説明

レニン阻害剤と抗異脂肪血症剤および/または抗肥満症剤の組み合わせ

本発明は、レニン阻害剤またはその医薬的に許容される塩と;
(a)特定的抗異脂肪血症剤;および
(b)特定的抗肥満症剤;またはいずれについてもその医薬的に許容される塩;
から成る群から選択される少なくとも1種の治療剤を含む、例えば組み合わせ製剤または医薬組成物のような組み合わせに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術的背景および関連先行技術
脂質代謝の疾患または異脂肪血症には、脂質(すなわちコレステロールおよびトリグリセリド)、および/またはアポリポプロテイン(すなわち、アポリポプロテインA、B、CおよびE)、および/またはリポプロテイン(すなわち血中で脂質を循環させる脂質とアポリポプロテインとから形成される高分子複合体、例えば:LDL、VLDLおよびIDL)の1種またはそれ以上の異常な濃度により特徴付けられる様々な状態を含む。
【背景技術】
【0002】
高脂質症は脂質、LDLおよびVLDLコレステロール、および/またはトリグリセリドの異常な高濃度に関連する。コレステロールは、多くは低密度リポプロテイン(LDL)中で運搬され、この成分は通常「悪玉」コレステロールと呼ばれるが、その理由はLDL−コレステロールの上昇が冠状動脈性心臓病のリスクに密接に関連することが証明されているからである。コレステロールのもっと少ない部分は高密度リポプロテイン中で運搬され、通常「善玉」コレステロールと呼ばれている。事実、HDLの一次的機能は、動脈壁に沈着したコレステロールを取入れて、肝臓に戻して、小腸を経て廃棄することにあることが知られている。LDLコレステロールの高い濃度を低下させることは望ましいが、HDLコレステロールの濃度は上昇させるのが望ましい。一般的には、HDL濃度の上昇は冠動脈性心臓病(CW)のリスクを低下させることに関与することが証明されている。例えば、Gordon, et al., Am. J. Med., 62, 707-714 (1977); Stampfer, et al., N. England J. Med., 325, 373 381 (1991); およびKannel, et al., Ann. Internal Med., 90, 85-91 (1979)を参照。HDLを増加させる薬剤の例にはニコチン酸があるが、この薬剤はHDLを増加する用量では望ましくない副作用、例えば顔面紅潮があるので有用性が制限されている。
【0003】
異脂肪血症は、最初はFredricksonによって前記変化の組み合わせに従って分類された。このFredricksonの分類は表現型6種(すなわち、I、IIa、IIb、III、IVおよびV)を含み、最も多いのはコレステロール単独異常症(またはIIa型)であって、通常全コレステロール濃度およびLDLコレステロール濃度が上昇する。高コレステロール血症の初期治療は、および食事を脂肪とコレステロールが低いものに変え、適度な運動と組み合わせてリスク因子、例えば肥満症の回避を目指した後、食事および運動は単独ではLDLの低下の目的を達しなかった時に薬剤療法を開始することが多い。
【0004】
異脂肪血症の二番目に多い型は、混合型の異脂肪血症(Fredrickson分類のIIb型およびIII型)である。この異脂肪血症は2型糖尿病患者、肥満症患者およびメタボリックシンドローム患者で有病率が高い。この異脂肪血症ではLDLコレステロールの小幅な上昇が認められ、それに小さな高密度LDLコレステロール粒子、VLDLおよび/またはIDL(すなわち、トリグリセリド豊富なリポプロテイン)、および全トリグリセリドのやや大きな濃度上昇を伴う。それに加えて、HDL濃度が低いことが多い。
【0005】
アテローム性動脈硬化症および冠状動脈または頚動脈疾患のリスク、およびそれ故、心臓麻痺または卒中のリスクは全コレステロールのレベルが上昇するにつれて増大する。アテローム性動脈硬化症は、動脈の壁が肥厚して柔軟性が低下する疾患を示す。アテローム性動脈硬化症では、脂肪性物質が動脈壁の内壁下に蓄積する。アテローム性動脈硬化症は、脳、心臓、腎臓、その他の重要な器官および上腕および下肢の動脈に影響を与える。アテローム性動脈硬化症が脳に供給する動脈(頚動脈)に起きると、卒中が起き;心臓に供給する動脈(冠状動脈)に起きると、心臓麻痺が起きる。動脈硬化を起こした動脈は可塑性を失い、アテローム(動脈内壁の斑点状肥厚)が成長するにつれて、動脈が狭くなる。時と共に、アテロームのカルシウム沈着が集積して、脆弱になり、破裂することもある。血液が破裂したアテロームに入り、拡大して、動脈をさらに狭窄する。破裂したアテロームはその脂肪性成分を散乱させて、血塊(血栓)の形成を誘発する。この血塊も動脈を狭窄し、またはさらに閉塞するか、または剥離して下流に浮遊して閉塞(塞栓症)を起こす。
【0006】
高いコレステロール濃度の原因は、飽和脂肪およびコレステロールの多い食事;肝硬変、管理不良の糖尿病、甲状腺機能低下、唾液腺機能亢進、腎不全、ポルフィリン症、および遺伝を含む。高いトリグリセリド濃度の原因は、食事の熱量過剰、重症管理不良糖尿病、腎不全、急性アルコール乱用、ある種の薬剤、および遺伝を含む。
【0007】
肥満症は、ある種の脂質、例えば:VLDLおよびLDLの高濃度に寄与する因子の一つであり、その結果、コレステロールまたはトリグリセリド濃度が高い、過体重患者の初期の処置は体重減少である。脂肪性物質、例えば:コレステロールおよびトリグリセリドの濃度は、様々な薬剤を用いて制御することもできる。ヒドロキシメチルグルタリル−コエンザイムA(HMG−CoA)レダクターゼ阻害剤はコレステロール合成を遮断して、血流からの低密度リポプロテインの除去を強化する。
【0008】
肥満症は先進国で有病率が確実に増加してきた一般的な慢性疾患である。エネルギーバランスを制御する分子経路は判り始めているが、肥満症の原因は理解されていない。部分的には、肥満症が疾患の異種の群である事実を反映している。一つのレベルでは、肥満症の病理生理学は、エネルギー消費水準に比較して栄養摂取の慢性的過剰という、単純であるように見える。しかしながら、エネルギー摂取、貯蔵および消費を制御する神経内分泌および代謝系の複雑さの故に、ヒト対象について、関与するパラメータ(例えば、食事摂取およびエネルギー消費)の全てを長期にわたって定量化することは困難であった。肥満症は、2型糖尿病、高血圧、うっ血性心不全、脂質疾患、関節炎、およびある種の癌を含む無数の健康問題に関与する。肥満症および関連状態は、米国では毎年300000人近い死亡に関与している。残念ながら、肥満症はよく理解されていない。
【0009】
肥満症は、衛生的および美容的見地から老人性疾患によって示される疾患発病のリスク因子として重要である。肥満症の有害な影響は、先進国では長期にわたって認識されてきた。今まで開発された肥満症を予防および/または治療する薬剤には副作用があって満足な結果を得ていない。短期的効果に拘らず、薬剤が誘発した体重減少は薬剤使用停止後の体重増加リバウンド、投薬による副作用、および薬剤乱用の可能性としばしば関連する。有益な治療の要請に応えて、可能性がある化合物およびその組み合わせが多数評価されている。例えば、フェンフルラミンとフェンテルミンとを「フェン−フェン」として併用する組み合わせは対照臨床実験で得た小幅ではあるが一定の効力に基づいて広く使用されていた。しかしながら、この処置に関連して一次肺高血圧のリスクが20倍に上昇した。FDAは右および左弁膜心臓疾患との関連を示唆する報告に接して「フェン−フェン」組み合わせの承認を1997年に取消した。
【0010】
このように、例えば:本明細書に記載するように副作用が少ないか、副作用がなく、毒性が低く、さらに有効な抗異脂肪血症および抗肥満症に使う組み合わせに対する要請は未だ存在し続けている。
【0011】
遺伝子的素因に加えて、肥満症および異脂肪血症は心臓血管疾患の進行に対する最も重要なリスク因子である。小幅な体重低下でも、過体重対象では血圧制御を好転できる。そこで、さらに、例えば:本明細書に後記するように副作用が少ないか、副作用がなく、毒性が低く、体重増加がない、ある種の心血管疾患を治療または予防するために有効な組み合わせに対する要請も存在し続けている。
【0012】
特に、循環器疾患、異脂肪血症または肥満症に関連する疾患および状態に有用な効果を示す、循環器疾患、異脂肪血症または肥満症の処置および/または予防のための新規な組み合わせの要請がある。
【0013】
高血圧は患者が付加的合併症、例えば:糖尿病、肥満症、異脂肪血症または代謝障害を持つときには、ますます処置が困難になる。危険因子または状態が併存する患者で標的とする血圧目標に達するためには多剤療法が必要になることが多い。血圧その他の合併症が不適切に管理されると、その患者では重篤な副作用、例えば:心筋梗塞、卒中および進行性臓器障害などのリスクが増大する。
【0014】
さらに、アンギオテンシン変換酵素阻害剤(ACEi)か、またはアンギオテンシン受容体遮断剤(ARB)のいずれかを使うレニン−アンギオテンシン系(RAS)遮断療法は、上昇した血圧を低下させるための非常に有効な手段であることが証明されており、多数の患者、例えば、肥満症または体重過多の個体または異脂肪血症患者は、標的とする血圧目標値を達成するために追加的な治療処置を必要とし得る。さらに、肥満症または過体重患者または脂質異常患者は、この代謝的表現型に寄与するキーとなる経路を阻害するために特別な設計された薬剤を用いる療法を必要とし得る。
【0015】
肥満症の対象では循環器疾患および代謝疾患のリスクが高いという証拠が蓄積されてきている(Montani JP, Antic V, Yang Z. Pathways from obesity to hypertension: from the perspective of a vicious triangle. Internat J Obesity 26(Suppl 2):S28-S38, 2002)。また、体重と血圧との間の強い相関関係は、ヒトで証明されている(Jones DW, Kim JS, Andrew ME, Kim SJ, Hong YP. Body mass index and blood pressure in Korean men and women: the Korean National Blood Pressure Survey. J Hypertens 12:1433-1437, 1994)。短期の研究では、体重過多または肥満症のヒト対象の体重減少は収縮期血圧および拡張期血圧の双方を低下することが判明した(Aucott L, Poobalan A, Smith WCS, Avenell A, Jung R, Broom J. Effects of weight loss in overweight/obese individuals and long-term hypertension outcomes. Hypertension 45: 1035-1041, 2005)。この関係に内在する詳細な機序は知られていないが、しかし体重増加と交感神経系の活性化との間の明確な連関は証明されている(Masuo K, Mikami H, Ogihara T, Tuck ML. Weight gain-induced blood pressure elevation. Hypertension 35:1135-1140, 2000)。交感神経の活性化は血管収縮とナトリウムの貯留とを起こすが、この2因子は直接的に全身的血圧の上昇に寄与する。食餌誘発肥満症のモデルであるイヌでは、体重増加は血圧上昇、心拍数増加、および血中インスリンの増加を起こす(Hall JE, Brands MW, Dixon WN, Smith MJ Jr. Obesity-induced hypertension. Renal function and systemic hemodynamics. Hyper- tension 22:292-299, 1993)。これらの結果は、同様な原因と結果との関係が動物およびヒトにも存在するので、適当な動物種で各条件の組み合わせでの研究が可能になっていることを示唆する。レプチン、遊離脂肪酸、およびインスリンを含む追加的因子数種も動物およびヒトにおける体重増加症と血圧との間の関連に寄与しているかもしれない。レプチンと遊離脂肪酸は脂肪過多症の増大につれて進行性に肥満症を進め、内臓含脂肪細胞によって放出される。これらのメディエータは単独でまたは共同で作用して交感神経の調子および血管収縮を増強し、それによって血圧上昇を導く(Montani et al., 2002)。脂肪組織は内分泌器官の一種と考えることができ、そこでのレプチン放出が中枢神経系内に飽満感を誘導し、交感神経系を活性化する強い効果を持つ(Pantanetti P, Garrapa GGM, Mantero F, Boscaro M, Faloia E, Venarucci D. Adipose tissue as an endocrine organ? A review of recent data related to cardiovascular complications of endocrine dysfunctions. Clin Exper Hypertens 26(4):387-398, 2004)。肥満したヒトでは、血中ではレプチンは上昇しているが、各個人はこのホルモンに応じて正常な飽満反応を示すとは見られない。レプチンの飽満効果に視床下部は応答しなくなるが、中枢神経系は交感神経系(SNS)の刺激に対する完全な応答を維持するという現象を説明するために、選択的レプチン抵抗性の考え方が導入された。従って、肥満症または体重過多の表現型は飽満応答を発動するレプチンの能力不在によって遅延する。これに加えて、慢性的なSNS過剰活性は全身血圧の上昇を起し、持続する(Mark AL, Correia MLG, Rahmouni K, Haynes WG. Selective leptin resistance: a new concept in leptin physiology with cardiovascular implic- ations. J Hypertens 20:1245-1250, 2002)。そこで、ヒトの肥満症をレプチン抵抗性の状態であると考えるヒトもある。アグチ黄色肥満症マウスのモデルは、この表現型に類似しているかもしれない(Correia MLG, Haynes WG, Rahmouni K, Morgan DA, Sivitz WI, Mark AL. The concept of selective leptin resistance. Diabetes 51:439-442, 2002)。
【0016】
最近、脂肪組織はRASの成分全てを含むことが証明された(Goossens GH, Blaak EE, van Baak MA. Possible involvement of the adipose tissue renin-angiotensin system in the pathophysiology of obesity and obesity-related disorders. Obesity Reviews 4:43-55, 2003)。そこで、全体として脂肪細胞内に含まれるRASは、心血管制御系および肥満症および肥満症関連疾患の間の重要な関連性を提供しているのかも知れない。げっ歯類では高脂肪食は脂肪細胞にアンギオテンシノーゲンとアンギオテンシンIIとの発生増加を起こす。アンギオテンシンIIは脂肪細胞の成長を促進する。アンギオテンシンIIは、脂肪細胞由来のものも血中形成のものも脂肪細胞に直接的にもまたは循環で接近可能な遠位細胞型にも強い効果を示すことができる。明らかに、アンギオテンシンIIは、強力な血管収縮効果を示し、ナトリウム貯留を示して動脈血圧の上昇を起こすことができる。脂肪細胞の中にあるおよび/またはそれから放出されるRASの成分に関する知見は、動物モデルでもヒトでもはっきりしていない(Engeli S, Schling P, Gorzelniak K, Boschmann M, Janke J, Ailhaud G, Teboul M, Massiera F, Sharma AM. The adipose-tissue renin-angiotensin-aldosterone system: role in the metabolic syndrome ? Internat J Biochem Cell Biol 35:807-825, 2003)。
