説明

リポ蛋白質異常症並びに皮膚疾病および皮膚障害の処置のためのN−メチルニコチンアミドを含有する食品抽出物

本発明はN−メチルニコチンアミドを含有する食品抽出物、並びにリポ蛋白質異常症並びに皮膚疾病および障害を処置する際のそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、引用することにより本発明の内容となる「リポ蛋白質異常症並びに皮膚疾病および障害の処置のための食品抽出物」の名称の2006年10月18日に出願された米国暫定出願第60/852,586号、代理人参照番号PRI−009−1の優先権を主張する。さらに、この明細書中で引用されるいずれかの特許、特許出願、および文献の内容は引用することにより本発明の内容となる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
高い総(high total)コレステロール、高い(high)トリグリセリド類、低い(low)高密度リポ蛋白質コレステロール、正常ないし上昇した低密度リポ蛋白質コレステロール、または小さい低密度リポ蛋白質粒子が種々の疾病、症状および障害に関連することが数十年にわたり明らかになってきた。
【0003】
上昇した血清コレステロールを冠状心臓疾病に関連付ける証拠が多数ある(非特許文献1)。脂質を血液中に輸送する脂質および蛋白質の複合粒子である血漿リポ蛋白質により循環しているコレステロールは担持される。低密度リポ蛋白質(LDL)および高密度リポ蛋白質(HDL)が主要なコレステロール−担持蛋白質である。同上。コレステロールが合成されまたは食事の原料から得られる場所である肝臓から体内の肝臓外組織へのデリバリーにLDLが寄与することが信じられる。用語「逆コレステロール輸送」は肝臓外組織から肝臓へのコレステロールの輸送を記述するものであり、肝臓でそれが異化されそして排出される。血漿HDL粒子が逆輸送工程において主要な役割を演じて組織コレステロールのスカベンジャーとして作用することが信じられる。同上。HDLは血液流からの非−コレステロール脂質、酸化されたコレステロールおよび他の酸化された生成物の除去にも寄与する。
【0004】
アテローム硬化症は、例えば、動脈壁内のコレステロールの蓄積により特徴づけられるゆっくり進行する疾病である。注目される証拠が、アテローム硬化症病変内に沈着した脂質が乳麋脂粒、CLDL、IDLおよびLDLを包含する血漿アポリポ蛋白質B(アポB)−含有リポ蛋白異質から主として誘導されることを支持している。非特許文献1を参照のこと。アポB−含有リポ蛋白質、そして特にLDL、は「悪玉」コレステロールとして広く知られてきていた。対照的に、HDL血清レベルは冠状心臓疾病と逆に関連する。実際に、HDLの高い血清レベルは負の危険因子とみなされる。高レベルの血漿HDLは冠状動脈疾病に対して保護的であるだけでなく実際にアテローム斑の退行を誘発しうる仮説がたてられている。非特許文献2を参照のこと。それ故、HDLは「善玉」コレステロールとして広く知られてきている。
【0005】
さらに、異脂血症は高い総コレステロール、高いトリグリセリド類、低い高密度リポ蛋白質コレステロール、正常ないし上昇した低密度リポ蛋白質コレステロール、または小さい低密度リポ蛋白質粒子を包含するがそれらに限定されない種々の因子により引き起こされる。
【0006】
さらに、女性および男性の両者はできるだけ長く若い外観を維持する方法を絶えず求めており、そして、その結果として、皮膚老化の徴候の減退を求めている。老化の最初の目に見える徴候である乾燥、細かい線および皺、加齢斑、赤痣、並びにたるんでおりそして
ゆるんだ皮膚が一般に皮膚上で見られる。艶のなさおよび脱毛も既知の徴候である。皮膚が老化するにつれて、蛋白質合成における減少、蛋白質分解における増加並びに皮膚バリヤー、結合組織および凝集力の全般的な崩壊がある。
【0007】
例えば、大気汚染、機械的ストレス、家庭用および他の化学物質との接触、並びに露光を包含する種々のストレス外因により引き起こされるこれらの皮膚症状の処置または予防のための多くの皮膚および毛髪ケア製品が消費者にとって入手可能である。
【0008】
また、男性および女性は皮膚老化の徴候よりはるかに大きく生活の質に影響しうる皮膚疾病および障害を発生しうる。そのような疾病および障害は火傷、熱傷および皮膚創傷を包含するが、それらに限定されない。
【0009】
老化したまたは光で損傷を受けた皮膚に関係する細かい線、皺および他の徴候の減少を包含する皮膚外観および生理学を改良するために多くの化合物が有用であるとして記述されてきた。また、さらに重篤な皮膚疾病および障害(disorder)の処置のための多くの化合物および組成物も入手可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Badimon et al.,Circulation,86 Suppl.III,1992,86−94
【非特許文献2】Dansky and Fisher,1999,Cieculation 100:1762−3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
それ故、リポ蛋白質異常症を処置するための新規な治療剤を見出すための持続している要望がある。従って、被験体においてHDLレベルを上昇させ、LDLレベルを低下させ、および/またはトリグリセリドレベルを低下させるであろう化合物および製薬学的組成物を開発するための大きな要望がある。また、抗−老化影響に反作用しそして人間の皮膚疾病および障害を処置するための新規な治療剤を見出すための持続している要望もある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の要旨
被験体においてHDLレベルを上昇させ、LDLレベルを低下させ、および/またはトリグリセリドレベルを低下させるであろう新規な処置および療法に関する要望がある。また、抗−老化影響に反作用しそして人間の皮膚疾病および障害を処置するための新規な治療剤を見出すための持続している要望も存在する。一面で、本発明はMNAに富んだワカメ抽出物を提供する。
【0013】
一面で、本発明は処置を必要とする被験体にN−メチルニコチンアミドを含有する食品抽出物を投与することにより被験体においてリポ蛋白質異常症を処置する方法を提供する。1つの態様では、食品抽出物は海藻抽出物である。別の態様では、海藻はワカメである。別の態様では、リポ蛋白質異常症はアテローム硬化症である。さらに別の態様では、食品抽出物は経口投与される。別の態様では、食品抽出物を食品材料と混合し、ここで食品材料は穀類、パン、飲料、健康食品、ジュース、濃縮物、缶入り食品、アイスクリーム、水、食料品、例えばいずれかの形態のトウモロコシ、大麦、小麦およびカラス麦、並びに/または味マスカー(taste maskers)、例えば糖またはアスコルビン酸、よりなる群から選択される。別の態様では、本発明は処置を必要とする被験体にN−メチルニコチンアミドを含有する食品抽出物を局部投与することにより被験体においてリポ蛋
白質異常症を処置する方法を提供する。
【0014】
別の態様では、食品抽出物の1日服用量は1.0mg/kg〜1000mg/kgの間である。さらに別の態様では、食品抽出物の1日服用量は5.0mg/kg〜500mg/kgの間である。さらに別の態様では、食品抽出物の1日服用量は6.0mg/kg〜100mg/kgの間である。
【0015】
1つの態様では、処置される被験体は哺乳動物である。別の態様では、哺乳動物は人間である。
【0016】
1つの態様では、本発明により処置されるリポ蛋白質異常症はアテローム硬化症、高脂血症、狭心症または心臓危険因子の発生および進行に関係する疾病または障害である。別の態様では、アテローム硬化症の発生および進行に関係する疾病または障害は高血圧症、異脂血症、糖尿病または肥満症である。さらに別の態様では、アテローム硬化症の処置はアテローム硬化症斑の進行を遅延させる。別の態様では、アテローム硬化症斑の進行は冠状動脈内で遅延させられる。さらに別の態様では、アテローム硬化症斑の進行は頸動脈内で遅延させられる。さらに別の態様では、アテローム硬化症斑の進行は末梢動脈系内で遅延させられる。さらに別の態様では、アテローム硬化症の処置はアテローム硬化症斑の退行を引き起こす。さらに別の態様では、アテローム硬化症斑の退行は冠状動脈内で起きる。さらに別の態様では、リポ蛋白質異常症は高血圧症、脳血管痙攣、冠状血管痙攣、気管支喘息、早産、勃起不全症、緑内障、血管平滑筋細胞増殖症、心筋肥大、悪性腫(malignoma)、虚血−誘発性損傷、再灌流−誘発性損傷、内皮不全症、クローン病および大腸炎、神経突起成長、レーノー病、アンギナ、アルツハイマー病または良性前立腺過形成に関係する。
【0017】
別の態様では、リポ蛋白質異常症は勃起不全症、再灌流、虚血または血管痙攣に関係する。さらに別の態様では、リポ蛋白質異常症は認知症または癌に関係する。1つの態様では、癌は前立腺、皮膚、肺、結腸、膀胱、子宮および腎臓癌よりなる群から選択される。
【0018】
別の態様では、リポ蛋白質異常症は心臓血管疾病、末梢血管疾病、異脂血症、異リポ蛋白質血症、再狭窄、グルコース代謝の障害、アルツハイマー病、X症候群、ペルオキシソーム増殖物質活性化受容体−関係障害、敗血症、血栓障害、肥満症、膵臓炎、高血圧症、腎臓疾病、炎症、炎症性筋肉疾病、例えばリウマチ性多発性筋痛、多発性筋炎、線維症、胃腸疾病、刺激性腸症候群、炎症性腸疾病、炎症性障害、不能症、関節炎、オステオポロシス、軟質組織リウマチ、自己免疫疾病、強皮症、強直性脊椎炎、痛風、偽痛風、非−インスリン依存性真性糖尿病、敗血症ショック、多嚢胞性卵巣疾病、高脂血症、リポ蛋白質リパーゼ欠乏症、糖尿病に関係するリポ蛋白質異常症、肥満症に関係するリポ蛋白質異常症、およびアルツハイマー病に関係するリポ蛋白質異常症に関係する。
【0019】
別の面で、本発明は処置を必要とする被験体にN−メチルニコチンアミドを含有する食品抽出物を投与することにより被験体においてアテローム硬化症を処置する方法を提供する。さらに別の面で、本発明は処置を必要とする被験体にN−メチルニコチンアミドを含有する食品抽出物を投与することにより被験体においてLDL−コレステロールレベルを低下させる方法を提供する。さらに別の面で、本発明は処置を必要とする被験体にN−メチルニコチンアミドを含有する食品抽出物を投与することにより被験体においてHDL−コレステロールレベルを上昇させる方法を提供する。特別な態様では、食品抽出物は海藻抽出物である。さらに別の態様では、海藻はワカメである。
【0020】
1つの態様では、食品抽出物は局部投与される。別の態様では、食品抽出物は経口投与される。別の態様では、食品抽出物を食品材料と混合し、ここで食品材料は穀類、パン、
飲料、健康食品、ジュース、濃縮物、缶入り食品、アイスクリーム、水、食料品、例えばいずれかの形態のトウモロコシ、大麦、小麦およびカラス麦、または味マスカー、例えば糖もしくはアスコルビン酸、よりなる群から選択される。
【0021】
さらに別の態様では、食品抽出物はスタチン(statin)と同時投与される。1つの態様では、スタチンはメバスタチン(mevastatin)、ロバスタチン(lovastatin)、シムバスタチン(simvastatin)、プラバスタチン(pravastatin)、フルバスタチン(fluvastatin)、ピタバスタチン(pitavastatin)、アトルバスタチン(atorvastatin)、セリバスタチン(cerivastatin)、ロスバスタチン(rosuvastatin)、ペントスタチン(pentostatin)、もしくはニスタチン(nystatin)、またはその製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、クラスレート、多形(polymorph)、プロドラッグ、もしくは薬理学的に活性な代謝産物である。1つの態様では、スタチンおよび食品抽出物は被験体に順次投与される。別の態様では、スタチンおよび食品抽出物は経口的に、鼻に、直腸に、膣内に、非経口的に、頬に、舌下にまたは局部的に投与される。
【0022】
別の態様では、スタチンおよび食品抽出物は澱粉、糖、セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、香料剤、防腐剤、酸化防止剤、可塑剤、ゲル化剤、濃稠化剤、硬化剤(hardener)、凝結剤(setting agent)、懸濁化剤、界面活性剤、湿潤剤、担体、安定剤、またはそれらの組み合わせから選択される1種もしくはそれ以上の製薬学的に許容可能な賦形剤を用いて調合される。
【0023】
別の態様では、食品抽出物は製薬学的に許容可能な担体または賦形剤をさらに含んでなる。別の態様では、食品抽出物は1種もしくはそれ以上の製薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤と共に投与される。別の態様では、食品抽出物は錠剤形態である。別の態様では、食品抽出物はカプセル剤形態である。さらに別の態様では、食品抽出物は調節放出または持続放出形態である。
【0024】
別の面で、本発明は処置を必要とする被験体にワカメ抽出物を含んでなる局部組成物を投与することにより被験体において皮膚疾病および障害を処置する方法を提供する。1つの態様では、ワカメ抽出物はMNAに富んでいる。1つの態様では、皮膚疾病または障害は日焼け、火傷、熱傷、皮膚創傷、皺、皮膚内の酸化損傷および紫外線−誘発性皮膚損傷よりなる群から選択される。
