説明

モータ

【課題】モータの体格を小体格にできとともに、制御回路を有するモータ全体の体格を小体格にできるモータを提供する。
【解決手段】引出線L1u,L1v,L1w,L2u,L2v,L2wと接続されるステータ6に巻回されたSC巻線の各電力受電端子を、フロントカバー4側の密集するセグメントSGの溶接箇所を避けて、リアカバー壁3a側に配置する。そして、引出線L1u,L1v,L1w,L2u,L2v,L2wは、軸線方向に引き出されリアカバー壁3aに形成した第1及び第2貫通孔H1,H2を貫通してリアカバー壁3aに隣接する収容ボックス5内の制御回路の回路基板21に形成した各出力端子O1u,O1v,O1w,O2u,O2v,O2wに接続されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、モータについて、コギングトルクの低減及びモータの体格の小体格化が望まれている。特に、自動車に実装される各種のモータ、例えばパワーステアリング装置に使用されるEPSモータにおいては、さらなるコギングトルクの低減及びモータの体格の小体格化が要求されている。
【0003】
そこで、コギングトルクの低減及びモータの体格の小体格化を図る手段として、ステータのSC(セグメントコンダクタ)巻線化が注目され、ステータにSC巻線を施したブラシレスモータが種々提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
SC巻線とは、U字状のセグメントと呼ばれる分割導体をステータコアの各スロットに、軸線方向から挿入し、反対側を後工程において溶接等で接続して周方向に連続巻線を形成する巻線をいう。このSC巻線は、スロット数を多くすることができコギングトルクを低減させることができるとともに、スロット内の巻線の占有率が向上し、出力当たりのモータの体格を小体格化することができる。
【0005】
また、一方で、SC巻線のステータは、U字状のセグメントの先端部間を溶接等で接続することから、隣接する溶接部間がショートしないように、溶接部間を径方向に若干離間させていることから、その分だけ径方向が大きくなり、体格上若干不利な面もある。
【0006】
また、パワーステアリング装置に使用されるEPSモータにおいては、システム全体として小型化を図るために、筒状フレームの径方向外周面に制御回路ユニットを合体したものが提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3303773号公報
【特許文献2】特許第3593102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、文献2に示す制御回路ユニットを合体したモータのステータについて、SC巻線に単に転用しても、制御回路ユニットがステータを内蔵する筒状フレームの径方向外周面に位置するため、制御回路ユニットが取着されている分、径方向の体格が大きいままで小型化を図ることはできなかった。
【0009】
また、制御回路ユニットからの電力を受電する場合、制御回路ユニットから引出線が筒状フレーム内に挿入され、引出線の一端が筒状フレーム内でSC巻線の電力受電端子と接続を行うとともに、引出線の他端が制御回路ユニット内に設けた回路基板に設けた出力端子との接続を制御回路ユニット内で行う必要があり、軸方向及び径方向に大であるままとなる。
【0010】
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであって、その目的は、コギングトルクを低減できるSC巻線のモータの体格を小体格にできとともに、制御回路を有するモータ全体の体格を小体格にできるモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、筒状ケースのフロント側開口部にフロントカバーが取着され、筒状ケースのリア側開口部にリアカバーが取着されなるモータケースと、前記モータケース内に配設され、回転軸の中心軸線に向かって延出形成されたてティースが径方向に等間隔に複数個配置され、ティースとティース間に形成される軸線方向に延びる各スロットに、U字状のセグメントが一方向から挿入され、各スロットから突出した先端間を周方向に繋げてなるSC巻線にて形成されたステータとを備えたモータであって、前記ステータを、周方向に繋げたU字状のセグメントの先端間の溶接部がフロントカバーに、SC巻線の電力受電端子がリアカバーにそれぞれ対峙するように、モータケースに配設し、前記SC巻線の電力受電端子をそのまま引出線としあるいは引出線を接続し、その引出線を軸方向に延出させてリアカバーに形成した貫通孔から突出させて前記リアカバーに隣接する制御回路の端子と接続するようにした。
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、ステータのSC巻線の電力受電端子を、フロントカバー側に設けたU字状のセグメントの先端間の溶接部と反対側のリアカバー側に設けたので、電力受電端子は密集する溶接部を避けて形成することができ、モータの体格が小体格となる。また、U字状のセグメントの先端間の溶接部ではなく、寸法形成されたU字状のセグメントの基端部をリアカバー側としたので、SC巻線を形成する各U字状のセグメントの基端部とリアカバーと間のクリアランスを短くでき、モータの体格が小体格となる。
【0013】
また、電力受電端子に接続された引出線は、寸法形成されたU字状のセグメントの基端部からそのまま軸方向に引き出してくるので、制御回路端子との接続が容易となる。リアカバー側に設けた電力受電端子は、軸線方向に引き出されリアカバーに形成した貫通孔を貫通してリアカバーに隣接する制御回路の端子されるようにしたので、制御回路の部品をその内径側に置くことが可能になり、制御回路を有するモータの体格が全体として小体格となる。さらに、溶接部をフロントカバー側、すなわち、制御回路と反対側にしたことで、溶接時の残渣が回路側接点に付着することも抑制できる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のモータにおいて、前記電力受電端子は、スロットS内の径方向において外側の位置にそれぞれ配置され、その電力受電端子に接続された前記引出線が軸線方向にリアカバーに形成した貫通孔を介して前記制御回路の端子と接続した。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、リアカバー側に設けた電力受電端子は、スロットS内の径方向において外側の位置にそれぞれ配置されることから、軸線方向に引き出される引出線は、制御回路の部品を実装する回路基板に外側に対峙する。そのため、回路基板の外側に接続端子を配置し、回路基板の内側に回路部品を実装することが可能になり、制御回路を有するモータの体格が全体として小体格となる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のモータにおいて、前記フロントカバー側に配置された前記ステータの周方向に繋げたU字状のセグメントの先端間の各溶接部は、軸方向の長さが同一である。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、フロントカバー側に配置された前記ステータの周方向に繋げたU字状のセグメントの先端間の各溶接部は、軸方向の長さが同一にすることで、SC巻線を形成する各U字状のセグメントの先端間の各溶接部とフロントカバーと間のクリアランスを短くでき、モータの体格が小体格となる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のモータにおいて、前記ステータに巻装したSC巻線は、各相の中性点端子を互いに接続する中性線を、リアカバーと対峙する位置に形成し、前記リアカバーには前記中性線あるいは中性線と前記中性点端子との結線部を逃がす収容凹部が形成されている。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、リアカバー側に張り出される中性線あるいは中性線と前記中性点端子との結線部を、この収容凹部により軸方向に逃がすことができ、その分、モータの軸方向の体格を小さくできる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のモータにおいて、前リアカバーに形成した収容凹部は、前記引出線を貫通させる前記貫通孔である。
