説明

レーザ照射装置、レーザ照射方法、及び絶縁膜形成装置

【課題】 レジストパターンを高品質に形成する。
【解決手段】 パルスレーザビームを出射するレーザ光源と、基板を保持するステージと、ステージに保持された基板上にレジスト材料を塗布する塗布装置と、レーザ光源を出射したパルスレーザビームを、塗布装置によって塗布されたレジスト材料上に集光して伝搬し、伝搬位置のレジスト材料を硬化させる第1の伝搬光学系と、レーザ光源を出射したパルスレーザビームを、第1の伝搬光学系によって伝搬されたパルスレーザビームによって硬化されたレジスト材料上に伝搬し、伝搬位置のレジスト材料を除去する第2の伝搬光学系と、レーザ光源を出射したパルスレーザビームを第1の伝搬光学系または第2の伝搬光学系に選択的に入射させる光路切り替え装置とを有するレーザ照射装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザビームを照射する装置、方法、及び絶縁膜を形成する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ソルダーレジストは、基材に導体配線が形成されたプリント配線板のはんだ付けのために、必要な導体(銅箔)部分を露出し、はんだ付けが不要な部分にはんだが付かないように配線板上に形成される絶縁膜である。
【0003】
プリント配線板上にソルダーレジストパターンを形成する方法として、たとえば以下の方法が知られている。まずソルダーレジストの密着性を向上させるため、プリント配線板を研磨する。次にレジスト材料を配線板全面に塗布し、溶媒を蒸発させる(仮乾燥)。そしてマスクを介して露光を行い、露光された部分のレジストを硬化させた後、現像により未露光部を除去する。更に熱を加えレジストを硬化させる(熱乾燥)。本明細書においては、便宜上、このソルダーレジスト形成方法を全面塗布法と呼ぶこととする。全面塗布法を用いてプリント配線板を作製する場合、ソルダーレジストパターン部に欠陥のある配線板は廃棄される。
【0004】
また、レジスト材料(インク)をレジストパターンの形成領域とその近傍のみに、たとえばインクジェットプリンタを用いて塗布し、硬化させるソルダーレジストパターンの形成方法も公知である(たとえば、特許文献1参照)。この形成方法を部分塗布法と呼ぶこととする。部分塗布法は全面塗布法にくらべ、大幅な工程数の削減とグリーン化を実現することが可能である。
【0005】
しかし、部分塗布法に使用されるインク液滴量は、最小でも数ピコリットルであり、これがプリント配線板に着弾したときのサイズは、たとえば図10(A)に示すように、40μm〜50μm径となる。したがってこの着弾サイズのインクでソルダーレジストパターンを形成すると、プリント配線板に表面実装部品を実装するときのパット(ランド)開口径は200μm程度が限界となり、パッケージ基板に求められる50μm程度の開口径は、図10(B)に示すように、真円度の悪化のため実現困難である。このため、部分塗布法の実用化は難しく、現在産業技術総合研究所を中心に、インク吐出量がフェムトリットルオーダーのスーパーインクジェットの開発が行われているが、いまだ実用化の目途は立っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−263845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、レジストパターンを高品質に形成することができるレーザ照射装置及びレーザ照射方法を提供することである。
【0008】
また、欠陥部のない絶縁膜パターンを形成することができる絶縁膜形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一観点によると、パルスレーザビームを出射するレーザ光源と、基板を保持するステージと、前記ステージに保持された基板上にレジスト材料を塗布する塗布装置と、前記レーザ光源を出射したパルスレーザビームを、前記塗布装置によって塗布された前記レジスト材料上に集光して伝搬し、伝搬位置の前記レジスト材料を硬化させる第1の伝搬光学系と、前記レーザ光源を出射したパルスレーザビームを、前記第1の伝搬光学系によって伝搬されたパルスレーザビームによって硬化された前記レジスト材料上に伝搬し、伝搬位置の前記レジスト材料を除去する第2の伝搬光学系と、前記レーザ光源を出射したパルスレーザビームを前記第1の伝搬光学系または前記第2の伝搬光学系に選択的に入射させる光路切り替え装置とを有するレーザ照射装置が提供される。
【0010】
また、本発明の他の観点によると、パルスレーザビームを出射するレーザ光源と、基板を保持するステージと、前記ステージに保持された基板上にレジスト材料を塗布する塗布装置と、前記レーザ光源を出射したパルスレーザビームを、前記レジスト材料上に集光して伝搬する伝搬光学系とを有し、前記伝搬光学系によって伝搬されるパルスレーザビームによって、前記塗布装置で塗布された前記レジスト材料の硬化、及び該硬化されたレジスト材料の部分的な除去を行うレーザ照射装置が提供される。
【0011】
更に、本発明の他の観点によると、パルスレーザビームを出射するレーザ光源と、基板を保持するステージと、前記ステージに保持された基板上にレジスト材料を塗布する塗布装置と、前記塗布装置によって前記基板上に塗布されたレジスト材料を硬化させる光を出射する硬化用光源と、前記硬化用光源を出射した光によって硬化された前記レジスト材料に、前記レーザ光源を出射したパルスレーザビームを伝搬し、伝搬位置の前記レジスト材料を除去する伝搬光学系とを有するレーザ照射装置が提供される。
【0012】
また、本発明の他の観点によると、パルスレーザビームを出射するレーザ光源と、レジストが形成された加工対象物を保持するステージと、前記レーザ光源を出射したパルスレーザビームを、前記加工対象物のレジスト上に伝搬し、伝搬位置の前記レジストを除去する第1の伝搬光学系と、前記ステージに保持された加工対象物上にレジスト材料を塗布する塗布装置と、前記レーザ光源を出射したパルスレーザビームを、前記塗布装置によって塗布された前記レジスト材料上に集光して伝搬し、伝搬位置の前記レジスト材料を硬化させる第2の伝搬光学系と、前記レーザ光源を出射したパルスレーザビームを前記第1の伝搬光学系または前記第2の伝搬光学系に選択的に入射させる光路切り替え装置とを有するレーザ照射装置が提供される。
【0013】
更に、本発明の他の観点によると、パルスレーザビームを出射するレーザ光源と、レジストが形成された加工対象物を保持するステージと、前記ステージに保持された加工対象物上にレジスト材料を塗布する塗布装置と、前記レーザ光源を出射したパルスレーザビームを、前記ステージに保持された加工対象物上に集光して伝搬する伝搬光学系とを有し、前記伝搬光学系によって伝搬されるパルスレーザビームによって、(i)前記加工対象物上に形成されたレジストの部分的な除去、(ii)前記塗布装置で前記加工対象物上に塗布されたレジスト材料の硬化の少なくとも一方を行うレーザ照射装置が提供される。
【0014】
また、本発明の他の観点によると、パルスレーザビームを出射するレーザ光源と、レジストが形成された加工対象物を保持するステージと、前記加工対象物上に形成されたレジストに、前記レーザ光源を出射したパルスレーザビームを伝搬し、伝搬位置のレジストを除去する伝搬光学系と、前記ステージに保持された加工対象物上にレジスト材料を塗布する塗布装置と、前記塗布装置によって前記加工対象物上に塗布されたレジスト材料を硬化させる光を出射する硬化用光源とを有するレーザ照射装置が提供される。
【0015】
更に、本発明の他の観点によると、(a)基板上にレジスト材料を塗布する工程と、(b)塗布された前記レジスト材料を硬化させる工程と、(c)前記工程(b)で硬化されたレジスト材料にパルスレーザビームを入射させ、入射位置のレジスト材料を除去してパターニングを行う工程とを有するレーザ照射方法が提供される。
【0016】
また、本発明の他の観点によると、(a)レジストが形成された加工対象物であって、レジスト部に欠陥を有する加工対象物を準備する工程と、(b)前記加工対象物上に形成されたレジストの欠陥部にレーザビームを入射させて、入射位置のレジストを除去する工程、または、(c)レジストの不形成による欠陥部にレジスト材料を塗布し、集光されたレーザビームを照射して硬化させ、レジストを形成する工程の少なくとも一方を有するレーザ照射方法が提供される。
【0017】