【0025】
1つの態様では、組成物は毎日基準で適用される。別の態様では、組成物は少なくとも2週間にわたり投与される。さらに別の態様では、組成物は少なくとも1ヶ月間にわたり投与される。さらに別の態様では、組成物は少なくとも2ヶ月間にわたり投与される。別の態様では、組成物は少なくとも3ヶ月間にわたり投与される。
【0026】
別の態様では、局部組成物はクリーム剤、香膏剤、軟膏剤、リポソーム調剤、水性液剤またはゲル剤中に調合される。さらに別の態様では、局部組成物は水、グリセリン、ワセリン、鉱油微結晶性ワックス類、パラフィン類、オゾケライト、ポリエチレン、ポリブテン、ポリデセンおよびペルヒドロスクアレン、ジメチコーン類、シクロメチコーン類、アルキルシロキサン類、ポリメチルシロキサン類およびメチルフェニルポリシロキサン類、ラノリン、ラノリン油、ラノリンワックス、ラノリンアルコール類、ラノリン脂肪酸類、イソプロピルラノレート、アセチル化ラノリン、アセチル化ラノリンアルコール類、ラノリンアルコールリノレエート、ラノリンアルコールリコノレエートヒマシ油、大豆油、ヒマワリ種子油、マレイン化大豆油、サフラワー油、綿実油、トウモロコシ油、クルミ油、
ピーナッツ油、オリーブ油、鱈肝油、アーモンド油、アボカド油、ヤシ油およびゴマ油、並びにそれらのいずれかの組み合わせよりなる群から選択される追加成分を含有する。さらに別の態様では、局部組成物は超音波放射の補助で投与される。
【0027】
別の面で、本発明はMNAで富化された(enriched with MNA)ワカメ抽出物を含んでなる局部組成物を提供する。
【0028】
発明の詳細な記述
ニコチン酸(NAc)は高い服用量でのリポ蛋白質特徴の補正(すなわち、リポ蛋白質異常症の処置)においては、ほとんどがトリグリセリド(TG)を減少させ且つHDLレベルを上昇させることにより、重要な性質を有することが既知である。ニコチン酸療法の主な欠点はその副作用に関係する。非常に頻繁に、皮膚血管拡張および潮紅が観察される。
【0029】
研究は、ピリジニウム塩、すなわち、N−メチルニコチンアミド(MNA)がリポ蛋白質異常症の処置に使用できる分子であることを示した(例えば、引用することにより本発明の内容となる米国特許出願第11/484,892号を参照のこと)。MNAはカチオン性分子としてセファロース固定化へパリンに結合される(例えば、引用することにより本発明の内容となる国際公開第PCT/EP2005/050057号および米国特許出願第11/870,307号を参照のこと)。MNAがPGIを放出しそしてそれが種々の細胞系統にとって細胞保護性であることが見出された。さらに、MNAは化学的に非常に安定であり、無毒でありそして非常に良好な耐性がある。
【0030】
広範囲の皮膚疾病および障害の処置のための1−アルキルニコチンアミドの使用は欧州特許第1147086号(引用することにより本発明の内容となる)に記述されている。MNAは海藻、例えばワカメ(Undaria pinnatifida)、のような食品中で天然に見出される(Taguchi et al.,Vitamins(Japan)1986,60(11),537−46を参照のこと)。MNAを含有する食品、特にワカメ、がラットにおいて血清および肝臓トリグリセロールレベルにおける減少をもたらすことが示されていた(Murata et al.,J Nutr.1999 29
146−51およびMurata et al.,J Nutr.2002 132,742−747を参照のこと)。
【0031】
さらに、ワカメはその保湿性および抗−老化性質のために種々の化粧品中の普遍的な添加剤である。そのため、MNA−含有食品抽出物、例えば、MNA−含有ワカメ抽出物、は化粧品添加剤として使用することができる。
【0032】
本発明はMNAを含有する食品抽出物、例えば海藻抽出物、および例えばリポ蛋白質異常症の如き障害の処置におけるそれらの使用に関する。本発明はまた、MNAを含有する食品抽出物、例えば、海藻抽出物、並びに日焼け、火傷、熱傷、皮膚創傷、皺、皮膚に対する酸化損傷、紫外線−誘発性皮膚損傷、および老化の他の影響を包含するがそれらに限定されない皮膚疾病および障害の処置のためのそれらの使用にも関する。特に、本発明の特定の態様がここでは例示態様として記述されておりそして限定することは意図されない。
【0033】
定義
本発明のこれらのおよび他の態様は以下の定義を参照として記述されており、これらの定義は簡便にするためにここにまとめられている。
【0034】
語句「抽出物」は、MNA−含有食品(例えば、ワカメ)から抽出され、元の食品源よ
り高い濃度のMNAを有する液体または固体のいずれかの物質をさすために使用される。例えば、ワカメ中のMNA含有量は約3.2mg/100gである(例えば、引用することにより本発明の内容となるTaguchi et al.,Vitamins(Japan)1986,60(11),537−46を参照のこと)。「ワカメ抽出物」は、3.2mg/100gより高いMNAの濃度を有するワカメから抽出される液体または固体のいずれかの物質である。そのような物質はMNAで「富化された」と言われる。さらに、用語「抽出物」は食品から抽出されるMNA(例えば、ワカメ海藻から抽出される実際のMNA)、またはMNAおよび抽出行程中に食品から誘導される他の天然生成物の両者を含有する食品から抽出される物質(例えばワカメ中で見出されるマグネシウムおよび他の微量鉱物を有するMNA)のいずれかをさす。用語「抽出物」はまた、食品からMNAを抽出するために使用された例えば水の如きいずれかの他の溶媒と一緒になって食品から抽出されるMNAもさすことができる。さらに、ワカメ抽出物はMNA、例えば、純粋なMNA抽出物、合成されたMNAまたは商業的供給業者から購入されたMNA、とさらに組み合わせてもよい。
【0035】
特定の態様では、本発明の抽出物は100合計グラム当たり4mg−100mgのMNA、例えば、100合計グラム当たり4mg−99mgのMNA、100合計グラム当たり4mg−15mgのMNA、100合計グラム当たり15.1mg−30mgのMNA、100合計グラム当たり30.1mg−45mgのMNA、100合計グラム当たり45.1mg−60mgのMNA、100合計グラム当たり60.1mg−75mgのMNA、100合計グラム当たり75.1mg−90mgのMNA、または100合計グラム当たり90.1mg−99mgのMNA、または100合計グラム当たり90.1mg−100mgのMNA、の範囲のワカメ抽出物である。
【0036】
1つの態様では、「抽出物」はMNAで富化された水をベースとした液体である。さらに、用語「抽出物」は食品(例えば、海藻)の破砕および水もしくは他の成分との混合、細断、粉砕、磨り潰し、食品のペーストの形成、乾燥粉末への食品の加工、押し出し、発酵、またはMNAが抽出物中に残存するようないずれかの別の方法から生ずるいずれかの物質を包含する。本発明の食品抽出物の例は海藻抽出物を包含する。好ましい態様では、海藻抽出物はワカメ抽出物である。別の態様では、ワカメ抽出物は粉末である。
【0037】
「海藻」はコンブ(Laminariaceae)、ヒバマタ(Fucaceae)、およびスギノリ(Gigartinaceae)の如き植物目を包含するが、それらに限定されない。アスコフィルム・ノドスム(Ascophyllum nodosum)は農業において使用される海藻の最も広く使用されている形態でありそしてヒバマタ目に属する。他の重要な属階級群はコンブ(Laminaria)、ヅルビレア(Durvillea)、マクロシスチス(Macrocystis)、ツノマタ(Chondrus)、およびカジメ(Ecklonia)を包含する。海藻の好ましい形態はワカメである。
【0038】
用語「化粧品」または「化粧品組成物」または「化粧品製品」はここで使用される時には、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、軟膏剤、乳剤、コロイド剤、溶液剤、懸濁剤、コンパクト剤、固体剤、ペンシル剤、噴霧調剤、刷毛塗り調剤などのいずれかの形態での、口紅、マスカラ、紅、ファンデーション、頬紅、アイライナー、リップライナー、リップグロス、顔面もしくは身体用パウダー、日焼け止めおよびブロック、爪磨き、ムース、スプレー、スタイリングゲル、爪コンディショナーを包含するがそれらに限定されない、例えば皮膚、毛髪、爪の如き角質表面に直接適用できるいずれかの化粧品製品を意味する。用語「化粧品」または「化粧品組成物」または「化粧品製品」により記述される個人ケア製品は、固体剤、粉剤、液体剤、クリーム剤、ゲル剤、軟膏剤、ローション剤、乳剤、コロイド剤、液剤、懸濁剤、または他の形態のいずれかの、入浴およびシャワーゲル、シャンプー、コンディショナー、クリームリンス、毛髪染料および着色製品、リーブオン(
leave−on)コンディショナー、日焼け止めおよび日光遮断剤、唇芳香剤、皮膚コンディショナー、毛髪スプレー剤、石鹸、ボディースクラブ、表皮剥離剤、収斂剤、脱毛剤およびパーマネントウェーブ溶液、抗たるみ調剤、抗汗および制汗組成物、シェービング、プレシェービングおよびアフターシェービング製品、湿潤剤、コールドクリーム、消臭剤、洗浄剤、皮膚ゲル剤、リンス剤を包含するが、それらに限定されない。
【0039】
用語「角質表面」は体表面、例えば皮膚、毛髪、または爪、を意味する。
【0040】
ここで使用される際には、語句「リポ蛋白質異常症」は本発明の組成物により処置または予防できる疾病および障害(または軽減しうるそのような疾病もしくは症状の徴候)を記述する。特に、リポ蛋白質異常症は被験体における高い総コレステロール、高いトリグリセリド類、低い高密度リポ蛋白質コレステロール、正常ないし上昇した低密度リポ蛋白質コレステロール、もしくは小さい低密度リポ蛋白質粒子、またはそれらのいずれかの組み合わせのいずれかにより引き起こされる。これらの因子はアテローム硬化症の発生および進行に関係する疾病(例えば、高血圧症、異脂血症、糖尿病または肥満症)、高脂血症、狭心症または心臓危険因子、脳血管痙攣、冠状血管痙攣、気管支喘息、早産、血管平滑筋細胞増殖症、心筋肥大、悪性腫、虚血/再灌流−誘発性損傷、内皮不全症、クローン病、大腸炎、神経突起成長、レーノー病、アンギナ、アルツハイマー病、良性前立腺過形成、再灌流/虚血(例えば、発作)、血管痙攣(例えば、脳血管痙攣または心臓血管痙攣)、認知症並びに癌(例えば、前立腺、皮膚、肺、結腸、膀胱、子宮および腎臓癌)を包含するがそれらに限定されない種々の疾病および障害において役割を演ずることが示されていた。
【0041】
リポ蛋白質異常症は心臓血管疾病、末梢血管疾病、異リポ蛋白質血症、再狭窄、グルコース代謝の障害、X症候群、ペルオキシソーム増殖物質活性化受容体−関係障害、敗血症、血栓障害、膵臓炎、腎臓疾病、炎症、炎症性筋肉疾病(例えば、リウマチ性多発性筋痛、多発性筋炎、または線維症)、不能症、胃腸疾病、刺激性腸症候群、炎症性腸疾病、炎症性障害、喘息、脈管炎、潰瘍性大腸炎、カワサキ病、ヴェーゲナー肉芽腫症、多発性硬化症、自己免疫慢性肝炎、関節炎、慢性関節リウマチ、若年性慢性関節リウマチ、変形性関節症、オステオポロシス、軟質組織リウマチ、腱炎、滑液包炎、自己免疫疾病、強皮症、強直性脊椎炎、痛風、偽痛風、非−インスリン依存性真性糖尿病(NIDDM)、敗血症ショック、多嚢胞性卵巣疾病、高脂血症、家族性合併高脂血症、リポ蛋白質リパーゼ欠乏症、低アルファリポ蛋白質血症、糖尿病に関係するリポ蛋白質異常症、肥満症に関係するリポ蛋白質異常症、およびアルツハイマー病に関係するリポ蛋白質異常症も包含する。
【0042】
リポ蛋白質異常症は、血管内皮の機能不全、酸化ストレス、内皮プロスタシクリンPGIの不充分な生成、低いHDLレベル、および/または高いトリグリセリドレベルに関係する疾病および障害も包含する。
【0043】
特定の態様では、リポ蛋白質異常症はアテローム硬化症に関係する急性心臓血管事象、特に急な心臓死、急性冠状症候群(不安定な冠状動脈疾病、および心筋梗塞を包含する)、心臓血管形成の必要性、冠状−大動脈バイパス手術(CABG)、体外循環を有するいずれかのタイプの手術、虚血発作、または末梢循環血管再生、である。
【0044】
別の特定の態様では、リポ蛋白質異常症は閉塞を包含する慢性冠状疾病、虚血性脳血管事象または体肢アテローム硬化症のあるアテローム硬化症である。
【0045】
別の特定の態様では、リポ蛋白質異常症は以下のもの:高コレステロール血症、動脈性高血圧症、喫煙、高ホモシステイン血症、インスリン耐性、閉経、老化、精神ストレス、感染症、歯周病を包含する炎症性症状、同種移植片バスキュロパシーおよび硝酸塩耐性を
含んでなるアテローム硬化症に関する危険因子群から選択される症状または疾病である。
【0046】
別の特定の態様では、リポ蛋白質異常症は異脂血症、特に高コレステロール血症または高トリグリセリド血症、である。
【0047】
別の特定の態様では、リポ蛋白質異常症はアテローム硬化症と直接関係しない血栓症、特に金属製血管補填具(ステント)、バイパス手術血液透析または静脈疾病に関係する血栓症、である。
【0048】
別の特定の態様では、リポ蛋白質異常症は以下の群:慢性心不全、肺高血圧症、糖尿病合併症、例えば糖尿病性網膜症および糖尿病性神経障害、ネフローゼ症候群、慢性腎不全、成人呼吸困難症候群、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾病、勃起不全症、睡眠時無呼吸症、全身性紅斑性狼瘡、鎌状赤血球貧血、非−特異的炎症性腸疾病、胃または十二指腸潰瘍、緑内障、慢性肝臓疾病、原発性アミロイド症、および神経変性疾病から選択される。
