説明

ミシン

【課題】縫製データの複数の針落ち点から、所望する針落ち点を速やかに選択することができるミシンを実現する。
【解決手段】ミシンMが備える操作パネル20は、縫製データにおける複数の針落ち点Pからなる縫い目形状を表示する表示部22と、その表示部22の表示画面に対する接触位置を検出するタッチパネル21とを備えており、タッチパネル21により検出された接触位置に基づいて、表示部22(パターン表示エリア221)に表示された複数の針落ち点Pのうち、接触位置から所定の距離内にある幾つかの針落ち点Pを選出するとともに、その選出された針落ち点Pから、所望する針落ち点Pを絞り込んで選択することによって、より速やかに所望する針落ち点を選択して指定することを可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシンに係り、特に縫製データの編集が可能なミシンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の針落ち点からなる縫製データをタッチパネル式の表示部に表示するとともに、そのタッチパネルにおいてタッチ指示された針落ち点に対するデータ変更を行ない、針落ち点位置の変更など、縫製データの編集を実行可能にしたミシンに関する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2007−14602号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1の場合、データ変更を行う対象の針落ち点Pの近辺に幾つかの針落ち点Pが密集している場合(例えば、図13に示す四葉模様の縫い目形状を呈する縫製データにおける模様の中央側の場合)に、その表示画面をタッチ指示することによって所望する針落ち点Pを選択することが困難となることがあった。
また、タッチ指示されて選択された針落ち点Pが、その縫製データに基づく縫い目形状におけるどの形状要素(例えば、図13に示す四葉模様の縫い目形状における4つの各葉の要素)に属するか判別し難い場合があり、意図しない針落ち点Pのデータ変更を行ってしまうおそれがあった。
【0004】
また、選択された針落ち点Pが所望する針落ち点Pでなかった際に、複数の針落ち点Pの並び順に針落ち点Pの選択位置を順に送るキー操作によって、所望する針落ち点Pまで選択位置を移動させて、所望する針落ち点Pを選択指示する手法では、縫い目形状における次の形状要素まで遠回りせざるを得ないことがあり、その針落ち点Pを指示する操作に時間がかかってしまうことがあるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、縫製データの複数の針落ち点から、所望する針落ち点を速やかに選択することができるミシンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、複数の針落ち点からなる縫い目形状に関する縫製データを作成する縫製データ作成手段を備え、縫製データ作成手段により作成された縫製データに基づいて、被縫製物を保持する保持枠と縫い針とをXY方向に相対的に移動させ、縫い針を前記被縫製物に針落ちさせて縫い目を形成するミシンであって、縫製データにおける複数の針落ち点を表示する表示手段と、表示手段の表示画面に対する接触位置を検出する検出手段と、検出手段により検出された接触位置に基づいて、表示手段に表示された複数の針落ち点のうち、接触位置から所定の距離内にある針落ち点を選出する針落ち点選出手段と、針落ち点選出手段により選出された針落ち点から、設定された範囲にある針落ち点を選出して絞り込む針落ち点絞込手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、ミシンは、縫製データにおける複数の針落ち点からなる縫い目形状を表示する表示手段と、表示手段の表示画面に対する接触位置を検出する検出手段とを備えており、検出手段により検出された接触位置に基づいて、表示手段に表示された複数の針落ち点のうち、接触位置から所定の距離内にある針落ち点を選出することができ、また、その選出された針落ち点から、所望する針落ち点を絞り込んで選択することが可能になっている。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のミシンにおいて、縫製データに応じた縫い目形状は、複数の形状要素が組み合わされてなり、針落ち点絞込手段は、縫い目形状を構成する形状要素に応じて、所望する針落ち点を絞り込むことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用を奏するとともに、縫製データに応じた縫い目形状は、複数の形状要素が組み合わされてなるので、その縫い目形状を構成する形状要素に応じて、所望する針落ち点を絞り込むことによって、より速やかに所望する針落ち点を選択することが可能になっている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のミシンにおいて、縫製データは、縫い目形状における針落ち点間の縫い目ピッチに関するデータを有し、針落ち点絞込手段は、針落ち点間の縫い目ピッチに応じて、所望する針落ち点を絞り込むことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の作用を奏するとともに、縫製データは縫い目形状における針落ち点間の縫い目ピッチに関するデータを有しているので、その縫製データにおける針落ち点間の縫い目ピッチに応じて、所望する針落ち点を絞り込むことによって、より速やかに所望する針落ち点を選択することが可能になっている。