【0017】
体重、異脂肪血症および血圧の間の関係は密接に結合しているが、研究がヒトを含む様々な種、種々の動物モデル、細胞系、検定条件の使用に依存しているため、この関係の基礎をなす特定的機序の割り付けの証明はますます困難になっている。
【0018】
それ故、本発明の目的の一つは、有効性に優れた抗異脂肪血症剤、抗肥満症剤および/または循環器疾患を処置する組成物および循環器疾患、異脂肪血症または肥満症およびこれらに関連する状態を処置または予防するための副作用が少ないか、または全く副作用がなく、そして毒性が低い新規治療法を提供することにある。
【発明の開示】
【0019】
本発明の概要
本出願において、驚くべきことに下記の効果を見出した:
・レニン阻害剤と体重減少に用いられる薬剤(別名:抗肥満症剤)との併用による血圧降下および体重減少の強化。
・レニン阻害剤と脂質レベル低下に用いられる薬剤(別名:抗異脂肪血症剤)との併用による血圧降下および脂質レベル低下の強化。
これは、組み合わせの各成分が相補的に作用し、単剤として投与してもこの効果は得ることができない点で、予期せざる知見である。
【0020】
本発明は、レニン阻害剤またはその医薬的に許容される塩と;
(a)胆汁酸捕捉剤、コレステロール吸収阻害剤、アシルコエンザイムA−コレステロールアシル転移酵素(ACAT)阻害剤、スクアレン合成酵素阻害剤、抗酸化剤、FXR受容体調節剤、LXR受容体アゴニスト、リポプロテイン合成阻害剤、ミクロソームのトリグリセリド輸送阻害剤、胆汁酸再吸収阻害剤、トリグリセリド合成阻害剤、転写調節剤、スクアレンエポキシダーゼ阻害剤、低密度リポプロテイン(LDL)受容体誘導剤、5−LOまたはFLAP阻害剤、およびナイアシンまたはナイアシン受容体アゴニスト、またはその医薬的に許容される塩から成る群から選択される抗異脂肪血症剤;および
(b)5HT(セロトニン)輸送体阻害剤、NE(ノルエピネフリン)輸送体阻害剤、グレリン抗体、グレリン拮抗剤、H3(ヒスタミンH3)拮抗剤/逆アゴニスト、MCH1R(メラニン凝集ホルモン1R)拮抗剤、MCH2R(メラニン凝集ホルモン2R)アゴニスト/拮抗剤、NPY1(ニューロペプチドY Y1)拮抗剤、NPY2(ニューロペプチドY Y2)アゴニスト、NPY5(ニューロペプチドY Y5)拮抗剤、レプチン、レプチン誘導体、オピオイド拮抗剤、オレキシン拮抗剤、BRS3(ボンベシン受容体サブタイプ3)アゴニスト、CCK−A(コレシストキニンA)アゴニスト、CNTF(毛様体神経栄養因子)、CNTF誘導体、GHS(成長ホルモン分泌促進物質受容体)アゴニスト、5HT2c(セロトニン受容体2c)アゴニスト、Mc3r(メラノコルチン3受容体)アゴニスト、Mc4r(メラノコルチン4受容体)アゴニスト、モノアミン再吸収阻害剤、セロトニン再吸収阻害剤、トピラメート、フィトファーム化合物57、ACC2(アセチルCoAカルボキシラーゼ−2)阻害剤、β3(β−アドレナリン受容体3)アゴニスト、FAS(脂肪酸合成酵素)阻害剤、PDE(ホスホジエステラーゼ)阻害剤、甲状腺ホルモン、Bアゴニスト、UCP−1(脱共役タンパク質1)、2、または3活性化剤、アシル−エストロゲン、グルココルチコイド拮抗剤、11OHSD−1(1型11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ)阻害剤、リパーゼ阻害剤、脂肪酸輸送体阻害剤、ジカルボキシレート輸送体阻害剤、グルコース輸送体阻害剤、およびホスフェート輸送体阻害剤、またはその医薬的に許容される塩から成る群から選択される抗肥満症剤;
から成る群から選択される少なくとも1種の治療剤を含む組み合わせ、例えば:組み合わせ製剤または医薬組成物に関する。
【0021】
前記(a)に示す抗異脂肪血症剤の別な例はコレステリルエステル輸送タンパク質阻害剤である。従って、本発明は
(i)レニン阻害剤または利尿剤と組み合わせたレニン阻害剤またはその医薬的に許容される塩;および
(ii)コレステリルエステル輸送タンパク質阻害剤またはその医薬的に許容される塩;
から成る群から選択される少なくとも2種の成分を含む組み合わせにも関する。
【0022】
さらに、本発明はレニン阻害剤またはその医薬的に許容される塩と;
(a)胆汁酸捕捉剤、コレステロール吸収阻害剤、アシルコエンザイムA−コレステロールアシル転移酵素(ACAT)阻害剤、スクアレン合成酵素阻害剤、抗酸化剤、FXR受容体調節剤、LXR受容体アゴニスト、リポプロテイン合成阻害剤、ミクロソームのトリグリセリド輸送阻害剤、胆汁酸再吸収阻害剤、トリグリセリド合成阻害剤、転写調節剤、スクアレンエポキシダーゼ阻害剤、低密度リポプロテイン(LDL)受容体誘導剤、5−LOまたはFLAP阻害剤、およびナイアシンまたはナイアシン受容体アゴニスト、またはその医薬的に許容される塩から成る群から選択される抗異脂肪血症剤;および
(b)5HT(セロトニン)輸送体阻害剤、NE(ノルエピネフリン)輸送体阻害剤、グレリン抗体、グレリン拮抗剤、H3(ヒスタミンH3)拮抗剤/逆アゴニスト、MCH1R(メラニン凝集ホルモン1R)拮抗剤、MCH2R(メラニン凝集ホルモン2R)アゴニスト/拮抗剤、NPY1(ニューロペプチドY Y1)拮抗剤、NPY2(ニューロペプチドY Y2)アゴニスト、NPY5(ニューロペプチドY Y5)拮抗剤、レプチン、レプチン誘導体、オピオイド拮抗剤、オレキシン拮抗剤、BRS3(ボンベシン受容体サブタイプ3)アゴニスト、CCK−A(コレシストキニンA)アゴニスト、CNTF(毛様体神経栄養因子)、CNTF誘導体、GHS(成長ホルモン分泌促進物質受容体)アゴニスト、5HT2c(セロトニン受容体2c)アゴニスト、Mc3r(メラノコルチン3受容体)アゴニスト、Mc4r(メラノコルチン4受容体)アゴニスト、モノアミン再吸収阻害剤、セロトニン再吸収阻害剤、トピラメート、フィトファーム化合物57、ACC2(アセチルCoAカルボキシラーゼ−2)阻害剤、β3(β−アドレナリン受容体3)アゴニスト、FAS(脂肪酸合成酵素)阻害剤、PDE(ホスホジエステラーゼ)阻害剤、甲状腺ホルモン、Bアゴニスト、UCP−1(脱共役タンパク質1)、2、または3活性化剤、アシル−エストロゲン、グルココルチコイド拮抗剤、110HSD−1(11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型)阻害剤、リパーゼ阻害剤、脂肪酸輸送体阻害剤、ジカルボキシレート輸送体阻害剤、グルコース輸送体阻害剤、およびホスフェート輸送体阻害剤、またはその医薬的に許容される塩;から成る群から選択される抗肥満症剤;から成る群から選択される治療剤の少なくとも一種;および
医薬的に許容される担体;
を含有する医薬組成物を提供する。
【0023】
さらに、本発明はまた、レニン阻害剤またはその医薬的に許容される塩と、コレステリルエステル輸送タンパク質阻害剤またはその医薬的に許容される塩を含有する医薬組成物をも提供する。
【0024】
さらに、本発明は異脂肪血症、肥満症関連異脂肪血症、異脂肪血症関連疾患、肥満症、肥満症関連疾患および/またはレニン活性の阻害によって調節される疾患または状態を予防、発症遅延または処置する方法を提供するが、この方法は:
レニン阻害剤またはその医薬的に許容される塩と;
(a)胆汁酸捕捉剤、コレステロール吸収阻害剤、アシルコエンザイムA−コレステロールアシル転移酵素(ACAT)阻害剤、スクアレン合成酵素阻害剤、抗酸化剤、FXR受容体調節剤、LXR受容体アゴニスト、リポプロテイン合成阻害剤、ミクロソームのトリグリセリド輸送阻害剤、胆汁酸再吸収阻害剤、トリグリセリド合成阻害剤、転写調節剤、スクアレンエポキシダーゼ阻害剤、低密度リポプロテイン(LDL)受容体誘導剤、5−LOまたはFLAP阻害剤、およびナイアシンまたはナイアシン受容体アゴニスト、またはその医薬的に許容される塩から成る群から選択される抗異脂肪血症剤;および
(b)5HT(セロトニン)輸送体阻害剤、NE(ノルエピネフリン)輸送体阻害剤、グレリン抗体、グレリン拮抗剤、H3(ヒスタミンH3)拮抗剤/逆アゴニスト、MCH1R(メラニン凝集ホルモン1R)拮抗剤、MCH2R(メラニン凝集ホルモン2R)アゴニスト/拮抗剤、NPY1(ニューロペプチドY Y1)拮抗剤、NPY2(ニューロペプチドY Y2)アゴニスト、NPY5(ニューロペプチドY Y5)拮抗剤、レプチン、レプチン誘導体、オピオイド拮抗剤、オレキシン拮抗剤、BRS3(ボンベシン受容体サブタイプ3)アゴニスト、CCK−A(コレシストキニンA)アゴニスト、CNTF(毛様体神経栄養因子)、CNTF誘導体、GHS(成長ホルモン分泌促進物質受容体)アゴニスト、5HT2c(セロトニン受容体2c)アゴニスト、Mc3r(メラノコルチン3受容体)アゴニスト、Mc4r(メラノコルチン4受容体)アゴニスト、モノアミン再吸収阻害剤、セロトニン再吸収阻害剤、トピラメート、フィトファーム化合物57、ACC2(アセチルCoAカルボキシラーゼ−2)阻害剤、β3(β−アドレナリン受容体3)アゴニスト、FAS(脂肪酸合成酵素)阻害剤、PDE(ホスホジエステラーゼ)阻害剤、甲状腺ホルモン、Bアゴニスト、UCP−1(脱共役タンパク質1)、2、または3活性化剤、アシル−エストロゲン、グルココルチコイド拮抗剤、110HSD−1(1型11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ)阻害剤、リパーゼ阻害剤、脂肪酸輸送体阻害剤、ジカルボキシレート輸送体阻害剤、グルコース輸送体阻害剤、およびホスフェート輸送体阻害剤、またはその医薬的に許容される塩から成る群から選択される抗肥満症剤;
から成る群から選択される少なくとも1種の治療剤;を含有する組み合わせの治療的有効量を必要とするヒトを含む温血動物に投与することを含む。
【0025】
さらに、本発明は、異脂肪血症、肥満症関連異脂肪血症、異脂肪血症関連疾患、肥満症、肥満症関連疾患および/またはレニン活性の阻害によって調節される疾患または状態、を予防、発症遅延または処置する方法を提供するが、その方法は、レニン阻害剤またはその医薬的に許容される塩とコレステリルエステル輸送タンパク質阻害剤またはその医薬的に許容される塩とを含有する組み合わせの治療的有効量をこの処置を必要とするヒトを含む温血動物に投与することを含む。
【0026】
定義
用語「少なくとも1種の治療剤」は、レニン阻害剤に加えて、特定した1種またはそれ以上、例えば、2種、さらに3種の本発明に規定する活性成分を混合できることを意味するものとする。これは殊にレニン阻害剤の他に1種またはそれ以上、例えば2種または3種の抗肥満症剤が存在できることを意味する。同様に、これは殊にレニン阻害剤の他に1種またはそれ以上、例えば2種または3種の抗異脂肪血症剤が存在できることを意味する。さらに、抗異脂肪血症剤と抗肥満症剤との双方が1種またはそれ以上存在できる。
【0027】
用語レニン阻害剤またはその医薬的に許容される塩と、前記定義の(a)および(b)から成る群から選択される少なくとも1種の治療剤との「組み合わせ」は、医薬組成物としてまたはその一部として各成分が単位用量剤として投与できることを意味する。組み合わせはまた、レニン阻害剤またはその医薬的に許容される塩と、前記(a)および(b)から成る群から選択される少なくとも1種の治療剤とが、各々別々ではあるが同一の治療法の一部として投与されることも含む。各成分を別々に投与する場合、必ずしも実質的に同時に投与する必要はないが、所望ならば同時に投与することもできる。そこで、組み合わせは、例えばレニン阻害剤またはその医薬的に許容される塩と、前記(a)および(b)から成る群から選択される少なくとも1種の治療剤を別個の製剤または投与形態として同時に投与することも示す。組み合わせはまた、異なる時点で、そして任意の順番での別々の投与を含む。
【0028】
用語「予防」は、本明細書に指摘した状態の発症を予防するための健康な患者への予防的投与を示す。これに加えて、用語「予防」は、処置すべき状態の前段階にある患者への予防的投与も意味する。
【0029】
本明細書に使用する用語「発症の遅延」は、患者が対応する状態の前段階にあると診断された処置すべき状態の前段階にある患者への投与を示す。
【0030】
用語「処置」は、その疾患、状態または障害と闘う目的で患者を管理し、世話をすることであると理解される。
【0031】
用語「治療的有効量」は、研究者または臨床医が期待する器官、組織または動物(ヒトを含む)が所望の生物学的または医学的応答を示すようになる薬剤または治療剤の量を示す。
【0032】
用語「温血動物または患者」は、本明細書では互換的に使用し、これに限定するものではないが次のものを含む:ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、ウシ、サル、ウサギ、マウスおよび実験動物であり、好適な哺乳類はヒトである。
【0033】
用語「医薬的に許容される塩」は、医薬品産業で通常使用される非毒性塩を示し、当技術分野でよく知られている方法に従って製造し得る。
【0034】
本発明に定義するレニン活性の阻害によって調節される疾患または状態には、これに限定するものではないが、次のものを含む:高血圧、うっ血性心不全、糖尿病、特に2型糖尿病、若年性糖尿病の熟年発症(MODY)、糖尿病性網膜炎、網膜黄斑変性、糖尿病性腎症、高血圧性または非高血圧性腎症、IgA腎症、糸球体硬化症、慢性の腎不全、糖尿病性神経障害、メタボリックシンドローム、心臓シンドロームX、アテローム性動脈硬化症、冠動脈心疾患、狭心症、心筋梗塞、卒中、冠動脈および血管再狭窄、高血糖、高インスリン血症、高脂質血症、高トリグリセリド血症、インスリン耐性、グルコース代謝の障害(IGM)、耐糖能異常(IGT)の状態、IGMおよび/またはIGT、または多嚢胞性卵巣症候群に罹患している女性または妊娠糖尿病の前歴ある女性における炎症の増悪、空腹時血漿中グルコース障害の状態、肥満症、糖尿病性網膜症、黄斑変性、白内障、脚潰瘍、血管内皮障害、血管コンプライアンス障害および閉塞性睡眠時無呼吸。好ましくは、前記組み合わせはISHを含む高血圧、ならびにうっ血性心不全、メタボリックシンドローム、血管内皮異常、血管コンプライアンス異常、IGT、糖尿病特に2型糖尿病、高血圧性または非高血圧性腎症、IgA腎症の処置、ならびに前糖尿病から糖尿病への進行の遅延または延長に使用し得る。最も好ましくは、前記組み合わせはISHを含む高血圧、ならびにうっ血性心不全、メタボリックシンドローム、糖尿病特に2型糖尿病、および高血圧性または非高血圧性腎症の処置に使用し得る。
【0035】
用語「異脂肪血症」は、脂質代謝の様々な異常、例えば:脂質(すなわち、コレステロールおよびトリグリセリド)、および/またはアポリポプロテイン(すなわち、アポリポプロテインA、B、CおよびE)、および/またはリポプロテイン(すなわち、脂質およびアポリポプロテインによって形成される高分子複合体であって、脂質を血液中で循環させるもの、例えば:LDL、VLDLおよびIDL)1種またはそれ以上の濃度異常によって特徴付けられる状態を含む。用語「異脂肪血症」は、脂質、LDLおよびVLDLコレステロールおよび/またはトリグリセリドの異常な高濃度に関連する高脂質血症を含む。
【0036】
本発明で定義する異脂肪血症および異脂肪血症関連疾患は、遺伝的であれ環境的であれ、何らかの原因によるものであってよい。本発明の組成物は、肥満症に関連する脂質異常の処置、管理または予防のために有用である。用語「肥満症に関連する異脂肪血症」は、肥満症に起因するか、肥満症の結果発生する異脂肪血症を示す。異脂肪血症または異脂肪血症関連疾患の処置は、異脂肪血症に罹患した対象への本発明の組み合わせの投与を示す。異脂肪血症または異脂肪血症関連疾患の予防は、前異脂肪血症対象への本発明の組み合わせの投与を示す。前異脂肪血症の対象は、脂質濃度が正常よりも高いが、まだ脂質異常でない対象である。そこで、異脂肪血症の予防は異脂肪血症の発症を予防するために本発明の化合物または組み合わせを必要とする対象に投与することを示す。
