説明

ランドマーク提示装置、車載用ナビゲーション装置および車載用ナビゲーションシステム

【課題】利用者が移動中に目印とすべき建物や地名が刻一刻と変化する場合でも、利用者の存在位置および移動経路において最も有効となる建物ないしは地名に関する情報を利用者に提示すること。
【解決手段】ランドマークの名称とランドマーク付近に存在する要所地点の名称とがWEB上の文章中に同時に発生する頻度である共起数をランドマーク毎に算出し、共起数算出手段によって算出された「共起数」と共起数に対応する「要所地点の名称」および「ランドマークの名称」とを関連付けて共起数テーブルとして記憶する。車両の現在位置から目的地までの経路の周辺に存在するランドマークを抽出する。抽出されたランドマークが含まれる共起数情報を共起数の値が大きい順に順位付けする。順位付けされた共起数情報のうち最も順位が高い共起数情報を選択し、その選択された共起数情報に対応するランドマークを提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の現在位置から目的地までの経路付近に存在する目印としてのランドマークを提示する際に、実際の車両の移動時には運転者に利用されないランドマークの優先度が高くなることを防ぐことで、利用者が移動中に目印とすべき建物や地名が刻一刻と変化する場合でも、利用者の存在位置および移動経路において最も有効となる建物ないしは地名に関する情報を利用者に提示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の走行に伴って移動していく現在位置をモニタ上に道路地図と共に表示したり、現在地から目的地までの適切な経路を設定し、経路案内を行うナビゲーション装置が知られており、より円滑なドライブに寄与している。例えばこのようなナビゲーション装置による経路案内では、現在地から目的地までの経路上での交差点手前などで「300m先を左折してください」などという曲がる指示を音声などで案内するといった具合である。また、このように現在地や目的、経路を示すだけでなく、例えばガソリンスタンドやレストランなどの所定の施設を示すマークを地図上に表示するナビゲーション装置も知られており、それらの施設を目印にして走行する場合に有効である。
【0003】
なお、道路地図や施設に関する情報については、DVDやHDDなどの記録媒体に記憶された各種情報を利用することが一般的であるが、近年ネットワーク上の各種情報を取得して利用可能な車載情報サービスも提供されている。このような車載情報サービスでは、サーバに蓄積された大量の情報およびサーバによる高い処理能力を利用した高付加価値を有する各種サービスを提供しており、ナビゲーション装置でも利用可能である。
【0004】
しかしながら、上述のナビゲーション装置における経路案内などの従来のいわゆる「距離ベース」の案内方式については、ナビゲーション装置のCPUなどの処理装置が演算するには有効であるが、この距離という概念については、実際に現在地から目的地まで運転する際に運転者にとっては空間的に認知しにくいものである。
【0005】
一方、Lynchをはじめとした学者による都市認知工学の研究によると、山や高層建築物など「陸上の目標」としてのランドマークに関する情報については、人間が空間的に認知をするために有力な手段になりうるとされている。
【0006】
なお、上述のランドマークに関する情報については、従来のナビゲーション装置においても、例えばガソリンスタンドやレストランなどの所定の施設を示すマークを地図上に表示することで利用されているが、各ランドマークについての優先度が設定されておらず、特定のジャンルなど、予め設定しておいたランドマークのみが一律的に表示されるのが現状である。このため、次のような問題点がある。すなわち、交差点などの設定された施設が多い地図領域をディスプレイに表示する場合にはこれら施設を示すマークが密集して表示され、車両の現在位置や目的地、経路などが確認しにくくなる。一方、設定された施設が少ない地図領域をディスプレイに表示する場合には、これら施設を示すマークが点在して表示され、車両の現在位置や目的地、経路などを確認しやすいが目印となる施設が少ないために利用者の利便性が低い。
【0007】
また、上述のようなナビゲーション装置においては、上述のようにランドマークについて優先度が設定されていないために、ランドマークに関する情報を音声で運転者に効果的に伝えることは困難である。よって、ランドマークを扱う際には、例えばランドマーク間の関係を数値化することで優先度を予め設定し、優先度の高いランドマークを運転者に報知することが必要と考えられる。
【0008】
そこで、上述の問題を解決するために、施設ごとに優先度を予め設定しておき、交差点などの設定された施設が多い地図領域をディスプレイに表示する場合には、優先度が高い施設を表示する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このことにより、交差点などの設定された施設が多い地図領域をディスプレイに表示する場合でも、車両の現在位置や目的地、経路などを確認しやすくすることができる。
【0009】
また、同様に上述の問題を解決するために、施設の種別ごとに表示色を変化させる技術が知られている(例えば、特許文献2参照。)。このことにより、交差点などの設定された施設が多い地図領域をディスプレイに表示する場合にはこれら施設を示すマークが密集して表示されても、車両の現在位置や目的地、経路などを確認しやすくすることができる。
【特許文献1】特開平10−239078号公報
【特許文献2】特開2002−39780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上述のナビゲーション装置においては、その属性(ジャンル)などの一般的な要素に基づいて施設の優先度を予め設定したり算出したりするために、実際の車両の移動時には運転者に利用されないランドマークの優先度が高くなってしまうおそれがあった。
【0011】
なお、上述の特許文献1や特許文献2に記載の手法については、車両の挙動(車速)を考慮した優先度付け手法であり、ランドマークの持つ意味の要素には言及していない。
本発明は、このような不具合に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、車両の現在位置から目的地までの経路付近に存在する目印としてのランドマークを提示する際に、実際の車両の移動時には運転者に利用されないランドマークの優先度が高くなることを防ぐことで、利用者が移動中に目印とすべき建物や地名が刻一刻と変化する場合でも、利用者の存在位置および移動経路において最も有効となる建物ないしは地名に関する情報を利用者に提示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するためになされた請求項1に係るランドマーク提示装置(1:この欄においては、発明に対する理解を容易にするため、必要に応じて「発明を実施するための最良の形態」欄で用いた符号を付すが、この符号によって請求の範囲を限定することを意味するものではない。)は、その付近に存在する要所地点の名称との同時発生数が多いランドマークを提示すべきランドマークとして選択し、その選択したランドマークを提示することを特徴とする。
【0013】
