説明

レーザ照射方法及びレーザ照射装置並びにレーザアニール方法

【課題】 干渉縞が生じている光照射領域内の、露光量の分布を、パルスレーザの1ショットの照射期間中に、均一に近づけることができるレーザ照射方法を提供する。
【解決手段】 レーザ照射方法は、入射するレーザビームの断面内の相異なる領域を通過する成分を、共通の光照射領域に照射する光学系へ、パルスレーザビームの1ショットが入射している期間中に、該光学系へ入射したパルスレーザビームの断面内の相異なる領域を通過した成分同士が該光照射領域において干渉して生じる干渉縞を、該干渉縞の繰り返し方向に関して該干渉縞の周期以上の距離だけ移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ照射方法及びレーザ照射装置並びにレーザアニール方法に関し、特に、レーザビームの断面内の相異なる領域を通過する成分を、共通の光照射領域に重ね合わせて、レーザ被照射物にレーザビームを照射するレーザ照射方法及びレーザ照射装置並びにレーザアニール方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザビームは、様々な加工に用いられている。光照射領域内の光強度分布を均一化すれば、光照射領域内における加工の均一性を高めることができる。光強度分布を均一に近づけるため、例えば、アレイレンズを有するホモジナイザが用いられる。このホモジナイザは、アレイレンズによりレーザビームを断面内で複数の成分に分割し、複数に分割された成分を集光レンズにより共通の光照射領域に重ね合わせる。この光照射領域内において、光強度分布が均一に近づけられる。
【0003】
特許文献1には、このようなホモジナイザを用いた露光装置が開示されている。この露光装置は、半導体装置の製造に用いられるものである。以下、この露光装置について詳しく説明する。エキシマレーザであるレーザ光源から出射されたパルスレーザビームが、エキスパンダ等を通過し、揺動可能な走査ミラーで反射された後、アレイレンズに入射して、ビーム断面内で複数の成分に分割される。アレイレンズから出射した各成分が、2つの集光レンズを透過し、回路パタンが形成されたレチクルの表面上において共通の領域に重ね合わされる。レチクルを透過したレーザビームが、投影レンズを透過して、ウェハに照射される。このようにして、ウェハに回路パタンが転写される。ウェハに回路パタンを転写するために、複数ショットのパルスレーザビームがレチクルに照射される。
【0004】
レチクルの表面上の光照射領域において、アレイレンズで分割された成分同士が重なる。エキシマレーザビームが可干渉性を有するため、アレイレンズで分割された成分同士が干渉して、光照射領域内で干渉縞が生じる。干渉縞が生じると、光照射領域内における光強度分布の均一性が低下する。
【0005】
特許文献1には、以下に説明するように、干渉縞に起因する光強度分布の均一性の低下を補償することができる方法が開示されている。レーザビームの断面内の一方向について、アレイレンズがレーザビームをn分割するとし、n分割された成分同士が重なり合って干渉縞が発生しているとする。レチクルの表面上の干渉縞を、干渉縞の周期の1/nずつ、干渉縞の繰り返し方向に移動させながら、nショットのパルスレーザを照射する。つまり、各ショットの照射時の干渉縞の位置が、干渉縞の繰り返し方向に、干渉縞の周期の1/nずつずれるように、nショットのパルスレーザを照射する。レチクル表面において、nショットの照射期間内に、1ショットの光強度分布がnショット分累積されることにより、露光量の分布が均一になる。干渉縞の移動は、走査ミラーを揺動させて行う。
【0006】
レーザビームは、ウェハの露光処理以外にも、例えば、シリコン結晶粒を成長させるレーザアニール処理に用いられる。例えば特許文献2に、レーザアニール処理を行うことができるレーザ照射装置が記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開平8−330225号公報
【特許文献2】特開2003−59859号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
アレイレンズを用いたホモジナイザは、レーザアニール処理においても用いられる。レーザアニール処理に用いるとき、ホモジナイザは、レーザビームの断面を一方向に長い形状に整形し、少なくとも、断面内の長尺方向に関する光強度分布を均一に近づける。表面に非晶質または多結晶シリコン膜が形成された基板に対して、例えば以下に説明するようにしてレーザアニール処理が行われる。
【0009】
基板表面上の光照射領域を、基板の表面内で、光照射領域の長尺方向に直交する方向へ移動させながら、パルスレーザビームの照射を繰り返す。基板に対する光照射領域の移動速度は、パルスレーザのある1ショットにより照射される光照射領域とその次の1ショットにより照射される光照射領域とが、一部分において重なる程度とする。このようにして、被加工面全面にレーザアニール処理が行われる。
