ラジエータコアサポート構造
【課題】 熱交換器からファン開口部へ向かう風の通気抵抗を下げることにより、熱交換器の冷却性能を向上できるラジエータコアサポート構造の提供。
【解決手段】 熱交換器3を保持固定するラジエータコアサポート1に、ラジエータコアサポートアッパ1aと、ラジエータコアサポートロア1bと、ラジエータコアサポートサイド1c,1cと、フードロックステイ1dが備えられ、フードロックステイ1dの車両前方側に熱交換器3が配置され、フードロックステイ1dの左右両側に、ファンシュラウド2のシュラウド部1eのファン開口部11a,11bが配置されるラジエータコアサポート構造において、フードロックステイ1dの車両前方側前端部1hからシュラウド部1eのファン開口部11a,11bへ向って傾斜したエアガイド部1i,1iを備えることとした。
【解決手段】 熱交換器3を保持固定するラジエータコアサポート1に、ラジエータコアサポートアッパ1aと、ラジエータコアサポートロア1bと、ラジエータコアサポートサイド1c,1cと、フードロックステイ1dが備えられ、フードロックステイ1dの車両前方側に熱交換器3が配置され、フードロックステイ1dの左右両側に、ファンシュラウド2のシュラウド部1eのファン開口部11a,11bが配置されるラジエータコアサポート構造において、フードロックステイ1dの車両前方側前端部1hからシュラウド部1eのファン開口部11a,11bへ向って傾斜したエアガイド部1i,1iを備えることとした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジエータコアサポート構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱交換器を固定保持するラジエータコアサポートは、ラジエータコアサポートアッパと、ラジエータコアサポートロアと、ラジエータコアサポートサイドと、フードロックステイが備えられている(特許文献1参照)。
【0003】
また、近年、ラジエータコアサポートは、射出成形により樹脂で一体的に形成され、これに伴ってラジエータコアサポートにフードロックステイ及びファンシュラウドのシュラウド部が一体的に形成されるラジエータコアサポート構造の技術が公知になっている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2005−35435号公報
【特許文献2】特開2005−47370号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のラジエータコアサポート構造にあっては、フードロックステイの車両前方側に熱交換器が配置されているため、熱交換器を通過した風がフードロックステイに衝突して通気抵抗が増加してしまうという問題点があった。
なお、フードロックステイの左右両側にファン開口部が配置される場合には、熱交換器からそれぞれのファン開口部に向かう風同士がフードロック付近で衝突して乱流化するため、通気抵抗がさらに増加してしまう。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、熱交換器からファン開口部へ向かう風を効率良く導くことにより、熱交換器の冷却性能を向上できるラジエータコアサポート構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1記載の発明では、熱交換器を保持固定するラジエータコアサポートに、車幅方向に延設されたラジエータコアサポートアッパと、ラジエータコアサポートアッパと並行するラジエータコアサポートロアと、ラジエータコアサポートアッパとラジエータコアサポートロアの両端部同士を結合するラジエータコアサポートサイドと、ラジエータコアサポートアッパとラジエータコアサポートロアの中央部同士を結合するフードロックステイが備えられ、前記フードロックステイの車両前方側に熱交換器が配置され、前記フードロックステイの左右いずれか一方側または両側に、ファンシュラウドのシュラウド部のファン開口部が配置されるラジエータコアサポート構造において、前記フードロックステイの車両前方側前端部からシュラウド部のファン開口部へ向って傾斜したエアガイド部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の請求項1記載の発明にあっては、熱交換器を保持固定するラジエータコアサポートに、車幅方向に延設されたラジエータコアサポートアッパと、ラジエータコアサポートアッパと並行するラジエータコアサポートロアと、ラジエータコアサポートアッパとラジエータコアサポートロアの両端部同士を結合するラジエータコアサポートサイドと、ラジエータコアサポートアッパとラジエータコアサポートロアの中央部同士を結合するフードロックステイが備えられ、前記フードロックステイの車両前方側に熱交換器が配置され、前記フードロックステイの左右いずれか一方側または両側に、ファンシュラウドのシュラウド部のファン開口部が配置されるラジエータコアサポート構造において、前記フードロックステイの車両前方側前端部からシュラウド部のファン開口部へ向って傾斜したエアガイド部を備えるため、熱交換器からファン開口部へ向かう風の通気抵抗を下げて熱交換器の冷却性能を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0009】
以下、実施例1を説明する。
図1は本発明の実施例1のラジエータコアサポート構造の分解斜視図、図2は本実施例1のラジエータコアサポートの斜視図、図3は図2の矢視A部分の拡大図、図4はファンシュラウドの斜視図、図5は図4の矢視B部分の拡大図、図6はファンの正面図、図7は本実施例1の熱交換器の平面図、図8は同正面図、図9は本実施例1の熱交換器の背面斜視図(一部のみ)である。
【0010】
図10及び図11は本実施例1のラジエータコアサポートとファンシュラウドの組み付け状態を説明する図(ファン及びモータは省略)、図12及び図13はラジエータコアサポート、ファンシュラウド、熱交換器の組み付け状態を説明する平断面図、図14は本実施例1のラジエータコアサポート構造の作用を説明する図である。
【0011】
先ず、全体構成を説明する。
図1に示すように、本実施例1のラジエータコアサポート構造は、ラジエータコアサポート1と、ファンシュラウド2と、熱交換器3が備えられている。
【0012】