具体的には、地図情報記憶手段(53)が、移動時に目印となるランドマークに関するランドマーク情報を含む地図情報を記憶しており、共起数算出手段(54)が、ランドマークの名称とランドマーク付近に存在する要所地点の名称とがWEB上の文章中に同時に発生する頻度である共起数をランドマーク毎に算出し、共起数記憶手段(55)が、共起数算出手段によって算出された「共起数」と共起数に対応する「要所地点の名称」および「ランドマークの名称」とを関連付けて「共起数情報」として記憶する。また、目的範囲情報取得手段(74)が、利用者の移動の目的に関連する場所の情報を取得し、ランドマーク抽出手段(75)が、地図情報記憶手段の記憶内容を参照して、目的範囲情報取得手段によって取得された場所の周辺に存在するランドマークを抽出する。さらに、順位付け手段(76)が、ランドマーク抽出手段によって抽出されたランドマークが含まれる共起数情報を読み出し、その読み出した共起数情報を共起数の値が大きい順に順位付けする。そして、選択手段(92)が、順位付け手段によって順位付けされた共起数情報のうち最も順位が高い共起数情報を選択し、提示手段(93)が、選択手段によって選択された共起数情報に対応するランドマークを提示する。
【0014】
従来のナビゲーション装置においては、その属性(ジャンル)などの一般的な要素に基づいて施設の優先度を予め設定したり算出したりするために、実際の車両の移動時には運転者に利用されない目標物の優先度が高くなってしまうおそれがあった。
【0015】
これに対して本発明のランドマーク提示装置によれば、その付近に存在する要所地点の名称との同時発生数が多いランドマークを提示すべきランドマークとして選択し、その選択したランドマークを提示する。このことにより、車両の現在位置から目的地までの経路付近に存在する目印としてのランドマークを提示する際に、実際の車両の移動時には利用者(運転者)に利用されないランドマークの優先度が高くなることを防ぐことで、利用者が移動中に目印とすべき建物や地名が刻一刻と変化する場合でも、利用者の存在位置および移動経路において最も有効となる建物ないしは地名に関する情報を利用者に提示することができる。
【0016】
なお、目的範囲情報の具体例としては、車両の現在位置から目的地までの経路に関する経路情報であることが考えられる。具体的には、請求項2のように、目的範囲情報取得手段が、車両の現在位置から目的地までの経路に関する経路情報を取得し、ランドマーク抽出手段が、取得された経路の周辺に存在するランドマークを抽出することが考えられる。
【0017】
また、目的範囲情報の具体例としては、利用者が指定した場所に関する周辺情報であることが考えられる。具体的には、請求項3のように、目的範囲情報取得手段が、利用者が指定した場所に関する周辺情報を取得し、ランドマーク抽出手段が、取得された場所の周辺に存在するランドマークを抽出することが考えられる。
【0018】
この場合、要所地点からの距離が近い順にN件のランドマークを抽出することが考えられる。具体的には、請求項4のように、ランドマーク抽出手段が、地図情報記憶手段の記憶内容を参照して、目的範囲情報取得手段によって取得された場所の周辺に存在するランドマークのうち要所地点からの距離が近い順にN件のランドマークを抽出することが考えられる。一例を挙げると、ある建物Aからみて最寄の3つの駅が存在したとした場合、最も物理的に近い駅が経路上の最寄駅とは限らないため、距離的に最も近いN件の駅名をとって近傍駅とみなすといった具合である。このように構成すれば、物理的な距離だけではない交通要素の影響を排除することができる。
【0019】
ところで、上記課題を解決するために、ランドマークの名称と住所との同時発生数が多いランドマークを提示すべきランドマークとして選択し、その選択したランドマークを提示することが考えられる。
【0020】
具体的には、請求項5のように、地図情報記憶手段が、移動時に目印となるランドマークに関するランドマーク情報を含む地図情報を記憶しており、共起数算出手段が、ランドマークの名称とランドマークの住所とがWEB上の文章中に同時に発生する頻度である共起数をランドマーク毎に算出し、共起数記憶手段が、共起数算出手段によって算出された「共起数」と共起数に対応する「ランドマークの名称」および「ランドマークの住所」とを関連付けて共起数情報として記憶する。また、目的範囲情報取得手段が、利用者の移動の目的に関連する場所の情報を取得し、ランドマーク抽出手段が、地図情報記憶手段の記憶内容を参照して、目的範囲情報取得手段によって取得された場所の周辺に存在するランドマークを抽出する。さらに、順位付け手段が、ランドマーク抽出手段によって抽出されたランドマークが含まれる共起数情報を読み出し、その読み出した共起数情報を共起数の値が大きい順に順位付けする。そして、選択手段が、順位付け手段によって順位付けされた共起数情報のうち最も順位が高い共起数情報を選択し、提示手段が、選択手段によって選択された共起数情報に対応するランドマークを提示する。
【0021】
このように構成すれば、利用者の存在位置および移動経路において、有効となる建物ないしは地名に関する情報を利用者に提示することができる。特に店舗名など商業施設を中心として抽出することが可能である。
【0022】
なお、目的範囲情報の具体例としては、上述のように、車両の現在位置から目的地までの経路に関する経路情報であることが考えられる。具体的には、請求項6のように、目的範囲情報取得手段が、車両の現在位置から目的地までの経路に関する経路情報を取得し、ランドマーク抽出手段が、取得された経路の周辺に存在するランドマークを抽出することが考えられる。
【0023】
また、目的範囲情報の具体例としては、上述のように、利用者が指定した場所に関する周辺情報であることが考えられる。具体的には、請求項7のように、目的範囲情報取得手段が、利用者が指定した場所に関する周辺情報を取得し、ランドマーク抽出手段が、取得された場所の周辺に存在するランドマークを抽出することが考えられる。
【0024】
この場合、抽出する地理範囲の大きさによって住所名称の長さを変更することが考えられる。具体的には、請求項8のように、ランドマーク抽出手段が、上述の場所の周辺に存在するランドマークを抽出する際に、地理的な範囲の大きさによって住所名称を変更することが考えられる。例えば、名古屋市にある「愛知県芸術センター」という建物の住所は正式には「愛知県名古屋市東区東桜1町目13」であるが、絞り込む範囲が名古屋市全域であれば、住所名称として「愛知県名古屋市東区」までを利用し、また、絞り込む範囲が区レベルの範囲であれば「愛知県名古屋市東区東桜」までを住所名称として利用するといった具合である。このように構成すれば、抽出する要求に応じて検索範囲を制御できる。
【0025】
ところで、上記課題を解決するために、ランドマークの名称とその所在地の広域名称との同時発生数が多いランドマークを提示すべきランドマークとして選択し、その選択したランドマークを提示することが考えられる。
【0026】
具体的には、請求項9のように、地図情報記憶手段が、移動時に目印となるランドマークに関するランドマーク情報を含む地図情報を記憶しており、共起数算出手段が、ランドマークの名称とランドマークの所在地の広域名称とがWEB上の文章中に同時に発生する頻度である共起数をランドマーク毎に算出し、共起数記憶手段が、共起数算出手段によって算出された「共起数」と共起数に対応する「ランドマークの名称」および「ランドマークの所在地の広域名称」とを関連付けて共起数情報として記憶する。なお、ここでいう「広域名称」とは、例えば「名古屋市」や「京都市」というような一般的な建物の存在する地域を示すのに利用される名称を指す。また、目的範囲情報取得手段が、利用者の移動の目的に関連する場所の情報を取得し、ランドマーク抽出手段が、地図情報記憶手段の記憶内容を参照して、目的範囲情報取得手段によって取得された場所の周辺に存在するランドマークを抽出する。さらに、順位付け手段が、ランドマーク抽出手段によって抽出されたランドマークが含まれる共起数情報を読み出し、その読み出した共起数情報を共起数の値が大きい順に順位付けする。そして、選択手段が、順位付け手段によって順位付けされた共起数情報のうち最も順位が高い共起数情報を選択し、提示手段が、選択手段によって選択された共起数情報に対応するランドマークを提示する。
