説明

リセプタクル、プラグ及びコネクタ

【課題】 信頼性が高く、より小型化できるリセプタクル、プラグ及びコネクタを提供すること。
【解決手段】 本発明のリセプタクル2は、一面にコンタクト8が配設された突出部6を有するハウジング3と、ハウジング3を収容し一端に差込み口となる開口11aを有する筒状シールドケース10とを備え、ハウジング3は、突出部6をコンタクト8が配設されていない面が筒状シールドケース10の内壁面に接触するようにこの筒状シールドケース10内に収容されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リセプタクル、プラグ及びこれらからなるコネクタに係り、特にハウジングがシールドケースで覆われたリセプタクル及びプラグを薄型にして小型化したコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハウジングがシールドケースで覆われたリセプタクルとプラグとからなるコネクタは、種々のタイプのものが開発され、携帯電話機、パーソナルコンピュータ等の各種電子機器に使用されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
図9は下記特許文献1に記載されたリセプタクルを示したもので、図9(a)はリセプタクルの平面図、図9(b)は正面図、図9(c)は右側面図であり、図10は図9(c)のX1ーX2線の断面図である。
このリセプタクル50は、図9、図10に示すように、複数本のコンタクト61が装着されるハウジング51と、このハウジングが収容される筒状シールドケース56とにより構成されている。
ハウジング51は、ハウジング本体部52と、このハウジング本体部52から前方へ延出された延出部53とからなり、全体が直方体形状をなし合成樹脂材により一体に形成されている。ハウジング本体部52には、複数本のコンタクト61が装着される複数本のコンタクト挿入孔54が形成されている。また、延出部53には、各コンタクト挿入孔54から挿入されたコンタクト61を所定位置に位置決めするためのコンタクト装着溝55が形成されている。この構成により、複数本のコンタクト61がハウジング本体部52の挿入孔54から差し込まれると、延出部53のコンタクト装着溝55内で位置決めされ固定される。
【0004】
シールドケース56は、ハウジング51が挿入される大きさの筒状ケース57からなり、導電性金属材で形成されている。この筒状ケース57は、対向する側壁面にハウジングを固定する一対の固定片58、58が設けられている。上壁面には、プラグが差し込まれたとき、プラグを係止する係止片59が設けられている。また、筒状ケース57の底部には、ケースより外側に向け延出した鍔部60、60が形成されている。これらの鍔部60、60は、電子機器の基板に実装する際に、基板のグランド端子に接続されるものである。
【0005】
この構成のハウジング51、シールドケース56は、ハウジング51に複数本のコンタクト61を装着し、このコンタクト61が装着されたハウジング51をシールドケース56の後方開口から挿入し、固定片58、58により係止・固定して、リセプタクルが組み立てられる。このリセプタクル50は、前方の差込口にプラグ(図示省略)が差し込まれて使用される。
【0006】
【特許文献1】特開2002−298984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このリセプタクルに差し込まれるプラグは、リセプタクルのコンタクトに対応する数のコンタクトを備え、これらのコンタクトが筒状シール部材で囲まれた構成となっている。
リセプタクルは、このようなプラグが差し込まれるので、コンタクトが装着されたハウジングの延出部は、シールドケースの差込口のほぼ中央部に位置、すなわち筒状ケースの内壁面との間にプラグの筒状シール部材が挿入される隙間G(図10参照)が形成されたところに位置している。
【0008】
このような隙間が形成されると、この隙間分だけリセプタクルの高さが背高、すなわち大きくなってしまうことになる。リセプタクルが大きくなると、これに差込まれるプラグも大型になる。また、延出部は、ハウジング本体部から段部を経てシールドケース内に突出してシールドケースの差込口のほぼ中央部に位置しているので、延出部の先端が先細、すなわち垂直方向での断面積が小さくなっている。このため、この延出部にプラグとの接続時等に、過大な応力、例えばこじり力が加わると段部付近から折損する恐れがある。
【0009】
