ラジオコントロール送信機、ラジオコントロール送信機における通信方法
【課題】模型用のラジオコントロールシステムのトレーナ機能の利用にあたり、トレーナ信号受信機やトレーナケーブルを使用することなく、先生用と生徒用のラジオコントロール送信機との間での無線通信によってトレーナ信号が送受信できるようにする。
【解決手段】操縦信号の送信に2.4GHz帯での周波数ホッピング方式を採用する。そのうえで、トレーナモード時には、先生用ラジオコントロール送信機は、周波数が切り換えられるフレーム期間ごとに、操縦信号の送信とトレーナ信号の受信を実行する。生徒用ラジオコントロール送信機も、周波数が切り換えられるフレーム期間ごとに、トレーナ信号の送信を実行する。
【解決手段】操縦信号の送信に2.4GHz帯での周波数ホッピング方式を採用する。そのうえで、トレーナモード時には、先生用ラジオコントロール送信機は、周波数が切り換えられるフレーム期間ごとに、操縦信号の送信とトレーナ信号の受信を実行する。生徒用ラジオコントロール送信機も、周波数が切り換えられるフレーム期間ごとに、トレーナ信号の送信を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、模型用のラジオコントロール送信機と、このラジオコントロール送信機による信号の送受信方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
ラジオコントロール模型としての被操縦体の中でも、特に飛行機であるとかヘリコプターなどの飛行体は、その操縦が難しく熟練も必要である。
そこで、初心者が飛行体を墜落させるようなことなく操縦の練習ができるように、トレーナ機能を有するラジオコントロール送信機が知られている。
【0003】
トレーナ機能を利用するのにあたっては、図10に示すようにして、2台のラジオコントロール送信機を、トレーナ機能対応のケーブルであるトレーナケーブル11により接続し、トレーナモードを設定する。
トレーナモードが設定されるのに応じて、上記のようにして接続されるラジオコントロール送信機のうち、一方のラジオコントロール送信機は、操縦を教える先生用(先生用ラジオコントロール送信機1A)として機能するように設定され、他方のラジオコントロール送信機は、操縦を指導してもらう生徒用(生徒用ラジオコントロール送信機1B)として機能するように設定される。一例としては、先に電源をオンにしたほうが自動的に先生用ラジオコントロール送信機1Aとして設定されるようになっているものがある。この場合には、他方のラジオコントロール送信機は、一方のラジオコントロールの送信機である先生用のラジオコントロールの送信機1Aの電源がオンとされたことに応じて自動的に電源がオンとなるようにされたうえで、生徒用ラジオコントロール送信機1Bとして設定されることになる。
【0004】
先ず、トレーナモードが設定された生徒用ラジオコントロール送信機1Bに対して操縦操作が行われると、生徒用ラジオコントロール送信機1Bは、操縦操作に応じて得られる操縦データを所定の信号形式によるトレーナ信号を、トレーナケーブル11経由で先生用ラジオコントロール送信機1Aに対して送信する。
【0005】
また、トレーナ機能に対応するラジオコントロール送信機には、トレーナスイッチが設けられるが、先生用ラジオコントロール送信機1Aでは、このトレーナスイッチに対する操作に応じて受動モードと能動モードとの間での切り換えが可能になる。
【0006】
受動モードでは、生徒用ラジオコントロール送信機1Bから入力されるトレーナ信号としての操縦データを、自身のアンテナ7から、操縦信号として被操縦体10に対して送信させる。従って、受動モードでは、生徒用ラジオコントロール送信機1Bに対して行われた操縦操作に応じて被操縦体10が動作する。
これに対して、能動モードでは、先生用ラジオコントロール送信機に対して行われた操縦操作に応じた操縦データを、操縦信号として被操縦体10に対して送信する。つまり、この場合においては、生徒用ラジオコントロール送信機1Bからのトレーナ信号に応じた操縦データを、操縦信号としては送信しない。
【0007】
例えば、生徒に練習させるときには、先生は、受動モードを設定する。これにより、生徒が生徒用ラジオコントロール送信機1Bに対して行った操縦操作に応じた操縦信号が被操縦体10に対して送信される。つまり、生徒が被操縦体10を操縦することができる。
しかし、例えばここで、受動モードのもとで生徒が操縦しているときに操作を誤り、被操縦体の飛行状態が不安定になったとする。あるいは、着地のための操作など、飛行体としての被操縦体では非常に難度が高い操作を行うべき状況になったとする。
このようなとき、先生は、トレーナスイッチを操作して、受動モードから能動モードに切り換える。これにより、生徒が生徒用ラジオコントロール送信機1Bを操作しても、被操縦体10は、その操作に応答しては動作せず、代わりに先生用ラジオコントロール送信機1Aに対する操縦操作に応じてのみ動作可能な状態になる。そこで、先生は、能動モードとした状態のもと、例えば、不安定な飛行状態を立て直すための操作を行ったり、あるいは、着地のための操作を行ったりする。
このようにして、トレーナモードを利用すれば、生徒は、先生にいつでも補助してもらえる環境で、機体を墜落させたり、着地に失敗したりすることなく安全に操縦の練習を行える。
【0008】
また、トレーナ機能に対応したシステム構成として、図11に示す態様も知られている。
図11では、先生用ラジオコントロール送信機1A側でトレーナ信号受信機12を用意する。このトレーナ信号受信機は、無線送信されるトレーナ信号を受信するための専用の受信機で、ラジオコントロール送信機とは別体の装置となっている。そして、このトレーナ信号受信機12を先生用ラジオコントロール送信機1A側に対して接続する。
なお、図11の場合には、トレーナモードを設定したときに、トレーナ信号受信機12が接続されている側が、先生用ラジオコントロール送信機1Aとして機能するように設定され、トレーナ信号受信機12が接続されていない側が生徒用ラジオコントロール送信機1Bとして機能するようにして設定されるようになっている。また、トレーナ信号受信機12と先生用ラジオコントロール送信機1Aとの間の接続については、ケーブルなどを用いて有線により行われる。
【0009】
そして、図11の構成の場合には、生徒用ラジオコントロール送信機1Bでは、操縦操作に応じたトレーナ信号を、アンテナ7より電波として送出するようにされている。このようにして送出されたトレーナ信号は、トレーナ信号受信機12により受信されて、先生用ラジオコントロール送信機1Aに対して入力される。
【0010】
一方、図11でも先生用ラジオコントロール送信機1Aは、トレーナスイッチに対する操作によって受動モードと能動モードとの切り換えが行われる。先生用ラジオコントロール送信機1Aは、受動モードでは、入力されたトレーナ信号の操縦データを、被操縦体10に対する操縦信号としてアンテナ7から送出させる。また、能動モードでは、操縦信号として、トレーナ信号の操縦データに代えて、先生用ラジオコントロール送信機1Aに対して行われた操作に応じて得られる操縦データを送信する。
【0011】
ここで、操縦信号、若しくはトレーナ信号の形式をPPM(Pulse Position Modulation)信号とした場合の例を、図12に示しておく。
なお、操縦信号/トレーナ信号では、例えばエルロンやエレベータなどのコントロール対象(ファンクション)ごとに1つのチャンネルを割り当てるようにしている。これはチャンネルオーダーともいわれる。図12の操縦信号/トレーナ信号は、チャンネル最大数が4である場合に対応している。
【0012】
PPM信号としての操縦信号/トレーナ信号においては、1周期の最初にリセットパルスPrsが立ち上がる。このリセットパルスが立ち上がった時点から、予めリセット区間として設定した所定時間Trsを経過すると、CH1に対応したチャンネルパルスPch1が立ち上がる。つまり、或るパルスが立ち上がってから、所定時間Trsを経過して次のパルスが立ち上がることをもって、この次のパルスがチャンネルパルスPch1であることが認識される。
【0013】
チャンネルパルスPch1に続いては、或る時間T1を経過したタイミングで次のCH2に対応するチャンネルパルスPch2が立ち上がる。以降、同様にして、或る時間T2,T3を経過するごとのタイミングで、それぞれCH3,CH4に対応するチャンネルパルスPch3,Pch4が立ち上がる。そして、チャンネルパルスPch4が立ち上がったタイミングから或る時間T4を経過すると、次の周期のリセットパルスPrsが立ち上がる。なお、チャンネル数にもよるが、操縦信号/トレーナ信号としてのPPM信号の1周期は、約20msecとなる。
【0014】
このようにしてPPM信号においては、チャンネルパルスPch1〜Pch4ごとにパルス間隔としての時間T1〜T4が得られるのであるが、この時間T1〜T4としての各パルス間隔が、それぞれCH1〜CH4ごとに割り当てられるファンクションについてのコントロール量を示すものとなる。つまり、PPM信号では、チャンネルごとの操縦データは、それぞれのチャンネルパルスごとのパルス間隔の時間長として変調される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平07−31751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところで、図10に示す構成の場合には、先生用ラジオコントロール送信機1Aと生徒用ラジオコントロール送信機1Bとをトレーナケーブル11により物理的に繋げることになる。このために、先生、生徒の何れの操縦者も、互いの位置関係や姿勢に制限があって操縦しにくいという問題があった。
これに対して、図11の構成であれば、トレーナ信号の送受信は無線で行われるので、上記の問題は解消される。しかし、図11の構成では、トレーナ信号受信機12は、あくまでもラジオコントロール送信機1Aとは別体の装置となっている。そのうえ、例えばラジオコントロール送信機は機種ごとに形状が異なるという事情もあり、実際においては、トレーナ信号受信機12が先生用ラジオコントロール送信機1Aにケーブル接続されたままぶら下がったような状態として使用していることが多い。このような状態では、見栄えも良くないし、やはり操縦もしにくい。
また、図10、図11に示す構成の何れに関しても、トレーナケーブル11若しくはトレーナ信号受信機12という、ラジオコントロール送信機以外の部品、装置を用意しなければならないという煩わしさがある。
【0017】
そこで、本願発明としては、別体のトレーナケーブルやトレーナ信号受信機を設けることなく、トレーナ機能が動作できるようにすることを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
そこで本発明は上記した課題を考慮して、ラジオコントロール送信機として次のように構成する。
つまり、無線により信号を送信する送信手段と、無線により信号を受信する受信手段と、周波数ホッピング方式により周波数が切り換えられるフレーム期間ごとにおいて、送信モード期間と受信モード期間を設定し、上記送信モード期間にて通信相手のラジオコントロール送信機に対して第1の信号を上記送信手段により送信させるとともに、上記受信モード期間により通信相手のラジオコントロール送信機から送信される第2の信号を上記受信手段により受信させる送受信制御手段とを備えることとした。
【発明の効果】
【0019】
上記構成により本発明は、2台のラジオコントロール送信機の間での無線通信によりトレーナ信号の送受信が可能になる。これにより、トレーナケーブルであるとかトレーナ信号受信機などを別途用意して使用する必要はなくなり、操縦のしやすさが向上し、見栄えの悪さも解消される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態のトレーナ機能に対応した装置構成例を示す図である。
【図2】本実施形態のラジオコントロール送信機の外観例を示す斜視図である。
【図3】本実施形態の先生用/生徒用ラジオコントロール送信機のシステム構成例を示すブロック図である。
【図4】被操縦体が備える受信機のシステム構成例を示すブロック図である。
【図5】2.4GHz帯に対応した操縦信号/トレーナ信号のデータ構造例を示す図である。
【図6】通常モードにおけるラジオコントロール送信機と受信機との間での操縦信号の送受信動作を示す図である。
【図7】先生用ラジオコントロール送信機、受信機、生徒用ラジオコントロール送信機間でのリンク設定のための処理手順例を示すフローチャートである。
【図8】トレーナモード時における先生用ラジオコントロール送信機と生徒用ラジオコントロール送信機の処理手順例を示すフローチャートである。
【図9】トレーナモード時における先生用ラジオコントロール送信機と生徒用ラジオコントロール送信機との間での信号送受信動作例を示す図である。
【図10】これまでにおけるトレーナ機能に対応した装置構成例(トレーナケーブル使用)を示す図である。
【図11】これまでにおけるトレーナ機能に対応した装置構成例(トレーナ信号受信機使用)を示す図である。
【図12】PPM信号による操縦信号/トレーナ信号の形式例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以降、本願の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)について、下記の目次順により説明を行う。
<1.トレーナ機能概要>
<2.ラジオコントロール送信機の外観例>
<3.ラジオコントロール送信機のシステム構成例>
<4.受信機のシステム構成例>
<5.ラジオコントロール送信機の通信方式>
<6.本実施形態のトレーナ機能>
[6−1.リンク設定]
[6−2.トレーナモード時の動作]
【0022】
<1.トレーナ機能概要>
図1は、本実施形態としてのトレーナ機能に対応する装置構成例を示している。
この図においては、ラジオコントロール送信機1として、先生用ラジオコントロール送信機1Aと生徒用ラジオコントロール送信機1Bとが示されている。また、被操縦体10が示されている。ここでの被操縦体10は、例えば模型ヘリコプターや模型飛行機などの飛行体としている。トレーナ機能は、被操縦体10が飛行体でなくとも適用できるものであるが、前述の説明から理解されるように、被操縦体10が飛行体である場合のほうが、その必要性が高い。
【0023】
そして、本実施形態においては、トレーナモードが設定されている生徒用ラジオコントロール送信機1Bからは、アンテナ7を経由して、例えば電波による無線通信によってトレーナ信号を送出する。トレーナ信号は、前述もしたように、生徒用ラジオコントロール送信機1Bに対して行われた操縦操作に応じた操縦データを、先生用ラジオコントロール送信機1Aに対して送信する信号である。
【0024】
本実施形態においても、トレーナモードが設定されている先生用ラジオコントロール送信機1Aでは、例えばトレーナスイッチの操作に応じて、受動モードと能動モードとでの切換が行われる。
先生用ラジオコントロール送信機1Aは、アンテナ7によりトレーナ信号としての電波を受信する。そして、受動モードが設定されているときには、この受信したトレーナ信号の操縦データを格納した操縦信号を生成し、被操縦体10に送信する。一方、能動モードが設定されているときには、トレーナ信号に基づく操縦信号を送信するのではなく、先生用ラジオコントロール送信機1Aに対して行われた操縦操作に応じて得られた操縦データを格納した操縦信号を、被操縦体10に対して送信する。なお、被操縦体10に対する操縦信号の送出も、トレーナ信号の受信と同様、アンテナ7からの電波による無線通信により行う。
【0025】
被操縦体10においては、例えば受信機やサーボが備えられている。受信機にて操縦信号を受信すると、その操縦信号を復調して、チャンネルごとの操縦データとしてのコントロール量を取得する。そして、取得したコントロール量に従って、対応する各チャンネルに割り当てられているサーボ等を駆動する。これにより、例えば通常モード時若しくはトレーナモードの能動モード時においては、先生用ラジオコントロール送信機1Aに対して行った操縦操作の通りに被操縦体10が動作する。また、トレーナモードの受動モード時には、生徒用ラジオコントロール送信機1Bに対して行った操縦操作の通りに被操縦体10が動作する。
【0026】
このようにして、本実施形態のトレーナ機能を利用するにあたっては、トレーナ信号の送受信が、生徒用ラジオコントロール送信機1B本体と先生用ラジオコントロール送信機1A本体との間で、電波による無線通信で行われる。
