説明

リザーバタンクおよびこれを用いたブレーキ装置

【課題】傾動時に作動液の移動を効果的に抑制する。
【解決手段】リザーバタンク本体8は、作動液注入口から作動液が供給される作動液供給部11と作動液を貯留する作動液貯留室12との間に設けられた作動液通路13を有する。この作動液通路13は蛇行形状に形成されるとともに、車両取り付け状態で、作動液供給部11に接続する作動液通路13の始端位置13aでの底の高さが、作動液貯留室12に接続する作動液通路13の終端位置13bでの底の高さより高くなるように、始端位置13aと終端位置13bとの間で高低差が設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧等の液圧を利用した液圧ブレーキ装置や液圧クラッチ装置に用いられ、作動液を貯留するリザーバタンクの技術分野およびこれを用いたブレーキ装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両においては、液圧を利用した液圧ブレーキ装置や液圧クラッチ装置を採用した車両がある。これらの液圧ブレーキ装置や液圧クラッチ装置には、液圧を発生させるマスタシリンダおよびこのマスタシリンダに供給する作動液を貯留するリザーバタンクが用いられている。
【0003】
マスタシリンダが液圧必要時に液圧を発生するためには、リザーバタンク内に所定液量の作動液が貯留されている必要がある。このため、一般にリザーバタンクには液量検知センサが設けられており、リザーバタンク内の液量が所定液量より下回ると、この液量検知センサがこれを検知して液量表示装置に表示させるようになっている。この液量表示装置の表示により、リザーバタンク内に作動液が補給されてリザーバタンク内の液量が所定液量以上に確保される。
【0004】
ところで、車両が傾動するとリザーバタンクも傾動し、リザーバタンク内の作動液が下方側に流動(移動)する。このため、作動液の液面が変動してしまい、液量検知センサが誤作動してしまうおそれがある。
そこで、従来、リザーバタンク内の液通路を蛇行させて作動液が流動し難くすることで、リザーバタンクが傾動しても作動液の液面の変動を抑制したリザーバタンクが知られている(例えば、特許文献1等参照)。
また、切欠き部を有する仕切板でリザーバタンク内を2つの貯留室に分割することで、リザーバタンクが傾動しても作動液の液面の変動を抑制したリザーバタンクが知られている(例えば、特許文献2等参照)。
【特許文献1】実公平6−23494号公報。
【特許文献2】実用新案登録第2532584号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示のリザーバタンクでは、液通路を単に蛇行させているだけであるので、液通路を蛇行させる隔壁の高さにもよるが、車両傾動時にリザーバタンクも傾くことで、作動液が液注入口まで移動してしまうことが考えられる。
また、特許文献2に開示のリザーバタンクでは、傾いたとき作動液は切欠き部を介して移動するようになるが、非傾動状態での作動液の液面の位置次第では、同様に作動液が液注入口まで移動してしまうおそれがあることが考えられる。
【0006】
このようにリザーバタンク内の作動液が液注入口まで大きく移動すると、リザーバタンクの作動液貯留室内の作動液の液面が大きく変動してしまう。このため、リザーバタンクに設けられた液量検出部が作動液の液面を誤って検知し、警告灯が誤点灯されてしまうおそれがある。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、傾動時に作動液の移動を効果的に抑制することのできるリザーバタンクおよびこれを用いたブレーキ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の課題を解決するために、本発明のリザーバタンクは、作動液注入口から作動液が供給される作動液供給部と、作動液を貯留する作動液貯留室と、これらの作動液供給部および作動液貯留室間に設けられた作動液通路とを有するリザーバタンク本体を少なくとも備えるリザーバタンクにおいて、前記作動液通路が蛇行形状に形成されているとともに、車両取り付け状態で、前記作動液供給部に接続する作動液通路の始端位置での底の高さが、前記作動液貯留室に接続する作動液通路の終端位置での底の高さより高くなるように、前記始端位置と前記終端位置との間で高低差が設定されていることを特徴としている。
