説明

リール部材検査装置及びこれを用いたフランジ間隔検査方法

【課題】リール部材のフランジ間隔を検査する場合において、ばらつきのない検査を迅速に行うことができるフランジ間隔検査装置を安価に提供する。
【解決手段】本発明のフランジ間隔検査装置は、長尺の接着テープを巻取可能な巻芯軸部を挟んで一対のフランジを有するリール部材のフランジ間隔を検査するリール部材検査装置1であって、リール部材を回転可能な状態で支持するリール回転支持軸7と、リール回転支持軸7と平行に設けられ、リール部材に対応するピン状の検査冶具20を保持する検査冶具保持部10を回転可能な状態で支持するシャフト90とを有する。シャフト90に支持された検査冶具保持部10の検査冶具20の先端部の軌跡が、リール回転支持軸7に支持されるリール部材の一対のフランジの間に位置するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺の接着テープを巻き取るリール部材のフランジ間の間隔(以下、「フランジ間隔」という。)を検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種のリール部材においては、5〜10mm程度の幅の接着テープやフィルム類を円滑に巻き取り、かつ、円滑に引き出すため、一対のフランジ間の間隔が一定であることが求められる。
このため、リール部材を作成した後に、一対のフランジ間の間隔を検査を行うようにしている。
しかし、従来は、作業者が検査用のピン状の冶具を指でつまんでフランジ間の縁部に冶具を接触させることにより行っていたため、作業者によって検査結果にばらつきが生ずるという問題があった。
この場合、フランジ間の間隔を測定する専用の装置を用いることも考えられるが、フランジ間隔の検査のコストが高くなってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、このような従来の技術の課題を解決するためになされたもので、リール部材のフランジ間隔を検査する場合において、ばらつきのない検査を迅速に行うことができるフランジ間隔検査装置を安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を達成するためになされた本発明装置は、長尺の接着テープやフィルム類を巻取可能な巻芯軸部を挟んで一対のフランジを有するリール部材における当該一対のフランジの間の間隔を検査するリール部材検査装置であって、前記リール部材を回転可能な状態で支持するリール回転支持軸と、前記リール回転支持軸と平行に設けられ、前記リール部材に対応するピン状の検査冶具を保持する検査冶具保持部を回転可能な状態で支持する検査冶具支持軸とを有し、前記検査冶具支持軸に支持された、前記検査冶具保持部の検査冶具の先端部の軌跡が、前記リール回転支持軸に支持される当該リール部材の一対のフランジの間に位置するように構成されているものである。
本発明では、前記検査冶具保持部には、検査冶具を吸着保持するための磁石からなる検査冶具吸着部が設けられ、当該検査冶具が着脱自在に構成されている場合にも効果的である。
本発明では、前記検査冶具支持軸が、前記リール回転支持軸に対して平行状態を保持しつつ前記リール回転支持軸に対する距離が変化するように移動可能に構成されている場合にも効果的である。
本発明では、前記検査冶具保持部が、前記検査冶具支持軸に沿って移動可能に構成されている場合にも効果的である。
本発明では、前記リール部材を位置決めするための位置決め手段を有する場合にも効果的である。
本発明では、前記リール回転支持軸が、駆動モータに連結され、当該駆動モータの動作によって前記リール回転支持軸が所定の角度回転するように構成されている場合にも効果的である。
一方、本発明方法は、上述したいずれかのリール部材検査装置を用いてリール部材の一対のフランジの間の間隔を検査する方法であって、前記リール回転支持軸に、検査対象であるリール部材を支持させる工程と、前記検査冶具を前記リール部材の一対のフランジ間の直上の位置に配置する工程と、当該検査冶具の先端部を前記リール部材の一対のフランジの内縁部に支持させる工程と、前記リール回転支持軸に支持された前記リール部材を当該リール回転支持軸を中心として回転させる工程とを有するフランジ間隔検査方法である。
本発明では、前記リール回転支持軸に、検査対象であるリール部材を複数支持させる工程と、前記検査冶具を前記検査冶具支持軸に沿って移動させて各リール部材の一対のフランジ間の直上の位置に配置する工程とを有する場合にも効果的である。
