説明

マーキング装置

【課題】 インク種を変更してもヘッド内のノズルやインクの循環経路にインク詰まりが生じるのを抑制することができるマーキング装置を提供する。
【解決手段】 インクタンク41内のインク及び溶剤タンク47内の溶剤が供給される粘度調整用のメインタンク46と、メインタンク46内のインクをヘッド10に供給し、ヘッド10内のノズル12から射出させた後、ガター16を介してメインタンク16に回収するインク循環経路とを有するマーキング装置であって、メインタンク46内のインクを排出するためのバルブV4と、インク循環経路にインクを循環させるポンプ44c及び44dと、種類の異なるインクへのインク交換時に、ユーザ操作に基づいてバルブV4及びポンプ44c,44dを制御し、メインタンク46内の収容物をインク循環経路に循環させながらバルブV4を介して排出する排出制御部1により構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーキング装置に係り、さらに詳しくは、ヘッドから射出されたインク粒によってワークに文字や図形を印字するマーキング装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
製造ライン上のワークに文字や図形を印字するのに用いられるマーキング装置として、インクジェットプリンタが知られている。インクジェットプリンタは、製造ライン上に配置されるヘッドと、ヘッドにインクを供給するコントローラからなり、ワークに向けて射出されたインクを走査させることによって印字を行っている。ヘッドは、インクを射出するノズルと、ノズルから射出されたインクを帯電させてインク粒を形成するための帯電電極と、インク粒を帯電量に応じて偏向させるための偏向電極からなる。つまり、インクジェットプリンタでは、インク粒の帯電量を調整することによって各インク粒の偏向量が制御され、この様なインク粒の偏向制御と共にワークを移動させることでインク粒が走査される。
【0003】
インクジェットプリンタには、製造ライン上を移動中のワークに印字する必要があることから、速乾性のインクが従来から用いられている。このため、ノズルのインク詰まりを防止するという観点から、印字停止中、すなわち、インク粒の偏向制御が停止中であってもヘッドへのインク供給は継続される。印字停止中にノズルから射出されたインク粒や偏向制御されず印字に用いられなかったインク粒は、ガターと呼ばれるインク受けを介してコントローラ内のメインタンクに回収される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、環境への影響を低減させるという観点から、有害物質としての六価クロムを含まないインク(クロムレスインクという)に対する関心が高まりつつある。このため、今後、この様なインクがインクジェットプリンタ用のインクとして普及すると考えられ、従来から用いられていたインク(クロムレスインクではないインク)と、クロムレスインクのいずれのインクも使用できるようにすることが望ましい。ところが、上述した様な従来のマーキング装置では、この様な種類の異なるインクへのインク交換については、ノズルやインクの循環経路のインク詰まりを防止するため、一旦、マーキング装置を製造者に返却し、必要に応じてプログラムの再設定などの調整を行わせる必要があった。従って、マーキング装置を製造者に返却し、調整を行わせている間、ユーザは当該マーキング装置を使用することができないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、種類の異なるインクへのインク交換とそれに対応する種々のプログラムの再設定とをユーザが行うことが可能なマーキング装置を提供することを目的とする。特に、インク種を変更してもヘッド内のノズルやインクの循環経路にインク詰まりが生じるのを抑制することができるマーキング装置を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、種類の異なるインクへのインク交換後も高品質な印字を行うことができるマーキング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明によるマーキング装置は、インクタンク内のインク及び溶剤タンク内の溶剤が供給されるメインタンクと、上記メインタンク内のインクをヘッドに供給し、ヘッド内のノズルから射出させた後、ガターを介して上記メインタンクに回収するインク循環経路とを有するマーキング装置であって、上記メインタンク内のインクを排出するためのドレインバルブと、上記インク循環経路にインクを循環させる循環ポンプと、種類の異なるインクへのインク交換時に、ユーザ操作に基づいて上記ドレインバルブ及び上記循環ポンプを制御し、上記メインタンク内の収容物を上記インク循環経路に循環させながら上記ドレインバルブを介して排出する排出制御手段とを備えて構成される。
【0007】
このマーキング装置では、種類の異なるインクへのインク交換時、メインタンク内の収容物がインク循環経路に循環させながらドレインバルブを介して排出される。この様な構成により、インクタンク及びメインタンク内のインクをドレインバルブを介して排出させた後、インクタンクに上記インクの溶剤を投入すれば、インクタンク、メインタンク及びインク循環経路を洗浄することができる。従って、インク種を変更してもインク循環経路を含むインクの伝送経路にインク詰まりが生じるのを抑制することができる。