請求項5に記載の発明によれば、収容凹部に引出線を貫通させる貫通孔を形成したにので、引出線を貫通させるだけの最低限の大きさの孔でよく、モータケースと隣接する制御回路との間で、行き来する異物の相互間移動を抑制することができる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のモータにおいて、前記SC巻線は、第1導体部と第4導体部を有し前記第1導体部と前記第4導体部が基端部で連結された波巻用の外側導体と、第2導体部と第3導体部を有し前記第2導体部と前記第3導体部が基端部で連結され前記波巻用の外側導体に内包される重ね巻用の内側導体とからなるセグメントを有し、前記第1導体部と前記第2導体部、及び、前記第3導体部と前記第4導体部をそれぞれの組とし、前記各組を互いに隣接する同相の各スロットにそれぞれ挿入し、前記各スロットに、前記第1導体部から第4導体部を径方向に内側から第1導体部、第2導体部、第3導体部、第4導体部の順で配置し、隣接する一方のスロットの第1導体部の先端部と隣接する他方のスロットの第2導体部の先端部とを接続するとともに、隣接する一方のスロットの第3導体部の先端部と隣接する他方のスロットの第4導体部の先端部とを接続することによって、SC巻線よりなる3相Y結線巻線が2つ1スロットピッチずれて形成され、前記2つの3相Y結線巻線の各相の電力受電端子と中性点端子を、それぞれ同一の導体部から軸線方向に引き出した。
【0022】
請求項6の発明によれば、各相の電力受電端子と中性点端子を、それぞれ同一の導体部から軸線方向に引き出すことができ、軸線方向に引き出される各相の電力受電端子の引出線は、各相の中性点端子同士を結ぶ中性線とクロスすることはない。その結果、中性点端子を同士結ぶ中性線とクロスしない分、モータの軸線方向の長さを短くでき、モータの省スペース化及び抵抗損失の低減化を図ることができる。
【0023】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のモータにおいて、前記一方の3相Y結線巻線の各相の前記電力受電端子及び前記中性点端子は、隣接する各相のセグメントについて、前記波巻用の外側導体の基端連結部分及び前記重ね巻用の内側導体の基端連結部分でそれぞれ分離し、その一方を前記外側導体の前記第4導体部に繋がる分離端と前記内側導体の前記第2導体部に繋がる分離端とを電気的に接続するとともに、その他方を用いず、前記内側導体の分離した他方のものと同形態であって前記第3導体部に繋がって軸方向に延びる引出し部を一体に形成した第1片側セグメントを用い、その引出し部を各相の前記電力受電端子とし、前記外側導体の分離した他方のもとの同形態であって前記第1導体部に繋がって軸方向に延びる引出し部を一体に形成した第2片側セグメントを用い、その引出し部を各相の前記中性点端子とし、前記他方の3相Y結線巻線の各相の前記電力受電端子及び前記中性点端子は、隣接する各相のセグメントについて、前記波巻用の外側導体の基端連結部分及び前記重ね巻用の内側導体の基端連結部分でそれぞれ分離し、その一方を前記外側導体の前記第4導体部に繋がる分離端と前記内側導体の前記第2導体部に繋がる分離端とを電気的に接続するとともに、その他方を用いず、前記内側導体の分離した他方のものと同形態であって前記第3導体部に繋がって軸方向に延びる引出し部を一体に形成した第1片側セグメントを用い、その引出し部を各相の前記電力受電端子とし、前記外側導体の分離した他方のもとの同形態であって前記第1導体部に繋がって軸方向に延びる引出し部を一体に形成した第2片側セグメントを用い、その引出し部を各相の前記中性点端子とした。
【0024】
請求項7の発明によれば、軸線方向に引き出される各相の電力受電端子は引出線として軸線方向に引き出される。
請求項8に記載の発明は、2×p極(但し、pは極数対)の磁極が周方向に交互に配置されたコンシクエントロータと、前記磁極当たり複数個設けられる前記ロータと径方向に対向して2×p×m×n個(但し、mはステータ巻線の相数、nは自然数)のティース及びスロットを有するコアと前記スロットに巻回された多相の巻線とを有するステータと
を備えたブラシレスモータであって、前記セグメントに定形状のセグメントが挿入されてステータ巻線を構成し、前記セグメントの電力受電端子がそのまま軸線方向に延びる引出線となって、あるいは、軸線方向に延びる引出線に接続され、その引出線が前記ステータを内装する筒状ケースの開口部に配置されたカバーに形成された貫通孔から突出して前記カバーに隣接する制御回路の端子と接続するようにした。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、軸線方向に延びる引出線は、制御回路端子との接続が容易となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、コギングトルクを低減できるSC巻線のモータの体格を小体格にできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施形態のブラシレスモータの断面図。
【図2】本実施形態のフロントカバー側から見たステータの斜視図。
【図3】本実施形態のリアカバー側から見たステータの斜視図。
【図4】本実施形態のフロントカバー側から見たステータの正面図。
【図5】本実施形態のフロントカバー側から見たステータの断面図。
【図6】本実施形態の3相巻線の一部展開図。
【図7】同じく3相巻線の一部展開図。
【図8】スロット挿入前のセグメントの斜視図。
【図9】スロット挿入後のセグメントの斜視図。
【図10】第1系統のU1相の巻線の一部展開図。
【図11】同じく第1系統のU1相の巻線の一部展開図。
【図12】セグメントの各導体部がスロットに挿入された状態を示す断面図。
【図13】隣接する同一相のセグメント同士の接続を説明するための説明図。
【図14】第1系統3相巻線の電気回路図。
【図15】第2系統のU2相の巻線の一部展開図。
【図16】同じく第2系統のU2相の巻線の一部展開図。
【図17】第2系統3相巻線の電気回路図。
【図18】コンシクエントポール型のロータを説明するための斜視図。
【図19】ステータとロータを説明するための軸方向から見た正面図。
【図20】本発明の別例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明をブラシレスモータに具体化した一実施形態を図1〜図18に従って説明する。
図1に示すように、ブラシレスモータ1のモータケース2は、有底の筒状ハウジング3と、その筒状ハウジング3のフロント側の開口部を閉塞するフロントカバー4とで形成されている。また、筒状ハウジング3のリア側のリアカバー壁3aには、収容ボックス5が取着されている。
【0029】
筒状ハウジング3の内周面には、図2〜図5に示すステータ6が固定されている。ステータ6は、コア7を備え、そのコア7は、円筒部8と該円筒部8から径方向内側に延びて周方向に複数設けられたティース9とを有する。
【0030】
本実施形態では、ティース9は、図5に示すように、60個形成されている。従って、ティース9間に形成されるスロットSは60個形成され、その60個のスロットSは、円筒部8の中心軸線から見て6度の等角度の間隔に配置形成されている。尚、説明の便宜上、個々のスロットSについて個々に特定する必要があるとき、60個のスロットSの周方向に連続した番号であるスロット番号「1」〜「60」を付けて説明する。
【0031】
図6及び図7に示すように、各スロットSには、U相、V相、W相のからなる3相巻線が巻回されている。図6及び図7では、周方向にスロットSのスロット番号「1」〜「60」を付している。
【0032】
各スロットSには、軸線方向の一側(リアカバー壁3a側)から他側(フロントカバー4側)に向かって図8に示す定形状に形成されたU字状のセグメントSGが挿入される。そして、各セグメントSG同士を所定の規則で接続することによって、3相Y結線のSC巻線を形成している。
【0033】
図8に示すように、スロットSに挿入する前のセグメントSGは、U字形状をした波巻用の外側導体OSと重ね巻用の内側導体ISを有している。外側導体OSと内側導体ISは、表面が絶縁材で被膜され、外側導体OSと内側導体ISが電気的に導通しないようになっている。
【0034】
外側導体OSは、第1導体部OSiと第4導体部OSoを有し、第1導体部OSiの基端部と第4導体部OSoの基端部とが連結導体部OScにて連結されている。第1導体部OSiと第4導体部OSoは、互いに連結導体部OScから離間する方向に拡開するように屈曲形成させた後、互いに平行となるように屈曲形成されている。
【0035】
内側導体ISは、外側導体OSの内側に囲まれて配置される。内側導体ISは、第2導体部ISiと第3導体部ISoを有し、第2導体部ISiの基端部と第3導体部ISoの基端部とが連結導体部IScにて連結されている。第2導体部ISiは、連結導体部IScから外側導体OSの第1導体部OSiに沿って屈曲形成されている。第3導体部ISoは、連結導体部IScから外側導体OSの第4導体部OSoに沿って屈曲形成されている。
【0036】
そして、外側導体OSの内側に内側導体ISを配置することによって、スロットSに挿入する前のU字形状のセグメントSGが形成される。このように形成されたセグメントSGついて、外側及び内側導体OS,ISの第1及び第2導体部OSi,ISiは同一のスロットSに挿入され、外側及び内側導体OS,ISの第4及び第3導体部OSo,ISoは前記第1及び第2導体部OSi,ISiとは異なる隣接する同相のスロットSに挿入される。