【0009】
また、本発明のリザーバタンクは、前記作動液通路が前記始端位置から前記終端位置の間で少なくとも一部が連続して傾斜する下り坂に形成されていることを特徴としている。
更に、本発明のリザーバタンクは、前記終端位置での作動液通路の底と前記作動液貯留室の底との間に高低差が設定されており、前記終端位置での作動液通路の底と前記作動液貯留室の底との間の高低差が、前記始端位置での作動液通路の底と前記終端位置での作動液通路の底との間の高低差より、大きく設定されていることを特徴としている。
【0010】
更に、本発明のリザーバタンクは、前記作動液貯留室のほぼ中心に液量検出部を有することを特徴としている。
更に、本発明のリザーバタンクは、前記液量検出部が、筒状隔壁によって前記作動液貯留室に切欠き部によって連通するフロート室と、前記フロート室内に配設されかつマグネットを有するフロートと、このマグネットで作動されるリミットスイッチを備えることを特徴としている。
【0011】
更に、本発明のブレーキ装置は、作動液を貯留するリザーバタンクと、前記リザーバタンク内の作動液が供給されるとともに作動時にブレーキ圧を発生するマスタシリンダと、前記マスタシリンダからの液圧で作動するブレーキシリンダとを少なくとも備え、前記リザーバタンクが前述の本発明のリザーバタンクのいずれか1つであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
このように構成された本発明のリザーバタンクによれば、作動液通路を蛇行形状に形成するとともに作動液通路の始端位置での底の高さを終端位置での底の高さより高くなるように設定しているので、車両傾動等によりリザーバタンク本体が傾いたとき、あるいは車両に加速度や減速度が加えられたとき、作動液貯留室12内の作動液の作動液供給部への逆流(作動液の移動)を効果的に抑制することができる。これにより、作動液貯留室内の作動液の液面変動を小さくすることができる。
【0013】
特に、始端位置から終端位置までの作動液通路の少なくとも一部を下り坂に形成しているので、作動液貯留室内の作動液の作動液供給部への逆流(作動液の移動)を効果的に抑制することができるとともに、作動液供給時に作動液通路を流れる作動液をスムーズに流すことができる。
【0014】
また、作動液通路の終端位置での底と作動液貯留室の底との間の高低差を大きく設定しているので、同様に作動液貯留室内の作動液の作動液供給部への逆流(作動液の移動)を効果的に抑制することができる。これにより、作動液貯留室内の作動液の液面変動を小さくすることができる。
【0015】
更に、液量検出部を作動液貯留室のほぼ中心に設けているので、作動液貯留室内の作動液が移動して液面が変動しても、液量検出部がこの液面変動の影響を受け難くすることが
できる。
【0016】
更に、液量検出部のフロート室を筒状隔壁により作動液貯留室からほぼ隔離しているので、作動液貯留室内の作動液が移動して液面が変動しても、液量検出部がこの液面変動の影響を受け難くすることができる。
【0017】
このように作動液貯留室内の作動液の液面変動を小さくすることができ、また、液量検出部のフロート室内の作動液の液面を作動液貯留室内の作動液の液面変動の影響を受け難くできることから、液量検出部は前述のような作動液貯留室内の作動液の液面変動にほとんど影響されることなく作動液の液面をより一層高精度に検知することができ、警告灯の誤点灯を効果的に防止できる。
【0018】
一方、本発明のリザーバタンクを用いたブレーキ装置によれば、車両傾動時にリザーバタンクの作動液貯留室内の作動液の移動を抑制することができるので、ブレーキ作動をより確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を用いて、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は本発明に係るリザーバタンクの実施の形態の一例を備えるブレーキ装置を、模式的に示す図である。
【0020】