図2に示すように、ラジエータコアサポート1は、車幅方向に延設されたラジエータコアサポートアッパ1aと、ラジエータコアサポートアッパ1aと並行するラジエータコアサポートロア1bと、ラジエータコアサポートアッパ1aとラジエータコアサポートロア1bの両端部同士を結合するラジエータコアサポートサイド1c,1cと、ラジエータコアサポートアッパ1aとラジエータコアサポートロア1bの中央部同士を結合するフードロックステイ1dと、これらラジエータコアサポートアッパ1a、ラジエータコアサポートロア1b、ラジエータコアサポートサイド1c,1c、フードロックステイ1dの内側に設けられたシュラウド部1eから構成され、全体が樹脂で一体的に形成されている。
なお、ラジエータコアサポート1の全体の一部を金属製にして樹脂モールドさせても良い。
【0013】
シュラウド部1eにおけるフードロックステイ1dの左右両側には、ファン開口部11a,11bが形成されると共に、図3に示すように、各ファン開口部11a,11bのフードロックステイ1dに近接した部位にはそれぞれ車両前方側へ突出した板状の固定部1g,1g(第1係止部に相当)が形成されている。
【0014】
また、フードロックステイ1dは、車両前方側が頂部となる略V字型断面に形成され、これによって、フードロックステイ1dの車両前方側前端部1hからファン開口部11a,11bへ向ってそれぞれ傾斜するエアガイド部1i,1iが形成されている。
【0015】
その他、ラジエータコアサポートアッパ1aの左右両側には、熱交換器の左右上部を固定するための固定部1j,1jが設けられ、ラジエータコアサポートロア1bの左右両側には熱交換器の左右下部を固定するための固定穴1k,1kが形成されている。
【0016】
図4に示すように、ファンシュラウド2は、後述するファン4を左右にそれぞれ搭載可能な所謂2連ファン用のファンシュラウドであって、全体が樹脂で一体的に形成される他、ファン4全体を支持する略円筒状の本体部2aと、該本体部2aから複数のファンステー部2bを介して接続された略円筒状のファンリング部2cが左右に一対備えられている。
【0017】
また、各ファンリング部2cの外周部には径方向外側へ突出したスカート状のリブ2dが形成されている。
【0018】
また、一対のファンリング部2c同士は、連結部2eで連結されると共に、図5に示すように、この連結部2eにおけるラジエータコアサポート1の固定部1g,1gとそれぞれ対応する位置には、前方側へ突出した係止爪2f,2f(第2係止部に相当)が形成されている。
【0019】
また、ファンシュラウド2の上部の左右には、固定穴2gを備える固定部2hが設けられ、ファンシュラウド2の下部の左右及び中央には、下方に突出した挿入ピン2iが合計4箇所形成されている。
【0020】
図6に示すように、ファン4は、略円筒状の外周部4aと図示を省略するモータが連結される略円筒状の回転基部4bとが複数の羽根4cで連結された所謂リングファンであり、全体が樹脂で一体的に形成されている。なお、ファン4はリングファン以外のタイプでも良く、この限りではない。
【0021】
図7〜9に示すように、熱交換器3は、車両前方側のコンデンサ5と、このコンデンサ5の車両後方側に配置されたラジエータ6が連結された一体型熱交換器であって、コンデンサ5の左右両側には、後述するコンデンサチューブ5aの端部がそれぞれ嵌挿固定されたコンデンサタンク5b,5cが配置されている。
【0022】
また、コンデンサタンク5bは、その内部が仕切り部5dによって2つの室R1,R4に仕切られ、コンデンサタンク5cは仕切り部5eによって2つの室R2,R3に仕切られている。
コンデンサタンク5bには、室R1に連通した入力ポート5fと、接続管5gを介して室R4に連通した出力ポート5hを備える入出力コネクタ5iが設けられている。
一方、コンデンサタンク5cには、接続管5j,5kを介して室R2,R3に連通したレシーバ5mが設けられている。
【0023】
ラジエータ6の左右両側には、後述するラジエータチューブ6aの両端部が図示を省略する対応するチューブプレートを介して嵌挿固定されたラジエータタンク6b,6cが配置されている。
また、ラジエータタンク6bの上部には車両後方側に突出した入力ポート6dが設けられ、一方、ラジエータタンク6cの下部には車両後方側に突出した出力ポート6eが設けられている。
さらに、ラジエータタンク6b,6cの上下端部には上下方向に突出した搭載ピンP1〜P4が設けられている。
【0024】
また、図9に示すように、本実施例1のコンデンサチューブ5aとラジエータチューブ6cは前後方向に所定間隔を置いた状態でフィン7を共用部品として上下方向に交互に積層され、これにより、コンデンサ用コア8とラジエータ用コア9(熱交換器のコアに相当)が形成されている。
なお、フィン7は必ずしも共用部品にする必要はなく、コンデンサ用コア8とラジエータ用コア9にそれぞれ別体で設けても良い。
【0025】
その他、前述したコンデンサタンク5b,5c、ラジエータタンク6b,6cは一対のレインフォース10a,10bで連結固定されている。
また、本実施例1の熱交換器3は全ての構成部材がアルミニウム製であり、各構成部材の接合部のうち、少なくとも一方側にはろう材から成るクラッド層が形成され、これらは予め仮組みされた後、図外の加熱炉でろう付けされることにより一体的に形成される。なお、レシーバ5mはブラケット等を用いて上記ろう付け後の工程で固定しても良い。
また、本実施例1では熱交換器3を一体型熱交換器としたが、単独のコンデンサ5やラジエータ6等の一般的な熱交換器でも良い。
【0026】
次に、ラジエータコアサポート1、ファンシュラウド2、熱交換器3の組付けについて説明する。
ラジエータコアサポート1にファンシュラウド2を固定する際には、予めファンシュラウド2にモータを含むファン4を搭載した後、ファンシュラウド2の挿入ピン2iをシュラウド部1eの図示を省略する挿入受け部に斜め上方から挿入する。
【0027】
次に、ファン開口部11a,11bと各ファンリング部2c,2cのリブ2dを重ねた状態として、ファンシュラウド2の固定穴1gと図示を省略するシュラウド部1eの固定穴にボルト・ナットで締結することにより、ラジエータコアサポート1にファンシュラウド2を固定する(図10参照)。
【0028】
この際、図11に示すように、ファンシュラウド2の係止爪2f,2fが、シュラウド部1eのそれぞれ対応する固定部1g,1gに係合して両者が堅固に固定される。
これにより、ファンシュラウド2をラジエータコアサポート1にボルト・ナットで締結する際に、ファンシュラウド2を手で押さえておく必要がない。
また、ファンシュラウド2の中央付近がラジエータコアサポート1と係合固定されるので、走行中にファンシュラウド2の中央部がラジエータコアサポート1に当たって異音を発生することもなくなる。
【0029】