【0037】
例えば、外側及び内側導体OS,ISについて、第1及び第2導体部OSi,ISiをスロット番号「60」のスロットSに挿入したとき、第4及び第3導体部OSo,ISoをスロット番号「6」のスロットSに挿入するようになっている。つまり、1つのセグメントSGの第1及び第2導体部OSi,ISiと第4及び第3導体部OSo,ISoは、6スロットピッチの間隔をおいて挿入されることになる。
【0038】
そして、第4及び第3導体部OSo,ISoを挿入したスロット番号「6」のスロットSには、隣のセグメントSGの外側及び内側導体OS,ISの第1及び第2導体部OSi,ISiが挿入される。さらに、その隣のセグメントSGは、自身の外側及び内側導体OS,ISの第4及び第3導体部OSo,ISoをスロットS番号「12」のスロットSに挿入させる。
【0039】
順次同様な方法で、リアカバー壁3a側からフロントカバー4側に向かってセグメントSGをスロットSに挿入する。これによって、10個目のセグメントSGの外側及び内側導体OS,ISの第1及び第2導体部OSi,ISiが、スロット番号「60」のスロットSに挿入されて1周する。周回した10個のセグメントSGを互いに接続することによって1相分の巻線が形成される。
【0040】
従って、スロットSが60個あり6相分の巻線が形成されるため、U相、V相、W相の3相巻線が2つ(第1系統3相巻線と第2系統3相巻線)形成されることになる。ここで、第1系統3相巻線と第2系統3相巻線とをそれぞれ特定して説明するときは、第1系統3相巻線の各相をU1相、V1相、W1相とし、第2系統3相巻線の各相をU2相、V2相、W2相という。なお、スロットSの内周面は、インシュレータ10(図12参照)が形成され、セグメントSGとステータ6のコア7との間を電気的に絶縁している。
【0041】
本実施形態では、第1系統3相巻線と第2系統3相巻線の各相の巻線が使用するスロットSが、表1で示すように割り当てられている。
【0042】
【表1】

表1から明らかなように、第1系統3相巻線のU1相は、スロット番号が「60」、「6」、「12」、「18」、「24」、「30」、「36」、「42」、「48」、「54」のスロットSに巻線が巻回(セグメントSGが挿入)されることがわかる。
【0043】
そして、第1系統3相巻線のV1相は、第1系統3相巻線のU1相の巻線に対して、2スロットピッチずれた各スロットSに巻線が巻回(セグメントSGが挿入)されることがわかる。また、第1系統3相巻線のW1相は、第1系統3相巻線のU1相の巻線に対して、4スロットピッチずれた各スロットSに巻線が巻回(セグメントSGが挿入)されることがわかる。
【0044】
ちなみに、第2系統3相巻線のU2相は、第1系統3相巻線のU1相の巻線に対して、1スロットピッチずれて、スロット番号が「1」、「7」、「13」、「19」、「25」、「31」、「37」、「43」、「49」、「55」のスロットSに巻線が巻回(セグメントSGが挿入)されることがわかる。
【0045】
同様に、第2系統3相巻線のV2相は、第2系統3相巻線のU2相の巻線に対して、2スロットピッチずれた各スロットSに巻線が巻回(セグメントSGが挿入)されることがわかる。また、第2系統3相巻線のW2相は、第2系統3相巻線のU2相の巻線に対して、4スロットピッチずれた各スロットSに巻線が巻回(セグメントSGが挿入)されることがわかる。
【0046】
そして、上記の条件で60個全てのスロットSに、図8に示す波巻用の外側導体OSと重ね巻用の内側導体ISからなるセグメントSGを挿通する。続いて、全てのスロットSにセグメントSGについて、図9に示すように、外側導体OS及び内側導体ISを折り曲げ形成して各相の巻線を形成する。
【0047】
波巻用の外側導体OSの折り曲げは、スロットSから突出した部分の第1導体部OSi及び第4導体部OSoを互いに離間する方向に折り曲げる。そして、外側導体OSの第1及び第4導体部OSi,OSoについて、スロットSから突出し互いに離間する方向に折り曲げられた部分を第1及び第4溶接部OWi,OWoという。
【0048】
一方、重ね巻用の内側導体ISの折り曲げは、スロットSから突出した部分の第2導体部ISi及び第3導体部ISoを互いに近づく方向に折り曲げる。そして、内側導体ISの第2及び第3導体部ISi,ISoについて、スロットSから突出し互いに近づく方向に折り曲げられた部分を第2及び第3溶接部IWi,IWoという。
(第1系統3相巻線)
次に、第1系統3相巻線について説明する。
【0049】
ここで、10個のセグメントSGを使って、第1系統3相巻線の内のU1相の巻線の巻線方法について、図10及び図11に従って説明する。
第1系統のU1相の巻線に使用されるスロットSは、表1に示すスロット番号のスロットSが割り当てられ、10個のセグメントSG1〜SG10が使用される。
【0050】
ここで、1個目のセグメントSG1はスロット番号「60」及び「6」のスロットSに挿入される。2個目のセグメントSG2はスロット番号「6」及び「12」のスロットSに挿入される。3個目のセグメントSG3はスロット番号「12」及び「18」のスロットSに挿入される。4個目のセグメントSG4はスロット番号「18」及び「24」のスロットSに挿入される。5個目のセグメントSG5はスロット番号「24」及び「30」のスロットSに挿入される。
【0051】
さらに、6個目のセグメントSG6はスロット番号「30」及び「36」のスロットSに挿入される。7個目のセグメントSG7はスロット番号「36」及び「42」のスロットSに挿入される。8個目のセグメントSG8はスロット番号「42」及び「48」のスロットSに挿入される。9個目のセグメントSG9はスロット番号「48」及び「54」のスロットSに挿入される。10個目のセグメントSG10はスロット番号「54」及び「60」のスロットSに挿入される。
【0052】
なお、セグメントSG1〜SG10を各スロットSに挿入する際、後続するセグメントが所定のスロットSに挿入し易いように、外側導体OSの連結導体部OSc及び内側導体ISの連結導体部IScを斜めに捻るように、図3に示すように、折り曲げ形成して挿入している。
【0053】
今、図10に示すように、スロット番号「60」及び「6」には、U1相用の1個目のセグメントSG1が挿入されている。これによって、スロット番号「60」のスロットSには、内側導体ISの第2導体部ISiと外側導体OSの第1導体部OSiが配置され、スロット番号「6」のスロットSには、内側導体ISの第3導体部ISoと外側導体OSの第4導体部OSoが配置されている。
【0054】
スロット番号「6」及び「12」には、U1相用の2個目のセグメントSG2が挿入されている。これによって、スロット番号「6」のスロットSには、内側導体ISの第2導
体部ISiと外側導体OSの第1導体部OSiが配置され、スロット番号「12」のスロットSには、内側導体ISの第3導体部ISoと外側導体OSの第4導体部OSoが配置されている。
【0055】
このとき、スロット番号「6」のスロットSには、1個目のセグメントSG1の内側及び外側導体IS,OSの第3及び第4導体部ISo,OSoが配置され、2個目のセグメントSG2の外側及び内側導体OS,ISの第1及び第2導体部OSi,ISiが配置される。
【0056】
つまり、図12に示すように、スロットSに、径方向に内側から第1導体部OSi、第2導体部ISi、第3導体部ISo、第4導体部OSoの順に、4層構造となって配置されている。そして、1個目のセグメントSG1の外側導体OS(スロット番号「6」を貫挿した)の第4溶接部OWoと、2個目のセグメントSG2の内側導体IS(スロット番号「12」を貫挿した)の第3溶接部IWoとを溶接する。
【0057】
スロット番号「12」及び「18」には、U1相用の3個目のセグメントSG3が挿入されている。これによって、スロット番号「12」のスロットSには、内側導体ISの第2導体部ISiと外側導体OSの第1導体部OSiが配置され、スロット番号「18」のスロットSには、内側導体ISの第3導体部ISoと外側導体OSの第4導体部OSoが配置されている。
【0058】
このとき、スロット番号「12」のスロットSには、2個目のセグメントSG2の内側及び外側導体IS,OSの第3及び第4導体部ISo,OSoが配置され、3個目のセグメントSG3の外側及び内側導体OS,ISの第1及び第2導体部OSi,ISiが配置される。そして、2個目のセグメントSG2の外側導体OS(スロット番号「12」を貫挿した)の第4溶接部OWoと、3個目のセグメントSG3の内側導体IS(スロット番号「18」を貫挿した)oの第3溶接部IWoとを溶接する。
【0059】
