説明

ミシン

【課題】種別(仕様)の異なるミシンに共用させることができ、制御装置の生産コスト、在庫管理コストの低減を図る。
【解決手段】ミシン本体3と、ミシン本体に対して電気的に接続してミシンモータ31及びパルスモータ33,34の駆動を制御する制御手段4と、を備えるミシン1において、制御手段は、パルスモータを駆動させるための駆動量に対応した複数のパルスについて、パルスが発生する時間間隔をパルス毎に規定した駆動データ43dが、ミシン本体を識別する識別データ6d毎に対応付けて複数記憶された駆動データ記憶手段43と、ミシン本体と電気的に接続した際に、識別データ記憶手段からミシン本体の種別を取得する取得手段4と、取得した識別データに対応する駆動データ記憶手段に記憶された駆動データに基づいてパルスモータを駆動するパルスモータ駆動制御手段4と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシンに関する。
【背景技術】
【0002】
ミシンに記憶されている複数の縫い目模様の中からユーザが所望する縫い目模様を選択し、生地を保持枠で保持する布押さえを備えた布保持機構を針板上面に沿ってXY方向に移動させて保持枠の内側の縫製エリア内で任意の形状縫いを行うサイクルミシンが知られている。このとき、布保持機構は、パルスモータにより縫製の際に針棒の上下動に同期して駆動することも知られている(例えば、特許文献1,2参照。)。
布保持機構を駆動させるパルスモータの駆動は、台形駆動のように加減速するのが一般的である。しかしながら、ミシンのXY駆動のように、ミシンの針棒と同期して短時間で駆動する場合には、ミシンに合わせたパルスレート(パルス間隔)で駆動しないと、パルスモータが脱調を起こしてしまうため、高速で駆動することができない。
【0003】
例えば、ピッチが0.1mm〜10mmまでで、0.1mmの分解能で布保持機構を駆動させるときには、1パルス〜100パルス毎にパルス間隔を定義したテーブルを作成し、このテーブルに基づいて駆動制御を行っている。
サイクルミシンには、縫製パターンの大きさの違いに対応した布押さえの大きさによる縫製範囲の違いにより駆動機構の重量が相違したり、薄物/厚物用等によるミシンの最高回転数等の違いにより多くの仕様があるが、これらのミシンは、仕様毎に個々のパルスモータの特性やXY機構に合わせたパルステーブルを作成して駆動させる必要があり、種別(仕様)の異なるミシン毎にパルステーブルを備えた制御装置を設けていた。
【特許文献1】特開昭56−106681号公報
【特許文献2】特開昭61−37281号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のミシンにおいては、種別(仕様)が異なる毎に制御装置を別個に生産する必要があったため、生産コストの増大、また、制御装置の数が増えることによる在庫管理コストの増大を招くという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、種別(仕様)の異なるミシンに共用させることができ、制御装置の生産コスト、在庫管理コストの低減を図ることができるミシンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、針を上下に駆動するミシンモータと、テーブル上に載置された布を保持する布保持機構と、前記ミシンモータによる前記針の上下動に同期して、前記布保持機構をXY方向に移動させるパルスモータと、ミシン本体の種別を表す識別データを記憶する識別データ記憶手段と、を備えたミシン本体と、前記ミシン本体に対して電気的に接続して前記ミシンモータ及び前記パルスモータの駆動を制御する制御手段と、を備えるミシンにおいて、前記制御手段は、前記パルスモータを駆動させるための駆動量に対応した複数のパルスについて、前記パルスが発生する時間間隔をパルス毎に規定した駆動データが、前記ミシン本体を識別する識別データ毎に対応付けて複数記憶された駆動データ記憶手段と、前記ミシン本体と電気的に接続した際に、前記識別データ記憶手段から前記ミシン本体の種別を取得する取得手段と、前記取得手段により取得した前記識別データに対応する前記駆動データ記憶手段に記憶された駆動データに基づいて前記パルスモータを駆動するパルスモータ駆動制御手段と、を備えることを特徴とする。
ここで、XY方向とは、布が載置されるテーブル上面に沿った方向をいう。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、ミシン本体と制御手段を電気的に接続すると、取得手段は、識別データ記憶手段に記憶されたミシン本体の種別に関する識別データを取得する。取得手段が識別データを取得すると、パルスモータ駆動制御手段は、駆動データ記憶手段にアクセスして、取得手段により取得された識別データに対応する駆動データに基づいてパルスモータを駆動させる。
