説明

リジッドフレックス多層基板又は多層フレキシブル配線板の製造方法及びリジッドフレックス多層基板又は多層フレキシブル配線板

【課題】 リジッドフレックス多層基板又は多層フレキシブル配線板の製造に適したレーザ加工条件を見出し、良好な形状で信頼性に優れるビアホールの形成を可能にする。
【解決手段】 層間接続に用いられるビアホール32を作製する際のレーザ加工条件が、パルスエネルギー1〜20mJ、パルス幅が1〜30μs、ショット数が1〜10回の条件であることを特徴とするリジッドフレックス多層基板又は多層フレキシブル配線板の製造方法を提供する。本発明では、複数の銅張積層板10、20を積層して多層板30を形成し、該多層板30の状態でレーザ加工してビアホール32用の開口23を形成することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リジッドフレックス多層基板又は多層フレキシブル配線板の製造方法及びリジッドフレックス多層基板又は多層フレキシブル配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気機器や電子機器の内部で用いられる回路基板としては、2層以上の回路を有する多層プリント配線板が広く用いられている。多層プリント配線板としては、リジッド配線板(RPC)のみで構成されている多層リジッド配線板(多層RPC)、フレキシブル配線板(FPC)とリジッド配線板(RPC)が複合されたリジッドフレックス多層基板(R−F配線板)がよく知られている。多層リジッド配線板は、パーソナルコンピュータのマザーボード等の電子機器に採用されている。リジッドフレックス多層基板は、デジタルカメラなどの電子機器に採用されている。さらに、近年では電気機器・電子機器の軽量化・薄型化の観点から、すべてをFPCのみで構成した多層フレキシブル配線板(多層FPC)の採用も進んでいる。
【0003】
一般的な多層プリント配線板の製造方法の一例として、4層の回路を有する多層FPCの製造方法を図5に示す。なお、図5は、内層FPC10の銅箔12及び片面銅張積層板20を片側(上側の回路2層)のみ図示し、もう片側(下側の回路2層)の図示を簡略さのため省略している。
(1)絶縁性基材21の片面に銅箔22を有する片面銅張積層板20(図5(a)参照)にビアホール形成用開口23を形成する(図5(b)参照)。
(2)図5(c)に示すように、開口23を形成した片面銅張積層板20と内層FPC10とを接着材31で積層する。内層FPC10は、絶縁性基材21の両面の銅箔12(片面のみ図示した。)に回路が積層前に形成されたものである。
(3)図5(d)に示すように、電解銅めっき等によりビアホール形成用開口23に導電体33を充填し、層間の導通を取るためのビアホール32を形成する。
(4)片面銅張積層板20の銅箔22に形成した回路の保護等のため、表層レジスト(図示略)を形成する。
【0004】
また、特許文献1では、絶縁性基材としてプリプレグを用いたプリント配線板に対して最適なレーザ加工条件が提案されている。
【特許文献1】特開2000−232268号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ビアホール形成用の開口は、一般に、炭酸ガスレーザを用いたレーザ加工によって形成されている。しかしながら、やみくもにレーザを照射すればよいものではなく、最適なレーザ加工条件にて実施するのは自明である。最適領域から外れた場合には、以下のような現象が発生する。
(1)レーザによる金属層の損傷
(2)ビアホール内壁面での接着材層や絶縁性基材の凹凸、及びめっき不良
(3)ビアホール内へのめっきの異常析出
(4)炭化物の残留
【0006】
上記のような現象が発生すると、プリント配線板を製造する上での歩留まりが低下してしまうし、工業製品としての信頼性が損なわれる。ひいてはプリント配線板が用いられる電気機器や電子機器で導通不良などが発生し、電気的信頼性が著しく低下するおそれがある。
【0007】
特許文献1に記載された提案は、絶縁性基材としてプリプレグを用いた場合に限られており、ポリイミドを用いた場合には適当ではない。すなわち、特許文献1は多層RPCに関してのみの提案であり、FPCとRPCとを複合したR−F配線板や、FPCのみで構成されている多層FPCには適用できない。それはレーザを照射する対象物が異なっているので、レーザ加工条件の最適領域も異なっているためである。
【0008】
また、特許文献1に記載された方法は、片面回路基板にビアホールを形成し、それとコア層を積層し、多層プリント配線板とする製造方法である。しかしながら、このような方法では、図6に示すように積層してレーザ加工でビアホール形成用開口23を形成したときに位置ずれが発生するおそれがある。開口23の底部に内層FPC10の回路12が存在しない部分24にはめっき33が付かず、図7に示すように導通不良となる問題がある。このため、位置ずれを考慮した設計を行う必要があり、ランド径を大きくする必要があることから、回路のファイン化には適さないという問題がある。
