストプロキシ装置。
【0134】
(付記5)
前記端末からのコンテンツ要求されるコンテンツが有料である場合に、所望の倍率の帯域を有するコンテンツサーバに接続する付記1記載のマルチキャストプロキシ装置。
【0135】
(付記6)
自装置配下の端末からのコンテンツ要求を自装置が持つサーバ管理部と照合し、予め登録された特定のコンテンツであった場合、その登録に対応する情報に従って接続先のサーバを選択する機能を持つマルチキャストプロキシ装置。
【0136】
(付記7)
複数端末からのコンテンツ要求合計帯域を設定可能とし、設定値以上になった場合に予め設定された端末からのコンテンツ要求を切断する機能を持つマルチキャストプロキシ装置。
【0137】
(付記8)
接続されているIP網との間の帯域を設定もしくは自動で認識して、その帯域量により配下の端末と接続するマルチキャストサーバを変更する機能を持つマルチキャストプロキシ装置。
【0138】
(付記9)
前記サーバ選択部はウエイト値をマルチキャストグループの合計値をそのグループに所属する1端末のウエイト値としてサーバの選択を行う機能を有するマルチキャストプロキシ装置。
【0139】
(付記10)
各コンテンツの受信に対応する通信帯域と、該通信帯域のコンテンツをサーバから受信するために必要なアドレスとを管理するサーバ管理部と、
端末からコンテンツ要求を受信し、前記コンテンツの受信に関する少なくとも1帯域と1アドレスの情報をサーバ管理部から取得し、使用可能な残り帯域と前記端末の重み付け又は優先順位に基づきサーバを選択するサーバ選択部と、を有し、受信したマルチキャストパケットをコンテンツ要求のあった少なくとも1端末に送信するマルチキャストプロキシ装置。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明のマルチキャストプロキシ装置を有するネットワークの構成例を示す図である。
【図2】本発明のマルチキャストプロキシ装置の基本構成例を示す図である。
【図3】本発明のマルチキャストプロキシ装置の各部動作概要を示す図である。
【図4】本発明のサーバを管理する管理部のデータベースの形式を示す図である。
【図5】本発明の端末設定情報を格納する管理部のデータベースの形式を示す図である。
【図6】本発明の端末状態を格納する管理部のデータベースの形式を示す図である。
【図7】マルチキャストプロキシ装置の帯域を格納する管理部のデータベースの形式を示す図である。
【図8】有料番組や番組の嗜好に応じたプレミアム情報を格納する管理部のデータベースの形式を示す図である。
【図9】本発明のマルチキャストプロキシ装置の処理フローを示す図である。
【図10】本発明のマルチキャストプロキシ装置の動作概略シーケンスを示す図である。
【図11】本発明のマルチキャストプロキシ装置の端末間での優先制御シーケンスを示す図である。
【図12】端末台数による優先制御シーケンスを示す図である。
【符号の説明】
【0141】
10 マルチキャストプロキシ装置
100 管理部
110 サーバ管理部
120 通信帯域管理部
130 プレミアム番組管理部
140 端末管理部
150 端末状態管理部
210 サーバ選択部
220 フィルタ処理部
250 手動設定部
270 自動設定部
260 排他制御セレクタ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
各コンテンツの受信に対応する通信帯域と、該通信帯域のコンテンツをサーバから受信するために必要なアドレスとを管理するサーバ管理部と、
各端末の重み付け又は優先順位を管理する端末管理部と、
前記端末からコンテンツ要求を受信し、前記コンテンツの受信に関する少なくとも1帯域と1アドレスの情報をサーバ管理部から取得し、使用可能な残り帯域と前記端末の重み付け又は優先順位に基づきサーバを選択するサーバ選択部と、を有し、受信したマルチキャストパケットをコンテンツ要求のあった少なくとも1端末に送信するマルチキャストプロキシ装置。
【請求項2】
端末からのコンテンツ要求に基づき前記端末の重み付け又は優先順位に基づき接続中のコンテンツサーバを他のコンテンツサーバに変更することにより各端末の帯域を調整する付記1記載のマルチキャストプロキシ装置。
【請求項3】
前記端末からのコンテンツ要求は前記端末に設定された優先度又は重み付けに従い前記コンテンツ要求の帯域と異なるサーバに接続する付記1記載のマルチキャストプロキシ装置。
【請求項4】
前記端末と同一のコンテンツをコンテンツ要求する配下の端末は、設定された優先度に従い接続先のマルチキャストサーバを変更する付記1記載のマルチキャストプロキシ装置。
【請求項5】
自装置配下の端末からのコンテンツ要求を自装置が持つサーバ管理部と照合し、予め登録された特定のコンテンツであった場合、その登録に対応する情報従って接続先のマルチキャストサーバを選択する機能を持つマルチキャストプロキシ装置。
【請求項6】
端末からコンテンツ要求合計帯域を設定可能とし、設定値以上になった場合に予め設定された端末からのコンテンツ受信セションを切断する機能を持つマルチキャストプロキシ装置。
【請求項7】
各コンテンツの受信に対応する通信帯域と、該通信帯域のコンテンツをサーバから受信するために必要なアドレスとを管理するサーバ管理部と、
端末からコンテンツ要求を受信し、前記コンテンツの受信に関する少なくとも1帯域と1アドレスの情報をサーバ管理部から取得し、使用可能な残り帯域と前記端末の重み付け又は優先順位に基づきサーバを選択するサーバ選択部と、を有し、受信したマルチキャストパケットをコンテンツ要求のあった少なくとも1端末に送信するマルチキャストプロキシ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−246395(P2006−246395A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−62936(P2005−62936)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】