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載のミシンにおいて、縫製データに応じた縫い目形状は、複数の形状要素が組み合わされてなり、針落ち点絞込手段によって、針落ち点選出手段により選出された針落ち点から所望する針落ち点を絞り込む際に、針落ち点選出手段により選出された針落ち点のうち何れかを表示手段に識別可能に表示させるとともに、縫い目形状におけるその針落ち点が含まれる形状要素部分を識別可能に表示手段に表示させる表示制御手段を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3の何れか一項に記載の発明と同様の作用を奏するとともに、ミシンにおいて、複数の針落ち点から選出された針落ち点から、更に所望する針落ち点を絞り込む際に、その選出された針落ち点が表示手段に識別可能に表示されるとともに、縫い目形状におけるその針落ち点が含まれる形状要素部分が識別可能に表示手段に表示される。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、ミシンは、縫製データにおける複数の針落ち点からなる縫い目形状を表示する表示手段と、表示手段の表示画面に対する接触位置を検出する検出手段とを備えており、検出手段により検出された接触位置に基づいて、表示手段に表示された複数の針落ち点のうち、接触位置から所定の距離内にある針落ち点を選出することができ、また、その選出された針落ち点から、所望する針落ち点を絞り込んで選択することが可能になっている。
つまり、複数の針落ち点が表示されている表示手段が、作業者によりタッチ指示された接触位置に応じて、幾つかの針落ち点を選択するべき針落ち点の候補として選出するとともに、その選出された針落ち点の候補から作業者が針落ち点を絞り込み、所望する針落ち点を選択することができるので、複数の針落ち点から所望する針落ち点を速やかに選択して指定することができる。
そして、作業者が複数の針落ち点から所望する針落ち点を選択して指定することによって、その針落ち点に関するデータ変更を行うことが可能となり、針落ち点の座標を変更して縫い目形状を変形することなど、作業者が所望する縫製データの変更を容易に行うことができるようになる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、縫製データに応じた縫い目形状は、複数の形状要素が組み合わされてなるので、その縫い目形状を構成する形状要素に応じて、所望する針落ち点を絞り込むことによって、より速やかに所望する針落ち点を選択することが可能になっている。
つまり、縫製データに対応する縫い目形状を構成する形状要素による針落ち点の絞り込みを合わせて行うことができるので、より速やかに所望する針落ち点を選択することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、縫製データは縫い目形状における針落ち点間の縫い目ピッチに関するデータを有しているので、その縫製データにおける針落ち点間の縫い目ピッチに応じて、所望する針落ち点を絞り込むことによって、より速やかに所望する針落ち点を選択することが可能になっている。
つまり、縫製データにおける針落ち点間の縫い目ピッチに関するデータによる針落ち点の絞り込みを合わせて行うことができるので、より速やかに所望する針落ち点を選択することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、ミシンにおいて、複数の針落ち点から選出された幾つかの針落ち点から、更に、所望する針落ち点を絞り込む際に、その選出された針落ち点を他の針落ち点とは異なるように、表示手段に識別可能に表示することができるとともに、縫い目形状におけるその針落ち点が含まれる形状要素部分を他の要素部分とは異なるように、表示手段に識別可能に表示することができる。
つまり、作業者が所望する針落ち点を絞り込む過程において、その針落ち点が含まれる形状要素部分を識別可能に表示することによって、その絞り込みの対象の針落ち点が、縫製データに対応する縫い目形状におけるどの形状要素部分に含まれている針落ち点であるかを作業者は認識することができるので、作業者が所望する針落ち点を間違いなく選択することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の形態を図1〜図12に基づいて説明する。
なお、本発明を説明するにあたり、本実施形態においては、電子サイクルミシンを例に挙げて説明する。
電子サイクルミシンは、縫製を行う被縫製物である布を保持する保持枠を有し、その保持枠が縫い針に対し相対的に移動することにより、保持枠に保持される布に所定の縫製データに基づく縫い目形状の縫い目を形成するミシンである。
ここで、後述する縫い針8が上下動を行う方向をZ軸方向(上下方向)とし、これと直交する一の方向をX軸方向(左右方向)とし、Z軸方向とX軸方向の両方に直交する方向をY軸方向(前後方向)と定義する。
また、本発明に係るミシンは、縫製データを作成する縫製データ作成機能を有する。
【0019】
電子サイクルミシンM(以下、ミシンM)は、図1から図3に示すように、ミシンテーブルTの上面に備えられるミシン本体1と、ミシンテーブルTの下部に備えられ、ミシン本体1を操作するためのペダル16等により構成されている。
【0020】
ミシン本体1は、図1に示すように、外形が側面視にて略コ字状を呈するミシンフレーム2を備えている。このミシンフレーム2は、ミシン本体1の上部をなしY軸方向に延びるミシンアーム部2aと、ミシン本体1の下部をなしY軸方向に延びるミシンベッド部2bと、ミシンアーム部2aとミシンベッド部2bとを連結する縦胴部2cと、を有している。
【0021】
このミシン本体1には、ミシンフレーム2内にミシン駆動機構が配されており、回動自在でY軸方向に延びる図示しない上軸及び図示しない下軸を有している。上軸(図示省略)はミシンアーム部2aの内部に配され、下軸(図示省略)はミシンベッド部2bの内部に配されている。
上軸(図示省略)は、ミシンモータ5(図3参照)に接続され、このミシンモータ5により回動力が付与される。また、下軸(図示省略)は、図示しない動力伝達機構を介して上軸と連結しており、上軸が回動すると上軸の動力が動力伝達機構(図示省略)を通じて下軸側へ伝達され、下軸が回動するようになっている。