【0008】
第2の本発明によるマーキング装置は、上記構成に加え、上記排出制御手段が、上記インクタンク及び上記メインタンク内に残ったインク交換前のインクを排出した後、上記インクタンクに新たに投入された溶剤を上記メインタンクに供給し、上記収容物として上記インク循環経路に循環させながら上記ドレインバルブを介して排出するように構成される。
【0009】
第3の本発明によるマーキング装置は、上記構成に加え、上記排出制御手段が、上記インクタンク及び上記メインタンク内に残ったインク交換前のインクを排出した後、上記溶剤タンク内に残ったインク交換前の溶剤を上記メインタンクに供給し、上記収容物として上記インク循環経路に循環させながら上記ドレインバルブを介して排出するとともに、当該溶剤の排出後、上記インクタンク及び上記溶剤タンクに新たに投入された溶剤を上記メインタンクに供給し、上記インク循環経路に循環させながら上記ドレインバルブを介して排出するように構成される。この様な構成によれば、メインタンク及びインク循環経路が、インク交換前の溶剤によって洗浄された後、インクタンク及び溶剤タンクに新たに投入された溶剤によって再度洗浄されるので、溶剤の異なるインクへのインク交換であっても、インクの伝送経路にインク詰まりが生じるのを効果的に抑制することができる。
【0010】
第4の本発明によるマーキング装置は、上記構成に加え、温度に応じた最適粘度が規定された粘度テーブルをインク種ごとに記憶する粘度テーブル記憶手段と、ユーザが指定したインク種の上記粘度テーブルに基づいて上記メインタンク内のインクの粘度調整を行う粘度調整手段とを備えて構成される。この様な構成によれば、ユーザが指定したインク種に応じた粘度調整が行われるので、種類の異なるインクへのインク交換後も高品質な印字を行うことができる。
【0011】
第5の本発明によるマーキング装置は、上記構成に加え、ユーザによる立ち上げ操作に基づいて上記溶剤タンク内の溶剤を直接に上記ヘッドに供給し、上記ノズルから射出させてヘッド洗浄を行うヘッド洗浄制御手段と、立ち上げ時のシーケンスを規定するシーケンス情報をインク種ごとに記憶するシーケンス情報記憶手段とを備え、上記ヘッド洗浄制御手段が、ユーザが指定したインク種の上記シーケンス情報に基づいてヘッド洗浄を行うように構成される。
【0012】
第6の本発明によるマーキング装置は、上記構成に加え、上記ノズルから射出されるインクに印加電圧に応じた振幅の振動を与える振動素子と、インクの温度に応じた上記印加電圧の最適値が規定された印加電圧テーブルをインク種ごとに記憶する印加電圧テーブル記憶手段と、ユーザが指定したインク種の上記印加電圧テーブルに基づいて、上記振動素子を駆動する振動素子駆動手段とを備えて構成される。
【0013】
第7の本発明によるマーキング装置は、上記構成に加え、上記ガターにより回収されるインクの有無を温度変化に基づいて検出するガターセンサーと、上記ガターセンサーの温度を一定に保持するとともに、ユーザが指定したインク種に応じて当該温度の目標値を補正するガターセンサー温調整手段とを備えて構成される。
【0014】
第8の本発明によるマーキング装置は、上記構成に加え、上記メインタンクから上記ヘッドに供給されるインクを減圧し、上記ノズルから射出されるインクの圧力を一定に保持するとともに、ユーザが指定したインク種に応じて当該圧力の目標値を補正するインク圧調整手段を備えて構成される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるマーキング装置によれば、インクタンクに溶剤を投入することによってインクタンク、メインタンク及びインク循環経路が洗浄されるので、インク種を変更してもインク循環経路を含むインクの伝送経路にインク詰まりが生じるのを抑制することができる。また、ユーザが指定したインク種に応じた粘度調整が行われるので、種類の異なるインクへのインク交換後も高品質な印字を行うことができる。従って、種類の異なるインクへのインク交換可能なマーキング装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1によるマーキング装置を含む自動印字システムの概略構成の一例を示した図であり、マーキング装置の一例としてインクジェットプリンタ100が示されている。この自動印字システムは、インクジェットプリンタ100、ワーク検出センサー110、搬送速度センサー120及びディスプレイ装置130からなり、製造ライン上のワークA2に文字や図形を自動的に印字するためのシステムである。ここでは、電子部品、工業製品などの印字対象物をワークA2と呼ぶことにする。この様なワークA2は、搬送装置A1上に多数存在し、搬送装置A1に沿って移動する際に順次に印字が行われる。
【0017】
インクジェットプリンタ100は、製造ラインの搬送装置A1上に配置されるヘッド10と、インクを伝送するケーブル20と、ケーブル20を介してヘッド10にインクを供給するコントローラ30からなる。
【0018】
ヘッド10は、コントローラ30から供給されたインクからインク粒を形成し、ワークA2に向けて射出する動作を行っている。
【0019】
