説明

ルネサンス磁気熱分解装置。

【課題】低温(50度〜200度)での安定継続した熱分解処理を、外部からの加熱無く、処理対象物自身の熱分解の際の発熱のみを熱源とする熱分解の継続により実現する、磁気を活用した熱分解装置を提供する。
【解決手段】熱分解装置は、外壁と内壁との二重構造によって、外気からの保温をはかりながら、炉内磁気流が炉底と内壁との隙間から外壁と内壁との間隙に入り停滞無く排出されること、また、マグネットボックスを本装置に接近して装着しながらも、磁力を低下させずに磁気流を炉内へ流入させることにより、外部からの加熱を必要とせず、処理対象物自身の熱分解による発熱のみを熱分解の熱源とする、安定継続した稼動を実現した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、磁気を活用した熱分解装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダイオキシンを発生させてしまうために使用禁止となった従来の焼却炉に替わるものとして、磁気を活用した熱分解装置はすでに存在はしているが、処理の途中で熱分解が停止したり、処理速度が遅すぎたりで、実用レベルとしては不充分ものが多い。
【0003】
熱分解装置は、一般に外気の流入を抑制しながら、外部から加熱して低酸素状態での高温熱分解を必要とするが、本装置では外部からの加熱を必要とせず、装着したマグネットボックスを通過した磁気流、炉内での循環を促す本装置の内部構造、装置底部に敷き詰めた磁性セラミック灰により安定・継続した熱分解を低温(50度〜200度)で実現し、かつ、ランニングコストを抑えた単純な構造でメンテナンスにも優れている。
【0004】
磁気を活用した熱分解装置では、熱により磁力が低下する磁石の特性により、熱源である熱分解装置と距離を置く必要がある。ところが、距離を置けば磁界を通過して炉内に流入する磁気流の効力が低下し、熱分解の効率が低下してしまう。また、炉内で磁気流がまんべんなく循環し、熱分解中の対象物にいきわたらなければ、未分解の対象物が残ってしまう。
【0005】
そこで、磁気流が炉内全体に安定して行き渡るように炉の内部構造を二重にすること、炉底に本装置での熱分解で生成した磁気を帯びた磁性セラミック灰を敷き詰める工夫をすること、ならびに、熱分解で発生する熱により磁力が低下しない磁石を組み込んだマグネットボックスを装着することにより流入する磁気流の効果を維持すること、によって熱分解の安定継続を実現する熱分解装置を開発をするものである。
【特許文献1】特許公開2005−168573
【特許文献2】特許公開2003−326242
【特許文献3】特許公開2002−248455
【非特許文献1】不知。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
磁気を活用した熱分解装置の問題点は、安定継続した熱分解の実現において、炉内での磁気流の円滑な循環と、効力を保った磁気流の炉内への送り込みを実現出来にくい点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
炉内での磁気流の円滑な循環を実現する手段としては、炉の内部構造として、外壁をなす円柱体の中に一回り小さい円柱体を中空保持している二重構造を作り、外壁と内壁の間に磁気流が移動する空間を設け、また、その空間に磁気流が流入するための出入り口として、内壁と炉底との間に隙間を設け、炉内の磁気流がその出入り口から二重構造の空間を経過して外部へ排出されるようにした。
【0008】
それにともない、炉底と外壁との間に高さ5センチの空間作ることで熱分解が安定継続することを実験機において発見し、本装置の構造に採用した。
【0009】
また、炉底に本装置での熱分解で生成した磁性セラミック灰を使用時に5センチほど敷き詰めておくことで熱分解が安定継続することを実験機において発見し、本装置の構造に採用した。
【0010】
熱により磁気流の効力が低下しない磁石を組み込んだマグネットボックスを開発し、また、本装置へのマグネットボックスの装着においても、左右対称な配置で本装置への距離を短縮するほど、効果を保った磁気流が炉内へ円滑に流入し、熱分解が促進されることを実験機において発見し、本装置の構造に採用した。
【発明の効果】
【0011】
本発明の熱分解装置は、その構造による炉内での磁気流の循環と、マグネットボックスによる効果的な磁気流の炉内への流入、を実現することにより、従来はその安定稼動に不安のあった熱分解炉の安定継続した稼動を実現した。また、熱分解処理の中間過程で処理を中断し,有用な中間生成物として、竹の場合には燻製竹・竹酢液・竹炭、タイヤの場合には活性炭・C重油。ペットボトルの場合には軽油)を取り出すことも出来、また、処理後に残る残渣は磁気を帯びた磁性セラミック灰として土壌改良剤、本装置の敷き詰め灰として活用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、磁気を活用した低温(50度〜200度)での安定継続した熱分解処理を、外部からの加熱無く、処理対象物自身の熱分解による発熱の継続により実現した。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の熱分解装置と付属消煙脱臭装置である。熱分解の開始は、処理対象物投入口(11)より処理対象物を投入し開閉式中扉(13)を開けて炉内に投入後開閉式中扉(13)を閉じ、ヒーター取付口(16)から着熱ヒーターを挿入して着熱させる。着熱後は図2のマグネットボックスのバルブ(21)を開閉して炉内温度を調整し、処理終了までそのままにしておいてよい。