【0009】
さらに特許文献1は片面プリント配線板でのレーザ加工条件を明示しているのみであり、多層基板の状態でのレーザ加工条件を明示していない。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、リジッドフレックス多層基板又は多層フレキシブル配線板の製造に適したレーザ加工条件を見出し、良好な形状でかつ電気的信頼性に優れるビアホールを形成することが可能なリジッドフレックス多層基板又は多層フレキシブル配線板の製造方法及びリジッドフレックス多層基板又は多層フレキシブル配線板を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明は、層間接続に用いられるビアホールを作製する際のレーザ加工条件が、パルスエネルギーが1〜20mJ、パルス幅が1〜30μs、ショット数が1〜10回の条件であることを特徴とするリジッドフレックス多層基板又は多層フレキシブル配線板の製造方法を提供する。
本発明では、複数の銅張積層板を積層して多層板を形成し、該多層板の状態でビアホールのレーザ加工を行うことが好ましい。
前記レーザ加工に用いるレーザとしては炭酸ガスレーザが好ましい。
前記ビアホールが形成される絶縁性基材としては、厚さが5〜50μmのポリイミド複合材料から形成されたものを用いることが好ましい。
銅張積層板の銅箔の厚さとしては、3〜50μmであることが好ましい。
ビアホールの穴径としては、5〜300μmであることが好ましい。
【0012】
また本発明は、パルスエネルギーが1〜20mJ、パルス幅が1〜30μs、ショット数が1〜10回のレーザ加工条件で形成されたビアホールが層間接続に用いられていることを特徴とするリジッドフレックス多層基板又は多層フレキシブル配線板を提供する。
前記ビアホールを有する絶縁性基材は、厚さが5〜50μmのポリイミド複合材料から形成されていることが好ましい。
銅張積層板の銅箔の厚さは3〜50μmであることが好ましい。
ビアホールの穴径は5〜300μmであることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ビアホール形成用の開口を形成するためのレーザ加工条件がリジッドフレックス多層基板又は多層フレキシブル配線板向けに最適化されており、良好な形状でかつ電気的信頼性に優れるビアホールを形成することが可能である。
複数の銅張積層板を積層して多層板を形成し、該多層板の状態でビアホールのレーザ加工を行う場合、積層による位置ずれがないことから、高密度化が可能である。また多層板の状態でIVHを形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、最良の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。図1は、本発明を用いて多層プリント配線板にビアホールを形成する方法の一例を説明する断面工程図である。
本形態例の多層プリント配線板の製造方法では、まず図1(a)に示すように、複数の銅張積層板10、20を積層して多層板30を形成する。ここで、レーザ加工の際に内側に位置する銅張積層板10(以下、区別のため「第1の銅張積層板10」と呼ぶことにする。)は、絶縁性基材11の片面または両面に銅箔12が積層されたものである(図1では片面のみ銅箔12を示す)。また、レーザ加工の際に外側に位置する銅張積層板20(以下、区別のため「第2の銅張積層板20」と呼ぶことにする。)は、絶縁性基材21の片面に銅箔22が積層された片面銅張積層板である。
【0015】
第1の銅張積層板10の銅箔12には積層に先立って回路形成する。第1の銅張積層板10が両面銅張積層板である場合には、両面の回路間の導通をとるため、めっきスルーホール等を形成する。第1の銅張積層板10の銅箔12と第2の銅張積層板20との間には、両者を接着するための接着材層31が積層されている。接着材層31は、一般的に使用されるエポキシ系、アクリル系などの接着材が適用可能であることは言うまでもないが、本発明では特に限定されるものではない。
【0016】
銅張積層板10、20の絶縁性基材11、21としては、ポリイミド、ポリイミド複合材料が用いられる。絶縁性基材11、21の厚さは、5〜50μmくらいの範囲であれば特に制限されるものではない。銅箔12、22の厚さは、一般的に使用される3〜50μmくらいの範囲であれば特に制限されるものではない。炭酸ガスレーザを用いることにより、レーザ加工時に第1の銅張積層板10の銅箔12が貫通することも生じない。
【0017】
