ミシンのプログラム作成装置
【課題】記憶している複数の縫製プログラムの中から所望の縫製プログラムを検出しやすくするミシンのプログラム作成装置を提供する。
【解決手段】プログラム6の制御装置109 により、複数のパラメータのうちの何れか1つを選択するパラメータ選択制御、パラメータ選択制御で選択されたパラメータの設定値を選択する設定値選択制御、両選択制御で選択されたパラメータとその設定値を含む縫製プログラムをバックアップROM113 から検索してLCD70に表示させるプログラム検索制御を実行させる。
【解決手段】プログラム6の制御装置109 により、複数のパラメータのうちの何れか1つを選択するパラメータ選択制御、パラメータ選択制御で選択されたパラメータの設定値を選択する設定値選択制御、両選択制御で選択されたパラメータとその設定値を含む縫製プログラムをバックアップROM113 から検索してLCD70に表示させるプログラム検索制御を実行させる。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、縫製プログラムにより制御される電子制御式ミシンのプログラム作成装置に関し、特に複数のパラメータを異ならせた複数の縫製プログラムのうちから、選択したパラメータとその設定値を含む縫製プログラムを検索して表示可能にしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】 従来より、電子ミシンの制御部に所定の縫製対象の縫製の為の縫製プログラムを格納しておき、その縫製プログラムに種々のパラメータを設定することで、縫製対象を縫製可能にしたプログラム制御式ミシンは実用に供されている。例えば、特開2000−312785号公報に記載のように、プログラム制御式の穴かがりミシンでは、種々のパラメータを設定することで、種々の形状やサイズの穴かがり縫いを行うことができる。
【0003】ここで、例えば、特開平10−328445号公報には、電子制御式ミシンの為の縫製プログラムを作成するプログラム作成装置が提案されている。このプログラム作成装置では、ディスプレイへの表示と、キー操作と、数値の入力等を介して、種々のパターンを縫製するプログラムを作成可能である。
【0004】例えば、前記穴かがり縫いミシンのミシン制御部に対して、縫製プログラムやその縫製パラメータを設定する前記プログラム作成装置も本願出願人により実用に供されている。このプログラム作成装置では、縫製プログラムにおける多数のパラメータを順々に読み出してディスプレイに表示させながら各パラメータの設定値を変更設定可能であり、複数のパラメータの全部または一部を異ならせた数10組の縫製プログラムを記憶可能であり、このプログラム作成装置をミシン制御部に接続した状態で、今回設定した縫製プログラムやそのパラメータを記憶部から読みだしてミシン制御部へ転送可能になっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】 従来のプログラム作成装置では、過去に作成し記憶している縫製プログラムやそのパラメータを再編集して新たな縫製プログラムを作成する場合には、複数の縫製プログラム或いは各縫製プログラムにおける複数のパラメータを順々に読み出してディスプレイに表示させながら、縫製プログラムの内容や縫製対象のパターンや複数のパラメータの設定値を確認しなければならなかったので、所望の縫製プログラムを検索するのに多大の労力と時間がかかると問題があった。
【0006】本発明の目的は、ミシンのプログラム作成装置おいて記憶している複数の縫製プログラムの中から所望の縫製プログラムを検出しやすくすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】 請求項1のミシンのプログラム作成装置は、縫製プログラムにより制御する電子ミシンのミシン制御部に接続され、このミシン制御部に縫製プログラムを設定するプログラム作成装置において、縫製プログラムに複数のパラメータの設定値を設定するパラメータ設定手段と、前記パラメータ設定手段で設定されたパラメータの設定値を表示可能な表示手段と、複数のパラメータの全部又は一部を異ならせた複数の縫製プログラムを格納したプログラム記憶手段と、前記複数のパラメータのうちの何れか1つを選択するパラメータ選択手段と、前記パラメータ選択手段で選択されたパラメータの設定値を選択する設定値選択手段と、前記両選択手段で選択されたパラメータとその設定値を含む縫製プログラムを前記プログラム記憶手段から検索して表示手段に表示させるプログラム検索手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】パラメータ設定手段により縫製プログラムに複数のパラメータの設定値を設定し、その設定したパラメータの設定値を表示手段に表示させることができる。プログラム記憶手段には、複数のパラメータの全部又は一部を異ならせた複数の縫製プログラムが格納されている。パラメータ選択手段により複数のパラメータのうちの何れか1つを選択し、その選択されたパラメータの設定値を設定値選択手段により選択すると、プログラム検索手段が前記のように選択されたパラメータとその設定値を含む縫製プログラムをプログラム記憶手段から検索して表示手段に表示させる。
【0009】ここで、前記プログラム記憶手段は、複数の電子ミシンのミシン別の複数の縫製プログラムを夫々格納した不揮発性の複数のファイルを有する構成を採用してもよい(請求項2)。複数のミシンの各々で用いる複数の縫製プログラムを不揮発性の各ファイルに格納しておくことができる。
【0010】また、前記プログラム記憶手段に格納された複数の縫製プログラムのうち何れか1つを選択するプログラム選択手段と、前記プログラム選択手段で選択された縫製プログラムで縫製する縫製対象のパターンを表示手段に表示させるパターン表示制御手段とを設けてもよい(請求項3)。プログラム記憶手段に記憶している何れかの縫製プログラムを選択すると、その縫製プログラムで縫製する縫製対象のパターンが表示手段に表示されるので、縫製対象のパターンの確認を簡単に行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本実施形態は電子制御式の穴かがりミシンのプログラム作成装置に本発明を適用した場合の例である。最初に穴かがりミシンについて説明し、その後、プログラム作成装置について説明する。尚、図1の前方と左方を基準として説明する。
【0012】図1に示すように、穴かがりミシンMには、ミシンテーブル1に、ミシンモータ2と、このミシンモータ2を含む各駆動部を起動又は停止させる為の足踏ペダル3と、穴かがり縫目60(図6参照)の形状とサイズ等を規定する複数のパラメータを入力設定する為の操作パネル4と、前記各駆動部を駆動制御するミシン制御部としての制御装置6等が設けられている。
【0013】前記操作パネル4に、本願特有のプログラム作成装置であるプログラマ5が接続ケーブル94を介して着脱自在に装着される。縫製工場等には、この穴かがりミシンMや同等の穴かがりミシンMが複数台設置されているが、このプログラマ5は複数の穴かがりミシンMの共通のプログラマとして使用され、各ミシンMの操作パネル4に着脱可能になっている。
