説明

モータ及びディスク駆動用モータ

【課題】接着剤の硬化不良に起因する有害ガスの発生がなく、軸受が定位置に適切に接着固定された高品質のモータを提供する。
【解決手段】一端が封止されると共に他端開口部からロータ軸21の一端部が突出される軸受12を備え、その軸受12が接着剤16により軸受保持部11aに嵌合状態で接着固定されたモータである。接着剤16は軸受12の軸方向で分離された第1接着剤16aと第2接着剤16bから成る。軸受12と軸受保持部11aとの嵌合部Fでは、軸受12の封止側の一端部外周に第1接着剤16aと第2接着剤16bとを分離するための環状溝12aが形成される。その環状溝12aより軸受12の開口側で該軸受が軸受保持部11aに第1接着剤16aで接着固定される一方、環状溝12aより軸受12の封止側で該軸受が軸受保持部11aに第2接着剤16bで接着固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種装置の駆動源として用いられるモータ、特にハードディスク、CD、CD−ROM、又はDVDといったディスクを回転させるためのディスク駆動用モータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハードディスク駆動装置(HDD)をはじめとする各種装置の小型、薄型化に伴い、駆動源としてのモータも小型、薄型化が要求されている。モータ性能を損なわず、その小型化を図る上では高度な組立技術が必要不可欠であるが、その一つにモータ構成部材を接着剤にて接着固定することが行われている。尚、接着剤としては、紫外線硬化型嫌気性接着剤が多用される。
【0003】
例えば、図7において、ロータ軸Rsを回転自在に支持する軸受Beは、その封止側(シール板Spが装着される側)からベースフレームBfの筒状部cy内に嵌合され、その嵌合部Fにて接着剤AによりベースフレームBfに接着固定される。
【0004】
これによれば、軸受Beをラジアル方向に圧縮させることなく組み付けられるので、ロータ軸Rsの回転性能が損なわれず、しかも接着剤Aを硬化させるだけで軸受Beの固定ができるので生産性が上がるという利点がある。
【0005】
しかし、軸受Beを接着固定するときには、軸受Beの外周面や筒状部cyの内周面に接着剤Aを塗布し、その状態で筒状部cy内に軸受Beを嵌め込むので、図8のように接着剤Aの多くが軸受Beにより扱かれて嵌合部Fの外側に押し出される。ここに、接着剤Aとして紫外線硬化型嫌気性接着剤が用いられる場合、嵌合部F内に残された接着剤Aは空気遮断された状態で良好に硬化するが、接着剤の食み出し部分Aoは外気に晒されるので硬化せず、紫外線を照射しても内部深くまで紫外線が達しないので、その部分が未硬化状態のまま残存することになる。そして、未硬化の食み出し部分Aoは、ディスクを腐食させるなどの有害なガスを発生する場合があるので、ディスク駆動用モータにして情報の記録再生が行えなくなることが危惧されている。
【0006】
尚、紫外線硬化型嫌気性接着剤にも熱硬化性を有するものがあるとされるが、その種の接着剤は純粋な熱硬化性接着剤に比べて硬化状態は同等でなく、実際は食み出し部分Aoの表面こそ硬化するも、内部には未硬化部分が残存する虞がある。
【0007】
接着剤の硬化不良を無くするには、その食み出し部分Aoを無くせばよいが、接着剤の食み出し部分Aoを無くするよう接着剤の塗布量を調整することは至極困難であるし、接着剤の塗布量を調整しても嵌合部Fの加工精度(軸受の外径精度/筒状部の内径精度)によって接着剤に過不足が生ずるので食み出し部分Aoを皆無とすることは実際上無理であり、食み出し部分Aoを無くするために接着剤の塗布量を少なくすれば、接着強度不足により軸受Beががたついてロータ軸Rsの回転性能が失われることになる。
【0008】
又、嫌気性接着剤はアクリル系であり、その硬化反応は炭素の二重結合が直鎖状につながる反応形態であるから硬化収縮が著しい。このため、その硬化により軸受Beが変形し、ロータ軸Rsの回転性能が損なわれる可能性がある。
【0009】
一方、食み出し部分Aoの硬化不良を解消するために、熱硬化性接着剤を用いることも考えられるが、上記のような紫外線硬化型嫌気性接着剤によれば、室温状態でありながら嵌合部F内では即時硬化し、食み出し部分Aoも紫外線照射により内部に未硬化部分を残しながらも硬化させることができるのに対し、熱硬化性接着剤ではそのような利点がないのでラインでの量産が行えず、加熱硬化工程に移行する前に軸受Beの固定位置がずれ、その状態のまま軸受Beが接着固定されてしまう可能性がある。