コントローラ30は、メインタンク内のインクをヘッド10に供給するインクの循環経路の制御部と、ヘッド10内のノズルから射出されたインク粒の偏向制御を行うインク粒偏向制御部からなる。
【0020】
インク粒の偏向制御は、インク粒ごとに行われ、各インク粒の偏向量を制御するとともにワークA2を移動させることでインク粒が走査され、ワークA2表面に印字される。ヘッド10に供給されてノズルから射出されたインク粒のうち、偏向制御されず印字に用いられなかったインク粒は、ガターを介して回収され、メインタンクに帰還される。
【0021】
コントローラ30の筐体には、電源スイッチ31と、LEDインジケータ32a〜32cが設けられている。電源スイッチ31は、インク循環系の電源をオン又はオフするための入力キーであり、ヘッド10へのインク供給の開始及び停止を指示することができる。
【0022】
LEDインジケータ32a〜32cは、コントローラ30の動作状態を表示するための表示素子である。ここでは、インク循環系の電源がオン状態のときにLEDインジケータ32aが点灯(緑色)し、また、エラー発生時には、エラーレベルに応じてLEDインジケータ32b又は32cのいずれかが点滅点灯するものとする。
【0023】
このコントローラ30には、搬送装置A1上のワークA2を検出するワーク検出センサー110と、ワークA2の搬送速度を検出する搬送速度センサー120と、ユーザインターフェースとしてのディスプレイ装置130が接続されている。
【0024】
ワーク検出センサー110は、ワークA2の有無を検出して印字開始信号を生成する検出装置であり、製造ライン上に配置される。印字開始信号は、印字、すなわち、インク粒の偏向制御を開始させるための印字トリガとして出力される。
【0025】
搬送速度センサー120は、搬送速度を検出して検出信号を生成する検出装置であり、ここでは、ローラーの回転速度に応じたパルス数のパルス信号を出力するロータリーエンコーダが用いられている。
【0026】
ディスプレイ装置130は、コントローラ30の動作状態や各種入力画面を表示する表示装置である。このディスプレイ装置130には、タッチパネルセンサーが操作入力手段として設けられており、画面上の操作位置に応じた入力信号が出力される。
【0027】
このインクジェットプリンタ100では、ヘッド温度センサー、ワーク検出センサー110、搬送速度センサー120などのセンサーからの検出信号に基づいてエラーが検出され、エラーレベルに応じた処理が行われる。
【0028】
図2は、図1のインクジェットプリンタ100のヘッド10内の構成例を示した断面図である。このヘッド10は、キャノン11、ノズル12、帯電電極13、帯電検出センサー14、偏向電極15、ガター16及びヘッド筐体17からなる。キャノン11は、コントローラ30から供給されたインクを加圧するための装置である。
【0029】
ノズル12は、キャノン11により加圧されたインクを射出する装置であり、噴出口から射出されるインクに振動を与えるためのデバイス(例えば、ピエゾ素子からなる振動素子)が設けられている。このピエゾ振動素子により、コントローラ30からの印加電圧に応じた振幅でインクに振動が与えられる。
【0030】
帯電電極13は、ノズル12から射出されたインクを帯電させてインク粒を形成させる。ここでは、帯電電極13が電圧の印加によりインクよりも電位の高い状態(正電位)に帯電され、従って、インク粒は、負に帯電されるものとする。インクは、ピエゾ振動素子により振動を受けながらノズル12の噴出口から噴射され、帯電電極13により負電荷を帯電することで粒子化され、インクの微小な固まりからなるインク粒が形成される。
【0031】
帯電検出センサー14は、インク粒の帯電状態を検出する検出装置であり、インク粒が適切に帯電しているか否かを監視している。
【0032】
偏向電極15は、インク粒を帯電量に応じて偏向させるための一対の対向電極からなる。ここでは、数千ボルトの電圧が偏向電極15間に印加されるものとする。帯電状態のインク粒は、偏向電極15間を通過する間に、インク粒に作用する電気力により進行方向が曲げられ、帯電量に応じて偏向される。ここでは、インク粒の噴射方向をx軸方向として、各インク粒がy軸方向の負の方向に偏向されるものとする。
【0033】
偏向量の小さなインク粒は、印字には利用されず、ガター16により回収される。ガター16は、ノズル12から射出されたインク粒を受けるインク受けであり、収容されるインクの有無を検出するためのデバイス(ここでは、ガターセンサーと呼ぶことにする)が設けられている。ガターセンサーは、ガター16により回収されるインクの有無を温度変化に基づいて検出するサーミスタである。このガターセンサーによる検出信号により、インクがノズル12から射出されているか否か、ノズル12から射出されたインク粒がガター16によって正しく回収されているか否かが検知される。
【0034】
ガター16により回収されたインクは、ケーブル20を介してコントローラ30内のメインタンクに供給され、再利用される。
【0035】
図3は、図1のインクジェットプリンタ100の要部における構成例を示した経路図であり、インク及び溶剤の伝送経路の一例が示されている。コントローラ30内には、インクタンク41、インクタンクフィルタ42、メインフィルタ43、メインポンプ44a、粘度計45、メインタンク46、溶剤タンク47、溶剤タンクフィルタ48a,48b、溶剤ポンプ44b、インクポンプ44c、インクフィルタ49,50、減圧弁51、圧力計52、ガターフィルタ53、ガターポンプ44d、減圧弁54、コンディショニングタンク55、バルブV1〜V6,V8〜V13が配置されている。