【0014】穴かがりミシンMは、ベッド部7と脚柱部8とアーム部9とを有するミシン本体を有し、そのミシン本体に、図2〜図5に示すように、加工布を前後に布送りする布送り機構10、加工布に縫目を形成する縫製機構30、加工布にボタン穴65(図6参照)を形成するボタン穴形成機構50等が設けられている。制御装置6により、布送り機構10と縫製機構30が制御されて穴かがり縫目60が形成され、ボタン穴形成機構50が制御されて穴かがり縫目60の内側にボタン穴65が形成される。
【0015】前記布送り機構10は、図2、図3に示すように、送り台11、押え足12、ステッピングモータ13等を有し、加工布を押え足12で送り台11に押えた状態で、ステッピングモータ13により送り台11と押え足12を一体的に前後に駆動することで、加工布も一体的に前後に布送りされる。
【0016】前記縫製機構30は、図2、図4に示すように、針棒31、針棒31の下端に装着された縫針32、縫針32に糸駒等の上糸供給源(図示略)から供給される縫製用の上糸33に張力を付与する糸調子機構34、糸調子機構34から縫針32へ延びる上糸33の途中部が掛けられる天秤35等を有する。針棒31及び縫針32はミシンモータ2により駆動される図示外の針棒上下動機構により上下に往復駆動され、ベッド部7内の糸捕捉器(図示略)により送り台11の下側にて上下動する縫針32付近における上糸33が捕捉されてボビン(図示略)から伸びる下糸と交絡して縫目が形成される。
【0017】前記ボタン穴形成機構50は、図5に示すように、メス51、メスホルダ52、メス取付軸53、メス作動腕54、メス駆動用ソレノイド55等を有する。このメス駆動用ソレノイド55により、メス作動腕54とメス取付軸53とメスホルダ52を介してメス51が下降して、送り台11上の加工布に落ち加工布が切断されてボタン穴が形成される。
【0018】ここで、穴かがり縫目60について説明する。図6に示すように、穴かがり縫目60は、往千鳥部61と復千鳥部62と前閂止め部63と奥閂止め部64を有し、前閂止め部63の一部、往千鳥部61、奥閂止め部64、復千鳥部62、前閂止め部63の残りの部分の順で縫製され、この穴かがり縫目60の内側にボタン穴65が形成される。
【0019】この穴かがり縫目60については所望の形状やサイズ等とすることができるが、穴かがりミシンMの制御装置6は、穴かがり縫目60の形状やサイズ等を規定する複数のパラメータ(図11〜図14参照)を含む縫製プログラムに基づいて、布送り機構10と縫製機構30とボタン穴形成機構50を制御して、所望の形状/サイズの穴かがり縫目60を形成することができる。
【0020】前記プログラマ5は、この穴かがり縫目60の形状やサイズ等を規定する複数のパラメータを設定して縫製プログラムを作成する為の装置である。但し、穴かがりミシンMにおいても、操作パネル4を操作することにより、制御装置6で複数のパラメータを設定して縫製プログラムを作成できるようになっている。
【0021】次に、プログラマ5について説明する。図1、図7に示すように、プログラマ5には、液晶ディスプレイ70(LCD70)と、電源スイッチ71、複数のキー72〜93、制御装置109 (図8参照)が設けられ、このプログラマ5が穴かがりミシンMの操作パネル4に接続ケーブル94を介して接続されると、プログラマ5の制御装置109 が操作パネル4を介して穴かがりミシンMの制御装置6に電気的に接続されると共に、プログラマ5に穴かがりミシンM側の電源基板6aを介して電源が供給されるようになる(図8参照)。
【0022】複数のキーのうち、メニューキー72はLCD70の表示画面をトップメニュー画面に戻す為のキーであり、左端縦1列に、奥閂止め形状の設定画面表示用のキー73、前閂止め形状の設定画面表示用のキー74、下打ち縫いの設定画面表示用のキー75、その他の機能の設定画面表示用のファンクションキー76が配置され、右端1列に、前記メニューキー72、エスケープキー77、種々の数値を上下させる為の上下キー78,79、LCD70に表示されたアイコンの選択や数値等を確定する為のエンターキー80が配置されている。
【0023】プログラマ5の中央部分に、パラメータ設定の際に千鳥部回転数を指定する為のキー81、千鳥ピッチを指定する為のキー82、千鳥幅を指定する為のキー83、以下、2重縫いキー84、カッター寸法キー85、千鳥縫い長さキー86、カッターXスペースキー87、カッターX位置補正キー88、奥閂止め長さキー89、奥閂止めピッチキー90、前閂止め長さキー91、前閂止めピッチキー92が配置されている。
【0024】次に、穴かがりミシンMの制御系とプログラマ5の制御系について図8に基づいて説明する。先ず、穴かがりミシンMの制御装置6は、CPU95とROM96とRAM97とバックアップRAM97aとこれらを接続するバス98を含むマイクロコンピュータと、入出力インターフェース99(I/Oインターフェース99)と、ミシンモータ2と上軸モータ100 とX軸モータ101 とY軸モータ102 とメス駆動用ソレノイド55を夫々駆動する為の駆動回路103 〜107 等を有する。
【0025】入出力インターフェース99には、前記駆動回路103 〜107 と、操作パネル4と、足踏みペダル3の操作位置に応じた信号を出力するペダル位置検出センサ108 等が接続されている。ROM96には、縫製プログラムに基づいて布送り機構10と縫製機構30とボタン穴形成機構50等を駆動制御する制御プログラムが格納され、RAM97は、ワークメモリ等として使用される。
【0026】また、操作パネル4を操作して複数のパラメータを設定して縫製プログラムを作成できるように、ROM96には、縫製プログラムの作成制御プログラムが格納され、バックアップRAM97aには、この穴かがりミシンMまたはプログラマ5で作成された縫製プログラムを記憶可能になっている。
【0027】次に、プログラマ5の制御装置109 は、CPU110 とROM111 とRAM112とバックアップRAM113 とこれらを接続するバスを含むマイクロコンピュータと、入出力インターフェース114 (I/Oインターフェース114 )と、ブザー115 とLCD70を夫々駆動する為の駆動回路116,117 等を有する。入出力インターフェース114 には、前記駆動回路116,117 と複数のキー72〜92等が接続されている。
【0028】図9に示すように、ROM111 には、複数のデフォルト値としたパラメータを含む1つの基準縫製プログラムと、縫製プログラムに複数のパラメータの設定値を(変更)設定するパラメータ設定制御プログラムが格納されている。図10に示すように、バックアップRAM113 には、複数のパラメータの全部又は一部を異ならせた複数の縫製プログラムが格納されている。
【0029】また、図9に示すように、ROM111 には、複数のパラメータのうちの何れか1つを選択するパラメータ選択制御プログラム、パラメータ選択制御で選択されたパラメータの設定値を選択する設定値選択制御プログラム、前記両選択制御で選択されたパラメータとその設定値を含む縫製プログラムをバックアップRAM113 から検索してLCD70に表示させるプログラム検索制御プログラムが格納されている。
