説明

レーザ加工装置

【課題】 曲線形状のレーザ加工を行う際に、レーザ照射の移動経路の位置精度が許容範囲内に収まらない。
【解決手段】 外側に膨らませる曲線の半径を算出するための補正データを記憶する手段と、レーザ照射不足を補うために上記座標データに座標を追加するデータを記憶する手段、さらに、レーザ照射位置を読取る手段を設け、照射開始と終了のタイミングを調整する手段を備えている。そして、この構成により、まず、第1の方法として加工する曲線が上記追従遅れにより内回りする現象に対し、外側に膨らませる曲線の半径を前記記憶手段から取り出して座標補正を行って、加工する曲線にレーザ照射を重ね合わせることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被加工物に対してレーザ光を用いて穴あけまたはマーキングなどの加工を行うレーザ加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、多層ビルドアップ基板の加工材料の多様化や生産性の向上に対応できるよう穴あけ加工にレーザ加工装置を用いることが多くなってきている。また、その加工穴の要求されるものは多種にわたっており、単なる円形のものから三角形あるいは長方形のものまで様々な図形を描画できる必要性が高まってきている。
【0003】
従来のレーザ加工方法は、曲線を有する文字・記号・図形等を正確に描画するために、レーザ光の位置決めを行うガルバノスキャナ等の走査装置に与える位置指令座標を、前記走査装置による挙動遅れ時間に基づいて生成された補正点データを、正規の曲線より外側に膨らんだある仮想曲線状に分布させて、前記駆動装置の位置決めを行ってその位置にレーザ光を照射している。
【0004】
また、その仮想曲線の補正点は隣り合った2点を結ぶ延長線状に位置させて、仮想曲線座標を形成している。
【0005】
図11は上記従来のレーザ加工方法を示しており、111は上記仮想曲線上にある補正された指令ポイント、112は補正する前の指令ポイント、113は補正する前の指令経路曲線であり、これは前記ガルバノスキャナの実際の移動経路に相当する。
【0006】
114は補正された指令ポイントの経路であり、これは前記外側に膨らんだある仮想曲線に相当する。
【0007】
以上のように構成されたレーザ加工方法について、その動作を説明する。この加工装置では被加工物に対してガルバノスキャナを用いてレーザ光を2次元方向に走査して任意の文字・記号・図形等を描画している。
【0008】
ところが、前記ガルバノスキャナは一般的に指令された座標データに対して、正確な位置の描画を行えないことがある。これは前記スキャナの駆動において追従遅れが生じ、レーザ光の照射点が、停止状態から動き始めるまでの間に、挙動遅れ時間を要することが原因である。このため、曲線を描画させた場合に内回り現象が生じることがあった。
【0009】
この課題に対し従来は、図11のように正規の曲線より外側に膨らんだ仮想曲線上に分布させた補正点の座標データをガルバノスキャナの挙動遅れ時間に基づいて生成することで正確な図形の描画を行っていた。
【0010】
さらに、その補正点は隣り合った2点を結ぶ延長線状に位置し、かつ、2点のうち指導側の点から、挙動遅れ時間と加工速度に基づいて求められる距離だけ離れた点の座標データを、補正点の座標データとして生成していた。
【特許文献1】特開2001−225181号公報(第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、従来のレーザ加工方法は、正規の曲線より外側に膨らんだ仮想曲線上に分布さ
せた補正点の座標データを求めるために、前記ガルバノスキャナの挙動遅れ時間を算出する演算回路が必要であった。
【0012】
このために挙動遅れ時間は前記ガルバノスキャナのサーボ回路より得られる信号から角度を検出する手段の角度センサや、速度を検出する手段の微分回路が必要であり、さらに、これらのデータから状態を判断する手段のコンパレータ等の組み合わせにより可能となる。
【0013】
そして、検出された挙動遅れ時間を記憶する手段であるメモリや、そのデータを演算するCPU等により補正点データを生成してはじめて前記ガルバノスキャナに動作指令を与えることが可能となる。
【0014】
よって、このレーザ加工方法を実現するにはこれらの制御回路部を精密に設計する必要があり、高精度を要求される加工を行う場合にレーザ照射位置が規定範囲内に収まらないという課題を有していた。
【0015】