【0037】
本発明の組成物は、異脂肪血症関連疾患の処置、管理または予防にも有用である。本明細書では異脂肪血症関連疾患は、異脂肪血症に関連するか、起因するか、または由来する。異脂肪血症関連疾患の例は次のものを含む:脂質疾患、高脂質血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、高密度リポプロテイン(HDL)の低濃度、血中低密度リポプロテイン(LDL)の高濃度、アテローム性動脈硬化症およびその抑制、冠状動脈または頚動脈疾患、心臓麻痺、および卒中。殊に、異脂肪血症関連疾患は、異脂肪血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、高密度リポプロテイン(HDL)の低濃度、血中低密度リポプロテイン(LDL)の高濃度、およびアテローム性動脈硬化症を含む。異脂肪血症関連疾患はさらにメタボリックシンドロームを含む。
【0038】
本発明の組成物は、脂質疾患、例えば:異脂肪血症、高脂質血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、および高密度リポプロテインの低濃度を処置するために;血中低密度リポプロテインおよび/または全コレステロールの濃度を低下させるために;血中トリグリセリドを低下させるために;アテローム性動脈硬化症発症リスクを予防し、または低下させるために;ならびに臨床的に明白になった動脈硬化疾患の進行を遅延または停止させるために;有用であることが期待される。本発明の組成物はまた冠状動脈または頚動脈疾患、心臓麻痺、および卒中の処置、管理および/または予防にも有用である。用語「異脂肪血症および異脂肪血症関連疾患」は、故に、次のものを含む:異脂肪血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、高密度リポプロテイン・コレステロールの低濃度、低密度リポプロテイン・コレステロールの高濃度、アテローム性動脈硬化症、冠状動脈疾患、心臓麻痺、および卒中。
【0039】
本発明の組成物は、心臓肥大および/または左心室肥大の処置、管理または予防に有用である。
【0040】
本発明の組成物はまたメタボリックシンドロームの処置、管理、または予防のためにも有用である。本発明の組成物はまた肥満症および肥満症関連疾患の処置、管理、または予防のためにも有用である。本明細書では、肥満症は、遺伝的または環境的など、どのような原因によるものであってもよい。
【0041】
本明細書で使用する用語「肥満症」は、体脂肪が過剰な状態である。肥満症の機能上の定義は肥満指数(BMI)に基づくが、これは体重をメートル単位で表す身長の二乗で割った値(kg/m)として算出される。「肥満症」は、それ以外は健康な対象の肥満指数(BMI)が30kg/m以上であるか、または少なくとも1種の合併症がある対象のBMIが27kg/m以上である状態である。「肥満症の対象」は、それ以外は健康であって30kg/m以上である肥満指数(BMI)を持つ対象、または少なくとも1種の合併症がある27kg/m以上であるBMIを持つ対象である。「肥満症のおそれがある対象」は、それ以外は健康な25kg/m〜30kg/mのBMIを持つ対象、または少なくとも1種の合併症がある25kg/m〜27kg/mのBMIを持つ対象である。肥満症に関連するリスクの増大はアジア人では比較的に低い肥満指数(BMI)で起きる。日本を含むアジア諸国では、「肥満症」は、体重減少を必要とするかまたは体重低下によって好転する肥満症由来または肥満症関連合併症が少なくとも1種ある対象が、25kg/m以上であるBMIを持つ状態を示す。日本を含むアジア諸国では、「肥満した対象」は、体重減少を必要とするかまたは体重低下によって好転する肥満由来または肥満関連合併症が少なくとも1種ある25kg/m以上であるBMIを持つ対象を示す。アジア太平洋諸国では、「肥満症のおそれがある対象」はl5BMIが23kg/m〜25kg/mよりも大きい対象である。
【0042】
本明細書に使用する用語「肥満症」は、前記定義の肥満症全てを含む意味である。
【0043】
肥満症誘発または肥満症関連合併症は、これに限定するものではないが次の疾患を含む:糖尿病、非インスリン依存性2型糖尿病、肥満症関連糖尿病、耐糖能の障害、空腹時血中グルコース障害、インスリン耐性症候群、異脂肪血症、高血圧、肥満症関連高血圧、高尿酸血症、痛風、冠状動脈疾患、心筋梗塞、狭心症、睡眠時無呼吸症候群、ピックウィック症候群、脂肪肝;脳梗塞、脳血栓症、一過性脳虚血卒中、整形外科的障害、変形性関節炎、腰痛、月経異常、および不妊。殊に、合併症は次のものを含む:高血圧、異脂肪血症、高脂質血症、不耐糖性、循環器疾患、睡眠時無呼吸、糖尿病、その他の肥満症関連状態。
【0044】
肥満症および肥満症関連疾患の処置は、本発明の化合物または本発明の組み合わせを肥満した対象の体重を減少または維持するために投与することを示す。この処置の成果の一つは、本発明の化合物または組み合わせ投与直前の対象の体重に比較して起き得る肥満対象の体重低下である。もう一つの処置の成果は、食事、運動または薬物療法の成果として以前に減らした体重の再増加を予防し得ることである。処置のもう一つの成果は、肥満症関連疾患の発症および/または重症度を低下し得ることである。この処置は適切には:対象による食事またはカロリーの摂取の低下、特に食事全量の低下、または食事の特定成分、例えば:炭水化物または脂肪の摂取の低下;および/または栄養吸収の阻害;および/または代謝速度低下の阻害;および患者の体重低下を起して、必要とする患者の体重低下を起こし得る。この処置は代謝速度の変化、例えば:代謝速度低下の阻害ではなくてまたはそれに加えて代謝速度の上昇;および/または体重減少に起因する代謝抵抗性の最小化も起こし得る。
【0045】
肥満症および肥満症関連疾患の予防は、肥満症のおそれがある対象の体重を減少し、または維持するための本発明の化合物または組み合わせの投与を示す。予防の成果の一つは、本発明の化合物または組み合わせを投与する直前の体重と比較して肥満症のおそれがある対象の体重を減少し得ることにある。予防の他の成果は、以前に行った食事、運動、または薬剤療法の成果として減らした体重の再増加を予防することにある。予防の別の成果は、肥満症のおそれがある対象で肥満症の発症前に処置が投与されれば肥満症の発生が防止されることにある。予防のさらに別の成果は、肥満症のおそれがある対象で肥満症が始まる前に投与されれば肥満症関連疾患の発症および/または重症度が減少することにあろう。さらにその上、処置を既に肥満した対象で開始するなら、この処置は肥満症関連疾患、例えばこれに限定するものではないが:動脈硬化、2型糖尿病、多嚢胞卵巣疾患、循環器疾患、骨関節炎、皮膚科疾患、高血圧、インスリン耐性、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、および胆石症の発症、進行または重症化を予防するであろう。
【0046】
本明細書では肥満症関連疾患は、肥満症に関連するか、肥満症によって起きるか、または肥満症の結果として起きる疾患である。肥満症関連疾患の例は次のものを含む:糖尿病、過食、過食症、および多食症、高血圧、インスリン血中濃度上昇およびインスリン抵抗性、異脂肪血症、高脂質血症、子宮内膜、乳腺、前立腺、腎臓および大腸の癌、骨関節炎、閉塞性睡眠時無呼吸、胆石、心臓病、心拍リズムの異常および不整脈、心筋梗塞、うっ血性心不全、冠状動脈性心臓病、突然死、卒中、多嚢胞卵巣疾患、頭蓋咽頭腫、プラダーウィリ症候群、フレーリッヒ症候群、GH−欠乏患者、正常変異低身長、ターナー症候群、およびその他の全無脂肪重量百分率として代謝活性低下または安静時エネルギー消費量低下を示す病理学的状態、例えば、急性リンパ母細胞白血病の小児。さらに肥満症関連疾患の例は次のものを含む:メタボリックシンドローム、別名Xシンドローム、インスリン耐性症候群、生殖ホルモン異常、性的および生殖的機能不全、例えば:生殖障害、不妊、雄性の性腺機能低下症および:雌性の多毛症、妊娠性肥満症に関連する致命的欠陥、消化管運動異常、例えば:肥満症関連胃食道反射、呼吸器疾患、例えば:肥満症低換気症候群(ピックウィック症候群)、息切れ、循環器疾患、炎症、例えば:血管系の全身的炎症、動脈硬化症、高コレステロール血症、高尿酸血症、腰痛、胆嚢疾患、高尿酸血症、痛風、および腎臓癌、および麻酔リスク増大。本発明の組成物はまたアルツハイマー病の処置にも有用である。
【0047】
本明細書で使用する用語「アテローム性動脈硬化症」は、関連する医学の分野に携わる医師が認識し、理解する血管の病気および状態を包含する。アテローム循環器疾患、冠状動脈性心臓病(別名:冠状動脈病または虚血性心臓病)、脳血管障害および末梢血管病は全てアテローム性動脈硬化症の臨床的徴候であり、それ故、用語「アテローム性動脈硬化症」および「アテローム硬化性動脈瘤」に包含される。抗肥満症剤の治療的有効量と共に抗異脂肪血症剤の治療的有効量を含む組み合わせは、冠状動脈性心臓病の事象、脳血管の事象、または間欠性跛行のおそれがある場合に、それを予防するために、または発生または再発のリスクを減少するために、投与してもよい。冠状動脈性心臓病の事象には、CHD死、心筋梗塞(すなわち、心臓麻痺)、および冠状動脈血管再生過程を含むものと解釈する。脳血管の事象には、虚血性または出血性卒中(別名:脳血管の障害)および一過性虚血性卒中を含むものと解釈する。間欠性跛行は末梢脈管病の臨床的発現の一つである。本明細書に使用する用語「動脈硬化の事象」には、冠状動脈性心臓病の事象、脳血管の事象、および間欠性跛行を含めると解釈する。非致死的動脈硬化症の前歴が1回またはそれ以上ある者は、そのような事象が再発するおそれがある者であると考える。
【0048】
用語「メタボリックシンドローム」、別名Xシンドロームは、the Third Report of the National Cholesterol Education Program Expert Panel on Detection, Evaluation and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults (ATP-III). E.S. Ford et al., JAMA, vol. 287 (3), Jan. 16, 2002, pp 356 359に定義されている。略述すれば、次の疾患:腹部肥満症、高トリグリセリド血症、低いHDLコレステロール、高い血圧、および高い空腹時血中グルコース;の中で3種またはそれ以上罹患している者はメタボリックシンドロームであると定義される。この判断基準はATP−IIIに定義されている。メタボリックシンドロームの処置は、本発明の組み合わせをメタボリックシンドロームに罹患した対象に投与することを示す。メタボリックシンドロームの予防は、メタボリックシンドロームを規定する疾患2種を持つ対象に本発明の組み合わせを投与することを示す。メタボリックシンドロームを規定する疾患2種を持つ対象とは、メタボリックシンドロームを規定する疾患2種を発症しているが、しかし未だに3種またはそれ以上のメタボリックシンドロームを規定する疾患を発症していない対象である。
【0049】
左心室肥大(LVH)は、左心室のマスインデックス(LVMI)および相対的な心臓壁の厚さ(RWT)に基づいて確認される。左心室のマスインデックスは、左心室の質量(グラム表示)を体表面積(メートル表示)で割り算した値である。相対的な心臓壁の厚さは、2×後壁の厚さ/左心室拡張末期直径と定義される。正常なLVMI値は典型的には85であり、正常なRWTは約0.36である。LVHの雄性対象ではLVMIが131g/mより大きく;LVHの雌性対象ではLVMIが100g/mより大きい。高いLVMI値を示す対象は、雄性対象ではLVMI値85g/m〜131g/mの間であり、雌性対象ではLVMI値85g/m〜100g/mの間である。心臓肥大または左心室肥大の処置は、本発明の組み合わせを心臓肥大または左心室肥大を持つ対象に投与することを示す。心臓肥大または左心室肥大の予防は、LVMI値の高い対象のLVMIを低下させるかまたは維持するために、または正常なLVMI値を示す対象のLVMI増大を予防するために本発明の組み合わせを投与することを示す。心臓肥大または左心室肥大の処置の成果の一つは、心室重量の減少であり得る。心臓肥大または左心室肥大の処置の他の成果は、心室重量の増加速度の減少であり得る。
【0050】
心臓肥大または左心室肥大の処置の他の成果は、心室壁の厚さの減少であり得る。
【0051】
心臓肥大または左心室肥大の処置の他の成果は、心室壁の肥厚速度の低下であり得る。
【0052】
レニン阻害剤
腎臓から放出される天然の酵素レニンは、循環系のアンギオテンシノーゲンを切断してアンギオテンシンIと呼ばれるデカペプチドを形成する。次にこれが肺、腎臓、その他の臓器中のアンギオテンシン変換酵素(ACE)で切断されてアンギオテンシンIIと呼ばれるオクタペプチドを形成する。標的細胞表面の特定的な受容体との相互作用によってこのオクタペプチドは、動脈血管収縮によって直接的に、および副腎から放出されるナトリウムイオン保持ホルモンであるアルドステロンによって間接的に、血圧を上昇させると共に細胞外液の容積を増加する。例えば、受容体AT−およびAT−受容体と呼ばれる受容体サブタイプを確認することができた。レニン酵素活性の阻害剤はアンギオテンシンI形成の低下を起こす。その結果、少量のアンギオテンシンIIが産生される。活性ペプチドホルモン濃度の低下は、例えばレニン阻害剤の抗高血圧効果の直接的な原因である。従って、例えば、抗高血圧剤としてまたはうっ血性心不全を処置するためにレニン阻害剤またはその塩を用い得る。
【0053】
本発明が適用するレニン阻害剤は、生体内でレニン阻害効果を示し、それ故、例えば次に記載する疾患の予防、発症遅延または処置のための治療剤としての薬理学的有用性を持つものならばいずれでもよい:高血圧、うっ血性心不全、糖尿病、特に2型糖尿病、糖尿病性網膜症、黄斑変性、糖尿病性腎症、高血圧性または非高血圧性腎症およびIgA腎症、糸球体硬化症、腎不全、特に慢性腎不全、糖尿病性神経障害、メタボリックシンドローム、心臓シンドロームX、アテローム性動脈硬化症、冠状動脈性心臓病、狭心症、心筋梗塞、卒中、冠動脈再狭窄、血管再狭窄、内皮機能不全、動脈硬化等。
【0054】
殊に、本発明は本明細書に参考のために全内容を引用するU.S.特許5,559,111およびEP 678503 A; No. 6,197,959およびNo. 6,376,672に開示されているレニン阻害剤に関する。
【0055】
適当なレニン阻害剤は様々な構造的特長を持つ化合物を含む。例えば次の化合物群から成る群から選択される化合物を特記し得る:
ジテキレン(ditekiren)(化学名:[1S−[1R*,2R*,4R*(1R*,2R*)]]−1−[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]−L−プロリル−L−フェニルアラニル−N−[2−ヒドロキシ−5−メチル−1−(2−メチルプロピル)−4−[[[2−メチル−1−[[(2−ピリジニルメチル)アミノ]カルボニル]ブチル]アミノ]カルボニル]ヘキシル]−N−α−メチル−L−ヒスチジンアミド);
テルラキレン(terlakiren)(化学名:[R−(R*,S*)]−N−(4−モルホリニルカルボニル)−L−フェニルアラニル−N−[1−(シクロヘキシルメチル)−2−ヒドロキシ−3−(1−メチルエトキシ)−3−オキソプロピル]−S−メチル−L−システインアミド);および
ザンキレン(化学名:[1S−[1R*[R*(R*)],2S*,3R*]]−N−[1−(シクロヘキシルメチル)−2,3−ジヒドロキシ−5−メチルヘキシル]−α−[[2−[[(4−メチル−1−ピペラジニル)スルホニル]メチル]−1−オキソ−3−フェニルプロピル]−アミノ]−4−チアゾールプロパンアミド)、好ましくはいずれの場合もその塩酸塩。
【0056】
本発明の好適なレニン阻害剤は式(I)および式(II):
【化1】