さらにまた、2個目のセグメントSG2の内側導体IS(スロット番号「6」を貫挿した)の第2溶接部IWiと、3個目のセグメントSG3の外側導体OS(スロット番号「12」を貫挿した)の第4溶接部OWoとを溶接する。以後、同様な、4〜10個のセグメントSG4〜SG10について、同様な工程を繰り返すことによって、図10及び図11に示すU1相の巻線が形成される。
【0060】
ここで、隣接するセグメントSG同士の溶接について説明する。
なお、説明の便宜上、スロット番号「60」及び「6」のスロットSに挿入される1個目のセグメントSG1に対して、隣接する2個目のセグメントSG2と10個目のセグメントSG10との間の溶接について説明する。
【0061】
図13に示すように、1個目のセグメントSG1の外側導体OSの第1溶接部OWiは、その先端面S1が10個目のセグメントSG10の内側導体ISの第2溶接部IWiの先端面S2との間で溶接部材B1で溶接され、且つ、電気的に接続されている。また、1個目のセグメントSG1の内側導体ISの第2溶接部IWiは、その先端面S2が2個目のセグメントSG2の外側導体OSの第1溶接部OWiの先端面S1との間で溶接部材B1で溶接され、且つ、電気的に接続されている。
【0062】
さらに、1個目のセグメントSG1の内側導体ISの第3溶接部IWoは、その先端面S3が10個目のセグメントSG10の外側導体OSの第4溶接部OWoの先端面S4との間で溶接部材B2で溶接され、且つ、電気的に接続されている。
【0063】
さらにまた、1個目のセグメントSG1の外側導体OSの第4溶接部OWoは、その先端面S4が2個目のセグメントSG2の内側導体ISの第3溶接部IWoの先端面S3との間で溶接部材B2で溶接され、且つ、電気的に接続されている。
【0064】
第1系統3相巻線の他のV1相,W1相の巻線もU1相の巻線と同様な方法で巻回される。また、第1系統3相巻線は3相Y結線で構成されている。そして、各相の巻線について中性点N1(図14参照)と接続する中性点端子T0u,T0v,T0w及び電力を受電する電力受電端子T1u,T1v,T1wを決めている。
【0065】
なお、第1系統3相巻線の各相の巻線について、各セグメントSGは、全て溶接端が軸方向において一様な高さに揃うように溶接されている。そして、各セグメントSGのフロント側の先端とフロントカバー4の間隔は同じになるように形成されている。
(中性点端子及び電力受電端子の設定)
図6に示すように、本実施形態では、U1相の巻線について、1個目のセグメントSG1の外側導体OS及び内側導体ISのリアカバー壁3a側に位置する連結導体部OSc,IScを分離する。
【0066】
ここで、外側導体OSの連結導体部OScの分離端であって同外側導体OSの第4導体部OSoに繋がる方と、内側導体ISの連結導体部IScの分離端であって同内側導体ISの第2導体部ISiに繋がる方とを接続する。
【0067】
そして、外側導体OSの連結導体部OScの分離端であって同外側導体OSの第1導体部OSiに繋がる方を、U1相の中性点端子T0uとしている。一方、内側導体ISの連結導体部IScの分離端であって同内側導体ISの第3導体部ISoに繋がる方を、U1相の電力受電端子T1uとしている。
【0068】
つまり、中性点端子T0uは、スロット番号「60」のスロットS内の径方向において最も内側に配置された外側導体OSの第1導体部OSiから引き出された端子である。また、電力受電端子T1uは、スロット番号「6」のスロットS内の径方向において3番目に外側の位置に配置された内側導体ISの第3導体部ISoから引き出された端子である。
【0069】
従って、電力受電端子T1uは、中性点端子T0uよりスロットS内の径方向において外側に配置される。
また、図6に示すように、V1相の巻線について、スロット番号「56」及び「2」に挿入されたセグメントSGの外側導体OS及び内側導体ISの連結導体部OSc,IScを分離する。
【0070】
同様に、外側導体OSの連結導体部OScの分離端であって同外側導体OSの第4導体部OSoに繋がる方と、内側導体ISの連結導体部IScの分離端であって同内側導体ISの第2導体部ISiに繋がる方とを接続する。
【0071】
そして、外側導体OSの連結導体部OScの分離端であって同外側導体OSの第1導体部OSiに繋がる方を、V1相の中性点端子T0vとしている。一方、内側導体ISの連結導体部IScの分離端であって同内側導体ISの第3導体部ISoに繋がる方を、V1相の電力受電端子T1vとしている。
【0072】
つまり、中性点端子T0vは、スロット番号「56」のスロットS内の径方向において最も内側に配置された外側導体OSの第1導体部OSiから引き出された端子である。また、電力受電端子T1vは、スロット番号「2」のスロットS内の径方向において3番目に外側の位置に配置された内側導体ISの第3導体部ISoから引き出された端子である。
【0073】
従って、電力受電端子T1vは、中性点端子T0vよりスロットS内の径方向において外側に配置される。
また、図6に示すように、W1相の巻線について、スロット番号「52」及び「58」に挿入されたセグメントSGの外側導体OS及び内側導体ISの連結導体部OSc,IScを分離する。
【0074】
同様に、外側導体OSの連結導体部OScの分離端であって同外側導体OSの第4導体部OSoに繋がる方と、内側導体ISの連結導体部IScの分離端であって同内側導体ISの第2導体部ISiに繋がる方とを接続する。
【0075】
そして、外側導体OSの連結導体部OScの分離端であって同外側導体OSの第1導体部OSiに繋がる方を、W1相の中性点端子T0wとしている。一方、内側導体ISの連結導体部IScの分離端であって同内側導体ISの第3導体部ISoに繋がる方を、W1相の電力受電端子T1wとしている。
【0076】
つまり、中性点端子T0wは、スロット番号「52」のスロットS内の径方向において最も内側に配置された外側導体OSの第1導体部OSiから引き出された端子である。また、電力受電端子T1wは、スロット番号「58」のスロットS内の径方向において3番目に外側の位置に配置された内側導体ISの第3導体部ISoから引き出された端子である。
【0077】
従って、電力受電端子T1wは、中性点端子T0wよりスロットS内の径方向において外側に配置される。
これによって、各相の電力受電端子T1u,T1v,T1wは、スロットS内の径方向において3番目に外側の位置にそれぞれ配置され、各相の中性点端子T0u,T0v,T0wは、スロットS内の径方向において最も内側にそれぞれ配置される。しかも、各相の電力受電端子T1u,T1v,T1wは互いに短い位置に配置されている。同様に、各相の中性点端子T0u,T0v,T0wも、各相の電力受電端子T1u,T1v,T1wの内側であって互いに短い位置に配置されている。
【0078】
従って、各相の中性点端子T0u,T0v,T0wを互いに接続する中性線L1nは、各相の電力受電端子T1u,T1v,T1wより内側に配置される。その結果、図3に示すように、各相の電力受電端子T1u,T1v,T1wから引き出される各引出線L1u,L1v,L1wは、中性線L1nよりも外側に配置される。
【0079】
そして、各相の中性点端子T0u,T0v,T0wを互いに中性線L1nにて接続し、各相の電力受電端子T1u,T1v,T1wを受電端とすれば、第1系統の3相Y結線の巻線が形成され、図14に示すような電気回路が形成される。なお、図中、「L1」は、電力受電端子T1u,T1v,T1wからそれぞれの巻線が周回し、それぞれ外側導体OSの連結導体部OScの分離端と内側導体ISの連結導体部IScの分離端との接続点までのインダクタンスを示す。また。「L2」は、それぞれその外側導体OSの連結導体部OScの分離端と内側導体ISの連結導体部IScの分離端との接続点から、それぞれの各中性点端子T0u,T0v,T0wまでのインダクタンスを示す。
(第2系統3相巻線)
次に、第2系統3相巻線について説明する。
【0080】
第2系統3相巻線は、第1系統3相巻線と同様に3相Y結線である。そして、第2系統の3相各巻線は、第1系統の対応する3相各巻線と1スロットピッチずれて各スロットSにそれぞれ巻回される。
【0081】
従って、図15、図16に示すように、第2系統のU2相巻線は、第1系統のU1相巻線に対して、1スロットピッチずれて各スロットSにそれぞれ巻回される。
第2系統のU2相の巻線に使用されるスロットSは、表1に示すスロット番号のスロットSが割り当てられ、10個のセグメントSG1a〜SG10aが使用される。
【0082】
ここで、1個目のセグメントSG1aはスロット番号「1」及び「7」のスロットSに挿入される。2個目のセグメントSG2aはスロット番号「7」及び「13」のスロットSに挿入される。3個目のセグメントSG3aはスロット番号「13」及び「19」のスロットSに挿入される。4個目のセグメントSG4aはスロット番号「19」及び「25」のスロットSに挿入される。5個目のセグメントSG5aはスロット番号「25」及び「31」のスロットSに挿入される。