本発明は、上記課題を解決するもので、曲線を含んだ任意の文字・記号・図形等を正確に描画することを可能とするレーザ加工方法と加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために本発明は、外側に膨らませる曲線の半径を算出するための補正データを記憶する手段と、レーザ照射不足を補うために上記座標データに座標を追加するデータを記憶する手段、さらに、レーザ照射位置を読取る手段を設け、照射開始と終了のタイミングを調整する手段を備えている。
【0017】
そして、この構成により、まず、第1の方法として加工する曲線が上記追従遅れにより内回りする現象に対し、外側に膨らませる曲線の半径を前記記憶手段から取り出して座標補正を行って、加工する曲線にレーザ照射を重ね合わせることができる。
【0018】
また、円形の描画を行った際に、上記追従遅れによりレーザ照射開始と終了位置が一致せず、終了位置よりも手前でレーザ照射が終了し、加工残りが生じる。そこで、この不足分だけレーザ照射を追加する方法として、レーザ照射終了位置から座標ポイントをオーバーラップさせるためのデータを、前記記憶手段から取り出し補正後の曲線に追加して、レーザ照射不足を補うものもある。
【0019】
さらに、レーザ照射を2回あるいは複数回回転させて加工を行う場合、2回目以降のレーザ照射ポイントを前回の周回で設定したポイントの間に設定してレーザ照射を行うものもある。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明は正確な描画が実現できる高精度加工を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図1から図10を用いて説明する。
(参考例1)
図1は本発明の参考例における円形描画を行った際の座標データの補正位置と実際のレーザ照射位置を示すものである。11は補正された指令座標のポイント、12は補正された指令座標の2周目のポイント、13は実際のレーザ照射ポイント、14は実際のガルバノの移動経路、15はガルバノに与える指令経路を示す。
【0022】
以上のように構成されたレーザ加工方法について、その動作を説明する。
【0023】
レーザを照射して加工を行いたい経路14よりも外側に大きな半径15の各ポイント11及び12を指令座標としてガルバノスキャナにデータを与えることにより、実際のレーザ照射ポイント13は正規の位置に補正される。
【0024】
さらに、ガルバノスキャナの追従遅れによる加工不足を補うために第2周目のポイント12が追加されており、これにより加工開始点の位置から1周して再び加工開始点の位置にレーザ照射ポイントが戻ってきた時点でレーザ照射を終了し、円形描画のレーザ加工を完了することができる。
【0025】
ところで、前記のような座標補正を行わないで、レーザ照射を行うと図2のような動作となる。
【0026】
図2は座標補正を行わない一般的な位置指令により円形描画を行ったときのレーザ照射ポイントの軌跡を示す。レーザの照射位置を見ると、加工開始点から照射された位置から徐々に内側にポイントが移動し、4番目のポイントから最終ポイントまでは一定の半径で照射されていることがわかる。
【0027】
このように実際のレーザ照射ポイントであるガルバノ移動経路14とガルバノ指令経路15との半径の間に差分が生じている。これを一般に半径減少といい、この半径減少の影響で所望の加工が行えない。
【0028】
さらに、指令ポイント11の終了点は加工開始点に一致させているにも関わらず、実際のレーザ照射ポイント13は終了点手前の位置で照射を完了している。つまり、加工不足の部分が存在し、これも同様に所望の加工が行えない原因となる。
【0029】
図3は本発明のレーザ加工装置の構成例であり、31は座標ポイント等の加工データを送信する手段、32はレーザ光を発するレーザ発振器、33はレーザ照射を2次元方向に走査させるにガルバノスキャナ、34は任意の角度で傾斜をもったレーザ光に対し、垂直方向のレーザ光を出力するfθスキャンレンズ35は被加工物36はレーザ照射によって形成される加工穴、37は被加工物35を載せるテーブルであり、X、Y両方向に水平移動できる機構を備えている。
【0030】
以上のように構成されたレーザ加工装置について、その動作を説明する。
【0031】
まず、NC装置等で使用される加工プログラムから穴位置座標を読み取り、コントローラが加工テーブル37またはガルバノスキャナ33へ送信する加工データ送信制御部31へ制御コマンドや加工穴座標、レーザ制御データ等の加工データを送信する。
【0032】
加工データ送信制御部31は加工データのデータ種別によって、各々、XYテーブル制御部、レーザ出力制御部、ガルバノスキャナドライバーへデータを送信する。
