ラインヘッドの制御方法及びそれを用いた画像形成装置
【課題】露光位置ずれなどを補正して画質を向上させたラインヘッドの制御方法およびそれを用いた画像形成装置の提供。
【解決手段】各発光素子行の感光体の回動方向の露光位置ずれ量を、レジスタに記憶する(○1)。湾曲・斜行ずれ量検出用パターンを印刷する(○2)。印刷する際は、レンズ内での画素データの順序変換と各発光素子行の副走査方向の露光位置ずれ補正処理を行う。印刷した湾曲・斜行ずれ量検出用パターンを光学センサ等で読み取り、湾曲ずれ量と斜行ずれ量をμm単位で測定する(○3)。測定結果から湾曲補正情報と斜行補正情報を算出する(○4)。算出した湾曲補正情報と斜行補正情報を、EEPROMに記憶する(○5)。
【解決手段】各発光素子行の感光体の回動方向の露光位置ずれ量を、レジスタに記憶する(○1)。湾曲・斜行ずれ量検出用パターンを印刷する(○2)。印刷する際は、レンズ内での画素データの順序変換と各発光素子行の副走査方向の露光位置ずれ補正処理を行う。印刷した湾曲・斜行ずれ量検出用パターンを光学センサ等で読み取り、湾曲ずれ量と斜行ずれ量をμm単位で測定する(○3)。測定結果から湾曲補正情報と斜行補正情報を算出する(○4)。算出した湾曲補正情報と斜行補正情報を、EEPROMに記憶する(○5)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光位置ずれなどを補正して画質劣化を抑制したラインヘッドの制御方法およびそれを用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の露光光源として、LEDを用いたラインヘッドを設置する構成のものが知られている。特許文献1においては、ラインヘッドの本体取付け精度に起因する斜行ずれを、斜行ずれ量に応じたブロック単位で補正する方法が提案されている。この発明では、斜行ずれ量に基づいて、画像メモリを感光体の軸方向(主走査方向)に沿って複数の記憶領域に分割する。すなわち、ブロック単位に分割する。次に、斜行ずれ量に応じて、各分割記憶領域の読み出しアドレスを変換して、斜行ずれを補正している。これによって、少ないメモリ容量と簡単な回路構成で斜行ずれ補正を実現している。
【0003】
【特許文献1】特開2003−285473
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
結像レンズアレイとして、光学倍率がマイナスのマイクロレンズを用いたマイクロレンズアレイ(MLA)ラインヘッドにおいては、単一のレンズに対して、感光体の回動方向(副走査方向)に、複数行の発光素子行が配列されている。このため、感光体には、回動方向に異なる位置に潜像が形成される露光位置ずれが生じることになる。前記特許文献1に記載されたような従来のブロック単位での斜行補正方法では、このような露光位置ずれを考慮していない。
【0005】
また、製造精度に起因して、ラインヘッドが湾曲して製造されることがある。このような場合には、感光体に形成される潜像は湾曲ずれが生じて画質が劣化する。前記特許文献1には、このような湾曲ずれによる画質劣化の抑制も考慮されていない。このため、前記特許文献1では、MLAラインヘッドの画質劣化に対応できないという問題があった。
【0006】
さらに、前記特許文献1では、ラインヘッドの斜行補正情報を取得する際に、斜行ずれ量検出用パターンを印刷し、その印刷結果を光学センサ等で測定することによって、斜行ずれ量を検出している。しかしながら、MLAラインヘッドにおいては、前記のように発光素子行毎の露光位置ずれがあるので、特許文献1を適用した場合には、斜行ずれ量検出用パターン自体が正常に印刷ができない。このため、正確な斜行補正情報を取得できないいう問題があった。
【0007】
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ラインヘッドの製造精度に起因する湾曲ずれと、本体取付け精度に起因する斜行ずれと、露光位置ずれを補正し、画質を向上させたラインヘッドの制御方法およびそれを用いた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明のラインヘッドの制御方法は、基板と、前記基板に感光体の軸方向に沿って発光素子を複数配列して発光素子グループ行が形成された発光体アレイと、前記発光体アレイに対応して設けられた結像レンズアレイとを備え、前記発光体アレイおよび結像レンズアレイを前記感光体の回動方向に対して複数行配置し、前記感光体に対して行毎に異なる位置に潜像を形成するラインヘッドを有し、
前記発光素子を前記感光体の軸方向に沿って複数に分割してブロックを形成し、
前記ブロック内の発光素子に対応する画素データの並び換え処理、および前記画素データの送信遅延処理を行って、
前記ラインヘッドの製造精度に起因する湾曲ずれと、本体取付け精度に起因する斜行ずれと、前記感光体の露光位置ずれとを補正することを特徴とする、ラインヘッドの制御方法。
【0009】
また、本発明のラインヘッドの制御方法は、前記前記ブロック単位は、前記結像レンズアレイの1つのレンズに対応した複数個の発光素子であること特徴とする。
【0010】
また、本発明のラインヘッドの制御方法は、前記画素データの並び換え処理は、前記結像レンズアレイの光学倍率がマイナスのレンズに対応した発光順序の並び換え処理であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のラインヘッドの制御方法は、前記画素データの送信遅延処理は、前記感光体に対して行毎に異なる位置に潜像を形成する露光位置ずれを補正する処理であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のラインヘッドの制御方法は、前記湾曲ずれを補正するための湾曲補正情報と、前記斜行ずれを補正するための斜行補正情報と、前記感光体に対して行毎に異なる位置に潜像を形成するラインヘッドの発光素子行の露光位置ずれを補正するための発光素子行補正情報とを、補正情報として記憶する記憶手段を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明のラインヘッドの制御方法は、前記湾曲補正情報を取得するための湾曲ずれ量測定と、前記斜行補正情報を取得するための斜行ずれ量測定とを行う前に、前記光学倍率がマイナスのレンズに対応した発光順序の並び換え処理をすることを特徴とする。
【0014】
また、本発明のラインヘッドの制御方法は、前記湾曲補正情報を取得するための湾曲ずれ量測定と、前記斜行補正情報を取得するための斜行ずれ量測定とを行う前に、前記発光素子行補正情報に従って発光素子行の露光位置ずれを補正することを特徴とする。
【0015】
本発明の画像形成装置は、像担持体の周囲に帯電手段と、前記いずれかの方法で制御されるラインヘッドと、現像手段と、転写手段との各画像形成用ユニットを配した画像形成ステーションを少なくとも2つ以上設け、転写媒体が前記各画像形成ステーションを通過することにより、タンデム方式で画像形成を行うことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図を参照して本発明を説明する。図9は、本発明の実施形態を示す説明図である。図9(a)は結像レンズ4を通して発光素子グループ6をみた状態でラインヘッドを部分的に示す平面図、図9(b)は単一の結像レンズ4と発光素子グループ6との関係を示す平面図である。図9(a)に示されているように、感光体の軸方向(主走査方向)に、それぞれの結像レンズと対応して発光素子グループが複数配列されている。
【0017】
このように、発光素子は感光体の軸方向に沿って各結像レンズと対応して発光素子グループがブロック単位として区分されている。また、結像レンズ4は、感光体の軸方向および回動方向に複数設けられており、結像レンズアレイを構成している。なお、発光素子グループ6は基板上に形成されており、全体として発光素子アレイを構成している。
【0018】
本発明の実施形態においては、このような感光体の軸方向に発光素子グループが複数配列された状態を「発光素子グループ行」と定義する。図9(a)には、発光素子グループ行が感光体の回動方向にA、B、Cの複数配置されている。各発光素子グループ行A〜Cは、前記のように発光体アレイを形成している。各発光素子グループ行A〜Cの感光体の軸方向で隣接する発光素子グループにおいて、中心位置間の長さR、S、Tは等しく設定される。また、感光体の回動方向で隣接する各発光素子グループ行A〜Cの発光素子グループにおいて、中心位置間の長さr、s、tも等しく設定される。