【0049】
特定の態様では、処置を必要とする被験体にMNAを含有する本発明の食品抽出物を投与することにより被験体におけるHDLレベルを上昇させ、被験体におけるLDLレベルを減少させ、被験体におけるトリグリセリド類を低下させ、および/または被験体における総コレステロールを低下させることによりリポ蛋白質異常症を処置することができる。
【0050】
ここで使用される際には、語句「皮膚疾病および障害」は本発明の化合物により処置または予防できる疾病および障害(または軽減されうるそのような疾病もしくは障害の徴候)を記述する。例えば、皮膚疾病および障害は、浮腫、紅斑、皮膚発疹、表面血管の拡張および剥離に冒された皮膚疾病および障害(痒みおよび火傷感覚を伴う時も包含する)、並びに激しい脂漏の症例を包含するが、それらに限定されない。皮膚疾病および障害は下腿潰瘍、若年性ざ瘡、酒さ性ざ瘡、乾癬、アトピー皮膚炎および皮膚発疹を包含するが、それらに限定されない。本発明の組成物により処置される皮膚疾病および障害は脱毛症、特に円形脱毛症、アンドロゲン性脱毛症、および化学療法または放射線療法の副作用として引き起こされる脱毛症、を包含するが、それらに限定されない。本発明の組成物により処置される皮膚疾病および障害は火傷および熱傷(特に第一度および第一度/第二度火傷並びに熱傷)並びに外傷治癒、並びに日焼けの処置を包含するが、それらに限定されない。
【0051】
特定の態様では、本発明の組成物により処置される「皮膚疾病および障害」は日焼け、火傷、熱傷、皮膚外傷、皺、皮膚内の酸化損傷、紫外線−誘発性皮膚損傷および老化過程の他の徴候よりなる群から選択される。
【0052】
ここで使用される際には、用語「処置」または「処置する」は、リポ蛋白質異常症、リポ蛋白質異常症の徴候またはリポ蛋白質異常症に対する素因を有する被験体への、リポ蛋白質異常症、リポ蛋白質異常症の徴候またはリポ蛋白質異常症を治療、治癒、軽減、緩和、変更、回復、改善、改良または影響する目的のための、治療剤、すなわち、MNA−含有食品抽出物、例えばMNA−含有ワカメ抽出物、の適用もしくは投与、または被験体から単離された組織もしくは細胞系統への(例えば、診断もしくは体外適用のための)治療剤の適用もしくは投与として定義される。そのような処置は、製薬分野から得られる知識に基づき、具体的に適合または変更することができる。
【0053】
用語「処置」または「処置する」は、皮膚疾病または障害、皮膚疾病または障害の徴候または疾病または障害に対する素因を有する被験体への、皮膚疾病または障害を治療、治癒、軽減、緩和、変更、回復、改善、改良または影響する目的のための、化粧品剤、すなわちMNA−含有食品抽出物、例えばMNA−含有ワカメ抽出物、を含有する化粧品剤、
の適用もしくは投与もさす。
【0054】
用語「被験体」は、リポ蛋白質異常症が起きうるまたはリポ蛋白質異常症に罹りやすい生存有機体を包含する。用語「被験体」は、動物(例えば、哺乳動物、例えば、猫、犬、馬、豚、牛、山羊、羊、齧歯動物、例えば、マウスもしくはラット、兎、リス、熊、霊長類(例えば、チンパンジー、猿、ゴリラ、および人間))、並びに鶏、アヒル、ガチョウ、およびそれらのトランスジェニック種、並びにそれらから誘導される細胞、例えば、不死化されたもしくは不死化されていない細胞、を包含する。
【0055】
処置される被験体に対する本発明の食品抽出物の投与は、既知の工程を用いて、被験体においてリポ蛋白質異常症を抑制するのに有効な薬用量でそして期間にわたり行うことができる。治療効果を得るために必要な食品抽出物の有効量は例えば被験体における疾病もしくは障害の症状、被験体の年令、性別、および体重、並びに被験体においてリポ蛋白質異常症を抑制するための治療化合物の能力の如き因子に応じて変動しうる。薬用量処方を調節して最適な治療応答を与えうる。例えば、数個に分割された服用量を毎日投与することができ、または服用量を治療状況の存在による指示に比例して減ずることもできる。本発明の食品抽出物の有効な服用量範囲(例えば、食品抽出物中のMNAの量)の非限定例は1〜500mg/kgの体重/日の間である。当業者は関連因子を試験しそしてめんどうな実験なしに治療化合物の有効量に関する判定を行えるであろう。
【0056】
本発明の食品抽出物中のMNAの実際の薬用量レベルは、罹患体に害を与えずに、特定の罹患体、組成物、および投与の方式に関する所望する治療応答を達成するのに有効である活性成分の量を得るように変動しうる。食品抽出物、例えば、ワカメ抽出物、を1種もしくはそれ以上のグリコアミノグリカン類(GAG類)と共に投与してワカメに含有されるMNAの放出力(release dynamics)を調節することができる。理論により拘束しないが、MNAはGAG類を有効に結合することができ、この結合は静電相互作用に基づく複合体の生成によりうる。例えば、そのような結合(および非−結合事象の実際の発生)がMNAの時限放出をもたらしうる。ワカメ抽出物を用いる投与に適するGAG類はヘパリン、硫酸へパリン、硫酸ケラタン、デルマチン、硫酸デルマチン、へパリン−ヒアルロン酸、コンドロイチン、硫酸コンドロイチン(例えば、硫酸コンドロイチン−6および硫酸コンドロイチン−4)、キチン、キトサン、アセチル−グルコサミン、ヒアルロン酸、アグレカン、デコリン、ビグリカン、フィブロモジュリンもしくはルミカン、またはそれらの組み合わせを包含するが、それらに限定されない。(例えば、引用することにより本発明の内容となる米国特許出願第11/870,370号を参照のこと)。
【0057】
特に、選択される薬用量レベルは使用される本発明の特定化合物の活性、投与の時間、使用される特定化合物の排泄速度、処置の期間、他の薬品、使用される特定化合物と組み合わせて使用される化合物または物質、処置される罹患体の年令、性別、体重、状態、一般的な健康および以前の病歴(medical history)を包含する種々の因子、並びに医学業界で既知である同様な因子に依存するであろう。
【0058】
当該技術の専門知識を有する医学者、例えば、医師または獣医師、は製薬学的組成物の必要な有効量を容易に判定しそして処方することができる。例えば、医師または獣医師は本発明の食品抽出物の服用量を所望する治療効果を達成するために必要なものより低いレベルから出発しそして所望する効果が達成されるまで薬用量を徐々に高めることができる。
【0059】
投与の処方は有効量の構成因子に影響しうる。治療調剤を被験体にリポ蛋白質異常症の開始前または後のいずれかに投与することができる。さらに、数個の分割された薬用量、
並びに変動する(staggered)薬用量を毎日または順次投与することができ、或いは服用量を連続的に注入することもでき、または濃縮塊注入(bolus injection)することもできる。さらに、治療調剤の薬用量を治療または予防状況の存在による指示に比例して増減することもできる。
【0060】
特定の態様では、投与の容易さおよび薬用量の均一性のために組成物を単位剤形に調合することが特に有利である。ここで使用される単位剤形は処置される被験体用の単位薬用量として適する物理的に分離している単位をさし、各単位は必要な製薬学的ビヒクルと一緒になって所望する治療効果を生ずるように計算された治療化合物の予め決められた量を含有する。本発明の単位剤形に関する仕様は(a)治療化合物の独特な特徴および達成しようとする特定の治療効果、並びに(b)被験体におけるリポ蛋白質異常症の処置用のそのような治療化合物の混和/調合技術に固有の制限により指示されそしてそれらに直接的に依存する。
【0061】
食品抽出物
本発明の食品抽出物は当業者に既知である抽出技術を用いて得られうる。本発明の抽出物、特に海藻抽出物、を製造するために使用できる工程の例は、例えば、全て引用することにより本発明の内容となる米国特許第7,074,440号、第6,342,342号、第6,689,376号、第6,656,229号、第6,528,106号、第6,391,331号、第3,948,881号並びに米国特許出願第20050196410号、第20060116333号、第20050196410号、第20060088627号および第20050129828号、並びにVitamins(Japan),63(11),537−546(1986)に見られる。ワカメ抽出物の製造工程はここでは例示部分にも提示されている。
【0062】
好ましい態様では、本発明の食品抽出物はアテローム硬化症斑の進行を遅らせ(例えば、アテローム硬化症斑の進行を冠状動脈内、頸動脈内、末梢動脈系統内で遅らせ)、またはアテローム硬化症斑の退行を引き起こす。
【0063】
別の好ましい態様では、本発明の食品抽出物、例えば、ワカメ抽出物、は被験体においてHDLレベルを上昇させ、被験体においてLDLレベルを減少させ、被験体においてトリグリセリド類を低下させ、および/または被験体において総コレステロールを低下させる。
【0064】
1つの態様では、本発明は処置を必要とする被験体にワカメ抽出物を投与することにより被験体においてアテローム硬化症を処置する方法を提供する。
【0065】
1つの態様では、本発明は処置を必要とする被験体にワカメ抽出物を投与することにより被験体においてLDL−コレステロールレベルを低下させる方法を提供する。
【0066】
1つの態様では、本発明は処置を必要とする被験体にワカメ抽出物を投与することにより被験体においてHDL−コレステロールレベルを上昇させる方法を提供する。
【0067】
理論により拘束しないが、本発明の食品抽出物、特に海藻抽出物、例えばワカメ抽出物、中で天然産出するMNAが以下の理由のためにリポ蛋白質異常症の処置において有効であることが信じられており、すなわち血管内皮の表面上に例えばグリコサミノグリカン類の如きポリアニオン性分子が存在しそしてある種の内皮電位に影響しうる分子が血管内皮に結合されるはずであると予期されよう。正に荷電されるMNAは静電相互作用により血管内皮表面上に存在する負に荷電されたグリコサミノグリカン類に結合する。この結合は種々の内皮効果の影響をもたらすことができ、それらのあるものは薬理学的観点、例えば
NOおよび/またはプロスタシクリンの放出、からは肯定的でありうる。さらに、この活性はリポ蛋白質異常症(これらは例えば被験体における高い総コレステロール、高いトリグリセリド類、低い高密度リポ蛋白質コレステロール、正常ないし上昇した低密度リポ蛋白質コレステロール、または小さい低密度リポ蛋白質粒子により引き起こされうる)の処置または予防をもたらしうる。
【0068】
本発明のMNA−含有食品抽出物、例えば、MNA−含有ワカメ抽出物、は化粧品添加剤として使用することができる。MNA−含有食品抽出物、例えば、MNA−含有ワカメ抽出物、の化粧品用途は湿潤用化粧品または抗−老化用化粧品を包含するが、それらに限定されない。特定の態様では、湿潤および/または抗−老化性質を有するゲル剤、軟膏剤またはクリーム剤である化粧品にワカメ抽出物が加えられる。
【0069】
好ましい態様では、本発明は抗−皺クリーム剤がワカメ抽出物を含んでなるような引き締まり性および被験体の皮膚への等張性を回復するために有効な抗−皺クリーム剤を提供する。
【0070】
別の好ましい態様では、本発明は治療剤がワカメ抽出物を含んでなる被験体において火傷、熱傷、および皮膚外傷を処置するために有効な治療剤を提供する。
【0071】
理論により拘束しないが、本発明の食品抽出物は以下の理由のために皮膚疾病および障害(例えば、切り傷および外傷)の処置において有効である:1−アルキルニコチンアミド塩類、例えば1−メチルニコチンアミド塩類(MNA)および関連ピリジニウム塩類はグリコサミノグリカン類を有効に結合することができ、この結合は静電相互作用に基づく複合体の生成によりうる。そのような結合は皮膚内へのMNA輸送を促進させることができ、それは皮膚疾病および障害、例えば、皺、の処置をもたらす(MNAは600g/Lより高い水中溶解度を有する高親水性分子である。)。
【0072】
MNA源として本発明の食品抽出物を用いる場合には、投与用のMNAは約1ng〜約10,000mg、約5ng〜約9,500mg、約10ng〜約9,000mg、約20ng〜約8,500mg、約30ng〜約7,500mg、約40ng〜約7,000mg、約50ng〜約6,500mg、約100ng〜約6,000mg、約200ng〜約5,500mg、約300ng〜約5,000mg、約400ng〜約4,500mg、約500ng〜約4,000mg、約1μg〜約3,500mg、約5μg〜約3,000mg、約10μg〜約2,600mg、約20μg〜約2,575mg、約30μg〜約2,550mg、約40μg〜約2,500mg、約50μg〜約2,475mg、約100μg〜約2,450mg、約200μg〜約2,425mg、約300μg〜約2,000、約400μg〜約1,175mg、約500μg〜約1,150mg、約0.5mg〜約1,125mg、約1mg〜約1,100mg、約1.25mg〜約1,075mg、約1.5mg〜約1,050mg、約2.0mg〜約1,025mg、約2.5mg〜約1,000mg、約3.0mg〜約975mg、約3.5mg〜約950mg、約4.0mg〜約925mg、約4.5mg〜約900mg、約5mg〜約875mg、約10mg〜約850mg、約20mg〜約825mg、約30mg〜約800mg、約40mg〜約775mg、約50mg〜約750mg、約100mg〜約725mg、約200mg〜約700mg、約300mg〜約675mg、約400mg〜約650mg、約500mg、または約525mg〜約625mgの範囲内でありうる。