つまり、本実施形態としては、例えばトレーナ機能を利用するのにあたって、ラジオコントロール送信機とは別体のトレーナケーブルやトレーナ信号受信機を必要としない。
これにより、前述した操縦のしづらさや、見栄えの悪さなどが解消される。また、ラジオコントロール送信機以外の装置部品を別途用意することの煩わしさからも解放される。
【0027】
<2.ラジオコントロール送信機の外観例>
以降、上記図1に示した、トレーナケーブルやトレーナ信号受信機を省略したトレーナ機能を実現するための技術構成について説明していくこととする。
先ず、図2は、ラジオコントロール送信機(RC送信機)1の外観例を示している。なお、この図に示すラジオコントロール送信機1は、先生用ラジオコントロール送信機1Aとしても、また、生徒用ラジオコントロール送信機1Bとしても機能するようにして設定できる。この図に示すラジオコントロール送信機1は、いわゆるスティック型といわれる形態を有する。
【0028】
ラジオコントロール送信機1の正面パネルには、図示するようにして、左右にそれぞれ、左スティックレバー2L、右スティックレバー2Rが設けられている。操縦者が、これらの左スティックレバー2L、右スティックレバー2Rを適宜、上下左右方向に傾けるようにして操作すると、その操作に応じたコントロール量の情報を有する操縦信号が、ラジオコントロール送信機1より被操縦体に対して送信される。これにより、例えば、飛行体としての被操縦体の上昇、下降、方向変換、速度などをコントロールすることができる。例えば、左スティックレバー2L、右スティックレバー2Rの上下左右各方向の操作は、或る1つの特定のチャンネルに対応付けられている。
【0029】
また、ラジオコントロール送信機1の正面パネルにおいて、左スティックレバー2L、右スティックレバー2Rの下側には、表示画面部3が設けられる。この表示画面部3は、例えばディスプレイデバイスにおいて画像が表示される画面部分であり、各種の設定画面であるとか、操縦時のコントロール状態などが適宜表示される。
【0030】
また、表示画面部3に対して表示される画像に対する操作は、例えば表示画面部3の左に配置される表示部対応操作子4などにより行うことができる。また、表示画面部3についてタッチパネルを組み合わせた構成として、このタッチパネル操作によって、表示画像に対する操作が行えるようにしてもよい。
【0031】
またラジオコントロール送信機1には、ダイヤル操作子5a〜5c、プッシュスイッチ5d〜5gなどの操作子も設けられている。これらの操作子には、例えばユーザ設定操作により、しかるべきパラメータ、チャンネルを割り当てることができる。
【0032】
アンテナ7は、被操縦体に対して送信すべき操縦信号を電波として送出するために設けられる。また、先生用ラジオコントロール送信機と生徒用ラジオコントロール送信機とが無線の伝送路により送受信を行うときには、このアンテナ7にて、先生用ラジオコントロール送信機と生徒用ラジオコントロール送信機との間での電波の送受信が行われる。
【0033】
<3.ラジオコントロール送信機のシステム構成例>
図3は、本実施形態のラジオコントロール送信機1のシステム構成例を示している。この図に示すラジオコントロール送信機1は、制御部21、メモリ22、送信部23、受信部24、合成/分配器25、表示部26、操作部27を有して成る。
【0034】
制御部21は、例えばCPU、RAMなどから成り、メモリ22に記憶されるプログラムに従って、ラジオコントロール送信機1における所要の制御処理を実行する。
この場合のメモリ22は、例えば制御部21のための補助記憶装置に相当する部位を示しており、上記したプログラムのほか、各種の設定情報などが記憶される。
【0035】
送信部23は、制御部21の制御に従って、送信すべきデータを、後述する所定の通信方式に対応して変調し、送信信号として合成/分配器25に対して出力する。この送信信号として、先生用ラジオコントロール送信機1Aに対応しては、被操縦体10に対して送信すべき操縦信号が含まれる。また、生徒用ラジオコントロール送信機1Bに対応してはトレーナ信号が含まれる。
【0036】
合成/分配器25は、送信部23から入力される送信信号については、アンテナ7側に出力する。これにより、アンテナ7より、上記所定の通信方式に応じた送信信号が電波として送出される。
【0037】
また、アンテナ7にて電波として受信された信号は、合成/分配器25に対して入力される。合成/分配器25は、アンテナ7から入力される信号については、受信部24に出力する。
受信部24は、入力される受信信号について所要の復調処理を実行して受信データを抽出し、制御部21に渡す。制御部21は、渡された受信データについて所要の処理を実行する。
【0038】
例えば、先生用ラジオコントロール送信機1Aの場合には、アンテナ7にて受信されたトレーナ信号を受信部24にて復調することで、トレーナ信号におけるチャンネルごとの操縦データを得ることになる。そして、トレーナモードの受動モードが設定されているとき、制御部21は、この取得されたチャンネルごとの操縦データから操縦信号を生成し、この操縦信号を、送信部23に渡してアンテナ7より電波として送出させる。
【0039】
表示部26は、所定のディスプレイデバイスから成り、制御部21の表示制御に従って駆動されることで画像を表示する部位である。この表示部26において画像が表示される画面部分が、図2に示した表示画面部3となる。
【0040】
操作部27は、例えば図2に示した、ラジオコントロール送信機1に備えられる各種の操作子を一括して示したものとなる。この操作部27を形成する操作子に対して操作が行われると、その操作に応じた操作信号が制御部21に対して入力される。制御部21は、入力される操作信号に応じて、適宜、所要の処理を実行する。
【0041】
ここで、入力される操作信号が、或るチャンネルに割り当てられたファンクションに対応する操作子に対する操縦操作である場合、制御部21は、この操作信号から、対応のファンクションに対するコントロール量を求める。そのうえで、先生用ラジオコントロール送信機1Aの場合であれば、トレーナモードが無効の通常モード時、若しくはトレーナモードでの能動モード時においては、このコントロール量の情報としての操縦データを、操縦信号における対応のチャンネルに割り当てて格納し、アンテナ7より送出させる。
また、生徒用ラジオコントロール送信機1Bの場合であれば、トレーナモード時においては、上記コントロール量の情報としての操縦データをチャンネルごとに割り当てて格納したトレーナ信号を生成し、アンテナ7より送出させる。
【0042】
<4.受信機のシステム構成例>
図4は、被操縦体10が備える受信機11のシステム構成例を示している。この図に示す受信機11は、制御部31、メモリ32、受信部33、アンテナ34から成るものとしている。
また、この図においては、サーボ部35が示されている。例えば被操縦体10が飛行体であれば、その被操縦体10は、エルロン、フラップなどを動かすための各種サーボモータを備える。サーボ部35は、これらのサーボモータその他のコントロール対象の部位を一括して示したものとなる。
【0043】
制御部31は、例えばCPU等を備えて形成され、メモリ32に記憶されるプログラムに従って所要の制御処理を実行する。
また、この場合のメモリ32は、例えば制御部31のための補助記憶装置に相当する部位となるもので、上記したプログラムのほか、各種の設定情報などが記憶される。
【0044】
ラジオコントロール送信機から送信される電波としての操縦信号はアンテナ34にて受信される。受信部33は、この受信された操縦信号を復調して、チャンネルごとの操縦データを得る。制御部31は、このチャンネルごとの操縦データに基づいて、サーボ部35における、チャンネルごとに割り当てられたサーボなどのコントロール対象部位の動作を制御する。これにより、被操縦体10は、ラジオコントロール送信機に対して行われた操縦操作に応じて動作する。
【0045】
<5.ラジオコントロール送信機の通信方式>
本実施形態のラジオコントロール送信機1は、アンテナ7経由での無線通信方式として、2.4GHz帯による周波数ホッピング方式を採用する。周波数ホッピング方式は、スペクトラム拡散方式の1つであって、送信側と受信側で周波数ホッピングパターンといわれる一定の規則を規定し、この規則に従って一定の通信帯域の中で高速に通信周波数を切り替えて通信を行う方式である。
【0046】
図5は、上記2,4GHz帯での周波数ホッピング方式において、本実施形態のラジオコントロール送信機1が送信する操縦信号のデータ構造例を示している。なお、本実施形態においては、トレーナ信号についても、この図5と同様の構造を有する。
【0047】
図5(a)においては、操縦信号としての1フレーム分の全体構造が示されている。本実施形態においては、周波数ホッピングにより周波数が切り換わるごとに、この図5(a)に示す1フレーム分のデータを操縦信号として送出する。
図5(a)に示される操縦信号のデータは、先頭のSYNC(同期コード)に続けて、順に、送信機ID、チャンネルデータ、ホッピングパターンデータ、エラーコードが配列されて成る。
SYNCは、このフレーム単位の送信データにおける同期コードとなるもので、所定ビット数による所定のビットパターンから成る。
送信機IDには、所定ビット数により、この送信データを送信するラジオコントロール送信機1に付されたID(識別子)が格納される。
チャンネルデータには、チャンネルごとのコントロール量のデータ(操縦データ)が格納される。例えば、ラジオコントロール送信機1が対応可能なチャンネルの最大数が8であるとすると、チャンネルデータは、図5(b)に示すようにして、CH1〜CH8ごとの個別チャンネルデータを順次配列して形成される。なお、これらの個別チャンネルデータは、それぞれ、同じ固定長のビット数を有し、そのビット値によりコントロール量等を示すようにされている。
ホッピングパターンデータは、例えば、設定した周波数ホッピングパターンを識別する情報と、この設定された周波数ホッピングパターンにおいて、現フレームを送信している周波数を示すデータが格納される。
エラーコードは、例えばチャンネルデータ、ホッピングパターンデータについてのエラー検出、エラー訂正のために付加される。
【0048】
図6は、本実施形態のラジオコントロール送信機1と被操縦体10に備えられる受信機11との間での基本的な操縦信号の送受信動作例を示している。なお、一般の周波数ホッピングパターンとしては、ホッピングチャンネルといわれる周波数の切り換え数は10以上であるが、ここでは、説明及び図示を分かりやすくすることの便宜上、ホッピングチャンネル数を5としている。
また、この図は、既にラジオコントロール送信機1と、受信機11とで、相互の周波数ホッピングパターンの同期が図られているうえでの通信動作が示されている。
【0049】
図6においては、5つのホッピングチャンネルに対応する5つの周波数について、f1〜f5として示している。f1〜f5の間での周波数の切り換えは、図においてフレーム期間として示す一定期間が経過するごとに行われる。
この図において示される最初のフレーム期間においては、ラジオコントロール送信機1Aは、所定の送信期間により周波数f1により操縦信号を送信する。このとき、受信機11においても、周波数f1を選択して上記の送信期間に対応する受信待機期間を設定している。これにより、図示するようにして、周波数f1のホッピングチャンネルにより、操縦信号の送受信が行われることになる。このフレーム期間において送受信される操縦信号が、図5において示した1フレーム分のデータとなる。
【0050】
次のフレーム期間においては、ラジオコントロール送信機1Aと受信機11は、周波数f5に切り換えて操縦信号を送受信している。以降、ラジオコントロール送信機1Aは、フレーム期間ごとに、周波数f4、f2、f3により操縦信号を送受信している。なお、ここでは図示していないが、周波数f3のフレーム期間に続く以降のフレーム期間では、周波数f1から、上記と同じ順で送受信が実行される。
つまり、この図では、周波数ホッピングパターンとしては、フレーム期間として示す所定時間ごとに、周波数f1,f5,f4,f2,f3の順で繰り返し送受信を行うものとして規定されている。
【0051】
このような周波数ホッピング方式による通信は、妨害、干渉などに強いことが知られている。例えば、ほぼ同じ場所に、同じ2,4GHz帯による通信を行う仕様のラジオコントロール送信機1と受信機11の組が複数あるとする。この場合において、互いの組ごとに異なる周波数ホッピングパターンを設定して操縦信号を送受信すれば、各組の間では同じホッピングチャンネルの周波数を使用することがほとんど無くなる。或る組同士でホッピングチャンネルの周波数が重複する可能性は避けられないが、周波数は常に高速に切り換わっているために、あくまでも一時的なものであり、結果としては、操縦の障害になるような通信の妨害、干渉は発生しない。
【0052】
ところで、上記のようにして、1つのラジオコントロール送信機1と受信機11との組で使用するホッピングパターンを決定するためには、ラジオコントロール送信機1は、受信機11との通信を開始させる前段階において、既に他の通信機により、同じ2,4GHz帯の電波が使用されているか否かについて判断するようにしている。
このためには、ラジオコントロール送信機1は、アンテナ7にて電波を受信して得られる信号を受信部24により入力させる。受信部24は、2,4GHz帯の通信に対応する復調機能を備えるので、受信された電波が2,4GHz帯であるか否かについての判断を行うことができる。そして、受信された電波が2,4GHz帯であると判断した場合には、さらに、その周波数ホッピングパターンを認識する。
そして、ラジオコントロール送信機1は受信機11と通信する際には、上記のようにして認識した周波数ホッピングパターンとは異なる、未使用の周波数ホッピングパターンを決定する。そして、この決定した周波数ホッピングパターンにより受信機11との同期を図ったうえで、操縦信号を送信する。
【0053】
例えば、ラジオコントロール送信機1として、40MHz帯や72MHz帯などの日本国内のラジコン専用周波数を使用するものは、電波の送信機能のみを有して、受信機能は有していないものが一般的である。
しかし、上記の周波数ホッピングパターン決定の手順によれば、2,4GHz帯に対応する本実施形態のラジオコントロール送信機1は、その主たる機能が操縦信号を電波により送信することであっても、少なくとも同じ2,4GHz帯電波による信号を受信する機能を有していることになる。これは、図3において受信部24が備えられていることによっても明示されている。
【0054】
本実施形態では、トレーナ機能に関して、上記のようにして2,4GHz帯に対応するラジオコントロール送信機1が受信機能をあらかじめ有していることに着目した。つまり、生徒用ラジオコントロール送信機1Bから2,4GHz帯によりトレーナ信号を送信する。そうすれば、先生用ラジオコントロール送信機1A側では、上記の受信機能を利用して、2.4GHz帯によりこのトレーナ信号を受信できることになる。これにより、トレーナケーブルやトレーナ信号受信機などを介在させなくとも、ラジオコントロール送信機の間での無線通信によって、直接的にトレーナ信号を送受信させることが実現できる。
なお、先生用ラジオコントロール送信機1Aでは、同じ2,4GHz帯によりトレーナ信号の受信と操縦信号の送信を行うことになる。しかし、先生用ラジオコントロール送信機1Aが、先にも述べたようにして、未使用の周波数ホッピングパターンを探索する動作を実行することで、生徒用ラジオコントロール送信機1Bとの間でのトレーナ信号の送受信と、受信機11との間での操縦信号の送受信とでは、互いに異なる周波数ホッピングパターンとするようにしている。これにより、トレーナ信号と操縦信号とが干渉する可能性が低くなる。
【0055】
<6.本実施形態のトレーナ機能>
[6−1.リンク設定]
そこで続いては、本実施形態のトレーナ機能を実現するための通信動作について説明を行っていく。
先に図1に示したように、本実施形態のトレーナ機能に対応する装置構成としては、先生用ラジオコントロール送信機1A及び生徒用ラジオコントロール送信機1Bとしての2台のラジオコントロール送信機1と、1つの被操縦体10となる。
そのうえで、トレーナ機能を利用するにあたっては、被操縦体10が、他のラジオコントロール送信機からの信号には応答せずに、先生用ラジオコントロール送信機1Aからの信号のみを受け付けるようにしてペアリングを確立させておく必要がある。同様に、先生用ラジオコントロール送信機1Aが、他のラジオコントロール送信機1からのトレーナ信号には応答せず、生徒用ラジオコントロール送信機1Bからのトレーナ信号のみを受け付けるようにしてペアリングを確立させておく必要がある。