【0019】
図9(b)において、発光素子グループ6には、感光体の軸方向に複数の発光素子を配列した発光素子行7aが設けられている。この発光素子行は、感光体の回動方向に複数配列されており、図9(b)の例では、発光素子行7a、7b、7cが設けられている。このように、図9(a)、(b)には、例えば発光素子グループ行Aでは3行の発光素子行7a、7b、7cが設けられることが記載されている。また、結像レンズも感光体の回動方向に3列配列されている。
【0020】
図10、図11は、図9のような結像レンズと発光素子グループとが対応されているラインヘッドにおいて、感光体に露光位置ずれが生じる例の説明図である。図10において、各発光素子グループ行A〜Cの先頭位置に単体の結合レンズ4、5、8がそれぞれ配列されている。結合レンズ行間ピッチをDa、Dbとする。
【0021】
結合レンズは、光学倍率がマイナスのマイクロレンズ(ML)を用いており、各MLの集合体でマイクロレンズアレイ(MLA)を構成している。このようなMLAにおいては、MLAのレンズ行間ピッチと、感光体の直径には個体差がある、などにより露光位置ずれが生ずる。このような露光位置ずれが生ずると、図11(a)に示すような潜像が感光体に形成される。
【0022】
図11(a)において、6a、6b、6cは、MLAの露光位置ずれを補正しない場合の感光体に形成される潜像のパターンを示している。TaはMLAのレンズ行間露光位置ずれを示し、TbはMLAのレンズ内露光位置ずれを示している。ここで、レンズ行間とは、結像レンズが感光体の軸方向と直交する方向に複数配列された場合のレンズ間の関係を表現している。潜像のパターン6aには、潜像列k〜nが含まれる。また、潜像のパターン6bには潜像列p〜rが含まれ、潜像のパターン6cには潜像列s〜uが含まれる。
【0023】
図11(b)は、MLAの露光位置ずれを補正した場合の潜像を示す説明図である。この際に潜像16は、各MLを透過した出力光により17a〜17fのように感光体に形成される。すなわち、当該潜像は、感光体の軸方向(主走査方向)に1つの直線状に形成される。このため、画質の劣化を抑制することができる。この補正の際には、感光体の移動方向をYとすると、例えば次のように処理する。図11(a)の潜像のパターン6aの部分の例では、潜像列kを基準としてレンズ内露光位置ずれ補正を行う。すなわち、潜像列mを潜像列kよりも1行遅延させたタイミングで形成する。また、潜像列nは潜像列kよりも2行遅延させたタイミングで形成する。
【0024】
潜像のパターン6b、6cの部分も同様に潜像列を1行ずつ遅延させて露光位置ずれ補正を行う。レンズ行間露光位置ずれ補正は、潜像のパターン6aを基準として潜像のパターン6bをY方向に1タイミング遅延させ、潜像のパターン6cはY方向に2タイミング遅延させる。したがって、実際の露光位置ずれ補正は、潜像のパターン6aの潜像列kを基準として、各線像列m〜uは、順次1行ずつY方向にタイミングを遅延させて形成することになる。
【0025】
本発明の実施形態においては、前記MLAの露光位置ずれを、前記ブロック単位で発光素子を制御することにより補正するものである。また、
ラインヘッドの製造精度に起因する湾曲ずれと、本体取付け精度に起因する斜行ずれを併せて補正し、画質劣化を防止するものである。以下、この実施形態について説明する。
【0026】
本発明においては、光学倍率がマイナスのマイクロレンズを使用する。このため、光学倍率が正のレンズを用いる場合とは異なり、データの並べ替えが必要になる。先にこの点について説明する。図3は、光学倍率が正のレンズを用いる場合の発光素子の配列と感光体に形成される潜像の関係を示す説明図である。図3において、2は発光素子で○1〜○60が配列されている(以下、変換上の理由で丸付数字を○1のように表記する。)。4aはレンズ、6は潜像である。この例では、レンズ4aを介して感光体に形成される潜像の結像ドット○1〜○60は、発光素子○1〜○60と対応している。Yは感光体の回動方向である。
【0027】
図4は、光学倍率がマイナスのマイクロレンズを使用する例の説明図である。図4において、発光素子2は図3と同様に○1〜○60が配列されている。光学倍率がマイナスのマイクロレンズ4は、発光素子2の出力光を感光体の軸方向と、感光体の回動方向において反転させて感光体に照射する。このため、感光体に形成される潜像6の結像ドット○1〜○60は、発光素子2の配列とは、感光体の軸方向と、感光体の回動方向で反転されることになる。したがって、図3と同じように感光体に潜像を形成する場合には、感光体の軸方向と感光体の回動方向で反転させるようにデータの並び替えが必要になる。
【0028】
図1は、各補正情報の取得手順を示すブロック図である。図1においては、予め、MLAとラインヘッドの発光素子配置(設計値)から、各発光素子行の感光体の回動方向(副走査方向)の露光位置ずれ量(ライン単位)を、ヘッドコントローラ20のレジスタに記憶しておく(○1)。本実施形態では、発光素子グループ内の発光素子行間の露光位置ずれ量を2ライン、発光素子グループ間の露光位置ずれ量を160ラインとしている。
【0029】
湾曲・斜行ずれ量検出用パターンを印刷する(○2)。印刷する際は、ヘッドコントローラのレジスタに記憶しておいた発光素子行補正情報に従って、各発光素子行の副走査方向の露光位置ずれ補正処理を行う(e)。副走査方向の露光位置ずれ補正処理は、後述する。また、レンズが負の光学倍率の有する場合、図4に示すように発光素子の配置順番と、露光位置が異なるため、レンズ内で画素データの順序変換を行う(○2、d)。
【0030】
印刷した湾曲・斜行ずれ量検出用パターンを光学センサ等で読み取り、湾曲ずれ量と斜行ずれ量をμm単位で測定する(○3)。測定結果から湾曲補正情報と斜行補正情報を算出する(○4)。この際に、湾曲ずれ量と斜行ずれ量をμm単位からライン単位へ変換する。算出した湾曲補正情報と斜行補正情報を、ラインヘッド10に搭載されたEEPROMに記憶する(○5)。この処理は、前記湾曲補正情報と斜行補正情報をEEPROMに書き込む処理に相当する。
【0031】
このように、本発明の実施形態においては、ラインヘッドの湾曲・斜行ずれ量検出用パターンを印刷する前に、発光素子行補正情報に従って発光素子行の露光位置ずれを補正し、光学倍率がマイナスのレンズに対応した画素データの順序変換を行うものである。このため、ラインヘッドの湾曲・斜行ずれ量検出用パターンを正確に印刷できるという利点がある。また、ラインヘッドの湾曲・斜行ずれ量検出用パターンを正確に印刷してから、ラインヘッドの湾曲補正情報を取得するための湾曲ずれ量測定と、斜行補正情報を取得するための斜行ずれ量測定とを行うものである。このため、湾曲・斜行ずれを正確に補正できる。
【0032】
図2は、本発明の実施形態における制御部のブロック図である。図2には、ラインヘッド10の制御手段として、ヘッドコントローラ20と、プリントコントローラ21と、メカコントローラ22とが設けられている。プリントコントローラ21は画像処理部21aを有しており、また、ヘッドコントローラ20には、EEPROM通信制御部23、ビデオ(Video)I/F部26、副走査方向露光位置ずれ補正部27、ラインヘッド制御信号生成部28、リクエスト信号生成部29、レジスタ30、書込みアドレス生成部31、レンズ内データ順序変換部32が設けられている。なお、副走査方向露光位置ずれ補正部27には、SRAMが設けられており、レンズ内データ順序変換部32には、バッファ1、バッファ2が設けられている。さらに、レジスタ30には、発光素子行補正情報、湾曲補正情報、斜行補正情報が格納されている。
【0033】
プリンタに電源が投入されると、EEPROM通信制御部23では、ラインヘッド10に搭載されているEEPROM25から、湾曲補正情報と斜行補正情報を読み出し、ヘッドコントローラ20のレジスタ30に格納する(○1)。ここで湾曲補正情報と斜行補正情報は、プリンタ出荷時に予めEEPROMに記憶されている。
【0034】
印刷が開始されると、メカコントローラ22では記録紙の紙端を検出して、Vsync信号をヘッドコントローラ20のリクエスト信号生成部29に送信する(○2)。リクエスト信号生成部29では、Vreq信号(ビデオデータリクエスト信号)とHreq信号(ラインデータリクエスト信号)を生成し、ビデオI/F部26を経由してプリントコントローラ21へ送信する(○3)。また、Hreq信号は、書込みアドレス生成部31、副走査方向露光位置ずれ補正部27、ヘッド制御信号生成部28に送られ、各モジュール間の同期をとる。