【0027】
このように構成すれば、利用者が移動中に目印とすべき建物や地名が刻一刻と変化する場合でも、利用者の存在位置および移動経路において有効となる建物ないしは地名に関する情報を利用者に提示することができる。
【0028】
なお、目的範囲情報の具体例としては、上述のように、車両の現在位置から目的地までの経路に関する経路情報であることが考えられる。具体的には、請求項10のように、目的範囲情報取得手段が、車両の現在位置から目的地までの経路に関する経路情報を取得し、ランドマーク抽出手段が、取得された経路の周辺に存在するランドマークを抽出することが考えられる。
【0029】
また、目的範囲情報の具体例としては、上述のように、利用者が指定した場所に関する周辺情報であることが考えられる。具体的には、請求項11のように、目的範囲情報取得手段が、利用者が指定した場所に関する周辺情報を取得し、ランドマーク抽出手段が、取得された場所の周辺に存在するランドマークを抽出することが考えられる。
【0030】
この場合、抽出する地理的な範囲の大きさによって広域名称を変更することが考えられる。具体的には、請求項12のように、ランドマーク抽出手段が、上述の場所の周辺に存在するランドマークを抽出する際に、地理的な範囲の大きさによって広域名称を変更することが考えられる。一例を挙げると、名古屋市内の建物に関して絞り込む場合には、広域名称は「名古屋市」であるが、さらに大きな地理範囲で絞り込む場合は「愛知県」というようにさらに広い範囲を示す名称を用い、一方、区単位の小さい範囲で絞り込む場合は「中区」などというように小さい範囲を示す名称を広域名称に利用するといった具合である。このように構成すれば、絞り込む地理範囲に適した広域名称を利用することができ、順位付けの精度を高めることができる。
【0031】
ところで、上述のような一種類の空間文脈を利用する手法では、ノイズに対して弱いという問題がある。例えば、上述の請求項5の手法は空間的文脈を示す性質が強いという長所がある一方、出現頻度が低いという問題がある。また、請求項9に示す手法では頻度が高いという長所がある一方、ノイズが大きいという問題がある。
【0032】
そこで、計算した数値を正規化した後に平均し、その結果をもとに順位づけを行うことが考えられる。具体的には、請求項13のように、順位付け手段が、共起数情報を順位付けする際には、ランドマーク抽出手段によって抽出されたランドマークが含まれる共起数情報を読み出し、その読み出した共起数情報に含まれる共起数の数値を正規化した後にその平均値を算出し、その算出した共起数の平均値が大きい順に共起数情報を順位付けすることが考えられる。このように構成すれば、複数の手法を組み合わせることにより、ノイズによる影響を低減することができる。
【0033】
また、上述の共起数の平均値を閾値手法を用いて算出することが考えられる。具体的には、請求項14のように、順位付け手段が、共起数情報に含まれる共起数の平均値が所定の閾値よりも大きい共起数情報について順位付けを行うことが考えられる。このように構成すれば、ランドマークが目印としての目的以外で空間文脈語と共起してしまうようなノイズを低減することができる。
【0034】
なお、上述の各手法では性能の特性(P―R特性)が異なるため、特性データに基づき、利用件数を参照して算出方式を選択することが考えられる。具体的には、請求項15のように、順位付け手段が、共起数情報に含まれる共起数の平均値を算出する際には、利用件数を参照して算出方式を選択することが考えられる。一例を挙げると、利用するランドマークの件数が1〜6件の場合には請求項1に記載の手法を用い、一方、利用するランドマークの件数が7件以上の場合には請求項4に記載の手法を用いるといった具合である。なお、この場合の閾値については設定で切り替え可能とすることが考えられる。このように構成すれば、特性に適した手法を選択することにより、ランドマークの利用件数が多い場合でも少ない場合でも高い精度を保つことができる。
【0035】
ところで、ネットワーク上の汎用検索エンジンによる共起計算の結果を利用する手法が考えられる。具体的には、請求項16のように、順位付け手段が、共起数情報を順位付けする際には、ネットワーク上の汎用検索エンジンによる共起計算の結果を取得し、その取得した共起計算の結果に含まれる共起数の平均値を算出し、その算出した共起数の平均値が大きい順に共起数情報を順位付けすることが考えられる。
【0036】
このように構成すれば、上述のような共起数の計算に汎用検索エンジンのAPIを活用することで、一連の処理をサーバを利用せずにすべて車載器で行うことができ、したがって、検索エンジンのAPIを利用して共起計算を行うことにより、共起計算処理を簡略化でき、低速・低容量な端末でも一連の処理が実行可能となる。また、この結果サーバが無くても上述のサービスを提供することができる。
【0037】
この場合、車両の現在位置から目的地までの経路を利用して交通要所を動的に選択することが考えられる。具体的には、請求項17のように、順位付け手段が、共起数情報に順位付けする際には、利用者の現在位置および目的地から算出した経路を利用して交通要所を動的に選択することが考えられる。このように構成すれば、建物からの距離で交通要所を選択するのではなく、移動経路から最寄の交通要所を選択してこの選択した交通要所と建物との共起数から共起数の順位付けを行うので、移動経路からみて適切な要所を選択できる。
【0038】
なお、上記請求項1〜18に記載の各手法については、運転者のみの利用に限定するものではなく、携帯電話を利用したナビゲーションなど一般の利用者も活用可能である。
また、現在の表示スケールを利用して交通要所を選択することが考えられる。具体的には、請求項18のように、順位付け手段が、共起数情報に順位付けする際には、現在の表示スケールを利用して交通要所を選択することが考えられる。このように構成すれば、建物からの距離で交通要所を選択するのではなく、現在のナビ画面の表示スケールから最寄の交通要所を選択してこの選択した交通要所と建物との共起数から共起数の順位付けを行うので、利用者(運転者)の利用範囲と合致した交通要所を選択できる。
【0039】
ところで、上述の手法において、さらに自動車関連用語との共起によって文書集合を限定することが考えられる。具体的には、請求項19のように、順位付け手段が、共起数情報を順位付けする際にネットワーク上の汎用検索エンジンによる共起計算の結果を取得する際には、自動車関連用語との共起によって文書集合を限定することが考えられる。なお、ここでいう「自動車関連用語」とは、例えば「駐車場」や「自動車」、「車」などの単語を想定している。このように構成すれば、活用する文書集合を自動車関連の集合のみに限定させることができ、関係ない文書集合によるノイズを低減させることができる。
【0040】