銅張積層板10、20の積層後、図1(b)に示すように、第2の銅張積層板20の銅箔22には、レーザ加工に先立って、ビアホール32が形成される位置に開口22aを形成する。開口22aの位置は、ビアホール32内に形成されるめっき層33が第1の銅張積層板10の銅箔12と良好に接続できるように、該銅箔12の導体パターン上の所定の位置に対して位置合わせされる。層間の位置合わせは、不図示の位置合わせ穴や位置合わせ用マークなどを基準にして行うことができる。
【0018】
多層板30の状態でビアホール32の形成を行うには、図1(c)に示すように、開口22aから露出された第2の銅張積層板20の絶縁性基材21と、その下側に位置する接着材層31とをレーザ照射により穴あけ加工してビアホール形成用開口23を形成し、炭化物等のスミヤを除去(デスミヤ)した後、図1(d)に示すように、ビアホール形成用開口23にめっきなどにより導電体(めっき層)33を充填する。めっき層33は、銅などの電解又は無電解のめっき等により形成することができる。第2の銅張積層板20に回路とビアホールを形成した後、回路の保護等のため、カバーレイ(CL)や表層レジスト(図示略)を積層することが好ましい。また、防錆処理などの保護処理を行ってもよい。
【0019】
ビアホール32の開口23が形成される第2の銅張積層板20の絶縁性基材21は、厚さ5〜50μmのポリイミド複合材料から形成されたものが好ましい。その理由は、絶縁性基材21の厚さが5μm未満では強度が低下してハンドリングが難しく、逆に50μmを超えると、微細なビアホールの形成及び導電性物質の充填が難しくなるためである。ビアホール32の開口23の直径(穴径)は、炭酸ガスレーザで一般的に加工される大きさ(5〜300μm)であれば、特に限定するものではない。
【0020】
本発明では、絶縁性基材21にビアホール形成用開口23をあけるときのレーザ加工条件として、以下の条件(1)〜(3)を採用する。
(1)パルスエネルギーは1〜20mJ、より好ましくは2〜10mJ。
(2)パルス幅は1〜30μs、より好ましくは3〜10μs。
(3)ショット数は1〜10回、より好ましくは3〜7回。
【0021】
加工に用いるレーザは炭酸ガスレーザが好ましい。レーザのパルス間隔は、一般的な2ms以上とすることが好ましい。
【0022】
上記(1)〜(3)のレーザ加工条件を用いる理由は、以下のとおりである。
パルスエネルギーが低く、かつ/又はショット数が少ない場合には、炭化物が残留したり、めっき層33の異常析出が発生するおそれがある。特に、パルスエネルギーが低く、かつショット数も少ない場合には、開口23があかない場合もある。逆に、パルスエネルギーが高く、かつ/又はショット数が多い場合には、開口23の周囲または開口23の底部となる銅箔12、22へのダメージも大きく、開口23の内壁面での接着材層31や絶縁性基材21の表面の凹凸も大きくなり、電気的信頼性の低下の原因となる。また、パルス幅が短い場合には、樹脂への熱的影響が大きくなり、接着材層31や絶縁性基材21の表面の凹凸も大きくなる。
【0023】
すなわち、パルスエネルギーを低く、パルス幅を低くし、ショット数を多くするならば、ビアホール形成用開口23の形状は良好であるが、生産性が低くなり、コスト高になってしまう。逆に、パルスエネルギーを高く、パルス幅を長くし、ショット数を少なくするほど、生産性は高いが、ビアホール形成用開口23の形状は悪化する。そのため、上記(1)〜(3)に記す条件内でレーザ加工を行うことにより、良好な形状でかつ電気的信頼性に優れるビアホール32を形成することができる。特に、上記(1)〜(3)においてより好ましいとされた条件を用いることが好ましい。
【0024】
すなわちレーザ加工条件というのは、電気的信頼性や生産性を考慮しなければならないものであり、「パルスエネルギー」、「パルス幅」、「ショット数」といったレーザ加工時のパラメータには、最適領域が存在するわけである。
本発明は、上記の特許文献1に記載されている片面銅張積層板やプリプレグへのレーザ加工条件ではなく、ポリイミドを用いた銅張積層板へのレーザ加工条件である。すなわち、多層プリント配線板のうち、フレキシブル配線板(FPC)とリジッド配線板(RPC)が複合されたリジッドフレックス多層基板(R−F配線板)及び、FPCのみで構成されている多層フレキシブル配線板(多層FPC)のみを対象としている。
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、ビアホール32用の開口23を形成するためのレーザ加工条件がリジッドフレックス多層基板又は多層フレキシブル配線板向けに最適化されており、良好な形状でかつ電気的信頼性に優れるビアホール32を形成することが可能である。
複数の銅張積層板10、20を積層して多層板30を形成し、該多層板30の状態でビアホール32のレーザ加工を行う場合、積層時の位置ずれを補正して回路形成ができるから、位置ずれを防止し、高密度化が可能である。また多層板30の状態でIVHを形成することができる。