で示されるRO66−1132およびRO66−1168または各々その医薬的に許容される塩を含む。
【0057】
殊に、本発明は式:
【化2】

[式中、
はハロゲン、C1−6ハロゲンアルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキルオキシまたはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;
はハロゲン、C1−4アルキルまたはC1−4アルコキシであり;
およびRは独立に分枝C3−6アルキルであり;そして
はシクロアルキル、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、C1−6アルカノイルオキシ−C1−6アルキル、C1−6アミノアルキル、C1−6アルキルアミノ−C1−6アルキル、C1−6ジアルキルアミノ−C1−6アルキル、C1−6アルカノイルアミノ−C1−6アルキル、HO(O)C−C1−6アルキル、C1−6アルキル−O−(O)C−C1−6アルキル、HN−C(O)−C1−6アルキル、C1−6アルキル−HN−C(O)−C1−6アルキルまたは(C1−6アルキル)N−C(O)−C1−6アルキルである]
で示されるδ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸アミド誘導体であるレニン阻害剤またはその医薬的に許容される塩に関する。
【0058】
アルキルとして、Rは直鎖状または分枝状であってもよく、好ましくはC原子1〜6個、特にC原子1または4個を含む。その例はメチル、エチル、n−およびi−プロピル、n−、i−およびt−ブチル、ペンチルおよびヘキシルである。
【0059】
ハロゲンアルキルとして、Rは直鎖状または分枝状であってもよく、好ましくはC原子1〜4個、特に1または2個を含む。その例はフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、2−クロロエチルおよび2,2、2−トリフルオロエチルである。
【0060】
アルコキシとして、RおよびRは直鎖状または分枝状であってもよく、好ましくはC原子1〜4個を含む。その例はメトキシ、エトキシ、n−およびi−プロピルオキシ、n−、i−およびt−ブチルオキシ、ペンチルオキシおよびヘキシルオキシである。
【0061】
アルコキシアルキルとして、Rは直鎖状または分枝状であってもよい。そのアルコキシ基は好ましくはC原子1〜4個、特に1または2個を含み、そのアルキル基は好ましくはC原子1〜4個を含む。その例はメトキシメチル、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、5−メトキシペンチル、6−メトキシヘキシル、エトキシメチル、2−エトキシエチル、3−エトキシプロピル、4−エトキシブチル、5−エトキシペンチル、6−エトキシヘキシル、プロピルオキシメチル、ブチルオキシメチル、2−プロピルオキシエチルおよび2−ブチルオキシエチルである。
【0062】
1−6アルコキシ−C1−6アルキルオキシとして、Rは直鎖状または分枝状であり得る。アルコキシ基は好ましくはC原子1〜4個、特に1または2個を含み、アルキルオキシ基は好ましくはC原子1〜4個を含む。その例はメトキシメチルオキシ、2−メトキシエチルオキシ、3−メトキシプロピルオキシ、4−メトキシブチルオキシ、5−メトキシペンチルオキシ、6−メトキシヘキシルオキシ、エトキシメチルオキシ、2−エトキシエチルオキシ、3−エトキシプロピルオキシ、4−エトキシブチルオキシ、5−エトキシペンチルオキシ、6−エトキシヘキシルオキシ、プロピルオキシメチルオキシ、ブチルオキシメチルオキシ、2−プロピルオキシエチルオキシおよび2−ブチルオキシエチルオキシである。
【0063】
好適な態様では、Rはメトキシ−またはエトキシ−C1−4アルキルオキシであり、Rは好ましくはメトキシまたはエトキシである。特に好適なものは式(III)で示される化合物であって、ここに、Rは3−メトキシプロピルオキシ;Rはメトキシである。
【0064】
分枝アルキルとして、RおよびRは好ましくはC原子3〜6個を含む。その例はi−プロピル、i−およびt−ブチル、およびペンチルとヘキシルの分枝異性体である。好適な態様では、式(III)の化合物ではRおよびRは各々i−プロピルである。
【0065】
シクロアルキルとして、Rは好ましくは環炭素原子3〜8個、特に好適には3個または5個であってもよい。その例にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロオクチルがある。このシクロアルキルは要すれば、例えば:アルキル、ハロ、オキソ、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、チオール、アルキルチオ、ニトロ、シアノ、ヘテロシクリルその他の置換基1個またはそれ以上で置換されていてもよい。
【0066】
アルキルとして、Rは直鎖状または分枝状のアルキルの形であってもよく、好ましくはC原子1〜6個を含む。アルキルの例は本明細書に前記した。メチル、エチル、n−およびi−プロピル、n−、i−およびt−ブチルが好適である。
【0067】
1−6ヒドロキシアルキルとして、Rは直鎖状または分枝状であってもよく、好ましくはC原子2〜6個を含む。その例は2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、2−、3−または4−ヒドロキシブチル、ヒドロキシペンチルおよびヒドロキシヘキシルである。
【0068】
1−6アルコキシ−C1−6アルキルとして、Rは直鎖状または分枝状であってもよい。このアルコキシ基は好ましくはC原子1〜4個を含み、そのアルキル基は好ましくはC原子2〜4個を含む。その例は2−メトキシエチル、2−メトキシプロピル、3−メトキシプロピル、2−、3−または4−メトキシブチル、2−エトキシエチル、2−エトキシプロピル、3−エトキシプロピル、および2−、3−または4−エトキシブチルである。
【0069】
1−6アルカノイルオキシ−C1−6アルキルとして、Rは直鎖状または分枝状であってもよい。このアルカノイルオキシ基は、好ましくはC原子1〜4個を含み、アルキル基は好ましくはC原子2〜4個を含む。その例はメチル、ホルミルオキシエチル、アセチルオキシエチル、プロピオニルオキシエチルおよびブチロイルオキシエチルである。
【0070】
1−6アミノアルキルとして、Rは直鎖状または分枝状であってもよく、好ましくはC原子2〜4を持つ。その例は2−アミノエチル、2−または3−アミノプロピルおよび2−、3−または4−アミノブチルである。
【0071】
1−6アルキルアミノ−C1−6アルキルおよびC1−6ジアルキルアミノ−C1−6アルキルとして、Rは直鎖状または分枝状であってもよい。このアルキルアミノ基は好ましくはC1−4アルキル基を含み、アルキル基は好ましくはC原子2〜4個を持つ。その例は2−メチルアミノエチル、2−ジメチルアミノエチル、2−エチルアミノエチル、2−エチルアミノエチル、3−メチルアミノプロピル、3−ジメチルアミノプロピル、4−メチルアミノブチルおよび4−ジメチルアミノブチルである。
【0072】
HO(O)C−C1−6アルキルとして、Rは直鎖状または分枝状であってもよく、アルキル基は好ましくはC原子2〜4個を持つ。その例はカルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシプロピルおよびカルボキシブチルである。
【0073】
1−6アルキル−O−(O)C−C1−6アルキルとして、Rは直鎖状または分枝状であってもよく、そのアルキル基は好ましくは相互に独立にC原子1〜4個を持つ。その例はメトキシカルボニルメチル、2−メトキシカルボニルエチル、3−メトキシカルボニルプロピル、4−メトキシ−カルボニルブチル、エトキシカルボニルメチル、2−エトキシカルボニルエチル、3−エトキシカルボニルプロピルおよび4−エトキシカルボニルブチルである。
【0074】
N−C(O)−C1−6アルキルとして、Rは直鎖状または分枝状であってもよく、そのアルキル基は好ましくはC原子2〜6個を持つ。その例はカルバミドメチル、2−カルバミドエチル、2−カルバミド−2,2−ジメチルエチル、2−または3−カルバミドプロピル、2−、3−または4−カルバミドブチル、3−カルバミド−2−メチルプロピル、3−カルバミド−1,2−ジメチルプロピル、3−カルバミド−3−エチルプロピル、3−カルバミド−2,2−ジメチルプロピル、2−、3−、4−または5−カルバミドペンチル、4−カルバミド−3,3−または−2,2−ジメチルブチルである。好ましくは、Rは2−カルバミド−2,2−ジメチルエチルである。
【0075】
従って、式(III)で示されるδ−アミノ−γ−ヒドロキシ−ω−アリール−アルカン酸アミド誘導体の中で式:
【化3】

[式中、
は3−メトキシプロピルオキシであり;
はメトキシであり;そして
とRとはイソプロピルである]
で示される誘導体またはその医薬的に許容される塩が好適であって、化学的には、2(S),4(S),5(S),7(S)−N−(3−アミノ−2,2−ジメチル3−オキソプロピル)−2、7−ジ(1−メチルエチル)−4−ヒドロキシ−5−アミノ−8−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)フェニル]−オクタンアミド、別名アリスキレンとして定義される。
【0076】
用語「アリスキレン」は、特定的な指摘がない限り、その遊離塩基としておよび塩、特に医薬的に許容される塩、最も好ましくはヘミフマレートとして理解される。
【0077】
抗異脂肪血症剤
本出願が関連する抗異脂肪血症剤は当業者によく知られており、またthe Physician's Desk reference, Edition 56 (2002)にも記載されている。抗異脂肪血症剤はSullivan, M. et al., Lab. Anim. Sci. 43:575 778 (1993); Aoki, T., et al., Arzneimittelforschung 51:197-203, (2001) に記載されている方法に従ってテンジクネズミのモデルで評価できる。この用語抗異脂肪血症剤はその定義の中に次の治療分類内の化合物、またはこれらの化合物の組み合わせのいずれかも含む。
【0078】
本発明で有用な胆汁酸捕捉剤には、これに限定するものではないが、コレスチラミン、コレセベレム、コレスチポール(コレスチド)、交差結合デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体;ロコレスト;およびクエストランを含む。そこで、態様の一つでは、この抗異脂肪血症剤は、胆汁酸捕捉剤である。この群のサブクラスの一つでは、コレステロール吸収阻害剤はコレスチラミンおよびその医薬的に許容される塩およびエステルである。
【0079】
本発明で有用なコレステロール吸収阻害剤には、これに限定するものではないが、スタノールエステル、β−シトステロール;ステロール配糖体、例えば:チクエシド(tiqueside);およびアゼチジノン、例えば:エゼチミブ;および全記載を参考のために本明細書に引用するUS 5,846,966、US 5,631,365、US 5,767,115、US 6,133,001、US 5,886,171、US 5,856,473、US 5,756,470、US 5,739,321、US 5,919,672、WO 00/63703、WO /0060107、WO 00/38725、WO 00/34240、WO 00/20623、WO 97/45406、WO 97/16424、WO 97/16455、およびWO 95/08532に記載されているものを含む。コレステロール吸収阻害剤の一例は、1−(4−フルオロフェニル)−3(R)−[3(S)−ヒドロキシ−3−(4−フルオロフェニル)プロピル]−4(S)−(4−ヒドロキシフェニル)−2−アゼチジノン、すなわちエゼチミブである。他のヒドロキシ置換アゼチジノンコレステロール吸収阻害剤の例はU.S.特許5,767,115、39欄、54-61行および40欄、1-51行(参考のために引用)に記載され、2欄、20-63行(参考のために引用)に式が示されている。そこで、態様の一つでは、この抗異脂肪血症剤はコレステロール吸収阻害剤およびその医薬的に許容される塩またはエステルである。この態様の一群では、このコレステロール吸収阻害剤は、β−シトステロール、エゼチミブ、およびチクエシドおよびその医薬的に許容される塩およびエステルから成る群から選択される。この群のサブクラスの一つでは、コレステロール吸収阻害剤はエゼチミブおよびその医薬的に許容される塩およびエステルである。他の態様では、抗異脂肪血症剤はコレステロール吸収阻害剤およびその医薬的に許容される塩およびエステル;およびHMG−CoA還元酵素阻害剤およびその医薬的に許容される塩およびエステル;を含む組成物である。この態様の一群では、この組成物は、エゼチミブおよびその医薬的に許容される塩およびエステル;およびシムバスタチン(simvastatin)およびその医薬的に許容される塩およびエステルを含む。この態様の別な一群では抗異脂肪血症剤はバイトーリンである。
【0080】
本発明で有用なアシルコエンザイムA−コレステロールアシル転移酵素(ACAT)阻害剤は、これに限定するものではないがアバシミブ(avasimibe)、エフルシミブ(eflucimibe)、KY505、SMP797、その他;およびU.S.特許No. 5,510,379および国際特許出願WO 96/26948およびWO 96/10559に開示されているものを含む。そこで、態様の一つでは抗異脂肪血症剤はアシルコエンザイムA−コレステロールアシル転移酵素(ACAT)阻害剤およびその医薬的に許容される塩およびエステルである。この態様の一群では、アシルコエンザイムA−コレステロールアシル転移酵素(ACAT)阻害剤はアバシミブ、エフルシミブ、KY505およびSMP797;およびその医薬的に許容される塩およびエステルから成る群から選択される。そこで、態様の一つでは抗異脂肪血症剤はアシルコエンザイムA−コレステロールアシル転移酵素(ACAT)阻害剤である。
【0081】
本発明で有用なスクアレン合成酵素阻害剤には、これに限定するものではないが、Curr. Op. Ther. Patents, 861-4, (1993); EP特許出願0 567 026 A1; 0 645 378 A1; 0 645 377 A1; 0 611 749 A1; 0 705 607 A2; 0 701 725 A1; およびPCT公報WO 96/09827に開示されているものも含む。そこで、態様の一つでは、抗異脂肪血症剤はスクアレン合成酵素阻害剤である。
【0082】
本発明で有用な抗酸化剤には、これに限定するものではないが、プロブコールおよびその医薬的に許容される塩およびエステルを含む。そこで、態様の一つでは、抗異脂肪血症剤は抗酸化剤およびその医薬的に許容される塩およびエステルである。この態様の一群では、抗酸化剤はプロブコールおよびその医薬的に許容される塩およびエステルから成る群から選択される。
【0083】
本発明で有用なFXR受容体拮抗剤には、これに限定するものではないがGW4064、SR103912、その他を含む。そこで、態様の一つでは、抗異脂肪血症剤は、FXR受容体拮抗剤である。
【0084】
本発明で有用なLXR受容体アゴニストには、これに限定するものではないがGW3965、T9013137、およびXTCO179628、その他を含む。そこで、態様の一つでは、抗異脂肪血症剤はLXR受容体アゴニストである。
【0085】
本発明で有用なリポプロテイン合成阻害剤には、これに限定するものではないが、ナイアシンまたはニコチン酸を含む。そこで、態様の一つでは、抗異脂肪血症剤はリポプロテイン合成阻害剤およびその医薬的に許容される塩およびエステルである。この態様の一群では、リポプロテイン合成阻害剤はナイアシンまたはニコチン酸およびその医薬的に許容される塩およびエステルから成る群から選択される。
【0086】
本発明で有用な胆汁酸再吸収阻害剤は、これに限定するものではないが、BARI1453、SC435、PHA384640、S8921、AZD7706、その他を含む。そこで、態様の一つでは、抗異脂肪血症剤は胆汁酸再吸収阻害剤である。
【0087】
本発明で有用なミクロソームのトリグリセリド輸送阻害剤は、これに限定するものではないが、インプリタピド、LAB687、およびCP346086、その他を含む。そこで、態様の一つでは、抗異脂肪血症剤はミクロソームのトリグリセリド輸送阻害剤である。
【0088】
用語「CETP阻害剤」は、HDLからLDLおよびVLDLへの、各種コレステリルエステルおよびトリグリセリドの、コレステリルエステル転移タンパク質(CETP)介在輸送を阻害する化合物を示す。当業者は、このようなCETP阻害活性を、標準的な検定法(例えば、U.S.特許6,140,343)に従って容易に測定できる。様々なCETP阻害剤が当業者に知られている。例えば、共通して譲渡されたU.S.特許6,140,343および共通して譲渡され、登録されたU.S.出願09/391,152に開示されている。U.S.特許は5, 512,548 はCETP阻害剤としての作用を持つある種のポリペプチド誘導体を開示しており、一方J. Antibiot., 49(8): 815-816 (1996), およびBioorg. Med. Chem. Lett; 6:1951-1954 (1996)にはある種のCETP−阻害性ロゼノノラクトン誘導体およびコレステリルエステルのリン酸含有類似体が開示されている。
【0089】
他の脂質剤または脂質調節剤は、コレステリル輸送タンパク質阻害剤であり得る。例えば:PfizerのCP−529,414ならびにWO/0038722およびEP 818448(Bayer)およびEP 992496 に開示されているもの、およびPharmaciaのSC−744およびSC−795ならびにCETi−1およびJTT−705であり得る。また、WO2005/095409およびWO2005/095395、特に実施例に記載されている化合物も含まれる。
【0090】
コレステリルエステル輸送タンパク質の阻害が血中HDL/LDL比を有効に修正することは証明されており、ある種の循環器疾患の進行および/または形成を抑制することが期待されている。CETPは各種血中リポプロテインの間を移動するコレステリルエステルおよびトリグリセリドの移動を促進する血中のタンパク質である(Tall, J. Lipid Res., 34, 1255-74 (1993))。CETPによるHDLからLDLへのコレステリルエステルの移動は、HDLコレステロールを低下する効果を持つ。従って、CETPの阻害は、血中HDLコレステロールの増加と血中LDLコレステロールの低下を起こし、それによって治療的に有益な血中脂質のプロフィルを提供する。この効果の証拠はMcCarthy, Medicinal Res. Revs., 13, 139-59 (1993) に記載されている。この効果の別な証拠はSitori, Pharmac. Ther., 67, 443-47 (1995)に記載されている。この現象は最初にSwenson et al., (J. Biol. Chem., 264, 14318 (1989))がCETPを特定的に阻害するモノクローナル抗体を用いて証明した。ウサギでは、この抗体は血中HDLコレステロール上昇とLDLコレステロールの減少を起した。Son et al. (Biochim. Biophys. Acta, 795, 743-480 (1984))はヒト血中から得たCETPを阻害するタンパク質を報告した。本明細書に参考のために引用するKushwaha et al.に付与されたU.S.特許5,519,001はヒヒのapoC−1に由来するCETP作用を阻害するアミノ酸36個のペプチドを記載している。Cho et al. (Biochim. Biophys. Acta 1391, 133-144 (1998))は、ヒトCETPを阻害するブタの血漿から得たペプチドを報告した。Bonin et al. (J. Peptide Res., 51, 216-225 (1998))はCETPのデカペプチド阻害剤を報告した。Hedge et al. in Bioorg. Med. Chem. Lett., 8, 1277-80 (1998)はカビ代謝物デプシペプチドをCETP阻害剤として報告した。
【0091】
CETP阻害剤として作用する非ペプチド性化合物が数件報告されている。Barrett et al. (J. Am. Chem. Soc., 188, 7863-63 (1996))はシクロプロパン含有CETP阻害剤を報告した。別のシクロプロパン含有CETP阻害剤をKuo et al. (J. Am. Chem. Soc., 117, 10629-34 (1995))が報告した。Pietzonka et al. (Bioorg. Med. Chem. Lett., 6, 1951-54 (1996))はコレステリルエステルのリン酸含有類縁体をCETP阻害剤である報告した。Coval et al. (Bioorg. Med. Chem. Lett., 5, 605-610 (1995)) はウィーデンジオール(Wiedendiol)−Aおよび−Bおよび関連セスキテルペン化合物をCETP阻害剤であると報告した。Lee et al. (J. Antibiotics, 49, 693-96 (1996))は昆虫、カビ由来のCETP阻害剤を報告した。Busch et al. (Lipids, 25, 216-220, (1990))は、コレステリルアセチルブロミドがCETP阻害剤であると報告した。Morton and Zilversmit (J. Lipid Res., 35, 836-47 (1982))はp−クロロマーキュリフェニルスルホン酸、p−ヒドロキシマーキュリ安息香酸およびマーキュリチオサリチル酸エチルがCETPを阻害することを報告した。Connolly et al. (Biochem. Biophys. Res. Comm., 223, 42-47 (1996)) は他のシステイン修飾試薬がCETP阻害剤であると報告した。Xia et al.は1,3,5−トリアジン類がCETP阻害剤であると報告した(Bioorg. Med. Chem. Lett., 6, 919-22 (1996)); Bisgaier et al. (Lipids, 29, 811-8 (1994)) は4−フェニル−5−トリデシル−4H−1,2,4−トリアゾール−チオールがCETP阻害剤であると報告した。別なトリアゾール系CETP阻害剤が本明細書に参考のために引用するU.S.特許出願09/153,360 に開示されている。Sikorski et al.は別の新規なCETP阻害剤をPCT特許出願WO 9914204に開示した。置換2−メルカプトアニリンアミド化合物はCETP阻害剤として使用でき、その治療用化合物をH. Shinkai et al.; PCT特許出願WO 98/35937が開示している。
【0092】
ある種の置換ヘテロアルキルアミン化合物はCETP阻害剤であることが知られている。欧州特許出願796846, Schmidt et al は2−アリール置換ピリジンが心血管薬として有用なコレステロールエステル移動タンパク質阻害剤であると開示している。このピリジン環のC3置換基1個はヒドロキシアルキル基であることができる。Dow and Wright, 欧州特許出願801060 はアルキルアミンのアルデヒド付加生成物で置換されたヘテロ環誘導体から1−ヒドロキシ−1−アミンを得た。これらは糖尿病その他の疾患を処置するために有用なβ3−アドレナリン作動性受容体アゴニストであると開示されている。イギリス特許出願2305665, Fisher et al. はコレステロール濃度および動脈硬化性疾患を含む数種の疾患の処置に有用な3−アゴニスト二級アミノアルコール置換ピリジン誘導体を開示している。欧州特許出願818448(参考のために本明細書に引用する)でSchmidt et al. はテトラヒドロキノリン誘導体がコレステロールエステル輸送タンパク質阻害剤であると開示している。欧州特許出願818197, Schmek et al.は融合ヘテロ環を持つピリジンがコレステロールエステル輸送タンパク質阻害剤であると開示している。Brandes et al.は、ドイツ特許出願19627430において、双環縮合ピリジン誘導体がコレステロールエステル輸送タンパク質阻害剤であると開示している。PCT特許出願WO 9839299, Muller-Gliemann et al.はキノリン誘導体がコレステリルエステル輸送タンパク質阻害剤であると開示している。
【0093】
CETP阻害剤として有用な多環化合物がA. Oomura et al.は、日本特許10287662に開示されている。例えば、構造C−1およびC−8を持つ治療用化合物はペニシリウム属菌を培養して製造できる。CETP阻害剤として有用なシクロアルキルピリジン類がSchmidt et al.の欧州特許EP 818448に開示されている。例えば、構造C−9を持つ治療用化合物はCETP阻害剤として特に有効であると開示されている。CETP阻害剤として有用な置換テトラヒドロナフタレン化合物はPCT特許出願WO 9914174に開示されている。この開示に有用なCETP阻害剤として特定的に記載されているものは(8S)−3−シクロペンチル−1−(4−フルオロフェニル)−2−[(S)−フルオロ(4−トリフルオロ−メチルフェニル)メチル]−8−ヒドロキシ−6−スピロシクロブチル−5、6、7、8−テトラヒドロナフタレンである。CETP阻害剤として有用なある種の4−ヘテロアリール−テトラヒドロキノリンはPCT特許出願WO 9914215に開示されている。例えば、この開示は3−(4−トリフルオロメチルベンゾイル)−5,6,7,8−テトラヒドロキノリン−5−オンを有用なCETP阻害剤であると記載している。
【0094】
本発明で有用な化合物は広範な治療用化合物を包含する。本発明に有用なある種の特定的テトラヒドロキノリンCETP阻害剤化合物が次の各個別的特許出願に記載されており、両出願を本明細書に参考のために引用する:U.S.特許5,932,587およびU.S.特許5,925,645。
【0095】
コレステリルエステル輸送タンパク質(CETP)阻害剤は生体内でリポプロテイン全ての代謝に関与し、コレステロール輸送システムの逆行に重要な役割を演じていることが知られている。このシステムは末梢細胞におけるコレステロール蓄積を予防し、アテローム性動脈硬化症に対する保護機序として機能する。
【0096】
そこで、態様の一つではこの抗異脂肪血症剤はCETP阻害剤である。好適なCETP阻害剤には次式:
【化4】