図1に示すように、この例の液圧ブレーキ装置1は、基本的には従来公知の一般的な2系統の液圧ブレーキ装置と同じである。すなわち、液圧ブレーキ装置1は、ブレーキペダル2、倍力装置3、タンデムマスタシリンダ4、リザーバタンク5、およびブレーキシリンダ6を備えている。
【0021】
そして、運転者がブレーキペダル2を踏み込むと、倍力装置3が作動してペダル踏力を所定のサーボ比で倍力して出力する。この倍力装置3の出力でタンデムマスタシリンダ4のプライマリピストン4aが作動してプライマリ室4bの作動液を一方の系統のブレーキシリンダ6に送給するとともに、セカンダリピストン4cが作動いてセカンダリ室4dの作動液を他方の系統のブレーキシリンダ6に送給する。各ブレーキ系統のロスストロークが消滅すると、タンデムマスタシリンダ4が液圧を発生する。このタンデムマスタシリンダ4の液圧が各ブレーキシリンダ6に伝達され、各ブレーキシリンダ6がブレーキ力を発生して、各車輪7にブレーキがかけられる。
【0022】
ところで、この例のブレーキ装置1に用いられているリザーバタンク5は、タンデムマスタシリンダ4へ送給する作動液を貯留しかつ上方に開口した容器状のリザーバタンク本体8と、このリザーバタンク本体8の上端開口部を閉塞するカバー9とを有している。カバー9には作動液注入口10が設けられている。
【0023】
図2(a),(b)および図3は、この例のリザーバタンクのリザーバタンク本体をそ
れぞれ異なる角度から見た斜視図である。なお、以下の説明において、各部位の底の高さの高低は、リザーバタンクが車体に取り付けられかつ車両が水平にされた状態での高低をいう。
図2(a),(b)および図3に示すように、この例のリザーバタンク本体8は、作動
液供給部11と、作動液貯留室12と、これらの作動液供給部11および作動液貯留室12間に設けられた作動液通路13とを有している。作動液供給部11の二点差線で示す位置11aに、カバー9の作動液注入口10が対向するようになっている。通常時は、リザーバタンク本体8はカバー9がかけられて、リザーバタンク本体8の上端開口部は閉塞されている。したがって、作動液はカバー9の作動液注入口10を通して作動液供給部11
に供給されるようになる。
【0024】
作動液貯留室12のほぼ中心には、液量検出部14が配設されている。この液量検出部14は、作動液貯留室12に貯留される作動液の液量を検出するものである。図示しないが、液量検出部14は、例えば円筒状隔壁14aによって囲まれたフロート室14b内に配設されかつマグネットを有するフロートと、このマグネットで作動されるリミットスイッチを備えている。フロート室14bは円筒状隔壁14aの外周の作動液貯留室12と、図示しない小さな間隙通路(切欠)により常時連通していて、フロート室14b内にも作動液が浸入するようになっている。その場合、フロート室14b内の作動液の液面の高さと作動液貯留室12内の作動液の液面の高さが常時同じになっている。
【0025】
そして、フロート室14b内の作動液の液面の高さに応じて、フロートが上下動し、作動液貯留室12内の作動液が少なくなって作動液の液面の高さが規定値になると、フロートもこの液面の高さに対応した高さ位置となる。このときのフロートの高さ位置でマグネットがリミットスイッチを作動させて警告灯を点灯する。
【0026】
その場合、車両傾動等によりリザーバタンク本体8が傾いたとき、あるいは車両に加速度や減速度が加えられたとき、作動液貯留室12内の作動液が移動してその液面が変動するが、作動液貯留室12の中心領域では作動液の液面変動が比較的小さい。そして、液量検出部14は作動液貯留室12のほぼ中心に設けられていることから、リザーバタンク本体8が傾いても液面変動の影響を受け難い。したがって、液量検出部14はリザーバタンク本体8が傾いも作動液の液面を比較的精度よく検知し、警告灯の誤点灯が防止される。しかも、作動液貯留室12内の作動液の液面が前述のように変動したとき、フロート室14b内の液面変動が円筒状隔壁14aにより抑制される、したがって、液量検出部14は前述のような作動液貯留室12内の作動液の液面変動にほとんど影響されることなく作動液の液面をより高精度に検知し、警告灯の誤点灯が更に効果的に防止される。
【0027】
