説明

ランキンサイクル装置

【課題】 エンジンの始動時にランキンサイクル装置の蒸発器が発生する蒸気温度や蒸気圧力を適切に制御できるようにする。
【解決手段】 エンジンの始動時に蒸発器の内部密度が設定値よりも低ければ、給水量を増加させて蒸発器の内部密度を増加させることで、蒸気温度を目標温度に速やかに収束させるとともに、膨張機を停止または停止に近い微小回転で回転数制御して自転するのを防止することで、蒸気圧力を速やかに立ち上げて膨張機を起動する。逆にエンジンの始動時に内部密度が設定値よりも高ければ、給水量を減少させて蒸発器の内部密度を減少させることで、蒸気温度を目標温度に速やかに収束させるとともに、膨張機を予め回転させる回転数制御して蒸発器の内部に溜まった液相作動媒体を効率的に排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの排気ガスの熱エネルギーで液相作動媒体を加熱して気相作動媒体を発生させる蒸発器と、蒸発器で発生した気相作動媒体の熱エネルギーを機械エネルギーに変換する容積型の膨張機とを備えたランキンサイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一定速度で回転するエンジンの排気ガスを熱源とする廃熱貫流ボイラが発生する蒸気の温度を目標温度と比較し、その偏差から得た給水信号により廃熱貫流ボイラへの給水量をフィードバック制御する際に、エンジンのスロットル開度信号を蒸気圧力で補正して得たフィードフォワード信号を前記フィードバック信号に加算することで、エンジンの負荷変動を補償して制御精度の向上を図るものが、下記特許文献1により公知である。
【0003】
またランキンサイクル装置の蒸発器への給水量を操作することにより蒸気温度を制御し、蒸気が流入する容積型の膨張機の回転数を操作することにより蒸気圧力を制御するものが、下記特許文献2により公知である。
【特許文献1】実公平2−38162号公報
【特許文献2】WO03/031775
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エンジンおよびランキンサイクル装置が暖機された後の通常の加減速に伴う負荷変動程度では、従来の技術で蒸気温度および蒸気圧力の制御が可能であった。しかしながら、低温状態からのエンジン始動を起点としてランキンサイクル装置の暖機が完了するまでの一連の動作には、系内の作動媒体が水から飽和蒸気、過熱蒸気に相変化していくことの影響や、蒸発器の内部の温度勾配が安定するまでの給水量の制御等、不安定な状態を経由する。またエンジンの停止時には蒸発器の内部に高温・高圧蒸気が残存しており、ランキンサイクル装置を同時に停止してしまうとエネルギーの回収効率の観点からの損失となる。特にエンジンおよびランキンサイクル装置の起動時には、できるだけ早期に蒸気の目標温度および目標圧力を達成し、ランキンサイクル装置の運転効率が高い状態に遷移させることが重要である。
【0005】
例えば、図14に示すように、低温状態からのエンジンを始動して排気ガスエネルギーが増加しても、蒸発器の出口温度が極端に低いと、温度フィードバック制御により蒸発器への給水量が0に維持されてしまい(a部分参照)、蒸発器内に残った水が加熱されて過熱蒸気になってから給水量を増加させても、蒸気温度を速やかに低下させることができなくなって目標温度をオーバーシュートしてしまう場合があった(b部分参照)。
【0006】
また図15(a)に示すように、イグニッションスイッチONと同時に膨張機を回転させると、蒸気のリークが先行するために蒸気圧力が増加せず、膨張機に接続されたモータ・ジェネレータをモータとして回転させなければならず、モータ・ジェネレータによるエネルギーの回収が困難になってしまう。
【0007】
また図15(b)に示すように、イグニッションスイッチONから時間が経過して蒸気圧力が高まった状態から膨張機を起動しようとすると、膨張機のバルブの押し付け力等の静止摩擦力が大きいために回転できず、膨張機を回転させるべくモータ・ジェネレータがモータとして最大のトルクを発生しても(c部分参照)、膨張機が回転できない場合がある。このような場合、蒸気圧力が目標圧力を大きく超えて膨張機にダメージを与える可能性がある。