で示されるコード名JTT705の化合物(参照:EP 1020439A1);次式:
【化5】

で示されるトルセトラピブ(参照: WO 00/17164);
CP532623;および
WO2005/095409およびWO2005/095395、特にその実施例に記載されている化合物を含む。
【0097】
抗肥満剤
本発明の抗肥満症剤は当業者が容易に確認できる。食欲抑制剤である抗肥満症剤はDaniels, A.J. et al., Regulatory Peptides, 106:47-54 - 32 (2002); Halaas, J.L. et. al., Science, 269: 543-546 (1995); およびStrack, A.M., Obesity Research, 10:173-81 (2002) に記載されている操作に従ってげっ歯類で評価できる。代謝加速剤である抗肥満症剤は常法(Atgie, C., Comp. Biochem. Physiol. A. Mol. Integr. Physiol. 119:629-36 (1998); Himms-Hagan, J., American J. Physiology, 266:R1371-82 (1994))に従ってげっ歯類で評価でき、げっ歯類で無効な場合でも、最終的にヒトで試験する前に他の動物種、例えば:イヌおよびサルで評価できる(Connacher, A.A. et. al., Int'l J. Obesity, 16: 685-694 (1992); Connacher, A.A. et. al., Am. J. Clin. Nutr., 55: 258S-261S (1992); Connacher, A.A. et. al., Brit. Med. J., 296: 1217-1220 (1998))。代謝加速剤の有用性はRII−β遺伝子が欠失して、食餌誘発肥満に抵抗性であることが証明されているマウスを用いる実験(D. E. Cummings et al. Nature 382: 622-626 (1996))によって支持される。栄養吸収阻害剤である抗肥満症剤はBadr M.Z. and Chen, T.S., Toxicology, 34:333-40 (1985); Sorribas, V., J. Pharm. Pharmacol., 44:1030-2 (1992)で評価できる。
【0098】
本明細書に使用する用語「食欲抑制剤」は、全食物摂取量を5%またはそれ以上低減するか、またはカロリー摂取を低減するか、または食餌の特定の成分、例えば:炭水化物または脂肪の摂取を5%またはそれ以上低減する化合物を含む。本明細書に使用する用語「代謝加速剤」は、対象に投与した時に、対象の代謝速度を増加するように作用する化合物を含むが、特に24時間のエネルギー消費として代謝を少なくとも5%、好ましくは10%、最も好ましくは20%加速する薬剤であるか、および/または対象に投与した時に脂肪酸の酸化を炭水化物と比較して加速する化合物である。本明細書に使用する用語「栄養吸収阻害剤」は、栄養の吸収を10%またはそれ以上阻害する化合物を含む。この発明の組成物のために有用な抗肥満症剤には投与の情報とともにthe Physician's Desk reference, Edition 56 (2002)の記載に確認されるものがある。用語「抗肥満症剤」は、その意味の中に下記の治療的分類内の化合物またはこれらの化合物の組み合わせも含む。
【0099】
この発明に有用なセロトニン(SHT)輸送阻害剤は、これに限定するものではないが、パロキセチン、フルオキセチン、フェンフルラミン、フルボキサミン、セルトラリン、およびイミプラミンを含む。そこで、態様の一つでは、抗異脂肪血症剤はセロトニン(SHT)輸送阻害剤である。
【0100】
本発明に有用なノルエピネフリン(NE)輸送阻害剤には、これに限定するものではないが、GW320659、デスピラミン(despiramine)、タルスプラム(talsupram)、およびノミフェンシンを含む。そこで、態様の一つでは、抗異脂肪血症剤はノルエピネフリン(NE)輸送阻害剤である。
【0101】
本発明に有用なグレリン拮抗剤には、US2003087821およびNZ 504256に記載のものを含む。そこで、態様の一つでは、抗異脂肪血症剤はグレリン拮抗剤である。
【0102】
本発明に有用なヒスタミン3(H3)拮抗剤/逆アゴニストには次のものを含む:PCT 出願WO 02/15905;およびO−[3−(lH−イミダゾール−4−イル)プロパノール]カルバメート(Kiec-Kononowicz, K. et al., Pharmazie, 55:349- 55 (2000));ピペリジン含有ヒスタミンH3−受容体拮抗剤(Lazewska, D. et al., Pharmazie, 56:927-32 (2001);ベンゾフェノン誘導体および関連化合物 (Sasse, A. et al., Arch. Pharm. (Weinheim) 334:45-52 (2001));置換N−フェニルカルバメート(Reidemeister, S. et al., Pharmazie, 55:83-6 (2000));およびプロキシファン(proxifan)誘導体(Sasse, A. et al., J. Med. Chem.. 43:3335-43 (2000))。本発明に有用な特定的なH3拮抗剤/逆アゴニストは、これに限定するものではないが、次のものを含む:チオペラミド;3−(1H−イミダゾール−4−イル)プロピル−N−(4−ペンテニル)−カルバメート;クロベンプロピット(clobenpropit);ヨードフェンプロピット(iodophenpropit);イモプロキシファン(imoproxifan);GT2394(Gliatech);およびA331440。そこで、態様の一つでは、抗異脂肪血症剤はヒスタミン3(H3)拮抗剤/逆アゴニストである。
【0103】
本発明に有用なメラニン凝集ホルモン1受容体(MCH1R)拮抗剤およびメラニン凝集ホルモン2受容体(MCH2R)アゴニスト/拮抗剤には次のものを含む:PCT特許出願WO 01/82925, WO 01/87834, WO 02/06245, WO 02/04433, およびWO 02/51809; および日本特許出願13226269。本発明に有用な特定的なMCH1R拮抗剤には、これに限定するものではないがT−226296(Takeda)、SB568849、およびSNAP7941を含む。そこで、態様の一つでは抗異脂肪血症剤は、メラニン凝集ホルモン1受容体(MCH1R)拮抗剤またはメラニン凝集ホルモン2受容体(MCH2R)アゴニスト/拮抗剤である。
【0104】
本発明に有用なニューロペプチドY1(NPY1)拮抗剤には次のものを含む:U.S.特許6,001,836; およびPCT出願WO 96/14307、WO 01/23387、WO 99/51600、WO 01/85690、WO 01/85098、WO 01/85173、およびWO 01/89528。本発明に有用なNPY1拮抗剤の特定的な例には、これに限定するものではないが、BIBP3226、J115814、BIBO3304、LY357897、CP671906、およびGI264879Aを含む。そこで、態様の一つでは、抗異脂肪血症剤は、ニューロペプチドY1(NPY1)拮抗剤である。
【0105】
本発明に有用なニューロペプチドY2(NPY2)アゴニストには、これに限定するものではないが、ペプチドYY(PYY)、およびPYY336、ペプチドYY類縁体、PYYアゴニスト、およびl WO 03/026591、WO 03/057235、およびWO 03/027637に開示の化合物を含む。そこで、態様の一つでは、抗肥満症剤はNPY2アゴニストおよびその医薬的に許容される塩およびエステルである。この群のサブクラスの一つでは、NPY2アゴニストは、ペプチドYY(PYY)およびPYY336、およびその医薬的に許容される塩から成る群から選択される。この群の別なサブクラスでは、NPY2アゴニストは、PYY336およびその医薬的に許容される塩、ニューロペプチドY2(NPY2)アゴニストである。
【0106】
本発明に有用なニューロペプチドY5(NPY5)拮抗剤には、これに限定するものではないが次の特許に開示されている化合物を含む:U.S.特許6,14O,354、6,191,16O、6,258,837、6,313,298、6,337,332、6,329,395、および6,34O,683; U.S.特許6,326,375; 6,329,395; 6,337,332; 6,335、345; 欧州特許EP-01010691、およびEP- 01044970;およびPCT国際特許公開WO 97/19682、WO 97/20820、WO 97/20821、WO 97/20822、WO 97/20823、WO 98/27063、WO 00/107409、WO 00/185714、WO 00/185730、WO 00/64880、WO 00/68197、WO 00/69849、WO 01/0912O、WO 01/85714、WO 01/8573O、WO 01/07409、WO 01/02379、WO 01/02379、WO 01/23388、WO 01/23389、WO 01/44201、WO 01/62737、WO 01/62738、WO 01/09120、WO 02/20488、WO 02/22592、WO 02/48152、WO 02/49648,およびWO 01/14376。本発明の組み合わせに有用な特定的NPY5拮抗剤には、これに限定するものではないがGW569180A、GW594884A、GW587081X、GW548118X;FR235208;FR226928、FR240662、FR252384;1229U91、GI264879A、CGP71683A、LY377897、LY366377、PD16017O、SR120562A、SR120819A、JCF104、およびH409/22を含む。本発明の組み合わせに有用な別の特定的NPY5拮抗剤には、これに限定するものではないが、Norman et al., J. Med. Chem. 43:42884312 (2000)に記載されている化合物を含む。そこで、態様の一つでは、抗肥満症剤はNPY5拮抗剤およびその医薬的に許容される塩およびエステルである。この群のサブクラスの一つでは、本発明に有用なNPY5拮抗剤はWO2005/000217に示す構造式Iの化合物で示される。
【0107】
レプチンには、これに限定するものではないが組み換えヒトレプチン(PEG−OB、Hoffman La Roche)および組み換えメチオニルヒトレプチン(Amgen)を含む。本発明で有用なレプチン誘導体(例えば、トランケート型のレプチン)には、特許5,552,524; 5,552,523; 5,552,522; 5,521,283;およびPCT国際公開WO 96/23513; WO 96/23514; WO 96/23515; WO 96/23516; WO 96/23517; WO 96/23518; WO 96/23519;およびWO 96/23520を含む。そこで、態様の一つでは、抗異脂肪血症剤はレプチンである。
【0108】
本発明に有用なオピオイド拮抗剤には:PCT 出願WO; 00/21509を含む。本発明に有用な特定的オピオイド拮抗剤には、これに限定するものではないが、ナルメフェン(Revex)、3−メトキシナルトレキソン、ナロキソン、およびナルトレキソンを含む。この態様の別な一群では、抗肥満症剤はオピオイド拮抗剤およびその医薬的に許容される塩およびエステルである。そこで、態様の一つでは、オピオイド拮抗剤はナルメフェンおよびその医薬的に許容される塩およびエステルから選択される。
【0109】
本発明に有用なオレキシン拮抗剤には、PCT特許出願WO 01/96302、WO 01/68609、WO 02/51232、WO 02/51838,およびWO 03/023561を含む。本発明に有用な特定的オレキシン拮抗剤には、これに限定するものではないがSB334867−Aを含む。そこで、態様の一つでは、抗異脂肪血症剤はオレキシン拮抗剤である。
【0110】
本発明に有用なアシル−エストロゲンには、オレオイルエストロン(del Mar-Grasa, M. et al., Obesity Research, 9:202-9 (2001))を含む。そこで、態様の一つでは、抗肥満症剤はアシル−エストロゲンおよびその医薬的に許容される塩およびエステルである。この群のサブクラスの一つでは、アシル−エストロゲンはオレオイルエストロンおよびその医薬的に許容される塩およびエステルから選択される。
【0111】
本発明に有用なコレシストキニンA(CCK−A)アゴニストには、U.S.特許5739106を含む。特定的なCCK−Aアゴニストには、これに限定するものではないが、AR−R15849、GI181771、JMV180、A71378、A71623およびSR146131を含む。本発明に有用なCCK−Aアゴニストには、GI181771およびSR146131を含む。そこで、態様の一つでは、抗異脂肪血症剤はコレシストキニンA(CCK−A)アゴニストである。
【0112】
本発明に有用な特定的毛様体神経栄養因子(CNTF)には、これに限定するものではないが、GI181771(Glaxo-SrnithKline);SR146131(Sanofi Synthelabo);ブタビンダイド(butabindide);PD170、292、PD149164(Pfizer)を含む。本発明に有用なCNTF誘導体には、これに限定するものではないが、アクソキン(axokine)(Regeneron);およびPCT出願WO 94/09134, WO 98/22128およびWO 99/43813を含む。そこで、態様の一つでは、抗肥満症剤はCNTF誘導体およびその医薬的に許容される塩およびエステルである。この群のサブクラスでは、CNTF誘導体はアクソキンおよびその医薬的に許容される塩およびエステルから選択される。
【0113】
本発明に有用な成長ホルモン分泌促進物質(OHS)アゴニストには、U.S.特許6358951およびU.S.特許出願2002/049196および2002/022637;およびPCT出願WO 01/56592およびWO 02/32888を含む。特定的なGHSアゴニストには、これに限定するものではないが、NN703、ヘキサレリン、MK0677、SM130686、CP424391、L692429およびL−163255を含む。そこで、態様の一つでは抗異脂肪血症剤はOHSアゴニストである。
【0114】
本発明に有用な5HT2cアゴニストにはU.S.特許3、914,250およびPCT出願WO 02/36596、WO 02/48124、WO 02/10169、WO 01/66548、WO 02/44152; WO 02/51844、WO 02/40456およびWO 02/40457を含む。この発明に有用な特定的SHT2cアゴニストには、これに限定するものではないが、BVT933、DPCA37215、IK264;PNU22394;WAY161503、R−1065、およびYM348を含む。そこで、態様の一つでは、抗異脂肪血症剤は5HT2cアゴニストである。
【0115】
本発明に有用なMc4rアゴニストには:PCT出願WO 99/64002、WO 00/74679、WO 01/991752、WO 01/74844、WO 01/70708、WO 01/70337、WO 01/91752、WO 02/059095、WO 02/059 107、WO 02/059 108、WO 02/0591 17、WO 02/12166、WO 02/1 1715、WO 02/12178、WO 02/15909、WO 02/068387、WO 02/068388、WO 02/067869、WO 03/007949およびWO 03/009847を含む。本発明に有用な特定的Mc4rアゴニストには、CHIR86036(Chiron);ME10142およびME10145(Melacure)を含む。そこで、態様の一つでは、抗異脂肪血症剤はMc4rアゴニストである。
【0116】
本発明に有用なモノアミン再吸収阻害剤には:PCT出願WO 01/27068およびWO 01/62341を含む。本発明に有用な特定的モノアミン再吸収阻害剤には、これに限定するものではないが、U.S.特許4,746,68O, 4,806,57Oおよび5,436,272に記載されているシブトラミン(Meridia()/Reductil)およびU.S.特許公開2002/0006964を含む。本発明は、シブトラミンをラセミ混合物、光学的に純粋な異性体(+)および(−)、またはその医薬的に許容される塩、溶媒和物、水和物、クラスレートまたはプロドラッグ、特にシブトラミン塩酸塩1水和物も包含する。そこで、態様の一つでは、抗肥満症剤はモノアミン再吸収阻害剤およびその医薬的に許容される塩およびエステルである。この群のサブクラスの一つでは、モノアミン再吸収阻害剤はシブトラミンおよびその医薬的に許容される塩およびエステルから選択される。
【0117】
フィトファーム化合物57は別名CP644673である。そこで、態様の一つでは、抗異脂肪血症剤はフィトファーム化合物57である。
【0118】
本発明に有用なセロトニン再吸収阻害剤およびリリーサーには:デクスフェンフルラミン、フルオキセチン、およびその他のセロトニン再吸収阻害剤、例えばこれに限定するものではないが、U.S.特許6,365,633およびPCT特許出願WO 01/2706OおよびWO 01/162341に記載のものを含む。そこで、態様の一つでは、抗異脂肪血症剤はセロトニンの再吸収阻害剤または遊離物質である。
【0119】
本発明に有用な11β−HSD−1阻害剤には、これに限定するものではないが、BVT3498、BVT2733、および参考のために全体を本明細書に引用するWO 01/90091、WO 01/9009O、WO 01/90092に開示されている化合物を含む。そこで、態様の一つでは、抗異脂肪血症剤は11β−HSD−1阻害剤である。
【0120】
本発明に有用な脱共役タンパク質(UCP−1、UCP−2、およびUCP−3)活性化剤にはPCT特許出願WO 99/00123を含む。本発明に有用な特定的脱共役タンパク質(UCP−1、UCP−2およびUCP−3)活性化剤には、これに限定するものではないが、フィタン酸、4−[(E)−2−(5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)−1−プロペニル]安息香酸(TTNPB)、およびレチノイン酸を含む。そこで、態様の一つでは、抗異脂肪血症剤はUCP−1、UCP−2またはUCP−3の活性化剤である。
【0121】
本発明に有用なβ3アドレナリン作動性受容体(β3)アゴニストには:US特許出願5,705,515およびUS 5,451677; およびPCT特許出願WO 01/ 74782およびWO 02/32897を含む。本発明に有用な特定的β3アゴニストには、これに限定するものではないが、AD9677/TAK677(大日本/武田)、CL316,243、SB41879O、BRL37344、L796568、BMS196085、BRL35135A、CGP12177A、BTA243、GW427353、トレカドリン、ZenecaD7114およびSR591l9Aを含む。そこで、態様の一つでは、抗異脂肪血症剤はβ3アドレナリン作動性受容体(β3)アゴニストである。
【0122】
本発明に有用な甲状腺ホルモンβアゴニストには:PCT 出願WO 02/15845; および日本特許出願2000256190を含む。本発明に有用な特定的甲状腺ホルモンβアゴニストには、これに限定するものではないが、KB2611(KaroBioBMS)を含む。そこで、態様の一つでは、抗異脂肪血症剤は甲状腺ホルモンβアゴニストである。
【0123】
本発明に有用な特定的脂肪酸合成酵素(FAS)阻害剤には、これに限定するものではないがセルレニンおよびC75を含む。そこで、態様の一つでは、抗異脂肪血症剤はFAS阻害剤である。
