説明

レーザビームと対象機能部とのレンズを通した位置合わせを用いるレーザ加工システム

被加工物をマイクロマシニングするためのレーザ加工システムは、被加工物における機能部を加工するためのレーザパルスを生成するレーザ光源と、被加工物の表面に関して加工軌道に沿ってレーザビーム・スポット位置の第1の相対運動を付与する検流計により駆動される(galvo)サブシステムと、音響光学偏向器(AOD)サブシステムとを含む。AODサブシステムは、AODと電気光学偏向器との組合せを含んでもよい。AODサブシステムは、ディザ方向に沿った偏向位置の関数としてのレーザパルスの強度プロファイルを変化させてもよい。AODサブシステムは、加工レーザビームを被加工物機能部と位置合わせするために用いられてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、誘電体又は他の材料のレーザ加工に関する。
【背景技術】
【0002】
誘電体及び導電性材料のレーザ加工は、一般的に、電子部品における微細な機能部をアブレートするのに用いられる。例えば、チップ・パッケージング基板は、半導体ダイからボール−グリッド・アレイ又は同様のパッケージに信号をルーティングするためにレーザ加工される場合がある。レーザ加工された機能部は、信号トレース、接地トレース、及びマイクロバイア(パッケージ層の間で信号トレースを接続するために)を含む場合がある。最近の設計傾向は、チップパッケージにおける層の数を減らしながら信号インピーダンスを厳しく制御するために、信号トレースと接地トレースを単一の層上に組み込む。こうした手法は、小さい機能部寸法及び間隔(例えば、約10ミクロン(μm)〜約25μm)と、パッケージあたりの長いトレース長さ(例えば、約5メートル(m)〜約10m)とを要求する場合がある。チップパッケージを経済的に構築するために、こうした機能部がアブレートされる速度は、かなり高い(例えば、約1メートル/秒(m/s)から約10m/sまで)場合がある。或るパッケージは、顧客のスループット目標を達成するために、例えば約0.5秒(s)〜約5s以内で処理される場合がある。
【0003】
チップ・パッケージングの別の有用な特徴は、制御された深さ変動を伴う交差するトレースを提供することである場合がある。例えば、接地トレースは、パターンの全体にわたって幾つかの点で分岐する場合がある。各分岐交差部において、トレースは、約+/−10%未満の所望の深さ変動を伴ってアブレートされる場合がある。普通は、2つのトレンチが一点でアブレートされることになった場合、アブレートするビームの二重露光が約100%の深さ変動を生じることになる。
【0004】
チップ・パッケージングの別の有用な特徴は、インピーダンスの制御又は層間接続バイアのためのパッドの提供のために、パッケージの異なる部分における可変のトレース幅を提供することである場合がある。トレース幅の制御は、主トレースの高速加工に対して、減少された又は最小限の乱れ(disruption)を伴って提供されるべきである。
【0005】
機能部の特徴を変えるために、減少された又は最小限の時間を用いて、高速で、任意のサイズ及び形状の機能部を加工することもまた有用な場合がある。例えば、機能部は、種々の直径及び/又は側壁テーパをもつマイクロバイア、四角形又は長方形のパッド、位置合わせ基準、及び/又はアルファニューメリック表記を含んでもよい。伝統的に、マイクロバイアのような機能部を加工するために、光学系は、可変直径の形成された強度プロファイル(例えば、フラット−トップ・ビーム)、又は純粋にガウスビームを提供するように設計されている。これらの光学系は、レーザ加工スポット特徴を変えるときに顕著な時間遅延(例えば、約10ミリ秒(ms)〜約10秒)を有する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
他の問題は、上記に示した加工パラメータを達成するようにマシンを構築することと関連付けられる。例えば、トレースは、ルーティング要件のためにパッケージの全体にわたって方向を変える可能性がある。トレースを高速で加工するときに、軌道角の変動が、非常に短い時間スケールで高いビーム位置加速を要求する場合がある。レーザ加工は、例えば、高いスループットのために用いられる高い速度(例えば、約1m/s〜約10m/s)で走るときに、ビームポジショナの動的限界を容易に超えることがある。
【0007】
こうした加速度及び/又は速度は、このタイプの加工のために用いられる時間スケール(例えば、約1マイクロ秒(μs)〜約100μsのオーダーの)では応答することができない静的(又はゆっくり変化する)ビーム調節光学系と共に、反照検流計ビーム偏向器(mirror galvanometer beam deflector)(本明細書では「galvo」又は「galvoミラー」と呼ぶ)と組み合わせて直線ステージのようなビーム位置決め技術に頼った従来のレーザ加工機で達成するのが難しい場合がある。
【0008】
実際のアブレーション・プロセスはまた、考慮すべき因子となる場合もある。溶融、クラッキング、及び基板損傷のような熱による副作用を最小にしながら誘電体材料をアブレートするために、高いピークパワーをもつレーザパルスが用いられる場合がある。例えば、約5メガヘルツ(MHz)〜約100MHzの繰返し率で、約20ピコ秒(ps)と約50psとの間の範囲内のパルス幅をもつ超高速レーザは、パルス間隔の影響を回避するために顕著なパルスオーバーラップを提供しながら材料を高いピークパワーで加工することができる。ファイバレーザは、現在は一般的に、約500キロヘルツ(kHz)よりも高い繰返し率でナノ秒領域内のパルス幅を提供する。通常は、所与のプロセス条件(アブレーション深さ及び幅)に対して、加工される材料に適用される「線量」(パワー/速度)は、一定であるべきである。しかしながら、低速では、適用されたパワーが、ピークパルスパワーが熱的効果(例えば、溶融及び炭化)を誘起することなく材料をアブレートするのに不十分な場合があるほど低くなる場合がある。
【0009】
アブレーション効率を低下させることがある別の加工の影響は、加工ビームとアブレートされる材料のプルームとの相互作用である場合がある。プルームは、合焦されたビームを乱すのに十分なだけビームを歪め又は偏向し、或いはその偏向のために精度の問題を引き起こす可能性がある。
【0010】
ビームポジショナ設計は、galvoを用いて加工ビームを偏向させてもよい。被加工物における加工ビームの強度プロファイルは、ガウス(ガウスビームの単純な合焦に対して)であってもよく、又は固定された光ビームシェーパによって調節されたビームに対し形成された強度プロファイル(例えば、フラット−トップ・プロファイル)であってもよい。
【0011】
高速偏向を提供するために音響光学偏向器(acousto−optic deflector)(AOD)がgalvoと組み合わされているシステムは、例えば、米国特許第5,837,962号及び第7,133,187号で説明されている。しかしながら、これらの参照特許は、進歩したビームポジショナ設計において所望の性能を得ることを説明するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一実施形態において、被加工物をマイクロマシニングするためのレーザ加工システムは、被加工物の表面に機能部を加工するための一連のレーザパルスを生成するレーザ光源と、被加工物の表面に関して加工軌道に沿ってレーザビーム・スポット位置の第1の相対移動を付与する検流計により駆動される(galvo)サブシステムと、音響光学偏向器(AOD)サブシステムとを含む。AODサブシステムは、AODと電気光学偏向器との組合せを含んでもよい。
【0013】
一実施形態において、加工レーザビームを被加工物機能部と位置合わせするための方法が提供される。加工レーザビームは、被加工物機能部を加工するための所定の波長を備える。方法は、加工レーザビームを、スキャンレンズを通る伝搬路に沿って被加工物に伝搬することを含む。方法はまた、位置合わせ対象を備える被加工物の選択された領域を、スキャンレンズを通して、所定の波長の操作された加工レーザビームで照らすように、加工レーザビームを操作することを含む。選択された領域は、スキャンレンズを通して提供される加工レーザビームの参照レーザビーム・スポットよりも広い。方法は、スキャンレンズを通して戻る操作された加工レーザビームの反射の少なくとも一部を、被加工物の選択された領域を撮像するためのカメラに方向付けることをさらに含む。方法はまた、カメラによって取り込まれた選択された領域の画像に基づいて、位置合わせ対象に対する参照レーザビーム・スポットの位置を判定することも含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】或る実施形態に係る、用いられてもよいAODの作動を例示するブロック図である。
【図2】或る実施形態に係る、用いられてもよい種々のRF周波数におけるAOD回折効率曲線対RFパワーをグラフで表した図である。
【図3】一実施形態に係る所望の減衰を選択するのに用いられる例示的なAODパワー線形化曲線をグラフで表した図である。
【図4】或る実施形態に係る回折効率と偏向範囲との間のトレードオフを選択するために用いられてもよいAOD回折効率対RF周波数をグラフで表した図である。
【図5】一実施形態に係るレーザビームをディザリングするためのAODサブシステム及びgalvoサブシステムを含むシステムのブロック図である。
【図5A】一実施形態に係るビーム・シェイピングのためのシステムのブロック図である。
【図5B】一実施形態に係る傾斜した加工ビームを提供するシステムのブロック図である。
【図6】一実施形態に係るラスタ点のグリッドにわたるスポット振幅の組を判定するために最小2乗最適化ルーチンを用いる方法のフローチャートである。
【図7A】一実施形態に係る所望のフルエンス・プロファイルをグラフで表した図である。
【図7B】一実施形態に係る図7Aの所望のフルエンス・プロファイルに対応する最適化されたラスタ振幅をグラフで表した図である。
【図8】一実施形態に係る例示的なAOD galvo誤差補正フィルタと関連付けられた曲線をグラフで表した図である。
【図9】一実施形態に係るgalvoサブシステムにおける補助センサを含むレーザ加工システムのブロック図である。
【図10】或る実施形態に係るレーザ直接アブレーションのために加工された例示的なトレンチ・パターンの略図である。
【図11】一実施形態に係るAODとgalvoとの協調と関連付けられた曲線をグラフで表した図である。
【図12】一実施形態に係るAOD速度補償と関連付けられた曲線をグラフで表した図である。
【図13】一実施形態に係る並列加工及び領域接合を概略的に示す図である。
【図14】一実施形態に係る第3のプロファイリング・サブシステムを概略的に例示する図である。
【図15A】一実施形態に係る図14に示された第3のプロファイリング・サブシステムによって作成され且つ/又は用いられる信号を例示する図である。
【図15B】一実施形態に係る図14に示された第3のプロファイリング・サブシステムによって作成され且つ/又は用いられる信号を例示する図である。
【図15C】一実施形態に係る図14に示された第3のプロファイリング・サブシステムによって作成され且つ/又は用いられる信号を例示する図である。
【図15D】一実施形態に係る図14に示された第3のプロファイリング・サブシステムによって作成され且つ/又は用いられる信号を例示する図である。
【図15E】一実施形態に係る図14に示された第3のプロファイリング・サブシステムによって作成され且つ/又は用いられる信号を例示する図である。
【図16A】或る実施形態に係る例示的なAODコマンドシーケンスを例示する図である。
【図16B】或る実施形態に係る例示的なAODコマンドシーケンスを例示する図である。
【図16C】或る実施形態に係る例示的なAODコマンドシーケンスを例示する図である。
【図17A】或る実施形態に係る速度変調の例をグラフで例示する図である。
【図17B】或る実施形態に係る速度変調の例をグラフで例示する図である。
【図18】一実施形態に係る位置コマンド信号に関する位置決め誤差と、結果として得られたAOD位置プロファイルをグラフで例示する図である。
【図19】一実施形態に係るラスタ照明のためにAODサブシステムを用いるレンズを通した視認のためのシステムのブロック図である。
【図20】例示的な実施形態に係るAOD回折効率曲線をグラフで表した図である。
【図21】例示的な実施形態に係る付加的なAOD線形化曲線をグラフで表した図である。
【図22】一実施形態に係るAOD制御データフローを表すブロック図である。
【図23】一実施形態に係る交差における突き合わされるトレンチ手法をグラフで表した図である。
【図24】一実施形態に係る図23に示された突き合わされたトレンチ及び公称トレンチの断面プロファイルをグラフで表した図である。
【図25】一実施形態に係るガウスビームとの最適な交差部をグラフで表した図である。
【図26】一実施形態に係る図25に示されたガウスビームとの最適な交差部の断面プロファイルをグラフで表した図である。
【図27】一実施形態に係る交差前のディザリングされたトレンチをグラフで表した図である。
【図28】一実施形態に係る図27に示されたディザを備えた公称トレンチ及び突き合わされたトレンチの断面プロファイルをグラフで表した図である。
【図29】一実施形態に係るディザリングされたビームとの最適な交差部をグラフで表した図である。
【図30】一実施形態に係る図29に対応するディザリングされたビーム(最適な+感度)との交差部断面をグラフで表した図である。
【図31】一実施形態に係る改善された位置許容誤差(交差前)のための広い遷移縁部をグラフで表した図である。
【図32】一実施形態に係る図31に示された広い遷移トレンチ(交差前)を備えた公称トレンチ及び突き合わされたトレンチの断面プロファイルをグラフで表した図である。
【図33】一実施形態に係る広い遷移縁部との最適な交差部をグラフで表した図である。
【図34】一実施形態に係る図33に対応する広い遷移部(最適な+感度)を備えた交差部断面をグラフで表した図である。
【図35】一実施形態に係る切り欠きを備えた十字交差トレンチをグラフで表した図である。
【図36】一実施形態に係る図35に示されたノッチ付きトレンチの断面プロファイルをグラフで表した図である。
【図37】一実施形態に係る最適な十字交差をグラフで表した図である。
【図38】一実施形態に係る図37に対応する広い遷移部(最適な+感度)を備えた交差部断面をグラフで表した図である。
【図39】一実施形態に係る十字トレンチを備えるように加工された「T」字交差部をグラフで表した図である。
【図40】一実施形態に係る交差部における線量及び形状の制御の動的挙動をグラフで表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で開示された実施形態は、経済的且つ実行可能な融通性のある高速ビーム位置決め及び調節を提供する。本開示は、直線位置決めステージ及び/又はgalvoと組み合わせてAODを使用することについて説明する。
【0016】
本明細書で開示される例示的な実施形態はAODに関するが、電気光学偏向器(electro−optic deflector)(EOD)を用いてもよい。或る実施形態において、例えば、EODは、幾つか又はすべてのAODポインティング(偏向)機能に対する適切な置換えである。EOD(たわみ角に対して設定されるとき)は、一般的にはパワーを変調しない。したがって、或る実施形態において、1つ又は複数のAODがパワー変調のために用いられ、1つ又は複数のEODがポインティングのために用いられる。変調を行う音響光学デバイスは、本明細書では音響光学変調器(AOM)と呼ばれる場合がある。高速ステアリングミラー(fast−steering mirror)(FSM)のような他の機械式ビームステアリング技術を、機能性を損うことなくgalvoビーム位置決めサブシステムと置き換えてもよい。
【0017】
以下で詳細に説明される或る実施形態に係るレーザ加工システムは、AODとgalvo位置決めとの両方を提供する。AODとgalvoビーム位置決めとを含むシステムは、パワー線形化曲線を所望の作動条件に合わせることによって、AODからのより広い偏向範囲対高い回折効率をトレードオフする能力を提供してもよい。
【0018】
或る実施形態は、被加工物のカスタマイズされた加工のための選択された強度プロファイルを作成するために、AOD偏向コマンドを迅速に更新することによって加工ビームをディザリングすることを提供する。ディザリングは、加工ビームの有効な寸法(例えば、その幅又は断面形状)を変えるために、又はバイア形成のような用途のためのカスタマイズされたスポット強度プロファイル(任意の形状のシルクハット強度プロファイル)を生み出すために用いることができる。ディザリングは、例えば、交差の部分の露出過度に起因する望ましくない深さ変動を回避しながら被加工物上に交差するアブレートされた機能部を生み出すために用いられてもよい。本明細書で開示された交差部加工機能は、連続加工(止まることなく、主要機能部を加工しながらビーム強度プロファイルを形成する)、又はそうでなければ進行中に加工するのが不可能であるか又は難しい場合がある、任意にシェイプされた交差部を作生み出す能力を提供するラスタ手法を用いるカスタム加工のいずれかを可能にする。
【0019】