次に、熱交換器3の搭載ピンP3,P4をラジエータコアサポートロア1bの固定穴1k,1kに図示を省略する弾性素材から成るロアマウントを介して挿入した後、搭載ピンP1,P2を図示を省略するブラケットを介してラジエータコアサポートアッパ1aの固定部1j,1jに固定することにより、ラジエータコアサポート1に熱交換器3を固定する。
【0030】
この際、図12、13に示すように、エアガイド部1i,1iの車両前方側前端部でもあるフードロックステイ1dの車両前方側前端部1hが、ラジエータタンク6c(6b)の車両後方側後端部6fからラジエータ用コア9側へ距離W1だけ突出した位置となるように配置される。
なお、フードロックステイ1dの車両前方側前端部1hとラジエータ用コア9との距離は両者の部品製品精度及び組み付け精度の誤差を考慮して決められる。
【0031】
また、フードロックステイ1dの車両前方側前端部1hがラジエータタンク6c(6b)の車両後方側後端部6fと同じ位置、つまり、距離W1=0となるように配置しても良い。
【0032】
次に、作用を説明する。
このように構成されたラジエータコアサポート構造では、ラジエータ6の入力ポート6dからラジエータタンク6bに流入した約110℃前後の流通媒体は、各ラジエータチューブ6aを流通する間にフィン7を介して車両走行風またはファン4による強制風と熱交換されて約60℃前後まで冷却された後、ラジエータタンク6cに流入して出力ポート6eから排出される。
【0033】
一方、コンデンサ5の入力ポート5fからコンデンサタンク5bの室R1に流入した約80℃前後の流通媒体は、室R1,R2に対応するコンデサチューブ5aを流通する間にフィン7を介して車両走行風またはファン4による強制風と熱交換された後、コンデンサタンク5cの室R2に流入する。
【0034】
次に、室R2内の流通媒体は、接続管5jを介してレシーバ5m内で気液分離された後、液状の流通媒体のみが接続管5kを介してコンデンサタンク5cの室R3に流入して室R3,R4に対応するラジエータチューブ6aを流通する間に、フィン7を介して車両走行風またはファン4による強制風と熱交換されて約45℃前後まで過冷却された後、コンデンサタンク5bの室R4に流入する。
【0035】
最後に、室R4内の流通媒体は、接続管5gを介して出力ポート5hから排出される。
【0036】
この際、図12に示すように、コンデンサ用コア8及びラジエータ用コア9を通過した風はラジエータコアサポート1のシュラウド部1eのファン開口部11a,11bを介してそれぞれ対応するファン4へ向かうが、ここで、従来の発明にあっては、ファン開口部へ向かう風が、フードロックステイに衝突して通気抵抗が増加してしまい、ファンの性能が低下して熱交換器の冷却性能が低下してしまうという問題点があった。
また、フードロックステイ付近は、左右のファンへ向かう風の境に位置しているため、乱流化し易く通気抵抗が増加してしまう傾向にある。
【0037】
しかしながら、本実施例1のラジエータコアサポート構造にあっては、フードロックステイ1dの車両前方側前端部1hからシュラウド部1eのファン開口部11a,11bへ向って傾斜したエアガイド部1i,1iを備えるため、図14に示すように、熱交換器3からそれぞれ対応するファン開口部11a,11bへ向かう風X1,X2をスムーズに導くことができ、これによって、風X1,X2の通気抵抗を減らして熱交換器3の冷却性能を向上できる。
【0038】
次に、効果を説明する。
以上、説明したように、本実施例1のラジエータコアサポート構造にあっては、熱交換器3を保持固定するラジエータコアサポート1に、車幅方向に延設されたラジエータコアサポートアッパ1aと、ラジエータコアサポートアッパ1aと並行するラジエータコアサポートロア1bと、ラジエータコアサポートアッパ1aとラジエータコアサポートロア1bの両端部同士を結合するラジエータコアサポートサイド1c,1cと、ラジエータコアサポートアッパ1aとラジエータコアサポートロア1bの中央部同士を結合するフードロックステイ1dが備えられ、フードロックステイ1dの車両前方側に熱交換器3が配置され、フードロックステイ1dの左右両側に、ファンシュラウド2のシュラウド部1eのファン開口部11a,11bが配置されるラジエータコアサポート構造において、フードロックステイ1dの車両前方側前端部1hからシュラウド部1eのファン開口部11a,11bへ向って傾斜したエアガイド部1i,1iを備えるため、熱交換器3からファン4へ向かう風の通気抵抗を下げてファン4の性能を向上でき、ひいては、熱交換器3の冷却性能を向上できる。
【0039】
また、少なくともフードロックステイ1d、シュラウド部1e、エアガイド部1i,1iを樹脂で一体的に形成したため、これらを別体で構成した場合に比べて風漏れを防止できると共に、部品点数及び組み立て工数を減らしてコスト削減を図れる。
【0040】
また、シュラウド部1eのファン開口部11a,11bをフードロックステイ1dの左右両側にそれぞれ配置し、フードロックステイ1dの断面を車両前方側が頂部となる略V字型断面に形成することにより、フードロックステイ1dの車両前方側前端部1hからシュラウド部1dのファン開口部11a,11bへ向って傾斜したエアガイド部1i,1iを形成したため、各ファン開口部11a,11bへ向かう風を乱流化させることなくスムーズに導くことができる。
【0041】
また、エアガイド部1i,1iの車両前方側前端部1hを、熱交換器3のラジエータタンク6b,6cの車両後方側後端部6fと同じ位置または熱交換器3のラジエータタンク6b,6cの車両後方側後端部6fから熱交換器3のラジエータ用コア9側へ突出した位置となるように配置したため、エアガイド部1i,1iの車両前方側前端部1hを、熱交換器3のラジエータ用コア9に近接して配置でき、これにより、各ファン開口部11a,11bへ向かう風X1,X2同士が衝突して乱流化するのを確実に防止できる。
【0042】
