説明

レンズアレイおよびその製造方法

【課題】レンズ面上だけでなく、レンズアレイ本体における光路形成用の互いに位置が近い2つの凹部間の光路近傍にウエルドが発生することを有効に抑制することができるレンズアレイおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】第4の面4eをゲートGT側の面とすることによって、レンズアレイ本体4の成形の際における溶融樹脂材料の合流位置をレンズ面11〜13の形成位置から外し、更に、第3の凹部38の三次元形状によって、レンズアレイ本体4の成形の際に、第1の凹部18と第2の凹部19との間に対応する流路内への第4の面4eに対向する面4f側からの溶融樹脂材料の流入を抑制すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズアレイおよびその製造方法に係り、特に、金型を用いた樹脂成形によって製造するのに好適なレンズアレイおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信の高速化および通信デバイスの小型化のニーズを反映して、マルチチャンネルの光通信をコンパクトな構成で実現するのに有効な光学部品として、複数のレンズが並列配置されたレンズアレイの需要が益々高まりつつある。
【0003】
この種のレンズアレイは、従来から、複数の発光素子(例えば、VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)を備えた光電変換装置が取り付け可能とされるとともに、複数の光ファイバが取り付け可能とされていた。
【0004】
そして、レンズアレイは、このように光電変換装置と複数の光ファイバとの間に配置された状態で、光電変換装置の各発光素子から出射された光を、各光ファイバの端面に光学的に結合させることにより、マルチチャンネルの光通信を行うことが可能とされていた。
【0005】
また、光電変換装置の中には、発光素子の出力特性を安定させるべく、発光素子から出射された光(特に、強度もしくは光量)をモニタ(監視)するためのモニタ用の受光素子を備えたものもあり、このような光電変換装置に対応するレンズアレイは、発光素子から出射された光の一部を、モニタ光としてモニタ用の受光素子側に反射させるようになっていた。
【0006】
さらに、光電変換装置の中には、双方向通信に対応すべく、発光素子とともに受信用の受光素子を備えたものもあり、このような光電変換装置に対応するレンズアレイは、送信用のレンズとともに受信用のレンズを備えていた。
【0007】
以下、これらの光モニタ対応のレンズアレイの一例および双方向通信対応のレンズアレイの一例について順に説明する。
【0008】
(光モニタ対応レンズアレイ)
まず、図20は、光モニタ対応のレンズアレイ1を、光電変換装置2および光ファイバ3とともに示す縦断面図である。また、図21は、図20に示すレンズアレイ1におけるレンズアレイ本体の平面図である。さらに、図22は、図20に示すレンズアレイ本体の左側面図である。さらにまた、図23は、図20に示すレンズアレイ本体の下面図である。また、図24は、図20に示すレンズアレイ本体の右側面図である。
【0009】
図20に示すように、レンズアレイ1は、光電変換装置2と光ファイバ3との間に配置されるようになっている。
【0010】
ここで、光電変換装置2は、半導体基板5におけるレンズアレイ1に臨む面に、この面に対して垂直方向(図20における上方向)にレーザ光Laを出射(発光)する複数の発光素子7を有しており、これらの発光素子7は、前述したVCSEL(垂直共振器面発光レーザ)を構成している。なお、図20において、各発光素子7は、図20における紙面垂直方向に沿って整列形成されている。また、光電変換装置2は、半導体基板5におけるレンズアレイ1に臨む面であって、各発光素子7に対する図20における左方近傍位置に、各発光素子7からそれぞれ出射されたレーザ光Laの出力(例えば、強度や光量)をモニタするためのモニタ光Mを受光する発光素子7と同数の複数のモニタ用の受光素子8を有している。なお、受光素子8は、発光素子7と同方向に整列形成されており、互いに対応する素子7,8同士の間で、整列方向における位置が互いに一致している。すなわち、受光素子8は、発光素子7と同一ピッチで形成されている。この受光素子8は、フォトディテクタ等によって構成される。さらに、図示はしないが、光電変換装置2には、受光素子8によって受光されたモニタ光Mの強度や光量に基づいて発光素子7から発光されるレーザ光Laの出力を制御する制御回路が接続されている。このような光電変換装置2は、例えば、半導体基板5をレンズアレイ1に当接させた状態で、レンズアレイ1に対して対向配置されるようになっている。そして、この光電変換装置2は、例えば、クランプバネ等の不図示の公知の固定手段によってレンズアレイ1に取付けられることによって、レンズアレイ1とともに光モジュールを構成するようになっている。
【0011】
また、光ファイバ3は、発光素子7および受光素子8と同数配設されており、図20における紙面垂直方向に沿って発光素子7と同一ピッチで整列形成されている。各光ファイバ3は、互いに同寸法の光ファイバ3とされているとともに、その端面3a側の部位がMTコネクタ(Mechanically Transferable splicing connector)等の多心一括型の光コネクタ10内に保持されている。このような光ファイバ3は、例えば、光コネクタ10におけるレンズアレイ1側の端面をレンズアレイ1に当接させた状態で、不図示の公知の固定手段(例えば、クランプバネ等)によってレンズアレイ1に取付けられるようになっている。
【0012】
そして、レンズアレイ1は、このような光電変換装置2と光ファイバ3との間に配置された状態で、各発光素子7と各光ファイバ3の端面3aとを光学的に結合させるようになっている。
【0013】
このレンズアレイ1についてさらに詳述すると、図20に示すように、レンズアレイ1は、透光性のレンズアレイ本体4を有しており、このレンズアレイ本体4は、その外形が略矩形板状に形成されている。すなわち、図20および図21に示すように、レンズアレイ本体4は、上端面4a、下端面4b、左端面4c、右端面4d、前端面4eおよび後端面4fの各平面によって大まかな外形を構成している。また、上下の端面4a、4bは互いに平行とされ、左右の端面4c、4dも互いに平行とされている。さらに、上下の端面4a、4bと左右の端面4c、4dとは、互いに垂直とされている。
【0014】
このようなレンズアレイ本体4の下端面4bには、光電変換装置2が取り付けられるようになっており、この下端面4bには、図20および図23に示すように、発光素子7と同数の複数(12個)の平面円形状の第1のレンズ面(凸レンズ面)11が形成されている。ここで、図20に示すように、下端面4bは、図20における右側の所定範囲の平面略矩形状の部位が、ザグリ部16を介して他の部位よりも上方に凹入された凹入平面(以下、レンズ形成面16aと称する)に形成されており、複数の第1のレンズ面11は、このような下端面4bにおけるレンズ形成面16a上に形成されている。ただし、レンズ形成面16aは、下端面4bにおける他の部位に対して平行に形成されている。また、各第1のレンズ面11は、発光素子7に対応する所定の整列方向(図20における紙面垂直方向、図23における縦方向)に整列するように形成されている。さらに、各第1のレンズ面11は、互いに同寸法に形成されているとともに、発光素子7と同一ピッチで形成されている。さらにまた、整列方向において互いに隣位する第1のレンズ面11同士が、それぞれの周端部を互いに接触させた隣接状態に形成されている。また、各第1のレンズ面11上の光軸OA(1)は、レンズアレイ本体4の下端面4bに対して垂直に形成されている。さらに、各第1のレンズ面11上の光軸OA(1)は、各第1のレンズ面11にそれぞれ対応する各発光素子7から発光されるレーザ光Laの中心軸に一致するように形成されている。
【0015】
このような各第1のレンズ面11には、図20に示すように、各第1のレンズ面11にそれぞれ対応する各発光素子7ごとに出射されたレーザ光Laが入射する。そして、各第1のレンズ面11は、入射した各発光素子7ごとのレーザ光Laをレンズアレイ本体4の内部へと進行させる。各第1のレンズ面11は、入射した各発光素子7ごとのレーザ光Laをコリメートする場合もあるし、また、収束させる場合もある。