ところで、上述のランドマーク提示装置が奏する各種機能については、車載用ナビゲーション装置として実現することが考えられる。具体的には、請求項20のように、上述の車載用ナビゲーション装置は、請求項1〜請求項19の何れかに記載のランドマーク提示装置と、前記ランドマーク提示装置の地図情報記憶手段が記憶する地図情報に基づき、ランドマーク提示装置の選択手段によって選択されたランドマークをそのランドマークの周囲の地図情報とともに表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。このように構成すれば、車両のリアルタイムな状況に対応するランドマークを利用者(運転者)へ提示できる。
【0041】
また、上述のランドマーク提示装置が奏する各種機能については、車載用ナビゲーションシステムとして実現することが考えられる。
具体的には、請求項21のように、上述の車載用ナビゲーションシステムは、センタと、車載器と、車載用ナビゲーション装置と、を備え、センタと車載器と車載用ナビゲーション装置との間で各種データを送受信可能に構成されている。
【0042】
このうちセンタは、請求項1〜請求項19の何れかに記載のランドマーク提示装置が備える地図情報記憶手段、共起数算出手段および共起数記憶手段を備えている。また、車載器は、請求項1〜請求項19の何れかに記載のランドマーク提示装置が備える目的範囲情報取得手段、ランドマーク抽出手段および順位付け手段を備えている。そして、車載用ナビゲーション装置は、請求項1〜請求項19の何れかに記載のランドマーク提示装置が備える選択手段および提示手段を備えている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下に本発明の実施形態を図面とともに説明する。
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態の車載用ナビゲーションシステム100の全体構成を示すブロック図である。また、図2は、サーバ50の構成を示すブロック図である。また、図3は、車載器70の構成を示すブロック図である。
【0044】
[車載用ナビゲーションシステム100の構成の説明]
図1に示すように、車載用ナビゲーションシステム100は、サーバ50と、車載器70と、車載用ナビゲーション装置90と、を備える。なお、サーバ50については、無線を介して公衆ネットワーク60に接続可能に構成されている。また、車載器70については、一つまたは複数の無線アクセス媒体などを介して公衆ネットワーク60に接続可能に構成されている。
【0045】
[サーバ50の構成の説明]
サーバ50は、図2に示すように、インターネット上のWEBコンテンツ80を定期的に収集する収集部51と、収集部51が収集したWEBコンテンツを保存する文章データベース52と、ランドマークデータおよび交通要所データを記憶する施設データベース53と、施設データベース53を参照し、文章データベース52が保存するWEBコンテンツを分析して、地理情報毎にランドマーク情報を抽出する分析・抽出部54と、分析・抽出部54が抽出したランドマーク情報を共起テーブルとして記憶する共起データベース55と、共起データベース55が記憶する共起テーブルから共起数情報を読み出して車載器70へ配信する配信部56と、を備えている。
【0046】
なお、上述の共起データベース55が記憶する「共起テーブル」は、建物名と、交通要所名と、共起数とを関連付けたテーブルである。
なお、施設データベース53は、地図情報記憶手段に該当する。また、分析・抽出部54は、共起数算出手段に該当する。また、共起データベース55は、共起数記憶手段に該当する。
【0047】
[車載器70の構成の説明]
車載器70は、図3に示すように、サーバ50から共起数情報を取得する共起データ取得部71と、共起データ取得部71が取得した共起数情報を記憶する共起データデータベース72と、サーバ50が記憶するランドマーク情報とは別途抽出されたランドマーク情報を記憶する施設データベース73と、車両の現在位置から目的地までの経路に関する経路情報を外部(ナビゲーション装置)から取得する経路情報取得部74と、施設データベース73が記憶するランドマーク情報を参照して、経路情報取得部74によって取得された経路の周辺に存在するランドマークを抽出するとともに、その抽出したランドマークに関する共起数情報を共起データデータベース72から読み出す共起データ抽出処理部75と、共起データ抽出処理部75が抽出したランドマークを、共起データ抽出処理部75が抽出した共起数情報を参照して順位付けする順位付け処理部76と、を備える。
【0048】
なお、経路情報取得部74は、目的範囲情報取得手段に該当する。また、共起データ抽出処理部75は、ランドマーク抽出手段に該当する。また、順位付け処理部76は、順位付け手段に該当する。
【0049】
[車載用ナビゲーション装置90の構成の説明]
車載用ナビゲーション装置90は、車載器70によって設定された共起数の順位および順位付けされたランドマークに関する情報を車載器70から取得する取得部91と、取得部91が取得した「順位」を参照して、順位付けされた共起数情報のうち最も順位が高い共起数情報を選択する選択部92と、選択部92によって選択された共起数情報に対応するランドマークを提示する提示部93と、を備える。
【0050】
なお、選択部92は選択手段に該当する。また、提示部93は提示手段に該当する。
[共起テーブルの作成手順の説明]
次に、車載用ナビゲーションシステム100のサーバ50が実行する共起テーブルの作成手順を、図4のフローチャートおよび図7を参照して説明する。なお、図7は要所地点名を利用した順位付け手法を説明する説明図である。
【0051】
本手順は、サーバ50の電源がオンとなってサーバ50の各構成に電源供給された場合に実行される。
まず、施設データベース53を参照して、目印候補(ランドマーク)を選択する(S110)。
【0052】
続いて、施設データベース53を参照して、S110にて選択したランドマークから、最寄りの交通要所の候補を選択する(S120)。
続いて、文章データベース52を参照して、S120にて選択された目印候補(ランドマーク)ごとに、交通要所との共起数を計算し(S130)、計算した共起数を共起データベースに蓄積する(S140)。具体的には、計算した共起数と、建物名と、交通要所名と、を関連付けて共起テーブルに登録する(図7の「共起テーブル」を参照)。
【0053】
続いて、すべての施設について共起数を計算したか否かを判断する(S150)。すべての施設について共起数を計算していないと判断された場合には(S150:NO)、S110に戻る。一方、すべての施設について共起数を計算したと判断された場合には(S150:YES)、本処理を終了する。
【0054】
[ランドマークランキング処理(1)の説明]
次に、車載用ナビゲーションシステム100の車載器70が実行するランドマークランキング処理を、図5のフローチャートおよび図7を参照して説明する。本処理は、図示しない車両のアクセサリ電源がオンとなって車載器70に電源供給された場合に実行される。
【0055】
まず、車両の現在位置から目的地までの経路に関する経路情報を車載用ナビゲーション装置から取得する(S210)。続いて、施設データベースから、経路上の最寄りのランドマーク候補N件を選択する(S220)。なお、変数Nは数値1以上の整数とする。さらに、抽出されたランドマークが含まれる共起数情報を共起テーブルから読み出し(S230)、その読み出した共起数情報を共起数の値が大きい順に順位付けする(S240)。そして、その順位および順位付けされたランドマークに関する情報を車載用ナビゲーション装置へ送信する(S250)。