【0033】
前記制御手段は各々加工テーブル37、レーザ発振器32、ガルバノスキャナ33を同期させて制御を行う。
【0034】
そして、ガルバノスキャナ33によって任意の角度方向に走査したレーザ光をfθスキャンレンズ34が垂直方向に変え、レーザ光を被加工物35で集光させるように調整して被加工物35上に加工穴が形成される。
【0035】
図1に示すような座標補正を行うには、前記加工データを送信する前に補正座標データを前記加工データ送信制御部31へ渡す必要がある。
【0036】
図4は補正座標の算出処理の方法を示しており、任意の加工形状のデータとレーザ発振条件が与えられるとこの方法により補正計算が行われ、補正されたデータが上記コントローラに渡される。
【0037】
まず、処理が開始されると与えられた加工形状データとレーザ発振条件から加工速度が導かれる。
【0038】
加工速度は加工形状データから得られるレーザ照射ポイント間の距離をレーザ発振条件から得られるポイント間移動時間で除算することにより求められる。
【0039】
さらに、この加工時間を曲線の半径で除算することにより、任意の曲率半径での速度としてパラメータ化できる。本発明ではこれを「速度パラメータ」と定義しており、この計算処理が図4の最初のステップである速度パラメータの計算に相当する。
【0040】
そして、次のステップへ移行するがここでは予め実験により求められた速度パラメータに対する拡大係数がデータとして記憶されている内部記憶1という記憶手段を用いる。
【0041】
拡大係数とは図1で示した実際のレーザパルス照射経路の直径D0に対するガルバノ移動指令経路の直径D1の比であり、拡大係数=D1/D0の関係にある。図4の内部記憶1の表には実際の値を例として示している。以上より拡大係数の値が算出される。
【0042】
次のステップでは補正加工穴の直径の算出を行う。
【0043】
前ステップで求められた拡大係数に補正する前の加工穴径を乗じて求めることができる。
【0044】
例えば、補正前の加工穴径をD、拡大係数をkとすると、補正後の加工穴径D’はD’=k×Dとなる。
【0045】
以上より補正された加工穴径が求まり、図1で示した補正指令ポイント11の座標を生成することができる。
【0046】
次に、加工不足の部分を補うために指令ポイントをオーバーラップさせる座標の算出方法について示す。
【0047】
まず、前ステップで算出された補正後の加工穴径をもとに前記の方法で速度パラメータを再計算し、その値から前記補正後の加工穴径算出と同様の方法でオーバーラップ角度を求める。
【0048】
この角度分だけ座標ポイントを追加することとなる。
【0049】
図4の内部記憶2には速度パラメータに対する実際のオーバーラップ角度の例を示している。
【0050】
以上より、囲う穴径とオーバーラップ角度の2つの補正データ算出を行い、次ステップの指令ポイントの全座標データの作成し、加工データ送信制御部31へ全座標データを送信して処理を完了する。
【0051】
なお、この補正処理や内部記憶の実現方法はCPUやメモリなどの電子回路を用いてもよいし、ソフトウェアを用いて全ての処理を行ってもよい。
【0052】
本発明の参考例では、容易に実現できる方法であるソフトウェアを利用して補正処理を行っている。
【0053】
図5および図6に上記補正計算で使用する実験データを示した。図5は拡大係数によるもの、図6はオーバーラップ角度によるものである。速度パラメータに対する値が読み取れる。
【0054】
以上のように、速度パラメータに応じた拡大係数から補正量を求めて、レーザパルス照射位置を制御する方法に関するレーザ加工装置である。
【0055】
また、上記補正方法を実現するために、拡大係数を記憶しておく手段を設ける方法や、補正量を算出する手段を設けたレーザ加工装置である。
【0056】
さらに、上記補正方法を実現するために、オーバーラップ角度を記憶しておく手段を設ける方法や、補正量を算出する手段を設けたレーザ加工装置である。
(参考例2)
図7はレーザの照射位置をモニタリングしてその曲率半径が規定範囲内だけレーザパルスを照射するタイミングの説明を示す図である。
【0057】
図2で示したようにレーザ照射開始からある時間までレーザ光は所望の経路から外れて内側へ向かって進む。そのときの各ポイントの半径R1からRnまでの時間経過を図7のグラフに示した。
【0058】
R1からR3までは半径が徐々に減少していき、そこからRnまでは一定の半径となる(半径安定領域)。この一定の半径で安定した状態であるか判断するために、動作安定時の半径Rtという値を設定し、ある時点の半径RがRtよりも小さければ安定している(半径安定領域内にある)といえる。