また、本実施形態のトレーナ機能では、先生用ラジオコントロール送信機1Aが被操縦体10に対して送信する操縦信号を、生徒用ラジオコントロール送信機1B側においても受信し、これを周波数切り換えのタイミング同期に用いる。このために、生徒用ラジオコントロール送信機1Bが、他のラジオコントロール送信機1からの操縦信号には応答せず、先生用ラジオコントロール送信機1Aからの操縦信号のみを受け付けるようにしてペアリングを確立させておく必要もある。ここでは、これらのペアリングを確立するための設定についてリンク設定ということにする。
【0056】
そこで、トレーナ機能を利用するのにあたっては、先生、若しくは生徒の操縦者は、上記のリンク設定のための作業を行う。図7のフローチャートにより、リンク設定の作業手順とともに、これに応じてリンク対象の機器が実行する処理について説明する。
なお、図7においては、送信機能機器と受信機能機器との処理が示されている。送信機能機器と受信機能機器は、リンクモードを設定する機器の組み合わせによって以降の説明のようにして適宜変更される。
【0057】
先ず、先生用ラジオコントロール送信機1Aと、被操縦体10が備える受信機11との間でリンク設定する場合から説明する。この場合には、先生用ラジオコントロール送信機1Aが操縦信号を送信し、受信機11がこれを受信する関係なので、先生用ラジオコントロール送信機1Aが送信機能機器となり、受信機11が受信機能機器となる。
【0058】
この場合、先ず、先生用ラジオコントロール送信機1Aについては通常に操縦が可能な通常モードを設定しておくようにする。これにより、先生用ラジオコントロール送信機1Aは、図7のステップS101として示すように、既に受信機11との通信に対応して決定した周波数ホッピングパターンにより、操縦信号を送出する動作を継続する。
この状態のもと、操縦者は、受信機11に対してリンクモードを設定するための操作を行う。受信機11は、通常モードでは、図7のステップS201として示すように、リンクモードが設定されたか否かについて判別しており、上記のリンクモード設定のための操作が行われると、ステップS201において肯定の判別結果が得られることとなって、ステップS202以降のリンクモードとしての処理に移行する。
【0059】
ステップS202においては、例えばホッピングチャンネルのうちから選択された1つのホッピングチャンネルの周波数で固定した状態を設定する。つまり、受信部34について、上記1つのホッピングチャンネルの周波数にて受信された信号のみを処理するモードに設定する。
すると、この状態では、受信機11が1つのホッピングチャンネル周波数により受信待機している状態で、先生用ラジオコントロール送信機1Aが周波数を切り換えながら操縦信号を送信することになる。従って、先生用ラジオコントロール送信機1Aでのホッピングチャンネル周波数が、受信機11側で固定設定されたホッピングチャンネル周波数と同じになったときに、ステップS203として、受信機11にて操縦信号を受信することになる。
【0060】
操縦信号を受信した受信機11においては、受信部33により復調処理が行われて、操縦信号に含まれているデータが制御部31に渡される。
ここで、図5(a)に示すように、操縦信号のデータには、送信機IDが含まれている。つまり、この場合であれば、先生用ラジオコントロール送信機1Aの送信機IDが含まれている。そこで、受信機11の制御部31は、ステップS204により、この送信機IDをメモリ32(RAMでもよい)に記憶しておく。例えば、リンクモードは、このステップS204による送信機IDの記憶が完了したことに応じて解除される。
【0061】
上記のリンク設定の手順により、受信機11は、先生用ラジオコントロール送信機1Aの送信機IDを持つことになる。これにより、以降、受信機11は、受信した操縦信号のうちで先生用ラジオコントロール送信機1Aの送信機IDを格納する操縦信号のみを有効なものとして処理することができる。このようにして、受信機11を先生用ラジオコントロール送信機1Aからの操縦信号のみに応答して動作させるためのリンク設定が完了したことになる。
【0062】
次に、先生用ラジオコントロール送信機1Aにより生徒用ラジオコントロール送信機1Bからのトレーナ信号のみを受信させるためのリンク設定について説明する。この場合には、生徒用ラジオコントロール送信機1Bが送信機能機器となり、先生用ラジオコントロール送信機1Aが受信機能機器となる。
この場合には、生徒用ラジオコントロール送信機1Bを通常モードに設定して、ステップS101としての周波数ホッピングによる操縦信号の送信を継続させる。一方、先生用ラジオコントロール送信機1Aに対してはリンクモード設定のための操作を行うことで、ステップS202〜S204のリンクモードの処理を実行させる。これにより、先生用ラジオコントロール送信機1Aのメモリ22に、生徒用ラジオコントロール送信機1Bの送信機IDが記憶される。
本実施形態では、トレーナ信号も図5に示したデータ構造を与えることとしている。従って、トレーナ信号には、生徒用ラジオコントロール送信機1Bの送信機IDが格納される。従って、以降においては、先生用ラジオコントロール送信機1Aは、メモリ22に記憶した送信機IDを持つ生徒用ラジオコントロール送信機1Bからのトレーナ信号のみを受け付けるようにして動作することが可能になる。
【0063】
さらに、生徒用ラジオコントロール送信機1Bにより先生用ラジオコントロール送信機1Aからの操縦信号のみを受信させるためのリンク設定にあたっては、先生用ラジオコントロール送信機1Aが送信機能機器となり、生徒用ラジオコントロール送信機1Bが受信機能機器となる。
この場合にも、上記に準じた手順で、生徒用ラジオコントロール送信機1Bを通常モードに設定して、先生用ラジオコントロール送信機1Aに対してはリンクモード設定のための操作を行うことで、生徒用ラジオコントロール送信機1Bのメモリ22に、先生用ラジオコントロール送信機1Aの送信機IDを記憶させる。
【0064】
これら3つのリンク設定により、先生用ラジオコントロール送信機1Aから受信機11への操縦信号の送受信についてのペアリング、生徒用ラジオコントロール送信機1Bから先生用ラジオコントロール送信機1Aへのトレーナ信号の送受信についてのペアリング、及び、先生用ラジオコントロール送信機1Aから生徒用ラジオコントロール送信機1Bへの操縦信号の送受信についてのペアリングのそれぞれが確立されたことになる。
【0065】
[6−2.トレーナモード時の動作]
上記のリンク設定を完了させた後、先生、生徒の各操縦者は、先生用ラジオコントロール送信機1Aと生徒用ラジオコントロール送信機1Bにおいてトレーナモードが有効に設定された状態のもと、トレーナモードによる被操縦体10の操縦を行うことになる。
【0066】
図8のフローチャートは、トレーナモードにおいて先生用ラジオコントロール送信機1Aと生徒用ラジオコントロール送信機1Bが実行する処理を示している。なお、図8に示す処理は、先生用ラジオコントロール送信機1A、生徒用ラジオコントロール送信機1Bにおけるそれぞれの制御部21(CPU)が、メモリ22に記憶されるプログラムを実行することで実現される処理としてみることができる。
【0067】
トレーナモードを有効とするためには、例えば、先生用ラジオコントロール送信機1Aと生徒用ラジオコントロール送信機1Bとのそれぞれに対して、トレーナモードをオンとするための所定操作を行う。若しくは、先の先生用ラジオコントロール送信機1Aと生徒用ラジオコントロール送信機1Bとの間でのトレーナ信号送受信と操縦信号送受信に応じたペアリングが完了した段階で、自動的に、トレーナモードが有効となるようにして設定されるようにしてもよい。
先ず、先生用ラジオコントロール送信機1Aでは、図8のステップS301により、トレーナモードが有効に設定されるのを待機しており、例えば上記の操作等に応じてトレーナモードが有効設定されると、ステップS302以降の処理に進む。
【0068】
ステップS302においては、生徒用ラジオコントロール送信機1Bとトレーナ信号送受信のためのホッピングパターンの同期確立のために、生徒用ラジオコントロール送信機1Bに対して問い合わせ要求を送信する。
【0069】
ここで、上記問い合わせ要求の送信は、周波数ホッピングにより、ホッピングチャンネル周波数ごとに、同じ問い合わせ要求のフレームデータを繰り返し送信する。
また、問い合わせ要求としては、少なくとも、先生用ラジオコントロール送信機1A自身の送信機ID(送信側機器ID)と、生徒用ラジオコントロール送信機1Bの送信機ID(受信側機器ID)、及び現在の周波数ホッピングパターン及びホッピングチャンネル周波数を示す、周波数ホッピングパターンデータを格納している。
【0070】
生徒用ラジオコントロール送信機1Bにおいても、ステップS401にてトレーナモードが有効設定されるのを待機しており、トレーナモードを有効設定する操作が行われたことに応じて、ステップS402以降の処理を実行することになる。
【0071】
ステップS402において生徒用ラジオコントロール送信機1Bは、先ず、受信部24に対して、固定周波数受信モードを設定する。固定周波数受信モードとは、周波数ホッピングは行わずに、ホッピングチャンネル周波数のうちの1つのホッピングチャンネル周波数で固定した状態で受信モード期間を継続させる通信モードである。この状態において、先生用ラジオコントロール送信機1AがステップS302により送信しているホッピングチャンネル周波数と上記の固定のホッピングチャンネル周波数とが一致すると、ステップS403として示すように、問い合わせ要求が受信される。
【0072】
問い合わせ要求を受信した生徒用ラジオコントロール送信機1Bでは、この受信した問い合わせ要求について、トレーナ信号送受信に応答してリンク設定(ペアリング)された相手から、自身宛に送信されたものであるか否かについて判別する。
このためには、受信した問い合わせ要求における、送信側機器IDと受信側機器IDとを参照する。送信側機器IDは、問い合わせ要求を送信してきたラジオコントロール送信機の送信機IDである。従って、操縦信号の送受信に対応するリンク設定により、生徒用ラジオコントロール送信機1Bのメモリ22に記憶されている送信機IDと、問い合わせ要求における送信側機器IDとが同じであれば、今回受信した問い合わせ要求は、リンク相手の先生用ラジオコントロール送信機1Aから送信されたものであることが分かる。ここでさらに、問い合わせ要求における受信側機器IDと、この生徒用ラジオコントロール送信機1B自身の送信機IDとが同じであれば、今回受信した問い合わせ要求は、この生徒用ラジオコントロール送信機1Bを相手先として送信されたものであることが分かる。
【0073】
ステップS404にて、否定の判別結果が得られた場合には、ステップS402に戻り、リンク相手の先生用ラジオコントロール送信機1Aからの自身宛の問い合わせ要求が受信されるのを待機することになる。これに対してステップS404にて肯定の判別結果が得られたのであれば、ステップS405に進む。
【0074】
ステップS405においては、リンク相手からの自身宛の問い合わせ要求を受信できたことに応じて、これまでの固定のホッピングチャンネル周波数による受信状態を解除し、周波数ホッピングによる送受信動作に切換を行う。そして、この際には、先生用ラジオコントロール送信機1A側の周波数ホッピングとの同期をとる。
このためには、今回受信した問い合わせ要求に含まれていた周波数ホッピングパターンデータを参照する。周波数ホッピングパターンデータには、先生用ラジオコントロール送信機1A側で設定した周波数ホッピングパターン、及び今回受信した問い合わせ要求を送信してきたホッピングチャンネル周波数が示されている。
そこで、生徒用ラジオコントロール送信機1Bは、周波数ホッピングパターンとしては、周波数ホッピングパターンデータにおいて示される先生用ラジオコントロール送信機1Aと同じ周波数ホッピングパターンを設定する。そのうえで、今回の問い合わせ要求を送信してきたホッピングチャンネル周波数に対して、次となるホッピングチャンネル周波数のフレーム期間から周波数ホッピングを開始させる。これにより、先生用ラジオコントロール送信機1Aと生徒用ラジオコントロール送信機1Bとで、周波数ホッピングパターンの同期が図られる。
なお、このときの周波数ホッピングの開始タイミングは、ここでは、例えば問い合わせ要求を受信したタイミングから、フレーム期間に対応した一定時間を経過したタイミングで設定することが考えられる。
【0075】
上記のようにしてホッピングパターンの同期を確立すると、生徒用ラジオコントロール送信機1Bでは、ステップS406により、今回受信した問い合わせ要求に対する応答を、先生用ラジオコントロール送信機1Aに対して送信する。
【0076】
先生用ラジオコントロール送信機1Aでは、ステップS303により上記の応答を受信する。生徒用ラジオコントロール送信機1Bからの応答の送信は、周波数ホッピングパターンに従って或る1つの周波数により送信されてくるが、この段階では、先のステップS405の処理によって、周波数ホッピングパターンの同期が確立されているので、先生用ラジオコントロール送信機1Aにおいても、同じ周波数によって応答を受信することができる。
【0077】
応答を受信した先生用ラジオコントロール送信機1Aは、ステップS304により、この応答が、リンク設定された相手から自分宛に送信されたものであるか否かについて判別する。
例えば、応答としてのデータ構造には、この応答の送信元を示す送信機IDと、送信先の送信機IDとが格納されている。先生用ラジオコントロール送信機1Aは、これらの送信機IDを利用して、ステップS404に準じて判別を行う。
つまり、先生用ラジオコントロール送信機1Aは、応答において送信元を示す送信機IDと、メモリ22に格納されている生徒用ラジオコントロール送信機1Bの送信機IDとを比較し、同じであれば、リンク設定された相手の生徒用ラジオコントロール送信機1Bから送信されたものであると判別する。さらに、先生用ラジオコントロール送信機1Aは、応答において送信先を示す送信機IDと、自身の送信機IDとが同じであれば、自身宛に送信された応答であると判別する。
【0078】
ステップS304において否定の判別結果が得られた場合にはステップS303に戻ることで応答が受信されるのを待機するが、肯定の判別結果が得られたのであれば、ステップS305以降の手順に進む。
【0079】
ステップS305からS308は、1フレーム期間における操縦信号の送信と、トレーナ信号受信のための処理となる。
ステップS305では、現在において受動モードが設定されているか否かについて判別することとしており、受動モードが設定されているとして肯定の判別結果が得られた場合には、ステップS306により、送信モードを設定したうえで、生徒側操縦データをチャンネルデータに格納した操縦信号を送出する。生徒側操縦データとは、次のステップS308にて受信されるトレーナ信号のチャンネルデータにおいてチャンネルごとに割り当てられて格納されている操縦データ(コントロール量のデータ)をいう。これにより、生徒用ラジオコントロール送信機1Bに対する操縦操作に応じて被操縦体10が動くという、受動モードの動作が得られる。
これに対して、能動モードが設定されているときにはステップS305にて否定の判別結果が得られた場合には、ステップS307により、送信モードを設定したうえで、先生側操縦データを格納した操縦信号を送信する。先生側操縦データは、この先生用ラジオコントロール送信機1Aにおいて各チャンネルに割り当てられた操作子に対する操作状態(中立などの実際には操作されていないときも含む)に応じて得られる、チャンネルごとの操縦データをいう。従って、この場合には、能動モードとしての、先生用ラジオコントロール送信機1Aに対する操縦操作に応じて被操縦体10が動作する状態が得られる。
【0080】
先生用ラジオコントロール送信機1Aは、ステップS306,若しくはステップS307による操縦信号の送信を実行した後のタイミングで、同じフレーム期間において、ステップS308により受信モード期間を設定する。この受信モード期間が設定されているタイミングでは、生徒用ラジオコントロール送信機1Bからは、後述のステップS409によりトレーナ信号を送信している。このために、ステップS308の受信モード期間によっては、トレーナ信号が受信される。この場合のトレーナ信号は、前述もしたように、図5に準じた構造を有している。