【0073】
MNA源として本発明の食品抽出物を用いる場合には、投与用のMNAは約0.0001mg〜約25mgの間の範囲内でありうる。ある種の態様では、ここに記述された組成物中で使用されるMNAの服用量は約100mgより少なく、または約80mgより少なく、または約60mgより少なく、または約50mgより少なく、または約30mgより
少なく、または約20mgより少なく、または約10mgより少なく、または約5mgより少なく、または約2mgより少なく、または約0.5mgより少ない。同様に、ある種の態様では、ここに記述された組成物中で使用される第二化合物(すなわち、スタチン)の服用量は約1000mgより少なく、または約800mgより少なく、または約600mgより少なく、または約500mgより少なく、または約400mgより少なく、または約300mgより少なく、または約200mgより少なく、または約100mgより少なく、または約50mgより少なく、または約40mgより少なく、または約30mgより少なく、または約25mgより少なく、または約20mgより少なく、または約15mgより少なく、または約10mgより少なく、または約5mgより少なく、または約2mgより少なく、または約1mgより少なく、または約0.5mgより少ない。
【0074】
組み合わせ療法
本発明の食品抽出物、例えば、ワカメ抽出物、は例えば本発明の方法において、リポ蛋白質異常症を処置するために有用な1種もしくはそれ以上の追加化合物と組み合わせて有用であることが意図されうる。これらの追加化合物は本発明の化合物またはリポ蛋白質異常症の徴候を処置、予防、または軽減することが知られる化合物、例えば、市販化合物、を含んでなりうる。
【0075】
特に、本発明の食品抽出物、例えば、ワカメ抽出物、はスタチン類と同時投与することができる。用語「スタチン」は、明細書および添付された特許請求の範囲で使用される場合には、用語「3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−1−補酵素Aレダクターゼ阻害剤」および「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」と同義である。これらの3種の用語は当該技術では相互交換式に使用される。同義語が示唆するように、スタチン類は3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−1−補酵素Aレダクターゼの阻害剤でありそして、そのために、血漿コレステロールのレベルを低下させる際に有効である。スタチン類およびそれらの製薬学的に許容可能な塩類は哺乳動物において、そして特に人間において、低密度リポ蛋白質コレステロールを低下させる際に特に有効である。
【0076】
本発明の組成物および方法における使用に適するスタチン類は各々が引用することにより本発明の内容となる米国特許第4,681,893号、第5,273,995号、第5,356,896号、第5,354,772号、第5,686,104号、第5,969,156号、および第6,126,971号にも開示されている。ある種のスタチン類、例えばラクトン(例えば、シムバスタチン)は不活性形態で存在しうるため、本発明はそれらの活性形態(例えば、b−ヒドロキシ酸形態)の使用を包括する。Physicians Desk Reference,54th Ed.(2000)pp.1917−1920を参照のこと。
【0077】
スタチン類は赤稲抽出物、メバスタチン(mevastatin)、ロバスタチン(lovastatin)、シムバスタチン、プラバスタチン(pravastatin)、フルバスタチン(fluvastatin)、ピタバスタチン(pitavastatin)、アトルバスタチン(atorvastatin)、セリバスタチン(cerivastatin)、ロスバスタチン(rosuvastatin)、ペントスタチン(pentostatin)もしくはニスタチン(nystatin)、またはその製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、クラスレート、多形、プロドラッグ、もしくは薬理学的に活性な代謝産物を包含する。
【0078】
好ましいスタチン類は市販されている剤であり、プラバスタチン(例えば、PravacholTM)、フルバスタチン、シムバスタチン(例えば、ZocorTM)、ロバスタチン(例えば、MevacorTM)、アトルバスタチン、もしくはピタバスタチン、またはその製薬学的に許容可能な塩が最も好ましい。
【0079】
スタチン類が認知症(The Lancet,2000:356;1627−1631)並びに種々の癌、例えば、前立腺、皮膚、肺、結腸、膀胱、子宮および腎臓(Arch.Intern.Med.2000,160:2363−2368)の処置における潜在的有用性を有することも最近報告された。ここでは「リポ蛋白質異常症」として処置されるこれらの障害は本発明のMNA−含有食品抽出物により処置できる。
【0080】
ある種の態様では、本発明の食品抽出物、例えば、ワカメ抽出物、およびスタチン類は単一組成物中に含まれ、それがリポ蛋白質異常症を有する被験体に投与される。他の態様では、本発明の食品抽出物およびスタチンはそのような被験体に別個に投与される。第一のそして少なくとも1種の第二の剤を被験体に同時投与することができ(すなわち、同時投与)または順次投与することもできる(すなわち、一方の次に他方)。
【0081】
ここに記述された化合物の組み合わせは、各化合物の単独使用時の投与後の有効性と比べてリポ蛋白質異常症に対する有効性における相乗的増加をもたらすことができ、或いはそのような増加は付加的でもありうる。ここに記述された組成物は典型的には組成物中に各化合物の比較的低い薬用量を含んでおり、それにより化合物および/または有害な副作用の間の悪い相互作用、例えば同様な化合物に関して報告されたもの、を回避する。さらに、通常量の各化合物は組み合わされて与えられる時には各化合物の単独使用時には未応答であるかまたは最少応答性である被験体においてより大きい効力を与えうる。
【0082】
例えば、スタチン類は筋肉痛、筋肉痙攣、筋炎、筋障害、および他の胃腸問題を包含するある種の副作用と関係していた。投与を必要とする被験体に対するスタチンと組み合わせての本発明の食品抽出物、例えば、海藻抽出物、の投与はスタチン使用に関係する望ましくない副作用に反作用するように機能しうる。
【0083】
相乗効果は、例えば、シグモイド−エマックス(Sigmoid−Emax)式(Holford,N.H.G.and Scheiner,L.B.,Clin.Pharmacokinet.6:429−453(1981))、ロエベ(Loewe)付加式(Loewe,S.and Muischnek,H.,Arch.Exp.Pathol
Pharmcol.114:313−326(1926))および中位−効果(median−effect)式(Chou,T.C.and Talalay,P.,Adv.Enzyme Regul.22:27−55(1984))の如き適当な方法を用いて、計算することができる。以上で示された各式を実験データに適用して対応するグラフを作成して薬品組み合わせの効果を評価を助けることができる。以上で示された式に関係する対応するグラフは、それぞれ、濃度−効果曲線、イソボログラム曲線および組み合わせ指数曲線である。
【0084】
別の態様では、本発明の食品抽出物、例えば、ワカメ抽出物、を1種もしくはそれ以上のステロイド類と同時投与することができる。用語「ステロイド類」は、本発明によると、全ての天然および合成ステロイドホルモン類、それらの同族体および誘導体、例えば硫酸エステル類および脂肪酸エステル類、それらの前駆体、代謝産物およびそれらの同族体を含んでなることが意図され、それらは構造的にはステロイド性であってもまたはステロイド性でなくてもよい。用語「ステロイド類」は、基本的なシクロペンタノペルヒドロフェナスレン環構造を有しそして種々の置換基および/または二重結合、例えば、3−位置におけるケト、ヒドロキシまたはアシルオキシ基、2−、4−、10−、13−、14−および16−位置のいずれかにおけるアルキル基、20−位置におけるケト、ケタールまたはオルトエステル基、17−位置におけるケト基、またはヒドロキシおよび/または炭化水素もしくはアシル(例えばアセトキシアセチル)基、11−もしくは12−位置におけるヒドロキシまたはケト基、6−、7−もしくは20−位置におけるヒドロキシ基、2
1−位置におけるエステル化されたヒドロキシ基、5−位置または1−および/もしくは4−位置における二重結合並びに11−もしくは6−位置におけるハロゲン原子、例えば弗素または塩素、を含有しうる化合物を包含する。
【0085】
用語「ステロイド類」は、人間の膜ステロイド受容体、それらの混合物、前駆体および代謝産物に結合しうる半合成または合成性の多環式分子も包含する。ステロイド類の例はフルニソリド(flunisolide)、ベクロメタソン(beclomethasone)、トリアムシノロン(triamcinolone)、ブデソニド(budesonide)、フルチカソン(fluticasone)、モメタソン(mometasone)、シクレソニド(ciclesonide)、ロフレポニド(rofleponide)、ST−126、およびデキサメタソン(dexamethasone)を包含するが、それらに限定されない。
【0086】
別の態様では、本発明の食品抽出物、例えば、ワカメ抽出物、を1種もしくはそれ以上のNSAID類と同時投与することができる。
【0087】
ここで使用される際には、用語「NSAID類」は、シクロオキシゲナーゼ(シクロオキシゲナーゼ−1および−2を包含するがそれらに限定されない)の種々のイソ酵素の阻害剤、例えば市販のNSAID類であるアセクロフェナック(aceclofenac)、アセメタシン(acemetacin)、アセタミノフェン(acetaminophen)、アセタミノサロール(acetaminosalol)、アセチル−サリチル酸、アセチル−サリチル−2−アミノ−4−ピコリン−酸、5−アミノアセチルサリチル酸、アルクロフェナック(alclofenac)、アミノプロフェン(aminoprofen)、アムフェナック(amfenac)、アムピロン(ampyrone)、アムピロキシカム(ampiroxicam)、アニレリジン(anileridine)、ベンダザック(bendazac)、ベノキサプロフェン(benoxaprofen)、ベルモプロフェン(bermoprofen)、α−ビサボロール(α−bisabolol)、ブロムフェナック(bromfenac)、5−ブロモサリチル酸アセテート、ブロモサリゲニン(bromosaligenin)、ブクロキシック・アシド(bucloxic acid)、ブチブフェン(butibufen)、カルプロフェン(carprofen)、セレコキシブ(celecoxib)、クロモグリケート(chromoglycate)、シンメタシン(cinmetacin)、クリンダナック(clindanac)、クロピラック(clopirac)、ソジウム・ジクロフェナック(sodium diclofenac)、ジフルニサル(diflunisal)、ジタゾール(ditazol)、ドロキシカム(droxicam)、エンフェナミック・アシド(enfenamic acid)、エトドラック(etodolac)、エトファナメート(etofenamate)、フェルビナック(felbinac)、フェンブフェン(fenbufen)、フェンクロジック・アシド(fenclozic acid)、フェンドサル(fendosal)、フェノプロフェン(fenoprofen)、フェンチアザック(fentiazac)、フェプラジノール(fepradinol)、フルフェナック(flufenac)、フルフェナミック・アシド(flufenamic acid)、フルニキシン(flunixin)、フルノキサプロフェン(flunoxaprofen)、フルルビプロフェン(flurbiprofen)、グルタメタシン(glutametacin)、グリコール・サリチレート(glycol salicylate)、イブフェナック(ibufenac)、イブプロフェン(ibuprofen)、イブプロキサム(ibuproxam)、インドメタシン(indomethacin)、インドプロフェン(indoprofen)、イソフェゾラック(isofezolac)、イソキセパック(isoxepac)、イソキシカム(isoxicam)、ケトプロフェン(ketoprofen)、ケトロラック(ketorolac)、ロルノキシカム(lornoxicam)、ロキソプロフェン(loxopr