【0016】
一方、レンズアレイ本体4の左端面4cには、複数の光ファイバ3が取り付けられるようになっており、この左端面4cには、図20および図22に示すように、第1のレンズ面11と同数の平面円形状の複数の第2のレンズ面(凸レンズ面)12が形成されている。ここで、図20および図22に示すように、左端面4cは、中央側の所定範囲の平面略矩形状の部位が、この部位を囲む周辺側の部位に対してザグリ部17を介して図20における右方に凹入された凹入平面(以下、レンズ形成面17aと称する)に形成されており、複数の第2のレンズ面12は、このような左端面4cにおけるレンズ形成面17a上に形成されている。ただし、レンズ形成面17aは、左端面4cの他の部位に対して平行に形成されている。また、各第2のレンズ面12は、各光ファイバ3の端面3aの整列方向すなわち第1のレンズ面11の整列方向と同方向に整列するように形成されている。さらに、各第2のレンズ面12は、互いに同寸法に形成されているとともに、第1のレンズ面11と同一ピッチで形成されている。さらにまた、整列方向において互いに隣位する第2のレンズ面12同士は、それぞれの周端部を互いに接触させた隣接状態に形成されている。また、各第2のレンズ面12上の光軸OA(2)は、レンズアレイ本体4の左端面4cに対して垂直に形成されている。さらに、各第2のレンズ面12上の光軸OA(2)は、各第2のレンズ面12に対応する各光ファイバ3の端面3aの中心軸と同軸上に位置するように形成されている。
【0017】
このような各第2のレンズ面12には、図20に示すように、各第2のレンズ面12に対応する各第1のレンズ面11にそれぞれ入射してレンズアレイ本体4の内部の光路を進行してきた各発光素子7ごとのレーザ光Laがそれぞれ入射する。そして、各第2のレンズ面12は、入射した各発光素子7ごとのレーザ光Laを、収束させて各第2のレンズ面12に対応する各光ファイバ3の端面3aに向けてそれぞれ出射させる。
【0018】
このようにして、各発光素子7と各光ファイバ3の端面3aとが第1のレンズ面11および第2のレンズ面12を介して光学的に結合されるようになっている。
【0019】
さらに、図20および図23に示すように、レンズアレイ本体4の下端面4bにおけるレンズ形成面16a上であって、第1のレンズ面11に対する図20の左方近傍位置には、受光素子8と同数(本実施形態においては、発光素子7、光ファイバ3、第1のレンズ面11および第2のレンズ面12とも同数)の平面円形状の第3のレンズ面(凸レンズ面)13が形成されている。各第3のレンズ面13は、受光素子8に対応する所定の整列方向すなわち第1のレンズ面11の整列方向と同方向に整列するように形成されている。また、各第3のレンズ面13は、互いに同寸法に形成されているとともに、各受光素子8と同一ピッチで形成されている。さらに、整列方向において互いに隣位する第3のレンズ面13同士は、それぞれの周端部を互いに接触させた隣接状態に形成されている。さらにまた、各第3のレンズ面13上の光軸OA(3)は、レンズアレイ本体4の下端面4bに対して垂直に形成されている。また、各第3のレンズ面13上の光軸OA(3)は、各第3のレンズ面13にそれぞれ対応する各受光素子8の受光面の中心軸にほぼ一致するように形成されている。
【0020】
このような各第3のレンズ面13には、図20に示すように、レンズアレイ本体4の内部側から各第3のレンズ面13にそれぞれ対応する各発光素子7ごとのモニタ光Mが入射する。そして、各第3のレンズ面13は、入射した各発光素子7ごとのモニタ光Mを、収束させて各第3のレンズ面13に対応する各受光素子8に向けてそれぞれ出射させる。
【0021】
さらにまた、図20および図21に示すように、レンズアレイ本体4の上端面4aには、縦断面略台形状の第1の凹部18が凹入形成されており、この第1の凹部18の内面の一部をなす傾斜面18aは、全反射面18aとされている。図20に示すように、全反射面18aは、その上端部がその下端部よりも図20における左側(すなわち、後述する第2の凹部19側)に位置するようなレンズアレイ本体4の下端面4bおよび左端面4cの双方に対して傾きを有する傾斜面に形成されている。また、図21に示すように、全反射面18aは、その平面形状が、第1のレンズ面11の整列方向(図21における縦方向)に長尺な略矩形状に形成されている。この全反射面18aは、第1のレンズ面11と後述する第2の凹部19の第1の光学面19aとの間の各発光素子7ごとのレーザ光Laの光路上に配置されている。
【0022】
このような全反射面18aには、図20に示すように、各第1のレンズ面11にそれぞれ入射した後の各発光素子7ごとのレーザ光Laが、図20における下方から臨界角以上の入射角で入射する。そして、全反射面18aは、入射した各発光素子7ごとのレーザ光Laを、図20における左側に向かって全反射させる。
【0023】
なお、全反射面18aの傾斜角は、下端面4bを基準(0°)として図20における時計回りに40°〜50°(例えば、45°)とされている。
【0024】
また、図20および図21に示すように、レンズアレイ本体4の上端面4aには、第2の凹部19が、第1のレンズ面11および第2のレンズ面12を通るレーザ光Laの光路上に位置するように凹入形成されている。図20および図21に示すように、第2の凹部19は、縦断面形状が矩形状に形成されているとともに、平面形状が、第1のレンズ面11の整列方向に長尺な矩形状に形成されている。
【0025】
ここで、図20に示すように、第2の凹部19の右側面には、第2の凹部19の内面の一部をなす第1の光学面19aが形成されている。この第1の光学面19aは、レンズアレイ本体4の左端面4cに対して平行に形成されている。
【0026】
このような第1の光学面19aには、図20に示すように、全反射面18aによって全反射された各発光素子7ごとのレーザ光Laが垂直入射する。この入射角(換言すれば、入射方向)は、左端面4cに対しても垂直な角度(入射方向)となる。
【0027】
また、図20に示すように、第2の凹部19の左側面には、第2の凹部19の内面の一部であって、第1の光学面19aに対して図20の左方において対向する部位をなす第2の光学面19bが形成されている。この第2の光学面19bも、左端面4cに対して平行に形成されている。
【0028】
このような第2の光学面19bには、図20に示すように、第1の光学面19aに入射した後に各第2のレンズ面12側に向かって進行した各発光素子7ごとのレーザ光Laが垂直入射する。そして、第2の光学面19bは、入射した各発光素子7ごとのレーザ光Laを垂直に透過させる。
【0029】
さらに、図20に示すように、第2の凹部19がなす空間内には、縦断面略台形状のプリズム20が配置されている。
【0030】
ここで、図20に示すように、プリズム20は、第1の光学面19aに図20の左方において臨む位置に、プリズム20の表面の一部をなす第1のプリズム面20aを有している。この第1のプリズム面20aは、その上端部がその下端部よりも図20における右側(すなわち、第1の光学面19a側)に位置するようなレンズアレイ本体4の下端面4bおよび左端面4cに対して所定の傾斜角を有する傾斜面に形成されている。これにより、図20に示すように、第1のプリズム面20aと第1の光学面19aとの間には、縦断面直角三角形状の空間が形成されている。
【0031】
また、図20に示すように、プリズム20は、その表面の一部であって第1のプリズム面20aに対向する部位をなす第2のプリズム面20bを有している。この第2のプリズム面20bは、第2の光学面19bに対して図20の右方において所定の間隔をもって臨む位置に、第2の光学面19bに対して平行に配置されている。
【0032】
さらに、図20に示すように、プリズム20は、その図20における右端面が第2の凹部19の右側面における第1の光学面19aの上端から上方に延出された部位に当接され、また、その図20における下端面が第2の凹部19の底面19e(図21参照)に当接され、さらに、その上端部に形成された鍔部21がレンズアレイ本体4の上端面4aに当接されるようにして、第2の凹部19に対する位置決めがなされている。
【0033】
このようなプリズム20は、第1の光学面19aに入射した後に第2のレンズ面12側に向かって進行する各発光素子7ごとのレーザ光Laの光路を形成するようになっている。
【0034】