【0010】
レーザアニール処理に用いるレーザ光源として、固体レーザが用いられる場合がある。固体レーザはエキシマレーザ等に比べて干渉性が高い。このため、固体レーザから出射したレーザビームをホモジナイザに入射させたとき、光照射領域内の光強度分布を均一に近づけることが難しい。
【0011】
ホモジナイザから出射したレーザビームが照射する光照射領域に干渉縞が生じているとき、レーザアニール処理では、ウェハの露光処理とは異なる課題が生じる。上述したように、露光処理では、レチクルに複数ショットが照射される期間内に、レチクル表面における露光量の分布を均一化すればよい。しかし、レーザアニール処理では、1ショットごとにシリコン膜の溶融及び結晶化が行われる。このため、パルスレーザの1ショットの照射期間中に、光照射領域内の露光量の分布を均一に近づける必要がある。光照射領域内の露光量の分布の均一性が低いと、レーザ照射で結晶粒が成長したシリコン膜の品質の均一性を高められない。
【0012】
本発明の一目的は、干渉縞が生じている光照射領域内の、露光量の分布を、パルスレーザの1ショットの照射期間中に、均一に近づけることができるレーザ照射方法及びその方法に用いることができるレーザ照射装置を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、断面内に干渉縞が生じているレーザビームを照射しても、シリコン膜の品質の均一性を低下させないレーザアニール方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一観点によれば、入射するレーザビームの断面内の相異なる領域を通過する成分を、共通の光照射領域に照射する光学系へ、パルスレーザビームの1ショットが入射している期間中に、該光学系へ入射したパルスレーザビームの断面内の相異なる領域を通過した成分同士が該光照射領域において干渉して生じる干渉縞を、該干渉縞の繰り返し方向に関して該干渉縞の周期以上の距離だけ移動させるレーザ照射方法が提供される。
【0015】
本発明の他の観点によれば、レーザビームをビーム断面内で分割するアレイレンズと、該アレイレンズで分割されたレーザビームの各成分を共通の領域に照射する集光レンズとを含んで構成されるホモジナイザへ、パルスレーザビームの1ショットが入射している期間中に、該アレイレンズで分割されたレーザビームの各成分が、該ホモジナイザのホモジナイズ面上で干渉して生じる干渉縞を、該ホモジナイザに入射するパルスレーザビームの入射方向を振ることにより、該干渉縞の繰り返し方向に関して移動させるレーザ照射方法であって、該ホモジナイザが有するアレイレンズを構成する複数のレンズが、第1の方向に並ぶように配置されており、該レンズの各々の該第1の方向に関する幅をhとし、該パルスレーザビームのパルス幅をtとし、該パルスレーザビームの波長をλとしたとき、該ホモジナイザに入射する該パルスレーザビームの入射方向が振られる角速度の、該第1の方向に関する成分がλ/(th)以上になるように、該ホモジナイザに入射するパルスレーザビームの入射方向を振るレーザ照射方法が提供される。
【発明の効果】
【0016】
パルスレーザの1ショットの照射期間中に光照射領域内に照射される露光量の分布が均一に近づく。本発明の一観点または他の観点によるレーザ照射方法を、例えば、シリコン結晶粒を成長させるレーザアニール処理に用いれば、パルスレーザビームの照射で結晶粒が成長したシリコン膜の品質を均一に近づけられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本発明の実施例によるレーザ照射装置を概略的に示す。以下、このレーザ照射装置を、基板表面に形成されたシリコン膜の結晶粒を成長させるレーザアニール処理に用いる場合を例に説明を進める。
【0018】
レーザ光源1が、パルスレーザビームを出射する。レーザアニール処理を行う場合、レーザビームの波長は340nm〜900nmの範囲内にあることが好ましい。レーザ光源1は、例えば、高調波発生ユニットを含む固体レーザである。制御装置3が、所望のパルス周期でパルスレーザビームが出射されるように、レーザ光源1を制御する。レーザ光源1から出射したレーザビームが、レーザビームの進行方向を少なくとも1次元方向に振るビーム走査器2に入射する。ビーム走査器2として、例えば、電気光学偏向器やポリゴンミラーを用いることができる。制御装置3が、所望のタイミングで所望の方向にレーザビームの進行方向が振られるように、ビーム走査器2を制御する。
【0019】
ビーム走査器2から出射したレーザビームが、ホモジナイザ4に入射する。ホモジナイザ4は、入射したレーザビームをそのビーム断面内で複数の成分に分割するアレイレンズ4aと、アレイレンズ4aで分割された成分を共通の領域に照射する集光レンズ4bとを含んで構成される。ホモジナイザ4が、そのホモジナイズ面において、レーザビームの断面形状を一方向に長い形状に整形する。