ofen)、メクロフェナミック・アシド(meclofenamic acid)、メフェナミック・アシド(mefenamic acid)、メロキシカム(meloxicam)、メサラミン(mesalamine)、メチアジニック・アシド(metiazinic acid)、モフェゾラック(mofezolac)、モンテルカスト(montelukast)、マイコフェノール酸(mycophenolic acid)、ナブメトン(nabumetone)、ナプロキセン(naproxen)、ニフルミック・アシド(niflumic acid)、ニメスリド(nimesulide)、オルサラジン(olsalazine)、オキサセプロール(oxaceprol)、オキサプロジン(oxaprozin)、オキシフェンブタゾン(oxyphenbutazone)、パラセタモール(paracetamol)、パルサルミド(parsalmide)、ペリソキサル(perisoxal)、フェニル−アセチル−サリチレート(phenyl−acethyl−salicylate)、フェニルブタゾン(phenylbutazone)、フェニルサリチレート(phenylsalicylate)、ピラゾラック(pyrazolac)、ピロキシカム(piroxicam)、ピルプロフェン(pirprofen)、プラノプロフェン(pranoprofen)、プロチジニック・アシド(protizinic acid)、レセルベラトール(reserveratol)、サラセタミド(salacetamide)、サリチルアミド、サリチルアミド−O−アセチル酸、サリチル硫酸、サリシン(salicin)、サリチルアミド、サルサレート(salsalate)、スリンダック(sulindac)、スプロフェン(suprofen)、スキシブタゾン(suxibutazone)、タモキシフェン(tamoxifen)、テノキシカム(tenoxicam)、テオフィリン(theophylline)、チアプロフェニック・アシド(tiaprofenic acid)、チアラミド(tiaramide)、チクロピリジン(ticlopridine)、チノリジン(tinoridine)、トルフェナミック・アシド(tolfenamic acid)、トルメチン(tolmetin)、トロペシン(tropesin)、キセンブシン(xenbucin)、キシモプロフェン(ximoprofen)、ザルトプロフェン(zaltoprofen)、ゾメピラック(zomepirac)、トモキシプロル(tomoxiprol)、ザフィルルカスト(zafirlukast)およびシクロスポリン(cyclosporine)、を包含する、プロスタグランジン類およびある種のオータコイド阻害剤の生合成に寄与する酵素であるシクロオキシゲナーゼを阻害する剤を包含するが、それらに限定されない。別のNSAID群および特定のNSAID化合物は引用することにより本発明の内容となる米国特許第6,297,260号に開示されている(特にその請求項1の一般式およびそこにそして請求項3に含まれるNSAID類の特定リストの引用、並びに引用することにより本発明の内容となる国際特許出願である国際公開第01/87890号に開示されているNSAID類)。好ましいNSAID類はインドメタシン、フルフェナミック・アシド、フルニキシンおよびテオフィリンである。インドメタシン、ボルタレン(voltaren)およびナプロシン(naprosyn)が最も好ましい。ある種の態様では、NSAID亜単位はアセチルサリチル酸またはマイコフェノール酸でない。さらに、The Merck Manual,16th Edition,Merck Research Laboratories(1990)pp1308−1309、並びにThe Pharmacological Basis of Therapeutics,9th edition,Macmillan Publishing Co.,1996,pp617−655がNSAID類の既知の例を与える。
【0088】
投与用調剤
本発明の食品抽出物は場合により、薬用量でのそして移植もしくは調節−放出装置を包含する製薬学的賦形剤またはビヒクルと混合された、経口、舌下、皮下、静脈内、経皮または直腸投与用に調合される。例えば、海藻抽出物の化合物を場合により生理学的に許容可能な無毒の液体ビヒクル、例えば水、の中に分散させる。
【0089】
或いは、食品抽出物を錠剤、カプセル剤、散剤、粒剤、コーティング錠剤形態で与えることもでき、または種々の食品材料、例えば穀類、パン、飲料、健康食品、ジュース、濃縮物、缶入り食品、アイスクリーム、水、食料品、例えば加工されたかもしくはされていないいずれかの形態の小麦、トウモロコシ、大麦、およびカラス麦、または味マスカー、例えば糖もしくはアスコルビン酸、または他の機能食品と混合されていてもよい。化合物は普遍的な方法を用いて製造され、そして普遍的な製薬学的助剤、例えば結合剤、充填剤、防腐剤、錠剤崩壊剤、流動調節剤、可塑剤、湿潤剤、分散化剤、乳化剤、溶媒、遅延剤および/または酸化防止剤、と混合してもよい。それは場合により種々の調合および分子配列での脂質との複合体中に含有されていてもまたはその中で形成されていてもよい。
【0090】
別の態様では、本発明は本発明の食品抽出物を保持する容器および被験体における1種もしくはそれ以上のリポ蛋白質異常症の1つもしくはそれ以上の徴候を処置、予防、または軽減するための化合物の使用に関する指示書を含んでなる包装された製薬学的組成物に関する。
【0091】
用語「容器」は製薬学的組成物を保持するためのいずれかの受器を包含する。例えば、1つの態様では、容器は製薬学的組成物を含有する包装品である。他の態様では、容器は製薬学的組成物を含有する包装品でなく、すなわち、容器は包装された製薬学的組成物または包装されていない製薬学的組成物および製薬学的組成物の使用のための指示書を含有する受器、例えば箱または瓶、である。さらに、包装技術は当該技術で既知である。製薬学的組成物の使用に関する指示書は製薬学的組成物を含有する包装品上に含まれていてもよいことを理解すべきであり、そしてそのために指示書は包装された製品との高められた機能関係を生ずる。しかしながら、指示書は化合物がその意図する機能、例えば被験体における1種もしくはそれ以上のリポ蛋白質異常症の処置、予防、または軽減、を可能にする能力に関する情報を含有しうることを理解すべできある。
【0092】
本発明の別の態様は治療的に有効な量のMNAを含有する食品抽出物および製薬学的に許容可能な担体を含んでなる製薬学的組成物である。
【0093】
語句「治療的に有効な量」は被験体における1種もしくはそれ以上のリポ蛋白質異常症を処置するために有効である本発明の食品抽出物の量を記述する。
【0094】
語句「製薬学的に許容可能な担体」は本発明の化合物を被験体内にまたはそこに運ぶかまたは輸送してそれがその意図する機能を行いうるようにする製薬学的に許容可能な物質、組成物または担体、例えば液体もしくは固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒またはカプセル化物質を包含する。典型的には、そのような化合物は身体の1つの器官または部分から身体の他の器官または部分に運ばれるかまたは輸送される。各担体は調剤の他の成分と相溶性でありそして罹患体を傷つけないという意味で「許容可能で」なければならない。製薬学的に許容可能な担体として作用できる物質の数例は、糖類、例えばラクトース、グルコースおよびスクロース、澱粉類、例えばトウモロコシ澱粉およびポテト澱粉、セルロース、およびその誘導体、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースおよび酢酸セルロース、粉末状トラガカント、麦芽、ゼラチン、タルク、賦形剤、例えばココアバターおよび坐剤ワックス、油類、例えばピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油、グリコール類、例えばプロピレングリコール、ポリオール類、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール、エステル類、例えばオレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル、寒天、緩衝剤、例えば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム、アルギン酸、発熱性物質を含まない水、等張性食塩水、リンゲル溶液、エチルアルコール、燐酸塩緩衝溶液、および製薬学的調剤中で使用される他の無毒の相溶性物質を包含する。ここで使用さ
れる際の「製薬学的に許容可能な担体」は、化合物の活性と相溶性でありそして被験体にとって生理学的に許容可能である、いずれかのおよび全てのコーティング、抗細菌および抗菌・カビ剤、並びに吸収遅延剤なども包含する。
【0095】
担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適当な混合物、および植物油を含有する溶媒または分散媒体でありうる。適切な流動性は、例えば、レシチンの如きコーティングの使用により、分散剤の場合に要求される粒子寸法の維持によりそして界面活性剤の使用により、維持できる。微生物の作用の防止は種々の抗細菌および抗菌・カビ剤、例えばパラベン類、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサルなど、により達成できる。多くの場合には、等張剤、例えば、糖類、塩化ナトリウム、またはポリアルコール類、例えばマンニトールおよびソルビトール、を組成物中に含むことが好ましいであろう。組成物中に吸収を遅延させる剤、例えばモノステアリン酸アルミまたはゼラチン、を含むことにより、注射組成物の長期にわたる吸収を実現できる。1つの態様では、製薬学的に許容可能な担体はDMSO単独でない。
【0096】
本発明における使用のための化合物はいずれかの適当な経路、例えば経口または非経口、例えば、経皮、経粘膜(例えば、舌下、舌、(経)頬、(経)尿道、膣(例えば、経膣および膣周囲)、鼻(内)および(経)直腸)、膀胱内、肺内、十二指腸内、鞘内、皮下、筋肉内、皮膚内、動脈内、静脈内、気管支内、吸入、および局部投与、による投与のために調合することができる。
【0097】
適当な組成物および剤形は、例えば、錠剤、カプセル剤、カプレット剤、丸剤、ゲルキャップ剤、トローチ剤、分散剤、懸濁剤、溶液剤、シロップ剤、粒剤、球剤(beads)、経皮パッチ剤、ゲル剤、散剤、ペレット剤、マグマ剤、ロゼンジ剤、クリーム剤、ペースト剤、プラスター剤、ローション剤、ディスク剤、坐剤、鼻または経口投与用の液体スプレー剤、乾燥散剤または吸入用のエーロゾル調剤、膀胱内投与用の組成物および調剤を包含する。本発明において有用であろう調剤および組成物はここに記述された特定の調剤および組成物に限定されない。
【0098】
経口投与
例えば、経口投与のためには化合物は製薬学的に許容可能な賦形剤、例えば結合剤(例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロースもしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、充填剤(例えば、トウモロコシ澱粉、ラクトース、微結晶性セルロースもしくは燐酸カルシウム)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、もしくはシリカ)、崩壊剤(例えば、ナトリウム澱粉グリコレート)、または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、を用いて普遍的な手段により製造される錠剤またはカプセル剤の形態でありうる。所望するなら、錠剤を適当な方法およびコーティング物質、例えばペンシルバニア州、ウエストポイントのカラーコン(Colorcon)から入手可能なOPADRYTMフィルムコーティングシステム(例えば、OPADRYTMOYタイプ、OY−Cタイプ、Organic−Enteric OY−Pタイプ、Aqueous Enteric OY−Aタイプ、OY−PMタイプおよびOPADRYTMWhite、32K18400)を用いてコーティングすることができる。経口投与用の液体調合物は溶液剤、シロップ剤または懸濁剤の形態でありうる。普遍的な手段により製薬学的に許容可能な添加剤、例えば懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、メチルセルロースまたは水素化された食用脂肪)、乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア)、非−水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル類またはエチルアルコール)、および防腐剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはプロピルまたはソルビン酸)、を用いて液体調合物を製造することができる。上記のように、本発明の食品抽出物を食品材料と混合することができる。
【0099】
非経口投与
非経口投与のためには、本発明の方法における使用のための化合物は注射または注入、例えば、静脈内、筋肉内もしくは皮下注射または注入、のために、または濃縮塊服用での投与および/または連続的注入用に調合することができる。場合により例えば懸濁化剤、安定剤および/または分散化剤の如き他の調合剤を含有してもよい油性または水性ビヒクル中の懸濁剤、溶液剤または乳剤を使用することができる。
【0100】
経粘膜投与
経粘膜投与は粘膜組織への適用に適する調剤または薬用量単位のいずれかのタイプを用いて行われる。例えば、選択される活性剤を頬粘膜に付着性錠剤またはパッチ剤で投与することができ、固体剤形を舌下に置くことにより舌下投与することができ、滴下剤または鼻スプレー剤として鼻に投与することができ、エーロゾル調剤、非−エーロゾル液体調剤、もしくは乾燥散剤の吸入により投与することができ、直腸内にまたは付近に置くことができ(「経直腸」調剤)、或いは坐剤、軟膏剤などとして尿道に投与することができる。
