モジュラー・ソリッドステート・ミリメータ波(MMW)RFパワーソース
レンズアレイ増幅器の形態に基づくモジュラー・ソリッドステートMMWパワーソースは、出力パワーを調整フレキシビリティと効果的な熱管理の両方を提供する。モジュラーパワーソースは、1以上のパワーディバイダと1以上のソリッドステート増幅ステージとを使用する単一のサブモジュールを含んでいて、RF入力信号をR個の増幅RF信号に分割し増幅する。サブモジュールはヒートシンクの表面上の適切にはX−Y平面にマウントされ、冷たいバックプレーンに適切に結合されて熱を除去する。R個の1:N低ロスパワーディバイダは増幅されたRF信号をR*N個の放射素子に導く。1:Nパワーディバイダの各々は、X−Z平面に適切に存在し、Y方向に積層されて、Y−Z平面のR*N個の放射素子のプレーナ出力を提供する。単一のサブモジュール上に増幅チップを配置すると、増幅チップ数、即ち放射素子数からの出力パワーを分離できる。増幅チップを放射素子から離して配置すると、ヒートシンクからバックプレーンに向かう大きな断面を有する短経路を形成でき熱を除去できる。この形態によると、高いアンテナ利得と結合される高出力パワーを生成でき、以前はジャイロトロンでのみ達成可能であった大きなパワーアパーチャー製品を作成できる。増幅チップはよりパワフルになるので、この形態によるとより少ないチップを使用することを可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミリメータ波(MMW)RF電力に対するソリッドステートソースに関し、特にWバンドアプリケーションに対する高パワーソースに関する。
【0002】
この出願は、2008年8月12日に出願された「低電力ソリッドステートモジュールの方法と装置」という米国仮特許出願61/088,073号と、2009年2月16日に出願された「モジュラー・ソリッドステート・ミリメータ波(MMW)RFパワーソース」という米国特許出願12/371,857号の35 U.S.C. 119(e)の優先権の利益を請求し、それらの全内容は参照文献として取り込まれている。この出願は、2008年9月24日に出願された「レンズアレーモジュール」という継続中の米国特許出願12/237,321号と、2007年8月20日に出願された「モジュラーMMWパワーソース」という継続中の米国特許出願11/841,580号に関連している。
【背景技術】
【0003】
中間と高電力MMW放射源は、通信システムと指向されたエネルギ兵器に応用されている。低周波MMWはソリッドステートソースで応用されているが、Wバンド(75GHzから110GHz)の高パワーソースはマグネトロンやギロトロンのようなチューブに慣例上合体されている。大きな出力が非常に高利得のアンテナと結合されて大きな電力アパーチャーを生成するので、ギロトロンの方が効果的である。しかしながらそのようなチューブは高価であり、かさばり、もろく、高圧な電力を必要とする。だからチューブを合体されたMMW源は容易に持ち運びできない。
【0004】
半導体装置は現在、Wバンドの発信器或いは増幅器として使用可能であるが、各半導体装置から出力される利用可能なパワーは数ワット未満に限られている。だから中間とハイパワーのソリッドステートWバンドソースは、導波管内或いはフリースペースで非常に多数の半導体装置から出力されたパワーを結合する準オプティカルな方法を使用している。複数の半導体装置から出力されたパワーを結合することを示唆したアプローチは、米国特許6,765,535に開示された反射アレー増幅器や、米国特許6,559,724に記述されたグリッドアレー増幅器や、米国特許5,736,908に開示されたレンズアレー或いはトレイ増幅器に含まれている。
【発明の概要】
【0005】
以下の記述は、発明のある知見を基本的に理解するための発明の概要である。この概要は発明のキー或いは重要な要素を確認して、発明の範囲を描くことを意図したものではない。後に提示されるより詳細な説明および規定された請求項に対する前触れとして、簡単な形式で発明のあるコンセプトを提示するだけの目的である。
【0006】
本発明は、増幅チップの数、即ちパワーを放射素子のアレイサイズから切り離して、増幅チップにより発生される熱のサーマル管理を改善する、ソリッドステート増幅チップの回りに組み立てられたモジュラー・ソリッドステートMMW電力源(パワーソース)を提供する。その形態により、高いアンテナ利得と結合される高い出力パワーを生成でき、以前にはジャイロトロンでのみ達成可能である大電力アパーチャー製品を作り出すことができる。
【0007】
モジュラー・ソリッドステートMMWパワーソースの実施例は、1以上のパワーディバイダと1以上のソリッドステート増幅ステージを使用して、RF入力信号をR増幅RF信号に分割および増幅する単一のサブモジュールを含んでいる。サブモジュールは、適切に冷却バックプレーンに結合されているヒートシンクの表面上であるX−Y平面に適切にマウントされ、熱を除去する。R個の1:N低ロスパワーディバイダは増幅されたRF信号をR*N放射素子に送る。1:Nパワーディバイダの各々は、適切にはX−Z面にあり、Y方向に積み上げられていて、Y−Z面にR*N放射素子のプレーナ出力を提供する。単一のサブモジュール上に増幅素子を位置づけることにより、チップの数、即ち多数の放射素子からの出力パワーを切り離すことができる。放射面から離れて増幅チップを配置することにより、大きな熱断面を有する短経路をヒートシンクからバックプレーンに形成できるので、熱を除去できる。
【0008】
実施態様において、サブモジュールは入力アンテナ、第1のパワー増幅ステージと複数のR出力アンテナを含んでいる。第1のパワー増幅ステージは、入力が入力アンテナに結合された1:M1パワーディバイダ、各々がソリッドステート増幅チップを含んでいるM1個の回路装置、及び出力がR出力アンテナに結合されたM1個の1:M2パワーディバイダを含んでいる。サブモジュールは、M1*M2個の回路装置と、出力がR出力アンテナの一つに結合されたM1*M2個の1:M3パワーディバイダとを含む第2のパワー増幅ステージを含んでいてもよい。パワーディバイダと回路装置の構成により、増幅チップの数を選択して、回路装置の機能性を構成するフレキシビリティが得られる。複数の増幅チップはよりパワフルになるので、放射素子の数を減ずることなくより少数のチップを使用する形態を得ることができる。
【0009】
実施態様において、サブモジュールパワーディバイダは好ましくは、導電性の送信路に沿ってRF信号を導くストリップラインであり、R個の1:Nパワーディバイダは好ましくは、フリースペースの送信路に沿って増幅されたRF信号を導く導波管である。ストリップラインは、製造が容易で低価格であり、ソリッドステート増幅チップに容易に結合する。導波管は製造が難しいがストリップラインよりロスが少ない。
【0010】
発明のこれらの及び他の特徴と利点は、添付の図面を参照して好ましい実施態様の以下の詳細な記述から当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】レンズアレイ増幅器の図である。
【図2a】本発明によるモジュラー・ソリッドステートMMWパワーソースの側面図である。
【図2b】本発明によるモジュラー・ソリッドステートMMWパワーソースの斜視図である。
【図2c】本発明によるモジュラー・ソリッドステートMMWパワーソースの拡大図である。
【図3a】サブモジュールの構成の概略図である。
【図3b】サブモジュールの構成の概略図である。
【図3c】サブモジュールの構成の概略図である。
【図4】MWM増幅チップを含む回路装置の概略図である。
【図5a】図3cに描かれたサブモジュールの図である。
【図5b】個々のチップへのワイヤーボンドの詳細図である。
【図6a】冷却剤ラインを含むヒートシンクの別の実施例の斜視図である。
【図6b】冷却剤ラインを含むヒートシンクの別の実施例の内部図である。
【図7a】1:8の導波管パワーディバイダの図である。
【図7b】積層された導波管パワーディバイダのフリースペース放射素子の8:8アレイの斜視端面図である。
【図8a】1:4の導波管パワーディバイダの図である。
【図8b】図7bに示された8:8アレイと同じフットプリントを有するフリースペース放射素子の8:4アレイの斜視図である。
【図9】バックプレーンに結合された4x4ソリッドステートMMWパワーソースの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示されているように、本発明のモジュラー・ソリッドステートMMWパワーソースは、レンズアレイタイプの増幅器である。一般に、レンズアレイ増幅器10は、空間的に送られたRFビーム12を受信し、そのビームをチャネルに分割し、ソリッドステート増幅チップを使用して各チャネルを増幅して、放射素子アレイに送り、放射素子アレイは増幅RFビームを放射されたRFビーム14に空間的に結合する。アレイの形態により多重増幅チップを使用可能となり、多重増幅チップは所望の出力パワーを提供できる。反射型の形態と比べると、レンズアレイはチップ材料を減じ、従ってコストを減じ、放射素子のアレイはより強固に一定の間隔を保つことができる。レンズアレイ増幅器の以前の形態は、各増幅チップを放射素子と一緒に位置させている。その結果、増幅チップの数が放射アレイのサイズによって決められる。更に、増幅チップは放射面の近傍に凝縮したアレイとして詰め込まれる。これらの形態は、最大出力パワーを提供するように構成される。しかしながら、これらの形態によれば、出力パワーを効果的な調整できない。
【0013】
本発明は、レンズアレイ増幅器の形態に基づくモジュラー・ソリッドステートMMWパワーソースを提供し、このレンズアレイ増幅器の形態によると、出力パワーを調整するフレキシビリティと、効果的な熱管理の両方を達成できる。モジュラーパワーソースは、冷たいバックプレーンに適切に結合されたヒートシンクと、そのヒートシンク上に設けられ、RF入力信号を複数の増幅RF信号に分割及び増幅するための1以上のパワーディバイダと1以上のソリッドステート増幅ステージとを使用する単一のサブモジュールと、その増幅されたRF信号を放射素子のプレーナアレイに導く同様に複数の低ロスパワーディバイダとを含む。このモジュラーパワーソースは全てのMMWアプリケーションに一般的に応用可能であるが、Kバンド(18−27GHz)、Kaバンド(27−40GHz)、Vバンド(40−75GHz)、Wバンド(75−110GHz)及びミリバンド(110−300GHz)に特に応用可能である。増幅チップを単一のサブモジュール上に配置すると、増幅器の数、即ち出力パワーを放射素子数から分離することができる。放射面から増幅チップを離して配置すると、ヒートシンクからバックプレーンに向けての大きな熱断面を有する短経路を形成でき、熱を除去できる。効果的に熱管理を行なうことにより、パワーソースを高いデューティサイクルで動作できる。この形態により、高いアンテナ利得と結合された高い出力パワーを生成でき、以前にはジャイロトロンにのみ達成できた大電力アパーチャー製品を製造できる。増幅チップはよりパワフルになり、その形態によりより少ないチップを使用可能となる。