【0036】
ヘッド10内には、フィルタ18,19、バルブV14、ノズル12及びガター16が配置されている。
【0037】
インクタンク41は、インクを収容するための容器であり、インクの補充時やインク交換時には、容器上部に設けられている投入口からインクが投入される。インクタンク41内のインクは、インクタンクフィルタ42を介してバルブV8に供給される。
【0038】
メインポンプ44aは、インクタンク41内のインクを必要に応じてメインタンク46へ送出するとともに、メインフィルタ43を介してメインタンク46内のインクを循環させるインクの送出装置である。メインポンプ44aの出力側は、バルブV11を介して粘度計45に接続されているとともに、バルブV1を介してメインタンク46に接続されている。さらに、メインポンプ44aの出力側は、バルブV3を介してコンディショニングタンク55に接続されているとともに、バルブV4に接続されている。
【0039】
メインポンプ44aの入力側は、バルブV5を介してメインタンク46に接続されているとともに、バルブV9を介してコンディショニングタンク55に接続されている。粘度計45は、メインポンプ44aによりメインタンク46を循環するインクの粘度を検出する検出装置である。
【0040】
溶剤タンク47は、溶剤を収容するための容器であり、溶剤の補充時や溶剤交換時には、容器上部に設けられている投入口から溶剤が投入される。この溶剤は、インクの粘度を一定に保持するためにメインタンク46内のインクに加えられるインク濃度の薄め液である。この様な溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン(MEK)やエタノールが知られており、使用するインク(顔料ともいう)の種類に応じた溶剤が用いられる。溶剤タンク47内の溶剤は、溶剤タンクフィルタ48aを介して溶剤ポンプ44bに供給される。
【0041】
溶剤ポンプ44bは、溶剤タンクフィルタ48bを介して溶剤タンク47内の溶剤を必要に応じてメインタンク46へ送出する溶剤の送出装置である。溶剤ポンプ44bの出力側は、溶剤タンクフィルタ48bを介してバルブV12及びV13に接続されている。
【0042】
メインタンク46は、インクタンク41内のインク及び溶剤タンク47内の溶剤が供給される粘度調整用の容器である。インクポンプ44cは、インクフィルタ49を介してメインタンク46内のインクをヘッド10へ送出するインクの送出装置である。インクポンプ44cの出力側は、インクフィルタ49を介してバルブV2に接続されているとともに、インクフィルタ50を介して減圧弁51に接続されている。
【0043】
減圧弁51は、インクポンプ44cにより送出されたインクの圧力を減圧するための装置である。この減圧弁51による減圧後のインクは、圧力計52を介してヘッド10に供給される。
【0044】
ヘッド10内では、メインタンク46からのインクがフィルタ19を介してバルブV14に伝送され、必要に応じてノズル12に供給される。ノズル12に供給されたインクは、噴出口から射出され、ガター16により回収される。ガター16により回収されたインクは、コントローラ30に伝送され、コントローラ30内のバルブV10及びガターフィルタ53を介してガターポンプ44dに供給され、メインタンク46へ送出される。
【0045】
ノズル12に供給されたインクの一部は、噴出口から射出されるインクの圧力を調整するために、コントローラ30に戻され、バルブV6及び循環フィルタ43を介してメインポンプ44aに供給される。
【0046】
ガターポンプ44dは、ヘッド10から回収したインクをメインタンク46に送出するインクの送出装置である。ガターポンプ44dの出力側は、バルブV11を介して粘度計45に接続されているとともに、バルブV1を介してメインタンク46に接続されている。さらに、ガターポンプ44dの出力側は、バルブV3を介してコンディショニングタンク55に接続されているとともに、バルブV4に接続されている。
【0047】
このインクジェットプリンタ100では、インクの循環系の立ち上げ時や立ち下げ時に、ヘッド10内のノズル12やガター16を洗浄する洗浄処理が行われる。この様なヘッド10の洗浄時には、溶剤タンク47内の溶剤がバルブV12及び減圧弁54を介してヘッド10に供給される。ヘッド10に供給された溶剤は、フィルタ18を介してバルブV14に供給され、ノズル12へ伝送される。ヘッド洗浄時にノズル12から射出された溶剤は、ガター16を介して回収され、ガターポンプ44dによりコンディショニングタンク55へ送出される。
【0048】
コンディショニングタンク55は、ヘッド洗浄に使用された溶剤を収容するための容器である。コンディショニングタンク55内の溶剤は、バルブV9に供給され、必要に応じてメインタンク44へ伝送されて再利用される。
【0049】
フィルタ18,19,42,43,48a,48b,49,50及び53は、インク又は溶剤をろ過するためのろ過装置である。バルブV2は、インクポンプ44cにより送出されたインクを必要に応じてメインタンク46に帰還させるためのバルブである。バルブV4は、メインポンプ44a及びガターポンプ44dにより送出されたインクを必要に応じて排出するためのドレインバルブである。バルブV1〜V14は、コントローラ30内の制御部からの制御信号によって開閉する開閉装置(例えば、電磁バルブ)である。