【0010】
そこで、ベースフレームの筒状部cyと軸受Beとをその両者の隙間(嵌合部F)に充填される嫌気性接着剤で接着固定する一方、軸受Beの封止側では嵌合部Fの一端部に紫外線硬化型接着剤を塗布し、これを紫外線照射により硬化させるという提案がされている(例えば、特許文献1)。
【0011】
【特許文献1】特開2000−82252号公報(段落0076〜0077、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1のように2種類の接着剤を用いる場合には、接着剤同士が硬化前に混合し、その混合部分で良好な硬化反応が生じなくなる可能性がある。
【0013】
この点、特許文献1では嫌気性接着剤の硬化後に、紫外線硬化型接着剤を塗布してこれを硬化させるので問題ないが、この場合でも紫外線硬化型接着剤を塗布すべき部分に嫌気性接着剤が押し出されぬよう、嫌気性接着剤を少なめに塗布する必要があるので、その過少により接着強度不足を生ずる可能性が高い。尚、嫌気性接着剤の不足を紫外線硬化型接着剤で補おうとすれば、その厚さが大きくなり、内部深くまで紫外線が到達しなくなるため、硬化反応が不良となり、紫外線照射後も接着剤内部に有害ガスの発生源となる未硬化部分が残存してしまう。
【0014】
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その目的は接着剤の硬化不良に起因する有害ガスの発生がなく、軸受が定位置に適切に接着固定された高品質のモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は上記の目的を達成するため、
一端が封止され、ロータ軸21を支持する軸受12を備え、その軸受12が接着剤16により軸受保持部11aに嵌合状態で接着固定されたモータにおいて、
接着剤16が軸受12の軸方向で分離された第1接着剤16aと第2接着剤16bから成り、
軸受12と軸受保持部11aとの嵌合部Fでは、軸受12の封止された一端側で該軸受12の外周と軸受保持部11aの内周との少なくとも一方に、第1接着剤16aと第2接着剤16bとを分離するための環状溝12a(11b)が形成され、
その環状溝12a(11b)より軸受12の封止された一端とは反対の他端側で該軸受12が軸受保持部11aに第1接着剤16aで接着固定され、
前記環状溝12a(11b)より軸受12の封止された一端側で該軸受12が軸受保持部11aに第2接着剤16bでのみ接着固定されていることを特徴とする。
【0016】
加えて、第1接着剤16aが熱硬化性接着剤であり、第2接着剤16bが嫌気性接着剤または紫外線硬化型熱硬化性接着剤であることを特徴とする。
【0017】
又、ロータ軸21にディスクを保持するためのロータハブ22が固着されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るモータによれば、第1接着剤と第2接着剤が軸受の軸方向で分離されることから、それら接着剤に各々その性状に合わせた硬化反応を行わせて確実に硬化させることができる。このため、有害ガスの発生を防止することができる。
【0019】
特に、軸受と軸受保持部との嵌合部に、第1接着剤と第2接着剤とを分離するための環状溝が形成されることから、第1接着剤と第2接着剤を同時に塗布しても、その両接着剤を混合させることなく良好に硬化させることができる。
【0020】
尚、環状溝を軸受の外周に形成する構成では、その環状溝により軸受に対する第1接着剤の塗布領域を規定し、第1接着剤が軸受の封止側の一端外周に塗布されることを防止できる。つまり、環状溝より軸受の封止側とは反対側(開口側)で軸受の外周に第1接着剤を塗布し、その軸受を封止側から軸受保持部内に嵌め込むようにすれば、第1接着剤が軸受保持部に扱かれて軸受の開口側に延び、第1接着剤の一部が軸受の封止側に流動しようとしても、これを環状溝にて食い止めることができる。従って、軸受の封止側で嵌合部の一端部に第2接着剤を塗布しても、これを第1接着剤と混合させず、環状溝より軸受の開口側で軸受と軸受保持部との嵌合部に第1接着剤を充填せしめ、その第1接着剤により軸受を強固に接着固定することができる。