【0083】
さらに、6個目のセグメントSG6aはスロット番号「31」及び「37」のスロットSに挿入される。7個目のセグメントSG7aはスロット番号「37」及び「43」のスロットSに挿入される。8個目のセグメントSG8aはスロット番号「43」及び「49」のスロットSに挿入される。9個目のセグメントSG9aはスロット番号「49」及び「55」のスロットSに挿入される。10個目のセグメントSG10aはスロット番号「55」及び「1」のスロットSに挿入される。
【0084】
そして、第1系統のU1相巻線と同様に、各セグメントSG1a〜SG10aが結線されて第2系統のU2相の巻線が形成される。また、第2系統3相巻線の他のV2相,W2相の巻線もU2相の巻線と同様な方法で巻回される。
【0085】
さらに、第2系統3相巻線も同様に3相Y結線で構成されている。従って、各相の巻線について中性点N2(図17参照)と接続する中性点端子T0ua,T0va,T0wa及び電力を受電する電力受電端子T2u,T2v,T2wを決めている。
【0086】
なお、第2系統3相巻線の各相の巻線について、各セグメントSGの溶接端は、第1系統3相巻線のセグメントSGの溶接部材B1,B2と軸方向において一様に揃うように合わせてあり、図1〜図4に示すように、全てのセグメントSGの溶接部材B1,B2が軸方向において一様に揃うように溶接されている。その結果、全てのセグメントSGのフロント側の先端とフロントカバー4との間隔は同じとなる。
(中性点端子及び電力受電端子の設定)
図6、図7に示すように、本実施形態では、U2相の巻線について、中性点端子T0ua及び電力受電端子T2uは、U1相の中性点端子T0u及び電力受電端子T1uに対して周方向において180度相対向する位置に設けられる。従って、U2相の巻線について、5個目のセグメントSG5aの外側導体OS及び内側導体ISの連結導体部OSc,IScを分離する。
【0087】
ここで、U1相巻線と同様に、図16に示すように、外側導体OSの連結導体部OScの分離端であって同外側導体OSの第4導体部OSoに繋がる方と、内側導体ISの連結導体部IScの分離端であって同内側導体ISの第2導体部ISiに繋がる方とを接続する。
【0088】
そして、外側導体OSの連結導体部OScの分離端であって同外側導体OSの第1導体部OSiに繋がる方を、U2相の中性点端子T0uaとしている。一方、内側導体ISの連結導体部IScの分離端であって同内側導体ISの第3導体部ISoに繋がる方を、U2相の電力受電端子T2uとしている。
【0089】
つまり、中性点端子T0uaは、スロット番号「25」のスロットS内の径方向において最も内側に配置された外側導体OSの第1導体部OSiから引き出された端子である。また、電力受電端子T2uは、スロット番号「31」のスロットS内の径方向において3番目に外側に配置された内側導体ISの第3導体部ISoから引き出された端子である。
【0090】
従って、電力受電端子T2uは、中性点端子T0uaよりもスロットS内の径方向において外側に配置される。そして、U2相の電力受電端子T2u及び中性点端子T0uaは、それぞれU1相の電力受電端子T1u及び中性点端子T0uに対して、コア7の周方向に180度相対向する位置に配置される。
【0091】
次に、V2相の巻線について、中性点端子T0va及び電力受電端子T2vは、V1相の中性点端子T0v及び電力受電端子T1vに対して周方向において242度相対向する位置に設けられる。従って、図6、図7に示すように、V2相の巻線について、スロット番号「33」及び「39」に挿入されたセグメントSGの外側導体OS及び内側導体ISの連結導体部OSc,IScを分離する。
【0092】
同様に、外側導体OSの連結導体部OScの分離端であって同外側導体OSの第4導体部OSoに繋がる方と、内側導体ISの連結導体部IScの分離端であって同内側導体ISの第2導体部ISiに繋がる方とを接続する。
【0093】
そして、外側導体OSの連結導体部OScの分離端であって同外側導体OSの第1導体部OSiに繋がる方を、V2相の中性点端子T0vaとしている。一方、内側導体ISの連結導体部IScの分離端であって同内側導体ISの第3導体部ISoに繋がる方を、V2相の電力受電端子T2vとしている。
【0094】
つまり、中性点端子T0vaは、スロット番号「33」のスロットS内の径方向において最も内側に配置された外側導体OSの第1導体部OSiから引き出された端子である。また、電力受電端子T2vは、スロット番号「39」のスロットS内の径方向において3番目に外側の位置に配置された内側導体ISの第3導体部ISoから引き出された端子である。従って、電力受電端子T2vは、中性点端子T0vaよりスロットS内の径方向において外側に配置される。
【0095】
次に、W2相の巻線について、中性点端子T0wa及び電力受電端子T2wは、W1相の中性点端子T0w及び電力受電端子T1wに対して周方向において138度相対向する位置に設けられる。従って、図6、図7に示すように、W2相の巻線について、スロット番号「29」及び「35」に挿入されたセグメントSGの外側導体OS及び内側導体ISの連結導体部OSc,IScを分離する。
【0096】
同様に、外側導体OSの連結導体部OScの分離端であって同外側導体OSの第4導体部OSoに繋がる方と、内側導体ISの連結導体部IScの分離端であって同内側導体ISの第2導体部ISiに繋がる方とを接続する。
【0097】
そして、外側導体OSの連結導体部OScの分離端であって同外側導体OSの第1導体部OSiに繋がる方を、W2相の中性点端子T0waとしている。一方、内側導体ISの連結導体部IScの分離端であって同内側導体ISの第3導体部ISoに繋がる方を、W2相の電力受電端子T2wとしている。
【0098】
つまり、中性点端子T0waは、スロット番号「29」のスロットS内の径方向において最も内側に配置された外側導体OSの第1導体部OSiから引き出された端子である。また、電力受電端子T2wは、スロット番号「35」のスロットS内の径方向において3番目に外側の位置に配置された内側導体ISの第3導体部ISoから引き出された端子である。従って、電力受電端子T2wは、中性点端子T0waよりスロットS内の径方向において外側に配置される。
【0099】
これによって、各相の電力受電端子T2u,T2v,T2wは、スロットS内の径方向において3番目に外側の位置にそれぞれ配置され、各相の中性点端子T0ua,T0va,T0waは、スロットS内の径方向において最も内側にそれぞれ配置される。しかも、各相の電力受電端子T2u,T2v,T2wは互いに短い位置に配置されている。同様に、各相の中性点端子T0ua,T0va,T0waも、各相の電力受電端子T2u,T2v,T2wの内側であって互いに短い位置に配置されている。
【0100】
従って、各相の中性点端子T0ua,T0va,T0waを互いに接続する中性線L2nは、各相の電力受電端子T2u,T2v,T2wより内側に配置される。その結果、図3に示すように、各相の電力受電端子T2u,T2v,T2wから引き出される各引出線L2u,L2v,L2wは、中性線L2nより径方向において外側に配置される。
【0101】
そして、各相の中性点端子T0ua,T0va,T0waを互いに接続し、各相の電力受電端子T2u,T2v,T2wを引き出せば、第2系統の3相Y結線の巻線が形成され、図17に示すような電気回路が形成される。なお、図中、「L1」は、電力受電端子T2u,T2v,T2wからそれぞれの巻線が周回し、それぞれ外側導体OSの連結導体部OScの分離端と内側導体ISの連結導体部IScの分離端との接続点までのインダクタンスを示す。また。「L2」は、それぞれその外側導体OSの連結導体部OScの分離端と内側導体ISの連結導体部IScの分離端との接続点から、それぞれの各中性点端子T0ua,T0va,T0waまでのインダクタンスを示す。
【0102】
上記のように第1系統3相巻線と第2系統3相巻線が巻回されたステータ6の内側には、図1に示すように、ロータ11が配設されている。ロータ11は回転軸12を有し、該回転軸12は筒状ハウジング3のリアカバー壁3a及びフロントカバー4に設けられた軸受け14,15により回転可能に支持されている。又、ロータ11の回転軸12にはロータコア16が外嵌され、該ロータコア16の外周には、前記ステータ6、詳しくはティース9の径方向内側端部と相対向するように複数のマグネットMGが等角度間隔で設けられている。尚、本実施形態のロータ11は、図18に示すように、コンシクエントポール型のロータコアであって、そのロータコア16に取着されたマグネットMGの数は5個、突極17の数は5個で界磁極数は10個となっている。
【0103】