上軸(図示省略)の前端側には、図2に示すように、上軸の回動によりZ軸方向に上下動する針棒8aが接続されており、その針棒8aの下端には、縫い針8が交換可能に備えられている。また、ミシンアーム2aには縫い針8の上下動による布の浮き上がりを防止するために、針棒8aの上下動と連動して上下動し、縫い針8の周囲の布を押圧する周知の中押さえ12が設けられている。
また、下軸(図示省略)の前端には、釜(図示省略)が設けられている。上軸とともに下軸が回動すると、縫い針8と釜(図示省略)との協働により縫い目が形成される。
なお、ミシンモータ5、上軸(図示省略)、針棒8a、縫い針8、下軸(図示省略)、釜(図示省略)等の接続構成や動作は従来公知のものと同様であるので、ここでは詳述しない。
【0022】
また、図1、図2に示すように、ミシンベッド部2b上には、布板10が配設されており、この布板10の上方に保持枠11及び縫い針8が配置されるようになっている。
保持枠11は、ミシンアーム部2aの前端部に配される取付部材13に取り付けられており、その取付部材13にはミシンベッド2b内に配置されたパルスモータであるX軸モータ14及びY軸モータ15が駆動機構部として連結されている(図3参照)。
保持枠11は、被縫製物である布を保持し、X軸モータ14及びY軸モータ15の駆動に伴い、保持した布を保持枠11ごと前後左右方向(XY方向)に移動し、その保持した布を縫い針8に対して相対的に移動させて位置決めするようになっている。そして、保持枠11の移動と、縫い針8や釜(図示省略)の動作が連動することにより、布に所定の縫製データ(特に、後述する針落ち点を示す座標の座標データ)に基づく針落ちを施すことで縫い目が形成される。特に、保持枠11における所定の縫製範囲であるその保持枠11の内側に保持される布に、所望する縫い目形状の縫い目が形成される。
つまり、ミシンM(ミシン本体1)は、その枠の内側が縫製可能エリアである保持枠11を有し、その保持枠11の内側に保持される布における縫製可能範囲に、縫い目形状に応じた縫製データにおける針落ち点を示す座標データ(針落ち点データ)に基づく針落ちを施し、所望する縫い目形状の縫い目を形成するようになっている。
【0023】
また、保持枠11は、縫製データを作成する際に針落ち点を指定したり入力したりする場合や、作成された縫製データにおける針落ち点を指し示す場合などにおいて、縫い針8がその針落ち点に対応する位置に配置されるように、縫い針8に対して相対移動するようになっている。
つまり、縫製時ではなくても、保持枠11は、その保持枠11の内側に保持される布に縫製する縫い目形状に応じて、縫い針8に対して相対移動し、縫製データにおける針落ち点に対応する位置に縫い針8を配置させることが可能になっている。
【0024】
なお、ミシンM(ミシン本体1)において、保持枠11がX軸モータ14とY軸モータ15との駆動により移動されることによって、保持枠11は縫い針8に対して相対的に移動することとなる。つまり、保持枠11の移動によって、縫い針8は保持枠11に対して相対移動するようになっている。
【0025】
ペダル16は、ミシンMを駆動し、針棒8a(縫い針8)を上下動させたり、保持枠11を動作させたりするための操作ペダルとして作動する。すなわちペダル16には、ペダル16が踏み込まれたその踏み込み操作位置を検出するための、例えば、可変抵抗等から構成されるセンサ(踏み込み量検出手段)が組み込まれており、そのセンサからの出力信号がペダル16の操作信号として後述する制御部100に出力され、制御部100はその操作位置、操作信号に応じて、ミシンモータ5等を駆動し、ミシンMを動作させるように構成されている。
【0026】
また、ミシンM(ミシン本体1)は、図1、図3に示すように、作業者がミシンに対する各種設定操作や、各種データ等の入力操作を行うための操作パネル20を備えている。この操作パネル20とミシン本体1とは、図示しない有線又は無線の回線により接続されている。
操作パネル20は、図4に示すように、ミシンの各種設定や各種データの入力の操作が可能な複数の操作キーが配されるタッチパネル21と、各種操作キー及び各種縫製データや縫い目形状、各種設定条件や動作状態等を表示する表示部22と、を備えている。
【0027】
タッチパネル21は、表示部22の表示画面上に配されており、表示部22の表示画面に対する接触位置を検出する検出手段として機能する。
表示部22は、例えば、液晶表示パネルであって、各種キーやボタンを有する操作キー群や、各種縫製データや各種表示画面を表示する表示手段として機能する。
つまり、本実施の形態における操作パネル20は、液晶表示パネルとその液晶表示パネルの表示面上に設けられたタッチパネルとを備えて構成されており、液晶表示パネルに表示される操作キー群などをタッチ操作することにより、例えば、電磁誘導式、磁気歪式、感圧式等の位置読み取り原理で、タッチパネルがタッチ指示された位置を検出し、検出した位置に応じて、液晶表示パネルの表示部22部分に各種データ(例えば、縫製データ、縫製データにおける複数の針落ち点、複数の針落ち点からなる縫い目形状)等が表示されるようになっている。また、操作パネル20に対し所定の操作入力を行うことにより、操作パネル20の液晶表示パネルにおける表示が様々に切り替わり、各種設定操作や各種入力操作に応じた様々な操作キー群や様々な表示画面が表示されるようになっている。このように操作パネル20が、ミシンの入力部や表示部としての機能を有するようになっている。
【0028】
タッチパネル21は、図4に示すように、後述する針落ち点選出手段としての制御部100により選出された針落ち点から所望する針落ち点を絞り込む際に、その選出された針落ち点を選択するための前候補選択ボタン211a、次候補選択ボタン211bと、後述する針落ち点選出手段としての制御部100により所定の針落ち点が選出される際に、針落ち点を選出する検索範囲の先頭や終端に対応する縫い目形状の要素を設定するための検索範囲先頭値設定ボタン212a、検索範囲終端値設定ボタン212bと、検索範囲設定ボタン212a、212b等により設定された検索範囲に対する検索実行/不実行を切り替えるための範囲検索ON/OFFボタン213と、検索範囲に応じた検索モードを縫い目形状の要素に基づく要素モードと針落ち点間の縫い目ピッチに基づくピッチモードとに切り替えるためのモード切替ボタン214と、各種選択操作や入力操作に関する決定処理を行うためのエンターボタン215と、各種選択操作や入力操作に関する取り消し処理を行うためのキャンセルボタン216等の操作キー群に対応する入力キー部を有している。