【0021】
又、第1接着剤により軸受の接着固定を確実に行えるので、第2接着剤の塗布量が過少でも軸受の接着強度が不足せず、これにより第2接着剤の塗布量を少なく制限してその食み出し部分を小さくすることができるので、これを確実に硬化させて有害ガスの発生を抑制することができる。
【0022】
加えて、第1接着剤が熱硬化性接着剤であることから、アクリル系の嫌気性接着剤のように硬化収縮することがなく、このためロータ軸の回転性能に悪影響を及ぼすような変形が軸受に生ずることを防止できる。
【0023】
しかも、第2接着剤が嫌気性接着剤または紫外線硬化型熱硬化性接着剤であることから、第1接着剤を加熱硬化させる前に第2接着剤を常温環境下で硬化させて軸受を仮固定することができ、これによって第1接着剤を加熱硬化させるまで軸受を適正な固定位置に保持することが可能となるので、搬送ラインによる高品質のモータの量産が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面に基づいて本発明を詳しく説明する。図1は本発明に係るモータを示した縦断面図である。尚、本例において、係るモータは、ハードディスクなどを回転させるディスク駆動用モータとして図示せぬディスク駆動装置内に組み込まれるが、その形態はステータ1(固定子)の外周にロータ2(回転子)を設けたアウタロータ型とされる。
【0025】
本例において、ステータ1は、軸受保持部として中心部分に円筒状の筒状部11aを有するベースフレーム11と、その筒状部11a内に嵌め込まれる円筒状の軸受12などから構成される。ベースフレーム11は、アルミニウムなどから形成されるもので、その筒状部11aの外周には珪素鋼板の積層物などから成るステータコア13が固定される。
【0026】
ステータコア13は、放射状に広がる複数の磁極ティース部13a(歯状突起)を有し、その各磁極ティース部13aには絶縁被膜を施した銅線などの導体線(コイル巻線)を巻回してステータコイル14が形成されている。
【0027】
又、軸受12は、焼結金属やステンレスなどから形成される動圧型ラジアル流体軸受であり、その一端はシール板15にて封止され、他端は後述するロータ軸21の一端部を突出させるべく開口されている。特に、軸受12は高い組立精度を得るために、ベースフレームの筒状部11aに嵌合された状態で後述する接着剤16によりベースフレーム11に接着固定されている。
【0028】
そして、係る軸受12内にはステンレスなどから成るロータ軸21が挿入され、そのロータ軸21が軸受12内に充填される潤滑油を介して回転自在に支持されるようにしてある。
【0029】
図1のように、ロータ軸21の一端外周には軸受12とシール板15とで挟まれる鍔部21aが形成され、その鍔部21aの上下両面もしくは該鍔部21aに対向する軸受12とシール板15の部位には図示せぬ動圧発生溝が形成されており、これによる潤滑油の加圧でロータ軸21に作用するスラスト荷重が支持されるようになっている。
【0030】
又、図1のようにロータ軸21の外周部にもヘリングボーン形の動圧発生溝21bが形成され、これによる潤滑油の加圧でロータ軸21に作用するラジアル荷重が支持されるようにしてあるが、その種の溝を軸受12の内周面に形成するか、軸受12とロータ軸21の双方に形成するようにしてもよい。尚、軸受12は動圧型に限らず、その他のすべり軸受や転がり軸受に代えることもできる。
【0031】
一方、ロータ2は、上記のロータ軸21や該ロータ軸21に固着されるロータハブ22などから構成される。ロータハブ22は、ステンレスなどから形成される断面凹字形の部材で、その中心が軸受12より突出するロータ軸21の一端部に固着されている。特に、ロータハブ22の外周には鍔部22aが形成され、その鍔部22aにより図示せぬディスク(本例においてハードディスク)が支持されるようになっている。又、ロータハブ22の底部には磁性材料から成るヨーク23が固着され、そのヨーク23にはステータコア13の各磁極ティース部13aの先端面(突極)に近接して、回転力を発生するに必要な磁束(界磁束)を発生する界磁マグネット24が装着されている。係る界磁マグネット24は、N極とS極が周方向に交互に着磁されたリング状の永久磁石であり、その表面にはニッケル鍍金が施されている。
