説明

マルチメモリーカードコネクタ

【課題】カードが1枚だけ挿入でき、誤挿入を防止可能なマルチメモリーカードコネクタを提供する。
【解決手段】可動フック21は、挿入口14に配置され、挿入空間16に対し前進または後退が可能で、復元ユニット19によって前進状態を維持する。可動隔離板31は、挿入空間16を上下の二つの空間に分割し、上下に移動可能である。可動隔離板31は作用アーム32を有し、作用アーム32は誘導斜面34と作用部36とを有し、作用部36は可動フック21の作動に応じ、係止溝26に入り込むか、または静止を保持する。二つの端子組は、挿入空間16に入り込むようにハウジング11内に配置され、第一端子組41は下方に位置付けられ、複数の第一端子42を有し、第二端子組51は上方に位置付けられ、複数の第二端子52を有する。第二端子52の一部分は可動隔離板31の中空部位38に位置付けられ、かつ可動隔離板31の上方に部分的に突出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子メモリーカードの読取に用いるメモリーカードコネクタに関し、特に、カードが1枚だけ挿入でき誤挿入を防止可能なマルチメモリーカードコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人が請求した米国特許第US7,267,561号による誤挿入を防止可能な技術は、コネクタの両側に可動ブロックを配置し、内部にストッパーを配置し、可動ブロックによってストッパーの動きを制限するものである。正確な方法でメモリーカードを挿入すれば、メモリーカードの両側は二つの可動ブロックを押し出し、ストッパーのロック状態を解除し、ストッパーは挿入されたメモリーカードによって押し出され、上向きに旋転する。このとき、メモリーカードをスムーズに差し込んで使用することが可能である。不正確な方法でメモリーカードを挿入すれば、二つの可動ブロックを移動させ、ストッパーのロック状態を解除することができないため、メモリーカードはストッパーによって遮断され、入り込むことができない。すなわち、米国特許第US7,267,561号は、二つの可動ブロックによってストッパーを遮断するか、或いはストッパーを解除して後向きに旋転させ、かつCFカードの両側が二つの可動ブロックに作用する技術を採用する。
【0003】
本出願人が請求した米国特許第US7,448,912号によるカードが1枚だけ挿入できるメモリーカードコネクタは、隔離板をコネクタ内部に位置させ、隔離板によってコネクタ内部を上下の二つの空間に分割し、そして異なるメモリーカードを下方または上方に挿入することによって隔離板をそのまま動かさないか後向きかつ下向きに移動させ、そして隔離板の位置によってメモリーカードを挿入した後別のメモリーカードの挿入を阻止することが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、カードが1枚だけ挿入でき誤挿入を防止可能なマルチメモリーカードコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するために、本発明によるマルチメモリーカードコネクタは、ハウジング、少なくとも一つの可動フック、可動隔離板および少なくとも二つの端子組を備える。
ハウジングは、前端に挿入口を有し、内部に挿入空間を有する。可動フックは、挿入口の一側に位置するようにハウジング内に配置される。可動フックはハウジング内に向かい合う一側に誘導ブロックおよびストッパーを有し、誘導ブロックとストッパーとの間に係止溝を有し、誘導ブロックは前端部に奥向きかつ後向きに徐々に傾斜する作用面を有する。可動フックは挿入空間に対し前進または後退を行うことが可能である。可動フックは、復元ユニットによって挿入空間に前進する状態を維持する。復元ユニットはハウジング内に配置される。可動隔離板は、上下に移動可能なように挿入空間に位置付けられ、挿入空間を上下の二つの空間に分割する。
【0006】
可動隔離板は可動フックに対応する一側に前向きに延伸される作用アームを有し、作用アームは前向きかつ下向きに延伸される誘導斜面と、作用部とを有し、作用部は可動フックの作動に応じ、係止溝に入り込むか、または静止を保持する。可動隔離板は、複数の中空部位を有する。二つの端子組は、挿入空間に入り込むようにハウジング内に配置され、そのうちの第一端子組は下方に位置付けられ、複数の第一端子を有し、第二端子組は上方に位置付けられ、複数の第二端子を有する。第二端子の一部分は可動隔離板の中空部位に位置付けられ、かつ可動隔離板の上方に部分的に突出する。従って、本発明はカードが1枚だけ挿入できる機能および誤挿入を防止可能な機能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1実施形態の分解斜視図。