【0035】
プリントコントローラ21は、受信したVreq信号とHreq信号をトリガとして、画像処理済の画像データをヘッドコントローラ20のビデオI/F部26へ送信する(○4)。この際に、配線コスト低減および配線の取り回しを容易にするのために、パラレルの画像データをシリアルデータに変換(パラレル→シリアル変換)し、高速シリアル通信で送信することが望ましい。
【0036】
ビデオI/F部26は、画像データをシリアル→パラレル変換し、レンズ内データ順序変換部32へ送信する(○5)。レンズ内データ順序変換部32では、マイクロレンズの負の光学倍率に対応した発光順序に画像データを並び換え、副走査方向露光位置ずれ補正部27に送信する(○6)。なお、本実施形態では、レンズ内データ順序変換部32は、2つのラインバッファを用いてレンズ内データ順序変換を行っている。一方のラインバッファは順序変換済画像データを書き込み、もう一方のラインバッファは順序変換済画像データを読み出すことで、レンズ内データ順序変換部32と副走査方向露光位置ずれ補正部27の処理速度差を吸収している。
【0037】
副走査方向露光位置ずれ補正部27では、書込みアドレス生成部31で生成された書込みアドレスに従って、順序変換済画像データをSRAMへ書込むことで、各種の副走査方向ずれを補正する(○7)。書込みアドレス生成部31では、レジスタ30に格納されている発光素子行補正情報、湾曲補正情報、斜行補正情報に基づいて書込みアドレスを生成する(書込みアドレスの生成方法は後ほど詳細に説明する)。なお、本実施形態では補正情報に基づいて書込みアドレスを生成し、副走査方向の露光位置ずれを補正しているが、補正情報に基づいて、読み出しアドレスを生成し、副走査方向のずれを補正しても良い。
【0038】
副走査方向露光位置ずれ補正部27のSRAMに記憶されている補正済画像データを読み出し、ラインヘッド10に送信する(○8)。この際に、読み出しアドレスは0、1、2、・・・と、単調増加する。同時にヘッド制御信号生成部28では、各種のヘッド制御信号(クロック、スタート信号、リセット信号など)を生成して、ラインヘッド10へ送信する(○8)。
【0039】
図5は、図2で説明した副走査方向露光位置ずれ補正部27に設けたSRAMへの、画像データ書込みイメージ32を示す説明図である。この例では、図10に類似した発光素子配置であり、発光素子グループが3グループ(A、B、C)、グループ内の発光素子行が3行(1、2、3)、発光素子行間の露光位置ずれ量が感光体の回動方向に2ライン、発光素子グループ行間の露光位置ずれ量が感光体の回動方向に160ラインであるものとする。
【0040】
また、1つのマイクロレンズに9個の発光素子、感光体の軸方向に配列された発光素子を区分する1つのブロックに15個の発光素子、ブロックNo0の湾曲・斜行ずれ量が2ライン、ブロックNo1の湾曲・斜行ずれ量が1ラインとする。図9(a)では、各結像レンズに発光素子のブロックをそれぞれ対応させて配置しているが、図5の例では、発光素子のブロックと結像レンズとは対応させていない例である。図5ではブロックNo0とNo1の2ブロックまでしか表示していないが、「ラインヘッドの感光体の軸方向の総ドット数/15個」のブロック数が存在している。
【0041】
図5には、ラインアドレス0〜31の32のラインアドレスが表示されている。このラインアドレスの番号は、ラインヘッドの感光体軸方向に配列された発光素子の左端側からの配列番号に対応している。前記のように、発光素子は、1つのマイクロレンズに9個ずつ配置されるので、ラインアドレスの番号9個ごとに太線で区切りを入れ、レンズNoの0〜3に対応させている。なお、1ブロックには発光素子を15個配置するので、ラインアドレスの番号14と31の部分に区切りの線を記載している。発光素子グループAの例では、ブロックNoが0において、BANK2には画素データD7、D4、D1が書き込まれている。また、BANK4には画素データD8、D5、D2が書き込まれている。さらに、BANK6には画素データD9、D6、D3が書き込まれている。
【0042】
感光体の軸方向に1つの潜像を形成する場合には、本来、発光素子グループA内の画素データがブロックNoが0においては、D1、D2、D3、D4、D5、D6、D7、D8、D9の順序で露光されるものであるが、光学倍率がマイナスのマイクロレンズを使用しているので、感光体の軸方向に画素データを反転してラインアドレスに書込む並び替えを行う必要がある。図6は、このような画素データを記憶手段に書込む並び替えを行うイメージ32aの説明図である。図6(a)は、感光体の軸方向に画素データがD1〜D9の順序で、BANK0、BANK2、BANK4に書き込まれている。図6(b)は、感光体の軸方向でみた場合に、発光素子グループA内の画素データが、図6(a)を反転させてD7、D8、D9、D4、D5、D6、D1、D2、D3の順序で画素データの書込みが行われている。発光素子グループBと発光素子グループCの画素データについても、感光体の軸方向で反転させた同様な並び替えが行われる。
【0043】
また、感光体の回動方向についても同様に画素データを反転してラインアドレスに書込む並び替えを行う必要がある。図7は、このような画素データを感光体の回動方向について斑点させて書込む並び替えを行うイメージ32bの説明図である。図7(a)は、図6(b)と対応している。前記の感光体の軸方向に反転させた発光素子グループA内の画素データD7、D8、D9、D4、D5、D6、D1、D2、D3を、図7(b)に示すように感光体の回動方向に反転させる。従って、感光体の回動方向でみた場合には、発光素子グループA内の画素データが、D9、D8、D7、D6、D5、D4、D3、D2、D1の順序に対応した画素データの書込みが行われている。図7(b)は、図5の発光素子グループAの画素データの配列に相当している。発光素子グループBと発光素子グループCの画素データについても同様な並び替えが行われる。このように、図5の例では、感光体の軸方向と感光体の回動方向で、画素データの並び替えが行われている。
【0044】
ここで、各発光素子グループは、3行の発光素子行が配列されており、各発光素子行の露光位置ずれ量は2ラインになっている。このため、例えば、発光素子グループAでみると、BANK2のアドレスに対して感光体の回動方向に2ライン遅延させたBANK4のアドレスに画素データが書き込まれている。また、BANK4のアドレスに対して感光体の回動方向に2ライン遅延させたBANK6のアドレスに画像データが書き込まれている。このように、各発光素子グループの発光素子行は、感光体の回動方向に2ライン遅延させたアドレスに画素データが書き込まれている。
【0045】
前記のように、ブロックNo0の湾曲・斜行ずれ量が2ライン、ブロックNo1の湾曲・斜行ずれ量が1ラインとなっている。このため、ブロックNo0に配列されている発光素子に対応する画素データは、例えば、発光素子グループAのBANK2のアドレスには、先頭のBANK0から2ライン遅延させて画像データが書き込まれる。また、発光素子グループBのBANK162のアドレスには、先頭のBANK160から2ライン遅延させて画素データが書き込まれる。
【0046】
次に、ブロックNo1に対応する発光素子グループCのBANK321のアドレスには、先頭のBANK320から1ライン遅延させて画素データが書き込まれる。また、発光素子グループBのBANK161のアドレスには、先頭のBANK160から1ライン遅延させて画素データが書き込まれる。このように、発光素子グループBに対応する画素データは、ブロック対応で2ラインの遅延と1ラインの遅延が混在している。
【0047】
図8は、図2で説明した書込みアドレス生成部31に書込みアドレスを生成する例をフロー70で示すブロック図である。ラインカウンタ71では、感光体の軸方向に形成される0〜総ドット数をカウントする。ラインカウンタ71は、クロック信号(Clk)をトリガとして、ラインアドレスをカウントアップし、書込みアドレス1を生成する。書込みアドレスは、画素データ単位で形成される。ラインアドレスはHreq信号をトリガとしてリセットする。すなわち、初期化する。
【0048】
BANKカウンタ72では、Hreq信号をトリガとしてBANKアドレスをカウントアップし、Vreq信号をトリガとしてBANKアドレスをリセットする(初期化する)。BANKカウンタ72は、図5と対応させて0〜479のBANKをカウントする。
【0049】