【0014】
図2aないし図2cを参照すると、モジュラー・ソリッドステートMMWパワーソース20は、RF入力信号24をR個の増幅RF信号26に分割及び増幅する単一のサブモジュールを含んでいる。サブモジュールはヒートシンク28の表面にマウントされ、ヒートシンク28は冷却バックプレーン30に適切に結合されていて、サブモジュールからの熱を除去する。R個の1:N低ロスパワーディバイダ32は、増幅RF信号26をR*N個の放射素子34に導き、R*N個の放射素子34は空間的に結合された増幅RF出力信号36を生成する。サブモジュール22は適切にX−Y面にあるヒートシンク28の一般的なプレーナ表面にマウントされ得る。R個の1:Nパワーディバイダ32の各々は、X−Z面に適切に位置されており、Y方向に積み重ねられて、Y−Z面にR*N個の放射素子34のプレーナ出力を提供する。
【0015】
サブモジュール22は、入力アンテナ42を支持する一般的にプレーナである基板40、ソリッドステート前段増幅チップ44、少なくとも1つの増幅ステージ46及びR個の出力アンテナ48を含みうる。第1のパワー増幅ステージ46は、入力が前段増幅チップを介して入力アンテナに結合された1:M1パワーディバイダ50、それぞれソリッドステート増幅チップ54を含む複数のM1回路装置52、及び出力がR個の出力アンテナに結合されたM1個の1:M2パワーディバイダ56を含んでいる。M1、M2は整数であり、代表的には2の冪乗である。M1或いはM2の少なくとも1つは、1より大きな整数である。Rは1より大きな整数であり、代表的には2の冪乗である。単一のステージに対して、R=M1*M2であり、装置の数D=M1である。サブモジュールは第1ステージとR出力アンテナ間に第2のパワー増幅ステージを含んでもよく、この第2のパワー増幅ステージはM1*M2個の回路装置と、出力がR出力アンテナの1つに結合されたM1*M2個の1:M3パワーディバイダとを含んでいる。M3は整数であり、代表的には2の冪乗である。2ステージサブモジュールに対して、R=M1*M2*M3であり、D=M1+(M1*M2)である。
【0016】
パワーディバイダ50、56は、RF信号を導電性送信路に沿って導くストリップラインである。ストリップラインは、導電性グランド面上の基板表面に導電性トレースをプリントすることにより形成されてもよい。ストリップラインは、製造が容易で低コストであり、ソリッドステート増幅チップに容易に結合できる。入力アンテナ42は基板上にプリントされ得り、導波管からのRF入力信号24を受信して、その信号をストリップラインパワーディバイダ50の入力に結合するように構成されている。R個の出力アンテナ48は、基板上にプリントされ得り、ストリップラインパワーディバイダ56のそれぞれの出力から増幅RF信号26を受信して、その信号をそれぞれの導波管に結合するように構成されている。
【0017】
ヒートシンク28を設けると、回路装置52、特にソリッドステート増幅チップ54からバックプレーン30までの、大きな断面62を有する短熱経路60を形成でき、熱を除去できる。増幅チップ54は、基板の表面にマウントされるか、基板のホールを介してヒートシンクの表面にダイレクトにマウントされ得る。短熱経路60は、増幅チップを放射素子34の面から空間的に離したことの結果生じる。大きな断面62は、単一のサブモジュール22を有する結果生じる。増幅チップを密集したアレイに詰め込むよりもむしろ、チップはヒートシンクのプレーナ表面にマウントされる。ヒートシンク28は、Z方向の出力パワーディバイダ32の厚みの約半分の厚みを有する。厚みと体積が増加すると、熱を除去するためのより大きな断面を得ることができる。ヒートシンクは、例えば固体金属或いは熱分解グラファイト(thermal pyrolytic graphite TPG)から形成される大きな導電性を有するブロックであり得る。代わりに、ヒートシンクの厚みにより、流体冷却剤を循環するように経路を形成できる。フィードスルー63はDCバイアス信号をサブモジュールに導く。
【0018】
熱管理は、ヒートシンク28を冷たいバックプレーン30に結合することにより改善される。モジュールは、バックプレーン無で単にヒートシンクから熱を放射するように構成できる。しかしながら、冷たいバックプレーンは熱をヒートシンクから奪い、その結果全体的な熱伝導を改善する。バックプレーンは異なる方法で冷たくすることもできる。熱は積極的に或いは活発にバックプレーンから除去され、その温度を低下させる。代わりに、ヒートシンクの経路に介して流体の冷却剤を循環させるシステムを設けてもよい。バックプレーン30はRF入力信号をサブモジュール上の入力アンテナに結合する手段と、DCパワーをサブモジュールに導く手段を提供する。
【0019】
R1:Nパワーディバイダ32は、増幅信号26をフリースペース送信経路に沿って導く適切な導波管である。導波管は製造がより難しいが、ストリップラインよりより少ないロスを有し、dBで測定して10以上のファクタ少ない。増幅チップ54以降の送信経路は2つの理由から低ロスであることが重要である。第1に、低ロスは、パワーソースの全体効率を維持するために必要とされ、第2に、低ロスは、積み重ねられたパワーディバイダで発生する熱を最小に維持するのに必要とされる。パワーディバイダ32で発生する熱を除去するには、経路長が長く、断面が小さいことが必要である。記述されている実施態様では、パワーディバイダに追加のヒートシンクは設けられていない。パワーディバイダはMMW動作波長によって規定されるように接近していて離隔されている必要がある。
【0020】
図3aないし図3cを参照すると、放射素子の面から離れてサブモジュールを配置することにより、回路装置の数、特に増幅チップの数を、R*N個の放射素子から分離できる。回路装置の数、配置及び機能は、パワー増幅ステージ例えば1または2の数および各ステージのパワーディバイダの構成を選択することにより制御される。この形態により、種々のデザインゴールに適応させるのに十分なフレキシビリティが得られる。第1に、モジュールは出力ビームに対してトータルパワーの特定の量を提供できるように構成され、トールパワーの最大量を必ずしも提供する必要はない。第2に、モジュールは、チップテクノロジーの電流状態、即ちチップ当たり最大パワーを与えられる増幅チップの最小数で特定のトータルパワーを提供するように構成され、コストを最小化することができる。第3に、チップは最大パワー及び最大効率で動作され、全体の効率を維持する。以前の形態とは違い、回路装置の数は、最大トータルパワーよりより少ないパワーに縮小され、各装置は最大効率で動作する。更に、各装置のパワー出力能力は向上するので、回路装置の数は、同じトータルパワーを得るためには減少する。
【0021】
図3aを参照すると、図2a−2cに示されたサブモジュール22は、基板40上に形成された入力アンテナ42、前段増幅チップ44、単一の増幅ステージ46及びR出力アンテナ48を含んでいる。増幅ステージは、1:8ストリップラインパワーディバイダ50、それぞれ増幅チップ54を有する8個の回路装置52、及び8個の1:1ストリップラインディバイダ56を含んでいる。パワーディバイダ50は、前段増幅チップ44を介して入力アンテナ42に結合されたストリップライン入力70と、RF信号をそれぞれ回路装置に結合された8個のストリップライン出力74を含んでいる。各パワーディバイダ56は、ストリップライン入力76、ストリップライン送信経路78、及びストリップライン出力80を含み、増幅RF信号を回路装置52からその出力アンテナ48へ導く。
【0022】
この構成において、M1=8、M2=1、R=M1*M2=8である。回路装置のトータル数は、前段増幅器を無視すると、D=M1=8である。図2bに示されているように、各増幅RF信号26は、8*8=64個の放射素子の全体に対する1:8導波管パワーディバイダ32に結合されている。こうして、8個の回路装置、即ち8個の増幅チップは、64個の放射素子アレイにパワーを送る。トータルパワー要求がより低下し、或いは増幅チップの出力パワーが増加すると、回路装置の数を減少できる。例えば、パワーディバイダ50が1:4で、パワーディバイダ56が1:2であると、4個のみの増幅チップが使用される。単一の増幅ステージを有するサブモジュールにおける回路装置の最大数Dは、Rであり、最少数は1である。
【0023】
追加のパワー或いは機能が必要とされるなら、サブモジュールを第1と第2の増幅ステージで構成してもよい。この場合、回路装置の最大数Dは、2*Rとなる。2つの増幅ステージを設けると、第1と第2のステージの回路装置の機能性を変更するフレキシビリティが得られる。各回路装置は増幅チップを含んでいるが、図4を参照して以下に説明されるように他の回路素子を含み得る。
【0024】
図3bを参照すると、サブモジュール90は、第1と第2のパワー増幅ステージ92、94を含んでいて、入力アンテナ96で受信したRF信号を分割して増幅し、ストリップライン送信経路に沿って、それをR=8個の出力アンテナ98に導く。第1のパワー増幅ステージ92は、1:2ストリップラインパワーディバイダ100と、1対の回路装置102と、M1=2及びM2=2の1対の1:2ストリップラインパワーディバイダ104とを含んでいる。第2のパワー増幅ステージ94は、4個の回路装置106と、M3=2である4個の1:2ストリップラインパワーディバイダ108とを含んでいる。この構成において、M1=2、M2=2、M3=2、R=8である。回路装置のトータル数Dは、D=M1+(M1*M2)=6である。
【0025】
図3cを参照すると、サブモジュール110は、第1と第2のパワー増幅ステージ112、114を含んでいて、入力アンテナ116で受信したRF信号を分割して増幅し、ストリップライン送信経路に沿って、それをR=8個の出力アンテナ118に導く。第1のパワー増幅ステージ112は、1:2ストリップラインパワーディバイダ120と、1対の回路装置122と、M1=2及びM2=4の1対の1:4ストリップラインパワーディバイダ124とを含んでいる。第2のパワー増幅ステージ114は、8個の回路装置126と、M3=1である8個の1:1ストリップラインパワーディバイダ128とを含んでいる。この構成において、M1=2、M2=4、M3=1、R=8である。回路装置のトータル数Dは、D=M1+(M1*M2)=10である。
【0026】
各サブモジュールはまた、制御回路130により示された他の回路を含みうる。制御回路130を設けると、信号により回路装置内の位相シフター及び/または振幅調節器を制御できる。制御回路130はマイクロプロセッサまたは他のプロセッサを含み、外部からパワーソースモジュールへのインストラクションを受信して、制御信号を生成する。制御回路130は、外部からパワーソースモジュールへのDCパワー信号を調節して、その信号を配分し、回路装置にパワーを与える。
【0027】