【0124】
本発明に有用な特定的ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤には、これに限定するものではないがテオフィリン、ペントキシフィリン、ザプリナスト、シルデナフィル、アムリノン、ミルリノン、シロスタマイド、ロリプラム、およびシロミラストを含む。そこで、態様の一つでは、抗異脂肪血症剤は本発明に有用なリパーゼ阻害剤であって、これに限定するものではないが、PCT 出願WO 01/77094およびU.S.特許4,598,O89. 4,452,813、5,512,565、5,391,571、5,602,151、4,405、644、4,189,438および4,242,453に開示されているものを含む。本発明に有用な特定的リパーゼ阻害剤は、これに限定するものではないが、テトラヒドロリプスタチン:オルリスタット(ゼニカル)、TritonWR1339、RHC80267、リプスタチン、テアサポニン、およびウンベリフェリルリン酸ジエチル、FL−386、WAY121898、Bay−N−3176、バリラクトン(valilactone)、エステラシン(esteracin)、エベラクトンA、エベラクトンB、RHC80267、その立体異性体、および前記各化合物および立体異性体の医薬的に許容される塩を含む。そこで、態様の一つでは、抗肥満症剤はリパーゼ阻害剤およびその医薬的に許容される塩およびエステルである。この態様のサブクラスの一つでは、リパーゼ阻害剤はオルリスタットおよびその医薬的に許容される塩である。
【0125】
抗痙攣剤として処方されるトピラメート(Topimax)は、体重減少を増大することが証明されている。そこで、態様の一つでは抗異脂肪血症剤はトピラメート(Topimax)である。
【0126】
抗癲癇剤として処方されるゾニサミド(Zogneran)は、体重減少を起こすことが証明されている。そこで、態様の一つでは、抗異脂肪血症剤ゾニサミド(Zogneran)である。
【0127】
前記化合物は、本発明の組成物に使用できる抗肥満症剤および抗異脂肪血症剤の単なる例示に過ぎない。各化合物のこの列挙は完璧なものを意味していないので、本発明の方法にはいかなる抗肥満症剤およびいかなる抗異脂肪血症剤を利用してもよく、いずれも、どのような特定的な構造群の化合物に限定するものでもない。
【0128】
本明細書に前記したように、併用すべき化合物は医薬的に許容される塩として存在していてもよい。化合物が、例えば、塩基性中心、例えばアミノ基を少なくとも1個持っていれば、酸付加塩を形成できる。同様に、化合物が酸基(例えばCOOH)を少なくとも1個持っていれば塩基と共に塩を形成できる。さらに、化合物が、例えばカルボキシとアミノ基を持っていれば、対応する分子内塩を形成することもある。
【0129】
対応する活性成分または医薬的に許容される塩は、例えば:水和物または、例えば結晶化に用いた溶媒を含む他の溶媒との溶媒和物の形で使用してもよい。
【0130】
医薬組成物
さらに、本発明はレニン阻害剤またはその医薬的に許容される塩と;前記定義の(a)および(b)から成る群から選択される少なくとも1種の治療剤と;医薬的に許容される担体と;を含む医薬組成物を提供する。
【0131】
本発明の医薬組成物は、異脂肪血症、肥満症関連異脂肪血症、異脂肪血症関連疾患、肥満症、肥満症関連疾患および/またはレニン活性の阻害によって調節される疾患または状態の予防、発症遅延または処置のために使用できる。
【0132】
本明細書に前記したように、レニン阻害剤、殊にアリスキレン、好ましくはそのヘミフマレート型と;前記(a)および(b)から成る群から選択される少なくとも1種の治療剤と;は医薬組成物として一緒に投与してもよい。各成分は、普通に医薬的に許容される担体または希釈剤と共に、常用の用量剤型として一緒に投与してもよい。
【0133】
本発明の医薬組成物はヒトを含む哺乳類への経腸投与、例えば経口投与または直腸投与、経皮および非経口非経腸投与に適する。殊にアリスキレン、好ましくはそのヘミフマレート塩の形のレニン阻害剤と;前記(a)および(b)から成る群から選択される少なくとも1種の治療剤と;を含む医薬組成物の経口投与のためには、液剤、懸濁液剤、錠剤、ピル剤、カプセル剤、粉剤、マイクロエマルジョン、単位用量パケット等の型であり得る。好適なものは活性成分を含む錠剤とゼラチンカプセル剤であって次のものを共に含む:
a)希釈剤、例えば乳糖、デキストロース、蔗糖、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;
b)滑沢剤、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸かそのマグネシウム塩またはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコール;錠剤にはまた
c)結合剤、例えばケイ酸マグネシウムアルミニウム、澱粉糊、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン;所望により
d)崩壊剤、例えば澱粉、寒天、アルギン酸またはそのナトリウム塩、または発泡混合物;および/または
e)吸収剤、着色料、風味料および甘味料。注射用組成物は好ましくは水性等張液剤または懸濁液剤。また、坐剤は好ましくは脂肪性乳剤または懸濁剤から製造する。
【0134】
前記組成物は滅菌してもよくおよび/またはアジュバント、例えば:保存剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、溶解促進剤、浸透圧制御用塩類および/または緩衝液を含み得る。これに加えて、他の治療用物質を含んでいてもよい。前記組成物は常用の混合、顆粒化またはコーティング技術に従って製造され、活性成分を約0.1〜90%、好ましくは約1〜80%含む。
【0135】
本明細書全般に記載する本発明の医薬組成物は同時的使用またはいかなる順序による逐次的使用法で、個別の使用としてまたは固定された組み合わせとして使用してもよい。
【0136】
活性成分の用量は様々な因子、例えば:投与の態様、恒温動物の種、年齢および/または個々の状態に依存する。
【0137】
経口投与の場合、大凡の1日用量は通常体重約75kgの患者では約1mg〜約360mgであると推測される。
【0138】
例えば、体重約75kgのヒトを含む温血動物に投与するアリスキレンの用量、特にレニン活性の阻害、例えば血圧降下に有効な用量は、約3mg〜約3g、好ましくは約10mg〜約1g、例えば20〜200mg/人/日であり、好ましくは1〜4回の、例えば同一サイズの単回用量に分割する。通常、小児には成体の約半量を投与する。個体に投与する必要な用量は、例えば、活性成分の血中濃度を測定して、最適濃度にするように監視できる。単回用量は成人患者には、例えば75mg、150mgまたは300mgである。
【0139】
一般に、異脂肪血症、肥満症関連異脂肪血症、異脂肪血症関連疾患、肥満症および肥満症関連疾患を処置し、管理しおよび/または予防するためには、本組み合わせ中の抗肥満症剤は日用量約0.0001mg/kg〜約100mg/kg体重、好ましくは約0.001mg/kg〜約50mg/kg体重を毎日単回投与するかまたは2回〜6回に分けて投与するか、または持続放出剤の形で投与し;および本組み合わせ中の抗異脂肪血症剤は日用量約0.0001mg/kg〜約100mg/kg体重、好ましくは約0.001mg/kg〜約50mg/kg体重を毎日単回投与するかまたは2回〜6回に分けて投与するか、または持続放出剤の形で投与する。用量は最適な治療的応答が得られるように調節してもよい。
【0140】
一般に左心室肥大を含む心臓肥大を処置し、管理しおよび/または予防するためには本組み合わせ中の抗肥満症剤は日用量、約0.0001mg/kg〜約100mg/kg体重、好ましくは約0.001mg/kg〜約50mg/kg体重を毎日単回投与するかまたは2回〜6回に分けて投与するか、または持続放出剤の形で投与し;および本組み合わせ中の抗異脂肪血症剤は日用量約0.0001mg/kg〜約100mg/kg体重、好ましくは約0.001mg/kg〜約50mg/kg体重を毎日単回投与するかまたは2回〜6回に分けて投与するか、または持続放出剤の形で投与する。用量は最適な治療的応答が得られるように調節してもよい。
【0141】
一般に、メタボリックシンドロームを処置し、管理しおよび/または予防するためには、組み合わせ中の抗肥満症剤、抗異脂肪血症剤、抗高血圧剤、および抗糖尿病剤は、1日用量約0.0001mg/kg〜約100mg/kg体重、好ましくは約0.001mg/kg〜約50mg/kg体重を、1日1回投与するかまたは2回〜6回に分けて投与するか、または持続放出剤の形で投与する。用量は最適な治療的応答が得られるように調節してもよい。
【0142】
この発明の化合物は各化合物について特定的な用量範囲でヒトに投与できる。
【0143】
レプチンは、約0.01mg/kg〜約20mg/kg、好ましくは、約0.01mg/kg〜約0.3mg/kgの1日用量で、好ましくは単回用量または分割用量の注射で投与し得る。
【0144】
ナルメフェンは、約0.0001mg/kg〜約101mg/kg、好ましくは約0.001〜約0.05mg/kgの1日用量で投与し得る。
【0145】
オルリスタットは1日用量約20mg〜約1200mg、好ましくは約120mg〜400mgを単回投与するかまたは2回〜3回に分けて投与するかまたは持続放出剤の形で投与し得る。より好ましくは単回用量120mgを毎日3回または持続放出剤の形で投与する。
【0146】
シブトラミンは、1日用量約0.01mg/kg〜約10mg/kg、好ましくは約0.01mg/kg〜約1mg/kgを単回投与するかまたは2回〜3回に分けて投与するか、または持続放出剤の形で投与し得る。より好ましくはシブトラミンの毎日単回経口投与日用量は5mg、10mg、15mg、20mgまたは30mgである。
【0147】
トピラメート(トパマックス)は、1日用量約10mg〜約1600mg、好ましくは約50mg〜約400mgを毎日単回投与するかまたは分割投与するか、または持続放出剤の形で投与し得る。
【0148】
本発明に使用できる商業的に入手可能な抗肥満症剤および抗異脂肪血症剤の用量は成書「the Physician's Desk Reference, Edition 56 (2002)」に記載されているものもある。
【0149】
本組成物に採用される各活性成分の有効用量は採用する特定化合物、投与の態様、処置する状態および処置する状態の重症度に依存して変化し得る。そこで、本発明の組成物を利用する用量計画は対象の型、種、年齢、一般的健康状態、体重、食事、性および医学的状態;処置すべき状態の重症度;患者の腎機能および肝機能;組み合わせ;および採用する特定化合物および投与経路を含む様々な因子に従って選択される。通常の熟練度を持つ医師、臨床医または獣医は予防し、管理しまたは状態の進行を停止するために必要な薬剤の有効量を容易に決定して処方できる。
【0150】
本発明の組み合わせの中の薬剤成分(例えば抗肥満症剤;抗異脂肪血症剤)は一般に前記の範囲内にあろうが、しかしいずれにしても各活性成分の有効量を使用すべきである。
【0151】
方法および使用
本発明のもう一つの側面は、レニン阻害剤、殊にアリスキレンまたはその医薬的に許容される塩と;前記(a)および(b)から成る群から選択される少なくとも1種の治療剤と;を含有する組み合わせの治療的有効量を必要とするヒトを含む温血動物に投与することを含む異脂肪血症、肥満症関連異脂肪血症、異脂肪血症関連疾患、肥満症、肥満症関連疾患および/またはレニン活性の阻害によって調節できる疾患または状態を予防、発症遅延または処置する方法に関する。
【0152】
従って、本発明の組み合わせは、例えば、異脂肪血症、肥満症関連異脂肪血症、異脂肪血症関連疾患、肥満症、肥満症関連疾患および/またはレニン活性の阻害によって調節される疾患または状態の予防、発症遅延または処置のために使用してもよい。特に本発明の組み合わせは、例えば次の各群から成る群から選択される疾患または状態の予防、発症遅延または処置のために使用できる:
(a)高血圧、うっ血性心不全、腎不全、特に慢性腎不全、冠動脈および血管再狭窄、例えば経皮経管的血管形成後の再狭窄、および冠動脈バイパス手術後の再狭窄;
(b)例えば酸化剤ストレスの低下、脂質に対する直接的効果、または組み合わせの一成分または全成分の抗炎症効果により、アテローム性動脈硬化症;
(c)インスリン耐性およびシンドロームX/メタボリックシンドローム、2型糖尿病、肥満症、腎症、例えば糖尿病性腎症、腎不全、例えば慢性腎不全、甲状腺機能低下症、心筋梗塞(MI)後の蘇生、冠状動脈性心臓病、老年性高血圧、家族性脂質異常性高血圧、コラーゲン形成過多、例えば心臓、腎臓または肝臓の繊維症、高血圧および/または高脂質血症後のリモデリング(脈管)(脂質に対する作用に依存性または非依存性であってもよい組み合わせの抗増殖作用)、および部分的に抗炎症効果および高血圧関連性または非関連性の疾患または状態によるものであってもよい血管リモデリング;
(d)高血圧随伴性または非随伴性内皮機能不全;
(e)Fredrickson III型高脂質血症を含む高脂質血症、高リポプロテイン血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、高密度リポプロテイン・コレステロールの低濃度、低密度リポプロテイン・コレステロールの高濃度、アテローム性動脈硬化症および高コレステロール血症、心臓卒中、卒中、肥満症、および左心室肥大;
(f)緑内障;
(g)収縮期単独高血圧(ISH);
(h)糖尿病性網膜症;および
(i)末梢血管病。
【0153】
好ましくは、前記組み合わせはISHを含む高血圧ならびにうっ血性心不全、メタボリックシンドローム、内皮機能不全、脈管コンプライアンス障害、糖尿病、特に2型糖尿病、高血圧性または非高血圧性の腎症、IgA腎症、異脂肪血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、高密度リポプロテイン・コレステロールの低濃度、低密度リポプロテイン・コレステロールの高濃度、アテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患、心臓麻痺および卒中、肥満症および左心室肥大の処置に使用し得る。より好ましくは、前記組み合わせは高血圧症、高脂質血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、高密度リポプロテイン・コレステロールの低濃度、低密度リポプロテイン・コレステロールの高濃度、アテローム性動脈硬化症、肥満症および左心室肥大を処置するために使用し得る。
【0154】
好ましくは、本発明組み合わせの活性薬剤の組み合わせの治療的有効量は同時にまたはいかなる順序ででも順次に、例えば、別々にまたは固定された組み合わせとして投与できる。
【0155】
これに加えて、本発明はレニン阻害剤、殊にアリスキレンまたはその医薬的に許容される塩と;前記(a)および(b)から成る群から選択される少なくとも1種の治療剤と;医薬的に許容される担体と;を含む組み合わせの異脂肪血症、肥満症関連異脂肪血症、異脂肪血症関連疾患、肥満症、肥満症関連疾患および/またはレニン活性の阻害によって変調される疾患または状態を予防、発症遅延または処置するための薬剤の製造における使用に関する。
【0156】
アリスキレンまたはその医薬的に許容される塩と;(a)前記抗異脂肪血症剤および(b)前記抗肥満症剤から成る群から選択される少なくとも1種の治療剤と;を含む組み合わせ、例えば:組み合わせ製剤または医薬組成物は各々好適である。前記抗異脂肪血症剤および前記抗肥満症剤の最も好適な態様を含む例は前記した。
【0157】
レニン阻害剤、殊にアリスキレンと組み合わせるために特に好適な抗異脂肪血症剤は、コレスチラミン、コレセベレム(colesevelem)、コレスチポール(コレスチド)、LoCholest;Questran、β−シトステロール、エゼチミブ、チクエシド、アバシミブ、エフルシミブ、KY505、SMP797、プロブコール、GW4064、SR103912、GW3965、T9013137、XTCO179628、ナイアシン、ニコチン酸、BARI1453、SC435、PHA384640、S8921、AZD7706、インプリタピド、LAB687、およびCP346086、より好ましくはコレスチラミド、−シトステロール、エゼチミブ、チクエシド、アバシミブ、エフルシミブ、KY505 SMP797、プロブコール、ナイアシンおよびニコチン酸、最も好ましくはエゼチミブ、コレスチラミドおよびナイアシンから成る群から選択される。
【0158】
レニン阻害剤、殊にアリスキレンと組み合わせるために特に好適な抗肥満症剤は、パロキセチン、フルオキセチン、フェンフルラミン、フルボキサミン、セルトラリン、イミプラミン、GW320659、デスピラミン、タルスプラム、ノミフェンシン、チオペラミド、クロベンプロピット、ヨードフェンプロピット、イモプロキシファン、GT2394(Gliatech)、レプチン、ナルメフェン(Revex)、3−メトキシナルトレキソン、ナロキソン、ナルトレキソン、アクソキン(Regeneron)、ブタビンダイド、シブトラミン、デクスフェンフルラミン、フルオキセチン、テオフィリン、ペントキシフィリン、ザプリナスト、シルデナフィル、アムリノン、ミルリノン、シロスタミド、ロリプラム、シロミラスト、テトラヒドロリプスタチン(オルリスタット/ゼニカル)、TritonWR1339、RHC80267、リプスタチン、テアサポニン、ウンベリフェリルリン酸ジエチル、FL-386、WAY-121898、Bay−N−3176、バリラクトン、エステラシン、エベラクトンA、エベラクトンB、RHC80267、トピラメート、およびゾニサミド、最も好ましくはシブトラミンおよびオルリスタットから成る群から選択される。
【0159】
本発明は別々に投与してもよい各化合物の組み合わせを用いる予防、発症遅延または処置の方法に関する側面を持つので、本発明はまた別々の医薬組成物をキットの形で組み合わせたものにも関する。従って、本発明の医薬組成物には各成分を独立して投与するか、または所定量の各成分を有する異なる固定組み合わせを用いて、異なる時点に投与するという意味での「複数部品のキット」を含み得る。そこで、「複数部品のキット」の部品は、例えば同時にまたは時間差的に、すなわち異なる時点で等間隔または異なる間隔で「複数部品のキット」のどれかの部品を投与できる。好ましくは、時間間隔は各部品の組み合わせ使用による疾患または状態への効果がいずれかの各成分単独のみの使用によって得られる効果よりも大きくなるように選択される。好ましくは、例えば、レニン阻害剤、例えばアリスキレンまたはその医薬的に許容される塩の効果と;前記(a)および(b)から成る群から選択される少なくとも1種の治療剤の効果との相互強化などの有利な効果が少なくとも1種あることが望ましい;殊に、強化または相乗作用、例えば相加作用よりも大きい効果、追加的な有利な効果、より低い副作用、各成分1種またはそれ以上の非有効量での組み合わせ治療効果、特に、強化または強い相乗作用が好ましい。
【0160】
用語「強化」は薬理学的活性または治療効果の増加のいずれかを意味するものとする。本発明の他の成分との共投与による本発明の組み合わせの一成分の強化は、一成分単独で達成されるよりも大きな効果が達成されることを意味する。
【0161】
用語「相乗的」は複数の薬剤を服用した時に各薬剤単独を服用した時の効果の合計よりも大きい効果が表れることを意味するものとする。
【0162】
本発明はさらに、本発明の組み合わせを、同時的、別々の、または順次的な使用についての指示書と共に入れた商業用包装物に関する。
【0163】