【0059】
よって、R<Rtが偽から真へ変化した瞬間(Ts)にレーザ照射開始を行い、再び偽へ変化した瞬間(Te)にレーザ照射を終了する。
【0060】
これにより、レーザ照射位置が所望の経路上にある場合のみパルスを照射することができるので、正確な位置へのレーザ加工が可能となる。以上のようにレーザ照射パルスを制御するレーザ加工装置である。
【0061】
図8は上記レーザ照射開始終了制御を実現するための装置構成である。81は半径を算出する手段、82は安定動作の判定を行う手段、83はレーザ照射指令制御を行う手段で
ある。
【0062】
まず、ある時点でのレーザ照射位置を知るには、ガルバノスキャナドライバー内の信号を取り出すことにより可能である。
【0063】
図8に示したようにX軸フィードバック信号とY軸フィードバック信号により、ガルバノスキャナのXY座標の現在位置を読み取り、これを回転半径算出手段81で半径を算出する。
【0064】
半径RはR=(X+Y1/2で求めることができるので、これを行う演算回路を備えればよい。
【0065】
そして、上記安定動作判定条件R<Rtを判定する手段として、安定動作判定手段82で真偽の判断を行う。これはコンパレータを備えることで実現できる。
【0066】
そして、この結果に基づいてレーザ照射ON・OFFの制御をレーザ照射指令制御手段83が行う。これはゲート回路を別に設けて、レーザ照射ONの指令でゲート信号をHighに切り替え、レーザ照射OFFの指令でゲート信号をLowに切り替えて、元のレーザパルス指令信号との間にAND回路を設けることで実現できる。
【0067】
これにより、レーザ出力制御部へ照射開始と終了のタイミングを制御した信号を送り出し、ガルバノスキャナの駆動動作が安定状態にある時のみにレーザを照射させることができる。
【0068】
以上のようにレーザ照射パルスを制御するレーザ加工装置である。
(実施の形態1)
図9はレーザ照射の回転回数が2回あるいは複数回の場合のレーザ照射ポイントの設定方法を示した図である。
【0069】
図において、91は第1,3周目の指令ポイント、92は第2,4周目の指令ポイントである。第2,4周目の指令ポイント92は第1,3周目の指令ポイント91のポイント間の中点の位置に設定し、第3周目の指令ポイント91は第2,4周目の指令ポイント92のポイント間の中点の位置に設定するものである。
【0070】
これは、まず第1にレーザ照射の周回数を増やすことで、レーザ照射による熱影響で被加工物が焼損するのを軽減する効果がある。
【0071】
次にレーザ照射ポイントを前回の周回の間に設定することで、レーザ照射エネルギーが1箇所に片寄らず、バランスよく分布することによる上記熱影響の軽減の効果がある。
【0072】
この実現方法は参考例1で説明した装置構成をそのまま利用できる。以上のような指令ポイントを生成する演算回路を備えた装置が請求項2記載のレーザ加工装置である。
【0073】
図10はレーザ照射の回転回数が2回あるいは複数回の場合のレーザ照射ポイントの設定方法を示す図で、特に3回転の場合の例である。
【0074】
図において101は第1周目の指令ポイント、102は第2周目の指令ポイント、103は第3周目の指令ポイントである。第2周目の指令ポイント102と第3周目の指令ポイント103は各々、第1周目の指令ポイント101のポイント間を3分割した位置に設定されている。
【0075】
この方法はN回転する場合、第1周目の指令ポイント101のポイント間をN分割するという方法である。効果については上記と同等である。また、装置構成についても上記と同等である。
【0076】
以上のような指令ポイントを生成する方法に関するものが、請求項3および4に記載のレーザ加工装置である。
【0077】
請求項5に記載のレーザ加工装置は、前記制御手段は、駆動手段による加工穴直径に対する加工速度に応じて選択または演算して補正量を求めてレーザ光の照射位置を補正し、前記駆動手段のレーザ光の現在位置を示す位置波形が所定の位置である時に前記制御手段がレーザパルス照射を行ってレーザパルスの照射開始位置を制御するものである。
【0078】
請求項6に記載のレーザ加工装置は、前記制御手段は、駆動手段による加工穴直径に対する加工速度に応じて選択または演算して補正量を求めてレーザ光の照射位置を補正し、レーザ光と被加工物の相対移動が曲線または円を含み、その回転数が2周以上の複数回数の場合、位置演算手段が前回の周回の隣り合ったレーザパルス照射位置の中間の位置に照射位置を設定して第2周目以降の照射位置を設定するものである。