更に、本発明の他の観点によると、基板上に絶縁材を塗布し、絶縁膜を形成する塗布装置と、前記塗布装置による絶縁膜の形成が適正に行われているか否かを検査し、絶縁膜の形成が適正に行われていない位置を検出する検査装置と、前記検査装置で検出された、絶縁膜の形成が適正に行われていない位置を適正な状態にする修復装置とを有する絶縁膜形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、レジストパターンを高品質に形成することが可能なレーザ照射装置及びレーザ照射方法を提供することができる。
【0019】
また、欠陥部のない絶縁膜パターンを形成することが可能な絶縁膜形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施例によるレーザ照射装置を示す概略図である。
【図2】直径50μmの円形状に形成されたランドを示す平面図である。
【図3】(A)〜(C)は、第2の実施例によるレーザ照射装置を示す概略図である。
【図4】第2の実施例によるレーザ照射装置の変形例を示す概略図である。
【図5】第3の実施例によるレーザ照射装置を示す概略図である。
【図6】(A)及び(B)は、レーザビームの照射位置を示すプリント配線板60の概略的な平面図である。
【図7】第3の実施例によるレーザ照射装置を用いて行うレーザ照射方法の他の例を示す概略図である。
【図8】(A)及び(B)は、第4の実施例によるレーザ照射装置を示す概略図である。
【図9】プリント配線板のソルダーレジストパターンの欠陥部修復(リペア)の概略について示す工程図である。
【図10】(A)及び(B)は、従来技術の問題点を示す概略図である。
【図11】(A)は、ソルダーレジストパターンに欠陥部を有するプリント配線板60の一例を示す概略的な平面図であり、(B)は、プリント配線板60に対応して定義される座標の一例を示す図であり、(C)は、領域60Aのレジスト付着状態を示す概略的な平面図である。
【図12】実施例による絶縁膜形成システム(ソルダーレジスト形成装置)の概略を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、第1の実施例によるレーザ照射装置を示す概略図である。第1の実施例によるレーザ照射装置は、レーザ光源21、マスク22、折り返しミラー23、ガルバノスキャナ24、fθレンズ25、制御装置30、インクジェットプリンタ40、ランプ光源45、及びステージ50を含んで構成される。
【0022】
制御装置30は、たとえばメモリである記憶装置30aを含む。ステージ50は保持対象物であるプリント配線板(基板)60を吸着保持するためのチャックプレート50aを含み、プリント配線板60をその面内方向に移動させることができる。ステージ50は、たとえばXYθステージである。第1の実施例によるレーザ照射装置を用いて、ステージ50に保持されたプリント配線板60上に、部分塗布法を用いてソルダーレジストパターンを形成する。
【0023】
ステージ50は、プリント配線板60を一定速度でX軸正方向に移動させる。インクジェットプリンタ40は、紫外線硬化性インク(レジスト材料)41をプリント配線板60上の一部(プリント配線板60上の所定領域)に塗布する。
【0024】
記憶装置30aには、プリント配線板60上においてソルダーレジストを形成すべき領域やランドを形成すべき位置等のデータ(ガーバデータ)が記憶されている。制御装置30は、記憶装置30aの記憶内容に基いて、プリント配線板60上の所定領域にインク41が塗布されるように、インクジェットプリンタ40によるインク41の出射(吐出)、及びステージ50による配線板60の移動を制御する。ここで所定領域とは、たとえばレジストを形成すべき位置とランドを形成する位置を含む領域である。
【0025】
プリント配線板60にインク41が塗布される位置を基準として、配線板60が移動される方向に、ランプ光源45が配置される。ランプ光源45は拡散する紫外光を出射し、プリント配線板60上に塗布されたインク41を硬化させる。硬化されたインク41により、プリント配線板60の所定領域にソルダーレジストパターンの概略が形成される。インク41の厚さは、たとえば20μm〜30μmである。
【0026】
レーザ光源21は、たとえばNd:YAGレーザ発振器及び非線形光学結晶を含み、制御装置30から与えられる制御信号に応じて、Nd:YAGレーザの3倍高調波(波長355nm)であるパルスレーザビーム(紫外光)を出射する。発振周波数は、たとえば10kHz〜100kHzである。レーザ光源21から出射するレーザビームを用いて、ソルダーレジストパターンの概略(インク41)に対し、ランド形成等のパターニングを行う。
【0027】
レーザビームは、透光領域と遮光領域をもち、透光領域の形状でレーザビームの断面形状を整形するマスク22に入射する。マスク22の透光領域は、たとえば円形状である。マスク22の透光領域を透過したレーザビームは折り返しミラー23で反射され、ガルバノスキャナ24に入射する。ガルバノスキャナ24は、2枚の揺動ミラーを含んで構成され、入射したレーザビームの出射方向を2次元方向に変化させて出射する。
【0028】
ガルバノスキャナ24を出射したレーザビームは、fθレンズ25で集光されてインク41上に照射される。fθレンズ25は、マスク22の透光領域の形状をインク41上に転写する。レーザビームはたとえば直径が50μmの円形状の入射領域を形成して、インク41上に入射し、入射位置のインク41をアブレーションにより除去する。
【0029】
ガルバノスキャナ24を出射するレーザビームの出射方向及びインク41上の入射位置は制御装置30により制御される。制御装置30は、記憶装置30aに記憶されている、ランドを形成すべき位置のデータに基いて、プリント配線板60上の所定位置にレーザビームが入射し、ランドが形成されるように、ガルバノスキャナ24及びステージ50の動作を制御する。
【0030】
インク41上の同一位置に、複数ショットのレーザパルスが連続して照射され、インク41層を貫通する円形状の穴が形成される。穴の底面に、インク41の下層にある銅箔が直径50μmの円形状に露出し、ランドが形成される。図2に、直径50μmの円形状に形成されたランド(レーザビーム入射領域、インク41除去領域)の平面図を示した。
【0031】
レーザビームの照射はステージ50が停止した状態で行われる。ガルバノスキャナ24のビーム走査範囲の複数の所定位置にランドが形成されたら、ステージ50によってプリント配線板60を移動し、プリント配線板60上の異なる位置にランドを形成する。
【0032】
インク41に入射するレーザビームのパルスエネルギ密度は、硬化されたインク41が除去される値以上、銅が加工(アブレーション)される値未満、たとえば1J/cmとされる。
【0033】
第1の実施例によるレーザ照射装置を用いると、ランド形成位置に塗布されたインク41にレーザビームを照射して、たとえば開口径が50μmのランドを形成する等の高精度、高解像度のパターニングを行うことができる。たとえばインクジェットプリンタ40より吐出されたインク液滴の分解能以上の分解能でレジストパターンを形成することができる。このため、高品質にソルダーレジストパターンを形成することが可能となる。また、ガルバノスキャナ24でレーザビームを走査するため、高速な加工を実現することができる。
【0034】
なお、実施例においては、プリント配線板60上の所定領域にインク41を塗布し、硬化させ、プリント配線板60全体にソルダーレジストパターンの概略を形成した後、レーザビームを照射して照射位置のインク41を除去し、ランドを形成するが、レーザビームの照射は、インク41の塗布、硬化と並行して行うこともできる。すなわち、プリント配線板60の一部に、その部分におけるレジストパターンの概略を形成した後、その部分についてランドを形成することが可能である。また、Nd:YAGレーザの2倍高調波等、紫外領域以外の波長のレーザビームを使用可能である。
【0035】
図3(A)〜(C)は、第2の実施例によるレーザ照射装置を示す概略図である。第1の実施例においては、プリント配線板60上に塗布されたインク41の硬化を、ランプ光源45を用いて行ったが、第2の実施例においては、レーザ光源21を出射したレーザビームによって行う。
【0036】
第2の実施例によるレーザ照射装置は、光路切り替え装置26、ホモジナイザ27、折り返しミラー28を含む。光路切り替え装置26は、折り返しミラー26a、26bを含んで構成される。
【0037】
図3(A)を参照する。ホモジナイザ27は、インクジェットプリンタ40によってプリント配線板60上の所定領域に塗布されたインク41上に、レーザ光源21を出射したレーザビーム(波長355nmのNd:YAGレーザの3倍高調波)を集光する。また、インク41上のビーム入射領域の形状を、たとえば長軸方向(図面Y軸方向)30mm、短軸方向(図面X軸方向)0.1mmの矩形状に整形するとともに、入射領域内のレーザビームの強度を均一化する。パルスレーザビームは、プリント配線板60に対して垂直な方向から、たとえば20mJ/cmのパルスエネルギ密度、短軸方向に重複率20%で、プリント配線板60に照射される。レーザビームが照射された位置のインク41は硬化する。ステージ50によって、プリント配線板60をX軸正方向に一定速度で移動しながら、インクジェットプリンタ40によるインク41の塗布、及び、ホモジナイザ27を経由したレーザビームの照射を行い、プリント配線板60全体にソルダーレジストパターンの概略を形成する。
【0038】
図3(B)は、レーザビームの入射領域とインク41の塗布位置との関係を示す概略的な平面図である。
【0039】
インクジェットプリンタ40のインクジェットノズル(インク出射部、インク吐出部)はY軸方向に沿って配列されている。レーザビームの入射位置とインク41の塗布位置とは、X軸方向に20mm〜30mm離れている。レーザビーム入射領域の長軸方向(Y軸方向)の長さは、インク41の塗布が行われる領域のY軸方向に沿う長さ(ノズルの配列方向の長さ)と等しいか、それよりも幾分長い。
【0040】
図3(C)を参照する。プリント配線板60全体にソルダーレジストパターンの概略を形成した後、記憶装置30aに記憶されている、ランドを形成すべき位置のデータに基いて、プリント配線板60上の所定位置にレーザビームを照射してランドを形成する。
【0041】
折り返しミラー26aは、レーザ光源21とホモジナイザ27との間のレーザビームの光路上に着脱が可能である。折り返しミラー26aが光路上に配置されないとき、図3(A)に示したように、レーザビームはホモジナイザ27を経由してインク41に入射し、入射位置のインク41を硬化させる。折り返しミラー26aが光路上に配置されるとき、図3(C)に示すように、レーザビームは折り返しミラー26a、26bで順に反射されてマスク22に入射する。折り返しミラー26bは、折り返しミラー26aがレーザビームの光路上に配置されたとき、レーザ光源21を出射し、折り返しミラー26aで反射されたレーザビームが入射する固定ミラーである。光路切り替え装置26(折り返しミラー26aの光路への着脱)によるレーザビームの光路の切り替えの制御は、制御装置30により行われる。
【0042】
マスク22を出射した後のレーザビームの進路及び作用は、図1に示す第1の実施例の場合と等しい。レーザビームは、ガルバノスキャナ24で走査され、たとえば直径が50μmの円形状の入射領域を形成して、プリント配線板60上に塗布、硬化されたインク41上に入射し、入射位置のインク41をアブレーションにより除去することで、プリント配線板60の銅箔を露出させ、ランドを形成する。
【0043】
なおレーザビームは、インク41を硬化させる場合は、相対的に小さいパルスエネルギ密度(たとえば20mJ/cm)、硬化されたインク41を除去する場合は、相対的に大きいパルスエネルギ密度(たとえば1J/cm)で、インク41に入射させる。
【0044】
第2の実施例によるレーザ照射装置は、ホモジナイザ27とインク41との間のレーザビームの光路上に、集光レンズを含んでもよい。また光路の切り替えは、音響光学素子やガルバノミラーを用いて行うことが可能である。
【0045】
第2の実施例によるレーザ照射装置は、塗布されたインク41の硬化と、硬化されたインク41の除去(ランドの形成等のパターニング)の双方を、レーザ光源21から出射されたレーザビームを用いて行う。このため、第1の実施例が奏する効果に加え、ランプ光源45が不要である。
【0046】
また、第2の実施例によるレーザ照射装置は、ランプ光源45から出射される拡散光ではなく、集光されたレーザビーム(収束光)をインク41に照射して硬化させるので、たとえばインク41で反射されたレーザビームが、インクジェットプリンタ40のノズルに入射して生じるノズル詰まりを防止することができる。
【0047】
なお、第2の実施例においては、ホモジナイザ27を経由したレーザビームを、プリント配線板60に対して垂直な方向から入射させた。レーザビームは、インク41の塗布位置(インクジェットプリンタ40のノズル配設位置)に向かわない方向に入射させることが好ましい。たとえば図3(B)に示す態様においては、レーザビームの入射は、X軸負方向に向かう成分をもたないように行うことが好ましい。
【0048】
図4は、第2の実施例によるレーザ照射装置の変形例を示す概略図である。変形例は、インクジェットプリンタ40のノズル部に、遮光機能を有する光ガード部材40aを備える点において第2の実施例と異なる。光ガード部材40aは、ホモジナイザ27を経由したレーザビームの入射位置を向く方向に設置される。変形例によるレーザ照射装置は、光ガード部材40aを備えるため、プリント配線板60に塗布されたインク41を硬化させるためのレーザビームを、インク41の塗布位置に向かう方向に入射させた場合であっても、ノズルへのレーザビームの入射が防止され、ノズル詰まりが生じない。
【0049】
更には、光ガード部材40aは、ガルバノスキャナ24を経由したレーザビームの入射位置を向く方向に設置してもよい。ホモジナイザ27を経由したレーザビームの入射位置、ガルバノスキャナ24を経由したレーザビームの入射位置の少なくとも一方を向く方向に設置することで、ノズル詰まり防止の効果を奏することができる。
【0050】
図5は、第3の実施例によるレーザ照射装置を示す概略図である。第3の実施例は、インク41を硬化させるためのレーザビームを2次元方向に走査してインク41に入射させる点において、第2の実施例と異なる。
【0051】
第3の実施例においては、折り返しミラー26aがビーム光路上に配置されないとき、レーザ光源21を出射したレーザビームは、透光領域と遮光領域をもち、透光領域の形状でレーザビームの断面形状を整形するマスク31に入射する。マスク31の透光領域は、たとえば正方形状である。マスク31の透光領域を透過したレーザビームは折り返しミラー32で反射され、集光レンズ33で集光されてガルバノスキャナ34に入射する。ガルバノスキャナ34は、入射したレーザビームの出射方向を2次元方向に変化させて出射する。ガルバノスキャナ34を出射したレーザビームはプリント配線板60上を走査され、レーザビーム入射位置のインク41を硬化させる。ガルバノスキャナ34を出射するレーザビームの出射方向及びプリント配線板60上の入射位置は、制御装置30により制御される。
【0052】
図6(A)及び(B)は、レーザビームの照射位置を示すプリント配線板60の概略的な平面図である。図6(A)に示すように、マスク31の透光領域の形状が集光レンズ33によって転写され、レーザビームはたとえば一辺が2mmの正方形状の入射領域を形成して、プリント配線板60に塗布されたインク41上に入射する。レーザビームは、ガルバノスキャナ34によりプリント配線板60上を、たとえば矢印方向に、重複率が20%となるように走査される。矢印方向は、Y軸負方向に対して時計回りに角度θをなす方向である。角度θを設けることで、図6(B)に示すように、レーザビームの照射領域を、ステージ50によるプリント配線板60の一定速度移動方向(X軸正方向)と直交させる。レーザビームの走査は、Y軸負方向に対して時計回りに角度θをなす方向に、かつ、プリント配線板60上においてY軸方向に延びるレーザビームの照射領域が、X軸方向に20%の重複率で形成されるように、繰り返される。レーザビームが照射されることで、塗布されたインク41が硬化され、ソルダーレジストパターンの概略が形成される。
【0053】
プリント配線板60全体にソルダーレジストパターンの概略を形成した後、制御装置30によって折り返しミラー26aをビーム光路上に配置して光路を切り替え、ガルバノスキャナ24の動作によって、ランドを形成する。
【0054】
第3の実施例によるレーザ照射装置は、マスク31を用いない構成とすることができる。この場合インク硬化用のレーザビームは、たとえば直径2mmの円形状の入射領域を形成してインク41上に入射する。
【0055】
図7は、第3の実施例によるレーザ照射装置を用いて行うレーザ照射方法の他の例を示す概略図である。
【0056】