【図2】本発明の第1実施形態においての蓋が外された後の状態を示す模式図。
【図3】本発明の第1実施形態において、挿入されたSDカードが可動フックを押し出した状態を示す模式図。
【図4】図3の4−4線に沿った断面図。
【図5】本発明の第1実施形態において、挿入されたSDカードが可動隔離板に作用する状態を示す模式図。
【図6】図5の6−6線に沿った断面図。
【図7】本発明の第1実施形態においてSDカードが完全に挿入された状態を示す模式図。
【図8】図7の8−8線に沿った断面図。
【図9】本発明の第1実施形態においてSDカードが挿入された後、MS−Duoカードが挿入できなくなる状態を示す模式図。
【図10】本発明の第1実施形態において、MS−Duoカードを挿入する状態を示す模式図。
【図11】図10の11−11線に沿った断面図。
【図12】本発明の第1実施形態において、MS−Duoカードが挿入された後、SDカードが挿入できなくなる状態を示す模式図。
【図13】本発明の第1実施形態において、MS−Duoカードを誤って挿入した状態を示す模式図。
【図14】図13の14−14線に沿った断面図。
【図15】本発明の第1実施形態において別のMS−Duoカードを誤って挿入した状態を示す模式図。
【図16】本発明の第2実施形態の組立後の状態を示す模式図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1から図4に示すように、本発明の第1実施形態によるマルチメモリーカードコネクタ10は、ハウジング11、二つの可動フック21、可動隔離板31および少なくとも二つの端子組41、51を備える。
ハウジング11は、基座12および蓋18から構成される。蓋18は基座12に被さり、前端に挿入口14を有し、内部に挿入空間16を有する。
【0009】
二つの可動フック21は、細長い形を呈し、一端が挿入口14の両側に位置するようにハウジング11の基座12内に配置される。可動フック21は他端上の基座12内に向かい合う一側に誘導ブロック22およびストッパー24を有し、誘導ブロック22とストッパー24との間に係止溝26を有する。誘導ブロック22は前端部に奥向きかつ後向きに徐々に傾斜する作用面221を有する。可動フック21は誘導ブロック22が配置されない一端を軸に、誘導ブロック22を有する一端を旋転させるため、挿入空間16に対し前進または後退を行なうことが可能である。可動フック21は、復元ユニット19によって挿入空間16に前進する状態を維持する。本実施形態において、復元ユニット19はハウジング11の蓋18の両側に別々に形成され、かつ別々に可動フック21に対し作用する弾性片である。
【0010】
可動隔離板31は、上下に移動可能に挿入空間16に位置付けられ、挿入空間16を上下の二つの空間に分割する。可動隔離板31は両側に前向きに延伸される作用アーム32を別々に有する。作用アーム32は前向きかつ下向きに延伸される誘導斜面34と作用部36とを有し、作用部36は可動フック21の作動に応じ、係止溝26に入り込むか、または静止を保持する。可動隔離板31は、複数の中空部位38を有する。二つの可動フック21は可動隔離板31の両側に位置付けられ、復元ユニット19の作用によって可動隔離板31の作用アーム32に突き当たる。
【0011】
二つの端子組41、51は、挿入空間16に入り込むようにハウジング11の基座12に配置され、そのうちの第一端子組41は下方に位置付けられ、複数の第一端子42を有し、第二端子組51は上方に位置付けられ、複数の第二端子52を有する。第二端子52は端子台54内に嵌め込まれ、端子台54を介してハウジング11の基座12に配置される。第二端子52の一部分の端子は可動隔離板31の中空部位38に部分的に位置付けられ、かつ可動隔離板31の上方に部分的に突出する。かつ一部分の第二端子52は可動隔離板31に嵌め込まれる。
【0012】
本実施形態は、さらに二つの補助用スプリング61を有する。補助用スプリング61は可動隔離板31の下方に位置するようにハウジング11内の両側に配置され、復元弾力によって可動隔離板31を上方位置に支持する。
【0013】
本実施形態において、可動隔離板31の上方空間は、例えば、SDカード、またはMMC(登録商標)カード、またはMMC Plus(登録商標)カードの挿入に用いることが可能である。可動隔離板31の下方空間は、例えば、MS−Duo(登録商標)カードまたはMS PRO−HG Duo(登録商標)カードの挿入に用いることが可能である。
【0014】
以下、本発明の操作状態について説明を進める。
メモリーカードが挿入される前、可動隔離板31は、第二端子組の弾力によって上方位置に維持され、二つの補助用スプリング61は可動隔離板31を支持し、可動隔離板31を上方位置に維持する。可動隔離板31が上方に位置する状態は図4に示すとおりである。