本発明では、検査対象であるリール部材が、三つ以上のフランジを有する多段のリール部材である場合にも効果的である。
【0005】
本発明装置の場合、検査冶具支持軸に回転可能に支持された検査冶具保持部の検査冶具の先端部の軌跡が、検査冶具支持軸と平行なリール回転支持軸に支持されるリール部材の一対のフランジの間に位置するように構成されていることから、検査冶具の先端部を、リール回転支持軸に支持されたリール部材の一対のフランジの内縁部に載置し、その状態でリール部材を回転させることにより、検査冶具の先端部とリール部材との距離を一定に保つことができるとともに、検査冶具からリール部材に対する押圧力を一定に保持することができるので、作業者による検査結果のばらつきを最小限にすることができる。
また、本発明によれば、リール部材のフランジ間隔の検査を迅速に行うことができる。
さらに、本発明においては、少ない部材で構成することができ、また機械的部材のみによって構成することができるため、安価なフランジ間隔検査装置を提供することができる。
【0006】
本発明において、検査冶具保持部に、検査冶具を吸着保持するための磁石からなる検査冶具吸着部が設けられ、当該検査冶具が着脱自在に構成されている場合には、リール部材に応じた検査冶具を選択することができるので、汎用性の広いフランジ間隔検査装置を提供することができる。
【0007】
本発明において、検査冶具支持軸が、リール回転支持軸に対して平行状態を保持しつつリール回転支持軸に対する距離が変化するように移動可能に構成されている場合には、径の異なるリール部材のフランジ間隔を検査することができるので、汎用性の広いフランジ間隔検査装置を提供することができる。
【0008】
本発明において、検査冶具保持部が、検査冶具支持軸に沿って移動可能に構成されている場合には、フランジや巻芯軸部の厚さが異なるリール部材、またフランジが三つ以上の多段のリール部材のフランジ間隔を検査することができるので、汎用性の広いフランジ間隔検査装置を提供することができる。
【0009】
本発明において、リール部材を位置決めするための位置決め手段を有する場合には、検査冶具の先端部の軌跡を、リール回転支持軸に支持されたリール部材の一対のフランジの間に確実及び迅速に配置させることができ、これにより、作業者による検査結果のばらつきをより小さくすることができるとともに、リール部材のフランジ間隔の検査をより迅速に行うことができる。
【0010】
本発明において、リール回転支持軸が、駆動モータに連結され、当該駆動モータの動作によってリール回転支持軸が所定の角度回転するように構成されている場合には、フランジ間隔の検査の際、リール回転支持軸に支持されたリール部材の一対のフランジの内縁部に検査冶具の先端部を載置した状態で、一定速度で一定の角度でリール部材を回転させることができるので、作業者による検査結果のばらつきをより小さくすることができるとともに、リール部材のフランジ間隔の検査をより迅速に行うことができ、さらには操作をより簡単にすることができる。
【0011】
また、本発明方法によれば、複数のリール部材及び多段のリール部材に対し、作業者による検査結果のばらつきを最小限にすることができるとともに、フランジ間隔の検査を迅速に行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
以上述べたように本発明によれば、ばらつきのない検査を迅速に行うことができるフランジ間隔検査装置を安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a):本実施の形態におけるリール部材検査装置の全体構成を示す正面図である。(b):同リール部材検査装置の全体構成を示す側面図である。
【図2】同リール部材検査装置の全体構成を示す平面図である。
【図3】(a)(b):同リール部材検査装置の検査冶具保持部を示す部分断面図である。
【図4】(a)(b):同リール部材検査装置を用いてリール部材の一対のフランジの間の間隔を検査する方法の例を示す説明図である(その1)。
【図5】(a)(b):同リール部材検査装置を用いてリール部材の一対のフランジの間の間隔を検査する方法の例を示す説明図である(その2)。
【図6】(a):本発明における検査冶具のリール部材の縁部と接触する角度の関係を示す説明図である。(b):本発明における検査冶具とリール部材のフランジ間隔との関係を示す説明図である。