さらにまた、図20に示すように、第2の凹部19とプリズム20との間には、透光性の接着材からなる充填材22が充填されており、この充填材22の接着力によって、プリズム20が第2の凹部19内に安定的に保持されている。また、図20に示すように、充填材22は、鍔部21上にも配置されており、レンズアレイ本体4の上端面4aに対する鍔部21の接着にも用いられている。このような充填材22としては、熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂を用いることができる。
【0035】
また、充填材22は、プリズム20と同屈折率に形成されている。例えば、プリズム20が、ポリエーテルイミドとしてのSABIC社製Ultem(登録商標)によって形成され、充填材22が、三菱ガス化学社製ルミプラス(登録商標)によって形成される場合もある。この場合には、プリズム20および充填材22の屈折率が、波長850nmの光に対していずれも1.64となる。この他にも、例えば、プリズム20が、環状オレフィン樹脂としてのJSR社製のARTON(登録商標)によって形成され、充填材22が、UV硬化樹脂としての(株)テクス製のA1754Bによって形成される場合もある。この場合には、プリズム20および充填材22の屈折率が、波長850nmの光に対していずれも1.50となる。
【0036】
さらに、図20に示すように、第2の凹部19がなす空間内であって、プリズム20に対して各発光素子7ごとのレーザ光Laの進行方向における上流側の位置には、厚みが薄い反射/透過層24が形成されている。ここで、図20に示すように、反射/透過層24は、その第1の光学面19a側の表面が充填材22を隔てて第1の光学面19aに臨んでいるとともに、その第1のプリズム面20a側の表面が第1のプリズム面20aに密接している。このような反射/透過層24は、Ni、CrまたはAl等の単一の金属からなる単層膜もしくは互いに誘電率が異なる複数の誘電体(例えば、TiOとSiO)を交互に積層することによって得られる誘電体多層膜を、第1のプリズム面20a上にコーティングすることによって形成される場合がある。この場合に、コーティングには、インコーネル蒸着等の公知のコーティング技術が用いられる。このようなコーティングを用いる場合には、反射/透過層24が、例えば、1μm以下の極めて薄い厚さに形成される。ただし、反射/透過層24は、ガラスフィルタによって構成される場合もある。また、反射/透過層24は、第1のプリズム面20aに対して平行に形成されている。
【0037】
ここで、図20に示すように、第1の光学面19aに垂直入射した各発光素子7ごとのレーザ光Laは、屈折することなく第1の光学面19aと反射/透過層24との間に充填された充填材22の内部の光路上を第2のレンズ面12側に向かって直進する。このとき、充填材22がレンズアレイ本体4とも同屈折率に形成されていれば、第1の光学面19aと充填材22との界面におけるフレネル反射が抑制されることになる。この場合に、レンズアレイ本体4は、プリズム20と同一の材料によって形成される場合もある。さらに、このようにして第1の光学面19aと反射/透過層24との間の充填材22内を進行した各発光素子7ごとのレーザ光Laは、反射/透過層24に入射する。そして、反射/透過層24は、入射した各発光素子7ごとのレーザ光Laを、所定の反射率で第3のレンズ面13側に反射させるとともに、所定の透過率でプリズム20側に透過させる。このとき、反射/透過層24の厚みが薄いことによって、反射/透過層24を透過するレーザ光Laの屈折は無視する(直進透過とみなす)ことができる。なお、反射/透過層24の反射率および透過率としては、レーザ光Laの出力をモニタするために十分とみなされる光量のモニタ光Mを得ることができる限度において、反射/透過層24の材質や厚み等に応じた所望の値が設定される。例えば、反射/透過層24を、前述した単層膜によって形成する場合には、その厚みにもよるが、反射/透過層24の反射率を20%、透過率を60%(吸収率20%)とすることもできる。また、例えば、反射/透過層24を、前述した誘電体多層膜によって形成する場合には、その厚みや層数にもよるが、反射/透過層24の反射率を10%、透過率を90%とすることもできる。
【0038】
そして、このような反射または透過の際に、反射/透過層24は、図20に示すように、反射/透過層24に入射した各発光素子7ごとのレーザ光Laのそれぞれの一部(反射率分の光)を、各発光素子7にそれぞれ対応する各発光素子7ごとのモニタ光Mとして各モニタ光Mに対応する各第3のレンズ面13側に向かって反射させる。
【0039】
さらに、このようにして反射/透過層24によって反射された各発光素子7ごとのモニタ光Mは、各第3のレンズ面13側に向かってレンズアレイ本体4の内部を進行した後に、各第3のレンズ面13からこれらに対応する各受光素子8に向けてそれぞれ出射される。
【0040】
一方、反射/透過層24によって透過された各発光素子7ごとのレーザ光Laは、透過の直後に第1のプリズム面20aに入射する。この第1のプリズム面20aに対する各発光素子7ごとのレーザ光Laの入射方向は、反射/透過層24に対する各発光素子7ごとのレーザ光Laの入射方向と同一とみなすことができる。これは、反射/透過層24が非常に薄く、この層24でのレーザ光Laの屈折を無視できることによるものである。そして、第1のプリズム面20aに入射した各発光素子7ごとのレーザ光Laは、プリズム20の内部の光路上を第2のレンズ面12側に向かって進行する。
【0041】
このとき、プリズム20が充填材22と同屈折率に形成されていることによって、各発光素子7ごとのレーザ光Laが第1のプリズム面20aに入射する際に、各レーザ光Laに屈折が生じることはない。そして、プリズム20の内部の光路上を進行した各発光素子7ごとのレーザ光Laは、第2のプリズム面20bに垂直入射するとともにこの第2のレンズ面16bからプリズム20の外部に垂直に出射される。
【0042】
次いで、第2のプリズム面20bから出射された各発光素子7ごとのレーザ光Laは、第2のプリズム面20bと第2の光学面19bとの間に充填された充填材22に垂直入射する。この垂直入射した各発光素子7ごとのレーザ光Laは、屈折されずに充填材22の内部の光路上を第2のレンズ面12側に向かって直進する。このとき、充填材22がプリズム20と同屈折率に形成されていることによって、第2のプリズム面20bと充填材22との界面におけるフレネル反射が抑制される。
【0043】
このようにして第2のプリズム面20bと第2の光学面19bとの間の充填材22内を進行した各発光素子7ごとのレーザ光Laは、充填材22から垂直出射され、その直後に、前述のように第2の光学面19bに垂直入射する。そして、第2の光学面19bに垂直入射した各発光素子7ごとのレーザ光Laは、第2の光学面19b以後のレンズアレイ本体4の内部の光路上を各第2のレンズ面12側に向かって進行した後に、各第2のレンズ面12によって、これらに対応する各光ファイバ3の端面に向けてそれぞれ出射される。
【0044】
なお、図21に示すように、第2の凹部19は、上端面4aの面法線方向(図20における上方)から見た場合に、第2の凹部19における底面19eおよび全ての側面19a〜dが、第2の凹部19における開口部19fの外形によって示される範囲以内に収まるような形状に形成されている。換言すれば、第2の凹部19は、底面19eおよび全ての側面19a〜dのそれぞれについての上端面4aの面法線方向への投影面が、開口部19fの外形によって示される範囲以内に収まるように形成されている。このような第2の凹部19の形状は、金型からの離型性を確保し得る形状となっている。このことは、前述した第1の凹部18においても同様である。
【0045】
また、図20〜図23に示すように、レンズアレイ本体4の左端面4c上であって、レンズ形成面17aに対して第2のレンズ面12の整列方向における両外側の位置には、レンズアレイ側の光ファイバ位置決め構造としての一対のファイバ位置決め用凸部25が、左端面4cに対して垂直に形成されている。これら一対のファイバ位置決め用凸部25は、左端面4cから光ファイバ3側に向かって突出された互いに同寸法の丸ピン状(円柱形状)に形成されている。
【0046】