【0032】
そして、以上のように構成されるモータによれば、ステータコイル14に駆動電流(電機子電流)を流して回転磁界を発生させ、これに界磁マグネット24の磁束を作用せしめてロータハブ22の回転が行われる。
【0033】
次に、図2は同モータの部分拡大断面を示す。この図で明らかなように、軸受12とベースフレーム11(筒状部11a)との嵌合部Fにおいて、軸受12にはその封止側(シール板15側)の一端部外周に環状溝12a(本例において深さ0.5mm、幅1.0mm程度)が形成されている。そして、係る軸受12は上記の如く筒状部11aに嵌合された状態で接着剤16にてベースフレーム11(正確にはベースフレームの筒状部11a)に接着固定されている。特に、接着剤16としては二種類の接着剤(第1接着剤16aおよび第2接着剤16b)が用いられ、その両接着剤16a,16bが環状溝12aを挟んで軸受12の軸方向に分離されている。
【0034】
第1接着剤16aは熱硬化性接着剤であり、これは環状溝12aより軸受12の開口部側(ロータハブ22側)で該軸受12と筒状部11aとの嵌合部Fに充填されており、これによって軸受12がベースフレーム11に堅固に接着固定されている。尚、熱硬化性接着剤としては、硬化剤を含むエポキシ樹脂に代表される硬化剤系のほか、フェノール、ユリア、メラミン、レゾルシノール、キシレン樹脂、フラン樹脂などのメチロール系、及びポリエステル系などが存在するが、本例では加熱処理により収縮することなく確実に硬化させることのできる硬化剤系のエポキシ系接着剤が用いられる。
【0035】
一方、第2接着剤は、紫外線硬化型嫌気性接着剤(アクリル系に属する嫌気性接着剤に紫外線増感剤を加えたもの)であり、これは環状溝12aより軸受12の封止側で嵌合部Fの一端部に塗布されている。
【0036】
次に、上記のように構成されるモータの組立例を説明する。ここに、軸受12をベースフレーム11に接着固定するにあたり、図3(A)のように、ベースフレーム11に対し、ステータコイル14が巻回されたステータコア13を取り付ける一方、ロータ2側では鍔部21aが固定されたロータ軸21を軸受12に挿入した後、軸受12の一端をシール板15の装着により封止し、軸受12の他端開口部から突出されたロータ軸21の一端部にはロータハブ22を取り付ける。
【0037】
しかして、環状溝12aより軸受12の開口側(ロータハブ22の装着側)で、軸受12の外周面に環状溝12aに沿って第1接着剤16aを図示せぬディスペンサで塗布すると共に、筒状部11aの内周面には、軸受12の封止側の一端部外周に対応する位置において第2接着剤16bを塗布する。
【0038】
その後、軸受12をその封止側から筒状部11aに嵌め込むのであるが、このとき第1接着剤16aは筒状部11aにより扱かれて図3(B)のように軸受12の嵌入方向とは逆側(軸受12の開口側)に延び、これが環状溝12aより軸受12の開口側で嵌合部Fに充填されるようになる。尚、第1接着剤16aの過剰塗布により、その過剰分が嵌合部Fより軸受12の開口側(ロータハブ22側)に押し出されても、後工程の加熱処理により第1接着剤16aの全てを完全に硬化させることができ、しかも第1接着剤16aがエポキシ系などの熱硬化性接着剤とされることにより、硬化収縮が殆ど発生しないので軸受12の変形を防止することができる。
【0039】
一方、第2接着剤16bは、軸受12により扱かれて軸受12の嵌入方向に延ばされるようになる。そして、嵌合部F内において、第2接着剤16bは空気遮断状態の下で即時硬化する。よって、第1接着剤16aの硬化を待たずして軸受12を定位置に仮止めすることができ、その状態で第1接着剤16aに恒温槽内で加熱処理(本例において90℃/1時間)を施すことにより、軸受12を定位置のまま堅固に接着固定することができる。
【0040】
尚、嫌気性を有する第2接着剤16bは硬化収縮が著しく、軸受12を変形させる可能性があるものの、その塗布領域は軸受12の封止側における嵌合部Fの一端部であって、ロータ軸21の軸長から外れた位置(ロータ軸21のラジアル荷重を支えることに直接関与しない部分)であるから、これによってロータ軸21の回転性能が損なわれることはない。
【0041】