また、作動液貯留室12には、タンデムマスタシリンダ4のプライマリ室4bに連通するプライマリ液貯留室12aとセカンダリ室4dに連通するセカンダリ液貯留室12bとを有している。これらのプライマリ液貯留室12aとセカンダリ液貯留室12bとは、仕切り壁12cによって仕切られている。その場合、仕切り壁12cの高さは、作動液貯留室12の周壁12eおよび円筒状隔壁14aの各高さより低く設定されている。したがって、プライマリ液貯留室12aとセカンダリ液貯留室12bとは、それらの上部で連通している。
【0028】
作動液供給部11の底11bは、作動液貯留室12の底12dより高い位置に設定される。また、作動液通路13は、作動液供給部11に接続する始端位置13aでの底の高さが作動液貯留室12に接続する終端位置13bでの底の高さより高くなるように、始端位置13aと終端位置13bとの間で高低差が設定されている。そして、作動液供給部11と作動液貯留室12とを接続する作動液通路13の底は、作動液供給部11から作動液貯留室12に向かって連続的に低くなるように傾斜した下り坂になっている。
【0029】
このように、作動液通路13の始端位置13aでの底の高さが終端位置13bでの底の高さより高くなるように設定されることにより、作動液貯留室12内の作動液が作動液通路13を通して作動液供給部11の方へ逆流する方向に車両が傾動しても、この作動液が作動液供給部11の方へ逆流する(移動する)のが抑制される。すなわち、作動液貯留室12内の作動液の液面変動は小さい。したがって、液量検出部14は前述のような作動液貯留室12内の作動液の液面変動にほとんど影響されることなく作動液の液面をより一層高精度に検知し、警告灯の誤点灯が更に効果的に防止される。
【0030】
しかも、作動液通路13の終端位置13bでの底は、作動液貯留室12の底より高くなっている。その場合、始端位置13aでの底と終端位置13bでの底との高低差は比較的小さいが、作動液通路13の終端位置13bでの底と作動液貯留室12の底との高低差は比較的大きく設定されている。そして、終端位置13bとの境界部における作動液貯留室12の側壁は、鉛直壁(作動液貯留室12の底に対して垂直壁)に形成されている。したがって、作動液通路13を介して作動液貯留室12に流れ込む作動液は、終端位置13bからほぼ鉛直に落下するようになっている。
【0031】
このように作動液通路13の終端位置13bでの底と作動液貯留室12の底との間の高低差が大きく設定されることにより、作動液貯留室12内の作動液の前述の逆流(作動液の移動)が更に効果的に抑制される。すなわち、作動液貯留室12内の作動液の液面変動は小さい。したがって、液量検出部14は前述のような作動液貯留室12内の作動液の液面変動にほとんど影響されることなく作動液の液面をより一層高精度に検知し、警告灯の誤点灯が更に効果的に防止される。
【0032】
また、作動液通路13は、作動液供給部11と作動液通路13との間の仕切り壁15、仕切り壁15に接続されて始端位置13aから延設された液通路壁13c、作動液通路13の外周壁13d、およびこの外周壁13dに接続されて始端位置13aから延設された作動液貯留室12と作動液通路13との間の仕切り壁16により蛇行形状に形成されている。したがって、図3に矢印αで示すように作動液供給時、作動液は作動液通路13を蛇行して流動する。
【0033】
このように作動液通路13が蛇行形状に形成されることにより、作動液貯留室12内の作動液の前述の逆流(作動液の移動)が更に一層効果的に抑制される。すなわち、作動液貯留室12内の作動液の液面変動は小さい。したがって、液量検出部14は前述のような作動液貯留室12内の作動液の液面変動にほとんど影響されることなく作動液の液面をより一層高精度に検知し、警告灯の誤点灯が更に効果的に防止される。
【0034】
なお、図2(a)および図3における符号17はクラッチマスタシリンダに接続される作動液供給口である。この作動液供給口17は、図示しないがリザーバタンク本体8内に、プライマリ液貯留室12aおよびセカンダリ液貯留室12bから区画されて設けられたクラッチ液貯留室に連通している。また、タンデムマスタシリンダへの各作動液供給口はプライマリ液貯留室12aおよびセカンダリ液貯留室12bの各底に設けられるが、図示省略されている。
【0035】