【0050】
ここでは、メインタンク46から、インクポンプ44c、インクフィルタ49,50、減圧弁51、フィルタ19及びバルブV14を介してノズル12に至り、ガター16、バルブV10、ガターフィルタ53、ガターポンプ44d及びバルブV1を介してメインタンク46に帰還するまでのインクの伝送経路をインク循環経路と呼ぶことにする。つまり、インクポンプ44c及びガターポンプ44dは、この様なインク循環経路にインクを循環させるためのポンプとなっている。
【0051】
ヘッド洗浄時には、バルブV12,14,10,3及び6を開け、他のバルブを閉めることにより、溶剤タンク47内の溶剤がヘッド10内を経由してコンディショニングタンク55に回収される。インクタンク41内のインクは、バルブV8及び1を開け、他のバルブを閉めることにより、メインタンク46に供給される。溶剤タンク47内の溶剤は、バルブV13を開け、他のバルブを閉めることにより、メインタンク46に供給される。コンディショニングタンク55内の収容物は、バルブV9及び1を開け、他のバルブを閉めることにより、メインタンク46に供給される。メインタンク46内の収容物は、バルブV5及び4を開ければ、ドレインとして排出することができる。
【0052】
本実施の形態によるインクジェットプリンタ100では、種類の異なるインクへのインク交換(この様なインク交換をインク種の変更と呼ぶことにする)が可能となっており、インク種の変更時には、バルブV1〜V14の開閉手順を規定する所定の制御シーケンス(プログラム)に基づく動作が行われる。インク種を変更する場合、インク種の変更前後で溶剤が異なるケースと、溶剤が異ならないケースが考えられる。ここでは、これらのケースに応じた2つの制御シーケンスが予め定められているものとする。
【0053】
図4は、図1のインクジェットプリンタの要部における構成例を示したブロック図であり、コントローラ30内の機能構成の一例が示されている。このコントローラ30は、排出制御部1、制御シーケンス記憶部2、ヘッド洗浄制御部3、シーケンス情報記憶部4、粘度調整部5、粘度テーブル記憶部6、振動素子駆動部7、印加電圧テーブル記憶部8、偏向制御部9、偏向制御情報記憶部61、インク圧調整部62及びガターセンサー温調整部63により構成される。
【0054】
排出制御部1は、インク種の変更時に、ユーザ操作に基づいてバルブV1〜14及びポンプ44a〜44dを制御し、メインタンク46内の収容物をインク循環経路に循環させながらバルブV4を介して排出する動作を行っている。インク種の変更時における排出動作は、制御シーケンス記憶部2に格納されている制御シーケンス2a及び2bに基づいて行われる。
【0055】
ここでは、インク種の変更前後で同じ溶剤を使用する場合、制御シーケンス2aが用いられ、インク種の変更前後で異なる溶剤を使用する場合には、制御シーケンス2bが用いられるものとする。
【0056】
制御シーケンス2aでは、インクタンク41及びメインタンク46内に残ったインク交換前のインクを排出した後、インクタンク41に新たに投入された溶剤がメインタンク46に供給され、インク循環経路に循環させながらバルブV4を介して排出される。つまり、この制御シーケンス2aでは、インク交換の前後で旧インク及び新インクがインクの伝送経路内で混ざるのを防止するために、旧インクの排出後、旧インク及び新インクで共通して使用する溶剤を用いて、インクの伝送経路を洗浄し、旧インクを除去している。
【0057】
一方、制御シーケンス2bでは、インクタンク41及びメインタンク46内に残ったインク交換前のインクを排出した後、溶剤タンク47内に残ったインク交換前の溶剤がメインタンク46に供給され、インク循環経路に循環させながらバルブV4を介して排出される。さらに、当該溶剤の排出後、インクタンク41及び溶剤タンク47に新たに投入された溶剤(インク交換後に使用する溶剤)がメインタンク46に供給され、インク循環経路に循環させながらバルブV4を介して排出される。つまり、この制御シーケンス2bでは、旧インクの溶剤を用いてインクの伝送経路を洗浄し、旧インクを除去した後、新インクの溶剤を用いてインク及び溶剤の伝送経路を洗浄し、旧インクの溶剤を除去している。
【0058】
具体的には、例えば、ユーザがディスプレイ装置130においてインク種の変更操作を行うと、制御シーケンスが開始される。また、インク種の変更後には、変更後のインク種がディスプレイ装置130に表示される。
【0059】
ヘッド洗浄制御部3は、インクの循環系の立ち上げや立ち下げ時に、バルブV3,10,12,14及び減圧弁54を制御し、ヘッド10を洗浄する動作を行っている。具体的には、ユーザによる立ち上げ操作及び立ち下げ操作に基づいて、メインタンク46を介さずに溶剤タンク47内の溶剤を直接にヘッド10に供給し、ノズル12から射出させてヘッド洗浄が行われる。
【0060】