【実施例】
【0026】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
以下の実施例では、両面銅張積層板の両側にそれぞれ片面銅張積層板を1枚ずつ積層した4層フレキシブル配線板(基板サイズ:300×300mm)を製造した。
【0027】
<構成材料>
内層基板となる両面銅張積層板(両面CCL)としては、厚さ25μmのポリイミド(PI)の両面にそれぞれ厚さ18μmの銅箔を積層したものを用いた。
外層基板となる片面銅張積層板(片面CCL)としては、厚さ25μmのポリイミド(PI)の片面に厚さ18μmの銅箔を積層したものを用いた。
カバーレイ(CL)としては、厚さ25μmのポリイミド(PI)の片面に厚さ25μmの接着材を積層したものを用いた。
層間接着材としては、厚さ40μmの接着材を用いた。
【0028】
<製造方法>
(1)内層CCLに所要の配線パターンを作製し、内層FPCとする。
(2)内層FPCの両面に、それぞれ片面CCLを積層する。この際、内層FPCと各片面CCLとの間には、層間接着材を介在させる。
(3)炭酸ガスレーザを用いてビアホール形成用の開口(ビア径φ50μm)をあける。
(4)開口内をデスミヤ後、電解銅めっきを行い、層間導通を取る。
(5)外層基板に所要の配線パターンを形成し、外層FPCとする。
(6)外層FPCの表面にカバーレイ(CL)を積層し、多層FPCを完成させる。
【0029】
<レーザ加工条件>
炭酸ガスレーザを用いてビアホール形成用の開口をあける際のレーザ加工条件として、表1の(1)、(2)、(3)に示すレーザ加工条件を用いた。
【0030】
【表1】

【0031】
表1の(1)のレーザ加工条件では、パルス幅を7μsに、ショット数を7回に固定し、パルスエネルギーを1〜50mJの範囲で9通りに変更した。
表1の(2)のレーザ加工条件では、パルスエネルギーを5mJに、ショット数を5回に固定し、パルス幅を1〜50μsの範囲で10通りに変更した。
表1の(3)のレーザ加工条件では、パルスエネルギーを4mJに、パルス幅を4μsに固定し、ショット数を1〜50回の範囲で10通りに変更した。
【0032】
<試験方法>
試料の層間接続信頼性を試験するため、プリント配線板の評価として一般的に行われている気相ヒートショック試験(気相熱衝撃試験)を実施した。試験条件は、−25℃/30分⇔125℃/30分(−25℃の低温槽と125℃の高温槽を用い、1サイクルあたり60分で交互の槽に入れ替えるもの)とした。そしてビアホールの導体抵抗を連続測定し、断線するまで(抵抗値が所定値以上になるまで)のサイクル数をカウントした。
【0033】
<試験結果>
表1のレーザ加工条件(1)、(2)、(3)について行った試験の結果を、それぞれ図2、図3、図4に示す。
【0034】
図2より、レーザ加工条件(1)においてパルスエネルギーが大きくなるとサイクル数が低下している。これは必要以上にレーザを照射したため、「レーザによる金属層の損傷」、「ビアホール内壁面での接着材層や絶縁性基材の凹凸」、「ビアホール内へのめっきの異常析出」、「炭化物の残留によるめっき不良」などが発生したものと考えられる。
【0035】
図3より、レーザ加工条件(2)においてパルス幅が大きくなるとサイクル数が低下している。これは必要以上にレーザを照射したため、「レーザによる金属層の損傷」、「ビアホール内壁面での接着材層や絶縁性基材の凹凸」、「ビアホール内へのめっきの異常析出」、「炭化物の残留によるめっき不良」などが発生したものと考えられる。
【0036】
図4より、レーザ加工条件(3)においてショット数が大きくなるとサイクル数が低下している。これは必要以上にレーザを照射したため、「レーザによる金属層の損傷」、「ビアホール内壁面での接着材層や絶縁性基材の凹凸」、「ビアホール内へのめっきの異常析出」、「炭化物の残留によるめっき不良」などが発生したものと考えられる。
【0037】
気相ヒートショック試験において、断線までのサイクル数が多いほど電気的信頼性は良好であると判断される。サイクル数が絶対的に大きければ(一定値以上であれば)プリント配線板としての信頼性が確保できると考えられるが、電気機器や電子機器の種類や用途、構造等によってサイクル数への要求値は異なる。したがって、パルスエネルギー、パルス幅、ショット数といったレーザ加工条件のパラメータに対する依存性から、相対的にサイクル数が高いものを選択するほうが好ましい。
【0038】
図2より、1000回以上のサイクル数が得られるパルスエネルギーは1〜20mJであり、1500回以上のサイクル数が得られるパルスエネルギーは2〜10mJである。
図3より、1000回以上のサイクル数が得られるパルス幅は1〜30μsであり、1500回以上のサイクル数が得られるパルス幅は3〜10μsである。