この種のコネクタは、主に携帯電話機、パーソナルコンピュータ等の各種電子機器に使用されているが、近年、これらの電子機器は、種々のソフトウエアの開発により高機能化する一方で、小型、軽量化が進展しており、これらに装着されるコネクタも更に小型化、信頼性の向上が要求されてきている。しかしながら、これまでのコネクタでは、このような要求を満たすことが困難となっている。
【0010】
そこで、本発明は、従来技術の課題を解決するとともに、上記の要求に対応できるようにしたもので、本発明の目的は、信頼性が高く、より小型化できるリセプタクル、プラグ及びコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本願の請求項1に記載のリセプタクルの発明は、一面にコンタクトが配設された突出部を有するハウジングと、前記ハウジングを収容し一端に差込み口を有する筒状シールドケースと、を備えたリセプタクルにおいて、
前記ハウジングは、前記突出部を前記コンタクトが配設されていない面を前記筒状シールドケースの内壁面に接触させてこのケース内に収容されていることを特徴とする。
【0012】
また、本願の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のリセプタクルにおいて、前記筒状シールドケースは差込口を横長矩形状に形成し、前記突出部は前記矩形状ケースの上壁内面又は下壁内面に接触されていることを特徴とする。
【0013】
また、本願の請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のリセプタクルにおいて、前記突出部は長手方向に平行に複数の溝を設けた板状体からなり、該溝に複数本の平坦コンタクトが収容されていることを特徴とする。
【0014】
本願の請求項4に記載のプラグの発明は、ハウジング本体及び前記ハウジング本体の一端から延出した突出部を有し前記突出部の一面にコンタクトが配設されたハウジングと、該ハウジングを収容し一端に前記突出部を収納する筒状シール部を有する筒状シールドケースと、を備えたプラグにおいて、
前記ハウジングは前記ハウジング本体に設けられた貫通穴内に前記突出部に装着されたコンタクトを覆うシャッターを有するシャッター部材をスライド自在に収容し、前記筒状シールドケースの筒状シール部は前記突出部に装着されたコンタクトと対向する面に隙間を有することを特徴とする。
【0015】
また、本願の請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のプラグにおいて、前記突起部は長手方向に平行に複数の溝を設けた板状体からなり、該溝に複数本のコンタクトが収容されていることを特徴とする。
【0016】
本願の請求項6に記載のコネクタの発明は、前記請求項1〜3のいずれかに記載のリセプタクルと、前記請求項4又は5に記載のプラグと、からなるコネクタであって、
前記プラグと前記リセプタクルとの接続時には、前記リセプタクルの突出部により前記プラグのシャッター部材をスライドさせてリセプタクルのコンタクトとプラグのコンタクトとを接触接続させ、非接続時には前記プラグのコンタクトが前記シャッター部材で覆われていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、上記構成を備えることにより以下に示すような優れた効果を奏する。すなわち、請求項1、2の発明によれば、ハウジングの突出部の一面、すなわちコンタクトが配設されていない面が筒状シールドケースの内壁面、例えば差込口が矩形状の場合は上壁内面又は下壁内面に接触しているので、従来技術のように延出部と筒状シールドケース間に設けていた隙間の一部がなくなり、この隙間が不要になった分リセプタクルを小型化できる。また、突出部の一面が筒状シールドケースの内壁面に接触することにより、突出部がシールドケースで支持され、プラグとの接続時に過大な応力、例えばこじり力が加わっても折損することがなくなる。
【0018】
請求項3の発明によれば、板状体にコンタクトの収容溝を形成することにより、コンタクトの位置決め固定を安定にできる。また、この溝に収容するコンタクトが平坦なものであることから、コンタクトが溝から突出せず、リセプタクルを小型化できる。
【0019】
請求項4の発明によれば、筒状シールドケースの筒状シール部が突出部に装着されたコンタクトと対向する面に隙間が形成され、この隙間は未使用時にはシャッター部材で覆われるので、シャッター部材によってコンタクトも覆われ、コンタクトへの異物等の付着、或いは物、例えば手が触れて手垢等が付着することがなくなり、コンタクト表面を清浄に保持し良好な接触面を維持できる。