一方、これら一対のファイバ位置決め用凸部25に対応する光ファイバ3側の構成として、図25に示すように、光コネクタ10には、光ファイバ側の光ファイバ位置決め構造としての一対のファイバ位置決め用凹部26が形成されている。ただし、図25においては、両ファイバ位置決め用凹部26が紙面垂直方向において重なっているため、紙面手前側の1つのファイバ位置決め用凹部26のみが見えている。これら一対のファイバ位置決め用凹部26は、F12形多心光ファイバコネクタの規格(IEC 61754-5、JIS C 5981)にしたがった寸法精度を満足するような互いに同寸法の丸ボス穴状に形成されている。
【0047】
図25に示すように、ファイバ位置決め用凹部26には、光ファイバ3をレンズアレイ1に取り付ける際に、対応するファイバ位置決め用凸部25が挿入されるようになっており、これにより、光ファイバ3をレンズアレイ1に取り付ける際における光ファイバ3の位置決めが行われるようになっている。
【0048】
さらに、図23に示すように、レンズアレイ本体4の下端面4b上であって、レンズ形成面16aに対して第1のレンズ面11および第3のレンズ面13の整列方向における両外側位置には、レンズアレイ側の光電変換装置位置決め構造としての一対のデバイス位置決め用凹部28が形成されている。これら一対のデバイス位置決め用凹部28は、互いに同寸法の丸ボス穴状に形成されているとともに、その中心軸が第1のレンズ面11における光軸OA(1)に対して平行になるように形成されている。
【0049】
一方、これら一対のデバイス位置決め用凹部28に対応する光電変換装置2側の構成として、図25に示すように、半導体基板5には、光電変換装置側の光電変換装置位置決め構造としての一対のデバイス位置決め用凸部29が形成されている。ただし、図25においては、両デバイス位置決め用凸部29が紙面垂直方向において重なっているため、紙面手前側の1つのデバイス位置決め用凸部29のみが見えている。これら一対のデバイス位置決め用凸部29は、発光素子7からの出射光の中心軸に対して平行な方向に延びる互いに同寸法の丸ピン状に形成されている。
【0050】
図25に示すように、各デバイス位置決め用凸部29は、光電変換装置2をレンズアレイ1に取り付ける際に、対応するデバイス位置決め用凹部28にそれぞれ挿入されるようになっており、これにより、光電変換装置2をレンズアレイ1に取り付ける際における光電変換装置2の位置決めが行われるようになっている。
【0051】
(双方向通信対応レンズアレイ)
次に、図26は、双方向通信対応のレンズアレイ31を、光電変換装置2および光ファイバ3とともに示す縦断面図である。また、図27は、図26に示すレンズアレイ31の平面図である。さらに、図28は、図26に示すレンズアレイ31の左側面図である。さらにまた、図29は、図26に示すレンズアレイ31の下面図である。
【0052】
この双方向通信対応のレンズアレイ31は、第1のレンズ面11、第2のレンズ面12および第1の凹部18の構成ならびに機能については、前述した光モニタ対応レンズアレイ1と同様である。
【0053】
一方、双方向通信対応のレンズアレイ31は、前述したモニタ光Mを得る各構成部20、22、24の代わりに、光信号の受信に対応するための構成を備えている。
【0054】
また、光電変換装置2および光ファイバ3側においても、光信号の受信に対応する構成が備えられている。
【0055】
すなわち、図26に示すように、光コネクタ10における光ファイバ3の近傍(図26における下方近傍)には、受信専用の第2の光ファイバ33が並列配置されている。第2の光ファイバ33は、光ファイバ3の整列方向と同方向に沿って、光ファイバ3と同一ピッチで同数(12本)整列されている。また、第2の光ファイバ33の本数は、受光素子8および第3のレンズ面13と同数とされている。そして、これら複数の第2の光ファイバ33におけるレンズアレイ31に臨む各端面33aからは、レンズアレイ31に向けてレーザ光Lが出射されるようになっている。このレーザ光Lは、受信用の光信号に相当する。
【0056】
また、図26に示すように、レンズアレイ本体4の左端面4cにおける各第2のレンズ面12に対してこれらの整列方向に直交する方向(図26おける下方向)において隣位する位置であって、各第2の光ファイバ33の端面33aに臨む位置には、各第2の光ファイバ33から出射されたレーザ光Lが入射する第2の光ファイバ33と同数の第4のレンズ面14が形成されている。これら複数の第4のレンズ面14は、互いに同寸法の平面円形状に形成されているとともに、第2のレンズ面12の整列方向に沿って第2のレンズ面12と同一ピッチで整列形成されている。また、第4のレンズ面14上の光軸OA(4)は、左端面4cに垂直に形成されている。なお、第4のレンズ面14は、第2のレンズ面と同寸法の場合もある。
【0057】
さらに、図26に示すように、第2の凹部19は、その底面における右端部側の所定範囲の部位をなす第2の全反射面34を有している。この第2の全反射面34は、その上端部がその下端部よりも図26における左側に位置するような傾斜面に形成されている。第2の全反射面34は、第1の凹部18の全反射面18aと平行に形成してもよい。このような第2の全反射面34には、各第4のレンズ面14に入射した各第2の光ファイバ33ごとのレーザ光Lが、図26における左方から臨界角以上の入射角で入射する。そして、第2の全反射面34は、入射した各第2の光ファイバ33ごとのレーザ光Lを、各第3のレンズ面13側(図26における下方)に向けて全反射させる。
【0058】
このようにして第2の全反射面34によって全反射された各第2の光ファイバ33ごとのレーザ光Lは、各第3のレンズ面13によってそれぞれ収束された上で対応する受光素子8に向けて出射される。すなわち、双方向通信対応のレンズアレイ31においては、第3のレンズ面13が、モニタ光Mの集光の代わりに受信光信号の集光に用いられ、受光素子8が、モニタ光Mの受光の代わりに受信光信号の受光に用いられるようになっている。
【0059】
一方、各発光素子7ごとのレーザ光Lは、光モニタ対応のレンズアレイ1の場合と同様に、各第1のレンズ面11、全反射面18a、第1の光学面19aおよび第2の光学面19bを順次経た上で、各第2のレンズ面12から対応する光ファイバ3の端面3aに向けて出射される。
【0060】
このような構成によれば、各第2の光ファイバ33から出射されたレーザ光Lを、各第4のレンズ面14、第2の全反射面34および各第3のレンズ面13を経て、各受光素子8に結合させることができるので、双方向通信に有効に対応することができる。
【0061】
なお、このような双方向通信対応のレンズアレイ31は、例えば、全反射面18a、34上への反射膜(Au、Ag、Al等)のコーティング等のレンズアレイ本体4と別体の構成を設けないのであれば、レンズアレイ本体4そのものとなる。
【0062】
以上のようなレンズアレイに関する従来技術としては、これまでにも、例えば、非特許文献1に示すような提案がなされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0063】
【非特許文献1】特願2010−242124号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0064】
前述した光モニタ対応のレンズアレイ1および双方向通信対応のレンズアレイ31のレンズアレイ本体4は、量産性および低コスト化の観点から、金型を用いた樹脂成形によって製造することが望ましい。
【0065】
そこで、このようなレンズアレイ本体4を、金型を用いた樹脂材料の射出成形によって製造する場合には、溶融状態の樹脂材料(以下、溶融樹脂材料と称する)を、スプールおよびランナを経てゲートからキャビティ内に注入して充填させることになる。
【0066】
このとき、キャビティ内に注入された溶融樹脂材料は、キャビティの形状にしたがって複数に分流するようにしてキャビティ内を流動した後に、最終的に、ゲートから遠い位置において合流(会合)することになる。
【0067】
そして、このような溶融樹脂材料の合流位置には、ウエルドと称される金型を用いた樹脂成形における不可避的な成形不良が生じることになる。
【0068】
ここで、このようなウエルドがレンズ面11〜14上に発生する場合には、レンズアレイ1、31の光学性能を著しく劣化させてしまうことになる。
【0069】