なお、範囲検索ON/OFFボタン213は、検索実行設定時に「ON」表示され、検索不実行設定時に「OFF」表示されるようになっている。また、モード切替ボタン214は、要素モード時には「CST」表示され、ピッチモード時には「PCH」表示されるようになっている。
特に、タッチパネル21は、後述するパターン表示エリア221がタッチ指示された任意の接触位置を検出する機能を有している。
【0029】
表示部22は、図4に示すように、縫製データにおける複数の針落ち点や、複数の針落ち点からなる縫い目形状を表示するためのパターン表示エリア221と、検索範囲先頭値設定ボタン212aにより設定された、検索範囲の先頭に対応する縫い目形状の要素番号を表示するための検索範囲先頭値表示領域222aと、検索範囲終端値設定ボタン212bにより設定された、検索範囲の終端に対応する縫い目形状の要素番号を表示するための検索範囲終端値表示領域222b等を有している。
なお、図4に示す操作パネル20の表示部22のパターン表示エリア221には、22個の針落ち点が連なってなる縫い目形状を呈する縫製データが表示されている。この縫製データに応じた縫い目形状は、15個の針落ち点が連なる曲線状であって略9字形状を呈する第1要素と、4個の針落ち点が連なる直線状の第2要素と、3個の針落ち点が連なる直線状の第3要素との、3つの形状要素が組み合わされている。
【0030】
また、図3に示すように、ミシンM(ミシン本体1)は、ミシンモータ5、X軸モータ14、Y軸モータ15、操作パネル20、ペダル16等に接続される制御部100を有している。
この制御部100は、ミシンモータ5、X軸モータ14、Y軸モータ15、操作パネル20及びその他の図示しないアクチュエータについて所定の制御プログラムに従って各種の処理及び制御を実行するCPU101と、各種の処理及び制御を実行するためのプログラムや各種の処理及び制御に要するデータが格納されたROM102と、各種のデータを格納して各種の処理の作業領域となるRAM103と、新たなデータの書き込み/消去が可能な記憶手段であるEEPROM104と、CPU101と各種の機器との接続を図るインターフェース(図示省略)と、各モータ用のパルスモータドライバ(図示省略)等を備えている。
【0031】
CPU101は、ペダル16から入力される操作信号や、操作パネル20から入力される各種設定信号や各種データ等に応じて、ROM102に格納されている電子サイクルミシン用の各種制御プログラムやEEPROM104に格納されている各種縫製データ等を読み出し、そのプログラムやデータに従ってミシン各部の動作処理を集中制御し、その処理結果をRAM103内のワークエリアに格納するとともに、操作パネル20の操作により入力された各種データや、RAM103に格納した処理結果を必要に応じてEEPROM104に記憶させる。
つまり、CPU101は、ミシンM(ミシン本体1)を構成する各部の駆動や処理に関する制御を実行する。
【0032】
ROM102には、ミシンM(ミシン本体1)の制御プログラムや制御データ、各種縫製に関するデータや表示画面情報などが格納されて、記憶されている。
例えば、記憶手段としてのROM102には、布に各種縫い目を形成するために、針棒8a(縫い針8)や保持枠11を動作させるための、複数の縫い目形状に関する様々な縫製データが予め記憶されている。この縫製データとしては、縫い目形状を示す複数の針落ち点の座標(針落ち点データ)が、保持枠11に対する縫い針8の位置に関連つけられた針落ち位置の座標データ(針落ち点P)として記憶されている。また、その座標データの位置に縫い針8を配置するように、保持枠11を縫い針8に対して相対移動させる際の移動量に関する移動量データが記憶されている。
【0033】
また、ROM102には、例えば、操作パネル20のパターン表示エリア221がタッチ指示されて、タッチパネル21により検出された接触位置に基づいて、表示部22(パターン表示エリア221)に表示された複数の針落ち点のうち、接触位置から所定の距離内にある針落ち点を選出するための針落ち点選出プログラムや、選出された針落ち点から所望する針落ち点を絞り込むための針落ち点絞込プログラムや、選出された針落ち点のうち何れかを表示部22(パターン表示エリア221)に識別可能に表示させるとともに、縫い目形状におけるその針落ち点が含まれる形状要素部分を識別可能に表示部22(パターン表示エリア221)に表示させるための表示制御プログラム等が記憶されている。
【0034】
RAM103には、種々のワークメモリやカウンタなどが設けられており、入力されたデータの処理中や、縫製動作中のワークエリアとして使用される。
【0035】
EEPROM104には、ROM102に記憶されている以外の縫製データや表示画面情報、オペレータが操作パネル20を介して設定した縫製データ等が複数格納されて記憶されている。なお、この縫製データとしては、縫い目形状を示す複数の針落ち点の座標(針落ち点データ)が、保持枠11に対する縫い針8の位置に関連つけられた針落ち位置の座標データ(針落ち点P)として記憶されている。また、その座標データの位置に縫い針8を配置するように、保持枠11を縫い針8に対して相対移動させる際の移動量に関する移動量データが記憶されている。
【0036】
ここで、ROM102やEEPROM104に記憶されている縫製データのデータ構成について説明する。
縫製データは、図5に示すように、縫製データに応じた縫い目形状をなす複数の形状要素に関する要素情報から構成されており、各要素情報は図形情報と針落ち情報から構成されている。