又、第2接着剤16bは、軸受12により扱かれてその一部が図4のように嵌合部Fから食み出す可能性があるものの、その塗布量は微量であるから食み出し部分の厚さtも小さくなり(実際には厚さtが2mm以下となるよう第2接着剤の塗布量を制限する)、以ってその食み出し部分を紫外線の照射(1000mJ/cm)で確実に硬化させることができる。そして、第2接着剤16bの硬化後、上記のように第1接着剤16aを加熱硬化させて図1のようなモータを得ることができる。
【0042】
以上、本発明に係るモータの好適な一例を説明したが、係るモータはディスク駆動用に限らず、各種装置の駆動源として用いることができる。又、第2接着剤16bは紫外線硬化型嫌気性接着剤に限らず、紫外線硬化型熱硬化性接着剤でも、紫外線増感剤を含まない単なる嫌気性接着剤でもよく、この場合でも上記と同様の効果を得ることができる。
【0043】
又、上記例では環状溝を軸受12の外周に形成するものとしたが、係る環状溝はロータ軸21のラジアル荷重を支えることに直接関与しない軸受12の封止側であれば、筒状部11aの内周に形成してもよいし、軸受12の外周と筒状部11aの内周との双方に形成してもよい。尚、軸受12の外周と筒状部11aの内周との双方に環状溝を形成する場合、その両環状溝を相対向する位置に形成してもよいが、図5のように、軸受12の外周に環状溝12aを形成する一方、それより更に軸受12の封止側に近い位置で筒状部11aの内周に環状溝11bを形成し、それら環状溝12a,11bが軸方向に位置がずれるようにすることが好ましく、これによれば第1接着剤16aと第2接着剤16bの分離がより確実となる。
【0044】
又、図6のように、モータの他の部分にも環状溝3を設ければ、ベースフレーム11とステータコア13、ヨーク23と界磁マグネット24、ロータハブ22とロータ軸21についても、2種の接着剤を用いて好適に接着固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係るモータの構成例を示す縦断面図
【図2】同モータの要部を示す部分拡大断面図
【図3】本発明に係るモータの組立例を示す説明図
【図4】軸受の接着固定部分を示す拡大断面図
【図5】本発明に係る他の適用例を示す部分拡大断面図
【図6】本発明に係るモータの他の実施形態を示す参考図
【図7】従来モータを示す部分拡大断面図
【図8】従来モータにおける軸受の接着固定部分を示す拡大断面図
【符号の説明】
【0046】
1 ステータ
11 ベースフレーム
11a 筒状部(軸受保持部)
11b 環状溝
12 軸受
12a 環状溝
15 シール板
16 接着剤
16a 第1接着剤
16b 第2接着剤
2 ロータ
21 ロータ軸
22 ロータハブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が封止され、ロータ軸を支持する軸受を備え、その軸受が接着剤により軸受保持部に嵌合状態で接着固定されたモータにおいて、
前記接着剤が前記軸受の軸方向で分離された第1接着剤と第2接着剤から成り、
前記軸受と軸受保持部との嵌合部では、前記軸受の封止された一端側で該軸受の外周と前記軸受保持部の内周との少なくとも一方に、前記第1接着剤と第2接着剤とを分離するための環状溝が形成され、
その環状溝より前記軸受の封止された一端とは反対の他端側で該軸受が前記軸受保持部に前記第1接着剤で接着固定され、
前記環状溝より前記軸受の封止された一端側で該軸受が前記軸受保持部に前記第2接着剤でのみ接着固定されていることを特徴とするモータ。
【請求項2】
前記第1接着剤が熱硬化性接着剤であり、前記第2接着剤が嫌気性接着剤または紫外線硬化型熱硬化性接着剤であることを特徴とする請求項1記載のモータ。
【請求項3】
請求項1、又は2記載のモータであって、前記ロータ軸にディスクを保持するためのロータハブが固着されていることを特徴とするディスク駆動用モータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−199764(P2008−199764A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−31721(P2007−31721)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【出願人】(508100033)アルファナ テクノロジー株式会社 (100)
【Fターム(参考)】