【0056】
なお、この場合のランドマーク候補と交通要所との共起については、再現率が低いほど適合率が高くなり、その傾向は再現率の値が数値0.2以下の場合に顕著となる(図6のグラフ(A)参照)。
【0057】
[ランドマーク提示処理の説明]
次に、車載用ナビゲーションシステム100の車載用ナビゲーション装置90が実行するランドマーク提示処理を、図7を参照して説明する。本処理は、図示しない車両のアクセサリ電源がオンとなって車載用ナビゲーション装置90に電源供給された場合に実行される。
【0058】
まず、順位および順位付けされたランドマークに関する情報を受信する。続いて、受信した順位を参照して、順位付けされた共起数情報のうち最も順位が高い共起数情報を選択する。さらに、選択された共起数情報に対応するランドマークを提示する(図7参照)。
【0059】
そして、本処理を終了する。
[第一実施形態の効果]
(1)このように第一実施形態の車載用ナビゲーションシステム100によれば、次のような作用効果を奏する。すなわち、ランドマークの名称とランドマーク付近に存在する要所地点の名称とがWEB上の文章中に同時に発生する頻度である共起数をランドマーク毎に算出し、共起数算出手段によって算出された「共起数」と共起数に対応する「要所地点の名称」および「ランドマークの名称」とを関連付けて共起数テーブルとして記憶する。車両の現在位置から目的地までの経路の周辺に存在するランドマークを抽出する。抽出されたランドマークが含まれる共起数情報を共起数の値が大きい順に順位付けする。順位付けされた共起数情報のうち最も順位が高い共起数情報を選択し、その選択された共起数情報に対応するランドマークを提示する。このことにより、車両の現在位置から目的地までの経路付近に存在する目印としてのランドマークを提示する際に、実際の車両の移動時には利用者(運転者)に利用されないランドマークの優先度が高くなることを防ぐことで、利用者が移動中に目印とすべき建物や地名が刻一刻と変化する場合でも、利用者の存在位置および移動経路において最も有効となる建物ないしは地名に関する情報を利用者に提示することができる。
【0060】
(2)また、第一実施形態の車載用ナビゲーションシステム100によれば、ランドマーキング処理において、車両の現在位置から目的地までの経路に関する経路情報を車載用ナビゲーション装置から取得し(S210)、施設データベースから、経路上の最寄りのランドマーク候補N件を選択する(S220)。このことにより、物理的な距離だけではない交通要素の影響を排除することができる。
【0061】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような様々な態様にて実施することが可能である。
【0062】
(1)上記実施形態の車載用ナビゲーションシステム100が有する各構成を車載用ナビゲーション装置が備えるようにすることにより、上記実施形態の車載用ナビゲーションシステム100が奏する各種機能を車載用ナビゲーション装置が奏するようにしてもよい。
【0063】
(2)また、上記実施形態の車載用ナビゲーションシステム100が有する各構成を車載器が備えるようにすることにより、上記実施形態の車載用ナビゲーションシステム100が奏する各種機能を車載器が奏するようにしてもよい。なおこの場合、車載機は特許請求の範囲におけるランドマーク提示装置に相当する。
【0064】
(3)また、ランドマークランキング処理を実行する際に、S230およびS240において、抽出されたランドマークが含まれる共起数情報を共起テーブルから読み出し、その読み出した共起数情報を共起数の値が大きい順に順位付けする代わりに、その読み出した共起数情報に含まれる共起数の数値を正規化した後にその平均値を算出し、その算出した共起数の平均値が大きい順に共起数情報を順位付けするようにしてもよい。
【0065】
この場合、図10に示すように、まず、ランドマークの名称と交通要所との共起数、ランドマークの名称とランドマークの住所名称との共起数、およびランドマークの名称とランドマークの広域名称との共起数をそれぞれ算出する(S310)。続いて、算出した各数値を標準化し(S320)、標準化した各数値を結合する(S330)。続いて、結合した数値について順位付けを行う(S340)。
【0066】
このようにすれば、複数の手法を組み合わせることにより、ノイズによる影響を低減することができる。
(4)この場合、共起数情報に含まれる共起数の平均値が所定の閾値よりも大きい共起数情報について順位付けを行うようにしてもよい。このようにすれば、ランドマークが目印としての目的以外で空間文脈語と共起してしまうようなノイズを低減することができる。
【0067】
(5)また、上述のように共起数情報に含まれる共起数の平均値を算出する際には、利用件数を参照して算出方式を選択するようにしてもよい。一例を挙げると、利用するランドマークの件数が1〜6件の場合には、すべてのランドマークを経路上の最寄りのランドマーク候補として選択するようにし、一方、利用するランドマークの件数が7件以上の場合には、第一実施形態のように経路上の最寄りのランドマーク候補N件をランドマーク候補として選択するといった具合である。なお、変数Nは数値1以上の整数とする。この場合の閾値については設定で切り替え可能とすることが考えられる。このようにすれば、特性に適した手法を選択することにより、ランドマークの利用件数が多い場合でも少ない場合でも高い精度を保つことができる。
【0068】
(6)また、上述のように共起数情報に含まれる共起数の平均値を算出する際には、図11に例示するように、ネットワーク上の汎用検索エンジンによる共起計算の結果を取得し、その取得した共起計算の結果に含まれる共起数の平均値を算出し、その算出した共起数の平均値が大きい順に共起数情報を順位付けするようにしてもよい。
【0069】
車載用ナビゲーションシステム100の車載器70が実行するランドマークランキング処理(2)を、図11のフローチャートを参照して説明する。本処理は、図示しない車両のアクセサリ電源がオンとなって車載器70に電源供給された場合に実行される。
【0070】
まず、車両の現在位置から目的地までの経路に関する経路情報を車載用ナビゲーション装置から取得する(S410)。続いて、施設データベースから、経路上の最寄りのランドマーク候補N件を選択する(S420)。なお、変数Nは数値1以上の整数とする。さらに、目印候補毎に、交通要所との共起数をWEB上の検索エンジンを利用して計算し(S430)、その計算した共起数をその値が大きい順に順位付けする(S440)。そして、その順位および順位付けされたランドマークに関する情報を車載用ナビゲーション装置へ送信する(S450)。
【0071】
このようにすれば、上述のような共起数の計算に汎用検索エンジンのAPIを活用することで、一連の処理を、サーバを利用せずにすべて車載器で行うことができ、したがって、検索エンジンのAPIを利用して共起計算を行うことにより、共起計算処理を簡略化でき、低速・低容量な端末でも一連の処理が実行可能となる。また、この結果サーバが無くても上述のサービスを提供することができる。
【0072】
(7)また、ランドマークランキング処理を実行する際に、車両(運転者)の現在位置から目的地までの経路を利用して交通要所を動的に選択するようにしてもよい。このようにすれば、建物からの距離で交通要所を選択するのではなく、移動経路から最寄の交通要所を選択してこの選択した交通要所と建物との共起数から共起数の順位付けを行うので、移動経路からみて適切な要所を選択できる。