【図7】(a):図4(a)(b)及び図5(a)(b)で検査したリール部材より大きさの小さいリール部材を検査する場合の検査方法の例を示す正面図である。(b):図4(a)(b)及び図5(a)(b)で検査したリール部材より大きさの小さいリール部材を検査する場合の検査方法の例を示す側面図である。
【図8】(a):図4(a)(b)及び図5(a)(b)で検査したリール部材より大きさの小さいリール部材を検査する場合の検査方法の例を示す正面図である。(b):図4(a)(b)及び図5(a)(b)で検査したリール部材より大きさの小さいリール部材を検査する場合の検査方法の例を示す側面図である。
【図9】(a)(b):本実施の形態において、多段のリール部材のフランジ間隔の検査方法を示す説明図である。
【図10】(a)〜(c):検査冶具保持部の位置決め手段の例を示す説明図である。
【図11】(a):本発明の他の実施の形態におけるリール部材検査装置の全体構成を示す正面図である。(b):同リール部材検査装置の全体構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態におけるリール部材検査装置の全体構成を示すもので、図1(a)は、正面図、図1(b)は、側面図である。
図2は、同リール部材検査装置の全体構成を示す平面図、図3(a)(b)は、同リール部材検査装置の検査冶具保持部を示す部分断面図である。
なお、以下の説明において、各部分の上下関係に関しては、本発明に係るリール部材検査装置を水平な面上に載置した状態で説明するものとする。
【0015】
図1(a)(b)に示すように、本実施の形態のリール部材検査装置1は、例えば矩形平板状の金属材料からなる基部2と、基部2の上面に垂直に設けられた例えば矩形平板状の金属材料からなる支持板3とを有している。
基部2と支持板3とは、人手によって持ち運びできるような大きさに形成され、基部2の上面には、支持板3を支持するための一対のリブ4が設けられている。また、基部2の上面には、持ち運び用の一対の取手部5が設けられている。
【0016】
本実施の形態においては、支持板3の一方の面のほぼ中央部分に、所定のリール部材を装着するためのリール装着部6aが設けられている。
リール装着部6aは、水平方向に延びるように設けられたリール回転支持軸7を有している。
このリール装着部6aは、例えば支持板3の他方の面上に設けられた軸受け8によってリール回転支持軸7と共に回転するように構成されている。さらに、本実施の形態においては、後述するように、リール装着部6aに装着されたリール部材50(図4参照)を固定するための固定部材6bを有している。
支持板3の例えば一方の縁部には、ガイド孔30が設けられている。このガイド孔30は、例えば基部2に対して直交する方向(上下方向)に延びる長孔によって形成されている。
【0017】
本発明の場合、特に限定されることはないが、種々の大きさのフランジを有するリール部材を検査できるようにする観点からは、ガイド孔30の基部2側の先端部(下端部)が、リール回転支持軸7とほぼ同一の高さ位置となるように形成するとよい。
一方、同様の観点から、ガイド孔30の基部2と反対側の先端部(上端部)が、検査対象であるリール部材50の上端部より高い位置となるように形成するとよい。
【0018】
本実施の形態においては、この支持板3のガイド孔30に、検査冶具保持手段9が装着されるようになっている。
ここで、検査冶具保持手段9は、例えばステンレスからなる直線状のシャフト(検査冶具支持軸)90を有している。
このシャフト90は、その本体部の太さが支持板3のガイド孔30の幅より若干大きくなるように設定され、一方の端部に、雄ねじ部91が設けられている。
ここで、シャフト90の雄ねじ部91は、その太さが支持板3のガイド孔30の幅より若干小さく、かつ、その長さが支持板3の厚さより長くなるように設定され、これによりシャフト90の雄ねじ部91を例えば支持板3の一方の面側からガイド孔30内に挿入した場合に、シャフト90の本体部が支持板3のガイド孔30の縁部に当接して位置決めされるとともに、雄ねじ部91の先端部が支持板3の他方の面から突出するように構成されている。
【0019】
そして、支持板3の他方の面から突出したシャフト90の雄ねじ部91に対してはまり合う雌ねじ部92を有するキャップ状の締め付け部材93を回転させることによって、シャフト90をリール装着部6aのリール回転支持軸7と平行にした状態で締結固定するように構成されている。
その一方で、締め付け部材93を締結方向と逆方向へ回転させることにより、支持板3に対する締め付けを緩め、これによりシャフト90をガイド孔30に沿って上下方向へ移動させることができるようになっている。