湾曲・斜行補正情報管理部73では、ラインアドレスの値が1ブロックのドット数(15ドット)になると、各ブロックに対応したラインヘッドの湾曲・斜行補正情報(BANK単位)を読み出す。発光素子行補正情報管理部74では、ラインアドレスの値から各ドットに対応した発光素子行補正情報(BANK単位)を読み出す。BANKアドレスと読み出した湾曲・斜行補正情報と発光素子行補正情報を加えて、書込みアドレス2を生成する。書込みアドレス1と書込みアドレス2を合成して、SRAMの書込みアドレスを生成する。
【0050】
本発明の実施形態においては、4つの感光体に4つのラインヘッドで露光し、4色の画像を同時に形成し、1つの無端状中間転写ベルト(中間転写媒体)に転写する、タンデム式カラープリンター(画像形成装置)に用いるラインヘッドを対象としている。図12は、発光素子として有機EL素子を用いたタンデム式画像形成装置の一例を示す縦断側面図である。この画像形成装置は、同様な構成の4個のラインヘッド101K、101C、101M、101Yを、対応する同様な構成である4個の感光体(像担持体)41K、41C、41M、41Yの露光位置にそれぞれ配置したものである。
【0051】
図12に示すように、この画像形成装置は、駆動ローラ51、従動ローラ52、テンションローラ53が設けられており、テンションローラ53により図示矢印方向(反時計方向)へ循環駆動される中間転写ベルト(中間転写媒体)50を備えている。この中間転写ベルト50に対して、所定間隔で感光体41K、41C、41M、41Yが配置される。
前記符号の後に付加されたK、C、M、Yはそれぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローを意味している。感光体41K〜41Yは、中間転写ベルト50の駆動と同期して図示矢印方向(時計方向)へ回転駆動される。各感光体41(K、C、M、Y)の周囲には、帯電手段42(K、C、M、Y)と、ラインヘッド101(K、C、M、Y)が設けられている。
【0052】
また、ラインヘッド101(K、C、M、Y)で形成された静電潜像に現像剤であるトナーを付与して可視像とする現像装置44(K、C、M、Y)と、一次転写ローラ45(K、C、M、Y)と、クリーニング装置46(K、C、M、Y)とを有している。各ラインヘッド101(K、C、M、Y)の発光エネルギーピーク波長と、感光体41(K、C、M、Y)の感度ピーク波長とは略一致するように設定されている。
【0053】
このような4色の単色トナー像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、イエローの各トナー像は、一次転写ローラ45(K、C、M、Y)に印加される一次転写バイアスにより中間転写ベルト50上に順次一次転写され、中間転写ベルト50上で順次重ね合わされてフルカラーとなったトナー像は、二次転写ローラ66において用紙等の記録媒体Pに二次転写され、定着部である定着ローラ対61を通ることで記録媒体P上に定着され、排紙ローラ対62によって、装置上部に形成された排紙トレイ68上へ排出される。
【0054】
63は多数枚の記録媒体Pが積層保持されている給紙カセット、64は給紙カセット63から記録媒体Pを一枚ずつ給送するピックアップローラ、65は二次転写ローラ66の二次転写部への記録媒体Pの供給タイミングを規定するゲートローラ対、66は中間転写ベルト50との間で二次転写部を形成する二次転写手段としての二次転写ローラ、67は二次転写後に中間転写ベルト50の表面に残留しているトナーを除去するクリーニングブレードである。
【0055】
本発明の実施形態において、発光体アレイの発光素子として、LEDや、有機EL、VCSEL(ビクセル:Vertical Cavity Surface Emitting LASER(垂直共振器面発光レーザ))等を用いることができる。また、レンズアレイとして、SLA(Selfoc Lens Array)やMLA(Micro Lens Array)等を用いることができる。
【0056】
以上、本発明の露光位置ずれなどを補正して画質劣化を抑制したラインヘッドの制御方法およびそれを用いた画像形成装置について実施例に基づいて説明したが、本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態を示すブロック図である。
【図3】本発明の関連技術を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図10】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図11】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図12】本発明の実施形態に係る画像形成装置の縦断側面図である。
【符号の説明】
【0058】
4、5、8・・・結像レンズ、6・・・発光素子グループ(ブロック)、7a〜7b・・・発光素子行、20・・・・ヘッドコントローラ、21・・・プリントコントローラ、22・・・メカコントローラ、23・・・EEPROM通信制御部、24・・・ドライバIC、25・・・EEPROM、26・・・ビデオI/F、27・・・副走査方向露光位置ずれ補正部、28・・・ヘッド制御信号生成部、29・・・リクエスト信号生成部、30・・・レジスタ、31・・・書込みアドレス生成部、32・・・レンズ内データ順序変換部、41(Y、M、C、K)・・・感光体、101(Y、M、C、K)・・・ラインヘッド、P・・・記録媒体、Y、M、C、K・・・画像形成ステーション、A〜C・・・発光素子グループ行
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光位置ずれなどを補正して画質劣化を抑制したラインヘッドの制御方法およびそれを用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の露光光源として、LEDを用いたラインヘッドを設置する構成のものが知られている。特許文献1においては、ラインヘッドの本体取付け精度に起因する斜行ずれを、斜行ずれ量に応じたブロック単位で補正する方法が提案されている。この発明では、斜行ずれ量に基づいて、画像メモリを感光体の軸方向(主走査方向)に沿って複数の記憶領域に分割する。すなわち、ブロック単位に分割する。次に、斜行ずれ量に応じて、各分割記憶領域の読み出しアドレスを変換して、斜行ずれを補正している。これによって、少ないメモリ容量と簡単な回路構成で斜行ずれ補正を実現している。
【0003】
【特許文献1】特開2003−285473
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
結像レンズアレイとして、光学倍率がマイナスのマイクロレンズを用いたマイクロレンズアレイ(MLA)ラインヘッドにおいては、単一のレンズに対して、感光体の回動方向(副走査方向)に、複数行の発光素子行が配列されている。このため、感光体には、回動方向に異なる位置に潜像が形成される露光位置ずれが生じることになる。前記特許文献1に記載されたような従来のブロック単位での斜行補正方法では、このような露光位置ずれを考慮していない。
【0005】
また、製造精度に起因して、ラインヘッドが湾曲して製造されることがある。このような場合には、感光体に形成される潜像は湾曲ずれが生じて画質が劣化する。前記特許文献1には、このような湾曲ずれによる画質劣化の抑制も考慮されていない。このため、前記特許文献1では、MLAラインヘッドの画質劣化に対応できないという問題があった。
【0006】
さらに、前記特許文献1では、ラインヘッドの斜行補正情報を取得する際に、斜行ずれ量検出用パターンを印刷し、その印刷結果を光学センサ等で測定することによって、斜行ずれ量を検出している。しかしながら、MLAラインヘッドにおいては、前記のように発光素子行毎の露光位置ずれがあるので、特許文献1を適用した場合には、斜行ずれ量検出用パターン自体が正常に印刷ができない。このため、正確な斜行補正情報を取得できないいう問題があった。
【0007】
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ラインヘッドの製造精度に起因する湾曲ずれと、本体取付け精度に起因する斜行ずれと、露光位置ずれを補正し、画質を向上させたラインヘッドの制御方法およびそれを用いた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明のラインヘッドの制御方法は、基板と、前記基板に感光体の軸方向に沿って発光素子を複数配列して発光素子グループ行が形成された発光体アレイと、前記発光体アレイに対応して設けられた結像レンズアレイとを備え、前記発光体アレイおよび結像レンズアレイを前記感光体の回動方向に対して複数行配置し、前記感光体に対して行毎に異なる位置に潜像を形成するラインヘッドを有し、