【0030】更に、このROM111 には、バックアップRAM113 (又はROM111 )に格納されている複数の縫製プログラムのうちの何れか1つを選択するプログラム選択制御プログラムと、プログラム選択制御で選択された縫製プログラムで縫製する縫製対象の形状等のパターンをLCD70に表示させるパターン表示制御プログラムが格納されている。尚、ROM111 には、その他縫製プログラムの作成等に必要な表示をLCD70に行う表示制御プログラム等も格納されている。
【0031】ここで、バックアップRAM113 は、複数の穴かがりミシンMのミシン別の複数の縫製プログラムを夫々格納した不揮発性の複数のファイル113a,113b,113c・・・を有する。つまり、各ファイル113a,113b,113c・・・に、1台の穴かがりミシンMのファイルデータが記憶され、それに付随してファイル固有データが記憶され、各ファイルデータに複数の縫製プログラムが含まれている。
【0032】また、プログラマ5は、接続されている穴かがりミシンMの制御装置6から縫製プログラムを読み出すことができ、この読み出された縫製プログラムをRAM112 の揮発性プログラム記憶部メモリに記憶できるようになっている。尚、穴かがりミシンMから読み出された縫製プログラムを一旦RAM112 の揮発性プログラム記憶部に記憶した後、その縫製プログラムを加工(編集;パラメータの変更)して又は加工せずにバックアップRAM113 に記憶させることができる。尚、前記バックアップRAM113 等がプログラム記憶手段に相当する。
【0033】さて、本実施形態の場合、穴かがり縫目60のサイズや形状等を規定する複数のパラメータとして、図6、図11〜図14に示すように、千鳥部の回転数、穴かがり縫い/閂止め縫い、カッター寸法、カッターの多重落し時の千鳥縫い長さ、千鳥ピッチ、・・・等々、70項目程ある。
【0034】各パラメータの設定値は、設定範囲内で設定することができる。例えば、パラメータ番号「04」の千鳥ピッチについては、0.10〜2.00mmの設定範囲内で設定することができる。尚、図6に示すaがパラメータ番号「02」のカッター寸法、bがパラメータ番号「04」の千鳥ピッチ、cがパラメータ番号「05」の千鳥幅、dがパラメータ番号「21」の前閂止め長さ、eがパラメータ番号「31」の奥閂止め長さを表している。
【0035】次に、プログラマ5の制御装置109 が実行する、パラメータ設定制御、パラメータ選択制御、設定値選択制御、プログラム選択制御、パターン表示制御を含む一連の制御について、図15のフローチャートを参照して説明すると共に、この一連の制御を実行させる為にオペレータが行う操作やLCD70に表示される画面(図16〜図20)等について説明する。
【0036】図15に示すように、先ず、プログラマ5が穴かがりミシンMに接続された状態で、電源が投入されるとこの制御が開始され、先ず、図16のメニュー画面がLCD70に表示される(S1)。尚、電源投入直後はメニュー画面が自動的に表示されるが、メニュー画面以外の画面が表示されていてもメニュー画面に随時切換えることができる。
【0037】次に、図16のメニュー画面がLCD70に表示された状態で、カーソルキー93とエンターキー80を操作して、アイコン17jを指定すると、検索モードが設定され(S2)、図17(a)のパラメータ選択画面がLCD70に表示され、そこに複数のパラメータ番号が表示される。
【0038】但し、LCD70に一度に表示されるパラメータ番号は4つであるため、カーソルキーの上下側を押すことにより、表示されるパラメータ番号を4つずつ00〜03、04〜07・・・のように順次切換えることができる。例えば、図17(a)を表示させた状態でカーソルキーの上下キーの一方を押すと、図17(b)の画面が表示される。
【0039】次に、カーソルキー93とエンターキー80を操作して、複数のパラメータ番号のうちの何れかを指定することにより、そのパラメータが検索対象のパラメータとして選択される(S3)。尚、キー73〜76、81〜92を操作することで、対応するプログラマナンバー「00」〜「11」のパラメータを即座に選択することができる。このパラメータの選択後、図18の設定値選択画面がLCD70に表示され、例えば、この設定値選択画面では、選択したパラメータ(例えば、千鳥ピッチ)と、そのディフォルト値(例えば、0.35mm)が表示され、パラメータ番号(例えば、「04」)や穴かがり縫目の概略形状等も表示される。
【0040】この設定値選択画面を表示させた状態で、上下キー78,79を押すことにより、設定値が変更されて選択される(S4)。ここで、上下キー78,79を1回押すと、図11〜図14の「ステップ」の欄で示すステップ数分増減して変更される。例えば、図18の画面がLCD70に表示された状態で、上下キー78,79を1回押すと、0.35mmに対して0.025mm 分増減される。
【0041】次に、この設定値の選択後、エンターキー80を押すことにより、プログラム検索処理(S5)が実行されるが、このプログラム検索処理の前に、S3とS4を複数回行うことにより、検索対象のパラメータとその設定値を複数組選択することができる。
【0042】さて、プログラム検索処理(S5)では、選択されたパラメータとその設定値を含む縫製プログラムに該当する縫製プログラムが、バックアップRAM113 に記憶されている複数プログラムのなかから検索され、該当する縫製プログラムのプログラム番号がLCD70に表示される(S6)。
【0043】例えば、S3において検索対象のパラメータ;前閂止め形状を選択し、S4においてそのパラメータの設定値;0(角型)を選択した場合、図19に示すように、LCD70には、パラメータ;前閂止め形状とその設定値設定値;0(角型)と共に、該当するプログラムナンバー(例えば、1、3、10・・・)が表示される。ここで、複数組のパラメータとその設定値を選択した場合には、これら選択した全てのパラメータとその設定値に該当するプログラムが検索される。
【0044】該当する縫製プログラムの何れか1つを指定する、或いは、所定の操作を行って一旦メニュー画面に戻して前記検索とは関係なく複数の縫製プログラムの1つを指定すると、その縫製プログラムが読み出す対象の縫製プログラムとして選択され(S7)、その縫製プログラムがバックアップRAM113 のなかから読み出される(S8)。ここで、例えば、メニュー画面に戻ってアイコン17iを指定することにより、例えば、図20に示すように、その縫製プログラムで縫製する縫製対象の形状等のパターンをLCD70に表示させることができる(S9)。
【0045】次に、読み出された縫製プログラムの1又は複数のパラメータを変更設定するパラメータ変更設定処理(S10)を行うことができるが、このパラメータ変更設定処理をキャンセルすることができる。そして、最終的に、読み出された縫製プログラムについて、そのパラメータを変更し又は変更せずに、バックアップRAM113 に書き込むこともできる(S11)。
【0046】尚、メニュー画面の、アイコン17aは読み出しファイル指定画面の表示、アイコン17bは書き込みファイル指定画面の表示、アイコン17cはサイクル縫いモード選択画面の表示、アイコン17dは初期設定画面の表示、アイコン17eはミシン読み出し画面の表示、アイコン17fはミシン書き込み画面の表示、アイコン17gは環境設定画面の表示、アイコン17hはデータ比較画面の表示、アイコン17iは全体形状確認画面の表示を夫々行う為に選択するアイコンであり、アイコン17jが検索用画面表示の為のアイコンである。