また、使用時、すなわちリセプタクルとの接続時にはリセプタクルによりシャッター部材がスライド移動され、リセプタクルのコンタクトとプラグのコンタクトとが接触接続されるので、プラグを薄型化できる。
【0020】
請求項5の発明によれば、板状体にコンタクトの収容溝を形成することにより、コンタクトの位置決め固定を安定にできる。また、この溝に収容するコンタクトが平坦なものであることから、プラグを小型化できる。
【0021】
請求項6の発明によれば、請求項1〜3に記載の発明の効果を備えるリセプタクルと、請求項4又は5に記載の発明の効果を備えるプラグとからなるため、コンタクトの折損、及び汚染を良好に防止でき、小型化をも実現したコネクタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのリセプタクル、プラグ及びコネクタを例示するものであって、本発明をこのリセプタクル、プラグ及びコネクタに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。例えば、このリセプタクル及びプラグは、USB規格に好適なものであるが、これに限定されるものではない。
【実施例1】
【0023】
図1は本発明の実施形態に係るリセプタクルとプラグとからなるコネクタを示し、図1(a)はプラグとリセプタクルとの接続前の斜視図、図1(b)は図1(a)のプラグのシャッターを開いた状態の斜視図、図2は本実施例に係るリセプタクルを示し、図2(a)はリセプタクルの斜視図、図2(b)は図2(a)のA−A断面図、図3はリセプタクルの分解斜視図である。
【0024】
本実施例に係るコネクタ1は、図1に示すように、携帯電話機、パーソナルコンピュータ等の電子機器に装着されるリセプタクル2と、このリセプタクル2に接続されるプラグ20とで構成されている。プラグ20は、樹脂成型体44によりモールドされてケーブル(図示省略)に接続されている。
【0025】
リセプタクル2は、図2、図3に示すように、複数本のコンタクト8が取付けられるハウジング3と、このハウジング3が収容される筒状シールドケース10とにより構成されている。
ハウジング3は、ハウジング本体部4と、このハウジング本体部4から前方へ延出された突出部6とからなり、全体が直方体形状をなし合成樹脂材により一体に形成されている。ハウジング本体部4は、所定の横幅、高さ及び長手方向の長さを有する直方体からなり、前面壁4aの下端部付近から突出部6が前面壁4aに対して垂直に延出され、背面部4bに複数本のコンタクト挿入孔5が形成されている。突出部6がハウジング本体部4の前面壁4aの底部から突出すると、図2(b)に示すように、シールドケース10に装着された状態では、突出部6の底部6aがシールドケース10の内壁面に接触するので、従来技術で形成されている隙間Gをなくすることができる。これによりリセプタクル2は隙間Gの分だけ背低に形成できるとともに、突出部6が底部内壁面に支持されているので、この突出部6に例えばこじられる等して過大な応力がかかっても折損することがなくなる。
【0026】
コンタクト挿入孔5は、ハウジング本体部4の背面部4bから前面壁4aへ貫通するとともに、突出部6の凹状溝7に連通している。このハウジング本体部4は、両側壁面にガイド溝4c、4c(なお、図3では一方のガイド溝4cは隠れている。)が形成され、また、上壁面に係止溝4dが形成されている。
突出部6は、ハウジング本体部4の横幅より短長で所定の肉厚を有する板状体からなり、ハウジング本体部4の前面壁4aの下端部付近から延出している。この板状体からなる突出部6の上面には、複数本のコンタクト8が挿入される複数本の凹状溝7が長手方向に所定の間隔をあけてほぼ平行に設けられている。
【0027】
ハウジング3に装着されるコンタクト8は、図2、図3に示すように、プラグのコンタクトと接触し電気的な接続を行う接触片8aと、端子部8bとを有し、所定長さの帯状導電片を折曲加工することにより形成される。接触片8aは、直線状をなし、突出部6の凹状溝7に嵌め込まれる。
この構成により、複数本のコンタクト8がハウジング本体部4のコンタクト挿入孔5から差し込まれると、接触片8aが突出部6の凹状溝7内で位置決めされ固定される。
【0028】
筒状シールドケース10は、図2、図3に示すように、上下壁面10a、10b、両側壁面10c、10dを有しハウジング3が挿入される大きさの貫通穴11を有する横長の筒状体からなり、導電性金属材で形成されている。この筒状ケース10は、その貫通孔11の前方の開口11aがプラグ差込口、後方の開口11bがハウジング3の挿入口となっている。前方の開口11aの外周端縁は、外方へ広がったガイド鍔部11a'が形成されている。このガイド鍔部11a'により、プラグ20の差し込みが容易になる。