AODとgalvo位置決めとを備えたシステムはまた、所望の交差部を適正に形成するためにラスタパターン(加工ビーム点の場所及び強度)を最適化することも提供してもよい。或る実施形態はまた、望ましくないノイズを同時にフィルタリングしながら、選択された周波数範囲にわたるビーム位置に対するgalvo誤差からの位相及び利得応答を整合するためにgalvo誤差信号を適正にフィルタリングすることによってgalvo位置決め誤差を補正することを提供する。ディザリングへの代替的手法において、或る実施形態は、AOD音波波形を「チャーピング」してパルス−パルス・ベースでビームをデフォーカスすることによって加工ビームスポットサイズを変えることを提供する。
【0020】
加えて、又は他の実施形態において、個別のプロファイリング・コマンドを通じて又は主ビーム軌道コマンドのフィルタリングを通じてのいずれかで、AODが高帯域軌道成分に対して加工ビームを偏向することを可能にし、且つgalvoが低帯域成分に対してビームを偏向することを可能にするために、galvoビームポジショナの作動が、AOD位置決めの作動と協調される。高速ビーム軌道は、最高速度でより大きい局所的な機能部を加工できるようにするgalvo速度を変えない一方で、AODが小さい局所的な領域におけるビーム速度を減少させることを可能にすることによって、使用可能にされてもよい。同様に、機能部加工の間に一定の線量を維持するための加工ビームパワーの変調は(ビーム速度から独立して)、galvoが或る区域において最高速度で走ること、及び軌道のより良好な追跡のために他の区域でより低い速度に迅速に減速することを可能にする。
【0021】
或る実施形態において、複数の被加工物機能部が、ビームポジショナ速度を低下させ且つ並列加工を通してより高いスループットを可能にするために、並列的に加工されてもよい(機能部の間でディザリングするためにAODを用いる)。AODによって提供される交差部加工機能は、並列に加工された被加工物機能部の部分を並列に加工されない隣接している区域に接合するために用いられてもよい。
【0022】
AODはまた、選択された被加工物機能部の速度ベクトルに沿ってビーム位置をディザリングするためにAODを用いることによって、光学縦列において付加的なコスト又は複雑さがほとんど無しでビームジッタを安定化させ、且つ/又は被加工物の加工の間のプルーム形成の望ましくない影響を回避するために用いられてもよい。AODはまた、(追加コスト又は複雑さがほとんど無しで)加工ビームを被加工物機能部と非常に高い精度で位置合わせする能力を提供する、被加工物のレンズを通した視認及び被加工物に対する位置合わせのためのフィールド照射と参照加工ビームスポットを同時に提供するためにも、また、加工ビームのための焦点調整を最適化するためにも用いられてもよい。AODはまた、加工ビームのデューティサイクルを熱影響域の影響が最小限になるように合わせる能力を提供してもよい。
【0023】
同様の参照番号が同様の構成要素を指す図面への参照をここで行う。明確にするために、参照番号の最初の桁は、対応する素子が最初に用いられる図番を示す。以下の説明では、多くの特定の詳細は、本明細書で開示された実施形態の十分な理解のために提供される。しかしながら、実施形態は、1つ又は複数の特定の詳細を含まずに、又は他の方法、構成要素、若しくは材料を用いて実施することができることを当業者は認識するであろう。さらに、幾つかの事例において、周知の構造体、材料、又は作動は、発明の態様を不明瞭にすることを避けるために詳細に図示又は説明されない。そのうえ、説明された機能部、構造体、又は特徴は、任意の適切な様式で1つ又は複数の実施形態において組み合わされてもよい。
【0024】
実施形態は、汎用又は特殊用途のコンピュータ(又は他の電子装置)によって実行されるべきマシンで実行可能な命令において具体化されてもよい、種々のステップを含んでもよい。代替的に、ステップは、ステップを行うための特定の論理を含むハードウェア・コンポーネントによって又はハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアの組合せによって行われてもよい。
【0025】
実施形態はまた、本明細書で説明されたプロセスを行うためにコンピュータ(又は他の電子装置)をプログラムするのに用いられてもよい命令がそこに格納された、非一時的な機械可読媒体を含むコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。機械可読媒体は、電子命令を格納するのに適したハードドライブ、フロッピー(登録商標)・ディスケット、光ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、ROM、RAM、EPROM、EEPROM、磁気又は光カード、ソリッドステート・メモリ・デバイス、又は他のタイプの媒体/コンピュータ可読媒体を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0026】
I.AODの概説
図1は、或る実施形態に係る、用いられてもよいAOD100の作動を例示する。AOD100は、結晶体112に結合された圧電変換器110を含む。AOD100は、結晶体112の中にRF周波数の音波114(例えば、約50MHzと約1500MHzとの間の周波数範囲内の)を生じさせるために圧電変換器110を駆動するように構成された、無線周波数(RF)駆動部113をさらに含む。入射レーザビーム115は、結晶体112内に生じた音波114によって回折され、入力ビームパワーの一部は偏向され(「一次」ビーム116)、入力ビームパワーの残りは偏向されない(「ゼロ次」ビーム118)。幾つかの実施形態において、一次ビーム116は加工のために用いられ、ゼロ次ビームはビーム・ダンプ122に送られる。一次偏向角120は、適用されたRF周波数に比例する。
【0027】
一実施形態において、音波カラムに対する入射ビーム角は、ブラッグ角に設定される。入射ビーム角をブラッグ角に設定すると、一次ビームパワーと入力ビームパワーとの比である回折効率を増加させ又は最大にする。一次ビーム116へ偏向された相対的なパワーは、低いRFパワーレベルでRF駆動部113によって印加されたRFパワーとほぼ比例する場合がある。しかしながら、一次ビーム116へ偏向された相対的なパワーは、高いレベル(例えば図2に示すように)で飽和する場合がある。実際の作動では、少量のパワーもまた、より高次のビーム(図示せず)へ散乱され又は偏向される場合がある。
【0028】
AODの回折効率は、選択されたRF周波数及び振幅において、良好な(高品質のガウス)入力ビームを有する適正に設計されたデバイスに対して、約95%以上までの範囲とすることができる。RF周波数が変化するのに伴って、偏向されたビーム角が変化し、回折効率がその最大値よりも下に低下する。AODは、被加工物(図示せず)で合焦されたスポットの約3〜5倍の直径に等しい偏向範囲にわたって約90%よりも高い効率を維持することができる。特別に設計されたAODは、音響ビーム角をRF周波数の関数として操縦する技術を通じて、より一層高い回折効率を達成することができる。
【0029】
二次元(2−D)偏向サブシステムを生み出すために2つのAODを組み合わせることができる。galvoの前に位置付けられたとき、後述するように、2つのAODは、galvoによって生じた公称ビーム位置の周りに小さいビーム偏向を付与する。こうした配置は、例えば、米国特許第5,837,962号で説明される。被加工物を加工するためにこうした配置を用いるとき、或る実施形態は、AOD偏向の関数としての回折効率の変動があるにもかかわらず、AOD偏向の間に一定のビームパワーを維持する。AOD偏向の間に一定のビームパワーを維持することは、RFパワー振幅をRF周波数の関数として更新すること(例えば変調すること)によって高速で(例えば、AODに対して用いられる約0.1μsから約10μsまでの更新速度で)達成することができる。RFパワー変調は、最も低い回折効率と整合する又は近似するようにAOD偏向範囲の中央部における回折効率を低下させる効果を有する。一方、最も低い回折効率と整合することは、偏向サブシステムの効率を低下させ、これは、AODがAOD偏向範囲にわたって実質的に一定の(又は予測可能な)パワーを用いる用途に用いられることを可能にする。
【0030】
上記で解説されたように、EODは、たわみ角用途のためにAODへの代替として(又はAODと併せて)用いられる場合がある。EOD偏向器は、限られた範囲(例えば、被加工物における少数のスポット直径に等しい)、非常に高い帯域幅(例えば、マイクロ秒の応答時間)、及び高い伝達効率をもつ、AODと同様の機能を有する。しかしながら、EODデバイスを実装するのに用いられる結晶体は、熱レンズ作用及び/又はビーム・ポインティングのドリフトに伴う問題につながる場合がある、比較的高い光パワー吸収(例えば、数パーセント)又は顕著な電力消費に悩まされる場合がある。さらに、幾つかの実施形態(例えば、低い光パワー及び/又は高い伝送波長を用いる)に対して、AODを用いる以下で説明される技術は、EODで達成されてもよい。
【0031】
II.パワー線形化
AODをレーザ加工用途に適正に用いるために、或る実施形態によれば、回折効率曲線は、RFパワーと周波数との関数として線形化される。予測可能な作動では、結果として一次ビームパワーの線形減衰をもたらす、正規化されたAODパワー減衰コマンド(0から1までの範囲)が用いられてもよい。図2は、或る実施形態に係る、用いられてもよい種々のRF周波数におけるAOD回折効率曲線対RFパワーをグラフ図で表す。図2に示すように、AOD回折効率曲線は、一般に非線形である。回折効率曲線の非線形の性質のために、回折効率対RFパワーは、或る実施形態によってマッピングされてもよく、結果としてコマンドされた減衰をもたらすRFパワーを提供する線形化関数(例えば、多項式、参照テーブル、又は同様のアルゴリズム)が生成されてもよい。
【0032】
図3は、一実施形態に係る所望の減衰を選択するのに用いられる例示的なAODパワー線形化曲線をグラフで示す。図3で例示された例示的な線形化関数は、参照テーブル形式で表されてもよい。図3に示された線形化関数は、指定されたRF周波数に対して有効であり、異なるRF周波数に対して僅かな変動を伴う。妥当なRF周波数(したがって偏向)範囲にわたる線形作動を可能にするために、或る実施形態は複数の線形化テーブルを用いる。線形化テーブルの数は、パワー正規化がそれにより維持される、AODに適用される周波数範囲と精度に依存する。或る実施形態において、線形化テーブルは、約1%の許容誤差内で線形パワー調整(linear power regulation)することができる。
【0033】
2−DのAOD構成において、1つのみのAODが、パワー線形化のためのRFパワーを制御するのに必要な場合がある。第1のAODのRFパワーの変調は、第2のAODの回折効率を線形化するのに用いられる制御を提供することができる。或るこうした実施形態において、第2のAODは、その飽和点付近で作動し、そこでのRF周波数の変化は、回折効率に対して最も小さい影響を有し、偏向の関数としての回折効率の変動を最小にし又は低下させる。或る実施形態のために望まれる場合、2つのAODのいずれかを、パワー線形化のために用いることができる。或る実施形態において、パワーの大まかな制御のために第1のAODを用い、パワーの微調整のために第2のAODを用いて、量子化されたRFパワーコマンドによって導入された線形化誤差を最小にする又は減少させるようにしてもよい。
【0034】
最適なRF周波数設定における回折効率曲線のピーキングに起因して、他の周波数での作動は、AODがより低い光学的効率で走ることを要求する可能性がある。AODが所与の偏向範囲にわたって一定の光学的出力パワーで作動されるべき場合、要求される出力パワーは、或る実施形態において、全偏向範囲にわたって最小の達成可能な出力パワーよりも低いままであるように構成される場合がある。この制約は、レーザ加工システムの設計において認識される場合があり、AODの作動上の偏向範囲の選択を誘導する場合がある。非常に高い光学的効率を要求する加工については、AODは、小さい偏向範囲(例えば、スポット直径の約5倍よりも小さい)内で作動することができる。より広い偏向範囲(例えば、スポット直径の数百倍まで)を要求する加工については、最大効率は、ユーザが効率(例えば光パワー)対偏向範囲をトレードオフすることを可能にするために低下することができる。例えば、図4は、或る実施形態に係る回折効率と偏向範囲との間のトレードオフを選択するために用いられてもよいAOD回折効率対RF周波数をグラフで表す。図4は、回折効率応答対RF周波数シフトと、例示的なRF周波数(偏向振幅)作動範囲412に対する最小回折効率の変化を示す。小さい範囲にわたる高い効率は矢印414で示され、より広い範囲にわたるより低い効率は矢印416で示される。
【0035】
III.ディザリング
図5は、一実施形態に係るレーザビームをディザリングするためのAODサブシステム506及びgalvoサブシステム508を含むシステム500のブロック図である。システム500は、AODサブシステム506に加工ビーム512を提供するためのレーザ光源510を含む。一実施形態において、レーザ光源510は、加工ビーム512が一連のレーザパルスを備えるようにパルスレーザ光源を含む。別の実施形態において、レーザ光源510は、加工ビーム512がCWレーザビームを備えるように持続波(continuous wave)(CW)レーザ光源を含む。或るこうした実施形態において、AODサブシステム506は、離散した(「パルス」)間隔で加工ビーム512を偏向することによって、CWレーザビームからレーザパルスを生成する。
【0036】
上記で解説したように、AODサブシステム506は、加工ビーム512の一次ビーム513をAOD偏向角514で偏向し、且つ加工ビーム512のゼロ次ビーム515をビーム・ダンプ516に偏向する。システム500は、一次ビーム513をgalvoサブシステム508に偏向するための固定されたミラー518と、被加工物524上に又は被加工物524内にレーザビーム・スポット522を合焦するためのスキャンレンズ520とをさらに含んでもよい。スキャンレンズ520の出力は、本明細書では合焦されたレーザビーム525と呼ばれる場合がある。
【0037】
一実施形態において、AODサブシステム506は、第1の方向(例えばディザ方向)で偏向を前後に提供するのに用いられる単一のAODを含んでもよく、一方、galvoサブシステム508は、加工軌道526に沿って第2の方向に偏向を提供する。しかしながら、増加した速度と使途の広さのために、図5で例示された実施形態のAODサブシステム506は、被加工物524の表面に関するX−軸及びY−軸に沿った2−D偏向を提供する。この例において、Y−軸は、加工軌道526と平行であると言及されてもよく、X−軸は、加工軌道526と垂直であると言及されてもよい。したがって、X−軸は、ディザリング方向と呼ばれる場合がある。加工軌道526は、例えば、システム500が(例えば、galvoサブシステム508の制御の下で)被加工物524の表面にトレンチ528を線彫りする(scribe)又は切削する方向に対応していてもよい。
【0038】
例示された2−D偏向を提供するために、AODサブシステム506は、galvoサブシステム508がビーム軸を加工軌道526に沿って動かす際に、一次ビーム513を第1の方向に偏向する第1のAOD530と、一次ビーム513を第2の方向に偏向する第2のAOD532とを含む。言い換えれば、AODサブシステム506によって提供されるビームスポット位置の移動は、galvoサブシステム508によって提供されるビームスポット位置の移動の上に重ね合わされる。図5に示すように、galvoサブシステム508はまた、一次ビーム513を被加工物524の表面に関してX−軸方向とY−軸方向との両方に偏向するために、第1のgalvoミラー533と第2のgalvoミラー535も含んでもよい。
【0039】
AOD偏向の配向は、galvoサブシステム508の偏向軸と位置合わせされなくてもよい。一般に、AOD偏向コマンドに座標変換を適用し、結果として得られたAOD偏向を所望の座標系と位置合わせするようにしてもよい。この座標変換もまた、AODビーム偏向をgalvoサブシステム508によって画定された加工軌道と垂直に保つためにAOD偏向座標系を回転する速度の関数であってもよい。
【0040】
システム500に含まれたAODサブシステム506により、幾つかの作動モードが有効化される。一実施形態において、作動モードは、被加工物524におけるレーザビーム・スポット522を効果的に広げるために加工ビーム512をディザリングする能力を含む。言い換えれば、加工ビーム512のディザリングは、スキャンレンズ520によって合焦された個々のレーザビーム・スポット522の寸法よりも大きい寸法を有する幾何学的機能部を生み出すために、一連の合焦されたレーザビーム・スポット534を空間的に位置付けることを含む。説明のため、図5は、トレンチ528が加工軌道526の方向に加工される際に被加工物524の表面の上から見た場合のディザリングされたレーザビーム・スポット534を示す。したがって、例えば、所与の繰返し率における一連のディザリングされたレーザビーム・スポット534は、より低いパルス繰返し率における加工軌道526の方向に連続的に適用された一連のより大直径のレーザビーム・スポットの効果を有する。
【0041】