【0073】
(8)また、ランドマークランキング処理を実行する際に、現在の表示スケールを利用して交通要所を選択することが考えられる。このようにすれば、建物からの距離で交通要所を選択するのではなく、現在のナビ画面の表示スケールから最寄の交通要所を選択してこの選択した交通要所と建物との共起数から共起数の順位付けを行うので、利用者(運転者)の利用範囲と合致した交通要所を選択できる。
【0074】
(9)また、ランドマークランキング処理を実行する場合においてネットワーク上の汎用検索エンジンによる共起計算の結果を取得する際には、自動車関連用語との共起によって文書集合を限定してもよい。なお、ここでいう「自動車関連用語」とは、例えば「駐車場」や「自動車」、「車」などの単語を想定している。このようにすれば、活用する文書集合を自動車関連の集合のみに限定させることができ、関係ない文書集合によるノイズを低減させることができる。
【0075】
(10)上記実施形態では、車載器70において、経路情報取得部74が、運転者の移動の目的に関連する場所の情報としての経路情報を外部(ナビゲーション装置)から取得し、共起データ抽出処理部75が、経路情報取得部74によって取得された経路の周辺に存在するランドマークを抽出するとともに、その抽出したランドマークに関する共起数情報を共起データデータベース72から読み出し、順位付け処理部76が、共起データ抽出処理部75が抽出したランドマークを、共起データ抽出処理部75が抽出した共起数情報を参照して順位付けするが、これには限られず、運転者の移動の目的に関連する場所の情報であれば上述の経路情報に限らずに、例えば運転者が指定した場所に関する周辺情報などの他の情報を取得してもよい。一例を挙げると、上述の車載器70において、経路情報取得部74が、運転者が指定した場所に関する周辺情報を取得し、共起データ抽出処理部75が、経路情報取得部74によって取得された場所の周辺に存在するランドマークを抽出するとともに、その抽出したランドマークに関する共起数情報を共起データデータベース72から読み出し、順位付け処理部76が、共起データ抽出処理部75が抽出したランドマークを、共起データ抽出処理部75が抽出した共起数情報を参照して順位付けするといった具合である。
【0076】
なお、上記第一実施形態および他の実施形態に記載の各手法については、運転者のみの利用に限定するものではなく、携帯電話を利用したナビゲーションなど一般の利用者も活用可能である。
[第二実施形態]
上記第一実施形態では、その付近に存在する要所地点の名称との同時発生数が多いランドマークを提示すべきランドマークとして選択し、その選択したランドマークを提示することを特徴としている。これに対して、第二実施形態では、ランドマークの名称と住所との同時発生数が多いランドマークを提示すべきランドマークとして選択し、その選択したランドマークを提示することを特徴とする。
【0077】
具体的には、図8に例示するように、上述の共起テーブルの作成手順を実行する際に、S130において、S120にて選択された目印候補(ランドマーク)ごとに、交通要所との共起数を計算する代わりに、ランドマークの名称およびランドマークの住所との共起数を計算する。そして、その計算した共起数を共起データベースに蓄積する(S140)。具体的には、計算した共起数と、建物名と、ランドマークの住所とを関連付けて共起テーブルに登録する。
【0078】
なお、この場合のランドマーク候補とランドマークの住所との共起については、再現率が低いほど適合率が高くなり、その傾向は再現率の値が数値0.1以下の場合に顕著となる(図6のグラフ(B)参照)。
【0079】
このように第二実施形態の車載用ナビゲーションシステム100によれば、利用者の存在位置および移動経路において、有効となる建物ないしは地名に関する情報を利用者に提示することができる。特に店舗名など商業施設を中心として抽出することが可能である。
【0080】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような様々な態様にて実施することが可能である。
(1)例えば、経路の周辺に存在するランドマークを抽出する際に、抽出する地理範囲の大きさによって住所名称の長さを変更するようにしてもよい。例えば、名古屋市にある「愛知県芸術センタ」という建物の住所は正式には「愛知県名古屋市東区東桜1町目13」であるが、絞り込む範囲が名古屋市全域であれば、住所名称として「愛知県名古屋市東区」までを利用し、また、絞り込む範囲が区レベルの範囲であれば「愛知県名古屋市東区東桜」までを住所名称として利用するといった具合である。このようにすれば、抽出する要求に応じて検索範囲を制御できる。
【0081】
(2)上記実施形態では、車載器70において、経路情報取得部74が、運転者の移動の目的に関連する場所の情報としての経路情報を外部(ナビゲーション装置)から取得し、共起データ抽出処理部75が、経路情報取得部74によって取得された経路の周辺に存在するランドマークを抽出するとともに、その抽出したランドマークに関する共起数情報を共起データデータベース72から読み出し、順位付け処理部76が、共起データ抽出処理部75が抽出したランドマークを、共起データ抽出処理部75が抽出した共起数情報を参照して順位付けするが、これには限られず、運転者の移動の目的に関連する場所の情報であれば上述の経路情報に限らずに、例えば運転者が指定した場所に関する周辺情報などの他の情報を取得してもよい。一例を挙げると、上述の車載器70において、経路情報取得部74が、運転者が指定した場所に関する周辺情報を取得し、共起データ抽出処理部75が、経路情報取得部74によって取得された場所の周辺に存在するランドマークを抽出するとともに、その抽出したランドマークに関する共起数情報を共起データデータベース72から読み出し、順位付け処理部76が、共起データ抽出処理部75が抽出したランドマークを、共起データ抽出処理部75が抽出した共起数情報を参照して順位付けするといった具合である。
【0082】
なお、上記第二実施形態および他の実施形態に記載の各手法については、運転者のみの利用に限定するものではなく、携帯電話を利用したナビゲーションなど一般の利用者も活用可能である。
[第三実施形態]
上記第一実施形態では、その付近に存在する要所地点の名称との同時発生数が多いランドマークを提示すべきランドマークとして選択し、その選択したランドマークを提示することを特徴とする。これに対して、第三実施形態では、ランドマークの名称とその所在地の広域名称との同時発生数が多いランドマークを提示すべきランドマークとして選択し、その選択したランドマークを提示するようにしてもよい。
【0083】
具体的には、図9に例示するように、上述の共起テーブルの作成手順を実行する際に、S130において、S120にて選択された目印候補(ランドマーク)ごとに、交通要所との共起数を計算する代わりに、ランドマークの名称およびランドマークの所在地の広域名称との共起数を計算する。なお、ここでいう「広域名称」とは、例えば「名古屋市」や「京都市」というような一般的な建物の存在する地域を示すのに利用される名称を指す。そして、その計算した共起数を共起データベースに蓄積する(S140)。具体的には、計算した共起数と、建物名と、ランドマークの所在地の広域名称とを関連付けて共起テーブルに登録する。
【0084】
なお、この場合のランドマーク候補とランドマークの住所との共起については、再現率が低いほど適合率が高くなり、その傾向は再現率の値が数値0.1以下の場合に顕著となる(図6のグラフ(C)参照)。