【0008】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、エンジンの始動時にもランキンサイクル装置の蒸発器が発生する蒸気温度や蒸気圧力を適切に制御できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、エンジンの排気ガスの熱エネルギーで液相作動媒体を加熱して気相作動媒体を発生させる蒸発器と、蒸発器で発生した気相作動媒体の熱エネルギーを機械エネルギーに変換する容積型の膨張機とを備えたランキンサイクル装置において、蒸発器から膨張機に供給される気相作動媒体の温度を目標温度に一致させるべく、蒸発器への液相作動媒体の供給量を操作する温度制御手段と、蒸発器から膨張機に供給される気相作動媒体の圧力を目標圧力に一致させるべく、膨張機の負荷を変化させて回転数を操作する圧力制御手段とを備え、前記温度制御手段および圧力制御手段は、少なくとも蒸発器の内部密度に応じて蒸発器への液相作動媒体の供給量および/または膨張機の回転数を制御することを特徴とするランキンサイクル装置が提案される。
【0010】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、エンジンの始動時に、前記温度制御手段および圧力制御手段は、少なくとも蒸発器の内部密度に応じて蒸発器への液相作動媒体の供給量および/または膨張機の回転数を制御することを特徴とするランキンサイクル装置が提案される。
【0011】
また請求項3に記載された発明によれば、請求項2の構成に加えて、前記温度制御手段は、蒸発器の内部密度が設定値よりも低いときに給水量を増加させ、設定値よりも高いときに給水量を減少または0にすることを特徴とするランキンサイクル装置が提案される。
【0012】
また請求項4に記載された発明によれば、請求項2または請求項3の構成に加えて、前記圧力制御手段は、蒸発器の内部密度が設定値よりも低いときに膨張機を停止または停止に近い微小回転で回転数制御し、設定値よりも高いときに膨張機を予め回転させる回転数制御することを特徴とするランキンサイクル装置が提案される。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の構成によれば、温度制御手段が気相作動媒体の温度を目標温度に一致させるべく蒸発器への液相作動媒体の供給量を操作し、かつ圧力制御手段が気相作動媒体の圧力を目標圧力に一致させるべく膨張機の負荷を変化させて回転数を操作する際に、少なくとも蒸発器の内部密度に応じて液相作動媒体の供給量および/または膨張機の回転数を制御するので、蒸発器の内部密度に応じた液相作動媒体の供給量や膨張機の回転数を設定して、気相作動媒体の温度を目標温度に速やかに収束させることができる。
【0014】
請求項2の構成によれば、エンジンの始動時に蒸発器の内部密度に応じて液相作動媒体の供給量や膨張機の回転数を制御するので、蒸気温度や蒸気圧力をオーバーシュートさせることなく速やかに目標温度や目標圧力に収束させることができる。
【0015】
請求項3の構成によれば、エンジンの始動時に蒸発器の内部密度が設定値よりも低ければ液相作動媒体の供給量を増加させるので、蒸発器の内部密度を増加させて気相作動媒体の温度を目標温度に速やかに収束させることができる。またエンジンの始動時に蒸発器の内部密度が設定値よりも高ければ液相作動媒体の供給量を減少または0にするので、蒸発器の内部密度を減少させて気相作動媒体の温度を目標温度に速やかに収束させることができる。
【0016】
請求項4の構成によれば、エンジンの始動時に蒸発器の内部密度が設定値よりも低ければ膨張機を停止または停止に近い微小回転で回転数制御するので、膨張機を制動して自転するのを防止することで、気相作動媒体の圧力を速やかに立ち上げて膨張機を起動することができる。またエンジンの始動時に蒸発器の内部密度が設定値よりも高ければ膨張機を予め回転させる回転数制御するので、蒸発器の内部に溜まった液相作動媒体を効率的に排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0018】
図1〜図13は本発明の一実施例を示すもので、図1はランキンサイクル装置の全体構成を示す図、図2はランキンサイクル装置の配置図、図3は温度制御手段の制御ブロック図、図4は図3の(A)部詳細図、図5は圧力制御手段の制御ブロック図、図6は図5の(B)部詳細図、図7は蒸発器の内部密度の推定手法の説明図、図8は最適蒸気温度と蒸発器および膨張機の最高効率との関係を示すグラフ、図9は蒸気エネルギーおよび蒸気温度から目標蒸気圧力を検索するマップを示す図、図10はイグニッションスイッチをONしたときに蒸発器の内部密度が通常の場合の制御を説明するタイムチャート、図11はイグニッションスイッチをONしたときに蒸発器の内部が空の場合の制御を説明するタイムチャート、図12はイグニッションスイッチをONしたときに蒸発器の内部が満水の場合の制御を説明するタイムチャート、図13はイグニッションスイッチをOFFしたときの制御を説明するタイムチャートである。