また、この筒状シールドケース10は、対向する側壁面10c、10dにハウジング3を固定する係止爪15が設けられている。更に、上壁面10aには、ハウジング3を係止する係止爪13、及びプラグ20が差し込まれたとき、プラグ20の係止爪42、42が係止される係止穴14が設けられている。これらの各係止爪13、15は、それぞれ筒状シールドケース10の一部をその内側に向けて湾曲させるように形成されている。
筒状シールドケース10の底部には、外側に向け延出した一対の鍔部12、12が両側端の一部に形成されている。これらの鍔部12、12は、電子機器の基板(図示省略)に実装する際に、基板のグランド端子に接続されるものである。
【0029】
このように構成したハウジング3及び筒状シールドケース10は、ハウジング3に複数本のコンタクト8を装着し、このコンタクト8が装着されたハウジング3を筒状シールドケース10の挿入口である後方の開口11bから挿入し、係止爪13により係止・固定することで、リセプタクル2が組み立てられる。
【0030】
このリセプタクル2では、突出部6をハウジング本体部4の前面壁4aの下端部付近から突出させているが、この位置に限定されることなく、前壁面4aの上端部付近から突出させてもよい。前面壁4aの上部から突出させると、筒状シールドケース10に収容されたとき、突出部6は筒状シールドケース10の上壁10aの内壁面に接触し、内壁面との間に隙間が形成されないので、リセプタクル2は背低となる。また、突出部6が筒状シールドケース10の内壁面に支持されているので、この突出部6に例えばこじられる等して過大な応力がかかっても折損することがなくなる。
【0031】
また、図4は本実施例にかかるプラグを示し、図4(a)はプラグの斜視図、図4(b)は図4(a)の一部断面側面図、図5はプラグの分解斜視図、図6は図5のプラグを裏側から見た分解斜視図である。
本実施例に係るプラグ20は、図5、図6に示すように、複数本のコンタクト34及びシャッター部材30が装着されるハウジング21と、このハウジングに差し込まれるシャッター部材30と、このシャッター部材30及びコンタクト34が組み込まれたハウジング21が収容されるシールドケース36と、により構成されている。
ハウジング21は、ハウジング本体部22と、このハウジング本体部から前方へ延出された突出部25とからなり、全体が直方体形状をなし、合成樹脂材により一体に形成されている。
【0032】
ハウジング本体部22は、リセプタクル2のハウジング本体部4とほぼ同じ形状を有する直方体からなり、前面壁22aの上端部付近から突出部25が延出され、背面部22bに複数本のコンタクト34及びシャッター部材30を収容できる大きさの空洞24が形成されている。突出部25は、リセプタクル2の突出部6の突出位置に合わせて形成される。すなわち、リセプタクル2の突出部6が下端部付近に位置する場合は、プラグ20の突出部25はハウジング本体部22の上端部付近に形成し、図7に示すように、プラグ20とリセプタクル2との結合時に各突出部25及び6が対向配置するようになっている。また、空洞24の入口は、シャッター部材30が挿入される大きさを有し、奥部は、中心部にシャッター部材30のシッター32が挿通される開穴23が形成され、この開穴23の外周囲は前面壁22aで塞がれている。この構成により、シャッター部材30が押し込まれても基台31が開穴23の外周囲に位置する前面壁22aの内壁に衝突し開穴23から飛び出ることがない。
【0033】
突出部25は板状体からなり、図5、図6に示すように、この板状体の一面、すなわち、図5における裏面に複数本のコンタクト34が挿入される複数本の凹状溝26が長手方向に所定の間隔をあけてほぼ平行に設けられている。また、突出部25には、長手方向の両側端にガイド溝27、27が形成されている。このガイド溝27、27には、シャッター32のガイド突起33がスライド自在に嵌合される。
【0034】
ハウジング21に装着されるコンタクト34は、図5、図6に示すように、リセプタクル2のコンタクト8と接触し電気的な接続を行う接触片34aと、端子部34bとを有し、所定長さの帯状導電片を折曲加工することにより形成されている。接触片34aは、その先端部が折曲されている。この折曲により接触片34aにバネ性が付与され、リセプタクル2のコンタクト8と圧接接続されるようになる。
【0035】
シャッター部材30は、図5、図6に示すように、突出部25に装着されたコンタクト34を覆うシャッター32と、このシャッター32の一端に固定された基台31と、この基台を押圧する一対のスプリング35、35とからなり、ハウジング本体部22の空洞24内にスライド自在に収容される。シャッター32と基台31とは合成樹脂材により一体成形されている。