【実施例2】
【0014】
図2は、本発明のマグネットボックスである。マグネットケース(18)に装着された磁石が形成する磁場を通過した空気が磁気流となり、炉内に流入して熱分解を促進する。炉内への磁気流の流入量は図3のバルブ(21)の開閉により調節される。
【0015】
図3は、本発明のマグネットボックスと熱分解装置との接続部である。マグネットボックス取付用パイプ(17)に図3の組み合わせでバルブ(21)側を装着する。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明は、処理対象物の投入後、電気ヒーターにより容易に着熱して熱分解を開始し、その後は外部からの加熱や作業を要せずに、処理物自身が熱分解する際の発熱で熱分解を継続させ、処理物が無くなれば熱分解は終了する。また、熱分解中に処理物を再投入しても熱分解が遅くなったり停止することは無いので、追加投入の繰り返しによる連続処理も可能である。
【0017】
本発明品での実際の使用に於いては、金属、石材、ガラス、FRPを除く有機物の熱分解処理に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】

【図1】本発明に供する熱分解装置と付属消煙脱臭装置(実施例1)
【図2】本発明に供するマグネットボックス(実施例2)
【図3】本発明に供するマグネットボックスと熱分解装置との接続部(実施例2)
【符号の説明】
【0019】
(1) タンク
(2) 吸引ガイドパイプ
(3) 水膜攪拌スクリュー
(4) 吸引ブロアー
(5) 熱分解炉からのガス煙
(6) 熱分解炉からの吸入パイプ
(7) 掻落し消臭シャワー
(8) 吸引ブロアー
(9) シャワー
(10) フィルター
(11) 処理対象物投入口
(12) 中扉開閉レバー
(13) 開閉式中扉
(14) 灰取出口
(15) ドレン
(16) ヒーター取付口
(17) マグネットボックス取付用パイプ
(18) マグネットケース
(19) 磁石
(20) ジョイント
(21) バルブ
(A) 濾過室
(B) ミスト室
(C) 脱臭装置
(D) 水処理装置
(E) 脱臭機
(F) 熱分解層
(G) 灰化層
(H) マグネットボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱分解炉であって、その本体の壁面と底面を二重構造とすることで、外気に対する保温を計るとともに、二重構造の内壁と炉底との間、及び、二重構造の内壁と炉底との間に間隙を設けて、熱分解を促進する炉内磁気流の安定した循環を可能にし、また、炉底の外底と内底の間に空間を設け、かつ炉底に本炉での熱分解で生成された磁性セラミック灰を厚さ約5センチで敷き詰めて、対象物の安定継続した熱分解を可能にした熱分解炉。
【請求項2】
熱分解炉に装着したパイプ型のマグネットボックスであって、熱による磁力の低下を防いだ磁石を内部に組み込むことで本体との距離を可能な限り接近させつつ、その内部を通過する空気が磁性を帯びた磁気流となり熱分解を促進するマグネットボックス。
【請求項3】
熱分解炉であって、その熱分解残渣物が、農業分野で土壌改良剤として活用できる磁性を帯びた磁性セラミック灰となり、またその熱分解処理の中間過程で処理を中断した場合においては有用な中間生成物を取り出すことが可能である熱分解炉

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−204660(P2007−204660A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−26700(P2006−26700)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【出願人】(597073807)株式会社日省エンジニアリング (7)
【Fターム(参考)】