ステージ50はプリント配線板60を保持し、X軸正方向に移動させる。インクジェットプリンタ40は、インク41をプリント配線板60上の所定領域に塗布する。制御装置30は、記憶装置30aに記憶されている、ソルダーレジスト及びランドを形成すべき位置のデータ(インク41を塗布すべきプリント配線板60上の領域のデータ)に基いて、プリント配線板60上の所定領域にインク41が塗布されるように、インクジェットプリンタ40によるインク41の出射(吐出)、及びステージ50による配線板60の移動を制御する。また制御装置30は、プリント配線板60上のインク41が塗布された領域にレーザビームが入射するように、記憶装置30aに記憶されているデータに基づいて、ガルバノスキャナ34及びステージ50の動作を制御する。この場合、たとえばステージ50は、インク41の塗布領域が、レーザビームの走査線上にあるときには所定の一定速度で、ないときには可能な最大速度で、プリント配線板60を移動させてもよい。
【0057】
レーザビームは、ガルバノスキャナ34により、インク41上に照射され、インク41が塗布されていないプリント配線板60上には照射されないように走査される。レーザビームが照射された位置のインク41は硬化される。
【0058】
プリント配線板60の所定領域に塗布されたインク41の硬化が終了し、プリント配線板60全体にソルダーレジストパターンの概略が形成された後、制御装置30によって折り返しミラー26aをビーム光路上に配置して光路を切り替え、ガルバノスキャナ24の動作によって、ランドを形成する。
【0059】
本例においては、ガルバノスキャナ34及びステージ50の動作を制御し、インク41が塗布された領域にレーザビームを入射させたが、これはガルバノスキャナ34、ステージ50のいずれか一方の動作制御で行うことも可能である。
【0060】
本例のレーザ照射方法によれば、レジストパターン形成を高速に、高エネルギ効率で行うことができる。また、プリント配線板60のインク41非塗布部はたとえば銅箔で形成されるため、紫外領域の光の吸収率が高い。したがって、インク41硬化のためのレーザビームの照射による非塗布部の劣化を防ぎ、加工品質を向上させることが可能である。更に、インク41を硬化させる際に、インク41にレーザビームを照射し、吸収させるので、反射光のインクジェットプリンタ40のノズルへの入射防止の効果もある。
【0061】
なお、銅がエネルギを吸収しない波長のレーザビームを使用することで、非塗布部にレーザビームが入射しても、非塗布部の品質を保持することが可能である。
【0062】
図8(A)及び(B)は、第4の実施例によるレーザ照射装置を示す概略図である。第3の実施例においては、塗布されたインク41を硬化させるレーザビームの光路と、硬化されたインク41をアブレーションにより除去するレーザビームの光路とを光路切り替え装置26で切り替えたが、第4の実施例においては、インク41を硬化させる場合も除去する場合も、同一のガルバノスキャナ34で走査して、レーザビームをインク41に入射させる。このため、第4の実施例は、光路切り替え装置26、マスク22、折り返しミラー23、ガルバノスキャナ24、及びfθレンズ25を有しない。他方、エキスパンダ35及びフィールドレンズ36を含む。
【0063】
エキスパンダ35は、入射するレーザビームのビーム径を拡大率可変に拡大して出射する。ビーム径を変化させることにより、エキスパンダ35を出射するレーザビームのエネルギ密度、及びインク41に入射するレーザビームのエネルギ密度を変化させることができる。エキスパンダ35のビーム径の拡大率は制御装置30により制御することができる。
【0064】
図8(A)は、レーザビームの照射により、塗布されたインク41を硬化させる場合を示す。レーザ光源21を出射したレーザビームは、エキスパンダ35でビーム径を拡大されてマスク31に入射する。マスク31の透光領域は、たとえば正方形状である。マスク31の透光領域を透過したレーザビームは、折り返しミラー32で反射され、集光レンズ33で集光され、ガルバノスキャナ34で出射方向を2次元方向に変化されて、プリント配線板60上のインク41上を走査する。マスク31の透光領域の形状は、集光レンズ33によりインク41上に転写される。
【0065】
フィールドレンズ36は、マスク31と集光レンズ33との間のレーザビームの光路上に着脱可能である。フィールドレンズ36の光路上への着脱は、制御装置30により行われる。フィールドレンズ36と集光レンズ33とは、マスク31の透光領域の形状をインク41上に、転写倍率可変に転写する転写倍率変化光学系を構成する。
【0066】
インク41を硬化させる用途においては、フィールドレンズ36は、マスク31と集光レンズ33との間のレーザビームの光路上に配置されない。このとき、レーザビームは、たとえば一辺が2mmの正方形状の入射領域(相対的に大きいサイズの入射領域)を形成してインク41に入射する。入射面におけるパルスエネルギ密度は、たとえば20mJ/cm(相対的に小さいパルスエネルギ密度)である。レーザビームは、図6(A)及び(B)または図7を参照して説明した態様または方法で、インク41上を走査される。
【0067】
図8(B)は、レーザビームの照射により、硬化されたインク41を除去する場合を示す。レーザ光源21を出射したレーザビームは、エキスパンダ35でビーム径を拡大されてマスク31に入射する。ビーム径の拡大率は、インク41を硬化させる場合よりも大きい。このときエキスパンダ35を出射するレーザビームのエネルギ密度は、インク41を硬化させる場合より小さくなる。
【0068】
マスク31の透光領域を透過したレーザビームは、フィールドレンズ36、折り返しミラー32、集光レンズ33を経由し、ガルバノスキャナ34で出射方向を2次元方向に変化されて、硬化されたインク41上を走査する。マスク31の透光領域の形状は、フィールドレンズ36及び集光レンズ33によりインク41上に転写される。フィールドレンズ36がレーザビームの光路上に配置されることにより、転写倍率が小さく(縮小率が大きく)なり、レーザビームは一辺が0.1mmの正方形状の入射領域(相対的に小さいサイズの入射領域)を形成してインク41上に入射し、入射位置のインク41をアブレーションにより除去する。入射面におけるパルスエネルギ密度は、たとえば1J/cm(相対的に大きいパルスエネルギ密度)である。
【0069】
制御装置30は、レーザビームの光路上にフィールドレンズ36を配置したときのインク41上におけるパルスエネルギ密度が1J/cmとなり、配置しないときのパルスエネルギ密度が20mJ/cmとなるように、フィールドレンズ36の光路上への着脱(転写倍率)と、エキスパンダ35によるビーム径の拡大率を制御する。
【0070】
第4の実施例によるレーザ照射装置は、ガルバノスキャナ等の光学部材を少なくすることができる。
【0071】
たとえば第4の実施例によるレーザ照射装置を用いて、プリント配線板の欠陥部の修復(リペア)を行うことも可能である。
【0072】
図9は、プリント配線板のソルダーレジストパターンの欠陥部修復(リペア)の概略について示す工程図である。全面塗布法または部分塗布法によって、ソルダーレジストパターンが形成された配線板は、まずステップS101の検査工程に付される。検査工程において欠陥が検出されない場合は、修復工程に進まず終了する。
【0073】
欠陥が検出された場合、ステップS102に進み、検出された欠陥の情報、たとえば欠陥の位置及び内容、欠陥に対して施されるべき修復内容等を、たとえば制御装置30の記憶装置30aに記憶させる(欠陥情報設定)。また、欠陥情報が設定されたプリント配線板を準備する(欠陥配線板準備)。制御装置30は、記憶装置30aの記憶内容に基いてレーザ照射装置の各部の動作を制御し、プリント配線板のソルダーレジストパターンの欠陥を修復する。
【0074】
たとえば不要または有害な位置にレジストが形成されていた場合や、適切な位置に形成されていた場合であっても塗布不良が生じていた場合には、ステップS103に進む。まず欠陥情報が設定されたプリント配線板をステージ50に保持し、修復箇所(欠陥位置)をガルバノスキャナ34の走査範囲に移動する。そしてレーザビームを照射し、不要または有害な位置や塗布不良箇所に形成されたレジストをアブレーションにより除去する。レジストを除去する際は、レーザビームの光路上にフィールドレンズ36を配置し、レーザビームがレジスト上に、たとえば1J/cmのパルスエネルギ密度で照射されるように、エキスパンダ35でビーム径を調整する。たとえばビーム入射領域が一辺0.1mmの正方形であるレーザビームをガルバノスキャナ34で走査して、不要または有害な位置や塗布不良箇所のレジストを除去する。