これにより、駆動データ記憶手段には、識別データに対応する駆動データが複数記憶されているので、取得された識別データが異なっても、取得された識別データに対応する駆動データを検索してパルスモータを駆動させることができるので、制御手段をミシン本体の種別が異なるミシンに共用させることができ、制御手段の生産コスト、在庫管理コストの低減を図ることができる。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のミシンにおいて、前記ミシンモータの駆動により回転し、前記針棒を上下動させる主軸と、前記主軸が所定角度回転する毎に1パルスずつ検出するエンコーダと、を備え、前記駆動データは、パルスの発信間隔が前記主軸の回転角度に基づいて個別に設定された複数のパルスからなるパルステーブルであることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、駆動データを構成するパルステーブルのパルスの発信間隔を主軸の回転角度によって決定することができるので、駆動データの汎用性を高めることができる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、駆動データ記憶手段には、識別データに対応する駆動データが複数記憶されているので、取得された識別データが異なっても、取得された識別データに対応する駆動データを検索してパルスモータを駆動させることができるので、制御手段を仕様の異なるミシンに共用させることができ、制御手段の生産コスト、在庫管理コストの低減を図ることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、駆動データを構成するパルステーブルのパルスの発信間隔を主軸の回転角度によって決定することができるので、駆動データの汎用性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、ミシンの最良の形態について詳細に説明する。実施形態では、ミシンとして電子サイクルミシンを例に説明する。なお、実施形態の説明上、針が上下動を行う方向をZ軸方向(上下方向)とし、これと直交する一の方向をX軸方向(左右方向)とし、Z軸方向とX軸方向の両方に直交する方向をY軸方向(前後方向)とする。
【0013】
<ミシンの構成>
電子サイクルミシンは、縫製を行う被縫製物である布を保持する保持枠を有し、その保持枠が針に対し移動することにより、保持枠に保持される布に所定の縫製データ(縫製パターン)に基づく縫い目を形成するミシンである。
図1に示すように、ミシン1は、作業場に設置された脚卓Tの上面に設けられており、テーブル2と、このテーブル2の上面に備えられるミシン本体3と、ミシン本体3に設けられた主軸モータ(後述する)及びパルスモータ(後述する)の駆動制御を行うとともに、ミシン本体3に電気的に接続可能な制御手段としての制御装置4と、テーブル2の上面に設けられ、操作入力を行ったり、縫製状況を表示させる操作パネル5と、を備えている。
【0014】
テーブル2は、被縫製物である布が載置されるように上面が平面状に形成されており、その上面には、針の通過を許容する針板が設けられている。
図1、図2に示すように、ミシン本体3は、テーブル2の上面に立設されている。ミシン本体3は、縫製を行う際に針30を上下に駆動するミシンモータとしての主軸モータ31(図2参照)と、テーブル2上に載置された布を保持する布保持機構としての布保持枠32と、針30が取り付けられる針棒30Bの上下動作に同期して、布保持枠32をXY方向、具体的には、テーブル2(針板)上面に沿った方向に移動させる駆動源となるパルスモータであるX軸モータ33(図2参照)及びY軸モータ34(図2参照)と、テーブル2上の布をテーブル2に押さえつけて保持する位置と解放する位置との間で布保持枠32を駆動させる布押さえシリンダ35と、を備えている。
【0015】
主軸モータ31は、制御装置4の主軸モータ31の駆動制御を行う主軸モータ制御回路31cに電気的に接続されている。X軸モータ33は、制御装置4のX軸モータ33の駆動制御を行うX軸モータ制御回路33cに電気的に接続されている。Y軸モータ34は、制御装置4のY軸モータ34の駆動制御を行うY軸モータ制御回路34cに電気的に接続されている。布押さえシリンダ35は、制御装置4の布押さえシリンダ35の駆動制御を行う布押さえ駆動回路35cに電気的に接続されている。
【0016】
ミシン本体3には、ミシン本体3の種別を表す識別データ6dを記憶する識別データ記憶手段としてのシリアルEEPROM6がミシン本体3の所定の差込口に着脱自在に設けられている。このシリアルEEPROM6は、制御装置4に電気的に接続されている。シリアルEEPROM6は、ミシン本体3の所定の差込口に装着することにより、制御装置4が識別データ6dを認識することができるようになっている。ここで、ミシン本体3の識別データ6dとは、ミシン本体3の仕様をいう。もちろん、ミシン本体3の仕様以外のデータであってもよく、ミシン本体3を識別できるデータであればその種類は問わない。