なお、図8には示していないが、先生用ラジオコントロール送信機1Aは、ステップS308によりトレーナ信号を受信したときにも、例えばこのトレーナ信号に含まれる送信元を示す送信機IDと送信先を示す送信機IDとに基づいて、リンク相手の生徒用ラジオコントロール送信機1Bから自分宛に送信されたものであるかどうかについて判断する。そして、リンク相手から自分宛に送信されたと判断したトレーナ信号については受信部24にて復調して制御部21に渡し、そうではないトレーナ信号については処理しないようにしている。
そして、ステップS308にてトレーナ信号を受信復調した後は、次のフレーム開始時点に対応するタイミングでステップS305に戻る。これにより、先生用ラジオコントロール送信機1Aは、フレーム期間ごとに、操縦信号の送信と、これに続くトレーナ信号の受信復調が繰り返されていく。
【0081】
また、生徒用ラジオコントロール送信機1Bでは、ステップS406,S407による応答の送信以降、先生用ラジオコントロール送信機1Aに同期した周波数ホッピングパターンによる周波数ホッピングを行っている。先生用ラジオコントロール送信機1Aでは、ステップS306又はS307により、フレーム期間ごとに操縦信号を送信しているが、生徒用ラジオコントロール送信機1Bと先生用ラジオコントロール送信機1Aとでは周波数ホッピングパターンが同期しているので、生徒用ラジオコントロール送信機1Bでもこの操縦信号を受信することができる。そこで、生徒用ラジオコントロール送信機1Bでは、ステップS407により、後述するフレーム期間にて設定される受信モード期間にて、操縦信号を受信する。
【0082】
生徒用ラジオコントロール送信機1B側での操縦信号の受信は、次のステップS408によるフレームタイミング(フレーム期間が切り換わるタイミング)の同期修正を目的としている。
つまり、後述の図9にも示されるように、先生用ラジオコントロール送信機1A側での操縦信号の送信タイミングは、フレーム期間の開始タイミングにほぼ対応する。従って、生徒用ラジオコントロール送信機1Bでは、ステップS408として、操縦信号を受信したタイミングから先生側のフレームタイミングを認識し、これに基づいて、先生用ラジオコントロール送信機1A側のフレームタイミングと、自己のフレームタイミングを同期させるようにして、フレーム期間の調整を行う。
ここでのフレームタイミングの同期とは、即ち、生徒用ラジオコントロール送信機1B側のフレーム期間における受信モード期間と送信モード期間とについて、先生用ラジオコントロール送信機1A側の送信モード期間と受信モード期間に対応させて同期させることを意味する。つまり、ステップS408の処理によって、生徒用ラジオコントロール送信機1B側にて、受信モード期間と送信モード期間のタイミングを、先生用ラジオコントロール送信機1A側に合わせるための修正が行われる。
【0083】
図9は、上記図8の処理に対応した信号の送受信タイミングの一具体例を示している。この図においても、図6と同様に、ホッピングチャンネルとしての周波数はf1〜f5の5つとしている。また、この図9では、上段(先生側)において先生用ラジオコントロール送信機1Aの送受信動作が示され、下段(生徒側)において生徒用ラジオコントロール送信機1Bの送受信タイミングが示される。
【0084】
前提として、トレーナモードにおいては、先生用ラジオコントロール送信機1A(先生側)は、常に、設定された周波数ホッピングパターンに従ってフレーム期間ごとに周波数を切り換えている。この図では、周波数ホッピングパターンとしては、図6の例と同様に、周波数f1,f5,f4,f2,f3の順で巡回させるものとしている。
そのうえで、トレーナモードにおける先生側では、1フレーム期間において、送信モード期間と受信モード期間とを設定するようにされており、この点が図6の通常の操縦信号の送信時とは異なっている。
そして、図9での先生側での送信モード期間と受信モード期間は、1フレーム期間において時分割で設定されているものとみることができる。つまり、1フレーム期間において、先ずフレーム期間の開始時点から所定の時間長により送信モード期間を設定している。次に、送信モード期間が終了してから或る所定時間分の間隔を経て、所定時間による受信モード期間を設定している。
【0085】
そして、この図の場合、先生側は、図8のステップS302の処理に対応する動作として、時点t1から開始されるフレーム期間以前においても、設定された周波数ホッピングパターンに従って、フレーム期間ごとに周波数を切り換えて、フレーム期間1と同様にして、問い合わせ要求を繰り返し送信していたものとされる。
その一方で、生徒用ラジオコントロール送信機1B(生徒側)は、ここでは、ステップS402に対応した動作として、図9の時点t1以前の或る時点から周波数f1で固定した状態で受信モード期間を継続させていたものとする。
そして、この時点t1からのフレーム期間に至ったタイミングで、先生側の周波数と、生徒側の周波数とが一致したことで、生徒側にて問い合わせ要求が受信されたことが示されている。
【0086】
この問い合わせ要求に応じて、図9の場合の生徒側は、図8のステップS404にて肯定の判別結果を得ることになる。そして、ステップS405により自己の通信モードを、先生側に同期させた周波数ホッピングモードに切り換え、ステップS405により応答を送信することになる。
図9においては、生徒側によるステップS405に応じた周波数ホッピングモードは、時点t2以降のフレーム期間において実行されている。
【0087】
そして、トレーナモードにおいて、生徒側が周波数ホッピングモードによる通信を実行するときには、時点t2以降の各フレーム期間において示されているように、1フレーム期間において、受信モード期間とこれに続く送信モード期間が時分割で設定される。つまり、先生側とは逆の順で、1フレーム期間に対応しては、先ず、その開始タイミングに対応して一定時間の受信モード期間が設定され、この後、一定時間を経てから、一定時間による送信モード期間が設定されている。これにより、図9の時点t2以降の各フレーム期間における先生側と生徒側とをみて分かるように、先生側の送信モード期間は、生徒側の受信モード期間内のタイミングにて得られることになり、先生側からの送信信号を、生徒側で受信できることになる。同じく、生徒側の受信モード期間において先生側の送信モード期間のタイミングが得られるようになっており、生徒側からの送信信号を、先生側で受信できることになる。
【0088】
なお、図においても示されているが、先生側と生徒側の何れにおいても、受信モード期間については、送信モード期間よりも長い時間長が設定されたうえで、受信モード期間の開始・終了タイミングは、それぞれ、対応する送信モード期間の開始・終了タイミングよりも前・後となるようにして設定されている。このために、先生側の送信モード期間がフレーム期間の先頭から開始されることに応じて、生徒側の受信モード期間は、フレーム期間より前から開始されるように設定される。
これにより、同期が図られた状態では、受信モード期間内に、相手側の送信モード期間が確実に収まることになり、より確実に送信データを受信できる。
【0089】
そして、図9においては、生徒側でのステップS406による応答の送信を、時点t2のフレーム期間における送信モード期間により行っている。これに応じて、先生側では、ステップS303として、同じ時点t2のフレーム期間内の受信モード期間により、応答を受信することになる。
【0090】
この場合の先生側では、この応答の受信に応じたステップS304の処理として肯定の判別結果を得て、ステップS305以降に進むことになる。
そして、先生側では、時点t2からのフレーム期間に続く、時点t3以降のフレーム期間ごとに、その送信モード期間において、ステップS305〜S307の処理に応じた操縦信号を送信するという動作を繰り返すことになる。
【0091】
ここで、先生側から送信された操縦信号は、本来は、被操縦体10を動かすために送信されるものであるが、図8のステップS407として示したように、生徒側においても、フレームタイミング(送信モード期間と受信モード期間のタイミング)を修正同期するために操縦信号を受信する。
このステップS407としての生徒側での操縦信号の受信は、図9に示すようにして、時点t3以降のフレーム期間ごとにおける受信モード期間にて行われている。このようにして、操縦信号は、フレーム期間ごとにおいて、先生側と生徒側との間で送受信される。そして、この図には示されてはいないが、実際においては、生徒側で設定しているフレームタイミング(受信モード期間と送信モード期間のタイミング)が、先生側のフレームタイミングに対して誤差を生じていたとしても、フレーム期間に応じたタイミングで修正が図られていることになる。
【0092】
また、生徒側では、ステップS409に対応する処理として、時点t3以降の各フレーム期間の送信モード期間においてトレーナ信号を送信出力する。先生側でのステップS308に対応するトレーナ信号の受信は、同じく、時点t3以降の各フレーム期間の受信モード期間において行われることになる。このようにして、トレーナ信号も、生徒側から先生側に対してフレーム期間ごとに送受信される。
【0093】
ところで、トレーナモードにおける先生側と生徒側とでの、操縦信号とトレーナ信号の送受信については、フレーム期間ごとに交互に行うように構成することも考えられる。つまり、1つのフレーム期間において、先生側にて送信モード期間を設定し、生徒側にて受信モード期間を設定して、操縦信号を送受信させる。次のフレーム期間では、生徒側にて送信モード期間を設定し、先生側にて受信モード期間を設定して、トレーナ信号を送受信させる。この2フレームの動作を繰り返すというものである。
【0094】
この場合、操縦信号は、2フレーム期間ごとに1回送信されることになるが、操縦操作に応じた被操縦体10の応答性などを考慮した場合には、1フレーム期間ごとに送信するようにして送信頻度を高めることのほうが好ましい。また、この場合にはトレーナ信号も、2フレーム期間に1回の頻度となるので、上記の応答性の点で同じことがいえる。
そこで、本実施形態としては、図9に示しているように、1フレーム期間において、送信モード期間と受信モード期間とを設定するようにしていることで、1フレームごとに、操縦信号とトレーナ信号の送受信が行われるようにしている。
【0095】
例えば図6に示しているように、通常モードにおいて操縦信号を送信しているときであっても、そのための送信モード期間は、1フレーム期間における一部の時間しか占有していない。このために、実際の1フレーム期間は相当の空き時間を有していることになる。
本実施形態としては、この空き時間に着目して、図9に示すようにして1フレーム期間内に、送信モード期間と受信モード期間とを時分割で設定することとしたものである。これにより、本実施形態では、先生側と生徒側とで、同じ2.4GHz帯で操縦信号とトレーナ信号の送受信を行わなければいけない条件でありながら、これまでと同様の頻度で操縦信号、トレーナ信号を送受信できるようになっている。つまり、例えば被操縦体10の操縦に対する応答性、安定性などが損なわれないようにされている。
【0096】
なお、図9においては、フレーム期間内に送信モード期間と受信モード期間とを設定するのにあたり、先生側では、送信モード期間、受信モード期間の順とし、これに応じて、生徒側では受信モード期間、送信モード期間としている。これは、本来は、図6にも示したように、ラジオコントロール送信機と、被操縦体10側の受信機11との間での操縦信号の送受信のタイミングが、フレーム期間の開始タイミングに対応して実行されていることに対応させていることによる。つまり、本実施形態では、フレーム期間における送信モード期間と受信モード期間の設定は、既に規定されているラジオコントロール送信機と受信機との間での操縦信号の送受信タイミングに応じて設定すべきものとなる。
【0097】
なお、これまでの説明においては、2.4GHz帯での通信を前提としているが、これ以外の無線通信方式のもとでも本実施形態としての構成は適用できる。
また、図8,図9による説明では、生徒用ラジオコントロール送信機では、フレーム期間ごとに操縦信号を受信することとしているが、例えば、最初のホッピングパターンの同期と、その後のフレーム期間切り換えの時間制御が高精度であれば、操縦信号を受信して同期修正を敢えて図る必要はないと考えられる。つまり、本実施形態としては、トレーナモード時において、生徒用ラジオコントロール送信機側では、フレーム期間ごとにトレーナ信号のみを送信し、受信モード期間を設定しているとしても、特に積極的に信号を受信しないとする構成も考え得る。また、例えば、生徒用ラジオコントロール送信機は、所定フレーム数ごとであるとか、間欠的に操縦信号を受信して同期修正を図るように構成することも考えられる。
【0098】
また、本実施形態としてのトレーナ機能は、生徒用ラジオコントロール送信機1Bと先生用ラジオコントロール送信機1Aとが同一機種である場合にはもちろんのこと、機種が異なる場合においても、例えば図8,図9に示した先生用ラジオコントロール送信機1A又は生徒用ラジオコントロール送信機1Bとしての通信機能が与えられるように構成しさえすれば実現は容易に可能である。
【符号の説明】
【0099】
1 ラジオコントロール送信機、1A 先生用ラジオコントロール送信機、1B 生徒用ラジオコントロール送信機、2L 左スティックレバー、2R 右スティックレバー、3 表示画面部、4 表示部対応操作子、5a〜5c ダイヤル操作子、5d〜5g プッシュスイッチ、6 トレーナスイッチ、7 アンテナ、10 被操縦体、21 制御部、22 メモリ、23 送信部、24 受信部、25 合成/分配器、26 表示部、27 操作部
【技術分野】
【0001】
本発明は、模型用のラジオコントロール送信機と、このラジオコントロール送信機による信号の送受信方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
ラジオコントロール模型としての被操縦体の中でも、特に飛行機であるとかヘリコプターなどの飛行体は、その操縦が難しく熟練も必要である。
そこで、初心者が飛行体を墜落させるようなことなく操縦の練習ができるように、トレーナ機能を有するラジオコントロール送信機が知られている。
【0003】
トレーナ機能を利用するのにあたっては、図10に示すようにして、2台のラジオコントロール送信機を、トレーナ機能対応のケーブルであるトレーナケーブル11により接続し、トレーナモードを設定する。
トレーナモードが設定されるのに応じて、上記のようにして接続されるラジオコントロール送信機のうち、一方のラジオコントロール送信機は、操縦を教える先生用(先生用ラジオコントロール送信機1A)として機能するように設定され、他方のラジオコントロール送信機は、操縦を指導してもらう生徒用(生徒用ラジオコントロール送信機1B)として機能するように設定される。一例としては、先に電源をオンにしたほうが自動的に先生用ラジオコントロール送信機1Aとして設定されるようになっているものがある。この場合には、他方のラジオコントロール送信機は、一方のラジオコントロールの送信機である先生用のラジオコントロールの送信機1Aの電源がオンとされたことに応じて自動的に電源がオンとなるようにされたうえで、生徒用ラジオコントロール送信機1Bとして設定されることになる。
【0004】
先ず、トレーナモードが設定された生徒用ラジオコントロール送信機1Bに対して操縦操作が行われると、生徒用ラジオコントロール送信機1Bは、操縦操作に応じて得られる操縦データを所定の信号形式によるトレーナ信号を、トレーナケーブル11経由で先生用ラジオコントロール送信機1Aに対して送信する。
【0005】
また、トレーナ機能に対応するラジオコントロール送信機には、トレーナスイッチが設けられるが、先生用ラジオコントロール送信機1Aでは、このトレーナスイッチに対する操作に応じて受動モードと能動モードとの間での切り換えが可能になる。
【0006】
受動モードでは、生徒用ラジオコントロール送信機1Bから入力されるトレーナ信号としての操縦データを、自身のアンテナ7から、操縦信号として被操縦体10に対して送信させる。従って、受動モードでは、生徒用ラジオコントロール送信機1Bに対して行われた操縦操作に応じて被操縦体10が動作する。
これに対して、能動モードでは、先生用ラジオコントロール送信機に対して行われた操縦操作に応じた操縦データを、操縦信号として被操縦体10に対して送信する。つまり、この場合においては、生徒用ラジオコントロール送信機1Bからのトレーナ信号に応じた操縦データを、操縦信号としては送信しない。
【0007】
例えば、生徒に練習させるときには、先生は、受動モードを設定する。これにより、生徒が生徒用ラジオコントロール送信機1Bに対して行った操縦操作に応じた操縦信号が被操縦体10に対して送信される。つまり、生徒が被操縦体10を操縦することができる。