【0019】
図1には本発明が適用されるランキンサイクル装置Rの全体構成が示される。エンジンEの排気ガスの熱エネルギーを回収して機械エネルギーに変換するランキンサイクル装置Rは、エンジンEが排出する排気ガスで水を加熱して高温・高圧蒸気を発生させる蒸発器11と、蒸発器11で発生した高温・高圧蒸気により作動して機械エネルギーを発生する膨張機12と、膨張機12で仕事を終えた降温・降圧蒸気を冷却して水に戻す凝縮器13と、凝縮器13から排出された水を加圧して再度蒸発器11に供給する給水ポンプ14とを備える。
【0020】
図2に示すように、蒸発器11と給水ポンプ14との間に水の供給を遮断するための開閉弁15が配置されるとともに、蒸発器11と膨張機12との間に蒸気の供給を遮断する開閉弁16が配置される。また膨張機12にはモータ・ジェネレータ17が接続されており、このモータ・ジェネレータ17の負荷を調整することで膨張機12の回転数が制御される。ランキンコントローラCrは、イグニッションスイッチのON/OFF、燃料噴射量Ti、エンジン回転数Ne等の信号に基づいて、給水ポンプ14を駆動するモータ18の回転数、モータ・ジェネレータ17の負荷および二つの開閉弁15,16の開閉を制御する。
【0021】
図3にはランキンコントローラCrに含まれる温度制御手段21の構成が示される。温度制御手段21は、フィードフォワード給水量演算手段22と、フィードバック給水量演算手段23と、給水量制御切換手段24と、回転数演算手段25とを備える。フィードフォワード給水量演算手段22は、エンジン回転数Neおよび燃料噴射量Tiと、エンジンEの排気ガス温度とから蒸発器11に対するフィードフォワード給水量を演算する。フィードバック給水量演算手段23は、膨張機12の入口での蒸気の目標温度と、蒸発器11の出口での蒸気温度との偏差に所定のゲインを乗算してフィードバック給水量を演算する。給水量制御切換手段24は、エンジンEのイグニッションスイッチをONしたときの蒸発器11の内部密度や、イグニッションスイッチをOFFしたときの蒸発器11の内部エネルギーに応じて、蒸発器11に対する給水量の制御を変更する。回転数演算手段25は、給水量制御切換手段24が出力する目標給水量と、蒸発器11の出口での蒸気圧力とから給水ポンプ14の目標回転数を演算し、この目標回転数に一致するように給水ポンプ14を駆動するモータ18の回転数を制御する。
【0022】
蒸気の目標温度は、次のようにして求められる。即ち、図8に示すように、ランキンサイクル装置の蒸発器11の効率および膨張機12の効率は蒸気温度によって変化し、蒸気温度が増加すると蒸発器の効率が減少して膨張機の効率が増加し、逆に蒸気温度が減少すると蒸発器の効率が増加して膨張機の効率が減少することから、両者の効率を合わせた総合効率が最大になる最適蒸気温度(目標温度)が存在する。
【0023】
蒸発器11の内部密度は、次のようにして求められる。即ち、図9に示すように、給水ポンプ14から蒸発器11に供給される水の流量Qinと、蒸発器11から膨張機12に供給される蒸気の流量Qoutとを流量計で観測し、蒸発器11内の蒸気の内部密度ρを、
ρ=∫{Qin(t)−Qout(t)}dt/V
により算出することができる。
【0024】
図5にはランキンコントローラCrに含まれる圧力制御手段26の構成が示される。圧力制御手段26は、フィードフォワード回転数演算手段27と、フィードバック回転数演算手段28と、回転数制御切換手段29と、PIフィードバック項演算手段30とを備える。フィードフォワード回転数演算手段27は、膨張機12に供給する蒸気の目標圧力と、指令給水量と、膨張機12の入口蒸気温度とに基づいてフィードフォワード回転数を演算する。フィードバック回転数演算手段28は、膨張機12の入口での蒸気の目標圧力と、膨張機12の入口蒸気圧力との偏差に所定のゲインを乗算してフィードバック回転数を演算する。
【0025】
前記目標圧力は、蒸発器11から膨張機12に供給される蒸気のエネルギー(流量)および温度を図9のマップに適用することで設定される。この目標圧力は膨張機12が最大の効率で運転される蒸気圧力に相当する。
【0026】