【0075】
なお、除去するレジストの範囲の外形(輪郭)が直線で形成される場合にはレーザビームの入射領域を正方形とし、曲線で形成される場合には、円形状の透光領域を備えるマスク31を用いてビーム入射領域を円形状に整形することで、より高品質な修復を実現することができる。
【0076】
不要または有害な位置にレジストが形成されていた場合、その箇所の修復はこれで終了する。
【0077】
塗布不良の場合には、不良箇所のレジストを除去した後、その位置にインクを再塗布(ステップS104)し、硬化(ステップS105)させる。インクの再塗布は、ステージ50で、修復箇所をインクジェットプリンタ40のインク塗布位置に配置して行う。インクの硬化は、ステージ50で再塗布位置(修復箇所)をガルバノスキャナ34の走査範囲に移動し、レーザビームをレジスト除去の場合よりも小さいパルスエネルギ密度でインクの再塗布位置に照射して行う。
【0078】
インクを硬化させる際には、レーザビームの光路上からフィールドレンズ36を取り除き、レーザビームがインク上に、20mJ/cmのパルスエネルギ密度で照射されるように、エキスパンダ35でビーム径を調整する。たとえばビーム入射領域が一辺2mmの正方形であるレーザビームがガルバノスキャナ34でインク上を走査され、再塗布されたインクを硬化させる。
【0079】
欠陥内容がたとえばレジストの不形成である場合、ステップS102からステップS106に進む。不形成部分にインクを塗布し(ステップS106)、硬化する(ステップS107)ことでレジストを形成する。インクの塗布は、ステージ50で、レジストの不形成部分をインクジェットプリンタ40のインク塗布位置に配置して行う。インクの硬化は、ステージ50でインク塗布部分をガルバノスキャナ34の走査範囲に移動し、インクにレーザビームをたとえば20mJ/cmで照射して行う。
【0080】
修復対象物となるプリント配線板のすべての欠陥に対し、施されるべき修復がなされたら(ステップS108)、ステップS101に戻って再検査を行う。欠陥が検出されない場合、修復は終了し、欠陥が検出された場合は、ステップS102に進んで上記工程を繰り返す。
【0081】
なお、プリント配線板の欠陥部の修復は、他の実施例によるレーザ照射装置を用いても行うことができる。欠陥部を修復し、高品質にレジストパターンを形成することが可能である。
【0082】
この場合、たとえば図7を参照して説明したレーザ照射方法を行うときは、制御装置30は、記憶装置30aに記憶された欠陥の情報に基づいて、レーザビームが入射するプリント配線板60上の位置を制御する。
【0083】
図11(A)は、ソルダーレジストパターンに欠陥部を有するプリント配線板60の一例を示す概略的な平面図である。プリント配線板60上には、描画すべきパターンが画定されている。図11(A)においては、ソルダーレジストを付着させる領域にハッチングを付して示し、付着させない領域は白抜きとして示した。ソルダーレジストを付着させない領域は、たとえば、四角形、円形、ある幅を有する直線等のパターンの内側領域である。
【0084】
図11(B)に、プリント配線板60に対応して定義される座標の一例を示す。プリント配線板60には、たとえば配線板60の横方向(行方向)に沿ってX座標、縦方向(列方向)に沿ってY座標が、行列状に配置される複数のピクセル60Bによって規定されている。本図においては、左上のピクセル内の領域の座標は[X000,Y000]で表される。
【0085】
図11(C)は、図11(A)における領域(プリント配線板60の一部領域)60Aのレジスト付着状態を示す概略的な平面図である。本図においては、ソルダーレジストの付着している領域に斜線を付した。レジストを付着させるべき位置にもかかわらず、レジストが付着していない領域を、レジスト不形成箇所61として示した。また、レジストを付着させることが不要または有害であるにもかかわらず、レジストが付着している領域を、レジスト不要または有害箇所62として示した。
【0086】
図12は、実施例による絶縁膜形成システム(ソルダーレジスト形成装置)の概略を示す平面図である。たとえば本図に示すシステムを使用して、プリント配線板60上に、欠陥部のないソルダーレジストパターンを形成することができる。たとえばソルダーレジストが形成されていないプリント配線板60に、ソルダーレジストを塗布する工程で、図11(C)に示す欠陥が生じた場合であっても、欠陥部は修復され、欠陥のないソルダーレジストパターンが形成される。
【0087】
実施例による絶縁膜形成システムは、アライメント装置70、塗布装置71、第1本硬化装置72、検査装置(検査台)73、リペア装置74、第2本硬化装置75、アーム76、コンベヤ77、78、及び制御装置79を含んで構成される。
【0088】
コンベヤ77は、システム外部からアライメント装置70に、ソルダーレジスト未形成のプリント配線板60を搬送する搬送手段であり、コンベヤ78は、検査装置73からシステム外部に、ソルダーレジストが適切に塗布されたプリント配線板60を搬送する搬送手段である。アーム76は、各装置70〜75間におけるプリント配線板60の搬送を行う。制御装置79は、各装置70〜75における配線板60に対する処理、及び、アーム76、コンベヤ77、78による配線板60の搬送を制御する。制御装置79は、たとえばメモリである記憶装置79aを含む。
【0089】
アライメント装置70は、コンベヤ77によって搬入されたプリント配線板60の表面に形成されているアライメントマークを検出し、検出結果に基いて、プリント配線板60のアライメントを行う。アライメント装置70は、ステージ、及び、アライメントマーク検出器として、たとえばCCDカメラを備える。ステージ上に載置されたプリント配線板60のアライメントマークがCCDカメラによって撮影される。CCDカメラによる撮像は、制御装置79によって制御される。また、CCDカメラによって得られた画像データ(検出結果)は、制御装置79に送信される。
【0090】
制御装置79は、CCDカメラによって取得された画像データを処理し、プリント配線板60の位置、及び、配線板60面内(水平面内)方向における姿勢(向き)を把握する。アライメント装置70は、制御装置79の制御により、プリント配線板60の、水平面内方向における姿勢を補正(変更)する(θ補正)。
【0091】
θ補正の施されたプリント配線板60は、アーム76により、θ補正後の水平面内方向における向きを維持した状態で、塗布装置71に搬送される。
【0092】
塗布装置71は、プリント配線板60を保持するステージと、ステージに対向し、ステージ上に保持された配線板60に向けて絶縁性のインク(レジスト材料)を液滴として吐出する複数のノズルを備えるノズルユニット(インクジェットプリンタ40)を含む。インクは、たとえば紫外線硬化性を有する。塗布装置71によって、プリント配線板60には、たとえば図11(A)に斜線を付して示す領域(ソルダーレジストを付着させるべき領域)に向けてインクが吐出され、ソルダーレジストパターンが形成される。塗布装置71は、紫外光を照射する光源を含んでいてもよい。光源からの紫外光をプリント配線板60上に塗布されたソルダーレジストに照射し、ソルダーレジストの仮硬化を行うことができる。
【0093】
なお、アライメント装置70でθ補正が行われているため、塗布装置71ではθ補正を行わず処理が開始される。
【0094】
ソルダーレジストが塗布されたプリント配線板60は、アーム76により、第1本硬化装置72に搬送される。第1本硬化装置72は、紫外光を照射する光源を含む。光源から、プリント配線板60のソルダーレジストが塗布された面に紫外光を照射して、ソルダーレジストの本硬化を行う。本硬化によって、プリント配線板60のソルダーレジストは、その内部まで固化される。本硬化においては、仮硬化におけるよりも強いエネルギ密度でプリント配線板60に紫外光が照射される。なお、仮硬化は、ソルダーレジストの表面領域を固化させ、たとえば拡散を防止する処理であり、仮硬化によってはソルダーレジストの内部領域は完全には固化していない。
【0095】
塗布されたソルダーレジストが本硬化されたプリント配線板60は、アーム76によって、第1本硬化装置72から検査装置(検査台)73に搬送される。検査装置73は、塗布装置71によるソルダーレジストの形成が適正に行われているか否かを検査し、ソルダーレジストの形成が適正に行われていない位置を検出する。