【0079】
請求項7に記載のレーザ加工装置は、前記制御手段は、駆動手段による加工穴直径に対する加工速度に応じて選択または演算して補正量を求めてレーザ光の照射位置を補正し、レーザ光と被加工物の相対移動が曲線または円を含み、その回転数が3周以上の複数回数で全ての照射ポイントを重複させない場合、位置演算手段が前回の周回の隣り合ったレーザパルス照射位置の2点間を3以上に分割した照射位置に設定して第2周目以降の照射位置を設定するものである。
【0080】
請求項8に記載のレーザ加工装置は、前記制御手段は、駆動手段による加工穴直径に対する加工速度に応じて選択または演算して補正量を求めてレーザ光の照射位置を補正し、前記駆動手段のレーザ光の現在位置を示す位置波形が所定の位置である時に前記制御手段がレーザパルス照射を行ってレーザパルスの照射開始位置を制御し、さらに、レーザ光と被加工物の相対移動が曲線または円を含み、その回転数が2周以上の複数回数の場合、位置演算手段が前回の周回の隣り合ったレーザパルス照射位置の中間の位置に照射位置を設定して第2周目以降の照射位置を設定するものである。
【0081】
請求項9に記載のレーザ加工装置は、前記制御手段は、駆動手段による加工穴直径に対する加工速度に応じて選択または演算して補正量を求めてレーザ光の照射位置を補正し、前記駆動手段のレーザ光の現在位置を示す位置波形が所定の位置である時に前記制御手段がレーザパルス照射を行ってレーザパルスの照射開始位置を制御し、さらに、レーザ光と被加工物の相対移動が曲線または円を含み、その回転数が3周以上の複数回数で全ての照射ポイントを重複させない場合、位置演算手段が前回の周回の隣り合ったレーザパルス照射位置の2点間を3以上に分割した照射位置に設定して第2周目以降の照射位置を設定するものである。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明のレーザ加工装置は、正確な形状を加工することができ、レーザ加工分野等において産業上有用である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明のレーザ加工装置の参考例1における座標補正方法図
【図2】本発明のレーザ加工装置の参考例1における一般的な動作図
【図3】本発明のレーザ加工装置の参考例1および2における装置構成図
【図4】本発明のレーザ加工装置の参考例1における補正量算出処理図
【図5】本発明のレーザ加工装置の参考例1における拡大係数の実験データ図
【図6】本発明のレーザ加工装置の参考例1におけるオーバーラップ角度の実験データ図
【図7】本発明のレーザ加工装置の参考例2における照射タイミング図
【図8】本発明のレーザ加工装置の参考例2における装置構成図
【図9】本発明のレーザ加工装置の実施の形態1における座標指令ポイント図
【図10】本発明のレーザ加工装置の実施の形態1における座標指令ポイント図
【図11】従来のレーザ加工装置の座標補正方法図
【符号の説明】
【0084】
11 補正指令ポイント
12 第2周目の補正指令ポイント
13 レーザ照射ポイント
14 実際のガルバノ移動経路
15 ガルバノ指令経路
31 加工データ送信制御部
32 レーザ発振器
33 ガルバノスキャナ
34 fθスキャンレンズ
35 被加工物
36 加工穴
37 加工テーブル
81 回転半径算出手段
82 安定動作判定手段
83 レーザ照射指令制御手段
91 第1,3周目の補正指令ポイント
92 第2,4周目の補正指令ポイント
101 第1周目の補正指令ポイント
102 第2周目の補正指令ポイント
103 第3周目の補正指令ポイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光と被加工物の相対移動が曲線または円を含み、その回転数が2周以上の複数回数の場合、位置演算手段が前回の周回の隣り合ったレーザパルス照射位置の中間の位置に照射位置を設定するレーザ加工装置。
【請求項2】
レーザ光と被加工物の相対移動が2周以上の複数回数の場合、前回の周回のレーザパルス照射位置を記憶する記憶手段と隣り合う2点間の中間点を求める演算手段を備えた請求項1記載のレーザ加工装置。
【請求項3】
レーザ光と被加工物の相対移動が曲線または円を含み、その回転数が3周以上の複数回数で全ての照射ポイントを重複させない場合、位置演算手段が前回の周回の隣り合ったレーザパルス照射位置の2点間を3以上に分割した照射位置に設定するレーザ加工装置。
【請求項4】