また、熱交換器3を保持固定するラジエータコアサポート1に、車幅方向に延設されたラジエータコアサポートアッパ1aと、ラジエータコアサポートアッパ1aと並行するラジエータコアサポートロア1bと、ラジエータコアサポートアッパ1aとラジエータコアサポートロア1bの両端部同士を結合するラジエータコアサポートサイド1c,1cと、ラジエータコアサポートアッパ1aとラジエータコアサポートロア1bの中央部同士を結合するフードロックステイ1dが備えられ、ラジエータコアサポート1にファンシュラウド2のシュラウド部1eが一体的に形成されると共に、このシュラウド部1eに設けられたファン開口部11a,11bに、ファンシュラウド2のファンリング部2cが本体部2aと共に固定されるラジエータコアサポート構造において、ラジエータコアサポート1のフードロックステイ1dの中央部に第1係止部(固定部1g,1g)を形成し、ファンシュラウド2の第1係止部(固定部1g,1g)と対応する位置に第2係止部(係止爪2f,2f)を形成し、シュラウド部2に設けられたファン開口部11a,11bに、ファンシュラウド2のファンリング部2cを本体部2aと共に固定する際に、第1係止部(固定部1g,1g)と第2係止部(係止爪2f,2f)を係合させて両者を固定したため、ファンシュラウド2をラジエータコアサポート1にボルト・ナットで締結する際に、ファンシュラウド2を手で押さえておく必要がない。
加えて、ファンシュラウド2の中央付近がラジエータコアサポート1と係合固定されるので、走行中にファンシュラウド2の中央部がラジエータコアサポート1に当たって異音を発生することもなくなる。
【0043】
以上、本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、本実施例1では、フードロックステイ1d、シュラウド部1e、エアガイド部1i,1iを樹脂で一体的に形成したが、これらをそれぞれ別体で構成することもできる。
また、ラジエータコアサポート1の左右両側にファン開口部11a,11bが配置される場合について説明したが、左右いずれか一方側にファン開口部が配置される場合には、ファン開口部が配置される側にエアガイド部1iを設ければ良い。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施例1のラジエータコアサポート構造の分解斜視図である。
【図2】本実施例1のラジエータコアサポートの斜視図である。
【図3】図2の矢視A部分の拡大図である。
【図4】本実施例1のファンシュラウドの斜視図である。
【図5】図4の矢視B部分の拡大図である。
【図6】本実施例1のファンの正面図である。
【図7】本実施例1の熱交換器の平面図である。
【図8】本実施例1の熱交換器の正面図である。
【図9】本実施例1の熱交換器の背面斜視図(一部のみ)である。
【図10】ラジエータコアサポートとファンシュラウドの組み付け状態を説明する図(ファン及びモータは省略)である。
【図11】ラジエータコアサポートとファンシュラウドの組み付け状態を説明する図(ファン及びモータは省略)である。
【図12】ラジエータコアサポート、ファンシュラウド、熱交換器の組み付け状態を説明する平断面図である。
【図13】ラジエータコアサポート、ファンシュラウド、熱交換器の組み付け状態を説明する平断面図である。
【図14】本実施例1のラジエータコアサポート構造の作用を説明する図である。
【符号の説明】
【0045】
P1、P2、P3、P4 搭載ピン
R1、R2、R3、R4 室
1 ラジエータコアサポート
1a ラジエータコアサポートアッパ
1b ラジエータコアサポートロア
1c ラジエータコアサポートサイド
1d フードロックステイ
1e シュラウド部
1g 固定部(第1係止部に相当)
1h 車両前方側前端部
1i エアガイド部
1j 固定部
1k 固定穴
2 ファンシュラウド
2a 本体部
2b ファンステー部
2c ファンリング部
2d リブ
2e 連結部
2f 係止爪(第2係止部に相当)
2g 固定穴
2h 固定部
2i 挿入ピン
3 熱交換器
4 ファン
4a 外周部
4b 回転基部
4c 羽根
5 コンデンサ
5a コンデンサチューブ
5b、5c コンデンサタンク
5d、5e 仕切り部
5f 入力ポート
5g、5j、5k 接続管
5h 出力ポート
5i 入出力コネクタ
5m レシーバ
6 ラジエータ
6a ラジエータチューブ
6b、6c ラジエータタンク
6d 入力ポート
6e 出力ポート
6f 車両後方側後端部
7 フィン
8 コンデンサ用コア
9 ラジエータ用コア
10a、10b レインフォース
11a、11b ファン開口部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジエータコアサポート構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱交換器を固定保持するラジエータコアサポートは、ラジエータコアサポートアッパと、ラジエータコアサポートロアと、ラジエータコアサポートサイドと、フードロックステイが備えられている(特許文献1参照)。
【0003】
また、近年、ラジエータコアサポートは、射出成形により樹脂で一体的に形成され、これに伴ってラジエータコアサポートにフードロックステイ及びファンシュラウドのシュラウド部が一体的に形成されるラジエータコアサポート構造の技術が公知になっている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2005−35435号公報
【特許文献2】特開2005−47370号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のラジエータコアサポート構造にあっては、フードロックステイの車両前方側に熱交換器が配置されているため、熱交換器を通過した風がフードロックステイに衝突して通気抵抗が増加してしまうという問題点があった。
なお、フードロックステイの左右両側にファン開口部が配置される場合には、熱交換器からそれぞれのファン開口部に向かう風同士がフードロック付近で衝突して乱流化するため、通気抵抗がさらに増加してしまう。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、熱交換器からファン開口部へ向かう風を効率良く導くことにより、熱交換器の冷却性能を向上できるラジエータコアサポート構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1記載の発明では、熱交換器を保持固定するラジエータコアサポートに、車幅方向に延設されたラジエータコアサポートアッパと、ラジエータコアサポートアッパと並行するラジエータコアサポートロアと、ラジエータコアサポートアッパとラジエータコアサポートロアの両端部同士を結合するラジエータコアサポートサイドと、ラジエータコアサポートアッパとラジエータコアサポートロアの中央部同士を結合するフードロックステイが備えられ、前記フードロックステイの車両前方側に熱交換器が配置され、前記フードロックステイの左右いずれか一方側または両側に、ファンシュラウドのシュラウド部のファン開口部が配置されるラジエータコアサポート構造において、前記フードロックステイの車両前方側前端部からシュラウド部のファン開口部へ向って傾斜したエアガイド部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の請求項1記載の発明にあっては、熱交換器を保持固定するラジエータコアサポートに、車幅方向に延設されたラジエータコアサポートアッパと、ラジエータコアサポートアッパと並行するラジエータコアサポートロアと、ラジエータコアサポートアッパとラジエータコアサポートロアの両端部同士を結合するラジエータコアサポートサイドと、ラジエータコアサポートアッパとラジエータコアサポートロアの中央部同士を結合するフードロックステイが備えられ、前記フードロックステイの車両前方側に熱交換器が配置され、前記フードロックステイの左右いずれか一方側または両側に、ファンシュラウドのシュラウド部のファン開口部が配置されるラジエータコアサポート構造において、前記フードロックステイの車両前方側前端部からシュラウド部のファン開口部へ向って傾斜したエアガイド部を備えるため、熱交換器からファン開口部へ向かう風の通気抵抗を下げて熱交換器の冷却性能を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0009】
以下、実施例1を説明する。
図1は本発明の実施例1のラジエータコアサポート構造の分解斜視図、図2は本実施例1のラジエータコアサポートの斜視図、図3は図2の矢視A部分の拡大図、図4はファンシュラウドの斜視図、図5は図4の矢視B部分の拡大図、図6はファンの正面図、図7は本実施例1の熱交換器の平面図、図8は同正面図、図9は本実施例1の熱交換器の背面斜視図(一部のみ)である。
【0010】
図10及び図11は本実施例1のラジエータコアサポートとファンシュラウドの組み付け状態を説明する図(ファン及びモータは省略)、図12及び図13はラジエータコアサポート、ファンシュラウド、熱交換器の組み付け状態を説明する平断面図、図14は本実施例1のラジエータコアサポート構造の作用を説明する図である。
【0011】
先ず、全体構成を説明する。
図1に示すように、本実施例1のラジエータコアサポート構造は、ラジエータコアサポート1と、ファンシュラウド2と、熱交換器3が備えられている。
【0012】
図2に示すように、ラジエータコアサポート1は、車幅方向に延設されたラジエータコアサポートアッパ1aと、ラジエータコアサポートアッパ1aと並行するラジエータコアサポートロア1bと、ラジエータコアサポートアッパ1aとラジエータコアサポートロア1bの両端部同士を結合するラジエータコアサポートサイド1c,1cと、ラジエータコアサポートアッパ1aとラジエータコアサポートロア1bの中央部同士を結合するフードロックステイ1dと、これらラジエータコアサポートアッパ1a、ラジエータコアサポートロア1b、ラジエータコアサポートサイド1c,1c、フードロックステイ1dの内側に設けられたシュラウド部1eから構成され、全体が樹脂で一体的に形成されている。
なお、ラジエータコアサポート1の全体の一部を金属製にして樹脂モールドさせても良い。
【0013】
シュラウド部1eにおけるフードロックステイ1dの左右両側には、ファン開口部11a,11bが形成されると共に、図3に示すように、各ファン開口部11a,11bのフードロックステイ1dに近接した部位にはそれぞれ車両前方側へ突出した板状の固定部1g,1g(第1係止部に相当)が形成されている。
【0014】
また、フードロックステイ1dは、車両前方側が頂部となる略V字型断面に形成され、これによって、フードロックステイ1dの車両前方側前端部1hからファン開口部11a,11bへ向ってそれぞれ傾斜するエアガイド部1i,1iが形成されている。
【0015】
その他、ラジエータコアサポートアッパ1aの左右両側には、熱交換器の左右上部を固定するための固定部1j,1jが設けられ、ラジエータコアサポートロア1bの左右両側には熱交換器の左右下部を固定するための固定穴1k,1kが形成されている。
【0016】
図4に示すように、ファンシュラウド2は、後述するファン4を左右にそれぞれ搭載可能な所謂2連ファン用のファンシュラウドであって、全体が樹脂で一体的に形成される他、ファン4全体を支持する略円筒状の本体部2aと、該本体部2aから複数のファンステー部2bを介して接続された略円筒状のファンリング部2cが左右に一対備えられている。
【0017】
また、各ファンリング部2cの外周部には径方向外側へ突出したスカート状のリブ2dが形成されている。
【0018】
また、一対のファンリング部2c同士は、連結部2eで連結されると共に、図5に示すように、この連結部2eにおけるラジエータコアサポート1の固定部1g,1gとそれぞれ対応する位置には、前方側へ突出した係止爪2f,2f(第2係止部に相当)が形成されている。
【0019】
また、ファンシュラウド2の上部の左右には、固定穴2gを備える固定部2hが設けられ、ファンシュラウド2の下部の左右及び中央には、下方に突出した挿入ピン2iが合計4箇所形成されている。
【0020】
図6に示すように、ファン4は、略円筒状の外周部4aと図示を省略するモータが連結される略円筒状の回転基部4bとが複数の羽根4cで連結された所謂リングファンであり、全体が樹脂で一体的に形成されている。なお、ファン4はリングファン以外のタイプでも良く、この限りではない。
【0021】
図7〜9に示すように、熱交換器3は、車両前方側のコンデンサ5と、このコンデンサ5の車両後方側に配置されたラジエータ6が連結された一体型熱交換器であって、コンデンサ5の左右両側には、後述するコンデンサチューブ5aの端部がそれぞれ嵌挿固定されたコンデンサタンク5b,5cが配置されている。
【0022】
また、コンデンサタンク5bは、その内部が仕切り部5dによって2つの室R1,R4に仕切られ、コンデンサタンク5cは仕切り部5eによって2つの室R2,R3に仕切られている。
コンデンサタンク5bには、室R1に連通した入力ポート5fと、接続管5gを介して室R4に連通した出力ポート5hを備える入出力コネクタ5iが設けられている。
一方、コンデンサタンク5cには、接続管5j,5kを介して室R2,R3に連通したレシーバ5mが設けられている。
【0023】
ラジエータ6の左右両側には、後述するラジエータチューブ6aの両端部が図示を省略する対応するチューブプレートを介して嵌挿固定されたラジエータタンク6b,6cが配置されている。
また、ラジエータタンク6bの上部には車両後方側に突出した入力ポート6dが設けられ、一方、ラジエータタンク6cの下部には車両後方側に突出した出力ポート6eが設けられている。