このような構成により、シャフト90が、リール回転支持軸7に対して平行状態を保持しつつリール回転支持軸7に対する距離が変化するように移動させるようになっている。
【0020】
なお、シャフト90の他方の端部には、例えば、図1(b)に示すように、カバー部材93を設けることもできる(図1(a)及び以下に説明する正面図においては、カバー部材93は省略されている。)。
このカバー部材93は、以下に説明する検査冶具保持部10の脱落を防ぐため、また、検査冶具保持部10の位置決めを行うためのものである。
検査冶具保持手段9のシャフト90には、例えば樹脂材料からなる検査冶具保持部10が装着されている。
【0021】
ここで、検査冶具保持部10には、図3(a)(b)に示すように、シャフト90の直径より若干大きい内径の装着孔10aが設けられ、これにより検査冶具保持手段9のシャフト90を検査冶具保持部10の装着孔10aに挿入した場合に、シャフト90の回転軸線を中心として回転可能な状態で装着されるように構成されている。
また、本実施の形態においては、検査冶具保持部10の内部に、例えば永久磁石からなる検査冶具吸着部11が設けられている。
【0022】
検査冶具保持部10には、検査冶具を挿入するための挿入孔12が設けられている。本実施の形態では、この挿入孔12は、上述した装着孔10aと直交する方向に延びるように設けられ、さらに、検査冶具保持部10の表面から検査冶具保持部10内に設けた検査冶具吸着部11まで達するように形成されている。
なお、挿入孔12の内径は、検査に用いる検査冶具20の太さより若干大きくなるように設定することが好ましい。
一方、本発明で使用する検査冶具20は、精密加工された円柱棒状の金属製の部材からなり、従来から用いられている市販のピンゲージを好適に用いることができる。
【0023】
図3(b)に示すように、このような検査冶具20の一方の端部を検査冶具保持部10の挿入孔12に挿入すると、検査冶具20の先端部が検査冶具吸着部11によって吸着される。
本発明の場合、検査冶具20の先端部が検査冶具吸着部11に吸着された状態において、検査冶具保持手段9のシャフト90に装着された検査冶具保持部10を回転させた場合であっても検査冶具20が検査冶具保持部10から抜け落ちないように、検査冶具20と、検査冶具吸着部11に用いる磁石とを選択することが好ましい。
【0024】
図4(a)(b)及び図5(a)(b)は、本実施の形態のリール部材検査装置を用いてリール部材の一対のフランジの間の間隔を検査する方法の例を示すものである。
図6(a)は、本発明における検査冶具のリール部材の縁部と接触する角度の関係を示す説明図、図6(b)は、本発明における検査冶具とリール部材のフランジ間隔との関係を示す説明図である。
【0025】
図4(a)に示すように、本実施の形態では、まず、検査対象であるリール部材50を、人手によってリール装着部6aに装着し、固定部材6bによって固定する(以下、人手は図示せず)。
また、このリール部材50に対応する検査冶具20の一方の端部を検査冶具保持部10の挿入孔12に挿入し、検査冶具20の先端部を検査冶具吸着部11に吸着させて装着する。
そして、図4(b)に示すように、人手(指)により検査冶具保持部10を把持してシャフト90に沿って移動させ、検査冶具20がリール部材50に接触しないようにリール部材50の直上の位置に配置する。
【0026】
すなわち、検査冶具保持部10の検査冶具20の先端部の軌跡が、リール回転支持軸7に支持されたリール部材50の一対の即ち第1及び第2のフランジ51、52の間に位置するようにする。
この状態において、検査冶具20の把持を解除する。その結果、図5(a)、(b)に示すように、検査冶具保持部10が、検査冶具20の自重によってシャフト90を中心として検査冶具20の先端部が下方する方向へ回転し、リール部材50の第1及び第2のフランジ51、52の内側縁部に当接して検査冶具20が支持される。
【0027】
本発明の場合、特に限定されることはないが、より正確にフランジ間隔を測定する観点からは、図6(a)に示すように、検査の際、検査冶具20の先端部と第1及び第2のフランジ51、52の内側の縁部とが、第1及び第2のフランジ51、52の上端部近傍の点P1、P2において接触するように、支持板3のガイド孔30の位置、検査冶具保持手段9の位置、検査冶具20の長さを設定することが好ましい。
また、同様の観点からは、これら接触する点P1、P2において検査冶具20と第1及び第2のフランジ51、52の接線とのなす角度θが0°より大きく30°以下となるように、支持板3のガイド孔30の位置、検査冶具保持手段9の位置、検査冶具20の長さを設定することが好ましい。