【0020】
ホモジナイザ4から出射したレーザビームが、折り返しミラー5で反射され、表面に非晶質または多結晶のシリコン膜が形成された基板6に照射される。基板6の表面が、ホモジナイザ4のホモジナイズ面に配置される。XYステージ7が、基板6を保持する。XYステージ7は、基板6の表面に平行な2次元方向に、基板6を移動させることができる。
【0021】
パルスレーザの1ショットで照射される光照射領域が、その長尺方向に直交する方向に基板上を移動するように、基板6を移動させながら、パルスレーザビームの照射を繰り返す。基板6の移動速度は、パルスレーザのある1ショットにより照射される光照射領域とその次の1ショットにより照射される光照射領域とが、一部分において重なる程度とする。このようにして、被加工面全面にレーザアニール処理が行われる。
【0022】
基板6にパルスレーザの各ショットが照射される期間中、ビーム走査器2がレーザビームの進行方向を振ることにより、基板上の光照射領域が、その長尺方向に微小距離(例えば数十μm)だけ移動する。
【0023】
次に、図2(A)及び図2(B)を参照して、ホモジナイザ4についてさらに説明する。ビーム走査器がレーザビームの進行方向を振らないとき(レーザビームを偏向させないとき)にホモジナイザ4に入射するレーザビームの進行方向をZ軸正方向とし、ビーム走査器がレーザビームの進行方向を振る方向をY軸方向とするXYZ直交座標系を考える(ビーム走査器により、レーザビームの進行方向がYZ面内に平行な方向に振られる)。図2(A)及び図2(B)は、それぞれ、ホモジナイザ4を通過するレーザビームの経路を、X軸に平行な視線で見た概略図及びY軸に平行な視線で見た概略図である。
【0024】
図2(A)に示すように、アレイレンズ4aが、7つの等価なレンズ4aa〜4agから構成される。各レンズ4aa〜4agはX軸方向に細長い柱状で、レンズ4aa〜4agはY軸方向に配列している。レンズ4aa〜4agのY軸方向に関する幅がそれぞれhである。
【0025】
アレイレンズ4aに、Z軸の負側(図の左方)からレーザビームが入射する。入射するレーザビームの断面内の光強度分布は、例えばガウス分布で近似される。ビーム断面の中心部分が、アレイレンズ4aの中央に配置されたレンズ4adを透過するように、レーザビームとアレイレンズ4aの相対位置が調節されている。
【0026】
図には、アレイレンズ4aの中央に配置されたレンズ4adと、両端に配置されたレンズ4aa及び4agに入射する成分の経路のみを代表して示す。ビーム走査器がレーザビームを偏向させないときの経路を実線で示し、ビーム走査器がレーザビームをZ軸に対して角度θだけ偏向させたときの経路を点線で示す。
【0027】
各レンズ4aa〜4agが、入射した成分をYZ面内において収束させる。これにより、アレイレンズ4aに入射したレーザビームが、レンズ4aa〜4agに対応した7つの収束光線束に分割される。なお、XZ面内においては、レンズ4aa〜4agは、入射した成分の収束及び発散に影響を与えない。
【0028】
アレイレンズ4aから出射した7つの収束光線束は、それぞれ集光レンズ4bの前方でY軸方向に関する幅を最小にする。この位置は、集光レンズ4bの入射側焦点よりもレンズに近い。このため、集光レンズ4bを透過した7つの光線束は、YZ面内に関してそれぞれ発散光線束となる。集光レンズ4bを透過した7つの発散光線束が、ホモジナイズ面4cにおいて重なる。ホモジナイズ面4cは、集光レンズ4bの後側焦点の位置に画定される。なお、図1に示すレーザ照射装置では、ホモジナイザ4の集光レンズ4bから折り返しミラー5を経て基板6の表面に至る光路の長さが、集光レンズ4bの後側の(像空間側の)焦点距離fとなるように調節されている。これにより、基板表面がホモジナイズ面上に配置される。
【0029】
なお、ホモジナイザ4は、XZ面内においてレーザビームを収束させるアレイレンズ4dも有する。アレイレンズ4dは、YZ面内においては、レーザビームの収束及び発散に影響を与えない。
【0030】
図2(B)に示すように、アレイレンズ4dは、Y軸方向に細長い柱状のレンズが、X軸方向に7つ配列して構成され、集光レンズ4bの前方(レーザ光源側)に配置される。ホモジナイザ4に入射したレーザビームが、アレイレンズ4dを構成する各レンズに対応した7つの収束光線束に分割される。なお図には、中央と両端の光線束のみを代表して示す。これらの収束光線束は、それぞれ、集光レンズ4bの入射側焦点より前方でX軸方向に関する幅を最小にした後、発散光線束となって、集光レンズ4bに入射する。集光レンズ4bを透過した光線束が、それぞれ収束光線束となる。集光レンズ4bを透過したこれらの収束光線束が、ホモジナイズ面4cにおいて重なる。
【0031】
ホモジナイズ面4c上の光照射領域のY軸方向の長さLyは、アレイレンズ4aの各レンズのY軸方向に関する幅h、アレイレンズ4aの各レンズの焦点距離fa、集光レンズ4bの焦点距離fを用いて、
【0032】
【数1】