また、図形情報は、要素種別、縫い目のピッチ、形状点の数、針落ち点の数などの要素基本情報と、形状点座標から構成されている、
また、針落ち情報は、要素内の針落ちについて、次の針落ちまでの移動量(X方向移動量とY方向移動量)で構成されている。
【0037】
このような制御部100は、X軸モータ14に併設されたX軸原点センサ(図示省略)やY軸モータ15に併設されたY軸原点センサ(図示省略)からの検出信号や、ペダル16から入力される操作信号や、操作パネル20から入力される各種設定データや、ROM102やEEPROM104に記憶された各種データを、ROM102に格納されている電子サイクルミシン用の各種制御プログラムにより処理し、各モータや操作パネル20又はその他アクチュエータの制御を実行する。
【0038】
そして、制御部100は、縫製の実行時においては、CPU101が所定の制御プログラムを実行することにより、ROM102又はEEPROM104に記憶された縫製データを読み取り、ペダル16の操作に伴うミシンモータ5の駆動開始と共に縫製データが示す針落ち位置となるようにX軸モータ14及びY軸モータ15を駆動し、保持枠11を縫い針8(針棒8a)に対して相対的に移動させて位置決めする制御を実行する。そして、CPU101は、ミシンモータ5の回転に同期させながら、縫製データに設定された座標データや移動量データに基づき複数の針落ち位置に順番に位置決めされた保持枠11が保持する布に縫い針8を針落ちさせて、所定の縫い目形状を縫製する制御を縫製完了まで継続する。
【0039】
また、制御部100は、縫製データの設定入力時や編集作業時、または縫製動作時などに応じて、CPU101がROM102やEEPROM104から表示画面情報を読み出して、操作パネル20に所定の表示画面を表示させる制御を実行する。
【0040】
また、制御部100は、操作パネル20が操作されたことに伴う、複数の形状点や針落ち点の座標データの入力を受け付け、それら針落ち点の座標データ(針落ち点データ)が組み合わされてなる所定の縫い目形状に関する縫製データを作成する縫製データ作成手段として機能する。
なお、針落ち点の座標データ(針落ち点データ)は、表示部22におけるパターン表示エリア221の任意の位置をタッチ指示して針落ち点の位置を直接入力したり、タッチパネル21の操作キー群を操作して座標を示す数値を入力したりすることが可能になっている。
【0041】
また、制御部100は、ROM102の針落ち点選出プログラムを実行することによって、操作パネル20のパターン表示エリア221がタッチ指示されて、タッチパネル21により検出された接触位置に基づいて、表示部22(パターン表示エリア221)に表示された複数の針落ち点のうち、接触位置から所定の距離内にある針落ち点を選出する針落ち点選出手段として機能する。
具体的には、針落ち点選出手段としての制御部100は、例えば、作業者が操作パネル20のパターン表示エリア221をタッチ指示した接触点を中心に、そのパターン表示エリア221における半径5mmの範囲内にある針落ち点を指定針落ち点候補として選出する制御を実行する。
【0042】
また、制御部100は、ROM102の針落ち点絞込プログラムを実行することによって、針落ち点選出手段としての制御部100により選出された針落ち点から、設定された範囲にある針落ち点を絞り込む針落ち点絞込手段として機能する。
具体的には、針落ち点絞込手段としての制御部100は、例えば、作業者が操作パネル20の前候補選択ボタン211aや次候補選択ボタン211bを押下した操作指示によって、針落ち点選出手段としての制御部100により選出された幾つかの指定針落ち点候補から、作業者が所望する針落ち点を選出して絞り込んで指定する制御を実行する。
特に、針落ち点絞込手段としての制御部100は、作業者が操作パネル20の前候補選択ボタン211aや次候補選択ボタン211bを押下して操作する絞り込みにあわせるように、その縫製データに対応する縫い目形状を構成する形状要素による針落ち点の絞り込みや、その縫製データにおける針落ち点間の縫い目ピッチに関するデータによる針落ち点の絞り込みを行うことができるので、より速やかに所望する針落ち点を絞り込んで指定することができる。
【0043】
また、制御部100は、ROM102の表示制御プログラムを実行することによって、針落ち点選出手段としての制御部100により選出された針落ち点のうち何れかを表示部22(パターン表示エリア221)に識別可能に表示させるとともに、縫い目形状におけるその針落ち点が含まれる形状要素部分を識別可能に表示部22(パターン表示エリア221)に表示させる表示制御手段として機能する。
具体的には、表示制御手段としての制御部100は、例えば、選出された幾つかの指定針落ち点候補のうち何れかの針落ち点を、他の針落ち点と識別可能となるように異なる表示形態(例えば、異なる色、異なる点形状など)で表示部22に表示させる際に、縫い目形状におけるその針落ち点が含まれる形状要素部分を、その縫い目形状において識別可能となるように異なる表示形態(例えば、異なる色、異なる線種など)で表示部22に表示させる制御を実行する。
【0044】
次に、本実施の形態におけるミシンM(ミシン本体1)において、縫製データにおける針落ち点に関するデータの変更を行うに際して、作業者が所望する針落ち点を選択して指定する処理について、図6、図7、図8に示すフローチャート等に基づき説明する。
【0045】
まず、電源投入されたミシンMの操作パネル20における所定の針落ち点指定キー(図示省略)が押下されたことを制御部100が検知すると(ステップS101;Yes)、制御部100は、各種初期設定に関するデータをRAM103に格納するとともに、図4に示す表示画面を操作パネル20に表示する(ステップS102)。
なお、初期設定としては、「範囲検索;OFF」、「検索範囲先頭値;1」、「検索範囲終端値;1」、「カーソル指示針落ち;現在針落ち」、「検索中心座標;現在針落ち座標」、「検索要素番号;現在針落ちを含む要素の番号」、「検索モード;ピッチモード」と設定されている。