図4を参照すると、各回路装置132はRF入力信号を対応するバンドを増幅するソリッドステート増幅チップ134を含んでいる。増幅チップは、高周波装置の当業者には周知の高エレクトロンモビリティトランジスタ(HEMT)を含んでおり、特にWバンドのMMW RF信号を増幅する。窒化ガリウム(GaN)、ガリウム砒素(GaAs)とインジウムリン(InP)テクノロジーは、HEMT装置の例である。GaNチップは、シリカカーバイドから形成されたベース層を含んでいる。この層は電気絶縁体であり熱導電体である。他のテクノロジーを用いた増幅チップもまた、同様のベース層の組成を示す。HEMTチップは効果的に熱を除去するヒートシンクに直接マウント可能である。増幅チップの実施態様は、2008年1月6日に出願された”ミリメータ波のモノリシック集積回路とそのような集積回路を形成する方法”という同時継続の米国出願12/266,299に記述されていて、その内容は参考としてこの出願に取り込まれる。増幅ステージの各トランジスタはHEMTである。
【0028】
各回路装置132はまた他の回路素子を含みうる。装置は振幅アジャスタ136、位相シフター138或いはサーキュレータ140を含みうる。各回路装置は、図4には示されていないが、1以上のRFスイッチ、サーキュレータ及び低ノイズ増幅器を含みうり、その場合パワーソースモジュールはパワーソースのみなら受信機として機能する能力を持ちうる。振幅アジャスタ136は可変減衰器、増幅器134内或いは追加の可変利得増幅ステージ、或いはその他の利得調整装置でありうる。増幅アジャスタ136、位相シフター138及び増幅器134は、独立の装置或いはコンポーネントでありえ、或いはそれらで完成し得、或いは1以上のモノリシックマイクロウエーブ集積回路に搭載されうる。サブモジュール上の複数の回路装置は、同一でありえて、異なっていてもよい。他の実施形態では、回路装置は増幅チップを含まなくともよく、RF信号を変更するために振幅アジャスタ或いは位相シフターのみを含んでいてもよい。
【0029】
図3cに示されたサブモジュール110の形態を有するサブモジュール150が図5a、図5bに詳細に示されている。サブモジュール150は、平行は前面と背面を有する一般に長方形の絶縁基板152を含んでいる。絶縁基板152は、パワーソースモジュールの動作周波数での使用に適しているアルミナ、べりリア、窒化アルミニウム、或いは他の絶縁体から作りうる。絶縁基板152は、積層物でもよく、背面に向けて導電性の接地平面を含みうる。
【0030】
サブモジュール150は基板の前面にプリントされた導電トレースから形成された、入力アンテナ154と8個の出力アンテナ156を含んでいる。このような実施では、アンテナは1/4円或いは半分のビバルディ(Vivaldi)アンテナである。入力アンテナ154は導波管からのフリースペースRF信号をストリップラインに結合する。反対に、出力アンテナ156は、ストリップラインに伝播してきたRF信号をフリースペース導波管に結合する。
【0031】
サブモジュール150は第1の増幅ステージと第2の増幅ステージとを含み、第1の増幅ステージは1:2パワーディバイダ158と、このパワーディバイダ158に結合された位相シフター159と、この位相シフター159に結合された入力アンテナ154と、一対の増幅チップと、一対の1:4パワーディバイダ162とを含み、第2の増幅ステージは8個の増幅チップ164と、8個の出力アンテナに結合された8個の1:1パワーディバイダ166とを含む。パワーディバイダは基板の前面にプリントされた導電性トレースから形成される。絶縁基板により導電性バックプレーンから離隔された複数のトレースはそれぞれストリップラインを規定する。RF信号は基板を横切って導電性トレースに進み、パワーディバイダによってほぼ等しい信号に分割される。
【0032】
増幅チップ160、164は、基板152に設けられた長方形のオープニング168、170それぞれに位置づけられており、下にあるヒートシンクの表面に直接マウントされている。図5bに示されるように、ジャンパーワイヤー(ワイヤーボンディング)172、173を設けると、チップ上の入力パッド174とパワーディバイダの端部の出力パッド176間を電気的にコンタクトできる。ジャンパーワイヤー(ワイヤーボンディング)178、179を設けると、チップ上の出力パッド180と次のパワーディバイダへの入力点の入力パッド182間を電気的にコンタクトできる。RF信号に対して、入力と出力に3個のジャンパーワイヤーが存在する。中央のジャンパーワイヤー172、178はRF経路を接続し、2つの外側のジャンパーワイヤー173、179は接地される。基板上の接地パッドは基板の接地平面にバイアス接続されている。ワイヤーボンド181はドレイン電圧をチップに与え、ワイヤーボンド181はゲート電圧をチップに与えている。
【0033】
DCパワーがパッド190においてサブモジュール150に与えられている。DCパワーはフィルター192により調節される。導電性経路194はドレイン電圧を増幅チップ164に導く。追加の導電性経路196はDCパワーを充電ポンプ198に送り、充電ポンプ198はDCパワーの極性を反転し、それを増幅チップ164のゲートに対する適切な電圧レベルに変換する。充電ポンプ198からの出力はフィルター200により調整されて、導電性経路202を介して各増幅チップのゲートに送られる。
【0034】
図6a、図6bを参照すると、ヒートシンク250は、熱伝導物質から形成されたブロックであって、かつ流動性の冷媒256を循環する通路254が設けられたブロック252を含んでいる。増幅チップにより生成された熱は、ブロック物質を介して流動性の冷媒に送られ、バックプレーンから除去される。冷媒流体は例えばガス或いは液体である。図6bでは、通路254は単一の循環オープニングとして示されているが、通路はフィン、翼、柱及び他の構造を含みうる。そのような構造を採用すると、流れている冷媒に晒される表面積が増加し、及び/または冷媒の乱れを増加させて金属構造から冷媒への熱移動の効率を改善できる。ブロック252の厚み、即ち放射素子アレイのZ寸法の約1/2の厚みは、冷媒を循環するためにそのような通路を設けるのに十分である。
【0035】
図7a、図7bは、X−Z平面にある1:8導波管パワーディバイダ300の断面図と、8個の導波管パワーディバイダ300をY方向に積み重ねることにより形成されるY−Z平面にあるフリースペース放射素子302の8x8アレイの斜視図である。各導波管パワーディバイダ300は、フリースペース入力304、複数(N=8)のフリースペース伝達経路306、及びブロック物質308に放射素子302を設けるN個のフリースペース出力とを含んでいる。フリースペース入力、伝達経路及び出力は、ブロック308の導電性壁310で囲まれており、これによりフリースペース導波管が規定される。ブロック308は、アルミニウムのような導電性物質から形成されてもよいし、或いはプラスチックのような非導電性物質から形成されかつ金のような導電性物質をメッキしてもよい。フリースペース導波管のdBでのロスは、ストリップライン導波管のロスよりも単位長当たり実質的により小さく、10以上のファクタであり、例えば0.3dB対3dBである。
【0036】
フリースペース放射素子アレイ302はY−Z平面にある。放射素子のコラム間における中心対中心のスペースはλyであり、λはパワーソースモジュールの動作周波数であり、yは0.5から1.0の間の定数である。素子の隣接コラム間のスペースは名目のスペースλyに等しいか、許容誤差だけ名目のスペースからはずれ得る。許容誤差は±λ/10或いはある他の許容誤差でありうる。定数yは、放射素子の隣接コラム間のスペースが0.5λから1.0λであるように選ばれる。
【0037】
放射素子のロウ間における中心対中心のスペースはλzであり、λはパワーソースモジュールの動作周波数であり、zは0.5から1.0の間の定数である。素子の隣接ロウ間のスペースは名目のスペースλzに等しいか、許容誤差だけ名目のスペースからはずれ得る。許容誤差は±λ/10或いはある他の許容誤差でありうる。定数zは、放射素子の隣接ロウ間のスペースが0.5λから1.0λであるように選ばれる。定数xとyは等しくても等しくなくてもよい。
【0038】
図8a、図8bは、X−Z平面にある1:4導波管パワーディバイダ320の断面図と、8個の導波管パワーディバイダ320をY方向に積み重ねることにより形成されるY−Z平面にあるフリースペース放射素子322の8x4アレイの斜視図である。Y軸に沿った中心対中心のスペースは上述の例と同じであり、Z軸に沿った中心対中心のスペースは上述の例の2倍であって、放射素子アレイの寸法は等しい。
【0039】
例えば、0.124インチ(95GHz)の動作波長における8x8の放射素子アレイは、0.100インチの中心対中心のスペースと、0.8x0.8インチのトータル寸法を生み出す。このモジュールは、8ワットの空間的に統合したビームを生み出すことが証明された。このモジュールは、増幅チップテクノロジーの進歩としてより大きなパワー、或いはシステムを考慮することにより必要な少ないパワーを生み出すように構成されうる。このモジュールは小さな体積で大きなパワーを生み出す。アレイサイズからトータルパワーを分離して熱問題を効果的に管理することは、モジュラー・ソリッドステートMMWパワーソースに対する空間的なアレイ形態の重要な特徴である。
【0040】
複数のサブモジュール上の複数の放射素子からの放射された波面は空間的に結合されて、振幅、方向或いは他の特性において入力波面とは異なる出力波面(図示せず)を提供する。空間的に結合された出力波面は、フリースペースに放射されるか、或いは出力導波管(図示せず)、導波管ホルン(図示せず)、或いは他の装置に結合される。
【0041】
図9は、共通のバックプレーン404を共有するモジュラー・ソリッドステートMMWパワーソース402の4x4アレイからなるソリッドステートMMWパワーソース400を示している。各モジュラーソース402は8x8の放射素子アレイを有する。パワーソース400は32x32の放射素子アレイを有する。放射素子のたった1つのロウまたはコラムも、隣接して並置されたモジュール間の境界には存在しない。バックプレーン404は、バックプレーンの中心にある単一のポート407でRF入力信号を受信し、それを4x4のRF信号に分けて、それらをそれぞれのモジュールの入力アンテナに導く。バックプレーン404はまた、DCバイアス信号を各モジュールに導くフィードスルー408を含んでいる。バックプレーン406はまた、各モジュールに対するそれぞれのヒートシンクを介して流動性の冷媒を独立に循環する手段を含んでいる。32x32の放射素子により出力される増幅されたRF信号は、空間的に結合されてハイパワー出力ビーム410を形成する。
【0042】
発明のいくつかの図示された実施形態が示され記述されたが、多数の変更及び他の実施態様を当業者は可能である。そのような変更及び他の実施態様が熟考され、添付の請求項に規定された発明の精神及び範囲を逸脱することなく創造可能である。
【符号の説明】
【0043】