【0033】
と表され、ホモジナイズ面4c上の光照射領域のX軸方向の長さLxは、アレイレンズ4dの各レンズのX軸方向に関する幅hd、アレイレンズ4dの各レンズの焦点距離fd、集光レンズ4bの焦点距離fを用いて、
【0034】
【数2】

【0035】
と表される。
【0036】
ホモジナイズ面4cの光照射領域がY軸方向に広く(Lyが長く)、X軸方向に狭い(Lxが短い)細長い形状となるように、h、fa、hd、fdが設定される。このようにして、ホモジナイザ4が、ビーム断面を一方向に長い形状に整形する。
【0037】
ホモジナイズ面4c上の光照射領域内の、Y軸方向に関する光強度分布は、レンズ4aa〜4agに各々入射する成分の光強度分布を、それぞれ光照射領域に対応するように、Y軸方向に引き伸ばして重ねた分布になる。
【0038】
レンズ4aaと4ag、レンズ4abと4af、レンズ4acと4aeは、それぞれ、入射光の断面の中心部分が透過するレンズ4adから等しい距離に配置されている。これにより、レンズ4aaと4agにそれぞれ入射する光線束の光強度分布が、互いにY軸方向に関して反転した関係を有し、レンズ4abと4afにそれぞれ入射する光線束の光強度分布が、互いにY軸方向に関して反転した関係を有し、レンズ4acと4aeにそれぞれ入射する光線束の光強度分布が、互いにY軸方向に関して反転した関係を有する。これらの光線束の光強度分布が重なることにより、ホモジナイズ面4c上の光照射領域内のY軸方向に関する光強度分布が、均一に近づく。
【0039】
なお、レーザビームをXZ面で収束させるアレイレンズ4d及び集光レンズ4bの作用により、ホモジナイズ面4c上の光照射領域内のX軸方向に関する光強度分布も、均一に近づく。
【0040】
このように、ホモジナイザ4は、光照射領域内の光強度分布を均一化するが、レーザビームの可干渉性により、以下に説明するように、光強度分布の均一性が低下する。ホモジナイズ面4c上の光照射領域内では、ホモジナイザ4に入射するレーザビームの断面内の相異なる領域を通過した成分同士が重なる。レーザビームの可干渉性により、レーザビームの断面内の相異なる領域を通過した成分同士が干渉すると、光照射領域内に干渉縞が発生する。干渉縞が発生すると、光照射領域内の強度が振動的に変動する。
【0041】
図3は、特に高い干渉性を有するレーザビーム(例えば、固体レーザの中でも特に干渉性が高いYAGレーザから出射されるレーザビーム(例えば、YAGレーザの第2高調波))をホモジナイザ4に入射させた場合に、ホモジナイズ面上において光照射領域の長尺方向(図2(A)のY軸方向)に生じた干渉縞(繰り返し方向が長尺方向に一致する干渉縞)を示す光強度分布のグラフである。グラフの横軸が、μm単位で表した光照射領域内の長尺方向に関する(相対)位置を示し、縦軸が任意単位で表した強度を示す。20μmの周期で、強度が増減している。
【0042】
レーザビームの断面内のある領域を通過する成分は、その領域と相対的に近い領域を通過する成分とは干渉しやすく、その領域と相対的に遠い領域を通過する成分とは干渉しにくい。例えば、図2(A)に示すレンズ4aaを透過する成分は、レンズ4aaに最近接するレンズであるレンズ4abを透過する成分と最も干渉しやすい。それに比べると、レンズ4aaとレンズ4abを隔てて隣り合うレンズ4acを透過する成分とは干渉しにくい。
【0043】
ホモジナイズ面4c上の光照射領域内では、レンズ4aa〜4agのうち互いに最近接するレンズを透過した成分同士が形成する干渉縞や、レンズ4aa〜4agのうちレンズ1つを隔てて隣り合うレンズを透過した成分同士が形成する干渉縞等が重なり合う。個々の干渉縞の強度の振幅について考えると、レンズ4aa〜4agのうち互いに最近接するレンズを透過した成分同士が形成する干渉縞の振幅が最も大きい。
【0044】
互いに最近接するレンズを透過した成分同士が形成する干渉縞の周期p(つまり、強度がピークとなる位置の間隔)は、各レンズ4aa〜4agのY軸方向に関する幅をhとし、集光レンズ4bの後側(像空間側)の焦点距離をfとし、レーザビームの波長をλとしたとき、
【0045】
【数3】