【0047】上記のように、このプログラム5によれば、複数のパラメータのうちの何れか1つを選択し、選択されたパラメータの設定値を選択することにより、これら選択されたパラメータとその設定値を含む縫製プログラムをバックアップRAM113 から検索してLCD70に表示させることができる。
【0048】つまり、過去に設定し記憶している縫製プログラムの中から、所望の縫製プログラムを探し出すような場合に、パラメータとその設定値を選択することにより、そのパラメータとその設定値を含む1又は複数のプログラムを自動的に検索し、その設定値を表示手段に表示させることができるため、記憶している縫製プログラムの中から所望の縫製プログラムを簡単に能率的に検出することができ、縫製プログラムの準備などの縫製付随作業の生産性を高めることができる。
【0049】また、バックアップRAM113 は、穴かがりミシンのミシン別の複数の縫製プログラムを夫々格納した不揮発性の複数のファイル113a,113b,113c・・・を有するので、複数のミシンの各々で用いる複数の縫製プログラムを不揮発性の各ファイル113a(113b,113c ・・・)に格納しておくことができ、ミシン間における縫製プログラムの混同を解消でき、複数の縫製プログラムの管理が簡単になる。
【0050】更に、バックアップRAM113 に格納された複数の縫製プログラムのうち何れか1つを選択し、選択された縫製プログラムで縫製する縫製対象のパターンを表示手段に表示させることができるため、縫製対象のパターンの確認を簡単に行うことができる。
【0051】尚、次のように変更してもよい。前記パラメータ選択処理で選択されたパラメータの設定値を選択する設定値選択処理において、1つの設定値を選択する他に、設定値の範囲を選択するようにし、その範囲内の設定値を含む縫製プログラムを検索するようにしてもよい。また、また検索され複数のプログラムに対して、例えば更に減縮小するように、設定値や設定値の範囲を選択することにより縫製プログラムを検索して、該当する縫製プログラムを絞り込むようにしてもよい。
【0052】尚、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を付加して実施することも可能であるし、穴かがりミシン以外の電子ミシンであって、縫製プログラムにより制御する種々の電子ミシンのプログラム作成装置として適用できるということは言うまでもない。
【0053】
【発明の効果】 請求項1の発明によれば、パラメータ設定手段、表示手段、プログラム記憶手段、パラメータ選択手段、設定値選択手段、プログラム検索手段を設けたので、過去に設定し記憶している縫製プログラムの中から、所望の縫製プログラムを探し出すような場合に、パラメータとその設定値を選択することにより、そのパラメータとその設定値を含む1又は複数のプログラムを自動的に検索し、その設定値を表示手段に表示させることができる。そのため、記憶している縫製プログラムの中から所望の縫製プログラムを簡単に能率的に検出することができ、縫製プログラムの準備などの縫製付随作業の生産性を高めることができる。
【0054】請求項2の発明によれば、複数のミシンの各々で用いる複数の縫製プログラムを不揮発性の各ファイルに格納しておくことができる。ミシン間における縫製プログラムの混同を解消でき、複数の縫製プログラムの管理が簡単になる。請求項3の発明によれば、プログラム記憶手段に記憶している何れかの縫製プログラムを選択すると、その縫製プログラムで縫製する縫製対象のパターンが表示手段に表示されるので縫製対象のパターンの確認を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る穴かがりミシンの斜視図である。
【図2】穴かがりミシンのミシン本体前部の右側面図である。
【図3】布送り機構の斜視図である。
【図4】糸調子機構を含むミシン本体前部の斜視図である。
【図5】ボタン穴形成機構の斜視図である。
【図6】穴かがり縫目の平面図である。
【図7】プログラマの平面図である。
【図8】プログラマと穴かがりミシンの制御系のブロック図である。
【図9】プログラマのROMのデータ構成を示す図である。
【図10】プログラマのバックアップRAMのデータ構成を示す図である。
【図11】複数のパラメータの内容等を示したパラメータ一覧表である。
【図12】複数のパラメータの内容等を示したパラメータ一覧表である。
【図13】複数のパラメータの内容等を示したパラメータ一覧表である。
【図14】複数のパラメータの内容等を示したパラメータ一覧表である。
【図15】プログラマの制御装置が実行する制御のフローチャートである。
【図16】LCDに表示されたメニュー画面である。
【図17】LCDに表示されたパラメータ選択画面である。
【図18】LCDに表示された設定値選択画面である。
【図19】LCDに表示された検索結果表示画面である。
【図20】LCDに表示されたパターン表示画面である。
【符号の説明】
M 穴かがりミシン
5 プログラマ
6 制御装置
70 液晶ディスプレイ
71 電源スイッチ
72〜93 キー
109 制御装置
111 ROM
112 RAM
113 バックアップRAM
113a,113b ・・・ ファイル
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、縫製プログラムにより制御される電子制御式ミシンのプログラム作成装置に関し、特に複数のパラメータを異ならせた複数の縫製プログラムのうちから、選択したパラメータとその設定値を含む縫製プログラムを検索して表示可能にしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】 従来より、電子ミシンの制御部に所定の縫製対象の縫製の為の縫製プログラムを格納しておき、その縫製プログラムに種々のパラメータを設定することで、縫製対象を縫製可能にしたプログラム制御式ミシンは実用に供されている。例えば、特開2000−312785号公報に記載のように、プログラム制御式の穴かがりミシンでは、種々のパラメータを設定することで、種々の形状やサイズの穴かがり縫いを行うことができる。
【0003】ここで、例えば、特開平10−328445号公報には、電子制御式ミシンの為の縫製プログラムを作成するプログラム作成装置が提案されている。このプログラム作成装置では、ディスプレイへの表示と、キー操作と、数値の入力等を介して、種々のパターンを縫製するプログラムを作成可能である。
【0004】例えば、前記穴かがり縫いミシンのミシン制御部に対して、縫製プログラムやその縫製パラメータを設定する前記プログラム作成装置も本願出願人により実用に供されている。このプログラム作成装置では、縫製プログラムにおける多数のパラメータを順々に読み出してディスプレイに表示させながら各パラメータの設定値を変更設定可能であり、複数のパラメータの全部または一部を異ならせた数10組の縫製プログラムを記憶可能であり、このプログラム作成装置をミシン制御部に接続した状態で、今回設定した縫製プログラムやそのパラメータを記憶部から読みだしてミシン制御部へ転送可能になっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】 従来のプログラム作成装置では、過去に作成し記憶している縫製プログラムやそのパラメータを再編集して新たな縫製プログラムを作成する場合には、複数の縫製プログラム或いは各縫製プログラムにおける複数のパラメータを順々に読み出してディスプレイに表示させながら、縫製プログラムの内容や縫製対象のパターンや複数のパラメータの設定値を確認しなければならなかったので、所望の縫製プログラムを検索するのに多大の労力と時間がかかると問題があった。