或る実施形態において、AOD530、532は、約0.1μs〜約10μsのオーダーでそれらのそれぞれの音場(光開口部を新しい音波波形で満たす)を更新することができる。約1μsの公称更新速度を仮定すると、加工ビームの位置は、ディザリングされたレーザビーム・スポット534のうちの幾つかが加工の間に重なるように迅速に更新することができる。ディザリングされたレーザビーム・スポット534は、加工されている機能部(例えばトレンチ528)を広げるために加工軌道526と垂直な(例えば、X−軸又はディザ方向に沿った)寸法において重なってもよい。図5に示すように、ディザリングされたレーザビーム・スポット534はまた、加工軌道526の方向に重なってもよい。ディザリングされたビームを加工軌道526の法線方向に配向された状態に保つために、或る実施形態によれば、ディザ軸は、加工軌道526の角度が変わるのに伴って絶えず調整されてもよい。加えて、ディザ軸は、加工軌道の速度の関数としてディザ点の線上に付与された角度を補償するために調整されてもよい。軌道の速度V、ディザ更新周期Td、ディザ点の数Npts、及びディザ・エクスカーションDdを考えると、この角度は、atan[Td(Npts−1)V/Dd]に等しい。
【0042】
被加工物524の表面に関してビーム位置をディザリングすることに加えて、又は他の実施形態において、AODサブシステム506を用いて、ディザ軸における強度プロファイルを変化させてもよい。ディザ軸に沿った加工ビーム512の強度プロファイルの操作は、加工されたトレンチ528の断面のシェイピングを可能にする。例えば、トレンチ528は、長方形、U字、又はV字形状にされた断面をもつように加工されてもよい。側壁の傾きのような機能部のシェイピングは、交差部形成のような状況において有用な場合がある。シェイピング分解能は、基本スポットサイズに基づく場合があり、シェイプされた強度プロファイルは、ディザパターン(場所及び強度)とスポット強度プロファイル(例えば、ガウス又は別のプロファイル形状)との重畳となる場合がある。機能部は、例えば、選択された量の対象材料を除去するためにディザ軸に沿って或る場所でパルスが重なることによって(例えば、2つ又はそれ以上のパルスが同じ場所で適用される場合がある)、及び/又はレーザパルスのパワー振幅をディザ軸に沿った偏向位置の関数として変調することによって形成するようにしてもよい。
【0043】
ディザ軸に沿った機能部の形成に加えて、又は他の実施形態において、AODサブシステム506を用いて、加工軌道526に沿った位置の関数としてパワーを制御し、加工された直線機能部の「終点」の同様のシェイピングを可能にしてもよい。加工軌道526に沿った位置の関数としてのパワーの制御はまた、交差の形成のような用途において有用な場合がある。AODサブシステム506の使用は、強度プロファイルの微調整(例えば、約5μmと約50μmとの間の範囲内の機能部寸法をもつ)が高い加工速度(例えば、約1m/sと約5m/sとの間の範囲内)で可能であってもよいように、パワー変調が超高速(例えば、マイクロ秒のオーダー)で起こることを可能にする。
【0044】
ガウスビームの偏向に加えて、或る実施形態はまた、例えば、回折光学素子(diffractive optical element)(DOE)を含む従来のビーム・シェイピング技術によってシェイプされたビームを偏向する場合がある。例えば、図5Aは、一実施形態に係るビーム・シェイピングのためのシステム540のブロック図である。システム540は、図5に示されたAODサブシステム506(第1のAOD530と第2のAOD532とを備える)、ゼロ次ビーム・ダンプ516、及びミラー518を含む。システム540は、ビームのシェイピングのための回折光学素子(DOE)542と、光学素子544(例えば、結像光学系、galvoミラー、及びスキャンレンズ)とをさらに含む。説明のため、図5Aの一次ビーム513は、AOD偏向角514の範囲にわたって示される。図5Aで例示された実施形態において、AODサブシステム506によって付与されるAOD偏向角514に関係なく一次ビーム513をDOEの開口部に集中している状態に保つために、AODサブシステム506によって偏向された一次ビーム513は、リレーレンズ546(ビームのピボット点をDOE542上に結像する)を通してDOE542にリレーされる。次いで、DOE542は、(こうしたビーム・シェイピングDOEでは典型的なように)付加的な波面位相歪みを付与することによってビーム強度をシェイプしてもよい。この手法は、例えば四角形の強度プロファイルを伴う、より一様なディザリングされたフルエンス・プロファイルを形成するために、より広いシェイプされたビームが偏向され且つ当接される場合がある状況において、有益な場合がある。この手法はまた、所望の機能部(例えば、誘電体材料に穴あけされたマイクロバイア)を形成するのに少数のレーザパルスが適する状況において有益な場合がある。この場合、ガウスパルスのラスタされた適用は、シェイプされた強度プロファイルを適用することに対してあまり効率的でない場合があり、シェイプされた強度加工スポット位置の高速制御のためにより一層高速のAOD偏向が望ましい場合がある。
【0045】
他の実施形態において、スキャンレンズでのAODにより偏向されたビームの偏向を合わせるために同様のリレーレンズ構成が用いられてもよい。これは、少なくとも2つの理由のために望ましい場合がある。第1に、ビームのピボット点をgalvo走査ミラーにリレーし(ビーム横偏向をなくす)、(a)ビームのクリッピングを回避するようにビームをgalvoミラー及びスキャンレンズの透明な開口部の中心に集中した状態に保ち、及び(b)ビームがスキャンレンズの入射瞳孔の中心から変位すると傾けられたビームを被削面にもたらす可能性があるので、このような変位を回避することが望ましい場合がある。第2に、被削面におけるビームの傾きを意図的にもたらすために、スキャンレンズにおける横ビーム偏向を付与することが望ましい場合がある。傾けられたビームは、或るガウスレーザ穴あけ用途において加工された機能部(例えば、マイクロバイア穴あけ)のより急勾配の側壁を作製するのに有利な場合がある。
【0046】
図5Bは、一実施形態に係る傾斜した加工ビーム552を提供するシステム550のブロック図である。システム550は、図5に示されたAODサブシステム506(第1のAOD530と第2のAOD532とを備える)と、ゼロ次ビーム・ダンプ516と、ミラー518とを含む。システム550は、リレーレンズ546と、光学素子544(例えば、結像光学系、galvoミラー、及びスキャンレンズ)とをさらに含む。説明のため、図5Bにおける一次ビーム513は、AOD偏向角514の範囲にわたって示される。図5Bに示すように、リレーレンズ546を適正に設計し且つスキャンレンズから(例えば、図5に示されたスキャンレンズ520から)リレーレンズ546の間隔554を適正におくことによって、AODサブシステム506によって偏向された一次ビーム513はまた、傾斜したビーム552を被加工物524の表面にもたらすために横方向に偏向することができる。被加工物524における加工スポットの所与の偏向に対するビーム傾き量は、(a)被加工物524における横スポット偏向を実質的に生み出すためにAOD530、532を用いること、及びリレーレンズ546光学系と、スキャンレンズ(例えば、スキャンレンズ520)との間隔554とを変化させること、又は(b)スキャンレンズにおける任意の横ビーム偏向(したがって被加工物524における任意のビーム傾き)が被加工物524における所望の横スポット偏向から独立して付与されてもよいように、galvo(例えば、図5に示されたgalvo533、535)とAOD530、532とを協調させること、のいずれかによって制御されてもよい。
【0047】
形成(シェイピング)技術のさらなる詳細は、以下の「例示的なAOD制御の実施形態」と題するセクションで開示される。
【0048】
ビーム・ディザリングは、所望のフルエンス・プロファイルを生じるために非常に有効且つ融通性のある場合があるが、ディザリングへの代替的な(しかし時々より制限的な)手法は、AOD530、532のうちの少なくとも一方にチャープ波形を適用することによってレーザビーム・スポット522の焦点を変化させることを含む。チャープ波形により、音波の瞬間周波数は、AODの結晶体を通過する光加工ビーム512内で直線的に変化する。音波の瞬間周波数の直線的な変化は、離散したステップでレーザビーム・スポット522を変位することではなく、加工ビーム512に単軸(非点収差の)合焦項を適用することの影響を有する。AOD530、532の双方にチャープ波形を適用することによって、或る実施形態によれば、レーザビーム・スポット522は、対称的にデフォーカスすることができ、したがって被加工物524におけるスポットサイズを増加させる。この手法は、例えば、パルス繰返し周波数が、トレンチ528を広げるときの強度変化を回避するように被加工物524におけるパルスの良好な重なりを提供するのに十分なだけ高くない場合がある、より低い繰返し率のレーザの事例において有用な場合がある。
【0049】
IV.ラスタリング
AODサブシステム506と共に用いられてもよい別の作動モードは、AOD530、532で二次元パターンを非常に迅速にラスタリングすることを含む。ラスタリングの1つの使用は、被加工物524において、加工ビーム512の強度プロファイルを空間的に形成し、マイクロバイアのような所望の機能部を生成することを含む。AOD530、532は、スポット位置と強度ウェイティングとの両方を制御し、これは、任意の所望の強度プロファイルの作製を可能にする。加えて、銅の穴あけなどのような、高い強度を用いる加工作動のために各場所におけるレーザビーム・スポット522の滞留時間を変化させることが有益な場合がある。
【0050】
ラスタリングを用いることは、従来の「シェイプされた光学系」手法を上回る幾つかの恩恵を提供する。幾つかの恩恵としては、加工スポット直径(AOD範囲内)又は形状(例えば、円形、四角形、長方形、楕円形、又は他の形状)の任意の選択、シェイピング光学系及び/又はガウス若しくは形成されたモード変更光学系の除去に起因するコスト削減、galvoビーム位置決めに起因する動的制約なしに非常に高い速度で高強度ガウスビーム(例えば、螺旋パターン、トレパンパターン、又は他のパターンを用いる)により機能部を加工する能力、ラスタパターンを適宜修正することによるビーム歪み(例えば、楕円形のスポット)に対する補償、及び/又は、テーパ及び/又は底部(bottom)品質のような特徴を最適化する又は改善するために進行中に空間強度分布を合わせること、が挙げられるがこれに限定されない。
【0051】
ラスタパターン(スポット位置及び振幅)を設計するために幾つかの選択肢が利用可能である。一実施形態は、領域をスポット位置のアレイで満たすことを含む。この実施形態は、しかしながら、領域にわたる最終的な累積フルエンス・プロファイルに対してほとんど制御を提供しない場合がある。例えば、ラスタされた領域の縁部におけるフルエンス・プロファイルの定義は、バイア形成又は交差部加工のための所望の「傾き」(例えば、フルエンス対位置の変化)を有しない場合がある。
【0052】
別の実施形態において、フルエンス・プロファイルは明示的に画定され、ラスタパターンは、画定されたプロファイルに最も良く適合するように選択される。これは、例えば、ラスタ領域の全体にわたって深さを変化させるために変化するフルエンスレベルをもつ、又はラスタ領域の縁部において特定的にシェイプされた側壁をもつ、カスタマイズされたフルエンス分布を生み出すことの利点を有する。この実施形態は、例えば、交差するトレースのフルエンスを組み合わせるとき、及び/又はカスタマイズされた側壁テーパをもつバイアを穴あけするときに有用な場合がある。
【0053】
図6は、一実施形態に係るラスタ点のグリッドにわたるスポット振幅の組を判定するために最小2乗最適化ルーチンを用いる方法600のフローチャートである。図6に示すように、方法600は、候補ラスタ・グリッドを設定すること610を含む。方法600は、ラスタ・グリッドにおける各スポットに対して、それぞれの「影響関数」を生成するためにラスタ・フィールドにわたるフルエンス・プロファイルを計算すること612を含む。方法600は、影響関数を影響関数行列にコンパイルすること614、(例えば、特異値分解(singular value decomposition)(SVD)アルゴリズムを用いて)影響関数行列の擬似逆行列を計算すること616、及び影響関数行列の擬似逆行列を用いてそれぞれの格子点におけるスポット振幅を計算すること618をさらに含む。方法600は、それぞれのラスタ点における計算されたスポット振幅に従って被加工物にレーザビーム・スポットを適用すること620をさらに含んでもよい。
【0054】
図6に示された方法を説明する例示的な式が以下で概説される。例示的な式は、Nr個の点を含むXY座標[xr、yr]において画定されたラスタパターンを仮定する。ラスタ振幅(Zr)の組を適用することは、Ne個の点を含むXY座標[xe、ye]の組において評価される場合がある所望のフルエンス表面(Zs)をもたらす。影響行列Hは、次式によって定義される。
Ze=HZr、は(Ne×Nr)
【0055】
影響行列Hを作製する演算は、各[xe、ye]点にわたって評価された、1つの[xr、yr]点に位置付けられた単一の加工スポットのフルエンスを計算することを含む。Zr及びZe行列が各評価に対して「ベクトル化される」場合、Zrは(Nr×1)であり、Zeは(Ne×1)である。手順は、Nr個の評価のすべてに対して、各[xr、yr]ラスタ点に対して繰返されてもよい。すべての結果(Zr及びZe)を行列に付加することは、サイズ(Nr×Nr)のZr対角行列と、サイズ(Ne×Nr)のZe行列とを生じる。各スポットの適用された振幅によって結果を正規化することは、結果としてZrに対する単位行列をもたらす。ここで、影響行列Hは(正規化された)Ze行列である。
【0056】
影響行列Hを考えると、所望の表面フルエンスzDesをもたらすために用いられる所望のアクチュエータ・コマンド・ベクトルZrは、次式によって与えられてもよい。
Zs=HinvZr
【0057】
Hinvは、SVD分解を通じて計算することができ、Hinvにおけるモードの数は過度のノイズ効果を回避するために制限される。H(及びHinv)の識別はおおよそであってもよいので、Zrの計算は、閉ループモードで行うことができ、同調利得が適用され、
Zr(k+1)=Zr(k)−kαaHinv(zDes−Zs)
ここで、Zsは、モデル又は測定されたシステムデータからの各繰返しにおいて計算される。
【0058】
図6の方法600と上記で説明された式の例はかなり直接的かもしれないが、方法600は、ラスタ・グリッドの選択及び擬似逆行列を計算する方法に対して敏感なことがある。しかしながら、方法600は、基本レーザビーム加工スポットの空間特徴の制限内の所望のフルエンス・プロファイルへの容認できる概算を提供することができ、この制限は、ラスタパターンのあらゆる縁部における分解能に対する基本制限を課す可能性がある。図7Aは、所望のフルエンス・プロファイルをグラフで表し、図7Bは、図6の方法600及び上記で説明された例示的な式に従って求められた対応する最適化されたラスタ振幅をグラフで表す。
【0059】
関連した手法は、別の実施形態によれば、勾配降下法(gradient descent method)を用いてラスタパターンを最適化することに関係する。この実施形態において、目的関数(例えば、所望のフルエンス・プロファイルへの適合)が定義される。最適化プロセスは、局所的な目的関数勾配(関数の増分変化が各ラスタ・グリッド場所に適用されたフルエンスの所与の増分変化を与える)を判定し、且つ該勾配をアルゴリズムにおいてラスタスポット振幅の最適なベクトルを探し出すのに用いる。
【0060】
両方の手法(SVDと勾配降下)は、シミュレーション又はシステムのいずれにおいても行うことができる。システムにおいて、所与のラスタパターン(メトロジーカメラによって測定される場合)から結果としてもたらされた実際のフルエンス分布は、性能を定量化するために用いることができる。次いで、フルエンス分布、モデリング誤差を回避し又は減少させ且つスポットサイズ及び歪みのようなシステムにおける許容誤差を考慮に入れるプロセス、AOD線形化誤差、及び/又は光学的位置合わせを最適化するために、いずれかの最適化方法を適用することができる。
【0061】
もちろん、他の最適化方法が、上述のアルゴリズムと置き換えられてもよい。
【0062】
V.交差の形成
或る実施形態は、交差部における機能部の深さの制御された変動を伴う、交差する加工された機能部(例えば、トレンチ、パッド、バイア、及び他の機能部)の形成を含む。例えば、インピーダンス(高速での信号の完全性を維持するために)若しくは誘電体の絶縁破壊(めっきされたトレンチと下にある導電性層との間のギャップに対して敏感な場合がある)のような電気特徴を制御すること、又はめっき品質を制御することが望ましい場合がある。
【0063】
交差部加工は、例えば、加工ビームフルエンスが材料のアブレーション閾値を優に上回るときに、被加工物誘電体のアブレーションが、累積した適用フルエンスに比例する場合があるので、とても難しいものとなることがある。この状況では、機能部を単純に交わらせることによって2つの交差する機能部を加工することは、結果として二重露光点において100%に近い深さ変動を伴う「二重露光」をもたらす。
【0064】