この例のリザーバタンク5によれば、作動液通路13を蛇行形状に形成するとともに、作動液通路13の始端位置13aでの底の高さを終端位置13bでの底の高さより高くなるように設定しているので、車両傾動等によりリザーバタンク本体8が傾いたとき、あるいは車両に加速度や減速度が加えられたとき、作動液貯留室12内の作動液の作動液供給部11への逆流(作動液の移動)を効果的に抑制することができる。これにより、作動液貯留室12内の作動液の液面変動を小さくすることができる。
【0036】
特に、作動液通路13を始端位置13aから終端位置13bまで下り坂に形成しているので、作動液貯留室12内の作動液の作動液供給部11への逆流(作動液の移動)を効果的に抑制することができるとともに、作動液供給時に作動液通路13を流れる作動液をスムーズに流すことができる。
【0037】
更に、作動液通路13の終端位置13bでの底と作動液貯留室12の底との間の高低差を大きく設定しているので、同様に作動液貯留室12内の作動液の作動液供給部11への逆流(作動液の移動)を効果的に抑制することができる。これにより、作動液貯留室12
内の作動液の液面変動を小さくすることができる。
【0038】
更に、液量検出部14のフロート室14bを作動液貯留室12のほぼ中心に設けているので、作動液貯留室12内の作動液が移動して液面が変動しても、液量検出部14がこの液面変動の影響を受け難くすることができる。
【0039】
更に、液量検出部14のフロート室14bを円筒状隔壁14aにより作動液貯留室12からほぼ隔離しているので、作動液貯留室12内の作動液が移動して液面が変動しても、液量検出部14がこの液面変動の影響を受け難くすることができる。
【0040】
このように作動液貯留室12内の作動液の液面変動を小さくすることができ、また、液量検出部14のフロート室14b内の作動液の液面を作動液貯留室12内の作動液の液面変動の影響を受け難くできることから、液量検出部14は前述のような作動液貯留室12内の作動液の液面変動にほとんど影響されることなく作動液の液面をより一層高精度に検知することができ、警告灯の誤点灯を効果的に防止できる。
【0041】
図4(a),(b)および図5は、本発明のリザーバタンクの実施の形態における他の
例のリザーバタンク本体をそれぞれ異なる角度から見た斜視図である。
図4(a),(b)および図5に示すように、この例のリザーバタンク本体8では、液
通路壁13cの長さが前述の例より短く形成されている。また、仕切り壁16が外周壁13dのリザーバタンク本体8長手方向と直交する部分13d′の延長方向に延設された部分16aと、作動液通路13の終端位置13bで部分16aからほぼ直角に折曲された部分16bとから構成されている。この終端位置13bでの仕切り壁16の部分16bの長さも短く設定されている。更に、仕切り壁15と仕切り壁16の部分16aとの間隔が前述の例より短く設定されている。
【0042】
この例のリザーバタンク5によれば、作動液通路13の蛇行形状が前述の例より小さく、作動液補給時の作動液の流れの蛇行は小さくなる。なお、図4(a),(b)および図
5には、作動液貯留室12とフロート室14bとを連通する切欠き部18が図示されているとともに、作動液供給口17に連通するクラッチ液貯留室19が図示されている。
この例のリザーバタンク5の他の構成および他の作用効果は、前述の例と同じである。
【0043】
一方、前述の各例のリザーバタンク5を用いた液圧ブレーキ装置1によれば、車両傾動時にリザーバタンク5の作動液貯留室12内の作動液の移動を抑制することができるので、ブレーキ作動をより確実に行うことができる。
なお、本発明は、前述の例に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内で、種々の設計変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係るリザーバタンクは、油圧等の液圧を利用した液圧ブレーキ装置や液圧クラッチ装置に用いられて、作動液を貯留するリザーバタンクに好適に利用することができる。
また、本発明に係るブレーキ装置は、リザーバタンクに貯留された作動液を用いて車輪にブレーキをかけるブレーキ装置に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係るリザーバタンクの実施の形態の一例を備えるブレーキ装置を、模式的に示す図である。