シャッター32は、ハウジング21の突出部25とほぼ同じ幅長、長さを有する板状体からなり、長手方向の両側縁にガイド突起33、33が形成されている。
基台31は、図5、図6に示すように、スプリング35、35が圧接される端部31a、31aと、この端部31a、31a間に位置し、コンタクトが挿入される幅広の凹状溝31bを有し、ハウジング21の空洞24内に収容されスライドできる大きさに形成されている。
この構成により、シャッター部材30は、基台31がハウジング21の空洞24内で長手方向へスライドでき、この基台31のスライドにより、シャッター32が突出部25のガイド溝27、27内をスライド移動される。
【0036】
シールドケース36は、図5、図6に示すように、ハウジング21の形状に合わせ、ハウジング本体部22が収容されるケース本体部37と、ハウジング21の突出部25及びシャッター部材30のシャッター32が収容される筒状カバー部40とからなり、ケース本体部37と筒状カバー部40とは、結合片39により一体に結合され、導電性金属、例えば銅合金等の板体を折曲加工することにより形成されている。
ケース本体部37は、長手方向に貫通する貫通孔を有する矩形状の筒状体からなり、細長の開口を有し、後部の開口はハウジング本体部22が挿入される挿入口となっている。また、前方の開口38には、両側にハウジング本体の抜け止め片37a、37aが設けられている。
筒状カバー部40は、底部に幅広の隙間41を有する扁平なC型断面となった筒状体、すなわち長手方向と直交する方向で切断した断面がほぼC型をなし、ハウジング21の突出部25及びシャッター32が収容されたときシャッター32でこの隙間41が覆われるようになっている。更に詳述すると、この筒状カバー部40内にハウジング21の突出部25及びシャッター32が挿入されたとき、シャッター32は、幅広の隙間41をスライド自在に覆い、リセプタクル2との非接続時は隙間41を覆ってコンタクト34をカバーし、接続時にはハウジング本体部22内へスプリング35、35の付勢力に抗して押し込まれて隙間41が開きコンタクト34が露出されるようになっている。また、この筒状カバー部40は、その上面壁40aにリセプタクル2の係止穴14に係止する一対の係止爪42、42が形成されている。
【0037】
このプラグ20の組み立ては、先ず、ハウジング21内に複数本のコンタクト34を装着する。これにより、コンタクト34は突出部25の凹状溝26内に収納され、位置決め固定される。次いで、シャッター部材30をハウジング本体部22の空洞24内へ挿入し、シャッター32を突出部25のガイド溝27に嵌合させるとともに、各基台31の端部31a、31aをスプリング35、35を圧縮して空洞24内に固定する。これにより、シャッター部材30はハウジング21の突出部25に収納されたコンタクト34を覆うとともに、シャッター32が各ばね体35、35に抗してスライド可能になる。ハウジング21にシャッター部材30を装着した後に、この組立体をシールドケース36のケース本体部37の挿入口から挿入し、シャッター32で覆われた突出部25を筒状カバー部40内へ挿入し固定する。すると、シャッター32は、筒状カバー部40の隙間41を覆うことになる。
【0038】
次に、リセプタクル2とプラグ20との接続方法を説明する。図7はリセプタクルとプラグとを接続した状態での断面図である。
リセプタクル2の差込口11aにプラグ20を差し込むと、プラグ20のシャッター32がリセプタクル2の突出部6の先端に当たり、このシャッター32は、スプリング35、35の付勢力に抗してハウジング本体部22の空洞24内へ押し込まれる。シャッター32が押し込まれると、プラグ20のコンタクト34が筒状カバー部40の隙間41から出現して、リセプタクル2のコンタクト8と接触し電気的接続がなされる。
この構成によると、リセプタクル2の突出部6の一面、すなわち、コンタクトが装着されていない面が筒状シールドケース10の内壁面に接触しているので、従来技術のように隙間Gが形成されないので、リセプタクル2の縦方向の高さが低くなり、背低で薄型になるので、プラグ20を含めたコネクタ1全体が小型化される。
【0039】
また、このプラグ20は、上記のリセプタクル2だけでなく、公知のリセプタクル、例えば、図9に示されたようなリセプタクルにも使用できる。図8は公知のリセプタクルと本発明のプラグとを接続した状態での断面図である。