この問題を回避する又は低減するために、、図5に関して上記で解説されたシステム500を用いて、交差領域における2つの機能部のフルエンスを「混合」し、二重露光を減少させ又は回避するようにしてもよい。例えば、AODサブシステム506を用いて、その側壁においてフルエンスの広い「傾き」をもつ1つのトレンチ機能部を加工し、及びその終点において整合するフルエンスの「傾き」をもつ交差するトレンチ機能部を加工する場合、この2つのフルエンス分布は結合して交差部における公称上は平坦なフルエンス・フィールドを生成する。したがって、AODサブシステム506を用いて、深さ制御された交差を生成するようにしてもよい。
【0065】
フルエンスの傾きを生成すると、他にも、ビーム位置決め許容誤差に起因する深さ変動を最小化できるという利点が得られる。交差領域における急勾配のフルエンスの傾きでは、交差する機能部のアブレーションの間のビーム位置の小さい変動(例えば、約1μm〜約5μmのオーダーの)が、顕著な深さ変動を引き起こすことがある。フルエンスのゆるやかな傾きを作製することによって、ビーム位置決め誤差は、容認可能な深さ変動(例えば、公称深さの約10%未満〜約15%)をもたらす。
【0066】
フルエンスの傾きの作製は、交差する機能部がフルエンスの傾き及び/又は幅を進行中に変えることによって加工される際に実施されてもよい。別の実施形態において、トレンチ機能部は、交差部の外部で終端され(適切なフルエンスの傾きをもつ)、その後に交差部ボリュームの残りのラスタリングがなされる。この実施形態は、例えば、交差のタイプ(例えば、交差するトレンチの角度、一点で交差する多数のトレンチ、湾曲トレンチの交差)に対してあまり敏感でないこと、隣接するトレンチの間の間隔の望ましくない変動を強いる可能性がある、側部のフルエンスの傾きを作製するのに用いられる追加ライン幅を最小にすること、及び/又は交差部の特徴を最適化するためにラスタパターンをカスタマイズする能力を含む、幾つかの利点を有する。ラスタパターンをカスタマイズすることは、多数の交差するトレースを備えた円形パッドのような、交差部における任意の形状を加工するときに有用な場合がある。
【0067】
交差部加工の付加的な詳細は、本明細書の「例示的な交差部加工の実施形態」と題するセクションで開示される。
【0068】
VI.galvo誤差補正
再現性誤差の1つの発生源(上記で説明されたように良好な深さ制御により交差部を機械加工する能力を制限する可能性がある)は、図5に示されたgalvoサブシステム508の位置決め誤差である場合がある。これらの誤差は、センサノイズとトラッキング誤差に起因する場合がある。galvoサブシステム508における各galvoミラー533、535は、フィードバック・センサ(図示せず)と関連付け、それぞれのgalvoサーボ(図示せず)を用いてミラーの移動を制御する場合がある。センサノイズ効果は、galvoサーボがサーボの帯域幅内のフィードバック・センサノイズを追跡するときに発生する可能性があり、結果として物理的なビームの動きをもたらす。この誤差励起はまた、周波数スペクトルの或る部分を増幅するgalvoの閉ループ応答によって増幅される場合がある。センサノイズ効果は、特定の光学設計及びサーボ設計に応じて、例えば、約0.1μm二乗平均平方根(root−mean−squared)(RMS)から約5μmRMSまでのビーム誤差をもたらす場合がある。
【0069】
センサノイズ効果は、コマンドされたビーム軌道に関係なくすべての時に発生する場合がある。しかしながら、トラッキング誤差は、動的に積極的なビーム軌道(大加速度又は高周波数コマンドを含む)に従うようにgalvoがコマンドされるときに発生する。galvoサーボがコマンドを追跡できないことは、トラッキング誤差と、結果として再現性の損失につながる。トラッキング誤差は、例えば、線形サーボ応答性能及び/又は非線形galvo挙動(軸受摩擦又は磁気ヒステリシスのような)の結果である場合がある。
【0070】
センサノイズ誤差の発生源とトラッキング誤差の発生源との両方を減らすために、一実施形態によれば、位置センサのフィードバックによって示されるように、AODサブシステム506の偏光機能を用いて、galvo誤差を補正する。センサの読取値は、このノイズに応答して望ましくないビームの動きを加えることを減少させ又は回避するために、妥当な帯域幅よりも上のものをフィルタで除去してもよい、センサノイズを含む。一実施形態において、フィルタリングは、より高い周波数をフィルタリングしながら、関心ある帯域幅内のgalvo位置センサとビーム変位(「ビーム伝達関数(beam transfer function)」、すなわちBTF)との間の伝達関数の位相と利得との両方と実質的に整合する。或る実施形態において、BTFは、軽くダンピングされた二次極によってしばしば良好にモデル化される、位置センサとgalvoミラーとの間の動的挙動によって強く影響される。信号フィルタリング及びデータ通信に起因する時間遅延のような位相整合に影響を及ぼす他の因子が、誤差補正フィルタの設計に含まれる場合がある。図8は、約10kHzよりも下での位相及び利得の整合と約10kHzよりも上でのセンサノイズのフィルタリングとの間の競合する要件の間の妥協を提供するAOD誤差補正フィルタの一例示的な実施形態をグラフで例示する。
【0071】
センサノイズ除去はまた、モデル化されていない動的挙動又は非線形挙動に起因する幾つかの実施形態において、性能が低下するというリスクを承知の上で、推定(例えば、カルマンフィルタリング)のような代替法を通じて達成される場合がある。
【0072】
VII.ビーム位置決め精度の改善のためのPSDミラー感知
或る実施形態において、AOD誤差補正は、実際のgalvoミラー位置を検出する外部センサを用いて強化される。或るgalvoベースのビーム位置決めシステムでは、ミラー角を感知するために角度位置センサがgalvoに組み込まれる。センサは、galvoシャフトの遠端(ミラーから離れた方)に位置付けることができ、一方、他のものは、ミラーの近くのシャフト端に位置付けられる。
【0073】
角度位置センサがミラーから離れた方のgalvoシャフトの遠端に位置付けられるとき、センサはシャフト回転を検出する。しかしながら、シャフトたわみ角が、ミラーに異なる偏向角をとらせることがある。このセンサ位置は、ミラー共振に応答しないのでサーボ・ループ帯域幅を増加させる能力を提供する際に幾つかの利点を有する。
【0074】
角度位置センサがミラーの近くのシャフト端に位置付けられるとき、センサは、ミラーにより近いシャフトのたわみ角を検出する。このセンサ位置は、真のミラー角をより精密に測定する。しかしながら、センサは、ミラー自体がセンサにおいてシャフトに対して撓むときに、依然として誤差を被る可能性がある。加えて、このセンサ位置では、galvoサーボ設計を複雑なものにし且つその性能を制限する、galvo周波数応答(モータ駆動部からセンサ出力への)におけるシャフトとミラーとの共振が現れる。
【0075】
加えて、いずれのセンサ位置も、シャフト角度に関係しないミラー・モードを測定することができない。1つのモードは、ミラー面が回転するシャフトと垂直な軸を中心として回転する「フラッピング」ミラーのモードを含む。このモードは、高速galvo偏向システムの性能に対して制限となる場合がある。
【0076】
galvo回転センサに伴うさらなる問題は、それらのノイズ性能を含む。galvoの小さいパッケージサイズと、位置センサのサイズ(及び回転慣性)を最小にすることへの要望に起因して、センサ回路に存在する電気ノイズが顕著な有効角度ノイズに転換し、これはサーボ位置決め性能を劣化させる場合がある。例えば、このノイズは、10kHz帯域幅内の約0.1マイクロラジアン(μRad)RMS〜約5μRad RMSに等しい場合がある。
【0077】
一実施形態において、異なるセンサ、すなわち、シャフト偏向の影響なしにミラーの真の角度位置を検出するセンサ、ビーム位置の精度に影響するミラーの動きのすべてのモードを検出するセンサ、及び感知された誤差を補正するために測定値がgalvoサーボ・ループ又は他のデバイスによって用いられることが可能であるように低いノイズレベルをもつ角度測定値をもたらすセンサ、が選択されてもよい。
【0078】
実際のgalvoミラー位置における誤差を補正するために、或る実施形態によれば、図5に示されたgalvoサブシステム508は、スキャンレンズ520との位置関係を保ってgalvoミラーを保持するためにフィードバックを提供する補助センサ(図5には図示せず)を含む。例えば、図9は、一実施形態に係るgalvoサブシステム912における補助センサ910を含むレーザ加工システム900のブロック図である。この例における補助センサ910は、本明細書ではPSD910と呼ばれる位置感知ダイオード(position sensing diode)(PSD)を含む。レーザ加工システム900はまた、AODサブシステム506、スキャンレンズ520、参照ビーム源914、及び参照結合器ミラー916も含む。AODサブシステム506とスキャンレンズ520は、合焦された加工ビーム922を被加工物524の表面に提供するために図5を参照して上記で説明される。
【0079】
参照結合器ミラー916は、参照ビーム源914からの参照ビーム918とAODサブシステム506からの加工ビーム920とを、galvoサブシステム912への入力のために組み合わせる。参照ビーム結合器916は、レーザビームを組み合わせて安定したパワーとポインティング角度とをもつ参照ビームを提供するための、例えば、ダイクロイックミラー、偏光ビーム−スプリッティング・ミラー、又は他の同様のデバイスを備えてもよい。加工ビームの位置とパワーが特定の用途に対して十分に安定な場合、PSD感知作動の間に(要求はされないが)AODサブシステム506からの加工ビーム920の使用が可能な場合がある。
【0080】
PSD910に加えて、galvoサブシステム912は、galvoミラー924、PSDピックオフ・ミラー926、及びPSDレンズ928を含む。参照ビーム918は、galvoミラー924で反射する(主加工ビーム920と共に)。PSDピックオフ・ミラー(例えば、スプリッティング・ミラー)は、偏向された参照ビーム(例えば、galvoミラー924によって偏向された)をピックオフし、偏向された参照ビームを検出のためにPSDに向ける。
【0081】
PSDレンズ928(例えば合焦レンズ)は、偏向された参照ビームの角度の動きのみがPSD910上のXYスポット偏向に転換されるように、測定路の中に任意選択で挿入されてもよく、横方向のビームの動きは、PSD910においてビーム角に変換され、したがってPSDのXY平面内では測定されない。或る実施形態において、PSDレンズ928は、PSD平面におけるスポットの動きを増幅するために、長い有効焦点距離をもつ小型望遠レンズを含む。或るこうした実施形態において、PSDレンズ928は、前側の(front)焦点がスキャンレンズの入射瞳孔に位置付けられるように位置付けられる。或る実施形態において、横方向のビームの動きには問題がなく、且つPSD910上のビームの動きのスケーリングが特定の用途のために適切である場合に、PSDレンズ928を省略することが可能な場合がある。
【0082】
独立した参照ビーム918とPSD910は、ビームパワーがPSD光感度と組み合わせて適切に低いノイズを提供するように選択することができる。PSD測定における主なノイズ発生源は、「ショットノイズ」、すなわち出力電流における電荷キャリア(個々の電子)の量子化によって生じたノイズである場合がある。信号対ノイズ比(SNR)は、電流の平方根に比例する場合がある。出力電流を高いレベルに上昇させることによって、SNRが改善される場合があり、且つ低ノイズ角度測定が可能な場合がある。
【0083】
PSD感知が所定位置におかれると、PSD910の出力対被加工物における合焦された加工ビーム922の位置を容易に校正することができる。校正されたPSD910を考えると、ビーム位置決めを幾つかの方法で改善することができる。例えば、PSD910は、galvoサーボのための位置フィードバックセンサとして用いることができる。これは、フィードバックシステムの動的挙動を複雑なものにする交差結合された(cross−coupled)システムをもたらすという事実により、複雑な場合がある。加えて、非回転ミラー・モード(「フラッピング」及び他のモード)は、サーボ・ループにおいて適応するのが難しい場合がある。動的推定器(例えば、カルマンフィルタ、ルーエンバーガー観測器、又は他の推定器)を用いて、動的モードを分離する及びサーボ・ループ設計を改善することができる。
【0084】
加えて、又は他の実施形態において、PSD910を用いて、galvoサブシステム912自体によって限定的な誤差補正をすることができる。例えば、ミラー・クロス軸モードは、それらの周波数成分がgalvoサーボ帯域幅内である場合にgalvoによって補正することができる。加えて、内蔵galvoセンサ(図示せず)における低周波数ノイズ誤差は、PSD910(低い周波数での)及び内蔵センサ(より高い周波数での)からのフィードバックを混合することによって除去(reject)することができる。
【0085】
加えて、又は他の実施形態において、PSD位置の読取値を用いて、ビーム経路に含まれるAODのような個別のデバイスによる開ループ誤差補正をすることができる。これは、誤差補正システムからgalvo動的挙動を分離するので、有用な作動モードである場合がある。主加工ビームとは個別の参照ビームを用いること(AODサブシステム506によって偏向され、したがってPSD910によって感知される)によって、AOD誤差補正がPSDビーム位置出力に影響を及ぼさない「開ループ」モードで、AOD誤差補正を作動させることが可能となる。これは、誤差補正アルゴリズムを著しく簡素化することができる。ノイズとミラー偏向モードとの両方は、こうした実施形態において容易に補正される。
【0086】
加工ビーム920がまたPSD参照ビーム918としても用いられる場合、同様のAOD誤差補正が依然として可能である可能性があり、AODサブシステム506は誤差補正閉ループを形成する。この場合、意図的なコマンドがPSD910によって感知されるので、PSDの読取値を分析して、あらゆる意図的なAOD偏向コマンド(ディザリング、ラスタリング、及び/又はハイダイナミックビーム位置決めのような)を除去する。
【0087】
或る実施形態において、上記の実施形態の恩恵と組み合わせるために、個別の参照ビーム角を感知する第1のPSDセンサと、加工ビーム角を感知する第2のPSD(図示せず)とを含むことが有用な場合がある。例えば、第2のPSDを用いて、診断測定及び加工品質の監視するようにしてもよい。
【0088】
VIII.スループットの改善:AOD/Galvo協調と第3のプロファイリング
レーザ直接アブレーション(laser direct ablation)(LDA)のような或るレーザ加工用途は、高いスループットを達成するために高い加工ビーム速度(例えば、約0.2m/sと約5m/sとの間の範囲内の速度)で機能部をアブレートする。高速加工を実施することの1つの課題は、加工ビーム位置を制御するのに用いられるgalvoビーム位置決めシステムの動的制限である場合がある。短い弧状のセグメントなどのような幾つかの機能部の加工の間に、ビームポジショナは、ビーム速度軌道を変えるために加速する。LDA用途は、例えば、約1μmの所望の再現性(galvoフィールド内)で数十ミクロン以下のオーダーの狭い回転半径をもつ機能部の加工を要求する可能性がある。図10は、或る実施形態に係るLDA用途のために加工された例示的なトレンチ・パターンを例示する略図である。本明細書で開示された実施形態は、トレンチ交差部1010、パッド交差部1012、狭い遷移部を備えたパッド交差部1014、及びLDA加工と関連付けられる他の機能部の高速加工を提供する。
【0089】
加工ビーム速度が増加する又は弧状のセグメントがより短くなるのにつれて、より短い時間周期にわたって加速が起こり、その間、ビームポジショナは、より高帯域幅の制御を用いる。これは、最終的には、高い速度に到達する能力における制限となる可能性がある。
【0090】
再び図5を参照すると、この制限は、AODサブシステム506のような高速偏向器を用いてビーム軌道制御の高帯域部分の制御を行うことによって回避することができる。この手法では、galvo軌道は、galvoサブシステム508の動的制約(例えば、加速度及び/又は帯域幅)内にありながら、所望の加工軌道526にほぼ従うように設計することができる。例えば、図11は、一実施形態に係るAODとgalvoとの協調と関連付けられた曲線をグラフで表した図である。図11に示すように、galvo経路1110は、所望の加工経路1112に正確に従うことができない場合があり、結果としてビーム軌道誤差をもたらす。ビーム軌道誤差は、AODサブシステム506を用いて加工ビーム512を付加的に偏向することによって除去することができる。例えば、図11は、galvo経路1110及び加工経路1112と関連してAODコマンド信号1114を示す。2つの軌道(galvo及び加工ビーム)は前もって分かるので、AOD偏向軌道を計算し、且つこれがAODの制約(例えば、範囲とこの範囲にわたる最大の正規化されたパワー)を満足させることを確かめることができる。galvo軌道は、残差がAODの制約を破らないように合わせることができる。これは、反復プロセスであってもよく、例えば、galvoが選択された軌道をよりしっかりと追跡し、したがって結果として生じる軌道誤差をAOD範囲制限内に保つことができるように、galvo速度は、工具経路の或る部分において低下されてもよい。