したがって、レンズアレイ本体4の成形の際には、ゲートが前端面4eまたは後端面4fの転写面上に位置するような金型設計を行うことが望ましい。このようにすれば、ゲートからキャビティ内に注入された溶融樹脂材料を、レンズ面11〜14の転写に関与しない転写面(後端面4fまたは前端面4eの転写面)側の位置において合流させることができるので、レンズ面11〜14上へのウエルドの発生を有効に抑制することができる。
【0070】
しかるに、本発明者らは、レンズアレイ1、31の更なる光学性能の向上を図るべく鋭意研究を進める過程で、かかるゲート位置の選択を行った場合においてもなお、両凹部18、19を備えたレンズアレイ本体4特有の形状に起因して、光学性能上問題がある位置にウエルドが発生してしまうことを知得した。
【0071】
すなわち、図30および図31(図30のA−A断面図)は、光モニタ対応のレンズアレイ1のレンズアレイ本体4を金型を用いて射出成形する場合における溶融樹脂材料(ポリエーテルイミド)の流動解析結果を示したものである。流動解析には、東レエンジニアリング株式会社製の樹脂流動解析ソフト(3D TIMON)(TIMONは同社の登録商標)を用いた。なお、図30に示すように、金型のゲートGTは、レンズアレイ本体4における前端面4eの転写面上に位置されている。
【0072】
図30および図31に示すように、レンズアレイ本体4には、第1の凹部18と第2の凹部19との間における後端面4f寄りの位置に、ウエルドWが形成されることが分かる。このようなウエルドWが形成されるのは次のような理由による。
【0073】
すなわち、ゲートGTからキャビティ内に注入された溶融樹脂材料は、ゲートGTに対向する後端面4fの転写面側に向かって流れようとするが、第1の凹部18および第2の凹部19に対応する流路については、両凹部18、19の転写面の三次元形状によって溶融樹脂材料の流れが量的に抑制される。また、このとき、第1の凹部18と第2の凹部19との間に対応する流路においても、その幅が狭く溶融樹脂材料が流入し難いため、後端面4fの転写面側に向かう溶融樹脂材料の流速が遅くなる。一方、第1の凹部18とレンズアレイ本体4における右端面4dとの間に対応する流路および第2の凹部19とレンズアレイ本体4における左端面4cとの間に対応する流路においては、その幅が比較的広いため、後端面4fの転写面側に向かう溶融樹脂材料の流速が速くなる。これにより、第1の凹部18−右端面4d間に対応する流路を通る溶融樹脂材料と、第2の凹部19−左端面4c間に対応する流路を通る溶融樹脂材料とが、両凹部18、19間に対応する流路を通る溶融樹脂材料に先んじて後端面4fの転写面に到達した上で、両凹部18、19間に対応する流路内に、後端面4fの転写面側から回り込む(逆流する)ようにして流入する。そして、この流入した溶融樹脂材料が、両凹部18、19間に対応する流路を後端面4fの転写面側に向かって進行する溶融樹脂材料とほぼ正面衝突することによって、両凹部18、19間にウエルドWが形成されることになる。
【0074】
また、図32および図33(図32のA−A断面図)は、双方向通信対応のレンズアレイ31のレンズアレイ本体4を金型を用いて成形する場合における溶融樹脂材料の流動解析結果を示したものである。流動解析の条件は、図30および図31の場合と同様である。
【0075】
図32および図33に示すように、双方向通信対応のレンズアレイ本体4においても、図30および図31の場合と同様の理由によって、両凹部18、19間における後端面4f寄りの位置にウエルドWが形成される。
【0076】
さらに、図34および図35(図34のA−A断面図)は、双方向通信対応のレンズアレイ31におけるレンズアレイ本体4であって、図32および図33の構成とは異なり、第1の凹部18の方が第2の凹部19よりも長手方向の寸法(横幅)が大きく形成されたものについての溶融樹脂材料の流動解析結果を示したものである。流動解析の条件は、図30および図31の場合と同様である。
【0077】
図34および図35の場合も、両凹部18、19間における後端面4f寄りの位置に、ウエルドWが形成されることが分かる。
【0078】
このように、各レンズアレイ1、31のレンズアレイ本体4には、両凹部18、19間にウエルドWが形成されることが判明したが、このウエルドWは、第1のレンズ面11および第2のレンズ面12を通るレーザ光Laの光路の近傍に形成されているため、光ファイバ3の端面3aに対するレーザ光Laの光結合効率が低下するといった問題が生じていた。
【0079】
さらに、光モニタ対応のレンズアレイ本体4においては、両凹部18、19間のウエルドWは、第1のレンズ面11と第3のレンズ面13との間の光路の近傍にも位置しているので、受光素子8に対するモニタ光Mの光結合効率が低下するといった問題も生じていた。
【0080】
そこで、本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであり、レンズ面上だけでなく、レンズアレイ本体における光路形成用の互いに位置が近い2つの凹部間の光路近傍にウエルドが発生することを有効に抑制することができるレンズアレイおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0081】
前述した目的を達成するため、本発明の請求項1に係るレンズアレイの特徴は、金型を用いた樹脂成形によって形成されたレンズアレイであって、レンズアレイ本体における第1の面に、所定の整列方向に整列するように形成された複数の第1のレンズ面と、前記第1の面に前記整列方向に直交する方向において隣位する前記レンズアレイ本体における第2の面に、前記整列方向に沿って整列するように形成された複数の第2のレンズ面と、前記第1の面における前記第1のレンズ面に対する前記第2の面側の近傍位置に形成された少なくとも1つの第3のレンズ面と、前記第1の面に対向する前記レンズアレイ本体における第3の面に凹入形成され、前記第1のレンズ面および前記第2のレンズ面を通る第1の光路を形成するための全反射面を備えた第1の凹部と、前記第3の面における前記第1の凹部に対する前記第2の面側の近傍位置に、前記第1の光路上に位置するように凹入形成され、前記第3のレンズ面を通る第2の光路を形成するための第2の凹部とを備え、前記第1の面および前記第2の面に前記整列方向における一方において隣位する前記レンズアレイ本体における第4の面が、前記金型におけるゲート側の面とされ、前記第3の面に、前記レンズアレイ本体の成形の際に第1の凹部と前記第2の凹部との間の光路近傍にウエルドが形成されることを抑制するための第3の凹部が、前記第1の凹部の前記整列方向における他方の端部または前記第2の凹部の前記整列方向における他方の端部に連なるように凹入形成されている点にある。そして、この請求項1に係る発明によれば、第4の面をゲート側の面とすることによって、レンズアレイ本体の成形の際における溶融樹脂材料の合流位置をレンズ面の形成位置から外すことができ、更に、第3の凹部の三次元形状によって、レンズアレイ本体の成形の際に、第1の凹部と第2の凹部との間に対応する流路内への第4の面に対向する面側からの溶融樹脂材料の流入を抑制することができるので、レンズ面上および第1の凹部と第2の凹部との間の光路近傍にウエルドが発生することを有効に抑制することができる。
【0082】
また、請求項2に係るレンズアレイの特徴は、請求項1において、更に、前記第3の凹部が、前記第1の凹部の前記他方の端部に連なるように形成され、前記第1の凹部の前記他方の端部が、前記第2の凹部の前記他方の端部よりも前記整列方向における他方に位置されている点にある。そして、この請求項2に係る発明によれば、第1の凹部に連なる第3の凹部を形成する場合に、第3の凹部が第2の凹部に連ならないようにするために第3の凹部の形状を複雑化しなくても済む。
【0083】
さらに、請求項3に係るレンズアレイの特徴は、請求項1において、更に、前記第3の凹部が、前記第2の凹部の前記他方の端部に連なるように形成され、前記第2の凹部の前記他方の端部が、前記第1の凹部の前記他方の端部よりも前記整列方向における他方に位置されている点にある。そして、この請求項3に係る発明によれば、第2の凹部に連なる第3の凹部を形成する場合に、第3の凹部が第1の凹部に連ならないようにするために第3の凹部の形状を複雑化しなくても済む。
【0084】