しかし、例えばここで、受動モードのもとで生徒が操縦しているときに操作を誤り、被操縦体の飛行状態が不安定になったとする。あるいは、着地のための操作など、飛行体としての被操縦体では非常に難度が高い操作を行うべき状況になったとする。
このようなとき、先生は、トレーナスイッチを操作して、受動モードから能動モードに切り換える。これにより、生徒が生徒用ラジオコントロール送信機1Bを操作しても、被操縦体10は、その操作に応答しては動作せず、代わりに先生用ラジオコントロール送信機1Aに対する操縦操作に応じてのみ動作可能な状態になる。そこで、先生は、能動モードとした状態のもと、例えば、不安定な飛行状態を立て直すための操作を行ったり、あるいは、着地のための操作を行ったりする。
このようにして、トレーナモードを利用すれば、生徒は、先生にいつでも補助してもらえる環境で、機体を墜落させたり、着地に失敗したりすることなく安全に操縦の練習を行える。
【0008】
また、トレーナ機能に対応したシステム構成として、図11に示す態様も知られている。
図11では、先生用ラジオコントロール送信機1A側でトレーナ信号受信機12を用意する。このトレーナ信号受信機は、無線送信されるトレーナ信号を受信するための専用の受信機で、ラジオコントロール送信機とは別体の装置となっている。そして、このトレーナ信号受信機12を先生用ラジオコントロール送信機1A側に対して接続する。
なお、図11の場合には、トレーナモードを設定したときに、トレーナ信号受信機12が接続されている側が、先生用ラジオコントロール送信機1Aとして機能するように設定され、トレーナ信号受信機12が接続されていない側が生徒用ラジオコントロール送信機1Bとして機能するようにして設定されるようになっている。また、トレーナ信号受信機12と先生用ラジオコントロール送信機1Aとの間の接続については、ケーブルなどを用いて有線により行われる。
【0009】
そして、図11の構成の場合には、生徒用ラジオコントロール送信機1Bでは、操縦操作に応じたトレーナ信号を、アンテナ7より電波として送出するようにされている。このようにして送出されたトレーナ信号は、トレーナ信号受信機12により受信されて、先生用ラジオコントロール送信機1Aに対して入力される。
【0010】
一方、図11でも先生用ラジオコントロール送信機1Aは、トレーナスイッチに対する操作によって受動モードと能動モードとの切り換えが行われる。先生用ラジオコントロール送信機1Aは、受動モードでは、入力されたトレーナ信号の操縦データを、被操縦体10に対する操縦信号としてアンテナ7から送出させる。また、能動モードでは、操縦信号として、トレーナ信号の操縦データに代えて、先生用ラジオコントロール送信機1Aに対して行われた操作に応じて得られる操縦データを送信する。
【0011】
ここで、操縦信号、若しくはトレーナ信号の形式をPPM(Pulse Position Modulation)信号とした場合の例を、図12に示しておく。
なお、操縦信号/トレーナ信号では、例えばエルロンやエレベータなどのコントロール対象(ファンクション)ごとに1つのチャンネルを割り当てるようにしている。これはチャンネルオーダーともいわれる。図12の操縦信号/トレーナ信号は、チャンネル最大数が4である場合に対応している。
【0012】
PPM信号としての操縦信号/トレーナ信号においては、1周期の最初にリセットパルスPrsが立ち上がる。このリセットパルスが立ち上がった時点から、予めリセット区間として設定した所定時間Trsを経過すると、CH1に対応したチャンネルパルスPch1が立ち上がる。つまり、或るパルスが立ち上がってから、所定時間Trsを経過して次のパルスが立ち上がることをもって、この次のパルスがチャンネルパルスPch1であることが認識される。
【0013】
チャンネルパルスPch1に続いては、或る時間T1を経過したタイミングで次のCH2に対応するチャンネルパルスPch2が立ち上がる。以降、同様にして、或る時間T2,T3を経過するごとのタイミングで、それぞれCH3,CH4に対応するチャンネルパルスPch3,Pch4が立ち上がる。そして、チャンネルパルスPch4が立ち上がったタイミングから或る時間T4を経過すると、次の周期のリセットパルスPrsが立ち上がる。なお、チャンネル数にもよるが、操縦信号/トレーナ信号としてのPPM信号の1周期は、約20msecとなる。
【0014】
このようにしてPPM信号においては、チャンネルパルスPch1〜Pch4ごとにパルス間隔としての時間T1〜T4が得られるのであるが、この時間T1〜T4としての各パルス間隔が、それぞれCH1〜CH4ごとに割り当てられるファンクションについてのコントロール量を示すものとなる。つまり、PPM信号では、チャンネルごとの操縦データは、それぞれのチャンネルパルスごとのパルス間隔の時間長として変調される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平07−31751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところで、図10に示す構成の場合には、先生用ラジオコントロール送信機1Aと生徒用ラジオコントロール送信機1Bとをトレーナケーブル11により物理的に繋げることになる。このために、先生、生徒の何れの操縦者も、互いの位置関係や姿勢に制限があって操縦しにくいという問題があった。
これに対して、図11の構成であれば、トレーナ信号の送受信は無線で行われるので、上記の問題は解消される。しかし、図11の構成では、トレーナ信号受信機12は、あくまでもラジオコントロール送信機1Aとは別体の装置となっている。そのうえ、例えばラジオコントロール送信機は機種ごとに形状が異なるという事情もあり、実際においては、トレーナ信号受信機12が先生用ラジオコントロール送信機1Aにケーブル接続されたままぶら下がったような状態として使用していることが多い。このような状態では、見栄えも良くないし、やはり操縦もしにくい。
また、図10、図11に示す構成の何れに関しても、トレーナケーブル11若しくはトレーナ信号受信機12という、ラジオコントロール送信機以外の部品、装置を用意しなければならないという煩わしさがある。
【0017】
そこで、本願発明としては、別体のトレーナケーブルやトレーナ信号受信機を設けることなく、トレーナ機能が動作できるようにすることを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
そこで本発明は上記した課題を考慮して、ラジオコントロール送信機として次のように構成する。
つまり、無線により信号を送信する送信手段と、無線により信号を受信する受信手段と、周波数ホッピング方式により周波数が切り換えられるフレーム期間ごとにおいて、送信モード期間と受信モード期間を設定し、上記送信モード期間にて通信相手のラジオコントロール送信機に対して第1の信号を上記送信手段により送信させるとともに、上記受信モード期間により通信相手のラジオコントロール送信機から送信される第2の信号を上記受信手段により受信させる送受信制御手段とを備えることとした。
【発明の効果】
【0019】
上記構成により本発明は、2台のラジオコントロール送信機の間での無線通信によりトレーナ信号の送受信が可能になる。これにより、トレーナケーブルであるとかトレーナ信号受信機などを別途用意して使用する必要はなくなり、操縦のしやすさが向上し、見栄えの悪さも解消される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態のトレーナ機能に対応した装置構成例を示す図である。
【図2】本実施形態のラジオコントロール送信機の外観例を示す斜視図である。
【図3】本実施形態の先生用/生徒用ラジオコントロール送信機のシステム構成例を示すブロック図である。
【図4】被操縦体が備える受信機のシステム構成例を示すブロック図である。
【図5】2.4GHz帯に対応した操縦信号/トレーナ信号のデータ構造例を示す図である。
【図6】通常モードにおけるラジオコントロール送信機と受信機との間での操縦信号の送受信動作を示す図である。
【図7】先生用ラジオコントロール送信機、受信機、生徒用ラジオコントロール送信機間でのリンク設定のための処理手順例を示すフローチャートである。
【図8】トレーナモード時における先生用ラジオコントロール送信機と生徒用ラジオコントロール送信機の処理手順例を示すフローチャートである。
【図9】トレーナモード時における先生用ラジオコントロール送信機と生徒用ラジオコントロール送信機との間での信号送受信動作例を示す図である。
【図10】これまでにおけるトレーナ機能に対応した装置構成例(トレーナケーブル使用)を示す図である。
【図11】これまでにおけるトレーナ機能に対応した装置構成例(トレーナ信号受信機使用)を示す図である。
【図12】PPM信号による操縦信号/トレーナ信号の形式例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以降、本願の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)について、下記の目次順により説明を行う。
<1.トレーナ機能概要>
<2.ラジオコントロール送信機の外観例>
<3.ラジオコントロール送信機のシステム構成例>
<4.受信機のシステム構成例>
<5.ラジオコントロール送信機の通信方式>
<6.本実施形態のトレーナ機能>
[6−1.リンク設定]
[6−2.トレーナモード時の動作]
【0022】
<1.トレーナ機能概要>
図1は、本実施形態としてのトレーナ機能に対応する装置構成例を示している。
この図においては、ラジオコントロール送信機1として、先生用ラジオコントロール送信機1Aと生徒用ラジオコントロール送信機1Bとが示されている。また、被操縦体10が示されている。ここでの被操縦体10は、例えば模型ヘリコプターや模型飛行機などの飛行体としている。トレーナ機能は、被操縦体10が飛行体でなくとも適用できるものであるが、前述の説明から理解されるように、被操縦体10が飛行体である場合のほうが、その必要性が高い。
【0023】
そして、本実施形態においては、トレーナモードが設定されている生徒用ラジオコントロール送信機1Bからは、アンテナ7を経由して、例えば電波による無線通信によってトレーナ信号を送出する。トレーナ信号は、前述もしたように、生徒用ラジオコントロール送信機1Bに対して行われた操縦操作に応じた操縦データを、先生用ラジオコントロール送信機1Aに対して送信する信号である。
【0024】
本実施形態においても、トレーナモードが設定されている先生用ラジオコントロール送信機1Aでは、例えばトレーナスイッチの操作に応じて、受動モードと能動モードとでの切換が行われる。
先生用ラジオコントロール送信機1Aは、アンテナ7によりトレーナ信号としての電波を受信する。そして、受動モードが設定されているときには、この受信したトレーナ信号の操縦データを格納した操縦信号を生成し、被操縦体10に送信する。一方、能動モードが設定されているときには、トレーナ信号に基づく操縦信号を送信するのではなく、先生用ラジオコントロール送信機1Aに対して行われた操縦操作に応じて得られた操縦データを格納した操縦信号を、被操縦体10に対して送信する。なお、被操縦体10に対する操縦信号の送出も、トレーナ信号の受信と同様、アンテナ7からの電波による無線通信により行う。
【0025】
被操縦体10においては、例えば受信機やサーボが備えられている。受信機にて操縦信号を受信すると、その操縦信号を復調して、チャンネルごとの操縦データとしてのコントロール量を取得する。そして、取得したコントロール量に従って、対応する各チャンネルに割り当てられているサーボ等を駆動する。これにより、例えば通常モード時若しくはトレーナモードの能動モード時においては、先生用ラジオコントロール送信機1Aに対して行った操縦操作の通りに被操縦体10が動作する。また、トレーナモードの受動モード時には、生徒用ラジオコントロール送信機1Bに対して行った操縦操作の通りに被操縦体10が動作する。
【0026】
このようにして、本実施形態のトレーナ機能を利用するにあたっては、トレーナ信号の送受信が、生徒用ラジオコントロール送信機1B本体と先生用ラジオコントロール送信機1A本体との間で、電波による無線通信で行われる。
つまり、本実施形態としては、例えばトレーナ機能を利用するのにあたって、ラジオコントロール送信機とは別体のトレーナケーブルやトレーナ信号受信機を必要としない。
これにより、前述した操縦のしづらさや、見栄えの悪さなどが解消される。また、ラジオコントロール送信機以外の装置部品を別途用意することの煩わしさからも解放される。
【0027】
<2.ラジオコントロール送信機の外観例>
以降、上記図1に示した、トレーナケーブルやトレーナ信号受信機を省略したトレーナ機能を実現するための技術構成について説明していくこととする。
先ず、図2は、ラジオコントロール送信機(RC送信機)1の外観例を示している。なお、この図に示すラジオコントロール送信機1は、先生用ラジオコントロール送信機1Aとしても、また、生徒用ラジオコントロール送信機1Bとしても機能するようにして設定できる。この図に示すラジオコントロール送信機1は、いわゆるスティック型といわれる形態を有する。
【0028】
ラジオコントロール送信機1の正面パネルには、図示するようにして、左右にそれぞれ、左スティックレバー2L、右スティックレバー2Rが設けられている。操縦者が、これらの左スティックレバー2L、右スティックレバー2Rを適宜、上下左右方向に傾けるようにして操作すると、その操作に応じたコントロール量の情報を有する操縦信号が、ラジオコントロール送信機1より被操縦体に対して送信される。これにより、例えば、飛行体としての被操縦体の上昇、下降、方向変換、速度などをコントロールすることができる。例えば、左スティックレバー2L、右スティックレバー2Rの上下左右各方向の操作は、或る1つの特定のチャンネルに対応付けられている。
【0029】
また、ラジオコントロール送信機1の正面パネルにおいて、左スティックレバー2L、右スティックレバー2Rの下側には、表示画面部3が設けられる。この表示画面部3は、例えばディスプレイデバイスにおいて画像が表示される画面部分であり、各種の設定画面であるとか、操縦時のコントロール状態などが適宜表示される。
【0030】
また、表示画面部3に対して表示される画像に対する操作は、例えば表示画面部3の左に配置される表示部対応操作子4などにより行うことができる。また、表示画面部3についてタッチパネルを組み合わせた構成として、このタッチパネル操作によって、表示画像に対する操作が行えるようにしてもよい。
【0031】
またラジオコントロール送信機1には、ダイヤル操作子5a〜5c、プッシュスイッチ5d〜5gなどの操作子も設けられている。これらの操作子には、例えばユーザ設定操作により、しかるべきパラメータ、チャンネルを割り当てることができる。
【0032】
アンテナ7は、被操縦体に対して送信すべき操縦信号を電波として送出するために設けられる。また、先生用ラジオコントロール送信機と生徒用ラジオコントロール送信機とが無線の伝送路により送受信を行うときには、このアンテナ7にて、先生用ラジオコントロール送信機と生徒用ラジオコントロール送信機との間での電波の送受信が行われる。
【0033】
<3.ラジオコントロール送信機のシステム構成例>
図3は、本実施形態のラジオコントロール送信機1のシステム構成例を示している。この図に示すラジオコントロール送信機1は、制御部21、メモリ22、送信部23、受信部24、合成/分配器25、表示部26、操作部27を有して成る。
【0034】
制御部21は、例えばCPU、RAMなどから成り、メモリ22に記憶されるプログラムに従って、ラジオコントロール送信機1における所要の制御処理を実行する。
この場合のメモリ22は、例えば制御部21のための補助記憶装置に相当する部位を示しており、上記したプログラムのほか、各種の設定情報などが記憶される。
【0035】
送信部23は、制御部21の制御に従って、送信すべきデータを、後述する所定の通信方式に対応して変調し、送信信号として合成/分配器25に対して出力する。この送信信号として、先生用ラジオコントロール送信機1Aに対応しては、被操縦体10に対して送信すべき操縦信号が含まれる。また、生徒用ラジオコントロール送信機1Bに対応してはトレーナ信号が含まれる。
【0036】
合成/分配器25は、送信部23から入力される送信信号については、アンテナ7側に出力する。これにより、アンテナ7より、上記所定の通信方式に応じた送信信号が電波として送出される。
【0037】
また、アンテナ7にて電波として受信された信号は、合成/分配器25に対して入力される。合成/分配器25は、アンテナ7から入力される信号については、受信部24に出力する。