【0091】
別の実施形態は、上記で説明されたように、AODサブシステム506を用いてgalvoトラッキング誤差を「受動的に」補正することを含む。この実施形態において、選択された加工軌道526は明示的な制約なしに計画され、galvoサブシステム508は、AODサブシステム506で補正されたあらゆる結果として生じたトラッキング誤差により、この経路に従おうとする。この手法に対する制限は、galvoにおける望ましくない動的挙動の励起(例えば、ミラー共振)と、AOD誤差補正の性能が特定の用途のための全体的なビーム位置決め要件を満たすようにトラッキング誤差を減少させるのに十分なだけ適切ではない恐れとを含む可能性がある。
【0092】
或る実施形態において、galvo誤差のAOD補正は、galvoトラッキング残差を除去するために、個別に生成されたビーム軌道及びgalvo軌道と共に用いることができる。上記の実施形態のいずれかで説明されたAOD作動は、有効スポットサイズを制御するためにビームを同時にディザリング又はデフォーカスする間に適用することができる。
【0093】
スループットへの別の制限は、特定のパターンの異なる部分を加工するために利用可能なレーザパワーである可能性がある。所与の材料に対して、加工線量(パワーを速度で割ったもの)は、アブレートされる機能部の断面積の関数であってもよい。システムが最大の利用可能なレーザパワーを用いる場合、加工ビーム速度は、線量(速度=パワー/線量)によって決定されてもよい。高いスループットを維持するために、線量の変化にもかかわらず、最高の可能な速度を維持することが望ましい場合がある。幾つかの事例において、これは、線量の急な変化に起因して難しい場合がある。例えば、大面積の機能部を形成するために比較的薄いトレンチを約5倍(5x)だけ広げるときに高い速度を得ることは難しい場合がある。この場合、この機能部設定の長さにわたってビーム速度が一定のままにされた場合に、速度は、拡大された領域で用いられた高い線量によって制約される場合がある。これは、ビーム速度をより薄いトレンチに沿って不必要に減速させる可能性がある。主ビームポジショナ(galvo)の急加速及び急減速は、特にgalvoの動的制限に起因する急速な遷移に対して望ましくない場合がある。
【0094】
主ビームポジショナの急加速及び急減速を回避する又は低減するために、一実施形態によれば、利用可能なAODフィールドは、短いセグメントにわたってより低いビーム速度をもたらす。例えば、トレンチ機能部は、約2m/sの速度で加工されてもよく、100μmの長さをもつ拡大された機能部は、3倍(3x)遅い速度で加工されてもよい(指定された線量が3倍高いため)と仮定する。2m/sのgalvo速度が変化しないとすると、ビームは、公称上は広い機能部の上を約50μsで通過する。しかしながら、ビームは、(適正な線量を維持するために)約2/3=0.67m/sのビーム速度で機能部を加工する。したがって、AOD偏向の相対速度は、約2−0.67=1.33m/sであり、これは約50μsにわたって適用されてもよく、結果として約67μm(+/−約33μm)のAOD偏向が得られる。広い機能部に起因する区域全体の速度制限を回避することによって、この例示的な実施形態は、局所的な加工速度を約3倍だけ効果的に増加させる。例えば、図12は、こうした期間の間の速度軌道を例示する。図12は、広い機能部又は高い線量を用いる他の機能部におけるAOD速度補償と関連付けられた曲線をグラフで表す図である。広い機能部を予期して、ビーム速度が局所的にスピードアップし、且つAOD位置がシフトする。広い機能部に到着すると、ビーム速度が低下され、且つAOD位置が減速を補償するためにそのフィールドを横切って左右に振れる(slew)。広い機能部の加工後に、ビーム速度はそのスピードを回復し、AOD位置はその中立位置に戻る。
【0095】
加えて、又は別の実施形態において、ビームの平均速度は、一定の線量(パワー/速度)を維持しながら動的に変化させる(変調させる)ことができる。或るこうした実施形態において、AODサブシステム506は、瞬間的なgalvo速度の関数として加工ビームパワーを変調する。パワー変調は、より制限的な動的要件(例えば、アブレートされる機能部の配向の急な且つ頻繁な変化)をもつ被加工物524の区域を加工するためにgalvoミラー533、535を減速し、又は緩和された動的要件をもつ区域(例えば、直線区域又は配向の非常にゆるやかな変化をもつ区域)においてgalvoミラー533、535を増速する機能を提供する。リアルタイムのAODパワー制御なしでは、こうした機能は可能ではなく、処理量の損失につながる。
【0096】
平行なライン・セグメント(例えば、隣接するトレンチ)を加工するときに、スループットの改善のための別の機会が生じる。或るこうした実施形態において、AODサブシステム506は、2つのラインが同時に加工されるように見えるぐらい十分に速い速度(例えば1μs付近)で、加工ビーム512を2つのラインの間で切り換えることができる。等しい線量を要求する等しい寸法の2つのラインに対して、並列加工は、要求されるレーザパワーを2倍にする。パワーが制限されたシステムでは、これは、速度が約50%だけ低下されることを要求する場合があり、スループットの利点を制限する。しかしながら、これは、2つのラインに対する設定移動をなくし、且つそうでなければ最高速度の使用を妨げる可能性がある速度に依存する動的制約を低減する場合がある。こうしたパワー制限のないシステムでは、平行なラインの加工は、該区域に対するスループットを2倍にする可能性がある。加えて、両方の事例において、こうしたラインの並列加工は、ラインとラインとの間隔の制御(AODサブシステム506の再現性によって制御される)を改善し、これはライン・インピーダンスを制御するための幾つかの用途においては利点である。
【0097】
ラインがコーナーを曲がるとき、2つのラインの経路長は、回転半径、回転角度、及びライン分離に依存して異なる。或るこうした実施形態において、2つのラインの有効ビーム速度は、2つのライン・セグメントの異なる経路長を考慮に入れるために調整することができる。次いで、加工が2つのラインの間で切り替わる場合に、AODサブシステム506によってパワー(線量速度)が変調されてもよい。ラインの組が利用可能なAODフィールド内に適合し且つ適切に高い速度をもたらすのに十分なだけの加工ビームパワーが利用可能である限り、同じ手法を複数のラインに延長することができる。
【0098】
多数のラインを同時に加工することは、複数のラインがそれらのそれぞれの経路の全体にわたって平行なままではないときに、複雑な場合がある。或るこうした実施形態において、適切な領域を並列に加工し、且つ交差部加工のために用いられる技術と同様に、遷移領域を領域の端部(例えば、傾けられたフルエンス)に適用することができる。次いで、同様に遷移した領域をもつ末端部で残りの区域を加工し且つ接合することができる。このようにして、スループットを高めるために並列加工の使用を最大限にすることができる。
【0099】
図13は、一実施形態に係る並列加工と領域接合とを概略的に表す。図13は、第1の領域1308において互いに平行に走り且つ第2の領域1309において互いから発散する複数のライン1306(a)、1306(b)、1306(c)、1306(d)(まとめてライン1306と呼ぶ)を例示する。言い換えれば、ライン1306は、第1の領域1308における平行な部分と、第2の領域1309における発散する部分とを有する。図13は、ライン1306が平行な部分から発散する部分へ変化する、遷移領域1310を例示する。
【0100】
第1の領域1308においてディザリングを用いてライン1306を加工するために、AODサブシステム506は、レーザビームが第1の領域1308における相互の加工軌道に沿った一回の通過で平行な部分を加工するように、レーザビーム・スポット位置をライン1306の平行な部分の間で前後に動かす。AODサブシステム506は、結果としてそれぞれの平行な部分に対応する異なる経路長をもたらす加工軌道に沿った回転を考慮に入れるために、平行な部分の間で有効ビーム加工速度を調整する。AODサブシステム506はまた、平行な部分の各々に対して所望の加工線量を維持するために、調整された有効ビーム加工速度に基づいてレーザビームのパワーも変調する。遷移領域1310に到着すると、AODサブシステム506は、3つのライン1306(a)、1306(b)、1306(c)の平行な部分を選択的にシェイプし、一方、その加工軌道に沿ってライン1306(d)の加工を続け、遷移領域1310において3つのシェイプされたライン1306(a)、1306(b)、1306(c)の加工を終える。形成(シェイピング)は、終端したライン1306(a)、1306(b)、1306(c)が、後の時点で、それぞれの交差部での所望の深さを維持しながら、(それらのそれぞれの発散する部分によって)交差することを可能にする。ライン1306(d)の発散する部分の加工後に、ライン1306(a)、1306(b)、1306(c)の発散する部分は、第2の領域1309におけるそれらのそれぞれの発散する加工軌道に沿って順次加工される。
【0101】
図14は、一実施形態に係る第3のプロファイリング・サブシステム1400を概略的に例示する。第3のプロファイリングとは、AODサブシステム506を第3のポジショナ(例えば、XYステージ及びgalvoサブシステム508に加えて)として用いることを指す。例示的なレーザビーム第3ポジショナは、本発明の譲受人に譲渡され、且つ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,706,999号で説明される。本明細書で開示されたようなAODサブシステム506を用いる第3のプロファイリングは、ビーム経路を高速で(例えば、時間分解能を提供するために約1μsでの更新を用いる)プロファイリングすることを可能にし、AODコマンドは、離散した時間境界上で発行される。第3のプロファイリング・サブシステム1400は、プロファイリング・フィルタ1404と、遅延素子1406と、減算器1408とを含む。
【0102】
図14は、被加工物に切り込まれることが所望されるトレンチに対応するビーム・プロファイル例1410を例示する。ビーム・プロファイル例1410は、galvoサブシステム508を用いて高速で追跡するのが難しい場合がある急回転を含む。ビーム・プロファイル例1410は、(コマンドされるビーム位置信号として)プロファイリング・フィルタ1404と遅延素子1406に提供される。プロファイリング・フィルタ1404は、galvoサブシステム508にとって追跡するのが難しい場合がある高周波数成分をフィルタで除去する低域通過フィルタを備える。プロファイリング・フィルタ1404の出力は、位置プロファイル1412によって示されるようにgalvoコマンド(galvo制御信号)として用いられてもよい。図14は、galvoサブシステム508によって提供された実際の位置1418に関するコマンドされた位置1416を示す、位置プロファイル1412の拡大された部分1413を例示する。AODサブシステム506は、コマンドされた位置1416と実際の位置1418との間の差異を補正するために用いられる。
【0103】
例示された実施形態において、プロファイリング・フィルタ1404は、有限インパルス応答(finite impulse response)(FIR)フィルタを備える。FIRフィルタは、あらゆる周波数範囲の信号に対して一定の遅延を自然に有する。しかしながら、他のタイプのフィルタもまた用いられてもよいことを、本明細書での開示から当業者は認識するであろう。遅延素子1406は、ビーム・プロファイル例1410をプロファイリング・フィルタ1404によって導入される遅延とほぼ同じ量だけ遅延する。減算器1408は、galvoコマンドから除去された高周波数成分を得るために、遅延素子1406の出力からプロファイリング・フィルタ1404の出力を減算する。減算器1408によって出力される高周波数成分は、次いで、AODサブシステム506を制御するためのAODコマンド信号として用いられてもよい。図14は、AOD位置コマンド・プロファイル例1414を示している。図示されないが、対応する速度及び加速度コマンド・プロファイルを計算するために位置コマンド・プロファイル例1414に対する微分が用いられてもよい。
【0104】
さらなる例として、且つ限定ではなく、図15A、図15B、図15C、図15D、及び図15Eは、一実施形態に係る図14に示された第3のプロファイリング・サブシステム1400によって作成され且つ/又は用いられる信号を例示する。図15Aは、第3のプロファイリング・サブシステム1400への例示的なビーム・プロファイルの入力を例示する。図15Bは、図15Aの例示的なビーム・プロファイルに対応するXビーム速度軌道、Yビーム速度軌道、及びXYビーム速度軌道をグラフで例示する。図15Cは、図15Aの例示的なビーム・プロファイルに対応するXビーム加速度軌道及びYビーム加速度軌道をグラフで例示する。図15Dは、コマンドされた位置、速度、及び加速度信号を含む、例示的なgalvo動的挙動を例示する。図15Eは、コマンドされたエクスカーション及び誤差信号を含む、例示的な第3の(AOD)動的挙動を例示する。
【0105】
図16A、図16B、及び図16Cは、或る実施形態に係る例示的なAODコマンドシーケンスを例示する。図16Aにおいて、AODコマンドシーケンスは、5μs境界と位置合わせされる約5μs間隔でAODを更新する。こうした実施形態は、低速加工(例えば、約200mm/sでの加工)のために十分なものである場合がある。図16Bにおいて、高速AODコマンドシーケンスは、時間境界と位置合わせされないおよそ1μs間隔でAODを更新する。任意のタイミング(あらゆる時間境界と位置合わせされない更新を伴う)は、幾つかの実施形態において実施するのが難しい場合がある。例えば、交差部加工は、約2m/s〜約3m/sの高速で約1μsの分解能でAOD遷移が生じることを要求する場合がある。こうした要件を満たすために、一定の速度で加工される任意のレイアウトは、変化可能なサブマイクロ秒の時間分解能を用いてもよい。さらに、増加したスループットの細いトレンチに対する高い速度を提供するため、フルエンスを維持するように広いトレンチに対するより低い速度を提供するため、インラインでラスタするように(例えば、戻る動きを減少させる又は無くすように)ラスタされた領域にわたって減速(又は一時停止)するため、及び/又はgalvoトラッキングを改善し且つAODをその境界内に保つように必要な場合に減速するために、変化可能な速度での加工が望ましい場合がある。
【0106】
一実施形態において、位置ベースのAODコマンドと任意のビーム軌道によってタイミングが提供される。こうした実施形態において、トリガリングはXY位置に基づく。したがって、非線形のビームポジショナ軌道に対して、トリガは、機能部の場所に応じてX軸又はY軸に基づく。この実施形態は、被加工物がリアルタイム位置コマンドデータ(XとYとの両方)と、加工の間に用いられる広いダイナミック・レンジ(例えば、全フィールドにわたる高い分解能)で加工される際に、先入れ先出し(first−in−first−out)(FIFO)トリガデータをストリーミングすることに起因して増加したフィールド・プログラマブル・アレイ(FPGA)データ処理要件を有する場合がある。この実施形態はまた、変化可能な速度での加工に対して提供されないコマンド・トリガリングを用いてもよい。
【0107】
別の実施形態において、タイミングは、時間ベースのAODコマンドと、修正されたビーム軌道によって提供される。この実施形態は、AODコマンド遷移をセグメント境界に制限する可能性があり、セグメントは、要求に応じてAODコマンドを含むように細分化される場合がある。この実施形態は、セグメントを、ビーム速度から加工の幾何学的形状を分離する位置(時間ではない)境界と位置合わせする。この実施形態はまた、境界が規則的な時間間隔でヒットするようにセグメント速度を調整し、これは、融通性のある変化可能な加工速度、第3のビームポジショナで容易に実施される速度変化、及び速度変化を制約するためのAOD遷移間隔に対する妥当な制約を提供する。この手法は、例えば、離散した予測可能な時間境界上でのレーザ・パルシング制御を要求する可能性がある、パルスレーザシステムにおいて有利な場合がある。
【0108】
図16Cにおいて、AOD更新は、1μ秒間隔で発生し、且つ離散した決定論的な1μs境界と位置合わせされる。機能部の位置は、しかしながら、工具経路(tool path)において任意に位置付けられてもよい。任意に位置付けられた機能部と時間において位置合わせするために、機能部の間の速度が予め定められる。したがって、或るこうした実施形態において、機能部の間のセグメントごとに速度変調が用いられる。図17A及び図17Bは、或る実施形態に係る速度変調の例をグラフにより示す。図17Aにおいて、速度変調は、最適な加工速度に対応する位置増分に基づくタイミングを用いる。図17Bにおいて、速度変調は、タイミングを離散時間増分(同じ位置増分)と位置合わせすることによって速度を調整する。或る実施形態において、公称上はDseg/Vnom(ここで、Dseg=セグメント長さであり、Vnom=最高加工速度である)に等しいセグメント境界の間の時間デルタ(Δ)は、次の離散した時間境界に切り上げられる。速度変調の間、線量は一定に保たれてもよい(例えば、速度の変化に伴ってパワーを変化させることによって)。最小位置増分(ΔPmin)と最大時間増分(ΔT)は、加工速度の相対的な下降を、VnomΔT/ΔPminと結びつけるように選択されてもよく、式中、Vnomは公称速度である。例えば、3m/sで15%の速度変化を提供するように、ΔTは、1μsとなるように選択されてもよく、ΔPminは、20μmとなるように選択されてもよい。速度変化がほんの短い期間にわたって発生するので、これは、スループットに対する影響はほとんど無い又は影響をもたない場合がある。