【0085】
このように第三実施形態の車載用ナビゲーションシステム100によれば、利用者が移動中に目印とすべき建物や地名が刻一刻と変化する場合でも、利用者の存在位置および移動経路において有効となる建物ないしは地名に関する情報を利用者に提示することができる。
【0086】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような様々な態様にて実施することが可能である。
(1)例えば、経路の周辺に存在するランドマークを抽出する際に、抽出する地理的な範囲の大きさによって広域名称を変更するようにしてもよい。一例を挙げると、名古屋市内の建物に関して絞り込む場合には、広域名称は「名古屋市」であるが、さらに大きな地理範囲で絞り込む場合は「愛知県」というようにさらに広い範囲を示す名称を用い、一方、区単位の小さい範囲で絞り込む場合は「中区」などというように小さい範囲を示す名称を広域名称に利用するといった具合である。このようにすれば、絞り込む地理範囲に適した広域名称を利用することができ、順位付けの精度を高めることができる。
【0087】
(2)上記実施形態では、車載器70において、経路情報取得部74が、運転者の移動の目的に関連する場所の情報としての経路情報を外部(ナビゲーション装置)から取得し、共起データ抽出処理部75が、経路情報取得部74によって取得された経路の周辺に存在するランドマークを抽出するとともに、その抽出したランドマークに関する共起数情報を共起データデータベース72から読み出し、順位付け処理部76が、共起データ抽出処理部75が抽出したランドマークを、共起データ抽出処理部75が抽出した共起数情報を参照して順位付けするが、これには限られず、運転者の移動の目的に関連する場所の情報であれば上述の経路情報に限らずに、例えば運転者が指定した場所に関する周辺情報などの他の情報を取得してもよい。一例を挙げると、上述の車載器70において、経路情報取得部74が、運転者が指定した場所に関する周辺情報を取得し、共起データ抽出処理部75が、経路情報取得部74によって取得された場所の周辺に存在するランドマークを抽出するとともに、その抽出したランドマークに関する共起数情報を共起データデータベース72から読み出し、順位付け処理部76が、共起データ抽出処理部75が抽出したランドマークを、共起データ抽出処理部75が抽出した共起数情報を参照して順位付けするといった具合である。
【0088】
なお、上記第三実施形態および他の実施形態に記載の各手法については、運転者のみの利用に限定するものではなく、携帯電話を利用したナビゲーションなど一般の利用者も活用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】第一実施形態の車載用ナビゲーションシステム1の全体構成を示すブロック図である。
【図2】サーバ50の構成を示すブロック図である。
【図3】車載用ナビゲーション装置70の構成を示すブロック図である。
【図4】共起テーブルの作成手順を示す説明図である。
【図5】ランドマークランキング処理(1)を表すフローチャートである。
【図6】ランドマークランキング処理を説明する説明図である。
【図7】第一実施形態の要所地点名を利用した順位付け手法を説明する説明図である。
【図8】第二実施形態の住所名を利用した順位付け手法を説明する説明図である。
【図9】第三実施形態の広域名称を利用した順位付け手法を説明する説明図である。
【図10】共起計算の結果の結合手順および計算内容を示す説明図である。
【図11】汎用検索エンジンを利用する場合に車載器が実行するランドマークランキング処理(2)を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0090】
50…サーバ、51…収集部、52…文章データベース、53…施設データベース、54…分析・抽出部、55…共起データベース、56…配信部、60…公衆ネットワーク、70…車載器、71…共起データ取得部、72…共起データデータベース、73…施設データベース、74…経路情報取得部、75…共起データ抽出処理部、76…順位付け処理部、80…WEBコンテンツ、90…車載用ナビゲーション装置、91…取得部、92…選択部、93…提示部、100…車載用ナビゲーションシステム、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動時に目印となるランドマークに関するランドマーク情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
前記ランドマークの名称と前記ランドマーク付近に存在する要所地点の名称とがWEB上の文章中に同時に発生する頻度である共起数をランドマーク毎に算出する共起数算出手段と、
前記共起数算出手段によって算出された共起数と前記共起数に対応する要所地点の名称およびランドマークの名称とを関連付けて共起数情報として記憶する共起数記憶手段と、
利用者の移動の目的に関連する場所の情報を取得する目的範囲情報取得手段と、
前記地図情報記憶手段の記憶内容を参照して、前記目的範囲情報取得手段によって取得される場所の周辺に存在するランドマークを抽出するランドマーク抽出手段と、
前記ランドマーク抽出手段によって抽出されたランドマークが含まれる共起数情報を読み出し、その読み出した共起数情報を共起数の値が大きい順に順位付けする順位付け手段と、
前記順位付け手段によって順位付けされた共起数情報のうち最も順位が高い共起数情報を選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された共起数情報に対応するランドマークを提示する提示手段と、
を備えることを特徴とするランドマーク提示装置。
【請求項2】
請求項1に記載のランドマーク提示装置において、
前記目的範囲情報取得手段は、車両の現在位置から目的地までの経路に関する経路情報を取得し、前記ランドマーク抽出手段は、取得された経路の周辺に存在するランドマークを抽出することを特徴とするランドマーク提示装置。
【請求項3】
請求項1に記載のランドマーク提示装置において、
前記目的範囲情報取得手段は、利用者が指定した場所に関する周辺情報を取得し、前記ランドマーク抽出手段は、取得された場所の周辺に存在するランドマークを抽出することを特徴とするランドマーク提示装置。
【請求項4】
請求項1に記載のランドマーク提示装置において、
前記ランドマーク抽出手段は、前記地図情報記憶手段の記憶内容を参照して、前記目的範囲情報取得手段によって取得された場所の周辺に存在するランドマークのうち前記要所地点からの距離が近い順にN件のランドマークを抽出することを特徴とするランドマーク提示装置。
【請求項5】
移動時に目印となるランドマークに関するランドマーク情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
前記ランドマークの名称と前記ランドマークの住所とがWEB上の文章中に同時に発生する頻度である共起数をランドマーク毎に算出する共起数算出手段と、
前記共起数算出手段によって算出された共起数と前記共起数に対応するランドマークの名称およびランドマークの住所とを関連付けて共起数情報として記憶する共起数記憶手段と、
利用者の移動の目的に関連する場所の情報を取得する目的範囲情報取得手段と、
前記地図情報記憶手段の記憶内容を参照して、前記目的範囲情報取得手段によって取得される場所の周辺に存在するランドマークを抽出するランドマーク抽出手段と、