主軸モータ31には、針棒30Bを上下動させる主軸の回転を検出するエンコーダ7が設けられている。エンコーダ7は、制御装置4に電気的に接続され、エンコーダ7により検出された主軸の回転は、パルス信号により制御装置4に送信される。
【0017】
図2に示すように、制御装置4は、縫製パターンに関する処理プログラム、主軸モータ31、X軸モータ33、Y軸モータ34、布押さえシリンダ35の駆動制御プログラムに従って各処理を実行するCPU41と、処理プログラムを展開してCPU41の作業エリアとなるRAM42と、各処理を実行するためのプログラムやデータ等が記憶されるROM43、EEPROM44と、を備えている。
ROM43には、複数のミシン本体3の識別データ6d(仕様)毎にX軸モータ33及びY軸モータ34を駆動させる駆動データが対応付けて記憶されたパルステーブル43dが記憶されている。ここで、駆動データとは、X軸モータ33及びY軸モータ34を駆動させるための駆動量に対応した複数のパルスについて、パルスが発生する時間間隔をパルス毎に規定したデータであり、送りパルス数によって個別に設定されている。すなわち、ROM43は、駆動データ記憶手段として機能する。
このパルステーブル43dは、X軸モータ33及びY軸モータ34を駆動させるためのパルス信号からなるテーブルである。図3及び図4には、ROM43に記憶されている異なるパルステーブル43dが示されている。
【0018】
具体的に説明すると、図3に示すように、仕様Aのミシン本体3の場合、図3(a)は、針30の針板からの高さの軌跡を示した図であり、図3(b)は、針30が布から抜けてから再び布に突き刺さるまでに布保持枠32を駆動させるX軸モータ33のパルスの発信間隔を示した図であり、図3(c)は、縦に布保持枠32を駆動させるのに必要な送りパルス数をとり、横に各パルス間の発信時間間隔(単位はμs)をとって作成したパルステーブル43dである。ここで、送りパルス数が10の場合における、1番目のパルスから2番目のパルス発信までの時間間隔は2000μsであり、6番目のパルスから7番目のパルス発信までの時間間隔は1300μsである。このようなパルステーブル43dは、X軸モータ33及びY軸モータ34に対してそれぞれ設けられている。
【0019】
また、送りパルス数は、例えば、1から100まで複数設定されている。これは、図5に示すように、送りパルス数は、主軸モータ31の回転速度が高速になるにつれて少なくなるように設定され、主軸モータ31の回転数が低速になるにつれて多くなるように設定される。なぜなら、主軸モータ31の回転速度が高速になると、それに比例して針30の上下動の速度も高速となるため、X軸モータ33及びY軸モータ34に多くの送りパルス数を設定することにより発生する脱調を防ぐためである。
【0020】
また、図4に示すように、仕様Bのミシン本体3の場合、図4(a)は、針30の針板からの高さの軌跡を示した図であり、図4(b)は、針30が布から抜けてから再び布に突き刺さるまでに布保持枠32を駆動させるX軸モータ33のパルスの発信間隔を示した図であり、図4(c)は、縦に布保持枠32を駆動させるのに必要な送りパルス数をとり、横に各パルス間の発信時間間隔(単位はμs)をとって作成したパルステーブル43dである。ここで、送りパルス数が10の場合における、1番目のパルスから2番目のパルス発信までの時間間隔は2000μsであり、6番目のパルスから7番目のパルス発信までの時間間隔は1600μsである。
【0021】
また、ROM43には、ミシン本体3と制御装置4を電気的に接続した際に、シリアルEEPROM6からミシン本体3の種別を表す識別データ6dを取得する取得プログラムが記憶されている。すなわち、CPU41が取得プログラムを実行することにより、制御装置4は、取得手段として機能する。
また、ROM43には、取得プログラムの実行により取得した識別データ6dに対応するパルステーブル43dに基づいてX軸モータ33及びY軸モータ34を駆動させるパルスモータ駆動制御プログラムが記憶されている。すなわち、CPU41がパルスモータ駆動制御プログラムを実行することにより、制御装置4は、パルスモータ駆動制御手段として機能する。
【0022】
図2に示すように、EEPROM44には、各種縫い模様を形成するためのXY方向の座標データ等から構成される複数の模様データ44dが記憶されている。
【0023】
CPU41には、インターフェース51を介して主軸モータ制御回路31cに接続されており、CPU41から送信される主軸モータ31の制御信号が主軸モータ制御回路31cに送信される。
CPU41には、インターフェース53を介してX軸モータ制御回路33cに接続されており、CPU41から送信されるX軸モータ33の制御信号がX軸モータ制御回路33cに送信される。