回転数制御切換手段29は、イグニッションスイッチのON/OFF信号に基づいて、モータ・ジェネレータ17が発生する正方向のトルク(膨張機12の回転を補助する方向のトルク)や、負方向のトルク(膨張機12の回転を阻止する方向のトルク)を変化させることで、膨張機12の入口蒸気圧力を制御する。
【0027】
PIフィードバック項演算手段30は、回転数制御切換手段29が出力する目標回転数と、モータ・ジェネレータ17の回転数(つまり膨張機12の回転数)との偏差から、モータ・ジェネレータ17の目標トルクを演算し、その目標トルクをモータ・ジェネレータ17に発生させることで膨張機12の回転数を目標回転数にフィードバック制御する。
【0028】
次に、イグニッションスイッチをONしたときの、温度制御手段21および圧力制御手段26の機能を説明する。
【0029】
図4、図6および図10に示すように、イグニッションスイッチをONしたときに蒸発器11の内部密度が通常の場合には、排気ガスエネルギーの増加と同時に蒸発器11の内部が空にならないように、通常の温度制御時に比べて少ない量の水を供給し(d部分参照)、蒸気温度が目標温度に近づいたら通常のフィードバック制御による給水に移行する(e部分参照)。蒸気圧力が膨張機12の起動圧力に達するまで、モータ・ジェネレータ17に膨張機12の回転方向と逆方向のトルクを発生させることで(f部分参照)、膨張機12が自転しないように制動する。そして蒸気圧力が起動圧力に達すると(g部分参照)、モータ・ジェネレータ17に膨張機12の回転方向のトルクを一瞬だけ発生させ(h部分参照)、安定回転が可能な最低回転数で膨張機12の回転を開始することで(i部分参照)、膨張機12をスムーズに起動することができる。
【0030】
図4、図6および図11に示すように、イグニッションスイッチをONしたときに蒸発器11の内部が空の場合には、排気ガスエネルギーが増加するのと同時に蒸発器11への給水量を一時的に増加させ(j部分参照)、蒸気温度の応答が遅れないようにする。このとき、蒸発器11の内部密度の増加に伴って給水量を減少させるが、その給水量は満水にすることはなく、また通常時よりも若干多めにして安定制御状態に移行し易くする。そしてモータ・ジェネレータ17のトルク制御は上述した蒸発器11の内部密度が通常の場合と同様に行われ、安定回転が可能な最低回転数で膨張機12の回転を開始することでスムーズに起動を可能にする。
【0031】
図4、図6および図12に示すように、イグニッションスイッチをONしたときに、蒸発器11の内部が満水の場合には、排気ガスエネルギーが増加しても蒸発器11に対する給水を停止状態に保持し(k部分参照)、蒸発器11の内部密度が適正になるのを待ってから給水を開始する。そして蒸気温度が目標温度に近づいたら通常のフィードバック温度制御に移行する。蒸気圧力が立ち上がる前から、モータ・ジェネレータ17に正方向のトルクを発生させて膨張機12を低速度回転で回転させることで(m部分参照)、蒸発器11より下流の、特に蒸発器11と膨張機12との間の、排気ガスで加熱されない通路中の水を排出することができる。
【0032】
しかして、エンジンEの始動時における上述した3種類の制御の何れかを終えると、フィードフォワード給水量およびフィードバック給水量の加算値に基づいて蒸発器11に対する通常の給水制御を開始するとともに、フィードフォワード回転数およびフィードバック回転数の加算値に基づいて膨張機12の通常の回転数制御を開始する。
【0033】
次に、図4、図6および図13に基づいて、エンジンEのイグニッションスイッチをOFFしたときの、温度制御手段21および圧力制御手段26の機能を説明する。
【0034】
エンジンEのイグニッションスイッチをOFFしたときに蒸発器11の内部に残存する熱エネルギーが大きい場合、ランキンサイクル装置をRを即座に停止させてしまうと熱エネルギーを無駄に捨てることになる。そこでイグニッションスイッチをOFFしたときに、蒸発器11への給水を直ちに停止することなく、追加給水を行って蒸気の発生を継続する(n部分参照)。このときの給水量は、蒸発器11の内部エネルギーの減少に応じて減少させる。そして蒸気温度が膨張機12が出力を発生しないような温度(例えば飽和蒸気温度)になったら、給水を停止する。
【0035】
その結果、イグニッションスイッチをOFFした後の所定時間は蒸気圧力を目標圧力に保持し、膨張機12を効率良く回転させてエネルギーを回収することができる。蒸気圧力が低下したら、膨張機12が安定回転できる最低回転数で回転させてエネルギーを更に回収する(o部分参照)。そしてモータ・ジェネレータ17の回生トルクが0になった時点で、膨張機12の回転を停止させてエネルギーの回収を終了する(p部分参照)。