前記ランドマーク抽出手段によって抽出されたランドマークが含まれる共起数情報を読み出し、その読み出した共起数情報を共起数の値が大きい順に順位付けする順位付け手段と、
前記順位付け手段によって順位付けされた共起数情報のうち最も順位が高い共起数情報を選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された共起数情報に対応するランドマークを提示する提示手段と、
を備えることを特徴とするランドマーク提示装置。
【請求項6】
請求項5に記載のランドマーク提示装置において、
前記目的範囲情報取得手段は、車両の現在位置から目的地までの経路に関する経路情報を取得し、前記ランドマーク抽出手段は、取得された経路の周辺に存在するランドマークを抽出することを特徴とするランドマーク提示装置。
【請求項7】
請求項5に記載のランドマーク提示装置において、
前記目的範囲情報取得手段は、利用者が指定した場所に関する周辺情報を取得し、前記ランドマーク抽出手段は、取得された場所の周辺に存在するランドマークを抽出することを特徴とするランドマーク提示装置。
【請求項8】
請求項7に記載のランドマーク提示装置において、
前記ランドマーク抽出手段は、前記場所の周辺に存在するランドマークを抽出する際に、地理的な範囲の大きさによって住所名称を変更することを特徴とするランドマーク提示装置。
【請求項9】
移動時に目印となるランドマークに関するランドマーク情報を含む地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
前記ランドマークの名称と前記ランドマークの所在地の広域名称とがWEB上の文章中に同時に発生する頻度である共起数をランドマーク毎に算出する共起数算出手段と、
前記共起数算出手段によって算出された共起数と前記共起数に対応するランドマークの名称およびランドマークの所在地の広域名称とを関連付けて共起数情報として記憶する共起数記憶手段と、
利用者の移動の目的に関連する場所の情報を取得する目的範囲情報取得手段と、
前記地図情報記憶手段の記憶内容を参照して、前記目的範囲情報取得手段によって取得された場所の周辺に存在するランドマークを抽出するランドマーク抽出手段と、
前記ランドマーク抽出手段によって抽出されたランドマークが含まれる共起数情報を読み出し、その読み出した共起数情報を共起数の値が大きい順に順位付けする順位付け手段と、
前記順位付け手段によって順位付けされた共起数情報のうち最も順位が高い共起数情報を選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された共起数情報に対応するランドマークを提示する提示手段と、
を備えることを特徴とするランドマーク提示装置。
【請求項10】
請求項9に記載のランドマーク提示装置において、
前記目的範囲情報取得手段は、車両の現在位置から目的地までの経路に関する経路情報を取得し、前記ランドマーク抽出手段は、取得された経路の周辺に存在するランドマークを抽出することを特徴とするランドマーク提示装置。
【請求項11】
請求項9に記載のランドマーク提示装置において、
前記目的範囲情報取得手段は、利用者が指定した場所に関する周辺情報を取得し、前記ランドマーク抽出手段は、取得された場所の周辺に存在するランドマークを抽出することを特徴とするランドマーク提示装置。
【請求項12】
請求項11に記載のランドマーク提示装置において、
前記ランドマーク抽出手段は、前記場所の周辺に存在するランドマークを抽出する際に、地理的な範囲の大きさによって広域名称を変更することを特徴とするランドマーク提示装置。
【請求項13】
請求項1〜請求項12の何れかに記載のランドマーク提示装置において、
前記順位付け手段は、共起数情報を順位付けする際には、前記ランドマーク抽出手段によって抽出されたランドマークが含まれる共起数情報を読み出し、その読み出した共起数情報に含まれる共起数の数値を正規化した後にその平均値を算出し、その算出した共起数の平均値が大きい順に共起数情報を順位付けすることを特徴とするランドマーク提示装置。
【請求項14】
請求項13に記載のランドマーク提示装置において、
前記順位付け手段は、前記共起数情報に含まれる共起数の平均値が所定の閾値よりも大きい共起数情報について順位付けを行うことを特徴とするランドマーク提示装置。
【請求項15】
請求項13に記載のランドマーク提示装置において、
前記順位付け手段は、前記共起数情報に含まれる共起数の平均値を算出する際には、利用件数を参照して算出方式を選択することを特徴とするランドマーク提示装置。
【請求項16】
請求項1〜請求項12の何れかに記載のランドマーク提示装置において、
前記順位付け手段は、共起数情報を順位付けする際には、ネットワーク上の汎用検索エンジンによる共起計算の結果を取得し、その取得した共起計算の結果に含まれる共起数の平均値を算出し、その算出した共起数の平均値が大きい順に共起数情報を順位付けすることを特徴とするランドマーク提示装置。
【請求項17】
請求項16に記載のランドマーク提示装置において、
前記順位付け手段は、共起数情報に順位付けする際には、利用者の現在位置および目的地から算出した経路を利用して交通要所を動的に選択することを特徴とするランドマーク提示装置。
【請求項18】
請求項16に記載のランドマーク提示装置において、
前記順位付け手段は、共起数情報に順位付けする際には、現在の表示スケールを利用して交通要所を選択することを特徴とするランドマーク提示装置。
【請求項19】
請求項1〜請求項12の何れかに記載のランドマーク提示装置において、
前記順位付け手段は、共起数情報を順位付けする際にネットワーク上の汎用検索エンジンによる共起計算の結果を取得する際には、自動車関連用語との共起によって文書集合を限定することを特徴とするランドマーク提示装置。
【請求項20】
請求項1〜請求項19の何れかに記載のランドマーク提示装置と、
前記ランドマーク提示装置の前記地図情報記憶手段が記憶する地図情報に基づき、前記ランドマーク提示装置の前記選択手段によって選択されたランドマークをそのランドマークの周囲の地図情報とともに表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項21】
センタと、車載器と、車載用ナビゲーション装置と、を備え、前記センタと前記車載器と前記車載用ナビゲーション装置との間で、各種データを送受信可能に構成されている車載用ナビゲーションシステムであって、
前記センタは、請求項1〜請求項19の何れかに記載のランドマーク提示装置が備える地図情報記憶手段、共起数算出手段および共起数記憶手段を備え、
前記車載器は、請求項1〜請求項19の何れかに記載のランドマーク提示装置が備える目的範囲情報取得手段、ランドマーク抽出手段および順位付け手段を備え、
前記車載用ナビゲーション装置は、請求項1〜請求項19の何れかに記載のランドマーク提示装置が備える選択手段および提示手段を備えること
を特徴とする車載用ナビゲーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−145233(P2008−145233A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−331941(P2006−331941)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【Fターム(参考)】