前記発光素子を前記感光体の軸方向に沿って複数に分割してブロックを形成し、
前記ブロック内の発光素子に対応する画素データの並び換え処理、および前記画素データの送信遅延処理を行って、
前記ラインヘッドの製造精度に起因する湾曲ずれと、本体取付け精度に起因する斜行ずれと、前記感光体の露光位置ずれとを補正することを特徴とする、ラインヘッドの制御方法。
【0009】
また、本発明のラインヘッドの制御方法は、前記前記ブロック単位は、前記結像レンズアレイの1つのレンズに対応した複数個の発光素子であること特徴とする。
【0010】
また、本発明のラインヘッドの制御方法は、前記画素データの並び換え処理は、前記結像レンズアレイの光学倍率がマイナスのレンズに対応した発光順序の並び換え処理であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のラインヘッドの制御方法は、前記画素データの送信遅延処理は、前記感光体に対して行毎に異なる位置に潜像を形成する露光位置ずれを補正する処理であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のラインヘッドの制御方法は、前記湾曲ずれを補正するための湾曲補正情報と、前記斜行ずれを補正するための斜行補正情報と、前記感光体に対して行毎に異なる位置に潜像を形成するラインヘッドの発光素子行の露光位置ずれを補正するための発光素子行補正情報とを、補正情報として記憶する記憶手段を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明のラインヘッドの制御方法は、前記湾曲補正情報を取得するための湾曲ずれ量測定と、前記斜行補正情報を取得するための斜行ずれ量測定とを行う前に、前記光学倍率がマイナスのレンズに対応した発光順序の並び換え処理をすることを特徴とする。
【0014】
また、本発明のラインヘッドの制御方法は、前記湾曲補正情報を取得するための湾曲ずれ量測定と、前記斜行補正情報を取得するための斜行ずれ量測定とを行う前に、前記発光素子行補正情報に従って発光素子行の露光位置ずれを補正することを特徴とする。
【0015】
本発明の画像形成装置は、像担持体の周囲に帯電手段と、前記いずれかの方法で制御されるラインヘッドと、現像手段と、転写手段との各画像形成用ユニットを配した画像形成ステーションを少なくとも2つ以上設け、転写媒体が前記各画像形成ステーションを通過することにより、タンデム方式で画像形成を行うことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図を参照して本発明を説明する。図9は、本発明の実施形態を示す説明図である。図9(a)は結像レンズ4を通して発光素子グループ6をみた状態でラインヘッドを部分的に示す平面図、図9(b)は単一の結像レンズ4と発光素子グループ6との関係を示す平面図である。図9(a)に示されているように、感光体の軸方向(主走査方向)に、それぞれの結像レンズと対応して発光素子グループが複数配列されている。
【0017】
このように、発光素子は感光体の軸方向に沿って各結像レンズと対応して発光素子グループがブロック単位として区分されている。また、結像レンズ4は、感光体の軸方向および回動方向に複数設けられており、結像レンズアレイを構成している。なお、発光素子グループ6は基板上に形成されており、全体として発光素子アレイを構成している。
【0018】
本発明の実施形態においては、このような感光体の軸方向に発光素子グループが複数配列された状態を「発光素子グループ行」と定義する。図9(a)には、発光素子グループ行が感光体の回動方向にA、B、Cの複数配置されている。各発光素子グループ行A〜Cは、前記のように発光体アレイを形成している。各発光素子グループ行A〜Cの感光体の軸方向で隣接する発光素子グループにおいて、中心位置間の長さR、S、Tは等しく設定される。また、感光体の回動方向で隣接する各発光素子グループ行A〜Cの発光素子グループにおいて、中心位置間の長さr、s、tも等しく設定される。
【0019】
図9(b)において、発光素子グループ6には、感光体の軸方向に複数の発光素子を配列した発光素子行7aが設けられている。この発光素子行は、感光体の回動方向に複数配列されており、図9(b)の例では、発光素子行7a、7b、7cが設けられている。このように、図9(a)、(b)には、例えば発光素子グループ行Aでは3行の発光素子行7a、7b、7cが設けられることが記載されている。また、結像レンズも感光体の回動方向に3列配列されている。
【0020】
図10、図11は、図9のような結像レンズと発光素子グループとが対応されているラインヘッドにおいて、感光体に露光位置ずれが生じる例の説明図である。図10において、各発光素子グループ行A〜Cの先頭位置に単体の結合レンズ4、5、8がそれぞれ配列されている。結合レンズ行間ピッチをDa、Dbとする。
【0021】
結合レンズは、光学倍率がマイナスのマイクロレンズ(ML)を用いており、各MLの集合体でマイクロレンズアレイ(MLA)を構成している。このようなMLAにおいては、MLAのレンズ行間ピッチと、感光体の直径には個体差がある、などにより露光位置ずれが生ずる。このような露光位置ずれが生ずると、図11(a)に示すような潜像が感光体に形成される。
【0022】
図11(a)において、6a、6b、6cは、MLAの露光位置ずれを補正しない場合の感光体に形成される潜像のパターンを示している。TaはMLAのレンズ行間露光位置ずれを示し、TbはMLAのレンズ内露光位置ずれを示している。ここで、レンズ行間とは、結像レンズが感光体の軸方向と直交する方向に複数配列された場合のレンズ間の関係を表現している。潜像のパターン6aには、潜像列k〜nが含まれる。また、潜像のパターン6bには潜像列p〜rが含まれ、潜像のパターン6cには潜像列s〜uが含まれる。
【0023】
図11(b)は、MLAの露光位置ずれを補正した場合の潜像を示す説明図である。この際に潜像16は、各MLを透過した出力光により17a〜17fのように感光体に形成される。すなわち、当該潜像は、感光体の軸方向(主走査方向)に1つの直線状に形成される。このため、画質の劣化を抑制することができる。この補正の際には、感光体の移動方向をYとすると、例えば次のように処理する。図11(a)の潜像のパターン6aの部分の例では、潜像列kを基準としてレンズ内露光位置ずれ補正を行う。すなわち、潜像列mを潜像列kよりも1行遅延させたタイミングで形成する。また、潜像列nは潜像列kよりも2行遅延させたタイミングで形成する。
【0024】
潜像のパターン6b、6cの部分も同様に潜像列を1行ずつ遅延させて露光位置ずれ補正を行う。レンズ行間露光位置ずれ補正は、潜像のパターン6aを基準として潜像のパターン6bをY方向に1タイミング遅延させ、潜像のパターン6cはY方向に2タイミング遅延させる。したがって、実際の露光位置ずれ補正は、潜像のパターン6aの潜像列kを基準として、各線像列m〜uは、順次1行ずつY方向にタイミングを遅延させて形成することになる。
【0025】
本発明の実施形態においては、前記MLAの露光位置ずれを、前記ブロック単位で発光素子を制御することにより補正するものである。また、
ラインヘッドの製造精度に起因する湾曲ずれと、本体取付け精度に起因する斜行ずれを併せて補正し、画質劣化を防止するものである。以下、この実施形態について説明する。
【0026】
本発明においては、光学倍率がマイナスのマイクロレンズを使用する。このため、光学倍率が正のレンズを用いる場合とは異なり、データの並べ替えが必要になる。先にこの点について説明する。図3は、光学倍率が正のレンズを用いる場合の発光素子の配列と感光体に形成される潜像の関係を示す説明図である。図3において、2は発光素子で○1〜○60が配列されている(以下、変換上の理由で丸付数字を○1のように表記する。)。4aはレンズ、6は潜像である。この例では、レンズ4aを介して感光体に形成される潜像の結像ドット○1〜○60は、発光素子○1〜○60と対応している。Yは感光体の回動方向である。
【0027】