【0006】本発明の目的は、ミシンのプログラム作成装置おいて記憶している複数の縫製プログラムの中から所望の縫製プログラムを検出しやすくすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】 請求項1のミシンのプログラム作成装置は、縫製プログラムにより制御する電子ミシンのミシン制御部に接続され、このミシン制御部に縫製プログラムを設定するプログラム作成装置において、縫製プログラムに複数のパラメータの設定値を設定するパラメータ設定手段と、前記パラメータ設定手段で設定されたパラメータの設定値を表示可能な表示手段と、複数のパラメータの全部又は一部を異ならせた複数の縫製プログラムを格納したプログラム記憶手段と、前記複数のパラメータのうちの何れか1つを選択するパラメータ選択手段と、前記パラメータ選択手段で選択されたパラメータの設定値を選択する設定値選択手段と、前記両選択手段で選択されたパラメータとその設定値を含む縫製プログラムを前記プログラム記憶手段から検索して表示手段に表示させるプログラム検索手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】パラメータ設定手段により縫製プログラムに複数のパラメータの設定値を設定し、その設定したパラメータの設定値を表示手段に表示させることができる。プログラム記憶手段には、複数のパラメータの全部又は一部を異ならせた複数の縫製プログラムが格納されている。パラメータ選択手段により複数のパラメータのうちの何れか1つを選択し、その選択されたパラメータの設定値を設定値選択手段により選択すると、プログラム検索手段が前記のように選択されたパラメータとその設定値を含む縫製プログラムをプログラム記憶手段から検索して表示手段に表示させる。
【0009】ここで、前記プログラム記憶手段は、複数の電子ミシンのミシン別の複数の縫製プログラムを夫々格納した不揮発性の複数のファイルを有する構成を採用してもよい(請求項2)。複数のミシンの各々で用いる複数の縫製プログラムを不揮発性の各ファイルに格納しておくことができる。
【0010】また、前記プログラム記憶手段に格納された複数の縫製プログラムのうち何れか1つを選択するプログラム選択手段と、前記プログラム選択手段で選択された縫製プログラムで縫製する縫製対象のパターンを表示手段に表示させるパターン表示制御手段とを設けてもよい(請求項3)。プログラム記憶手段に記憶している何れかの縫製プログラムを選択すると、その縫製プログラムで縫製する縫製対象のパターンが表示手段に表示されるので、縫製対象のパターンの確認を簡単に行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本実施形態は電子制御式の穴かがりミシンのプログラム作成装置に本発明を適用した場合の例である。最初に穴かがりミシンについて説明し、その後、プログラム作成装置について説明する。尚、図1の前方と左方を基準として説明する。
【0012】図1に示すように、穴かがりミシンMには、ミシンテーブル1に、ミシンモータ2と、このミシンモータ2を含む各駆動部を起動又は停止させる為の足踏ペダル3と、穴かがり縫目60(図6参照)の形状とサイズ等を規定する複数のパラメータを入力設定する為の操作パネル4と、前記各駆動部を駆動制御するミシン制御部としての制御装置6等が設けられている。
【0013】前記操作パネル4に、本願特有のプログラム作成装置であるプログラマ5が接続ケーブル94を介して着脱自在に装着される。縫製工場等には、この穴かがりミシンMや同等の穴かがりミシンMが複数台設置されているが、このプログラマ5は複数の穴かがりミシンMの共通のプログラマとして使用され、各ミシンMの操作パネル4に着脱可能になっている。
【0014】穴かがりミシンMは、ベッド部7と脚柱部8とアーム部9とを有するミシン本体を有し、そのミシン本体に、図2〜図5に示すように、加工布を前後に布送りする布送り機構10、加工布に縫目を形成する縫製機構30、加工布にボタン穴65(図6参照)を形成するボタン穴形成機構50等が設けられている。制御装置6により、布送り機構10と縫製機構30が制御されて穴かがり縫目60が形成され、ボタン穴形成機構50が制御されて穴かがり縫目60の内側にボタン穴65が形成される。
【0015】前記布送り機構10は、図2、図3に示すように、送り台11、押え足12、ステッピングモータ13等を有し、加工布を押え足12で送り台11に押えた状態で、ステッピングモータ13により送り台11と押え足12を一体的に前後に駆動することで、加工布も一体的に前後に布送りされる。
【0016】前記縫製機構30は、図2、図4に示すように、針棒31、針棒31の下端に装着された縫針32、縫針32に糸駒等の上糸供給源(図示略)から供給される縫製用の上糸33に張力を付与する糸調子機構34、糸調子機構34から縫針32へ延びる上糸33の途中部が掛けられる天秤35等を有する。針棒31及び縫針32はミシンモータ2により駆動される図示外の針棒上下動機構により上下に往復駆動され、ベッド部7内の糸捕捉器(図示略)により送り台11の下側にて上下動する縫針32付近における上糸33が捕捉されてボビン(図示略)から伸びる下糸と交絡して縫目が形成される。
【0017】前記ボタン穴形成機構50は、図5に示すように、メス51、メスホルダ52、メス取付軸53、メス作動腕54、メス駆動用ソレノイド55等を有する。このメス駆動用ソレノイド55により、メス作動腕54とメス取付軸53とメスホルダ52を介してメス51が下降して、送り台11上の加工布に落ち加工布が切断されてボタン穴が形成される。
【0018】ここで、穴かがり縫目60について説明する。図6に示すように、穴かがり縫目60は、往千鳥部61と復千鳥部62と前閂止め部63と奥閂止め部64を有し、前閂止め部63の一部、往千鳥部61、奥閂止め部64、復千鳥部62、前閂止め部63の残りの部分の順で縫製され、この穴かがり縫目60の内側にボタン穴65が形成される。
【0019】この穴かがり縫目60については所望の形状やサイズ等とすることができるが、穴かがりミシンMの制御装置6は、穴かがり縫目60の形状やサイズ等を規定する複数のパラメータ(図11〜図14参照)を含む縫製プログラムに基づいて、布送り機構10と縫製機構30とボタン穴形成機構50を制御して、所望の形状/サイズの穴かがり縫目60を形成することができる。
【0020】前記プログラマ5は、この穴かがり縫目60の形状やサイズ等を規定する複数のパラメータを設定して縫製プログラムを作成する為の装置である。但し、穴かがりミシンMにおいても、操作パネル4を操作することにより、制御装置6で複数のパラメータを設定して縫製プログラムを作成できるようになっている。