受信部24は、入力される受信信号について所要の復調処理を実行して受信データを抽出し、制御部21に渡す。制御部21は、渡された受信データについて所要の処理を実行する。
【0038】
例えば、先生用ラジオコントロール送信機1Aの場合には、アンテナ7にて受信されたトレーナ信号を受信部24にて復調することで、トレーナ信号におけるチャンネルごとの操縦データを得ることになる。そして、トレーナモードの受動モードが設定されているとき、制御部21は、この取得されたチャンネルごとの操縦データから操縦信号を生成し、この操縦信号を、送信部23に渡してアンテナ7より電波として送出させる。
【0039】
表示部26は、所定のディスプレイデバイスから成り、制御部21の表示制御に従って駆動されることで画像を表示する部位である。この表示部26において画像が表示される画面部分が、図2に示した表示画面部3となる。
【0040】
操作部27は、例えば図2に示した、ラジオコントロール送信機1に備えられる各種の操作子を一括して示したものとなる。この操作部27を形成する操作子に対して操作が行われると、その操作に応じた操作信号が制御部21に対して入力される。制御部21は、入力される操作信号に応じて、適宜、所要の処理を実行する。
【0041】
ここで、入力される操作信号が、或るチャンネルに割り当てられたファンクションに対応する操作子に対する操縦操作である場合、制御部21は、この操作信号から、対応のファンクションに対するコントロール量を求める。そのうえで、先生用ラジオコントロール送信機1Aの場合であれば、トレーナモードが無効の通常モード時、若しくはトレーナモードでの能動モード時においては、このコントロール量の情報としての操縦データを、操縦信号における対応のチャンネルに割り当てて格納し、アンテナ7より送出させる。
また、生徒用ラジオコントロール送信機1Bの場合であれば、トレーナモード時においては、上記コントロール量の情報としての操縦データをチャンネルごとに割り当てて格納したトレーナ信号を生成し、アンテナ7より送出させる。
【0042】
<4.受信機のシステム構成例>
図4は、被操縦体10が備える受信機11のシステム構成例を示している。この図に示す受信機11は、制御部31、メモリ32、受信部33、アンテナ34から成るものとしている。
また、この図においては、サーボ部35が示されている。例えば被操縦体10が飛行体であれば、その被操縦体10は、エルロン、フラップなどを動かすための各種サーボモータを備える。サーボ部35は、これらのサーボモータその他のコントロール対象の部位を一括して示したものとなる。
【0043】
制御部31は、例えばCPU等を備えて形成され、メモリ32に記憶されるプログラムに従って所要の制御処理を実行する。
また、この場合のメモリ32は、例えば制御部31のための補助記憶装置に相当する部位となるもので、上記したプログラムのほか、各種の設定情報などが記憶される。
【0044】
ラジオコントロール送信機から送信される電波としての操縦信号はアンテナ34にて受信される。受信部33は、この受信された操縦信号を復調して、チャンネルごとの操縦データを得る。制御部31は、このチャンネルごとの操縦データに基づいて、サーボ部35における、チャンネルごとに割り当てられたサーボなどのコントロール対象部位の動作を制御する。これにより、被操縦体10は、ラジオコントロール送信機に対して行われた操縦操作に応じて動作する。
【0045】
<5.ラジオコントロール送信機の通信方式>
本実施形態のラジオコントロール送信機1は、アンテナ7経由での無線通信方式として、2.4GHz帯による周波数ホッピング方式を採用する。周波数ホッピング方式は、スペクトラム拡散方式の1つであって、送信側と受信側で周波数ホッピングパターンといわれる一定の規則を規定し、この規則に従って一定の通信帯域の中で高速に通信周波数を切り替えて通信を行う方式である。
【0046】
図5は、上記2,4GHz帯での周波数ホッピング方式において、本実施形態のラジオコントロール送信機1が送信する操縦信号のデータ構造例を示している。なお、本実施形態においては、トレーナ信号についても、この図5と同様の構造を有する。
【0047】
図5(a)においては、操縦信号としての1フレーム分の全体構造が示されている。本実施形態においては、周波数ホッピングにより周波数が切り換わるごとに、この図5(a)に示す1フレーム分のデータを操縦信号として送出する。
図5(a)に示される操縦信号のデータは、先頭のSYNC(同期コード)に続けて、順に、送信機ID、チャンネルデータ、ホッピングパターンデータ、エラーコードが配列されて成る。
SYNCは、このフレーム単位の送信データにおける同期コードとなるもので、所定ビット数による所定のビットパターンから成る。
送信機IDには、所定ビット数により、この送信データを送信するラジオコントロール送信機1に付されたID(識別子)が格納される。
チャンネルデータには、チャンネルごとのコントロール量のデータ(操縦データ)が格納される。例えば、ラジオコントロール送信機1が対応可能なチャンネルの最大数が8であるとすると、チャンネルデータは、図5(b)に示すようにして、CH1〜CH8ごとの個別チャンネルデータを順次配列して形成される。なお、これらの個別チャンネルデータは、それぞれ、同じ固定長のビット数を有し、そのビット値によりコントロール量等を示すようにされている。
ホッピングパターンデータは、例えば、設定した周波数ホッピングパターンを識別する情報と、この設定された周波数ホッピングパターンにおいて、現フレームを送信している周波数を示すデータが格納される。
エラーコードは、例えばチャンネルデータ、ホッピングパターンデータについてのエラー検出、エラー訂正のために付加される。
【0048】
図6は、本実施形態のラジオコントロール送信機1と被操縦体10に備えられる受信機11との間での基本的な操縦信号の送受信動作例を示している。なお、一般の周波数ホッピングパターンとしては、ホッピングチャンネルといわれる周波数の切り換え数は10以上であるが、ここでは、説明及び図示を分かりやすくすることの便宜上、ホッピングチャンネル数を5としている。
また、この図は、既にラジオコントロール送信機1と、受信機11とで、相互の周波数ホッピングパターンの同期が図られているうえでの通信動作が示されている。
【0049】
図6においては、5つのホッピングチャンネルに対応する5つの周波数について、f1〜f5として示している。f1〜f5の間での周波数の切り換えは、図においてフレーム期間として示す一定期間が経過するごとに行われる。
この図において示される最初のフレーム期間においては、ラジオコントロール送信機1Aは、所定の送信期間により周波数f1により操縦信号を送信する。このとき、受信機11においても、周波数f1を選択して上記の送信期間に対応する受信待機期間を設定している。これにより、図示するようにして、周波数f1のホッピングチャンネルにより、操縦信号の送受信が行われることになる。このフレーム期間において送受信される操縦信号が、図5において示した1フレーム分のデータとなる。
【0050】
次のフレーム期間においては、ラジオコントロール送信機1Aと受信機11は、周波数f5に切り換えて操縦信号を送受信している。以降、ラジオコントロール送信機1Aは、フレーム期間ごとに、周波数f4、f2、f3により操縦信号を送受信している。なお、ここでは図示していないが、周波数f3のフレーム期間に続く以降のフレーム期間では、周波数f1から、上記と同じ順で送受信が実行される。
つまり、この図では、周波数ホッピングパターンとしては、フレーム期間として示す所定時間ごとに、周波数f1,f5,f4,f2,f3の順で繰り返し送受信を行うものとして規定されている。
【0051】
このような周波数ホッピング方式による通信は、妨害、干渉などに強いことが知られている。例えば、ほぼ同じ場所に、同じ2,4GHz帯による通信を行う仕様のラジオコントロール送信機1と受信機11の組が複数あるとする。この場合において、互いの組ごとに異なる周波数ホッピングパターンを設定して操縦信号を送受信すれば、各組の間では同じホッピングチャンネルの周波数を使用することがほとんど無くなる。或る組同士でホッピングチャンネルの周波数が重複する可能性は避けられないが、周波数は常に高速に切り換わっているために、あくまでも一時的なものであり、結果としては、操縦の障害になるような通信の妨害、干渉は発生しない。
【0052】
ところで、上記のようにして、1つのラジオコントロール送信機1と受信機11との組で使用するホッピングパターンを決定するためには、ラジオコントロール送信機1は、受信機11との通信を開始させる前段階において、既に他の通信機により、同じ2,4GHz帯の電波が使用されているか否かについて判断するようにしている。
このためには、ラジオコントロール送信機1は、アンテナ7にて電波を受信して得られる信号を受信部24により入力させる。受信部24は、2,4GHz帯の通信に対応する復調機能を備えるので、受信された電波が2,4GHz帯であるか否かについての判断を行うことができる。そして、受信された電波が2,4GHz帯であると判断した場合には、さらに、その周波数ホッピングパターンを認識する。
そして、ラジオコントロール送信機1は受信機11と通信する際には、上記のようにして認識した周波数ホッピングパターンとは異なる、未使用の周波数ホッピングパターンを決定する。そして、この決定した周波数ホッピングパターンにより受信機11との同期を図ったうえで、操縦信号を送信する。
【0053】
例えば、ラジオコントロール送信機1として、40MHz帯や72MHz帯などの日本国内のラジコン専用周波数を使用するものは、電波の送信機能のみを有して、受信機能は有していないものが一般的である。
しかし、上記の周波数ホッピングパターン決定の手順によれば、2,4GHz帯に対応する本実施形態のラジオコントロール送信機1は、その主たる機能が操縦信号を電波により送信することであっても、少なくとも同じ2,4GHz帯電波による信号を受信する機能を有していることになる。これは、図3において受信部24が備えられていることによっても明示されている。
【0054】
本実施形態では、トレーナ機能に関して、上記のようにして2,4GHz帯に対応するラジオコントロール送信機1が受信機能をあらかじめ有していることに着目した。つまり、生徒用ラジオコントロール送信機1Bから2,4GHz帯によりトレーナ信号を送信する。そうすれば、先生用ラジオコントロール送信機1A側では、上記の受信機能を利用して、2.4GHz帯によりこのトレーナ信号を受信できることになる。これにより、トレーナケーブルやトレーナ信号受信機などを介在させなくとも、ラジオコントロール送信機の間での無線通信によって、直接的にトレーナ信号を送受信させることが実現できる。
なお、先生用ラジオコントロール送信機1Aでは、同じ2,4GHz帯によりトレーナ信号の受信と操縦信号の送信を行うことになる。しかし、先生用ラジオコントロール送信機1Aが、先にも述べたようにして、未使用の周波数ホッピングパターンを探索する動作を実行することで、生徒用ラジオコントロール送信機1Bとの間でのトレーナ信号の送受信と、受信機11との間での操縦信号の送受信とでは、互いに異なる周波数ホッピングパターンとするようにしている。これにより、トレーナ信号と操縦信号とが干渉する可能性が低くなる。
【0055】
<6.本実施形態のトレーナ機能>
[6−1.リンク設定]
そこで続いては、本実施形態のトレーナ機能を実現するための通信動作について説明を行っていく。
先に図1に示したように、本実施形態のトレーナ機能に対応する装置構成としては、先生用ラジオコントロール送信機1A及び生徒用ラジオコントロール送信機1Bとしての2台のラジオコントロール送信機1と、1つの被操縦体10となる。
そのうえで、トレーナ機能を利用するにあたっては、被操縦体10が、他のラジオコントロール送信機からの信号には応答せずに、先生用ラジオコントロール送信機1Aからの信号のみを受け付けるようにしてペアリングを確立させておく必要がある。同様に、先生用ラジオコントロール送信機1Aが、他のラジオコントロール送信機1からのトレーナ信号には応答せず、生徒用ラジオコントロール送信機1Bからのトレーナ信号のみを受け付けるようにしてペアリングを確立させておく必要がある。
また、本実施形態のトレーナ機能では、先生用ラジオコントロール送信機1Aが被操縦体10に対して送信する操縦信号を、生徒用ラジオコントロール送信機1B側においても受信し、これを周波数切り換えのタイミング同期に用いる。このために、生徒用ラジオコントロール送信機1Bが、他のラジオコントロール送信機1からの操縦信号には応答せず、先生用ラジオコントロール送信機1Aからの操縦信号のみを受け付けるようにしてペアリングを確立させておく必要もある。ここでは、これらのペアリングを確立するための設定についてリンク設定ということにする。
【0056】
そこで、トレーナ機能を利用するのにあたっては、先生、若しくは生徒の操縦者は、上記のリンク設定のための作業を行う。図7のフローチャートにより、リンク設定の作業手順とともに、これに応じてリンク対象の機器が実行する処理について説明する。
なお、図7においては、送信機能機器と受信機能機器との処理が示されている。送信機能機器と受信機能機器は、リンクモードを設定する機器の組み合わせによって以降の説明のようにして適宜変更される。
【0057】
先ず、先生用ラジオコントロール送信機1Aと、被操縦体10が備える受信機11との間でリンク設定する場合から説明する。この場合には、先生用ラジオコントロール送信機1Aが操縦信号を送信し、受信機11がこれを受信する関係なので、先生用ラジオコントロール送信機1Aが送信機能機器となり、受信機11が受信機能機器となる。
【0058】
この場合、先ず、先生用ラジオコントロール送信機1Aについては通常に操縦が可能な通常モードを設定しておくようにする。これにより、先生用ラジオコントロール送信機1Aは、図7のステップS101として示すように、既に受信機11との通信に対応して決定した周波数ホッピングパターンにより、操縦信号を送出する動作を継続する。
この状態のもと、操縦者は、受信機11に対してリンクモードを設定するための操作を行う。受信機11は、通常モードでは、図7のステップS201として示すように、リンクモードが設定されたか否かについて判別しており、上記のリンクモード設定のための操作が行われると、ステップS201において肯定の判別結果が得られることとなって、ステップS202以降のリンクモードとしての処理に移行する。
【0059】
ステップS202においては、例えばホッピングチャンネルのうちから選択された1つのホッピングチャンネルの周波数で固定した状態を設定する。つまり、受信部34について、上記1つのホッピングチャンネルの周波数にて受信された信号のみを処理するモードに設定する。
すると、この状態では、受信機11が1つのホッピングチャンネル周波数により受信待機している状態で、先生用ラジオコントロール送信機1Aが周波数を切り換えながら操縦信号を送信することになる。従って、先生用ラジオコントロール送信機1Aでのホッピングチャンネル周波数が、受信機11側で固定設定されたホッピングチャンネル周波数と同じになったときに、ステップS203として、受信機11にて操縦信号を受信することになる。
【0060】
操縦信号を受信した受信機11においては、受信部33により復調処理が行われて、操縦信号に含まれているデータが制御部31に渡される。
ここで、図5(a)に示すように、操縦信号のデータには、送信機IDが含まれている。つまり、この場合であれば、先生用ラジオコントロール送信機1Aの送信機IDが含まれている。そこで、受信機11の制御部31は、ステップS204により、この送信機IDをメモリ32(RAMでもよい)に記憶しておく。例えば、リンクモードは、このステップS204による送信機IDの記憶が完了したことに応じて解除される。
【0061】
上記のリンク設定の手順により、受信機11は、先生用ラジオコントロール送信機1Aの送信機IDを持つことになる。これにより、以降、受信機11は、受信した操縦信号のうちで先生用ラジオコントロール送信機1Aの送信機IDを格納する操縦信号のみを有効なものとして処理することができる。このようにして、受信機11を先生用ラジオコントロール送信機1Aからの操縦信号のみに応答して動作させるためのリンク設定が完了したことになる。
【0062】
次に、先生用ラジオコントロール送信機1Aにより生徒用ラジオコントロール送信機1Bからのトレーナ信号のみを受信させるためのリンク設定について説明する。この場合には、生徒用ラジオコントロール送信機1Bが送信機能機器となり、先生用ラジオコントロール送信機1Aが受信機能機器となる。