さらに、本発明の場合、検査冶具20とリール部材50のフランジ間隔との関係については特に限定されることはないが、より正確にフランジ間隔を測定する観点からは、設計の際におけるフランジ間隔をDとし、検査冶具20の太さをdとした場合に、フランジ間隔Dの許容される範囲の最大値以上の太さを有する検査冶具20を用いることが好ましい。
【0028】
例えば、第1及び第2のフランジ51、52のフランジ間隔Dが1.5mmで、許容される範囲が0.1mmである場合に、検査冶具20の太さを1.6mm以上に設定することが好ましい。
そして、この状態で、人手によってリール部材50をリール回転支持軸7を中心として少なくとも360°回転させる。この場合、特に限定されることはないが、リール部材50の破損を防止し、リール部材50を円滑に回転させる観点からは、検査冶具20の先端部に向かう方向(図5(a)中、反時計回り方向)へリール部材50を回転させることが好ましい。
このような操作において、リール部材50の回転によって検査冶具20の先端部が第1及び第2のフランジ51、52の間に入り込まない場合には、良品として処理する。
一方、リール部材50の回転によって検査冶具20の先端部が第1及び第2のフランジ51、52の間に入り込んだ場合には、不良品として処理する。
【0029】
以上述べた本実施の形態においては、シャフト90に回転可能に支持された検査冶具保持部10の検査冶具20の先端部の軌跡が、シャフト90と平行なリール回転支持軸7に支持されるリール部材50の一対のフランジ51、52の間に位置するように構成されていることから、検査冶具20の先端部を、リール回転支持軸7に支持されたリール部材50の一対のフランジ51、52の内縁部に載置し、その状態でリール部材50を回転させることにより、検査冶具20の先端部とリール部材50との距離を一定に保つことができるとともに、検査冶具20からリール部材50に対する押圧力を一定に保持することができるので、作業者による検査結果のばらつきを最小限にすることができる。
【0030】
また、本実施の形態によれば、リール部材50のフランジ間隔の検査を迅速に行うことができる。
さらに、本実施の形態においては、少ない部材で構成することができ、また機械的部材のみによって構成することができるため、安価なフランジ間隔検査装置1を提供することができる。
さらに、本実施の形態では、検査冶具保持部10に、検査冶具20を吸着保持するための磁石からなる検査冶具吸着部11が設けられ、当該検査冶具20が着脱自在に構成されていることから、リール部材50に応じた検査冶具20を選択することができ、汎用性の広いフランジ間隔検査装置1を提供することができる。
【0031】
さらにまた、本実施の形態では、シャフト90が、リール回転支持軸7に対して平行状態を保持しつつリール回転支持軸7に対する距離が変化するように移動可能に構成されていることから、径の異なるリール部材のフランジ間隔を検査することができ、汎用性の広いフランジ間隔検査装置1を提供することができる。
さらにまた、本実施の形態では、検査冶具保持部10が、シャフト90に沿って水平方向に移動可能に構成されていることから、フランジや巻芯軸部の厚さが異なるリール部材、またフランジが三つ以上の多段のリール部材のフランジ間隔を検査することができ、汎用性の広いフランジ間隔検査装置1を提供することができる。
【0032】
図7(a)(b)及び図8(a)(b)は、図4(a)(b)及び図5(a)(b)で検査したリール部材50より大きさの小さいリール部材60を検査する場合の検査方法の例を示す説明図である。
図7(a)(b)に示すように、本例においては、まず、検査対象であるリール部材60を、人手によってリール装着部6aに装着し、固定部材6bによって固定する。
そして、検査冶具保持手段9の締め付け部材93を人手(指)により回転させて緩め、検査冶具保持手段9を支持板3のガイド孔30に沿ってリール回転支持軸7に向って移動させてリール部材60より若干高い位置に配置し、締め付け部材93を人手(指)により回転させて締める。
さらに、図8(a)(b)に示すように、検査冶具保持部10をシャフト90に沿って移動させ、検査冶具20がリール部材60に接触しないようにリール部材60の直上の位置に配置する。
【0033】