プラグ20をリセプタクル50に差し込むと、プラグ20のシャッター32の先端が、リセプタクルの延出部51の先端に当たり、シャッター32がスプリング35、35の付勢力に抗して押し込まれ、代わってコンタクト34が隙間41から出現して、リセプタクル50のコンタクト54と接触し電気的接続がなされる。よってプラグ20は、本実施例のリセプタクル2だけでなく、公知のリセプタクル、例えば、図9に示されたようなリセプタクル50にも使用できるので、使用範囲が広くなる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は本発明の実施形態に係るリセプタクルとプラグとからなるコネクタを示し、図1(a)はプラグとリセプタクルとの接続前の斜視図、図1(b)は図1(a)のプラグのシャッターを開いた状態の斜視図、
【図2】図2は本実施例に係るリセプタクルを示し、図2(a)はリセプタクルの斜視図、図2(b)は図2(a)のA−A断面図、
【図3】図3はリセプタクルの分解斜視図、
【図4】図4は本実施例に係るプラグを示し、図4(a)はプラグの斜視図、図4(b)は図4(a)の一部断面側面図、
【図5】図5はプラグの分解斜視図、
【図6】図6は図5のプラグを裏側から見た分解斜視図、
【図7】図7はリセプタクルとプラグとを接続した状態での断面図、
【図8】図8は公知のリセプタクルと本発明のプラグとを接続した状態での断面図、
【図9】図9は従来技術のリセプタクルを示したもので、図9(a)はリセプタクルの平面図、図9(b)は正面図、図9(c)は右側面図、
【図10】図10は図9(c)のX1ーX2線の断面図、である。
【符号の説明】
【0041】
1 コネクタ
2 リセプタクル
3 ハウジング
4 ハウジング本体部
6 突出部
8 コンタクト
10 筒状シールドケース
20 プラグ
21 ハウジング
22 ハウジング本体部
25 突出部
30 シャッター部材
32 シャッター
36 シールドケース
40 筒状カバー部
41 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面にコンタクトが配設された突出部を有するハウジングと、前記ハウジングを収容し一端に差込み口を有する筒状シールドケースと、を備えたリセプタクルにおいて、
前記ハウジングは、前記突出部を前記コンタクトが配設されていない面を前記筒状シールドケースの内壁面に接触させてこのケース内に収容されていることを特徴とするリセプタクル。
【請求項2】
前記筒状シールドケースは差込口を横長矩形状に形成し、前記突出部は前記矩形状ケースの上壁内面又は下壁内面に接触されていることを特徴とする請求項1に記載のリセプタクル。
【請求項3】
前記突出部は長手方向に平行に複数の溝を設けた板状体からなり、該溝に複数本の平坦コンタクトが収容されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のリセプタクル。
【請求項4】
ハウジング本体及び前記ハウジング本体の一端から延出した突出部を有し前記突出部の一面にコンタクトが配設されたハウジングと、該ハウジングを収容し一端に前記突出部を収納する筒状シール部を有する筒状シールドケースと、を備えたプラグにおいて、
前記ハウジングは前記ハウジング本体に設けられた貫通穴内に前記突出部に装着されたコンタクトを覆うシャッターを有するシャッター部材をスライド自在に収容し、前記筒状シールドケースの筒状シール部は前記突出部に装着されたコンタクトと対向する面に隙間を有することを特徴とするプラグ。
【請求項5】
前記突起部は長手方向に平行に複数の溝を設けた板状体からなり、該溝に複数本のコンタクトが収容されていることを特徴とする請求項4に記載のプラグ。
【請求項6】
前記請求項1〜3のいずれかに記載のリセプタクルと、前記請求項4又は5に記載のプラグと、からなるコネクタであって、
前記プラグと前記リセプタクルとの接続時には、前記リセプタクルの突出部により前記プラグのシャッター部材をスライドさせてリセプタクルのコンタクトとプラグのコンタクトとを接触接続させ、非接続時には前記プラグのコンタクトが前記シャッター部材で覆われていることを特徴とするコネクタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−42398(P2007−42398A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−224625(P2005−224625)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【出願人】(390033318)日本圧着端子製造株式会社 (457)
【Fターム(参考)】