さらにまた、請求項4に係るレンズアレイの特徴は、請求項1〜3のいずれか1項において、更に、前記第2の凹部には、前記複数の第1のレンズ面に前記レンズアレイ本体の外部からそれぞれ入射した各光が前記全反射面によって全反射された後に入射し、前記第2の凹部がなす空間内には、前記第2の凹部に入射した前記各光を、所定の反射率で反射させて前記第3のレンズ面側に進行させるとともに所定の透過率で透過させて前記第2のレンズ面側に進行させるように制御し、その際に、前記各光の少なくとも1つをこれをモニタするためのモニタ光として反射させる光制御部材が配置され、前記第2の光路は、前記第3のレンズ面および前記第1のレンズ面を通る光路とされている点にある。そして、この請求項4に係る発明によれば、光モニタ対応のレンズアレイにおいて、レンズ面上、第1の凹部と第2の凹部との間の第1の光路近傍および第1の凹部と第2の凹部との間の第2の光路近傍へのウエルドの発生を有効に抑制することができる。
【0085】
また、請求項5に係るレンズアレイの特徴は、請求項4において、更に、前記光制御部材は、前記第2の凹部がなす空間内に配置され、前記第2の凹部に入射した後に前記第2のレンズ面側に向かって進行する前記各光の光路を形成するプリズムと、前記第2の凹部がなす空間内であって、前記プリズムに対して前記各光の進行方向における上流側の位置に配置され、前記第2の凹部に入射した前記各光を、前記所定の反射率で前記第3のレンズ面側に反射させるとともに前記所定の透過率で前記プリズム側に透過させ、その際に、前記各光の少なくとも1つを前記モニタ光として反射させる反射/透過層とを備えた点にある。そして、この請求項5に係る発明によれば、簡易な構成によってモニタ光を確実に得ることができる。
【0086】
さらに、請求項6に係るレンズアレイの特徴は、請求項1〜3のいずれか1項において、更に、前記第3のレンズ面は、前記整列方向に沿って整列するように複数形成され、前記第2の面に、複数の第4のレンズ面が、前記整列方向に沿って整列するように形成され、前記第2の凹部は、前記第2の光路としての前記第3のレンズ面および前記第4のレンズ面を通る光路を形成するための第2の全反射面を備えている点にある。そして、この請求項6に係る発明によれば、双方向通信対応のレンズアレイにおいて、レンズ面上および第1の凹部と第2の凹部との間の第1の光路近傍へのウエルドの発生を有効に抑制することができる。
【0087】
さらにまた、請求項7に係るレンズアレイの製造方法の特徴は、請求項1〜6のいずれか1項に記載のレンズアレイを製造するために、樹脂材料の流動解析によって前記第3の凹部の三次元形状を決定し、決定された三次元形状を有する前記第3の凹部を備えたレンズアレイを製造する点にある。そして、この請求項7に係る発明によれば、ウエルドの形成位置を第1の凹部と第2の凹部との間の光路近傍から外れた位置に制御するために最適な三次元形状の第3の凹部を形成することができる。
【発明の効果】
【0088】
本発明によれば、レンズ面上のみに止まらずレンズアレイ本体における光路形成用の互いに位置が近い2つの凹部間の光路近傍にウエルドが発生することも有効に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明に係るレンズアレイの第1実施形態において、レンズアレイ本体を示す平面図
【図2】図1のA−A断面図
【図3】図1のB−B断面図
【図4】第1実施形態の変形例を示す平面図
【図5】図4のA−A断面図
【図6】図4のB−B断面図
【図7】レンズアレイの製造方法の実施形態において、レンズアレイ本体を射出成形するための金型を示す概略構成図
【図8】第1実施形態の実施例として、レンズアレイ本体を金型を用いて成形する場合における溶融樹脂材料の流動解析結果を示す平面図
【図9】図8のA−A断面図
【図10】本発明に係るレンズアレイの第2実施形態において、レンズアレイ本体を示す平面図
【図11】図10のA−A断面図
【図12】図10のB−B断面図
【図13】第2実施形態の変形例を示す平面図
【図14】図13のA−A断面図
【図15】図13のB−B断面図
【図16】第2実施形態の実施例として、図10〜図12のレンズアレイ本体を金型を用いて成形する場合における溶融樹脂材料の流動解析結果を示す平面図
【図17】図16のA−A断面図
【図18】第2実施形態の他の実施例として、図13〜図15のレンズアレイ本体を金型を用いて成形する場合における溶融樹脂材料の流動解析結果を示す平面
【図19】図18のA−A断面図
【図20】光モニタ対応のレンズアレイを、光電変換装置および光ファイバとともに示す縦断面図
【図21】図20に示すレンズアレイ本体の平面図
【図22】図20に示すレンズアレイ本体の左側面図
【図23】図20に示すレンズアレイ本体の下面図
【図24】図20に示すレンズアレイ本体の右側面図
【図25】図20のレンズアレイに対する光電変換装置および光ファイバの位置決め構造を示す概略構成図
【図26】双方向通信対応のレンズアレイを、光電変換装置および光ファイバとともに示す縦断面図
【図27】図26に示すレンズアレイの平面図
【図28】図26に示すレンズアレイの左側面図
【図29】図26に示すレンズアレイの下面図
【図30】光モニタ対応のレンズアレイのレンズアレイ本体を金型を用いて成形する場合における溶融樹脂材料の流動解析結果を示す平面図
【図31】図30のA−A断面図
【図32】双方向通信対応の第1のレンズアレイのレンズアレイ本体を金型を用いて成形する場合における溶融樹脂材料の流動解析結果を示す平面図
【図33】図32のA−A断面図
【図34】双方向通信対応の第2のレンズアレイのレンズアレイ本体を金型を用いて成形する場合における溶融樹脂材料の流動解析結果を示す平面図
【図35】図34のA−A断面図
【発明を実施するための形態】
【0090】
(第1実施形態)
以下、本発明に係るレンズアレイおよびその製造方法の第1実施形態について、図1〜図9を参照して説明する。
【0091】
なお、本実施形態におけるレンズアレイは、図20〜図25に示した光モニタ対応のレンズアレイ1と基本的構成が同様であるので、本実施形態に特有の構成以外の構成については、レンズアレイ1と同一の符号を用いて説明する。
【0092】
図1は、本実施形態のレンズアレイにおけるレンズアレイ本体4の平面図である。また、図2は、図1のA−A断面図である。さらに、図3は、図1のB−B断面図であり、この図3は、図20に示した縦断面図に対応するものである。なお、レンズアレイ本体4の左側面図は図22と同様であり、また、下面図は図23と同様であり、さらに、右側面図は図24と同様である。
【0093】
本実施形態におけるレンズアレイは、図20〜図25に示したレンズアレイ1と同様の金型を用いた射出成形によって形成された光モニタ対応のレンズアレイとされており、レンズアレイ1と同様の構成を備えている。
【0094】
すなわち、レンズアレイ本体4における第1の面としての下端面4bには、複数の第1のレンズ面11が、所定の整列方向としての図3における紙面垂直方向に整列するように形成されている。また、レンズアレイ本体4における第2の面として、下端面4bに対して第1のレンズ面11の整列方向および光軸方向に直交する方向(図3における左方)において隣位する左端面4cには、複数の第2のレンズ面12が、第1のレンズ面11の整列方向に沿って整列するように形成されている。さらに、下端面4bにおける第1のレンズ面11に対する左端面4c側の近傍位置には、複数の第3のレンズ面13が、第1のレンズ面11の整列方向に沿って整列するように形成されている。なお、第3のレンズ面13は、少なくとも1つ形成するのであれば、必ずしも第1のレンズ面11および第2のレンズ面12と同数形成しなくてもよく、第1のレンズ面11および第2のレンズ面12よりも形成数を少なくしてもよい。さらにまた、レンズアレイ本体4における第3の面として、下端面4bに対向する上端面4aには、第1の凹部18が凹入形成されている。この第1の凹部18は、第1のレンズ面11および第2のレンズ面12を通る第1の光路(すなわち、前述した各発光素子7ごとのレーザ光Laの光路)を形成するための全反射面18aを有している。また、上端面4aにおける第1の凹部18に対する左端面4c側の近傍位置には、第2の凹部19が、第1の光路上に位置するように凹入形成されている。この第2の凹部19は、図20に示したように、第2の凹部19がなす空間内に、プリズム20、充填材22および反射/透過層24からなる光制御部材が配置された状態で、第2の光路としての第3のレンズ面13および第1のレンズ面11を通る光路(すなわち、光モニタ用の光路)を形成するようになっている。なお、本実施形態におけるレンズアレイは、図20と同様に、レンズアレイ本体4と光制御部材20、22、24とによって構成される。ただし、光制御部材の構成としては、図20に示したものに限定される必要はなく、非特許文献1に開示された種々のバリエーションを適用することができる。