ちなみに、コンシクエントポール型のロータのモータにおいては、図19に示すように、2×p極(但し、「p」は極対数)の磁極が周方向に配置されたコンシクエントロータ11と、前記磁極当たり複数個設けられる前記ロータ11と径方向に対向して、ティース9(スロットS)の個数「Z」が、「2×p×m×n(個)」(但し、「m」はステータ巻線の相数、「n」は自然数)を有するコア7と前記スロットSに巻回された多相の巻線を有するステータ6とからなる。
【0104】
ちなみに、図19に示す場合では、この数式に基づいて、ティース9の個数「Z」は、
Z=2×5(マグネットMGの個数)×3(相数)×2=60個
となる。
【0105】
また、コンシクエントロータ11のロータコア16は、鋼板よりなるロータコア片が積層されて形成されている。また、ロータコア16には、径方向位置に、ロータコア片よりも比重及び磁性の小さい空隙30(小磁性軽量部)が形成されている。
【0106】
これにより、磁気がロータコア16内で移動し易いコンシクエントロータ11においては、空隙30(小磁性軽量部)の磁気移動抑制効果による渦電流抑制効果に加えて、ロータコア片が複数積層されることで、さらに渦電流の発生が抑制される。
【0107】
また、筒状ハウジング3のリアカバー壁3aの内側であって、ステータ6に配線した第1系統3相巻線の中性線L1nと対峙した位置に、第1収容凹部18を形成し、その第1収容凹部18に、中性線L1nが介在するスペースを設けている。これによって、リアカバー壁3a側に張り出される中性線L1を、この第1収容凹部18により軸方向に逃がすことができ、その分、モータの軸方向の体格を小さくできる。
【0108】
この第1収容凹部18には、第1貫通孔H1が形成されている。第1収容凹部18に形成された第1貫通孔H1は、長孔であって、中性線L1nに隣接して形成された第1系統3相巻線の各相の電力受電端子T1u,T1v,T1wと対峙している。そして、電力受電端子T1u,T1v,T1wから引き出される各引出線L1u,L1v,L1wが、図1に示すように、第1貫通孔H1を貫通して収容ボックス5内に案内されるようになっている。
【0109】
また、筒状ハウジング3のリアカバー壁3aの内側であって、ステータ6に配線した第2系統3相巻線の中性線L2nと対峙した位置に、第2収容凹部19を形成し、その第2収容凹部19に、中性線L2nが介在するスペースを設けている。これによって、リアカバー壁3a側に張り出される中性線L2を、この第2収容凹部19により軸方向に逃がすことができ、その分、モータの軸方向の体格を小さくできる。
【0110】
この第2収容凹部19には、第2貫通孔H2が形成されている。第2収容凹部19に形成された第2貫通孔H2は、長孔であって、中性線L2nに隣接して形成された第2系統3相巻線の各相の電力受電端子T2u,T2v,T2wと対峙している。そして、電力受電端子T2u,T2v,T2wから引き出される各引出線L2u,L2v,L2wが、図1に示すように、第2貫通孔H2を貫通して収容ボックス5内に案内されるようになっている。
【0111】
リアカバー壁3aの外側に固設した収容ボックス5内には、駆動装置20が収納されている。駆動装置20の回路基板21は、ロータ11の回転制御するための回転センサ22、ECU(電子制御ユニット)23、第1スイッチングトランジスタQ1u,Q1v,Q1w及び第2スイッチングトランジスタQ2u,Q2v,Q2w等の各種の回路素子が実装されている。
【0112】
回転センサ22は、リアカバー壁3aから外側に軸線方向に突出した回転軸12に相対向するように回路基板21に実装されている。回転センサ22は、本実施形態ではホールICからなり、回転軸12の軸端面に固着した回転センサ22と一体回転する検出用マグネット22aの回転角を検出する。
【0113】
ECU(電子制御ユニット)23は、マイクロコンピュータを有している。ECU23は、回転センサ22からの検出信号に基づいて、その時々のブラシレスモータ1の回転角度、回転速度等を検出する。そして、ECU23は、第1系統3相巻線及び第2系統3相巻線の各相へ電力供給タイミング演算する。
【0114】
第1スイッチングトランジスタQ1u,Q1v,Q1wは、例えば、パワーMOSトランジスタからなり、ECU23の制御信号に基づいて、オンオフ制御されるようになっている。第1スイッチングトランジスタQ1u,Q1v,Q1wは、所定のタイミングでオンオフ制御されることによって、第1系統3相巻線の各相に電力をそれぞれ供給制御する。これによって、第1系統3相巻線による回転磁界がステータ6に生成される。
【0115】
回路基板21に実装された第1スイッチングトランジスタQ1u,Q1v,Q1wは、軸線方向から見て、第1系統3相巻線に形成した各相の電力受電端子T1u,T1v,T1wと相対向する側に実装されている。そして、その回路基板21の第1スイッチングトランジスタQ1u,Q1v,Q1wとそれぞれ接続され、軸線方向から見て電力受電端子T1u,T1v,T1wと相対向する前記回路基板21の径方向外周側の位置には、各相に電力を供給する出力端子O1u,O1v,O1wがそれぞれ形成されている。
【0116】
従って、各相の電力受電端子T1u,T1v,T1wから引き出される各引出線L1u,L1v,L1wは、リアカバー壁3aに形成した第1貫通孔H1を貫通して各相の電力受電端子T1u,T1v,T1wと各相に出力端子O1u,O1v,O1wとを軸線方向に最短距離でそれぞれ接続する。
【0117】
第2スイッチングトランジスタQ2u,Q2v,Q2wは、例えば、パワーMOSトランジスタからなり、ECU23の制御信号に基づいて、オンオフ制御されるようになっている。第2スイッチングトランジスタQ2u,Q2v,Q2wは、所定のタイミングでオンオフ制御されることによって、第2系統3相巻線の各相に電力をそれぞれ供給制御する。これによって、第2系統3相巻線による回転磁界がステータ6に生成される。
【0118】
回路基板21に実装された第2スイッチングトランジスタQ2u,Q2v,Q2wは、軸線方向から見て、第2系統3相巻線に形成した各相の電力受電端子T2u,T2v,T2wと相対向する側に実装されている。そして、その回路基板21の第1スイッチングトランジスタQ1u,Q1v,Q1wとそれぞれ接続され、軸線方向から見て電力受電端子T2u,T2v,T2wと相対向する位置には、各相に電力を供給する出力端子O2u,O2v,O2wがそれぞれ形成されている。
【0119】
従って、各相の電力受電端子T2u,T2v,T2wから引き出される各引出線L2u,L2v,L2wは、リアカバー壁3aに形成した第2貫通孔H2を貫通して各相の電力受電端子T2u,T2v,T2wと各相に出力端子O2u,O2v,O2wとを軸線方向に最短距離でそれぞれ接続する。
【0120】
なお、本実施形態のブラシレスモータ1は、電動パワーステアリング装置等に用いられるものであって、前記ロータ11の回転軸12が、図示しない減速機に連結され、該減速機を介して被駆動部としての図示しないステアリングシャフト等の相手シャフトに連結され、同ステアリングシャフト等の相手シャフトを駆動するものである。
【0121】
次に、上記実施の形態の特徴的な作用効果を以下に記載する。
(1)本実施形態によれば、ステータ6のSC巻線の各電力受電端子T1u,T1v,T1w,T2u,T2v,T2wを、フロントカバー4側に設けたセグメントSGの先端部間の溶接部材B1,B2と反対側のリアカバー壁3a側に設けた。従って、各電力受電端子T1u,T1v,T1w,T2u,T2v,T2wは、フロントカバー4側の密集する溶接箇所を避けて、リアカバー壁3a側でそれぞれ各引出線L1u,L1v,L1w,L2u,L2v,L2wと接続でき、コギングトルクの小さなSC巻線からなるブラシレスモータ1の体格を小さくできる。
【0122】
また、各電力受電端子T1u,T1v,T1w,T2u,T2v,T2wを、セグメントSGの先端間の溶接部分ではなく、リアカバー壁3a側に配置された寸法形成されたU字状のセグメントSGの連結導体部ISc,OScに形成したので、SC巻線を形成する各U字状のセグメントSGの連結導体部ISc,OScとリアカバー壁3aと間のクリアランスを短くでき、ブラシレスモータ1の体格を小さくできる。
【0123】
また、各電力受電端子T1u,T1v,T1w,T2u,T2v,T2wに接続された対応する各引出線L1u,L1v,L1w,L2u,L2v,L2wは、寸法形成されたセグメントSGの連結導体部ISc,OScからそのまま軸方向に引き出してくるので、収容ボックス5内の回路基板21に設けた各出力端子O1u,O1v,O1w,O2u,O2v,O2wとの接続が容易となる。
【0124】
リアカバー壁3a側に設けた各電力受電端子T1u,T1v,T1w,T2u,T2v,T2wは、軸線方向に引き出されリアカバー壁3aに形成した第1及び第2貫通孔H1,H2を、それぞれ各引出線L1u,L1v,L1w,L2u,L2v,L2wを介して、貫通してリアカバー壁3aに隣接する制御回路の各出力端子O1u,O1v,O1w,O2u,O2v,O2wに接続されるようにしたので、制御回路の部品をその内径側に置くことが可能になり、制御回路を有するブラシレスモータ1の体格が全体として小体格となる。