さらに、ラジエータタンク6b,6cの上下端部には上下方向に突出した搭載ピンP1〜P4が設けられている。
【0024】
また、図9に示すように、本実施例1のコンデンサチューブ5aとラジエータチューブ6cは前後方向に所定間隔を置いた状態でフィン7を共用部品として上下方向に交互に積層され、これにより、コンデンサ用コア8とラジエータ用コア9(熱交換器のコアに相当)が形成されている。
なお、フィン7は必ずしも共用部品にする必要はなく、コンデンサ用コア8とラジエータ用コア9にそれぞれ別体で設けても良い。
【0025】
その他、前述したコンデンサタンク5b,5c、ラジエータタンク6b,6cは一対のレインフォース10a,10bで連結固定されている。
また、本実施例1の熱交換器3は全ての構成部材がアルミニウム製であり、各構成部材の接合部のうち、少なくとも一方側にはろう材から成るクラッド層が形成され、これらは予め仮組みされた後、図外の加熱炉でろう付けされることにより一体的に形成される。なお、レシーバ5mはブラケット等を用いて上記ろう付け後の工程で固定しても良い。
また、本実施例1では熱交換器3を一体型熱交換器としたが、単独のコンデンサ5やラジエータ6等の一般的な熱交換器でも良い。
【0026】
次に、ラジエータコアサポート1、ファンシュラウド2、熱交換器3の組付けについて説明する。
ラジエータコアサポート1にファンシュラウド2を固定する際には、予めファンシュラウド2にモータを含むファン4を搭載した後、ファンシュラウド2の挿入ピン2iをシュラウド部1eの図示を省略する挿入受け部に斜め上方から挿入する。
【0027】
次に、ファン開口部11a,11bと各ファンリング部2c,2cのリブ2dを重ねた状態として、ファンシュラウド2の固定穴1gと図示を省略するシュラウド部1eの固定穴にボルト・ナットで締結することにより、ラジエータコアサポート1にファンシュラウド2を固定する(図10参照)。
【0028】
この際、図11に示すように、ファンシュラウド2の係止爪2f,2fが、シュラウド部1eのそれぞれ対応する固定部1g,1gに係合して両者が堅固に固定される。
これにより、ファンシュラウド2をラジエータコアサポート1にボルト・ナットで締結する際に、ファンシュラウド2を手で押さえておく必要がない。
また、ファンシュラウド2の中央付近がラジエータコアサポート1と係合固定されるので、走行中にファンシュラウド2の中央部がラジエータコアサポート1に当たって異音を発生することもなくなる。
【0029】
次に、熱交換器3の搭載ピンP3,P4をラジエータコアサポートロア1bの固定穴1k,1kに図示を省略する弾性素材から成るロアマウントを介して挿入した後、搭載ピンP1,P2を図示を省略するブラケットを介してラジエータコアサポートアッパ1aの固定部1j,1jに固定することにより、ラジエータコアサポート1に熱交換器3を固定する。
【0030】
この際、図12、13に示すように、エアガイド部1i,1iの車両前方側前端部でもあるフードロックステイ1dの車両前方側前端部1hが、ラジエータタンク6c(6b)の車両後方側後端部6fからラジエータ用コア9側へ距離W1だけ突出した位置となるように配置される。
なお、フードロックステイ1dの車両前方側前端部1hとラジエータ用コア9との距離は両者の部品製品精度及び組み付け精度の誤差を考慮して決められる。
【0031】
また、フードロックステイ1dの車両前方側前端部1hがラジエータタンク6c(6b)の車両後方側後端部6fと同じ位置、つまり、距離W1=0となるように配置しても良い。
【0032】
次に、作用を説明する。
このように構成されたラジエータコアサポート構造では、ラジエータ6の入力ポート6dからラジエータタンク6bに流入した約110℃前後の流通媒体は、各ラジエータチューブ6aを流通する間にフィン7を介して車両走行風またはファン4による強制風と熱交換されて約60℃前後まで冷却された後、ラジエータタンク6cに流入して出力ポート6eから排出される。
【0033】
一方、コンデンサ5の入力ポート5fからコンデンサタンク5bの室R1に流入した約80℃前後の流通媒体は、室R1,R2に対応するコンデサチューブ5aを流通する間にフィン7を介して車両走行風またはファン4による強制風と熱交換された後、コンデンサタンク5cの室R2に流入する。
【0034】
次に、室R2内の流通媒体は、接続管5jを介してレシーバ5m内で気液分離された後、液状の流通媒体のみが接続管5kを介してコンデンサタンク5cの室R3に流入して室R3,R4に対応するラジエータチューブ6aを流通する間に、フィン7を介して車両走行風またはファン4による強制風と熱交換されて約45℃前後まで過冷却された後、コンデンサタンク5bの室R4に流入する。
【0035】
最後に、室R4内の流通媒体は、接続管5gを介して出力ポート5hから排出される。
【0036】
この際、図12に示すように、コンデンサ用コア8及びラジエータ用コア9を通過した風はラジエータコアサポート1のシュラウド部1eのファン開口部11a,11bを介してそれぞれ対応するファン4へ向かうが、ここで、従来の発明にあっては、ファン開口部へ向かう風が、フードロックステイに衝突して通気抵抗が増加してしまい、ファンの性能が低下して熱交換器の冷却性能が低下してしまうという問題点があった。
また、フードロックステイ付近は、左右のファンへ向かう風の境に位置しているため、乱流化し易く通気抵抗が増加してしまう傾向にある。
【0037】
しかしながら、本実施例1のラジエータコアサポート構造にあっては、フードロックステイ1dの車両前方側前端部1hからシュラウド部1eのファン開口部11a,11bへ向って傾斜したエアガイド部1i,1iを備えるため、図14に示すように、熱交換器3からそれぞれ対応するファン開口部11a,11bへ向かう風X1,X2をスムーズに導くことができ、これによって、風X1,X2の通気抵抗を減らして熱交換器3の冷却性能を向上できる。
【0038】
次に、効果を説明する。
以上、説明したように、本実施例1のラジエータコアサポート構造にあっては、熱交換器3を保持固定するラジエータコアサポート1に、車幅方向に延設されたラジエータコアサポートアッパ1aと、ラジエータコアサポートアッパ1aと並行するラジエータコアサポートロア1bと、ラジエータコアサポートアッパ1aとラジエータコアサポートロア1bの両端部同士を結合するラジエータコアサポートサイド1c,1cと、ラジエータコアサポートアッパ1aとラジエータコアサポートロア1bの中央部同士を結合するフードロックステイ1dが備えられ、フードロックステイ1dの車両前方側に熱交換器3が配置され、フードロックステイ1dの左右両側に、ファンシュラウド2のシュラウド部1eのファン開口部11a,11bが配置されるラジエータコアサポート構造において、フードロックステイ1dの車両前方側前端部1hからシュラウド部1eのファン開口部11a,11bへ向って傾斜したエアガイド部1i,1iを備えるため、熱交換器3からファン4へ向かう風の通気抵抗を下げてファン4の性能を向上でき、ひいては、熱交換器3の冷却性能を向上できる。