と表される。
【0046】
なお、式(1)の右辺の分母は、隣り合うレンズ同士の、Y軸方向に関する中心間の距離を示す。例えば、レンズ1つを隔てて隣り合うレンズを透過した成分同士が形成する干渉縞の周期は、式(1)の右辺の分母にhの2倍である2hを代入して求めることができる。この周期は、最近接するレンズを透過した成分同士が形成する干渉縞の周期の半分となる。このように、互いに干渉する成分がそれぞれ透過するレンズ同士の距離が離れるほど、干渉縞の周期が短くなる。
【0047】
ホモジナイズ面上の光照射領域内の干渉縞は、互いに異なる周期と互いに異なるピーク強度を持つ複数の干渉縞が重ね合わされて形成される。このため、図3に示すように、光照射領域内の干渉縞の強度分布は複雑な形状となる。重ね合わされる個々の干渉縞のうち、最も周期が長く最もピーク強度が高いのが、互いに最近接するレンズを透過した成分同士が形成する干渉縞である。他の干渉縞は、それに比べると、周期が短く、ピーク強度が低い。光照射領域内の(個々の干渉縞が重ね合わされた)干渉縞の周期は、互いに最近接するレンズを透過した成分同士が形成する干渉縞の周期pと一致する。
【0048】
図3のグラフにおいて、強度が450〜500程度であるピークの位置が、レンズ4aa〜4agのうち互いに最近接するレンズを透過した成分同士が形成する干渉縞の強度のピークの位置に対応する。式(1)から、図3に示す干渉縞の周期pを求めることができる。図3に示す干渉縞は、レンズの幅hが5mm、焦点距離fが188mm、波長λが532nmの場合に対応し、周期pは、(1)式より20μmと求められる。
【0049】
パルスレーザの1ショットが照射されている期間中に、ホモジナイズ面上の光照射領域内に生じている干渉縞を、干渉縞の繰り返し方向へ、干渉縞の1周期だけ移動させたときの露光量について考察する。このとき、ホモジナイズ面上のある光照射位置に照射される光の強度が、干渉縞の1周期分の光強度分布にしたがって変化する。これにより、この位置に照射される光の強度を時間的に平均した値が、干渉縞の1周期分の強度を空間的に平均した値とほぼ等しくなる。ホモジナイズ面上の他の光照射位置についても、同様に、そこに照射される光の強度を時間的に平均した値が、干渉縞の1周期分の強度を空間的に平均した値とほぼ等しくなる。
【0050】
このようにして、1ショットの照射期間中に干渉縞を移動させることにより、ホモジナイズ面上の光照射領域内の各位置に照射される光の、時間に関する平均的な強度が、一定の値に近づく。つまり、1ショットの照射期間中に、光照射領域内の露光量の分布が均一に近づく(均一化される)。なお、1ショットの照射期間中に干渉縞を移動させる距離は、干渉縞の1周期と一致させなくてもよく、干渉縞の1周期以上であれば、露光量の分布の均一化が良好に行われる。
【0051】
なお、上述したように、光照射領域内には複数の干渉縞が重ね合わせられているが、光照射領域内に重ね合わされる個々の干渉縞の周期は、個々の干渉縞が重ね合わされた干渉縞の周期以下であるので、個々の干渉縞が重ね合わされた干渉縞の1周期以上の距離だけ干渉縞を移動させれば、個々の干渉縞の各々について、露光量の分布が均一に近づく。
【0052】
ホモジナイザに入射するレーザビームの進行方向が微小な角度だけ振られたとき、ホモジナイズ面上の光照射領域が移動するとともに、光照射領域内の干渉縞も、形を変えずに移動する。図2(A)に示すように、レーザビームの進行方向がYZ面内でZ軸に対して微小な角度θだけ振られたとき、ホモジナイズ面4c上の光照射領域及びその内部に生じた干渉縞が、Y軸方向にftanθだけ移動する。
【0053】
パルスレーザの1ショットの照射期間中に、光照射領域の長尺方向(Y軸方向)に生じている干渉縞を、その周期p以上の距離だけ、Y軸方向へ移動させれば、ホモジナイズ面4c上におけるY軸方向の露光量の分布を均一化できる。以下、このようにできる条件を考察する。
【0054】
レーザビームの進行方向がθだけ振られたときの、干渉縞の移動距離はftanθである。ここで、θが微小であると仮定すると、干渉縞の移動距離はfθと近似される。
【0055】
干渉縞の移動速度vは、θの時間微分を角速度ωとして、
【0056】
【数4】

と表される。
【0057】
露光量の分布が均一化される条件は、パルスレーザビームのパルス幅をtとして、
【0058】
【数5】

【0059】
と表される。式(3)に式(1)と式(2)とを代入して整理すると、露光量の分布が均一化される条件として、
【0060】
【数6】

【0061】
が導かれる。パルス幅tの間に、式(4)を満たす角速度ωでレーザビームの進行方向を振れば、干渉縞をその周期p以上の距離だけ移動させることができる。
【0062】
例えば、レーザビームの波長λが500nmであり、パルス幅が100nsであり、レンズの幅hが5mmであるとき、これらを式(4)に代入して、
【0063】
【数7】

【0064】
という条件が得られる。なお、式(5)の両辺の単位はrad/sである。パルス幅100nsの間に1000rad/sの角速度でレーザビームの進行方向を振れば、干渉縞が1周期(距離p)だけ移動する。このとき、レーザビームの進行方向は100μradだけ振られる。なお、レーザビームの進行方向が振られる角度が微小であるので、tanθをθと近似しても構わない。
【0065】
以下、さらに具体的に、ビーム走査器として電気光学偏向器またはポリゴンミラーを用いて、干渉縞を移動させ、露光量の分布を均一化する方法について説明する。なお、式(5)を導いたときと同様に、レーザビームの波長λが500nmであり、パルス幅が100nsであり、レンズの幅hが5mmであるとする。また、パルス周期が1ms(パルス周波数が1kHz)であるとする。
【0066】
まず、ビーム走査器として電気光学偏向器を用いる場合について説明する。電気光学偏向器は、電圧印加により屈折率が変化する電気光学結晶を含んで構成され、電気光学結晶に印加する電圧に比例する角度だけ、入射したレーザビームの進行方向を振る。電気光学偏向器に、ドライバを介して電圧が印加される。
【0067】
例えば、電気光学偏向器としてCONOPTICS社のModel311Aを用い、ドライバとして同社のModel301を用いる。この電気光学偏向器は、単位電圧(1V)を印加されるごとに、レーザビームの進行方向を3.0μradだけ振る。また、このドライバを用いると、最短で80nsの間に、最大で−200Vから200Vまで(最大の電圧差として400Vまで)電気光学偏向器の印加電圧を変化させることができる。これらの電気光学偏向器とドライバを用いた場合、レーザビームの進行方向が振られる最大の角速度ωMAXは、
【0068】
【数8】