【0125】
また、セグメントSGの溶接部分をフロントカバー4側、すなわち、制御回路と反対側にしたので、溶接時の残渣が収容ボックス5内の制御回路の各回路等に付着することも抑制することができる。
【0126】
(2)本実施形態によれば、リアカバー壁3a側に設けた各電力受電端子T1u,T1v,T1w,T2u,T2v,T2wは、スロットS内の径方向において3番目に外側の位置にそれぞれ配置されることから、軸線方向に引き出される各引出線L1u,L1v,L1w,L2u,L2v,L2wは、収容ボックス5内の制御回路の部品を実装する回路基板21に外側に対峙する。そのため、回路基板21の外側に各出力端子O1u,O1v,O1w,O2u,O2v,O2wを配置し、回路基板21の内側に回路部品を実装することが可能になり、制御回路を有するブラシレスモータ1の体格を全体として小さくできる。
【0127】
(3)本実施形態によれば、フロントカバー4側に配置されたステータ6の周方向に繋げたセグメントSGの先端部間の各溶接部材B1,B2は、軸方向の長さが同一になるようにした。従って、SC巻線を形成する各セグメントSGの先端部間の各溶接部材B1,B2とフロントカバー4と間のクリアランスを短くでき、ブラシレスモータ1の軸方向の体格を小さくできる。
【0128】
加えて、セグメントSGの溶接部の高さが同一なので、溶接する際の軸方向移動が不要となるため、溶接を短時間で実施できる。
(4)本実施形態によれば、筒状ハウジング3のリアカバー壁3aの内側であって、中性線L1n,L2nと対峙した位置に、第1及び第2収容凹部18,19を形成し、その第1及び第2第1収容凹部18,19に、中性線L1n,L2nが介在するスペースを設けた。これによって、リアカバー壁3a側に張り出される中性線L1,L2nを、この第1及び第2収容凹部18,19により軸方向に吸収することができ、その分、モータの軸方向の体格を小さくできる。
【0129】
(5)本実施形態によれば、第1及び第2収容凹部18,19であって中性線L1n,L2nに隣接して形成された第1及び第2系統3相巻線の電力受電端子T1u,T1v,T1w,T2u,T2v,T2wと対峙した部分に、それぞれ第1及び第2貫通孔H1,H2を形成した。従って、第1及び第2貫通孔H1は、それぞれ引出線L1u,L1v,L1w,L2u,L2v,L2wを貫通させるだけの最低限の大きさの孔にすることができ、モータケース2と収容ボックス5との間で、行き来する異物の相互間移動を抑制することができる。
【0130】
上記実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、第1及び第2収容凹部18,19の一部分の電力受電端子T1u,T1v,T1w,T2u,T2v,T2wと対峙した部分に、それぞれ第1及び第2貫通孔H1,H2を形成した。これを、リアカバー壁3aに第1及び第2収容凹部18,19を形成しない実施してもよい。
【0131】
この場合、図20に示すように、第2系統3相巻線の各引出線L2u,L2v,L2wを貫通するリアカバー壁3aに形成した第1及び第2貫通孔H1,H2の径方向の幅を、中性線L1n,L2nが軸方向から見て視認できるように、中心軸線側に幅を持たして形成する。この場合、リアカバー壁3a側に張り出される中性線L1,L2nは、この第1及び第2貫通孔H1,H2により軸方向に逃がすことができ、その分、モータの軸方向の体格を小さくできる。
【0132】
・上記実施の形態では、モータケース2は、有底の筒状ハウジング3とフロントカバー4とで形成した。これを、筒状ハウジング3をリア側及びフロント側の両側が開口した筒状ハウジングとし、その筒状ハウジング3のフロント側開口部をフロントカバー4で閉塞し、筒状ハウジング3のリア側開口部をリアカバーで閉塞してモータケース2を形成してもよい。この場合、リアカバーにリアカバー壁3aに代わって、第1及び第2収容凹部18,19や第1及び第2貫通孔H1,H2が形成されることになる。
【0133】
・上記実施の形態では、外側導体OSの連結導体部OScの分離端であって同外側導体OSの第1導体部OSiに繋がる方を中性点端子とし、内側導体ISの連結導体部IScの分離端であって同内側導体ISの第3導体部ISoに繋がる方を電力受電端子とした。
【0134】
これを、例えば、外側導体OSの連結導体部OScの分離端であって同外側導体OSの第1導体部OSiに繋がる方を電力受電端子とし、内側導体ISの連結導体部IScの分離端であって同内側導体ISの第3導体部ISoに繋がる方を中性点端子として実施してもよい。この場合、各相の電力受電端子は、各相の中性点端子よりスロットS内の径方向において内側に配置される。そのため、回路基板21に形成される各相に出力端子O1u,O1v,O1w,O2u,O2v,O2wが、配線レイアウトの制約から回路基板21の中央部周辺に形成される場合、引出線L1u,L1v,L1w,L2u,L2v,L2wを外側に配置される中性線L1n,L2nをクロスすることなく最も短くすることができる。
【0135】
・上記実施の形態では、上記実施形態ではスロットSの数を60個にしたが、これに限定されるものではなく、例えば、スロットSの数を45個にする等、適宜変更して実施してもよい。
【0136】
・上記実施の形態では、引出線の配線長さを最短とするために、第1系統3相Y結線巻線の各相の電力受電端子T1u,T1v,T1wを、周方向にW1相、V1相、U1相の順で配置し、第2系統3相Y結線巻線の各相の電力受電端子T2u,T2v,T2wを、周方向にU2相、W2相、V2相の順で配置した。
【0137】
これを、第1系統3相Y結線巻線の各相の電力受電端子T1u,T1v,T1wに合わせて、第2系統3相Y結線巻線の各相の電力受電端子T2u,T2v,T2wを、周方向にW2相、V2相、U2相の順で配置して実施してもよい。
【0138】
この場合、図7において、第2系統3相Y結線巻線のW2相の電力受電端子T2w及び中性点端子T0waは、スロット番号「23」及び「29」のスロットSに挿入されるセグメントSGにて形成される。つまり、スロット番号「23」及び「29」のスロットSに挿入されるセグメントSGについて、波巻用の外側導体OSの連結導体部OSc及び前記重ね巻用の内側導体ISの連結導体部IScをそれぞれ分離する。そして、そして、上記同様に接続した後、内側導体ISの第3導体部ISoに繋がる分離端をW2相の電力受電端子T2wとするとともに、外側導体OSの第1導体部OSiに繋がる分離端をW2相の中性点端子T0waとする。
【0139】
また、W2相の電力受電端子T2v及び中性点端子T0vaは、スロット番号「27」及び「33」のスロットSに挿入されるセグメントSGにて形成される。つまり、スロット番号「27」及び「33」のスロットSに挿入されるセグメントSGについて、波巻用の外側導体OSの連結導体部OSc及び前記重ね巻用の内側導体ISの連結導体部IScをそれぞれ分離する。そして、上記同様に接続した後、内側導体ISの第3導体部ISoに繋がる分離端をV2相の電力受電端子T2vとするとともに、外側導体OSの第1導体部OSiに繋がる分離端をW2相の中性点端子T0vaとする。
【0140】
さらに、U2相の電力受電端子T2u及び中性点端子T0uaは、スロット番号「31」及び「37」のスロットSに挿入されるセグメントSGにて形成される。つまり、スロット番号「31」及び「37」のスロットSに挿入されるセグメントSGについて、波巻用の外側導体OSの連結導体部OSc及び前記重ね巻用の内側導体ISの連結導体部IScをそれぞれ分離する。そして、上記同様に接続した後、内側導体ISの第3導体部ISoに繋がる分離端をU2相の電力受電端子T2uとするとともに、外側導体OSの第1導体部OSiに繋がる分離端をU2相の中性点端子T0uaとする。
【0141】
この場合でも、各相の電力受電端子T2u,T2v,T2wを、径方向において中性点端子T0ua,T0va,T0waより外側に配置できる。
・上記実施の形態では、電力受電端子及び前記中性点端子を前記波巻用の外側導体OSの連結導体部OSc及び前記重ね巻用の内側導体ISの連結導体部IScでそれぞれ分離し、その一方を前記外側導体OSの前記第4導体部OSoに繋がる分離端と前記内側導体ISの前記第2導体部ISiに繋がる分離端とを電気的に接続するとともに、その他方を用いず、前記内側導体ISの分離した他方のものと同形態であって前記第3導体部ISoに繋がって軸方向に延びる引出し部を一体に形成した第1片側セグメントを用い、その引出し部を各相の前記電力受電端子T1u,T1v,T1w,T2u,T2v,T2wとし、前記外側導体OSの分離した他方のもとの同形態であって前記第1導体部OSiに繋がって軸方向に延びる引出し部を一体に形成した第2片側セグメントを用い、その引出し部を各相の前記中性点端子T0u,T0v,T0w,T0ua,T0va,T0waとしてもよい。