この場合には、生徒用ラジオコントロール送信機1Bを通常モードに設定して、ステップS101としての周波数ホッピングによる操縦信号の送信を継続させる。一方、先生用ラジオコントロール送信機1Aに対してはリンクモード設定のための操作を行うことで、ステップS202〜S204のリンクモードの処理を実行させる。これにより、先生用ラジオコントロール送信機1Aのメモリ22に、生徒用ラジオコントロール送信機1Bの送信機IDが記憶される。
本実施形態では、トレーナ信号も図5に示したデータ構造を与えることとしている。従って、トレーナ信号には、生徒用ラジオコントロール送信機1Bの送信機IDが格納される。従って、以降においては、先生用ラジオコントロール送信機1Aは、メモリ22に記憶した送信機IDを持つ生徒用ラジオコントロール送信機1Bからのトレーナ信号のみを受け付けるようにして動作することが可能になる。
【0063】
さらに、生徒用ラジオコントロール送信機1Bにより先生用ラジオコントロール送信機1Aからの操縦信号のみを受信させるためのリンク設定にあたっては、先生用ラジオコントロール送信機1Aが送信機能機器となり、生徒用ラジオコントロール送信機1Bが受信機能機器となる。
この場合にも、上記に準じた手順で、生徒用ラジオコントロール送信機1Bを通常モードに設定して、先生用ラジオコントロール送信機1Aに対してはリンクモード設定のための操作を行うことで、生徒用ラジオコントロール送信機1Bのメモリ22に、先生用ラジオコントロール送信機1Aの送信機IDを記憶させる。
【0064】
これら3つのリンク設定により、先生用ラジオコントロール送信機1Aから受信機11への操縦信号の送受信についてのペアリング、生徒用ラジオコントロール送信機1Bから先生用ラジオコントロール送信機1Aへのトレーナ信号の送受信についてのペアリング、及び、先生用ラジオコントロール送信機1Aから生徒用ラジオコントロール送信機1Bへの操縦信号の送受信についてのペアリングのそれぞれが確立されたことになる。
【0065】
[6−2.トレーナモード時の動作]
上記のリンク設定を完了させた後、先生、生徒の各操縦者は、先生用ラジオコントロール送信機1Aと生徒用ラジオコントロール送信機1Bにおいてトレーナモードが有効に設定された状態のもと、トレーナモードによる被操縦体10の操縦を行うことになる。
【0066】
図8のフローチャートは、トレーナモードにおいて先生用ラジオコントロール送信機1Aと生徒用ラジオコントロール送信機1Bが実行する処理を示している。なお、図8に示す処理は、先生用ラジオコントロール送信機1A、生徒用ラジオコントロール送信機1Bにおけるそれぞれの制御部21(CPU)が、メモリ22に記憶されるプログラムを実行することで実現される処理としてみることができる。
【0067】
トレーナモードを有効とするためには、例えば、先生用ラジオコントロール送信機1Aと生徒用ラジオコントロール送信機1Bとのそれぞれに対して、トレーナモードをオンとするための所定操作を行う。若しくは、先の先生用ラジオコントロール送信機1Aと生徒用ラジオコントロール送信機1Bとの間でのトレーナ信号送受信と操縦信号送受信に応じたペアリングが完了した段階で、自動的に、トレーナモードが有効となるようにして設定されるようにしてもよい。
先ず、先生用ラジオコントロール送信機1Aでは、図8のステップS301により、トレーナモードが有効に設定されるのを待機しており、例えば上記の操作等に応じてトレーナモードが有効設定されると、ステップS302以降の処理に進む。
【0068】
ステップS302においては、生徒用ラジオコントロール送信機1Bとトレーナ信号送受信のためのホッピングパターンの同期確立のために、生徒用ラジオコントロール送信機1Bに対して問い合わせ要求を送信する。
【0069】
ここで、上記問い合わせ要求の送信は、周波数ホッピングにより、ホッピングチャンネル周波数ごとに、同じ問い合わせ要求のフレームデータを繰り返し送信する。
また、問い合わせ要求としては、少なくとも、先生用ラジオコントロール送信機1A自身の送信機ID(送信側機器ID)と、生徒用ラジオコントロール送信機1Bの送信機ID(受信側機器ID)、及び現在の周波数ホッピングパターン及びホッピングチャンネル周波数を示す、周波数ホッピングパターンデータを格納している。
【0070】
生徒用ラジオコントロール送信機1Bにおいても、ステップS401にてトレーナモードが有効設定されるのを待機しており、トレーナモードを有効設定する操作が行われたことに応じて、ステップS402以降の処理を実行することになる。
【0071】
ステップS402において生徒用ラジオコントロール送信機1Bは、先ず、受信部24に対して、固定周波数受信モードを設定する。固定周波数受信モードとは、周波数ホッピングは行わずに、ホッピングチャンネル周波数のうちの1つのホッピングチャンネル周波数で固定した状態で受信モード期間を継続させる通信モードである。この状態において、先生用ラジオコントロール送信機1AがステップS302により送信しているホッピングチャンネル周波数と上記の固定のホッピングチャンネル周波数とが一致すると、ステップS403として示すように、問い合わせ要求が受信される。
【0072】
問い合わせ要求を受信した生徒用ラジオコントロール送信機1Bでは、この受信した問い合わせ要求について、トレーナ信号送受信に応答してリンク設定(ペアリング)された相手から、自身宛に送信されたものであるか否かについて判別する。
このためには、受信した問い合わせ要求における、送信側機器IDと受信側機器IDとを参照する。送信側機器IDは、問い合わせ要求を送信してきたラジオコントロール送信機の送信機IDである。従って、操縦信号の送受信に対応するリンク設定により、生徒用ラジオコントロール送信機1Bのメモリ22に記憶されている送信機IDと、問い合わせ要求における送信側機器IDとが同じであれば、今回受信した問い合わせ要求は、リンク相手の先生用ラジオコントロール送信機1Aから送信されたものであることが分かる。ここでさらに、問い合わせ要求における受信側機器IDと、この生徒用ラジオコントロール送信機1B自身の送信機IDとが同じであれば、今回受信した問い合わせ要求は、この生徒用ラジオコントロール送信機1Bを相手先として送信されたものであることが分かる。
【0073】
ステップS404にて、否定の判別結果が得られた場合には、ステップS402に戻り、リンク相手の先生用ラジオコントロール送信機1Aからの自身宛の問い合わせ要求が受信されるのを待機することになる。これに対してステップS404にて肯定の判別結果が得られたのであれば、ステップS405に進む。
【0074】
ステップS405においては、リンク相手からの自身宛の問い合わせ要求を受信できたことに応じて、これまでの固定のホッピングチャンネル周波数による受信状態を解除し、周波数ホッピングによる送受信動作に切換を行う。そして、この際には、先生用ラジオコントロール送信機1A側の周波数ホッピングとの同期をとる。
このためには、今回受信した問い合わせ要求に含まれていた周波数ホッピングパターンデータを参照する。周波数ホッピングパターンデータには、先生用ラジオコントロール送信機1A側で設定した周波数ホッピングパターン、及び今回受信した問い合わせ要求を送信してきたホッピングチャンネル周波数が示されている。
そこで、生徒用ラジオコントロール送信機1Bは、周波数ホッピングパターンとしては、周波数ホッピングパターンデータにおいて示される先生用ラジオコントロール送信機1Aと同じ周波数ホッピングパターンを設定する。そのうえで、今回の問い合わせ要求を送信してきたホッピングチャンネル周波数に対して、次となるホッピングチャンネル周波数のフレーム期間から周波数ホッピングを開始させる。これにより、先生用ラジオコントロール送信機1Aと生徒用ラジオコントロール送信機1Bとで、周波数ホッピングパターンの同期が図られる。
なお、このときの周波数ホッピングの開始タイミングは、ここでは、例えば問い合わせ要求を受信したタイミングから、フレーム期間に対応した一定時間を経過したタイミングで設定することが考えられる。
【0075】
上記のようにしてホッピングパターンの同期を確立すると、生徒用ラジオコントロール送信機1Bでは、ステップS406により、今回受信した問い合わせ要求に対する応答を、先生用ラジオコントロール送信機1Aに対して送信する。
【0076】
先生用ラジオコントロール送信機1Aでは、ステップS303により上記の応答を受信する。生徒用ラジオコントロール送信機1Bからの応答の送信は、周波数ホッピングパターンに従って或る1つの周波数により送信されてくるが、この段階では、先のステップS405の処理によって、周波数ホッピングパターンの同期が確立されているので、先生用ラジオコントロール送信機1Aにおいても、同じ周波数によって応答を受信することができる。
【0077】
応答を受信した先生用ラジオコントロール送信機1Aは、ステップS304により、この応答が、リンク設定された相手から自分宛に送信されたものであるか否かについて判別する。
例えば、応答としてのデータ構造には、この応答の送信元を示す送信機IDと、送信先の送信機IDとが格納されている。先生用ラジオコントロール送信機1Aは、これらの送信機IDを利用して、ステップS404に準じて判別を行う。
つまり、先生用ラジオコントロール送信機1Aは、応答において送信元を示す送信機IDと、メモリ22に格納されている生徒用ラジオコントロール送信機1Bの送信機IDとを比較し、同じであれば、リンク設定された相手の生徒用ラジオコントロール送信機1Bから送信されたものであると判別する。さらに、先生用ラジオコントロール送信機1Aは、応答において送信先を示す送信機IDと、自身の送信機IDとが同じであれば、自身宛に送信された応答であると判別する。
【0078】
ステップS304において否定の判別結果が得られた場合にはステップS303に戻ることで応答が受信されるのを待機するが、肯定の判別結果が得られたのであれば、ステップS305以降の手順に進む。
【0079】
ステップS305からS308は、1フレーム期間における操縦信号の送信と、トレーナ信号受信のための処理となる。
ステップS305では、現在において受動モードが設定されているか否かについて判別することとしており、受動モードが設定されているとして肯定の判別結果が得られた場合には、ステップS306により、送信モードを設定したうえで、生徒側操縦データをチャンネルデータに格納した操縦信号を送出する。生徒側操縦データとは、次のステップS308にて受信されるトレーナ信号のチャンネルデータにおいてチャンネルごとに割り当てられて格納されている操縦データ(コントロール量のデータ)をいう。これにより、生徒用ラジオコントロール送信機1Bに対する操縦操作に応じて被操縦体10が動くという、受動モードの動作が得られる。
これに対して、能動モードが設定されているときにはステップS305にて否定の判別結果が得られた場合には、ステップS307により、送信モードを設定したうえで、先生側操縦データを格納した操縦信号を送信する。先生側操縦データは、この先生用ラジオコントロール送信機1Aにおいて各チャンネルに割り当てられた操作子に対する操作状態(中立などの実際には操作されていないときも含む)に応じて得られる、チャンネルごとの操縦データをいう。従って、この場合には、能動モードとしての、先生用ラジオコントロール送信機1Aに対する操縦操作に応じて被操縦体10が動作する状態が得られる。
【0080】
先生用ラジオコントロール送信機1Aは、ステップS306,若しくはステップS307による操縦信号の送信を実行した後のタイミングで、同じフレーム期間において、ステップS308により受信モード期間を設定する。この受信モード期間が設定されているタイミングでは、生徒用ラジオコントロール送信機1Bからは、後述のステップS409によりトレーナ信号を送信している。このために、ステップS308の受信モード期間によっては、トレーナ信号が受信される。この場合のトレーナ信号は、前述もしたように、図5に準じた構造を有している。
なお、図8には示していないが、先生用ラジオコントロール送信機1Aは、ステップS308によりトレーナ信号を受信したときにも、例えばこのトレーナ信号に含まれる送信元を示す送信機IDと送信先を示す送信機IDとに基づいて、リンク相手の生徒用ラジオコントロール送信機1Bから自分宛に送信されたものであるかどうかについて判断する。そして、リンク相手から自分宛に送信されたと判断したトレーナ信号については受信部24にて復調して制御部21に渡し、そうではないトレーナ信号については処理しないようにしている。
そして、ステップS308にてトレーナ信号を受信復調した後は、次のフレーム開始時点に対応するタイミングでステップS305に戻る。これにより、先生用ラジオコントロール送信機1Aは、フレーム期間ごとに、操縦信号の送信と、これに続くトレーナ信号の受信復調が繰り返されていく。
【0081】
また、生徒用ラジオコントロール送信機1Bでは、ステップS406,S407による応答の送信以降、先生用ラジオコントロール送信機1Aに同期した周波数ホッピングパターンによる周波数ホッピングを行っている。先生用ラジオコントロール送信機1Aでは、ステップS306又はS307により、フレーム期間ごとに操縦信号を送信しているが、生徒用ラジオコントロール送信機1Bと先生用ラジオコントロール送信機1Aとでは周波数ホッピングパターンが同期しているので、生徒用ラジオコントロール送信機1Bでもこの操縦信号を受信することができる。そこで、生徒用ラジオコントロール送信機1Bでは、ステップS407により、後述するフレーム期間にて設定される受信モード期間にて、操縦信号を受信する。
【0082】
生徒用ラジオコントロール送信機1B側での操縦信号の受信は、次のステップS408によるフレームタイミング(フレーム期間が切り換わるタイミング)の同期修正を目的としている。
つまり、後述の図9にも示されるように、先生用ラジオコントロール送信機1A側での操縦信号の送信タイミングは、フレーム期間の開始タイミングにほぼ対応する。従って、生徒用ラジオコントロール送信機1Bでは、ステップS408として、操縦信号を受信したタイミングから先生側のフレームタイミングを認識し、これに基づいて、先生用ラジオコントロール送信機1A側のフレームタイミングと、自己のフレームタイミングを同期させるようにして、フレーム期間の調整を行う。
ここでのフレームタイミングの同期とは、即ち、生徒用ラジオコントロール送信機1B側のフレーム期間における受信モード期間と送信モード期間とについて、先生用ラジオコントロール送信機1A側の送信モード期間と受信モード期間に対応させて同期させることを意味する。つまり、ステップS408の処理によって、生徒用ラジオコントロール送信機1B側にて、受信モード期間と送信モード期間のタイミングを、先生用ラジオコントロール送信機1A側に合わせるための修正が行われる。
【0083】
図9は、上記図8の処理に対応した信号の送受信タイミングの一具体例を示している。この図においても、図6と同様に、ホッピングチャンネルとしての周波数はf1〜f5の5つとしている。また、この図9では、上段(先生側)において先生用ラジオコントロール送信機1Aの送受信動作が示され、下段(生徒側)において生徒用ラジオコントロール送信機1Bの送受信タイミングが示される。
【0084】
前提として、トレーナモードにおいては、先生用ラジオコントロール送信機1A(先生側)は、常に、設定された周波数ホッピングパターンに従ってフレーム期間ごとに周波数を切り換えている。この図では、周波数ホッピングパターンとしては、図6の例と同様に、周波数f1,f5,f4,f2,f3の順で巡回させるものとしている。
そのうえで、トレーナモードにおける先生側では、1フレーム期間において、送信モード期間と受信モード期間とを設定するようにされており、この点が図6の通常の操縦信号の送信時とは異なっている。
そして、図9での先生側での送信モード期間と受信モード期間は、1フレーム期間において時分割で設定されているものとみることができる。つまり、1フレーム期間において、先ずフレーム期間の開始時点から所定の時間長により送信モード期間を設定している。次に、送信モード期間が終了してから或る所定時間分の間隔を経て、所定時間による受信モード期間を設定している。
【0085】
そして、この図の場合、先生側は、図8のステップS302の処理に対応する動作として、時点t1から開始されるフレーム期間以前においても、設定された周波数ホッピングパターンに従って、フレーム期間ごとに周波数を切り換えて、フレーム期間1と同様にして、問い合わせ要求を繰り返し送信していたものとされる。
その一方で、生徒用ラジオコントロール送信機1B(生徒側)は、ここでは、ステップS402に対応した動作として、図9の時点t1以前の或る時点から周波数f1で固定した状態で受信モード期間を継続させていたものとする。