レニン阻害剤、殊にアリスキレン、または本発明に従って使用する活性成分の組み合わせの投与が発揮する医薬活性は、例えば関連分野で知られている薬理学モデルを使用して証明できる。関連分野の当業者には本明細書全般に指摘する治療用適応および有益な効果を証明するための関連動物試験モデルを選択することが十分に可能である。
【0164】
本発明の組み合わせによる抗高血圧作用を評価するためには、例えば、Lovenberg W: Animal models for hypertension research. Prog. Clin. Biol. Res. 1987, 229, 225-240が記載した方法論を適用できる。本発明の組み合わせがうっ血性心不全の処置に使用し得ることを評価するには、例えば、Smith HJ, Nuttall A: Experimental models of heart failure. Cardiovasc Res 1985, 19, 181-186が記載の方法を適用できる。分子的手法、例えば:トランスジェニック法も報告がある、例えばLuft et al.: Hypertension-induced end-organ damage, “A new transgemic approach for an old problem”, Hypertension 1999, 33, 212-218。
【0165】
この組み合わせの抗高血圧効果と抗異脂肪血症効果を研究するために利用できる動物モデルは少なくとも3種ある。それは次のものを含む:
・自然発生高血圧性高脂質血症ラット(SHHR)− Clin Exp Pharmacol Physio 2003 Aug 30 (8): 537-44;
・離乳したてのWistarラット(高血圧性および高トリグリセリド血症モデル)− Clin Exp Hypertens 2005 Jan; 27 (1): 45-47;
・トランスジェニック高脂質血性−遺伝的高血圧ラットモデル − Mol Med 2003 May-Aug 9 (5-8): 135-42。
【0166】
殊に次のようにラットモデルを使用してコレステロール低下作用を測定する:
雄性スプラークドウリー(Sprague-Dawley)ラット(230〜250g)(Taconic Farms)を自由飲水下、高コレステロール食(1.5%コレステロールおよび0.5%胆汁酸)を処置前2週間および7日間の処置中、給餌した。動物群は賦形剤単独または被検化合物を連続7日間強制経口投与する。最終投与後、動物を18時間絶食させ、採血した。血液検体を2500rpmで10分間遠心分離して全コレステロールならびにLDLおよびHDLコレステロール濃度を測定する。HDL値はLDL/VLDLの沈澱後に測定する(Warnick and Albers, 1978)。コレステロールについては全検体を診断用キット(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)を用いて酵素的に分析する。この分析はBio-Mek自動化ワークステーションで行う。LDL/VLDL分画は次のようにして沈澱させる:血漿0.35mLをエッペンドルフ管に入れ、2M−塩化マグネシウム12μL、ヘパリンナトリウム11.2μL(Porcine Intestinal, 5000単位/mL)、および食塩水8.3μLを加える。検体を振り混ぜ、15分間氷上に静置し、次に4℃で10分間、1300rpmで遠心分離し、上清液をコレステロールについて酵素的に分析する。HDLコレステロール濃度は上清液コレステロール値に1.09倍にして希釈のために調節する。LDL/VLDLコレステロール値はHDLコレステロールを全コレステロールから差引いて算出する。
【0167】
関連技術分野の当業者は本明細書全般に指摘する本発明の組み合わせの効果および治療用適応を証明するための関連動物試験モデルを選択することが十分に可能である。ヒトレニン阻害剤、例えばアリスキレンは、高度な種特異性を持ち、典型的には最も注目すべきはヒトレニンである。予期に反してアリスキレンはイヌおよびマウスのレニンに対してはかなりの力価を維持するが、ラットレニン阻害剤としては1〜2桁弱い。故にラットモデルは好適な種ではないが、使用するアリスキレン(またはその他のレニン阻害剤)の投与量が高いか、またはその動物種でRASが殊に活性化されているか、人工的に過剰活性化されているなら使用できる。レニン阻害剤と肥満症を処置するための薬剤との組み合わせの効果を評価するための関連する有用なモデルは、肥満症を誘導するために高脂肪食を給餌したイヌである。この動物は、高血圧かつ体重過多であり、代謝パラメータに一般的障害がある(Hall JE, Brands MW, Dixon WN, Smith MJ Jr. Obesity-induced hypertension. Renal function and systemic hemodynamics. Hypertension 22:292-299, 1993)。いくつかのマウスモデル、例えば:アグチイエロー肥満症マウス(Correia MLG, Haynes WG, Rahmouni K, Morgan DA, Sivitz WI, Mark AL. The concept of selective leptin resistance. Diabetes 51:439-442, 2002)または褐色脂肪の少ないトランスジェニックマウス(Cittadini A, Mantzoros CS, Hampton TG, Travers KE, Katz SE, Morgan JP, Flier JS, Douglas PS. Cardiovascular abnormalities in transgenic mice with reduced brown fat. Circulation 100:2177-2183, 1999)は高血圧と重複するヒト肥満症の有用なモデルとして役立つ。好適さはやや劣るが、なお有用な動物モデルは高血圧自然発症脳出血易発症ラット(出雲種)をズッカー脂肪ラット(ZF)(fa/fa)と交配して作出したSHRSP脂肪ラット(fa/fa)(Hiraoka-Yamamoto et al., 2004)である。これに加えて、ズッカーラット(OZRまたはfa/fa)またはその糖尿病ラット、ズッカー糖尿病脂肪ラット(ZDF)も利用できる。これらの動物モデルは高血圧、肥満症、インスリン耐性/グルコース過敏性(OZR)または糖尿病(ZDF)および高脂質血症(Toblli JE, DeRosa G, Rivas C, Cao G, Piorno P, Pagano P, Forcada P. Cardiovascular protective role of a low-dose antihypertensive combination in obese Zucker rats. J Hypertens 21:611-620, 2003; van Zwieten PA. Diabetes and hypertension: experimental models for pharmacological studies. Clin Exp Hypertens 21:1-6, 1999; Mizuno M, Sada T, Kato M, Koike H. Renoprotective effects of blocakde of angiotensin II AT1 receptors in an animal model of type 2 diabetes. Hypertens Res 25(2):271-278, 2002)により特徴付けられる。組み合わせの効果はどの齢のOZRでも評価できるが、代謝のパラメータは動物の齢に従って変化する。老いた動物は、長期間にわたる代謝障害と疾患の全過程での変化による刺激のために若いラットよりも実質的な構造的および機能的変化を示す。それ故、各実験室の結果は研究に用いた動物の齢のために相違し得る。実験開始時には動物は典型的には10〜20週齢である。典型的には、血中脂質、血中グルコース、グルコース耐性、血中インスリン、体重、および血圧を含む各種の代謝的および機能的パラメータを測定する。内皮機能、酸化ストレス、器官重量測定、心臓質量評価、心機能、腎機能および外形計測分析などのさらに特殊な測定も行うこともある。これらの測定のいくつかについてはZhou MS, Jaimes EA, Raij L. Atorvastatin prevents end-organ injury in salt-sensitive hypertension. Hypertens 44:186-190, 2004の記載を参照。血圧も後記のようにラジオテレメトリーを用いて経時的に一貫して監視する。
【0168】
無線送信機を7週齢以上または体重200g以上のラットに移植する。マウスでは送信機移植時に体重20g以上とすべきである。薬剤処理は外科手術から回復期間2週間が経過すればいつでも開始できる。薬剤は毎日1回強制経口投与によって投与するが、その他の経路(例えば、腹腔内、脈管内、または皮下)ででも投与できる。ラットまたはマウスを賦形剤対照を含む様々な処理について無作為化する。薬剤は強制経口投与によって数週間から2ヶ月または3ヶ月にわたって毎日1回朝に投与する。特別な場合には、薬剤投与を夕方にまたは1日に多回投与してもよい。また、給餌または行動の効果に注目する研究では、ラットまたはマウスを逆照明時間表の下に置いて飲食パターンの日周変化を誘導することができる。無線送信機を使って血圧(平均、収縮期、拡張期)および心拍数は、研究中全期間にわたって毎日24時間連続的に監視する。測定値は全て各動物について24時間平均値を示すが、データの集計は別な時間間隔、例えば毎時平均値を行ってもよい。体重は毎週記録したが、研究によっては毎日監視してもよい。研究完了後、全ラットまたはマウスを屠殺し、心臓を摘出し、切断し、秤量する。心筋重量を処理群内の各動物について左心室重量の体重比として測定した。これに限定するものではないが腎臓を含む他の組織も屠殺時に摘出して生化学的マーカーを測定し、組織の損傷(組織学、免疫組織化学など)を検討し、また遺伝子発現を記述してもよい。様々な時点で採血してグルコース、インスリン、脂質またはその他の代謝機能の生化学的マーカーの測定を行うことができるが種によっては限界(血液容量および頻度)がある。そこで、イヌのモデルではより多い頻度と大量の採血が可能であり、その結果徹底的な生化学的分析を行うことができる。
【0169】
実験例1
試験管内における全血のCETP活性阻害効果
健康な対象から得た血液に前記(1)で得たドナーのリポプロテインを加えて[H]CE−HDL(600000dpm/mL)添加血液を調製した。溶媒としてN−メチルピロリドンおよびポリエチレングリコール400の1:1溶液を用いて検体溶液を製造した。検体溶液または溶媒単独(2μL)および[H]CE−HDL含有血液(100μL)をマイクロチューブに入れ、4時間3℃または4℃でインキュベーションした。氷冷後、0.15M−塩化マグネシウムおよび0.3%硫酸デキストラン(100μL)添加TBS溶液(20mM−トリス/0.15M−NaCl(pH7.4)]を各マイクロチューブに加え、よく混合した。マイクロチューブを4℃で30分間放置後、遠心分離(8000rpm、4℃、10分間)し、得られる上清液(HDL分画)の放射能をシンチレーションカウンターで測定した。溶液単独との4℃および37℃でのインキュベーション後に得た値の差をCETP活性とみなし、検体で得た測定値の減少(%)をCETP活性の阻害率(%)と見做した。CETP活性の阻害率(%)に基づいて、各検体のIC50値を算出した。
【0170】
実験例2
トランスジェニックマウスから得た血液の生体外CETP活性阻害効果
検体を0.5%メチルセルロース溶液に懸濁し、ヒトCETP遺伝子を導入し、一夜絶食したトランスジェニックマウス(以後、日本特許出願平8-130660に記載の方法で製造したマウスと称する)にプラスチックプローブを用いて経口投与した。投与前および投与の6時間後に採血し、血中のCETP活性を次の方法で測定した:
【0171】
前記(1)で得たドナーのリポプロテイン([H]CE−HDL、コレステロール0.21μg添加)、前記(2)で得たアクセプターリポプロテイン(コレステロール21μg添加)、およびマウス血漿0.9μgをマイクロチューブに加えた。全容をTBS溶液[10mM−トリス/0.15M−NaCl(pH7.4)]で600μL/チューブに調節した。マイクロチューブを15時間37℃または4℃でインキュベーションした。次に氷冷TBS溶液(400μL/チューブ)と0.15M−塩化マグネシウム添加0.3%硫酸デキストラン溶液(100μL/チューブ)とをマイクロチューブに加え、よく混合した。マイクロチューブを30分間4℃に放置後、遠心分離(8000rpm、4℃、10分間)し、上清液(HDL分画)の放射能をシンチレーションカウンターで測定した。検体投与前に4℃と37℃で各マウス血漿をインキュベーションで得た測定値の間の差をCETP活性と見なし、検体投与後の測定値減少(%)をCETP活性阻害率(%)と見なした。
【0172】
ある状況では、作用機序の異なる薬剤を併用してもよい。しかしながら、作用態様は異なるが、類似した領域で作動する薬剤の組み合わせを考えても必ずしも有利な効果を持つ組み合わせをもたらすとは限らない。
【0173】
本発明の組み合わせを採用すると、次の状態好転が注目される:
・本態性高血圧をより有効に処置できる;
・総C、LDL−C、ApoB、およびTGの高い水準が低下する、および本態性高コレステロール血症(異型家族性および非家族性)および混合異脂肪血症(Fredrickson IIaおよびIIb型)患者のHDL−Cが増加する;
・高トリグリセリド血症(Fredrickson IV型高脂質血症)患者をより有効に処置できる;
・一次βリポプロテイン血異常症(Fredrickson III型高脂質血症)患者をより有効に処置できる;
・他の脂質低下処置(例えばLDL血漿交換)の補助としてまたはその処置の代わりとして同型家族性高コレステロール血症を持つ患者の総CおよびLDL−Cが低下する。
【0174】
さらに驚くべきことは、レニン阻害剤、殊にアリスキレンと;前記(a)および(b)から成る群から選択される少なくとも1種の治療剤と;またはいずれもその医薬的に許容される型の組み合わせ投与は、有益な、特に強化された、または相乗的な治療効果のみならず、それとは独立して、組み合わせ処置に由来する追加的利益、例えば:驚異的な効力延長、効力発揮に必要な時間の短縮、治療的処置のスペクトル拡大およびレニン阻害に関連する疾患および状態に対する驚異的に有益な効果も達成できるという実験的な発見である。本発明の好適な追加的な側面は、収縮期単独高血圧および脈管弾性または動脈コンプライアンスの低下を意味する血管コンプライアンス障害の予防、発症遅延および/または処置である。
【0175】
欧州高血圧症学会および欧州心臓病学会ならびに高血圧の予防、発見、評価および処置に関する合同国家委員会第7次報告(JNC−7)が共同で発行したガイドラインは目標血圧を一般人では<140/90mmHg、糖尿病および腎臓病患者ではこれより低いレベルにする必要性を強調する。米国健康および栄養試験調査所のデータによれば米国では高血圧患者の55%しか治療を受けておらず、血圧を140/90mmHg以下に制御している者は29%に過ぎない。不適切な血圧管理の理由は多く存在するが、次のものを含む:患者のコンプライアンス、処方を適当な水準に微調節することを医師が躊躇、副作用への不安、および処置の価格。処置の新しい選択肢は医師と患者がこの問題のいくつかを解決する一助となるであろう。
【0176】
収縮期単独高血圧(ISH)は老人の高血圧では最も普通の型である。これは収縮期血圧上昇(140mmHg以上)と正常拡張期血圧(90mmHg以下)との組み合わせと定義される。収縮期血圧上昇は循環器疾患の独立した危険因子であり、心筋肥大および心不全に到るかも知れない。ISHはさらに、収縮期血圧と拡張期血圧との間の差として定義付けられる脈拍圧上昇によっても特徴付けられる。脈拍圧上昇は、よく管理できるとは最も思われない高血圧の型として認識されている。上昇した収縮期血圧の低下と脈拍圧の低下とは心臓血管死リスクの顕著な低下に関連する。驚くべきことに、レニン阻害剤、殊にアリスキレンと;前記(a)および(b)から成る群から選択される少なくとも1種の治療剤と;の組み合わせが、ISHを含む様々な型の高血圧症患者で上昇した拡張期および/または収縮期血圧の強力な低下を起こすことが判明した。この組み合わせは2型糖尿病を有する高血圧患者でも2型糖尿病を有さない高血圧患者でも脈拍圧を低下させることが判明した。
【0177】
さらに、前記(a)または(b)から成る群から選択される治療剤と;レニン阻害剤、殊にアリスキレンとの長期併用は、血管の形態学と機能に有益な効果を与え、また血管の硬さを減少して血管コンプライアンス、一次的には動脈コンプライアンスの維持と向上が起きることが判明した。
【0178】
従って、前記(a)および(b)から成る群から選択される少なくとも1種の治療剤を;レニン阻害剤、殊にアリスキレンに加えると;収縮期血圧に対する効果を強化し、さらに血管の硬さとコンプライアンスを改善するであろうことが判明した。逆に、証明されている収縮期および拡張期血圧に及ぼすレニン阻害剤、殊にアリスキレンの抗高血圧効果はインスリン増感剤および/またはインスリン分泌強化剤の添加で強化され得る。本組み合わせの利益は内皮の機能への付加的なまたは強化する効果、および腎臓、心臓、眼および脳を含む様々な器官/組織の血管機能と構造の改善にも拡張される。グルコース濃度の低下を通して、抗血栓および抗動脈硬化作用も証明できる。グルコースの低下は心臓−腎臓系内の構造性または機能性タンパク質のグリコシル化を防止または減少させるであろう。この効果は、単独でも明確な機序を通して心臓血管の機能および構造を改善するレニン阻害剤、殊にアリスキレンと共に投与した時に、血管の機能/構造に対する相加的または相乗的効果を発揮することによって高度に有益であることが証明される。
【0179】
加えて、異脂肪血症および/または肥満症は、部分的に糖尿病、高血圧およびアテローム性動脈硬化症、その他の異脂肪血症および肥満関連疾患の進行に寄与するかもしれない。レニン阻害剤と;前記(a)または(b)から成る群から選択される治療剤のいずれかと;の組み合わせ投与はさらなる抗高血圧症効果を示し、片方の薬剤を単独で投与するよりも大きな程度に高血圧症患者の血管力学を改善すると思われる。従って、組み合わせ投与は患者に同時に併存することが多い代謝的異常および心臓血管的異常の双方を同時に改善するであろう。
【0180】
さらなる利益には、個々の薬剤が単独で使用される用量と比較して本発明によって組み合わせるべき個々の薬剤は低い用量で使用され、例えばしばしば用量が低いだけでなく、頻度も少なく、それによって副作用の発生率が低下する。この点は処置される患者の希望と要求に合う。
【0181】
例えば、本発明の組み合わせが特に異脂肪血症または肥満症の患者における高血圧状態に拘らず軽症〜中等度の高血圧または収縮期高血圧の処置において、例えばネガティブな心臓血管事象のリスク低減という2種の異なる作用機序に基づく利益を提供することが観察される。
【0182】
例えば、レニン阻害剤アリスキレン組み合わせは、血の低下ばかりでなく、異脂肪血症および/または肥満症の処置にも有用であることが証明された。高血圧の処置に関する治療用量以下で本発明の組み合わせは異脂肪血症および/または肥満症、特に高脂質血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、高密度リポプロテイン・コレステロールの低濃度、低密度リポプロテイン・コレステロールの高濃度、アテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患、心臓卒中、卒中および肥満症の処置に使用し得る。アリスキレンの低用量に鑑み、この組み合わせにはかなりの安全性プロファイルがあり、それを一次選択治療法に適するものとしている。
【実施例】
【0183】
実施例1
【表1】