【図2】(a),(b)は、図1に示す例のリザーバタンクのリザーバタンク本体をそれぞれ異なる角度から見た斜視図である。
【図3】図2(a),(b)に示す例のリザーバタンクのリザーバタンク本体を更に他の異なる角度から見た斜視図である。
【図4】(a),(b)は、本発明に係るリザーバタンクの実施の形態における他の例のリザーバタンクのリザーバタンク本体をそれぞれ異なる角度から見た斜視図である。
【図5】図4(a),(b)に示す例のリザーバタンクのリザーバタンク本体を更に他の異なる角度から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1…液圧ブレーキ装置、2…ブレーキペダル、3…倍力装置、4…タンデムマスタシリンダ、5…リザーバタンク、6…ブレーキシリンダ、8…リザーバタンク本体、9…カバー、10…作動液注入口、11…作動液供給部、11b…底、12…作動液貯留室、12a…プライマリ液貯留室、12b…セカンダリ液貯留室、12c…仕切り壁、12d…底、13…作動液通路、13a…始端位置、13b…終端位置、13c…液通路壁、13d…外周壁、14…液量検出部、14a…円筒状隔壁、14b…フロート室、15,16…仕
切り壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動液注入口から作動液が供給される作動液供給部と、作動液を貯留する作動液貯留室と、これらの作動液供給部および作動液貯留室間に設けられた作動液通路とを有するリザーバタンク本体を少なくとも備えるリザーバタンクにおいて、
前記作動液通路が蛇行形状に形成されているとともに、
車両取り付け状態で、前記作動液供給部に接続する作動液通路の始端位置での底の高さが、前記作動液貯留室に接続する作動液通路の終端位置での底の高さより高くなるように、前記始端位置と前記終端位置との間で高低差が設定されていることを特徴とするリザーバタンク。
【請求項2】
前記作動液通路は前記始端位置から前記終端位置の間で少なくとも一部が連続して傾斜する下り坂に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のリザーバタンク。
【請求項3】
前記終端位置での作動液通路の底と前記作動液貯留室の底との間に高低差が設定されており、
前記終端位置での作動液通路の底と前記作動液貯留室の底との間の高低差が、前記始端位置での作動液通路の底と前記終端位置での作動液通路の底との間の高低差より、大きく設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載のリザーバタンク。
【請求項4】
前記作動液貯留室のほぼ中心に液量検出部を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1に記載のリザーバタンク。
【請求項5】
前記液量検出部は、筒状隔壁によって前記作動液貯留室に切欠き部によって連通するフロート室と、前記フロート室内に配設されかつマグネットを有するフロートと、このマグネットで作動されるリミットスイッチを備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1に記載のリザーバタンク。
【請求項6】
作動液を貯留するリザーバタンクと、前記リザーバタンク内の作動液が供給されるとともに作動時にブレーキ圧を発生するマスタシリンダと、前記マスタシリンダからの液圧で作動するブレーキシリンダとを少なくとも備え、
前記リザーバタンクが請求項1ないし5のいずれか1に記載のリザーバタンクであることを特徴とするブレーキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−64680(P2010−64680A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−234675(P2008−234675)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000003333)ボッシュ株式会社 (510)
【Fターム(参考)】