【0101】
経尿道投与
経尿道投与に関すると、調剤は活性剤および1つもしくはそれ以上の選択された担体または賦形剤、例えば水、シリコーン、ワックス類、石油ゼリー、ポリエチレングリコール(「PEG」)、プロピレングリコール(「PG」)、リポソーム類、糖類、例えばマンニトールおよびラクトース、並びに/または種々の他の物質、を含有する尿道剤形を含んでなりうる。経尿道浸透促進剤を剤形中に含むことができる。適当な浸透促進剤の例はジメチルスルホキシド(「DMSO」)、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、N,N−ジメチルアセトアミド(「DMA」)、デシルメチルスルホキシド(「C10MSO」)、モノラウリン酸ポリエチレングリコール(「PEGML」)、モノラウリン酸グリセロール、レシチン、1−置換されたアザシクロヘプタン−2−オン類、特に1−n−ドデシルシクラザシクロヘプタン−2−オン(カリフォルニア州、アービンのネルソン・リサーチ・アンド・デベロップメント・カンパニー(Nelson Research & Development Co.)から商標AzoneTMで入手可能である)、SEPATM(マサチュセッツ州、レキシントンのマクロヘム・カンパニー(Macrochem Co.)から入手可能である)、例えばTergitolTM、Nonoxynol−9TMおよびTWEEN−80TMを包含する以上で論じられた界面活性剤、並びに低級アルカノール類、例えばエタノール、を包含する。
【0102】
経直腸投与
経直腸剤形は直腸坐剤、クリーム剤、軟膏剤、および液体調剤(浣腸剤)を包含しうる。経直腸デリバリー用の坐剤、クリーム剤、軟膏剤、および液体調剤は治療的に有効な量の選択される活性剤および経直腸薬品投与用に適する1種もしくはそれ以上の普遍的な無毒の担体を含んでなる。本発明の経直腸剤形は普遍的な方法を用いて製造することができる。経直腸薬用量単位は急速にまたは数時間の期間にわたり崩壊するように製作することができる。完全崩壊のための期間は約10分間〜約6時間の範囲内、例えば、約3時間以内、でありうる。
【0103】
膣または経膣投与
膣または経膣剤形は膣坐剤、クリーム剤、軟膏剤、液体調剤、ペッサリー剤、タンポン剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤またはスプレー剤を包含しうる。膣または経膣デリバリー用の坐剤、クリーム剤、軟膏剤、液体調剤、ペッサリー剤、タンポン剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤またはスプレー剤は治療的に有効な量の選択される活性剤および経膣薬品投与用に適する1種もしくはそれ以上の普遍的な無毒の担体を含んでなる。本発明の膣または経膣薬用量形態は上記のRemington:The Science a
nd Practice of Pharmacy(米国特許第6,515,198号、第6,500,822号、第6,417,186号、第6,416,779号、第6,376,500号、第6,355,641号、第6,258,819号、第6,172,062号、および第6,086,909号に採用された薬品調剤も参照のこと)に開示されたような普遍的な方法を用いて製造することができる。膣または経膣薬用量単位は急速にまたは数時間の期間にわたり崩壊するように製作することができる。完全崩壊のための期間は約10分間〜約6時間の範囲内、例えば、約3時間以内、でありうる。
【0104】
鼻内または吸入投与
活性剤を鼻内にまたは吸入により投与することもできる。鼻内投与用の組成物は一般的にスプレー剤としてのまたは滴下剤の形態での液体調剤であるが、鼻内投与用の散剤調剤、例えば吸入剤、鼻ゲル剤、クリーム剤、ペースト剤もしくは軟膏剤または他の適当な調剤、を使用することもできる。液体調剤用には、活性剤を緩衝されたかもしくは緩衝されていない溶液剤、例えば水もしくは等張性食塩水、中にまたは懸濁剤として調合することができる。ある種の態様では、そのような溶液剤または懸濁剤は鼻分泌物に関して等張性でありそして例えば約pH4.0〜約pH7.4または約pH6.0〜約pH7.0の範囲内にあるほぼ同じpHを有する。緩衝液は生理学的に相溶性でありそして、例えば、燐酸塩緩衝液、を包含する。さらに、滴下剤、ドロップレット剤およびスプレー剤の生成用の、滴下器、絞り瓶、並びに手動および電動鼻内ポンプデリバリー器を包含する種々の装置が当該業者で利用可能である。活性剤を含有する鼻内担体は、鼻粘膜表面との所望する持続的接触により、約10〜約6500cpsもしくはそれ以上の粘度を有する鼻ゲル剤、クリーム剤、ペースト剤または軟膏剤も包含しうる。粘着性調剤のそのような担体は、例えば、アルキルセルロース類および/または当該技術で既知の高粘度の他の生体相溶性担体をベースとしうる(例えば、上記のRemington:The Science and Practice of Pharmacyを参照のこと)。他の成分、例えば防腐剤、着色剤、滑沢剤もしくは粘着性鉱物(viscous mineral)または植物油、香料、天然もしくは合成植物抽出物、例えば芳香油類、並びに湿潤剤および粘度増強剤、例えば、グリセロール、を含んでさらなる粘度、水分保持性並びに調合用の快いきめおよび香りを与えることができる。吸入用の調剤を、活性剤が担体(例えば、噴射剤)中に溶解されている溶液剤エーロゾルまたは活性剤が担体および場合により溶媒全体に懸濁もしくは分散されている分散剤エーロゾルのいずれかのエーロゾルとして、製造することができる。
【0105】
吸入用の非−エーロゾル調剤は液体、典型的には水性懸濁剤、の形態をとることができるが、水溶液剤を使用することもできる。そのような場合には、担体は典型的には調剤が正常な体液に関して等張性となる濃度を有する塩化ナトリウム溶液である。担体の他に、液体調剤は水並びに/または抗細菌性防腐剤(例えば、ベンズアルコニウムクロリド、ベンズエトニウムクロリド、クロロブタノール、フェニルエチルアルコール、チメロサルおよびそれらの組み合わせ)、緩衝剤(例えば、クエン酸、メタ燐酸カリウム、燐酸カリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、およびそれらの組み合わせ)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、モノパルミチン酸ソルビタンおよびそれらの組み合わせ)、および/または懸濁化剤(例えば、寒天、ベントナイト、微結晶性セルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トラガカント、ビーガムおよびそれらの組み合わせ)を包含する賦形剤を含有しうる。吸入用の非−エーロゾル調剤は乾燥散剤調剤、特に散剤が約0.1μm〜約50μmの、例えば約1μm〜約25μmの、平均粒子寸法を有する吸入剤を含んでなりうる。
【0106】
局部調剤
特に好ましい態様では、本発明の組成物は被験体に局部調剤で投与される。本発明で有
用な局部組成物は例えば当該技術で既知であるような広範囲の製品に製造することができる。これらは化粧品および化粧品組成物並びにローション剤、クリーム剤、ゲル剤、スティック剤、シャンプー剤、石鹸、スプレー剤、軟膏剤、ペースト剤およびムース剤を包含するが、それらに限定されない。これらの製品形態は、溶液剤、エーロゾル剤、乳剤、ゲル剤、固体剤、およびリポソーム類を包含するがそれらに限定されない数種のタイプの担体を含んでなりうる。局部調剤は最適には軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、シャンプー剤、石鹸、スプレー剤、ローション剤または溶液剤の形態である。
【0107】
皮膚疾病または障害(例えば、皺、火傷または他の皮膚外傷)の主要患部位置における皮膚への局部投与が好ましい。
【0108】
本発明の局部調剤は安全でかつ有効な量の皮膚科学的に許容可能な担体を含んでなり、その中に本発明の組成物が加えられて本発明の抽出物を皮膚または他の関連部位に適切な濃度でデリバリー可能にする。それ故、担体は希釈剤、分散化剤、溶媒などとして作用することができ、それは調剤を選択された標的に確実に適用し且つ均一に分布させて本発明の組成物の適切な濃度を与える。
【0109】
本発明に従う好ましい局部調剤は約90〜99.95重量%の製薬ベース担体および約0.005〜約10重量%のワカメ抽出物の組成物を含んでなる。より好ましくは、局部調剤は約0.1〜約5重量%のワカメ抽出物の組成物を含有する。好ましい製薬ベース担体は軟膏剤、ゲル剤、または水溶液である。
【0110】
担体は1種もしくはそれ以上の皮膚科学的に許容可能な固体、半固体または液体の充填剤、希釈剤、溶媒、延展剤などを含有しうる。担体は固体、半固体または液体でありうる。好ましい担体は実質的に液体である。担体はそれ自体で不活性であってよくまたはそれはそれ自体で皮膚科学的利点を有しうる。担体の濃度は選択される担体並びに食品抽出物(例えば、ワカメ抽出物)および他の任意成分の意図する濃度に応じて変動しうる。
【0111】
局部調剤に適する担体は皮膚科学的に許容可能な普遍的なまたはその他の既知である担体を包含する。担体はまた本発明の組成物と物理的および化学的に相溶性でなければならず、そして安定性、有効性または本発明の調剤に関係する他の利点を不当に損なってはならない。本発明の調剤の好ましい成分は通常の使用状況下で調剤の効力を実質的に減ずる相互作用がないような方法で組み合わせうるべきである。
【0112】
好ましい担体は皮膚科学的に許容可能な親水性希釈剤を含有する。ここで使用される際には、「希釈剤」は本発明の組成物が分散され、溶解され、または他の方法で導入されうる物質を包含する。親水性希釈剤の非限定例は、水、有機親水性希釈剤、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(例えば、分子量200−600g/モル)、ポリプロピレングリコール(例えば、分子量425−2025g/モル)、グリセロール、ブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、ソルビトールエステル類、1,2,6−ヘキサントリオール、エタノール、イソプロパノール、ソルビトールエステル類、ブタンジオール、エーテルプロパノール、エトキシル化エーテル類、プロポキシル化エーテル類およびそれらの組み合わせを包含する例えば低級1価アルコール類(例えば、C−C)並びに低分子量グリコール類およびポリオール類、である。水が好ましい希釈剤である。組成物は好ましくは約60%〜約99.99%の親水性希釈剤を含んでなる。
【0113】
当該発明に従う溶液剤は典型的には皮膚科学的に許容可能な親水性希釈剤を包含する。当該発明で有用な溶液剤は好ましくは約60%〜約99.99%の親水性希釈剤を含有する。
【0114】
当該発明に従うエーロゾル剤は噴射剤を例えば上記のような液剤に加えることにより製造することができる。ここで有用な例示噴射剤はクロロ−弗素化された低分子量炭化水素類を包含する。ここで有用な別の噴射剤は引用することにより本発明の内容となるSagarin,Cosmetics Science and Technology,2nd Edition,Vol.2,pp.443−465(1972)に記述されている。エーロゾル剤は典型的には皮膚に対して噴霧製品として適用される。
【0115】
ローション剤およびクリーム剤を包含するがそれらに限定されない当該発明の局部組成物は皮膚科学的に許容可能な皮膚緩和薬を含んでなりうる。そのような組成物は好ましくは約2%〜約50%の皮膚緩和薬を含有する。皮膚緩和薬は皮膚を潤滑にし、皮膚の円滑性および補充性(suppleness)を高め、皮膚の乾燥を防止もしくは緩和し、および/または皮膚を保護する傾向がある。皮膚緩和薬は典型的には水−非混和性の油性またはワックス状の物質である。広範囲の適当な皮膚緩和薬が既知でありそしてここで使用することができる。引用することにより本発明の内容となるSagarin,Cosmetics Science and Technology,2nd Edition,Vol.1,pp.32−43(1972)は皮膚緩和薬として適する物質の多くの例を含有する。
【0116】
本発明に従うローション剤およびクリーム剤は一般的に溶液剤担体システムおよび1種もしくはそれ以上の皮膚緩和薬を含んでなる。ローション剤は典型的には約1%〜約20%の、好ましくは約5%〜約10%の、皮膚緩和薬、約50%〜約90%の、好ましくは約60%〜約80%の、水を含んでなる。クリーム剤は典型的には約5%〜約50%の、好ましくは約10%〜約20%の、皮膚緩和薬、および約45%〜約85%の、好ましくは約50%〜約75%の、水を含んでなる。
【0117】
本発明の軟膏剤は、動物性もしくは植物性油類または半固体炭化水素類(油性)の単純な担体ベース、水を吸収して乳剤を生成する吸収軟膏剤ベース、または水溶性担体、例えば、水溶性の水溶液担体を含んでなりうる。軟膏剤は、例えば引用することにより本発明の内容となるSagarin,Cosmetics Science and Technology,2nd Edition,Vol.1,pp.72−73(1972)に記述されたもののような濃稠化剤、および/または皮膚緩和薬をさらに含んでなりうる。例えば、軟膏剤は約2%〜約10%の皮膚緩和薬、および約0.1%〜約2%の濃稠化剤を含んでなりうる。
【0118】