10・・・レンズアレイ増幅器、12,14・・・RFビーム、20・・・モジュラー・ソリッドステートMMWパワーソース、22・・・サブモジュール、24・・・RF入力信号、26・・・増幅RF信号、28・・・ヒートシンク、30・・・冷却バックプレーン、32・・・1:N低ロスパワーディバイダ、34・・・放射素子、36…増幅RF出力信号、40・・・基板、42・・・入力アンテナ、44・・・ソリッドステート前段増幅チップ、46・・・増幅ステージ、48・・・出力アンテナ、50・・・1:M1パワーディバイダ、52・・・M1回路装置、54・・・ソリッドステート増幅チップ、56・・・1:M2パワーディバイダ、60・・・短熱経路、62・・・断面、63・・・フィードスルー、70・・・ストリップライン入力、74・・・ストリップライン出力、76・・・ストリップライン入力、78・・・ストリップライン送信経路、80・・・ストリップライン出力、90・・・サブモジュール、92,94・・・第1と第2のパワー増幅ステージ、96・・・入力アンテナ、98・・・出力アンテナ、100・・・1:2ストリップラインパワーディバイダ、102・・・1対の回路装置、104・・・1:2ストリップラインパワーディバイダ、106・・・回路装置、108…1:2ストリップラインパワーディバイダ、110・・・サブモジュール、112、114・・・第1と第2のパワー増幅ステージ、116・・・入力アンテナ、118・・・出力アンテナ、122・・・1:2ストリップラインパワーディバイダ、122・・・1対の回路装置、124・・・1対の1:4ストリップラインパワーディバイダ、126…8個の回路装置、128・・・8個の1:1ストリップラインパワーディバイダ、130・・・制御回路、132・・・回路装置、134・・・ソリッドステート増幅チップ、136・・・振幅アジャスタ、138・・・位相シフター、140・・・サーキュレータ、150・・・サブモジュール、152…絶縁基板、154・・・入力アンテナ、156・・・出力アンテナ、158・・・1:2パワーディバイダ、159…位相シフター、160、164・・・増幅チップ、162・・・一対の1:4パワーディバイダ、164…8個の増幅チップ、166・・・8個の1:1パワーディバイダ、168、170・・・オープニング、172、173・・・ジャンパーワイヤー(ワイヤーボンディング)、174・・・入力パッド、176・・・出力パッド、178、179・・・ジャンパーワイヤー(ワイヤーボンディング)、180・・・出力パッド、181・・・ワイヤーボンド、182・・・入力パッド、190・・・パッド、192・・・フィルター、194・・・導電性経路、196・・・追加の導電性経路、198・・・充電ポンプ、200・・・フィルター、202・・・導電性経路、250・・・ヒートシンク、252・・・ブロック、254・・・通路、256・・・流動性の冷媒、300・・・1:8導波管パワーディバイダ、302・・・フリースペース放射素子、304・・・フリースペース入力、306・・・フリースペース伝達経路、308・・・ブロック物質、310・・・導電性壁、320・・・1:4導波管パワーディバイダ、322・・・フリースペース放射素子、402・・・モジュラー・ソリッドステートMMWパワーソース、404、406・・・バックプレーン、408・・・フィードスルー、410・・・ハイパワー出力ビーム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミリメータ波(MMW)RF電力に対するソリッドステートソースに関し、特にWバンドアプリケーションに対する高パワーソースに関する。
【0002】
この出願は、2008年8月12日に出願された「低電力ソリッドステートモジュールの方法と装置」という米国仮特許出願61/088,073号と、2009年2月16日に出願された「モジュラー・ソリッドステート・ミリメータ波(MMW)RFパワーソース」という米国特許出願12/371,857号の35 U.S.C. 119(e)の優先権の利益を請求し、それらの全内容は参照文献として取り込まれている。この出願は、2008年9月24日に出願された「レンズアレーモジュール」という継続中の米国特許出願12/237,321号と、2007年8月20日に出願された「モジュラーMMWパワーソース」という継続中の米国特許出願11/841,580号に関連している。
【背景技術】
【0003】
中間と高電力MMW放射源は、通信システムと指向されたエネルギ兵器に応用されている。低周波MMWはソリッドステートソースで応用されているが、Wバンド(75GHzから110GHz)の高パワーソースはマグネトロンやギロトロンのようなチューブに慣例上合体されている。大きな出力が非常に高利得のアンテナと結合されて大きな電力アパーチャーを生成するので、ギロトロンの方が効果的である。しかしながらそのようなチューブは高価であり、かさばり、もろく、高圧な電力を必要とする。だからチューブを合体されたMMW源は容易に持ち運びできない。
【0004】
半導体装置は現在、Wバンドの発信器或いは増幅器として使用可能であるが、各半導体装置から出力される利用可能なパワーは数ワット未満に限られている。だから中間とハイパワーのソリッドステートWバンドソースは、導波管内或いはフリースペースで非常に多数の半導体装置から出力されたパワーを結合する準オプティカルな方法を使用している。複数の半導体装置から出力されたパワーを結合することを示唆したアプローチは、米国特許6,765,535に開示された反射アレー増幅器や、米国特許6,559,724に記述されたグリッドアレー増幅器や、米国特許5,736,908に開示されたレンズアレー或いはトレイ増幅器に含まれている。
【発明の概要】
【0005】
以下の記述は、発明のある知見を基本的に理解するための発明の概要である。この概要は発明のキー或いは重要な要素を確認して、発明の範囲を描くことを意図したものではない。後に提示されるより詳細な説明および規定された請求項に対する前触れとして、簡単な形式で発明のあるコンセプトを提示するだけの目的である。
【0006】
本発明は、増幅チップの数、即ちパワーを放射素子のアレイサイズから切り離して、増幅チップにより発生される熱のサーマル管理を改善する、ソリッドステート増幅チップの回りに組み立てられたモジュラー・ソリッドステートMMW電力源(パワーソース)を提供する。その形態により、高いアンテナ利得と結合される高い出力パワーを生成でき、以前にはジャイロトロンでのみ達成可能である大電力アパーチャー製品を作り出すことができる。
【0007】
モジュラー・ソリッドステートMMWパワーソースの実施例は、1以上のパワーディバイダと1以上のソリッドステート増幅ステージを使用して、RF入力信号をR増幅RF信号に分割および増幅する単一のサブモジュールを含んでいる。サブモジュールは、適切に冷却バックプレーンに結合されているヒートシンクの表面上であるX−Y平面に適切にマウントされ、熱を除去する。R個の1:N低ロスパワーディバイダは増幅されたRF信号をR*N放射素子に送る。1:Nパワーディバイダの各々は、適切にはX−Z面にあり、Y方向に積み上げられていて、Y−Z面にR*N放射素子のプレーナ出力を提供する。単一のサブモジュール上に増幅素子を位置づけることにより、チップの数、即ち多数の放射素子からの出力パワーを切り離すことができる。放射面から離れて増幅チップを配置することにより、大きな熱断面を有する短経路をヒートシンクからバックプレーンに形成できるので、熱を除去できる。
【0008】
実施態様において、サブモジュールは入力アンテナ、第1のパワー増幅ステージと複数のR出力アンテナを含んでいる。第1のパワー増幅ステージは、入力が入力アンテナに結合された1:M1パワーディバイダ、各々がソリッドステート増幅チップを含んでいるM1個の回路装置、及び出力がR出力アンテナに結合されたM1個の1:M2パワーディバイダを含んでいる。サブモジュールは、M1*M2個の回路装置と、出力がR出力アンテナの一つに結合されたM1*M2個の1:M3パワーディバイダとを含む第2のパワー増幅ステージを含んでいてもよい。パワーディバイダと回路装置の構成により、増幅チップの数を選択して、回路装置の機能性を構成するフレキシビリティが得られる。複数の増幅チップはよりパワフルになるので、放射素子の数を減ずることなくより少数のチップを使用する形態を得ることができる。
【0009】
実施態様において、サブモジュールパワーディバイダは好ましくは、導電性の送信路に沿ってRF信号を導くストリップラインであり、R個の1:Nパワーディバイダは好ましくは、フリースペースの送信路に沿って増幅されたRF信号を導く導波管である。ストリップラインは、製造が容易で低価格であり、ソリッドステート増幅チップに容易に結合する。導波管は製造が難しいがストリップラインよりロスが少ない。
【0010】
発明のこれらの及び他の特徴と利点は、添付の図面を参照して好ましい実施態様の以下の詳細な記述から当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】レンズアレイ増幅器の図である。
【図2a】本発明によるモジュラー・ソリッドステートMMWパワーソースの側面図である。
【図2b】本発明によるモジュラー・ソリッドステートMMWパワーソースの斜視図である。
【図2c】本発明によるモジュラー・ソリッドステートMMWパワーソースの拡大図である。
【図3a】サブモジュールの構成の概略図である。
【図3b】サブモジュールの構成の概略図である。
【図3c】サブモジュールの構成の概略図である。
【図4】MWM増幅チップを含む回路装置の概略図である。
【図5a】図3cに描かれたサブモジュールの図である。
【図5b】個々のチップへのワイヤーボンドの詳細図である。
【図6a】冷却剤ラインを含むヒートシンクの別の実施例の斜視図である。
【図6b】冷却剤ラインを含むヒートシンクの別の実施例の内部図である。
【図7a】1:8の導波管パワーディバイダの図である。
【図7b】積層された導波管パワーディバイダのフリースペース放射素子の8:8アレイの斜視端面図である。
【図8a】1:4の導波管パワーディバイダの図である。
【図8b】図7bに示された8:8アレイと同じフットプリントを有するフリースペース放射素子の8:4アレイの斜視図である。
【図9】バックプレーンに結合された4x4ソリッドステートMMWパワーソースの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示されているように、本発明のモジュラー・ソリッドステートMMWパワーソースは、レンズアレイタイプの増幅器である。一般に、レンズアレイ増幅器10は、空間的に送られたRFビーム12を受信し、そのビームをチャネルに分割し、ソリッドステート増幅チップを使用して各チャネルを増幅して、放射素子アレイに送り、放射素子アレイは増幅RFビームを放射されたRFビーム14に空間的に結合する。アレイの形態により多重増幅チップを使用可能となり、多重増幅チップは所望の出力パワーを提供できる。反射型の形態と比べると、レンズアレイはチップ材料を減じ、従ってコストを減じ、放射素子のアレイはより強固に一定の間隔を保つことができる。レンズアレイ増幅器の以前の形態は、各増幅チップを放射素子と一緒に位置させている。その結果、増幅チップの数が放射アレイのサイズによって決められる。更に、増幅チップは放射面の近傍に凝縮したアレイとして詰め込まれる。これらの形態は、最大出力パワーを提供するように構成される。しかしながら、これらの形態によれば、出力パワーを効果的な調整できない。
【0013】