シーケンス情報記憶部4には、立ち上げ及び立ち下げ時のシーケンスを規定するシーケンス情報4aがインク種ごとに記憶され、ユーザが指定したインク種のシーケンス情報4aに基づいてヘッド洗浄が行われる。シーケンス情報4aとしては、例えば、ヘッド洗浄時の洗浄時間や洗浄圧(ノズル12から射出される溶剤の圧力)が考えられる。一般に、インクの種類が異なれば、速乾性などの特性も異なる場合が少なくない。ヘッド洗浄制御部3では、インク種が変更されれば、シーケンス情報4aも切り替えられ、インク種変更後のインクに応じた最適な制御パラメータでヘッド洗浄が行われる。
【0061】
粘度調整部5は、粘度計45による粘度の検出値に基づいて、メインタンク46内のインクの粘度を調整する動作を行っている。具体的には、メインタンク46内のインクの温度に基づいて、最適粘度が判別され、当該インクの粘度が最適粘度と一致するように粘度調整が行われる。この粘度調整は、バルブV13を制御して溶剤タンク47内の溶剤をメインタンク46に供給し、或いは、バルブV9及び1を制御してコンディショニングタンク55内の収容物をメインタンク46に供給することにより行われる。
【0062】
粘度テーブル記憶部6には、温度に応じた最適粘度が規定された粘度テーブル6aがインク種ごとに記憶され、ユーザが指定したインク種の粘度テーブル6aに基づいて粘度調整が行われる。一般に、インクの種類が異なれば、温度に応じた最適粘度も異なる場合が少なくない。粘度調整部5では、インク種が変更されれば、粘度テーブル6aも切り替えられ、インク種変更後のインクに応じた粘度の目標値に基づいて粘度調整が行われる。
【0063】
振動素子駆動部7は、ヘッド10内のピエゾ振動素子に所定の電圧を印加し、ピエゾ振動素子を駆動する動作を行っている。具体的には、メインタンク46内のインクの温度に基づいて、印加電圧の最適値が判別され、判別結果に応じた電圧が印加される。
【0064】
印加電圧テーブル記憶部8には、インクの温度に応じた印加電圧の最適値が規定された印加電圧テーブル8aがインク種ごとに記憶され、ユーザが指定したインク種の印加電圧テーブル8aに基づいてピエゾ振動素子が駆動される。一般に、インクの種類が異なれば、温度に応じた印加電圧の最適値も異なる場合が少なくない。振動素子駆動部7では、インク種が変更されれば、印加電圧テーブル8aも切り替えられ、インク種変更後のインクに応じた印加電圧の目標値に基づいてピエゾ振動素子が駆動される。
【0065】
偏向制御部9は、ヘッド10内の偏向電極15間に所定の電圧を印加するとともに、帯電電極13に印加する電圧をインク粒の偏向量に応じて制御する動作を行っている。具体的には、偏向制御情報記憶部61に格納されている偏向制御情報61aに基づいて印加電圧の最適値が判別され、判別結果に応じた電圧が印加される。また、帯電検出センサー14からの検出信号に基づいてインク粒の射出タイミングを検出し、帯電電極13に対する電圧印加のタイミングを最適化する動作が行われる。
【0066】
偏向制御情報記憶部61には、印加電圧の最適値及び電圧印加のタイミングが規定された偏向制御情報61aがインク種ごとに記憶され、ユーザが指定したインク種の偏向制御情報61aに基づいて制御が行われる。一般に、インクの種類が異なれば、帯電電極13及び偏向電極15に対する印加電圧の最適値や、帯電電極13に対する電圧印加のタイミングも異なる場合が少なくない。偏向制御部9では、インク種が変更されれば、偏向制御情報61aも切り替えられ、インク種変更後のインクに応じた制御パラメータに基づいて制御が行われる。
【0067】
インク圧調整部62は、圧力計52による圧力の検出値に基づいて減圧弁51を制御し、ヘッド10に供給されるインクの圧力を調整する動作を行っている。具体的には、インクポンプ44cにより送出されたインクを減圧し、ノズル12から射出されるインクの圧力(吐出圧)を一定に保持する動作が行われる。一般に、インクの種類が異なれば、インクの表面張力が変化するため、最適な吐出圧も異なる場合が少なくない。このインク圧調整部62では、ユーザが指定したインク種に応じて吐出圧の目標値が補正される。
【0068】
ガターセンサー温調整部63は、ヘッド10内のガターセンサーの温度を一定に保持するとともに、ユーザが指定したインク種に応じて当該温度の目標値を補正する動作を行っている。ガターセンサーは、インクとの接触によって表面温度が低下するのを利用してインクの有無を検出するセンサーであることから、センサー表面に付着したインクが固まると、検出精度が低下すると考えられる。ガターセンサー温調整部63では、ガターセンサー表面に付着したインクが固化しないように、ガターセンサーを一定温度(例えば、80℃)に保持するとともに、インク種が変更されれば、インク種に応じて温度の目標値が補正される。
【0069】
図5のステップS101〜S109は、図1のインクジェットプリンタにおけるインク交換時の動作の一例を示したフローチャートであり、インク種の変更前後で同じ溶剤を使用する場合の制御シーケンスが示されている。まず、排出制御部1は、ポンプ44a〜44dを動作させ、バルブV4及び8を開けることにより、インクタンク41内のインクを排出する(ステップS101)。
【0070】
インクタンク41内のインクの排出完了後、バルブV1,2,4,5,6,10,11及び14を開けることにより、メインタンク46及びインク循環経路を含むインクの伝送経路内に残ったインクが排出される(ステップS102)。次に、バルブV3,4及び9を開けることにより、コンディショニングタンク内の収容物が排出される(ステップS103)。