【0069】
となる。
【0070】
干渉縞を1周期だけ移動させるには、式(5)からわかるように、パルス幅100nsの間に、レーザビームの進行方向を100μradだけ振ればよい(角速度は1000rad/s)。よって、パルス幅100nsの間に、電気光学偏向器の印加電圧を33.3Vだけ変化させれば、レーザビームの進行方向が100μradだけ振れ、干渉縞を1周期(距離p)だけ移動させることができる。
【0071】
なお、パルス幅100nsの間に、電気光学偏向器の印加電圧を33.3×N(Nは自然数)Vだけ変化させれば、レーザビームの進行方向が100×Nμradだけ振れ、干渉縞をN周期(距離p×N)だけ移動させることができる。ただし、ドライバが発生できる最大電圧と最小電圧との差は400V(=33.3×12V)であるので、Nの最大値は12となる。つまり、上述のような電気光学偏向器とドライバを用いた場合、パルス幅100nsの間に、最大で12周期まで干渉縞を移動させることができる。なお、1ショットの照射期間中の干渉縞の移動距離は、周期pの整数倍としなくてもよい。
【0072】
パルスレーザビームは、1msごとに電気光学偏向器に入射する。このパルス周期に同期して、レーザビームの進行方向が振られるように、図1に示す制御装置3が、ドライバを制御する。ドライバは、例えば、100ns当たり33.3V増加する割合で所定期間だけ電圧が増加した後、100ns当たり33.3V減少する割合で所定期間だけ電圧が減少するような三角波を、電気光学偏向器に印加する。
【0073】
例えば、印加電圧が増加している期間中に、パルスレーザビームの第1のショットが照射され、印加電圧が減少している期間中に、第1のショットの次のショットである第2のショットが照射されるように、三角波の周期を設定する。このとき、第1のショットの照射期間中に、印加電圧が33.3Vだけ増加する。これにより、干渉縞が、例えば図2(A)のY軸正方向に干渉縞の1周期だけ移動する。また、第2のショットの照射期間中に、印加電圧が33.3Vだけ減少する。これにより、干渉縞が、例えば図2(A)のY軸負方向に干渉縞の1周期だけ移動する。
【0074】
また例えば、印加電圧が増加している期間中に、第1及び第2のショットが照射されるように、三角波の周期を設定する。このとき、第1及び第2のショットのそれぞれの照射期間中に、印加電圧が33.3Vだけ増加する。これにより、第1及び第2のショットのそれぞれの照射期間中に、干渉縞が、例えば図2(A)のY軸正方向に干渉縞の1周期だけ移動する。
【0075】
次に、ビーム走査器としてポリゴンミラーを用いる場合について説明する。ポリゴンミラーは、側面がミラーである正多角柱状の構造体である。ポリゴンミラーが、正多角柱の中心軸の周りに回転することにより、ポリゴンミラーの側面で反射されるレーザビームの進行方向が変化する。
【0076】
ポリゴンミラーが角度θだけ回転したとき、ポリゴンミラーの側面で反射されるレーザビームの進行方向が、角度2×θだけ振られる。ポリゴンミラーの角速度をωとしたとき、レーザビームの進行方向が角速度2×ωで振られる。露光量の分布を均一化するためには、式(5)より、
【0077】
【数9】

【0078】
が満たされる必要がある。ポリゴンミラーの回転速度Rは、
【0079】
【数10】

【0080】
と表されるので、(8)式に(7)式を代入し、回転速度Rに対して、
【0081】
【数11】

【0082】
という条件が導かれる。回転速度79.6round/s以上(角速度500rad/s以上)でポリゴンミラーを回転させて、レーザビームの進行方向を振ることにより、パルスレーザの1ショットの照射期間中に、干渉縞を1周期以上の距離だけ移動させることができる。
【0083】
パルスレーザビームは、1msごとにポリゴンミラーに入射する。ポリゴンミラーの動作がパルス周期に同期していないと、ポリゴンミラーで反射された各ショットの進行方向がばらつき、全ショットをホモジナイザに入射させることができない(一部のショットがホモジナイザに入射しない)。以下のように設定すれば、ポリゴンミラーの動作をパルス周期に同期できる。
【0084】
ポリゴンミラーの側面の面数(反射面の数)をMとすると、回転速度がRなので、ポリゴンミラーが単位時間にレーザビームの進行方向を振れる回数(周波数)fは、
【0085】
【数12】

【0086】
と表される。周波数fが、パルス周波数である1kHzと一致するように、ポリゴンミラーの面数Mと回転速度Rを設定することにより、ポリゴンミラーの動作がパルス周期に同期する。このようにすれば、ポリゴンミラーの反射面がそれぞれ、パルスレーザのショットの進行方向を振る範囲が、互いに一致する。式(10)を満たす回転速度Rでポリゴンミラーが回転するように、図1に示す制御装置3が、ポリゴンミラーの駆動機構を制御する。なお、周波数fは、パルス周波数と一致しなくとも、パルス周波数の整数倍となるように設定されていればよい。このように周波数fを設定すれば、反射された各ショットの進行方向がばらつかないようにできる。
【0087】
式(10)に式(8)を代入すると、ポリゴンミラーの面数Mについて、
【0088】
【数13】

【0089】
という式が得られる。周波数fを1kHzとし、ポリゴンミラーの角速度ωを500rad/s(1ショットの照射期間中に干渉縞がちょうど1周期移動する角速度)としたとき、式(11)より
【0090】
【数14】