そして、図4に示す操作パネル20において、検索範囲ON/OFFボタン213は「OFF」表示、モード切替ボタン214は「PCH」表示になっており、検索範囲先頭値表示領域222aには「S0001」、検索範囲終端値表示領域222bには「E0001」が表示されている。また、操作パネル20のパターン表示エリア221には、22個の針落ち点Pが連なってなる縫い目形状を呈する縫製データが表示されており、白丸で表示されている現在針落ち点には略十字状のカーソルCが重ねて表示されている。
【0046】
次いで、モード切替ボタン214が押下されたことを制御部100が検知すると(ステップS103;Yes)、制御部100はモード切り替え処理を行い(ステップS104)、ステップS103に戻る。
なお、モード切り替え処理において制御部100は、ピッチモードに設定されていた際には要素モードに切り替え、要素モードに設定されていた際にはピッチモードに切り替える処理を行う。
なお、ピッチモードとは制御部100が指定針落ち点候補を選出する際に、予め設定されている縫い目ピッチに該当する針落ち点の中から指定針落ち点候補を選出するための設定モードであり、要素モードとは制御部100が指定針落ち点候補を選出する際に、予め設定されている要素範囲に該当する針落ち点の中から指定針落ち点候補を選出するための設定モードである。
【0047】
また、制御部100が、モード切替ボタン214が押下されたことを検知せず(ステップS103;No)、検索範囲ON/OFFボタン213が押下されたことを制御部100が検知すると(ステップS105;Yes)、制御部100は検索範囲に対する検索の実行(ON)と、検索の不実行(OFF)とを切り替える処理を行い(ステップS106)、ステップS103に戻る。
なお、検索範囲ON/OFF切り替え処理において制御部100は、検索実行(ON)が設定されていた際には検索不実行(OFF)に切り替え、検索不実行(OFF)が設定されていた際には検索実行(ON)に切り替える処理を行う。
なお、検索の実行(ON)に設定されている場合、その際に設定されているピッチモード又は要素モードに該当する針落ち点の選出を行い、検索の不実行(OFF)に設定されている場合、設定モードに関係なく、全ての針落ち点の中からの針落ち点選出を行うようになっている。
【0048】
また、制御部100が、検索範囲ON/OFFボタン213が押下されたことを検知せず(ステップS105;No)、検索範囲先頭値設定ボタン212aまたは検索範囲終端値設定ボタン212bが押下されたことを制御部100が検知すると(ステップS107;Yes)、制御部100は検索範囲に関する変更処理を行い(ステップS108)、ステップS103に戻る。
なお、検索範囲先頭値設定ボタン212aの「+」が押下されると検索範囲先頭番号(検索範囲先頭値表示領域222a)をプラス1する変更を行い、「−」が押下されると検索範囲先頭番号をマイナス1する変更を行う。
また、検索範囲終端値設定ボタン212bの「+」が押下されると検索範囲終端番号(検索範囲終端値表示領域222b)をプラス1する変更を行い、「−」が押下されると検索範囲終端番号をマイナス1する変更を行う。
【0049】
次いで、制御部100は、操作パネル20のパターン表示エリア221が押下されたか否かを判断する(ステップS109)。
制御部100が、操作パネル20のパターン表示エリア221は押下されていないと判断すると(ステップS109;No)、ステップS113へ進む。
【0050】
一方、制御部100が、操作パネル20のパターン表示エリア221が押下されたと判断すると(ステップS109;Yes)、制御部100は、パターン表示エリア221が押下された接触位置の座標を検出し(ステップS110)、その検出した接触位置座標から所定の範囲内(例えば、接触位置座標を中心にした半径5mmの範囲内)にある針落ち点Pを指定針落ち点候補として選出し(ステップS111)(図9参照)、候補カーソルCを選出された指定針落ち点候補のうちの1つに移動させて表示する(ステップS112)(図10参照)。
具体的には、例えば、図9に示すように、制御部100が検出した接触位置座標を中心とした半径5mmの範囲内にある3つの針落ち点P(第2要素の2点と第3要素の1点)を指定針落ち点候補として選出し、図10に示すように、第3要素の針落ち点PにカーソルCを重ねて表示する。
そして、制御部100は、選出された指定針落ち点候補のうちの1つである第3要素の針落ち点PにカーソルCを重ねて表示することで、その針落ち点Pを他の針落ち点と識別可能に表示させるとともに、縫い目形状におけるその針落ち点Pが含まれる第3要素部分が、その縫い目形状において識別可能となるように太線で表示させている。
なお、図9、図10に示す操作パネル20において、検索範囲ON/OFFボタン213は「ON」表示、モード切替ボタン214は「CST」表示になっており、検索範囲先頭値表示領域222aには「S0002」、検索範囲終端値表示領域222bには「E0003」が表示されている。つまり、この操作パネル20において、第2要素と第3要素の中から指定針落ち点候補を選出する要素モードの設定になっている。
【0051】
次いで、前候補選択ボタン211aが押下されたことを制御部100が検知すると(ステップS113;Yes)、ステップS114へ進む。
【0052】
ステップS114において、制御部100は、図7に示すフローチャートのような、前候補検索処理を実行する。
まず、制御部100は、カーソルCが対応つけられている候補針落ち点が縫い目形状の先頭端であるか否かを判断する(ステップS201)。
【0053】
制御部100が、カーソルCが対応つけられている候補針落ち点が縫い目形状の先頭端でないと判断すると(ステップS201;No)、制御部100は、カーソル位置を1針前に戻す(ステップS202)。
そして、制御部100が、要素を跨いだと判断すると(ステップS203;Yes)、要素番号をマイナス1して(ステップS204)、ステップS207へ進む。一方、制御部100が、要素を跨いでいないと判断すると(ステップS203;No)、ステップS207へ進む。
【0054】