【0039】
また、少なくともフードロックステイ1d、シュラウド部1e、エアガイド部1i,1iを樹脂で一体的に形成したため、これらを別体で構成した場合に比べて風漏れを防止できると共に、部品点数及び組み立て工数を減らしてコスト削減を図れる。
【0040】
また、シュラウド部1eのファン開口部11a,11bをフードロックステイ1dの左右両側にそれぞれ配置し、フードロックステイ1dの断面を車両前方側が頂部となる略V字型断面に形成することにより、フードロックステイ1dの車両前方側前端部1hからシュラウド部1dのファン開口部11a,11bへ向って傾斜したエアガイド部1i,1iを形成したため、各ファン開口部11a,11bへ向かう風を乱流化させることなくスムーズに導くことができる。
【0041】
また、エアガイド部1i,1iの車両前方側前端部1hを、熱交換器3のラジエータタンク6b,6cの車両後方側後端部6fと同じ位置または熱交換器3のラジエータタンク6b,6cの車両後方側後端部6fから熱交換器3のラジエータ用コア9側へ突出した位置となるように配置したため、エアガイド部1i,1iの車両前方側前端部1hを、熱交換器3のラジエータ用コア9に近接して配置でき、これにより、各ファン開口部11a,11bへ向かう風X1,X2同士が衝突して乱流化するのを確実に防止できる。
【0042】
また、熱交換器3を保持固定するラジエータコアサポート1に、車幅方向に延設されたラジエータコアサポートアッパ1aと、ラジエータコアサポートアッパ1aと並行するラジエータコアサポートロア1bと、ラジエータコアサポートアッパ1aとラジエータコアサポートロア1bの両端部同士を結合するラジエータコアサポートサイド1c,1cと、ラジエータコアサポートアッパ1aとラジエータコアサポートロア1bの中央部同士を結合するフードロックステイ1dが備えられ、ラジエータコアサポート1にファンシュラウド2のシュラウド部1eが一体的に形成されると共に、このシュラウド部1eに設けられたファン開口部11a,11bに、ファンシュラウド2のファンリング部2cが本体部2aと共に固定されるラジエータコアサポート構造において、ラジエータコアサポート1のフードロックステイ1dの中央部に第1係止部(固定部1g,1g)を形成し、ファンシュラウド2の第1係止部(固定部1g,1g)と対応する位置に第2係止部(係止爪2f,2f)を形成し、シュラウド部2に設けられたファン開口部11a,11bに、ファンシュラウド2のファンリング部2cを本体部2aと共に固定する際に、第1係止部(固定部1g,1g)と第2係止部(係止爪2f,2f)を係合させて両者を固定したため、ファンシュラウド2をラジエータコアサポート1にボルト・ナットで締結する際に、ファンシュラウド2を手で押さえておく必要がない。
加えて、ファンシュラウド2の中央付近がラジエータコアサポート1と係合固定されるので、走行中にファンシュラウド2の中央部がラジエータコアサポート1に当たって異音を発生することもなくなる。
【0043】
以上、本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、本実施例1では、フードロックステイ1d、シュラウド部1e、エアガイド部1i,1iを樹脂で一体的に形成したが、これらをそれぞれ別体で構成することもできる。
また、ラジエータコアサポート1の左右両側にファン開口部11a,11bが配置される場合について説明したが、左右いずれか一方側にファン開口部が配置される場合には、ファン開口部が配置される側にエアガイド部1iを設ければ良い。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施例1のラジエータコアサポート構造の分解斜視図である。
【図2】本実施例1のラジエータコアサポートの斜視図である。
【図3】図2の矢視A部分の拡大図である。
【図4】本実施例1のファンシュラウドの斜視図である。
【図5】図4の矢視B部分の拡大図である。
【図6】本実施例1のファンの正面図である。
【図7】本実施例1の熱交換器の平面図である。
【図8】本実施例1の熱交換器の正面図である。
【図9】本実施例1の熱交換器の背面斜視図(一部のみ)である。
【図10】ラジエータコアサポートとファンシュラウドの組み付け状態を説明する図(ファン及びモータは省略)である。
【図11】ラジエータコアサポートとファンシュラウドの組み付け状態を説明する図(ファン及びモータは省略)である。
【図12】ラジエータコアサポート、ファンシュラウド、熱交換器の組み付け状態を説明する平断面図である。
【図13】ラジエータコアサポート、ファンシュラウド、熱交換器の組み付け状態を説明する平断面図である。
【図14】本実施例1のラジエータコアサポート構造の作用を説明する図である。
【符号の説明】
【0045】
P1、P2、P3、P4 搭載ピン
R1、R2、R3、R4 室
1 ラジエータコアサポート
1a ラジエータコアサポートアッパ
1b ラジエータコアサポートロア
1c ラジエータコアサポートサイド
1d フードロックステイ
1e シュラウド部
1g 固定部(第1係止部に相当)
1h 車両前方側前端部
1i エアガイド部
1j 固定部
1k 固定穴
2 ファンシュラウド
2a 本体部
2b ファンステー部
2c ファンリング部
2d リブ
2e 連結部
2f 係止爪(第2係止部に相当)
2g 固定穴
2h 固定部
2i 挿入ピン
3 熱交換器
4 ファン
4a 外周部
4b 回転基部
4c 羽根
5 コンデンサ
5a コンデンサチューブ
5b、5c コンデンサタンク
5d、5e 仕切り部
5f 入力ポート
5g、5j、5k 接続管
5h 出力ポート
5i 入出力コネクタ
5m レシーバ
6 ラジエータ
6a ラジエータチューブ
6b、6c ラジエータタンク
6d 入力ポート
6e 出力ポート
6f 車両後方側後端部
7 フィン
8 コンデンサ用コア
9 ラジエータ用コア
10a、10b レインフォース