レーザ光と被加工物の相対移動が3周以上の複数回数で全ての照射ポイントを重複させない場合、第1周目のレーザパルス照射位置を記憶する記憶手段と第2周以降の隣り合う2点間を3以上で分割して求める演算手段を備えた請求項3記載のレーザ加工装置。
【請求項5】
レーザ光と被加工物を相対移動する駆動手段と、前記駆動手段に動作指令を与え、レーザパルスを照射させるレーザ出力波形を生成する制御手段を備え、前記制御手段は、前記駆動手段の動作指令に対する追従遅れに応じて補正した補正動作指令を前記駆動手段に与える装置において、前記制御手段は、駆動手段による加工穴直径に対する加工速度に応じて選択または演算して補正量を求めてレーザ光の照射位置を補正し、前記駆動手段のレーザ光の現在位置を示す位置波形が所定の位置である時に前記制御手段がレーザパルス照射を行ってレーザパルスの照射開始位置を制御するレーザ加工装置。
【請求項6】
レーザ光と被加工物を相対移動する駆動手段と、前記駆動手段に動作指令を与える制御手段を備え、前記制御手段は、前記駆動手段の動作指令に対する追従遅れに応じて補正した補正動作指令を前記駆動手段に与える装置において、前記制御手段は、駆動手段による加工穴直径に対する加工速度に応じて選択または演算して補正量を求めてレーザ光の照射位置を補正し、レーザ光と被加工物の相対移動が曲線または円を含み、その回転数が2周以上の複数回数の場合、位置演算手段が前回の周回の隣り合ったレーザパルス照射位置の中間の位置に照射位置を設定して第2周目以降の照射位置を設定するレーザ加工装置。
【請求項7】
レーザ光と被加工物を相対移動する駆動手段と、前記駆動手段に動作指令を与える制御手段を備え、前記制御手段は、前記駆動手段の動作指令に対する追従遅れに応じて補正した補正動作指令を前記駆動手段に与える装置において、前記制御手段は、駆動手段による加工穴直径に対する加工速度に応じて選択または演算して補正量を求めてレーザ光の照射位置を補正し、レーザ光と被加工物の相対移動が曲線または円を含み、その回転数が3周以上の複数回数で全ての照射ポイントを重複させない場合、位置演算手段が前回の周回の隣り合ったレーザパルス照射位置の2点間を3以上に分割した照射位置に設定して第2周目以降の照射位置を設定するレーザ加工装置。
【請求項8】
レーザ光と被加工物を相対移動する駆動手段と、前記駆動手段に動作指令を与え、レーザパルスを照射させるレーザ出力波形を生成する制御手段を備え、前記制御手段は、前記駆動手段の動作指令に対する追従遅れに応じて補正した補正動作指令を前記駆動手段に与える装置において、前記制御手段は、駆動手段による加工穴直径に対する加工速度に応じて選択または演算して補正量を求めてレーザ光の照射位置を補正し、前記駆動手段のレーザ光の現在位置を示す位置波形が所定の位置である時に前記制御手段がレーザパルス照射を行ってレーザパルスの照射開始位置を制御し、さらに、レーザ光と被加工物の相対移動が曲線または円を含み、その回転数が2周以上の複数回数の場合、位置演算手段が前回の周回の隣り合ったレーザパルス照射位置の中間の位置に照射位置を設定して第2周目以降の照射位置を設定するレーザ加工装置。
【請求項9】
レーザ光と被加工物を相対移動する駆動手段と、前記駆動手段に動作指令を与える制御手段を備え、前記制御手段は、前記駆動手段の動作指令に対する追従遅れに応じて補正した補正動作指令を前記駆動手段に与える装置において、前記制御手段は、駆動手段による加工穴直径に対する加工速度に応じて選択または演算して補正量を求めてレーザ光の照射位置を補正し、前記駆動手段のレーザ光の現在位置を示す位置波形が所定の位置である時に前記制御手段がレーザパルス照射を行ってレーザパルスの照射開始位置を制御し、さらに、レーザ光と被加工物の相対移動が曲線または円を含み、その回転数が3周以上の複数回数で全ての照射ポイントを重複させない場合、位置演算手段が前回の周回の隣り合ったレーザパルス照射位置の2点間を3以上に分割した照射位置に設定して第2周目以降の照射位置を設定するレーザ加工装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2008−302431(P2008−302431A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191944(P2008−191944)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【分割の表示】特願2004−189185(P2004−189185)の分割
【原出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】