一方、制御部100が、カーソルCが対応つけられている候補針落ち点が縫い目形状の先頭端であると判断すると(ステップS201;Yes)、カーソル位置を最終端に移動し(ステップS205)、要素番号を最終要素番号に設定し(ステップS206)、ステップS207へ進む。
【0055】
そして、ステップS207において、制御部100は、カーソルが指示する針落ち点が候補針落ち点であるか否かを判断する(ステップS207)。
制御部100が、カーソルが指示する針落ち点が候補針落ち点でないと判断すると(ステップS207;No)、ステップS201に戻る。
一方、制御部100が、カーソルが指示する針落ち点が候補針落ち点であると判断すると(ステップS207;Yes)、制御部100は、検索範囲ON/OFFボタン213による設定が「OFF」であるか否かを判断する(ステップS208)。
【0056】
制御部100が、検索範囲ON/OFFボタン213による設定が「OFF」であると判断すると(ステップS208;Yes)、ステップS212へ進む。
一方、制御部100が、検索範囲ON/OFFボタン213による設定が「ON」であると判断すると(ステップS208;No)、制御部100は、ピッチモード設定であるか否かを判断する(ステップS209)。
【0057】
制御部100が、ピッチモード設定であると判断し(ステップS209;Yes)、カーソルが指示する針落ち点が設定されているピッチの条件(ピッチ設定範囲)に該当すると判断すると(ステップS210;Yes)、ステップS212へ進む。
一方、制御部100が、カーソルが指示する針落ち点が設定されているピッチの条件(ピッチ設定範囲)に該当しないと判断すると(ステップS210;No)、ステップS201に戻る。
【0058】
また、制御部100が、ピッチモード設定でなく、要素モード設定であると判断し(ステップS209;No)、カーソルが指示する針落ち点が設定されている要素の条件(要素設定範囲)に該当すると判断すると(ステップS211;Yes)、ステップS212へ進む。
一方、制御部100が、カーソルが指示する針落ち点が設定されている要素の条件(要素設定範囲)に該当しないと判断すると(ステップS211;No)、ステップS201に戻る。
【0059】
そして、ステップS212において、制御部100が、カーソルが指示する針落ち点に対してカーソルを更新して(ステップS212)、図6に示すフローチャートにおけるステップS103に戻る。
【0060】
ここで、カーソルCが、指定針落ち点候補における、1針前候補に移動更新されると、図11に示す操作パネル20のように、第2要素の針落ち点PにカーソルCが重ねて表示されるとともに、縫い目形状におけるその針落ち点Pが含まれる第2要素部分を、その縫い目形状において識別可能となるように太線で表示されるようになっている。
【0061】
一方、制御部100が、前候補選択ボタン211aが押下されたことを検知せず(ステップS113;No)、次候補選択ボタン211bが押下されたことを制御部100が検知すると(ステップS115;Yes)、ステップS116へ進む。
【0062】
ステップS116において、制御部100は、図8に示すフローチャートのような、次候補検索処理を実行する。
なお、次候補検索処理(ステップS301〜S312)は、前述した前候補検索処理(ステップS201〜S212)と、針落ち点を検索する順番が異なるだけであるので(前候補検索処理が繰り上がり順であるとすると、次候補検索処理は繰り下がり順)、説明は省略する。
【0063】
ステップS117において、制御部100は、エンターボタン215が押下されたか否かを判断する(ステップS117)。
制御部100が、エンターボタン215が押下されたと判断すると(ステップS117;Yes)、制御部100は、カーソルCが指示する針落ち点に現在針落ち点を更新して(ステップS118)、前画面に戻り(ステップS120)、針落ち点選択指定処理を終了する。
【0064】
なお、図10の操作パネル20に表示されたカーソルCが、指定針落ち点候補における2針前候補に移動更新された位置の針落ち点が、作業者が所望する針落ち点であったことにより、エンターボタン215が押下されたものとすると、図12に示す操作パネル20のように、その第2要素の針落ち点PにカーソルCが重ねて表示されるとともに、その針落ち点Pは現在針落ち点として白丸で表示される。また、縫い目形状におけるその針落ち点Pが含まれる第2要素部分は太線で表示される。
そして、図12に示す操作パネル20において、白丸で表示される針落ち点Pが現在針落ち点として登録されて、その針落ち点に関するデータ変更を行うことが可能となる。
【0065】
一方、制御部100が、エンターボタン215が押下されていないと判断すると(ステップS117;No)、制御部100は、キャンセルボタン216が押下されたか否かを判断する(ステップS119)。
制御部100が、キャンセルボタン216が押下されたと判断すると(ステップS119;Yes)、現在針落ち点の更新は行わずに前画面に戻り(ステップS120)、針落ち点選択指定処理を終了する。一方、制御部100が、キャンセルボタン216が押下されていないと判断すると(ステップS119;No)、ステップS103に戻る。
【0066】
このように、本発明に係るミシンMによれば、操作パネル20に表示されている縫製データに関する針落ち点部分をタッチ指示することによって、作業者がタッチ指示した接触位置に応じて幾つかの針落ち点を指定針落ち点候補として選出することができる。
更に、操作パネル20の前候補選択ボタン211aや次候補選択ボタン211bを押下することでカーソルCの表示位置を切り替えて、選出された指定針落ち点候補を順送りするようにして、作業者が所望する針落ち点を絞り込み、作業者がエンターボタン215を押下することによってその絞り込んだ針落ち点を現在針落ち点として更新登録することができる。
【0067】