【0021】次に、プログラマ5について説明する。図1、図7に示すように、プログラマ5には、液晶ディスプレイ70(LCD70)と、電源スイッチ71、複数のキー72〜93、制御装置109 (図8参照)が設けられ、このプログラマ5が穴かがりミシンMの操作パネル4に接続ケーブル94を介して接続されると、プログラマ5の制御装置109 が操作パネル4を介して穴かがりミシンMの制御装置6に電気的に接続されると共に、プログラマ5に穴かがりミシンM側の電源基板6aを介して電源が供給されるようになる(図8参照)。
【0022】複数のキーのうち、メニューキー72はLCD70の表示画面をトップメニュー画面に戻す為のキーであり、左端縦1列に、奥閂止め形状の設定画面表示用のキー73、前閂止め形状の設定画面表示用のキー74、下打ち縫いの設定画面表示用のキー75、その他の機能の設定画面表示用のファンクションキー76が配置され、右端1列に、前記メニューキー72、エスケープキー77、種々の数値を上下させる為の上下キー78,79、LCD70に表示されたアイコンの選択や数値等を確定する為のエンターキー80が配置されている。
【0023】プログラマ5の中央部分に、パラメータ設定の際に千鳥部回転数を指定する為のキー81、千鳥ピッチを指定する為のキー82、千鳥幅を指定する為のキー83、以下、2重縫いキー84、カッター寸法キー85、千鳥縫い長さキー86、カッターXスペースキー87、カッターX位置補正キー88、奥閂止め長さキー89、奥閂止めピッチキー90、前閂止め長さキー91、前閂止めピッチキー92が配置されている。
【0024】次に、穴かがりミシンMの制御系とプログラマ5の制御系について図8に基づいて説明する。先ず、穴かがりミシンMの制御装置6は、CPU95とROM96とRAM97とバックアップRAM97aとこれらを接続するバス98を含むマイクロコンピュータと、入出力インターフェース99(I/Oインターフェース99)と、ミシンモータ2と上軸モータ100 とX軸モータ101 とY軸モータ102 とメス駆動用ソレノイド55を夫々駆動する為の駆動回路103 〜107 等を有する。
【0025】入出力インターフェース99には、前記駆動回路103 〜107 と、操作パネル4と、足踏みペダル3の操作位置に応じた信号を出力するペダル位置検出センサ108 等が接続されている。ROM96には、縫製プログラムに基づいて布送り機構10と縫製機構30とボタン穴形成機構50等を駆動制御する制御プログラムが格納され、RAM97は、ワークメモリ等として使用される。
【0026】また、操作パネル4を操作して複数のパラメータを設定して縫製プログラムを作成できるように、ROM96には、縫製プログラムの作成制御プログラムが格納され、バックアップRAM97aには、この穴かがりミシンMまたはプログラマ5で作成された縫製プログラムを記憶可能になっている。
【0027】次に、プログラマ5の制御装置109 は、CPU110 とROM111 とRAM112とバックアップRAM113 とこれらを接続するバスを含むマイクロコンピュータと、入出力インターフェース114 (I/Oインターフェース114 )と、ブザー115 とLCD70を夫々駆動する為の駆動回路116,117 等を有する。入出力インターフェース114 には、前記駆動回路116,117 と複数のキー72〜92等が接続されている。
【0028】図9に示すように、ROM111 には、複数のデフォルト値としたパラメータを含む1つの基準縫製プログラムと、縫製プログラムに複数のパラメータの設定値を(変更)設定するパラメータ設定制御プログラムが格納されている。図10に示すように、バックアップRAM113 には、複数のパラメータの全部又は一部を異ならせた複数の縫製プログラムが格納されている。
【0029】また、図9に示すように、ROM111 には、複数のパラメータのうちの何れか1つを選択するパラメータ選択制御プログラム、パラメータ選択制御で選択されたパラメータの設定値を選択する設定値選択制御プログラム、前記両選択制御で選択されたパラメータとその設定値を含む縫製プログラムをバックアップRAM113 から検索してLCD70に表示させるプログラム検索制御プログラムが格納されている。
【0030】更に、このROM111 には、バックアップRAM113 (又はROM111 )に格納されている複数の縫製プログラムのうちの何れか1つを選択するプログラム選択制御プログラムと、プログラム選択制御で選択された縫製プログラムで縫製する縫製対象の形状等のパターンをLCD70に表示させるパターン表示制御プログラムが格納されている。尚、ROM111 には、その他縫製プログラムの作成等に必要な表示をLCD70に行う表示制御プログラム等も格納されている。
【0031】ここで、バックアップRAM113 は、複数の穴かがりミシンMのミシン別の複数の縫製プログラムを夫々格納した不揮発性の複数のファイル113a,113b,113c・・・を有する。つまり、各ファイル113a,113b,113c・・・に、1台の穴かがりミシンMのファイルデータが記憶され、それに付随してファイル固有データが記憶され、各ファイルデータに複数の縫製プログラムが含まれている。
【0032】また、プログラマ5は、接続されている穴かがりミシンMの制御装置6から縫製プログラムを読み出すことができ、この読み出された縫製プログラムをRAM112 の揮発性プログラム記憶部メモリに記憶できるようになっている。尚、穴かがりミシンMから読み出された縫製プログラムを一旦RAM112 の揮発性プログラム記憶部に記憶した後、その縫製プログラムを加工(編集;パラメータの変更)して又は加工せずにバックアップRAM113 に記憶させることができる。尚、前記バックアップRAM113 等がプログラム記憶手段に相当する。
【0033】さて、本実施形態の場合、穴かがり縫目60のサイズや形状等を規定する複数のパラメータとして、図6、図11〜図14に示すように、千鳥部の回転数、穴かがり縫い/閂止め縫い、カッター寸法、カッターの多重落し時の千鳥縫い長さ、千鳥ピッチ、・・・等々、70項目程ある。
【0034】各パラメータの設定値は、設定範囲内で設定することができる。例えば、パラメータ番号「04」の千鳥ピッチについては、0.10〜2.00mmの設定範囲内で設定することができる。尚、図6に示すaがパラメータ番号「02」のカッター寸法、bがパラメータ番号「04」の千鳥ピッチ、cがパラメータ番号「05」の千鳥幅、dがパラメータ番号「21」の前閂止め長さ、eがパラメータ番号「31」の奥閂止め長さを表している。
【0035】次に、プログラマ5の制御装置109 が実行する、パラメータ設定制御、パラメータ選択制御、設定値選択制御、プログラム選択制御、パターン表示制御を含む一連の制御について、図15のフローチャートを参照して説明すると共に、この一連の制御を実行させる為にオペレータが行う操作やLCD70に表示される画面(図16〜図20)等について説明する。
【0036】図15に示すように、先ず、プログラマ5が穴かがりミシンMに接続された状態で、電源が投入されるとこの制御が開始され、先ず、図16のメニュー画面がLCD70に表示される(S1)。尚、電源投入直後はメニュー画面が自動的に表示されるが、メニュー画面以外の画面が表示されていてもメニュー画面に随時切換えることができる。
【0037】次に、図16のメニュー画面がLCD70に表示された状態で、カーソルキー93とエンターキー80を操作して、アイコン17jを指定すると、検索モードが設定され(S2)、図17(a)のパラメータ選択画面がLCD70に表示され、そこに複数のパラメータ番号が表示される。
【0038】但し、LCD70に一度に表示されるパラメータ番号は4つであるため、カーソルキーの上下側を押すことにより、表示されるパラメータ番号を4つずつ00〜03、04〜07・・・のように順次切換えることができる。例えば、図17(a)を表示させた状態でカーソルキーの上下キーの一方を押すと、図17(b)の画面が表示される。
【0039】次に、カーソルキー93とエンターキー80を操作して、複数のパラメータ番号のうちの何れかを指定することにより、そのパラメータが検索対象のパラメータとして選択される(S3)。尚、キー73〜76、81〜92を操作することで、対応するプログラマナンバー「00」〜「11」のパラメータを即座に選択することができる。このパラメータの選択後、図18の設定値選択画面がLCD70に表示され、例えば、この設定値選択画面では、選択したパラメータ(例えば、千鳥ピッチ)と、そのディフォルト値(例えば、0.35mm)が表示され、パラメータ番号(例えば、「04」)や穴かがり縫目の概略形状等も表示される。
【0040】この設定値選択画面を表示させた状態で、上下キー78,79を押すことにより、設定値が変更されて選択される(S4)。ここで、上下キー78,79を1回押すと、図11〜図14の「ステップ」の欄で示すステップ数分増減して変更される。例えば、図18の画面がLCD70に表示された状態で、上下キー78,79を1回押すと、0.35mmに対して0.025mm 分増減される。
【0041】次に、この設定値の選択後、エンターキー80を押すことにより、プログラム検索処理(S5)が実行されるが、このプログラム検索処理の前に、S3とS4を複数回行うことにより、検索対象のパラメータとその設定値を複数組選択することができる。
【0042】さて、プログラム検索処理(S5)では、選択されたパラメータとその設定値を含む縫製プログラムに該当する縫製プログラムが、バックアップRAM113 に記憶されている複数プログラムのなかから検索され、該当する縫製プログラムのプログラム番号がLCD70に表示される(S6)。
【0043】例えば、S3において検索対象のパラメータ;前閂止め形状を選択し、S4においてそのパラメータの設定値;0(角型)を選択した場合、図19に示すように、LCD70には、パラメータ;前閂止め形状とその設定値設定値;0(角型)と共に、該当するプログラムナンバー(例えば、1、3、10・・・)が表示される。ここで、複数組のパラメータとその設定値を選択した場合には、これら選択した全てのパラメータとその設定値に該当するプログラムが検索される。
【0044】該当する縫製プログラムの何れか1つを指定する、或いは、所定の操作を行って一旦メニュー画面に戻して前記検索とは関係なく複数の縫製プログラムの1つを指定すると、その縫製プログラムが読み出す対象の縫製プログラムとして選択され(S7)、その縫製プログラムがバックアップRAM113 のなかから読み出される(S8)。ここで、例えば、メニュー画面に戻ってアイコン17iを指定することにより、例えば、図20に示すように、その縫製プログラムで縫製する縫製対象の形状等のパターンをLCD70に表示させることができる(S9)。
【0045】次に、読み出された縫製プログラムの1又は複数のパラメータを変更設定するパラメータ変更設定処理(S10)を行うことができるが、このパラメータ変更設定処理をキャンセルすることができる。そして、最終的に、読み出された縫製プログラムについて、そのパラメータを変更し又は変更せずに、バックアップRAM113 に書き込むこともできる(S11)。
【0046】尚、メニュー画面の、アイコン17aは読み出しファイル指定画面の表示、アイコン17bは書き込みファイル指定画面の表示、アイコン17cはサイクル縫いモード選択画面の表示、アイコン17dは初期設定画面の表示、アイコン17eはミシン読み出し画面の表示、アイコン17fはミシン書き込み画面の表示、アイコン17gは環境設定画面の表示、アイコン17hはデータ比較画面の表示、アイコン17iは全体形状確認画面の表示を夫々行う為に選択するアイコンであり、アイコン17jが検索用画面表示の為のアイコンである。
【0047】上記のように、このプログラム5によれば、複数のパラメータのうちの何れか1つを選択し、選択されたパラメータの設定値を選択することにより、これら選択されたパラメータとその設定値を含む縫製プログラムをバックアップRAM113 から検索してLCD70に表示させることができる。
【0048】つまり、過去に設定し記憶している縫製プログラムの中から、所望の縫製プログラムを探し出すような場合に、パラメータとその設定値を選択することにより、そのパラメータとその設定値を含む1又は複数のプログラムを自動的に検索し、その設定値を表示手段に表示させることができるため、記憶している縫製プログラムの中から所望の縫製プログラムを簡単に能率的に検出することができ、縫製プログラムの準備などの縫製付随作業の生産性を高めることができる。
【0049】また、バックアップRAM113 は、穴かがりミシンのミシン別の複数の縫製プログラムを夫々格納した不揮発性の複数のファイル113a,113b,113c・・・を有するので、複数のミシンの各々で用いる複数の縫製プログラムを不揮発性の各ファイル113a(113b,113c ・・・)に格納しておくことができ、ミシン間における縫製プログラムの混同を解消でき、複数の縫製プログラムの管理が簡単になる。
【0050】更に、バックアップRAM113 に格納された複数の縫製プログラムのうち何れか1つを選択し、選択された縫製プログラムで縫製する縫製対象のパターンを表示手段に表示させることができるため、縫製対象のパターンの確認を簡単に行うことができる。
【0051】尚、次のように変更してもよい。前記パラメータ選択処理で選択されたパラメータの設定値を選択する設定値選択処理において、1つの設定値を選択する他に、設定値の範囲を選択するようにし、その範囲内の設定値を含む縫製プログラムを検索するようにしてもよい。また、また検索され複数のプログラムに対して、例えば更に減縮小するように、設定値や設定値の範囲を選択することにより縫製プログラムを検索して、該当する縫製プログラムを絞り込むようにしてもよい。
【0052】尚、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を付加して実施することも可能であるし、穴かがりミシン以外の電子ミシンであって、縫製プログラムにより制御する種々の電子ミシンのプログラム作成装置として適用できるということは言うまでもない。
【0053】