【0109】
第3のプロファイリングは、離散したAOD更新周期とAOD速度項(velocity term)からの結果である、位置決め誤差をもたらす可能性がある。例えば、図18は、一実施形態に係る位置コマンド信号1812に関する位置決め誤差1810と、結果として得られたAOD位置プロファイル1814をグラフで例示する。図18に示すように、AODは、例えば、機械式ミラーがそうであるのと同じ様式でコマンド更新の間に左右に振れない。したがって、例えば、3m/sの速度での1μsの更新周期は、約+/−1.5μmの位置決め誤差をもたらす場合がある。更新周期は、この誤差を制限することが要求される場合には減少されてもよい。RF波形をチャーピングすることは、或る実施形態において位置決め誤差を減少させる可能性がある。図15Eは、例示的な位置誤差をグラフで例示する。
【0110】
IX.ビーム・ポインティングの安定化
良好な精度及び/又は再現性を提供する或るレーザ加工用途において、角度又は並進ビームジッタの寄与が誤差量(error budget)の大部分となることがある。ジッタは、レーザ光源に固有のビームの動きに起因する、又はビーム経路における空気乱流(ビーム経路内の空気温度差によって悪化される)及び/又は光学縦列内の機械的振動に起因する場合がある。レーザ走査システムでは、角度誤差は、スキャンレンズの焦点距離によってスケール変更されるときに被加工物における位置誤差に直接寄与する。ビーム並進誤差は、被加工物において(補償されていない)ビーム角をもたらすことによって、被加工物の誤差に間接的に寄与し、被加工物の表面のあらゆるZ高さ変動によってスケール変更されるこの角度は、被加工物上のXYビーム位置決め誤差をもたらす。
【0111】
図5に示されたシステムのようなAOD偏光機能を備えるシステム500は、付加的な稼動コストがほとんど無し又は全く無しで、ビームジッタを補正することができる。センサ(図示せず)を光路に沿って(例えば、スキャンレンズ520の近くに)位置付けることによって、フィードバック制御は、ビームをスキャンレンズ520の中に正しく位置決めされた状態に保つように、AOD偏向をコマンドすることができ、これはビーム位置の精度及び再現性を改善する場合がある。多くのビームジッタ源の周波数成分は、比較的低い(例えば、空気乱流に対して約10Hz未満であり、機械的振動に対して約500Hz未満である)場合があり、したがって、AODサブシステム506によって容易に補正可能である。この手法における制限因子は、ビーム角及び並進を検出するのに用いられるセンサのノイズ成分である場合がある。
【0112】
AODの意図的な偏向(選択された被加工物軌道をもたらすためにコマンドされる)は、測定を行うときに考慮に入れられてもよい。例えば、AODにより偏向されたビームをスキャンレンズ520に伝送するためにリレー光学系が用いられない光学縦列において、AODの偏向角は、AODサブシステム506からスキャンレンズ520までのビーム経路長によってスケール変更されるときに、スキャンレンズ520における並進オフセットをもたらす。単純な校正は、これがジッタ補正の前に測定値から除去されることを可能にする。校正は、必要な場合に、AODサブシステム506からスキャンレンズ520までの経路長の関数として行うことができる。しかしながら、一般に、加工ビームがセンサ上に合焦される場合、横方向のビームの動きがセンサにおけるスポット位置に影響を及ぼさないので、こうした補償は要求されない可能性がある。
【0113】
ジッタ補正は、高いパワーを与えられるAODデバイスに対して発生する可能性があるAODの加熱に起因するビームの熱ドリフトのような、AOD作動からの望ましくない副作用を補正することができることにも注目されたい。
【0114】
X.プロセスの改善:デューティサイクル
幾つかの実施形態において、AODサブシステム506は、レーザ/材料の相互作用プロセスの改善を可能にする。1つの例において、誘電体材料に切り込まれるトレンチの断面積は、被加工物に適用される「線量」(加工ビームパワーをビーム速度で割ったもの)に対して敏感である。幾つかの用途における最良の又は改善された性能のために、適用される線量は、溶融又は炭化のような熱影響域(heat affected zone)(HAZ)の影響を回避するために材料のアブレーション閾値よりもかなり高く保たれる場合がある。ビームポジショナの動的挙動又はレーザパワーによって課される制約に起因して幾つかの状況において用いられる場合がある低速では、適用された線量が、望ましくないHAZ効果をもたらし始める場合がある。したがって、一実施形態に係るHAZ効果を回避する又は低減するために、AODサブシステム506は、平均パワーを特定の作動条件のために用いられるレベルに減少させながら高いピークパワーが維持されるように、加工ビーム512のパワー・デューティサイクルを変調する。例えば、加工ビーム512を約100mm/sで動かすとき、約10%のデューティサイクル(約1μsオン、9μsオフ)をもつようにビームを変調することは、減衰された100%デューティサイクル・ビームに対してピークパワーを約10倍(10x)だけ増加させながら、約1μmの容認できるぐらい小さい「バイトサイズ」(パルス間隔ごとの増分プロセス長さ)をもたらす。上記で概説されたジッタ補正と同様に、この機能は、付加的なコストがほとんど無い、又は無い場合がある。
【0115】
XI.プロセスの改善:プルームの回避
AOD作動はまた、被加工物上の又は被加工物内の対象材料のアブレーションの間のプルームの影響を低減し又は回避する機能を提供する場合がある。プラズマ、ガス、又は粒子状の破片として排出される場合がある、被加工物からアブレートされる材料は、例えば、波面歪み、パワー減衰、及び/又はポインティング効果を通じて加工ビームスポットの品質に影響を及ぼすことがある。一実施形態に係るプルームの影響を緩和するために、各スポットが前のスポットのプルームの影響によって影響を及ぼされないように、加工スポットの位置が加工の間に切り換えられる。加工速度Vで走るときに、利用可能なAODフィールド距離(DAOD)にわたるN個の位置(選択された加工軌道に沿って存在するすべてのスポットを備える)の間で加工スポット位置を切り換えることができる場合、前方の加工スポットのプルームは、次のスポットに影響を及ぼす前にDAOD/V/N秒で消散する。例えば、位置N=5、DAOD=50μm、及びV=2m/sのとき、前方の加工スポットのプルームは、次のスポットに影響を及ぼす前に消散するのに約5μsを有する可能性がある。加工軌道が湾曲セグメントを含むとき、分布したスポットの位置は、選択された軌道上に残るように調整されてもよい。
【0116】
XII.レンズを通した視認(through−the−lens viewing)
レーザ加工機において、加工ビームは、被加工物機能部と位置合わせされる。位置合わせは、被加工物の位置合わせ基準(例えば、位置合わせ対象)を位置合わせカメラで識別し、次いで、校正を通じてカメラの視野を加工ビーム位置にマッピングすることによって行われてもよい。速度と効率は、これが2ステッププロセス(レーザとカメラとの校正誤差、及びカメラ基準識別誤差に関係する)を用いるので、及びカメラとスキャンレンズが互いから分離され、これが位置決め段階の再現性と精度に起因する別の不確かさを加えるので、低下される場合がある。
【0117】
或る実施形態において、1つの画像で加工ビームと被加工物との両方のビューを取り込むためにレンズを通した視認を用いることがより望ましく、これは、ビームと基準対象との間の相対位置の測定を可能にする。これは、図5に示されたスキャンレンズ520を2つの波長(加工波長と視覚波長)で作動するように設計することによって達成されてもよい。スキャンレンズの設計では、加工波長と視覚波長との両方に適応するように妥協が時々なされる場合がある。一実施形態は、基準を撮像するときに被加工物524を加工ビーム波長で照らすことによって、この妥協を克服する。
【0118】
例えば、図19は、一実施形態に係るラスタ照明のためにAODサブシステム506を用いるレンズを通した視認のためのシステム1900のブロック図である。システム1900はまた、カメラ1910と、撮像レンズ1912と、ミラー1914と、部分リフレクタ1916と、スキャンレンズ520とを含む。図5に関して上記で解説したように、AODサブシステム506は、合焦されたレーザビーム525を被加工物524に提供する、スキャンレンズ520に提供される加工ビーム512を偏向するためのAOD530、532を含む。加工ビーム512と同じ波長をもつ照明源を見つけ出すことは難しい場合があり、(数ナノメートル以内でさえも)異なる波長を用いることは検査分解能を劣化する可能性がある。
【0119】
代わりに、加工ビーム512の一部を分離(split off)し、被加工物524を照射するのに用いることができる。これは、ビームスプリッタ及びデフューザ又は他のデフォーカス素子で行うことができ、これは付加的な光学的構成要素、位置合わせ、及び複雑さを与える可能性がある。したがって、図19に示された実施形態において、AODサブシステム506は、被加工物524上の領域を一様なフルエンスで満たすラスタパターンを用いて被加工物524を照らすために用いられ、且つ被加工物524への加工ビームの位置合わせのための参照として用いるためにより高い強度の1つの参照スポットを含む。部分リフレクタ1916は、被加工物524から反射された光をピックオフし、ミラー1914は、反射された光を撮像レンズ1912を通して向け直して、カメラ1910に像を合焦する。被加工物524で反射された光をピックオフし且つスキャンレンズ520に再結像するために光路を付加することは、カメラ1910が被加工物524及び参照スポットを撮像し且つ基準に対するビームの相対的な位置合わせを決定することを可能にする。
【0120】
図19に示された実施形態はまた、スポット焦点(位置合わせカメラにおけるスポットサイズを最小にする)を維持するために、正しいスキャンレンズZ高さ調整を決定する機能を提供することができる。3〜5個の個別のレンズZ高さで再結像されたスポットサイズを記録することは、期待されるスポットサイズ成長対Z高さへの曲線の当てはめ後に最適なスポット位置を導出するのに十分な情報を提供する場合がある。
【0121】
この位置合わせ技術は、非常に良好なビームと基準との位置合わせ精度(例えば、スポットサイズの約10%未満)を提供することができる。これは、被加工物上のXY位置が加工と位置合わせに対して同じであってもよいので、被加工物上の2つの個別のスキャン・フィールド領域を迅速に位置合わせする機能を提供することができる。1つのスキャン・フィールドのスポットを隣接するスキャン・フィールドの加工された機能部と位置合わせすることによって、まだ互いに接合されている2つの加工フィールドが高い精度で個別に加工されてもよい。
【0122】
レンズを通した視認の付加的な特徴は、加工されるべき部分の表面にわたるビーム位置決め誤差をマッピングする能力である。こうした広いフィールドにわたる部品の加工の1つの課題は、ビームがテレセントリックではない場合があり(例えば、被加工物におけるビーム角がゼロではない又は法線方向から外れる場合がある)、且つフィールドにわたって変動することである。任意のZ高さ変動によって乗算されるこの角度が、XY位置決め誤差をもたらす。広いフィールドのスキャンレンズに対するテレセントリック角は、約15度までとなる場合がある。被加工物の表面変化は、約+/−100μmとなる場合がある。したがって、テレセントリック角と被加工物の表面変化との組合せが、(例えば、約10μmから約20μmまでの間の範囲内の誤差量に対して)約+/−26μmまでのXY誤差をもたらす場合がある。フィールドにおける幾つかの点(加工フィールドにわたって部品のZ起伏を精密にマッピングするのに十分なだけのサンプル)でのこれらの位置オフセットを記録するためにレンズを通した視認を用いることによって、テレセントリック誤差を除去することができる。基準に対する加工スポットの場所が精密に(数ミクロン以内に)測定されてもよいように、被加工物上の一組の参照基準が用いられてもよい。レンズを通した(through−the−lens)構成においては、スポット位置の絶対測定が難しい場合がある。スポット位置の測定は、しかしながら、位置合わせの間に又は部品加工の間にリアルタイムで行われてもよい。
【0123】
一実施形態において、方法は、加工レーザビームを被加工物機能部と位置合わせすることを含む。加工レーザビームは、被加工物機能部を加工するための所定の波長を含む。方法は、加工レーザビームをスキャンレンズを通る伝搬路に沿って被加工物に伝搬することを含む。方法は、位置合わせ対象を備える被加工物の選択された領域を、スキャンレンズを通して所定の波長の操作された加工レーザビームで照らすように、加工レーザビームを操作することをさらに含み、選択された領域は、スキャンレンズを通して提供される加工レーザビームの参照レーザビーム・スポットよりも広い。方法は、スキャンレンズを通して戻る操作された加工レーザビームの反射の少なくとも一部を、被加工物の選択された領域を撮像するためのカメラに方向付けることと、カメラによって取り込まれた選択された領域の画像に基づいて、位置合わせ対象に対する参照レーザビーム・スポットの位置を判定することをさらに含む。
【0124】
一実施形態において、加工レーザビームを被加工物機能部と位置合わせするためのレーザ加工システムが提供される。加工レーザビームは、被加工物機能部を加工するための所定の波長を備える。システムは、加工レーザビームを提供するためのレーザ光源と、加工レーザビームを被加工物上の又は被加工物内のレーザビーム・スポットに合焦するスキャンレンズと、AODサブシステムとを含む。AODサブシステムは、スキャンレンズを通して一様なフルエンスで被加工物の選択された領域を照らすレーザビーム・スポットのラスタパターンを生成し、選択された領域は位置合わせ対象を含む。AODサブシステムは、スキャンレンズを通して選択された領域内に参照レーザビーム・スポットをさらに提供し、参照レーザビーム・スポットは、レーザビーム・スポットのラスタパターンの強度よりも高い強度である。システムはまた、選択された領域からスキャンレンズを通して戻る加工レーザビームの反射の少なくとも一部を方向付けるための光学素子と、被加工物の選択された領域を撮像するためのカメラとを含む。選択された領域の画像は、位置合わせ対象に対する参照レーザビーム・スポットの位置を判定するために用いられる。
【0125】
或る実施形態において、光学素子は、選択された領域からスキャンレンズを通る加工レーザビームの反射を受けるための部分リフレクタと、該部分リフレクタからの加工レーザビームの反射の少なくとも一部を受け、且つ該反射の少なくとも一部をカメラの開口部上に合焦するための撮像レンズとを含む。
【0126】
或る実施形態において、システムは、位置合わせ対象に対する参照レーザビーム・スポットの判定された位置に基づいて位置決め誤差を計算するためのコントローラをさらに含む。計算された位置決め誤差に基づいて、コントローラは、選択された被加工物機能部に対する加工レーザビーム・スポット位置を位置決めするようにAODサブシステムにコマンドする。加工レーザビームは、選択された被加工物機能部を加工するために、所定の波長の加工レーザビームが加工レーザビーム・スポット位置に合焦されるように、スキャンレンズを通る伝搬路に沿って伝搬する。
【0127】
XIII.例示的なAOD制御の実施形態
【0128】
(a)序文
【0129】
このセクションは、加工の間にAOD偏向コマンドを判定する式の例を含む、一実施形態に係るAOD制御アーキテクチャを用いるLDA加工を説明する。
【0130】
AODは、少なくとも2つの機能、すなわち、(1)加工ビームの寸法を広げるためのビーム位置ディザリング、及び(2)アブレートされた機能部に対する傾き制御を可能にするための振幅変調を提供する。傾き制御は、機能部の交差部における容認可能な深さ変動を得る態様である。
【0131】
AOD周波数及び振幅変調コマンドは、この例においてFPGAを通じて更新される。例えば、図22は、一実施形態に係るFPGA2200において実行されるAOD制御データフローを表すブロック図である。公称更新周期は約260nsである。基本ディザ・テーブル2210は、アプリケーション毎の基準でFPGA2200にロードされてもよい。このディザパターンは、加工の間に動的に2つのAOD軸の間でスケール変更され且つ分割される。加えて、振幅変調コマンドがレーザパワーを動的に制御する。
【0132】
このアーキテクチャは、例えば、異なるディザ波形、galvo誤差補正、及び/又はプロファイリング支援の組を含むように拡張されてもよいことを、本明細書での開示から当業者は認識するであろう。
【0133】
(b)全般的な定義