図4より、1000回以上のサイクル数が得られるショット数は1〜10回であり、1500回以上のサイクル数が得られるショット数は3〜7回である。
本発明では、1000回以上のサイクル数であれば、好適なレーザ加工条件として使用できるものと判断した。さらに好ましくは1500回以上のサイクル数と判断した。この判断に基づき、上記のレーザ加工条件が好適であると分かる。
パルス幅は、一般的な2ms以上であれば特に制限しない。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、リジッドフレックス多層基板及び多層フレキシブル配線板の製造に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】(a)〜(d) 本発明を用いて多層プリント配線板にビアホールを形成する方法の一例を説明する断面工程図である。
【図2】実施例によるパルスエネルギーとサイクル数との関係を示すグラフである。
【図3】実施例によるパルス幅とサイクル数との関係を示すグラフである。
【図4】実施例によるショット数とサイクル数との関係を示すグラフである。
【図5】(a)〜(d) 従来法を用いて多層プリント配線板にビアホールを形成する方法の一例を説明する断面工程図である。
【図6】内層FPCの銅箔と外層CCLの開口に位置ずれが生じた状態の一例を説明する断面図である。
【図7】図6の位置ずれが生じた多層基板にめっきをしたときの問題を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0041】
10…第1の銅張積層板(内層FPC)、11…絶縁性基材、12…銅箔(回路)、20…第2の銅張積層板(片面銅張積層板)、21…絶縁性基材、22…銅箔(回路)、23…ビアホール形成用開口、30…多層板(多層プリント配線板)、32…ビアホール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
層間接続に用いられるビアホールを作製する際のレーザ加工条件が、パルスエネルギーが1〜20mJ、パルス幅が1〜30μs、ショット数が1〜10回の条件であることを特徴とするリジッドフレックス多層基板又は多層フレキシブル配線板の製造方法。
【請求項2】
複数の銅張積層板を積層して多層板を形成し、該多層板の状態でビアホールのレーザ加工を行うことを特徴とする請求項1に記載のリジッドフレックス多層基板又は多層フレキシブル配線板の製造方法。
【請求項3】
前記レーザ加工に用いるレーザが炭酸ガスレーザであることを特徴とする請求項1又は2に記載のリジッドフレックス多層基板又は多層フレキシブル配線板の製造方法。
【請求項4】
前記ビアホールが形成される絶縁性基材として、厚さが5〜50μmのポリイミド複合材料から形成されたものを用いることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のリジッドフレックス多層基板又は多層フレキシブル配線板。
【請求項5】
銅張積層板の銅箔の厚さが3〜50μmであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のリジッドフレックス多層基板又は多層フレキシブル配線板の製造方法。
【請求項6】
ビアホールの穴径が5〜300μmであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のリジッドフレックス多層基板又は多層フレキシブル配線板の製造方法。
【請求項7】
パルスエネルギーが1〜20mJ、パルス幅が1〜30μs、ショット数が1〜10回のレーザ加工条件で形成されたビアホールが層間接続に用いられていることを特徴とするリジッドフレックス多層基板又は多層フレキシブル配線板。
【請求項8】
前記ビアホールを有する絶縁性基材は、厚さが5〜50μmのポリイミド複合材料から形成されていることを特徴とする請求項7に記載のリジッドフレックス多層基板又は多層フレキシブル配線板。
【請求項9】
銅張積層板の銅箔の厚さが3〜50μmであることを特徴とする請求項7又は8のいずれかに記載のリジッドフレックス多層基板又は多層フレキシブル配線板。
【請求項10】
ビアホールの穴径が5〜300μmであることを特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載のリジッドフレックス多層基板又は多層フレキシブル配線板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−48999(P2007−48999A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−232911(P2005−232911)
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】