【0096】
検査装置73は、たとえばプリント配線板60を保持するステージと、プリント配線板60上に塗布されたソルダーレジストの欠陥を検出する検出器、一例としてCCDカメラを備える。CCDカメラは、ステージに保持されたプリント配線板60上のソルダーレジストを撮影する。CCDカメラによる撮像は、制御装置79によって制御される。撮影された画像データ(検出結果)は、制御装置79に送信される。
【0097】
制御装置79は、CCDカメラによって取得された画像データを処理し、形成されたソルダーレジストパターンにおける欠陥部の有無を判定する(たとえば図9のステップS101)。欠陥部が検出されなかった場合、プリント配線板60はコンベヤ78によって、検査装置73から、システムの外部へ搬出される。
【0098】
欠陥部が検出された場合、検出結果に基いて、プリント配線板60の修復(リペア)が行われる。制御装置79は、欠陥情報を設定する(たとえば図9のステップS102)。たとえば図11(C)に示す欠陥を検出したときには、レジスト不形成箇所61は、レジストが塗布されるべき位置であるにもかかわらず塗布が行われていないという欠陥を有する領域であり、レジストを塗布する修復を行うという情報を記憶装置79aに記憶させる。また、レジスト不形成箇所61の位置(レジスト不形成箇所61に対応する、単数または複数のピクセル60Bの座標)を、記憶装置79aに記憶させる。更に、レジスト不要または有害箇所62は、レジストを塗布することが不要または有害な位置であるにもかかわらず、塗布がなされているという欠陥を有する領域であり、レジストを除去する修復を行うという情報を記憶装置79aに記憶させる。また、レジスト不要または有害箇所62の位置(レジスト不要または有害箇所62に対応する、単数または複数のピクセル60Bの座標)を、記憶装置79aに記憶させる。
【0099】
欠陥情報の設定されたプリント配線板60は、アーム76により、検査装置73からリペア装置74に搬送される。リペア装置74は、検査装置73で検出された、ソルダーレジストの形成が適正に行われていない位置を適正な状態にする。
【0100】
リペア装置74は、ソルダーレジストが形成されるべき位置であるのに形成されていない位置にインクを塗布し、ソルダーレジストを形成する塗布機能、少なくともソルダーレジストを形成する必要のない位置(ソルダーレジストを形成すべきでない位置を含む。)であるのにソルダーレジストが形成されている位置にレーザビームを照射して、ソルダーレジストを除去する除去機能のうち、少なくとも一方、好ましくは両方を備える。
【0101】
リペア装置74は、たとえば欠陥情報の設定された配線板60に向けて絶縁性のインクを液滴として吐出する複数のノズルを備えるノズルユニットを含む塗布装置、及び、欠陥情報の設定された配線板60にレーザビームを伝搬し、伝搬箇所のレジストを除去する除去装置とからなる。塗布機能と除去機能の双方を備えた1台の装置としてもよい。いずれの場合も、修復としてインクを塗布する領域は、ソルダーレジストを形成する全領域に比べると狭いことから、塗布装置のノズルユニットにおけるノズルの数は、ソルダーレジスト未形成のプリント配線板60にレジスト塗布を行う塗布装置71のノズルの数より少なくすることが可能である。なお、リペア装置74を、塗布機能と除去機能のうち一方のみを備える装置としてもよい。
【0102】
設定された欠陥情報(記憶装置79aに記憶された記憶内容)に基き、リペア装置74の有する塗布機能で、レジスト不形成箇所61に向けてインクが吐出され、レジスト不形成箇所61にレジストが塗布される(たとえば図9のステップS106)。また、リペア装置74の有する除去機能でレジスト不要または有害箇所62にレーザビームが照射され、レジスト不要または有害箇所62のレジストが除去される(たとえば図9のステップS103)。
【0103】
プリント配線板60は、アーム76によって、リペア装置74から第2本硬化装置75に搬送される。第2本硬化装置75は、紫外光を照射する光源を含み、光源から、プリント配線板60(レジストが塗布された後のレジスト不形成箇所61)に紫外光を照射して、塗布されたソルダーレジストの本硬化を行う(たとえば図9のステップS107)。
【0104】
その後、プリント配線板60は、アーム76によって第2本硬化装置75から検査装置73に搬送され、ソルダーレジストが適正に塗布されているか否かが再検査される(たとえば図9のステップS101)。適正に塗布されている場合、プリント配線板60はコンベヤ78により、システムの外部へ搬出される。適正な塗布がなされていない場合は、再度リペア装置74に搬送され、不適正な箇所の修復が行われる。
【0105】
なお、修復内容が、レジストの除去だけでレジストの塗布を含まない場合、第2本硬化装置75を経由せず、リペア装置74から、直接検査装置73に搬送する。また、第2本硬化装置75を備えない構成とし、リペア装置74でレジストの塗布が行われた場合には、プリント配線板60を第1本硬化装置72に搬送して、修復として塗布したソルダーレジストの本硬化を行ってもよい。更に、検査装置73での再検査を行わず、コンベヤ78でシステム外に搬出することも可能である。
【0106】
図9(C)に示した例は、塗布不良の欠陥を含まなかったが、塗布不良の欠陥がある場合は、プリント配線板60を検査装置73からリペア装置74に搬送し、塗布不良箇所のレジストを除去(たとえば図9のステップS103)した後、レジストを塗布(たとえば図9のステップS104)し、第2本硬化装置75で、塗布したレジストの本硬化(たとえば図9のステップS105)を行えばよい。
【0107】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0108】
たとえば、実施例においては、レジスト材料としてインクを用いたが樹脂であってもかまわない。
【0109】
また、実施例においては、照射するレーザビームとしてNd:YAGレーザの3倍高調波を用いたが、Nd:YLFレーザ等の他の固体レーザや半導体レーザから出射される紫外光を使用することができる。
【0110】
更に、たとえば第2の実施例に限らず、他の実施例によるレーザ照射装置に、光ガード部材40aを設けてもよい。また、すべての実施例によるレーザ照射装置を用いて行うレーザ照射方法を、インク41を硬化させるレーザビーム、更にはインク41(レジスト)を除去するレーザビームを、インク41の塗布位置に向かわない方向に入射させて行ってもよい。
【0111】
また、実施例においては、ガルバノスキャナでレーザビームを走査して、硬化したインク(レジスト)を除去したが、ステージでプリント配線板を移動させて除去することも可能である。
【0112】
その他、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者には自明であろう。
【産業上の利用可能性】
【0113】
たとえば、ソルダーレジストパターンの形成に利用することができる。
【符号の説明】
【0114】
21 レーザ光源
22 マスク
23 折り返しミラー
24 ガルバノスキャナ
25 fθレンズ
26 光路切り替え装置
26a、26b 折り返しミラー
27 ホモジナイザ
28 折り返しミラー
30 制御装置
30a 記憶装置
31 マスク
32 折り返しミラー
33 集光レンズ
34 ガルバノスキャナ
35 エキスパンダ
36 フィールドレンズ
40 インクジェットプリンタ
40a 光ガード部材
41 インク
50 ステージ
50a チャックプレート
60 プリント配線板
60A 領域
60B ピクセル
61 レジスト不形成箇所
62 レジスト不要または有害箇所
70 アライメント装置
71 塗布装置
72 第1本硬化装置
73 検査装置
74 リペア装置
75 第2本硬化装置
76 アーム
77、78 コンベヤ
79 制御装置
79a 記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルスレーザビームを出射するレーザ光源と、
基板を保持するステージと、
前記ステージに保持された基板上にレジスト材料を塗布する塗布装置と、
前記レーザ光源を出射したパルスレーザビームを、前記塗布装置によって塗布された前記レジスト材料上に集光して伝搬し、伝搬位置の前記レジスト材料を硬化させる第1の伝搬光学系と、
前記レーザ光源を出射したパルスレーザビームを、前記第1の伝搬光学系によって伝搬されたパルスレーザビームによって硬化された前記レジスト材料上に伝搬し、伝搬位置の前記レジスト材料を除去する第2の伝搬光学系と、