本発明は、レンズアレイ増幅器の形態に基づくモジュラー・ソリッドステートMMWパワーソースを提供し、このレンズアレイ増幅器の形態によると、出力パワーを調整するフレキシビリティと、効果的な熱管理の両方を達成できる。モジュラーパワーソースは、冷たいバックプレーンに適切に結合されたヒートシンクと、そのヒートシンク上に設けられ、RF入力信号を複数の増幅RF信号に分割及び増幅するための1以上のパワーディバイダと1以上のソリッドステート増幅ステージとを使用する単一のサブモジュールと、その増幅されたRF信号を放射素子のプレーナアレイに導く同様に複数の低ロスパワーディバイダとを含む。このモジュラーパワーソースは全てのMMWアプリケーションに一般的に応用可能であるが、Kバンド(18−27GHz)、Kaバンド(27−40GHz)、Vバンド(40−75GHz)、Wバンド(75−110GHz)及びミリバンド(110−300GHz)に特に応用可能である。増幅チップを単一のサブモジュール上に配置すると、増幅器の数、即ち出力パワーを放射素子数から分離することができる。放射面から増幅チップを離して配置すると、ヒートシンクからバックプレーンに向けての大きな熱断面を有する短経路を形成でき、熱を除去できる。効果的に熱管理を行なうことにより、パワーソースを高いデューティサイクルで動作できる。この形態により、高いアンテナ利得と結合された高い出力パワーを生成でき、以前にはジャイロトロンにのみ達成できた大電力アパーチャー製品を製造できる。増幅チップはよりパワフルになり、その形態によりより少ないチップを使用可能となる。
【0014】
図2aないし図2cを参照すると、モジュラー・ソリッドステートMMWパワーソース20は、RF入力信号24をR個の増幅RF信号26に分割及び増幅する単一のサブモジュールを含んでいる。サブモジュールはヒートシンク28の表面にマウントされ、ヒートシンク28は冷却バックプレーン30に適切に結合されていて、サブモジュールからの熱を除去する。R個の1:N低ロスパワーディバイダ32は、増幅RF信号26をR*N個の放射素子34に導き、R*N個の放射素子34は空間的に結合された増幅RF出力信号36を生成する。サブモジュール22は適切にX−Y面にあるヒートシンク28の一般的なプレーナ表面にマウントされ得る。R個の1:Nパワーディバイダ32の各々は、X−Z面に適切に位置されており、Y方向に積み重ねられて、Y−Z面にR*N個の放射素子34のプレーナ出力を提供する。
【0015】
サブモジュール22は、入力アンテナ42を支持する一般的にプレーナである基板40、ソリッドステート前段増幅チップ44、少なくとも1つの増幅ステージ46及びR個の出力アンテナ48を含みうる。第1のパワー増幅ステージ46は、入力が前段増幅チップを介して入力アンテナに結合された1:M1パワーディバイダ50、それぞれソリッドステート増幅チップ54を含む複数のM1回路装置52、及び出力がR個の出力アンテナに結合されたM1個の1:M2パワーディバイダ56を含んでいる。M1、M2は整数であり、代表的には2の冪乗である。M1或いはM2の少なくとも1つは、1より大きな整数である。Rは1より大きな整数であり、代表的には2の冪乗である。単一のステージに対して、R=M1*M2であり、装置の数D=M1である。サブモジュールは第1ステージとR出力アンテナ間に第2のパワー増幅ステージを含んでもよく、この第2のパワー増幅ステージはM1*M2個の回路装置と、出力がR出力アンテナの1つに結合されたM1*M2個の1:M3パワーディバイダとを含んでいる。M3は整数であり、代表的には2の冪乗である。2ステージサブモジュールに対して、R=M1*M2*M3であり、D=M1+(M1*M2)である。
【0016】
パワーディバイダ50、56は、RF信号を導電性送信路に沿って導くストリップラインである。ストリップラインは、導電性グランド面上の基板表面に導電性トレースをプリントすることにより形成されてもよい。ストリップラインは、製造が容易で低コストであり、ソリッドステート増幅チップに容易に結合できる。入力アンテナ42は基板上にプリントされ得り、導波管からのRF入力信号24を受信して、その信号をストリップラインパワーディバイダ50の入力に結合するように構成されている。R個の出力アンテナ48は、基板上にプリントされ得り、ストリップラインパワーディバイダ56のそれぞれの出力から増幅RF信号26を受信して、その信号をそれぞれの導波管に結合するように構成されている。
【0017】
ヒートシンク28を設けると、回路装置52、特にソリッドステート増幅チップ54からバックプレーン30までの、大きな断面62を有する短熱経路60を形成でき、熱を除去できる。増幅チップ54は、基板の表面にマウントされるか、基板のホールを介してヒートシンクの表面にダイレクトにマウントされ得る。短熱経路60は、増幅チップを放射素子34の面から空間的に離したことの結果生じる。大きな断面62は、単一のサブモジュール22を有する結果生じる。増幅チップを密集したアレイに詰め込むよりもむしろ、チップはヒートシンクのプレーナ表面にマウントされる。ヒートシンク28は、Z方向の出力パワーディバイダ32の厚みの約半分の厚みを有する。厚みと体積が増加すると、熱を除去するためのより大きな断面を得ることができる。ヒートシンクは、例えば固体金属或いは熱分解グラファイト(thermal pyrolytic graphite TPG)から形成される大きな導電性を有するブロックであり得る。代わりに、ヒートシンクの厚みにより、流体冷却剤を循環するように経路を形成できる。フィードスルー63はDCバイアス信号をサブモジュールに導く。
【0018】
熱管理は、ヒートシンク28を冷たいバックプレーン30に結合することにより改善される。モジュールは、バックプレーン無で単にヒートシンクから熱を放射するように構成できる。しかしながら、冷たいバックプレーンは熱をヒートシンクから奪い、その結果全体的な熱伝導を改善する。バックプレーンは異なる方法で冷たくすることもできる。熱は積極的に或いは活発にバックプレーンから除去され、その温度を低下させる。代わりに、ヒートシンクの経路に介して流体の冷却剤を循環させるシステムを設けてもよい。バックプレーン30はRF入力信号をサブモジュール上の入力アンテナに結合する手段と、DCパワーをサブモジュールに導く手段を提供する。
【0019】
R1:Nパワーディバイダ32は、増幅信号26をフリースペース送信経路に沿って導く適切な導波管である。導波管は製造がより難しいが、ストリップラインよりより少ないロスを有し、dBで測定して10以上のファクタ少ない。増幅チップ54以降の送信経路は2つの理由から低ロスであることが重要である。第1に、低ロスは、パワーソースの全体効率を維持するために必要とされ、第2に、低ロスは、積み重ねられたパワーディバイダで発生する熱を最小に維持するのに必要とされる。パワーディバイダ32で発生する熱を除去するには、経路長が長く、断面が小さいことが必要である。記述されている実施態様では、パワーディバイダに追加のヒートシンクは設けられていない。パワーディバイダはMMW動作波長によって規定されるように接近していて離隔されている必要がある。
【0020】
図3aないし図3cを参照すると、放射素子の面から離れてサブモジュールを配置することにより、回路装置の数、特に増幅チップの数を、R*N個の放射素子から分離できる。回路装置の数、配置及び機能は、パワー増幅ステージ例えば1または2の数および各ステージのパワーディバイダの構成を選択することにより制御される。この形態により、種々のデザインゴールに適応させるのに十分なフレキシビリティが得られる。第1に、モジュールは出力ビームに対してトータルパワーの特定の量を提供できるように構成され、トールパワーの最大量を必ずしも提供する必要はない。第2に、モジュールは、チップテクノロジーの電流状態、即ちチップ当たり最大パワーを与えられる増幅チップの最小数で特定のトータルパワーを提供するように構成され、コストを最小化することができる。第3に、チップは最大パワー及び最大効率で動作され、全体の効率を維持する。以前の形態とは違い、回路装置の数は、最大トータルパワーよりより少ないパワーに縮小され、各装置は最大効率で動作する。更に、各装置のパワー出力能力は向上するので、回路装置の数は、同じトータルパワーを得るためには減少する。
【0021】
図3aを参照すると、図2a−2cに示されたサブモジュール22は、基板40上に形成された入力アンテナ42、前段増幅チップ44、単一の増幅ステージ46及びR出力アンテナ48を含んでいる。増幅ステージは、1:8ストリップラインパワーディバイダ50、それぞれ増幅チップ54を有する8個の回路装置52、及び8個の1:1ストリップラインディバイダ56を含んでいる。パワーディバイダ50は、前段増幅チップ44を介して入力アンテナ42に結合されたストリップライン入力70と、RF信号をそれぞれ回路装置に結合された8個のストリップライン出力74を含んでいる。各パワーディバイダ56は、ストリップライン入力76、ストリップライン送信経路78、及びストリップライン出力80を含み、増幅RF信号を回路装置52からその出力アンテナ48へ導く。
【0022】
この構成において、M1=8、M2=1、R=M1*M2=8である。回路装置のトータル数は、前段増幅器を無視すると、D=M1=8である。図2bに示されているように、各増幅RF信号26は、8*8=64個の放射素子の全体に対する1:8導波管パワーディバイダ32に結合されている。こうして、8個の回路装置、即ち8個の増幅チップは、64個の放射素子アレイにパワーを送る。トータルパワー要求がより低下し、或いは増幅チップの出力パワーが増加すると、回路装置の数を減少できる。例えば、パワーディバイダ50が1:4で、パワーディバイダ56が1:2であると、4個のみの増幅チップが使用される。単一の増幅ステージを有するサブモジュールにおける回路装置の最大数Dは、Rであり、最少数は1である。
【0023】
追加のパワー或いは機能が必要とされるなら、サブモジュールを第1と第2の増幅ステージで構成してもよい。この場合、回路装置の最大数Dは、2*Rとなる。2つの増幅ステージを設けると、第1と第2のステージの回路装置の機能性を変更するフレキシビリティが得られる。各回路装置は増幅チップを含んでいるが、図4を参照して以下に説明されるように他の回路素子を含み得る。
【0024】
図3bを参照すると、サブモジュール90は、第1と第2のパワー増幅ステージ92、94を含んでいて、入力アンテナ96で受信したRF信号を分割して増幅し、ストリップライン送信経路に沿って、それをR=8個の出力アンテナ98に導く。第1のパワー増幅ステージ92は、1:2ストリップラインパワーディバイダ100と、1対の回路装置102と、M1=2及びM2=2の1対の1:2ストリップラインパワーディバイダ104とを含んでいる。第2のパワー増幅ステージ94は、4個の回路装置106と、M3=2である4個の1:2ストリップラインパワーディバイダ108とを含んでいる。この構成において、M1=2、M2=2、M3=2、R=8である。回路装置のトータル数Dは、D=M1+(M1*M2)=6である。
【0025】