この状態において、検査冶具20の把持を解除することにより、図8(a)(b)に示すように、検査冶具保持部10が、その自重によってシャフト90を中心として検査冶具20の先端部が下方の方向へ回転し、リール部材60の第1及び第2のフランジ61、62の内側縁部に当接して検査冶具20が支持される。
さらに、人手によってリール部材60をリール回転支持軸7を中心として少なくとも360°回転させる。この場合、特に限定されることはないが、リール部材60の破損を防止し、リール部材60を円滑に回転させる観点からは、検査冶具20の先端部に向かう方向(図8(a)中、反時計回り方向)へリール部材60を回転させることが好ましい。
【0034】
図9(a)(b)は、本実施の形態において、多段のリール部材のフランジ間隔の検査方法を示す説明図である。
図9(a)(b)に示すように、ここでは、多段のリール部材70として、三つのフランジ71、72、73を有するものを例にとって説明する。
上述したように、本例においても、まず、検査対象であるリール部材70を、人手によってリール装着部6aに装着し、固定部材6bによって固定する。
そして、必要に応じて、締め付け部材93を人手(指)により回転させて緩め、検査冶具保持手段9を支持板3のガイド孔30に沿ってリール回転支持軸7に向って移動させてリール部材70より若干高い位置に配置する。
【0035】
さらに、図9(a)に示すように、検査冶具保持部10をシャフト90に沿って移動させ、検査冶具20がリール部材70に接触しないように、検査冶具20をリール部材70の一対のフランジ71、72間の直上の位置に配置する。
この状態において、検査冶具20の把持を解除することにより、検査冶具保持部10が、その自重によってシャフト90を中心として検査冶具20の先端部が下方する方向へ回転し、リール部材70の一対のフランジ71、72の内側縁部に当接して検査冶具20が支持される。
さらに、人手によってリール部材70をリール回転支持軸7を中心として上述した所定の方向へ少なくとも360°回転させる。
【0036】
その後、検査冶具20を人手によって把持してその先端部を上方向に移動させ、検査冶具20がリール部材70に接触しないように、検査冶具保持部10をシャフト90に沿って移動させ、検査冶具20をリール部材70の一対のフランジ72、73間の直上の位置に配置し、検査冶具20の把持を解除する。
これにより、図9(b)に示すように、リール部材70の一対のフランジ72、73の内側縁部に当接して検査冶具20が支持されるので、人手によってリール部材70をリール回転支持軸7を中心として上述した所定の方向へ少なくとも360°回転させてリール部材70のフランジ間隔の検査を行う。
【0037】
ところで、本発明において、以上説明したようなフランジ間隔の検査を行う場合には、検査冶具保持手段の検査冶具を、リール部材の一対のフランジの間に正確に配置する必要がある。
この点は、特に上述したような多段のリール部材のフランジ間隔を検査する場合に重要である。
このためには、以下のような位置決め手段を設けるとよい。
【0038】
図10(a)(b)は、検査冶具保持部の位置決め手段の例を示すものである。
図10(a)に示すように、本例においては、検査冶具保持手段9のシャフト90上に、複数(二つ)の突起状の位置決め手段95、96が設けられている。
ここで、各位置決め手段95、96は、例えばステンレス等の金属材料からなるもので、溶接等によって検査冶具保持手段9のシャフト90の上の所定位置に固定されている。
そして、各位置決め手段95、96は、隣接する一対のフランジ71、72並びにフランジ72、73のフランジ間隔の中央位置と対応する位置に設けられている。
これら位置決め手段95、96は、同一の形状で同一の大きさに形成されている。
【0039】
一方、検査冶具保持手段9の検査冶具保持部10には、上述した各位置決め手段95、96と係合する位置決め凹部10bが設けられている。
そして、図10(a)(b)に示すように、シャフト90に沿って検査冶具保持部10を移動させ一対のフランジ71、72の間に配置させると、シャフト90上の位置決め手段95と検査冶具保持部10の位置決め凹部10bとが係合するように構成されている。
さらに、隣接する一対のフランジ72、73のフランジ間隔を検査する場合には、検査冶具保持部10をシャフト90に沿って移動させこれらフランジ72、73の間に配置させると、シャフト90上の位置決め手段96と検査冶具保持部10の位置決め凹部10bとが係合するように構成されている。
【0040】