【0134】
XYビーム位置決め軸は、AOD軸と位置合わせされない(galvoブロック内部の回転ミラーの角度のために)。したがって、この例におけるAOD軸は、軸X及びYではなく軸0及び1として言及される。
【0135】
ディザ:一方又は両方のAOD軸への周波数コマンドを迅速に変えるプロセス。被加工物上の又は被加工物内の加工ビームの場所は、AOD周波数コマンドの線形関数である。
【0136】
F0:AOD周波数コマンド、軸0。
【0137】
F1:AOD周波数コマンド、軸1。
【0138】
Fnom:ゼロ偏向のときの公称AOD周波数コマンド(公称上は110MHz)。
【0139】
Fd[1..Nd]:上記で説明された「ディザ・テーブル」2210を備える偏向周波数の組。
【0140】
Nd:偏向周波数点の数。
【0141】
Kw:ディザ幅スケーリングファクタ。ディザなし(公称加工ビーム)のときKw=0。
【0142】
W0:公称幅(ディザリングされていない加工ビームのとき)。
【0143】
Wmax:AODフル偏向のときの最大幅。
【0144】
Lwc:幅変化遷移の長さ。
【0145】
Wk:プロセス・セグメントkの端部の幅。
【0146】
θ0:ディザ角オフセット。システムXY軸に対するこの角度で切削されるルート(routs)は、トレンチを広げるためにAOD1を偏向する。角度は、X軸に対して画定されるプラスのCCWである。
【0147】
Vx=X軸速度。
【0148】
Vy=Y軸速度。
【0149】
線量:トレンチ品質を決定する基本プロセス・パラメータであり、パワー/速度、又はW/(m/sec)=(J/sec)/(m/sec)=J/mとして定義される。加工の間、線量は、焦点における公称(ディザリングされない)加工ビームに対して定義される場合がある。
【0150】
(c)AOD周波数の更新
【0151】
次式は、例示的な実施形態に係る加工の間にAOD周波数コマンドを生成するプロセスを説明する。インデックスは、以下に示すように、SCCから流れる又はデータテーブルから引き出される変数に対して用いられる。インデックスのない変数は、計算され又は測定される。この例において、「j」個のプロセス・セグメント(種々のタイミング)と、FPGA2200からの「k」個の更新(公称上は260ns)が存在する。
【0152】
DSP及びFPGA2200の更新周期は公称であり、スループット(DSPに対する)又はAODドライバの性能(FPGA2200に対する)に応じて、(例えば、0.1〜5.0μ秒の範囲内に)調節されてもよいことに注意されたい。
【0153】
(c−i)直線加工
【0154】
W[j]=現在のプロセス・セグメントに対する幅であるとき、
Kw=(W[j]−W0)/(Wmax−W0)、
θ=atan(Vy/Vx)−θ0、
Fo=Fnom+Fd[k]Kw、
F0=Focos(θ)、
F1=Fosin(θ)。
【0155】
(c−ii)コーナー加工
【0156】
加工軌道が方向を変える場合、Vy及びVxは、回転セグメントの間に動的に変化する。回転は、(公称上)一定の接線速度(Vx^2+Vy^2=一定)で行われる。θは、時間、既知の最初の角度及び最後の角度の関数として補間されてもよい。
【0157】
工具経路は、特にKw>0である広いラインのとき、コーナーが連続し且つ正弦プロファイル(又は正弦プロファイリングへの適切な近似)となるように、平滑化されたセグメントのみを用いるように任意選択で制約される場合がある。
【0158】
(c−iii)幅の変化
【0159】
幅の変化の間、ディザ係数Kwはリアルタイムで更新される。
【0160】
Tseg=幅変化セグメントの加工に費やされた累積時間(時間の関数)であるとすると、
V[j]=V[j−1]=プロセス・セグメントの速度、
Lwc=幅変化プロセス・セグメントの長さとなる。
【0161】
時間の関数としてのリアルタイムの幅は、
W=W[j−1]+(W[j]−W[j−1])Tseg/(Lwc/V[j])
であってもよく、次いで、ディザ係数Kwは、
Kw=(W−W0)/(Wmax−W0)
であってもよい。
【0162】
(d)パワー変調
【0163】
(d−i)作動モード
【0164】
AODサブシステムにおけるパワー変調は、ビーム「シャッタリング」(オン/オフ)、中程度の更新速度(約0.1〜5μs)での加工の間のパワー変調、及び高い更新速度(約260〜2000ns)での偏向ディザリングの間のパワー変調を含む、幾つかの目的を達成する。
【0165】
この例におけるビーム「シャッタリング」は、ドライバのデジタル変調離散入力(digital modulation discrete input)(DMOD)を通じて提供される。プロセス制御及びディザリングのためのパワー変調は、AODドライバのアナログ変調入力(analog modulation input)(AMOD)を通じて提供される。
【0166】
シャッタリングは、実質的にフル消光(アナログ変調は、ゼロコマンドであってもパワーをリークする場合がある)を提供するようにオン/オフ制御するために用いられてもよい。これは、例えば、Qスイッチ制御なしのモードロックされたレーザに対して有用である。
【0167】
加工パワー変調は、速度が動的に変化する場合に又は交差部における機能部の端壁の傾きをシェイプするために、被加工物機能部に対する所望の線量(パワー/速度比)を維持することを意図される。
【0168】
ディザリングパワー変調は、少なくとも2つの目的、すなわち、(1)偏向コマンドの関数として回折効率を正規化するため、及び(2)側壁に制御された傾きをもたらすために用いることができる偏向位置の関数としてビーム強度プロファイルを形成するために機能する。傾き制御(具体的には、減少された傾き角)は、アブレートされる機能部の交差部における深さ制御を改善する。
【0169】
(d−ii)加工パワー変調
【0170】
パワーは、線量と速度の関数として変調される。速度は、加速セグメント及び減速セグメントの間に変動し、線量は、異なる幅をもつ2つのセグメントの線量の間で遷移するセグメントにおいて、又は異なる深さに遷移するために変動する可能性があり、
線量=線量[j−1]+(線量[j]+線量[j−1])Tseg/(Lwc/V[j])
である。そして、加工パワーは、線量と速度との積によって変調され、
P=線量
である。
【0171】
パワーは、AODにおける減衰を通じて制御されてもよい。AODは、その減衰応答を線形化するために校正されてもよい。最大(減衰されていない)パワーレベルPmaxは、部品を加工する前に測定されてもよい。したがって、
Atten=P/Pmax
である。
【0172】
(d−iii)高速パワー変調(「(シェイピング)」)
【0173】
位置決めディザと同期された高速振幅変調は、正確な交差部加工に対応するように側壁の傾き制御をプロファイルするために強度を合わせる。これは、ビームの強度プロファイルの「形成」として知られている。この変調は、それらが2つの個別のステップであってもよいので、本明細書で解説された高速線形化補償と混同されるべきではないことに注意されたい。所望の速度(例えば、約260nsの更新速度)のために、高速変調は、FPGA参照テーブル(LUT)において実施される。
【0174】
スケーリングファクタKsは、上記で説明された偏向ディザと同様に強度シェイピングをスケール変更する。スケーリングは、交差部に対してのみシェイピングが用いられることを可能にし、したがって、広い機能部の長期にわたる実行の間の顕著なパワー損失を回避し又は低減する。
【0175】
Nd=ディザ・テーブル2210におけるエントリの数(例えば、約256エントリ)、
Shape[k]=シェイピング値のテーブル2212(0〜1;Ndエントリ)、
Ks=シェイピング・スケールファクタ(0〜1;0.1〜5μsの速度で更新される)と与えられると、
次に、シェイピングテーブル2212のスケーリングは、
Kshape=1−Shape[k]Ks(kが1とNdとの間で連続的に循環するとき)
によって与えられる。
【0176】
すべての1秒のShape[ ]テーブル2213は、実際にはゼロパワー(Ks=1のとき)に対応することに注意されたい。したがって、テーブルは、(1−NomShape)をロードされてもよく、ここで、ユーザは、フルパワーのときNomShape=1、及びゼロパワーのとき0を指定する。
【0177】
(d−iv)AOD応答及び線形化
【0178】
上記で説明されたパワー変調モードは、振幅変調コマンドがビームパワーにおける線形応答を生じることを前提とする。しかしながら、振幅変調コマンドへのAODの応答は、非線形である場合があり、したがって、正規化される場合がある。
【0179】
AODは、(偏向振幅を決定するRF周波数と共に)そのRF駆動部振幅が変動するときに出力ビームパワーを減衰する。減衰特徴は、振幅変調コマンドの或る値においてピーク伝送(最小減衰)をもつ正弦関数によって概算される。この関係は、図20及び図21に示されたものと同様の「回折効率(diffraction efficiency)」(DE)曲線によって例示される。単一のRF周波数(したがって固定された偏向角)に対して、この変調曲線は、単一の(LUT)を通じて線形化されてもよい。
【0180】
異なるRF周波数(偏向位置)が用いられるときに困難な状況が生じる場合がある。DE曲線のピークは、異なる変調コマンドで発生する可能性があり、DEピーク値は、RF周波数の関数として変動する場合がある。この影響は、小さい(例えば、小さい偏向範囲に対して約10%〜約20%のオーダー、スポット直径の5〜10倍のオーダーの)場合があるが、幾つかの加工用途の懸念事項となるのに十分なだけ大きい場合がある。
【0181】
これを適正に正規化するために、周波数の特定の範囲に対して固有の振幅変調補正LUTを適用することができる。偏向範囲が中程度(例えば、スポット直径の約3倍〜5倍)である、或る実施形態に対しては、8つのLUTが十分である。各AOD軸に対して一組のLUTが用いられてもよい。
【0182】
LUTは、振幅変調コマンドへの直接マッピング又は線形化スケーリングファクタのいずれかを提供することができる。スケールファクタの実装は、データポイントの数及び/又は補間する必要性を低減することができる。スケーリングの実装は図22に示された。
【0183】
或るAOD作動モードは速い(例えば、約4MHz)振幅変調を用いる可能性があるので、LUT補正は各周波数コマンド更新に対して(FPGAレベルで)適用される場合がある。
【0184】
(d−v)振幅変調の要約
【0185】
要約すれば、振幅変調は、3つの減衰因子、すなわち、(1)加工パワー、(2)速い振幅変調(位置ディザリングと同期される)、及び(3)周波数に依存する線形化、の積によって生成されてもよい。完全なパワー変調シーケンスは、以下のように説明することができる。加工パワー変調値(Kpwr)が、プロセス更新周期ごとに1回、線量及び速度(パワー=線量速度)に基づいて指定され、周波数コマンドが(ディザ更新サイクルごとに1回)ディザ・テーブル2210から計算され、高速振幅変調値(Kshape)が(ディザ更新サイクルごとに1回)計算され、所望の減衰コマンドがAttenDes=KpwrKshapeによって与えられ、振幅変調コマンドが現在の周波数コマンドとAttenDesに基づいて線形化LUTによって生成される。
【0186】
図22は、位置ディザ、シェイピング減衰、低速減衰、及び線形化の詳細を含む、FPGA AOD制御ブロックを例示する。
【0187】
或る実施形態において、1つのみのAODがパワーを制御するのに必要とされる場合があることに注目されたい。AODは「飽和」又はフルスケール振幅変調においてより予測どおりに作動するので、アナログ変調コマンドを1つのAODチャネル(Ch0)に対して一定に保つ際に利点が存在する場合がある。第2のAOD(Ch1)はビーム減衰を制御する。
【0188】
線形化テーブル2214は、Ch0の光学的効率を線形化するのに依然として用いられる。Ch0減衰コマンド(Atten0)と、全体に及ぶ(global)低速減衰コマンド(Kpwr)と、ディザ減衰(Kshape)との積が、Ch1の選択された減衰(Atten1)である。これは、Ch1アナログ変調コマンドを生じるCh1線形化テーブル2215によって処理される。
【0189】
Ch0に対するCh0アナログ変調コマンド出力は1に保たれる。Ch0に対する線形化テーブル2214は、このとき単一のパラメータ(周波数コマンド)の関数である。Ch1線形化テーブル2215は、選択された減衰と周波数コマンドとの両方の関数のままである。
【0190】
(e)分解能とタイミング
【0191】
上記で説明されたデータに対する最小分解能及び更新速度は、以下の表に要約される。より高い分解能又はより速い更新速度は容認可能である。以下で解説されないが、ディザ更新周波数に近いパルス繰返し周波数をもつレーザを用いる場合、RF周波数の更新は、レーザパルスタイミングと同期されてもよい。
【0192】
待ち時間補正2216は、パワー制御とビーム位置決めとを同期するために提供される場合がある。交差部加工の間の協調許容誤差は、被加工物において約1μm〜約2μmのオーダーである。約1m/s〜約2m/sの加工速度に対して、これは、約1μsの分解能をもつパワー協調を用いる。
【0193】
この協調が用いられる少なくとも2つの領域が存在する。両方の事例において、交差部加工の品質は、交差するトレンチの壁の傾きの制御に依存する。
【0194】
(e−i)振幅変調のシェイピング
【0195】
振幅変調をシェイピングする目的は、ディザ周波数と同期された振幅変調でトレンチ機能部の側壁をシェイプすることである。DAC変換及び/又はAODドライバ応答のような待ち時間ソースが考慮に入れられてもよい。一実施形態において、シェイピング・テーブル2212は、各々に対する更新周期が1マイクロ秒未満であるので、周波数ディザ・テーブル2210に対して「歪められる(skewed)」。
【0196】
(e−ii)低速振幅変調
【0197】
振幅変調の目的は、一般的なプロセス制御であり、例えば、所望の機能部深さを維持するための線量制御である。1つの事例は、交差するトレンチの端部におけるパワー制御である。この場合、パワーは、適正な位置で適正な端壁の傾きを生じさせるために急速に減衰される。交差における約5%未満の深さ変動に寄与し、且つ20μmの端壁遷移域を前提とするように端壁の傾きを制御するために、1μmの位置決め精度(タイミングとビームポジショナの位置決めとの両方のため)が用いられる。約1m/sで加工する場合、これは、約1μs未満のタイミング精度を用いる。
【0198】
交差部を加工する1つの手法は、一定の速度で交差部を通過し(位置決めシステムへの外乱を最小にするために)、且つ正しい位置で遷移するように線量の立下りのタイミングを合わせるようにビームポジショナを走らせることである。待ち時間の影響は、遷移位置を(待ち時間速度)だけシフトすることによって対処されてもよい。しかしこれは、速度のあらゆる変動(例えば、加工速度の増大)が転移点をシフトするという副作用を有する可能性があるので危険な場合がある。したがって、ビームポジショナに対する線量制御のタイミングを調整することによって待ち時間調整2216が作成される。
【0199】
前進(advance)と遅滞(retard)との両方の調整は、複数のコマンド更新周期(Tupdate)におけるビームポジショナ位置コマンドを遅延すること、及び断片的な(fractional)遅延時間に対する線量遅延パラメータを調整することによって行うことができる。断片的な遅延は、AODサブシステムに伝送される前の線量コマンドに対してFIRフィルタによって実施することができる。更新周期よりも短い遅延に対するフィルタの例は、
Dout[k]=(1−Cd)Dcmd[k]+CdDcmd[k−1]
であり、式中、
Dout=AODサブシステムへの待ち時間により補正された線量コマンド、
Dcmd=コマンド・ストリームからの線量コマンド、
k=時係数、
Cd=遅延係数=遅延/Tupdate。
【0200】
以下の表は、一実施形態に係るAOD更新計算に用いられる例示的なパラメータ及びデータテーブルをまとめたものである。
【表1】

【0201】
XIV.例示的な交差部加工の実施形態
【0202】
(a)序文
【0203】
このセクションは、レーザ加工の間に交差する機能部を作製するための手法を概説する。このタイプの加工は、機能的なレーザ加工システムを作製する一助となり、且つシステム設計における課題となる場合がある。
【0204】
或る実施形態に係るアブレートされる機能部の交差部加工の課題は、約±10%の深さ変動の所望の制御に起因する。深さ制御の許容誤差の理由は、降伏電圧(トレースから下にある接地平面までの)、リーク、及びインピーダンス変動を含む。
【0205】
(b)基本手法
【0206】
アブレートされる機能部の深さは、累積レーザ・フルエンスとほぼ線形である。したがって、交差部の二重露光は、結果として約100%深さ変動をもたらす場合がある。これを回避するために、交差部は、交差点で「突き合わせ」トレンチの切削を終えることによって作製される。この手法を用いる深さ変動は、位置及び振幅変調を通じて修正することができる加工ビームの形状に依存する。
【0207】
(b−i)ガウスビーム
【0208】