図3cを参照すると、サブモジュール110は、第1と第2のパワー増幅ステージ112、114を含んでいて、入力アンテナ116で受信したRF信号を分割して増幅し、ストリップライン送信経路に沿って、それをR=8個の出力アンテナ118に導く。第1のパワー増幅ステージ112は、1:2ストリップラインパワーディバイダ120と、1対の回路装置122と、M1=2及びM2=4の1対の1:4ストリップラインパワーディバイダ124とを含んでいる。第2のパワー増幅ステージ114は、8個の回路装置126と、M3=1である8個の1:1ストリップラインパワーディバイダ128とを含んでいる。この構成において、M1=2、M2=4、M3=1、R=8である。回路装置のトータル数Dは、D=M1+(M1*M2)=10である。
【0026】
各サブモジュールはまた、制御回路130により示された他の回路を含みうる。制御回路130を設けると、信号により回路装置内の位相シフター及び/または振幅調節器を制御できる。制御回路130はマイクロプロセッサまたは他のプロセッサを含み、外部からパワーソースモジュールへのインストラクションを受信して、制御信号を生成する。制御回路130は、外部からパワーソースモジュールへのDCパワー信号を調節して、その信号を配分し、回路装置にパワーを与える。
【0027】
図4を参照すると、各回路装置132はRF入力信号を対応するバンドを増幅するソリッドステート増幅チップ134を含んでいる。増幅チップは、高周波装置の当業者には周知の高エレクトロンモビリティトランジスタ(HEMT)を含んでおり、特にWバンドのMMW RF信号を増幅する。窒化ガリウム(GaN)、ガリウム砒素(GaAs)とインジウムリン(InP)テクノロジーは、HEMT装置の例である。GaNチップは、シリカカーバイドから形成されたベース層を含んでいる。この層は電気絶縁体であり熱導電体である。他のテクノロジーを用いた増幅チップもまた、同様のベース層の組成を示す。HEMTチップは効果的に熱を除去するヒートシンクに直接マウント可能である。増幅チップの実施態様は、2008年1月6日に出願された”ミリメータ波のモノリシック集積回路とそのような集積回路を形成する方法”という同時継続の米国出願12/266,299に記述されていて、その内容は参考としてこの出願に取り込まれる。増幅ステージの各トランジスタはHEMTである。
【0028】
各回路装置132はまた他の回路素子を含みうる。装置は振幅アジャスタ136、位相シフター138或いはサーキュレータ140を含みうる。各回路装置は、図4には示されていないが、1以上のRFスイッチ、サーキュレータ及び低ノイズ増幅器を含みうり、その場合パワーソースモジュールはパワーソースのみなら受信機として機能する能力を持ちうる。振幅アジャスタ136は可変減衰器、増幅器134内或いは追加の可変利得増幅ステージ、或いはその他の利得調整装置でありうる。増幅アジャスタ136、位相シフター138及び増幅器134は、独立の装置或いはコンポーネントでありえ、或いはそれらで完成し得、或いは1以上のモノリシックマイクロウエーブ集積回路に搭載されうる。サブモジュール上の複数の回路装置は、同一でありえて、異なっていてもよい。他の実施形態では、回路装置は増幅チップを含まなくともよく、RF信号を変更するために振幅アジャスタ或いは位相シフターのみを含んでいてもよい。
【0029】
図3cに示されたサブモジュール110の形態を有するサブモジュール150が図5a、図5bに詳細に示されている。サブモジュール150は、平行は前面と背面を有する一般に長方形の絶縁基板152を含んでいる。絶縁基板152は、パワーソースモジュールの動作周波数での使用に適しているアルミナ、べりリア、窒化アルミニウム、或いは他の絶縁体から作りうる。絶縁基板152は、積層物でもよく、背面に向けて導電性の接地平面を含みうる。
【0030】
サブモジュール150は基板の前面にプリントされた導電トレースから形成された、入力アンテナ154と8個の出力アンテナ156を含んでいる。このような実施では、アンテナは1/4円或いは半分のビバルディ(Vivaldi)アンテナである。入力アンテナ154は導波管からのフリースペースRF信号をストリップラインに結合する。反対に、出力アンテナ156は、ストリップラインに伝播してきたRF信号をフリースペース導波管に結合する。
【0031】
サブモジュール150は第1の増幅ステージと第2の増幅ステージとを含み、第1の増幅ステージは1:2パワーディバイダ158と、このパワーディバイダ158に結合された位相シフター159と、この位相シフター159に結合された入力アンテナ154と、一対の増幅チップと、一対の1:4パワーディバイダ162とを含み、第2の増幅ステージは8個の増幅チップ164と、8個の出力アンテナに結合された8個の1:1パワーディバイダ166とを含む。パワーディバイダは基板の前面にプリントされた導電性トレースから形成される。絶縁基板により導電性バックプレーンから離隔された複数のトレースはそれぞれストリップラインを規定する。RF信号は基板を横切って導電性トレースに進み、パワーディバイダによってほぼ等しい信号に分割される。
【0032】
増幅チップ160、164は、基板152に設けられた長方形のオープニング168、170それぞれに位置づけられており、下にあるヒートシンクの表面に直接マウントされている。図5bに示されるように、ジャンパーワイヤー(ワイヤーボンディング)172、173を設けると、チップ上の入力パッド174とパワーディバイダの端部の出力パッド176間を電気的にコンタクトできる。ジャンパーワイヤー(ワイヤーボンディング)178、179を設けると、チップ上の出力パッド180と次のパワーディバイダへの入力点の入力パッド182間を電気的にコンタクトできる。RF信号に対して、入力と出力に3個のジャンパーワイヤーが存在する。中央のジャンパーワイヤー172、178はRF経路を接続し、2つの外側のジャンパーワイヤー173、179は接地される。基板上の接地パッドは基板の接地平面にバイアス接続されている。ワイヤーボンド181はドレイン電圧をチップに与え、ワイヤーボンド181はゲート電圧をチップに与えている。
【0033】
DCパワーがパッド190においてサブモジュール150に与えられている。DCパワーはフィルター192により調節される。導電性経路194はドレイン電圧を増幅チップ164に導く。追加の導電性経路196はDCパワーを充電ポンプ198に送り、充電ポンプ198はDCパワーの極性を反転し、それを増幅チップ164のゲートに対する適切な電圧レベルに変換する。充電ポンプ198からの出力はフィルター200により調整されて、導電性経路202を介して各増幅チップのゲートに送られる。
【0034】
図6a、図6bを参照すると、ヒートシンク250は、熱伝導物質から形成されたブロックであって、かつ流動性の冷媒256を循環する通路254が設けられたブロック252を含んでいる。増幅チップにより生成された熱は、ブロック物質を介して流動性の冷媒に送られ、バックプレーンから除去される。冷媒流体は例えばガス或いは液体である。図6bでは、通路254は単一の循環オープニングとして示されているが、通路はフィン、翼、柱及び他の構造を含みうる。そのような構造を採用すると、流れている冷媒に晒される表面積が増加し、及び/または冷媒の乱れを増加させて金属構造から冷媒への熱移動の効率を改善できる。ブロック252の厚み、即ち放射素子アレイのZ寸法の約1/2の厚みは、冷媒を循環するためにそのような通路を設けるのに十分である。
【0035】
図7a、図7bは、X−Z平面にある1:8導波管パワーディバイダ300の断面図と、8個の導波管パワーディバイダ300をY方向に積み重ねることにより形成されるY−Z平面にあるフリースペース放射素子302の8x8アレイの斜視図である。各導波管パワーディバイダ300は、フリースペース入力304、複数(N=8)のフリースペース伝達経路306、及びブロック物質308に放射素子302を設けるN個のフリースペース出力とを含んでいる。フリースペース入力、伝達経路及び出力は、ブロック308の導電性壁310で囲まれており、これによりフリースペース導波管が規定される。ブロック308は、アルミニウムのような導電性物質から形成されてもよいし、或いはプラスチックのような非導電性物質から形成されかつ金のような導電性物質をメッキしてもよい。フリースペース導波管のdBでのロスは、ストリップライン導波管のロスよりも単位長当たり実質的により小さく、10以上のファクタであり、例えば0.3dB対3dBである。
【0036】
フリースペース放射素子アレイ302はY−Z平面にある。放射素子のコラム間における中心対中心のスペースはλyであり、λはパワーソースモジュールの動作周波数であり、yは0.5から1.0の間の定数である。素子の隣接コラム間のスペースは名目のスペースλyに等しいか、許容誤差だけ名目のスペースからはずれ得る。許容誤差は±λ/10或いはある他の許容誤差でありうる。定数yは、放射素子の隣接コラム間のスペースが0.5λから1.0λであるように選ばれる。
【0037】
放射素子のロウ間における中心対中心のスペースはλzであり、λはパワーソースモジュールの動作周波数であり、zは0.5から1.0の間の定数である。素子の隣接ロウ間のスペースは名目のスペースλzに等しいか、許容誤差だけ名目のスペースからはずれ得る。許容誤差は±λ/10或いはある他の許容誤差でありうる。定数zは、放射素子の隣接ロウ間のスペースが0.5λから1.0λであるように選ばれる。定数xとyは等しくても等しくなくてもよい。
【0038】
図8a、図8bは、X−Z平面にある1:4導波管パワーディバイダ320の断面図と、8個の導波管パワーディバイダ320をY方向に積み重ねることにより形成されるY−Z平面にあるフリースペース放射素子322の8x4アレイの斜視図である。Y軸に沿った中心対中心のスペースは上述の例と同じであり、Z軸に沿った中心対中心のスペースは上述の例の2倍であって、放射素子アレイの寸法は等しい。
【0039】
例えば、0.124インチ(95GHz)の動作波長における8x8の放射素子アレイは、0.100インチの中心対中心のスペースと、0.8x0.8インチのトータル寸法を生み出す。このモジュールは、8ワットの空間的に統合したビームを生み出すことが証明された。このモジュールは、増幅チップテクノロジーの進歩としてより大きなパワー、或いはシステムを考慮することにより必要な少ないパワーを生み出すように構成されうる。このモジュールは小さな体積で大きなパワーを生み出す。アレイサイズからトータルパワーを分離して熱問題を効果的に管理することは、モジュラー・ソリッドステートMMWパワーソースに対する空間的なアレイ形態の重要な特徴である。
【0040】
複数のサブモジュール上の複数の放射素子からの放射された波面は空間的に結合されて、振幅、方向或いは他の特性において入力波面とは異なる出力波面(図示せず)を提供する。空間的に結合された出力波面は、フリースペースに放射されるか、或いは出力導波管(図示せず)、導波管ホルン(図示せず)、或いは他の装置に結合される。
【0041】