【0184】
【表2】

【0185】
【表3】

【0186】
【表4】

【0187】
実施例2
【表5】

【0188】
製剤1、2および3は、例えば次のようにして製造してもよい:
1)活性成分と添加剤とを混合し、各成分を顆粒化液を使って顆粒化する;
2)得られる顆粒を乾燥する;
3)乾燥した顆粒を外層賦形剤と混合する;
4)得られる混合物を圧縮して固体の経口用量のコア錠を製造する;および
5)得られたコア錠は、要すればコーティングしてフィルム被覆錠としてもよい。
【0189】
この顆粒化液は、エタノール、エタノールと水との混合物、エタノール、水およびイソプロパノールの混合物、または前記混合物中のポリビニルピロリドン(PVP)溶液であることができる。エタノールと水との好適な混合物は、約50/50〜約99/1(%w/w)の範囲、最も好ましくは約94/6(%w/w)の範囲である。エタノール、水およびイソプロパノールの好適な混合物は、約45/45/5〜約98/1/1(%w/w/w)、最も好ましくは約88.5/5.5/6.0〜約91.5/4.5/4.0(%w/w/w)の範囲である。前記混合物中の好適なPVP濃度は約5〜約30重量%、好ましくは約15〜約25%、さらに好ましくは約16〜約22%の範囲である。
【0190】
当業界で使用される顆粒化、乾燥および混合の方法には、例えば、流動床でのスプレー顆粒化、高剪断ミキサーで湿式顆粒化、溶融顆粒化、流動床乾燥機で乾燥、自由落下混合または回転混合での混合機、単一パンチまたは回転錠剤プレス打錠機など多数知られている。
【0191】
顆粒の製造は有機顆粒化に適する標準的装置で行うことができる。最終的混合物の製造と錠剤への圧縮も標準的な装置で行うこともできる。例えば、
工程(1)は高剪断顆粒製造機、例えばCollette社のGralでも実施できる;
工程(2)は流動床乾燥機でも実施できる;
工程(3)は自由落下混合機でも実施できる(例えばコンテイナー混合機、回転混合機);および
工程(4)は乾燥圧縮法、例えば回転錠剤機でも実施できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レニン阻害剤またはその医薬的に許容される塩と
(a)胆汁酸捕捉剤、コレステロール吸収阻害剤、アシルコエンザイムA−コレステロールアシル転移酵素(ACAT)阻害剤、スクアレン合成酵素阻害剤、抗酸化剤、FXR受容体調節剤、LXR受容体アゴニスト、リポプロテイン合成阻害剤、ミクロソームのトリグリセリド輸送阻害剤、胆汁酸再吸収阻害剤、トリグリセリド合成阻害剤、転写調節剤、スクアレンエポキシダーゼ阻害剤、低密度リポプロテイン(LDL)受容体誘導剤、5−LOまたはFLAP阻害剤、およびナイアシンまたはナイアシン受容体アゴニスト、またはその医薬的に許容される塩から成る群から選択される抗異脂肪血症剤;および
(b)5HT(セロトニン)輸送体阻害剤、NE(ノルエピネフリン)輸送体阻害剤、グレリン抗体、グレリン拮抗剤、H3(ヒスタミンH3)拮抗剤/逆アゴニスト、MCH1R(メラニン凝集ホルモン1R)拮抗剤、MCH2R(メラニン凝集ホルモン2R)アゴニスト/拮抗剤、NPY1(ニューロペプチドY Y1)拮抗剤、NPY2(ニューロペプチドY Y2)アゴニスト、NPY5(ニューロペプチドY Y5)拮抗剤、レプチン、レプチン誘導体、オピオイド拮抗剤、オレキシン拮抗剤、BRS3(ボンベシン受容体サブタイプ3)アゴニスト、CCK−A(コレシストキニンA)アゴニスト、CNTF(毛様体神経栄養因子)、CNTF誘導体、GHS(成長ホルモン分泌促進物質受容体)アゴニスト、5HT2c(セロトニン受容体2c)アゴニスト、Mc3r(メラノコルチン3受容体)アゴニスト、Mc4r(メラノコルチン4受容体)アゴニスト、モノアミン再吸収阻害剤、セロトニン再吸収阻害剤、トピラメート、フィトファーム化合物57、ACC2(アセチルCoAカルボキシラーゼ−2)阻害剤、β3(β−アドレナリン受容体3)アゴニスト、FAS(脂肪酸合成酵素)阻害剤、PDE(ホスホジエステラーゼ)阻害剤、甲状腺ホルモン、Bアゴニスト、UCP−1(脱共役タンパク質1)、2、または3活性化剤、アシル−エストロゲン、グルココルチコイド拮抗剤、110HSD−1(1型11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ)阻害剤、リパーゼ阻害剤、脂肪酸輸送体阻害剤、ジカルボキシレート輸送体阻害剤、グルコース輸送体阻害剤、およびホスフェート輸送体阻害剤、またはその医薬的に許容される塩から成る群から選択される抗肥満症剤;
から成る群から選択される少なくとも一種の治療剤を含む組み合わせ。
【請求項2】
抗異脂肪血症剤がエンゼチミブ(enzetimibe)、コレスチラミドおよびナイアシンから成る群から選択される請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項3】
抗肥満症剤がシブトラミンおよびオルリスタットから成る群から選択される請求項1または2に記載の組み合わせ。
【請求項4】
(i)レニン阻害剤または利尿剤と組み合わせたレニン阻害剤またはその医薬的に許容される塩;および
(ii)コレステリルエステル輸送タンパク質阻害剤またはその医薬的に許容される塩;から成る群から選択される少なくとも2個の成分を含む組み合わせ。
【請求項5】
レニン阻害剤が各々式:
【化1】

で示されるRO66−1132またはRO66−1168またはアリスキレンまたはいずれについてもその医薬的に許容される塩であり;
利尿剤がヒドロクロロチアジドであり;そして
CETP阻害剤が式:
【化2】

で示されるJTT705および式:
【化3】

で示されるトルセトラピブから成る群から選択される、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項6】
レニン阻害剤がRO66−1132、RO66−1168、および式:
【化4】

[式中、
はハロゲン、C1−6ハロゲンアルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキルオキシまたはC1−6アルコキシ−C1−6アルキルであり;
はハロゲン、C1−4アルキルまたはC1−4アルコキシであり;
およびRは独立に分枝状C3−6アルキルであり;そして
はシクロアルキル、C1−6アルキル、C1−6ヒドロキシアルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、C1−6アルカノイルオキシ−C1−6アルキル、C1−6アミノアルキル、C1−6アルキルアミノ−C1−6アルキル、C1−6ジアルキルアミノ−C1−6アルキル、C1−6アルカノイルアミノ−C1−6アルキル、HO(O)C−C1−6アルキル、C1−6アルキル−O−(O)C−C1−6アルキル、HN−C(O)−C1−6アルキル、C1−6アルキル−HN−C(O)−C1−6アルキルまたは(C1−6アルキル)N−C(O)−C1−6アルキルである]
で示される化合物またはその医薬的に許容される塩で示される化合物から成る群から選択される請求項1〜5のいずれかに記載の組み合わせ。
【請求項7】
レニン阻害剤が式:
【化5】

[式中、
は3−メトキシプロピルオキシであり;
はメトキシであり;そして
およびRはイソプロピルである]
で示される式(III)で示される化合物またはその医薬的に許容される塩である請求項6に記載の組み合わせ。
【請求項8】
式(IV)で示される化合物がそのヘミフマレート塩の形である請求項7に記載の組み合わせ。
【請求項9】
レニン阻害剤がアリスキレンであり、抗異脂肪血症剤がエンゼチミブ(enzetimibe)である請求項1〜8のいずれかに記載の組み合わせ。
【請求項10】
レニン阻害剤がアリスキレンであり、抗異脂肪血症剤がコレスチラミンである請求項1〜9のいずれかに記載の組み合わせ。
【請求項11】
レニン阻害剤がアリスキレンであり、抗異脂肪血症剤がナイアシンである請求項1〜10のいずれかに記載の組み合わせ。
【請求項12】
(i)レニン阻害剤がアリスキレンであり、抗肥満症剤がシブトラミンである請求項1〜11のいずれかに記載の組み合わせ。
【請求項13】
(i)レニン阻害剤がアリスキレンであり、抗肥満症剤がオルリスタットである請求項1〜12のいずれかに記載の組み合わせ。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれかに記載の組み合わせと医薬的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項15】
各成分の2個または3個の別々の単位の形にある、請求項1〜14のいずれかに記載の組み合わせを含む複数部品のキット。
【請求項16】
処置を必要とする哺乳類に請求項1〜13のいずれかに記載する組み合わせの治療的有効量を投与することを含む、レニン活性の阻害によって調節される心血管系障害の処置および/または予防の方法。
【請求項17】
処置を必要とする哺乳類に請求項1〜13のいずれかに記載する組み合わせの治療的有効量を投与することを含む異脂肪血症、肥満症関連異脂肪血症、異脂肪血症関連疾患、肥満症、および肥満症関連疾患を処置および/または予防する方法。
【請求項18】
疾患および状態が:
(a)高血圧、うっ血性心不全、腎不全、特に慢性腎不全、冠動脈および血管の再狭窄、例えば経皮経管的血管形成後の再狭窄および冠状動脈バイパス外科手術後の再狭窄;
(b)例えば、オキシダントストレスの低下、脂質に対する直接的作用または組み合わせの一成分または全成分の抗炎症効果による、アテローム性動脈硬化症;
(c)インスリン耐性およびシンドロームX/メタボリックシンドローム、2型糖尿病、肥満症、腎症、例えば糖尿病性腎症、腎不全、例えば慢性腎不全、甲状腺機能低下症、心筋梗塞(MI)後の蘇生、冠状動脈性心臓病、老年性高血圧、家族性脂質異常性高血圧、コラーゲン形成増加、例えば心臓、腎臓または肝臓の繊維症、高血圧および/または異脂肪血症後のリモデリング(血管)(脂質に対する作用に独立性のまたは依存性であってもよい組み合わせの抗増殖作用)、および部分的に抗炎症作用および高血圧関連性または非関連性の前記疾患または状態による血管リモデリング;
(d)高血圧を伴うか伴わない内皮機能不全;
(e)高脂質血症、高リポプロテイン血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、高密度リポプロテイン・コレステロールの低濃度、低密度リポプロテイン・コレステロールの高濃度、アテローム性動脈硬化症および高コレステロール血症、心臓麻痺、卒中、肥満症、および左心室肥大;
(f)緑内障;
(g)収縮期単独高血圧(ISH);
(h)糖尿病性網膜症;
(i)末梢血管疾患;
から成る群から選択される請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
疾患および状態が高血圧、高脂質血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、高密度リポプロテイン・コレステロールの低濃度、低密度リポプロテイン・コレステロールの高濃度、アテローム性動脈硬化症、肥満症、および左心室肥大から成る群から選択される請求項15〜18のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2009−512715(P2009−512715A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536858(P2008−536858)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/041222
【国際公開番号】WO2007/048027
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】