好ましい軟膏剤はユーセリン(Eucerine)およびグリセロールを含んでなり、好ましいゲル剤はメチルセルロース、グリセロールおよび水を含んでなるか、またはポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、エタノール、トリエタノールアミン、パラベンおよび水を含んでなり、好ましい溶液剤は水溶液剤またはエチルアルコールもしくはプロピレングリコールの溶液剤を含んでなる。
【0119】
本発明の組成物の局部調剤用の担体は1種もしくはそれ以上のビタミン類、例えばビタミンAまたはビタミンE、も包含しうる。
【0120】
本発明の組成物の局部調剤用の好ましい担体は1種もしくはそれ以上の以下のものを包含する:2−ジポリヒドロキシステリン酸ポリグリセリル、ジカプリリルエーテル、ココグリセリド類、アルバ蝋、セスキオレイン酸ソルビタン、ステアリン酸アルミニウム、クエン酸ジココイルペンタエリスリチルジステアリル、クエン酸ジココイルペンタエリスリチルジステアリル、セスキオレイン酸ソルビタン、グリセリン、ステアリン酸エチルヘキシル、炭酸ジカプリリル、ココグリセリド類、酢酸トコフェリル、DMDMヒダントイン、メチルパラベン、フェノキシエタノール、プロピルパラベン、ビタミンA、ビタミンE
、および水。
【0121】
経皮投与
本発明の化合物は皮膚または粘膜組織を通して普遍的な経皮薬品デリバリーシステムを用いて投与することもでき、ここで作用剤は薬品デリバリー装置として作用して皮膚に固定させる積層構造(典型的には経皮「パッチ剤」と称する)内に含有される。経皮薬品デリバリーは受動拡散を伴うことがあり、またはそれは電気輸送、例えば、イオン泳動、を用いて促進されうる。典型的な経皮「パッチ剤」では、薬品組成物が上部裏打ち層の下にある層または「受器(reservoir)」内に含有される。積層構造は単一受器を含有することもでき、またはそれは複数の受器を含有することもできる。「単層(monolithic)」システムと称する1つのタイプのパッチ剤では、受器はシステムを薬品デリバリー中に皮膚に固定するために作用する製薬学的に許容可能な接触接着剤物質の重合体マトリックスから構成される。適する皮膚接触接着剤物質の例はポリエチレン類、ポリシロキサン類、ポリイソブチレン類、ポリアクリレート類、ポリウレタン類などを包含するが、それらに限定されない。或いは、薬品−含有受器および皮膚接触接着剤は別個のそして異なる層であり、接着剤は受器の下にあり、それはこの場合には上記のような重合体マトリックスであってもよく、またはそれは液体もしくはヒドロゲル受器であってもよく、または他の形態をとってもよい。
【0122】
超音波投与
本発明の組成物の被験体への投与は超音波で補助されうる。ここで使用される際には、用語「超音波補助」は高周波数音波および/または振動の形態での超音波エネルギーの適用によりデリバリーが少なくとも部分的に誘導または補助されるような体表面(例えば皮膚、粘膜、または爪)を通る本発明の化合物(荷電された、荷電されていない、またはそれらの混合物)のデリバリーを一般的にさす。ここで使用される際には、用語「超音波」または「超音波エネルギー」は広い用語でありそしてその元の意味で使用されそして約20KHzより高い周波数を有する圧力または圧縮波を通して移される機械的エネルギーを意味するが、限定されない。1つの態様では、超音波エネルギーの波は約500KHz〜20MHzの間の周波数を有しそして他の態様では約1MHz〜3MHzの間である。さらに別の態様では、超音波エネルギーの波は約3MHzの周波数を有する。用語「超音波」は診断用、治療用および焦点に合わされた(focused)超音波を包含する。診断用超音波は約100mW/cmまでの範囲内(FDA推奨)の超音波エネルギー源をさす。治療用超音波は約3−4W/cmまでの範囲内(WHO推奨)の超音波エネルギー源をさす。
【0123】
焦点に合わされた超音波(FUS)は熱エネルギーを侵襲プローブなしにデリバリー可能にする(Morocz et al.1998 Journal of Magnetic Resonance Imaging Vol.8,No.1,pp.136−142を参照のこと)。焦点に合わされた超音波の別の形態は、Moussatov et
al.によりUltrasonics 1998 Vol.36,No.8,pp.893−900にそしてTranHuuHue et al.によりAcustica,1997,Vol.83,No.6,pp.1103−1106に論評されている高強度の焦点に合わされた超音波(HIFU)である。
【0124】
特定の態様では、本発明の組成物(例えば、ワカメ抽出物)は被験体にデルミソニクス(Dermisonics)(http://www.dermisonics.com/)により提供されるU−ストリップ(U−Strip)経皮デリバリーシステム、A−ワンド(A−wand)防腐性デリバリーシステム、および/またはU−ワンド(U−wand)化粧品デリバリーシステムからの「超音波補助」を用いて投与される。
【0125】
イオン泳動
本発明の組成物の被験体への投与はイオン泳動で補助されうる。ここで使用される際には、用語「イオン泳動」はデリバリーが電位の適用により部分的に誘導または補助されるような体表面(例えば皮膚、粘膜、または爪)を通る治療剤(荷電された、荷電されていない、またはそれらの混合物)のデリバリーを一般的にさす。当該技術で既知であるように、電気移送方法であるイオン泳動は荷電されたイオンの電気的に誘導される移送を包括する。
【0126】
多くの場合、記述された1つより多い方法を異なる程度まで同時に行うことができる。従って、用語「イオン泳動」はここではその最も広い可能な解釈で示され、少なくとも1種の荷電されたもしくは荷電されていない剤、またはそれらの混合物(例えば、ワカメ抽出物)の電気的に誘導されるかまたは促進される輸送を、作用剤が実際に輸送される特定の機構にかかわらず、包含する。
【0127】
代表的な経皮イオン泳動システムでは、マイクロ−アンペアないし数ミリアンペアの範囲の低い一定電流が数分間ないし数日間の範囲の長期間にわたり適用される。或いは、ミリボルトないし数ボルトの範囲の低い一定電圧が数分間ないし数日間の範囲の長期間にわたり適用される。適用される電気条件のゆっくりした傾斜上昇によっても目標電流または電圧が達成されうる。或いは、目標電流または電圧から出発して、時間経過につれて電気条件を傾斜低下させることもできる。或いは、上記の電気条件を用いる連続的拍動がイオン泳動の全期間にわたり適用される。まとめると、上記の電気条件をここでは「イオン泳動エネルギー」と称する。上記の条件は電気穿孔現場で適用される電気条件とは異なりそして細胞膜を通す測定可能な孔形成をもたらさない。
【0128】
イオン泳動を用いて活性物質をデリバリーする装置が多くの用途のために開発されており、それらのほとんどは被験体の皮膚の中および被験体の循環系統または他の器官内の製薬学的化合物のデリバリーを含む。イオン泳動を用いる本発明の組成物の被験体への投与の促進用装置は当業者に既知である。
【0129】
鞘内投与
鞘内投与のために使用される1つの普遍的なシステムはメドトロニック・インコーポレーテッド(Medtronic,Inc.)から入手可能なAPT鞘内処置システムである。APT鞘内装置は、腹の皮膚の下に外科的に置かれて薬品を鞘内空間に直接デリバリーさせる小さいポンプを使用する。薬品はこれも外科的に置かれているカテーテルと称する小管を通してデリバリーされる。薬品を次に下部尿管障害に関係する移送間隔および運動信号に関与する脊椎内細胞に直接投与することができる。
【0130】
膀胱内投与
膀胱内投与の用語はここでは膀胱内への薬品の直接的デリバリーを意味するためにその簡便な意味において使用される。膀胱内投与に適する方法は、例えば、米国特許第6,207,180号および米国特許第第6,039,967号に見られる。
【0131】
別の投与形態米国特許第
本発明の別の剤形は米国特許第6,340,475号、米国特許第6,488,962号、米国特許第6,451,808号、米国特許第5,972,389号、米国特許第5,582,837号、および米国特許第5,007,790号に記述されているような薬用量形態を包含する。本発明の別の薬用量形態は米国特許出願第20030147952号、米国特許出願第20030104062号、米国特許出願第20030104053号、米国特許出願第20030044466号、米国特許出願第20030039688号、および米国特許出願第20020051820号に記述されているような薬用量形態
も包含する。本発明の別の薬用量形態はPCT特許出願国際公開第03/35041号、PCT特許出願国際公開第03/35040号、PCT特許出願国際公開第03/35029号、PCT特許出願国際公開第03/35177号、PCT特許出願国際公開第03/35039号、PCT特許出願国際公開第02/96404号、PCT特許出願国際公開第02/32416号、PCT特許出願国際公開第01/97783号、PCT特許出願国際公開第01/56544号、PCT特許出願国際公開第01/32217号、PCT特許出願国際公開第98/55107号、PCT特許出願国際公開第98/11879号、PCT特許出願国際公開第97/47285号、PCT特許出願国際公開第93/18755号、およびPCT特許出願国際公開第90/11757号に記述されているような薬用量形態も包含する。
【0132】
調節放出調剤および薬品デリバリーシステム
ある種の態様では、本発明の調剤は短期間、即効性、並びに調節、例えば、持続、放出、遅延放出および拍動放出調剤でありうるが、それらに限定されない。
【0133】
持続放出の用語は、長期間にわたり薬品の徐々の放出を与えそして必ずしも必要ではないが長期間にわたり薬品の実質的に一定の血液レベルをもたらす薬品調剤をさすためにその一般的な意味で使用される。期間は1ヶ月間もしくはそれ以上であることができそして濃縮塊形態で投与される場合の同量の剤より長い放出でなければならない。
【0134】
持続放出に関しては、化合物は持続放出性質を化合物に与える適当な重合体または疎水性物質と調合することができる。そのため、本発明の方法の使用のための化合物は微粒子の形態で例えば注射によりまたはウエファー剤もしくはディスク剤の形態で移植により投与することができる。
【0135】
本発明の好ましい態様では、MNA−含有食品抽出物は被験体に持続放出調剤を用いて投与される。
【0136】
遅延放出の用語はここでは、投薬からある程度の遅延後に最初の薬品放出を与えそして必ずしも必要ではないが約10分間から約12時間までの遅延を包含する薬品調剤をさすためにその一般的な意味で使用される。
【0137】
拍動放出の用語はここでは、投薬後に薬品の拍動血漿プロフィルを生ずるような方法での薬品の放出を与える薬品調剤をさすためにその一般的な意味で使用される。
【0138】
即時放出の用語は、投薬直後に薬品の放出を与える薬品調剤をさすためにその一般的な意味で使用される。
【0139】
ここで使用される際には、短期間は投薬後約8時間、約7時間、約6時間、約5時間、約4時間、約3時間、約2時間、約1時間、約40分間、約20分間、または約10分間までおよびそれらを包含するいずれかの期間をさす。
【0140】
ここで使用される際には、即効性は投薬後約8時間、約7時間、約6時間、約5時間、約4時間、約3時間、約2時間、約1時間、約40分間、約20分間、または約10分間までおよびそれらを包含するいずれかの期間をさす。
【0141】
服用
本発明の食品抽出物の治療的に有効な量すなわち服用量は、罹患体の年令、性別および体重、罹患体の最近の医学的症状並びに処置されるリポ蛋白質異常症の性質に依存するであろう。当業者はこれらのおよび他の因子により適切な薬用量を判定しうるであろう。
【0142】
本発明の化合物(すなわち、食品抽出物中で見られるMNA)の適切な服用量は1日当たり約0.001mg〜500mg、例えば1日当たり約0.01mg〜約100mg、例えば約0.05mg〜約50mg、例えば1日当たり約0.5mg〜約25mg、の範囲内でありうる。服用量は単一薬用量または複数薬用量で、例えば1日当たり1〜4回もしくはそれ以上の回数で、投与することができる。複数薬用量が使用される時には、各薬用量の量は同一もしくは相異なりうる。例えば、1日当たり1mgの服用量を2回ずつの0.5mgの服用で、服用間に約12時間の間隔をあけて、投与することができる。
【0143】
1日当たりの食品抽出物の服用量を毎日、1日おき、2日おき、3日おき、4日おき、5日おきなどで投与できることは理解される。例えば、1日おき投与で、1日当たり5mgの服用量で月曜日に開始し、水曜日に1日当たり5mgのその後の第一回服用量を投与し、金曜日に1日当たり5mgのその後の第二回服用量を投与することができるなどである。
【0144】
本発明の方法における使用のための化合物を単位剤形に調合することができる。用語「単位剤形」は処置を受ける被験体のための単位薬用量として適する物理的に分離している単位をさし、各単位は場合により適当な製薬学的担体と一緒になって所望する治療効果を生ずるように計算された予め決められた量の活性物質を含有する。単位剤形は単一の1日服用量または複数(例えば、1日当たり約1〜4回もしくはそれ以上の回数)の1日服用量の1回分でありうる。複数の1日服用量が使用される時には、単位剤形は各服用量に関して同一もしくは相異なりうる。
【0145】
同等物