図4は、光学倍率がマイナスのマイクロレンズを使用する例の説明図である。図4において、発光素子2は図3と同様に○1〜○60が配列されている。光学倍率がマイナスのマイクロレンズ4は、発光素子2の出力光を感光体の軸方向と、感光体の回動方向において反転させて感光体に照射する。このため、感光体に形成される潜像6の結像ドット○1〜○60は、発光素子2の配列とは、感光体の軸方向と、感光体の回動方向で反転されることになる。したがって、図3と同じように感光体に潜像を形成する場合には、感光体の軸方向と感光体の回動方向で反転させるようにデータの並び替えが必要になる。
【0028】
図1は、各補正情報の取得手順を示すブロック図である。図1においては、予め、MLAとラインヘッドの発光素子配置(設計値)から、各発光素子行の感光体の回動方向(副走査方向)の露光位置ずれ量(ライン単位)を、ヘッドコントローラ20のレジスタに記憶しておく(○1)。本実施形態では、発光素子グループ内の発光素子行間の露光位置ずれ量を2ライン、発光素子グループ間の露光位置ずれ量を160ラインとしている。
【0029】
湾曲・斜行ずれ量検出用パターンを印刷する(○2)。印刷する際は、ヘッドコントローラのレジスタに記憶しておいた発光素子行補正情報に従って、各発光素子行の副走査方向の露光位置ずれ補正処理を行う(e)。副走査方向の露光位置ずれ補正処理は、後述する。また、レンズが負の光学倍率の有する場合、図4に示すように発光素子の配置順番と、露光位置が異なるため、レンズ内で画素データの順序変換を行う(○2、d)。
【0030】
印刷した湾曲・斜行ずれ量検出用パターンを光学センサ等で読み取り、湾曲ずれ量と斜行ずれ量をμm単位で測定する(○3)。測定結果から湾曲補正情報と斜行補正情報を算出する(○4)。この際に、湾曲ずれ量と斜行ずれ量をμm単位からライン単位へ変換する。算出した湾曲補正情報と斜行補正情報を、ラインヘッド10に搭載されたEEPROMに記憶する(○5)。この処理は、前記湾曲補正情報と斜行補正情報をEEPROMに書き込む処理に相当する。
【0031】
このように、本発明の実施形態においては、ラインヘッドの湾曲・斜行ずれ量検出用パターンを印刷する前に、発光素子行補正情報に従って発光素子行の露光位置ずれを補正し、光学倍率がマイナスのレンズに対応した画素データの順序変換を行うものである。このため、ラインヘッドの湾曲・斜行ずれ量検出用パターンを正確に印刷できるという利点がある。また、ラインヘッドの湾曲・斜行ずれ量検出用パターンを正確に印刷してから、ラインヘッドの湾曲補正情報を取得するための湾曲ずれ量測定と、斜行補正情報を取得するための斜行ずれ量測定とを行うものである。このため、湾曲・斜行ずれを正確に補正できる。
【0032】
図2は、本発明の実施形態における制御部のブロック図である。図2には、ラインヘッド10の制御手段として、ヘッドコントローラ20と、プリントコントローラ21と、メカコントローラ22とが設けられている。プリントコントローラ21は画像処理部21aを有しており、また、ヘッドコントローラ20には、EEPROM通信制御部23、ビデオ(Video)I/F部26、副走査方向露光位置ずれ補正部27、ラインヘッド制御信号生成部28、リクエスト信号生成部29、レジスタ30、書込みアドレス生成部31、レンズ内データ順序変換部32が設けられている。なお、副走査方向露光位置ずれ補正部27には、SRAMが設けられており、レンズ内データ順序変換部32には、バッファ1、バッファ2が設けられている。さらに、レジスタ30には、発光素子行補正情報、湾曲補正情報、斜行補正情報が格納されている。
【0033】
プリンタに電源が投入されると、EEPROM通信制御部23では、ラインヘッド10に搭載されているEEPROM25から、湾曲補正情報と斜行補正情報を読み出し、ヘッドコントローラ20のレジスタ30に格納する(○1)。ここで湾曲補正情報と斜行補正情報は、プリンタ出荷時に予めEEPROMに記憶されている。
【0034】
印刷が開始されると、メカコントローラ22では記録紙の紙端を検出して、Vsync信号をヘッドコントローラ20のリクエスト信号生成部29に送信する(○2)。リクエスト信号生成部29では、Vreq信号(ビデオデータリクエスト信号)とHreq信号(ラインデータリクエスト信号)を生成し、ビデオI/F部26を経由してプリントコントローラ21へ送信する(○3)。また、Hreq信号は、書込みアドレス生成部31、副走査方向露光位置ずれ補正部27、ヘッド制御信号生成部28に送られ、各モジュール間の同期をとる。
【0035】
プリントコントローラ21は、受信したVreq信号とHreq信号をトリガとして、画像処理済の画像データをヘッドコントローラ20のビデオI/F部26へ送信する(○4)。この際に、配線コスト低減および配線の取り回しを容易にするのために、パラレルの画像データをシリアルデータに変換(パラレル→シリアル変換)し、高速シリアル通信で送信することが望ましい。
【0036】
ビデオI/F部26は、画像データをシリアル→パラレル変換し、レンズ内データ順序変換部32へ送信する(○5)。レンズ内データ順序変換部32では、マイクロレンズの負の光学倍率に対応した発光順序に画像データを並び換え、副走査方向露光位置ずれ補正部27に送信する(○6)。なお、本実施形態では、レンズ内データ順序変換部32は、2つのラインバッファを用いてレンズ内データ順序変換を行っている。一方のラインバッファは順序変換済画像データを書き込み、もう一方のラインバッファは順序変換済画像データを読み出すことで、レンズ内データ順序変換部32と副走査方向露光位置ずれ補正部27の処理速度差を吸収している。
【0037】
副走査方向露光位置ずれ補正部27では、書込みアドレス生成部31で生成された書込みアドレスに従って、順序変換済画像データをSRAMへ書込むことで、各種の副走査方向ずれを補正する(○7)。書込みアドレス生成部31では、レジスタ30に格納されている発光素子行補正情報、湾曲補正情報、斜行補正情報に基づいて書込みアドレスを生成する(書込みアドレスの生成方法は後ほど詳細に説明する)。なお、本実施形態では補正情報に基づいて書込みアドレスを生成し、副走査方向の露光位置ずれを補正しているが、補正情報に基づいて、読み出しアドレスを生成し、副走査方向のずれを補正しても良い。
【0038】
副走査方向露光位置ずれ補正部27のSRAMに記憶されている補正済画像データを読み出し、ラインヘッド10に送信する(○8)。この際に、読み出しアドレスは0、1、2、・・・と、単調増加する。同時にヘッド制御信号生成部28では、各種のヘッド制御信号(クロック、スタート信号、リセット信号など)を生成して、ラインヘッド10へ送信する(○8)。
【0039】
図5は、図2で説明した副走査方向露光位置ずれ補正部27に設けたSRAMへの、画像データ書込みイメージ32を示す説明図である。この例では、図10に類似した発光素子配置であり、発光素子グループが3グループ(A、B、C)、グループ内の発光素子行が3行(1、2、3)、発光素子行間の露光位置ずれ量が感光体の回動方向に2ライン、発光素子グループ行間の露光位置ずれ量が感光体の回動方向に160ラインであるものとする。
【0040】
また、1つのマイクロレンズに9個の発光素子、感光体の軸方向に配列された発光素子を区分する1つのブロックに15個の発光素子、ブロックNo0の湾曲・斜行ずれ量が2ライン、ブロックNo1の湾曲・斜行ずれ量が1ラインとする。図9(a)では、各結像レンズに発光素子のブロックをそれぞれ対応させて配置しているが、図5の例では、発光素子のブロックと結像レンズとは対応させていない例である。図5ではブロックNo0とNo1の2ブロックまでしか表示していないが、「ラインヘッドの感光体の軸方向の総ドット数/15個」のブロック数が存在している。
【0041】
図5には、ラインアドレス0〜31の32のラインアドレスが表示されている。このラインアドレスの番号は、ラインヘッドの感光体軸方向に配列された発光素子の左端側からの配列番号に対応している。前記のように、発光素子は、1つのマイクロレンズに9個ずつ配置されるので、ラインアドレスの番号9個ごとに太線で区切りを入れ、レンズNoの0〜3に対応させている。なお、1ブロックには発光素子を15個配置するので、ラインアドレスの番号14と31の部分に区切りの線を記載している。発光素子グループAの例では、ブロックNoが0において、BANK2には画素データD7、D4、D1が書き込まれている。また、BANK4には画素データD8、D5、D2が書き込まれている。さらに、BANK6には画素データD9、D6、D3が書き込まれている。
【0042】