【発明の効果】 請求項1の発明によれば、パラメータ設定手段、表示手段、プログラム記憶手段、パラメータ選択手段、設定値選択手段、プログラム検索手段を設けたので、過去に設定し記憶している縫製プログラムの中から、所望の縫製プログラムを探し出すような場合に、パラメータとその設定値を選択することにより、そのパラメータとその設定値を含む1又は複数のプログラムを自動的に検索し、その設定値を表示手段に表示させることができる。そのため、記憶している縫製プログラムの中から所望の縫製プログラムを簡単に能率的に検出することができ、縫製プログラムの準備などの縫製付随作業の生産性を高めることができる。
【0054】請求項2の発明によれば、複数のミシンの各々で用いる複数の縫製プログラムを不揮発性の各ファイルに格納しておくことができる。ミシン間における縫製プログラムの混同を解消でき、複数の縫製プログラムの管理が簡単になる。請求項3の発明によれば、プログラム記憶手段に記憶している何れかの縫製プログラムを選択すると、その縫製プログラムで縫製する縫製対象のパターンが表示手段に表示されるので縫製対象のパターンの確認を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る穴かがりミシンの斜視図である。
【図2】穴かがりミシンのミシン本体前部の右側面図である。
【図3】布送り機構の斜視図である。
【図4】糸調子機構を含むミシン本体前部の斜視図である。
【図5】ボタン穴形成機構の斜視図である。
【図6】穴かがり縫目の平面図である。
【図7】プログラマの平面図である。
【図8】プログラマと穴かがりミシンの制御系のブロック図である。
【図9】プログラマのROMのデータ構成を示す図である。
【図10】プログラマのバックアップRAMのデータ構成を示す図である。
【図11】複数のパラメータの内容等を示したパラメータ一覧表である。
【図12】複数のパラメータの内容等を示したパラメータ一覧表である。
【図13】複数のパラメータの内容等を示したパラメータ一覧表である。
【図14】複数のパラメータの内容等を示したパラメータ一覧表である。
【図15】プログラマの制御装置が実行する制御のフローチャートである。
【図16】LCDに表示されたメニュー画面である。
【図17】LCDに表示されたパラメータ選択画面である。
【図18】LCDに表示された設定値選択画面である。
【図19】LCDに表示された検索結果表示画面である。
【図20】LCDに表示されたパターン表示画面である。
【符号の説明】
M 穴かがりミシン
5 プログラマ
6 制御装置
70 液晶ディスプレイ
71 電源スイッチ
72〜93 キー
109 制御装置
111 ROM
112 RAM
113 バックアップRAM
113a,113b ・・・ ファイル
【特許請求の範囲】
【請求項1】 縫製プログラムにより制御する電子ミシンのミシン制御部に接続され、このミシン制御部に縫製プログラムを設定するプログラム作成装置において、縫製プログラムに複数のパラメータの設定値を設定するパラメータ設定手段と、前記パラメータ設定手段で設定されたパラメータの設定値を表示可能な表示手段と、複数のパラメータの全部又は一部を異ならせた複数の縫製プログラムを格納したプログラム記憶手段と、前記複数のパラメータのうちの何れか1つを選択するパラメータ選択手段と、前記パラメータ選択手段で選択されたパラメータの設定値を選択する設定値選択手段と、前記両選択手段で選択されたパラメータとその設定値を含む縫製プログラムを前記プログラム記憶手段から検索して表示手段に表示させるプログラム検索手段と、を備えたことを特徴とするミシンのプログラム作成装置。
【請求項2】 前記プログラム記憶手段は、複数の電子ミシンのミシン別の複数の縫製プログラムを夫々格納した不揮発性の複数のファイルを有することを特徴とする請求項1に記載のミシンのプログラム作成装置。
【請求項3】 前記プログラム記憶手段に格納された複数の縫製プログラムのうち何れか1つを選択するプログラム選択手段と、前記プログラム選択手段で選択された縫製プログラムで縫製する縫製対象のパターンを表示手段に表示させるパターン表示制御手段とを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のミシンのプログラム作成装置。
【請求項1】 縫製プログラムにより制御する電子ミシンのミシン制御部に接続され、このミシン制御部に縫製プログラムを設定するプログラム作成装置において、縫製プログラムに複数のパラメータの設定値を設定するパラメータ設定手段と、前記パラメータ設定手段で設定されたパラメータの設定値を表示可能な表示手段と、複数のパラメータの全部又は一部を異ならせた複数の縫製プログラムを格納したプログラム記憶手段と、前記複数のパラメータのうちの何れか1つを選択するパラメータ選択手段と、前記パラメータ選択手段で選択されたパラメータの設定値を選択する設定値選択手段と、前記両選択手段で選択されたパラメータとその設定値を含む縫製プログラムを前記プログラム記憶手段から検索して表示手段に表示させるプログラム検索手段と、を備えたことを特徴とするミシンのプログラム作成装置。
【請求項2】 前記プログラム記憶手段は、複数の電子ミシンのミシン別の複数の縫製プログラムを夫々格納した不揮発性の複数のファイルを有することを特徴とする請求項1に記載のミシンのプログラム作成装置。
【請求項3】 前記プログラム記憶手段に格納された複数の縫製プログラムのうち何れか1つを選択するプログラム選択手段と、前記プログラム選択手段で選択された縫製プログラムで縫製する縫製対象のパターンを表示手段に表示させるパターン表示制御手段とを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のミシンのプログラム作成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図9】
【図16】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図18】
【図19】
【図8】
【図10】
【図11】
【図17】
【図20】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図9】
【図16】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図18】
【図19】
【図8】
【図10】
【図11】
【図17】
【図20】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2003−53075(P2003−53075A)
【公開日】平成15年2月25日(2003.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−245204(P2001−245204)
【出願日】平成13年8月13日(2001.8.13)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成15年2月25日(2003.2.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成13年8月13日(2001.8.13)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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