CPU41には、インターフェース54を介してY軸モータ制御回路34cに接続されており、CPU41から送信されるY軸モータ34の制御信号がY軸モータ制御回路34cに送信される。
【0024】
CPU41には、インターフェース55を介して布押さえ駆動回路35cに接続されており、CPU41から送信される布押さえシリンダ35の制御信号が布押さえ駆動回路35cに送信される。
CPU41には、インターフェース45を介して操作パネル5に接続されており、CPU41から操作パネル5に表示させる表示信号を送信したり、操作パネル5から入力した入力信号をCPU41に送信することができるようになっている。
CPU41には、インターフェース45を介してペダルPに接続されており、ペダルPのうち、押さえペダルP1からの踏み込み量に応じた操作信号をCPU41に送信することができるとともに、スタートペダルP2からの踏み込み量に応じた操作信号をCPU41に送信することができるようになっている。
【0025】
<パルステーブルの決定方法>
次に、布保持枠32を駆動させるパルステーブルの決定方法について説明する。
図6に示すように、シリアルEEPROM6をミシン本体3の所定の差込口に差し込むと、制御装置4のCPU41がシリアルEEPROM6に記憶されたミシン本体3の仕様である識別データ6dを読み出す(ステップS1)。識別データ6dは、例えば、ミシン本体の仕様に応じて設定された固有のシリアル番号であり、CPU41は、このシリアル番号を読み出した後、ROM43にアクセスしてシリアル番号に対応するパルステーブル43dを読み出して決定する(ステップS2)。これをもって、CPU41は、本処理を終了させる。
【0026】
<縫製時における布保持枠の動作>
次に、縫製時における布保持枠32の動作について説明する。
図7に示すように、CPU41は、押さえペダルP1がONであるか否かを判断する(ステップS11)。ここで、CPU41が、押さえペダルP1がONであると判断した場合(ステップS11:YES)、CPU41は、布押さえ駆動回路35cに制御信号を送信し、布押さえシリンダ35を駆動させてテーブル2の針板上の布を保持する(ステップS12)。一方、CPU41が、押さえペダルP1がONではないと判断した場合(ステップS11:NO)、CPU41は、ステップS11の判断を繰り返す。
【0027】
次いで、CPU41は、スタートペダルP2がONであるか否かを判断する(ステップS13)。ここで、CPU41が、スタートペダルP2がONであると判断した場合(ステップS13:YES)、CPU41は、主軸モータ制御回路31cに対して制御信号を出力し、主軸モータ31を駆動させるとともに、主軸モータ31に搭載されたエンコーダ7により針棒位置を検出し、所定の針棒位置により、X軸モータ制御回路33c及びY軸モータ制御回路34cに対し、上述のパルステーブル決定処理で決定されたパルステーブル43dに基づく制御信号を出力し、X軸モータ33及びY軸モータ34を駆動させてテーブル2の針板上に沿って布保持枠32を駆動することにより、EEPROM44に記憶された模様データ44dに基づいて模様縫いを行う(ステップS14)。一方、CPU41が、スタートペダルP2がONではないと判断した場合(ステップS13:NO)、CPU41は、ステップS11の判断処理に戻る。
【0028】
次いで、CPU41は、縫製が終了したか否かを判断する(ステップS15)。ここで、CPU41が、縫製が終了したと判断した場合(ステップS15:YES)、CPU41は、布押さえ駆動回路35cに制御信号を送信し、布押さえシリンダ35を駆動させて保持していたテーブル2の針板上の布を解放する(ステップS16)。一方、CPU41が、縫製が終了していないと判断した場合(ステップS15:NO)、CPU41は、ステップS11の判断を繰り返す。
【0029】
<作用効果>
ミシン1によれば、ミシン本体3と制御装置4を電気的に接続すると、CPU41は取得プログラムを実行することにより、シリアルEEPROM6に記憶された識別データ6dを取得する。そして、制御装置4が識別データ6dを取得すると、CPU41はパルスモータ駆動制御プログラムを実行することにより、ROM43にアクセスして、取得された識別データ6dに対応するパルステーブル43dに基づいて、X軸モータ33及びY軸モータ34を駆動させる。
これにより、ROM43には、識別データ6dに対応するパルステーブル43dが複数記憶されているので、取得された識別データ6dが異なっても、取得された識別データ6dに対応するパルステーブル43dを検索してX軸モータ33及びY軸モータ34を駆動させることができるので、制御装置4を仕様の異なるミシンに共用させることができ、制御装置4の生産コスト、在庫管理コストの低減を図ることができる。
【0030】
<その他>