以上述べたように、リール部材70を位置決めするための手段として、シャフト90上に複数の位置決め手段95、96が設けられるとともに、検査冶具保持部10には位置決め凹部10bが設けられていることから、検査冶具20の先端部の軌跡を、リール回転支持軸7に支持されたリール部材70の一対のフランジ71、72並びに72、73の間に確実及び迅速に配置させることができ、これにより、作業者による検査結果のばらつきをより小さくすることができるとともに、リール部材70のフランジ間隔の検査をより迅速に行うことができる。
【0041】
図11(a)(b)は、本発明の他の実施の形態の構成を示すものである。以下、上記実施の形態と対応する部分については同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
図11(a)(b)に示すように、本実施の形態のリール部材検査装置1Aは、軸受け8の回転軸8aを回転駆動してリール回転支持軸7を回転させるための駆動部80を有している。
ここで、軸受け8の回転軸8aが例えばステッピングモータ等の駆動モータ81の回転軸(図示せず)に連結され、駆動モータ81を動作させることによりリール回転支持軸7に装着された複数のリール部材60を回転させることができるように構成されている。
この駆動モータ81は、例えばCPU及びメモリ等を有する制御部82に接続され、さらにこの制御部82には、駆動モータ81の動作を開始させるためのスイッチ83が接続されている。
なお、検査冶具保持手段9のシャフト90上には、検査するリール部材60に対応するように所定の間隔をおいて上述した位置決め手段(図示せず)が設けられている。
【0042】
このような構成を有する本実施の形態において、リール部材60のフランジ間隔の検査を行う場合には、上述したように、まず、検査対象である複数のリール部材60を、人手によってリール回転支持軸7に互いに密着するように装着し、固定部材6bによって固定する。
そして、必要に応じて、締め付け部材93を人手(指)により回転させて緩め、検査冶具保持手段9を支持板3のガイド孔30に沿ってリール回転支持軸7に向って移動させてリール部材60より若干高い位置に配置する。
さらに、図11(a)に示すように、検査冶具20を、検査冶具保持部10と位置決め手段との係合によって例えば最も固定部材6b側のリール部材60Aの一対のフランジ61、62間の直上の位置に位置決め配置する。そして、検査冶具20の把持を解除することにより、検査冶具20の自重によってリール部材60の一対のフランジ61、62の内側縁部に当接させてこれをを支持させる。
さらに、駆動部80のスイッチ83を人手によって操作することにより、制御部82からの命令によって駆動モータ81を動作させ、リール部材60をリール回転支持軸7を中心として上記所定の方向へ予め定めた角度(少なくとも360°)回転させてフランジ間隔の検査を行う。なお、駆動モータ81の動作は自動的に停止する。
【0043】
その後、検査冶具20を人手によって把持してその先端部を上方向に移動させ、検査冶具20がリール部材60に接触しないように、検査冶具保持部10をシャフト90に沿って移動させ、検査冶具20を、検査冶具保持部10と位置決め手段とを係合させ、隣接するリール部材60の一対のフランジ61、62間の直上の位置に位置決め配置する。そして、検査冶具20の把持を解除することにより、検査冶具10の自重によってリール部材60の一対のフランジ61、62の内側縁部に当接させてこれをを支持させる。
そして、上述したように、駆動部80のスイッチ83を人手によって操作することにより駆動モータ81を動作させ、リール部材60をリール回転支持軸7を中心として上記所定の方向へ予め定めた角度だけ回転させてフランジ間隔の検査を行う。
以下、上述した操作を繰り返すことにより、リール部材60のフランジ間隔を順次検査し、図11(b)に示すように、最もリール装着部6a側のリール部材60Bのフランジ間隔を検査する。
【0044】
以上述べた本実施の形態によれば、複数のリール部材60に対し、作業者による検査結果のばらつきを最小限にすることができるとともに、フランジ間隔の検査を迅速に行うことができる。また、上述した多段のリール部材70に対しても、同様に検査結果にばらつきを最小限にすることができるとともに、フランジ間隔の検査を迅速に行うことができる。
なお、本発明は上述の実施の形態に限られることなく、種々の変更を行うことができる。
【0045】
例えば、上述の実施の形態においては、検査冶具保持部10は、シャフト90の回転軸線を中心として回転可能な状態で装着されるように構成されているが、本発明はこれに限られず、例えば単一のリール部材のフランジ間隔の検査を行う場合等においては、シャフト90に検査冶具20を直接固定することもできる。