前記レーザ光源を出射したパルスレーザビームを前記第1の伝搬光学系または前記第2の伝搬光学系に選択的に入射させる光路切り替え装置と
を有するレーザ照射装置。
【請求項2】
前記第1の伝搬光学系は相対的に小さいパルスエネルギ密度のパルスレーザビームを前記レジスト材料上に伝搬し、前記第2の伝搬光学系は相対的に大きいパルスエネルギ密度のパルスレーザビームを硬化された前記レジスト材料上に伝搬する請求項1に記載のレーザ照射装置。
【請求項3】
前記第1の伝搬光学系は、パルスレーザビームを2次元方向に走査して、前記レジスト材料上に伝搬するビーム走査器を含む請求項1または2に記載のレーザ照射装置。
【請求項4】
更に、前記ビーム走査器によって走査されるパルスレーザビームが伝搬される前記基板上の位置を制御する制御装置と、
前記塗布装置によってレジスト材料を塗布すべき基板上の領域のデータを記憶する記憶装置と
を含み、
前記制御装置は、前記記憶装置に記憶されたデータに基いて、前記ビーム走査器によって走査されるパルスレーザビームが伝搬される前記基板上の位置を制御する請求項3に記載のレーザ照射装置。
【請求項5】
前記塗布装置は、前記レジスト材料を吐出する部分に設けられる遮光部材であって、前記第1、第2の伝搬光学系によってパルスレーザビームが伝搬される位置の少なくとも一方を向く方向に設けられる遮光部材を備える請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザ照射装置。
【請求項6】
パルスレーザビームを出射するレーザ光源と、
基板を保持するステージと、
前記ステージに保持された基板上にレジスト材料を塗布する塗布装置と、
前記レーザ光源を出射したパルスレーザビームを、前記レジスト材料上に集光して伝搬する伝搬光学系と
を有し、
前記伝搬光学系によって伝搬されるパルスレーザビームによって、前記塗布装置で塗布された前記レジスト材料の硬化、及び該硬化されたレジスト材料の部分的な除去を行うレーザ照射装置。
【請求項7】
前記伝搬光学系は、前記レジスト材料に入射するパルスレーザビームの入射領域のサイズ、及びパルスエネルギ密度を変化させることのできる請求項6に記載のレーザ照射装置。
【請求項8】
前記伝搬光学系は、
入射するレーザビームのビーム径を拡大率可変に拡大して出射するエキスパンダと、
前記エキスパンダを出射したレーザビームが入射する位置に配置された、透光領域を備えるマスクと、
前記マスクの透光領域の形状を前記レジスト材料上に、転写倍率可変に転写する転写倍率変化光学系と
を含み、
更に、前記エキスパンダの拡大率、及び前記転写倍率変化光学系の転写倍率を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記レジスト材料を硬化させるときには、レーザビームが、相対的に大きいサイズの入射領域を形成し、相対的に小さいパルスエネルギ密度で前記レジスト材料に入射するように、前記エキスパンダの拡大率、及び前記転写倍率変化光学系の転写倍率を制御し、硬化された前記レジスト材料を除去するときには、レーザビームが、相対的に小さいサイズの入射領域を形成し、相対的に大きいパルスエネルギ密度で硬化された前記レジスト材料に入射するように、前記エキスパンダの拡大率、及び前記転写倍率変化光学系の転写倍率を制御する請求項7に記載のレーザ照射装置。
【請求項9】
パルスレーザビームを出射するレーザ光源と、
基板を保持するステージと、
前記ステージに保持された基板上にレジスト材料を塗布する塗布装置と、
前記塗布装置によって前記基板上に塗布されたレジスト材料を硬化させる光を出射する硬化用光源と、
前記硬化用光源を出射した光によって硬化された前記レジスト材料に、前記レーザ光源を出射したパルスレーザビームを伝搬し、伝搬位置の前記レジスト材料を除去する伝搬光学系と
を有するレーザ照射装置。
【請求項10】
パルスレーザビームを出射するレーザ光源と、
レジストが形成された加工対象物を保持するステージと、
前記レーザ光源を出射したパルスレーザビームを、前記加工対象物のレジスト上に伝搬し、伝搬位置の前記レジストを除去する第1の伝搬光学系と、
前記ステージに保持された加工対象物上にレジスト材料を塗布する塗布装置と、
前記レーザ光源を出射したパルスレーザビームを、前記塗布装置によって塗布された前記レジスト材料上に集光して伝搬し、伝搬位置の前記レジスト材料を硬化させる第2の伝搬光学系と、
前記レーザ光源を出射したパルスレーザビームを前記第1の伝搬光学系または前記第2の伝搬光学系に選択的に入射させる光路切り替え装置と
を有するレーザ照射装置。
【請求項11】
更に、前記加工対象物のレジストの欠陥の情報を記憶する記憶装置を含み、
前記記憶装置に記憶されたレジストの欠陥の情報に基づき、(i)前記第1の伝搬光学系によって伝搬されたパルスレーザビームによるレジストの除去、(ii)前記塗布装置によるレジスト材料の塗布、及び前記第2の伝搬光学系によって伝搬されたパルスレーザビームによる該レジスト材料の硬化の少なくとも一方を行う請求項10に記載のレーザ照射装置。
【請求項12】
前記第1の伝搬光学系は相対的に大きいパルスエネルギ密度のパルスレーザビームを前記レジスト上に伝搬し、前記第2の伝搬光学系は相対的に小さいパルスエネルギ密度のパルスレーザビームを前記レジスト材料上に伝搬する請求項10または11に記載のレーザ照射装置。
【請求項13】
前記第2の伝搬光学系は、パルスレーザビームを2次元方向に走査して、前記レジスト材料上に伝搬するビーム走査器を含む請求項10〜12のいずれか1項に記載のレーザ照射装置。
【請求項14】
更に、前記ビーム走査器によって走査されるパルスレーザビームが伝搬される前記基板上の位置を制御する制御装置を含み、
前記制御装置は、前記記憶装置に記憶された欠陥の情報に基いて、前記ビーム走査器によって走査されるパルスレーザビームが伝搬される前記基板上の位置を制御する請求項13に記載のレーザ照射装置。
【請求項15】
前記塗布装置は、前記レジスト材料を吐出する部分に設けられる遮光部材であって、前記第1、第2の伝搬光学系によってパルスレーザビームが伝搬される位置の少なくとも一方を向く方向に設けられる遮光部材を備える請求項10〜14のいずれか1項に記載のレーザ照射装置。
【請求項16】
パルスレーザビームを出射するレーザ光源と、
レジストが形成された加工対象物を保持するステージと、
前記ステージに保持された加工対象物上にレジスト材料を塗布する塗布装置と、
前記レーザ光源を出射したパルスレーザビームを、前記ステージに保持された加工対象物上に集光して伝搬する伝搬光学系と
を有し、
前記伝搬光学系によって伝搬されるパルスレーザビームによって、(i)前記加工対象物上に形成されたレジストの部分的な除去、(ii)前記塗布装置で前記加工対象物上に塗布されたレジスト材料の硬化の少なくとも一方を行うレーザ照射装置。
【請求項17】
前記伝搬光学系は、前記加工対象物に入射するパルスレーザビームの入射領域のサイズ、及びパルスエネルギ密度を変化させることのできる請求項16に記載のレーザ照射装置。
【請求項18】
更に、前記加工対象物のレジストの欠陥の情報を記憶する記憶装置を含み、
前記記憶装置に記憶されたレジストの欠陥の情報に基づき、前記伝搬光学系によって伝搬されるレーザビームによって、(i)前記加工対象物上に形成されたレジストの部分的な除去、(ii)前記塗布装置で前記加工対象物上に塗布されたレジスト材料の硬化の少なくとも一方を行う請求項16または17に記載のレーザ照射装置。
【請求項19】
前記伝搬光学系は、
入射するレーザビームのビーム径を拡大率可変に拡大して出射するエキスパンダと、
前記エキスパンダを出射したレーザビームが入射する位置に配置された、透光領域を備えるマスクと、
前記マスクの透光領域の形状を前記加工対象物上に、転写倍率可変に転写する転写倍率変化光学系と
を含み、
更に、前記エキスパンダの拡大率、及び前記転写倍率変化光学系の転写倍率を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記加工対象物上に形成されているレジストを除去するときには、レーザビームが、相対的に小さいサイズの入射領域を形成し、相対的に大きいパルスエネルギ密度で前記レジストに入射するように、前記エキスパンダの拡大率、及び前記転写倍率変化光学系の転写倍率を制御し、前記塗布装置で前記加工対象物上に塗布されたレジスト材料を硬化させるときには、レーザビームが、相対的に大きいサイズの入射領域を形成し、相対的に小さいパルスエネルギ密度で前記レジスト材料に入射するように、前記エキスパンダの拡大率、及び前記転写倍率変化光学系の転写倍率を制御する請求項17または18に記載のレーザ照射装置。