システムは、深さ変動を最小にする最適な重なり点で終わるように、交差する機能部を切削してもよい。しかしながら、ガウスビームの累積フルエンスは、これを難しいものにする場合がある。図23は、交差部が加工される前の公称トレンチと突き合わされるトレンチとを例示する。図24は、図23に示された突き合わされるトレンチ軸に沿った断面を例示する。突き合わされるトレンチの端部の傾きは、公称トレンチの傾きよりも断面において小さいことに注意されたい。これは、突き合わされるトレンチの頭部における累積フルエンスに起因する場合がある。傾きの不整合により、完璧な交差を作製することができない場合がある。図25及び図26は、約±10%の深さ変動を有する最適な交差部の結果を例示する。交差は、位置変化に対する許容誤差がないことを可能にする。
【0209】
(b−ii)ディザリングされたビーム
【0210】
加工ビームがディザリングされないとき、結果として得られたトレンチの傾きは、(一定の)ガウススポット直径によって決定される。トレンチ軸に対して法線方向の加工ビームをディザリングすることによって、突き合わされる傾きと公称傾きがほとんど等しくなり且つ勾配がよりゆるやかになるように、側部の傾きを修正することができる(図27及び図28参照)。最適な交差点において、深さ変動は約2%未満である(図29及び図30参照)。しかしながら、位置決め誤差に対する感度は、依然として容認できない場合があり、例えば、1μmの位置誤差は、10%よりも大きい深さ変動をもたらす場合がある。
【0211】
(b−iii)傾きのシェイピング
【0212】
ディザリングされたビームは、ディザリングが交差する加工ビームの傾きを減少させるので、交差を改善する。しかしながら、これらの傾きは、ビームパワーを一定に保ちながらビーム位置をディザリングすることによってほんの控えめに減少される場合がある。トレンチの傾きの付加的な制御は、「公称」トレンチに対して(その側壁の傾きを制御するために)ディザリングされたビームのパワーをディザ位置の関数として変調することによって、及び/又は突き合わされるトレンチが交差部に接近するのに伴って(端壁の傾きを制御するために)ビームのパワーを変調することによって提供することができる。
【0213】
Ebpの交差位置決め誤差許容誤差、及びΔの許容できる相対的な深さ変動を仮定すると、傾き遷移域の幅は、Ws=Ebp/Δによって与えられる。例えば、Ebp=1μm及びΔ=0.05(5%)では、Ws=20μmである。
【0214】
制御された傾きをもたらす簡単な方法は、(公称トレンチに対するディザ変調、及び突き合わされるトレンチ上の位置に依存する変調を用いて)遷移域にわたって0から1までの直線ランプを伴うAOD減衰をプロファイルすることである。結果として得られた累積フルエンスは、振幅変調とビーム・プロファイルとの重畳である。ビーム直径に等しい減衰曲線の「フラット・トップ」部分は、遷移の傾きを反対の傾きによって影響されないよう保つ。
【0215】
図31は、遷移の傾き上で20μmの幅の、公称トレンチと突き合わされるトレンチとの対を例示する。図32は、交差前のトレンチの断面を例示する。この場合、公称トレンチの1つのみの壁が傾けられ、一方、突き合わされるトレンチのプロファイルは形成されない。形成(シェイピング)は、スループットの影響を最小にするために望ましい場合がある。形成(シェイピング)は、減衰を通じて実施される場合があり、したがって有効レーザパワーとスループットを減少させる場合がある。公称トレンチと突き合わされるトレンチが異なるディザパターンで形成される事例では、2つのトレンチに適用される有効線量(J/m)は、トレンチ深さを正規化するために調整される。
【0216】
図33は、最適な位置決めにより完成した交差部を例示し、一方、図34は、最適な位置における、±1μmの許容誤差を伴う、結果として得られた深さ変動を例示する。予想通りに、20μmの幅遷移は、約±1μmの位置決め誤差を与える約±5%の深さ変動を生じる。
【0217】
(b−iv)十字交差
【0218】
前の例は、より広いトレンチ寸法を犠牲にして交差部深さにわたって良好な制御を提供した。これは、AODに伴う事例である場合がある、ディザ機構の移動範囲が制約される場合に問題となる可能性がある。ディザ移動範囲を縮小させる代替的手法は、突き合わされたトレンチではなく十字のトレンチをもつ交差部を加工することである。各トレンチは、交差部に対称的な「切り欠き部」を備えるように加工される。公称トレンチ深さの半分に等しい切り欠き部深さでは、側部の傾きは、同じトレンチ幅に対する勾配の半分とすることができる。したがって、同じディザ幅に対して、十字手法は、位置決め誤差に対する敏感さが突き合わせ手法の半分である。
【0219】
十字交差は、或る実施形態に係る「T」字交差部の一方の側に短いスタブを生成するが、スタブの短い長さ(数ミクロンの)は、最小限のインピーダンス効果を引き起こす可能性がある。逆に、この手法は、2つの交差するトレンチに対して同一の加工を用いることを可能にし、且つ十字(「T」字ではない)交差の加工を簡単化する。
【0220】
図35、図36、図37、及び図38は、或る実施形態に係る切り欠き部を用いる十字交差の特性を例示する。前の例の半分のディザ幅を用いながら同じ位置許容誤差が達成される。
【0221】
図39は、交差部に小さいスタブ(数ミクロンの長さ)を生じるT字交差の一実施形態を例示する。上記で説明されたように、図39に示された実施形態は、交差部におけるノッチを用いて生み出されてもよい。結果として得られたスタブは、結果として得られたトレンチが電気伝導のためにめっきされるときにインピーダンスに対してほとんど変化を引き起こさない又は引き起こさない可能性がある。
【0222】
(c)加工パラメータの定義
【0223】
或る実施形態に係る交差部を適正に加工するために、位置ディザリング、振幅ディザリング、及びパワー制御のためのパラメータが定義される。これらのパラメータは、公称ガウススポットサイズ、トレンチ深さ、トレンチ幅、及び加工速度のような用途の種々の特性に依存する。上記で説明された例示的なアーキテクチャにおいて、高速振幅及び位置ディザパラメータは、FPGA参照テーブルを用いて作製される。或る実施形態に係る同じディザパラメータによるすべての交差部の生成は、多数のディザ・テーブルによる過度の複雑さを回避する。これは、交差部のために用いられる同じディザパラメータが、容認可能な場合がある広いトレンチを生成するために適用されることを示唆する。別の実施形態は、異なる機能部タイプに対する複数のディザ・テーブルをロードすることを含む。
【0224】
交差部を加工するために、以下のステップ、すなわち、速度を交差のために所望される速度に(例えば、精度、コマンド更新速度、及び他の加工因子に基づいて)変化させるステップと、幅(ディザ位置)及び線量(深さを維持するために)を変化させるステップと、断面形状(ディザ振幅)及び線量(要求される場合、深さを維持するために)を変化させるステップと、線量(交差部の傾きを生じる)を減少させるステップと、幾らかの距離にわたって線量を公称の半分に維持するステップ(これは任意選択であってもよい)と、線量(反対側の交差部の傾きを生じる)を増加させるステップと、断面形状(ディザ振幅)と線量(要求される場合、深さを維持するために)を変化させるステップと、幅(ディザ位置)及び線量(深さを維持するために)を変化させるステップと、速度を公称に戻るように変化させるステップと、のうちの少なくとも幾つかに従う場合がある。
【0225】
或る実施形態において、ステップは、深さ制御に影響を及ぼす可能性がある相互作用を回避するために、順次に及び個別に完了してもよい(例えば、幅と速度変化とを組み合わせるときに非線形のパワー制御が用いられてもよい)。
【0226】
図40の図は、一実施形態に係る交差部における線量及び形状の制御の動的挙動を例示する。
【0227】
基礎をなす本発明の原理から逸脱することなく上記で説明された実施形態の詳細に多くの変化が加えられてもよいことが当業者によって理解されるであろう。本発明の範囲は、したがって、以下の請求項によってのみ定められるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工レーザビームを被加工物機能部と位置合わせするための方法であって、前記加工レーザビームは、被加工物機能部を加工するための所定の波長を備え、前記方法が、
前記加工レーザビームを、スキャンレンズを通る伝搬路に沿って被加工物に伝搬させることと、
前記スキャンレンズを通して、位置合わせ対象を備える前記被加工物の選択された領域を、前記所定の波長の前記操作された加工レーザビームで照射するように、前記加工レーザビームを操作することと、
前記スキャンレンズを通して戻る前記操作された加工レーザビームの反射の少なくとも一部を、前記被加工物の選択された領域を撮像するためのカメラに方向付けることと、
前記カメラによって取り込まれた前記選択された領域の画像に基づいて、前記位置合わせ対象に対する前記加工レーザの参照レーザビーム・スポットの位置を判定することと、
を含み、
前記選択された領域は、前記スキャンレンズを通して提供される前記加工レーザビームの参照レーザビーム・スポットよりも広い、方法。
【請求項2】
前記位置合わせ対象に対する前記参照レーザビーム・スポットの前記判定された位置に基づいて位置決め誤差を計算することと、
前記計算された位置決め誤差に基づいて、選択された被加工物機能部に対する加工レーザビーム・スポット位置を位置決めすることと、
前記所定の波長の前記加工レーザビームが前記加工レーザビーム・スポット位置に合焦されるように、前記スキャンレンズを通る伝搬路に沿って前記加工レーザビームを伝搬させ、前記選択された被加工物機能部を加工することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記被加工物の前記選択された領域を照らすように前記加工レーザビームを操作することが、前記加工レーザビームを拡散すること又は脱合焦することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記被加工物の前記選択された領域を照らすように前記加工レーザビームを操作することが、音響光学偏向器(AOD)サブシステムを用いて、前記被加工物の前記選択された領域を一様なフルエンスで満たすレーザビーム・スポットのラスタパターンを生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記AODサブシステムを用いて、前記参照レーザビーム・スポットを前記レーザビーム・スポットの前記ラスタパターンの強度よりも高い強度で提供し、前記位置合わせ対象に対する前記参照レーザビーム・スポットの前記位置の前記判定のための参照として用いることをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記加工レーザビームが前記被加工物における複数のレーザビーム・スポット位置に合焦されるように、前記スキャンレンズを通る前記伝搬路に沿って前記加工レーザビームを伝搬することと、
前記スキャンレンズを通して前記カメラを用いて、前記被加工物における前記複数のレーザビーム・スポット位置の各々におけるそれぞれのレーザビーム・スポットを撮像することと、
前記撮像に基づいて、前記被加工物に関する前記スキャンレンズの高さを補正するようにそれぞれの前記レーザビーム・スポットの各々のサイズを測定し、所望のスポット焦点を維持することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記被加工物の選択された領域を照らすように前記加工レーザビームを操作する前記ステップと、前記位置合わせ対象に対する前記レーザビーム・スポット位置を判定する前記ステップとが、前記被加工物機能部を前記加工レーザビームで加工する前の位置合わせ手順の間に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記被加工物の選択された領域を照らすように前記加工レーザビームを操作する前記ステップと、前記位置合わせ対象に対する前記レーザビーム・スポット位置を判定する前記ステップとが、前記被加工物機能部を前記加工レーザビームで加工する間にリアルタイムで行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
加工レーザビームを被加工物機能部と位置合わせするためのレーザ加工システムであって、前記加工レーザビームが、被加工物機能部を加工するための所定の波長を備え、前記システムが、
前記加工レーザビームを提供するためのレーザ光源と、
前記加工レーザビームを前記被加工物上の又は前記被加工物内のレーザビーム・スポットに合焦するスキャンレンズと、
音響光学偏向器(AOD)サブシステムであって、
前記スキャンレンズを通して一様なフルエンスで前記位置合わせ対象を含む前記被加工物の選択された領域を照らすレーザビーム・スポットのラスタパターンを生成し、且つ
前記スキャンレンズを通して、前記選択された領域内に前記レーザビーム・スポットのラスタパターンの強度よりも高い強度で前記参照レーザビーム・スポットを提供する、
ための音響光学偏向器(AOD)サブシステムと、
前記選択された領域から前記スキャンレンズを通して戻る前記加工レーザビームの反射の少なくとも一部を方向付けるための光学素子と、
前記被加工物の前記選択された領域を撮像するためのカメラであって、前記選択された領域の前記画像が、前記位置合わせ対象に対する前記参照レーザビーム・スポットの位置を判定するために用いられる、カメラと、
を備える、システム。
【請求項10】
前記光学素子が、
前記選択された領域から、前記スキャンレンズを通して、前記加工レーザビームの前記反射を受けるための部分リフレクタと、
前記部分リフレクタからの前記加工レーザビームの前記反射の少なくとも一部を受け、且つ前記反射の前記少なくとも一部を前記カメラの開口部上に合焦するための撮像レンズと、
を備える、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記位置合わせ対象に対する前記参照レーザビーム・スポットの前記判定された位置に基づいて位置決め誤差を計算し、且つ
前記計算された位置決め誤差に基づいて、選択された被加工物機能部に対する前記加工レーザビーム・スポット位置を位置決めするように前記AODサブシステムにコマンドする、
ためのコントローラをさらに備え、
前記加工レーザビームは、前記所定の波長の前記加工レーザビームが前記加工レーザビーム・スポット位置に合焦されるように、前記スキャンレンズを通る伝搬路に沿って伝搬し、前記選択された被加工物機能部を加工する、
請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
加工レーザビームを被加工物機能部と位置合わせするためのシステムであって、前記加工レーザビームが前記被加工物機能部を加工するための所定の波長を備え、前記方法が、
前記加工レーザビームを、スキャンレンズを通る伝搬路に沿って被加工物に伝搬するための手段と、
前記スキャンレンズを通して提供される前記加工レーザビームの参照レーザビーム・スポットよりも広い、位置合わせ対象を備える前記被加工物の選択された領域を、前記スキャンレンズを通して前記所定の波長の前記操作された加工レーザビームで照らすように、前記加工レーザビームを操作するための手段と、
前記スキャンレンズを通して戻る前記操作された加工レーザビームの反射の少なくとも一部を、前記被加工物の前記選択された領域を撮像するためのカメラに方向付けるための手段と、
前記カメラによって取り込まれた前記選択された領域の画像に基づいて、前記位置合わせ対象に対する前記参照レーザビーム・スポットの位置を判定するための手段と、
を備えるシステム。
【請求項13】
前記被加工物の前記選択された領域を照らすように前記加工レーザビームを操作するための前記手段が、前記加工レーザビームを拡散する又は脱合焦するための手段を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記被加工物の前記選択された領域を照らすように前記加工レーザビームを操作するための前記手段が、前記被加工物の前記選択された領域を一様なフルエンスで満たすレーザビーム・スポットのラスタパターンを生成するための手段を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記ラスタパターンを生成するための前記手段がさらに、前記位置合わせ対象に対する前記参照レーザビーム・スポットを前記レーザビーム・スポットのラスタパターンの強度よりも高い強度で提供し、前記参照レーザビーム・スポットの前記位置の前記判定のための参照として用いる、請求項14に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図15E】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公表番号】特表2012−528012(P2012−528012A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513327(P2012−513327)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/036707
【国際公開番号】WO2010/138900
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(593141632)エレクトロ サイエンティフィック インダストリーズ インコーポレーテッド (161)
【Fターム(参考)】