ただし、種々のリール部材に対応する観点からは、上記実施の形態のように、検査冶具保持部10をシャフト90の回転軸線を中心として回転可能な状態で装着されるように構成することが好ましい。
【0046】
また、図11(a)(b)に示す実施の形態においては、検査冶具保持部10をシャフト90の回転軸線を中心として回転(上下動)させ、またシャフト90に沿って移動させるするような駆動機構を設けることもできる。
ただし、構成の簡素化及びコストダウンの観点からは、上記実施の形態のように、検査冶具保持部10をシャフト90の回転軸線を中心として回転可能な状態で且つシャフトに沿って人手で移動するように構成することが好ましい。
さらに、本発明は、金属製、樹脂製のいずれのリール部材に適用することができるものである。
【符号の説明】
【0047】
1…リール部材検査装置
2…基部
3…支持板
6…装着部
7…リール回転支持軸
9…検査冶具保持手段
10…検査冶具保持部
20…検査冶具
30…ガイド孔
50…リール部材
51、52…一対のフランジ
90…シャフト(検査冶具支持軸)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の接着テープを巻取可能な巻芯軸部を挟んで一対のフランジを有するリール部材における当該一対のフランジの間の間隔を検査するリール部材検査装置であって、
前記リール部材を回転可能な状態で支持するリール回転支持軸と、
前記リール回転支持軸と平行に設けられ、前記リール部材に対応するピン状の検査冶具を保持する検査冶具保持部を回転可能な状態で支持する検査冶具支持軸とを有し、
前記検査冶具支持軸に支持された、前記検査冶具保持部の検査冶具の先端部の軌跡が、前記リール回転支持軸に支持される当該リール部材の一対のフランジの間に位置するように構成されているリール部材検査装置。
【請求項2】
前記検査冶具保持部には、検査冶具を吸着保持するための磁石からなる検査冶具吸着部が設けられ、当該検査冶具が着脱自在に構成されている請求項1記載のリール部材検査装置。
【請求項3】
前記検査冶具支持軸が、前記リール回転支持軸に対して平行状態を保持しつつ前記リール回転支持軸に対する距離が変化するように移動可能に構成されている請求項1又は2のいずれか1項記載のリール部材検査装置。
【請求項4】
前記検査冶具保持部が、前記検査冶具支持軸に沿って移動可能に構成されている請求項1乃至3のいずれか1項記載のリール部材検査装置。
【請求項5】
前記リール部材を位置決めするための位置決め手段を有する請求項1乃至4のいずれか1項記載のリール部材検査装置。
【請求項6】
前記リール回転支持軸が、駆動モータに連結され、当該駆動モータの動作によって前記リール回転支持軸が所定の角度回転するように構成されている請求項1乃至5のいずれか1項記載のリール部材検査装置。
【請求項7】
請求項1乃至6記載のリール部材検査装置を用いてリール部材の一対のフランジの間の間隔を検査する方法であって、
前記リール回転支持軸に、検査対象であるリール部材を支持させる工程と、
前記検査冶具を前記リール部材の一対のフランジ間の直上の位置に配置する工程と、
当該検査冶具の先端部を前記リール部材の一対のフランジの内縁部に支持させる工程と、
前記リール回転支持軸に支持された前記リール部材を当該リール回転支持軸を中心として回転させる工程とを有するフランジ間隔検査方法。
【請求項8】
前記リール回転支持軸に、検査対象であるリール部材を複数支持させる工程と、前記検査冶具を前記検査冶具支持軸に沿って移動させて各リール部材の一対のフランジ間の直上の位置に配置する工程とを有する請求項7記載のフランジ間隔検査方法。
【請求項9】
検査対象であるリール部材が、三つ以上のフランジを有する多段のリール部材である請求項7又は8のいずれか1項記載のフランジ間隔検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−128106(P2011−128106A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289166(P2009−289166)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000108410)ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社 (595)
【Fターム(参考)】