【0095】
このような構成に加えて、更に、本実施形態においては、レンズアレイ本体4における第4の面として、下端面4bおよび左端面4cに対して第1のレンズ面11の整列方向における前方(図1における下方)において隣位する前端面4eが、金型におけるゲートGT側の面とされている(図8参照)。すなわち、レンズアレイ本体4は、キャビティにおける前端面4eの転写面上にゲートGTが配置された金型を用いた樹脂成形によって得られるようになっている。
【0096】
更に、図1〜図3に示すように、本実施形態において、レンズアレイ本体4における上端面4aには、レンズアレイ本体4の成形の際に両凹部18、19間の光路近傍にウエルドが形成されることを抑制するための第3の凹部38が凹入形成されている。
【0097】
図1に示すように、第3の凹部38は、平面形状が、第1のレンズ面11の整列方向(図1における縦方向)に長尺な第1の凹部18および第2の凹部19よりも小さい略長方形状に形成されているとともに、図2に示すように、縦断面形状が、上底よりも下底が短い略等脚台形状に形成されている。
【0098】
また、第3の凹部38は、第2の凹部19の後端部(整列方向における他方の端部)(図1における上端部)に連なるように形成されている。具体的には、第3の凹部38の前端部(図1における下端部)の図1における左半部が、第2の凹部19の後端部における右端部側の部位とひとつながりになっている。ただし、図3に示すように、第3の凹部38の深さは、第2の凹部19の深さよりも浅く形成されている。また、第3の凹部38の前端部は、第2の凹部19の後端部と同一直線上に位置されている。さらに、第3の凹部38の後端部は、レンズアレイ本体4の後端面4fの近傍に位置されている。
【0099】
このような構成によれば、前端面4eをゲートGT側の面とすることによって、レンズアレイ本体4の成形の際における溶融樹脂材料の合流位置をレンズ面11〜13の形成位置から外すことができる。更に、第3の凹部38の三次元形状によって、レンズアレイ本体4の成形の際に、両凹部18、19間に対応する流路内への後端面4f側からの溶融樹脂材料の流入を抑制することができる。これにより、光モニタ対応のレンズアレイ本体4を成形する際に、レンズ面11〜13上、両凹部18、19間の第1の光路近傍および両凹部18、19間の第2の光路近傍にウエルドが発生することを有効に抑制することができる。
【0100】
上記構成に加えて、更に、本実施形態においては、図1に示すように、第2の凹部19の後端部が、第1の凹部18の後端部よりも後方(図1における上方)に位置されている。これにより、第3の凹部38を第2の凹部19のみに連なるように凹入形成する場合に、第3の凹部38が第1の凹部18に連ならないようにするために第3の凹部38の形状を複雑化しなくても済む。具体的には、例えば、仮に、第2の凹部19の後端部を第1の凹部18の後端部と同一直線上に位置させる場合には、第3の凹部38の前端部における第1の凹部18の後端部の近傍の形状を、第1の凹部18との抵触を回避するために屈曲させる必要が生じるが、本実施形態においては、このような複雑な設計は不要となる。
【0101】
ここで、第3の凹部38を第2の凹部19のみに連なるように形成する理由としては、前述した第1の光路近傍および第2の光路近傍へのウエルドの発生の抑制以外にも、次のような理由がある。
【0102】
すなわち、第3の凹部38が第1の凹部18および第2の凹部19の双方に連なった場合には、両凹部18、19間に対応する流路内を後端面4f側に向かって進行する溶融樹脂材料が流路末端において堰き止められるような状態になるため、充填不足等の問題が生じる虞がある。したがって、両凹部18、19間に対応する流路を抜けた溶融樹脂材料が後端面4f側に向かって円滑に流動できるように、第3の凹部38と第1の凹部18との間には、溶融樹脂材料の流動を確保する所定の間隙を設ける必要がある。このような理由から、本実施形態においては、第3の凹部38を第1の凹部18には連ならないように形成している。
【0103】
(変形例)
次に、本実施形態の変形例を図4〜図6に示す。なお、図4は、本変形例のレンズアレイにおけるレンズアレイ本体4の平面図である。また、図5は、図4のA−A断面図である。さらに、図6は、図4のB−B断面図である。
【0104】
本変形例のレンズアレイの図1〜図3に示した構成との主たる相違点は、第3の凹部38が、第2の凹部19ではなく第1の凹部18の後端部に連なるように凹入形成されている点にある。具体的には、図4に示すように、第3の凹部38の前端部の図1における右半部が、第1の凹部18の後端部における左端部側の部位とひとつながりになっている。
【0105】
また、本変形例においては、第1の凹部18の後端部が、第2の凹部19の後端部よりも後方に位置されている。
【0106】
本変形例のレンズアレイにおいても、図1〜図3に示した構成と同様に、第3の凹部38の三次元形状により、レンズアレイ本体4の成形の際に、両凹部18、19間に対応する流路内への後端面4f側からの溶融樹脂材料の流入を抑制することができる。
また、第3の凹部38が第2の凹部19に連ならないようにするために第3の凹部38の形状を複雑化しなくても済む。
【0107】
本実施形態のレンズアレイにおけるレンズアレイ本体4は、例えば、図7に示すような射出成形金型40を用いて製造することができる。この金型40は、第1のレンズ面11および第3のレンズ面13等の転写面が形成された上型40a(可動型)と、凹部18、19、38、前端面4eおよび後端面4f等の転写面が形成された下型40b(固定型)と、第2のレンズ面12等の転写面が形成されたスライド型40cとによって構成されている。この金型は、溶融樹脂材料の流動解析によって第3の凹部38の最適形状を満足するように設計されたものである。
【実施例1】
【0108】
次に、図8および図9(図8のA−A断面図)は、本実施形態の実施例として、図4〜図6に示した本実施形態のレンズアレイ本体4を金型を用いて成形する場合における溶融樹脂材料の流動解析結果を示したものである。流動解析の条件は、図30および図31の場合と同様である。
【0109】
図8および図9に示すように、本実施形態によれば、図30および図31の場合に比べて、両凹部18、19間のウエルドが有効に低減されていることが分かる。これは、第1の凹部18−右端面4d間に対応する流路を通る溶融樹脂材料と、第2の凹部19−左端面4c間に対応する流路を通る溶融樹脂材料とが、後端面4fの転写面に到達した後に、第3の凹部38の三次元形状によって両凹部18、19間に対応する流路内に後端面4fの転写面側から回り込むようにして流入することを抑制されることによるものである。
【0110】
(第2実施形態)
次に、本発明に係るレンズアレイおよびその製造方法の第2実施形態について、図10〜図19を参照して説明する。
【0111】
なお、本実施形態におけるレンズアレイは、図26〜図29に示した双方向通信対応のレンズアレイ31と基本的構成が同様であるので、本実施形態に特有の構成以外の構成については、レンズアレイ31と同一の符号を用いて説明する。
【0112】
図10は、本実施形態のレンズアレイにおけるレンズアレイ本体4の平面図である。また、図11は、図10のA−A断面図である。さらに、図12は、図10のB−B断面図であり、この図12は、図26に示した縦断面図に対応するものである。なお、レンズアレイ本体4の左側面図は図28と同様であり、また、下面図は図29と同様である。
【0113】
本実施形態におけるレンズアレイは、図26〜図29に示したレンズアレイ31と同様の金型を用いた射出成形によって形成された双方向通信対応のレンズアレイとされており、レンズアレイ31と同様の構成を備えている。
【0114】
すなわち、図12に示すように、第1実施形態とは異なり、レンズアレイ本体4の左端面4c(レンズ形成面17a)には、複数の第4のレンズ面14が、第1のレンズ面11の整列方向(図12における紙面垂直方向)に沿って整列形成されている。また、本実施形態においては、第1実施形態とは異なり、第2の凹部19が、第2の全反射面34を有している。
【0115】