11a、11b ファン開口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器を保持固定するラジエータコアサポートに、車幅方向に延設されたラジエータコアサポートアッパと、ラジエータコアサポートアッパと並行するラジエータコアサポートロアと、ラジエータコアサポートアッパとラジエータコアサポートロアの両端部同士を結合するラジエータコアサポートサイドと、ラジエータコアサポートアッパとラジエータコアサポートロアの中央部同士を結合するフードロックステイが備えられ、
前記フードロックステイの車両前方側に熱交換器が配置され、
前記フードロックステイの左右いずれか一方側または両側に、ファンシュラウドのシュラウド部のファン開口部が配置されるラジエータコアサポート構造において、
前記フードロックステイの車両前方側前端部からシュラウド部のファン開口部へ向って傾斜したエアガイド部を備えることを特徴とするラジエータコアサポート構造。
【請求項2】
請求項1記載のラジエータコアサポート構造において、
少なくとも前記フードロックステイ、シュラウド部、エアガイド部を樹脂で一体的に形成したことを特徴とするラジエータコアサポート構造。
【請求項3】
請求項1または2記載のラジエータコアサポート構造において、
前記シュラウド部のファン開口部をフードロックステイの左右両側にそれぞれ配置し、
前記フードロックステイを車両前方側が頂部となる略V字型断面に形成することにより、フードロックステイの車両前方側前端部からシュラウド部のファン開口部へ向って傾斜したエアガイド部を形成したことを特徴とするラジエータコアサポート構造。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれかに記載のラジエータコアサポート構造において、
前記エアガイド部の車両前方側前端部を、熱交換器のタンクの車両後方側後端部と同じ位置または熱交換器のタンクの車両後方側後端部から熱交換器のコア側へ突出した位置となるように配置したことを特徴とするラジエータコアサポート構造。
【請求項5】
熱交換器を保持固定するラジエータコアサポートに、車幅方向に延設されたラジエータコアサポートアッパと、ラジエータコアサポートアッパと並行するラジエータコアサポートロアと、ラジエータコアサポートアッパとラジエータコアサポートロアの両端部同士を結合するラジエータコアサポートサイドと、ラジエータコアサポートアッパとラジエータコアサポートロアの中央部同士を結合するフードロックステイが備えられ、
前記ラジエータコアサポートにファンシュラウドのシュラウド部が一体的に形成されると共に、このシュラウド部に設けられたファン開口部に、ファンシュラウドのファンリング部が本体部と共に固定されるラジエータコアサポート構造において、
前記ラジエータコアサポートのフードロックステイの中央部に第1係止部を形成し、
前記ファンシュラウドの前記第1係止部と対応する位置に第2係止部を形成し、
前記シュラウド部に設けられたファン開口部に、ファンシュラウドのファンリング部を本体部と共に固定する際に、前記第1係止部と第2係止部を係合させて両者を固定したことを特徴とするラジエータコアサポート構造。
【請求項1】
熱交換器を保持固定するラジエータコアサポートに、車幅方向に延設されたラジエータコアサポートアッパと、ラジエータコアサポートアッパと並行するラジエータコアサポートロアと、ラジエータコアサポートアッパとラジエータコアサポートロアの両端部同士を結合するラジエータコアサポートサイドと、ラジエータコアサポートアッパとラジエータコアサポートロアの中央部同士を結合するフードロックステイが備えられ、
前記フードロックステイの車両前方側に熱交換器が配置され、
前記フードロックステイの左右いずれか一方側または両側に、ファンシュラウドのシュラウド部のファン開口部が配置されるラジエータコアサポート構造において、
前記フードロックステイの車両前方側前端部からシュラウド部のファン開口部へ向って傾斜したエアガイド部を備えることを特徴とするラジエータコアサポート構造。
【請求項2】
請求項1記載のラジエータコアサポート構造において、
少なくとも前記フードロックステイ、シュラウド部、エアガイド部を樹脂で一体的に形成したことを特徴とするラジエータコアサポート構造。
【請求項3】
請求項1または2記載のラジエータコアサポート構造において、
前記シュラウド部のファン開口部をフードロックステイの左右両側にそれぞれ配置し、
前記フードロックステイを車両前方側が頂部となる略V字型断面に形成することにより、フードロックステイの車両前方側前端部からシュラウド部のファン開口部へ向って傾斜したエアガイド部を形成したことを特徴とするラジエータコアサポート構造。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれかに記載のラジエータコアサポート構造において、
前記エアガイド部の車両前方側前端部を、熱交換器のタンクの車両後方側後端部と同じ位置または熱交換器のタンクの車両後方側後端部から熱交換器のコア側へ突出した位置となるように配置したことを特徴とするラジエータコアサポート構造。
【請求項5】
熱交換器を保持固定するラジエータコアサポートに、車幅方向に延設されたラジエータコアサポートアッパと、ラジエータコアサポートアッパと並行するラジエータコアサポートロアと、ラジエータコアサポートアッパとラジエータコアサポートロアの両端部同士を結合するラジエータコアサポートサイドと、ラジエータコアサポートアッパとラジエータコアサポートロアの中央部同士を結合するフードロックステイが備えられ、
前記ラジエータコアサポートにファンシュラウドのシュラウド部が一体的に形成されると共に、このシュラウド部に設けられたファン開口部に、ファンシュラウドのファンリング部が本体部と共に固定されるラジエータコアサポート構造において、
前記ラジエータコアサポートのフードロックステイの中央部に第1係止部を形成し、
前記ファンシュラウドの前記第1係止部と対応する位置に第2係止部を形成し、
前記シュラウド部に設けられたファン開口部に、ファンシュラウドのファンリング部を本体部と共に固定する際に、前記第1係止部と第2係止部を係合させて両者を固定したことを特徴とするラジエータコアサポート構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−290046(P2006−290046A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−110216(P2005−110216)
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】
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