【請求項20】
パルスレーザビームを出射するレーザ光源と、
レジストが形成された加工対象物を保持するステージと、
前記加工対象物上に形成されたレジストに、前記レーザ光源を出射したパルスレーザビームを伝搬し、伝搬位置のレジストを除去する伝搬光学系と、
前記ステージに保持された加工対象物上にレジスト材料を塗布する塗布装置と、
前記塗布装置によって前記加工対象物上に塗布されたレジスト材料を硬化させる光を出射する硬化用光源と
を有するレーザ照射装置。
【請求項21】
更に、前記加工対象物のレジストの欠陥の情報を記憶する記憶装置を含み、
前記記憶装置に記憶されたレジストの欠陥の情報に基づき、(i)前記伝搬光学系によって伝搬されたパルスレーザビームによるレジストの除去、(ii)前記塗布装置によるレジスト材料の塗布、及び前記硬化用光源から出射される光による該レジスト材料の硬化の少なくとも一方を行う請求項20に記載のレーザ照射装置。
【請求項22】
前記塗布装置は、前記レジスト材料を吐出する部分に設けられる遮光部材であって、前記硬化用光源から出射される光によって前記レジスト材料が硬化される位置、前記伝搬光学系によってパルスレーザビームが伝搬される位置の少なくとも一方を向く方向に設けられる遮光部材を備える請求項20または21に記載のレーザ照射装置。
【請求項23】
(a)基板上にレジスト材料を塗布する工程と、
(b)塗布された前記レジスト材料を硬化させる工程と、
(c)前記工程(b)で硬化されたレジスト材料にパルスレーザビームを入射させ、入射位置のレジスト材料を除去してパターニングを行う工程と
を有するレーザ照射方法。
【請求項24】
前記工程(a)及び(b)で、前記基板の全体または一部に、レジストパターンの概略を形成する請求項23に記載のレーザ照射方法。
【請求項25】
前記工程(b)において、前記レジスト材料に集光されたレーザビームを入射させ、前記レジスト材料を硬化させる請求項23または24に記載のレーザ照射方法。
【請求項26】
前記工程(b)において、前記レジスト材料に入射させるレーザビームと、前記工程(c)において、硬化された前記レジスト材料に入射させるレーザビームとは、同一のレーザ光源から出射されたレーザビームである請求項25に記載のレーザ照射方法。
【請求項27】
前記工程(b)においては、相対的に小さなパルスエネルギ密度のパルスレーザビームを前記レジスト材料に入射させ、前記工程(c)においては、相対的に大きなパルスエネルギ密度のパルスレーザビームを硬化された前記レジスト材料に入射させる請求項25または26に記載のレーザ照射方法。
【請求項28】
前記工程(b)においては、相対的に大きなサイズの入射領域を形成してレーザビームを前記レジスト材料に入射させ、前記工程(c)においては、相対的に小さなサイズの入射領域を形成してレーザビームを硬化された前記レジスト材料に入射させる請求項25〜27のいずれか1項に記載のレーザ照射方法。
【請求項29】
前記工程(b)において、レーザビームを2次元方向に走査して、前記レジスト材料に入射させる請求項25〜28のいずれか1項に記載のレーザ照射方法。
【請求項30】
前記工程(b)において、前記レジスト材料上にレーザビームを入射させ、前記レジスト材料の塗布されない前記基板上にはレーザビームを入射させない請求項29に記載のレーザ照射方法。
【請求項31】
前記工程(b)において、レーザビームが、前記レジスト材料を塗布する位置に向かわない方向に入射するように、前記レジスト材料にレーザビームを入射させる請求項25〜30のいずれか1項に記載のレーザ照射方法。
【請求項32】
前記工程(c)において、レーザビームが、前記レジスト材料を塗布する位置に向かわない方向に入射するように、硬化された前記レジスト材料にレーザビームを入射させる請求項23〜31のいずれか1項に記載のレーザ照射方法。
【請求項33】
前記工程(c)でパルスレーザビームを入射させる位置のレジスト材料は銅層上に塗布されており、前記工程(c)において、パルスエネルギ密度が、硬化された前記レジスト材料が除去される値以上、銅がアブレーションされる値未満であるパルスレーザビームを、硬化された前記レジスト材料に入射させる請求項23〜32のいずれか1項に記載のレーザ照射方法。
【請求項34】
(a)レジストが形成された加工対象物であって、レジスト部に欠陥を有する加工対象物を準備する工程と、
(b)前記加工対象物上に形成されたレジストの欠陥部にレーザビームを入射させて、入射位置のレジストを除去する工程、
または、
(c)レジストの不形成による欠陥部にレジスト材料を塗布し、集光されたレーザビームを照射して硬化させ、レジストを形成する工程
の少なくとも一方を有するレーザ照射方法。
【請求項35】
更に、前記工程(b)の後に、
(d)前記レジストを除去した位置にレジスト材料を塗布し、集光されたレーザビームを照射して硬化させ、レジストを形成する工程
を含む請求項34に記載のレーザ照射方法。
【請求項36】
前記工程(b)〜(d)において用いるレーザビームは同一光源から出射されたレーザビームである請求項35に記載のレーザ照射装置。
【請求項37】
前記工程(b)においては、相対的に大きなパルスエネルギ密度のパルスレーザビームを前記レジストの欠陥部に入射させ、前記工程(c)及び(d)においては、相対的に小さなパルスエネルギ密度のパルスレーザビームを塗布された前記レジスト材料に照射する請求項35または36に記載のレーザ照射方法。
【請求項38】
前記工程(b)においては、相対的に小さなサイズの入射領域を形成してレーザビームを前記レジストの欠陥部に入射させ、前記工程(c)及び(d)においては、相対的に大きなサイズの入射領域を形成して、レーザビームを塗布された前記レジスト材料に照射する請求項35〜37のいずれか1項に記載のレーザ照射方法。
【請求項39】
前記工程(c)及び(d)において、レーザビームを2次元方向に走査して、塗布された前記レジスト材料に照射する請求項35〜38のいずれか1項に記載のレーザ照射方法。
【請求項40】
前記工程(c)及び(d)において、レーザビームが、前記レジスト材料を塗布する位置に向かわない方向に入射するように、塗布された前記レジスト材料にレーザビームを照射する請求項35〜39のいずれか1項に記載のレーザ照射方法。
【請求項41】
前記工程(b)において、レーザビームが、前記レジスト材料を塗布する位置に向かわない方向に入射するように、前記レジストの欠陥部にレーザビームを入射させる請求項34〜40のいずれか1項に記載のレーザ照射方法。
【請求項42】
基板上に絶縁材を塗布し、絶縁膜を形成する塗布装置と、
前記塗布装置による絶縁膜の形成が適正に行われているか否かを検査し、絶縁膜の形成が適正に行われていない位置を検出する検査装置と、
前記検査装置で検出された、絶縁膜の形成が適正に行われていない位置を適正な状態にする修復装置と
を有する絶縁膜形成装置。
【請求項43】
前記修復装置は、絶縁膜が形成されるべき位置であるのに形成されていない位置に絶縁材を塗布し、絶縁膜を形成する絶縁材塗布機能、少なくとも絶縁膜を形成する必要のない位置であるのに絶縁膜が形成されている位置にレーザビームを照射して、絶縁膜を除去する絶縁膜除去機能のうち、少なくとも一方を備える請求項42に記載の絶縁膜形成装置。
【請求項44】
更に、前記塗布装置で絶縁膜が形成される前の基板の基板面内方向における向きを変更するアライメント装置を含み、
前記アライメント装置で、基板面内方向における向きを変更された前記基板は、その向きを維持された状態で、前記塗布装置に搬送される請求項42または43に記載の絶縁膜形成装置。
【請求項45】
更に、前記塗布装置で形成された絶縁膜を内部まで固化させる本硬化装置を含み、
前記本硬化装置で固化された絶縁膜が形成された基板が、前記検査装置に搬送される請求項42〜44のいずれか1項に記載の絶縁膜形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−96286(P2012−96286A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195927(P2011−195927)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】