このような構成に加えて、更に、本実施形態においては、第1実施形態と同様に、レンズアレイ本体4における前端面4eが、金型におけるゲートGT側の面とされている。
【0116】
また、図10〜図12に示すように、レンズアレイ本体4における上端面4aには、第1実施形態の図1〜図3の構成と同様に、第2の凹部19の後端部に連なる第3の凹部38が凹入形成されている。
【0117】
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、前端面4eをゲートGT側の面とすることによって、レンズアレイ本体4の成形の際における溶融樹脂材料の合流位置をレンズ面11〜14の形成位置から外すことができる。また、第3の凹部38の三次元形状によって、レンズアレイ本体4の成形の際に、両凹部18、19間に対応する流路内への後端面4f側からの溶融樹脂材料の流入を抑制することができる。これにより、双方向通信対応のレンズアレイ本体4(レンズアレイ)を成形する際に、レンズ面11〜14上および両凹部18、19間の第1の光路近傍にウエルドが発生することを有効に抑制することができる。
【0118】
(変形例)
次に、本実施形態の変形例を図13〜図15に示す。なお、図13は、本変形例のレンズアレイにおけるレンズアレイ本体4の平面図である。また、図14は、図13のA−A断面図である。さらに、図15は、図13のB−B断面図である。
【0119】
本変形例のレンズアレイの図10〜図12に示した構成との主たる相違点は、第3の凹部38が、第2の凹部19ではなく第1の凹部18の後端部に連なるように凹入形成されている点にある。本変形例における第3の凹部38は、第1実施形態における変形例に示した構成と同様である。
【0120】
本変形例のレンズアレイにおいても、図10〜図12に示した構成と同様に、第3の凹部38の三次元形状により、レンズアレイ本体4の成形の際に、両凹部18、19間に対応する流路内への後端面4f側からの溶融樹脂材料の流入を抑制することができる。
【実施例2】
【0121】
次に、図16および図17(図16のA−A断面図)は、本実施形態の実施例として、図10〜図12に示した本実施形態のレンズアレイ本体4を金型を用いて成形する場合における溶融樹脂材料の流動解析結果を示したものである。流動解析の条件は、図30および図31の場合と同様である。
【0122】
図16および図17に示すように、本実施形態によれば、第3の凹部38を有しない同一基本構成の双方向通信対応のレンズアレイ本体4の場合(図32および図33の場合)に比べて、両凹部18、19間のウエルドが有効に低減されていることが分かる。
【実施例3】
【0123】
次に、図18および図19(図18のA−A断面図)は、本実施形態の実施例として、図13〜図15に示した本実施形態のレンズアレイ本体4を金型を用いて成形する場合における溶融樹脂材料の流動解析結果を示したものである。流動解析の条件は、図30および図31の場合と同様である。
【0124】
図18および図19に示すように、本実施形態によれば、第3の凹部38を有しない同一基本構成の双方向通信対応のレンズアレイ本体4の場合(図34および図35の場合)に比べて、両凹部18、19間のウエルドが有効に低減されていることが分かる。
【0125】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更することができる。
【符号の説明】
【0126】
4 レンズアレイ本体
4a 上端面
4b 下端面
4c 左端面
11 第1のレンズ面
12 第2のレンズ面
13 第3のレンズ面
18 第1の凹部
18a 全反射面
19 第2の凹部
38 第3の凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型を用いた樹脂成形によって形成されたレンズアレイであって、
レンズアレイ本体における第1の面に、所定の整列方向に整列するように形成された複数の第1のレンズ面と、
前記第1の面に前記整列方向に直交する方向において隣位する前記レンズアレイ本体における第2の面に、前記整列方向に沿って整列するように形成された複数の第2のレンズ面と、
前記第1の面における前記第1のレンズ面に対する前記第2の面側の近傍位置に形成された少なくとも1つの第3のレンズ面と、
前記第1の面に対向する前記レンズアレイ本体における第3の面に凹入形成され、前記第1のレンズ面および前記第2のレンズ面を通る第1の光路を形成するための全反射面を備えた第1の凹部と、
前記第3の面における前記第1の凹部に対する前記第2の面側の近傍位置に、前記第1の光路上に位置するように凹入形成され、前記第3のレンズ面を通る第2の光路を形成するための第2の凹部と
を備え、
前記第1の面および前記第2の面に前記整列方向における一方において隣位する前記レンズアレイ本体における第4の面が、前記金型におけるゲート側の面とされ、
前記第3の面に、前記レンズアレイ本体の成形の際に第1の凹部と前記第2の凹部との間の光路近傍にウエルドが形成されることを抑制するための第3の凹部が、前記第1の凹部の前記整列方向における他方の端部または前記第2の凹部の前記整列方向における他方の端部に連なるように凹入形成されていること
を特徴とするレンズアレイ。
【請求項2】
前記第3の凹部が、前記第1の凹部の前記他方の端部に連なるように形成され、前記第1の凹部の前記他方の端部が、前記第2の凹部の前記他方の端部よりも前記整列方向における他方に位置されていること
を特徴とする請求項1に記載のレンズアレイ。
【請求項3】
前記第3の凹部が、前記第2の凹部の前記他方の端部に連なるように形成され、前記第2の凹部の前記他方の端部が、前記第1の凹部の前記他方の端部よりも前記整列方向における他方に位置されていること
を特徴とする請求項1に記載のレンズアレイ。
【請求項4】
前記第2の凹部には、前記複数の第1のレンズ面に前記レンズアレイ本体の外部からそれぞれ入射した各光が前記全反射面によって全反射された後に入射し、
前記第2の凹部がなす空間内には、前記第2の凹部に入射した前記各光を、所定の反射率で反射させて前記第3のレンズ面側に進行させるとともに所定の透過率で透過させて前記第2のレンズ面側に進行させるように制御し、その際に、前記各光の少なくとも1つをこれをモニタするためのモニタ光として反射させる光制御部材が配置され、
前記第2の光路は、前記第3のレンズ面および前記第1のレンズ面を通る光路とされていること
を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
【請求項5】
前記光制御部材は、
前記第2の凹部がなす空間内に配置され、前記第2の凹部に入射した後に前記第2のレンズ面側に向かって進行する前記各光の光路を形成するプリズムと、
前記第2の凹部がなす空間内であって、前記プリズムに対して前記各光の進行方向における上流側の位置に配置され、前記第2の凹部に入射した前記各光を、前記所定の反射率で前記第3のレンズ面側に反射させるとともに前記所定の透過率で前記プリズム側に透過させ、その際に、前記各光の少なくとも1つを前記モニタ光として反射させる反射/透過層と
を備えたことを特徴とする請求項4に記載のレンズアレイ。
【請求項6】
前記第3のレンズ面は、前記整列方向に沿って整列するように複数形成され、
前記第2の面に、複数の第4のレンズ面が、前記整列方向に沿って整列するように形成され、
前記第2の凹部は、前記第2の光路としての前記第3のレンズ面および前記第4のレンズ面を通る光路を形成するための第2の全反射面を備えていること
を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のレンズアレイを製造するために、樹脂材料の流動解析によって前記第3の凹部の三次元形状を決定し、決定された三次元形状を有する前記第3の凹部を備えたレンズアレイを製造すること
を特徴とするレンズアレイの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2012−123250(P2012−123250A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274696(P2010−274696)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000208765)株式会社エンプラス (403)
【Fターム(参考)】