なお、本発明の範囲は上記実施形態に限られるものではない。例えば、図8に示すように、送りパルスとエンコーダ7から検出される主軸の回転パルスとで構成したパルステーブルを用いてもよい。図8(a)は、針30の針板からの高さの軌跡を示した図であり、図8(b)は、針30が布から抜けてから再び布に突き刺さるまでに布保持枠32を駆動させるX軸モータ33のパルスの発信間隔を示した図であり、図3(c)は、縦に布保持枠32を駆動させるのに必要な送りパルス数をとり、横に各パルス間の主軸の回転パルス数をとって作成したパルステーブル43dである。すなわち、主軸の一回転(360°)を所定の角度毎に細分化し、主軸がその細分化された角度回転した際にエンコーダが位置パルス検出するものとする。そして、X軸モータ33及びY軸モータ34にパルスを発信するための必要なパルス数を各パルス間毎に個別に設定する。これにより、X軸モータ33及びY軸モータ34の駆動を主軸の回転角度に基づいて制御することができ、パルステーブルの汎用性を高めることができる。
【0031】
また、上記実施形態においては、ミシン本体3の仕様の識別をシリアルEEPROM6をミシン本体3に差し込んでその識別データ6dを取得することにより行っていたが、これに代えて、制御装置4にミシン本体3を特定するための識別番号や仕様等を入力可能な入力スイッチを設け、この入力スイッチから入力された識別番号や仕様等を制御装置4が認識するように構成してもよい。
【0032】
また、ROMに記憶された各プログラムを、一つのプログラムとしてもよいし、より細分化してもよい。また、上記実施形態においては、プログラムのようなソフトウェアで処理するものに限らず、ハードウェアで処理するようにしてもよい。
その他、発明の範囲内において、自由に設計変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】ミシンの概略図。
【図2】ミシンの構成を示すブロック図。
【図3】(a)は針先の動きの軌跡を示す図、(b)はパルスモータにおけるパルスの出力タイミングを示す図、(c)はパルステーブルを示す図。
【図4】(a)は針先の動きの軌跡を示す図、(b)はパルスモータにおけるパルスの出力タイミングを示す図、(c)はパルステーブルを示す図。
【図5】送りパルス数と主軸モータの回転速度の関係を示す図。
【図6】パルステーブルの決定処理を説明するフローチャート。
【図7】布保持枠の操作処理を説明するフローチャート。
【図8】(a)は針先の動きの軌跡を示す図、(b)はエンコーダ及びパルスモータにおけるパルスの出力タイミングを示す図、(c)はパルステーブルを示す図。
【符号の説明】
【0034】
1 ミシン
3 ミシン本体
4 制御装置(制御手段、取得手段、パルスモータ駆動制御手段)
6 シリアルEEPROM(識別データ記憶手段)
6d 識別データ
7 エンコーダ
30B 針棒
31 主軸モータ(ミシンモータ)
32 布保持枠(布保持機構)
33 X軸モータ(パルスモータ)
34 Y軸モータ(パルスモータ)
43 ROM(駆動データ記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
針を上下に駆動するミシンモータと、
テーブル上に載置された布を保持する布保持機構と、
前記ミシンモータによる前記針の上下動に同期して、前記布保持機構をXY方向に移動させるパルスモータと、
ミシン本体の種別を表す識別データを記憶する識別データ記憶手段と、
を備えたミシン本体と、
前記ミシン本体に対して電気的に接続して前記ミシンモータ及び前記パルスモータの駆動を制御する制御手段と、を備えるミシンにおいて、
前記制御手段は、
前記パルスモータを駆動させるための駆動量に対応した複数のパルスについて、前記パルスが発生する時間間隔をパルス毎に規定した駆動データが、前記ミシン本体を識別する識別データ毎に対応付けて複数記憶された駆動データ記憶手段と、
前記ミシン本体と電気的に接続した際に、前記識別データ記憶手段から前記ミシン本体の種別を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した前記識別データに対応する前記駆動データ記憶手段に記憶された駆動データに基づいて前記パルスモータを駆動するパルスモータ駆動制御手段と、
を備えることを特徴とするミシン。
【請求項2】
前記ミシンモータの駆動により回転し、前記針棒を上下動させる主軸と、
前記主軸が所定角度回転する毎に1パルスずつ検出するエンコーダと、を備え、
前記駆動データは、パルスの発信間隔が前記主軸の回転角度に基づいて個別に設定された複数のパルスからなるパルステーブルであることを特徴とする請求項1に記載のミシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−181562(P2007−181562A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−1646(P2006−1646)
【出願日】平成18年1月6日(2006.1.6)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】