【0091】
が得られる。式(12)の最右辺の12.6は非整数であるので、ポリゴンミラーの面数としては不適当である。そこで例えば、ポリゴンミラーの面数Mを12に設定し、それに対応するように(式(11)を満たすように)角速度ωを約524rad/sに設定する。このように設定すれば、各ショットの照射期間中に干渉縞を約1.05周期だけ移動させることができる。
【0092】
なお、1ショットの照射期間中に干渉縞を2周期程度移動させたければ、以下のようにすればよい。1ショットの照射期間中に干渉縞がちょうど2周期移動する角速度ωは、500rad/sの2倍の1000rad/sである。角速度ωの仮の値を1000rad/sとして、
【0093】
【数15】

【0094】
という値を求め、この式より例えば、ポリゴンミラーの面数を6に設定し、それに対応するように角速度ωを約1047rad/sに設定すればよい。このように設定すれば、各ショットの照射期間中に干渉縞を約2.09周期だけ移動させることができる。
【0095】
以上、光照射領域の長尺方向に干渉縞が生じている場合に、干渉縞を長尺方向に移動させて、露光量の分布を均一化する方法について説明した。なお、光照射領域内に生じている干渉縞の繰り返し方向と、干渉縞を移動させる方向とは、一致させることが好ましいが、干渉縞の繰り返し方向と移動方向とがややずれていても構わない。移動方向が、干渉縞の繰り返し方向に平行な成分を含んでいれば、干渉縞を繰り返し方向に関して移動させられる。例えば図2(A)において、レーザビームの進行方向を振る方向が、アレイレンズ4aのレンズ4aa〜4agが並んでいる方向(Y軸方向)に平行な成分を含んでいれば、光照射領域の長尺方向に生じている干渉縞を長尺方向に関して移動できる。レーザビームの進行方向を振る角速度の、レンズ4aa〜4agが並んでいる方向に平行な成分が、式(4)に示すλ/(th)以上であれば、パルスレーザの1ショットの照射期間内に、干渉縞を長尺方向に関して1周期以上移動させることができる。なお、干渉縞の繰り返し方向と干渉縞の移動方向が一致しているとき、干渉縞の繰り返し方向に関する干渉縞の移動速度を最も速くできる。
【0096】
なお、光照射領域の短尺方向にも干渉縞は生じ得る。このような場合、光照射領域の短尺方向に干渉縞が移動するように、レーザビームの進行方向を振るビーム走査器を配置すれば、短尺方向に関する露光量の分布を均一に近づけることができる。
【0097】
以上説明したように、パルスレーザの1ショットの照射期間中に、ホモジナイザに入射するレーザビームの進行方向を振ることにより、干渉性の高いレーザビームをホモジナイザに入射させる場合であっても、光照射領域内の露光量の分布を均一に近づけることができる。これを、レーザアニール処理に用いれば、パルスレーザの照射で結晶粒が成長したシリコン膜の品質を均一に近づけることができる。
【0098】
なお、レーザアニール処理では、基板上の光照射領域をその短尺方向に移動させ、パルスレーザのある1ショットにより照射される光照射領域とその次の1ショットにより照射される光照射領域とを部分的に重ねる。光照射領域の短尺方向に干渉縞が生じている場合であっても、光照射領域同士が重なる幅を調節することにより、光照射領域の短尺方向に関するシリコン膜の品質の均一化を図ることができる。このようにするとき、ビーム走査器で干渉縞を短尺方向に関して移動させなくても構わない。
【0099】
なお、上述の説明では、ビーム走査器として電気光学偏向器またはポリゴンミラーを用いたが、ビーム走査器として他の装置を用いても構わない。例えば、音響光学偏向器を用いても構わない。ガルバノスキャナを用いることも可能であろう。また、ミラーが取り付けられた音叉を、例えば圧電素子により微小振動させることにより、ミラーに入射するレーザビームの進行方向を振るような装置であっても構わない。
【0100】
以上説明した露光量の分布を均一化する方法を用いて、レーザアニール処理以外の加工を行っても構わない。なお、ホモジナイザ以外の光学系であっても、レーザビームの断面内の相異なる領域を通過する成分を共通の光照射領域に照射するような光学系であれば、レーザビームの可干渉性により、光照射領域内に干渉縞が生じ得る。パルスレーザの1ショットで照射される光照射領域内の露光量分布の均一性を高めたいとき、1ショットの照射期間中に、光照射領域内の干渉縞を、その繰り返し方向に関して、その周期以上の距離だけ移動させればよい。
【0101】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】実施例によるレーザ照射装置を概略的に示す図である。
【図2】図2(A)及び図2(B)は、ホモジナイザの構成を概略的に示す図である。
【図3】光照射領域内に生じた干渉縞の光強度分布を示すグラフである。
【符号の説明】
【0103】
1 レーザ光源
2 ビーム走査器
3 制御装置
4 ホモジナイザ
4a アレイレンズ
4b 集光レンズ
5 折り返しミラー
6 基板
7 XYステージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射するレーザビームの断面内の相異なる領域を通過する成分を、共通の光照射領域に照射する光学系へ、パルスレーザビームの1ショットが入射している期間中に、該光学系へ入射したパルスレーザビームの断面内の相異なる領域を通過した成分同士が該光照射領域において干渉して生じる干渉縞を、該干渉縞の繰り返し方向に関して該干渉縞の周期以上の距離だけ移動させるレーザ照射方法。