そして、この時点t1からのフレーム期間に至ったタイミングで、先生側の周波数と、生徒側の周波数とが一致したことで、生徒側にて問い合わせ要求が受信されたことが示されている。
【0086】
この問い合わせ要求に応じて、図9の場合の生徒側は、図8のステップS404にて肯定の判別結果を得ることになる。そして、ステップS405により自己の通信モードを、先生側に同期させた周波数ホッピングモードに切り換え、ステップS405により応答を送信することになる。
図9においては、生徒側によるステップS405に応じた周波数ホッピングモードは、時点t2以降のフレーム期間において実行されている。
【0087】
そして、トレーナモードにおいて、生徒側が周波数ホッピングモードによる通信を実行するときには、時点t2以降の各フレーム期間において示されているように、1フレーム期間において、受信モード期間とこれに続く送信モード期間が時分割で設定される。つまり、先生側とは逆の順で、1フレーム期間に対応しては、先ず、その開始タイミングに対応して一定時間の受信モード期間が設定され、この後、一定時間を経てから、一定時間による送信モード期間が設定されている。これにより、図9の時点t2以降の各フレーム期間における先生側と生徒側とをみて分かるように、先生側の送信モード期間は、生徒側の受信モード期間内のタイミングにて得られることになり、先生側からの送信信号を、生徒側で受信できることになる。同じく、生徒側の受信モード期間において先生側の送信モード期間のタイミングが得られるようになっており、生徒側からの送信信号を、先生側で受信できることになる。
【0088】
なお、図においても示されているが、先生側と生徒側の何れにおいても、受信モード期間については、送信モード期間よりも長い時間長が設定されたうえで、受信モード期間の開始・終了タイミングは、それぞれ、対応する送信モード期間の開始・終了タイミングよりも前・後となるようにして設定されている。このために、先生側の送信モード期間がフレーム期間の先頭から開始されることに応じて、生徒側の受信モード期間は、フレーム期間より前から開始されるように設定される。
これにより、同期が図られた状態では、受信モード期間内に、相手側の送信モード期間が確実に収まることになり、より確実に送信データを受信できる。
【0089】
そして、図9においては、生徒側でのステップS406による応答の送信を、時点t2のフレーム期間における送信モード期間により行っている。これに応じて、先生側では、ステップS303として、同じ時点t2のフレーム期間内の受信モード期間により、応答を受信することになる。
【0090】
この場合の先生側では、この応答の受信に応じたステップS304の処理として肯定の判別結果を得て、ステップS305以降に進むことになる。
そして、先生側では、時点t2からのフレーム期間に続く、時点t3以降のフレーム期間ごとに、その送信モード期間において、ステップS305〜S307の処理に応じた操縦信号を送信するという動作を繰り返すことになる。
【0091】
ここで、先生側から送信された操縦信号は、本来は、被操縦体10を動かすために送信されるものであるが、図8のステップS407として示したように、生徒側においても、フレームタイミング(送信モード期間と受信モード期間のタイミング)を修正同期するために操縦信号を受信する。
このステップS407としての生徒側での操縦信号の受信は、図9に示すようにして、時点t3以降のフレーム期間ごとにおける受信モード期間にて行われている。このようにして、操縦信号は、フレーム期間ごとにおいて、先生側と生徒側との間で送受信される。そして、この図には示されてはいないが、実際においては、生徒側で設定しているフレームタイミング(受信モード期間と送信モード期間のタイミング)が、先生側のフレームタイミングに対して誤差を生じていたとしても、フレーム期間に応じたタイミングで修正が図られていることになる。
【0092】
また、生徒側では、ステップS409に対応する処理として、時点t3以降の各フレーム期間の送信モード期間においてトレーナ信号を送信出力する。先生側でのステップS308に対応するトレーナ信号の受信は、同じく、時点t3以降の各フレーム期間の受信モード期間において行われることになる。このようにして、トレーナ信号も、生徒側から先生側に対してフレーム期間ごとに送受信される。
【0093】
ところで、トレーナモードにおける先生側と生徒側とでの、操縦信号とトレーナ信号の送受信については、フレーム期間ごとに交互に行うように構成することも考えられる。つまり、1つのフレーム期間において、先生側にて送信モード期間を設定し、生徒側にて受信モード期間を設定して、操縦信号を送受信させる。次のフレーム期間では、生徒側にて送信モード期間を設定し、先生側にて受信モード期間を設定して、トレーナ信号を送受信させる。この2フレームの動作を繰り返すというものである。
【0094】
この場合、操縦信号は、2フレーム期間ごとに1回送信されることになるが、操縦操作に応じた被操縦体10の応答性などを考慮した場合には、1フレーム期間ごとに送信するようにして送信頻度を高めることのほうが好ましい。また、この場合にはトレーナ信号も、2フレーム期間に1回の頻度となるので、上記の応答性の点で同じことがいえる。
そこで、本実施形態としては、図9に示しているように、1フレーム期間において、送信モード期間と受信モード期間とを設定するようにしていることで、1フレームごとに、操縦信号とトレーナ信号の送受信が行われるようにしている。
【0095】
例えば図6に示しているように、通常モードにおいて操縦信号を送信しているときであっても、そのための送信モード期間は、1フレーム期間における一部の時間しか占有していない。このために、実際の1フレーム期間は相当の空き時間を有していることになる。
本実施形態としては、この空き時間に着目して、図9に示すようにして1フレーム期間内に、送信モード期間と受信モード期間とを時分割で設定することとしたものである。これにより、本実施形態では、先生側と生徒側とで、同じ2.4GHz帯で操縦信号とトレーナ信号の送受信を行わなければいけない条件でありながら、これまでと同様の頻度で操縦信号、トレーナ信号を送受信できるようになっている。つまり、例えば被操縦体10の操縦に対する応答性、安定性などが損なわれないようにされている。
【0096】
なお、図9においては、フレーム期間内に送信モード期間と受信モード期間とを設定するのにあたり、先生側では、送信モード期間、受信モード期間の順とし、これに応じて、生徒側では受信モード期間、送信モード期間としている。これは、本来は、図6にも示したように、ラジオコントロール送信機と、被操縦体10側の受信機11との間での操縦信号の送受信のタイミングが、フレーム期間の開始タイミングに対応して実行されていることに対応させていることによる。つまり、本実施形態では、フレーム期間における送信モード期間と受信モード期間の設定は、既に規定されているラジオコントロール送信機と受信機との間での操縦信号の送受信タイミングに応じて設定すべきものとなる。
【0097】
なお、これまでの説明においては、2.4GHz帯での通信を前提としているが、これ以外の無線通信方式のもとでも本実施形態としての構成は適用できる。
また、図8,図9による説明では、生徒用ラジオコントロール送信機では、フレーム期間ごとに操縦信号を受信することとしているが、例えば、最初のホッピングパターンの同期と、その後のフレーム期間切り換えの時間制御が高精度であれば、操縦信号を受信して同期修正を敢えて図る必要はないと考えられる。つまり、本実施形態としては、トレーナモード時において、生徒用ラジオコントロール送信機側では、フレーム期間ごとにトレーナ信号のみを送信し、受信モード期間を設定しているとしても、特に積極的に信号を受信しないとする構成も考え得る。また、例えば、生徒用ラジオコントロール送信機は、所定フレーム数ごとであるとか、間欠的に操縦信号を受信して同期修正を図るように構成することも考えられる。
【0098】
また、本実施形態としてのトレーナ機能は、生徒用ラジオコントロール送信機1Bと先生用ラジオコントロール送信機1Aとが同一機種である場合にはもちろんのこと、機種が異なる場合においても、例えば図8,図9に示した先生用ラジオコントロール送信機1A又は生徒用ラジオコントロール送信機1Bとしての通信機能が与えられるように構成しさえすれば実現は容易に可能である。
【符号の説明】
【0099】
1 ラジオコントロール送信機、1A 先生用ラジオコントロール送信機、1B 生徒用ラジオコントロール送信機、2L 左スティックレバー、2R 右スティックレバー、3 表示画面部、4 表示部対応操作子、5a〜5c ダイヤル操作子、5d〜5g プッシュスイッチ、6 トレーナスイッチ、7 アンテナ、10 被操縦体、21 制御部、22 メモリ、23 送信部、24 受信部、25 合成/分配器、26 表示部、27 操作部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線により信号を送信する送信手段と、
無線により信号を受信する受信手段と、
周波数ホッピング方式により周波数が切り換えられるフレーム期間において、送信モード期間と受信モード期間を設定し、上記送信モード期間にて通信相手のラジオコントロール送信機に対して第1の信号を上記送信手段により送信させるとともに、上記受信モード期間により通信相手のラジオコントロール送信機から送信される第2の信号を上記受信手段により受信させる送受信制御手段と、
を備えるラジオコントロール送信機。
【請求項2】
上記送受信制御手段は、
第1機能が設定されることに応じては、
上記第2の信号として、通信相手のラジオコントロール送信機に対する操縦操作に応じた操縦情報を格納する間接操縦信号を上記受信手段に受信させ、
上記第1の信号として、上記受信手段にて受信された上記間接操縦信号の操縦情報を格納して生成したものであり、被操縦体のコントロールのために、この被操縦体が備える受信機にて受信されるべき直接操縦信号を、上記送信手段により送信させる、
請求項1に記載のラジオコントロール送信機。
【請求項3】
上記送受信制御手段は、
上記第1の信号として、第1の操縦信号送信モードが設定されているときに、上記受信手段にて受信された上記間接操縦信号の操縦情報を格納して生成した上記直接操縦信号を送信させ、第2の操縦信号送信モードが設定されているときには、本ラジオコントロール送信機に対して行われた操縦操作に応じて得られる操縦情報を格納して生成した直接操縦信号を送信させる、
請求項2に記載のラジオコントロール送信機。
【請求項4】
上記送受信制御手段は、
第2機能が設定されることに応じては、
フレーム期間ごとにおける送信モード期間について、上記第1機能が設定された通信相手のラジオコントロール送信機側にて設定された受信モード期間に対応させたタイミングで設定したうえで、
上記第1の信号として、本ラジオコントロール送信機に対して行われた操縦操作に応じて得られる操縦情報を格納して生成した間接操縦信号を送信させる、
請求項2又は請求項3に記載のラジオコントロール送信機。
【請求項5】
上記送受信制御手段は、
さらに、フレーム期間ごとにおける受信モード期間について、上記第1機能が設定された通信相手のラジオコントロール送信機側にて設定された送信モード期間に対応させたタイミングで設定したうえで、
上記第2の信号として、上記通信相手のラジオコントロール送信機から送信される、被操縦体のコントロールのために、この被操縦体が備える受信機にて受信されるべき直接操縦信号を受信させる、
請求項4に記載のラジオコントロール送信機。
【請求項6】
上記直接操縦信号が受信されたタイミングに基づき、自己のフレーム期間のタイミングを、通信相手のラジオコントロール送信機のフレーム期間に同期するようにして調整する、同期調整手段を備える、
請求項4又は請求項5に記載のラジオコントロール送信機。
【請求項7】
周波数ホッピング方式により周波数が切り換えられるフレーム期間において、送信モード期間と受信モード期間を設定し、上記送信モード期間にて通信相手のラジオコントロール送信機に対して第1の信号を、無線により信号を送信する送信手段により送信させるとともに、上記受信モード期間により通信相手のラジオコントロール送信機から無線により送信される第2の信号を、無線により送信された信号を受信する受信手段により受信させる送受信制御手順を実行する、
ラジオコントロール送信機における通信方法。
【請求項1】
無線により信号を送信する送信手段と、
無線により信号を受信する受信手段と、
周波数ホッピング方式により周波数が切り換えられるフレーム期間において、送信モード期間と受信モード期間を設定し、上記送信モード期間にて通信相手のラジオコントロール送信機に対して第1の信号を上記送信手段により送信させるとともに、上記受信モード期間により通信相手のラジオコントロール送信機から送信される第2の信号を上記受信手段により受信させる送受信制御手段と、
を備えるラジオコントロール送信機。
【請求項2】
上記送受信制御手段は、
第1機能が設定されることに応じては、
上記第2の信号として、通信相手のラジオコントロール送信機に対する操縦操作に応じた操縦情報を格納する間接操縦信号を上記受信手段に受信させ、
上記第1の信号として、上記受信手段にて受信された上記間接操縦信号の操縦情報を格納して生成したものであり、被操縦体のコントロールのために、この被操縦体が備える受信機にて受信されるべき直接操縦信号を、上記送信手段により送信させる、
請求項1に記載のラジオコントロール送信機。
【請求項3】
上記送受信制御手段は、
上記第1の信号として、第1の操縦信号送信モードが設定されているときに、上記受信手段にて受信された上記間接操縦信号の操縦情報を格納して生成した上記直接操縦信号を送信させ、第2の操縦信号送信モードが設定されているときには、本ラジオコントロール送信機に対して行われた操縦操作に応じて得られる操縦情報を格納して生成した直接操縦信号を送信させる、
請求項2に記載のラジオコントロール送信機。
【請求項4】
上記送受信制御手段は、
第2機能が設定されることに応じては、
フレーム期間ごとにおける送信モード期間について、上記第1機能が設定された通信相手のラジオコントロール送信機側にて設定された受信モード期間に対応させたタイミングで設定したうえで、
上記第1の信号として、本ラジオコントロール送信機に対して行われた操縦操作に応じて得られる操縦情報を格納して生成した間接操縦信号を送信させる、
請求項2又は請求項3に記載のラジオコントロール送信機。
【請求項5】
上記送受信制御手段は、
さらに、フレーム期間ごとにおける受信モード期間について、上記第1機能が設定された通信相手のラジオコントロール送信機側にて設定された送信モード期間に対応させたタイミングで設定したうえで、
上記第2の信号として、上記通信相手のラジオコントロール送信機から送信される、被操縦体のコントロールのために、この被操縦体が備える受信機にて受信されるべき直接操縦信号を受信させる、
請求項4に記載のラジオコントロール送信機。
【請求項6】
上記直接操縦信号が受信されたタイミングに基づき、自己のフレーム期間のタイミングを、通信相手のラジオコントロール送信機のフレーム期間に同期するようにして調整する、同期調整手段を備える、
請求項4又は請求項5に記載のラジオコントロール送信機。
【請求項7】
周波数ホッピング方式により周波数が切り換えられるフレーム期間において、送信モード期間と受信モード期間を設定し、上記送信モード期間にて通信相手のラジオコントロール送信機に対して第1の信号を、無線により信号を送信する送信手段により送信させるとともに、上記受信モード期間により通信相手のラジオコントロール送信機から無線により送信される第2の信号を、無線により送信された信号を受信する受信手段により受信させる送受信制御手順を実行する、
ラジオコントロール送信機における通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−72377(P2011−72377A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224613(P2009−224613)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000201814)双葉電子工業株式会社 (201)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000201814)双葉電子工業株式会社 (201)
【Fターム(参考)】
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