図9は、共通のバックプレーン404を共有するモジュラー・ソリッドステートMMWパワーソース402の4x4アレイからなるソリッドステートMMWパワーソース400を示している。各モジュラーソース402は8x8の放射素子アレイを有する。パワーソース400は32x32の放射素子アレイを有する。放射素子のたった1つのロウまたはコラムも、隣接して並置されたモジュール間の境界には存在しない。バックプレーン404は、バックプレーンの中心にある単一のポート407でRF入力信号を受信し、それを4x4のRF信号に分けて、それらをそれぞれのモジュールの入力アンテナに導く。バックプレーン404はまた、DCバイアス信号を各モジュールに導くフィードスルー408を含んでいる。バックプレーン406はまた、各モジュールに対するそれぞれのヒートシンクを介して流動性の冷媒を独立に循環する手段を含んでいる。32x32の放射素子により出力される増幅されたRF信号は、空間的に結合されてハイパワー出力ビーム410を形成する。
【0042】
発明のいくつかの図示された実施形態が示され記述されたが、多数の変更及び他の実施態様を当業者は可能である。そのような変更及び他の実施態様が熟考され、添付の請求項に規定された発明の精神及び範囲を逸脱することなく創造可能である。
【符号の説明】
【0043】
10・・・レンズアレイ増幅器、12,14・・・RFビーム、20・・・モジュラー・ソリッドステートMMWパワーソース、22・・・サブモジュール、24・・・RF入力信号、26・・・増幅RF信号、28・・・ヒートシンク、30・・・冷却バックプレーン、32・・・1:N低ロスパワーディバイダ、34・・・放射素子、36…増幅RF出力信号、40・・・基板、42・・・入力アンテナ、44・・・ソリッドステート前段増幅チップ、46・・・増幅ステージ、48・・・出力アンテナ、50・・・1:M1パワーディバイダ、52・・・M1回路装置、54・・・ソリッドステート増幅チップ、56・・・1:M2パワーディバイダ、60・・・短熱経路、62・・・断面、63・・・フィードスルー、70・・・ストリップライン入力、74・・・ストリップライン出力、76・・・ストリップライン入力、78・・・ストリップライン送信経路、80・・・ストリップライン出力、90・・・サブモジュール、92,94・・・第1と第2のパワー増幅ステージ、96・・・入力アンテナ、98・・・出力アンテナ、100・・・1:2ストリップラインパワーディバイダ、102・・・1対の回路装置、104・・・1:2ストリップラインパワーディバイダ、106・・・回路装置、108…1:2ストリップラインパワーディバイダ、110・・・サブモジュール、112、114・・・第1と第2のパワー増幅ステージ、116・・・入力アンテナ、118・・・出力アンテナ、122・・・1:2ストリップラインパワーディバイダ、122・・・1対の回路装置、124・・・1対の1:4ストリップラインパワーディバイダ、126…8個の回路装置、128・・・8個の1:1ストリップラインパワーディバイダ、130・・・制御回路、132・・・回路装置、134・・・ソリッドステート増幅チップ、136・・・振幅アジャスタ、138・・・位相シフター、140・・・サーキュレータ、150・・・サブモジュール、152…絶縁基板、154・・・入力アンテナ、156・・・出力アンテナ、158・・・1:2パワーディバイダ、159…位相シフター、160、164・・・増幅チップ、162・・・一対の1:4パワーディバイダ、164…8個の増幅チップ、166・・・8個の1:1パワーディバイダ、168、170・・・オープニング、172、173・・・ジャンパーワイヤー(ワイヤーボンディング)、174・・・入力パッド、176・・・出力パッド、178、179・・・ジャンパーワイヤー(ワイヤーボンディング)、180・・・出力パッド、181・・・ワイヤーボンド、182・・・入力パッド、190・・・パッド、192・・・フィルター、194・・・導電性経路、196・・・追加の導電性経路、198・・・充電ポンプ、200・・・フィルター、202・・・導電性経路、250・・・ヒートシンク、252・・・ブロック、254・・・通路、256・・・流動性の冷媒、300・・・1:8導波管パワーディバイダ、302・・・フリースペース放射素子、304・・・フリースペース入力、306・・・フリースペース伝達経路、308・・・ブロック物質、310・・・導電性壁、320・・・1:4導波管パワーディバイダ、322・・・フリースペース放射素子、402・・・モジュラー・ソリッドステートMMWパワーソース、404、406・・・バックプレーン、408・・・フィードスルー、410・・・ハイパワー出力ビーム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミリメータ波(MMW)パワーソースモジュールであって、
X−Y平面に方向付けられた表面を有するヒートシンクと、
前記ヒートシンクの表面上にあるサブモジュールと、を含み、
前記サブモジュールは、
基板と、
導波管からのRF入力信号を受信し、ストリップラインの前記RF入力信号を結合する入力アンテナと、
それぞれのストリップラインからのRF入力信号を受信し、前記複数のRF入力信号をそれぞれの導波管に結合するR個の出力アンテナと、
第1のパワー増幅ステージとを含み、
前記第1のパワー増幅ステージは、
1:M1(M1は整数)ストリップラインパワーディバイダであり、前記パワーディバイダは前記入力アンテナからの前記RF入力信号を受信して、前記RF入力信号をM1個の導電性伝達経路に沿ってM1個の出力に導くように結合されている1つの入力を有する、前記1:M1ストリップラインパワーディバイダと、
M1個の回路装置であって、各回路装置は、M1個の出力と、前記RF入力信号を増幅する第1ステージのソリッドステート増幅チップと、回路出力との対応する1つに結合された入力を有する、前記M1個の回路装置と、
M1個の1:M2(M2は整数、M1またはM2の少なくとも1つは1より大きい整数)ストリップラインパワーディバイダであり、各1:M2ストリップラインパワーディバイダは、前記増幅されたRF入力信号を受信して、前記増幅されたRF入力信号をM2個の導電性伝達経路に沿って、前記R個の出力アンテナの1つに結合されたM2個の出力に導くための1つの前記回路出力に結合された1つの入力を有する、前記M1個の1:M2ストリップラインパワーディバイダとを含み、
前記ミリメータ波(MMW)パワーソースモジュールは更に、
R個の1:N(Nは1より大きな整数)導波管パワーディバイダであって、各導波管パワーディバイダは、前記サブモジュールのR個の出力アンテナの1つからのフリースペースRF入力信号を受信して、前記増幅されたRF入力信号をN個のフリースペース伝達経路に沿って、N個のフリースペース放射素子に導くように結合された1つのフリースペース入力を有し、各前記導波管パワーディバイダはX−Z平面にあり、Y方向に積層されていて、Y−Z平面のR*N個の放射素子のプレーナ出力を提供する、前記R個の1:N導波管パワーディバイダを含む、MMWパワーソースモジュール。
【請求項2】
前記ヒートシンクは、Z方向の寸法において前記導波管パワーディバイダの厚みの半分にほぼ等しい厚みを有する請求項1に記載のMMWパワーソースモジュール。
【請求項3】
前記R個の1:N導波管パワーディバイダの反対の側のヒートシンクと熱コンタクトするバックプレーンを更に有する請求項1に記載のMMWパワーソースモジュール。
【請求項4】
前記ヒートシンクは流動性の冷媒を循環する通路を有する請求項1に記載のMMWパワーソースモジュール。
【請求項5】
前記入力アンテナとR個の出力アンテナは前記基板にプリントされている請求項1に記載のMMWパワーソースモジュール。
【請求項6】
前記増幅チップは前記RF入力を18GHzから300GHzスペクトラムの部分を占めるバンドに増幅する請求項1に記載のMMWパワーソースモジュール。
【請求項7】
前記増幅チップは前記RF入力を75−110GHzスペクトラムの部分を占めるWバンドに増幅する請求項1に記載のMMWパワーソースモジュール。
【請求項8】
前記増幅チップは窒化ガリウム装置である請求項1に記載のMMWパワーソースモジュール。
【請求項9】
前記増幅チップは電気的に絶縁体で熱的に導伝体であるベース層を含み、前記基板は前記増幅チップのベース層をヒートシンクに直接マウントするホールを有している請求項1に記載のMMWパワーソースモジュール。
【請求項10】
前記モジュールは複数の同様のモジュールを並置してモジュールアレイを提供するように構成され、
前記モジュールアレイの放射素子は、Y軸上でほぼλyに等しく、Z軸上でほぼλzに等しい隣接グリッド点間にスペースを有するY−Z平面内の直線で囲まれたグリッド上に配置され、ここでλはミリメータ波パワーソースモジュールの動作周波数であり、yとzは0.5から1.0の範囲で選択された定数であり、
放射素子のたった1つのロウまたはコラムも、隣接して並置されたモジュール間の境界には存在しない請求項1に記載のMMWパワーソースモジュール。
【請求項11】
前記サブモジュールは前記第1のパワー増幅ステージとR個の出力アンテナとの間の第2のパワー増幅ステージを更に含み、
M1*M2回路装置であって、各回路装置は前記M1個の1:M2パワーディバイダと、前記RF入力信号を増幅する第2のステージのソリッドステート増幅チップと、回路出力との内の対応した1つの出力に結合された入力を有する、前記M1*M2回路装置と、
M1*M2個の1:M3(M3は1以上の整数)パワーディバイダであって、各1:M3パワーディバイダは、前記増幅RF入力信号と前記R個の出力アンテナの1つに結合されたM3出力とを受信するための回路出力に結合された1つの入力を有する、前記M1*M2個の1:M3パワーディバイダと、を含む請求項1に記載のMMWパワーソースモジュール。
【請求項12】
前記積層されたR個の1:N導波管パワーディバイダは、導電性ブロックを規定して、前記フリースペース入力と、伝達経路と、複数の出力は前記増幅RF信号を導く導電性壁を有する請求項1に記載のMMWパワーソースモジュール。
【請求項13】
前記フリースペース放射素子は前記フリースペース伝達経路の解放端である請求項1に記載のMMWパワーソースモジュール。
【請求項14】
前記導波管パワーディバイダの単位長当たりのロスは、前記ストリップラインパワーディバイダの単位長当たりのロスより少なくとも10dBのファクタ少ない請求項1に記載のMMWパワーソースモジュール。
【請求項15】
前記RxN個の放射素子は、隣接する対の放射素子間のスペースがY軸上でλyにほぼ等しく、Z軸上でλzにほぼ等しいように、Y−Z平面に直線で囲まれたグリッド上に配置されていて、λはミリメータ波パワーソースモジュールの動作周波数であり、yとzは0.5から1.0の範囲で選択された定数である請求項1に記載のMMWパワーソースモジュール。
【請求項16】
Y−Zグリッドに沿って測定されたミリメータ波パワーソースモジュールの全体の寸法は、RλyにNλzを乗じたもの、或いはRλyに(N+1)λzを乗じたものである請求項15に記載のMMWパワーソースモジュール。
【請求項17】
ミリメータ波(MMW)パワーソースモジュールであって、
ヒートシンクと、
前記ヒートシンクの表面上にあるサブモジュールと、を含み、