【0015】
図3から図8は、SDカードを挿入する過程を示す模式図である。
図2に示すように、SDカード91を挿入口14から挿入する場合、挿入口14の下方位置からSDカード91を挿入すれば、SDカード91は挿入口14の形によって遮断され、入り込むことができないため、挿入口14の上方位置から挿入しなければならない。図3および図4に示すように、挿入過程において、SDカード91の両側は二つの可動フック21の作用面221に作用し、二つの可動フック21の両側を押し出し、可動フック21上のストッパー24と可動隔離板31の作用部36を逸脱させる。
【0016】
続いて図5及び図6に示すように、SDカード91を持続的に挿入すれば、両側の底部は可動隔離板31の両側の作用アーム32の誘導斜面34に作用する。このときストッパー24(図4に示す)は作用部36と分離するため、可動隔離板31は制限されず下に移動することが可能である。続いて図7及び図8に示すように、SDカード91の挿入が完了した後、第二端子組51に接続すれば使用できる。SDカード91を抜き出す場合、上述した過程に逆らってSDカード91を可動隔離板31から逸脱させ、可動隔離板31を上昇させ、続いてSDカード91を持続的に後退させ、二つの可動フック21から逸脱させる。このとき復元ユニット19は二つの可動フック21に作用し、二つの可動フック21を挿入空間16に前進させ、可動隔離板31に突き当たらせる。可動隔離板31の二つの作用部36は二つの可動フック21の係止溝26内に嵌め込まれる。
【0017】
図9に示すように、SDカード91が完全に挿入された後、下方からMS−Duoカード92など別のメモリーカードを挿入しようとした場合、可動隔離板31はメモリーカードの挿入を阻止する。
【0018】
以下、可動隔離板31の下方からメモリーカード(例えば、MS−Duoカード)を挿入する過程について説明を進める。
図10および図11に示すように、MS−Duoカード92を挿入する場合、可動移動板31の下方からMS−Duoカード92を挿入、固定して第一端子組41に接続すれば使用できる。続いて図12に示すように、MS−Duoカード92を挿入、固定した後、MS−Duoカード92は下方空間を占めてしまうため、可動移動板31は下に移動することができなくなる。このとき可動隔離板の上方からSDカード91を挿入しようとした場合、可動隔離板31は下に移動できず、SDカード91の挿入を阻止する。従って、本形態は可動隔離板31によってカードが1枚だけ挿入できる機能を達成することができる。
【0019】
図13および図14に示すように、MS−Duoカード92を可動隔離板31の上方から挿入しようとした場合、可動隔離板31の両側の作用部36(図1に示す)は可動フック21のストッパー24によって遮断され、下に移動できないため、可動隔離板31はMS−Duoカード92の挿入を阻止する。図15に示すように、MS−Duoカード92を可動移動板31の上方の一側(例えば右側)から挿入しようとした場合、MS−Duoカード92は一つの可動フック21に作用し、可動移動板31の一側の遮断状態を解除し、可動移動板31を下へ移動させることが可能であるが、可動移動板31の他側の作用部36は可動フック21によって遮断され、下に移動できないため、可動移動板31は下に移動できず、遮断機能を維持する。従って、MS−Duoカード92は可動隔離板31の上方空間に入り込むことができない。
【0020】
(第2実施形態)
図16に示すように、本発明の第2実施形態によるマルチメモリーカードコネクタ70は、ほぼ第1実施形態と同じである。第1実施形態との違いは次の通りである。
可動フック75は、一つしかない。かつハウジング71内の左側に装着され、可動隔離板78の左側の作用部(図中未表示)のみに作用する。
【0021】
第2実施形態の作動状態は第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
第2実施形態は、第1実施形態の大部分の効果を達成可能であるが、図15に示すように一側のみが可動フックに作用することによって誤挿入を防止する効果は達成できない。
【0022】
上述したとおり、本発明は、可動移動板31を上下に移動させ、挿入空間16を制限することによって、カードが1枚だけ挿入できる効果を達成する。かつ本発明は、二つの可動フック21を介して上下に移動する可動移動板31をロックまたは解除することによって誤挿入を防止する効果を奏する。つまり、本発明は、可動隔離板の運動状態と可動フックとを適切に組み合わせることによってカードが1枚だけ挿入できる機能と誤挿入を防止可能な機能とを兼ね備えることが可能であるため、技術手段が先行技術とは異なる。
【符号の説明】