特に、現在針落ち点を絞り込む過程において、カーソルCが指し示す針落ち点が含まれる形状要素を太線で表示することによって、現在針落ち点として更新登録する対象の針落ち点が、縫製データに対応する縫い目形状におけるどの形状要素部分に含まれている針落ち点であるかを作業者は認識することができるので、作業者が所望する針落ち点を間違いなく選択し指定して、現在針落ち点として更新登録することが可能になる。
【0068】
このように、ミシンMの操作パネル20において、縫製データに対応する縫い目形状を構成する複数の針落ち点から、作業者が操作パネル20をタッチ指示した接触位置に応じて幾つかの針落ち点を指定針落ち点候補として選出するとともに、その選出された指定針落ち点候補から作業者が針落ち点を絞り込み、所望する針落ち点を現在針落ち点として更新登録することができるので、複数の針落ち点から所望する針落ち点を速やかに選択して指定することができる。
そして、作業者が所望する針落ち点を現在針落ち点として更新登録することによって、その針落ち点に関するデータ変更を行うことが可能となるので、針落ち点の座標を変更して縫い目形状を変形することなど、作業者が所望する縫製データの変更を容易に行うことができるようになる。
【0069】
なお、以上の実施の形態においては、縫い目形状を構成する形状要素に基づく要素モードでの針落ち点選択指定処理を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、縫製データの縫い目ピッチに基づくピッチモードでの針落ち点選択指定処理を実行するようにしてもよい。
【0070】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明にかかるミシンを示す斜視図である。
【図2】本発明にかかるミシンの保持枠の近傍を示す拡大斜視図である。
【図3】本発明にかかるミシンの要部構成を示すブロック図である。
【図4】本発明にかかるミシンの操作パネルの一例を示す平面図である。
【図5】縫製データのデータ構成を示す説明図である。
【図6】縫製データにおける針落ち点の選択指定処理を示すフローチャートである。
【図7】針落ち点の選択指定処理に関する前候補検索処理を示すフローチャートである。
【図8】針落ち点の選択指定処理に関する次候補検索処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明にかかるミシンの操作パネルの表示画面例を示す平面図である。
【図10】本発明にかかるミシンの操作パネルの表示画面例を示す平面図である。
【図11】本発明にかかるミシンの操作パネルの表示画面例を示す平面図である。
【図12】本発明にかかるミシンの操作パネルの表示画面例を示す平面図である。
【図13】四葉模様の縫い目形状を呈する縫製データにおける針落ち点を示す説明図である。
【符号の説明】
【0072】
1 ミシン本体(ミシン)
5 ミシンモータ
8 縫い針
11 保持枠
16 ペダル
20 操作パネル
21 タッチパネル(検出手段)
211a 前候補選択ボタン
211b 次候補選択ボタン
212a 検索範囲先頭値設定ボタン
212b 検索範囲終端値設定ボタン
213 範囲検索ON/OFFボタン
214 モード切替ボタン
215 エンターボタン
216 キャンセルボタン
22 表示部(表示手段)
221 パターン表示エリア
222a 検索範囲先頭値表示領域
222b 検索範囲終端値表示領域
100 制御部(縫製データ作成手段、針落ち点選出手段、針落ち点絞込手段、表示制御手段)
M 電子サイクルミシン(ミシン)
C カーソル
P 針落ち点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の針落ち点からなる縫い目形状に関する縫製データを作成する縫製データ作成手段を備え、前記縫製データ作成手段により作成された前記縫製データに基づいて、被縫製物を保持する保持枠と縫い針とをXY方向に相対的に移動させ、前記縫い針を前記被縫製物に針落ちさせて縫い目を形成するミシンであって、
前記縫製データにおける複数の針落ち点を表示する表示手段と、
前記表示手段の表示画面に対する接触位置を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記接触位置に基づいて、前記表示手段に表示された複数の針落ち点のうち、前記接触位置から所定の距離内にある針落ち点を選出する針落ち点選出手段と、
前記針落ち点選出手段により選出された針落ち点から、設定された範囲にある針落ち点を選出して絞り込む針落ち点絞込手段と、
を備えることを特徴とするミシン。
【請求項2】
前記縫製データに応じた縫い目形状は、複数の形状要素が組み合わされてなり、
前記針落ち点絞込手段は、前記縫い目形状を構成する前記形状要素に応じて、所望する針落ち点を絞り込むことを特徴とする請求項1に記載のミシン。
【請求項3】
前記縫製データは、前記縫い目形状における前記針落ち点間の縫い目ピッチに関するデータを有し、
前記針落ち点絞込手段は、前記針落ち点間の縫い目ピッチに応じて、所望する針落ち点を絞り込むことを特徴とする請求項1に記載のミシン。
【請求項4】
前記縫製データに応じた縫い目形状は、複数の形状要素が組み合わされてなり、
前記針落ち点絞込手段によって、前記針落ち点選出手段により選出された針落ち点から所望する針落ち点を絞り込む際に、前記針落ち点選出手段により選出された針落ち点のうち何れかを前記表示手段に識別可能に表示させるとともに、前記縫い目形状におけるその針落ち点が含まれる形状要素部分を識別可能に前記表示手段に表示させる表示制御手段を備えることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のミシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−220475(P2008−220475A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−60093(P2007−60093)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】