【0071】
インクの排出完了後、バルブV1,2,3,4,5,6,9,10,11,13及び14を開けることにより、溶剤タンク47内の溶剤を排出するとともに、溶剤タンク47内に新たに投入された溶剤によってメインタンク46及びインク循環経路を含むインクの伝送経路が洗浄される(ステップS104,S105)。
【0072】
溶剤タンク47内の溶剤による洗浄が終了し、当該溶剤の排出完了後、ユーザによってインクタンク41内に新たに溶剤が投入されれば、バルブV1,2,3,4,5,6,8,9,10,11,13及び14を開け、インクの伝送経路が洗浄される(ステップS106,S107)。次に、ユーザによってインクタンク41内に新たに使用するインクが投入されれば、インク種に応じて粘度テーブル6aなどの制御パラメータが変更され、このインク交換処理は終了する(ステップS108,S109)。
【0073】
図6のステップS201〜S210は、図1のインクジェットプリンタにおけるインク交換時の動作の一例を示したフローチャートであり、インク種の変更前後で異なる溶剤を使用する場合の制御シーケンスが示されている。まず、排出制御部1は、ポンプ44a〜44dを動作させ、バルブV4及び8を開けることにより、インクタンク41内のインクを排出する(ステップS201)。
【0074】
インクタンク41内のインクの排出完了後、バルブV1,2,4,5,6,10,11及び14を開けることにより、メインタンク46及びインク循環経路を含むインクの伝送経路内に残ったインクが排出される(ステップS202)。次に、バルブV3,4及び9を開けることにより、コンディショニングタンク内の収容物が排出される(ステップS203)。
【0075】
インクの排出完了後、バルブV1,2,3,4,5,6,9,10,11,13及び14を開けることにより、溶剤タンク47内の溶剤を排出するとともに、溶剤タンク47内に新たに投入された溶剤によってメインタンク46及びインク循環経路を含むインクの伝送経路が洗浄される(ステップS204,S205)。次に、バルブV4,10及び12を開け、ヘッド10の洗浄経路内に残った溶剤が排出される(ステップS206)。
【0076】
溶剤タンク47内の溶剤による洗浄が終了し、当該溶剤の排出完了後、ユーザによってインクタンク41及び溶剤タンク47内に新たに溶剤が投入されれば、バルブV1,2,3,4,5,6,8,9,10,11,13及び14を開け、インク及び溶剤の伝送経路が洗浄される(ステップS207,S208)。次に、ユーザによってインクタンク41内に新たに使用するインクが投入されれば、インク種に応じて粘度テーブル6aなどの制御パラメータが変更され、このインク交換処理は終了する(ステップS209,S210)。
【0077】
本実施の形態によれば、インクタンク41及びメインタンク46内のインクをバルブV4を介して排出させた後、インクタンク41に溶剤を投入すれば、インクタンク41、メインタンク46及びインク循環経路を洗浄することができる。従って、インク種を変更してもインク循環経路を含むインクの伝送経路にインク詰まりが生じるのを抑制することができる。また、メインタンク46及びインク循環経路が、インク交換前の溶剤によって洗浄された後、インクタンク41及び溶剤タンク47に新たに投入された溶剤によって再度洗浄されるので、溶剤の異なるインクへのインク交換であっても、インクの伝送経路にインク詰まりが生じるのを効果的に抑制することができる。さらに、ユーザが指定したインク種に応じて粘度テーブル6aなどの制御パラメータが自動的に変更されるので、種類の異なるインクへのインク交換後も高品質な印字を行うことができる。
【0078】
なお、本実施の形態では、ユーザが指定したインク種に応じて粘度テーブル6aなどの制御パラメータが変更される場合の例について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、インクの粘度やインク粒の帯電量に基づいてインク種を自動的に判別し、その判別結果に基づいて制御パラメータを変更させても良い。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施の形態1によるマーキング装置を含む自動印字システムの概略構成の一例を示した図であり、インクジェットプリンタ100が示されている。
【図2】図1のインクジェットプリンタ100のヘッド10内の構成例を示した断面図である。
【図3】図1のインクジェットプリンタ100の要部における構成例を示した経路図であり、インク及び溶剤の伝送経路の一例が示されている。
【図4】図1のインクジェットプリンタの要部における構成例を示したブロック図であり、コントローラ30内の機能構成の一例が示されている。
【図5】図1のインクジェットプリンタにおけるインク交換時の動作の一例を示したフローチャートである。
【図6】図1のインクジェットプリンタにおけるインク交換時の動作の一例を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0080】
1 排出制御部
2 制御シーケンス記憶部
3 ヘッド洗浄制御部
4 シーケンス情報記憶部
5 粘度調整部
6 粘度テーブル記憶部
7 振動素子駆動部
8 印加電圧テーブル記憶部
9 偏向制御部
10 ヘッド
11 キャノン
12 ノズル