感光体の軸方向に1つの潜像を形成する場合には、本来、発光素子グループA内の画素データがブロックNoが0においては、D1、D2、D3、D4、D5、D6、D7、D8、D9の順序で露光されるものであるが、光学倍率がマイナスのマイクロレンズを使用しているので、感光体の軸方向に画素データを反転してラインアドレスに書込む並び替えを行う必要がある。図6は、このような画素データを記憶手段に書込む並び替えを行うイメージ32aの説明図である。図6(a)は、感光体の軸方向に画素データがD1〜D9の順序で、BANK0、BANK2、BANK4に書き込まれている。図6(b)は、感光体の軸方向でみた場合に、発光素子グループA内の画素データが、図6(a)を反転させてD7、D8、D9、D4、D5、D6、D1、D2、D3の順序で画素データの書込みが行われている。発光素子グループBと発光素子グループCの画素データについても、感光体の軸方向で反転させた同様な並び替えが行われる。
【0043】
また、感光体の回動方向についても同様に画素データを反転してラインアドレスに書込む並び替えを行う必要がある。図7は、このような画素データを感光体の回動方向について斑点させて書込む並び替えを行うイメージ32bの説明図である。図7(a)は、図6(b)と対応している。前記の感光体の軸方向に反転させた発光素子グループA内の画素データD7、D8、D9、D4、D5、D6、D1、D2、D3を、図7(b)に示すように感光体の回動方向に反転させる。従って、感光体の回動方向でみた場合には、発光素子グループA内の画素データが、D9、D8、D7、D6、D5、D4、D3、D2、D1の順序に対応した画素データの書込みが行われている。図7(b)は、図5の発光素子グループAの画素データの配列に相当している。発光素子グループBと発光素子グループCの画素データについても同様な並び替えが行われる。このように、図5の例では、感光体の軸方向と感光体の回動方向で、画素データの並び替えが行われている。
【0044】
ここで、各発光素子グループは、3行の発光素子行が配列されており、各発光素子行の露光位置ずれ量は2ラインになっている。このため、例えば、発光素子グループAでみると、BANK2のアドレスに対して感光体の回動方向に2ライン遅延させたBANK4のアドレスに画素データが書き込まれている。また、BANK4のアドレスに対して感光体の回動方向に2ライン遅延させたBANK6のアドレスに画像データが書き込まれている。このように、各発光素子グループの発光素子行は、感光体の回動方向に2ライン遅延させたアドレスに画素データが書き込まれている。
【0045】
前記のように、ブロックNo0の湾曲・斜行ずれ量が2ライン、ブロックNo1の湾曲・斜行ずれ量が1ラインとなっている。このため、ブロックNo0に配列されている発光素子に対応する画素データは、例えば、発光素子グループAのBANK2のアドレスには、先頭のBANK0から2ライン遅延させて画像データが書き込まれる。また、発光素子グループBのBANK162のアドレスには、先頭のBANK160から2ライン遅延させて画素データが書き込まれる。
【0046】
次に、ブロックNo1に対応する発光素子グループCのBANK321のアドレスには、先頭のBANK320から1ライン遅延させて画素データが書き込まれる。また、発光素子グループBのBANK161のアドレスには、先頭のBANK160から1ライン遅延させて画素データが書き込まれる。このように、発光素子グループBに対応する画素データは、ブロック対応で2ラインの遅延と1ラインの遅延が混在している。
【0047】
図8は、図2で説明した書込みアドレス生成部31に書込みアドレスを生成する例をフロー70で示すブロック図である。ラインカウンタ71では、感光体の軸方向に形成される0〜総ドット数をカウントする。ラインカウンタ71は、クロック信号(Clk)をトリガとして、ラインアドレスをカウントアップし、書込みアドレス1を生成する。書込みアドレスは、画素データ単位で形成される。ラインアドレスはHreq信号をトリガとしてリセットする。すなわち、初期化する。
【0048】
BANKカウンタ72では、Hreq信号をトリガとしてBANKアドレスをカウントアップし、Vreq信号をトリガとしてBANKアドレスをリセットする(初期化する)。BANKカウンタ72は、図5と対応させて0〜479のBANKをカウントする。
【0049】
湾曲・斜行補正情報管理部73では、ラインアドレスの値が1ブロックのドット数(15ドット)になると、各ブロックに対応したラインヘッドの湾曲・斜行補正情報(BANK単位)を読み出す。発光素子行補正情報管理部74では、ラインアドレスの値から各ドットに対応した発光素子行補正情報(BANK単位)を読み出す。BANKアドレスと読み出した湾曲・斜行補正情報と発光素子行補正情報を加えて、書込みアドレス2を生成する。書込みアドレス1と書込みアドレス2を合成して、SRAMの書込みアドレスを生成する。
【0050】
本発明の実施形態においては、4つの感光体に4つのラインヘッドで露光し、4色の画像を同時に形成し、1つの無端状中間転写ベルト(中間転写媒体)に転写する、タンデム式カラープリンター(画像形成装置)に用いるラインヘッドを対象としている。図12は、発光素子として有機EL素子を用いたタンデム式画像形成装置の一例を示す縦断側面図である。この画像形成装置は、同様な構成の4個のラインヘッド101K、101C、101M、101Yを、対応する同様な構成である4個の感光体(像担持体)41K、41C、41M、41Yの露光位置にそれぞれ配置したものである。
【0051】
図12に示すように、この画像形成装置は、駆動ローラ51、従動ローラ52、テンションローラ53が設けられており、テンションローラ53により図示矢印方向(反時計方向)へ循環駆動される中間転写ベルト(中間転写媒体)50を備えている。この中間転写ベルト50に対して、所定間隔で感光体41K、41C、41M、41Yが配置される。
前記符号の後に付加されたK、C、M、Yはそれぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローを意味している。感光体41K〜41Yは、中間転写ベルト50の駆動と同期して図示矢印方向(時計方向)へ回転駆動される。各感光体41(K、C、M、Y)の周囲には、帯電手段42(K、C、M、Y)と、ラインヘッド101(K、C、M、Y)が設けられている。
【0052】
また、ラインヘッド101(K、C、M、Y)で形成された静電潜像に現像剤であるトナーを付与して可視像とする現像装置44(K、C、M、Y)と、一次転写ローラ45(K、C、M、Y)と、クリーニング装置46(K、C、M、Y)とを有している。各ラインヘッド101(K、C、M、Y)の発光エネルギーピーク波長と、感光体41(K、C、M、Y)の感度ピーク波長とは略一致するように設定されている。
【0053】
このような4色の単色トナー像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、イエローの各トナー像は、一次転写ローラ45(K、C、M、Y)に印加される一次転写バイアスにより中間転写ベルト50上に順次一次転写され、中間転写ベルト50上で順次重ね合わされてフルカラーとなったトナー像は、二次転写ローラ66において用紙等の記録媒体Pに二次転写され、定着部である定着ローラ対61を通ることで記録媒体P上に定着され、排紙ローラ対62によって、装置上部に形成された排紙トレイ68上へ排出される。
【0054】
63は多数枚の記録媒体Pが積層保持されている給紙カセット、64は給紙カセット63から記録媒体Pを一枚ずつ給送するピックアップローラ、65は二次転写ローラ66の二次転写部への記録媒体Pの供給タイミングを規定するゲートローラ対、66は中間転写ベルト50との間で二次転写部を形成する二次転写手段としての二次転写ローラ、67は二次転写後に中間転写ベルト50の表面に残留しているトナーを除去するクリーニングブレードである。
【0055】
本発明の実施形態において、発光体アレイの発光素子として、LEDや、有機EL、VCSEL(ビクセル:Vertical Cavity Surface Emitting LASER(垂直共振器面発光レーザ))等を用いることができる。また、レンズアレイとして、SLA(Selfoc Lens Array)やMLA(Micro Lens Array)等を用いることができる。
【0056】
以上、本発明の露光位置ずれなどを補正して画質劣化を抑制したラインヘッドの制御方法およびそれを用いた画像形成装置について実施例に基づいて説明したが、本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態を示すブロック図である。