前記サブモジュールは、
基板と、
入力アンテナと、
R個の出力アンテナと、
第1のパワー増幅ステージとを含み、
前記第1のパワー増幅ステージは、
前記パワーディバイダは前記入力アンテナからの前記RF入力信号を受信して、前記RF入力信号をM1個の出力に導くように結合されている1つの入力を有する1:M1(M1は1以上の整数)パワーディバイダと、
M1個の回路装置であって、各回路装置は、M1個の出力と、前記RF入力信号を増幅する第1ステージのソリッドステート増幅チップと、及び回路出力の対応する1つに結合された入力を有する、前記M1個の回路装置と、
M1個の1:M2(M2は1以上の整数、M1またはM2の少なくとも1つは1より大きい整数)パワーディバイダであり、各1:M2パワーディバイダは、前記増幅されたRF入力信号を受信して、前記増幅されたRF入力信号を前記R個の出力アンテナの1つに結合されたM2個の出力に導くための1つの前記回路出力に結合された1つの入力を有する、前記M1個の1:M2パワーディバイダとを含み、
前記ミリメータ波(MMW)パワーソースモジュールは更に、
R個の1:N(Nは1より大きな整数)パワーディバイダであって、各パワーディバイダは、前記サブモジュールのR個の出力アンテナの1つからの前記RF入力信号を受信して、前記増幅されたRF入力信号をN個の放射素子に導くように結合された1つの入力を有する、前記R個の1:N導波管パワーディバイダを含む、MMWパワーソースモジュール。
【請求項18】
前記サブモジュールのパワーディバイダはストリップラインを含み、前記R個の1:Nパワーディバイダはフリースペース導波管を含む請求項17に記載のMMWパワーソースモジュール。
【請求項1】
ミリメータ波(MMW)パワーソースモジュールであって、
X−Y平面に方向付けられた表面を有するヒートシンクと、
前記ヒートシンクの表面上にあるサブモジュールと、を含み、
前記サブモジュールは、
基板と、
導波管からのRF入力信号を受信し、ストリップラインの前記RF入力信号を結合する入力アンテナと、
それぞれのストリップラインからのRF入力信号を受信し、前記複数のRF入力信号をそれぞれの導波管に結合するR個の出力アンテナと、
第1のパワー増幅ステージとを含み、
前記第1のパワー増幅ステージは、
1:M1(M1は整数)ストリップラインパワーディバイダであり、前記パワーディバイダは前記入力アンテナからの前記RF入力信号を受信して、前記RF入力信号をM1個の導電性伝達経路に沿ってM1個の出力に導くように結合されている1つの入力を有する、前記1:M1ストリップラインパワーディバイダと、
M1個の回路装置であって、各回路装置は、M1個の出力と、前記RF入力信号を増幅する第1ステージのソリッドステート増幅チップと、回路出力との対応する1つに結合された入力を有する、前記M1個の回路装置と、
M1個の1:M2(M2は整数、M1またはM2の少なくとも1つは1より大きい整数)ストリップラインパワーディバイダであり、各1:M2ストリップラインパワーディバイダは、前記増幅されたRF入力信号を受信して、前記増幅されたRF入力信号をM2個の導電性伝達経路に沿って、前記R個の出力アンテナの1つに結合されたM2個の出力に導くための1つの前記回路出力に結合された1つの入力を有する、前記M1個の1:M2ストリップラインパワーディバイダとを含み、
前記ミリメータ波(MMW)パワーソースモジュールは更に、
R個の1:N(Nは1より大きな整数)導波管パワーディバイダであって、各導波管パワーディバイダは、前記サブモジュールのR個の出力アンテナの1つからのフリースペースRF入力信号を受信して、前記増幅されたRF入力信号をN個のフリースペース伝達経路に沿って、N個のフリースペース放射素子に導くように結合された1つのフリースペース入力を有し、各前記導波管パワーディバイダはX−Z平面にあり、Y方向に積層されていて、Y−Z平面のR*N個の放射素子のプレーナ出力を提供する、前記R個の1:N導波管パワーディバイダを含む、MMWパワーソースモジュール。
【請求項2】
前記ヒートシンクは、Z方向の寸法において前記導波管パワーディバイダの厚みの半分にほぼ等しい厚みを有する請求項1に記載のMMWパワーソースモジュール。
【請求項3】
前記R個の1:N導波管パワーディバイダの反対の側のヒートシンクと熱コンタクトするバックプレーンを更に有する請求項1に記載のMMWパワーソースモジュール。
【請求項4】
前記ヒートシンクは流動性の冷媒を循環する通路を有する請求項1に記載のMMWパワーソースモジュール。
【請求項5】
前記入力アンテナとR個の出力アンテナは前記基板にプリントされている請求項1に記載のMMWパワーソースモジュール。
【請求項6】
前記増幅チップは前記RF入力を18GHzから300GHzスペクトラムの部分を占めるバンドに増幅する請求項1に記載のMMWパワーソースモジュール。
【請求項7】
前記増幅チップは前記RF入力を75−110GHzスペクトラムの部分を占めるWバンドに増幅する請求項1に記載のMMWパワーソースモジュール。
【請求項8】
前記増幅チップは窒化ガリウム装置である請求項1に記載のMMWパワーソースモジュール。
【請求項9】
前記増幅チップは電気的に絶縁体で熱的に導伝体であるベース層を含み、前記基板は前記増幅チップのベース層をヒートシンクに直接マウントするホールを有している請求項1に記載のMMWパワーソースモジュール。
【請求項10】
前記モジュールは複数の同様のモジュールを並置してモジュールアレイを提供するように構成され、
前記モジュールアレイの放射素子は、Y軸上でほぼλyに等しく、Z軸上でほぼλzに等しい隣接グリッド点間にスペースを有するY−Z平面内の直線で囲まれたグリッド上に配置され、ここでλはミリメータ波パワーソースモジュールの動作周波数であり、yとzは0.5から1.0の範囲で選択された定数であり、
放射素子のたった1つのロウまたはコラムも、隣接して並置されたモジュール間の境界には存在しない請求項1に記載のMMWパワーソースモジュール。
【請求項11】
前記サブモジュールは前記第1のパワー増幅ステージとR個の出力アンテナとの間の第2のパワー増幅ステージを更に含み、
M1*M2回路装置であって、各回路装置は前記M1個の1:M2パワーディバイダと、前記RF入力信号を増幅する第2のステージのソリッドステート増幅チップと、回路出力との内の対応した1つの出力に結合された入力を有する、前記M1*M2回路装置と、
M1*M2個の1:M3(M3は1以上の整数)パワーディバイダであって、各1:M3パワーディバイダは、前記増幅RF入力信号と前記R個の出力アンテナの1つに結合されたM3出力とを受信するための回路出力に結合された1つの入力を有する、前記M1*M2個の1:M3パワーディバイダと、を含む請求項1に記載のMMWパワーソースモジュール。
【請求項12】
前記積層されたR個の1:N導波管パワーディバイダは、導電性ブロックを規定して、前記フリースペース入力と、伝達経路と、複数の出力は前記増幅RF信号を導く導電性壁を有する請求項1に記載のMMWパワーソースモジュール。
【請求項13】
前記フリースペース放射素子は前記フリースペース伝達経路の解放端である請求項1に記載のMMWパワーソースモジュール。
【請求項14】
前記導波管パワーディバイダの単位長当たりのロスは、前記ストリップラインパワーディバイダの単位長当たりのロスより少なくとも10dBのファクタ少ない請求項1に記載のMMWパワーソースモジュール。
【請求項15】
前記RxN個の放射素子は、隣接する対の放射素子間のスペースがY軸上でλyにほぼ等しく、Z軸上でλzにほぼ等しいように、Y−Z平面に直線で囲まれたグリッド上に配置されていて、λはミリメータ波パワーソースモジュールの動作周波数であり、yとzは0.5から1.0の範囲で選択された定数である請求項1に記載のMMWパワーソースモジュール。
【請求項16】
Y−Zグリッドに沿って測定されたミリメータ波パワーソースモジュールの全体の寸法は、RλyにNλzを乗じたもの、或いはRλyに(N+1)λzを乗じたものである請求項15に記載のMMWパワーソースモジュール。
【請求項17】
ミリメータ波(MMW)パワーソースモジュールであって、
ヒートシンクと、
前記ヒートシンクの表面上にあるサブモジュールと、を含み、
前記サブモジュールは、
基板と、
入力アンテナと、
R個の出力アンテナと、
第1のパワー増幅ステージとを含み、
前記第1のパワー増幅ステージは、
前記パワーディバイダは前記入力アンテナからの前記RF入力信号を受信して、前記RF入力信号をM1個の出力に導くように結合されている1つの入力を有する1:M1(M1は1以上の整数)パワーディバイダと、
M1個の回路装置であって、各回路装置は、M1個の出力と、前記RF入力信号を増幅する第1ステージのソリッドステート増幅チップと、及び回路出力の対応する1つに結合された入力を有する、前記M1個の回路装置と、
M1個の1:M2(M2は1以上の整数、M1またはM2の少なくとも1つは1より大きい整数)パワーディバイダであり、各1:M2パワーディバイダは、前記増幅されたRF入力信号を受信して、前記増幅されたRF入力信号を前記R個の出力アンテナの1つに結合されたM2個の出力に導くための1つの前記回路出力に結合された1つの入力を有する、前記M1個の1:M2パワーディバイダとを含み、
前記ミリメータ波(MMW)パワーソースモジュールは更に、
R個の1:N(Nは1より大きな整数)パワーディバイダであって、各パワーディバイダは、前記サブモジュールのR個の出力アンテナの1つからの前記RF入力信号を受信して、前記増幅されたRF入力信号をN個の放射素子に導くように結合された1つの入力を有する、前記R個の1:N導波管パワーディバイダを含む、MMWパワーソースモジュール。
【請求項18】
前記サブモジュールのパワーディバイダはストリップラインを含み、前記R個の1:Nパワーディバイダはフリースペース導波管を含む請求項17に記載のMMWパワーソースモジュール。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【公表番号】特表2011−530958(P2011−530958A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523029(P2011−523029)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/051292
【国際公開番号】WO2010/019355
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(503455363)レイセオン カンパニー (244)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/051292
【国際公開番号】WO2010/019355
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(503455363)レイセオン カンパニー (244)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]