【0142】
この場合、軸方向に延びる引出し部を一体に形成した第1片側セグメントにおいて、その引出し部を電力受電端子T1u,T1v,T1w,T2u,T2v,T2wとした場合には、電力受電端子T1u,T1v,T1w,T2u,T2v,T2wは引出線L1u,L1v,L1w,L2u,L2v,L2wとなる。
【0143】
・上記実施の形態では、SC巻線について、前記波巻用の外側導体OSと前記重ね巻用の内側導体ISを周方向に交互に連結するものとしたが、波巻用の内側導体ISのみを周方向に連結するものであってもよいし、前記重ね巻用の外側導体OSのみを周方向に連結するものであってもよい。
【0144】
・上記実施の形態では、各電力受電端子は、それぞれの引出線を介して対応する出力端子とそれぞれ接続した。これを、各電力受電端子をそのまま軸線方向に引出線として延ばして対応する出力端子とそれぞれ接続するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0145】
1…ブラシレスモータ(モータ)、2…モータケース、3…筒状ハウジング、3a…リアカバー壁(リアカバー)、4…フロントカバー、5…収容ボックス、6…ステータ、7…コア、8…円筒部、9…ティース、10…インシュレータ、11,30…ロータ、12…回転軸、14,15…軸受、16…ロータコア、17…突極、18…第1収容凹部、19…第2収容凹部、20…駆動装置、21…回路基板、22…回転センサ、22a…検出用マグネット、23…ECU(電子制御ユニット)、30…空隙、B1,B2…溶接部材、S…スロット、S1〜S4…先端面、H1…第1貫通孔、H2…第2貫通孔、IS…内側導体、MG…マグネット、N1,N2…中性点、OS…外側導体、SG…セグメント、ISc,OSc…連結導体部、ISi…第2導体部、ISo…第3導体部、IWi…第2溶接部、IWo…第3溶接部、L1n,L2n…中性線(結線部)、L1u,L1v,L1w,L2u,L2v,L2w…引出線、O1u,O1v,O1w,O2u,O2v,O2w…出力端子、OSi…第1導体部、OSo…第4導体部、OWi…第1溶接部、OWo…第4溶接部、Q1u,Q1v,Q1w…第1スイッチングトランジスタ、Q2u,Q2v,Q2w…第2スイッチングトランジスタ、SG1〜SG10,SG1a〜SG10a…セグメント、T0u,T0v,T0w,T0ua,T0va,T0wa…中性点端子、T1u,T1v,T1w,T2u,T2v,T2w…電力受電端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状ケースのフロント側開口部にフロントカバーが取着され、筒状ケースのリア側開口部にリアカバーが取着されなるモータケースと、
前記モータケース内に配設され、回転軸の中心軸線に向かって延出形成されたてティースが径方向に等間隔に複数個配置され、ティースとティース間に形成される軸線方向に延びる各スロットに、U字状のセグメントが一方向から挿入され、各スロットから突出した先端間を周方向に繋げてなるSC巻線にて形成されたステータと、
を備えたモータであって、
前記ステータを、周方向に繋げたU字状のセグメントの先端間の溶接部がフロントカバーに、SC巻線の電力受電端子がリアカバーにそれぞれ対峙するように、モータケースに配設し、
前記SC巻線の電力受電端子をそのまま引出線としあるいは引出線を接続し、その引出線を軸方向に延出させてリアカバーに形成した貫通孔から突出させて前記リアカバーに隣接する制御回路の端子と接続するようにしたことを特徴とするモータ。
【請求項2】
請求項1に記載のモータにおいて、
前記電力受電端子は、スロットS内の径方向において外側の位置にそれぞれ配置され、その電力受電端子に接続された前記引出線が軸線方向にリアカバーに形成した貫通孔を介して前記制御回路の端子と接続したことを特徴とするモータ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のモータにおいて、
前記フロントカバー側に配置された前記ステータの周方向に繋げたU字状のセグメントの先端間の各溶接部は、軸方向の長さが同一であることを特徴とするモータ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のモータにおいて、
前記ステータに巻装したSC巻線は、各相の中性点端子を互いに接続する中性線を、リアカバーと対峙する位置に形成し、前記リアカバーには前記中性線あるいは中性線と前記中性点端子との結線部を逃がす収容凹部が形成されていることを特徴とするモータ。
【請求項5】
請求項4に記載のモータにおいて、
前リアカバーに形成した収容凹部は、前記引出線を貫通させる前記貫通孔であることを特徴とするモータ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のモータにおいて、
前記SC巻線は、第1導体部と第4導体部を有し前記第1導体部と前記第4導体部が基端部で連結された波巻用の外側導体と、第2導体部と第3導体部を有し前記第2導体部と前記第3導体部が基端部で連結され前記波巻用の外側導体に内包される重ね巻用の内側導体とからなるセグメントを有し、前記第1導体部と前記第2導体部、及び、前記第3導体部と前記第4導体部をそれぞれの組とし、前記各組を互いに隣接する同相の各スロットにそれぞれ挿入し、前記各スロットに、前記第1導体部から第4導体部を径方向に内側から第1導体部、第2導体部、第3導体部、第4導体部の順で配置し、
隣接する一方のスロットの第1導体部の先端部と隣接する他方のスロットの第2導体部の先端部とを接続するとともに、隣接する一方のスロットの第3導体部の先端部と隣接する他方のスロットの第4導体部の先端部とを接続することによって、SC巻線よりなる3相Y結線巻線が2つ1スロットピッチずれて形成され、前記2つの3相Y結線巻線の各相の電力受電端子と中性点端子を、それぞれ同一の導体部から軸線方向に引き出したことを特徴とするモータ。
【請求項7】
請求項6に記載のモータにおいて、
前記一方の3相Y結線巻線の各相の前記電力受電端子及び前記中性点端子は、
隣接する各相のセグメントについて、前記波巻用の外側導体の基端連結部分及び前記重ね巻用の内側導体の基端連結部分でそれぞれ分離し、その一方を前記外側導体の前記第4導体部に繋がる分離端と前記内側導体の前記第2導体部に繋がる分離端とを電気的に接続するとともに、その他方を用いず、前記内側導体の分離した他方のものと同形態であって前記第3導体部に繋がって軸方向に延びる引出し部を一体に形成した第1片側セグメントを用い、その引出し部を各相の前記電力受電端子とし、前記外側導体の分離した他方のもとの同形態であって前記第1導体部に繋がって軸方向に延びる引出し部を一体に形成した第2片側セグメントを用い、その引出し部を各相の前記中性点端子とし、
前記他方の3相Y結線巻線の各相の前記電力受電端子及び前記中性点端子は、
隣接する各相のセグメントについて、前記波巻用の外側導体の基端連結部分及び前記重ね巻用の内側導体の基端連結部分でそれぞれ分離し、その一方を前記外側導体の前記第4導体部に繋がる分離端と前記内側導体の前記第2導体部に繋がる分離端とを電気的に接続するとともに、その他方を用いず、前記内側導体の分離した他方のものと同形態であって前記第3導体部に繋がって軸方向に延びる引出し部を一体に形成した第1片側セグメントを用い、その引出し部を各相の前記電力受電端子とし、前記外側導体の分離した他方のもとの同形態であって前記第1導体部に繋がって軸方向に延びる引出し部を一体に形成した第2片側セグメントを用い、その引出し部を各相の前記中性点端子としたことを特徴とするモータ。
【請求項8】
2×p極(但し、pは極数対)の磁極が周方向に交互に配置されたコンシクエントロータと、
前記磁極当たり複数個設けられる前記ロータと径方向に対向して2×p×m×n個(但し、mはステータ巻線の相数、nは自然数)のティース及びスロットを有するコアと前記スロットに巻回された多相の巻線とを有するステータと
を備えたブラシレスモータであって、
前記セグメントに定形状のセグメントが挿入されてステータ巻線を構成し、
前記セグメントの電力受電端子がそのまま軸線方向に延びる引出線となって、あるいは、軸線方向に延びる引出線に接続され、その引出線が前記ステータを内装する筒状ケースの開口部に配置されたカバーに形成された貫通孔から突出して前記カバーに隣接する制御回路の端子と接続するようにしたことを特徴とするモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−143089(P2012−143089A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178(P2011−178)
【出願日】平成23年1月4日(2011.1.4)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】