13 帯電電極
14 帯電検出センサー
15 偏向電極
16 ガター
17 ヘッド筐体
20 ケーブル
30 コントローラ
31 電源スイッチ
32a〜32c LEDインジケータ
41 インクタンク
42 インクタンクフィルタ
43 メインフィルタ
44a メインポンプ
44b 溶剤ポンプ
44c インクポンプ
44d ガターポンプ
45 粘度計
46 メインタンク
47 溶剤タンク
48a,48b 溶剤タンクフィルタ
49,50 インクフィルタ
51 減圧弁
52 圧力計
53 ガターフィルタ
54 減圧弁
55 コンディショニングタンク
61 偏向制御情報記憶部
62 インク圧調整部
63 ガターセンサー温調整部
100 インクジェットプリンタ
110 ワーク検出センサー
120 搬送速度センサー
130 ディスプレイ装置
A1 搬送装置
A2 ワーク
V1〜V6,V8〜V13 バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクタンク内のインク及び溶剤タンク内の溶剤が供給されるメインタンクと、上記メインタンク内のインクをヘッドに供給し、ヘッド内のノズルから射出させた後、ガターを介して上記メインタンクに回収するインク循環経路とを有するマーキング装置において、
上記メインタンク内のインクを排出するためのドレインバルブと、
上記インク循環経路にインクを循環させる循環ポンプと、
種類の異なるインクへのインク交換時に、ユーザ操作に基づいて上記ドレインバルブ及び上記循環ポンプを制御し、上記メインタンク内の収容物を上記インク循環経路に循環させながら上記ドレインバルブを介して排出する排出制御手段とを備えたことを特徴とするマーキング装置。
【請求項2】
上記排出制御手段は、上記インクタンク及び上記メインタンク内に残ったインク交換前のインクを排出した後、上記インクタンクに新たに投入された溶剤を上記メインタンクに供給し、上記収容物として上記インク循環経路に循環させながら上記ドレインバルブを介して排出することを特徴とする請求項1に記載のマーキング装置。
【請求項3】
上記排出制御手段は、上記インクタンク及び上記メインタンク内に残ったインク交換前のインクを排出した後、上記溶剤タンク内に残ったインク交換前の溶剤を上記メインタンクに供給し、上記収容物として上記インク循環経路に循環させながら上記ドレインバルブを介して排出するとともに、当該溶剤の排出後、上記インクタンク及び上記溶剤タンクに新たに投入された溶剤を上記メインタンクに供給し、上記インク循環経路に循環させながら上記ドレインバルブを介して排出することを特徴とする請求項1に記載のマーキング装置。
【請求項4】
温度に応じた最適粘度が規定された粘度テーブルをインク種ごとに記憶する粘度テーブル記憶手段と、
ユーザが指定したインク種の上記粘度テーブルに基づいて上記メインタンク内のインクの粘度調整を行う粘度調整手段とを備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のマーキング装置。
【請求項5】
ユーザによる立ち上げ操作に基づいて上記溶剤タンク内の溶剤を直接に上記ヘッドに供給し、上記ノズルから射出させてヘッド洗浄を行うヘッド洗浄制御手段と、
立ち上げ時のシーケンスを規定するシーケンス情報をインク種ごとに記憶するシーケンス情報記憶手段とを備え、
上記ヘッド洗浄制御手段は、ユーザが指定したインク種の上記シーケンス情報に基づいてヘッド洗浄を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のマーキング装置。
【請求項6】
上記ノズルから射出されるインクに印加電圧に応じた振幅の振動を与える振動素子と、
インクの温度に応じた上記印加電圧の最適値が規定された印加電圧テーブルをインク種ごとに記憶する印加電圧テーブル記憶手段と、
ユーザが指定したインク種の上記印加電圧テーブルに基づいて、上記振動素子を駆動する振動素子駆動手段とを備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のマーキング装置。
【請求項7】
上記ガターにより回収されるインクの有無を温度変化に基づいて検出するガターセンサーと、
上記ガターセンサーの温度を一定に保持するとともに、ユーザが指定したインク種に応じて当該温度の目標値を補正するガターセンサー温調整手段とを備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のマーキング装置。
【請求項8】
上記メインタンクから上記ヘッドに供給されるインクを減圧し、上記ノズルから射出されるインクの圧力を一定に保持するとともに、ユーザが指定したインク種に応じて当該圧力の目標値を補正するインク圧調整手段を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のマーキング装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−190728(P2007−190728A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−8951(P2006−8951)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】