【0023】
10:マルチメモリーカードコネクタ、11:ハウジング、12:基座、14:挿入口、16:挿入空間、18:蓋、19:復元ユニット、21:可動フック、22:誘導ブロック、221:作用面、24:ストッパー、26:係止溝、31:可動隔離板、32:作用アーム、34:誘導斜面、36:作用部、38:中空部位、41:第一端子組、42:第一端子、51:第二端子組、52:第二端子、54:端子台、61:補助用スプリング、70:マルチメモリーカードコネクタ、71:ハウジング、75:可動フック、78:可動隔離板、91:SDメモリーカード、92:MS−Duoメモリーカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端に挿入口を有し、内部に挿入空間を有するハウジングと、
挿入口の一側に位置するようにハウジング内に配置され、かつハウジング内に向かい合う一側に誘導ブロックおよびストッパーを有し、誘導ブロックとストッパーとの間に係止溝を有し、誘導ブロックの前端部に奥向きかつ後向きに徐々に傾斜する作用面を有する少なくとも一つの可動フックであって、挿入空間に対し前進または後退を行い、かつ復元ユニットによって挿入空間に前進する状態を維持することが可能であり、復元ユニットがハウジング内に配置される少なくとも一つの可動フックと、
上下に移動可能なように挿入空間に位置付けられ、挿入空間を上下の二つの空間に分割し、かつ複数の中空部位を有し、かつ可動フックに対応する一側に前向きに延伸される作用アームを有し、作用アームは前向きかつ下向きに延伸される誘導斜面と、作用部とを有し、作用部は可動フックの作動に応じ、係止溝に入り込むか、または静止を保持する可動隔離板と、
挿入空間に入り込むようにハウジング内に配置される少なくとも二つの端子組であって、そのうちの第一端子組は下方に位置付けられ、複数の第一端子を有し、第二端子組は上方に位置付けられ、複数の第二端子を有し、第二端子の一部分は可動隔離板の中空部位に位置付けられ、かつ可動隔離板の上方に部分的に突出する少なくとも二つの端子組と、
を備えることを特徴とするマルチメモリーカードコネクタ。
【請求項2】
第二端子うちの一部分の第二端子は、可動隔離板に嵌め込まれることを特徴とする請求項1に記載のマルチメモリーカードコネクタ。
【請求項3】
ハウジングは、基座および蓋から構成され、蓋は基座に被さり、その間に挿入空間と挿入口が形成されることを特徴とする請求項1に記載のマルチメモリーカードコネクタ。
【請求項4】
復元ユニットは、蓋の側辺に形成され、かつ可動フックに作用する弾性片であることを特徴とする請求項3に記載のカードが1枚だけ挿入でき誤挿入を防止することを可能にするマルチメモリーカードコネクタ。
【請求項5】
第二端子は、端子台に嵌め込まれ、端子台を介してハウジングに配置されることを特徴とする請求項1に記載のカードが1枚だけ挿入でき誤挿入を防止することを可能にするマルチメモリーカードコネクタ。
【請求項6】
さらに、可動隔離板の下方に位置するようにハウジング内の両側に配置され、復元弾力によって可動隔離板を上方位置に支持する二つの補助用スプリングを有することを特徴とする請求項1に記載のカードが1枚だけ挿入でき誤挿入を防止することを可能にするマルチメモリーカードコネクタ。
【請求項7】
可動フックは、細長い形を呈し、一端がハウジングに配置され、誘導ブロックおよびストッパーは可動フックの他端に配置され、作動の際の可動フックは誘導ブロックが配置されない一端を軸に、誘導ブロックを有する一端を旋転させることによって、挿入空間に対し前進または後退を行なうことを特徴とする請求項1に記載のカードが1枚だけ挿入でき誤挿入を防止することを可能にするマルチメモリーカードコネクタ。
【請求項8】
可動フックは、可動隔離板の一側に位置付けられ、復元ユニットの作用によって可動隔離板の作用アームに突き当たることを特徴とする請求項1に記載のカードが1枚だけ挿入でき誤挿入を防止することを可能にするマルチメモリーカードコネクタ。
【請求項9】
別々に挿入口の両側に位置するようにハウジング内に配置される二つの可動フックを備えることを特徴とする請求項1に記載のカードが1枚だけ挿入でき誤挿入を防止することを可能にするマルチメモリーカードコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−218762(P2010−218762A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−61546(P2009−61546)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(502426175)泰碩電子股▲分▼有限公司 (9)
【Fターム(参考)】