【請求項2】
前記光学系が、レーザビームをビーム断面内で分割するアレイレンズと、該アレイレンズで分割されたレーザビームの各成分を共通の領域に照射する集光レンズとを含んで構成されるホモジナイザであり、
該アレイレンズで分割されたレーザビームの各成分が、該ホモジナイザのホモジナイズ面上で干渉して生じる干渉縞を、該ホモジナイザに入射するパルスレーザビームの入射方向を振ることにより移動させる請求項1に記載のレーザ照射方法。
【請求項3】
レーザビームをビーム断面内で分割するアレイレンズと、該アレイレンズで分割されたレーザビームの各成分を共通の領域に照射する集光レンズとを含んで構成されるホモジナイザへ、パルスレーザビームの1ショットが入射している期間中に、該アレイレンズで分割されたレーザビームの各成分が、該ホモジナイザのホモジナイズ面上で干渉して生じる干渉縞を、該ホモジナイザに入射する該パルスレーザビームの入射方向を振ることにより、該干渉縞の繰り返し方向に関して移動させるレーザ照射方法であって、
該ホモジナイザが有するアレイレンズを構成する複数のレンズが、第1の方向に並ぶように配置されており、該レンズの各々の該第1の方向に関する幅をhとし、該パルスレーザビームのパルス幅をtとし、該パルスレーザビームの波長をλとしたとき、該ホモジナイザに入射する該パルスレーザビームの入射方向が振られる角速度の、該第1の方向に関する成分がλ/(th)以上になるように、該ホモジナイザに入射するパルスレーザビームの入射方向を振るレーザ照射方法。
【請求項4】
パルスレーザビームを出射するレーザ光源と、
外部から入力される制御信号に基づいて、前記レーザ光源から出射したパルスレーザビームの進行方向を振るビーム走査器と、
前記ビーム走査器から出射したパルスレーザビームが入射するように配置され、入射するパルスレーザビームをビーム断面内で分割するアレイレンズ及び該アレイレンズで分割された各成分を、ホモジナイズ面上の共通の領域に照射する集光レンズを有するホモジナイザと、
前記ホモジナイザにパルスレーザビームの1ショットが入射している期間中に、前記ビーム走査器が該ホモジナイザに入射するパルスレーザビームの入射方向を振ることにより、該ホモジナイザが有するアレイレンズで分割されたパルスレーザビームの成分同士が干渉して該ホモジナイザのホモジナイズ面において生じる干渉縞を、該干渉縞の繰り返し方向に関して、該干渉縞の周期以上の距離だけ移動させるように、該ビーム走査器を制御する制御装置と
を有するレーザ照射装置。
【請求項5】
前記ビーム走査器が、駆動機構により回転するポリゴンミラーであり、該ポリゴンミラーの反射面の数をMとし、該ポリゴンミラーの単位時間当たりの回転数をRとしたとき、M×Rが、前記レーザ光源が出射するパルスレーザビームのパルス周波数と一致するよう、該ポリゴンミラーが回転するように、前記制御装置が該駆動機構を制御する請求項4に記載のレーザ照射装置。
【請求項6】
パルスレーザビームを出射するレーザ光源と、
外部から入力される制御信号に基づいて、前記レーザ光源から出射したパルスレーザビームの進行方向を振るビーム走査器と、
前記ビーム走査器から出射したパルスレーザビームが入射するように配置され、入射するパルスレーザビームをビーム断面内で分割するアレイレンズ及び該アレイレンズで分割された各成分を、ホモジナイズ面上の共通の領域に照射する集光レンズを有するホモジナイザであって、該アレイレンズを構成する複数のレンズが、第1の方向に並ぶように配置され、該レンズの各々の該第1の方向に関する幅がhである該ホモジナイザと、
前記レーザ光源から出射されるパルスレーザビームのパルス幅をtとし、該パルスレーザビームの波長をλとしたとき、前記ホモジナイザに入射する該パルスレーザビームの入射方向が振られる角速度の、前記第1の方向に関する成分がλ/(th)以上となるように、前記ビーム走査器に該パルスレーザビームの進行方向を振らせる制御装置と
を有するレーザ照射装置。
【請求項7】
前記ビーム走査器が、駆動機構により回転するポリゴンミラーであり、該ポリゴンミラーの反射面の数をMとし、該ポリゴンミラーの単位時間当たりの回転数をRとしたとき、M×Rが、前記レーザ光源が出射するパルスレーザビームのパルス周波数と一致するよう、該ポリゴンミラーが回転するように、前記制御装置が該駆動機構を制御する請求項6に記載のレーザ照射装置。
【請求項8】
表面に非晶質または多結晶のシリコン膜が形成された基板に、断面を一方向に長い形状に整形したパルスレーザビームを照射し、1ショットのパルスレーザビームが照射されている期間中に、該基板の表面上のビーム断面を、該ビーム断面の長尺方向へ第1の長さ以上の距離だけ移動させる工程を含むレーザアニール方法であって、該第1の長さは、該ビーム断面の内部に生じ、繰り返し方向が該長尺方向と一致する干渉縞の周期であるレーザアニール方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−49635(P2006−49635A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−229628(P2004−229628)
【出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】