【図3】本発明の関連技術を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図10】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図11】本発明の実施形態を示す説明図である。
【図12】本発明の実施形態に係る画像形成装置の縦断側面図である。
【符号の説明】
【0058】
4、5、8・・・結像レンズ、6・・・発光素子グループ(ブロック)、7a〜7b・・・発光素子行、20・・・・ヘッドコントローラ、21・・・プリントコントローラ、22・・・メカコントローラ、23・・・EEPROM通信制御部、24・・・ドライバIC、25・・・EEPROM、26・・・ビデオI/F、27・・・副走査方向露光位置ずれ補正部、28・・・ヘッド制御信号生成部、29・・・リクエスト信号生成部、30・・・レジスタ、31・・・書込みアドレス生成部、32・・・レンズ内データ順序変換部、41(Y、M、C、K)・・・感光体、101(Y、M、C、K)・・・ラインヘッド、P・・・記録媒体、Y、M、C、K・・・画像形成ステーション、A〜C・・・発光素子グループ行
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板に感光体の軸方向に沿って発光素子を複数配列して発光素子グループ行が形成された発光体アレイと、前記発光体アレイに対応して設けられた結像レンズアレイとを備え、前記発光体アレイおよび結像レンズアレイを前記感光体の回動方向に対して複数行配置し、前記感光体の回動方向に対して行毎に異なる位置に潜像を形成するラインヘッドを有し、
前記発光素子を前記感光体の軸方向に沿って複数に分割してブロックを形成し、
前記ブロック内の発光素子に対応する画素データの並び換え処理、および前記画素データの送信遅延処理を行って、
前記ラインヘッドの製造精度に起因する湾曲ずれと、本体取付け精度に起因する斜行ずれと、前記感光体の露光位置ずれとを補正することを特徴とする、ラインヘッドの制御方法。
【請求項2】
前記ブロック単位は、前記結像レンズアレイの1つのレンズに対応した複数個の発光素子であること特徴とする、請求項1に記載のラインヘッドの制御方法。
【請求項3】
前記画素データの並び換え処理は、前記結像レンズアレイの光学倍率がマイナスのレンズに対応した発光順序の並び換え処理であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のラインヘッドの制御方法。
【請求項4】
前記画素データの送信遅延処理は、前記感光体に対して行毎に異なる位置に潜像を形成する露光位置ずれを補正する処理であることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のラインヘッドの制御方法。
【請求項5】
前記湾曲ずれを補正するための湾曲補正情報と、前記斜行ずれを補正するための斜行補正情報と、前記感光体に対して行毎に異なる位置に潜像を形成するラインヘッドの発光素子行の露光位置ずれを補正するための発光素子行補正情報とを、補正情報として記憶する記憶手段を備えることを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のラインヘッドの制御方法。
【請求項6】
前記湾曲補正情報を取得するための湾曲ずれ量測定と、前記斜行補正情報を取得するための斜行ずれ量測定とを行う前に、前記光学倍率がマイナスのレンズに対応した発光順序の並び換え処理を行うことを特徴とする、請求項3ないし請求項5のいずれかに記載のラインヘッドの制御方法。
【請求項7】
前記湾曲補正情報を取得するための湾曲ずれ量測定と、前記斜行補正情報を取得するための斜行ずれ量測定とを行う前に、前記発光素子行補正情報に従って発光素子行の露光位置ずれを補正することを特徴とする、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のラインヘッドの制御方法。
【請求項8】
像担持体の周囲に帯電手段と、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の方法で制御されるラインヘッドと、現像手段と、転写手段との各画像形成用ユニットを配した画像形成ステーションを少なくとも2つ以上設け、転写媒体が前記各画像形成ステーションを通過することにより、タンデム方式で画像形成を行うことを特徴とする、画像形成装置。
【請求項1】
基板と、前記基板に感光体の軸方向に沿って発光素子を複数配列して発光素子グループ行が形成された発光体アレイと、前記発光体アレイに対応して設けられた結像レンズアレイとを備え、前記発光体アレイおよび結像レンズアレイを前記感光体の回動方向に対して複数行配置し、前記感光体の回動方向に対して行毎に異なる位置に潜像を形成するラインヘッドを有し、
前記発光素子を前記感光体の軸方向に沿って複数に分割してブロックを形成し、
前記ブロック内の発光素子に対応する画素データの並び換え処理、および前記画素データの送信遅延処理を行って、
前記ラインヘッドの製造精度に起因する湾曲ずれと、本体取付け精度に起因する斜行ずれと、前記感光体の露光位置ずれとを補正することを特徴とする、ラインヘッドの制御方法。
【請求項2】
前記ブロック単位は、前記結像レンズアレイの1つのレンズに対応した複数個の発光素子であること特徴とする、請求項1に記載のラインヘッドの制御方法。
【請求項3】
前記画素データの並び換え処理は、前記結像レンズアレイの光学倍率がマイナスのレンズに対応した発光順序の並び換え処理であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のラインヘッドの制御方法。
【請求項4】
前記画素データの送信遅延処理は、前記感光体に対して行毎に異なる位置に潜像を形成する露光位置ずれを補正する処理であることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のラインヘッドの制御方法。
【請求項5】
前記湾曲ずれを補正するための湾曲補正情報と、前記斜行ずれを補正するための斜行補正情報と、前記感光体に対して行毎に異なる位置に潜像を形成するラインヘッドの発光素子行の露光位置ずれを補正するための発光素子行補正情報とを、補正情報として記憶する記憶手段を備えることを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のラインヘッドの制御方法。
【請求項6】
前記湾曲補正情報を取得するための湾曲ずれ量測定と、前記斜行補正情報を取得するための斜行ずれ量測定とを行う前に、前記光学倍率がマイナスのレンズに対応した発光順序の並び換え処理を行うことを特徴とする、請求項3ないし請求項5のいずれかに記載のラインヘッドの制御方法。
【請求項7】
前記湾曲補正情報を取得するための湾曲ずれ量測定と、前記斜行補正情報を取得するための斜行ずれ量測定とを行う前に、前記発光素子行補正情報に従って発光素子行の露光位置ずれを補正することを特徴とする、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のラインヘッドの制御方法。
【請求項8】
像担持体の周囲に帯電手段と、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の方法で制御されるラインヘッドと、現像手段と、転写手段との各画像形成用ユニットを配した画像形成ステーションを少なくとも2つ以上設け、転写媒体が前記各画像形成ステーションを通過することにより、タンデム方式で画像形成を行うことを特徴とする、画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−66907(P2009−66907A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−237626(P2007−237626)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.SELFOC
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.SELFOC
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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