当業者は日常的な実験だけで、ここに記述された特定の工程、態様、特許請求の範囲、および実施例に関する多くの同等物を認識するかまたは確認しうるであろう。そのような同等物は本発明の範囲内に入ると考えられそしてここに添付された特許請求の範囲により包括される。例えば、反応時間、反応規模/容量、並びに実験試薬、例えば溶媒、触媒、圧力、大気条件、例えば窒素雰囲気、および還元/酸化剤など、を包含する反応条件における当該技術で認識されている代替物によるそして日常的な実験だけを用いる改変は本出願の範囲内にあることを理解すべきである。
【0146】
例えば被験体人口の年齢、薬用量、および血液レベルにおけるような値および範囲がここのどこで与えてもそれにかかわらず、これらの値および範囲により包括される全ての値および範囲は本発明の範囲内に包括されることが意味されることを理解すべきである。さらに、これらの範囲内に入る全ての値、並びにある範囲の値の上限または下限も本出願により包括される。
【0147】
参考文献の導入
本出願にわたり引用された全ての参考文献、発行された特許、および公開された特許出願の内容は引用することにより本発明の内容となる。ここに記述された化合物のいずれの使用も本発明の範囲内にありそして本発明により包括されることが意図されそして全ての目的のために明らかに導入されることを理解すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0148】
発明の例示
本発明を以下の実施例によりさらに説明し、それらはさらなる限定であるとみなすべきでない。
【実施例1】
【0149】
ワカメ抽出物の製造
乾燥海藻(100g)をコーヒーグラインダー中で粉末化しそして500mLの水−96%エタノール溶液(2:1、v/v)中に懸濁させた。混合物を2時間にわたり室温において激しく撹拌し、次に濾紙を通して濾過した。濾液を回転蒸発器(約20mmHg、30℃を越えない温度)中で濃縮してほぼ乾固し、残渣を150mLの水中に溶解させ、10分間にわたり室温において撹拌しそして濾紙を通して濾過した。回転蒸発器中での水の蒸発、その後の真空乾燥器中でのP上での乾燥が約28gの淡ベージュ色粉末を与え、それは吸湿性であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処置を必要とする被験体にN−メチルニコチンアミドを含有する食品抽出物を投与することにより被験体においてリポ蛋白質異常症を処置する方法。
【請求項2】
食品抽出物が海藻抽出物である、請求項1の方法。
【請求項3】
海藻がワカメである、請求項2の方法。
【請求項4】
リポ蛋白質異常症がアテローム硬化症である、請求項1の方法。
【請求項5】
食品抽出物が経口投与される請求項1の方法。
【請求項6】
食品抽出物を食品材料と混合し、ここで食品材料が穀類、パン、飲料、健康食品、ジュース、濃縮物、缶入り食品、アイスクリーム、水、食料品、例えばいずれかの形態のトウモロコシ、大麦、小麦およびカラス麦、並びに味マスカー、例えば糖またはアスコルビン酸、よりなる群から選択される請求項1の方法。
【請求項7】
食品抽出物が局部投与される、請求項1の方法。
【請求項8】
食品抽出物の1日服用量が1.0mg/kg〜1000mg/kgの間である請求項1の方法。
【請求項9】
食品抽出物の1日服用量が5.0mg/kg〜500mg/kgの間である請求項1の方法。
【請求項10】
食品抽出物の1日服用量が6.0mg/kg〜100mg/kgの間である請求項1の方法。
【請求項11】
被験体が哺乳動物である、請求項1の方法。
【請求項12】
哺乳動物が人間である、請求項10の方法。
【請求項13】
リポ蛋白質異常症がアテローム硬化症、高脂血症、狭心症または心臓危険因子の発生および進行に関係する疾病または障害である、請求項1の方法。
【請求項14】
アテローム硬化症の発生および進行に関係する疾病または障害が高血圧症、異脂血症、糖尿病または肥満症である、請求項13の方法。
【請求項15】
アテローム硬化症の該処置がアテローム硬化症斑の進行を遅延させる、請求項14の方法。
【請求項16】
アテローム硬化症斑の進行が冠状動脈内で遅延させられる、請求項15の方法。
【請求項17】
アテローム硬化症斑の進行が頸動脈内で遅延させられる、請求項15の方法。
【請求項18】
アテローム硬化症斑の進行が末梢動脈系内で遅延させられる、請求項15の方法。
【請求項19】
アテローム硬化症の処置がアテローム硬化症斑の退行を引き起こす、請求項14の方法。
【請求項20】
アテローム硬化症斑の該退行が冠状動脈内で起きる、請求項19の方法。
【請求項21】
リポ蛋白質異常症が高血圧症、脳血管痙攣、冠状血管痙攣、気管支喘息、早産、勃起不全症、緑内障、血管平滑筋細胞増殖症、心筋肥大、悪性腫(malignoma)、虚血−誘発性損傷、再灌流−誘発性損傷、内皮不全症、クローン病および大腸炎、神経突起成長、レーノー病、アンギナ、アルツハイマー病または良性前立腺過形成に関係する、請求項1の方法。
【請求項22】
リポ蛋白質異常症が勃起不全症、再灌流、虚血または血管痙攣に関係する、請求項1の方法。
【請求項23】
リポ蛋白質異常症が認知症または癌に関係する、請求項1の方法。
【請求項24】
癌が前立腺、皮膚、肺、結腸、膀胱、子宮および腎臓癌よりなる群から選択される、請求項23の方法。
【請求項25】
リポ蛋白質異常症が心臓血管疾病、末梢血管疾病、異脂血症、異リポ蛋白質血症、再狭窄、グルコース代謝の障害、アルツハイマー病、X症候群、ペルオキシソーム増殖物質活性化受容体−関係障害、敗血症、血栓障害、肥満症、膵臓炎、高血圧症、腎臓疾病、炎症、炎症性筋肉疾病、例えばリウマチ性多発性筋痛、多発性筋炎、線維症、胃腸疾病、刺激性腸症候群、炎症性腸疾病、炎症性障害、不能症、関節炎、オステオポロシス、軟質組織リウマチ、自己免疫疾病、強皮症、強直性脊椎炎、痛風、偽痛風、非−インスリン依存性真性糖尿病、敗血症ショック、多嚢胞性卵巣疾病、高脂血症、リポ蛋白質リパーゼ欠乏症、糖尿病に関係するリポ蛋白質異常症、肥満症に関係するリポ蛋白質異常症、およびアルツハイマー病に関係するリポ蛋白質異常症に関係する、請求項1の方法。
【請求項26】
処置を必要とする被験体にN−メチルニコチンアミドを含有する食品抽出物を投与することにより被験体においてアテローム硬化症を処置する方法。
【請求項27】
処置を必要とする被験体にN−メチルニコチンアミドを含有する食品抽出物を投与することにより被験体においてLDL−コレステロールレベルを低下させる方法。
【請求項28】
処置を必要とする被験体にN−メチルニコチンアミドを含有する食品抽出物を投与することにより被験体においてHDL−コレステロールレベルを上昇させる方法。
【請求項29】
食品抽出物が海藻抽出物である、請求項26、27または28の方法。
【請求項30】
海藻がワカメである、請求項29の方法。
【請求項31】
食品抽出物が局部投与される、請求項26、27または28の方法。
【請求項32】
食品抽出物が経口投与される、請求項26、27または28の方法。
【請求項33】
食品抽出物を食品材料と混合し、ここで食品材料が穀類、パン、飲料、健康食品、ジュース、濃縮物、缶入り食品、アイスクリーム、水、食料品、例えばいずれかの形態のトウモロコシ、大麦、小麦およびカラス麦、または味マスカー、例えば糖もしくはアスコルビン酸、よりなる群から選択される、請求項26、27または28の方法。
【請求項34】
食品抽出物がスタチン(statin)と同時投与される、請求項1、26、27また
は28の方法。
【請求項35】
スタチンがメバスタチン(mevastatin)、ロバスタチン(lovastatin)、シムバスタチン(simvastatin)、プラバスタチン(pravastatin)、フルバスタチン(fluvastatin)、ピタバスタチン(pitavastatin)、アトルバスタチン(atorvastatin)、セリバスタチン(cerivastatin)、ロスバスタチン(rosuvastatin)、ペントスタチン(pentostatin)、もしくはニスタチン(nystatin)、またはその製薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、クラスレート、多形、プロドラッグ、もしくは薬理学的に活性な代謝産物である、請求項34の方法。
【請求項36】
スタチンおよび食品抽出物が被験体に順次投与される、請求項34の方法。
【請求項37】
スタチンおよび食品抽出物が経口的に、鼻に、直腸に、膣内に、非経口的に、頬に、舌下にまたは局部的に投与される、請求項34の方法。
【請求項38】
スタチンおよび食品抽出物が澱粉、糖、セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、香料剤、防腐剤、酸化防止剤、可塑剤、ゲル化剤、濃稠化剤、硬化剤、凝結剤、懸濁化剤、界面活性剤、湿潤剤、担体、安定剤、またはそれらの組み合わせから選択される1種もしくはそれ以上の製薬学的に許容可能な賦形剤を用いて調合される、請求項34の方法。
【請求項39】
食品抽出物が製薬学的に許容可能な担体または賦形剤をさらに含んでなる、請求項1、26、27または28の方法。
【請求項40】
食品抽出物が1種もしくはそれ以上の製薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤と共に投与される、請求項1、26、27または28の方法。
【請求項41】
食品抽出物が錠剤形態である、請求項1、26、27または28の方法。
【請求項42】
食品抽出物がカプセル剤形態である、請求項1、26、27または28の方法。
【請求項43】
食品抽出物が調節放出または持続放出形態である、請求項1、26、27または28の方法。
【請求項44】
処置を必要とする被験体にワカメ抽出物を含んでなる局部組成物を投与することにより被験体において皮膚疾病および障害を処置する方法。
【請求項45】
皮膚疾病または障害が日焼け、火傷、熱傷、皮膚創傷、皺、皮膚内の酸化損傷および紫外線−誘発性皮膚損傷よりなる群から選択される、請求項44の方法。
【請求項46】
該組成物が毎日基準で適用される、請求項44の方法。
【請求項47】
組成物が少なくとも2週間にわたり投与される、請求項44の方法。
【請求項48】
組成物が少なくとも1ヶ月間にわたり投与される、請求項44の方法。
【請求項49】
組成物が少なくとも2ヶ月間にわたり投与される、請求項44の方法。
【請求項50】
組成物が少なくとも3ヶ月間にわたり投与される、請求項44の方法。
【請求項51】
局部組成物がクリーム剤、香膏剤、軟膏剤、リポソーム調剤、水溶液剤またはゲル剤中に調合される、請求項44の方法。
【請求項52】
局部組成物が水、グリセリン、ワセリン、鉱油微結晶性ワックス類、パラフィン類、オゾケライト、ポリエチレン、ポリブテン、ポリデセンおよびペルヒドロスクアレン、ジメチコーン類、シクロメチコーン類、アルキルシロキサン類、ポリメチルシロキサン類およびメチルフェニルポリシロキサン類、ラノリン、ラノリン油、ラノリンワックス、ラノリンアルコール類、ラノリン脂肪酸類、イソプロピルラノレート、アセチル化ラノリン、アセチル化ラノリンアルコール類、ラノリンアルコールリノレエート、ラノリンアルコールリコノレエートヒマシ油、大豆油、ヒマワリ種子油、マレイン化大豆油、サフラワー油、綿実油、トウモロコシ油、クルミ油、ピーナッツ油、オリーブ油、鱈肝油、アーモンド油、アボカド油、ヤシ油およびゴマ油、並びにそれらのいずれかの組み合わせよりなる群から選択される追加成分を含有する、請求項44の方法。
【請求項53】
局部組成物が超音波放射の補助で投与される、請求項44の方法。
【請求項54】
MNAで富化されているワカメ抽出物。
【請求項55】
抽出物が100合計グラム当たり4mg−99mgのMNAで富化されている、請求項54のワカメ抽出物。
【請求項56】
抽出物が100合計グラム当たり4mg−15mgのMNAで富化されている、請求項54のワカメ抽出物。
【請求項57】
抽出物が100合計グラム当たり15.1mg−30mgのMNAで富化されている、請求項54のワカメ抽出物。
【請求項58】
抽出物が100合計グラム当たり30.1mg−45mgのMNAで富化されている、請求項54のワカメ抽出物。
【請求項59】
抽出物が100合計グラム当たり45.1mg−60mgのMNAで富化されている、請求項54のワカメ抽出物。
【請求項60】
抽出物が100合計グラム当たり60.1mg−75mgのMNAで富化されている、請求項54のワカメ抽出物。
【請求項61】
抽出物が100合計グラム当たり75.1mg−90mgのMNAで富化されている、請求項54のワカメ抽出物。
【請求項62】
抽出物が100合計グラム当たり90.1mg−99mgのMNAで富化されている、請求項54のワカメ抽出物。
【請求項63】
MNAで富化されているワカメを含んでなる局部組成物。

【公表番号】特表2010−506900(P2010−506900A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532917(P2009−532917)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際出願番号】PCT/IB2007/004530
【国際公開番号】WO2008/096203
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(509111180)
【Fターム(参考)】