【0036】
このように、イグニッションスイッチをOFFした後も、所定の期間だけ給水を続行して膨張機12の運転を継続することで、蒸発器11に残存する熱エネルギーを無駄なく回収できるだけでなく、蒸気圧力をゆっくりと低下させて膨張機12の過回転を防止しながらランキンサイクル装置Rを安定した停止状態に移行させることができ、しかも蒸発器11に残存する熱エネルギーでエンジンルーム内の温度が上昇するのを防止することができる。
【0037】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0038】
例えば、実施例では蒸発器11に対する給水量を給水ポンプ14の回転数により制御しているが、図2に示す開閉弁15の開度により制御しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】ランキンサイクル装置の全体構成を示す図
【図2】ランキンサイクル装置の配置図
【図3】温度制御手段の制御ブロック図
【図4】図3の(A)部詳細図
【図5】圧力制御手段の制御ブロック図
【図6】図5の(B)部詳細図
【図7】蒸発器の内部密度の推定手法の説明図
【図8】最適蒸気温度と蒸発器および膨張機の最高効率との関係を示すグラフ
【図9】蒸気エネルギーおよび蒸気温度から目標蒸気圧力を検索するマップを示す図
【図10】イグニッションスイッチをONしたときに蒸発器の内部密度が通常の場合の制御を説明するタイムチャート
【図11】イグニッションスイッチをONしたときに蒸発器の内部が空の場合の制御を説明するタイムチャート
【図12】イグニッションスイッチをONしたときに蒸発器の内部が満水の場合の制御を説明するタイムチャート
【図13】イグニッションスイッチをOFFしたときの制御を説明するタイムチャート
【図14】従来の蒸発器の温度制御を説明するタイムチャート
【図15】従来の蒸発器の圧力制御を説明するタイムチャート
【符号の説明】
【0040】
11 蒸発器
12 膨張機
21 温度制御手段
26 圧力制御手段
E エンジン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(E)の排気ガスの熱エネルギーで液相作動媒体を加熱して気相作動媒体を発生させる蒸発器(11)と、蒸発器(11)で発生した気相作動媒体の熱エネルギーを機械エネルギーに変換する容積型の膨張機(12)とを備えたランキンサイクル装置において、
蒸発器(11)から膨張機(12)に供給される気相作動媒体の温度を目標温度に一致させるべく、蒸発器(11)への液相作動媒体の供給量を操作する温度制御手段(21)と、蒸発器(11)から膨張機(12)に供給される気相作動媒体の圧力を目標圧力に一致させるべく、膨張機(12)の負荷を変化させて回転数を操作する圧力制御手段(26)とを備え、
前記温度制御手段(21)および圧力制御手段(26)は、少なくとも蒸発器(11)の内部密度に応じて蒸発器(11)への液相作動媒体の供給量および/または膨張機(12)の回転数を制御することを特徴とするランキンサイクル装置。
【請求項2】
エンジン(E)の始動時に、前記温度制御手段(21)および圧力制御手段(26)は、少なくとも蒸発器(11)の内部密度に応じて蒸発器(11)への液相作動媒体の供給量および/または膨張機(12)の回転数を制御することを特徴とする、請求項1に記載のランキンサイクル装置。
【請求項3】
前記温度制御手段(21)は、蒸発器(11)の内部密度が設定値よりも低いときに液相作動媒体の供給量を増加させ、設定値よりも高いときに液相作動媒体の供給量を減少または0にすることを特徴とする、請求項2に記載のランキンサイクル装置。
【請求項4】
前記圧力制御手段(26)は、蒸発器(11)の内部密度が設定値よりも低いときに膨張機(12)を停止または停止に近い微小回転で回転数制御し、設定値よりも高いときに膨張機(12)を予め回転させる回転数制御することを特徴とする、請求項2または請求項3に記載のランキンサイクル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−250073(P2006−250073A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−69365(P2005−69365)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】